|カフェ焚き火ss|彼女のトレーナーになれた日

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:24:05

    (こちらは以前書いたトルココーヒーssをカフェが来てくれたので書き直したものです。)


    月の無い夜のこと。
    誰もいない学園で、俺は一人のウマ娘と共に、焚き火を眺めていた。
    そのゆらめく赤い炎は、艶やかな黒髪を持った淡い瞳のウマ娘、マンハッタンカフェの整った顔を照らしていた。
    つい先程、俺は彼女の担当トレーナーになれた。
    その事を祝して、今日はささやかながらコーヒーをご馳走しようと、自前の焚き火台で火を起こしたのだ。

    ─今日はね、トルココーヒーなんてどう?
    「…また、珍しいコーヒーですね。…泥コーヒーとも呼ばれ、オスマントルコで飲まれていた独特な甘いコーヒー…。……飲んだことはないので、興味はあります。」
    ─じゃあ初めてのトルココーヒーになるのか。責任重大だ。
    「はい。…期待しますね。」

    そういって、柔らかな笑顔を見せてくれるカフェ。
    ここ数日で、彼女は笑顔を何度か見せてくれるようになった。幾分か仲良くなれたようで嬉しい。
    では、コーヒーを淹れる準備をします。

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:24:44

    ─まず、トルココーヒーは、コーヒー豆をとても細かく挽かなきゃいけない。
    「そのために専用のコーヒーミルがあるんですよね。」
    ─そう、で、今使ってるのがその専用のミル。
    「真鍮製でしょうか?美しいミルですね。」
    ─確か真鍮であってるよ。……はい、挽けた。
    「…素晴らしいです。とてもいい香り。……やはり、コーヒーは淹れる前に挽くのが、一番香りがたちますね。」
    ─そうだね。挽いてくれているのは使い勝手がいいけど、すぐに飲みきっちゃわないと、香りがなくなるからね。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:25:27

    ─次に、ケトルに水200mlと、ティースプーン山盛り二杯のコーヒー粉、それからコーヒー粉と同量の砂糖を入れます。
    「水に直接コーヒー粉を入れるのはレンメルコーヒーに似ていますが、こちらは水を沸騰させる前に全部入れてしまうのですね。」
    ─そうだね。それがレンメルコーヒーとの違い。そしてこのまま火にかけてしまうから、苦味が少し強く出るんだ。
    「そのための砂糖なんですね。」
    ─そうだよ。甘いの苦手だっけ?
    「ええ、まあ、そんなに得意ではありませんが、ですがトルココーヒーが甘いのは知っていますので、今回は伝統的な淹れ方で飲んでみたいです。」
    ─わかった。今回甘かったら次やるときに調節しよう。
    「…ありがとうございます。」
    ─ちなみに本当はやかんじゃなくて小さな鍋を使うんだけど、焚き火だと灰が飛ぶから今回はケトルを使うね。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:26:07

    ─火にかけるね。
    「…はい。」
    ─……少ししたらぶくぶくって言い始めるから。それまで待機です…!
    「わかりました。」
    ─………。
    「………どうして、私の話を信じたんですか?」
    ─…カフェがいるって言ったから。
    「…だから、どうして私がいると言って、信じたのか、と…!」
    ─…そうだね。火って不思議だよね。…確かにそこにあるのに、実体がない…。
    「…ですが、火は見えます。」
    ─今はね。暗いから良く見える。でも、見えない時もある。それに見えないものはいっぱいあるよ。引力とか、磁力とか。少なくとも俺は見えたことない。でも信じてる。
    「……タキオンさんのようなことを言いますね…。」

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:26:45

    ─それに実のところ、今まで認識してなかった見えない力に、最近何度も会ったんだ。だから信じた。
    「……だから、信じた…?…でも、気味が悪いとは思わなかったんですか…?私に近づいたから…、それが起こるように、なって…。」
    ─大丈夫。慣れてきた!
    「……はぁ、…どうやら私は、…とんでもないトレーナーさんに見つけてもらったようですね…。」
    ─?…あっ、ケトルがぶくぶくいい始めてる。
    「…本当ですね。楽しみです。」
    (耳がピコピコしてる…。よっぽど楽しみだったのかな。可愛い。)

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:30:02

    ─では、どうぞ。
    「ありがとうございます。……うん。やはり香りがいいですね。」
    ─粉挽きたてだからね!……底の方に粉が溜まるから、上澄みだけ飲んでね。
    「はい。いただきます。……あ、甘い…。そして濃い…!」
    ─ドロッとしてるよね。…砂糖を入れてるから、苦味はあまり感じないけど、ちょっとクセが強いけどしっかりコーヒーの味がする。
    「はい。想像より甘かったのですが、しかしこれは、美味しいです。なんと言えばいいのでしょうか?しつこい嫌味な甘さではなくて、コクがある、とでも言いましょうか?香りもいいですし、インパクトの強い味ですね。」
    ─うん。そうだね。…美味しい。
    「はい…。」

    ─あっ、。
    「……?どうかしましたか?」
    ─ちょっと底の粉も飲んじゃった……。
    「…上澄みだけ飲めと言ったのはあなたですよ…。……ふふっ。」
    ─…今、笑った?
    「いえ。」
    ─ホントにー?
    「しつこいですよ。」

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:30:33

    パチッ、と時折爆ぜる火の粉。
    その音は控えめで、でも、静かな夜にはよく響く。
    炭化が進んだ薪は、静かに小さな炎を上げている。
    カフェは今、炎を眺めながらコーヒーを少しずつ飲んでいる。
    彼女を見ていたら、自然と笑みが浮かんできた。

    「……?……どうかしましたか?トレーナーさん。」
    ─…いや、……君のトレーナーになれたのが嬉しくて、つい。
    「…え?…そう、ですか。ありがとうございます…。」
    ─うん。
    「………私も、あなたがトレーナーになってくれて、……嬉しく思います……。」
    そう言って、可愛らしい控えめな笑顔を返してくれるカフェ。
    色の白い彼女の頬が少し赤くなってる。炎に近いから火照ったのかも知れない。
    なんて思ってると、ドンッ!と背中に衝撃があった。危ない。コーヒーをこぼすところだった。
    「…?大丈夫ですか…?」
    ─大丈夫だよ。ちょっとコーヒー溢しそうになって慌てただけ。
    「…そうですか…。」

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:30:47

    ─カフェ。これからよろしくね。
    「…はい。……こちらこそ、よろしくお願いします。…トレーナーさん。」
    それから二人で笑いあって、静かにコーヒーを飲んだ。
    星の明るい夜だった。

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:31:39

    以上です。
    育成やってて思ったんですがカフェって以外とよく笑いますよね。
    めっちゃ可愛くないですか??

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:32:14

    可愛い
    コーヒーが砂糖になった

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:32:57

    わかるマーン!
    カフェの無表情フェイズも好きだし、トレーナーに見せる笑顔は万病にも効きますよね!!!

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:35:05
  • 13二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:37:24

    砂糖がたっぷり入ったカフェトレごちそうさまです……

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:52:25

    >>10

    >>11

    >>13

    感想ありがとう!

    カフェはブラックかなって思ったら想像よりふわふわしてるところもあるかなり可愛い娘だった

    砂糖は多めがいいよね

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 00:56:32

    これはいいカフェトレ
    何かと見上げる姿勢とってくるの可愛いくてズルいよね...

  • 16二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:03:01

    わかる…
    あの小さな口が控えめにニコッてなるのも背を丸めるのも首を少し傾げるのも可愛い…

  • 17二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:08:09

    とてもいい…。

  • 18珈琲委員21/10/26(火) 01:09:37

    いい…。同じくカフェ実装前にSS書いた身として鼻が高いよ…。

  • 19二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:11:07

    影のある女性が不意に見せるちょっとした笑顔って最高に可愛いよね。特にカフェは全体的に黒っぽくて影が濃いのに更にそこにふふって感じで微笑むのは犯罪だと思う。

  • 20二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:18:46

    >>15

    >>16

    >>17

    >>19

    感想嬉しい

    また書くね

    >>18

    思えばこれはあなたのカフェスレから始まったss

    あのスレに感謝してます…

    あれから時が経ちましたね…

  • 21二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:50:41

    このレスは削除されています

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 01:51:08

    この二人はなんか安心するよね
    こう、湿度とかはないし進展はすごくゆっくりだろうけど基本的に距離が近くて離れないだろうなっていう安心感

  • 23二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 09:21:44

    カフェ普通に霊障ジョーク言うし空間ねじ曲げてまでやりたいことするし、紅茶間違って飲んだら嫌そうな顔するしで結構普通の女の子なんだよな

  • 24二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 11:47:01

    あぁ…いい…

  • 25二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 19:14:15

    まだこのスレ落ちてなくて驚いた
    感想ありがとうございます!
    今日エスプレッソss上げるのでよかったらみてください!

  • 26二次元好きの匿名さん21/10/26(火) 19:20:32

    とても良かった。
    情景の浮かぶカフェトレに引き込まれ、トルココーヒー知識とコーヒーミル(あの形の初めて見た)に知的興味で身を乗り出し、そこに湧き待ち時間のしっとりとしたトークとカフェの耳ピコピコの可愛さがストライクし、読後感爽やかな終わりを迎える…好き。
    最高でした。

  • 27二次元好きの匿名さん21/10/27(水) 01:47:48
  • 28二次元好きの匿名さん21/10/27(水) 02:45:02

    うーん素敵

オススメ

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