[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その6

  • 1123/08/11(金) 21:54:56

    こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその5です
    6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています。現在逃避行編は終了し、監禁編を連載しています

    以下注意事項です
    ・4号×スレッタ
    ・独自設定、捏造過多※1
    ・犯罪行為、残酷な描写あり
    ・元スレに書かれたセリフの使用※2

    ※1)このSSの設定はアニメ本編のものとはだいぶ剥離しているものが多いです。独自設定ばかりですので、どうしても気になる方はブラウザバックしてください
    ※2)元スレに書かれたセリフの使用は、意図せず思わぬ使い方をしている可能性があります。その際はお申し出くだされば、出来る限り修正をかけます

  • 2123/08/11(金) 21:55:11

    参考にした元スレはこちら↓

    [閲注]ごめんねスレッタ・マーキュリー|あにまん掲示板でも逃げようとしても無駄だよ。拘束は絶対に外さない。2人でペイルやシン・セー、ガンダムから逃げよう。僕のことを嫌ってもかまわない。僕はただ、君を二度とあんな目に合わせたくない。(ここで逃げれば(株)G…bbs.animanch.com

    元スレを参考にスレ主が書いたSSスレその1はこちら↓

    [閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSを掲載するスレです6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています参考にした元ス…bbs.animanch.com

    その2はこちら↓

    [閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その2|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSを掲載するスレのその2です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています。現在…bbs.animanch.com

    その3はこちら↓

    [閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その3|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその3です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっ…bbs.animanch.com

    その4はこちら↓

    [閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その4|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその4です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっ…bbs.animanch.com

    その5はこちら↓

    [閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その5|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその5です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーにな…bbs.animanch.com
  • 3123/08/11(金) 21:55:48
  • 4123/08/11(金) 21:56:11

    スレにて頂いた素敵な絵です。今回のスレ画像にも使わせてもらっています

    便宜上スレ主が勝手に題名らしきものを付けています


    プラムと2人(今回はこちらの絵を使わせて頂きました※2回目)

    プラムと2人(髪染めバージョン)

    お出かけ前の2人

    夜市へ行く2人

  • 5123/08/11(金) 21:56:54

    【ごめんねスレッタ・マーキュリー本編SS保管庫】

    基本的に閲覧注意作品となります

    現在0話~25-①話まで掲載しています

    SSをお読みになりたい場合は↓をクリックして移動先のページの各タイトル名を更にクリックして下さい

    ごめんねスレッタ・マーキュリー本編SS保管庫※こちらは「ごめんねスレッタ・マーキュリー」シリーズのSS保管庫です

     お読みになりたいSSのタイトルをクリックすると各ページへと移動します


    『ごめんねスレッタ・マーキュリー』


    【フロント脱出編】


    0 プロローグ


    1 怪物が生まれた日


    2 怪物との契約


    3 友との語らい


    4 夜空の先へ


    5-① 回る毒 前編


    5-② 回る毒 中編


    5-③ 回る毒 後編


    6-① 黒風白雨の小休止 前編


    6-② 黒風白雨の小休止 後編


    7-① 怪物の献身 前編


    7-② 怪物の献身 後編


    8 硬実種子と二者択一


    9 友との別れと祈りの言葉


    10-① きみが呼ぶ名前 前編


    10-② きみが呼ぶ名前 後編


    11 僕の大事なスレッタ


    12 エピローグ、あるいは…


    13 プロローグ、あるいは…


    【地球降下編】


    14 地球に落ちた種


    15 静かな夜


    16 記憶にない故郷


    17 長い休息の始まり



    【監禁?編】


    18 ままごとのような生活


    19-① 硬実種子の迷い 前編


    19-② 硬実種子の迷い 後編


    20-① 美しい男 前編


    20-② 美しい男 後編


    21 平穏な朝の終わり

    telegra.ph


    なお本編終了後の2人を書いた番外編、『こぼれ話』シリーズは本編が終わった後にこちらのスレに載せる予定となっています

    『こぼれ話』はフロント脱出編までの本編と共に、『書き逃げSS』様のスレに掲載されています


    それと物語の合間のエピソードを書いた『端切れ話』シリーズですが、こちらはまだきちんと纏めてはいない為、お手数ですがお読みになりたい場合はスレ2の後半から最新スレまでの各レスを見て頂くようお願いします

  • 6123/08/11(金) 21:58:12

    という訳で新たなスレを立ててしまいました
    亀の歩みのSSスレですが今後ともよろしくお願いします

    それとこれから前のスレにこちらのスレを載せてきますので、そうしたらリクエスト募集開始となります(フライングは含みません)
    もしリクエストなく埋まってしまった場合でも、新たなリクエスト募集はしませんのでご了承くださいませ

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 22:08:03

    新スレありがとうございます!今一番楽しんでいる水星コンテンツです!

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 22:10:38

    スレ立て乙です!

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/11(金) 22:25:48

    たておつです!

  • 10123/08/11(金) 22:34:37

    ありがとうございます。新スレものんびり頑張っていきます


    >>7

    数ある水星コンテンツの中からあえてこのスレを…!

    これは非常に光栄なことですよいいんですかねそんな嬉しいお言葉を頂いていやありがとうございます!

    この喜びを糧にSSを少しでもお届けできるよう頑張ります!


    ちなみにスレ主も今とても気に入っているスレがありまして…

    オジェロと友達になった4号がとある場所に遊びにいくスレなのですが

    最近は他のガンダム作品からも続々と4号の友達が増えてきまして、よかったなぁ4号…と謎の感動を覚えながら見ていたりします


    >>8

    >>9

    労わりのお言葉ありがとうございます

    まさかこんなに続くとは…と思ってますが、実は本編SSはまだまだ続くので、恐らくスレも増えていくかと思います




    ↓ここから先はご報告です

    前のスレにて行っていたリクエスト受付が終了しました


    『ホラー映画を見る4スレ』

    『相手の髪の毛を結う』

    『書店に行ってスレッタに本を選ぶ4号』


    以上の三点です

    ではこれからもよろしくお願いいたします

  • 11二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 05:39:39

    保守
    スレたて乙!

  • 12123/08/12(土) 08:08:01

    >>11

    保守ありがとうございます

    せっかく保守して頂いたので朝は書き込みしなくて大丈夫かと思ってたんですが、1レス目にて間違っている箇所を発見したので訂正しておきます


    1レス目の一行目なのですが、スレの数字が『5』のままになっていました。タイトルなどはちゃんと数字が『6』になっているのですが、直し忘れていたようです

    迂闊なスレ主ですいません

    やり直すのも何なので、この間違いは見なかった事にしてスルーしておいてください



    ではまた午後に

    リクエストSSを載せに来ようと思います

  • 13123/08/12(土) 14:13:37

    端切れ話。地球降下編(きゅーとアンドじぇらしー)

     初めての内海を見てからしばらくして、エランとスレッタはゆっくりと南方面へ向かっていた。
     この辺りから路線は途切れ始め、所々徒歩やバスを使いながらも移動していくことになる。外の様子もずいぶんと変わり、線路沿いでもあまり大きな町にはたどり着かなくなっていた。いわゆる田舎の風景というものが多くなっている。
     少しばかり不便にはなったが、その代わり治安は少しずつ良くなっているようだ。時折危険な話も耳にしたが、用心深く過ごせば何とか回避することができた。
     その日もエラン達は徒歩で移動していた。線路が途切れた場所から途中までバスで移動していたが、あまり本数が出ていなかった。目的の場所までは半日ほど待たなければならないと分かった時、スレッタが選択したのは徒歩での移動だった。
     確かに2、3時間ほど歩けばたどり着く距離ではあった。けれどスレッタの体力を心配して難色を示すエランに、彼女は言った。
     何となくですけど、歩きたい気分なんです…と。
     こう言った物言いの時、スレッタは何気に頑固になる。彼女の何がそうさせるのか、普段はこちらが心配になるほど聞き分けがいいのに、たまにどうしても折れない時があるのだ。
     エランはスレッタのきらきらとした目を見ながら、今回も引かないだろうと確信した。何かの予感か、好奇心か、あるいはそれが混ざったものか、彼女の大きな瞳は地球そのもののように輝いていた。

     そんな経緯を持って少々くたびれた道を歩いていたが、小規模な森に近づいた時にそれは聞こえてきた。
     キュン、キュン、キゥォーン…
     高くて細いそれは、何かの鳴き声のようだった。
     スレッタはピクンと反応すると、きょろきょろと辺りを見渡した。
    「エランさん、これって何の鳴き声ですか?」
    「…少なくとも大型動物ではないね。恐らくイヌ科の幼獣じゃないかな」
     この辺りには狼も生息している。ちょうど春から夏にかけては子供が多く生まれる時期なので、子狼という可能性があった。
     2人は獣避けの鈴を付けている。なので滅多なことでは成獣の群れは近づかないだろうが、生まれたばかりの幼獣はどうだろう。
     すぐに離れた方がいいと口に出そうとすると、その前に目の前の茂みがガサガサと揺れ、明らかに狼ではない子犬が茂みの間からまろび出てきた。

  • 14123/08/12(土) 21:23:13

    >>13

     キュン、とその子犬が一声鳴く。先ほどから聞こえていた声だ。

    「ふおぉ…っ小さいっです…!え、狼の子供ですか…!?」

     スレッタがわたわたと両手を動かしながらこちらと子犬を交互に見ている。突発的な出来事にエランの判断を仰ぎたいのだろう。

    「狼じゃないね。耳がペタンと垂れてるし、たぶん普通の子犬だよ」

     犬種までは分からないが、クリーム色の短毛で垂れ目がちな子犬だった。人に慣れているのか逃げ出すこともなく、むしろ嬉しそうにエラン達の方に近寄って来ている。

    「わわっ近づいて来ましたよ、エランさんっ」

     慌てながらも嬉しそうにしたスレッタが、子犬の方に手を差し出そうとした。

    「ちょっと待って、スカーレット」

    「え、は、はい」

     子犬を触る前に一旦スレッタを下がらせて、エランは手ずから子犬を両手で掬い上げるとジッと観察してみた。

     毛の生えていないぽこりとしたお腹を見てみると、ぶつぶつと発疹のようなものが出来ている。先が赤くなっていて見るからに痒そうだ。おそらく虫刺されだろう。

     子犬はエランの手の中で大人しくしている。けれど小さな尻尾はふりふりと嬉しそうに揺れていた。やはり人の手に慣れているようだ。

     クフン、クフン、と甘えるように小さく鼻を鳴らしている子犬を見ながら、「野犬じゃなさそうだね」とエランは言った。

    「迷い犬か、捨て犬…かな」

    「え、エランさん、わたしも、わたしも触っていいですかっ?」

     スレッタが期待しながらこちらを見ているが、残念ながら頷くことは出来なかった。

    「この犬はワクチン接種をまだ受けていない可能性がある。普通の子に見えるけど、もしかしたら狂犬病に感染してる可能性だってあるかもしれない。触らない方がいいよ」

    「ふぇっ、で、でもエランさんは触ってますっ」

    「僕は分厚い手袋をしてるし多少は噛まれても平気。でもきみの手袋は薄いし、いま素手で触ろうとしたでしょ」

    「うっ」

     うきうきと手袋を脱いで子犬に触ろうとしていたスレッタは、体の後ろに手を回して何も着けていない手を隠そうとした。

     エランはふぅっとため息を吐くと、相変わらず大人しくしている子犬をジッと見た。

    「本当は置いていった方がいいんだろうけど、仕方ないね…」

     手を離してもついてきそうだし、スレッタが気にしてしまうだろう。とりあえずは町まで連れていく事にした。

  • 15二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 00:23:00

    たておつ!

  • 16123/08/13(日) 07:13:58

    >>15

    労りのお言葉ありがとうございます

    新しいスレもぼちぼち稼働し始めました



    ↓ここから先はご報告です

    前のスレでご質問頂いた最新話での手のひらの染料の件ですが、分かりづらかったなと反省しまして、ほんの少し文章を書き加えました。ちょっと荒削りな文なので後でまた直すかもしれませんが、最初よりは分かりやすくなっているはずです

    あとリクエストSSは昼以降にまたアップしにきます。しかし次で終わりではなくあと少し続きます

    とは言ってもまだオチを書いてないので、今日の夜は少し遅い時間になるかもしれません

    出来上がり次第にアップしに来ようと思います


    ではまた

  • 17二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 11:15:46

    余り無理せず明日でも全然待てますのでスレ主様の余裕がある時で大丈夫ですよ!

  • 18123/08/13(日) 13:52:40

    >>17

    ありがとうございます

    リクエストテーマが嫉妬するスレッタなのですが、今のところその要素が薄いと感じているので、最後に巻き返しをさせたいなと思います

    なので夜にアップできなかったらオチをどうするか迷ったんだな…と思って頂ければたぶん合っているはずです

    書き始めたら早いとは何だったのかという話ですが、書いてるスレ主本人は楽しいのでまぁいいかなと思っておきます

  • 19123/08/13(日) 13:57:23

    >>14

     小さな同行者を連れてエランとスレッタは道を進んだ。

     最初は子犬をタオルにくるんで固定してからバックパックに入れて移動しようと思ったりもしたが……結局は手で抱きかかえることにした。

     ノミが大量に体に付いている可能性もあるし、バックの中で粗相をされては堪らない。今は大人しいが突然暴れ出すことも考えられる。それで万が一露出している肌の部分を噛まれでもしたら、病院に駆け込むことになってしまう。

     なら少し不便だろうが、すぐに制圧できるよう手で押さえていたほうが効率がいい。

     相手はエランの片手に収まってしまうほど小さい子犬だ。少々動いても問題ないし、もし逃げてしまってもエランとしては構わなかった。スレッタは悲しむだろうが、自主的に置いていくよりも逃げられた方が諦めもつくだろう。

     …そのスレッタだが、エランばかりが子犬に触っているからか、元気に歩きながらも少々むくれているようだった。時折「いいなぁ…」とか、「独り占め…」…などと呟く声も聞こえてくる。

     たとえば喉が渇いているだろうと、撥水加工されている手袋の上に水を注いで子犬に飲ませている時。

     虫が付いていないか確かめるために、短い毛を掻き分けて確認している時。

     甘えた鳴き声をあげる子犬をつい撫でてしまっている時。

     彼女はジィっと、羨まし気な目でこちらを見ていた。特に頭や背を撫でるのは無意識で行っていることが多かったため、その度に気まずい思いをした。

     エランは動物が嫌いではない。手の中で身じろぎする小さい体や、キュンキュンと甘えた鳴き声なども、まったく嫌いではなかった。

     だからスレッタが感じているだろう嫉妬の気持ちも想像できたし、彼女に対する罪悪感も心にあった。

    「…その、スレッタ・マーキュリー」

     辺りは視界が開けているので誰かが聞いている心配はない。エランはスレッタの本名を呼んで彼女の気を引くと、彼女の希望に沿う提案をすることにした。ただし、条件付きでだ。

    「よければ僕の予備の手袋をして、子犬を触ってみる?」

    「え、いいんですかっ!?」

     案の定、目を輝かせたスレッタが反応してきた。

    「いいよ。ただし手袋と服の境目は露出しないよう気をつけて。肩より上に抱きあげたり、顔を必要以上に近づけたりするのもダメだよ」

    「分かりましたっ!」

     途端に元気になったスレッタが、力いっぱい挙手をした。

  • 20二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 21:37:23

    犬に嫉妬するスレッタかわいいなw4号に小言をいえるくらい距離感縮まったね

  • 21123/08/13(日) 22:02:58

    >>19

    「えへへ、エランさんの手袋、すごくおっきくて…ぶかぶかですっ!」

     指の先が少し凹んでいる手袋を掲げてスレッタが嬉しそうに笑う。見るからにサイズが合ってないが、彼女の手は小さくてほっそりしているので当然だった。

     手袋が脱げないように手首のバンドを服の上からしっかり留め、いよいよ期待に目を輝かせたスレッタがこちらに手を差し出してきた。

     落とさないように慎重に子犬を明け渡すと、「ふうぉぉぅ…っ」と謎の声をあげながらスレッタが感動に打ち震える。

    「軽いけど、重い…!小さいけど、元気に生きてます…!って、わっ、ちょ…」

     エランの時とは違い手の中でジタジタと暴れ出す子犬に手を焼きながら、スレッタは何とか落とさないように頑張っている。

     少し位置が悪い彼女の手を直して、ついでに子犬の頭を撫でてやると少し大人しくなった。

    「ふぅ…ありがとうございます、エランさん」

    「どういたしまして。このまましばらく歩く?」

    「はい、大丈夫です!わんちゃん、もうちょっとだけ一緒にいようね」

     スレッタの言葉に答えるように、子犬は元気よくキャン!と鳴いた。


     結局、子犬は少し虫に刺されているが、特に病気になっているわけでもない健康体だった。それどころかきちんとワクチンを受けた飼い犬だった。

     いつの間にか家の外に逃げ出してしまったらしく、飼い主から子犬の情報が病院へと届いていたらしい。その町唯一の動物病院の院長が教えてくれた。

     診察料金は無料どころか飼い主からお礼が出ると言う話だったが、スレッタと相談した結果お礼は辞退することにした。

    「わんちゃん、元気でね…」

     スレッタが寂しそうに言うと、年を取った院長は優しく笑った。

    「優しい人に送り届けて貰えてこの子は幸運でした。よければ最後に抱きしめて、お別れのキスでもしてあげてくださいな」

     そう言ってこちらに子犬を渡してくるので、エランは特に何を思うでもなく子犬のこめかみにキスを落とした。診察ついでに洗われたばかりの子犬は優しい匂いがして、温かい気持ちになる。

    「あーっ!ず、ずるいです…!」

     …と、スレッタが言うので、すぐにエランはスレッタに子犬を渡した。

    「はい、きみもすればいいじゃないか」

    「んもうっ!そう言う意味じゃ、ありません!」


     なぜか怒ったスレッタは、パタパタとしっぽを振る子犬の鼻先にちゅっと優しいキスをした。

  • 22123/08/13(日) 22:11:43

    >>20

    最後のSSを上げる前にもうスレッタの嫉妬の対象は子犬だとバレてしまいましたが、いちおう可愛い子犬を構いまくる4号の方にもスレッタはちょっとジェラってます。『嫉妬するスレッタ』という対象が指定されていないお題だったので、どちらにもジェラジェラさせてみました

    旅の間のスレッタは解放感からけっこう心のままに過ごせているので、監禁?編よりも清々しく心の内を見せてくれています

    このSSは全体的に可愛らしく纏められたなと思うので書いていて満足でした

  • 23二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 05:36:38

    そっか犬を独り占めする4号にも嫉妬してるのか
    解説があると少し視点をズラして読めるので凄い助かります!

  • 24123/08/14(月) 08:23:41

    >>23

    感想ありがとうございます

    リクエストが嫉妬するスレッタなので、いっぱい嫉妬させてみました

    ある時は可愛らしいワンコを独占する4号に

    ある時は片想い中の4号を独占するワンコに

    どちらにも嫉妬してプンスカしているのでした

    ちなみに4号はスレッタ・マーキュリーが怒ってる…!と内心ちょっと慌ててました

    でも4号の手袋とワンコを同時に与えられることで一気に機嫌が治る素直なスレッタなのでした。…最後の最後でまたちょっと嫉妬が顔を出しますけども




    ↓ここから先はご報告です

    今日は家の用事がありまして、お昼に書き込むことができないかと思います

    申し訳ありませんが夜までに保守か、保守代わりの感想の書き込みをお願いします


    ではまた夜に

  • 25二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:43:37

    保守

    いい意味で子どもっぽく無邪気に嫉妬するスレッタがとても可愛くて癒されました!
    いつも素敵なお話をありがとうございます!

  • 26二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:55:32

    保守

  • 27123/08/14(月) 22:45:15

    保守と感想ありがとうございます。助かりました

    感想返しですが、ある意味リクエストSSの裏話的なものも含むので少し長くなります


    >>25

    4号の嫉妬は何だか洒落にならないですが、スレッタの嫉妬は可愛らしいものとして書いてみました

    それと言うのもスレッタの性格が優し過ぎてあまり他者へ攻撃する姿がイメージできないためです。嫉妬は内ではなく外へと向かう攻撃的な感情の発露だと考えているので、そういう意味でスレッタはまったく才能がないだろうなと思っています

    アニメ本編の話になりますが、色々と酷い事をされてもスレッタは最終的に相手を許して寄り添おうとしてくれます。そんな優しい彼女なので、嫉妬しても怖い描写ではなく、逆に微笑ましい描写のほうが相応しいだろうと考えて文字を起こしました

    ついでに可愛い子犬の描写も加えてさらに可愛らしさをアップしてみたり、小さい命に触れて地味に情操を育てる様を描写して見たりと、色々と嫉妬以外の見どころ?を加えてみたりしました

    ただ途中で嫉妬がどこかへ行く!と危惧したので、最後はまたちょっと嫉妬してもらうことにしましたが、結果的にうまくテーマが表現できたのではないかと思います


    あと全然聞かれてないことなのに勝手に設定を開示してしまいますが、子犬はラブラドールレトリバーっぽい子をイメージしています

    最初は本当に狼の子を見つけちゃった!という展開も考えたのですが、嫉妬というよりも狼の子をどうするのか?という風に話のテーマが逸れるなと思ったのでやめておきました

    やめて正解だったと思います

  • 28二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 06:51:47

    保守

  • 29123/08/15(火) 14:02:01

    保守ありがとうございます
    今回は久々に本編SSの裏話になります

    【25-①話。(不穏な雲行き 前編)の裏話】その①

    この話で毎日ではないですが4号が定期的に行っている事として、肌染め&毛染めの描写を入れてみました
    ここで入れる必要あるのか?とか、端切れ話とかで書けば済む話じゃないか?などと思われるかもしれませんが、スレ主が忘れなければその後の展開にほんの少しだけ関わって来ると思われるので、一応差し込める時に書いておきました
    SSだと視覚的に表現が出来ないのですが、一応地球に降下してからは黒髪&褐色肌のお兄さんとして4号は外見をカモフラージュしています。でも薄い緑の目はそのままなので、相当エキゾチックというか、神秘的な印象が強くなっています
    でも4号とスレッタはそんなに外見に頓着していないので、外見描写は最低限に留まっているのでした

    そして今回出てきた毛染め&肌染めですが、この設定を考えるのはとても楽しかったです
    地球の描写はわざと現代と変わらないように書いてますが、アド・ステラ世界は今より未来の話なので、SFよりの便利なアイテムを登場させてみました
    お金持ち向けのアイテムは小説版に登場していますが、今回4号が使っている製品は一般的なスペーシアンに売られている、もっと大衆向けのアイテムとして想定しています。にも拘わらずとても高性能なのは、そのまま地球と宇宙の力の差となっています

    肌染めの方は長い時間を肌に直接触れさせるのでさすがにパーメットは使ってません。でも色移りもそれほどなく、きちんと乾かせば水にも強い素敵素材だったりします。ちゃんとお風呂に入っていても、数日は違和感なく過ごせる設定です
    毛染めの方は作中で書いた通りです。毛だけに反応して色を変えてくれるので、不器用な人間でも綺麗に色を変えられます
    それと今回描写はしなかったのですが、4号は眉毛とまつげもちゃんと薬液をつけて色を変えてます。眉毛は髪の色を変える時に一緒に薬液をつけていて、まつげは専用のマスカラのような筆で薬液をちょいちょいとつけてます
    毛根にもある程度しみ込んで色を変えてくれるので、普通の毛染めよりも自然な仕上がりとなります。なので大抵の人には毛を染めていると気付かれていません
    ただとある理由により、こいつ毛の色を変えてるなと気付いている人はいたりします

  • 30123/08/15(火) 21:26:35

    では裏話の続きです

    【25-①話。(不穏な雲行き 前編)の裏話】その②

    なんだか妙に仲のいい4号と役員の男ですが、これは若に付き合って食堂で一緒に食べている間、お口が重くなる若の代わりに役員の男が頑張って一人で4号と話していたせいだったりします
    大体役員の男が口を開き、4号にも話しやすいような話題を振って、4号がそれにポツポツと答えると言うのがお決まりのパターンです
    最初は話す内容を試行錯誤しつつ若にも話を振っていたのですが、なぜか4号が引くようなシモの話の時だけ生き生きと話し出してしまうので、途中で若への話題提供を最小限に留めるようになりました
    役員の男は基本アホなのですが、人に気を使うことのできる優しい男でもあります
    という訳で結果的に昼の食堂は4号と役員の男の交流の場と化していました

    一応4号は若が自分に興味を持ってるくらいの事は分かってますが、それはエラン・ケレスの外見を間近で鑑賞したいからだと考えていて、まさか普通に心の交流を重ねたいと思っているとは気づいていません
    なので何かと話題を提供してくれる役員の男のことを、こんな上司に付き合いつつも、下っ端の自分が気まずくならないように気を使ってくれる優しい男だと高評価を下してます
    まぁ概ね間違ってはいないのですが、4号の中での役員の男は非常に出来る男としてイメージが固まっています

    工場内のメンバーの中では、4号の好感度的には実は圧倒的1位だったりします。
    ちなみに2位は食堂のおばちゃんで、3位は『美しい男 後編』に出てきた指導役の人です
    クーフェイ爺さんは最初は下の方にめり込んでましたが、出血事件の後は(困った人だけど悪い人では……ない?)という感じで4位あたりに辛うじてランクインしてます
    若はお察しです。好意が空回りしまくっているので、なんだこの人は、と4号に思われています

  • 31二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 05:40:01

    ボンボン……ドンマイ(保守)
    好きな人の前でからまわるのは世の常……

  • 32二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 12:41:52

    保守

  • 33123/08/16(水) 14:45:23

    保守と感想ありがとうございます


    >>31

    ボンボンは舞い上がりすぎてちょっと周りが見えなくなっていますね

    というか自分の言動がまずいものだと客観視できていないので、この辺りを矯正しないとこの先も苦労しそうです

    仮にボンボンが拙いながらも4号と仲良くなりたい!と真っ正直に伝えていれば、友達の欲しい4号には受け入れられたと思います

    その場合にも片想いのままなんですが、もう少し楽しい思い出は増えていたでしょうね



    この先はご報告?です

    今は本編の方をちょこちょこ書いているのですが、次のリクエストSSの事も考え始めました

    ホラー映画を見る4スレなのですが、ホラー映画の中身をどうするかが全然決まりません

    ジャパニーズホラーか、スプラッタ系か、ゾンビ系か、サメか…

    たぶん大筋のストーリーにはあまり影響しないと思いますが、4スレの反応的にはだいぶ変わりそうです

    全体的な雰囲気がギャグに寄るか寄らないかにも関係しそうです

    という訳で地味に悩んでます…

    次の本編SS更新までに決まらなければ、いっそダイスで決めようかなと思ってます

    このスレ初のダイスと思うとちょっとドキドキします

  • 34123/08/16(水) 21:55:17

    では裏話の続きです

    【25-①話。(不穏な雲行き 前編)の裏話】その③

    前々から設定はあったものの、今まで描写がなかった監視カメラが満を持しての登場となりました
    アパートに越してから気を抜きがちな4号ですが、それはそれとして、必要だと思ったことは犯罪に抵触する(しそうな)ことでもやってのける所は変わりません
    とはいえその目的は純粋に防犯です。怪しい輩が外からアパートを見ていたり、扉を調べていたりしたらすぐ分かるような位置に設置しています
    内玄関にもつけているのは万が一玄関を突破されたとして、その人物の様子を確実に捉える為でもあります。ようは保険です

    これらの道具は、地球に降り立ったすぐ後、防犯グッズを取り扱う店で同時に購入しています
    フロントだともっと高性能なものが手に入った可能性はありますが、その時の4号はあまり目立った動きはしたくありませんでした。なので多少性能が落ちたとしても、足のつかない所で購入することを選びました
    画像は少し荒いですが、それでも十分な性能です。お値段もお手頃なので、4号的には満足する買い物になりました

    設置したタイミングですが、アパートを契約してから引っ越しまでの間になります
    実は最新話でうっかり引っ越した当日に設置と書いてしまったのですが、それだとスレッタに気付かれずにカメラを設置するのは難しいな…と気付きまして、今は引っ越す前に設置したと文章を直してあります
    なので優しい監禁生活が始まる時にはもう監視カメラは動いていた、ということになりました。適当なスレ主ですいません

    それと今回思いがけずスレッタの無防備な姿を見てしまった4号ですが、盗撮が癖になることはありません
    4号は監視される側だったので、そのつらさを知っています。なので私利私欲に寄った使い方はこれからもしないでしょう
    後ろ暗く思いながらも毎日カメラの映像を確認している4号ですが、実のところ防犯用の監視カメラを設置している事をスレッタに教えても問題はなかったりします。必要なら仕方ないと理解を示してくれるでしょう
    けれど監視カメラを設置するなんてスレッタもきっと嫌がるだろうな、と4号は思い込んでいます。今まで嫌な思いをしてきたので、監視カメラというものに対してマイナス方面にバイアスがかかってしまっているのです
    結果としてスレッタへの秘密が増えてしまった4号なのでした

  • 35二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 05:04:36

    自分がされて嫌な事は相手にもしない
    至極真っ当な考えなんだけど状況によってはそうも言ってられない事もあるよね
    話せば理解してもらえるかもしれないが嫌がられたらこの先守っていくのが難しくなる悩ましい状況だ

  • 36123/08/17(木) 07:34:48

    >>35

    感想ありがとうございます

    おそらくフロント脱出編が一番4号にとって自分がされて嫌な事を人にしている状態だったんですが、あの時はそんな悠長なことを言ってられない状況でした。なので駆け抜けることができたのですが、今は少し臆病になっています

    それはスレッタが自分のそばに寄り添ってくれる心地よさを知ってしまったからです

    もちろん嫌がられたらスレッタを守る事が難しくなる、という冷静な判断もあるのですが、単純に嫌われるのが嫌だという思いがあります

    そうして、彼女を傷つける可能性があることに震えています

    だから神経質なくらい、自分が嫌だと思った事からスレッタを遠ざけようとしているのでした

    しかし何もしないでいる訳にもいきません。4号はスレッタを守りたいと思っていますので、出来る限りのことはします

    それが監視カメラを設置することであり、そのことを秘密にすることでした

    4号にとっては悩ましいところだと思います

  • 37123/08/17(木) 14:11:10

    本編SSを少しずつ書き進めてはいるのですが、また少し出来上がるのに時間が掛かりそうで頭抱えてます

    とりあえず息抜きでリクエストSSのダイスでも振ろうかと思いますが、少し調べてみたらホラージャンルとは色々とあるようです

    普段ホラー映画は怖くて見れない人なので、こんなにホラー映画に種類が…と少し慄いてしまいました

    とりあえず前に書いたホラー初心者でも分かりやすいジャンルで決めようと思います

    あと書いたとしてもそんなにホラーの描写はしないと思います。想像すると怖いので…


    dice1d4=2 (2)


    1:ジャパニーズホラー

    2:スプラッタ

    3:ゾンビ

    4:サメ

  • 38二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 14:26:48

    リクエストした者です!
    ホラー描写は程々で全然大丈夫ですよ!スレ主様が描く4スレの反応が凄く楽しみです!

  • 39二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:39:17

    スプラッタはホラー初心者にはなかなか厳しそうですね…
    グロテスクなのが大丈夫なら少しはましかもですが…

  • 40123/08/17(木) 22:13:33

    励ましや心配のお言葉ありがとうございます


    >>38

    自分で書いたにも関わらずスプラッタが選ばれた途端このスレを閉じてピャっと逃亡してました

    いつまでも逃亡するわけにもいかないので戻って来ました

    やっぱりスプラッタだ…(ダイス)

    一口にスプラッタと言ってもやはり色々あると思うのですが、ここはじぇいそんさんの力を借りようかと思います

    つまり追って来る怪人系です

    これならそれなりにテンプレが世襲できると思うので、詳しい描写を書かなくても大丈夫なはずです

    まったくホラー経験値がないのですががんばってみます


    >>39

    おそらく4号は平気だと思うのですが、スレッタは怖いの苦手なんじゃないかなと思います

    なのでスレ主のようにビクビクしてもらおうかと思います

    ちなみにスレ主は怪異系もスプラッタ系もゾンビパニック系もアニマル系も苦手だったりします

    絶対に見れないという訳ではないですが、進んで見ようとは思わないです。背後が気になってしまいます

    なのでリクエストSSを書いたとしても、何か変な描写になってしまうかもしれません。その場合は詳しく調べられずに想像で書いたんだな…と察して頂ければ幸いです

  • 41二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 06:50:45

    保守

  • 42123/08/18(金) 14:22:17

    保守ありがとうございます
    いつも助かってます

    さて、載せられる状態までSSが出来上がっていないので雑談でもしようかと思います
    普段SSを書くときはBGMなどは聞かずに無音の状態で書いているのですが、それ以外の普通にネットを楽しんでいる時などはBGMを流したりしてます
    大抵はゲームミュージックなのですが、最近はよく水星の魔女の公式サイトにアップされている「The Witch From Mercury& Asticassia」を聴いていたりします

    特に「Asticassia」が好きです。学園に来たばかりのスレッタの場面で流れていた曲です。この頃の彼女の中には夢と希望がたくさん詰まっていて、これから何が起こるのか、可能性の何もかもがまだ未知数でした
    今まで見た事もないものに圧倒されて、少し不安で、それでもすごくワクワクしている。そんな彼女の気持ちが想像できるようです
    スレ主はこの曲を聴くたびに、この曲の中にはまだ生きている4号も学園で生活しているんだよな…と何故か謎の感動を覚えたりします。4スレの民なので仕方ありません

    水星の魔女は1話の評判が良かったのでプロローグを見て、それからずっと追っていたのですが、一番の決め手はBGMの良さでした。ルブリスAIがエリクトを認めて起動する場面から食い入るように画面と音を追っていました
    その後1話を見て、「Asticassia」のBGMを聞きながらスレッタを応援しようと決めました
    その後なんやかんやと4スレの沼に落っこちるわけですが、落ちてよかったと思います
    こんなに長々とBGMの良さを語っておいて、実はサントラ未購入だったりするのですが、おそらく我慢できずにその内買ってしまうと思います
    この先何かしらを頑張ってやり遂げた自分への、ご褒美リストの最初の方に載せてあったりします


    ではまた夜に
    SSを用意できればいいんですが、できなければまた雑談です(すいません)

  • 43123/08/18(金) 21:09:07

    端切れ話。地球降下編(グリーン アイズ モンスター)

     予約した宿へと向かう途中、駅から出てすぐの所で、スレッタが興味深げにとある看板の前で足を止めた。
    「エランさん、これって、もしかして『映画』ですか?」
    「そうみたいだね。昔の映画を再上映しているみたいだ。アド・ステラ暦になる前のものだから、そうとう古いみたいだけど」
     見れば以前の暦で20世紀から21世紀ごろの映画を集めたものらしい。ジャンルごとに時期をずらして公開するらしく、今はホラー…怖い内容のものを中心に上映しているようだ。
     現在の地球では遊園地などの大掛かりなレジャー施設は無くなっているが、それでも少しばかりの娯楽施設はある。映画館などはその典型だ。
     これはその中でもクラシックなもののようで、映像を立体的に見せたり匂いや感触を再現したりする事のない、昔の作品を中心に公開している専用施設のようだった。
     スレッタはそわそわと映画館の中をのぞき込んだり、作品を宣伝する看板を見たりしている。
     ホラーなのでたまに恐ろしい外見の看板もあったが、スレッタは少し驚いたように体を浮かせたあとも、恐々としながらもそっと看板を盗み見ていた。
    「もしかして、興味ある?」
    「アニメ映画はよくライブラリで見てましたけど、実写映画は見たことないんです。映画館って、すごく大きい画像で見れるんですよね?たくさんの人が一度に見れるって聞いたことがあります」
    「今上映している映画は怖いもの中心みたいだけど、きみ、見たいの?」
    「ホラーですよね?今は怖いのでも見れるようになりましたよ!コミックですけど、人と戦ったり、化け物と戦ったり、そういう刺激的なものも見れるようになりました!大丈夫です」
    「つまり、見たいんだ?」
    「えへへ、見たいです」
     照れたように笑うスレッタは、未知のものに目がキラキラしている。エランとしては普段ワガママを言わない彼女がしたいと思うことを、出来るだけ叶えてあげたかった。つまりは、映画鑑賞である。
    「予約している宿に荷物を置いたらもう一度来ようか。上映時間もあるから、見たいものを決めてから行こう」
    「はい!実は…もう決めてあるんです!…これです!」
     そう言って指さしたのは、穴の開いた白い仮面をつけた男の姿を描いた看板だった。『フライデーザサーティーンス』…『13日の金曜日』という映画らしい。

  • 44二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:21:24

    お?ジェイソンかな

  • 45二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:24:28

    実はチェンソーを持っていないジェイソン

  • 46二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 03:54:07

    保守

  • 47123/08/19(土) 07:44:36

    感想と保守ありがとうございます


    >>44

    そうです

    オリジナルの怪人さんとちょっと迷ったんですが、分かりやすさ優先で本物を出してみました


    >>45

    てっきり武器はチェーンソーだと思っていたら全然違いました

    昨日の夜にリメイク?版のジェイソンさんを薄目で頑張って見てみたんですが、実に多彩な武器を使っていて驚きました

    目的はアレですが、クロスボウを持っているジェイソンさんは少し格好良かったです




    端切れ話の続きはお昼過ぎと夜になります

    ではまた

  • 48123/08/19(土) 14:13:13

    >>43

    「これってきっと、じぇいそんさんです!コミックやアニメでたまに登場するんです。不死身の怪物さんなんですよ!」

     どうやら他の物語にも登場するくらい有名なキャラクターのようだ。けれどスレッタの親し気な口ぶりからは、恐ろしい怪物としてではなく、親しみやすいコミカルな怪物として描かれていたように思える。

    「………」

     看板を見上げる。薄汚れた白い仮面を被った男は、陰鬱そうな眼差しで前を見ている。

     キャラクター性が強調された他作品と比べて、こちらは原作───純粋なるホラー作品になる。たぶん、スレッタが想像するよりも、恐ろしい展開になる気がするのだが…。

    「本当に、大丈夫?」

    「大丈夫ですよっ!本物のじぇいそんさんです!チェーンソーでブンブンするんですよ!」

     楽し気に『じぇいそんさん』の知識を披露するスレッタの姿を見て、エランは黙ることにした。


     ───そして現在。スレッタはぶるぶると震えていた。

     映画が始まる前、周囲が暗くなった所まではとても楽しげにしていたのだ。

     キャンプに来た男女が羽目を外して色っぽいシーンになると、アワアワと左右を見回して慌ててもいた。これもある意味楽しそうだった。

     けれどキャンプに来た若者が1人、また1人とズタ袋を被った男に襲われ始めると、様子は一変した。肩をビクッと跳ねさせて、小さく震えているようだった。

     小さく「えっ」と言っていたので、予想外だったのだろう。残念ながらこれはホラー映画で、映画の中の男は殺人鬼ジェイソンであり、彼女の『じぇいそんさん』ではないのである。

     エランは冷静に映像を見ていた。特殊メイクを施した死にざまは真に迫っていて、この過激さが当時の世間に受けた理由だろうかと分析すらしていた。…スレッタには受け入れられていないようだが。

     恐怖を煽るようなBGMと、逃げる時の呼吸音、襲われた時の悲鳴、武器を叩きつけられる音。それらが大音量となって左右から響いてくる。これは映画館ならではの音響効果だろう。いまだに映画館が娯楽施設として続いている理由が分かる気がした。…スレッタは大きい音が苦手のようだったが。

     エランは映写幕に目を向けながら、スレッタの様子を確認していた。

     恐ろしい思いをしながらも、スレッタは一生懸命見ているようだった。自分で見たいと言った手前、目をつぶる事も耳を塞ぐことも出来なかったのだろう。

  • 49123/08/19(土) 20:06:57

    >>48

    「……よければ手を握る?」

     他の人の迷惑にならないくらいの微かな声で、片手を提供できることを伝えてみる。するとスレッタは肘掛けに置いたエランの片手をぎゅうっと、まるで命綱を掴むような必死さで握りしめてきた。

     エランは緑の目をふっと細めて、そんな彼女の様子を最後まで見ていた。

    「怖かった……ですッ!!」

    「だろうね」

     開口一番のスレッタの言葉にエランは深く頷いた。映画館には他にも人がいたが、たぶん彼女が一番怖がっていた。

    「じぇいそんさんは…怖い人でした」

    「そうだね」

    「最初はズタ袋さんだったなんて…」

    「そうだね」

    「チェーンソーも使いませんでした」

    「それはよかったと思うよ」

     多分チェーンソーの使い道は人体の切断である。木を切るようにポンポンと人の体が切られて飛ぶ所を見たら、スレッタは卒倒していたかもしれない。

    「エランさんも返事ばっかりじゃなくて何か感想を言ってくださいよ!」

     適当な相槌ばかり打つエランにスレッタが突っ込んできた。少し怒っている。

    「あまり山間部には入らない方がいいとは思う。殺人鬼とは限らないけど、変な輩がいる場合があるから」

    「それじゃ、物語が始まらないじゃないですか」

    「僕ならどうしたかって考えただけだから。これだって立派な感想だよ」

    「でも、じぇいそんさんはお構いなしですよ。もしかしたら普通に過ごしていても襲ってくるかも…」

     ぷるぷる震えながら周りを警戒している。相当怖かったらしい。

    「…そうしたら、きみを逃がすために戦う事にしようかな」

    「あ、危ないですよっ!それに、たぶん私の方が先に脱落する気がします。動けなくなっちゃいそうなので…」

    「じゃあきみが脱落したら、犯人を殺してから死ぬことにするよ。この場合も3日間の約束は有効だし」

    「ふぁっ、こ、怖いこと冗談めかして言わないでくださいっ!」

    「きみが先に言い始めたことなのに…」

     スレッタは冗談だと言ったが、エランはたぶん本気で戦う。彼女が生きていたら逃がす為に。彼女が先に死んだら、彼女の体と尊厳を守る為に死力を尽くすだろう。

     自分が居なくなった後、スレッタの体がたとえ抜け殻でも他人に好き勝手される可能性があるなんて、それこそ冗談ではない。エランはうっすらと緑の目を細めて微笑んだ。


     彼女を攫った怪物は、他の怪物に彼女を明け渡す気なんてさらさらないのだ。

  • 50二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:37:26

    やっぱり4号は重いなあ…

  • 51二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:44:13

    >>49

    凄い…自分が想像してた4スレだ…スレッタは純粋に映画を怖がり4号は現実に置き換えて映画を見る感じのリアクション

  • 52123/08/19(土) 22:13:50

    感想ありがとうございます

    裏話も兼ねての感想返しになるので少し長くなります


    >>50

    4号は非常に重い男なので、彼の前でほかの男にきゃあきゃあ好意的なことを言ってると怖いことになります

    >>48の【楽し気に『じぇいそんさん』の知識を披露するスレッタの姿を見て、エランは黙ることにした。】←ここで4号は少しジェラってます。それまで本気でスレッタが怖い思いをするかもと心配してたのですが、この直後から即座に冷静に観察するモードに切り替わってます

    『じぇいそんさん』の幻想がスレッタの中でぶち壊れているところをジッと確認しつつ、頃合いかなと思ったところで自分の手を差し伸べてます

    スレッタが一生懸命自分の手を握る所で溜飲はだいぶ下がりましたが、今度は怪物としてスレッタの中で大きく怖い存在になった『殺人鬼ジェイソン』にちょっとジェラりました

    なのでワザとスレッタが怖がることを言って、最後は『殺人鬼ジェイソン』よりも自分の方に意識を向けようとしました

    結果的に大成功だったので、4号は緑の目を細めて満足そうに微笑んでます

    ちなみにこの話は地球降下編なので、4号はまだスレッタに明確な恋心は抱いていない時期です

    スレッタに対しては常にグラビティな男、4号なのでした


    >>51

    4号ならこう考えるだろうなと書いてみました

    ちなみにこのスタンスは他のホラーでも同じでして、色々なシチュエーションのホラーに怖がるスレッタに対して、妙に現実的な対処法を話したがる4号というところはすべて共通でした

    今回はスプラッタ関係、さらに4号とライバル関係になり得る怪物系をチョイスしたので、そこに嫉妬関係も混ぜてみました

    けっこう上手くいったのではないかと思います。個人的には満足です

  • 53二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 23:22:46

    >>52

    やだ!エランてば策士!もっとやれ下さい


    見たのがエルム街の悪夢的なやつじゃなくて良かったですね

    (夢の中からこんにちは)

  • 54二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 06:21:14

    自覚してないからこその4号の余裕ムーヴ(ただし重い)良い……

  • 55123/08/20(日) 08:04:49

    感想ありがとうございます


    >>53

    獲物が罠にかかるのを冷静に待ちつつ、的確な所でスナイプする4号の戦闘スタイルを意識してみました

    …といってもそんなに大したものではなく、気になる女の子に意地悪して自分のほうに注目してもらいたい小学生男子メンタルが発動しただけです。この頃の4号はそのくらいの情緒の発達具合なのでした


    エルム街の悪夢は名前は聞いたことあります。確かフレディさんが主役?のホラー映画ですね

    見た事ないのですが、実際に悪夢の中に登場する怪人系だったとは知りませんでした。さすがの4号でも対処が難しそうですが、シリーズものになっているということは対抗手段があるということでしょう(たぶん)

    なら頭のいい4号ならこう…何かしらの現実的な解決策が思いつくのかもしれないですね


    >>54

    自覚していないからの強さはまさにその通りです

    少なくともスレッタに対して性欲を覚えてしまった後の4号では、超弩級の後ろめたさが発生しますので、スレッタに対して強気になることは余りないと思われます(とはいえ状況に寄るので絶対ないとは言えないです)

    このSSの4号は心が育っていく度にだんだんと怪物から普通の男性に近づいていくことになります

  • 56二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 13:57:22

    夢の中に行けることに嫉妬せずに、ちゃんと対応策を考えるエランさんで良かった
    SSで映画を見ている時もそうですが、実際の心情がどうであれ、彼が隣にいてくれることがスレッタちゃんにとって一番の安心で安全な場所なのかもしれませんね

  • 57123/08/20(日) 15:01:20

    >>56

    感想ありがとうございます

    夢はどうしても見てしまうもので、その内容も自分ではどうにもならないと4号は身をもって知ってますので、フレディさんの悪夢に怯えるスレッタがいたとしたら悔しい思い自体はするかもしれません

    でも映画を見ていたら何かしらのスレッタを慰める材料が見つかるんじゃないかなと思います

    スレ主は内容を知らないので具体的な案は出せないのですが、何かこうあるはずですきっと(希望的観測)


    そして仰る通り、映画だけに関わらず彼女は4号に守られた安心安全な環境から、少しずつ人としての経験値を重ねていくことになります

    辛い思いもしますけども、少なくともこのSSの彼女は人と戦うことのないまま年を重ねることになるでしょう

    4号の尽力の賜物になります

  • 58123/08/20(日) 22:04:34

    本編を書き進めていますがもう少し時間が掛かりそうです
    なので雑談でもしようかと思いましたが、困ったことに今は何も浮かびません
    仕方ないので以前書いた端切れ話の没にした部分でも載せることにします

    「きゅーとアンドじぇらしー(ワンコを拾う4スレの話)」の一幕なのですが、実は一回拾ったワンコをバックパックの中に入れようとしていました
    しかし文字数が嵩んでしまう上、ワンコとの交流も無くなってしまい、さらには衛生面の心配もあったので没にしました
    その部分の記述がまるまる残っていたので、載せることにします
    そんなに読んでいて楽しい部分ではないでしょうが、書いてる側はけっこう楽しんで書いてました(没にしましたけど)


    【端切れ話。(きゅーとアンドジェラシー)没バージョン】

     エランはそれぞれ片手で子犬のお腹を覆うように支えながら、バックパックのベルトを器用に腕から外していった。
     汚れてもいいタオルを取り出して子犬の体を覆うと、更にビニールの袋に子犬の半身を入れて外れないように少しだけ口を縛り、そうしてバックパックに子犬を入れた。
     顔だけぴょこんと子犬の顔が出たバックパックの出来上がりだ。さすがにキュンキュンと騒ぎ出したので、気を紛らわせるようにペットボトルの水を与えたところ、一生懸命飲み始めた。
     ペットボトルの蓋をコップにして、何杯もお代わりしている。もしバックパックの中でビニールが外れてしまい、更に粗相をされたら大変な事になるだろう。
    「喉が渇いていたんですね」
    「こんなに小さいと、満足に食べ物も探せないだろうからね」
     子犬が少し落ち着いたところで、道を再び歩き始めた。


    以上、没バージョンでした

  • 59二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:14:59

    ちょこんと顔を出すのかわいい

  • 60二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 06:39:00

    保守

  • 61123/08/21(月) 07:34:08

    保守と感想ありがとうございます


    >>59

    子犬を書くのはとても楽しかったです

    一番のお気に入りはスレッタの手のなかでジタジタ暴れだす子犬です

    4号の場合は大人しかったこともあり片手で大丈夫だったんですが、スレッタは両手でもちょっと危うかったです

  • 62123/08/21(月) 14:43:31

    保守代わりの進歩状況報告です
    ちょこちょこと本編を書き進んで来てますが、ようやく後半の後半に差し掛かっているところです
    とはいえここからも少し長いので、仕事から帰って来て速攻で机に向かっても今日中には間に合わないと思います
    早ければ明日か、明後日ごろになるかなと思います
    それまでお待ちくださいませ

    ちなみに今は谷底がある崖の一歩手前くらいにいるところを書いてます
    4号のダメな所がこれでもかと出てくる最新話。これからスレッタも巻き込んで谷底に転がり落ちることになるのですが、まぁ待っているのはハッピーエンドなので最終的には大丈夫です
    若はとても可哀そうなことになります

  • 63二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:01:08

    保守

  • 64123/08/22(火) 00:11:05

    保守に甘えて寝る前まで本編SS書いてましたが途中でタイムアップが来ました
    それと言うのも、いまですね…とても…眠いのです…(タイムアップ

    この調子では明日には間に合わない可能性があるのですが、眠気には勝てません
    あと書いてる本編があまりに陰鬱な内容なので正直端切れ話でキャッキャしたい欲が出てきました
    しかしここで端切れ話に逃げたらいつまでも書き上がらぬぅ…!と思うので頑張りたいと思います
    具体的には明日のスレ主か明後日のスレ主に頑張らせたいと思います
    そして今日のスレ主はもうスヤスヤしたいと思います。ベッドが呼んでいるので仕方ありません
    スレッタ・マーキュリー…来て♡と4号に誘われたスレッタくらいの勢いでベッドに突貫したいと思います(ウォオー!イマイキマース!

    ではまた

  • 65二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 00:22:53

    お疲れ様です。おやすみなさいませ
    スレ主様のペースで大丈夫ですので、ゆっくり続きを待ちしております

    そして、スレッタ・マーキュリー…来て♡
    好きです
    キャーと、飛び込むスレッタちゃんが見えてくるようで大好きです♡
    でろでろに、甘やかされたらいいと思います

  • 66二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 07:11:29

    お疲れ様です!保守

  • 67123/08/22(火) 13:20:20

    保守と労りのお言葉ありがとうございます

    朝の書き込みを見て安心して仕事に行ったスレ主です


    >>65

    眠すぎて何書いてるのか自分でも分からなくなっていましたが、4号の♡マークはけっこう気に入ってます

    今は谷底に落ちる直前の4スレを書いてますが、そのうちイチャイチャさせてやるからな!というスレ主の願望が少し漏れていたようです

    そこまでいくにはもう少し時間がかかりますが、コツコツと積み重ねていけばいずれは到達するはずなので、まずは最新話を書き上げたいと思います

  • 68二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 21:03:49

    つらい展開もその後にハッピーイチャイチャ展開が待っていると思えば、むしろおいしいですね!
    スレッタを守る旅であり、4号が己を取り戻し解放していく旅でもあると思うので、苦しい場面もあるでしょうが頑張ってほしいです。

  • 69123/08/23(水) 00:35:20

    >>68

    ありがとうございます

    励ましを頼りに寝る前まで書き続け、粗削りですがようやく完成いたしました

    次レスにてアップしておきます

    オリキャラばっかりが登場する回ですが、よろしければ後でご覧ください


    ではまた

  • 70123/08/23(水) 00:38:31

     25-②話。不穏な雲行き(後編)

    ※オリキャラ含む登場人物が不憫な目に合っています


     あまり眠れなかったせいで鈍く痛む頭を抱えながら、エラン・ケレスは今後の動き方を見定めていた。

     最近姿を見せなくなっていた上役の男が、突然エラン達のいるアパートの近くに姿を現したのはつい昨日のことだった。偶然とは思えない。あの男はしっかりとエラン達の借りている部屋の場所を見定めていた。

     ペイルの追手…の可能性はあるだろうか。

     この辺りはベネリットとは関係のないグループの傘下で、上役の男も一族の中にきちんと組み込まれている。

     だから直接の関係はないと思うのだが、どこかで繋がっているということは、あり得るだろうか。

     場合によっては月末を待つまでもなくすぐに仕事を辞め、この土地から離れた方がいいかもしれない。

     けれどもし、ベネリットとはまったく関係のない理由でこちらを探っているのだとしたら、あまり性急に事を進めるのもよくない気がする。

     先日の上役の言葉を思い出す。紹介してくれ、と彼は言っていた。エランの妹と思われている女性の存在を知り、彼は興味を持ったのだ。

     直接会ったことのない女性の為に、家の前を監視することなどあり得るだろうか。

     今までの男のイメージとは大分かけ離れているように思うが、絶対にないとも言い切れない。断言できるほどエランは上役の男のことなど知らないのだから、当然だった。


    ごめんねスレッタ・マーキュリー─不穏な雲行き(後編)─※オリキャラ含む登場人物が不憫な目に合っているのでご注意ください


     あまり眠れなかったせいで鈍く痛む頭を抱えながら、エラン・ケレスは今後の動き方を見定めていた。

     最近姿を見せなくなっていた上役の男が、突然エラン達のいるアパートの近くに姿を現したのはつい昨日のことだった。偶然とは思えない。あの男はしっかりとエラン達の借りている部屋の場所を見定めていた。

     ペイルの追手…の可能性はあるだろうか。

     この辺りはベネリットとは関係のないグループの傘下で、上役の男も一族の中にきちんと組み込まれている。

     だから直接の関係はないと思うのだが、どこかで繋がっているということは、あり得るだろうか。

     場合によっては月末を待つまでもなくすぐに仕事を辞め、この土地から離れた方がいいかもしれない。

     けれどもし、ベネリットとはまったく関係のない理由でこちらを探っているのだとしたら、あまり性急に事を進めるのもよくない気がする。

     先日の上役の言葉を思い出す。紹介してくれ、と彼は言っていた。エランの妹と思われている女性の存在を知り、彼は興味を持ったのだ。

     直接会ったことのない女性の為に、家の前を監視することなどあり得るだろうか。…
    telegra.ph
  • 71二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 03:03:25

    お待ちしておりました…!
    ここで24話のラストに繋がるんですね。クーフェイ爺さんは何かそういう能力持ちなんでしょうか?それとも年の功?

  • 72二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 07:37:00

    最新話更新ありがとうございます!!!

    露骨に警戒され嫌われてる若、不憫といえば不憫なんですが、4号が学園時代に「氷の君」と呼ばれるほど他者との壁が高かったことを思うとこれでもだいぶ丸くなったような気も。
    きちんと敬語を使い(ベルメリアにもご本人様にもタメ口)、きちんと会話をし(大体一言でシャットアウト)、内心どれだけ苛立っていても最低限の礼儀は弁えてる感じが(苛立ちをそのままスレッタやグエルにぶつけた5話)。

    スレッタとの生活を守るために周囲との摩擦を避けたいというのもあるでしょうし、フロント脱出編からこれまでの人々との交流の賜物なのかなと思うと、展開は不穏だけど不思議と感慨深くもなった回でした。

    とはいえ、本当に不穏な展開なのでハラハラしつつ、約束されたハッピーエンドを信じて続きを楽しみに待とうと思います!
    長々と失礼しました。

  • 73123/08/23(水) 14:14:10

    感想ありがとうございます。やはり本編SS更新後の新鮮な反応は嬉しいものです


    >>71

    おまたせ致しました久しぶりの本編SS更新になります

    クーフェイ爺さんはもうほとんどネタバレになっていると思うので書いてしまいますが、アド・ステラ世界でのニュータイプに相当する人間です

    といっても宇宙世紀のニュータイプとは能力が違っていたりしますので、なんか不思議な能力持ちなんだなと思っていただければ大丈夫です

    元々アニメ本編でもアリヤ先輩がニュータイプを思わせる占いの的中率だったので、けっこう能力者は生まれてるんじゃないかなと思ってオリキャラにも設定してみました(せっかくのガンダムですし)

    実はモブおっさんズ×4よりも早く生まれていたキャラクターでもあります


    >>72

    4号の成長を楽しんで頂けて嬉しく思います

    彼が敬語を使い始めたのは大ゲイブ相手からなのですが、実は最初は敬語を使わせるか使わせないかちょっと迷ってました

    貧民は敬語を使う機会がないからうまく話せない、というのはけっこうよく聞きますが、4号はその辺りの教育もきちんと受けていて、けれど学園では使うつもりが一切なかっただけじゃないかなとスレ主は考えました

    なので迫力はありますがあくまで一般人の大ゲイブに対して敬語を使わせてみました

    彼は初見でも分かるほどの大人物なので、4号からしてもあまり無理することなく自然と敬語は出てきたと思います

    以来一般人の年上と思われる人物には4号はいつも敬語です


    少し話が変わりますが、4号の会話が学園時代よりもスムーズなのは実はわざとだったりします。色々な原因により学園での彼は会話を阻害されていた設定なので、あの4号独特の倒置法も作中ではあまり使わせてません。単純に分かりやすく文章に起こすのが難しい口調というのもあります

  • 74123/08/23(水) 21:36:42

    端切れ話。監禁?編(あなたの髪を)

     アパートを借りて半月ほど過ぎ、トラブルがあった仕事先も通常業務に戻ろうとしていた頃。
     エランは仕事帰りに手頃な屋台に寄っては、メイン以外の夕飯を買ってくるのが日常になっていた。
     この地域は蒸し暑く、火を扱っている屋台に近づくと更に熱気が襲ってくる。エランは涼し気な顔をしながらも、自然と湧き出て来る汗に辟易としていた。
     特に髪の毛、耳の前に垂らした髪が頬に張り付くので、よくエランはその部分の髪を払っていた。その一瞬だけは外気に触れて涼しくなるが、結局はすぐに蒸すことになる。
     黒髪にしていたので、太陽の光を吸収して余計に暑く感じていたのかもしれない。視覚効果も多分にあると思うのだが、とにかく髪が鬱陶しかった。
     なのでその日の夜、エランは同居人であるスレッタにあるお願いをしてみた。
    「髪を全体的に短く刈って欲しい…ですか?」
     スレッタの言葉にこくんと頷く。
     実は学園から逃げ出して2ヶ月近くが経っているが、その間エランの伸びた髪を切って整えてくれたのは、何を隠そう目の前のスレッタだった。

     旅の途中、前髪が伸びて鬱陶しくなったエランは、買ったハサミで自らの髪を切ろうと試みたことがある。顔を近くで見られる性質上、専用の店で髪を切るのは避けたかったのだ。
     無造作にハサミを真横にしてざっくり切ろうとしていたところ、慌てたスレッタが待ったをかけてきた。
    「わたし、髪を切るのは自信があります!なにせ水星では『美容院』なんてありませんでしたから、ずっと自分で髪を切ってました!」
     と言うので任せてみたら、これが実に器用に切ってくれたのだ。後ろ髪の刈り上げ部分すら、ハサミとコームを使って見事に再現してくれた。
     切り捨てた髪を払ってスレッタが用意してくれた鏡を見ると、そこに居たのは色だけが違う学園時代のエラン・ケレスだった。
     以来髪が伸びたなと思ったタイミングで、エランはスレッタにお願いして髪を切ってもらっていた。
     今回は新たな挑戦、新しい髪形のお願いである。
    「暑いから、前髪も横の髪も、後ろ髪と同じくらいの短さにしてくれて構わない」
     新しいことに挑戦するのに意欲的なスレッタだから、すぐに賛同してくれるかと思ったのだが。
    「う~ん…。髪形、ホントに変えちゃうんですか…?」
     なんと、難色を示してきた。

  • 75二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 22:40:42

    ありがとうございます!
    ありがとうございます!

  • 76二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 22:58:18

    更新ありがとうございます!
    4号専用の美容師さんなスレッタ可愛いですね〜
    自分で髪の毛を切らないといけないというスレッタの特技は一見切なくもありますが、4号と一緒だと微笑ましいやりとりに映るのがすごいです!

  • 77123/08/24(木) 07:05:08

    感想ありがとうございます


    >>75

    もしやリクエストをくれた方か髪フェチの方……でしょうか?(メイスイリ

    ご満足いく話になるか分かりませんが、今まで出す機会のなかった設定なども混ぜて書いてみる予定です

    今日の昼すぎと、(書き上がり次第)夜にアップしようと思います。もしかしたら更に長くなるかもしれません


    >>76

    散髪上手なスレッタですが、このSSの4号はスレッタが切ってくれるなら、例え下手でも喜んでその身を委ねるだろうなと思ってます

    4号自身は髪形含めて外見に頓着がないので、途中で止められなければマルタン風前髪&サイド髪になっていた恐れがあります。…今回はちょっと危ないところでした

    スレッタの方は顔の造作自体には頓着はなくても髪の毛には一家言あるという設定になってます。地球へ降りる途中の船の中でも拘りの描写はちょっと顔を出していました

    あとは水星にはきちんとした店などないでしょうから、スレッタは幼い頃はプロスペラママに、ある程度大きくなったら自分で髪を切っていたんじゃないかと以前から考えていました。なので今回その設定を放出してみました

  • 78123/08/24(木) 13:48:25

    >>74

    「スレッタ・マーキュリーは、髪形を変えるの反対なの?」

     とりあえず直球で聞いてみることにした。

    「反対と言うか…。まぁ、反対です」

     豪速球で帰って来た。

     スレッタがこうやって拒否の意を示すのは非常に珍しいことだった。

     一瞬エランは一度も断られたことがない『…いや?』という言い方をしようかと思ったが、それで断られたら謎のダメージを受けそうなので止めておいた。

    「どうして反対なのか、聞いてもいい?」

     単に技術的に難しいという話だったら少し遠出をして専用の店で切ってもらってもいい。実際はスレッタを放って遠出をするなんて出来ないだろうが、この時はそう思っていた。

     スレッタは少し悩んだあと、ゆっくりした声で答えてくれた。

    「初めて会った時、エランさんの髪が耳飾りと一緒にふわふわと浮いているのを見て、綺麗だなぁと思ったんです。地球に降りてからも、風で髪がなびいていたり、ちょっとした動作でふわってするのを見るの、とっても好きで…いやっ!えっと…!変な意味じゃなくて!でもその髪型はすごくいいと思ってるんです!」

     途中から力強く力説され始めたが、つまりは技術的なものではなく、精神的な意味で髪形を変えるのに反対なのだという話だった。

    「…ありがとう。でも、そうか、反対か…」

     スレッタがそこまで気に入っているのなら、切らない方がいいのだろうか。エランの中で髪を切りたい願望を乗せた天秤が、少しだけ切らない方へと傾いた瞬間だった。

     エラン自身はこの髪形にそこまで思い入れはない。エラン・ケレスと同じような容姿にするために、本社に行く度に定期的に髪を整えられていただけだ。そこに自らの意志はない。

     少し長めの前髪で眉や目を隠し、やはり長めの横髪で耳を隠す。影武者として考えられた髪形なので、オリジナルも恐らくそうするように強制されていたのだと思う。

     刈り上げた後ろ髪だけが唯一解放感を感じさせる要素だった。あるいはそれだけは、オリジナルの意志だったのかもしれない。

     未だに本社に居るのだろうオリジナルのことを考えていると、スレッタがいいアイディアを思いついたとばかりに華やいだ顔をした。

    「エランさん、顔にかかる髪が鬱陶しいなら、結ってしまうのはどうですか?」

     エランはぱちりと目を瞬かせた。自分の髪を結うなんてしたこともなく、そうしようと考えたことすらなかったからだ。

  • 79二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 20:16:55

    >>77

    め、名探偵だ!

    『相手の髪を結う』をリクエストした75です

    ありがとうございます!

    エランさんの意見に反対する珍しいスレッタちゃんを見れてとても、ホクホクです!

    続きがとても楽しみです!

  • 80123/08/24(木) 21:07:39

    >>79

    リクエストしてくれた方ですか、ありがとうございます

    SSは一応オチまで思いついて書いている途中なのですが、どうやらもう少しだけ長くなりそうです

    これから続きを載せますが、おそらく明日の昼辺りに最後の一編を載せると思います


    この話を書いている途中で、今回で経験値を積んだ4号が今度はスレッタの髪を編むのもいいなと思いつきました

    シチュエーションが気に入ったので、端切れ話でなく本編の方で髪を結う描写をするかもしれません

    少し先の事ではありますが、今から書くのが楽しみです

    素敵なリクエストをありがとうございました

  • 81123/08/24(木) 21:08:25

    >>78

    「僕の髪の長さで結えるものなの…?」

     戸惑いながら言うと、スレッタは自信ありげに胸を張った。

    「大丈夫。簡単なので、エランさんならすぐに覚えちゃいますよ。ちょっとやって見せますね」

     そう言って、まずはスレッタ自身の髪を使って手本を見せてくれることになった。

    「前髪とサイドの髪を編み込んで、ピンで止めるやり方です。…編み込みって分かりますか?」

    「……その、やり方はよく分からない」

     正直三つ編みと区別すらできないのだが、ほんの少しだけ見栄を張ってみた。まったくの物知らずとは思われたくなかったからだ。

    「じゃあ基本となる三つ編みと、それを発展させた編み込み、最後に片編み込みをやってみますね」

     エランが頷くのを見ると、スレッタはまず三つ編みから作ってくれた。一房取った髪をそのまま3つに分け、端の髪を真ん中に、反対側の端の髪をまた真ん中に、それを髪の先まで繰り返していく。エランでも何となくできそうな気がした。

    「今度は編み込みです」

     最初は三つ編みと一緒だったが、途中で端から真ん中に持ってくる髪の束に下の髪を掬って合流させ始めた。こうすることで頭の形に添って髪を編み込んでいけるらしい。初めて知った編み込みの実態に、エランは感心するばかりだ。

    「最後は片編み込みです」

     多分こちらが本命だ。普通の編み込みは左右の下の髪を合流させていたが、片編み込みは片方の下の髪だけを合流させていくようだ。これはむしろ、普通の編み込みより簡単そうに思えた。

    「じゃあ実際にエランさんの髪で作ってみますね」

     スレッタがそばに寄り、失礼しますと言いながら前髪をそっと手に取る。そのまま片編み込みをして横の髪もすべて編んでしまうと、毛先をゴムで纏め、最後に纏めた毛先を側頭部の髪の中に埋めるようにピンで留めた。

     彼女の指先が優しく髪を編んでいくのは少しこそばゆかったが、何とか最後まで我慢した。纏められると少し頭皮に違和感はあるものの、随分とスッキリするものだ。

    「もう片方も編み込みますか?」

     スレッタが聞いてくるので顔を横に振り、こちらは自分でやってみることにした。手間取って編み目がガタガタになったが、何とかピンで留めるところまでやり遂げた。

    「わっ、初めてなのに上手にできましたね」

     スレッタが褒めてくれる。エランは少し得意な気分になりながら、改めて鏡を覗き込んでみた。

  • 82二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 07:12:45

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 07:14:00

    >>80

    スレッタがエランさんに教えながら髪を結ってるのも好きですし、それが将来、スレッタちゃんの髪を結ってあげるのにも繋がるのがとても素敵です。

    凄く、凝った結いかたをしそうですね

    その未来が、今からとても楽しみです

  • 84123/08/25(金) 08:18:35

    >>83

    感想ありがとうございます

    普段あまり4号に教えるということがないので、何だかとても気合いの入っているスレッタなのでした

    4号もまだ編み込みのやり方を覚えたばかりですが、コツコツと練習して上達する予定です

    とはいってもスレッタの髪を編もうとしているわけではないので、いざ彼女の髪を結うことになったら最初はシンプルな編み込みになるでしょう

    でもそれが何度か続いたら、スレッタの好きそうなお姫様っぽいまとめ髪の仕方をマスターしてるかもしれません

    見るのは4号だけなので、4号だけのお姫様ですね

  • 85123/08/25(金) 14:18:10

    >>81

     前髪と両サイドの髪を束ねるだけで随分と印象が違ってみえる。エランは不思議な気持ちで鏡の中にいるエラン・ケレスの顔を見つめた。

     これで暑さが少しは紛れるだろうか。

     エランの天秤は、もう髪を切らない方へ比重が片寄っていた。

     せっかく彼女が手ずから教えてくれたのだ。明日は少し早起きでもして、自分で髪を編み込んでから仕事へ行こう。

     ほんの少し楽しみにしながら、エランは寝る前まで何度か練習をした。


     そうして次の日、エランはとても困っていた。

     仕事先の人の視線が気になってしまう。急に髪形を変えたからか、視界がスッキリしたからか、妙にエランを見てくる人々が目に付くのだ。

     学園にいた頃は人の視線など無視できたし、それは昨日までの自分も同じだった。

     では今は何が違うのかと言うと、やはり髪形とクリアになった視界だと思えた。

     自慢ではないが視力はいい方だ。そうでなければモビルスーツのパイロットにはなれない。

     その視力で見えてくるのは、こちらを見てくる人、人、人、だった。

     鬱陶しいと思っていた長めの髪が思わぬところで帳の役目を果たしていたのだと知り、エランは動揺した。視線一つが気になるなんて、自らの軟弱さにショックも受けた。

     …実は視線が気になる大半の理由は、自ら編んだ髪形がおかしいのではないかと心配する気持ちから来ていたのだが、この時のエランは気付かなかった。

     結果として、エランの編み込んだ髪形は一日限りのものになったのだった。

    「あれ、エランさん。髪は結わないんですか?」

    「…よく考えたら毎日は大変だし、少し我慢すればいいかな、と思って」

     エランらしくない物言いだと思ったのか、スレッタが心配そうに眉を下げた。

    「わたしの我が儘でエランさんを困らせちゃいましたか?…やっぱり短く切りましょうか」

    「…いや」

     その時のエランが思ったのは、髪を切ったらせっかく教えてもらった編み込みができなくなる、ということだった。それはなんとも惜しく思えた。

    「切らなくても、平気。でも、そうだな。二人で出かける時だけは変えて行こうかな。…上手くいかなかったら、代わりに編んでくれる?」

     エランの言葉に、スレッタが驚いたようにパチッと碧い瞳を瞬かせた。


     このキラキラした綺麗な視線がよく見えるなら、髪を結うのも悪くない。そう思い、エランは照れたように小さく笑った。

  • 86二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 16:16:28

    ありがとうございます
    ありがとうございます!
    凄い好きです
    ありがとうございます(語彙力)

  • 87二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 20:00:39

    >>85

    髪型を変えることで自分の意識も変わるのいいね

    自分がどう見られているか気にするのは周りに意識を向けられるようになった証のようで

  • 88123/08/25(金) 22:46:30

    感想と、あとうっかりお礼を忘れてましたが朝の保守ありがとうございます

    感想返しは端切れ話の裏話も含んでいますので、少し長くなります


    >>86

    語彙力が溶けるほど喜んで頂けたようでこちらもニコニコしています

    基本的に端切れ話は好きなように書いているのでどれも気に入っているのですが、例に漏れずこちらの話もスレ主のお気に入りだったりします

    最後は格好良く決めようか迷ったのですが、ちょうど4号が子供返りしやすくなっている時期の話だったので、スレッタに少し甘える4号の話にしてみました


    >>87

    この時期の4号は『エラン・ケレス』になってから初めての心穏やかな日々を過ごしています。なので色々と抑圧されていた心が一気に成長し出しているところです

    仕事先の人たちは普段髪で隠れている部分も露になった綺麗な顔に見とれてるだけだったりするのですが、4号のほうは自分で結った髪形が見られてるんじゃないか?どこか変な風に結ってしまったんじゃないか?と勝手に心配してしまってます

    以前の学園にいた頃の4号なら「髪形が変だろうが、だから何?」と言えたでしょうが、だんだんと情緒が発達してきた今の4号は羞恥心なども覚えるようになりました

    特に自信のない分野ではそれが顕著です。外見上はチベスナッとしていても、内心はちょっとオロオロしてたりします。周りの反応が気になるのは成長した心の部分がまだ柔らかく傷つきやすいからともいえます。思春期ですね

    最後もスレッタへの甘えの言葉が出ていますが、これは髪を結う事への自信のなさからきた言葉です

    そんな甘えんぼ4号もその内すくすくと成長して大人の男性に近づいていきます

    この時点ではまだ小学校高学年くらいの精神年齢ですが、この後爆速で成長してしまうので、ある意味貴重な時期かもしれません

  • 89二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 06:40:15

    保守

  • 90123/08/26(土) 13:15:20

    保守ありがとうございます。久々の裏話更新です

    【25-②話。(不穏な雲行き 後編)の裏話】その①

    4号大失敗の回です
    元々フロント脱出編の時は何かを間違えたら即死だったのでスレ主としても失敗させることは考えていませんでした。あの頃は4号自身も覚悟が決まりまくっていたので、スレッタを魔女にしない!救う!その他はどうでもいい!とばかりに猪突猛進で難所も勢いよく一点突破して駆け抜けて行きました
    それがどうにかこうにかスレッタを連れて地球へ降りることができ、彼女と様々な思い出を積み重ねながら旅を続け、トラブルが切っ掛けではありますが一つところに落ち着くことができました

    ここで彼の心は初めて余裕と言うものを知り得ます。…別名は、油断です。気の緩んだ瞬間に失敗する、実にあり得る話です。このタイミングでの挫折は予め決めていたことでした
    とは言え余裕や油断は4号の心の成長に不可欠なものでした。旅の間でも少しずつ成長はしていましたが、アパートでの生活で彼は急速に心の内を成長させることになりました
    時にはスレッタを母と見立てて甘えることを覚えたり、時にはスレッタを見習って自分にもできることを探そうとしたり、少しずつ学園での4号にはない心の動きをし始めました
    仕事をしている間、友人のように気やすく話せる役員や、何故か構ってくる謎の老人、苦手な話ばかりしてくる上役、その他の仕事仲間や食堂のおばちゃんなど、色々な人々と交流を重ね、それも4号の心を成長させる糧となりました

    そうやって急速に成長した彼の心はその分だけ不安定な状態です。逆に言うと余裕があって心が油断した状態でなければ、不安定な状態になる成長をさせるほどの余地がなかったとも言えます
    この生活をずっと続けることができれば、そのうち4号は安定した大人の男性となっていたことでしょう。その頃に若がやんちゃをしても、彼の立場や心を慮って、やんわりと付き合いを断ったり、離れたりすることができたかもしれません。少なくとも話し合おうとはしたはずです
    しかしそうはなりませんでした。4号は若の行動により成長し始めた柔らかな心を傷つけられ、必要以上に敵対心を持ち拒絶しました。それにより若も傷つけられ、暴走してしまうきっかけとなりました
    実際は若が悪いのですが、4号の心が大人として完成していれば、なんとか回避できた事態ではあります

  • 91123/08/26(土) 21:29:28

    では裏話の続きです
    【25-②話。(不穏な雲行き 後編)の裏話】その②

    この話で4号が判断を見誤った理由の一端に、若の取り巻きである役員の男の存在があります
    彼は基本的に考える力が足りないアホの子なのですが、こと対人関係に限っては4号や若よりもよほど器用に立ち回る事ができます
    というよりも彼は心根が優しく善良なので、その心のままに相手を気遣っていたら、結果的に器用に立ち回っているように見えただけというのもあります
    ついでに4号と若の対人スキルはそんなに高くないので、比較すると役員の男の対人スキルはとてもすごいように見えます
    4号からすると、理不尽な上司に振り回されつつ嫌な顔をせず付き従い、下の人間にも気遣ってくれる優しく有能な男…!という風に見えています
    それと4号はフィフス兄さんのことを思い出してからはお兄ちゃん属性にめっきり弱くなっていますので、若相手にお兄ちゃん力を発揮する役員の男を見て、彼を頼りに思う下地ができてしまっていました
    以前にも何かの裏話で書いたような覚えがありますが、4号は対人の経験値が足りないので、人に対する評価が普通に間違っていたりすることがあります

    役員の男を有能だと勘違いしている4号は、彼に任せていればまぁ大丈夫だろうと思っていたところがあります。全然大丈夫じゃありませんでした
    一応役員の男なりに頑張ってフォローに回ってたんですが、彼も彼で若のことを信じすぎるきらいがあるので、傷心の若をちょっと放って置いてあげようなんて考えてこの騒ぎと相成りました
    役員の男は彼なりに誠心誠意尽くしましたが、いかんせん頭が足りませんでした。彼の頭がもう少し思慮深くなり、いつもの若と違う!警戒しなきゃ!となっていれば、若は野放しにならず何も起きなかった可能性はあります
    まぁ、悪いのは若なのですが…

    ところでここに来て若と役員の男の2人に名前を付けなかった事をちょっと後悔しています。上役の男、役員の男、では分かりづらいよなと書いていて思います。多分読んでいてもそう思うんだろうなと反省しきりです
    一応『取り巻き』は最後の方では『役員の彼』と呼称がランクアップしています。4号からの呼び方は『職員の男』→『役員の男』→『役員の彼』となっています。出世魚みたいだなと思います。このまま更に出世させて最後のほうに本名を出してしまうか悩みどころです

  • 92二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 21:51:57

    4号君…でもこの後爆速で成長するのがたのしみです。

  • 93二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 22:26:10

    まあ、4号からしたら若を気持ち悪く思うのもわかるなあ
    思春期だし、そこまで余裕ないよね…

  • 94二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 06:28:47

    保守

  • 95123/08/27(日) 07:07:48

    保守と感想ありがとうございます


    >>92

    4号は爆速で成長している最中ですがまだまだ発展途上です。本編SSの最新話ですと情緒は中学生くらいにはなってます

    しかし必ずしもまっすぐプラス方面に成長できるかは分かりません。ちょっと歪んで成長してしまう可能性があります

    一時的に暗黒面に陥る可能性すらもまだある4号なのでした


    >>93

    若がことごとく4号の地雷を踏んでるのもありますね。ちょっと前後は異なりますが

    『性に奔放な話をする(地雷)』

    『厭らしい目で見てくる(ド地雷)』

    『スレッタに近づこうとする(超級地雷)』

    思春期で心の芯がグラグラな時にこれ↑なので、4号的にはもう許せるはずもなく、完全に敵としてしか見れなくなってしまってます。一応役員の男との交流で少しは許してやろうかという気になったようですが……

    もうすぐ、(超弩級地雷)が炸裂する予定です

  • 96二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 12:25:17

    超弩級地雷かぁ楽しみなような見たくないような…でも楽しみ!

  • 97123/08/27(日) 14:28:32

    >>96

    感想ありがとうございます。ちょっとしたネタバレになります

    今チマチマと本編を書いているところですが、まぁスレッタと若のコンビ?なのでそんなに大したことにはならない予定ではあります

    ただ散々4号を怒らせてきたところで最後にこれ(スレッタに直接接触)なので、結果的にはすごいことになるかもしれません

    前もって書いておくと生命的な意味での致命にはなりませんし、貞操的な意味での致命にもならないと思います

    4スレのための世界ですので、その辺りは甘々です




    ↓ここから先はちょっとした報告です

    今のところ本編を書くのに集中していて上げられるSSが用意できないので、特に雑談の内容を思いつかなければ夜の更新は最新話の没話を投下しようかと思います

    肝心の本編の更新ですが、こちらはもう少しお待ちください


    ではまた夜に

  • 98二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 20:12:25

    超弩級地雷、4号とスレッタには申し訳ないんですがめっちゃ楽しみですね!
    本編没話も楽しみです!

  • 99二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 20:20:49

    4スレ大好きなのでこの掲示板で一番の楽しみです。
    まだまだ暑い上天気がかなり激しい日が多いのでお体に気を付けてくださいね。
    貞操的な意味で「致命には」ならないとは…ゴクリ

  • 100123/08/27(日) 21:36:39

    感想ありがとうございます


    >>98

    本来なら4号に対してだけの超弩級地雷なのですが、連鎖的に周りにも被害が出るかもしれないです

    しかしこの後の展開に必要なことなので…爆発させます!


    >>99

    ありがとうございます。こんな元スレからもちょっと外れたオリキャラだらけのSSを好きと言って頂けるのは光栄なことです。体調も気を付けてゆっくりかつ着実に進めて行きたいと思います

    貞操はたぶん思ったよりは大丈夫じゃないかなと思います。相手は貧弱な若なので、スレッタが負けるはずもありません

    しかし気にされる方がいるかなと思ったので、一応注意喚起的なニュアンスで書いておきました




    では次レスにて最新話の没話をアップしておきます

  • 101123/08/27(日) 21:44:06

    25-②話。不穏な雲行き(後編)の没話
    ※4号の回想と言う形で省略した部分になります
    ダイジェスト気味にしたので数行前までの雰囲気と違っていたことと、それでも話が長くなるなと思ったので構成を変えました
    24-②におけるお出かけをする2人の4号視点となります


     次の日は一日中、男は接触して来なかった。
     エランは肩の荷が下りた心地になって、仕事から帰ってすぐにスレッタを外へと連れ出した。
     最近不埒なことに使っている手のひらをそのまま彼女に差し出すことができずに、薄い手袋をして誤魔化してみたりもした。
     スレッタはエランが適当についた嘘を信じて、手のひらの怪我を案じてくれている。
     少しの後ろめたさと、それ以上の嬉しさに胸が満たされるようだった。
     久々のはしゃいだスレッタの姿を見ながら、エランも心安らいでいた。
     それなのに、和やかな雰囲気は途中で霧散してしまった。
     あの男の話題を出してしまったからだ。

     ……スレッタがぽろぽろと涙を流して泣いている。
     エランはそんな彼女の手を引いて、どうしてこんなことになってしまったのか考えていた。
     ここ最近彼女を外に連れ出せなかった理由の一つ、工場の上役のことを話したのはつい先ほどのことだった。スレッタが聞きたがったので、ほんの少し悩みはしたが、結局はもう終わったことだと口に出したのだ。
     とある男がスレッタに興味を持っている、それが気がかりで外に連れ出せなかった。…要はこれだけの話だった。
     男の本来の目当てが自分だとは言いたくなかったので、できるだけ女好きな男なのだと強調して話をした。彼女はそれを信じて、エラン・ケレスに似た女性の姿と、それを想う男の姿を想像したようだ。
     スレッタが自分の外見を卑下するようなことを言ったのは予想外だったが、そんなことはないと慰めて、そうして後は帰るだけだった。
     そのはずだったのに、帰り際に彼女が突然思いも寄らないことを言い出したのだ。
     ───本当の家族になりましょう。お嫁さんと旦那さんという形で、本当の家族になるんです。


    この後は本編SSに合流します
    以上、没話でした

  • 102二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 06:28:48

    保守

  • 103123/08/28(月) 07:25:20

    保守ありがとうございます
    本日はまた用事がありまして、夜まで更新ができないと思います
    できるだけ早めに帰ってくるようにはしますが、途中で保守か保守代わりの感想を書いて頂けると助かります
    スレの寿命が延びていたら、本編が更新できないか今日はちょっと頑張ってみます

    ではまた夜に

  • 104二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 12:28:16

    4号が手袋してたのにそんな理由が…
    単にアレな夢を見てしまったせいだとばかり…

  • 105二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 20:52:14

    >>101

    ここはいつみても辛い(;_;)

    事情が事情だけに特にね…

  • 106123/08/28(月) 22:53:01

    感想ありがとうございます

    スレの寿命が延びたので頑張って本編SSを書いていたのですが、今日中には無理そうなのでコメントを書きに来ました

    順調にいけば明日には本編SSを更新できるかもしれませんが、正直なところまだ未定です。もう少しだけお待ちくださいませ


    >>104

    日々の生活に支障が出るので定期的に自分の手でガス抜きをするようになりましたが、4号的には後ろめたくてしょうがないようです

    多分そのうち仕方がない事として割り切れるようになると思うのですが、今のところはスレッタに素手で触るなんてとんでもない!という心境になっています

    先に進んだようで後退している4号なのでした


    >>105

    双方ともに互いを想いあっているのにすれ違うのは恋愛ものの醍醐味だと思ってます

    ジャンル:『恋愛』だったの?という疑問はさておき、様々なすれ違いを経てお互いがガッチリと結びあっていく予定です

    とりあえず見えている山場を越える所から始めなければいけませんが…

    難所ではありますが、何とか支え合ってくれるでしょう

  • 107二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 07:14:09

    保守

  • 108123/08/29(火) 07:36:19

    おはようございます、保守ありがとうございます

    最新の本編SSですが、こちらはあらかた書き終わりました
    あとは推敲をするだけになっていますので、恐らく夜にはアップできるかと思います

    少し前もってのお知らせなのですが、意外と若の暴走が大人しく収まったので驚いています
    書いていてスレッタの心の広さにビックリしたのですが、若も思ったよりは冷静に物事を考えられる余地が残っていたようです
    という訳でスレッタの貞操は全くの無傷ですので、アップされても安心してお読みくださいませ
    上半身を嫌がらせでサワサワするくらいは想定してたんですが、若は思ったよりは真面目なヤツでした

  • 109123/08/29(火) 14:54:11

    仕事から帰ってくるまでに持たなそうなので、保守代わりにちょっと書き込みしていきます
    夜の本編更新ですが、帰ってから推敲しますので、アップは少し遅い時間になるかもしれません
    もしかしたら大幅に書き直すべきところが見つかり、本日中に間に合わない場合もあります
    あんまり遅くなるようなら間にアナウンスを書き込みますが、アップが24時近くになる可能性がありますのでご了承ください

    ではまた夜に

  • 110二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 16:07:28

    >>108

    スレッタにも4号にも若にも申し訳ないと思うが若に嫌がらせされるスレッタを見たいと思ってしまった…ごめん😢

  • 111二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 18:24:35

    うわー楽しみ〜

  • 112二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 19:45:05

    ワクワクします

  • 113二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 20:53:01

    無理なさらず明日でも大丈夫です!ゆっくり楽しんでます!

  • 114123/08/29(火) 22:40:08

    いま推敲が終わりました
    この後アップしたいと思います
    ご期待に添えるかちょっとドキドキしますが、よろしければご覧ください

    あと若の嫌がらせは時空の狭間にいつのまにか消えてしまいました。基本ライブ感で書いているのでこういう事もあります(すいません)
    クーフェイ老が助言をくれなければ嫌がらせされるルートに行ってた…!?という事にしておこうかなと思います

  • 115123/08/29(火) 22:42:29

    26話。共感と死

    ※暴言、暴力描写などがありますので注意してください




     昼にほど近い時間帯。安全に守られているはずのアパートの一室で、スレッタ・マーキュリーはかつてないほどの窮地に陥っていた。

     張り詰めた緊張感に晒されながら、スレッタは喉をこくんと鳴らすと、目の前の見知らぬ男をジッと見つめた。

     黒髪で、少しくせっ毛の人だった。肌は薄い褐色で、真っ黒な目をしている。顔付きからすると同年代だろうか。背はスレッタと同じか、それより少しだけ大きい。

     何かがあった時は、すぐに連絡をすることになっている。スレッタはゆっくりと後ろ手にポケットを探ったが、そこには何の感触もなかった。…傷心したスレッタは、端末を部屋に置いたままぼんやりとダイニングで過ごしてしまっていたのだ。

     どうしよう、迷ったのは一瞬だった。これはあからさまに異常事態だ。カチリと、無理矢理にでも緊急用の意識に切り替える。

    「あの、どちら様ですか?」

     普段のスレッタは人見知りで、知らない人に話しかけたり緊張したりするとすぐに声がどもってしまう。同時に無駄に焦ってしまい、ドジをする回数も多くなる。

     けれどその性質はレスキューをする上では致命的だ。だからスレッタはエアリアルに乗って操縦する時は出来るだけ冷静になるように習慣付けてきたし、生身の状態でもある程度は意識を切り替えられるように訓練もしてきた。

     今スレッタは意識をレスキュー用に切り替えた。要救助者は、一時的に目の前の彼を想定する。

    「何か声は出せますか?なぜこの家にいるのか、訳を話せますか?」


    ごめんねスレッタ・マーキュリー─共感と死─※暴言、暴力描写などがあります


     昼にほど近い時間帯。安全に守られているはずのアパートの一室で、スレッタ・マーキュリーはかつてないほどの窮地に陥っていた。

     張り詰めた緊張感に晒されながら、スレッタは喉をこくんと鳴らすと、目の前の見知らぬ男をジッと見つめた。

     黒髪で、少しくせっ毛の人だった。肌は薄い褐色で、真っ黒な目をしている。顔付きからすると同年代だろうか。背はスレッタと同じか、それより少しだけ大きい。

     何かがあった時は、すぐに連絡をすることになっている。スレッタはゆっくりと後ろ手にポケットを探ったが、そこには何の感触もなかった。…傷心したスレッタは、端末を部屋に置いたままぼんやりとダイニングで過ごしてしまっていたのだ。

     どうしよう、迷ったのは一瞬だった。これはあからさまに異常事態だ。カチリと、無理矢理にでも緊急用の意識に切り替える。

    「あの、どちら様ですか?」

     普段のスレッタは人見知りで、知らない人に話しかけたり緊張したりするとすぐに声がどもってしまう。同時に無駄に焦ってしまい、ドジをする回数も多くなる。

     けれどその性質はレスキューをする上では致命的だ。だからスレッタはエアリアルに乗って…
    telegra.ph
  • 116二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:03:58

    おぉ…ちょっと若に同情しちゃったからこの展開はスレッタにも若にも辛いなぁ
    4号の言葉にスレッタは何を思うのだろう

  • 117二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:10:09

    >>115

    若が場合によっては取り返しのつかないくらいスレッタを傷つけてた可能性がある以上、エランが若に対してブチギレするのもしょうがないんだけど、片思いしてる人にこんなこと言われたら一生のトラウマになりそうでかわいそう… でも若が先にやらかしてるからな… 同情するけど…なんとも言えないやらかし具合で若のこと嫌いになりきれないよ

  • 118二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:14:15

    スレッタちゃんは優しすぎる…
    そしてスレッタちゃんにとっても若にとってもオーバーキル…

  • 119二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:14:43

    氷の鎌が振り下ろされましたね……

  • 120二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 00:07:02

    これは「氷の君」と思ってしまいましたね

  • 121123/08/30(水) 00:26:35

    何だか反響がすごいので就寝する前に感想返しをしに来ました
    感想数が多いのでまとめてのお返しとなります

    書いてる内にスレッタの優しさが天元突破したうえ、襲撃しに来たはずの若がひよった結果、スレッタと若のひと時の奇妙な友情と相成りました
    書いてるスレ主としては想定外だったのですが、これがまた意外と気に入っています

    4号が切れ味鋭い氷の鎌を振るいましたが、若としてもスレッタに無体を働いたのは事実なので、つらくても甘んじて受け止めてくれるでしょう
    彼はこの事をきっかけに、少し成長する予定です
    プロットを考えた時は『やられ役A』くらいの役回りだった若ですが、思いのほか気に入って頂けた方がいたようで嬉しく思います
    次回はちょっと若好きにはつらい回になるかもしれませんが、それでも納得してもらえるように頑張って書いてみます

    ではまた

  • 122二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 06:40:02

    3人仲良くとまでいかなくとも気持ちを理解しあえたらいいな

  • 123二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 12:39:35

    若が情けなくてちょっと笑っちゃった
    いや、笑ってる場合ではないのだが…

  • 124123/08/30(水) 12:52:16

    感想ありがとうございます。最初の感想返しが少し長くなりました


    >>122

    若とスレッタはズットモ!となれると思うのですが残念ながら4号は駄目ですね…

    若の4号への気持ちには憧れも多く入っているのですが、4号は基本的に自分はそんなに価値がないものと思っているので、若が原稿用紙の束を持ち出して4号への気持ちを理路整然と語ったとしてもあまり理解できないと思います

    4号が自分を肯定できるようになる本編終了後なら何とかなるだろうか…?と考えたのですが、若が色々やりすぎているのでそれも難しいかなと思います

    というより若と4号の相性が壊滅的に悪いです。駄目ですねこの2人は(無慈悲)


    役員の男とスレッタが緩衝材になりケアすれば多少の緩和は望めますが、残念ながら4スレの2人はもうそろそろ次のステージへと旅立つことになるので、相互理解の機会は失われることになります

    4スレの長い人生の一部分を切り取っているだけなので、普通にこういうこともあり得るのですね

    とはいえ若の存在は4スレに多大な影響を与えます。それが2人にどういう変化を及ぼすのかはこれから書きますが、結果的には4スレ成就の糧となってくれるはずです


    >>123

    若は精神年齢的にはまだ子供だったりします

    家族からの愛情があまり与えられなかったので、女の人との関係を代替行為にしていたベーベちゃんなのです

    普段はまだちゃらんぽらんなキャラを装っていますが、今回はそんな仮面を取っ払い、若の幼い内面を前面に押し出してみました

    結果優しいスレッタにクリティカルヒットしたという訳です。もしかしたらスレッタの方が精神年齢的には上だったのかもしれません

  • 125二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 15:42:16

    若ドンマイ!今回はたまたま惚れる相手を間違えただけ、今回の事を切っ掛けに更に成長してくれると信じてるぞ!

  • 126123/08/30(水) 22:28:30

    >>125

    感想ありがとうございます

    若の顛末はこれから書きますが、少しでも前向きになるように書きたいと思います

    正直若とお似合いなのは4号とはまったく違うタイプなので、それに気づけば未来は明るいですね

    とはいえこれからの若は少し恋愛とは離れます。痛い目を見たので当然ですが、しばらくは恋愛どころではありません

    彼がこの先運命の人と会えるとしたら、もう少し中身が大人になってからになるでしょう



    ↓ここから先は簡単なご報告です

    明日の昼からリクエストSSを投稿します

    それが終わったら裏話を更新しつつ、さらに本編SSを書き進めるつもりです

    まだまだ4スレ成就の先は長いですが頑張っていきます

    ではまた明日

  • 127二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 06:45:52

    保守

  • 128123/08/31(木) 13:51:54

    保守ありがとうございます

    端切れ話。地球降下編(思い出をきみに)

     アパートを契約してから数日後、一時的に体調不良になっていたエランはすっかり元の調子を取り戻していた。
     平素では考えられない迷惑をスレッタに掛けてしまったが、彼女はほがらかに笑って許してくれている。そんな優しい彼女のためにも、安心して休めるアパートの準備を進めなければいけなかった。
    「スレッタ・マーキュリー、少し外に出て来る。アパートの引っ越し準備と、ついでに食事も買ってくる」
    「はい、分かりました。お帰りは何時くらいになりますか?」
    「昼近くになると思う。もし遅れるようだったら連絡するから、端末は持っていて」
    「はい。えへへ、いってらっしゃい」
    「………。行ってきます」
     スレッタに見送られながら、エランはさっそく宿の外に出た。久しぶりに言われた挨拶にどこかくすぐったい気持ちを覚えながら、雑多な大通りを歩いていく。
     朝の通りは活気に満ちて、いたるところから様々な音や匂いが飛び込んでくる。
     エランは香辛料や穀物、果物等が混ざった匂いを嗅ぎながらも、旅の間に目を輝かせて食事をしていたスレッタを思い出していた。
     今後は出来る限りルームサービスではなく屋台の食事を買って来た方がいいだろうか。そう思い、横目でスレッタが好きそうな品を見定めながら歩いていく。
     ともあれ今日は色々と必要なものをアパートに運び込み、ついでに周辺の調査をする予定でいる。屋台の本格的な物色はそれが終わった後でいいだろう。
     エランは少し大きめの店舗で生活物資を購入すると、すぐにアパートへ運び込んだ。大型家具はすでに備え付けられているので、それほどの手間はかからない。
     軽く掃除もして、とりあえず最低限の生活ができるくらいまで準備は整えておく。
     作業が終わってもまだ昼までに時間はあるので、エランはアパートの周辺からさらに足を延ばして調査することにした。
     大通りだけではなく、裏道や脇道などの小さい道もチェックしていく。意外と治安はしっかりしていて、日のあるうちは1人で歩いても大丈夫そうだ。
     気付けば建物の影が短くなり、昼間に近くなっている。そろそろ帰ろうかと思っていると、エランは懐かしい匂いを嗅いで思わず足を止めていた。
    「………」
     そこには1軒の店がある。
     現地語でしか書かれていないが、それは古本屋のようだった。

  • 129二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 15:27:35

    凄く…新婚夫婦です…

  • 130二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 19:40:34

    新しい町の探検感いいですよね

  • 131123/08/31(木) 22:26:28

    感想ありがとうございます


    >>129

    スレッタは体調が悪かった4号が元気になって嬉しいようです

    少しの下心は満たせましたが(端切れ話:体調不良と下心)、やはり大好きな人の元気がないのは悲しかったのでしょう。元気に送り出してくれました

    対して4号はせっせと新しい住処の下準備をしています

    まるで巣作りをするオスのようですが、この時の彼はまだスレッタに恋心は抱いていません。なのにこれとは、末恐ろしいですね


    >>130

    新しい町の散歩はいいものです

    少しずつ家の周辺から探り、色々なものや店を発見する。世界が広がるあの感覚は堪らないものがあります

    4号も知らずにそんな楽しい感覚を覚えていたかもしれません。真面目に偵察は行っていますが彼も男の子なので、少しは冒険心が刺激されていた可能性があります

    大手を振ってスレッタと町を歩けたら、さぞ楽しい冒険になっていたことでしょう

  • 132123/08/31(木) 22:30:35

    >>128

     エランは学園時代、一冊の本に助けられていた。誰もが生徒手帳で電子本を楽しんでいる中、おそらく紙の本としてエランだけが所持していた、それは大昔の哲学書だった。

     ショーペンハウアー著『意思と表象としての世界』。簡素な表紙の中に閉じ込められたその世界は、随分と難解で、また随分と厭世的な内容だった。

     ペイル社にいた頃には私物など持てる余裕はなかったので、学園に来てから手に入れたものだと思う。その本を読み出してからの記憶はしっかりとあるものの、実際に手に入れた瞬間の記憶は曖昧だった。

     学園のエランに常に寄り添ってくれたあの本は、外見は綺麗ではあったが古い本特有の匂いが微かにしていた。

     どこか木のような、土のような、懐かしい匂いだ。

     大抵のアスティカシアの学生には嗅ぎ慣れない匂いだったろうが、園芸が趣味のミオリネ・レンブランや、地球から拾い上げられたと推察できるシャディク・ゼネリなら分かってくれたのかもしれない。

     今ならきっとスレッタも、その匂いが何に似ているか気付いてくれるはずだ。

     エランは扉を開けると古書店の中に入った。途端にむわりと古い本の匂いが押し寄せて来る。水分をたくさん含んだ、苔むした森の匂いだと思った。

     見回せば正面も側面も、棚の中にはぎっしりと紙の本が詰めこまれ、それでも間に合わずに平積みになって置かれていた。中には背表紙を修理したのか手書きで題名が書いてあるのもあり、随分と本を大事にしているのだと感心してしまう。

     雑多な印象はあるが、大まかにはジャンル別に分けられているようだ。語学や雑学などが置いてあるスペースをざっと見てみると、その中に何冊かの哲学書が混ざっていることに気が付いた。

     けれど、懐かしいあの表紙や題名を見つけることはできなかった。

     少し残念には思うが、同じものを見つけたとしても再び手に取る気はなかった。エランを助けてくれたあの本は、スレッタの私物と共にデミトレーナーと一緒に燃やしてしまった、あの一冊だけだ。

     思い出の品を彼女から強引に取り上げたのだから、自分もそうするのは当然のことだと、スレッタの私物と一緒に捧げてしまったのだ。エランの持ち物はあれしかなかった。

     エランは思い出を振り切るように息を吐いた。…久しぶりに沢山の本を見られて満足した。

     もう帰ろうと踵を返したエランは、ある一冊の本に目を留めた。

  • 133二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 01:42:12

    >>115

    あの、これ……今気づいたのですけど、4号が最近また手袋をするようになった事が「好きだのなんだの〜」で凄くマイナス方面にスレッタに影響を与えそうな予感がします……!

  • 134二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 07:03:49

    保守

  • 135123/09/01(金) 07:34:57

    感想と保守ありがとうございます


    >>133

    ……………………………。ニコッ


    …と不穏を煽る笑顔をしつつ補足をしておくと、一応スレッタは手のひらを怪我しているという4号の言葉を信じています。それでも少し違和感はあるようです

    お察しの通りスレッタはこれから曇ることになりますが、4号の手袋の件についてはいくつかある曇りの原因の1つ程度にお考えください

    曇らせの理由としてはごく弱いものになると思います


    ただスレ主は基本的に骨組み以外の文章の肉付けはライブ感で行っているので、思いのほか大きな問題になる事も、逆にまったく問題にならない事もありえます

    つまり実際に書いてみるまで分からなかったりします

    テキトーなスレ主ですいません

  • 136二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 12:36:53

    保守

  • 137123/09/01(金) 14:15:39

    保守ありがとうございます


    >>132

     古本屋を見つけてから数日後、エランとスレッタの2人は無事にアパートへと引っ越しすることになった。

     とはいえ初日は色々とバタバタする。事前に準備は整えていたつもりだが、生活に必要な細々とした物資をすべて揃えられたわけではなかった。

     なにせエランは今まで家の準備などしたことがない。実際にアパートへとやって来て、そこで初めて必要だと知る物もあった。

     気づいた端からメモを取ると、さっそく外へ買い物に出る。その間スレッタは残って掃除をしてくれることになった。

     事前に掃除をしていたので汚れてはいないが、おそらく気分の問題だろう。スレッタは新しい住居に早く馴染もうとしてくれているのだ。

     彼女のそんな前向きなところは密かに尊敬しているところだ。進めば二つ、という言葉自体には思うところがあるが、それとこれとは話が別である。

     ともあれ。エランは必要なものをきっちりとメモを見ながら揃えていった。いくつかの店を回ったので、帰って来た時には一時間以上は経っていただろうか。

     室内用の靴に履き替え、廊下へと進んでいく。さすがに掃除は終わったようで、アパートの中は静かだった。

     きっと部屋で休んでいるんだろう。そう思いながらダイニングへと入ると、そこには一冊の本を静かに読んでいるスレッタがいた。思わぬことに目をぱちりと瞬いてしまう。

    「あ、おかえりなさい。エランさん!」

    「ただいま。…スレッタ・マーキュリー、その本は…」

     スレッタが手に持っているのは大ぶりの花図鑑だ。

     古本屋に売られる前にどこをどう旅して来たのか。それはエランの故郷の言葉で記されて、見覚えのある花たちが表紙を華やかに飾っているものだった。

     写真ではなく緻密な絵で花々が描かれているその本を、エランは見つけた瞬間手に取ってしまった。時間がないのにパラパラとページをめくり、気付いたら会計していたのだ。

     普段嵩張るものを買わないようにしていたのに…。衝動に任せて買ってしまったのが恥ずかしく、引っ越し先のダイニングの棚にそっと忍ばせてしまった代物だった。

    「掃除の途中に棚に置いてあるのに気付いて、手に取ってしまったんです。本の中には、こういうものもあるんですね」

     ほら、この花は見覚えがあります。そう言ってスレッタが嬉しそうに見せてくれたのは、いつかの花冠に使った花々だった。

  • 138二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 17:52:30

    夏至祭の花冠かな

  • 139123/09/01(金) 23:40:08

    >>138

    感想ありがとうございます

    そうです。夏至祭の花冠です。あとはお墓参りの時の花冠も混じってますね。クローバー以外の花も使って色々と作っていたのです



    ↓ここから先はご報告です

    リクエストSSですが、最後のオチに納得できず書き直したところ文字数をオーバーしました

    いつもの事ではありますが、削れる場所を探すのにかなり手間取りそうです

    今日中には間に合いそうもなく、また眠気がやってきているので明日の朝や昼も難しそうです。おそらく明日の夜更新になると思います

    不甲斐ないスレ主で申し訳ありません



    それと、本編SSを収納した保管庫ですが、『0話プロローグ』の前に『─初めに』という項目を加えておきました

    水星の魔女を最終回まで見た方が初めて読んだら戸惑うことが多いだろうなと気付いたので、急遽差し込んだものになります

    内容は簡単な注意書きになっていますが、本編SSを読み進めた方には今更の内容になっていますので、新たに読む必要はありません



    ではまた

  • 140二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 07:00:10

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 07:58:17

    エラン君の故郷の話とても好きなので遠く離れた土地でもふるさとを偲ばせるものと出会えたの良かったですね

  • 142二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 13:45:35

    保守

  • 143123/09/02(土) 14:40:29

    保守や感想ありがとうございます


    >>141

    ありがたいことに何かしらの素敵な感想をちょくちょく頂いてますが、具体的なエピソードを好きと言われるとまた嬉しいですね

    スレ主としても故郷訪問の話は気に入っています

    普段スレ主は言葉のリズムが綺麗に流れるように意識して書いているのですが、あの辺りの表現はうまくいったのではないかと思ってます

    ちなみに地球降下編はおとぎ話や児童書のような雰囲気を目指して書いていまして、最新のリクエストSSはちょっとその辺りの雰囲気も出たらいいなと思いながら書きました


    ここまで書いて唐突に気づいたのですが、よく考えたら地球降下編と監禁?編のハイブリッドSSでした。うっかり明記をわすれてました

    後でtelegraに纏める時にでも直しておきたいと思います



    リクエストSSですが、削れそうな箇所をいくつか発見したのでスッキリとさせて夜に投下する予定です

    ではまた

  • 144二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 18:06:49

    このスレ、皆さんとても穏やかで丁寧な言葉遣いをされるので読んでいてホッとしたりホッコリします。スレ主様の多彩な表現力で描かれていく小説の更新も本当にいつも楽しみです。

  • 145123/09/02(土) 21:47:33

    >>144

    嬉しいお言葉ありがとうございます

    他のスレの傾向からすると異端かもしれませんが、たまにはこんなゆったりとした雰囲気のスレもあっていいのではないかと思っています

    今のところ書き込んでくださる方も優しい方ばかりなので、管理はたいへん楽ちんで助かっております

    二者択一!が信条な4号などを書いていて何ですが、スレ主は切り捨てるのが下手な方なので、荒れてしまっても削除をするにはすごく悩むんだろうなと思います


    なのでこれからもゆったり穏やかにスレ進行が出来るよう頑張っていきます。スレ主一人ではなくこのスレに書き込んでくれた方々と一緒に作っていくスレです

    大事にしていきたいですね

  • 146123/09/02(土) 21:49:41

    >>137

     これも、これも見覚えがあります。弾むように言いながら、彼女の指先が様々な花たちを指し示していく。

     この図鑑を古書店で見つけた時、思い浮かんだのはスレッタの顔だった。つまり、この本は彼女の為に買ったものなのだ。

     だから彼女が楽しそうに見ているなら、エランは十分満足だった。

    「エランさん、このお花見たことありますか?」

    「エランさん、このお花道端に咲いてましたよね?」

     置き場所もよかったのか。スレッタはちょっとした隙間時間にその図鑑を眺めては、エランに話しかけたりした。

     エランも故郷の文字を読めない彼女の為に、説明文を読んであげたりした。

     本は知識の伝搬の為にある。けれど、決してそれだけではない。コミュニケーションツールとしても最適だった。

     古本屋で偶然見つけたこの図鑑は、十分すぎる働きをしてくれた。


     時間は過ぎ、あと一月もしない内に新たな土地に行くことになる頃。スレッタが図鑑を次の旅にも持っていきたいと言い出した。

    「…現物だと重くて嵩張るよ。電子本で探してみたらどう?」

     エランは戸惑った。スレッタは基本的に物分かりが良く、必要ならきちんと割り切れる人だからだ。

    「分かってますけど、この図鑑は持っていたいんです」

     申し訳なさそうに言うと、彼女は図鑑をじっと見つめた。

    「この本の匂いが好きなんです。旅の間に通った森や、舗装されてない道を思い出します」

     確かに匂いは電子書籍にはないものだが、まさか利点として語られるとは思っていなかった。エランの頭に2人で通った森の情景が思い浮かぶ。

    「アパートでの思い出も、いっぱい詰まってますし」

     ダイニングで図鑑を見ながら話しあった光景が甦る。

    「世界に一冊の、特別な本なんです」

     そうして最後の言葉で、エランは燃やしてしまったある存在を思い出していた。

     自分の心を救ってくれた、一冊の哲学書。あれがなければとっくにエランの心は壊れていた。

     スレッタを見る。彼女はとても大事そうに花図鑑を持っている。…あの頃の自分を、思い出す。

    「………」

     本は知識の伝搬の為にある。けれど、決してそれだけではない。エランを支え続けてくれたあの本のように、替えの無い存在にもなり得るのだ。

     気付けば、エランはこくりと頷いていた。


     目の前で、図鑑の花々にも負けないほどの、綺麗な笑顔が花開いた。

  • 147二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 22:21:50

    2回目の、本は知識の伝搬の為にある。この部分で思わずウルッときた
    この図鑑が2人の絆を繋ぐ物になってほしい

  • 148二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 23:12:31

    「世界に一冊の、特別な本なんです」。
    スレッタのこの言葉通り、大量印刷された物の内の一冊の本に過ぎなくても、日焼けや経年劣化さえ蓄積された思い出の跡なんですよね。
    「他のスレの傾向からすると異端かもしれませんが」とスレ主様は仰いましたが、いち読者であり利用者に過ぎないものの、私にはこのスレが数多くある水星のスレの内の特別なひとつです。
    いつも素敵なお話、本当に有難うございます。

  • 149123/09/03(日) 00:42:45

    感想ありがとうございます

    毎度のごとく少し長くなります


    >>147

    4号は本というものに思い入れがあるだろうなと思っています。このリクエスト内容を最初に見た瞬間に、4号が持っている哲学書を絡めた新しい本の話を書こうと思い立ちました

    実はその時はフライングだったこともあり、リクエストSSではなく普通の端切れ話として書こうとしていたんですが、素敵な内容だったためか別の方が新たにリクエストしてくださいました

    少し難産でしたが、無事お届けできてホッとしています


    4号とスレッタの絆についてですが、この図鑑も2人を繋ぐアイテムの1つになる予定です

    恐らくさらっとした描写になると思うのですが、どのような場面で出て来るのかはもう決めています

    ところで、リクエストSSを書いているうちに、段々と絆エピソードやアイテムが揃ってきました

    何だかゲームの攻略をしているようですが、攻略者は4号でありスレッタで、攻略される側はスレッタであり4号です

    お互いを攻略しあうゲームですね。キーアイテムは図鑑だったり髪結いだったり、色々です


    >>148

    日焼けなどの描写も入れようと思ったのですが、文字数の関係で断念しました。少し未練はありますが、この後の本編SSで改めて本の詳細な描写を入れるのもいいかなと思い直しました。おそらく出て来るのはもう少し後になりますが、その時になるのが楽しみです


    あとこのスレの異端っぷりですが、単純に文字数が多いよなと思っています

    普通はレス1つに一行だけとか、一言だけが多いと思うのですが、気付けば文字数が嵩んでいます

    端切れ話に至ってはいつも書き込める文字数ギリギリです。むしろ毎回投稿するボタンを押しても『〇文字オーバー』というお報せと共に弾かれます

    横を見れば圧縮され小さくなったスクロールバーのノブが見えます。これは長い

    でもそんなスレでも受け入れて頂ける方がいらっしゃいますので、これからも何だか妙に長い文章と共にスレを続けて行くと思います

    特別な1つとは恐れ多いですが、同時にとても嬉しい言葉でもあります。ありがとうございました



    ではまた明日

  • 150二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 02:34:43

    私も常日頃からこのスレの雰囲気が好きだなと思っていたので、同じ気持ちの方々が居らして温かい気持ちになりました。
    文章から滲み出るスレ主さんの非常にまめで穏やかなお人柄もその要因でしょうね。

    今回もスレ主さんらしい、心がきゅっと温かくなるお話で思わず目が潤みました…スレッタのために本を選んだ4号も、その本に思い入れを抱くスレッタも、「本への思い入れ」を分かち合える2人も全てが尊いです。語彙力が無くてすみません…

    本編や端切れ話はもちろん、積み上げてきたリクエストSSも2人を繋ぐ大切なエピソードになるというの、愛しかない…となりました。改めてこのスレに出会えて幸せです。

  • 151123/09/03(日) 08:02:18

    >>150

    お褒めの言葉をいただき嬉しいです。今回もすごく長くなってしまいました


    なんだかスレがすごい勢いで褒められてチヤホヤされているので、一瞬このスレ終わるのか…!?(こう、最後のご祝儀的な…!)と思ったりもしましたが、よく考えたらまだまだ本編SSは続くので大丈夫でした。あとよく考えなくてもスレ主は自分でした

    スレへの進退決定権を持っているので、管理人さんに爆破されない限りは安泰です。まぁ、書き込みをうっかり忘れていたら露と消えるのですが、今のところは保守でサポートしてくれる方がいるので大丈夫そうです。いつもありがとうございます

    例えばこのスレを覗いている方が新しいアニメなどに夢中になり、ふと、そういえばこんなSSスレがあったよなぁと思ってロボカテで検索してみたらまだパートを重ねて続いている。そんな感じでゆるゆるやっていくでしょう

    これもスレ主の遅筆が故ですが、元からのんびりした気質なので仕方がないですね。そういう仕様なのです


    SSの話になりますが、このお話の性質上、2人の交流が重なれば重なるほどに後の展開が生きてくると思っているので、リクエストSSも貪欲に4スレの糧にさせて頂く予定です

    本編だけを追っていたら突然出て来た過去エピソードやアイテムに『?』と思うかもしれませんが、ちょっとした説明も一緒に書くと思うので多分大丈夫じゃないかなと思います

    端切れ話も追って下さっている方は、要所要所でニヤッとできるかもしれませんね

  • 152二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 14:11:04

    スレ主様の雑談や捕捉も読み応えがあるのでそちらも楽しく読ませて貰ってます

  • 153123/09/03(日) 14:47:28

    >>152

    ありがとうございます。さっそく長い補足を載せに来ました

    長すぎて弾かれたので、前編後編に分けることにしました



    【端切れ話(リクエストSS)思い出を君に。の裏話】その①


    この話の大筋は『書店にてスレッタに本を選ぶ4号』という内容を見たすぐ後には頭に浮かんでいたのですが、一応本の種類をどうしようかとまでは決めていませんでした

    スレッタの心に残る特別な本です。コミック。小説。なども考えました。その場合は中身の内容なども考える必要がありました。スレッタの好む話なので、児童書もいいかなとも考えました

    しかしここで問題になるのは4号のほうです。書店で現物を購入する時、彼は何を考えてそれを買ったのかも決める必要がありました

    スレッタは端末を持っています。フロントで買った高性能なものです。漫画が好きな彼女は電子本で色々な作品を揃えて楽しんでいます。アド・ステラは未来の話なので、電子本の内容も現実の今の世界よりも充実しているという設定です(地味に初公開の設定です)

    それなのに、4号がわざわざ荷物になる現物を購入したのは何故だろう。この答えになるものが分かれば、おのずと本の種類も決まると考えました

    そうして考えた末に、一冊の古ぼけた花図鑑に決まりました



    続きは夜に載せに来ます

  • 154二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 22:08:03

    保守

  • 155123/09/03(日) 22:18:04

    保守ありがとうございます

    投稿しようとスレを開いたら同時に保守の更新があったんでちょっと嬉しくなっちゃいました

    では端切れ話の裏話更新です。なぜかちょっとした物語調になりました



    >>153

    【端切れ話(リクエストSS)思い出を君に。の裏話】その②


    スレッタは前向きで、常にポジティブに進もうとしています。4号はそんなスレッタのことを密かに尊敬しています。実はスレッタは4号がそばにいるから安心して前に進むことができているのですが、4号自身はそれに気付いていません

    なので、いつか後ろ向きな自分を置いて彼女は先に進んでしまうだろう。…4号はそんなことを心の内で思っています

    故郷を思わせる花図鑑を見つけた時、彼は考えました。この図鑑に描かれた花々を見たら、彼女は自分たちがした旅の出来事を思い返してくれるんじゃないかと

    花図鑑は珍しいものです。少なくとも水星で育った彼女にはそう思える筈です

    その珍しい本と旅の思い出を関連付けることで、図鑑の事を思い出すごとに旅の思い出を…旅に同行した自分の事を一緒に思い出してくれるんじゃないか。4号はそう思いました

    考えたのは一瞬でしたが、次の瞬間には衝動的に大きな花図鑑を購入していました

    その後正気に戻って大慌てでアパートに置きに行ったりしてますが、返品しようとはしませんでした


    さて、アパートに越した後、4号が望んだとおりにスレッタは花図鑑を楽しんでくれました

    むしろ想像以上で、故郷の文字が読めないスレッタに4号が説明文を読み聞かせてあげたり、その感想をスレッタが話してくれたりと、2人が仲良く過ごす時間の切っ掛けとなってくれました

    それでも4号は次の旅に持っていこうとは思ってませんでした。この本は一時の慰めでいいのです

    わざわざこの時間を継続するために、無理をして持っていくつもりはありませんでした。アパートを引き払う時には、花図鑑を見つけたあの古書店に売って戻しておこう。4号はそう考えていました


    けれど、結局花図鑑は元の古書店に戻ることはありませんでした

    アパートで過ごすうちに、4号が買った花図鑑はスレッタの大切なものになっていたからです

    思い出を振り返るために購入した本でしたが、いつの間にか本そのものに2人の大切な思い出が降り積もっていました

    そしてそれを、スレッタは手放したくないと強く強く思ってくれたのでした

  • 156二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:13:18

    思い出を振り返るだけじゃなく図鑑に載っている花を探しに行く事で新たな思い出をつくる切っ掛けにもなりそうですね

  • 157二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:18:40

    保守

  • 158123/09/04(月) 13:05:05

    すいません、ちょっと朝バタバタしていたので感想のお返しができませんでした

    保守もありがとうございます


    >>156

    新たな花を探しに行く。その発想はありませんでした

    確かにスレッタはまだ花図鑑に描かれた花をすべて見たわけではありません。4号の故郷と一口に言っても広いので、植生にも色々と変化が多いでしょう

    つまり花を探す旅も十分に成立するわけです

    今後の展開はもう決めてあるのですが、ちょっと心惹かれてしまいますね。ちなみに次行くところは植生などは全然違うところです

    書くとすれば最終回後の二人が故郷の村の跡地に住み着いたフィフス兄さんを訪ねる、という体で花を探す旅行をする形になるでしょうか

    これは端切れ話ではなくこぼれ話になってしまうので、構想を練っても実際に書くのは相当先の話になりそうです



    ↓ここから先はちょっとしたご報告です

    現在本編SSの続きを書いてますが、まだもうちょっと時間がかかりそうです

    そこですっかり忘れそうになっていた裏話を夜から更新していきます

    おそらく裏話を更新し終わっても本編は書き終わってないと思うのですが、そこはそれ、感想があれば感想返しを、なければ雑談で持たせようと思います

    要はいつものこのスレというわけです



    ではまた夜に

  • 159二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 20:28:39

    いじらしいね4号…

  • 160二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 20:46:30

    二人が次は何処へ向かうのか楽しみです!
    夏も比較的涼しいところ、いつも蒸し暑いところときましたから

  • 161123/09/04(月) 21:46:03

    感想ありがとうございます


    >>159

    本来なら4号は自分勝手な男だろうなとは思うのですが、このSSの4号は本能と理性の凌ぎ合いを常にしていまして、その時々によっていじらしかったり自分勝手だったりします

    自分勝手と言っても人を踏みつけにするようなものではないので…マイペースという方が近いでしょうか

    例えば初期の頃、グエルは仲間にしないのか?という風な事をシャディクが聞いた時、エランはすぐにNOと答えています

    自分とスレッタの間に何物も挟まって欲しくなかったからです。これは自分の好きにしようとする本能の部分が強く出ていました

    対して普段のスレッタには4号は少し遠慮しています。彼女を攫った後ろめたさから、あまり無理強いはしないように自制しようと理性が強く働いています

    とはいえ相対的なものなので、スレッタ相手にも本能の方が強まって自分の好きなように振舞う時もけっこうあります

    端切れ話(グリーン アイズ モンスター)では、じぇいそんさん相手に嫉妬してた時などは本能が強めでした


    >>160

    実は作中で旅とは言ってますが、次は少し慌ただしい移動になる予定です

    なのでおそらく一瞬で現地に到着します

    今月中…は無理かもしれませんが、来月には新しい土地に着いているはずです。…きっと

  • 162123/09/04(月) 21:50:04

    では久々の裏話です

    【26話。(共感と死)の裏話】その①

    スレッタのピンチ回であり、若の襲撃回です
    とはいっても、最初からスレッタの状態はそんなに酷い事にはならない予定でした
    せいぜいブチ切れた若が、スレッタの胸を「こんな大きな胸しやがってぇ!」と鷲づかむくらいを想定してました
    まぁこれだけでも、何してんだよ若!と怒る方はいるでしょうが、実は本当の最初の最初、まだ若のキャラクターが出来上がる前は、もっと酷い展開を想定してました
    頭の中できちんとした構想が決まっていなかった頃、フロント脱出編で4号が単身で宇宙遊泳していたくらいの時は、この役割は単なる行きずりのチンピラAくらいが行うはずでした
    ストレートにスレッタの貞操と命の危機だったのですが、その割にはあんまり山場としてふさわしくない地味な出来事だったと思います

    それを盛り上げるためにどうすべきかと考えて、犯人を一人のキャラとして確立させることにしました。ついでに4号とスレッタの内面の掘り下げもしようと思い、4号に横恋慕してスレッタに嫉妬する若の存在を作り上げました
    しかしここで想定外が発生します
    4号が好きなあまりスレッタに襲撃を掛ける!という役割を持って誕生した若ですが、存外愛嬌のあるキャラになってしまったのです
    まぁそれでも気にせず当初の被害の大きさにさせることはできたのですが、話が進んでいくごとにスレ主としても彼に愛着をもってしまいました。悩みに悩み、結局は被害を小さくすることに決めました
    そして、いざ本番!という時に、なんと肝心の若が使い物にならなくなってしまい、暴力どころではなくなってしまいました。すでにだいぶ大人しめになっていたというのに、更に縮こまってしまったのです
    結局べしょべしょと情けなく泣く彼は、被害者であるはずのスレッタに優しく慰められました。…そうして、貞操被害はまったくなくなったのでした

    本当に想定外なのですが、実はこのままでもこの先の展開にそんなに支障はなかったりします
    スレッタが体に受けた衝撃を少し重めにしてみたからです
    貞操も無事、体も無事、だと心の底から心配して怒っている4号が可哀そうなので、ここでバランスを取ってみたのでした
    ちなみに心も無事だったのですが、4号の若への対応で最後の最後に被害を受けました
    被害の大きさについては、後々少しずつ描写が入ると思います

  • 163二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 00:17:20

    ある意味一番厄介な所に被害を受けてしまった…

  • 164123/09/05(火) 06:54:18

    >>163

    感想ありがとうございます

    ここでのスレッタの精神的被害だけは初期の初期から決めていましたので、若がどんなにか弱くなってもダメージ量は変わることはありません。確定ダメージです

    むしろこの為の若の存在なので、一応最低限の仕事はしてくれたことになります

    スレッタの心の傷は思わぬ展開を呼ぶことになるでしょうが、巡りめぐってハッピーエンドへの布石になる予定です

    という訳であんまり酷いことにはなりませんので、ご安心くださいませ

  • 165123/09/05(火) 14:07:03

    では裏話の続きです

    【26話。(共感と死)の裏話】その②

    スレッタのレスキューについて掘り下げてみました
    彼女は第一話こそ大慌てでミオリネを助けに行きましたが、実際に助ける場面ではとても繊細にエアリアルのマニピュレータを操り、ミオリネを無事に救出しています
    また13話では生身の状態で、ノレア操るファラクトで踏みつぶされようとしているニカを救出しています
    このことから、スレッタは人を助ける『レスキュー活動』に関しては、スイッチが切り替わるように意識を集中して体を動かすことができるとスレ主は考えました
    小さい頃から引っ込み思案な子のようなので、おそらく訓練で条件付けされた技能だと思います
    ただテロに巻き込まれた時のように、誰かを攻撃したり、誰かに攻撃されたりすることは苦手なようです。優しい子なので仕方ありません
    なので若の襲撃は本来ならスレッタには対処できない事態でした。しかし若が大人しかったこともあり、スレッタはムリヤリ若を要救助者…つまり助ける対象として思い込むことで、なんとか冷静になろうと努めました
    これは学園にいた頃と違って、4号から『ペイル』という敵の存在を教えてもらっていたことが大きいです
    普段は4号と一緒に平和に過ごしているように見えても、実は緊急時の対処法を一生懸命考えていたのです
    若は最後の方には本当にスレッタにとっての要救助者になってしまいましたが、もし本物の『ペイル』の追手だったら最後まで警戒は解かなかったでしょう

    ところで話は変わりますがスレ主はゆりかごの星がとても好きです。エアリアル君の語りとスレッタのすごい所が同時に読めるとてもお得な作品だと思っています
    そこで出て来る描写に、助け出したエルゴ爺さんをそのままエアリアル君の懐に抱いて断崖を削ってショートカットして基地まで戻る、というものがあります
    スレ主はこの部分も好きなのですが、今回はちょっと悪い方向に深読みしてみました
    もし時間が十分にあっても、コックピットを開放して2人乗りはしなかったんじゃないかな…と。なぜなら自分を苛めて来る人と狭いコクピットに2人きりは怖い状況でしかないからです
    命の危険を救ってもなお罵って来る理不尽な老人たち相手です。過去にはスレッタはせっかく助けた相手に小突かれるくらいはされたことあるんじゃないかなと考えました
    なのでそんな記述もさらっと入れてみました

  • 166二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 14:20:49

    私もゆりかごの星とても好きです。水星の基地というとてもSFな舞台で、エアリアル君の語りはどこか童話のような雰囲気を醸し出しているところが好きです。

  • 167二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 21:14:19

    保守

  • 168123/09/05(火) 22:52:31

    感想と保守ありがとうございます


    >>166

    いいですよね、ゆりかごの星

    スレ主はまず最初に読んだ時にモビルスーツ視点(しかもガンダム)という所に度肝を抜かれました

    次いであまりに優しい目でスレッタのことを語っているので、すぐにエアリアル君自身のことが大好きになりました

    本編でどんなにエアリアルという機体が不穏であろうと彼のことを怖いと思わなかったのですが、その理由はこの小説にあります

    スレッタに対する純粋な愛情。ゆりかごの星にはそれが詰まっていると思います

    今ではエリクトの語りだったというのが主流でしょうが、スレ主はいまだにこの時の語りはエアリアル君本人だったと思っています


    ちなみにこのスレのエアリアル君はエリクトとは完全に別存在です

    2期が始まる前に書いたので仕方がないのですが、この設定は個人的にとっても気に入ってます

  • 169123/09/05(火) 22:55:07

    では裏話の続きです

    【26話。(共感と死)の裏話】その③

    情けない事になっている若ですが、それでも冒頭は不気味な雰囲気を出せるように頑張ってみました
    ウィッグを被っているスレッタを遠目で見ただけで同一人物だと看破していたりなど、ちょっとした強キャラっぽさも出しています
    実はこれは偶然や思い込みではなく、実際に彼の観察力は侮れないものがあったりします
    家族の中でも勉強ができないという理由でやる気がなくなり適当に生きるようになっている若ですが、こと観察をする力に関しては家族の誰よりも優れています
    しかし、彼の才能は誰にも気付かれず埋もれたままの状態です
    自分自身ですらよく気付いていないので、現状は家族の顔色を見ながら許されるボーダーラインを見極めて好きなように遊ぶためにその能力を使っていたりします
    あとは自分を甘やかしてくれるお姉さんを見つけるのに役立てたりしています
    基本的にしょうもない使い方しかしてないです

    観察力に優れている彼は、実はやる気になればどのような仕事にもその才能を活かすことができます
    営業やマーケティングであれば、さらにその才能を活かし、ひとかどの人物になっていた可能性もあります
    さて、一族経営の工場は基本的にスペーシアン向けの製品を作っているところで、新しい商品の開発や研究などはそれほど自由には行えません
    傘下に入っているグループ以外に勝手に売る事もできないので、現状のままでは営業やマーケティングはそれほど必要がなかったりします
    そう、若の才能は今のところ会社の為に伸ばしてもあまり意味がないのです
    現状のままでは二重の意味で若の才能は宝の持ち腐れです
    なんだか可哀そうですが、何かのきっかけでその才能を伸ばそうと思う事も、その才能が必要になる事も、長い人生あるかもしれません

  • 170二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 00:09:44

    才能に気付かず腐ってしまう人も少なくないですよね 若もチャンスを掴みとって次のステージに進めたらいいな

  • 171123/09/06(水) 07:04:30

    >>170

    感想ありがとうございます

    若の顛末も、心配するほど酷いことにはならない予定です

    そばにはアホですが優しい取り巻きも控えているので、しばらくの間は落ち込んでいても何とか再起してくれるでしょう

    一度はベッコベッコにされますが、このことがきっかけで掴むものもあったりします



    ↓ここから先はご報告です

    現在最新話を書いている最中なのですが、毎度のごとく進みが遅く、すぐにアップできる状態ではありません

    申し訳ありませんがその間は雑談や感想返しなどで間を持たせたいと思います

    たぶんすごくくだらない話が飛び出ると思いますが、ご容赦頂けるようお願いいたします


    ではまた

  • 172二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 14:36:57

    保守

  • 173123/09/06(水) 19:46:07

    スレ主です。相変わらず本編は出来上がっていないので、雑談でもしに来ました。お昼の保守に甘えて夜更新です。ありがとうございます


    唐突ですがスレ主はなろう小説とか好きです
    特に異世界もの。レベルアップとかスキルとかが出て来るものが好きです
    SSを書き始めてから時間がそちらに取られ、今はなかなか気軽に読めない状況ですが、たまにどうしても読みたくなる時があります
    そういう時はお気に入りに入れてる中で、途中で更新が途切れたもの。いわゆる『エタっている』ものを中心に少し読んでいます。それも最後に読んでから時間が年単位で経っているものです

    作品ページを開きます。そしてまず最初にあらすじを読みます
    面白い作品はすでにあらすじから面白く読めてしまうものです。一度読んで面白いと思ったものなので、補正は入っているかもしれません
    次に作品を最初から読み始めます。中には連載として続いているうちに雰囲気が異なってくるものもあり、そういう小説の場合はさらに新鮮な気持ちで冒頭を読み進められます
    実はスレ主はレベルアップの描写が特に好きだったりします。レベルアップしなくても、登場人物のできることが少しずつ多くなっていく場面などがとても好きだったりします。スキルでもアイテムでも人との出会いでも、その過程がとても面白く読めてしまうのです
    序盤は成長描写の宝庫です。なのでとてつもなく面白く感じます
    読み進めて行くと、だんだんと成長描写自体は減っていきます。主人公の周りの環境が落ち着き、成長期から円熟期に入ったと感じます(←これは読んでるスレ主の主観です)
    そこで一旦切り上げて、もう一度最初のあらすじページに戻ります。そして今度はあらすじではなくタイトルの上の注意書きの部分に注目します

    【この連載小説は未完結のまま約〇年以上の間、更新されていません。
    今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。】

    ………。
    今読んでいたのはとても面白い小説です。ですが、年単位で更新されていません
    続きが読めないことに悲しくなったスレ主は、せめて自分が書いている作品は最後まで書きあげようと決意を新たにすることにして、SS書きに戻るのでした
    …まぁスレ主は一度好きになったら数年間はその熱量を保っているので、本編SSを最終話まで書くことは普通にできるんじゃないかなとは思ってます

    ではまた

  • 174二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 20:45:15

    なろう小説はたくさんある中からお気に入りを見つけるのがなかなか難しいですよね…

  • 175二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 23:01:56

    完結しないままになってしまうのにもきっと色々事情があって、書かねばと思えば思うほど書けなくなったりもするんだろうな…と創作しない側の人間なりに想像するのですが、本音を言えばそれでもやはり完結しないのは寂しいものですよね。
    面白くて夢中で読んでいたものなら尚更。

    最後まで書き上げようと思ってくださっていること、現在進行形で夢中で読ませていただいている者の一人として素直に嬉しいです。

    好きな物や面白い物に触れてインプットする時間も大切でしょうし、目的なくのんびり過ごす時間も大切なので、先日のように休憩を挟んだりもしながらご無理のないペースで綴っていただければ幸いです。

  • 176123/09/06(水) 23:28:33

    感想ありがとうございます


    >>174

    なろうは時間泥棒ですが、新たに好みの小説を発掘する作業が一番時間が掛かりますね

    なので今年に入ってからはお気に入りの数が増えてなかったりします

    おすすめ小説がすべて好みに合致していれば話は早いんですが、人気のあるものでも個人の趣味に合わなければそれで終わりですからね

    ちなみにスレ主は主人公の相棒が動物系か、主人公自身が動物系だとお気に入り率が跳ね上がります

    逆にハーレム系はちょっと苦手です。たくさんの嫁が一斉に別の場所でピンチに陥ったら主人公はどうするんだ?と読んでいて思ってしまうからです


    >>175

    今のなろうは一時創作しかありませんから、無から有を生み出すのは相当難しいと思います

    それに比べてスレ主は三次創作なので、主要キャラクターを一から生みだす必要もなく、主なストーリーも元スレを参考にすることができ、と難易度はかなり下がっていますね

    とはいえ文章を考えるのは中々に大変なことだったりします。元々SS書きではなかったのでなおさらです。しかし書きたい場面も色々とあるので少しずつ進んでいくつもりです


    あと労わりのお言葉ありがとうございます

    実は今日お休みで色々な動画とか見て楽しんでました。仕事や家の用事がないとこんなにゆっくりできるんだなと感動しきりです

  • 177二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 06:55:28

    保守

  • 178123/09/07(木) 14:55:46

    保守ありがとうございます
    スレを夜まで持たせるために書き込みに来たのですが、今回も雑談です

    リクエストSSを頂いた際なのですが、まずだいたいの内容を考えてから、実際に書くときの資料として映像を確認していたりします
    記憶があやふやだったのでシロツメクサの花冠の作り方とか、夏至祭の様子とかですね
    最近では4号の髪を結う話で、どんな風に髪を纏めればいいんだろうなぁと見ていたりしました
    男性用の髪のまとめ方もありました。サイドの髪を細かく捩じってピンで留め、剃り込み風にスッキリさせる方法でした
    格好いいなと思ったのですが、教えるスレッタがその方法を知っているかな?と考えて、知らないだろうな…と普通の編み込みにしていたりします

    そんな映像資料ですが、大体はユーチューブで欲しい映像を漁ってます
    実はスレ主は昔からのニコニコユーザーで、完全に遊ぶつもりの時は面白いコメントを求めてニコニコ動画に籠っていたりします
    ですが映像資料なので、この場合はコメントはいらないわけですね。気軽に海外の情報も集められるので重宝しています
    そんなスレ主なのですが、最近はユーチューブで面白い動画を発信されている方などもボチボチ発見するようになりまして、チャンネル登録していたりします
    DYI動画とか、金の錬成とか、そういうのです
    さすがに金の錬成は4スレに活かせないでしょうが、いつか4号が自宅でくつろぐための物作り…DYIをし始めてしまうかもしれません

  • 179二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 17:08:14

    スレ主様が描く4号とスレッタの、アニメとは完全に独立した世界観の話も機会があれば読んでみたいです!
    現代転生とか童話パロみたいな

  • 180二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:25:01

    金の錬成???

  • 181123/09/07(木) 20:41:28

    今日は少しだけ早く帰ってきました

    ちょっとした疑問や素敵なご要望などありがとうございます


    >>179

    実はこのスレでは公開してませんが、『ごめんねスレッタ・マーキュリー』とは違う世界観のものも書いたことがあります

    ただ本当に数は少なく、さらにすぐ読み終わる超短編ものだったりします

    4スレ中心だと最後まで書き終わっているのは2作です。文字数にすると本編SSの1話分にも満たないような短さになりますが、自分でも結構気に入ってる話たちです

    書き逃げSSさんにてすでに公開してある短編ではありますが、まだ新作の本編SSも書き終わってませんので、間を持たせるためにこちらのスレに上げてもいいかなと思い始めました

    ただ本編SSとは本当に関係ない話なので、止めたほうがいいのでは…?と思っている自分もいたりもします

    いや悩ましいですね


    >>180

    金の錬成とはちょっと語弊があったかもしれません

    使わないメモリや昔のゲームソフトを集めて、基盤に使われている極少数の金を薬品で分離して集め、小さな金塊にする一連の動画があるのです

    最初は本当に吹けば飛ぶような粒なのですが、動画が進むごとに段々と金塊の数が増え、それを纏めて大きな金塊にしていくのです

    時には古来の製法を使い、時には最新の薬品を使い、色々な手段をもって少しずつ金や銀を集めて行きます

    これがまた面白いのです

    頑張って不純物を取り除いた純金の塊を専門の会社に送り、綺麗な金の板にしてもらったりすることもあります。美しく煌めいた板になって帰って来た金を見た時はおぉ…っと、とてつもない感動を覚えました

    いつかたくさん集めた純金をアニメや漫画で見るような金の延べ棒にする日も来るのかもしれない…!

    そんな期待を込めて視聴していたりします


    ちょっと話は変わりますが、水星アニメを見ているとパーメットは基盤の代わりになっているのかもしれないな、と思いました

    ならば金の価格は現実世界よりも下がっているのでは…?そんなことを想像し、何だか軽くショックを受けてしまうスレ主なのでした

  • 182二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 21:17:07

    >>181

    差し支えなければ読んでみたいです

  • 183123/09/07(木) 23:35:05

    >>182

    ありがとうございます

    では明日の昼と夜にでも載せてみようかと思います

    『ごめんねスレッタ・マーキュリー』の世界とは違うものなので、きちんと注意書きを書かなければいけませんね

    もうすでに読んだよ…という方には申し訳ありません。でもほんの少しだけ文を書き加えたりしていますので、よければ後でご覧くださいませ



    ではまた

  • 184二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 07:02:04

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 09:21:27

    スレ主様 いつも素敵なお話ありがとうございます。
    私も本編SS最終話まで見届ける事できれば嬉しく思う者の一人です。

    花図鑑のシーンの絵を書いたので奉納させて頂ければと、スレ画含めご自由にお使い頂き大丈夫です。
    (髪色肌色等の4号の日々の努力を反映できていない部分は何卒ご容赦頂ければと、すみません。)

    これからもあらゆる更新楽しみにしています!
    未熟で恐縮ですがスレ主様さえよろしければまた折を見て絵を書かせて頂ければ嬉しいです。

  • 186123/09/08(金) 14:37:13

    SSのアップと一緒にいつも保守ありがとうございますと言いに来たら何ですかこれェ!(保守ありがとうございます!)

    なんか素敵なものを頂いてしまいました!


    >>185

    ありがとうございます。俄然テンションが上がってきました!

    最初に見た時その優しく鮮やかな色使いにビックリしてしまいました。すごく綺麗です

    そしてスレッタと4号が醸し出す空気感がとてもいいです。穏やかな中にもトキメキがあって、思わずきゅんとしてしまいます

    4号がカッコいいですね。端正な表情過ぎます。そしてスレッタが可愛らしいです。恋する乙女すぎます

    ぎゃわいい(語彙崩壊)

    自由に使ってもいいとのことですので(お気遣いありがとうございます!)、さっそく次のスレにて使わせて頂こうと思いますふふふ


    というかですね、この絵の状況はたぶん寝る前のひと時なのではないかなと思うのですが

    その前提で考えると、なんか、お揃いの寝巻きなんですかね、これ…(ドキドキ

    実は民族衣装風の寝巻きと普通のスウェット系と、どちらがいいか迷っていた時期があったのですが

    そして迷った末に特に詳細な記載はしていなかったと思うのですが

    可愛いので民族衣装風寝巻きにしてしまおうかなと思います!

    後で読み返してスウェット!とか書いてあったら、馬鹿め、この二人はお揃いで買った民族衣装風寝巻きを着ているんだよ!と思いながらこっそり直してしまうことにします


    ↓妄想始め


    ──寝る前のひと時、離れがたい二人が花図鑑を開き、少しの間だけ思い出話に花を咲かせていた。

    なぜだろう。いつもより体温が近く感じる。

    これは夜だからだろうか。夜の重い帳が二人を押して、近づかせているのだろうか…。

    そんなことを思いながら、思い出の花を、見た事のない花を、それぞれ口にして寄り添いあうのだった──


    ↑妄想終わり


    可愛らしい中に少しドキドキする要素が入って、ときめいてしまいますね。思わず謎の短文も生まれてしまうというものです

    素敵なイラスト、ありがとうございました!

  • 187123/09/08(金) 14:41:48

    何だか満足してスレを閉じようとしてしまいましたが、SSをアップする予定なんでした

    ↓以下注意書きです


    【今から投稿するものは完全に『ごめんねスレッタ・マーキュリー』とは違う世界観の作品となります

    アニメ本編とも違う謎時空なので、それを念頭に置いてお読みください

    ちなみに4号もスレッタも幼児化している上、平仮名がとても多く読みにくい仕様になっています】



    エラスレ色々(はじめての友だち(?))


     エラン・ケレスはまだ子どもだ。

     父おやのエラン・ケレスといっしょの名まえなので、たまに『ジュニア』や『4ごう』とよばれることもある。

     どうして4ごうなのかきいたら、父おやのエランがかなしいカオをしたのでエランはそれからきいていない。

     とにもかくにも、エランの名まえはエランだった。

    「エラン、今日はお友達が遊びに来るぞ」

    「…?ぼくにはトモダチなんていないよ」

     ふしぎなことを言う父に、エランはクビをかしげてしまう。

     エランは『しょうきょくてきな子ども』なので、いつもペイルほいくえんでは一人でご本をよんでいる。

     トモダチなんてだれもいない。


    はじめての友だち(?)※ひらがな多めなので読みにくいです。幼児化注意



    エラン・ケレスはまだ子どもだ

    父おやのエラン・ケレスといっしょの名まえなので、たまに『ジュニア』や『4ごう』とよばれることもある

    どうして4ごうなのかきいたら、父おやのエランがかなしいカオをしたのでエランはそれからきいていない

    とにもかくにも、エランの名まえはエランだった

    「エラン、今日はお友達が遊びに来るぞ」

    「…?ぼくにはトモダチなんていないよ」

    ふしぎなことを言う父に、エランはクビをかしげてしまう

    エランは『しょうきょくてきな子ども』なので、いつもペイルほいくえんでは一人でご本をよんでいた

    トモダチなんてだれもいない

    たまに5ごうオジさんが心ぱいしているけれど、エランはご本があればそれでいいと、いじをはっていた

    ちなみに5ごうオジさんは、5ばんめに生まれたから5ごうなんだとわらっていた

    「父さんの昔の知り合いが子供を連れて来るんだ。聞けばお前と年も近いって言うし、きっと仲良くできるさ」

    「…そんなの分からないよ」

    父のことばにエランはぷくっとほおをふくらませる。ほいくえんでだって、アイツはナマイキだとかいわれてトモダチができないのだ。きっとその子…
    telegra.ph
  • 188二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 15:23:37

    >>187

    ありがとうございます!凄く素敵なSSで読んでて心が温かくなりました!

    2人の幼少時代の様子がとても可愛らしくてここから2人がどんな道を歩み、結ばれたのか凄く気になってもっと読みたくなりました!

  • 189123/09/08(金) 21:37:52

    >>188

    感想ありがとうございます

    このお話の2人は小さい頃から仲良しで、でも本格的に付き合ったのは恐らく高等部くらいからだと思います

    初等部ではスレッタが気になって仕方ないグエル君と、それが気に入らない4号が決闘騒ぎとかしてると思います

    シャディクはそれを面白そうに囃し立てながら見ていて、ミオリネに頬を抓られてます


    中等部では体の成長が早いスレッタの方が先に思春期になり、ちょっと4号と余所余所しくなったりします

    自分より背も大きく大人になった(ように見える)幼馴染に焦燥感を覚えながら、スレッタにだいぶ遅れて二次性徴が来た4号は爆速で体が大きくなっていきます

    スレッタは最初から4号に恋をしてましたが、4号が恋をしたのは二次性徴が来てスレッタより背が大きくなってからですかね

    それから4号の方もスレッタに余所余所しくなり、1年か2年くらい疎遠になります

    その後高校でなんやかんやがあって、衆人環視の元で盛大な告白劇をして、晴れて正式なお付き合いをすることになります

    「エランさんとお付き合いすることになりました」

    「スレッタ・サマヤと付き合うことになったよ」

    という2人に、周囲の人間は

    「え、まだ付き合ってなかったの?」

    とビックリするのでした


    ちなみに世界観としてはアニメ本編よりも平和なのですが、4号周りは少しきな臭かったりします

    優秀なエラン・ケレスを更に優秀にさせようとクローンを生産、さらに外から遺伝子操作した実験体に、ナンバリングが割り振られたのがこのお話の4号と5号です。オリジナルエランは虎視眈々と機会を伺い、何とか隙を見てブラックな組織から逃げ出すことに成功しました。その時に実験体のサンプルとして生まれる前の彼らを持ち出してます

    残念ながら1~3号は無茶な遺伝子操作が元で誕生することは叶いませんでしたが、5号は普通に生まれることができました

    4号は少し危うかったのですが、10年以上たってようやく無事に誕生させられる下地が揃ったので、エラン・ケレスの実子として迎え入れてます。それまではコールドスリープ状態でした

    なので4号の方が先に作られましたが、5号の方が遥かに年上になります。ケレスさん30歳、5号15歳、4号0歳くらいを想定してます

    その設定いるの?という感じですが、超裏設定として存在しています

  • 190二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 21:38:35

    『はじめての友だち(?)』のスレッタとエランの可愛さに胸を撃ち抜かれました。エルノラママを足元で追いかけっこをする4号にエランパパと最初は「おお。こいつが他人に興味を持つなんて」と驚き喜ぶも、執拗に知り合いの娘さんを追いかける我が子に段々しかめ面になっていく光景がありありと浮かびました。
    エランパパがエルノラママを「ミズ」呼びしていたという事は、エルノラママは既婚者ではなく結婚歴のないシングルマザーという事ですか? 背景の設定を考察するのもとても楽しいです!

  • 191123/09/08(金) 21:59:57

    >>190

    ミズは既婚女性未婚女性問わずに使う事のできる気軽な名称なので、特に何も考えずに呼ばせてましたね。一応畏まる事のない親密さを表現できればいいなと思い、ミセスではなくミズの方の敬称を付けている設定です

    一応ナディムパパは存在しています。なのでこの話のスレッタはきちんと2人の間に生まれた女の子です

    エリクトの妹でサマヤ家の次女になります。4号とは打って変わって、とても健全な生まれのお嬢さんです



    ではもう1つの短編を投下しておきます

    今回もまったく『ごめんねスレッタ・マーキュリー』とは関係のない世界観のものです

    アニメ本編に似ているのですが、もう少しコミカルな世界を想像しています



    エラスレ色々(メカぐるみぱにっく)


     それはいつもの通学路の途中に唐突に表れた、小さな異物だった。

     レバーが付いた小さい白い箱が、道の端にデンと置いてある。

    「あれ、なんだろう?」

     帰宅途中のスレッタは興味を惹かれて、そのよく分からない物体を観察してみた。

    「えっと、ガシャポン?」

     箱に書かれた説明を見るに、これは小さな小さな販売機らしい。どうやらお金をチャージしてレバーを倒せば商品が出て来るようだ。自動販売機とは違い、中身は選べないようだが。

     商品名は、『ガシャポン:メカぐるみ』。販売機には見本として、モビルスーツのようなパーツを身に着けた小さなお人形のフォトが張り付けてある。

    「わぁ、かわいい」


    メカぐるみぱにっく それはいつもの通学路の途中に唐突に表れた、小さな異物だった。

     レバーが付いた小さい白い箱が、道の端にデンと置いてある。

    「あれ、なんだろう?」

     帰宅途中のスレッタは興味を惹かれて、そのよく分からない物体を観察してみた。

    「えっと、ガシャポン?」

     箱に書かれた説明を見るに、これは小さな小さな販売機らしい。どうやらお金をチャージしてレバーを倒せば商品が出て来るようだ。自動販売機とは違い、中身は選べないようだが。

     商品名は、『ガシャポン:メカぐるみ』。販売機には見本として、モビルスーツのようなパーツを身に着けた小さなお人形のフォトが張り付けてある。

    「わぁ、かわいい」

     どれも個性があって可愛らしい。スレッタは少し悩むと、生徒手帳を取り出して1回分のお金をチャージしてみた。

     ガシャン…ッ

     けっこう大ぶりなボールが販売機から転がり落ちてくる。小型のハロのような姿で、これもまた可愛らしい。このボールの中に人形が入っているのだろうか。

     スレッタはわくわくしながら、両手で大事にボールを持って地球寮へ帰宅した。


     さて、中身の開封である。スレッタはボールを両手で挟んでねじるように回してみるが、開かない。何かコツでもあるんだろうか。…
    telegra.ph
  • 192二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 22:23:55

    >>191

    なるほど、それで「ミズ」呼びだったのですね。

    大変失礼しました。お陰様でひとつ賢くなりました。

  • 193二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 22:25:06

    メカぐるみぱにっく個人的にかなりツボです!
    パートナーメカぐるみと一緒に学園の決闘を勝ち上がっていく熱血バトルもの路線も良さそう!

  • 194二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 22:28:16

    エランはスレッタのめかぐるみを作り、シャディク・グエル・ミオリネの三人は自分のめかぐるみを作ってしまったのか、それともスレッタ同様他の皆も想い人のめかぐるみを作ってしまったのかその先の展開がもう気になってしまいました。

  • 195123/09/08(金) 22:46:53

    >>192

    いえいえ、こちらこそ感想のお礼を申し上げるのを忘れておりました。改めて感想を頂きありがとうございます

    そしてエランパパの様子はまったくその通りだったりします

    スレッタに興味を持つ4号に最初は嬉しくなったものの、いつまでも終わらない追いかけっこに(いくらなんでもしつけぇ~~!)と強制終了させました。あと紳士のあり方についてをくどくどとお説教しました

    でもその間4号の視線は心配そうにこちらを見ているスレッタに釘付けでした

    エランパパは(こ、こいつ~!)と思いつつも程々にお説教を切り上げてくれました


    >>193

    トーナメント物ですか…!その発想はなかったですね

    一応かわいいメカぐるみとの交流を交えつつ、このガシャポンを置いたのは誰なのか?その目的は?という謎を追い求めるストーリー展開を想像してました

    でもその過程でトーナメントを組むこともできる訳ですね。ちょっとメモにでも書いておきます

    とはいえ本当に短編として書いたものなので、日の目を見るかは分かりませんが…

    まずは本編SSを書ききらなきゃいけないですからね


    >>194

    スレッタ→ふぁらくと型えらん

    エラン→えありある型すれった

    ミオリネ→みかえりす型しゃでぃく+えありある型すれった

    グエル→でぃらんざ型らうだ+えありある型すれった

    ラウダ→だりるばるで型ぐえる兄さん

    シャディク→みかえりす型みおりね


    ですね。誰も1つずつしか買ってはいけないとは言ってないよなぁ?とばかりにグエルとミオリネが2個作ってます。ブルジョワです。個人的にこの2人は何か似ている所があると思ってます

    えありある型すれったが大渋滞を起こしてますが、3機のすれったが一堂に会してわいわいきゃあきゃあ賑やかにお喋りする様子を想像して楽しんでます。それぞれちょっぴり性格が違います

    ちなみにシャディクはその発想と妄想っぷりがすごい事になっています

    シャディク氏「だって…ミオリネにミカエリスを組み合わせたら綺麗だと思ったから…!」と供述しており…



    あとスレがもうそろそろ終了となりますので、もう少ししたら新しいスレを作ってきます

    まだ準備が整っていないので、あと1時間くらいでしょうか。それまでしばらくレスを控えてお待ちくださいませ

  • 196123/09/08(金) 23:49:36
  • 197二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 23:59:20

    秋が近づいてきたという事で紅葉狩りに行く2人が見たいです!書店で買った花図鑑を持って秋の植物を探す2人、みたいな感じです!

  • 198二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 04:06:27

    リクエストはここに置いておけばいいですか?
    あ~~スレ主さんの文体で見たい主題が多すぎてたまりません!!!
    それで私の好みのテーマを置いておきますので、この中から気に入ったものを選んでください!
    1. ラブレターあるいは恋慕の詩みたいなものを書く4号スレ
    : 相手に送れないと思って自分の率直な気持ちを打ち明ける内容が相手にばれてしまったり誤解や嫉妬の発端になったりという展開興味津々ではないですか?! ラブレターじゃなくても恋詩や恋愛歌詞の筆写とかも悪くない展開なんじゃないかと思います! 書体の練習や現地語を習ったりの一環として!
    2. 間接キスや酒に酔って/痛くて甘える、相手に恋愛面で甘酸っぱく正直になるシチュエーション
    : こんなドキドキロマンチックコメディーのような要素も楽しいスパイスになりそうです··· 特に相手の内面を想定できなかった事態でひとしきり覗いてしまうそのときめきとギルティプレジャーは、かなり格別ではないでしょうか!
    一応すぐ適当に整理できるのはこの程度ですね··· 何でも喜んで期待します。 もし迷惑なリクエストだったら失礼しました!

  • 199二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 09:36:25

    えーと読書…は前の話と被るから、スポーツの秋で!
    2人でなんかスポーツか勝負?をする話がみたいです!

  • 200二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 12:33:41

    流れに乗って「芸術の秋」でお願いします!
    ・2人で(もしくはどちらかが)スケッチしてみる
    ・何かしらの芸術鑑賞をする
    等 内容はお任せします。

オススメ

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