【トレ♂ウマSS】ベールをあげて

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:41:39

    震える手を気合いで抑え、指先でそっとベールの裾を掴む。ゆっくりと持ち上げ、頭の上へ被せた。
    彼女が俯いていた顔をあげ、紫色に輝く瞳がこちらに向く。普段の悪戯っ子な笑みはなりを潜め、その口元は緩く穏やかな笑みを浮かべていた。
    普段はしないであろうメイクが施されていて、そのせいが目尻がキラキラと光っている。チークというやつだろうか、頬も桃色に色づいている。
    思わず「綺麗だ」と呟くと、目の前の彼女はにひひ、と笑う。そのあと、綺麗な紫は閉じられ、自分は彼女の身長に合わせるように屈み、ゆっくりと顔を近づけた.....

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:42:09

    >>1

    「ウエディングイベントの被写体モデル?」

    「そうなのだ!それにウインディちゃんが選ばれたのだ!この雑誌に載るらしいのだ!」


    トレーナー室に入ってきて雑誌を自分に渡す彼女の名はシンコウウインディ。自分の担当バだ。

    渡された雑誌の表紙を見ると、そういった雑誌に興味がない自分でも聞いた事がある名前だった。


    「すごいじゃないか。でもまたどうしてウエディングモデルの撮影に抜擢なんてされたんだ?」

    「...背が低いのが条件らしいのだ。ビコーペガサスも選ばれたって言ってたのだ」


    机に顎を乗せ、不満そうに口を尖らせる。なるほど。今回の企画はそういう特集を組むのだろうか。


    「衣装はどんな感じなんだ?エアグルーヴやマヤノトップガンのウエディング勝負服みたいなタイプか?」

    「なんかもっとちゃんとしたやつって言ってたのだ」

    「となると責任重大だな...撮影はいつからだ?とりあえずその日はオフにしておいて、俺が送れる場所なら送っていっても...」

    「何言ってるのだ?トレーナーも参加だぞ?」

    「えっ」

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:42:45

    >>2

    「俺も撮影に参加するなんて聞いてないぞ、ウインディ。しかも新郎役。だいたい、タキシードを着るなんて初めてだし...」

    「言ってないから当然なのだ。イタズラ成功なのだ!」

    「今度からはちゃんと言ってくれよ...この言葉を言うのも何回目だったかな」

    「ウインディちゃんのトレーナーになるとはこういうことなのだ!観念して参加するのだ!」

    「はいはい...とりあえず監督さんの言う通りにしておけばすぐ終わるそうだし...ウインディ、頼むぞ」

    「任せるのだ!ウインディちゃんにかかればすぐなのだ!」


    ...実際、すんなり撮影は進行した。普段はイタズラ好きでヤンチャなウインディがしおらしくなっていて、珍しいものが見れたと内心喜んでいるくらいには。ああしていれば高等部らしく見えるのに。


    「じゃあ最後にトレーナーさんとシンコウウインディさんでベールアップをしてもらいます!スタンバイお願いしまーす!」

    「あ、はい!ウインディ、最後だぞ。行けるか?」

    「へっちゃらなのだ!トレーナーこそ撮り直しなんて勘弁なのだ!」

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:43:15

    >>3

    「今日はありがとうございました!雑誌はまたサンプルをお届けしますね!」


    監督さんが興奮気味にまくし立てる。撮影の時も思ったけど、情熱がすごいなぁ...なんというか、乙名史さんを思い出すような人だ。


    「いえいえ、こちらこそありがとうございました。貴重な体験をさせていただいて...」

    「シンコウウインディさんもとっても可愛かったですよ!ベールアップした後のトレーナーを見つめる横顔なんて...」

    「あーあー聞こえないのだー!ほら行くのだトレーナー!寮の門限が迫ってるのだ!」

    「うわっ!分かった分かったから!ではお世話になりました!」

    「はい!また何かお願いするかもしれません!その時はまたよろしくお願いしますねー!」


    ウインディに手を引っ張られながら監督さんに頭を下げる。その後、半ば無理矢理引きずられるように駅まで引っ張られた。


    「...ねぇ、トレーナー。その、綺麗って、ほんと?」

    駅で電車を待つ間、ウインディがこちらを見上げてくる。

    「...?あぁ、ベールアップの時か。うん、まぁ、そうだな...綺麗だったよ」

    「ふふん、ウインディちゃんの魅力に今更気付いたのだ?」

    「気付いたっていうか、再確認だな」


    本当に綺麗だった。手が震えるくらいには。見栄を張るために震えは気合いで抑えたが、バレていなかったようで胸を撫でおろした。


    「...!それならいいのだ!トレーナーはウインディちゃんにメロメロだからな!」

    「ハハ、そうだな。サンプルが届くのが楽しみだ」

    「むがーっ!なんか全然メロメロそうじゃないのだ!つまらないのだー!」

    「そう言うなよ。こっちも恥ずかしかったんだぞ。フリとはいえ誓いのキスだ。ウインディもそういうのは大事にしたいだろ」

    「...まぁ、いいのだ。サンプル届いたらトレセン学園中にバラまいてトレーナーの恥ずかしいところを...」

    「でもそれウインディも恥ずかしいんじゃないのか?」

    「......今回のイタズラはやめるのだ」

    「そうしてくれると助かるよ」

    正直なところ、あのウインディを横顔の写真だけでも衆目に晒すのは嫌な感じだ。子どもじみた自分の独占欲に辟易しながらホームへ停まった電車に乗り込んだ。

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:44:27
  • 6二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:50:10

    このレスは削除されています

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:51:24
  • 8二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:01:53

    すき

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:09:18

    ウィンディちゃんの可愛さバレてきた?

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:16:43

    甘い……しゅき……いいですわ……

オススメ

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