軽く5行~10行ぐらいで心情、情景、関係、風景、説話等を自分の力で文書にしてみるスレ2

  • 1二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 19:47:55

    注意事項は以下。

    ・テーマに沿って文章を自分で記載する

    ・停滞の対策として、安価30から50台、もしくは5時間空白が続いたら、テーマを切り替えてください。

    ・1次、2次でもOK。

    ・感想あり。批判も有り。書いた人への人格否定に踏み込むのは禁止、該当レスは削除する事。


    前スレ

    軽く5行~10行ぐらいで心情、情景、関係、風景、説話等を自分の力で文書にしてみるスレ注意事項は以下。・テーマに沿って文章を自分で記載する・停滞の対策として、安価30から50台、もしくは5時間空白が続いたら、テーマを切り替えてください。・1次、2次でもOK。・感想あり。批判も有り。書い…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 19:49:40

    昼にも2スレ目も立ってたんだけど落ちちゃいました

    https://bbs.animanch.com/board/18379/?res=4

  • 3二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 19:53:58

    テーマ:「続く」
    続き、継続する、繋げることを題材に

  • 4二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 19:57:11

    書いて投稿しようと思ったら落ちててびっくりしました

    揺れる光は、夕暮れの。懐かしく思うのは、水の中に似ているから。大気の、水の層を長く通って赤と青。消える色は違っても、光が褪せるのは同じ。私は誘われる。部屋を出て、階段を下り、坂を下って浜へ。金に彩られた波。満ちる、引く。シームレスに続く海のダイナミクス。二羽のアゲハチョウがつかず離れず空を舞う。波に洗われた岩には緑藻がみっしりと生え、乾いてふかふか。裸足で歩いても怪我など無い。どんな絨毯にも負けぬ極上の踏み心地。くぼみには潮が溜まり、小さな青い魚が泳ぐ。岩の影には、小指の爪より小さな巻貝を背負ったヤドカリがぎっしり。アワモチそっくりなウミウシの仲間が海藻を食み、絡み合う。差した私の影に逃げるカニ、小さな流れの中腕を振るクモヒトデ、じっと満ち潮を待つウニ。あらゆる生き物が生を、次代を繋ごうと動いている。嬉しくなって少しだけ歌がこぼれた。海がまた戻ってくるまでは、しばらくここにとどまらせてもらいたい。

  • 5二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 19:58:32

    (スレ立てするときは単発ではなく、通常スレの「その他話題」とかにするとちょっと落ちるまでの期間が延びるよ)

  • 6二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:02:44

    >>5

    ありがとうございます

    またこのスレ立てるときはそうしますね

  • 7二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:07:01

    それでは私もこのスレが続くことを祈って一作

    光が差し込む青の中をくじらが泳ぐ音が聞こえた。
    かつては栄えた街並みも水底で忘れられるように眠る。
    街を包んだ喧騒は藻と貝に変わり、今はとめどなく流れゆく冷たい水が旅人として訪れるだけ。
    この冷たい水が浮かび上がって向かう先には大地震と津波から逃れて命を繋いだものたちが作った漁村が生きている。
    かつて共に過ごした日々を彼らは語り継いでくれただろうか。
    変わらず形を保つ石より土に還って次に渡される人間の営みが少しだけ羨ましい。

  • 8二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:15:12

    木や石は人が長年触ることですり減っていく、ということをご存知だろうか
    継続して人々が訪れる場所では、しばしばこのようにしてすり減った木材や石材を見ることができる。
    あなたも木製の手すりなどがすり減り、他の部分よりも明るい色を帯びているのを見たことがあるのではないだろうか。
    私たちは継続、継承というものをあるものが残っていくことによって実感することが多い。
    しかし消失によって実感される継続、継承というものもあるだろう。
    人々が触ったことによってすり減った部位というものは、消失にすることによって人々が訪れ続けたことを実感させてくれる。

  • 9二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:31:56

    「読んでる漫画の新刊出るから」
    二ヶ月に一度程度の頻度で彼と部活のあとに一緒に帰れる。私の家が本屋に近いことに感謝する。……あれ、でもどうせなら彼の家と同じ方向のほうがいいかな。
    でも二ヶ月にたった一度きりだけど色んなことをおしゃべりして、二人だけで並んで歩けるのは嬉しい。ギリギリまで一緒にいるためについでだからと言って私も本屋に入り、店を出るまで付き合っている。
    今回買ったのはコミックスの一巻。兄が買ってきたお下がりで読んでる漫画雑誌の面白い作品をおすすめする。
    本屋に寄る用事が増えたらもっと一緒に帰れないものかと思って考えた姑息な手だ。
    「じゃあ読み終わったらその本貸してよ。家まで取りに行くからさ」「近いんでしょ?」
    胸に思わぬ衝撃。心臓がきゅっとして大きく鳴り出した。
    漫画家さんに心からの感謝とどうか打ち切りにならないでくださいと失礼なお願いをした。

  • 10二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:40:17

    >>4

    綺麗な絵が浮かんでくる

    後半の怒涛の生き物の描写が生命力にあふれた海を感じさせる

  • 11二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:50:24

    ノートの途中からお兄ちゃんの字はぐにゃぐにゃと曲がり、最後は一本の線になってノートを大きくはみ出していた。
    少しねかせてあげよう。お母さんがそう言っていたから、ぼくも静かにしている。お姉ちゃんはじごーじとくだ、と怒っていたけれど、お兄ちゃんを起こしたりはしなかった。
    もうすぐ秋が来る。お兄ちゃんの大変な一日はもうちょっと続く。

  • 12二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 20:52:03

    埃の被った旧い倉庫の中にあった、どこかのお爺さんを思わせる堂々とした厳格そうな棚。
    その中には、かわいらしい茶碗がふたつほど収まっていた。
    何となしにそれらを眺めてみると、ひとつには蒼い風信子が、その隣には紅い山茶花が描かれている。
    目を引くような素晴らしいものでもなく、有名な何処かの誰かさんが作ったものでもない。
    いかつい棚の中に収められた、色褪せた二つの食器。ちょこんと世の片隅に残り続けている想い出の欠片。
    私はその棚の扉を閉じる。少し軋んだ音を立てながら、その棚は再び閉じた。
    このまま閉じ続ければ、彼と彼女は永遠に残るのかもしれない、なんてぼんやりと思いつつ。
    倉庫を出ると眩い陽光と、蒼い空。
    思いきり、息を吸う。
    私はまだ、棚の中に納まってはいられない。心臓は動き、時間は進み、掌にはきちんと感覚がある。
    旅をしたい場所も、たべたいものも、うんとあるのだ。
    棚の中の穏やかな幸せは胸の淵に留め続けて、今はとりあえず好きな所へ進んでみよう、と思う。

  • 13二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 21:23:24

    >>11

    仲のいい家族の夏の終わりの風景。かわいいですね

  • 14二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 22:23:41

    >>8

    消失しながらも継承されるものって概念がいいしそこにわざわざ目をつけたってところも好き

  • 15二次元好きの匿名さん21/08/26(木) 22:55:44

    >>9

    青春っぽくてかわいいですね

  • 16二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 00:58:18

    継続は力なり。
    努力は裏切らない。
    頑張れば報われる。
    そんな言葉を言い聞かせて荒い呼吸をしながら走る。一人で続けるのはつらいけど二年生になる頃にはレギュラー入りしてみせる。今日もよくやったな俺。
    そんな頑張る自分の姿を布団のぬくもりの中でみた。目覚まし時計は起きようとして自分で止めた。そこから立ち上がれなかったのが自主練三日目の敗因。

  • 17二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 04:06:56

    駅のホームに立った時、何気なく線路を見つめてしまうことがある。
    いつもはただ見つめるだけで終わりだ。列車を待つ間、少し手持無沙汰だから眺めるに過ぎない。
    しかし、知らない土地のひなびた駅で列車を待つようなときには違う心境になる。
    いつもの待ち時間よりもはるかに長い待ち時間、その間に視線は自然と線路の延長線上に向かう。
    線路はただただ続いていきやがてその先は見えなくなる。行き先を失った後、線路をなぞる視線はやがて目の前の線路に戻ってくる。
    このひなびた場所は、私の知っている世界と連続的につながっている。
    目の前の断片的な線路はそんな感覚を私に与えてくれるのだ。

  • 18二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 11:24:59

    五時間開いたね
    次のお題はどうしようか

  • 19二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 13:24:18

    テーマ「夏」でどうでしょう?

  • 20二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 13:53:02

    晩夏

    日の出に変わりなく、日の入りは早まり。風が戻り、蜻蛉が舞い出した。
    向日葵は下を向き、秋桜は上に伸び。蝉は道端に転がり、鳴き虫たちがその上を飛び越える。
    燕は飛び立ち、雀は肥え太り。蝙蝠は飛び回り、蜥蜴は陰に潜む。

    日の出の度に夏は過ぎ、日の入りと共に秋がくる。

    変わらぬ変化はまだ有りて、私は今日も家籠る。扉の先には歩めずに、窓の外のみを知るばかり。私を変えるは私のみ、私を生かすは親故に。
    何も変わらず、変えられず、私は今日もここにくる。

  • 21二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 14:52:34

    脈が運んでくる水が染みわたった花びらはピンと外に突き出ている。
    明るい黄色は中心に近づくにつれて暑がっているように赤みが強くなってオレンジになる。
    焦茶色の管が集まった部分は思ったよりも固くて真ん中の蜜に濡れた短いところに気づいたときは赤ちゃんの髪の生え始めた頭を思い出した。
    太陽の光を反射する夏の青々とした葉と白く光るホースの水とひだまりの土をぎゅっと合わせて一つにしたらこの花になるのかな。
    夏が終われば無惨に頭を下げて死んだように枯れる彼らを今年も見る。
    死んだように見えて一月かけてじっくり種を作るらしい。それは未来のために一番必要なことで避けられない時間なんだろう。
    夏休みだっていうのに何で学校に来なきゃいけないんだかね。
    まだまだ遊び足りないし勉強もしたくない。ずっと夏休みでいいのにな。
    いつもは時間をかけて登る坂道を帰りに自転車でシャーッと駆け降りるのだけは気持ちいい。帰ったらアイスが待ってる。
    学校が休みじゃないと使えない駐輪場に止めてあったあつあつの銀の自転車で涼しい風の中に飛び込んだ。

  • 22二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 16:02:17

    おちる、おちる。劈くような雷鳴が。時刻は真夜中を回ったところ。外は真っ暗であるべきはず。しかし二秒に一回程度、規則的に空全体が明るくなる。灯台とまがうそれは、空一面を照らす紫電。雲を発光体に見せるほどの莫大な光子。どれほどの熱量がプラズマと、反物質とに変わり雲中に蓄えられているのだろう。
    前線と、山に当たる熱い海風とが織り成す雷嵐。雲の上にはきっと澄んで瞬く星があるだろうに、車軸を通り越してカーテンのような雨の下では忘れそうになる。今年の夏はこうして始まった。

  • 23二次元好きの匿名さん21/08/27(金) 20:14:11

    食べる、食べる、食べる。
    黙々と、もくもくと。
    伸びる、広がる、大きくなる。
    それ以上は食べないで、と誰かが言う。
    それ以上大きくなると体を崩すよ、と誰かが言う。
    いいもん。知らないもん。食べ物が勝手に口に入ってくるんだもん。
    食べる、食べる、食べる。
    黙々と、もくもくと。
    もくもくと、育つ私は積乱雲。

    駄文失礼いたしました。

  • 24二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 00:51:50

    赤くてとってもすっぱそうな実が透明な布団と一緒に大きな氷の塊の上に寝かされている。
    わりばしをつかまれて持ち上げられるそれは重そうに離れ、断崖から急流だけを剥がしとったような形で太い糸を引いた。
    力を込めて指でついても弾かれそうな逆立てられた透き通る輝きはヘラによって意外に軽快な調子でくるくると赤い果実を巻いてモナカのお皿に鎮座した。
    夏の真っ赤な夕焼けを清い水の流れで包んだようなあんず飴のできあがり。
    さっそく口の中に入れて冷やされてかたくなった水飴をぐにっと歯で潰した。再び歯を持ち上げようとするとくっついて邪魔をしてくる。
    この氷で冷やさなきゃ味わえないねちねちが美味しいんだ。
    カリッと音を立てれば甘ったるくなった口を少し乱暴にすっぱさに変えるあんずはついでとばかりに舌を赤く染めていく。
    「うちゅーじーん!」
    青と緑のかき氷をそれぞれ持った兄弟が舌を出し合いながら通り過ぎた。
    まあ赤なら人間だろう。

  • 25二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 09:26:03

    テーマ変更「始業式」

  • 26二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 09:46:21

    最後の投稿から五時間開いたので変えました。振った私から始めようと思う。

    始業式なんて嫌いだ。課題が終わるまで学校に通ってはいけない、なんて校則があればいいのに。

    先生は言う。
    勉強する習慣を忘れないようにするためだ。
    私は答えた。
    それならこなせなかった私は罰則を受けるべきなのだ。それが学校のルールなのだから。
    先生はこう返した。
    できるまで帰さないのが罰則だ、休暇中の課題と平常の課題、同時に行うことが罰則なのだ。

    ふざけるな!!
    だいたい宿題の難度が高すぎて解いた範囲の内容すら理解してないんだ!
    うんざりだ!!
    出来もしない課題を眺めるだけで一日が潰れる休みなんて!

    そうだ、埋めるだけでいいなら写すだけで十分じゃないか!!
    そんなのおかしいから私はずっと一人でやったのだ!
    なぜなら間に合わせる事を優先するならば、それは習慣には繋がるまい!

    こうして七度目の始業式を迎えても、私は何も理解しないまま、納得しない罰則を受けることになった。

    全く愚かだった、この頃から、私は。

  • 27二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 12:44:05

    まだ暑い太陽の光に照らされながら学校に行く。憂鬱だ。来たくはなかった。
    ひんやりしてる昇降口は下駄箱のすのこがほこりっぽい。
    教室に入って久しぶりに自分の席に座る。夏休み中は遅く起きてばっかりだったのでまだ
    眠い。
    クラスメイトたちの騒ぎ声を遮断するように机に突っ伏した。どうしてあんなに楽しそうなんだかね。
    この後は体育館で集会のあと、HRと宿題提出。それが終わる頃にはサイレンがなって避難訓練が始まる。
    せっかく綺麗に洗った上履きのまま校庭に出て校長先生の話を聞いた後は上履きを雑巾で拭ってから大掃除。
    どれもどうでもいいことだ。クラスメイトから見たこの教室にいる私の存在くらい。
    はやく家に帰りたい。

  • 28二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 16:56:24

    >>27

    モラトリアム感がでててグッド👍

  • 29二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 19:29:41

    始業式の日には一番をとる、自分の変わった姿を全員に見せびらかしたいから。
    黒い肌を見てびっくりするかな、声が変わってびっくりするかな、久しぶりの友達はどんなに変わってびっくりできるかな。

    学校はそんなに変わってない、プールの水が抜かれてるだけで変わってない。校庭の向日葵は萎れてた、校舎の燕はもういない。一番に知ったのに楽しくない、変わっているのに楽しくない。

    どうやらびっくりするのはそんなに楽しくないな。

  • 30二次元好きの匿名さん21/08/28(土) 23:39:26

    長期休暇中は静まり返っていた校舎に人の気配が戻った。
    何年前の夏だったかは覚えてないが、ショッピングモールや動物園で人混みの喧騒を味わっていたけど学校というのは独立の騒がしさがあるねと校長先生が言っていた。
    私はショッピングモールにも動物園にも行ったことはないけど、この声を聞けないならきっと楽しいところじゃないのだろう。
    秋が始まっているのに夏のように命のあふれる話し声に満ちている教室を校舎の外から見る。
    久しぶりに会って嬉しそうに話しているのは休み中の思い出か、これからの予定か。
    先生が教室に入ると大人しく席に戻っていく。
    あ、一人の生徒が先生に怒られた。
    元気で登校してきてくれるだけで十分じゃない。あなたが親に書き取りの宿題を手伝ってもらったのがバレて校長先生にこっぴどく怒られたこと知ってるんだから。
    夏の間に鮮やかなピンク色の花を咲かせたのに見てくれる人がほとんどいなかったから今日の百日紅は学校が始まってすこぶる機嫌がよかった。

  • 31二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 10:34:23

    5時間たったので、次は「言葉」でどうでしょうか。

  • 32二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 11:08:44

    旅の途中、緩やかな時間が流れる喫茶店にて、或る言葉に出会った。
    知らぬ国の、知らぬ意味の言葉。だが喧騒の中に紛れた風鈴のような響きをして、若く白い女性から発せられたものだ。
    通りがかったその人に、どう言う意味だろうか、と聞くと、彼女は朗読するように言った。
    「はるか遠く、忘れ去られてしまった場所の、ささやかな挨拶みたいなものだけれど」
    「何故その音が、言葉だとおもったの?」
    その声に耳を澄ませて何故か。と思い、戸惑いと共にまばたきをすると、幻想のように彼女は消えていた。

    問いかけに未だ答えが出ない。ひょっとすると女性から発せられたのは気のせいで、風の複雑な動きや、人の喧騒が反響しあったその響きが不思議な音を作り出したかもしれない。
    私は思う、音と言葉の違いとは何か。
    脳髄から信号として渡り、肺の空気が喉奥を通り、口蓋に響き、歯と唇に触れて空間に響く音の塊が、他の人の耳に入り生成されるもの、と言う点ではやはり音とことばは同じものだ。
    私は状況を心のなかで再現する。あの喫茶店の空気、視界の淵に入った淡い金色の髪と紅い瞳、様々な服や人種に紛れながらも、淡く漂うような佇まいと、寂しげな微笑み。
    ああ、そうか。
    先に言葉があったわけではなく、そこにあの人と心に惹かれたから、私はそれをことばだと感じたのだ。

  • 33二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 16:34:52

    届かなかったな。
    最初はなるべくしてそれが手元に落ちてきたと認識した。
    随分前から諦観と戦っていて、せめて最後に自分で未来を絶とうと胸に咲いた桃色の花の首を落としに来た。
    返ってきた言葉を自分のものにしようとすれば目に熱が込み上げた。私は誰も悼むことのない葬いに来た。雫をつくるな。
    体が引き裂かれそうなほどにくるおしい恋に幾度の夜、血を流しただろうか。
    胸が締めつけられるように苦しくて喉が痛くて声も出ない。
    大切に育ててきたのに伝わらなかった思いが、積み重ねた時間がひどく悔しく、虚しい。
    あの人の世界に必要とされなかったのが悲しく断ち切れなかった自分が情けなく世界の全てから拒絶されて自分が誰よりも劣る人間ってになった気がした。
    長年温め続けたこの花を千切ろうとすれば一緒に剥がれてしまいそうなこの心はどこへやればいいんだろう。
    あなたは今日この町を出る。

  • 34二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 20:48:17

    「言の葉さらさら、のきばに揺れる~」
    「ねえ、それ笹の葉だよ?」
    「そうだった。つい言いやすいからこっちに」
    「君って記憶力高いのにときどきものすごく馬鹿だよね」
    「バカじゃないし。むしろ最初に覚えたのを忘れられないからこうなる」
    「そういうもんなの?」
    「そういうもんなの」
    世界に無限に意味がついて見えると言った。見出したもの、誰かから聞いたもの。名前と姿が一致したもの全てにいつかどこかの記憶が積み重なる一方なのだと。短冊に願いを書いて笹に下げるのではなく、ウチでは織女に祈るのだと言った君。今もまだ祈っているのだろうか。世界はこんなにも変わってしまったのにーー君が変えてしまったのに。

  • 35二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 23:25:34

    とてもかわいそうには思えない子だな。
    愛おしいという言葉の語源は『厭う』でかわいそうだと思うことが転じてかわいくて大切にしたいと思うことになったかららしい。
    ま、少しの間でもじっとしていられない騒がしい子供だけど寝顔だけはかわいい。
    でも毎日毎日へとへとにさせてくれるこの子も、すぐに大きくなってこうして私をうんざりさせることもなくなってしまうと思えば、この時間もとても惜しいものだなと思った。
    帰ってくるなり取り込んだ布団にお日様の匂いだと叫んで飛び込んだ我が子の隣で洗濯物を畳んだ。
    ズボンの泥汚れはきれいに落ちている。

  • 36二次元好きの匿名さん21/08/29(日) 23:34:47

    >>34

    恋愛ものか。悪くない

  • 37二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 00:27:52

    瞼を閉じて、背筋を伸ばして唇を開き、息を吸う。
    冬の冷気が舌を滑り、熱い喉奥から肺へ溶けてゆき、それが血液と共に指先から頭まで巡りゆく。
    その身体の感覚、心臓の鼓動を保ちながら。心を出来るだけ平静に、ただ見据える。

    目の前には、暗闇がある。

    何もないのではない、そこに暗闇が在るのだ。
    在るなら、それは斬り開ける筈のものだ。
    一歩、大地(つち)を踏みしめ、指先を柄に乗せ、握りしめ。
    足底の感触から、広がる草原を想像し、草原から町並みへ、森へ、あの霊峰のその先へ、はるか先、まだ見ぬ地平線の彼方を心に抱え、この小さな空間にある闇を捉える。
    二歩、心は広く、何処までも想像できる。言葉はその内の小さな点に過ぎない。
    三歩、私の心、言葉に捉えた闇をするりと撫でるように。
    斬る。
    目の前の暗闇が刃の先に触れ、布を裂くような感覚と共に銀閃を振り切ると。
    風に揺れる草原と花の香りに吹かれ、暗闇が夢の帳のように消えてゆく。
    そうして、その更に奥から酷く重い、何かが崩れる音がした。
    目を凝らすと、住みなれた我が家が、闇と言う雑な把握と共に、斜めに割れた。

  • 38二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 01:14:22

    推敲した後に投稿するんだけど後で誤字脱字に気づくし後からここはこうした方がいいなっていうの思いつく

  • 39二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 01:18:46

    自分もそんなんばっかりだし、何ならずっと面白く思われてるのかな、これって思い続けてる。
    いつかは投稿サイトとかにも出したいけれど、まあ自信が無いな……。

  • 40二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 02:12:18

    もうとっくに5時間経っていますし、
    お題を「花」に変えようと思います

  • 41二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 02:37:38

    高嶺の花に憧れるなんて馬鹿げている。

    きっと、高嶺の花はひとりぼっちだ。
    きっと、枯れればなにものこらない。
    きっと、手を伸ばした所で届かない。
    一輪の花は、花のあるところで目立つことはない。
    周りがいかに荒れていようとも、なおも気高く屹立するその様に美しさがあるのだろうよ。
    でなければ、そうでなければ、そう考えてやらねば······。

    彼女の背負う孤独は、あまりにも重すぎる。
    だからこそ、僕は思うのだ。
    孤独で気高い高嶺の花に、恐れ多くも憧れることの出来る精神性なんて、馬鹿げていると。

  • 42二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 05:50:19

    このレスは削除されています

  • 43二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 05:50:53

    >>42

    途中で誤送信してしまいました

    失礼いたしました

  • 44二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 12:04:43

    夏の眩むような陽の熱さ、土に溜まった熱が蜃気楼のように揺れて森の翠へ融けてゆく。
    風も無く溜まる汗と、濃い緑が花と土の匂いに混ざる中。
    辿りついた朽ちた館の横には、白木の柵で囲われた植物園がある。
    ところどころ、虫や風に喰われてささくれた柵を見ながら、鉄錆びた門の鍵を取り出し、開錠する。
    麦わら帽子を被ってもなお、くらりとするような暑さの中、両脇に咲いた牡丹が珍しい客人を労うように花壇から身を乗り出してその薄紅く透けた色合いをこちらに向けている。こんにちわ、と声をかけると錯覚か、頷くように花弁を揺らす。
    亡くした筈の想い出が蘇る。私が死んだら、代わりだと思ってこの花を育てて頂戴。と彼女は微笑んだものだ。
    だが、そう言われても花の育て方など解らない。月に一度、様子を見に行き彼女に会いに行くのが関の山。
    最近はそれすらできなくなった時の流れを想い。「もう、六十年にもなるか……」と果てしない蒼空を見上げる。
    記憶も視界も朦朧とし、不治の病として宣告された我が身がふらふらと、帰る場所もなく辿りついたのがここだった。
    彼女の声が聞こえる。
    妄想でも構わない、もう社会では消えていくのみ。遺書も用意し、遺産も分担した。
    先立たれた妻は、ここにいる。妻が身に着けていた花の香りもする。風もなく揺れる花びらたちは様々な表情で迎えてくれる。
    一歩、夕餉の香りを思い出し。一歩、式をあげた表情と潤んだ瞳は牡丹のようだった。一歩、最初に出会ったあの姿を思い出す。
    随分とお年を召されましたね。と、目の前の彼女は言った。
    ああ。
    夏の揺らめき、濃い緑の香り、痩せて細った身と朦朧とした意識では、良い言葉も浮かばない。
    長く、待たせてしまった。すまない。
    意識が落ちる。身体の感覚も無い。ただ、柔らかく包み込む花から、彼女の香りがした。

  • 45二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 12:25:30

    >>41

    頑張ってBLEACHを越えよう!!

  • 46二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 16:58:36

    赤、青、黄色、白、紫、ピンク。
    色とりどりの花びらが舞う。
    吹雪のようにひらひらと落ちるもの、ぶわりと吹雪のように目の前いっぱいに広がるもの、風にあおられて空へ上がっていくもの。
    透き通った青い空から白い太陽の光が降り注ぎ、純白のドレスのフリルは花嫁のゆったりとした歩みから少し遅れて揺れては光を反射してテラテラと輝いた。
    ヴェールに青い花びらが、スカートにオレンジの花びらが、白いタキシードの肩に赤い花びらが乗った。
    優雅な白い長手袋が持つのは白い薔薇がたくさんに、カスミソウ、名前の知らない花の外側にいくにつれて白くなっていく薄い水色の星形の花、それにコインのような小さく丸い葉っぱがたがいちがいについた緑色のツタでできたブーケ。
    おとぎ話の庭園を閉じ込めたような花束はブランコが落ちるような速度で弧を描いて沈み、意外なほどに力強く放り上げられた。
    あっという間に頂点に達して降ってくる魔除けの花はワインレッドのドレスを来た女性に幸せを抱きしめるように受け止められた。

  • 47二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 19:14:05

    今日は朝から何度も玄関と君のベッドを往復している。
    部屋の扉を開ける度に君は困ったように笑って、私はその度に胸を痛めてこの自己満足に後悔した。
    自分の沈んだ気分を誤魔化すようにこれでもかと発注した、部屋を埋めつくす花。
    来年は本当の花畑を見に行こう。
    部屋が本当に少しの足の踏み場もなくなったときにインターホンが鳴る。
    どうやらまた届いたようだ。
    君は堰を切ったように笑い出した。
    潤んだ目が細められて、ひきつった口元から震えた吐息が途切れ途切れに聞こえる。
    植物の青い香り、甘い香り、爽やかな香り。
    花の香りで満たされた部屋に最後の花を届けに戻るとまだ笑いの止まらない君がいて――。
    涙の滲んだ私の頭に花の冠がそっと乗せられた。

  • 48二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 22:46:08

    >>44

    寂しいけどあたたかさも感じる話ですね

  • 49二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 00:41:08

    抱えられた白い包みが開かれる。中にはどこまでも青い、青い花弁をつけた花の鉢植え。さっき話題に出た笹の花とはまるっきり違う、惹きつけるための花。透き通るような花びらと黄色の蘂との対比がまぶしい。
    「メコノプシス。育ててみたかったから貰ってよ。冷却と紫外線ランプが要って難成長だったけど」
    「あ、ありがとう?」
    「所以(それで)今年の誕生日プレゼントが適当だったのはゆるして」
    「それを今いうかなぁ!?」
    あれちょっと本気で頭きたんだけど、と文句を言うともう一度謝られた。普段殆どポーズだけで悪びれないのに珍しく本気か? 今は怒ってないよ、と言うと表情が緩む。ちょろい。

  • 50二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 09:25:58

    最後の書き込みから五時間空いたね
    次のテーマの時間かな

  • 51二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 09:38:24

    次テーマ迷う
    今まで出たのは
    夕方~夜

    朝の始まり
    お菓子
    真夜中、丑三つ時、深い闇


    意地悪、いたずら
    続く

    始業式
    言葉

  • 52二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 09:38:41


    とかどうでしょう

  • 53二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 12:14:34

    テーマ「風」
    父の火葬が終わった。遺骨は本人の希望で散骨にするそうだ。小さいころに家族でよく遊びにきていた砂浜で、海へ向かって白い砂のようになった遺骨を振りまく。パッと冷たい風が吹き、父の欠片をさらっていった。どうやら、夏の終わりも近いらしい。

  • 54二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:21:57

    風が吹いている。秒速数百メートルの風が。
    轟々と止まることなく吹き続ける風を眺めながら、久しぶりに目を覚ました私はなんとなく博士の話を思い出す。
    「いい風だな。まるで笑っているみたいだ」
    『風に人格は存在しません。笑っている、とはどういうことでしょうか?』
    「全く。浪漫がわからんヤツだな、お前は」
    博士は苦笑しながら私が入った端末を空にかした。
    「ほら、せっかくだから録音でもしておけ。まあ、いつかお前にもわかる日が来るさ」
    博士との対話を再生しながらはて、どうして急にこの記録を再生したくなったのだろうかと自身を省みる。
    『・・・そういえば今日が博士達が旅立って十万日目でしたね。これが記念日というものでしょうか』
    私は録音した風の音を再生する。
    「こんなことになってしまってすまない。だが私達は必ず戻ってくる。だからどうかお前もその日まで生きてくれ」
    博士が笑っていると言った風の音を聞く。
    「最後にこれだけは言っておこう。私は君の事を愛している。だから、どうか元気で」
    私は風の音を再生するのを止める。
    今も止まらずにごうごうと吹き続ける風の音を聞く。
    『・・・博士。今の私には、この風は泣いているように感じます』
    次はいつ目覚めるのだろうかと思いながら私は目を閉じた。

  • 55二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 21:24:12

    ほしゆ

  • 56二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 23:23:50

    遥か彼方へ行きたいけれど、私は駄目。少しここに長くいすぎたかな。
    そんなことはない。あなたには立派な足と翼がついている。
    血が巡り、意のままに動き、疲れた時には座る事も立つことも出来る。全く、羨ましい事だ。

    語り終えた道標は炭酸で割った、透明なお酒を飲みながら笑い。その上昇気流みたいなご機嫌さと冷たさを胸に想う。
    私はここから離れても、何もない。蒼い空から波打つ水面に堕ちて、昏い海の底へ沈んでいく。
    想起するのは傷がついた潜水艦。周囲の海水を取り込み、軋む悲鳴をあげながら眠りにつく。
    違うね、と道標は言う。先を眺め、そこに空と海と底がある事を知る君は、既に先を見て、進んでいる。
    何をも思わぬ者は、そこに空がある事さえ、想像できない。さあ、行け。ここから先は私も知らない場所なのだから。

    鳥である彼女は白翼を広げ、少し名残推しそうに振り向いた後、西風に乗り、太陽を背に向けて海原を渡ってゆく。
    彼は空っぽになったコップを空に掲げて、風が永遠に吹くことを想ってから、そんな己に苦笑した。

  • 57二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 23:41:25

    焦ってスポーツドリンクをコップに一杯注ぐと一気にごくごくと飲み干す。クーラーの風が熱くなった体を冷やしていく。
    今の設定温度は下げて23度、風量は最大に。
    涼しさを感じてきた。首の後ろがアイスノンで冷やされると、ふっと斜め上から後ろに引っ張られていくようだった意識が冷やされてぼうっとしてくる。
    熱中症か貧血か、昨日は夜が遅かったから寝不足によるただの体調不良か。
    布団に横になれば少し気分が落ち着いてきた。
    このまま不安な感覚を味わい続けるのはいやだからこの風に吹かれながら寝てしまおう。
    目が覚めたら寒くなってるかもしれない。でも今はこの涼しい風をもっと浴びたい。
    肌をすべっていくひやりとした風はチクチクとした痛みと一緒に出てくる嫌な汗を拭き取ってくれるようだった。
    お腹にだけタオルケットをかけると目を閉じて肌を通り過ぎていく空気を感じた。風が強いと目も乾くんだな。
    すぐに眠れるようにゆっくりと息を吐き出して、呼吸の数を減らした。

  • 58二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 01:07:07

    そろそろお題変えようか
    「秘密、隠し事」

  • 59二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 06:02:22

    ヤマサクラ、カイドウ、ユキヤナギ。遅いウメに早いモモ。バラ科の木の花びら、散りたてのものをいっぱいに集める。ためてばらまき、風に乗せて飛ばす。
    「わはー、きれい。ね、こうすれば風だって見えるでしょ」
    見えないものをどうやって調べるのか、という疑問に、返ってきた答えの一つがこれだった。風が見えなければ花びらを散らす、熱が見えなければ温度計で測る。磁力には砂鉄、電流には豆電球。たとえ隠されていることであっても、世界の秘密を明かす手段はいくらでもあるのだと。君は言う。ものが動くなら、必ずそれはいつか万人が見てわかるようになる。他人には見えないものが見えてしまうという自分の秘密を、見えない側の君が信じて。君が振り返った先にまた風が吹いた。

  • 60二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 06:11:19

    私の人生はいつも隠し事に包まれていた。
    木々の中に隠すように、夜のとばりに包むように、そして自分自身の足跡さえも隠していた。
    見つかってはならぬ。気取られてはならぬ。そして、逃してはならぬ。
    今宵もまたひとつ、私の元へと新たな獲物が提示された。
    さあ、狩りの時間だ。

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