メジロパーマー「キング、難しい顔してどうしたの？」【SS】

1二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 11:56:59

「パーマー先輩」
キングが見ていた大型ビジョンには今日行われるレースの出走表が映し出されていた。
東京レース場、ダート、1400m。
出走するウマ娘の中には親友と全く同じ名前の子もいた。
「あのレース、スカイさんとフラワーさんの後輩も出るんです」
ぽつりとキングがつぶやく。
普段の彼女とは違う、不安げな声だった。

「初めてのダート、初めての短距離……路線を変えることへの怖さは私もよく知ってます」

祈るように両手を胸元で組むキング。
「……私も障害レースに出てたから気持ちはわかるよ」
すぐに平地に戻ったけどね、と苦笑しつつ肩をすくめる。
キングはまだ不安そうな顔をしていた。
「キングはあきらめずに挑戦し続けて結果を残した。もしかしたら彼女もこのレースがきっかけでなにか変わるかもしれない」
ぽん、とキングの頭に手を置く。

「私たちにできることは彼女を信じて見守ることだけだよ」

「……そうですね」
「あっ！もちろん怪我しないのが一番だけどね！浅かろうがなんだろうが痛いものは痛いんだから！」
……大真面目に話したつもりだったがキングに笑われてしまった。
ちょうどその時、黄色のメンコをつけた少女がビジョンに映し出された。

メンコには青雲と一輪の花。
そしてデイジーの髪飾りがきらりと光ったように見えた。