- 1二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:02:10
- 2◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 20:05:01
過去スレ一覧です……!
https://bbs.animanch.com/board/1712644/?res=192
https://bbs.animanch.com/board/1720355/?res=991
オリキャラ集めてバトロワ書きます2|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1712644/?res=192https://bbs.animanch.com/board/1720355/?res=991「バトロワす…bbs.animanch.comオリキャラ集めてバトロワ書きます3|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1712644/?res=192https://bbs.animanch.com/board/1720355/?res=991https:…bbs.animanch.comオリキャラ集めてバトロワ書きます4|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1712644/?res=192https://bbs.animanch.com/board/1720355/?res=991https:…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:06:36
立て乙です
- 4二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:14:51
立て乙です
待ってました…! - 5二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:30:07
おあえりっす
- 6二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:30:53
おかえりなさい
- 7◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 20:32:01
前回は落としてしまい申し訳ありません……!
デスゲームは最終盤ですが、今後ともよろしくお願い致します……! - 8二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 20:40:18
保守
- 9二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 21:15:14
☆
- 10◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:22:10
31話⑯投下します……!
- 11◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:22:36
最初に動いたのは、マネモフル=タマネだった。
彼が一番早く動けたのは、最初から覚悟を決めていたからだ。
クラスメイトのために肉壁になる覚悟。
生き残った参加者の中で、彼だけが帰還を視野に入れていなかった。
死兵。
僅かな時間を稼ぐために、マネモフルは特攻する。
「しゃあっ 破心掌!!」
出し惜しみはしない。出来るはずがない。
封印していた500億の人格から知識を引き出し、マネモフルは心臓を狙った一撃を繰りだす。
たとえ野蛮人を超えた野蛮人になろうと関係ない。ここで茜音沢を止めれなければ全てが終わりだからだ。
茜音沢は——鉄棒を振り下ろす。
たったそれだけの動作で、マネモフルの命は潰える。 - 12◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:22:59
人は、鉄の棒で殴られたら死ぬ。極当たり前の事実を、茜音沢は超人相手にも押し付ける。
マネモフルの動体視力では鉄棒を捉えきれない。
マネモフルの身体能力では鉄棒を捌けない。
マネモフルの技術体系では茜音沢には勝てない。……彼は、どこまで行ってもマネモブ(紛い物)でしかないのだから。
無情にも鉄棒は振り下ろされる。
一撃で、クレーターが発生する一撃。
「っ!?」
——マネモフルは、茜音沢の背後に回り込んでいた。
虚をつかれた茜音沢が振り向くと同時に、心臓に破心掌が届く。
必殺の一撃。
茜音沢はよろめき、しかしそれだけだった。
今度は横に鉄棒が振るわれる。音速を超える一撃。人体をミンチにする威力を込めた一撃。 - 13◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:23:28
マネモフルの姿が掻き消える。
「しゃあっ!」
逆側に出現したマネモフルの蹴りが、茜音沢の脇腹に刺さる。
「お前、それは……!」
マネモフルがワープをしている。
茜音沢の記憶では、マネモフルの中にそんな人格は無い。
さもありなん、彼はこのゲームが始まる前のマネモフルしか知らない。
今の彼は
「しゃあっ 『猿空間(ここからきえる)』!」
一人ではない。
マネモフルのアッパーが、茜音沢の顎を揺らす。
カウンターの一撃は、マネモフルには当たらない。鉄棒が直撃する前に、マネモフルはワープしている。
生き残ったクラスメイトで最強格だった石川大輔。彼を歯牙にもかけなかった茜音沢が、石川から格が落ちるマネモフルには意外な苦戦を強いられている。 - 14◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:23:50
あにまん学園3年1組には数多くの異能者が在籍するが、一番のチート異能者は誰かという話題になれば、暗黒金持ちたちが挙げる名前は三つに絞られる。
『怪異遣い』結栞奈。
『無敵ダンサー』パンパンパン・ラッタッター。
そして、『人間ワープ』ねうねい・めああえ。
が、彼女には弱点があった。体力に乏しい彼女ではワープを頻発することは出来ない。また非力で無力な彼女がワープをしたところで出来ることは限られている。上記二人と比較し単体武力は評価できず、『自分しかワープできない』という制約は、他者のサポートとしても使いずらい。
——それらの弱点は、マネモフルの中に宿ったことで埋め合わされる。
鍛え抜かれた体格を誇り、タフな体力を持つマネモフルと『人間ワープ』のシナジーは、茜音沢にも通用する。
それでも、それはきっと刹那の間だけだ。
茜音沢は超一流の武人。
後数秒もしないうちにマネモフルのワープの法則を理解し、攻撃を当ててしまうだろう。 - 15◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:24:22
そしてマネモフルの攻撃は茜音沢に有効打を与えられない。
この勝負は、はなから結末は決まっている。
——マネモフルが一人ならば。
「ジャアアアアアアアアアアアアアア!!」
怒りに満ちた声が響き、巨大な大蛇の顎が茜音沢を呑まんと迫った。
舌打ちと共に、茜音沢はその場を飛び退く。
その背後に、影のように迫る者がいた。
空気のように透明に、せせらぎのように静かに。
大蛇の攻撃に注意を逸らされた茜音沢が気づけたのは、その人物の肉体が、『本来の人物』よりも、未熟であったためだろう。
首筋を狙った一閃を、紙一重で躱す。
「テメェは……」
「久しぶりですね、先生」
篠宮は張り付いたような笑みを向けた。
「まさかこんな形で戦うことになるなんて」 - 16◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:24:55
茜音沢の太腿から、血が零れる。
右手で斬首狙いの一閃を仕掛け、左手で透明な拳銃での銃撃。
こんな器用な芸当を、どちらも高い熟練度で発揮できるのは、あにまん高校3年1組にも、一人しか居ない。
「篠宮、まさか小田斬の記憶を……!」
「ふふ、先生まで斬ることになるなんて……」
どうやら僕はつくづくロクデナシのようですね。
茜音沢に刀を向け、篠宮は冷酷に笑うのだった。 - 17◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:25:17
31話⑯終了します……!
- 18◆xaazwm17IRZa23/08/15(火) 21:25:42
続きはまた後日投下します……!
- 19二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 21:41:18
篠宮くんついに参戦か……
先生を前にしてここまで余裕あるってことはもしかして例の裏コード教えてもらったのか? - 20二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 00:08:03
本人はあっさり退場した小田斬くんの要素出てくるのアツい
- 21二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 09:06:17
立て乙です!
遂に有効打が…透明な武器ってDISCと相性抜群の異能だったんだな - 22二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 12:20:10
なんか小田切くんと意識混ざってる?
ロクデナシって言葉選びといい、先生「まで」斬ることになるなんてって台詞といい - 23二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 13:22:41
もう死んでるからどれだけ盛っても大丈夫な小田斬くんパネェ…
彼と同格だった新篠も油断してなければ相当だったんだろうな - 24二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 14:13:47
メタ的に見ると幸運値システムが悪さするせいで強者達が第一ミッション始まる前に死んでる…
- 25二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 17:49:50
でもA+組がほぼ全滅したからこそ瀧澤とかキルコ辺りの活躍が見られたんだよね
このスレ主は早期退場したキャラにもフォロー入れてくれるし次回作でも幸運値があるといいな - 26二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:11:40
結やオルランドもそうだけど早く退場したキャラ達にもその後回想等で出番あるのいいよね
宇多くんは…… - 27二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:58:01
31話⑰投下します……!
- 28二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:58:26
ティタノボアは動かなかった。
自らを散々痛めつけた茜音沢への憎しみは強い。
しかし彼の頭上には、千頭之のづちが居る。
ティタノボアが本気で動けば、頭上の千頭之は慣性の法則に従って吹っ飛んでいき、壁のシミになるだろう。
人間がシミになろうがフンになろうがティタノボアの知ったことではないが、千頭之だけは別だ。
かつて自分の命を救った巫女の末裔であるし(千頭之は祖先の話をまったく知らないようだったが)、何よりこの少女は、人間というより同族に近い親しみを感じる。
明確に敵対したならともかく、王たるティタノボアを信頼し身体を預けた者をみすみす殺す真似は出来ない。
故に、茜音沢に対しティタノボアは動かなかった。
動く必要が無かった。
王は、一人ではない。
この場には、もう一人の王が居る。
「わっ……」 - 29二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:58:51
千頭之は、突如襟を引っ張られ驚いた。
そのまま四肢が中に投げ出される。
落下した、わけではない。
むしろ、その体は浮上している。
千頭之が離れたことを察知した瞬間、ティタノボアは動いた。
その巨体を異能じみた筋肉で駆動させ、時速100㎞を超える速度で、茜音沢へと突っ込む。
宙に浮きながら、千頭之はそれを見送る。
殺し合いに招かれる前にならともかく、修羅場をいくつも潜った少女は、すぐに現状を理解する。
自分が乗っていてはティタノボアは前線に参加できないため、第三者が自分を運んでいるのだ。
そして一瞬でティタノボアの頭上まで移動し、人間一人を掴んで飛び去れる存在など、今この場所には一匹しかいない。
「Nek-O……! いや、猫王だっけ?」
「Nek-Oでいい。猫王は昔の名だ」 - 30二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:59:29
セーラー服の襟を加えながらも、Nek-Oは器用に話してみせた。
かなりの高さから飛び降りたにも関わらず、Nek-Oはふんわりと着地してみせた。
「私たちは逃げた方がいいわね」
声をかけてきたのはスーツの女……宇都だった。
「お前は戦えないのか?」
つい声色が冷たくなってしまうが、治そうとは思わなかった。
「私は対異能専門だから、ああいうゴリラの相手は苦手なのよね」
猫ならともかく、と宇都はNek-Oを見下ろす。
ゴリラより猫派だと言っているのではない、と千頭之でも分かる。
先ほどの情報交換で今のNek-Oは自分が殺された攻撃を再現できると提示していた。『攻撃の再現』……技術による模倣などではなければ、それはきっと『異能』の範囲だ。事実、Nek-Oは苛立たし気に宇都を見上げている。
「その子は私がおんぶするわ。あなたの体躯じゃ引き摺ることになるし、それだと逃走速度に影響出るでしょ」
「吾輩が信用するとでも?」 - 31二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:00:02
「あら、私はあなたたちのこと好きよ。殺し合いは幾つも見てきたけれど、ここまで生き残って主催戦やってるのはあなたたちくらいだもの。仲の良いクラスだったのね」
「喧嘩を売っているのか?」
「いいよ、Nek-O。宇都って、言ったっけ。おぶって逃げてくれるならありがたい。優しいんだね、おばさん」
「アタシはまだ20代だっつーの。ほら、いいからおぶられな」
促され、渋々Nek-Oは宇都に千頭之を背負わせた。
「Nek-O」
と、千頭之はクラスメイトの猫へ呼びかける。
「私のことは気にしなくていい。君のやりたいようにやってくれ」
「……だが、この女は信用できんぞ?」
「大丈夫、今は少しでも戦力が居るはずだから。だから、悪いけど……」
私のことはいいから、と千頭之は言った。
Nek-Oは悩んだ。異能殺しなるこの女は、敵だ。Nek-Oならともかく、足を怪我した千頭之では、この女に対抗できない。 - 32二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:00:32
生殺与奪を握られてしまう。
だが、マネモフルと、そして恐らくディスクを使った篠宮、そしてティタノボア。茜音沢を相手するなら戦力の逐次投入は避けたい。今戦っている三人にNek-Oが乱入すれば、僅かだが打倒の可能性があるかもしれない。
しかし三人を倒されてから単独で挑んでは、絶対に勝てない。
Nek-Oの同行者は、いずれもNek-Oの見ていない場所で命を落とした。
麻井も、里美も。
もしかしたら、千頭之も同じように。
「頼むよ、Nek-O」
と、千頭之は力なく笑った。
「私は、これ以上みんなの足を引っ張りたくない」
「……分かった」
Nek-Oは千頭之に背を向けた。
「勘違いするなよ千頭之」
「何をさ」 - 33二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:01:01
「吾輩は、人間に興味など無い。これは、生き残るために最適な行動をしているだけだ」
「うん、知っている」
「そしてもう一つ。お前は一度だって誰かの足を引っ張ったことなどない。生き残った者が卑屈になっては、死んだ者も浮かばれん」
「……うん、ありがとう」
また会おう。
そう言って、Nek-Oは茜音沢の元へと駈け出して行った。
千頭之を背負った宇都もまた走り出す。
背負われながら千頭之は、力無く横たわる金木に目をやった。
「二人は無理よ」
「分かってる」
「それに、あの子はもう死んでるわ」
「分かってるよ、うるさいな」 - 34二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:01:26
「っていうか事前の情報だと、あなたクラスメイトの殆どに興味なかったはずよね。鰐淵・霧田の友人グループが全滅した段階で、他のクラスメイトはどうでもいいんじゃないの?」
「……Nek-Oも、金木も、仲間だったんだ。仲間の足は引っ張りたくないし、仲間が死ぬと悲しいよ。お前は違うのか?」
「…………………………さぁ、どうだったかな」
昔過ぎて、覚えてないわ。
宇都は千頭之に表情を見せずにそう言うと、駆け足でその場を離れた。 - 35◆xaazwm17IRZa23/08/17(木) 01:02:55
31話⑰終了します……!
(そしてトリップ忘れてました……)
続きは後日投下致します……! - 36二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:09:47
乙でした
金木がいつまでも復活しなくて驚いてる
もしかして最後に全部持っていくつもりなのか - 37◆xaazwm17IRZa23/08/17(木) 01:10:43
※なお、谷淵は次の投下話で登場します、猿空間送りになったわけではありません
本日も感想ありがとうございます……!
なるべく早期退場組にも出番をとは考えていますが、宇多くんはたぶん一番割食ってますね……
自作キャラの分遠慮が無い+接点があった星峰くんも死んでいる
この辺の理由から中々回想に登場できなかったり……
いちおう設定では暗黒金持ちの存在に気づいて音楽革命(?)で対抗しようとしてたみたいです
殺し合いが行われない世界線では大人になった宇多率いるあにまん学園OB会VS暗黒金持ち軍団のバトルがあったかもしれないし無かったかもしれないです
それでは、本日もありがとうございました……! - 38二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 04:07:26
いつの間にかスレ復活してる!?ありがとうありがとう
"猿空間"のルビをねうねいの特技欄から引用してるのも熱い - 39二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 08:42:18
お疲れ様でした〜
暗黒金持ちはモニター越しに見てるだけの一般人が多いし音楽で洗脳されてたらやばかったかも? - 40二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 16:55:38
⭐️
- 41二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:04:57
ほしゅ
- 42二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 07:20:49
保守
- 43二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 16:55:41
干し芋
- 44二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 23:47:56
保守
- 45二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 07:40:21
保
- 46二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 12:13:57
三田くんがこれから活躍する余地って残ってるのだろうか
度々他のキャラが探偵っぽいことするたびに自分のアイデンティティを気にしてる場面あったけど、最後に彼にしかできないことで事態を収集するとかあるかな - 47二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 12:26:22
察するに管理人か金木関連の何かじゃないかな
確か幸運値も低かったから、出番がないなら探偵卿のとこで死んでるだろうし - 48二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:15:14
保守
- 49二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 02:41:28
ほし
ゆ - 50二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 11:23:43
ほ
- 51二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 21:14:50
まだはっきり出てきてないけど管理人って戦闘力はEだったよね確か
土俵に引きずり下ろしさえすれば三田くんやのづちちゃんの戦闘力低め勢が頭脳とかでなんとかなりそうではある……のか……? - 52二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 03:30:14
ほ
し - 53二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 10:42:48
管理人の戦闘力ってどこで判明してたっけ?
直接倒したりはできない上位存在的な奴かと思ってたな - 54二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 12:24:35
確認のためには前スレのTier表遡らないといけないっすね…まとめ卿はまとめていらっしゃらぬか(他力本願)
- 55二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 12:44:30
- 565123/08/21(月) 12:46:01
よく見たら不明の枠だったか
すまんな見間違えてた - 57二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 12:53:29
- 58二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 20:45:21
ほしあげ
- 59二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 00:47:16
ほしあげ
- 60◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:02:32
31話⑱投下します……!
- 61◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:02:56
谷淵玄夜。通称、『扇動卿』。
その名の通り、扇動を得意とする。
古今東西に渡り暗黒金持ちによって開かれ続けてきたデスゲーム。
積みあがった歴史には、一種のセオリーが浮かび上がる。
曰く、人数は10~40人程度がベストである。
曰く、参加者間の戦力バランスはワンサイドゲームであってはいけない。
曰く、脱出の可能性をあえて示すことで動きに多様性が生まれる。
幾つもの経験側の中には、こんなものもある。
参加者間は、初対面あるいは薄い関係性が望ましい。
デスゲームの醍醐味は、死の恐怖を餌に殺し合いを行わせることにある。自分の命と赤の他人、天秤にかけ、赤の他人を優先するような聖人は存在しない。
が、それが家族・親友・恋人ともなれば話は別だ。
自分の命と大切な人の命、どちらを優先するのか。迷いなく自分だと断言できる者は半数もいないだろう。
それだけ人間は素晴らしい精神を持っている、とは谷淵は思わない。 - 62◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:03:23
(くだらん。口では何とでも言える。否、いざその時になっても言えるだろうさ。こいつらは『死』を知らないのだから。大切な人のために自らの命を投げ出す。気分はさしずめ映画の主人公か。脳内で感動的なBGMでも流しているのだろうさ)
そんなものはつまらない、と谷淵は断ずる。
だから彼はセオリーを無視し、仲の良い集団を殺し合いに放り込むことを好んだ。
田舎の大家族。
合宿を行っていた強豪大学サークル。
生死を共にした傭兵部隊。
そして、強い絆で結ばれた高校生1クラス。
スクールカーストもいじめも暴力事件も無い、あるいは乗り越え克服した奇跡のようなクラス。
そんな宝石のような若者を殺し合いに放り込む。
彼らは自分たちに酔い、団結を図ろうとする。
そこからが『扇動卿』の腕の見せ所だ。
個別に連絡を取り、疑心暗鬼をばら撒く。 - 63◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:03:49
偽りの情報を与え、隠していた恥部を暴露し、時には殺人をもでっちあげる。
絆などとのたまっていた者たちが憎悪に駆られて死んでいく。
それを見るのが、何より好きだった。
その中に、それがあった。××高校のある一クラス。ごく普通の、異能者も属さず、学力も部活もぱっとせず、どこまでも平凡の域を出ないクラス。ただ一つ美点を挙げるなら、クラスメイト全員の仲が良いというだけ。
それだけの理由でそのクラスは谷淵のゲームに招待された。
そのクラスに、茜音沢朱音が居た。
学力もそこそこ、剣道部としての実力もそこそこ、平凡なクラスの中でもなお平凡寄りの少女。
谷淵の印象にも殆ど残らない少女だった。
——故に、対処が後回しになった。
圧倒的に信頼されていたリーダー的存在の生徒会長の悪評をそれとなく他の参加者に伝え、優勝候補と目されていた野球部エース(野球部自体は弱小だったが)を疑心暗鬼に追い込み殺人に走らせ、上手く嵌っていたジグソーパズルを一つ一つバラバラにしていく作業に谷淵は熱中していた。 - 64◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:04:29
序盤をそうやって忙しくするうちに、茜音沢朱音は自殺した男子生徒の鞄から「拡声器」を手に入れていた。
それを持って彼女はエリアで一番標高が高い丘の頂上に昇り
「みんなー! 殺し合いはもうやめてー!」
と、拡声器で訴えた。
◇
(来たか……)
谷淵は茜音沢を見ていた。
鬼神。修羅。あにまん高校最強の男。
(ああ、クライマックスだ……)
全ての因縁は、自分に集約している。と、谷淵は実感する。
茜音沢が今ここに立っているのも、自分を囲む生徒たちがここに立っているのも、発端は自分のゲームにある。
茜音沢朱音の死が、悲劇の始まりであるならば。
茜音沢朱音を殺した自分こそが、この物語の主人公である。 - 65◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:05:10
(茜音沢、お前は知っているのか。俺がお前の娘を殺したと知っているのか? お前が生徒を殺してまわる破目になったのも、全部俺の仕業だ。それを理解しているか?)
これから谷淵は、茜音沢の生徒という駒を使って茜音沢を追い詰める。
何という喜劇。
幸運にも生き残った生徒は、再びデスゲームに招待してやろう。
次は、ジョーカーとして。
「覚悟を決めろ、弱者よ」
谷淵は篠宮に声をかけた。
「今こそディスクの裏コードを使う時だ」
篠宮がこちらに視線を向ける。感情を押し殺した透明な視線。それをどう染め上げるのか、谷淵は思考を働かせる。
「どうやれば裏コードを使えるんですか?」
(……馬鹿め。罠に罹ったな)
裏コードは実在する。今まで死んだ参加者全ての記憶と異能を再現できる、最強の裏技は存在する。 - 66◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:05:44
……もっともそれに篠宮が耐えられるかはまた別の話だが。
(この少年は実験体だ。透明なこの少年がどこまで耐えるのか、それを実際に確認した上で。俺が改めて自分に耐えられる範囲で使用する。そして生徒の異能を使って茜音沢を始末する)
全ては復讐だ。
あの日、自分に屈辱を与えた茜音沢へ対して。
「簡単だ。『異能殺し』によってディスクの制限は解除できる。慎重にやらねばディスクそのものの機能を失うがな」
カードを切る。
篠宮はどう動くか、谷淵は見定める。
(貴重な実験体だ、さてどう壊れるか……ッ!)
——側頭部に、鈍い痛みが走った。
大地がぐらぐらと揺れる。
たたらを踏んだ谷淵に、二撃目が振り下ろされる。
硬い、黒檀の感触。 - 67◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:06:22
姿勢を崩した谷淵は、突如腰にタックルされ地面に押し倒される。
フードが剥がれる。
顔が顕わになる。どこにでもありそうな、ごく平凡な中年の顔だった。
「……何のつもりだ」
流血が目に入り、谷淵は表情を歪めた。
マウントを取った篠宮の手には、黒光りする拳銃が握られている。
(確かに拳銃は没収したはず……透明な武器は異能殺しで封じているのに……)
そもそも、何で自分は攻撃されたのか。拳銃による殴打では無いことは、経験側から分かる。もっと殴打に適した武器。そんなものがどこに。
篠宮の足元に、血で濡れた中華武器が転がっているのが見えた。
あれは、
(ヌンチャク、か……)
「何故俺を始末する? ククク……本当にディスクの裏コードが本物か検証しなくていいのか。俺がブラフを撒いた可能性を考慮したか? 浅慮は……身を滅ぼすぞ?」
絶体絶命の状況でも、扇動卿は揺らがない。 - 68◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:06:56
篠宮は谷淵を見下ろした。
その無機質な瞳は、谷淵をして感情を読み取らせない。
「茜音沢が来た」
「そのタイミングで俺を消すか? 可能性を減らすことに何の意味がある?」
「……意味ですか?」
どうしてそんなことを聞くのか分からないといった表情で、篠宮は答えた。
「アイテムが欲しいからですけど」
引き金は躊躇なく引かれた。
一つの元凶は、無為に果てた。
【谷淵玄夜 死亡】
【暗黒金持ち 残り1人】 - 69◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:07:31
「日本刀、ですか」
報酬を受け取った篠宮は、異能殺し、宇都に目を向けた。
隠し持っていた初期武器・ヌンチャクで谷淵を殴打した後、彼に拳銃を投げ渡したのは宇都だった。
その真意は分からない。が、谷淵よりはまだ利用価値がありそうだった。
「日本刀なら……彼、でしょうね」
篠宮はディスクを額に挿入する。
裏コードは使わなかった。
谷淵の言葉は信用できないからだ。
選択するのは、辻斬りと呼ばれた生徒。その記憶。
剣士ならば三人の選択肢があったが、新條でもなく鰐淵でも無いのは、篠宮が「殺人者の覚悟」を固めたからだ。
それでも、小田斬が辻斬りというのは噂に過ぎない。
一つの賭けであった。
篠宮は、その賭けに勝った。
溢れ出した、血の臭いに噎せ返るような記憶。
斬って、斬って、斬って。
殺して、殺して、殺して。 - 70◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:07:56
正気を失いかねないほどの血と暴力と狂気の記憶は、透明な篠宮を容易く塗りつぶした。
あるいは、篠宮に強固な自我があり、必死に記憶に対抗すれば、抗えたかもしれない。
が、彼はそれを選ばない。
戦闘において、自分の自我は邪魔だと認識していたため、容易く、むしろ自分から譲るように人格を明け渡す。
それが、勝つために必要ならば。
例えそれが、生前の小田斬が望まなかったとしても。
「……すまない」
どちらがどちらに言ったものなのか、誰にも分からなかった。 - 71◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:08:20
「みんなー! 殺し合いはもうやめてー!」
滑稽だ、と谷淵は思った。
今更一人の少女に何が出来る。
既にこの殺し合いは谷淵の扇動によって地獄のるつぼと成り果てている。
拡声器による説得も、もはや悲劇の呼び水にしかならない。
懸命に説得を続ける少女をフードの奥で笑いながら、谷淵は誰がこの愚者を牙にかけるのか舞台を見守った。
元々広いフィールドではなかった。
拡声器は会場全体に広がった。
金属バットと包丁で対峙していたカップルが拡声器の方へ顔を向けた。
梁にロープをかけていた内気な少女がその作業を止めた。
目を血走らせ自動小銃を構えていた少年がはっとしたかのように銃口を下に降ろした。
全ての参加者が静止した。
全ての参加者が、呆気に取られてクラスメイトの声に聞きほれていた。
(何だこれは!?)
そんな馬鹿なことが起こるはずがない。 - 72◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:08:44
今だけだ。次の瞬間には鴨を見つけた殺人者が丘を駆け上がり茜音沢朱音に断末魔を上げさせるはずだ。
そのはずだ。
何も焦ることはない。
(俺は何を恐れている!?)
今すぐ、この声を止めなければいけない。
そうしなければ、殺し合いが破綻する。
理屈抜きで、谷淵は直感していた。
マイクに手をかける。
無知な少女の語る賢しらな希望など、谷淵の扇動の前では無力だ。
言葉の勝負ならば望むところ。
谷淵は悪意を持って、朱音の言葉を押し流そうとした。
確かに、そうしようとしたのだ。
気づいた時には、朱音は首から血を噴き出して死んでいた。
参加者の攻撃によるものではない。 - 73◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:09:15
無意識の内に、谷淵は爆破スイッチを押していた。
それに気づいた時、谷淵はパニックに襲われた。
自分が……! この、扇動卿が……! 言葉での勝負から逃げた……!
死に匹敵する屈辱が谷淵を襲った。盤上の支配者である自分が、小娘に臆したのだ。
(この屈辱……絶対に忘れん。復讐、復讐してやるぞ……茜音沢朱音……!)
最後に希望を示した少女を徹底的に汚す。
再会した殺し合いには目もくれず、谷淵はすぐにその計画の思案を始めたのだった。 - 74◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:09:37
丘の上で、少女が死んでいる。
最期まで希望を信じて訴え続けた少女は、言葉も言わぬ屍となって、空を見上げている。
その瞳に、映る影があった。
それの首には、首輪が無かった。
「——。」
それは死体に声をかけた。
そして最初からそんなものは存在しなかったかのように、音もなく消え失せた。 - 75◆xaazwm17IRZa23/08/22(火) 02:11:46
投下を終了します……!
久しぶりの投下で申し訳ないです……!
また、いつも感想や保守をありがとうございます……!
励みにして少しでも完結を早められるよう頑張ります……!
それでは、続きはまた後日投下致します……!
本日もありがとうございました……! - 76二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 02:47:23
乙です
かつて自分が否定した善性に負け、最期は自分が肯定した悪性に負けた滑稽な男よ - 77二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 03:39:55
お疲れ様です
朱音ちゃんのエピソード切なくて沁みる…… - 78二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 06:18:07
蠱毒見るのは好きなのに人間が殺し合うのはNGなのか……?
- 79二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 08:06:30
お疲れ様でした〜いよいよ管理人っぽいのも出てきたし終わりが見えてきましたかね?
- 80二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 08:46:00
扇動した人間に真っ先に殺される因果な人
- 81二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 10:39:09
- 82二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 17:21:56
確かにあの時は朱音ちゃんの視点じゃなかったしまだ確定とはいえないか
それにしても茜音沢朱音っていろは坂いろはみたいな名前だな - 83二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 20:34:10
そんな決着でスッキリするかは置いといて、裏コードのDISCを茜音沢に突っ込めば脳破壊されて倒せるんじゃないかと思ってしまった
- 84二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 01:07:36
取り急ぎ
- 85二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 08:47:49
保守
- 86二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 17:01:25
早めの⭐️
- 87二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 22:46:13
保守
- 88二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 01:02:14
谷淵、本人は渦中の人のつもりなのに実際は誰からも気にされてないの暗黒金持ちとして完璧で好き
報酬がただの日本刀なので管理人からすら軽んじられてるんだよな… - 89二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 09:00:44
ほしゅ
- 90二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 16:46:40
保守
- 91二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:41:39
☆湯
- 92二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 07:38:13
保守
- 93二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 16:22:17
ほし
- 94二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 22:15:28
保守じゃ
- 95二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 01:44:58
ほほほ
- 96二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 10:04:00
ほし
- 97二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 18:20:40
異能殺しちゃんがこれからどういう立ち位置になるのか分からなくなってきたな……
- 98二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 20:51:19
宇都ちゃんはワンチャン生存あるか?…と思うけど暗黒金持ちサイドだしなぁ……
- 99二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 20:54:21
宇都という名のキャラがまたジョーカーポジになれそうな現状面白い
- 100二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 02:54:23
保守
- 101二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 08:32:52
ほしゅ
- 102二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 14:53:50
ほ
- 103二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 22:02:43
保守
- 104二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:28:20
保守ロワイヤル
- 105二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 09:08:18
保守
- 106二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 18:32:05
ほしゅ
- 107二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 23:05:52
☆
- 108二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 02:52:16
ほし
- 109二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 11:59:56
⭐️
- 110二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 18:34:52
谷淵ロワイヤル
- 111二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:10:38
保守
- 112二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 11:16:18
ほしゅ
- 113二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 18:13:49
保守
- 114◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:23:07
お久しぶりです……投下が滞ってしまい申し訳ありません……!
31話⑲投下します……! - 115◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:23:33
四対一。
全盛期の力を取り戻した猫王、Nek-O。
太古の時を生きる伝説の蛇、ティタノボア。
辻斬りの記憶を受け継いだ少年、篠宮纏。
ねうねいと心を一つにした巨漢、マネモフル=タマネ。
いずれも一騎当千の強者。
一般人ならば自動小銃を持っていても勝てない程の化け物揃い。
それでも。
「足りねぇ、なァッ!」
茜音沢が鉄棒を一振りする。周囲に衝撃波が発生し、四つの影が壁に叩きつけられる。
どうあがいても生徒は教師に勝てない。
これは差別ではない。差異である。
もし茜音沢が後十、いや二十ほど若ければ勝機はあったかもしれない。
あるいは生徒たちが十、二十ほど精錬されていれば可能性はあっただろう。 - 116◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:24:01
——ここに生徒が誰一人欠けることなく揃っていれば、32人が力を合わせ茜音沢に立ち向かっていれば、互角に戦える可能性があったのかもしれない。
全ては、夢である。
ここには、二人と二匹しかいない。
「ぬう……」
と、Nek-Oは唸った。
茜音沢が繰りだした衝撃波。全ての記憶を取り戻したNek-Oは、あれが異能ではなく、純然たる技術によるものだと理解できてしまう。
「ジャララララララララララ……」
「分かるか蛇王よ。古今東西、様々な武芸者・異能者を見てきたが、これ程の実力者は居なかった……」
Nek-Oは強くなった。
今なら、麻井は無理でも、死んでいる間に里美を失うような無様は晒さないだろう。
強くなったが、それでもなお、茜音沢との間にはどこまでも深い断絶がある。
「ふふ、かっこつけずに吾輩も千頭之と逃げれば良かったか……」 - 117◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:24:34
「ですがNek-Oさん、勝機は零ではありませんよ」
刀を構え、何やら異様な雰囲気を醸し出している篠宮が言う。
「先生は今、右腕を失っています。そして……疲労が蓄積している。ずっと連戦状態なのでしょう。消すなら、今を置いてない」
「そうや、それでいいんやっ!」
マネモフルが同調する。
茜音沢は超一流の武芸者、時間が経てばそのうち左腕だけの状態に適応してしまうだろう。疲労もいつまで残るか分からない。
決めるのはここだ。延長戦も仕切り直しもありえない。
「『猿空間(ここからきえる)』……」
マネモフルの姿が掻き消える。
ククク……マネモフルは筋肉、灘神影流、真空、そして瞬間移動が含まれている完全戦士(パーフェクトヒューマン)だァ!
しかし相手は超危険生物……茜音沢。既にワープの癖は見抜かれている。
「しゃあ潜隠爆破脚……って、うおっ、危ないやんけ!」 - 118◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:24:56
ワープ場所を先読みされ、串刺しにするかのように鉄棒を置かれる。
このままではマネモブの早贄が出現するというタイミングで、Nek-Oが床に向かって攻撃を仕掛けた。
自分を殺した物の再現、それがNek-Oの真なる異能。選んだのは、砲撃。
異能によって創り出された砲弾が、茜音沢の足元で着弾する。
普通なら両足が千切れ飛ぶが、茜音沢は大地を蹴って飛び上がることで回避。当然マネモフルは九死に一生を得る。
そして逃げ場のない空中へと追い込まれた茜音沢へティタノボアが鎌首をもたげる。
巨体に似合わない俊敏さで大顎とそれに付随する毒牙を茜音沢に突き立てようとする。
「ジャララララララララララララララ……グアッ!」
瞬時に天井に鉄棒を突き刺し、姿勢を安定させた茜音沢は、ティタノボアの頬を蹴り飛ばした。
倒れるティタノボアを足場にして篠宮が茜音沢に迫る。
刀は鞘に仕舞っている。 - 119◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:25:17
茜音沢は、篠宮の持っている刀がとんでもない名刀だと理解している。恐らく異常な切れ味を持つ。
あるいは、異能を付随する物か。
篠宮の構えは、茜音沢も熟知する、居合のそれだった。
抜刀。
両断せんと迫る白刃を、茜音沢は身を捻って躱す。
刃が、伸びる。
異能ではない。
篠宮の手から、既に刀は離れていた。
(居合の動きを利用して、刀を投げたのか)
予想外の動き。
が、足りない。
刃は肌を掠め、あらぬ方向へと飛んでいく。
茜音沢は、天井から鉄棒を抜いた。
今の篠宮が刀を失うことは、自殺志願と同じだ。 - 120◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:25:44
(お前ならどうする、小田斬)
——殺意を、茜音沢は感じ取った。
篠宮から視線を外さず、背後の気配を探る。
みっしりとした肉の感覚。抑え込まれた野蛮性を見つける。
「マネモフルか……!」
刀を投げたのは、マネモフルに渡すためだった。
気づいたときには、マネモフルは刀を上段に構え、茜音沢の脳天めがけて振り下ろしている。
果たして、マネモフルに剣術は使えるのか。
彼の人格は500億、その中に刀剣を扱う技能を持っている者がいても、おかしくはない。
純粋な筋力では、篠宮よりマネモフルの方が厄介である。
茜音沢は意識を篠宮からマネモフルに移し、鉄棒を向けた。
「しゃあっ」
マネモフルは刀を振り下ろし——姿を消した。 - 121◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:26:07
「なにっ!」
ようやく意図に気づいた茜音沢がワープを終えたマネモフルを視界に捉えたとき、既に刀は再び篠宮の元へと戻っていた。
「さようなら、茜音沢先生」
致命の一撃が放たれる。
完全に不意をついた一撃は、茜音沢の首筋を鮮やかに切り裂いた。
決着は、ついた。
◇
どうして学校に通おうと思ったのか。
Nek-Oはその理由を上手く説明できない。
高等教育を受けたいわけでも、高卒認定が欲しいわけではない。
異能についての研究・調整が目当てでもあったが、学生の身分になる必要はない。
何故、猫なのに人間の高校に通い、人間と同じ授業を受け、人間と同じ時間を過ごしたのか。
分からない。 - 122◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:26:29
一番、正解に近い理由は、気紛れだろう。
猫らしく、けれど王らしくない答え。
入学前に、担任教師となる男と話す前までは、本当に何となくの気紛れ気の迷いで、少しでも面倒だと感じたらさっさととんずらしようとさえ思っていた。
最初の王国が滅び、復讐のために集めた仲間も解散し、長すぎる猫生、少しずつ記憶に蓋をしながら、Nek-Oはずっと一匹で生きていた。
各地を放浪し、面倒だと思えばすぐに姿を消す。
そうやって根無し草の生活を送って来たのだ。
『まぁ、適当に青春すればいいぞ』
茜音沢という男は、そう言ってかったるそうに笑った。
『学校なんて、だらだら時間潰して、気楽に青春して、満足と後悔抱えて卒業するもんだからなぁ』
だらだらするのも、気楽に過ごすのも、得意だ。
面倒とは無縁そうだ、とNek-Oはその時、あらためてあにまん高校入学の意思を固めたのだった。 - 123◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:26:55
結局、そこから三年間は言う程気楽ではなかったし、思ったよりだらだらは出来なかったし、何なら幾度か面倒だし退学しようかなとか考えたけれど。
まぁ、それなりに楽しかった。
ここ数百年で一番だと思えるくらいには。
その楽しさの内のいくらかはきっと、担任の力によるものだと、Nek-Oは理解していた。
だから。
「……何故だ」
どうして、こうなってしまったのだろう。
「何故だ、茜音沢……!」
吠える。
眼前に立つ、修羅に対して。
篠宮の刃は、確かに茜音沢の頸動脈を切り裂いた。
いくら小田斬の記憶をインストールしているとはいえ、元々非戦闘者の篠宮が屈強を超えた屈強である茜音沢の首を斬れたのは、刀が異常な切れ味を持っていたこともあるかもしれない。 - 124◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:27:18
茜音沢の首から鮮血が迸った。
それを確かに、Nek-Oは視認した。
間違いなく致命傷のはずだった。
——噴き出た血が、一瞬で止まるまでは。
不死の異能。再生の異能。巻き戻しの異能。
ああ、そうであればどれだけ良かったか。
記憶を取り戻し、数多の戦士を率いた記憶を持つNek-Oは理解できてしまう。
異能ではない。
……純粋な技術で、瞬時に止血を成しえたのだ。
筋肉を操作し代謝を高め、これにより傷口を抑え瘡蓋を形成した。
致命傷は、古傷へと格下げされる。
Nek-Oは知る由もないが、ゲーム序盤で、オルランドという参加者がデトックス効果を自ら再現してみせたことがある。
生徒に出来るのならば、当然教師にも出来る。 - 125◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:27:47
そんな当たり前で、されどどこまでも理不尽な現実を、茜音沢は生存者に突きつける。
呆気に取られた様子のマネモフルとは違い、篠宮は、篠宮の中の小田斬は、すぐに思考を切り替えたのだろう。第二撃の準備を始めていた。
致命傷ではない。が、ダメージを与えたことは事実。HPは確かに削れたはずなのだ。
展開は一つ進んだはず。
篠宮は袈裟斬りに刀を振った。
「遅ぇ」
Nek-Oの聴覚は、茜音沢の呟きを捉えた。
次の瞬間、身体をくの字に曲げた体勢で、篠宮が墜落した。
やられた、とNek-Oが思考した時、マネモフルが頭部から血を流しながらきりもみ回転していた。
加速している。
さっきまであったはずの、あると信じていたはずの均衡が、消失している。
「…………っ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 - 126◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:28:14
「ジャララララララララララララララララララララララ!!」
Nek-Oは自身に刻まれた死の一つ、戦車による砲撃を再現し、茜音沢に繰り出す。
ティタノボアは茜音沢に巻き付き、攻撃から逃れられないようにと動き出す。
二人の王の、因縁を超えた協力。
——生徒が出来ることは、教師だって出来る。
ましてや、剣道部と、その顧問なら。
茜音沢は鉄棒で砲弾を受け止めた。
砲弾は鉄棒を滑るように動き
「ふっ!」
Nek-Oが撃った時の、二倍以上の加速度を持ってティタノボアの頭部へと撃ち落とされる。
衝撃。
爆発。
それでも、蛇の王は戦意を喪失しなかった。 - 127◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:28:37
恐らく永遠に完治しないであろう傷を、頭部に付けながらも、なおも茜音沢に噛みつこうとする。
「いつまでも出張ってんじゃねぇよ、たかがデストラップが」
斬。
茜音沢の鉄棒が今までで一番の鋭さを持って振るわれた。
刀のように、否、刀以上の切れ味をもって……ティタノボアの頭部を切断する。
王の巨体は、地に伏せた。
時間にすれば3秒にも満たない攻防だった。
たったそれだけで、対茜音沢戦線は崩壊していた。
篠宮は動かない。刀を手放し、更にはディスクさえ、頭部から露出している。
マネモフルも動かない。四肢を力無く垂らし、うつ伏せで倒れている。
ティタノボアは動けるはずがない。Nek-Oを遥かに超える時を生きた偉大なる王は、王の最期を示すように、首無しの遺骸を晒している。
残ったのは、一匹の猫である。
勝機は、潰えた。 - 128◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:29:04
何故だ、と問わずにはいられなかった。
何故、致命傷を受けると更に強くなるのか。
何故、鉄棒で物質を切断できるのか。
そんなことは、どうでもいい。
訊きたいのは
「何故、こんなことをするのだ……?」
ずっと抱えていた疑問を、Nek-Oは吐き出した。
「お主は、教師では無かったのか……?」
結びつかない。
失踪する前の茜音沢と、今眼前に立つ修羅を、同一に見れない。
「いったい、お主に何があったのだ……?」
Nek-Oの問いを、茜音沢は黙殺した。
修羅は、教え子の命を磨り潰すために歩を進める。
その態度は、どんな言葉よりも雄弁だった。
何か、この男を変える悲劇があったのだ。 - 129◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:29:31
真なるバトルロワイアル。優勝した者にはどんな願いでも。例えそれが死者の甦生でも。
「…………失ったのか」
Nek-Oは察する。100万年生きた猫は、100万年前の喪失を重ねる。
喪失が教師を修羅に変えた。
「お主も、失ったのだな」
「失って、ない」
それは声ではなかった。
人間の喉を震わせて出した音とは思えなかった。
苔むした岩盤をこすり合わせたかのような、低く重い、地鳴りのような音だった。
「俺は取り戻す。断じて、失っていない」
「そうか。それがお主の願いか……」
強いわけだ。
Nek-Oは納得する。
茜音沢は、誰よりも、きっと生存者の誰よりも固く堅く硬く決意しているのだ。 - 130◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:29:54
絶対に取り戻す、と。
失った、という過去形すら認められない程に。
Nek-Oには、無い。どんな願いを叶えられるという餌をぶら下げられても、殺し合いに乗るという選択肢は最後まで浮かばなかった。
失った命のストックを回復したいと思わなかった。
記憶を取り戻した後も、滅んだ国を取り戻したいと思わなかった。
長き流浪が猫王を老成させていた。
——勝てない。
「……あるいは、こんな結末も悪くはないのかもしれんな」
自分が死ぬことで、誰かが生き返る。
それは、見方によっては、理想の死とも思える。
精一杯足掻いた。向こうに逝けば、かつての王国の民が、共にティタノボアを撃った勇者たちが、そして机を並べた彼らが待っている。死後の世界など都合の良いものがあればの話だが。
どうしようもない現実に直面したとき、人は納得できる理由を探す。 - 131◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:30:21
Nek-Oは、茜音沢に殺されることを、心のどこかで受け入れた。受け入れなかったところで、死ぬことは変わらないのだから、受け入れる方が楽だと悟ったのだ。
四対一で勝てなかった時点で、もう無理だ。
後は、生存者が各個撃破されていくだけのフェイズに入る。逃げ回る生徒を、茜音沢が一人また一人と鉄骨で撲殺していく。そんなスナッフムービー。
「一つ訊きたい……失ったのは、娘か?」
やはり、茜音沢は何も答えなかった。
僅かに、その表情に感情の波紋が広がったように見えただけだ。
Nek-Oは、茜音沢に同情した。
自分より若い者が死ぬのは、いつだって辛いものだ。
(……取り戻せるとよいな)
自ら差し出すべきか、最期まで抵抗するか。
Nek-Oがそう思案した時だった。
「——それは、間違っています」
声が、響いた。 - 132◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:30:46
明朗な、暗闇を照らす光のような、堂々たる声だった。
「それでは、誰も救われない」
「お主は……」
消息が分からなかった仲間の一人。
探偵。三田哲。
「今更何を……」
この状況を覆す力は、三田にはない。
三田のバリツでは茜音沢には通用しない。
にも関わらず、三田は臆することなく茜音沢の前に立った。
「茜音沢先生。貴方は——間違えています」
やはり、茜音沢は言葉を返さなかった。ただ絶対零度の視線が、普通の人間なら見られただけでショック死する程の圧が三田に注がれる。
三田は屈しない。
探偵として幾つも修羅場を踏み、殺し合いでは更に地獄を掻い潜った三田は、茜音沢の視線を意にも返さない。 - 133◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:31:17
「貴方の目的は、殺し合いを優勝し、娘……茜音沢朱音さんを蘇らせることですね?」
「どうして、朱音の名を知っている?」
圧が強まる。
三田は奥歯を強く噛み締める。
あの探偵崩れが遺したメモ、そこに三田の推理力が重ね合わされ、今、一つの仮説が発見された。
逆境を覆す発見が。
「残念ながら、優勝しても、貴方の願いは叶わない」
「…………何?」
「貴方がどれだけ罪を重ねても、朱音さんは帰ってこないんですよ」
殺人者と探偵の視線が交じり合った。
優勝させないでも、優勝できないでもなく、優勝しても意味が無い。
全てを根底から覆す言葉は、修羅の足を止めさせる力があった。
島の消失まで残り半刻。
探偵は、推理で最強に勝負を挑む。 - 134◆xaazwm17IRZa23/08/30(水) 18:32:24
31話⑲終了します……!
続きはまた後日投下致します……!
連日の保守や感想ありがとうございます、完結できるように頑張ります……! - 135二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:32:11
乙です!矛を止めると書いて武と読む、茜音沢を止めた三田くんの推理もまた武なんや!
- 136二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 22:13:24
乙です!
緊張感すごくて読んでて息が詰まる…… - 137二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 08:37:53
保守探偵
- 138二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 09:04:41
乙でした〜
しかし先生も、ここまでしといて実は娘さん生き返りません!ってネタバラシされるのは報われないな…
もう後戻りできないだろうし、せめて信じたまま終われればよかったのに - 139二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 09:14:18
しかし生き返らないってどういう理屈なんだろう、姫氏原ちゃんのストーカーの話を見るに願いを叶えるシステム自体はあるんだよね?
茜音沢先生がいくらキルスコア上げても報酬全然貰えてないし、運営側のキャラはあくまでゲームの敵キャラとして判定されてるとか? - 140二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 18:28:30
保守
そういえばこの島爆発するんだったな - 141二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 22:24:01
ほ
- 142二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 06:34:19
ほしゅ
- 143二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 13:12:46
ほっほ
- 144二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 20:46:52
ほしゅ
- 145二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 01:51:05
ほほ
- 146二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 06:33:58
ほし
- 147二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 13:48:23
ほし
- 148二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 20:31:11
ほしゅ
- 149二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 01:56:54
★
- 150二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 08:18:37
保守
- 151二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 13:46:04
ホシロワ
- 152二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 19:28:15
ほしゅ
- 153二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:05:11
保守やで
- 154二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:16:11
ほしゅ
- 155二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 13:09:52
ほしっ
- 156二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:08:47
⭐️⭐️⭐️
- 157二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 00:26:36
🌠
- 158二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 08:39:14
🌟
- 159二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 17:08:25
HO
- 160◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:27:24
お久しぶりです……!
31話⑳投下します……! - 161◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:28:16
希咲の死体から奪ったメモ。
そこには、様々な情報が纏められていた。
各運営陣の経歴。
デストラップの詳細。
廃村の翁の考察。
そして、茜音沢の過去と、【管理人】について。
(茜音沢先生は、娘さんをデスゲームで失った)
何故三年の途中で茜音沢は学校を辞めたのか。
探偵である自分はその時調べるべきだったのだ。
茜音沢のことは嫌いじゃなかったはずなのに。
三田は、その謎を放置した。
その時関わっていた別の事件を優先した。一教師の退職など殺人事件より軽いと高を括っていた。
結果が、このザマだ。
(……茜音沢先生は裏社会に潜って娘を探し続けた。そして出会った)
茜音沢は、【管理人】と接触した。
全ての始まりは、そこだったのだろう。
希咲のメモによれば、元々自分たちは殺し合いに選ばれる予定ではあった。茜音沢……もとい【管理人】の介入が無くとも、自分たちは殺し合わされていた。
……あるいは、それさえも【管理人】の干渉によるものなのか。
そもそも、【管理人】とは何者なのか。 - 162◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:29:24
希咲のメモにはこう記されている。
『【管理人】とは、概念、システム、法則に近い存在である。そこに意思は無く、ただ接触した者と契約を交わす存在』
(神のようなものか……いや、娘一人生き返らせるのに、僕らや多くの運営陣の生贄を要求するあたり、邪神に近いな)
そこに、意思は無いという。
(……本当にそうか?)
殺し合いの仕組み、そして真なるバトルロワイアルの仕組み。
これを組んだのが【管理人】であるとするならば、それはあまりにも……。
(……認めよう。希咲、お前の調査能力は僕を上回っている。だが、出す結論は僕が決める)
メモの中から、三田は一つの答えを得た。
茜音沢を説得できるかもしれない一つの答えを。 - 163◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:30:16
「このゲームは出来損ないです。とてもプレイできるものじゃありませんよ」
茜音沢は沈黙している。
彼が筋肉を僅かに駆動させれば、それだけで三田はミンチになる。
三田のバリツでは、この超人を前にして時間稼ぎにもならない。
が、三田はまだ死んでいない。
茜音沢は、三田の話を聞く意志が、まだ僅かに残っているのだ。
「このゲームの勝利条件をよく思い出してください。
【参加者を全て殺せば願いが一つ叶う】
【茜音沢を殺せれば脱出できる】
茜音沢先生は僕らを殺さなければ娘さんを生きかえらせることはできません。
僕らは茜音沢先生を殺さなければこの島から出られません」 - 164◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:31:24
そして、と三田は続ける。
「このゲームには、僕らにも優勝し願いを叶えるチャンスがあります。
仮に……もし仮に僕が茜音沢先生を殺し、クラスメイト及び生き残った運営者を皆殺しにすれば、僕は帰還して願いを叶えることができる。
何故なら、帰還の条件『茜音沢の死』、願いを叶える条件『自分以外の全参加者の皆殺し』を達成しているからです」
お分かりですか? と三田は言った。
「先生は、帰還できないんですよ。
何故なら、ここから出るには『茜音沢の死』が絶対条件だから。
——先生は、死なないと出られない」 - 165◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:31:54
何だと、と唸ったのはNek-Oだった。
「どうして先生だけこんなにも不利な条件がついているのか。それに気づいたとき、僕はこのゲームにおける先生の役割に気づきました。何ということはありません。真なるバトルロワイアル、本来の参加者であるあにまん高校3年1組の生徒、そして僕らを殺し合わせた運営者たち。参加者は彼らであり、先生は真の運営……いや、先生はただのステージギミック、『デストラップ』に過ぎない。元々の殺し合いでコモドドラゴンが生き残ってもコモドドラゴンが優勝者として扱われないように、例え先生が優勝しても
先生は優勝者に成りえません。
そうですね……恐らく優勝者は一番最後に死んだ生徒になるでしょうね」
さあ、どうするんですか先生! 三田は叫んだ。
「最後の一人を選別して他を皆殺しにしますか!?
最後の一人に無理やり娘さんの蘇生を願わせますか?
果たしてそう上手くいくでしょうか?
もし僕が最後の一人になれば、即座に別の願いを叶えてもらいますけれどね!」 - 166◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:32:22
先生の殺しは、無意味です。
と、三田は言った。
後ろで聞いていたNek-Oは、混乱し口を噤んでいた。
ただ、その心に【管理人】に言いように騙されて修羅にされてしまった、恩師への哀惜が溢れた。
茜音沢は、黙している。
その表情からは何も読み取れない。
そして、彼はゆっくりと口を開いた。
「面白い推理だったぜ、三田。探偵じゃなく、作家にでもなったほうがいいんじゃねえか」
(つくづくこの人は……)
茜音沢は本来、こういう人なのだ。と、三田は思い出した。
ねうねい語を必死に解読しようとしたり、マネモフルの人格と向き合うべく、彼が幼少期に愛読していた漫画に触れたり。
きっと探偵である自分のためにも推理小説を読んでいたのだろう。
そんな心優しい教師だった彼を、殺人鬼に貶めたのは、暗黒金持ちと、【管理人】だ。
「それは、図星を突かれた犯人の台詞ですよ先生」
(さて、これで止まるといいが……)
三田の推理には、穴があった。
それに茜音沢が気づくか否か。 - 167◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:32:51
「確かに、お前らから見たら俺はデストラップに見えるのだろう」
でもな、と茜音沢は言った。
その三文字で、三田は自分の推理が茜音沢に届かなったことを知る。
腰のバックルに手を伸ばす。
「デストラップはデストラップで、また別の契約があるんだよ」
三田の推理は、的外れだった。
最初から、茜音沢は違うゲームをプレイしていたのだ。
そして、そのゲームの詳細を、三田はまったく把握していない。
鉄棒が蠢動する。
人体を容易く粉砕する一撃が、三田に振り下ろされ
——灰色の装甲に覆われた前腕が、それを受け止める。 - 168◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:33:15
「……つくづく、僕は探偵として未熟のようですね」
灰色の装甲で全身を覆った怪人物の中から、三田の声が聞こえた。
「どうやらまだ、貴方を止めるピースは揃っていなかったらしい」
それは、ここに来る道中で三田が回収したものだった。
本来、堀木彩が手に入れるはずだったアイテム。
報酬、『変身ベルト』。
それによって、三田は灰色の装甲を纏った怪人に変身したのだ。
三田は、バリツの構えをとった。
「残りのピースは貴方から聞き取ることにしますよ、茜音沢先生!」
「やってみろ!」
三田の拳と茜音沢の鉄棒が激突し、火花が散った。 - 169◆xaazwm17IRZa23/09/05(火) 21:34:39
投下を終了します……!
いつも保守や感想をありがとうございます……!
完結目指して今後も頑張ります……! - 170二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 22:06:26
お疲れ様です
三田が過去一でかっこいいな - 171二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 04:19:11
変身ベルト来た!!!すっかり存在忘れてたけどそういやドロップしてたね!!
- 172二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 09:12:42
乙です〜
まさか三田くんが先生を倒しちゃうのか!? - 173二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 11:58:54
石川vsドラギモスといい武力特化キャラを頭脳派が制するのは熱いわよね
- 174二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 12:36:42
忘れられがちだけどおそらく国立高校の教員なので頭も良いと思われる
- 175二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 14:20:30
管理人、出て来た当初はスレ民や作者のメタかと思ってたけどこれは実際に戦う流れなのだろうか
- 176二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 18:41:00
ここまで強く殺せない茜音沢先生、めちゃんこ愛着湧いてきたな…もっとお労しくなれ〜ッ(ハチワレ)
- 177二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 22:53:16
保守
- 178◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:00:30
31話㉑投下します……!
- 179◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:00:54
微かに、意識が残っている。
否、残っているというより、付着している、こびりついている、という方が近いのかもしれない。
金木冥は、死にかけていた。
棺桶どころか焼却炉に頭から突っ込んで足だけ出ているような状態だったが、それでも辛うじて生きていた。
生きて、意識があって、考えることが出来た。
——これでいい。
死の淵に立たされた金木は、しかし、心底安堵している。
成った、とすら思った。
金木冥は、『執行指輪』と呼ばれる、チートアイテムを持っている。
これを使えば、その場で最強の存在の、息の根を止めることが出来る。
金木冥には、一度、これを使う機会があった。
それは、今から数分程前。
まだ歯荷と一緒に行動していた頃。 - 180◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:01:26
頼みの綱だったヘリが落下してしまい、意気消沈して本部を進んでいた時だった。
茜音沢を見た。
石川と、謎の狼男と、超人バトルを展開する元担任を、金木は、崩れた上の階から見下ろした。
「助太刀してきますわ」
「うわ、頑張って」
そう言って歯荷は飛び降りていったが、金木はその場を動かなかった。
今ここで執行指輪を使えば、茜音沢を殺せる。そうすれば自分たちは家に帰れる。
金木はこっそりと指輪を嵌め、『革命』と唱えようとした。
(あれ、ちょっと待って……)
寸前で、止めた。
(本当に、今の段階で茜音沢を殺しちゃっていいの……?)
敵は、茜音沢だけではない。
まだ運営者たちが生き残っているかもしれない。
石川やマネモフルが再び牙を剝くかもしれない。 - 181◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:01:55
彼らを殺せるのは、茜音沢だけだ。
(まだ早いかな……?)
もう少し、石川とマネモフルがちゃんと死んでからでもいいのでは。
というか、そもそも、自分と茜音沢以外で誰か生き残っているのなら、使わないほうがいいのでは。
信用できない、信用できない、信用できない。
というか、信用できるはずがない。
金木が相手の立場なら排除しに行く。当然だ、何でも願いが叶うなら、クラスメイトの命などどうってことはない。これが家族ならまた話は別だが。
(だってクラスメイトって、たまたま教室で勉強していただけの赤の他人でしょ。卒業すれば顔を思い出すこともないだろうし。願いを叶えられるほうが大事じゃん)
そんなことを思っているうちに、状況は動いてしまった。
石川も、狼男も、歯荷も、茜音沢に殺されてしまった。
金木は急いでその場を逃げ出した。
もし追いつかれたら執行指輪を使う。 - 182◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:02:22
けれど、逃げ切れるのなら、このまま逃げて、他のクラスメイトに茜音沢をぶつけたい。
茜音沢に他の生存者を全て殺させた後、金木が茜音沢に革命する。
優勝者、金木冥。
完璧な計画。
集まっているクラスメイト(後なんかでっかい蛇もいた)を見つけ、金木は策が上手く行ったことを確信し、大声を挙げた。
それに気を取られ、背後から茜音沢の一撃を喰らい、金木は瀕死となった。
(……それでいい)
生きていれば、戦いに巻き込まれる。
けれど、死体に扮していれば、狙われることもない。
茜音沢と二人きりになるまで待つという作戦の中で、死体だと勘違いされるのは大きなメリットだ。
(このままいけば、優勝できる……)
優勝すれば、何を願うか。 - 183◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:02:55
(そんなの決まってる)
優勝できる可能性に気づいてから、ずっと考えていたことだ。
(『もう二度と、私を危険な目に遭わせないで』)
殺し合いは、もう死んでも御免だ。
——その時、明朗な声が聞こえた。
どうやら、しばらく寝ている間に、聴覚が回復したらしい。
この賢しらぶって、妙に早口で、虚勢を張っている声は。
(三田?)
金木冥は、ゆっくりと眼を開いた。
◇
三田は、灰色の怪人に変身し、茜音沢と互角に戦っていた。
(え、何してんのあいつ?)
頭でっかちの雑学キャラ、というイメージで見ていたため、ギャップに戸惑う。
石川ですら圧倒された鉄棒を、謎の武術らしき動きで捌き、的確に打撃を当てている。 - 184◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:03:22
(え、めっちゃ強いじゃん)
それでも茜音沢の方が格上なのか、突き出した拳を蹴りで弾かれ、鉄棒を突き出される。
「させんぞ!」
Nek-Oが吠えると同時に、彼の頭上で生成された砲弾が発射され、茜音沢を襲う。
茜音沢がそれを叩き落とす隙に、三田は慌てて距離をとり、体勢を立て直す。
探偵と猫が、最強の男と勝負を成立させている。
金木の理解を超える光景だった。
(はえー、頑張ってるなぁ)
金木は、魅入る。
死体役という舞台から降りた存在だからこそ、クラスメイトと担任教師が繰り広げるヒーローショーに酔いしれる。
ミステリは、嫌いじゃない。
ヒーロー物も、嫌いじゃない。
(うわ、頭殴られた……! 痛そうだなぁ、よく頑張れるなぁ) - 185◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:03:57
徐々に、三田の被弾が増えていく。
単純に、バリツを見切られだしたのだろう。
なんかかっこつけて変身した割にしょぼいなぁと金木は身勝手な感想を抱く。
(素の実力が違い過ぎるってことかな。それでもこんだけ善戦してるのは十分すごいけど)
と、思っているうちに、また攻撃を喰らう。
衝撃で三田は上体をのけ反らせる。装甲の中がどうなっているのか、想像するだけで怖い。
(必殺技とか無いのかなぁ。三田だし無さそうだなぁ)
「クソッ、これならどうだ、ライヘンバッハキック!」
(あ、ちゃんとあるんだ必殺技)
「何だそりゃ。今まで実戦で使ったことねぇだろ」
「ガハッ……ハァハァ、くそっ……」
(駄目だ、防がれてカウンターされちゃった……) - 186◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:04:28
金木から見て、三田はじり貧だった。Nek-Oも必死にサポートしているが、素人目に逆転は難しそうだ。
(でも、時間をかければ他の仲間が助けに来るかもしれないよね。今誰が生き残ってるのか知らんけど)
石川は死んだ。歯荷も死んだ。
篠宮もマネモフルも戦闘不能だ。
ドラギモス、堀木、姫氏原に期待するところだろう。
(うーん、残ったメンツで勝てるかなぁ。唐突に新條くんが地獄から復活したりしないかなぁ……)
ん、あれ? と金木は首を傾げた。
(違う違う。このまま茜音沢に皆殺しにしてもらわなくちゃ。残ったメンツに勝ってもらっちゃ困るよ……)
いや、一人だけならいいけどさ、二人以上はノーセンキュー。
よしよし、なんだか全盛期の金木冥ちゃんを取り戻してきた気がするぞ。
そうそう、あにまん高校に転校する前は、私はこういうキャラだった……ような、違ったような……。家帰ったら卒アル見て思いだそっと。 - 187◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:05:00
「時間稼ぎか、三田」
「さて、どうでしょうね……」
茜音沢が鉄棒を振り下ろす。三田が白刃取りで受け止める。
——果たして、三田の技量でそんなことが可能か。
違う、受け止めさせられたのだ。
茜音沢の狙いは……!
ガシャン……! という音と共に、変身ベルトが宙を舞った。
茜音沢の蹴りが、三田のベルトを直撃、その衝撃でベルトが外れたのだ。
三田は、灰色の怪人から、学ラン姿へ戻る。
「しまった……!」
「させるか……!」
Nek-Oの砲撃を、茜音沢はひらりと躱した。
そして、情け容赦なく三田に鉄棒を振り下ろそうとする。
(わ、危ない!)
観客気分だった金木は、咄嗟に指を鳴らしていた。 - 188◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:05:44
「革命」
茜音沢が、心臓を抑えて蹲った。
同時に、金木の指に嵌められていた指輪が、音を立てて弾ける。
そして、金木に微かに残っていた体力が、ごっそりと消失した。
革命には、代償が必要だ。
心身健康な状態で使っても、二時間は疲労困憊になる。説明書にも書かれていない、革命の代償。
瀕死の者が革命を行えば、後に待っているのは——死である。
(あ、ミスった……)
視界が、一瞬で喪失する。
聴覚も、瞬時に霧散する。
意識が急速に薄れていく。
(…………まぁいいや)
あまり悪い気分では無かった。
最初に自殺しなくて良かったと金木は思い、そのことは三田に感謝かなと思い、そして、やっぱり三田のせいじゃんふざけんなよ……と怒る前にその命は尽きていた。
【金木冥 死亡】
【残り 7人】 - 189◆xaazwm17IRZa23/09/07(木) 00:06:30
31話㉑終了します……!
続きは後日投下します……! - 190二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:29:51
乙です、二日連続投下助かる
金木の徹頭徹尾俗っぽい悪役味、一周回って大好きだったよ……ゆっくりお休み - 191二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:50:17
金木……思考はともかく結局あんまり悪どい行動せず終わったから悲しいよ……
- 192二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:55:50
金木ちゃん……なかなか面白いキャラで楽しかった
- 193二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 08:33:09
金木が…金木が死んでしまった…
しかもまだ本当にこれで先生を倒せたのか疑わしいんだよな… - 194二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 11:37:01
筋肉で心臓無理やり動かすとか血液を無理やり巡らせるくらいはやりそうなんだよな
- 195二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 17:51:40
保守
- 196二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 22:43:11
☆
- 197二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 08:40:11
保守
- 198二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 16:24:43
ほしゅ
- 199二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 22:06:10
保守
- 200二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 08:24:31
ほしゅ
- 201二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 15:15:17
保守
- 202二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 17:52:23
廃校編で散々猛威を振るった戦車の砲撃をバカスカ撃ててる時点でNek-Oも大分無法な強さしてるはずなんだけど先生が強すぎる
- 203二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 23:34:54
保守
- 204二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 08:43:40
けど先生との決着もそう遠くはなさそうな雰囲気
- 205二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 14:11:23
篠宮くんってこれからずっと小田切くんとして生きていくんだろうか
- 206二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 18:16:37
ほしゅ
- 207二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 23:12:44
保守
- 208二次元好きの匿名さん23/09/11(月) 07:39:22
保守
- 209二次元好きの匿名さん23/09/11(月) 16:31:11
DISCがはみ出た時点で元の人格に戻ってると思われる
- 210二次元好きの匿名さん23/09/11(月) 22:17:03
保守
- 211二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 07:27:45
保守
- 212二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 13:55:21
干す
- 213二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 22:48:35
ほしゅ
- 214二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 07:36:25
保
- 215二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 17:44:01
も
- 216二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 21:00:09
さ
- 217二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 06:09:06
ほしゅ
- 218二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 13:03:05
欲す
- 219二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 21:42:06
保守
- 220◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:35:49
皆さん……お久しぶりです……ずっとお持たせしてしまい申し訳ございません
続きを投下します……!
短めに区切りながら更新を早められるよう尽力します - 221◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:36:22
篠宮纏にとって、茜音沢という男の最初の印象は、無気力なでもしか中年教師で、まぁ面倒くさくなさそうでいいや、というごく一般的な男子高校生に近い感想だった。
あにまん高校で日々を過ごすうちに、どうも思ったより熱血らしいし、思ったよりも体育会系だし、思ったよりも生徒思いだしで、はっきり言って篠宮の苦手なタイプだったが、それでも篠宮は、茜音沢が嫌いではなかった。
「結局お前はさ、怖がってんだよ」
と、言われたのはいつだったか。
「傷つけるのが怖いから誰とも仲良くしないんじゃねーのか」
「……それの何が悪いんですか?」
ありきたりでつまらない説教に、柄にもなく篠宮は反発を覚えた。
透明な武器を作る異能という、あまりにも危険な才能を生まれながらに持ったが故の苦悩。
茜音沢のように後天的に強さを手に入れた人間には分からない悩みのはずだ。
「悪かねーよ」
と、茜音沢は言った。 - 222◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:36:54
「他人を傷つけてもいいから仲良くしたい、なんて考えよりはよっぽどまっとうだと思うぜ。青春なんて傷つくものだが、後に残るのは、傷ついたことじゃなくて、傷つけたことだ。これは中々解消できねえ。だからお前の、その逃げ腰の処世術は、悪かねぇよ」
教師らしからぬことを言う、と篠宮は素直に思った。
そして、この昼行燈の武人教師にも、誰かを傷つけたトラウマがあるのかと思いを馳せた。
◇
意識を取り戻したとき、既に小田斬の記憶は去っていた。
(小田斬くん……)
殆ど話したことがない生徒だった。辻斬りと噂をされていた危険な男子生徒。
噂は、事実だった。
小田斬は、幼少期からずっと傷つけられ、そして傷つけてきた少年だった。
そして、茜音沢の言う通り、傷つけられたことより、傷つけたことの方を、ずっと悔やみ、恥じている少年だった。
(小田斬くん、こんなことを言うと、変に思われるかもしれないけれど) - 223◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:37:25
篠宮は、立ち上がる。
全身が、重い。
内臓が捻子くれているような痛みが走る。
どう考えても入院、というか救急車を呼びたいコンディションだ。
それでも、立つ。
同じようにして多くのクラスメイトが無理やり立ち上がり、死んでいった。
その列に並ぶかのように、立つ。
(僕は、君の記憶で茜音沢を殺さなくて、良かったと思っているんだ。友達でも何でもなかった君だけど、……恩師の命を奪うことまで、背負わせたくないと思っている)
茜音沢を始末するのは、小田斬ではない、篠宮だ。
眼前では、茜音沢が胸を抑え、崩れ落ちている。
突然の急変に、三田も、Nek-Oも、驚くばかりで対応できていない。
(僕が、先生を終わらせる)
日本刀を構え、篠宮は地を蹴った。 - 224◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:37:48
小田斬の記憶は行ってしまったが、まだ体にうっすらと剣士の技法が残っている。技術レベルは比較にならない程下がっているが、今の茜音沢には十分だと、篠宮は直感的に理解していた。
斬られても平気なのは、心臓が動いているからこそ。
心臓が止まった今となっては、茜音沢の戦闘力も格段に下降する。
篠宮と茜音沢の距離があっという間に近づいていく。
茜音沢は苦し紛れに胸を殴打していた。
セルフ心肺蘇生。自然な心停止なら、茜音沢はこれで心臓を再稼働できた。
だが、【執行指輪】による心停止は、強者だろうと確実に仕留める。これで止められた心臓は、絶対に再稼働しない。
今の茜音沢なら、篠宮でも仕留める可能性がある。だから、篠宮は走る。
走り、近づき、茜音沢が懐から取り出した、真っ黒い、果実というにはあまりにも生々しい物体に目がいく。
(あれは——)
ヤバイ。
本能がそう警告する。 - 225◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:38:16
咄嗟に篠宮は日本刀を投擲した。
それ以上茜音沢に近づくことが出来なかった故の、苦し紛れの行動だった。
刀は茜音沢の首筋を掠めた。
鮮血が迸る。
茜音沢は意に帰さず、その薄気味悪い物体を——心臓部に押し付けた。
(——ああ)
茜音沢の身体が変貌していく。
肌は浅黒く、筋肉は膨張し、欠けていたはずの右腕が再生していく。
(そんなの、アリかよ、先生)
かつて堀木彩に支給された突然変異の心臓。
人狼へと変身させるものとは、また別種の、もう一つの心臓。
人を、鬼へと変貌させる心臓。
鬼は、鉄棒すら握っていなかった。
丸太のような腕を、無造作に篠宮へ振り下ろす。 - 226◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:39:08
掠っただけで、篠宮は粉みじんになって死ぬ。
分かっていても、避け切れない。
ただ、迫りくる死を味わうしか……。
どん、と横から押され、篠宮は弾け飛ばされた。
(……いったい誰が)
体勢を崩しながら、下手人を見る。
スーツの女が、篠宮がさっきまで居た位置に立っている。
彼女は、大量の札で、鬼の剛腕をガードした。
威力が減衰される。
が、それでも人間には過ぎたる暴力であった。
スーツの女が、無惨にも引き裂かれる。
「はは……」
彼女は、自嘲した。
「あの時に、こんな風にできたらなぁ……」
そして、篠宮に視線を向けると、微笑んだ。
「頑張れ高校生」
鬼の二撃目が振り下ろされた。【異能殺し】は、血だまりに沈んだ。
【宇都 紀久子 死亡】
【黒服 残り1人】 - 227◆xaazwm17IRZa23/09/15(金) 03:39:36
投下を終了します……!
- 228二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 08:08:05
ラスボスの第二形態はお約束だよなぁ!?!?
- 229二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 08:29:36
お疲れ様でした
これいよいよどうしようもないだろ… - 230二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 13:46:20
そういえばあと一人の黒服って誰が残ってたっけ?
- 231二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 14:12:21
お疲れ様です
宇都さんめっちゃいいな……
それにしても他になにか使えそうな物あったかな - 232二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 22:56:13
もしかして茜音沢勝利ルートなのか……?
- 233◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:13:44
短いですが、続きを投下します……!
- 234◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:14:22
長く生き、様々な修羅場を掻い潜ったNek-Oでさえ、今、目の前で起きている現実を中々理解することが出来なかった。
茜音沢が突如心臓を抑えて苦しみだした。
好機と追撃を仕掛けようとすれば、いかなるアイテムを使ったのか茜音沢はその姿を異形……鬼へと姿を変えた。
「何だこれは……どうしろと言うのだ……」
細身の茜音沢と比較し、鬼は屈強であった。身長は2mを夕に超えているであろう。そして、欠けていたはずの右腕が再生している。
それどころか、多少は与えたはずの傷が、全て完治しているように見える。
「今までの、今までの戦いは何だったのだ……」
Nek-Oの方は、異能を酷使し体力の消耗が激しい。
砲撃もそろそろ打ち止めだし、他の攻撃も苦しいものがある。
勝ち目が薄い戦いだと、覚悟はしていた。
だが、こんなにも理不尽だとは思わなかった。
Nek-Oの心が、ぽっきりと折れ——。 - 235◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:14:55
「諦めちゃ、駄目だ」
隣に、三田が立っていた。
「先生は、弱体化している」
「何……?」
傷が塞がり、筋肉が膨張し、腕さえ生やして見せた。
化け物じみた人間が、本物の化け物になった。
どこに弱体化の要素が……。
「今までの茜音沢先生は、あんな力任せの攻撃はしなかった。
もしかしたら、理性を失っている可能性がある」
そう言えば、とNek-Oは思い当たる。
スーツの女を切り裂いたとき、鬼は鉄棒ではなく、自らの爪を選んだ。
まるで怪物のように、まるで獣のように。
茜音沢の恐るべきところは、その圧倒的な武力にあった。そしてそれを裏打ちしていたのは、鍛え抜かれた武術によるものだ。 - 236◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:15:25
身体能力や回復力は上昇したにしても、知能が下がっているなら……まだ勝機は残っている。
「確証は無い、だからこそ証明しよう」
そう言って、三田は駆けだした。
腰に、再び変身ベルトを巻く。
Nek-Oが見た限り、ベルトは破損していた。一度外されたときの攻撃が、尾を引いているのだ。
「変身!」
三田の身体は光に包まれ、瞬時に灰色の戦士へと姿を変える。
だが、先ほどと違い、その装甲のあちこちから火花が散っていた。
いつ変身が解除されるか分からない。
それでも三田は、死地へと駈け出す。
(……ふん、若造め)
かつて、Nek-Oが王だったときも、こうやって若者たちは脅威へと立ち向かい、死んでいった。 - 237◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:15:59
(同じ轍は踏まんさ)
余力を振り絞り、砲撃の雨を鬼へとぶつける。
(茜音沢よ、一度はお主の願いを叶えてやっても良いと思った。が、やはり駄目だ。
吾輩はもう少し、こやつらの行きつく先を見てみたい)
三田と鬼の距離が零になる。
鬼が無造作に手を伸ばした。
掠れば例え変身していても致命傷は免れない。
三田は爪の一撃を躱し、次の瞬間、茜音沢は投げ飛ばされている。
「ナイフを持った暴漢程度なら、素手で取り押さえられるんです。殺傷力に優れていても、力任せの攻撃なら——僕のバリツで対処できる」
起き上がろうとした鬼の眉間にジャブを放つ。同時にステップを踏んで距離をとる。
(よし、やはり技術を失っている……。が、変身した三田のジャブで傷一つつかんとか。やはり火力不足は吾輩の砲撃で補うしか……)
だが、砲撃でも殺せなかったら?
そうなれば、今度こそ詰み……。
Nek-Oがそう考えたときだった。
鬼の背後に立つ、屈強な影があった。
(あ、あれは……) - 238◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:17:13
- 239◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 02:18:19
投下を終了します……!
いつも感想や保守をありがとうございます、長く付き合わせてしまい申し訳ありません……!
続きは近いうちに投下致します……! - 240二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 06:08:28
乙です、実はこのスレで猿濃度たまにあがる瞬間が大好き
- 241二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 08:20:17
乙でした〜
本編読んだことないんだけど鬼龍ってそんなに強いのん? - 242二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 16:41:45
ついに画像使い出して爆笑した
- 243◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:34:15
ちょっと変則的な形で投下します
途中で書き込んでも全然大丈夫です……! - 244◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:34:48
「あ、あれは誰だ!?」
三田が驚愕するのも無理はない。
鬼の背後に立った人物は、マネモフルより体格も威圧感も上回る、屈強な壮年の男だったからだ。
うぁぁぁ き...鬼龍があにまんデスゲームを練り歩いてる! とならなかったのは、三田の知識が推理漫画に偏っていたからであり、Nek-Oもまた、漫画知識に詳しいわけではなかった。
ただ、三田は何となく、本当に何となくだが、これはマネモフルに関係するものだと理解した。時折彼から感じていた悪魔的オーラを、目の前の劇画的男性から圧倒的に感じていたからだ。
(敵か味方か分からない……けど、先生にとっての敵でもあるはず……!)
そう信じ、三田は再び鬼へと距離を詰め、高速ジャブを放った。
鬼もまた、突如出現した悪魔を超えた悪魔に注意をひかれていたためか、三田のジャブが全て被弾する。
だが、やはりダメージは無い。
再び鬼から距離を取りながら、三田は謎の男の様子を観察する。 - 245◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:35:43
- 246二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 19:38:19
いくら鬼龍がいたところで先生がゴリラより弱いとは思えないんだよなぁ
- 247◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:39:33
- 248◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:42:52
- 249◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:47:04
- 250◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 19:51:06
- 251◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 20:00:44
「これは一体……」
鬼が攻撃を振るうたびに男は消え、新たな男が出現する。
年齢、体格、人種さえ超えて、様々な劇画風の人物の出現に、三田は度肝を抜かれていた。
どうやら彼らには、戦闘力を持っていないようだった。
漫画のコマが現実の人間を攻撃できないように、あくまで影法師のように出現することしか出来ない。
もし茜音沢に理性があれば、彼らを全て無視していただろう。
だが、理性を喪失し鬼と化した茜音沢は視界に鬱陶しく纏わりつく者たちを、例えマネキンだとしても攻撃してしまう。
「マネモフルの人格が漏れ出してるんだ」
声が聞こえた。
聞き覚えのある、しかし初めて聞いたかのような新鮮な響き。
「君は、ねうねいさん……!」
「やぁ、ちゃんと話すのはこれが初めてだね」
そしてあまり長話をしている時間も無い、とねうねいは残念そうに言った。 - 252◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 20:11:03
「本物ならともかく、マネモフルの中に生まれた数多の人格に過ぎない彼らでは、茜音沢先生を倒すことは出来ない。でも、あのまま君たちを戦わせていては各個撃破されてしまうだけだった。だから、デコイを出して時間稼ぎをする必要があった」
現在、暴徒のような集団が茜音沢だったものを囲んでいる。
「茜音沢先生に勝つなら、各個で戦っちゃ駄目だ。みんなで挑まないと……!」
「……確かに、君の言う通りだ」
徐々に、野蛮人たちの輪郭が薄くなっていく。
ねうねいも同様だった。
現実に存在しないものは、この世界に長くは留まれない。
それは、漫画のキャラクターも、死者も、同様だった。
「……どうやらギリギリ間に合ったようだね」 - 253二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 20:15:59
冷静に分析を試みる三田くんに笑いを堪えられない
- 254◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 20:19:42
暴徒と化した集団を、鬼が一薙ぎで全滅させる。
新たな野蛮人は、出現しなかった。
代わりに、二つの衝撃が、鬼を襲った。
左右からの、強力な殴打。
衝撃を逃がす余裕が無く、初めて鬼の顔に苦痛が浮かぶ。
「間に……合った……!」
狼に跨った女子生徒……姫氏原小毬は荒い息を吐き。
「出るタイミングは、ここしか無いですわね」
茜音沢が捨てた鉄棒を構えた女子生徒……歯荷仄花が不満げに呟く。
「……ありがとう、マネモフル、ねうねいさん……」
考慮の外に置いていた援軍の登場。
三田の頭に、一つの作戦が思いついた。
「……皆、僕にいい考えがある」
全員が探偵に顔を向けた。
「上手く行けば、茜音沢先生を倒すことが出来るはずだ」 - 255◆xaazwm17IRZa23/09/16(土) 20:23:16
投下を終了します……!
1レスごとに書いたのは初めての試みで、読みにくかったら申し訳ありません……!
続きはまた後日投下致します……!
本日もお付き合いいただきありがとうございました……! - 256二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 20:23:18
いよいよ最後の砦だな
これでどうにもならなければ本当にお仕舞いだ - 257二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 20:43:05
読みながらううん?ううん…?と困惑してたけど味方到着は熱いですね!
- 258二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 20:58:51
かなり久々の姫氏原ちゃんと歯荷ちゃん嬉しい…!
そして堀木くんは来てくれるって信じてたよ - 259二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 21:05:02
最終決戦の空気か……?これが……と困惑しながら読んでたのにねうねい復活+味方全合流でテンションブチ上がった、それがボクです
- 260二次元好きの匿名さん23/09/17(日) 00:33:31
カオスなのに熱くて泣ける
すごい読後感だ…… - 261二次元好きの匿名さん23/09/17(日) 10:53:54
これでも元は普通のデスゲームだったんだよね 凄くない?
昔のジャンプ漫画ばりの路線変更が功を奏したと考えられる - 262二次元好きの匿名さん23/09/17(日) 15:53:41
堀木ウルフこのまましれっと生き残って姫氏原ちゃんのボディーガード兼ペットとしてあにまん高校まで着いてきてくれないかな……
- 263二次元好きの匿名さん23/09/17(日) 22:07:56
細やかながらの保守
- 264二次元好きの匿名さん23/09/18(月) 07:38:56
保守
- 265二次元好きの匿名さん23/09/18(月) 14:04:13
保守ウルフ
- 266二次元好きの匿名さん23/09/18(月) 22:48:24
保守
- 267二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 08:00:37
保守
- 268二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 12:49:52
- 269二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 21:56:31
お爺と黒服連中とティタノボアでもボス張れるけどやっぱ先生が無法に強すぎる…
- 270二次元好きの匿名さん23/09/20(水) 08:00:33
もしかしてあそこでジジイ無力化できたのってかなりデカかったのか……?
- 271二次元好きの匿名さん23/09/20(水) 18:38:30
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