【🎲時々⚓・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が

[1 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 13:59:45]

『爆撃(The Explode)』ではなく『侵入(The ENTER)』の世界線。

私のシュリフトはE｜あにまん掲示板

↑のスレを見つけ、能力設定を所々引用しながらやってみたいと思った（完全なる見切り発車）。

問題ありなら消します。

スタート地点

1.見えざる帝国・銀架城内

2.虚圏

3.流魂街の下層地区

dice1d3=2 (2)

時期

1.陛下の「理知の90年」が終わる前

2.空座第一高等学校・入学試験前

3.石田宗玄の死去後

4.現世組の中学時代

dice1d4=3 (3)

[2 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 14:02:17]

どうしてそんな所に？

[3 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 14:23:16]

ちゃんと打ち込めてよかった。

時期は宗玄死去後の虚圏に決定。

虚圏にいた理由

1.「侵入」が虚にも効くかの試し打ちのため

2.帝国内での訓練用の的になる雑魚虚もしくは破面の捕獲部隊に同行（見学）していた。

3.ストレス発散のため。

dice1d3=3 (3)

本編の9年くらい前なので、バンビちゃんの容姿を若くするかの安価をします。

>>4、>>5、>>6

[4 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 14:27:36]

死去したばっかなら無しでいいと思う

[5 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 14:47:13]

ちょい幼い
中3くらい？

[6 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 15:13:56]

>>4　なし

>>5　あり　中3くらい

特に時間は決めていませんでしたが、スレ落ちもあるのでここまでにします。バンビちゃんの容姿は本編より気持ち若い事にします。

ストレスの原因

1.騎士団長の命令で渋々、未熟な新兵聖兵たちを数時間も訓練していたから

2.またバンビーズの面々に置いてきぼりにされた。

3.一番のストレス解消方法のイケメン殺しが、団長に窘められたから

dice1d3=2 (2)

これも必要かな

バンビエッタからバンビーズへの好感度

リルdice1d100=61 (61)

ジジdice1d100=84 (84)

ミニーdice1d100=64 (64)

キャンディdice1d100=8 (8)

[7 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 15:32:55]

バンビちゃんは、キャンディはただの同僚（同族嫌悪？）。

リルとミニーは仲間以上友達未満で、ジジだけは友達と思っているのか。

こっちのダイスも必要だった。

バンビーズからバンビエッタへの好感度

リルdice1d100=50 (50)

ジジdice1d100=97 (97)

ミニーdice1d100=15 (15)

キャンディdice1d100=23 (23)

これで軒並み50以上だったら、どうして置き去りにされたんだ？

ストレス発散後、銀架城に戻ってきたバンビエッタを最初に迎えたのはdice1d25=1 (1)　の聖章騎士

[8 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 15:43:23]

ジジの好感度がバカ高いの本編的に嫌な予感しかしねえ…

[9 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 16:19:01]

>>8　ジジはこの時から機会があれば、ヤル気だったんだろうな。

他の面々もイメージ通りの好感度になった…いい事なのかな？

虚圏から帝国に帰還早々、騎士団長のハッシュヴァルトと遭遇したバンビちゃん。

常に表情が鉄仮面の彼が、バンビエッタを待っていた理由

1.無断かつ単独で虚圏に向かった理由を問いただすため

2.陛下からの指示を伝えるため

3.無言の説教と反省をさせるため（机と椅子は準備済み）

4.偶然、時間潰しの散歩中に居合わせた

dice1d4=4 (4)

ハッシュヴァルトからバンビエッタへの好感度dice1d100=86 (86)

バンビエッタからハッシュヴァルトへの好感度dice1d100=50 (50)

バンビエッタの「見えざる帝国」への愛国心dice1d100=49 (49)　陛下に対しての忠誠度（好感度）dice1d100=9 (9)

[10 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 16:28:24]

バンビちゃんらしい忠誠度の低さ

[11 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 16:28:42]

バンビちゃんは力があるから従ってるぽそうではあったな

[12 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 16:56:19]

おかしいなぁ、どうしてこんな結果になるんだ、何も狙っていないのに。

ハッシュヴァルトはバンビエッタの事をきちんと頼れる仲間と見ているようで安心。バンビちゃんはハッシュヴァルトをただの上官としか見てなさそうだけど…。

物は試しに陛下の評価が高いだろう、キルゲ・オピーの「見えざる帝国」への愛国心dice1d100=76 (76)　陛下に対しての忠誠度（好感度）dice1d100=29 (29)

偶然の遭遇から無事に逃げたバンビちゃんが目指すのは、ストレスの原因になったバンビーズの面々がいるはずの相部屋へ。その目的は、当然のように彼女たちに仕返しをするため。

相部屋の扉を開けた先にいたのは――

1.いない　2.いる

ジジdice1d2=2 (2)

リルdice1d2=1 (1)

ミニーdice1d2=1 (1)

キャンディdice1d2=1 (1)

[13 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 17:25:00]

そもそもそこはダイスで決めるべきところではないんだと思う
原作キャラの性格なんだから

[14 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 17:33:29]

>>13　すいません、そこってどこの部分でしょうか？　キルゲの愛国心と忠誠度ですか？　もしそこなら、確かに性格に影響しますよね…もう少し考えてダイスするべきでしたね。では、そこは無かった事に。

[15 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 17:34:27]

好感度ジジからのジジ単独でいるのワロタ

[16 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 18:07:45]

あえて、1.いない2.いるにして、わざとリルとジジの順番も変えたのに、ジジに愛されているよね。バンビちゃん。

キルゲの愛国心や忠誠度は調べなかった事にするので、忘れて下さい。

相部屋にいたのは、バンビーズで唯一友達と思っているジジのみ。そのことに落胆しつつも、気分

的に仕返しがしたいバンビエッタはとりあえず「侵入」の能力で、ジジの精神世界に侵入する。

バンビエッタ（精神体）の眼前に広がるジジの精神世界は――

1.エッチな玩具と拷問器具が沢山ある、イカ臭い巨大な寝室

2.血と死体だらけのむせ返るような死臭が漂う赤い地獄

3.バンビちゃんにはねぇ～見せられないよ。（拒否されて、強制的に精神世界から弾かれる）

4.真っ暗闇

dice1d4=3 (3)

[17 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 19:55:55]

侵入を分かってると弾けるのかな？

[18 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/03(日) 21:06:49]

>>17　精神世界への侵入・精神干渉は藍染でも防げないレベルのようです。ゆえに「侵入」を知っていても防げません。

「侵入」の力でジジの精神世界に入った直後に、拒否され弾かれたことに驚くバンビエッタ。

その事実はジジの精神世界に、意思があり精神世界と深く繋がった「誰か」が居て、その者に拒絶されたということ。自分の精神体の脆弱さを知るバンビエッタは、再びの侵入行為は自らの精神に悪影響を与えると考え、侵入を諦めるも苛立ちが残る彼女は――

1.ジジの肉体を、動血装で強化した拳で軽く殴り飛ばして憂さ晴らし。

2.他の三人の居場所を聞く。

3.顔も見たくないから、自室に戻ってふて寝。

4.部屋を出て、適当なイケメンを見つけて、気分を晴らしに行く。

dice1d4=3 (3)

バンビちゃんの肉体の戦闘力dice1d100=53 (53)

＊星十字騎士団の幹部団員なので、戦闘力の値が50以下の場合は最低値を50にします。また精神体の戦闘力は肉体の戦闘力の二分の一とします。

[19 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/04(月) 01:11:15]

バンビちゃんの戦闘力がかなり低めに、これは聖章騎士でも戦闘力はほぼ最下位だろうな。

ふて寝の翌日、バンビエッタは「見えざる帝国」の皇帝ユーハバッハ陛下が座す玉座の前で大人しく傅いていた。

陛下への忠誠心は雀の涙ほどしか持ち合わせていない彼女であったが、時と場合に何よりも陛下の強さはしっかりと理解していた。

頭を垂れてじっと自分の言を待つバンビエッタに、陛下は口を開き、彼女に指示を伝え始める。

「バンビエッタ・バスターバイン。これよりお前は現世の重霊地・空座町へと向かい――」

1.現地の担当死神に悟られず、帝国の拠点を空座町内と隣市の鳴木市に築け。

2.空座町に潜む特記戦力が一人、浦原喜助の調査に向かえ。

3.石田宗玄が息子か孫に遺しているだろう、我が帝国に関する資料を全て奪え。

4.元死神と純血滅却師の間に生まれた闇の子、黒崎一護と双子の妹たちを連れて来い。

dice1d4=4 (4)

今日はここまで。

[20 二次元好きの匿名さん 23/09/04(月) 07:23:40]

かなり低いからなあ

[21 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/04(月) 12:41:09]

>>20　もしかしたら。このバンビちゃんは聖章騎士最弱の可能性も。でも、精神世界なら無双できるかも。

保守と念のため、バンビーズの戦闘力をダイス

バンビエッタ　53

ミニーdice1d100=79 (79)

ジジdice1d100=17 (17)

キャンディdice1d100=60 (60)

リルdice1d100=54 (54)

＊星十字騎士団の幹部団員なので、戦闘力の値が50以下の場合は最低値を50にします。

[22 二次元好きの匿名さん 23/09/04(月) 12:43:32]

力こそパワー

[23 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/04(月) 13:02:03]

>>22　このバンビーズは聖章騎士最弱の集まりでは？　いや、千年血戦まで時間はあるこれから強くなるはず。

猶予があったので、先と一緒にするべきだった聖文字の熟練度ダイス。

五段階評価、1.素人　2.初心者　3.中級者　4.上級者　5.プロ

ミニー(力)dice1d5=5 (5)

キャンディ(雷霆)dice1d5=2 (2)

リル(食いしんぼう)dice1d5=2 (2)

バンビエッタ(侵入)dice1d5=2 (2)

ジジ(死者)dice1d5=3 (3)

[24 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/04(月) 19:47:11]

なんだがこの五人組はバンビーズと呼ぶよりも、ミニーズと呼んだ方がいいような…きっと彼女だけ、他の四人よりも早く聖章騎士になったからと思いたい。

陛下の王命に従い、バンビエッタはその日の昼頃には帝国だけの移動手段である「影の領域」を通じて、現世に到着した。

事前に与えれた情報（ダーテン）から、対象の死神と滅却師の混血児である黒崎兄妹の顔と黒崎家の住所はすでに判明していた。

ガキ三人を連れて来るだけの簡単な仕事、もう任務を達成した気分のバンビエッタは、帝国が今回の任務用に空座町の隣市内に用意したマンションの一室へと入った。

「……義骸、これに入れっていうの」

床に置かれた木箱に入った人型の人形――義骸（ぎがい）。死神が現世で霊力の回復と活動を両立させるために作られた仮の肉体。帝国の滅却師の肉体も死神同様に霊体のため、現世での活動には義骸に入る必要があった。

「めんどくさ。――入るのはあとでいいわね」

死神の義骸技術を模して応用した帝国製義骸に入るのを後回しに決めたバンビエッタは、窓を通り抜けて外へと出て行く。

彼女の目的は――。

1.空座町の散策。

2.黒崎兄妹の確認。

3.襲撃に適した時間と場所の選出。

4.万が一に備えての下準備。

dice1d4=2 (2)

[25 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/04(月) 22:51:52]

見つけた、バンビエッタは空座町の町内を流れる川に掛かる橋の上から、川の下流に情報通りの容姿をしたオレンジ髪の子供を発見した。

遠目からでも長男の黒崎一護と分かり、またその小さい体から漏れ続ける霊力の高さと質に驚かされる。もしも、霊力を十全に扱えたら、どれほどの脅威になるか、バンビエッタには想像も出来なかった。

「ここからでも、侵入できるけど……」

「侵入」の射程距離は目視できる範囲、望遠鏡を介して射程を伸ばすことも出来る。また体の一部だけでも目視さえできれば、そこから問答無用に精神世界へ侵入ができる。

しかし、バンビエッタは決心が付かないでいた。黒崎一護は死神と滅却師の混血、その精神世界の構造は正常なのか……ジジのように中に「誰か」がいる可能性も捨てきれない。もしも、そうなら今度はいきなり攻撃される可能性だって十分にあるからだ。

「……ま、まずは観察よ。時間はあるんだから、陛下から直々の任務なんだから慎重にやるべきねっ！」

長男だけではなく、妹たちも観察する必要がある。そうバンビエッタは自身を納得させて、足早に橋から離れて行った。

バンビエッタの霊力dice1d100=18 (18)

少年一護の霊力（自然に漏れ出ている量）dice1d100=72 (72)

[26 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/05(火) 01:26:51]

どうしてこんなにバンビちゃん関係の数値が低くなるかな、本当に幹部団員？

戦闘力がお世辞にも高くなくても、霊子の操作技術や血装が優れている可能性も十分あるはず。

霊子操作dice1d100=14 (14)

動血装dice1d50=46 (46)　静血装dice1d50=19 (19)

バンビエッタが、黒崎兄妹の観察を始めて一週間が過ぎた。

結論から言えば、おかしいの兄の一護だけ。幼児と呼んでもいい妹たちの霊力は脅威ではないと判った。

そして、これから黒崎兄妹の確保に動く。

「捕まえるなら、まずは妹たちからね。この義骸もこういう時には便利よね」

霊体のバンビエッタが帝国製の義骸に入ると、視界の高さが変化してマンションの床がぐっと近くなる。

用意された義骸は、バンビエッタの外見よりも大分若い子供の義骸。それこそ黒崎一護と同じ年齢に見えるほど。

ジジとキャンディに見られたら絶対に笑われる、そう思いながら子供の姿になったバンビエッタは、マンションの玄関扉を開けて外に出た。

「え――？」

マンションの前の歩道に出たバンビエッタを待っていたのは――

1.銀髪の薄ら笑いを浮かべたキツネめいた細顔が怪しい、

2.柔和な風貌に四角い黒眼鏡をかけ、

3.褐色肌にバイザーを付け、コーンロウとドレッドヘアが特徴の、

dice1d3=2 (2)　死覇装を着た死神の男だった。

[27 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 01:34:56]

悲しくなるくらい弱い…
まあ生きてりゃ技術は磨けるから希望は残ってるはず

[28 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/05(火) 10:34:41]

>>27

ああ、自分のダイス運が悪いばかりに、こんな弱々しいバンビちゃんになってしまった…本気で悲しい。

次から黒縁眼鏡との戦闘になります。

戦闘方法はひとまず互いの㏋を100とした、ダメージダイスで削り合うようにします。

基本は三回ダイスを振り戦闘力以下の出目が多い方の勝ちであり、相手に入るダメージ量は一番小さい出目をそのままダメージになります。

＊ただし、帝国滅却師の場合は静血装があるので、静血装の値分ダメージが下がります。

戦闘力以上の出目はミス扱い。もしも、どちらかに戦闘力と同じ出目が出た場合には引き分け扱いとして、もう一度三回ダイスを振ります。

例、

死神A　戦闘力80、dice3d100=60 82 59 (201)

滅却師B　（静血装19）戦闘力53、dice3d100=72 91 43 (206)

続きます

[29 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/05(火) 10:45:58]

ダイスの結果、死神Aが勝ちました。

滅却師Bに与えるダメージは本来なら59になりますが、滅却師Bは静血装19があるのでダメージが-19されます。

よって死神Aが滅却師Bへ与えたダメージは40となり、滅却師Bの㏋は残り60となります。

㏋が30を切ったら、逃げるためのダイスも考えてます。

そして、黒縁眼鏡の戦闘力dice3d100=11 31 70 (112)

[30 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/05(火) 10:46:56]

>>29訂正

黒縁眼鏡の戦闘力dice1d100=67 (67)

[31 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 18:18:46]

保守

[32 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 20:09:13]

相手が悪すぎる

[33 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 20:57:47]

>>32 本当に相手が初戦の敵として最悪です。全てはダイス運が悪い。

なんでここに死神がいるのよ、バンビエッタは内心で焦りつつも、前方に立つ黒縁眼鏡の死神を警戒する。

得物は腰の斬魄刀のみ。柔和な風貌は戦闘が得意そうには見えないものの、身に纏う空気は騎士団で何度も感じた強者のものと同一。こいつは外見を無害そうに装っていると直感で理解したバンビエッタは、険のある声で死神に話しかける。

「あんた誰よ。現世担当の死神じゃないわよね」

「……その問いに、答える必要があるかい？」

死神が発する落ち着いた声色からは敵意や害意を感じないものの、彼はごく自然の流れであるかのように腰の斬魄刀を鞘から引き抜いた。

「――っ」

その瞬間、死神の肉体から漏れ出す霊力は、バンビエッタから余裕を吹き飛ばすほどの圧と質を宿していた。

「いきなり、死神に刃を抜かれる覚えはないのだけど。あんた……200年前の滅却師殲滅戦で家族か友達を滅却師に殺されでもしたの？」

「――僕が君の前に立ち、斬魄刀を抜くのは、君に彼らの近くをうろつかれるのは少々困るからだ。そして、これから告げるのは慈悲だ――無駄な抵抗はせず、その首を差し出せ。そうすれば、苦痛のない死を与えよう」

「ッツ！」

己の実力に圧倒的な自信と自負が帯びた死神の言葉に、バンビエッタは憤慨。右手首に巻き付けていた滅却師の証である滅却師十字（クインシー・クロス）を右袖の内から出し、周囲の霊子でそれを片刃の剣へ変えた。

「ほお、滅却師が弓矢ではなく剣を扱うか――面白い」

「ッ、あんたのその余裕顔――今ここで、ぶっ殺してあげるわ！！」

　慣れない義骸に入ったまま謎の死神と戦闘になる事はもう避けられない。覚悟を決めた子供姿のバンビエッタは先手必勝と、微笑を浮かべる黒縁眼鏡の死神へと襲い掛かった。

黒縁眼鏡の死神（㏋100）戦闘力67、dice3d100=53 86 28 (167)

バンビエッタ（㏋100）（静血装19）戦闘力53、dice3d100=33 35 96 (164)

[34 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 21:07:02]

>>33　戦闘力以下の出目が互いに同数の場合を書いていませんでした。すいません。

そうなった場合は一回ダイスを振り、出目が大きい方を勝ちとします。ただ、相手に与えるダメージは先の三回ダイスの出目となります。

黒縁眼鏡の死神（㏋100）戦闘力67、dice1d100=68 (68)

バンビエッタ（㏋100）（静血装19）戦闘力53、dice1d100=12 (12)

[35 スレ主＃19890828 23/09/05(火) 23:02:37]

>>33

>>34

に名前を入れ忘れていました。

あ、やっぱりバンビちゃんは負けてしまった。バンビエッタへのダメージは28から静血装の19を引いた9ダメージとなりました。

「！？」

頭蓋骨を割る勢いと殺意が込められたバンビエッタの振り下ろしの一撃を、黒縁眼鏡の死神はその場から動かないまま平然と左手で掴み、受け止めてみせた。

その事実にバンビエッタが表情を変える間もなく、斬魄刀を握る死神の右手は左に振られ、正確に彼女の首を薙いだ。

「おや？」

死神の予定では、今の一撃でバンビエッタの首は胴から分かれるはずだった。しかし、現実は斬魄刀の刃は皮膚を薄く切る程度で止まっていた。

「――このっ！」

子供の姿だから躊躇いがあるはず、と淡い期待を裏切られ、さらに静血装の防御を突破された事にバンビエッタは激昂しながらも、斬魄刀の柄を左手で掴むや血装を防御から攻撃用の動血装に切り替え、そのまま死神の腹へ全力の前蹴りを放った。

黒縁眼鏡の死神（㏋100）戦闘力67、dice3d100=42 59 57 (158)

バンビエッタ（㏋91）（静血装19）戦闘力53、dice3d100=75 48 49 (172)

[36 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/06(水) 01:03:27]

>>35

あれトリップがなんで？

そして、案の定の二連敗。今度のダメージ量は動血装中の場面なので、ダメージのマイナスはされません。なので、バンビちゃんには42のダメージを受けてもらいます

バンビエッタに腹部を蹴られた死神は後方へ吹き飛び、彼の履くわらじがアスファルトの地面を強く擦りながら、十数メートル下がった所で勢いは止まった。

「……面白い技を使うようだね」

「――っ、あんた。腹に何を仕込んでいるのよ」

視線を合わせる攻撃した側とされた側の顔は、あるべき表情とは真逆。死神は柔和な表情を保ちながら悠然と歩き出し、バンビエッタは痛みに耐えるように立ち止まり、眉間にしわを寄せていた。

死神はバンビエッタの問いに答えず、死覇装の腹部分に片手を入れると中からさらしのように見える長い布を取り出してみせた。

「これは銀条反という鉄で編まれた鎧の下地に使用される帯に、僕が手を加えた試作品だ。巻き付けた生物の霊力を吸収する事で強度を従来の五倍以上には出来たが、残念な事に作製コストが釣り合わなかった失敗作でもある」

「――その失敗作のデータ取りのために、わざわざ腹に巻き付けてきたわけ？」

「コストに加えて、強度の維持に生地が耐えられない点もあった」

死神の手にあった帯は限界を迎えたのか、端から発火するとまるで階段を駆け上がるように火が帯全体に燃え広がり、ものの数秒で跡形もなく燃え散った。

「だが、君程度の相手ならちょうどいい盾になったーー左脚にヒビでも入ったかい？」

「うっさい！」

敵に図星を突かれたバンビエッタは怒鳴りながら、剣先を近づく死神へ向けるや刀身の左右から霊子の弓と弦が作られ、滅却師の代表的な攻撃である霊子の矢――神聖滅矢（ハイリッヒ・プファイル）の連射が死神に放たれた。

1.命中　2.外れ

dice1d2=1 (1)

今日はここまで、安価を考え中です。

[37 二次元好きの匿名さん 23/09/06(水) 07:11:35]

あたった！けど弱弱バンビちゃんのだと豆鉄砲扱いされそう

[38 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/06(水) 13:22:20]

　放たれた蒼白い光の矢たちは、魚群の如く死神に殺到する。
　これで仕留められるとは思わないバンビエッタであったが、反撃のきっかけになるとは考えていた。
「そろそろ、終わりにしよう」
　迫り来る攻撃に微塵の動揺もない死神は呟き、その刹那――彼に当たるはずだった光の矢は砕け散り、その残骸で一本の軌跡が出来上がっていた。
　バンビエッタが、死神は刀で捌くことも防御もせず、力の差を見せつけるようにあえて矢に当たりながら正面突破したと気づいた時には、敵は彼女の眼前にいた。
　そのまま死神の刃は斜めに振り上げられると同時に、胴が斬られて決着――のはずだった。
「！？」
　ここで初めて死神の表情が変わり、反射的にバンビエッタから後方に飛び退く。
「……何をしたのかな？」
「――言うわけないでしょ！」
　やっと入れた、とバンビエッタは頬を上げて死神に笑みを見せる。
　バンビエッタの精神世界への侵入を阻止する術はない。ただ、侵入までの時間には個人差が生まれる……理由は、霊圧の質。
　「侵入」が霊的な能力である以上、霊圧は侵入を妨げる壁となり、質が高ければ高いほど突破に時間が必要になるからだ。
　そして侵入した事でバンビエッタの視野にはデュアルモニターのように、二つの景色が見えていた。
　一つは死神と相対する現世の景色。もう一つは、満月と星の無い夜、直下には底の見えない暗い海がどこまでも広がり続ける、死神の精神世界。
　孤独、虚しさ、悲しみ……石柱に立つ精神体を通じて、バンビエッタに死神が抱える哀の感情が去来する。
　精神世界の景色は千差万別。その時の感情、抱える想いで、環境は目まぐるしく変化する。そして、その感情と想いに嘘偽りがない本物である事をバンビエッタはよく解っていた。
「……あんたは敵だから同情はしないけど、もう少しましな生き方はあったと思うわ」
「何を言って――」
　バンビエッタの言葉の意図を死神が悟る前に、死神の精神世界に亀裂が入った。

＊ここから精神体バンビちゃんの戦闘力が、死神へのダメージになります。バンビちゃんの能力値が高かったら、精神体からのダメージもダイス調整しようと思いましたが、弱々だから、これくらいのチートはあってもいいよね
黒縁眼鏡の死神（㏋74）戦闘力67、
バンビエッタ（㏋49）（静血装19） (肉体の戦闘力53、精神体の戦闘力26)

[39 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/06(水) 20:39:22]

「―――」

　胸の奥の何かに亀裂の入る感覚があった黒縁眼鏡の死神は、未熟な女滅却師の攻撃が自分に通ったと悟る。

　その正体を冷静沈着に考察し、十秒足らずで魂魄か精神に作用する類の攻撃と判断した。

　だが、彼に焦りや恐れの感情はなかった。女滅却師との力量差は歴然、霊力・霊圧差も明白、負ける要素はない。リンゴが重力に引かれて地に落ちるのが世の理であるように、自分もまた当然の如く勝利すればいい。

「約束しよう。次こそ君の首を落としてあげよう」

「そんなの出来ると思ってんの？」

「問題ない。先ほどの霊子を用いた防御の硬さは理解した。ならば、それ以上の斬撃で斬ればいいだけのことだ」

　死神としてはこれ以上の霊力は出したくなかった。霊圧が波となり、この町か空座町の担当死神に気づかれる可能性があったからこそ、鬼道の使用を控えている。

「安心するといい、滅却師。僕は死体を無駄にはしない、肉片の一欠片まで使い切る」

「それはこっちのセリフよ！　あんたの死体を手土産にするんだから！」

　精神世界を破壊できればその瞬間、何者も廃人に出来るバンビエッタの「侵入」であったが、そこまでの時間の余裕はもうない。

　次の攻防で決着になる、バンビエッタは霊子を刀身に収束させて幅広の光刃を形成。死神は素人に剣を教える師範のように斬魄刀の柄を両手で握り、お手本のような正眼の構えを取った。

「「…………」」

　そして、滅却師と死神は示し合わせたように、同時に前へ駆け出した。

＊死神の宣言通りに静血装を貫くので、ダメージのマイナスはありません。

黒縁眼鏡の死神（㏋48）戦闘力67、dice3d100=28 21 39 (88)

バンビエッタ（㏋49）（静血装19） (肉体の戦闘力53、精神体の戦闘力26)、dice3d100=35 32 39 (106)

[40 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/06(水) 20:44:03]

戦闘力以下の出目が互いに同数でしたので、一回ダイスを振ります。

黒縁眼鏡の死神（㏋48）戦闘力67、dice1d100=93 (93)

バンビエッタ（㏋49）（静血装19） (肉体の戦闘力53、精神体の戦闘力26)、dice1d100=92 (92)

[41 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/07(木) 00:33:31]

　滅却師と死神の戦いは、霊子の刃が砕け散る音と共に頭部を裂かれ、膝から崩れる落ちる滅却師の姿で決した。
「――やってくれたな」
　勝者の死神は結果を不服としながら、刀身に付着したバンビエッタの血をシュと払い落とす。
　彼女の首を落とすため死神が繰り出した必殺の横薙ぎは、首の位置から大きく上の位置で振られ、その結果が義骸の頭蓋骨を割く頭部の裂傷と大量出血。
「精神干渉……時間経過で肉体操作も可能か。いや、先に精神崩壊を狙っていたのかな？」
　死神の独り言めいた問いに、急激な出血で気絶したバンビエッタがそれに答えることは出来なかった。
「…………」
　黒縁眼鏡の死神は気絶するバンビエッタを見下ろし、約束通り首を落とす前に――斬魄刀を鞘に納めた。
　ここまでか……彼の優れた霊圧知覚が、空座町からこちらへ接近する霊圧を捉えた。彼は自分が現世に居る事を空座町の者たちに知られたくないため、大人しく退くしかなかった。
「これは貰っていくよ」
　死神はその場から撤退する前に、バンビエッタの手から滅却師十字を奪い取り、さらに自分の霊力・霊圧を判別させないための特殊な粉を周囲に振りまいた。
「縁があれば、これを奪い返しに来るといい」
　と致命に近い傷を負ったバンビエッタの生存を確信しているような口振りの死神は、風の如くその場から消え去った。
　数分後、空座町からやって来た人物にバンビエッタは保護される事となる。

　＊空座町から来た人物を安価します。
　条件として、この時点で空座町に居る人限定かつ隣市まで来れる能力のある人のみで、お願いします。
　ある程度、安価が揃ったらその中からダイスで決める予定です。

[42 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 10:35:22]

ほ

[43 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 22:36:26]

ほ

[44 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 22:40:46]

>>41

安価のが集まらないので、条件は取り消します。

それでも安価が集まらないのなら、ここで終わりにします。

[45 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 23:56:58]

夜一さん

[46 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 00:02:14]

平子

[47 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 00:41:35]

月島さん

[48 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/08(金) 09:49:29]

安価を締め切ります。

1.>>45

2.>>46

3.>>47

dice1d3=3 (3)

今すぐの書き込みは無理ですので、次は夜になると思います。

[49 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 19:40:25]

ここのバンビ踏んだり蹴ったりだね

[50 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/08(金) 23:01:58]

　空座町で一番大きい総合病院から、長身痩躯のスーツにサスペンダー姿の青年が静かに正面玄関から出てきた。
「おい、勝手にアジトから出歩くなよ」
　そんな彼を病院前で迎えたのは、オールバックの黒髪にジャケット姿の目付きが鋭い男だった。
「ごめん、死神の気配がしたから挟んでおくのも悪くはないと思ってさ」
「思いつきで行動するんじゃねえよ。で、挟んだのか？」
　挟む、その意味は彼らにしか分からない。青年は男の問いに頭を縦に振った。
「排他的で閉鎖的な環境で育った子でね。挟める余地が、そこに入る前で恩人程度しかなかったよ」
「そうか……役に立ちそうか？」
「難しいね。あの子は滅却師なんだけど、個人で協力させる事は出来ると思うけど」
　青年は他人の過去を知る事が出来る。だからこそ、滅却師の王が自分たちと協力関係を結ばないと知っている。
「滅却師、まだ生き残りがいたのか」
　男は情報でしか知らない滅却師が、現世に生存している事に小さく驚いた。だが、男には些細なことだ。
「――死神は誰だった？　俺の知っている奴か？」
　彼は死神に強い復讐心を抱いていた。死神と交戦した者なら、将来的に仲間に引き込める可能性がある。だから唾を付けておく、駒は一つでも多い方がいいからだ。
　青年は頷く。
「うん、藍染惣右介だったよ」
「藍染……あぁ、あの優男か」
　男と黒縁眼鏡の死神――藍染惣右介との縁は薄く、波長が合う気がしなかった。
　あの男が野望を抱き、裏で行動している。
「どうするんだい。銀城？」
「……どうもしねえよ。俺たちの邪魔にならなければ無視すりゃあいい。こっちは満足なアジトさえ無いんだからな」
　男――銀城は、月島の問いに素っ気なく返答した。
　とりあえず、あのアジトは一旦放棄だな。この町から離れる事を決めた銀城は思い出したように月島へ問いかける。
「月島。お前、ガキに姿は見られていねえんだよな？」
　もしも姿を見られているなら例え子供でも殺す。復讐者たる自分を死神から隠し続ける……それが仲間を集めている最中の彼には何よりも重要だった。
　それは月島もよく理解していたからこそ、当然のように答えた。
「ああ、その点は大丈夫だよ。気絶の有無はきちんと確認したから」
「ならいい。当面、この町から離れるぞ」
「うん、それがいい」
　銀城は歩き出し、月島は彼の影のように続いた。

[51 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/08(金) 23:46:29]

バンビエッタが運ばれた空座総合病院。
　夜勤の医師を除き、多くの医師が帰宅した中、一人の男性医師が全面禁煙の病院内で喫煙していた。
　石田竜弦――この病院の院長で純血の滅却師。
　最近父親を亡くし、その経緯で自分の息子と不仲になっている父親。その彼が居るのは病院内の隠し部屋へ繋がる廊下。
　静寂の暗い廊下の向こうから、ゲタの足音が聞こえてきた。
「……どうだった」
　竜弦は視線を向ける事なく、ゲタを履く人物に問いかけた。
「いやーアタシを呼んでくれて正解だったッスよ。石田サン」
　暗がりから出てきたのは、下駄と帽子に甚平姿の怪しげで杖を携帯する男。
「あの子の体は予想通り義骸でした。それも仕掛けのあるね」
「だろうな」
　何者かによって、直接病院まで運ばれてきた黒髪の子供。
　死神の霊圧を遠くで微かに感じ取っていた竜弦は、タイミング的にこちら側の者と判断した。
　大急ぎで医師の処置を受ける少女の体を見て、その身は義骸で滅却師と気づいた。
「仕掛けれられていた自爆と追跡機能は除去しましたけど。どうなんッスか、容態は？」
　帽子の奥から竜弦を覗く男は、彼の見解を待つ。
「……良くはない。頭蓋骨が裂けての出血多量。脳障害、感染症、目覚めても重度の後遺症の疑いもある」
　竜弦は吸い終えたタバコを携帯灰皿に入れながら告げる。
「また、身元を示す物が一切ないため、名前すら分からん」
「と言いますけど、実際は義骸・滅却師。この二点だけでアナタは彼女の身元の見当が付いているのではないッスか？」
「……」
　相変わらず全てを見透かすような視線と思いながら、竜弦は男に告げる。
「お前には関係ないことだ。それよりも、彼女の怪我は明らかに死神の手によるものだぞ」
　彼の技能と技術は信用していても、信頼はそれほどなかった……いや、死神の時点で信頼など無理だ。
「そうッスね、あれは斬魄刀による傷でした。アタシの方で瀞霊廷に訊いてみます」
　追放された身で出来るはずがないだろ、と竜弦が思っていると男は床を杖の先で突いた。
「お話は変わりますが、石田サン。この先もやっていいんッスか？　元に戻せませんよ」
「……ああ」
　竜玄は男を病院に呼ぶ際の会話で、事前にある事を頼んでいた。
　少女の義骸を完全に滅却師の力を封じ、自力で出る事も出来ない――人間の義骸に改造してくれ、と。

[52 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/08(金) 23:55:32]

次から時間が少し跳ぶ予定です。

竜弦によって滅却師の力を封じられるバンビちゃんのためのダイス。

出目が小さいほど、戦闘の後遺症が強くなります。

dice1d100=12 (12)

軽めにして。

[53 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 23:57:07]

後遺症強かったね…

[54 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/09(土) 00:26:51]

>>53

軽めにお願いしているのに、なぜ？　凄いドSなダイスじゃないか。と思ってます。

[55 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/09(土) 10:40:41]

次の始まりのためのダイス。

場所

1.浦原商店

2.空座総合病院

3.黒崎家

4.石田家

dice1d4=4 (4)

バンビエッタの後遺症

1.記憶喪失

2.手足の麻痺

3.片目の失明

dice1d3=2 (2)

[56 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/09(土) 10:49:24]

>>55

時期のダイスを忘れていました。

時期

1.聖別後

2.入院中（外出時）

3.退院直後

dice1d3=3 (3)

[57 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 19:51:17]

最初っからこんな調子で大丈夫かバンビちゃん

[58 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 21:25:56]

　空座町北川瀬で一番大きい洋館の石田邸。

　病院から退院直後のバンビエッタは、石田竜弦によって屋敷へ連行されてきた。

　今のバンビエッタに抗う術はない。負傷し手足に中度の麻痺が出て松葉杖無しでは歩けない、また義骸が封となって、滅却師の力も使えない。

　今の彼女は、本当に無力な子供だった。

「子供だろうと入院費を請求したいが、今はいい……見えざる帝国の滅却師が、何の目的で現世に来た？」

　竜弦は亡き父――宗弦の遺品からの情報で、バンビエッタの素性に当たりを付けていた。

　見えざる帝国は宗弦にとって打倒すべき組織であり、竜弦には父母の仲を拗らせた元凶でもある。だからと言って、彼に父の遺志を継ぐ気はなかった。

　それでもバンビエッタを問い詰めるのは、父親として妻子を護るためだ。

「…………」

「黙秘か。麻痺は投薬無しでリハビリだけでの完治は難しい。気づいているだろうが、その義骸は内から出る事は出来ない。私だけが脱ぐ方法を知っている」

「――っ」

「私は医療に携わる人間だ。素直に協力すれば、麻痺の回復までに掛かる費用を病院で負担してやろう」

「陛下が許さない。裏切り者は必ず粛清される」

　か細い声でバンビエッタは難色を示す。しかし、頭の中では理解していた。仮にこのまま帝国に戻れても、待っているのは不要の烙印と処刑だと。

「粛清か……だが、今の君に生きる術があるのか？」

「それは――あんたが約束を守る保証なんて無いじゃないっ。帝国から逃げた奴の息子の言葉なんて！」

「……そうか、ならばここから出て行くといい。入院費は見逃してやる」

　バンビエッタの不安から出た虚勢の言葉に、竜弦は氷の如く冷たい言で言い放った。

　その直後、バンビエッタは石田家の使用人の手によって屋敷から追い出された。

石田邸から追い出されたバンビちゃんの行き先。

1.弓沢児童公園

2.小野瀬川

3.拠点のマンション

4.空座ふれあい公園

dice1d4=2 (2)

[59 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/09(土) 21:33:49]

>>57

それでもやるしかないですね。色々と展開を考えてます。

>>58

また名前を付け忘れました。

バンビちゃんの次の行き先も決まりました。

小野瀬川は隣市と空座町の境にある川です。そこでバンビちゃんがある人物と会う事になります。

その人物を安価します。

[60 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 21:46:41]

黒崎一護

[61 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 22:23:44]

井上織姫

[62 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 22:26:01]

黒崎一心

[63 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 23:52:47]

猫姿の夜一

[64 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/10(日) 10:51:11]

保守もかねて安価をここで締め切ります。

1.>>60

2.>>61

3.>>62

4.>>63

dice1d100=69 (69)

また夜に投稿できたらいいな。

[65 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/10(日) 10:52:03]

>>64

訂正、dice1d4=2 (2)

[66 二次元好きの匿名さん 23/09/10(日) 20:51:21]

安全圏だよ
バンビちゃんおめでとう

[67 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/11(月) 00:43:21]

「どうしたらいいのよ……」
　バンビエッタは隣市と空座町の境を流れる小野瀬川の川岸に座り、麻痺のある手で小石を握りしめるもブルブルと震えて力がうまく入らない。
　無力で脆弱な子供に堕ち、帰る場所にも居場所はなくなり、現世に居ても頼れる仲間もいない。孤立無援のバンビエッタはポイっと小石を力なく川に投げた。
「はぁ～～……マンションに戻ろう」
　死神に知られた寝床に戻る危険性は解っていても、バンビエッタが休める場所はそこしかなかった。
「ねえ、どうしたの。おなかいたい？」
「！？」
　声を掛けられるまで近づかれた事に気付かなかった自分に驚きながら、バンビエッタは慌てて振り返る。
　小学一年生くらいの胡桃色髪をした女の子が、大きな瞳でじっとバンビエッタを見つめていた。釣りでもしていたのか片手に水入りバケツ、もう片方に枝のような釣竿を握っていた。
「別に痛くないわよ、ほっといて」
「でもね、あたまをけがしてるよ。つえだってもってる」
「…………」
　バンビエッタが沈黙していると、女の子は当たり前のように隣に座った。
「あたし、井上おりひめ！　あなたのお名前は？」
「……教えない」
　なにこいつ馴れ馴れしい、バンビエッタは能天気そうな井上おりひめという女の子に名乗るのを拒否すると、彼女は「そっか～ぁ」とすんなり諦めて、釣りを始めた。
「これから魚を釣るの？」
「うんっ、今日はお兄ちゃんとやき魚を食べるんだ～♪」
「そう……餌無しの針に釣られるアホがいるといいわね」
「はっ！？　あ！　えさを探さないと！」
　おりひめは慌てて何も付いていない釣り針を手元に戻し、川岸の石をひっくり返して餌になる虫をせっせと探し始め、小さな水溜りで転ぶ。
「はぁ……どんくさ」

[68 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/11(月) 00:45:05]

　見かねたバンビエッタは、松葉杖を突いてその場に立ち上がる。

　そして、川の中を見つめて、すぐに泳ぐ魚を見つけた。

　こんな使い方したくないけど。

　石田竜弦のミスは、滅却師の力を封じれば聖章騎士の証である聖文字も封じられると考えた点だ。陛下からの血杯で与えられる聖文字は、潜在していた力を引き出す能力のため、「侵入」はバンビエッタの固有能力で滅却師の力とは無関係。

　バンビエッタは水中を泳ぐ魚に「侵入」を使用した瞬間、魚は洗脳され、泳ぐ方向を変えるやそのまま川岸まで近づくと突然大きく跳ねて、陸にあがった。

　その光景をおりひめは目を大きく見開いて唖然としていた。

「す……すご～い！　どうやったの！？　ねえねえ！！　あたしにも出来る！？　まほ～だ！」

「うるさい。魚は何匹ほしいのよ！」

「えっと……じゃあ、十ぴき！」

「じゅ、十匹も？　大家族なの？　まあいいわ。これはあたしたちだけの秘密だからね」

「うんっ！！」

　おりひめは破顔しながら、魚が自分から陸地にあがる不思議な光景を楽しそうに見続けた。

「わーい！　ありがとう！　お兄ちゃんもびっくりする顔になるよ！」

　二人は川岸から離れ、川沿いの道で向かい合う。十匹の魚入りのバケツを、両手で持ち上げるおりひめの笑顔はとても無垢で純粋。バンビエッタはその笑顔を羨ましく感じていた。

　しかし、彼女は一般人。これ以上の接触は良くないとバンビエッタは考え、早く立ち去る事を選んだ。

「そう、良かったわね。じゃあこれで――…………え、嘘でしょ」

「どうしたの？」

　だが、その動きは止まる。

　バンビエッタは、虚の霊圧を察知したからだ。

「おりひめ！　早く逃げなさい！！」

「えっどうして？」

「それは……！」

　どう説明しよう、バンビエッタが考えている間に虚は現世に出現した。

>>66　安全圏でも、敵は外からやってきます！

[69 二次元好きの匿名さん 23/09/11(月) 08:41:53]

虚はほんと理不尽だなぁ
あるいはバンビの霊力にひかれてきたか

[70 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/11(月) 19:54:47]

　宙から空間を裂くように一匹の虚が、現世に出現した。
　バッタに似たろ脚が発達した四足の昆虫型。本来のバンビエッタなら取るに足らない敵であったが、今の彼女には歯がたたない強敵と化していた。
「ねえ、どうしてにげるの？　何もいないよ？」
「っつ」
　昆虫型の虚は地上に着地する。虚の見えないおりひめには、バンビエッタの言葉が理解出来ず、その場を動こうとはしなかった。
「と、とにかく、ここから離れるのよ！」
　のっぺりとした白い仮面をキョロキョロさせて獲物を探す虚から早く逃げるため、バンビエッタは語尾を強めておりひめの腕を掴む。
　だが、二人が動き出すよりもを早く虚は二人を見つけるや、後ろ脚を蹴り上げて大きく跳躍。
「わっ、なに！？　じしん！？」
　二人の数メートル先に着地した虚が起こした振動におりひめが驚き、バンビエッタは苦虫を噛み潰したような険しい表情で虚を見つめた。
　もう逃げられない……例え滅却師の力を封じられ体が不自由でも、死にたくないからバンビエッタは戦って勝つしかなかった。
「おりひめ、あたしの眼を見て」
「え？」
　完全無防備なおりひめの精神世界に侵入したバンビエッタの精神体は、キテレツで不可思議なおりひめのカラフルな精神世界をあっという間に支配すると、そのまま意識と体を奪いとってみせた。
「…………」
　目に光が消えて無表情になった洗脳されたおりひめは、無言のままバンビエッタ本体に背を向け、バケツと竿を持って逃げて行った。
　虚は走り出したおりひめに視線が向いた時、バンビエッタが声を上げた。
「おい！　虚！　こっちを見なさい！！」
　バンビエッタに出来る攻撃は、自分の霊力で矢を作って飛ばすだけ。
「ああもうっ、本当に弱いわねっ！」
　周囲の霊子を使って戦う滅却師が、自分の霊力のみで矢を生成する機会など無いため。その威力は作った本人が嘆くほど弱かった。

[71 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/11(月) 20:02:33]

　昆虫型の虚は、自分の体に鬱陶しく矢を当て続ける人間の子供から喰ってやる事にした。

　この虚がここにやって来たのはただの偶然ではなく、藍染惣右介の部下がバンビエッタを計画に支障を出しかねない敵と判断して送り込んだ虚であった。

「ああ、もうっ、これ嫌なのに！」

　虚の後ろ脚が太くなる事に気付き、バンビエッタはやりたくない手段で攻撃を回避するしかなかった。

　バンビエッタは「侵入」の力で自分の精神世界に精神体を侵入させて、瞬く間に精神世界を支配してみせ、精神体が肉体の操作権を手に入れた。

　疑似・乱装天傀と呼ぶこの方法で、バンビエッタは麻痺のある体を人形の如く強制的に動かし、突撃して来る虚を健全な体と同様の動きで回避してみせた。ただ、使用後は強烈な筋肉痛が襲うので彼女は自発的に使いたくはなかった。

「このっ！」

　霊力を込めた松葉杖を投げ槍の如く構え、バンビエッタは全力で虚の体に投げ付けた。

＊負傷バンビエッタの戦闘力をダイスします、出目は53以下となります。dice1d53=17 (17)

忘れずに、昆虫型虚の戦闘力もダイス。dice1d100=48 (48)

[72 二次元好きの匿名さん 23/09/11(月) 23:57:18]

かてなさそう
バンビちゃんハードモードすぎる

[73 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 08:35:19]

虚もそこそこに強そうなの送り込まれてそうだしな

[74 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 18:56:06]

保守

[75 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 19:00:55]

バンビ…いえることはただ一つ…

[76 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/12(火) 20:22:23]

>>72　本当にどうしてこんなハードモードになるのか、私にも分かりません。

>>73　虚としての格もそこそこのつもりです。

>>75　そういう展開もあるといいのですけど。簡単に逃げられるでしょうか？

[77 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/12(火) 20:23:18]

　投げられた松葉杖は、昆虫型虚の腹部に突き刺さる軌道であったが、虚は俊敏に飛び上がりあっさりと回避した。その光景にバンビエッタは舌打ちするしかない。

「もうっ、めんどうくさい！」

　まばらに撃つよりも霊力を収束させた一点突破に切り替えたバンビエッタは、掌に霊力を集めて形を刃に整える。

　跳躍した虚は地面に着地すると、素早くバンビエッタの正面を向く。この虚の基本攻撃は突進とのしかかりの二つしかない。素早く側面に移動して貫通性の高い一撃を与えれば、意外と思うほどあっさりと倒せる。ただ、弾速が遅いとバンビエッタのように跳躍で回避されてしまう。

「早く来なさいよ、死神……職務怠慢よ！」

　おりひめを洗脳した精神体が彼女の肉体を安全圏まで逃がすまで、自分が死なないためにも、弱体化したバンビエッタには敵対する死神（黒縁眼鏡の死神とその仲間以外）の力が必要だった。

「うえっ」

　掌に集めた霊力の密度を高め濃色の光刃を握るバンビエッタは、虚の変化に思わず声が出る。

　ぶくぷくと後ろ脚の筋肉が水ぶくれのように増大し、それが虚の全体に及び全身が筋肉の塊と化し、体色は赤黒くなった。

　当たったらまずい。静血装が使えない状態で虚の全力突進に耐えられないと判断したバンビエッタは、虚の真正面に立たない事を選び、すぐに彼女は横へ跳んだ。

　しかし、バンビエッタはこの虚の攻撃方法を全て知らなかったために、判断が遅れる事になる。

「え」

　虚は頭を動かしバンビエッタを追うと思えば、仮面の口部分が開き、口内を満たすように黒い光が満ち――霊力の光線が発射された。

　虚閃(セロ)、虚の必殺技。

　黒い光の光線は、真っ直ぐにバンビエッタへと伸びて行った。

負傷バンビエッタ(HP100)　(静血装封印中0) 戦闘力17　dice3d100=75 68 46 (189)

昆虫型虚(HP100)　戦闘力48　dice3d100=26 78 61 (165)

[78 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/12(火) 23:57:15]

＊滅却師の力を封じられているので静血装のマイナスは無し、バンビちゃんに26ダメージが入ります。

「このっ！」

　迫り来る虚閃に回避が間に合わなかったバンビエッタは光刃で迎え撃つしかなく、刃を振り下ろして光線を切り裂く――しかし、その行為は鉄砲水に生身で挑むようなもの。光刃は瞬く間に霊力を削られ、ものの数秒で刀身は砕け、虚閃が爆発を起こした。

　爆音と黒煙が上がり、爆発で腕と頬を負傷したバンビエッタがすぐに煙から飛び出して来るも、その表情に余裕はなく本気で焦っていた。

「ちくしょう……っ」

　今の自分では、この虚に勝つのは難しい。虚閃を吐き終えて膨れた肉体と体色が元に戻っていく敵を睨みながらバンビエッタに敗北の文字がよぎる。

　残る手段は「侵入」による内側からの破壊。虚の魂魄は死神や人間と違い、複数の魂魄が継ぎ接ぎのように纏まり、一つの魂魄となっている。そのためか、個としての意思や本能はあっても自分の心を表した精神世界を持たない。

　侵入する事で、魂魄の継ぎ接ぎ部分を解いてしまえば虚は自我があやふやになり、体の自由もなくなり自壊する。それ以外に今のバンビエッタが勝てる見込みはなかった。

　しかし、それには大きなリスクを負う必要があった。

　滅却師の魂魄は、虚の霊力に全くの耐性を持たない。バンビエッタは奇跡的に精神体がわずかながら耐性があるものの、決して楽観視は出来ない。長時間入れば

「――ああもうっ、どうしてこんなのばっかりなのよ！」

　陛下に指名されなければ、死神に勝っていたら、そんなもしもが脳裏に浮かびつつバンビエッタは虚の内側への侵入を行おうとした。

「はっ？」

　そのタイミングでバンビエッタに視線を向けていた虚が動き、背を、いや彼女に尻を向けたのだ。

　どうして、とバンビエッタが考える間もなく、虚はその発達した後ろ脚で地面を思い切り蹴り上げる。

「あ」

　地面が蹴りで爆ぜ、地中の小石や土塊がさながら散弾のようにバンビエッタへ殺到した。

負傷バンビエッタ(HP74)　(静血装封印中0) 戦闘力17　dice3d100=48 75 83 (206)

昆虫型虚(HP100)　戦闘力48　dice3d100=26 45 70 (141)

[79 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 01:25:20]

バンビちゃん既にオワタ式に片足突っ込んでない？

[80 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/13(水) 09:07:41]

>>79　こちらとしては縛りプレイとかさせる気は全くないのに、ダイスがそうさせるんですよ。まるでダイスがバンビちゃんの敵になっているような状態ですね。

[81 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/13(水) 17:59:02]

＊再びバンビちゃんに26のダメージ。

「くそッツ」

　襲い掛かる小石と土塊の散弾に、バンビエッタは胸の前で両腕を出して防御の姿勢を取った。

　大量の小石は容赦なくバンビエッタの顔や手足を傷つけ、大小の土塊は彼女の全身を汚して打ち付ける。一度だけならばそれほどのダメージにならなかったが、虚はまるで犬が排泄物に砂をかけるように何度も何度も地面を後ろ足で蹴り上げて、バンビエッタの姿は土煙で見えなくなった。

「……っ」

　攻撃が止んだ時、バンビエッタは土煙から勢い良く跳び出してきた。その姿は全身細かい擦り傷だらけ、髪と服は土で酷く汚れて、まるで泥の中に落ちてさらに何日も入浴していない埃っぽい浮浪者のようだった。

　普段のバンビエッタであれば、そんなみっともない状態に堪えられず叫び当たり散らす場面であったが、それを行う余裕は今の彼女にはなかった。

「ぶっ殺す、その腹の中身をぶちまけてやる……！」

　防御中に再度、掌に小刀サイズの光刃を形成するバンビエッタは、方向転換中の虚に憤怒の表情で突撃する。

　霊力の残りも少ない、おりひめと自分の体に侵入させた精神体の維持ももって数分。

「やあああぁ！」

　この一撃が、バンビエッタに出来る最後の攻撃になる。

負傷バンビエッタ(HP48)　(静血装封印中0) 戦闘力17　dice3d100=50 67 36 (153)

昆虫型虚(HP100)　戦闘力48　dice3d100=38 25 41 (104)

[82 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 21:17:18]

圧倒されまくりである

[83 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 22:44:47]

これもう義骸が人間だったら死んでるような状態まで損壊されて、その結果一般の人間よろしく因果の鎖付ではあるが霊体が義骸の封印から逃れる事ができて、滅却師の力を使えるようになった結果、何とか目の前の虚は滅却せたけれどどうしようこの鎖がなくなったら魂魄崩壊しちゃう……という、一難去ってまた一難を幻視したんですが
それくらいにもうほとんど詰んでませんかこの局面

[84 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 00:20:46]

>>82

こっちとしてはバンビちゃんに奮闘させたいのに！

>>83

なるほど、そういう展開もありですね。機会があるか分かりませんが、参考にさせてもらいます。

[85 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 00:23:41]

>>81

＊バンビちゃんに25のダメージ！

　しかし、バンビエッタの攻撃が虚に届く事はなかった。

「なっ！？」

　もぞっと虚の臀部が上下した瞬間、尻の穴から細長い管か紐のような虚が体外に飛び出す。それはカマキリに寄生するハリガネムシと酷似した形態を持つ、同族に寄生・同化するタイプの虚。手足を持たないそれは針金めいた体をしならせると、バンビエッタの頭上から自分の鉄色の胴体を叩きつけにきた。

　その攻撃を察知したバンビエッタはとっさに防御の姿勢を取ろうとしたが、それよりも早く鞭のような一撃が彼女の胴に直撃。

「――――」

　声を上げる間もなくバンビエッタは、地面に叩きつけられた。

　その衝撃でおりひめと自分の体を洗脳していた精神体が消えてしまい、バンビエッタの体はその場から動くのが困難になってしまった。

「はぁ、はぁ……くそっ。ぁ”ぅう、くそ」

　大の字で倒れるバンビエッタは痛みと悔しさに涙を落とし、頭の傷が開き腹部のダメージで吐血しても懸命に体を動かして虚から逃げる事を選択した。

　無論、その選択を虚が許すはずもなく正面を向いた昆虫型の虚が再び口を開き、のしのしと傷だらけで息も絶え絶えのバンビエッタへ接近する。

　どうあっても追いつかれる、それほど双方の動きには明確な差があった。

「じょっ、上等よ……っ」

　もう侵入するしかない、バンビエッタはこのまま一方的に喰い殺されるなら、虚を道連れにしてやると決めた。

「どっちがぁ、はぁ、はっ、速いか競争よ……っ！」

　喰われるか、解くか、一か八かの攻撃を始めようとした時、バンビエッタの霊覚は何者かの霊圧を察知した。

　しかし、正面の虚に意識が向き過ぎていた彼女は、それに気づく事がないまま何者かはバンビエッタの真後ろに降り立った。

負傷バンビエッタ(HP23)　(静血装封印中0) 戦闘力17

昆虫型虚(HP100)　戦闘力48

＊ここで安価をやります。

バンビちゃんの背後に降り立った人物を安価で決めます。このまま戦闘も考えたのですが、どうもダイス運が悪いので最悪バンビちゃんが死ぬ可能性に恐怖し怯え、安価を決断しました。

期限は、明日の正午の予定です。

[86 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 00:41:50]

黒崎一心

[87 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 01:14:04]

浦原さん

[88 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 08:25:27]

平子

[89 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 08:34:53]

石田雨竜

[90 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 09:34:46]

黒崎真咲

[91 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 12:38:43]

安価をしめきります。

>>86

>>87

>>88

>>89

>>90

dice1d5=1 (1)

もしかすると今日の投稿は難しいかもしれません。

[92 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 17:36:08]

「おいおい、こりゃあまずいな。傷だらけじゃねえか」

「あ、あんたは……どうして」

　ボロボロのバンビエッタの背後に現れたのは、カラフルな衣服が似合わないあごひげを生やした中年男性――現世で町医者をしている黒崎一護の父親、黒崎一心だった。

　彼の子供たちを誘拐する目的で現世に来たバンビエッタには、非常に気まずい相手。しかし、彼が元護廷十三隊の隊長と事前に知っているので、すぐに彼が虚を倒すものと思った……後々追求されるかもしれないと思ったものの、高圧的な石田竜弦よりは話す気になった。

　虚は一心の登場に歩みを止めて、警戒する視線を彼に向ける。一心は視線を返すように、虚へ不敵な笑みを見せた。

「おい、しょっと」

「へ？」

　両者の視線が交錯したので、そこから戦いが始まると思ったバンビエッタの予想に反し、一心は彼女の小さい体を抱き上げると敵に背を向けて、その場から全力で逃走したのだった。

　一心の行動に、虚は唖然として固まったまま彼を見送ってしまった。

「あ、んた。なに逃げて……」

「わりぃな。今の俺に戦う力はねえ。でも安心しな、他の奴に頼んでおいた」

「は……？」

　なにそれ、バンビエッタには一心の言葉が信じられずにいた。元死神という情報は、浦原喜助と同じ護廷十三隊から外れて死神の肩書を失った者を指していると思っていた。まさか、本当に死神の力を失っているとは考えもしなかった。

「あとは頼んだぜっ！　四楓院！」

　と宙に向かって叫んだ一心は、ようやく動き出した虚に振り返る事なくさらに川から走り去って行く。

　揺れ動く視界の中、バンビエッタは虚の方へ視線を向けると近くの地面に黒猫がいると気づくも、気が抜けてしまったからか視界は暗転して、そのまま意識を失った。

　

＊黒崎一心は、バンビちゃんをどこに連れて行く？

1.空座総合病院

2.浦原商店

3.クロサキ医院

dice1d3=2 (2)

[93 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 22:57:54]

「ん……ここは……？」
　落ち着く草の匂いと古い木の匂いが鼻腔に届き、傷だらけのバンビエッタは目を覚ました。
　体の節々は予想通り痛みを発し、掛けられている掛け布団の下で四肢を動かしてみるも麻痺は残ったまま……ただ、物理的な拘束は一切されていない、逃げようと思えば逃げられる状況にあったが。
「……もう、どうでもいいや」
　バンビエッタは逃げる気持ちが湧かなかった。死神に敗れ、滅却師の力を封じられ、本来なら倒せるはずの虚に圧倒され、自分が奪うはずだった子供の父親に助けられ、現世の滅却師からも身捨てられ、帰る地に居場所も無くなった……不幸が続き、彼女の心は諦観に満ちていた。
　こんな気持ちになるなら、石田竜弦の取引に応じればよかったと後悔しつつ、バンビエッタは首を動かして周囲を見回した。
　自分がいる畳の部屋は居間のようで、ちゃぶ台と棚、四方をガラス障子で囲まれていた。誰かの家の中で、石田竜弦の病院でない事は分かった。
　そのままバンビエッタは敷布団の中で大人しくしていると、ガラス障子の向こうから複数人の足音が聴こえてきた。
「おやっ、お目覚めになりましたか」
「……浦原喜助。ああ、ここはあんたの店なの」
「おや、アタシの事をご存知でしたか。はい、ここはアタシのお店です」
　障子を開けたのは、甚平姿に帽子を被った年齢不詳の男。バンビエッタは現世に来る前に陛下が脅威と認定された特記戦力の一人・浦原喜助だとすぐに分かった。
　その後ろで、バンビエッタを運んだ黒崎一心が障子の向こうから顔だけ出していた。
「気分はどうッスか？」
　浦原喜助はバンビエッタの枕元でしゃがむ。帽子の影から覗く彼の見下ろす視線は鋭く、彼女の心を覗こうとしているような雰囲気があった。
「最悪よ。滅却師の力は封じられて、虚にボコられて、元死神に助けられるなんて……屈辱よ。あんたでしょ？　この義骸に細工したの」
「――はい。石田サンの依頼で、その義骸をあなた用の檻として改造しました。今のあなたは、一心サンと同じ霊感の高いただの人間の子供。ただ、固有能力があるのは知りませんでしたが」
　バンビエッタの問いに浦原喜助はあっさりと白状し、それを聞いた一心は「まじかよ」と呟く。
「石田サンにも聞かれたでしょうけど、現世に来た目的は？　内容次第ではアタシが協力してもいいッスよ？」

[95 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/14(木) 23:07:20]

本文が一杯になりそうでしたので、こちらでダイス。

バンビちゃんは浦原喜助の問いにどう答えるか？

1.正直に目的を吐露する

2.陛下が恐ろしいから拒否

3.迷いゆえの無言

dice1d3=2 (2)

[97 二次元好きの匿名さん 23/09/15(金) 15:38:44]

現世での様子って見張られているのかな

[98 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/15(金) 22:24:32]

「で、浦原。拒否されちまって、どうするんだよ」

「いやぁ、困りましたねー」

　浦原の質問にバンビエッタは拒否を示して、無言で布団の中に潜り込んでしまった。

　聞く耳を持ってくれない状況に一心と浦原は居間から離れ、店の在庫品が置かれた奥の部屋へと移動して、作戦会議を始めるつもりだった。

　しかし、浦原に焦りはない。

「ですが、彼女の目的には推測が出来ます」

「おう聞かせろよ。名探偵」

　自分の住む土地の裏で、何かが起きていたと今日まで気付かず、また誰にも知らされなかった事に内心不満と思う一心は、浦原の推測に興味があった。

「ずばり、彼女の目的は――一心サン、あなたの子供たち、特に息子サンの可能性が非常に高い」

「おいおい、穏やかじゃねえな」

　浦原の推測に一心は眉を狭める。彼にとって妻子は自分の命よりも大切な宝、家族を護るためならば単身で古巣の護廷十三隊とも戦う覚悟さえあった。

　そんな一心の心情を察する浦原は話を続ける。

「大きな理由として、藍染サンが動いた事にあります。自分の痕跡は消したようですが、彼女の頭部の傷に僅かですが、彼の霊力の残滓がありました」

「……藍染が動く程度には、あの子はうちを監視されていたという事だな」

「はい、あちらさんが邪魔と判断する程度には」

　浦原の発言に、一心は全く気付かなかった自分を情けないと思いつつ、気になる事を口にする。

「浦原。わざわざ義骸で活動するって事は、単独で動いているわけじゃないよな？」

「ええ、確実に集団か組織が背後にいます。アタシが瀞霊廷に残した義骸技術を盗用できる技術と財源がある規模です」

「……厄介だな」

　一心は小さく呟く。瀞霊廷に見つからずに侵入できる者たちが、自分の子供たちを狙っている……まだ観察に留められている藍染たちよりも、ずっと脅威度が高い。

　その組織に関して、石田竜弦は情報を持っているが共有する気がないのは容易に想像できた。このあと石田竜弦に設問するかと思案する一心に、浦原が驚きの提案をする。

「一心サン……あの子を黒崎家で預かってくれませんか？」

「は？」

>>97　それはバンビちゃんにでしょうか？　見張られてはいないです。

[99 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/16(土) 00:44:26]

　一心は浦原の提案に唖然とした。自分の子供を狙ってきた奴を家で預かり、子供を危険に晒す親がどこにいる――冗談じゃない、と彼が言うよりも早く浦原は言葉を続ける。
「放置は悪手ッスよ、作戦失敗が知られれば、次は大人数で強硬手段に出るでしょう。形だけでも作戦進行中と見せておけば、敵サンも今すぐ動く事はないでしょう」
「藍染はどうする」
「彼女の件で例外的に動いた以上、当面は静観に徹するでしょう」
「だけどなぁ……」
　浦原の言い分は解る一心であったが、やはり敵を懐に入れる事に抵抗があった。何か家族の安全が確保できるような保険があれば、まだ話は違ってくるが。
　唸りながら難色を示す一心に、浦原が思いつく。
「では――彼女の義骸にアタシ手製の自爆装置を取り付けましょう」
「は？　自爆装置だぁ？」
「はい。義骸の中身だけを焼く仕様にしますから、周囲に被害はありません。あ、発信機も付けて一心サンの判断で起動と追跡が出来るようにします――これならどうッスか？」
　浦原の敵に容赦のない案に一心は彼女に同情しつつ、敵を欺くために彼はその提案を受け入れる事に決めた。

　数時間後――。

「気分はどうッスか？」
「……好きにすればいいじゃない」
「おやおや」
　脱げぬ義骸に浦原製の自爆装置と発信機を付けれた事を知り、もう完全に詰んでいると悟ったバンビエッタの眼から光はほぼ消えていた。
　これから黒崎家に軟禁されて、来る日に役立たずとして陛下に粛清される……真っ暗な未来しかないバンビエッタの心はへし折れていた。
「あ～……そんなに落ち込むなよ。怪我を治してうちで大人しくしてくれれば、俺は何もしねえから」
　一心はバンビエッタの息子と同程度の幼い容姿もあってか、内心で自分たちが悪い事をしている気分になっていた。だからつい自分の娘たちを慰めるように、バンビエッタの頭を撫でていた。
「それでお嬢ちゃん、お前さんの名前は？」
「好きに呼べばいいじゃない……」
　敵に名前を教えないのは、バンビエッタに残る極小の抵抗心からだった。
「そうか……とりあえず、俺の遠縁の子になってもらうとして、名前は黒崎――」

＊当面バンビちゃんは仮名で呼ばれます。その名前を安価します。父方だから苗字は志波にしようかと思いましたが、あとあと困りますからね。
地の文では引き続き、バンビエッタと表記します。

[100 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 06:27:56]

アンナ

[102 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 06:31:56]

凛胡(りんご)

[103 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 10:09:34]

睡花（すいか）

[104 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 10:33:46]

明沙(めいさ)

[105 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 10:44:06]

(スレ主さんにちょっと質問、これ学名にquinceありのほうがいいんでしょうか？)

[106 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/16(土) 12:35:39]

>>105　ありでもなしでもどちらでも大丈夫ですよ。あなたの判断に任せます。

＊安価の締め切り時刻を記していませんでした。すいません。

所用の都合で、午後3時で締め切りにさせていただきます。それ以降は安価の対象外となります。

[107 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/16(土) 14:55:22]

>>106

所用が長引く事になりました。

安価のしめきり時間を延長して午後三時から、午後7時までにします。

[108 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/16(土) 19:03:14]

安価を締め切ります。

1.>>100

2.>>102

3.>>103

4.>>104

dice1d4=1 (1)

[109 二次元好きの匿名さん 23/09/17(日) 00:03:00]

一周回って任務しやすくなったがどうなる？

[110 二次元好きの匿名さん 23/09/17(日) 02:41:56]

心折れてるからなあ
もはや今死ぬも陛下が動く時に死ぬのも同じになってるだろうし

[111 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/17(日) 10:23:36]

>>109　自分の義骸から出ない事にはどうにもならないから無理ですね。

>>110　きっと処刑台を見上げている気分ではないかと。

[112 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/17(日) 10:24:56]

「一護、遊子、夏梨。しばらくの間、うちで預かることになった俺の遠縁の――」
「黒崎……アンナ、よ」
　バンビエッタは黒崎一心に自宅兼仕事場の黒崎家へ運ばれ、彼の子供たちの前で一心の思い付いた偽名を名乗った。
　彼女が全身傷だらけだからか、双子の妹は兄の一護にしがみついてじっと警戒していた。その兄は何とも言えない表情で、バンビエッタを見つめていた。
「もう、そういうのは相談してからにして」
「わるいわるい」
　パタパタとスリッパを鳴らして居間にやってきた美人の妻に、一心は苦笑しながら謝るもそこに誠意は感じられなかった。きっと彼女なら急な事でも受け入れてくれると彼が信じているからだと、バンビエッタは思った。
　石田竜弦と同じ純血の滅却師、黒崎家最後の一人……三人の子供の母親である黒崎真咲は、バンビエッタの視線に気づくと腰を曲げて、彼女に腕を伸ばして握手を求めた。
「これからよろしくね、アンナちゃん、本当のお家のようにゆっくりしていいからね」
「……はい」
　あたしの事は夫に聞いているはずなのに大した演技ね、と内心で思いつつバンビエッタは躊躇いながら腕を伸ばして真咲の握手に応えた。
「ほら、一護も挨拶しなさい」
「うん……」
　母親に促されて、妹たちを脚にしがみつかせたまま長男の一護がバンビエッタの前に立った。相変わらずの霊圧にバンビエッタは気圧される
「くろさき、いちご……です。よろしく、アンナちゃん」
「……よろしく」
　握手こそしなかったが、バンビエッタと一護は互いに挨拶を交わす。
　眼前に標的がいるのに手出し出来ない、バンビエッタはもどかしく思いながら一護の脚にしがみつく妹たちに視線を向ける。
「こっちは遊子と夏梨よ。こう見えて双子なの、お姉さんは遊子で夏梨が妹よ」
　真咲に紹介された妹たちは、「う～」と唸りながらしゃがんだ母親に抱き着いた。
　別に懐かれなくてもいいと思っているバンビエッタは、沈んだ視線で一心を見上げた。
「――よし！　今日はお祝いだ！　母さん！　今夜はお寿司だぁ！」
「もう」
　子煩悩の父親に戻った一心が拳を突き上げ、家族たちの前で元気よく提案した。

[113 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/17(日) 10:26:46]

　見えざる帝国、玉座の間。
　簡素な玉座に座るユーハバッハは、千年の間で築きあげた帝国の街並みを見ながら意識を今しがた入室して来たハッシュヴァルトに向けた。
「陛下、ご報告いたします。現世へ向かったバンビエッタ・バスターバインの消息不明が確定しました。現世の拠点に聖兵を派遣し調査したところ、最低でも十八日以上拠点に戻っていないとのことです」
　定期報告があまり遅い事を不審に思ったハッシュヴァルトは、バンビエッタが病院で入院している間に兵を派遣して周辺調査を行った。
「そうか、義骸の追跡機能は？」
「記録を辿ったところ、石田竜弦の運営する病院に入って以降途絶しています……捕縛か死亡の可能性が高いかと。ご命令があれば、追加調査を――」
　主力部隊の団長であるハッシュヴァルトは表には出さないが、問題行為が多々あるものの行方知れずになったバンビエッタの安否を気にしていた。
　しかし、皇帝の次なる言葉は鉄の如くに冷めていた。
「不要だ。調査を打ち切れ」
　ハッシュヴァルトの発言に被せるように、ユーハバッハが採決を決め、彼はあっさりとバンビエッタを見限った。
　その決定は主力の騎士団員を一人失い事になるが、この帝国においてユーハバッハの発言は絶対。仮にバンビエッタが背信・逃走していたとしても、現世にいる以上――数年後に行う選別で、彼女の命は確実に散る。
「……承知いたしました。現世にいる部隊に撤収作業を命じます」
　ハッシュヴァルトは静かに頭を伏して、皇帝の指示を了承した。この後、バンビエッタが抜けた穴を埋めるため、聖文字「E」の聖章騎士候補を団員の中から選定しなければならない。
「――ハッシュヴァルト」
「はい、陛下」
「理知の90年が終わり、力の9年が始まり次第、現世へ赴き、聖別（アウスヴェーレン）を行う」
「はい。現世に存命する混血滅却師たちの所在把握を進めております」
「それでいい……死神に怯え、戦いを捨てるだけではなく、我が血を濁した愚かな子など不必要だ。ゆえに一人残らず、私の下へ還るべきだ」
　ユーハバッハは玉座から立ち上がると、帝国の赤黒い空を見上げる。その所在地ゆえに決して青く染まらない空へ皇帝は呟く。
「もう間もなくだ。千年の屈辱を晴らし、滅却師の誇りを取り戻す日は――！」

[114 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/17(日) 20:56:26]

　バンビエッタが黒崎家に預けられて、一年が過ぎた。
　彼女の体の麻痺は黒崎一心が石田竜弦の病院から処方薬を送られ、真面目なリハビリもあって歩行に松葉杖が必要ない程度に回復した。また虚との戦いで受けた傷は消えたものの、藍染惣右介に受けた頭部の傷だけは残る事になり、側頭部の髪をあげれば刀傷が確認できた。
　そして回復を期に――バンビエッタは黒崎夫婦の好意で、息子と同じ小学校に入学させられた。
「く、黒崎、アンナ。よろしく……お、お願いします」
　恥辱に体を震わしながら頬を赤くしたバンビエッタは、本物の小学生であるクラスメイトたちに挨拶した日を死ぬまで忘れないだろう。
「はぁ、つまんない」
　登校初日の昼休み。見た目は子供、頭脳はほぼ大人のバンビエッタに小学生の授業は簡単過ぎて退屈で、昼の給食くらいしか楽しみがなかった。
　また、バンビエッタには身に覚えのない変化が起きていた。
「あたしの本当の名前は、██████・███████よ……はぁ、やっぱりダメね」
　バンビエッタは自分の本名が声に出せないでいた。それどころか、名前自体がなぜか思い出せない状況に陥っていた。
　記憶障害を疑ったが、浦原喜助の店にいた時はきちんと本名を認識できていた記憶があるため、障害の可能性は低いと考え、この状態は誰かの攻撃によるものと判断していた。
「誰よ、いったい……！」
　黒崎アンナとして生活する分には困らないものの、背後から刺されたような不快感があるためバンビエッタは時折苛立っていた。
「どうしたの、アンナちゃん？」
「――一護」
　偶然クラスメイトになった黒崎一護に話しかけられて、バンビエッタは振り向く。自然と標的を名前で呼ぶようになり、アンナという名前が自分の名と認識している事に馴染み過ぎと思う彼女だったが、そこはもう諦めていた。
「なんでもないわ……あんた。ちゃんと授業を理解できたの？」
「たぶん。ね、今日もいっしょにしゅくだいをやってほしいな」
「はぁ～……あたしはあんたの家庭教師じゃないっての」
　この一年、暇な時間が多かったバンビエッタは暇潰しに黒崎一護の宿題を一緒にやり続けた結果、すっかり彼の家庭教師の地位に納まっていた。
「給食のデザートあげるから、おねがいっ」
　両手を合わせて懇願する一護の姿に、バンビエッタは居候の身分で強く言えなかった。
「はぁ～～分かったわよ、もう」

[115 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/18(月) 01:04:34]

「んー、しょっぱくなる気がする」
「野菜から水分が出るから、これくらい大丈夫よ。煮詰め過ぎると辛くなちゃうけど」
　バンビエッタと黒崎真咲はキッチンに立ち、ぐつぐつと煮える煮物を見つめる。
　将来の遊子と夏梨に料理を教えるための予行練習として、バンビエッタは時々練習相手になっていた。その様子を一心はこっそりと生暖かい眼で見つめていた。
「漬物って、野菜を保存パックに入れて市販の液体に漬けるだけだから楽ね」
「ぬか漬けも教えたいけど、糠の管理が大変で手に匂いが染みついちゃうから……」
　煮物を煮込んでいる間に、バンビエッタは野菜を切ってパックに入れていく。その様子を真咲は一歩引いて見つめている。
「ねえ、アンナちゃん……このまま、本当にうちの子供にならない？」
「はぁ！？　っ、あぶな」
　真咲の唐突な言葉に、バンビエッタは驚きの声を上げて危うく包丁で指を切りかけた。
「この一年で一護たちも懐いてくれているし、きっかけは確かにあまり良くなかったけど、あなたが根はいい子だって分かったから。どうかしら？」
「それ本気？　あたしを養子なんて一心が認めるとは思えないけど」
　一心にとって自分は帝国を欺くための道化、ましてや子供を狙った敵を自分の養子にするなど許すはずがない。
「あの人は平気よ。かわいい子供が一人増えるくらい問題ないわ」
　笑顔を見せる真咲に、バンビエッタは複雑な心境だった。
　この家の居心地が良いか悪いか問われれば、答えは前者。帝国では得られない安らぎがあったものの、バンビエッタはお世辞にも品行方正な生き方をしていない。ストレスで味方を暴行し殺しもやった……その生き方が後ろめたかった。
「……あたし、悪い滅却師だから」　
「――でも、悪い人だって日に当たってもいいと思うの。そうしたらいつか自分を赦せると思うわ」
　真咲はバンビエッタの過去は知らない。それでも彼女が自分の生き方に罪悪の感情が芽生えているのを悟っていた。
　だから真咲は生き方を変えてほしいと思ったからこそ、養子の話を持ち出した。
「…………ふ～ん。この切り方でいい？」
「ええ」
　バンビエッタは養子になるとも嫌とも答えないまま、引き続き野菜を切り続けた。
　その後、二人に会話はなく黙々と調理の音だけがキッチンに響き、一心は自分があの空気を変えようと仮装しに部屋へ戻っていた。

[116 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 11:05:46]

保守

[117 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 14:32:08]

もうバンビちゃん黒崎家の子になっちゃいなよって思うけど、聖別で色々変わっちゃうのかな

[118 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/18(月) 22:54:33]

「「おねーちゃん、あそぼー！」」
　四歳の遊子と夏梨は、掃除中のバンビエッタに遊んでほしくなって、両手にオモチャと遊び道具が抱えられていた。
「いま、掃除中だからあとでね」
「「やだー」」
　黒崎姉妹にすっかり姉として扱われるようになったバンビエッタの脚にしがみつき、掃除の邪魔を始める。そんな様子を廊下の掃除中だった黒崎真咲は、本当に優しい視線で三人のじゃれ合いを眺めていた。
「もう、分かったわよ」
　しつこく邪魔されたバンビエッタが折れて、妹たちと遊ぶのがお決まりになっていた。掃除道具を片付けた彼女は、わくわくした表情の妹たちを見下ろす。
「で、どこ行くのよ」
「「こーえん！」」
「はいはい――じゃあ、公園に行ってくるわ」
　バンビエッタは廊下から自分たちを見ていた真咲に告げると、彼女は「いってらっしゃい」と笑顔で三人を見送りした。
「公園で何するの？」
　川を越えた先にある空座ふれあい公園までの道のりを歩く間、バンビエッタは手を繋ぐ幼い子供たちに何をするか聞くと、
「すなあそびっ！」
「おままごと」
　夏梨と遊子は別々にバンビエッタと遊びたい事を口にする。性格が大きく違う双子を同時に相手できる方法を考え、彼女は思い付いた案を出してみる。
「砂場でおままごと、でいい？」
「うん」
「はーい」
　その案を双子はあっさりと受け入れた。
「あ～！　おにーちゃんだ！」
　川に架かる橋が見えた時、遊子が声を上げて前方を指差す。バンビエッタも視線を前へ向けると、柔道着姿の黒崎一護が幼馴染の少女・有沢 竜貴と一緒に歩いていた。彼らは空手道場に通い、有沢 竜貴はその道場で有望な逸材だった。
「おに～ちゃんっ！」
　兄の一護が大好きな遊子はバンビエッタからあっさり離れると、そのまま走り出して兄に抱き着く。夏梨も控えめに兄の傍に寄る。
「よっ、アンナ。また道場に来ない？　アタシの相手をしてよ」
「えーめんどう」
　以前、真咲と一緒に一護を迎えに道場へ行った時、手が空いていた竜貴が体験という理由でバンビエッタを稽古に誘い、そのまま手合わせする事になった。
　見えざる帝国で本物の戦闘訓練を受けたバンビエッタに竜貴が勝てるはずもなく、彼女は完敗。それ以降、竜貴はバンビエッタをライバル視していた。
「今度はまけないからな！」
「気合いの時点で、あんたに負けているわよ」

[119 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/19(火) 00:16:10]

「うちに来てもうすぐ三年か。早いもんだ」
「そーね。あたしはいつあんたに爆殺されるか不安で、夜も眠れないわ」
　仕事終わりの黒崎一心はバンビエッタとの出会いの日を思い出すようにふけり、バンビエッタは彼の持つグラスにビールを注ぐ。
「そういうなよ。居心地は悪くなかっただろ？」
「……まあ、そこそこね」
　一心の肴である剥かれた枝豆を奪い取るとバンビエッタは素っ気ない態度で食べる。一心は小さく頬を上げ、彼女が注いでくれたビールを飲んだ。
「そうか。ま、このまま平和的に生きてくれれば、俺は何もしねえよ」
「平和ね、一護の霊力がまた増したわよ。このまま成長したら、ちょっとした霊力爆弾になりそうだけど？」
「……ああ、浦原に霊圧を抑制する道具を用意してもらうつもりだ」
　死神と滅却師の混血児、恐らく世界初の存在である黒崎三兄妹。彼らが今後、どれほどの霊力を持った人間になるかは完全に未知数。だからこそ、バンビエッタと同じように枷か蓋になるような物が必要になってくる。
「あたしが見る限り、夏梨は幽霊が見えているわね。遊子は霊を感じているみたいだけど……将来は、死神？　それとも滅却師？」
「どっちもしねえよ。今の俺はただ霊圧を感じられる程度の人間だ。死神のいろはなんて教えられねえよ。真咲も同意見だよ」
　子供たちが平和にこの世界で生きて行く、それが黒崎夫婦の願い……ゆえに戦う力は必要ない。
　一心の言い分を聞き、バンビエッタはつまらない顔になっていた。
「ふ～ん……滅却師になるなら、あたしの滅却師の技を教えてあげるのに」
　力を封じられても技術の伝授は出来る。正真正銘の戦闘技術、現世の滅却師よりも洗練された敵を殺すための技能……バンビエッタは誰かを守るためなら、それくらい覚えても損はないと思った。
「はは、悪いな」
　苦笑した一心は、グラスにビールを注いだ。
「ま、もしも俺が尸魂界に連れ戻された時は、代わりに一護たちをその滅却師の技で守ってくれよな」
　尸魂界の五大貴族その分家筋の出である一心。本家が途絶えた場合、彼が新しい当主に就くことになる。そんな事態にならないように祈る一心だったが、世の中何があるか分からない。
「はいはい。その時に義骸から出られていたら、その通りにするわよ」
　バンビエッタはまた枝豆を食べて、面倒くさい雰囲気を出しながら了承した。

[120 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/19(火) 00:23:13]

ダイス、次の展開の時期を運任せ。

1.原作開始直前

2.真咲の葬儀後

3.中学時代

dice1d3=1 (1)

[121 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/19(火) 10:18:55]

いきなり原作開始前になるので、約6年後のバンビちゃんの能力値ダイス。

高校生バンビエッタ

戦闘力dice1d100=100 (100)

霊力dice1d100=54 (54)

霊子操作dice1d100=38 (38)

静血装dice1d50=18 (18)

動血装dice1d50=49 (49)

聖文字の熟練度dice1d5=5 (5)

＊負傷前の能力値以下の出目が出た場合は、負傷前と同じ値になります。さすがに強くなりますよね？

負傷前

戦闘力　53

霊力　18

霊子操作　14

静血装　19

動血装　46

聖文字の熟練度　2

[122 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 10:21:18]

バンビちゃんつええ！

[123 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 16:45:49]

戦闘力何があった！？

[124 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 17:30:36]

現世での聖別を切っ掛けに黒崎家守る覚悟決めたようにしか思えねえ…

[125 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/19(火) 22:50:33]

>>122　戦闘力はともかく、他のステータスは最初からこれくらいあってくれたら戦いも楽なのに。

>>123　まさかの100って、戦闘時のダイス設定を変更しようかと悩みます。本当にどうしよう……。

>>124　ダイスが聖別後だったら、その辺の話を書こうと思っていたのですが後回しになりそうです。

[126 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/19(火) 22:55:59]

　黒崎家のキッチンからカタコトと鍋の蓋が揺れ、トントンと包丁がまな板が軽く叩く。
「おはよ～ぉ……おねえちゃん」
「おはよう、遊子。早く顔を洗って手伝って」
「はーい」
　パジャマ姿の黒崎遊子は、先に起きて朝食の準備をするバンビエッタに挨拶する。
　黒崎真咲は死んだ――六年前の雨の日、虚から一護の命を守るために。
　真咲の葬式後、バンビエッタと遊子の二人で黒崎家の家事を担当するようになり、それが六年も続けば二人は一人前の家事が出来るようになっていた。
　着替えた遊子が調理に加わった事で、テキパキと朝食が作られ食卓に食器が並べられる。ある程度、朝食が出来たところでバンビエッタは調理を遊子に任せて、洗濯機が洗った洗濯物を取りに脱衣所へ向かった。
「おはよー姉ちゃん」
「おはよ」
　洗濯物を洗濯カゴに入れたバンビエッタが、廊下で次女の夏梨とすれ違う。しかし、朝は忙しいためささっと挨拶してリビングから庭へ出る。
　洗濯物を物干し竿に干している間に、大あくびをしながら一心が起きてきた。
「おはよう」
「おう……」
　二人の挨拶はずっとぎこちない。養子縁組の話は真咲の死で流れ……葬儀後にひと悶着があって以降、二人の仲は六年が過ぎても初期状態に戻ったまま。
「いつも通り、昼過ぎに洗濯物を入れて。お昼は作ってあるから温めて」
「ああ、分かっている」
　互いに関係修復は考えているものの、きっかけとなる出来事がなかった。
　洗濯物を干し終えると彼女は二階に上がり、ずっと使い続けた客室に入ると私服を脱いで高校の制服に着替える。
　彼女は黒崎一護と同じ、今年の四月から空座第一高等学校に通う高校一年生になっていた。
「……よし」
　鏡で身なりを確認したバンビエッタは学生カバンを持って部屋を出て、階段近くの一護の部屋の前に立つと閉じた扉をそっと開けた。
　カーテンの閉まった薄暗い部屋に入ったバンビエッタは、ベッドの上でまだ寝ている一護の隣に立つとそっと男らしい体格に育った彼の体に指先で触れる。
　体と指先の接する部分から霊的な微光が生まれ、それは吸い込まれるようにバンビエッタの指に溶け込む。
「……おはようございます、陛下」
　と囁き声で、一護の中の人物に挨拶したのち、彼女は声をあげた。
「――もう朝よ！　早く起きなさい、一護！！」
　そう叫び、彼の掛け布団を勢いよく奪い取った。

[127 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 00:24:58]

もしや一護の霊力の外付けリミッター(死神にも滅却師にもならないように閾値越え予防策として一護の中に生成される霊力を中の人公認で奪ってる)になってるのか？
でも霊子を奪うのは滅却師の先天技能なのに義骸の制限どうしたって事になるんだけど、『葬儀後にひと悶着があって』ってのがそこらへん関係でなんかあった＋それで一心との関係が初期状態に戻ってそのまま固定しちゃってる？
それでも戦闘力100の上に他の技能が年月経過しても大差ないという事は、これは滅却師の技能なしで身体能力だけで虚と戦うつまり滅却師にあるまじきインファイトスタイルを身に着けたとしか考えられないのだけど……

[128 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/20(水) 00:48:17]

>>127　滅却師の能力・義骸うんぬんの語りはダイスの葬儀後が出たら書くつもりですが、それがここから語られるのはいつになるか……一心も真咲という太陽を失ったばかりですから、あの選択は分からなくも……双方とも改善はしたいと思ってます。

能力値の方は、ダイス任せですから扱いが難しいです。

[129 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/20(水) 00:48:45]

「今日は卵の安売り日だから一緒に買い物付き合ってって朝に言ったでしょ。忘れるんじゃないわよ、帰宅部！」
「うっせえな、ちゃんと付き合ったんだからいいだろ。帰宅部」
　放課後の下校中、バンビエッタと一護は通学路上にあるスーパーでお一人様2パックまでの卵と他の材料を買い、徒歩でバス停に向かっていた。
「ふん、あたしはあんたと違ってバイトしているんだから、帰宅部の上級部員よ」
「帰宅部に上級下級もないだろ……」
　真咲の死後、一護は自責の念からか持ち前の優しさと泣き虫は隠れ、無愛想になってからは不良の道を歩き始め、中学時には「馬芝中の黒崎」と呼ばれる不良に成長。その彼を家に連れ帰るのがバンビエッタの仕事、問答無用に黒崎と他の不良を沈める拳打から「馬芝中の魔人拳」と呼ばれた。
「あ、一護。あたしはこれからバイトの時間だから、これ持って帰って。卵割るんじゃないわよ！」
「へえへえ」
　携帯電話で時刻を確認したバンビエッタは、隣を歩く一護にスーパーのレジ袋を手渡す。
　彼女のバイト先は、馬芝地区にある洋裁店ヒマワリソーイングの空座支店。下校する生徒の中に混じって、一護から離れてアルバイト先に向かって行くバンビエッタの姿を彼は無愛想な表情のまま見送った……それから一護はレジ袋を片手に他の生徒に混じってバスに乗り、家から最寄りのバス停に降りた彼は夕焼けを背に自宅へ向かう。
「うん……」
　道路の角を曲がった時、一護の眼にある光景が目についた。
　電柱の真下に置かれたお供え物の水入り瓶に刺さった花が倒れている。それだけなら強風に倒されたと思う場面だったが、その近くで三人のチンピラがスケボーをやっていた。
　そして、倒れた瓶の傍には最近この場所で死んだ女の子の幽霊が立っていた。彼女は眼が合った一護に「あの人たちを追っ払って」と訴えてきた。
「…………」
　黒崎一護は、幽霊を見れて触れて喋れる上に憑かれやすい四重苦を背負っていた。その体質を疎んだ事は一度や二度ではない……特に大好きだった母親が死んだ頃は、特に嫌い憎んでいた。
　しかし、生来の正義感と優しさから彼は幽霊からの訴えを無視する事が出来なかった。
「ふぅ、やってやるよ」
　手にぶら下げていたレジ袋を電柱の影に優しく置いた一護は肩をぐるぐると回して解しながら、これから自分の手で酷い目に合うチンピラたちへ向かって行った。

[130 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/20(水) 09:38:29]

保守も兼ねた黒崎家の面々からバンビちゃんの好感度ダイス。

黒崎一心dice1d100=59 (59)

　　真咲dice1d100=56 (56)

　　一護dice1d100=96 (96)

　　遊子dice1d100=39 (39)

　　夏梨dice1d100=64 (64)

その逆、バンビちゃんからの黒崎家の好感度ダイス。

黒崎一心dice1d100=39 (39)

　　真咲dice1d100=80 (80)

　　一護dice1d100=37 (37)

　　遊子dice1d100=47 (47)

　　夏梨dice1d100=47 (47)

良い出目が出てほしいな。

[131 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/20(水) 09:58:02]

>>130

あ、真咲の好感度は死亡しているので、六年前のものでかつ数値は固定となります。

・遊子からの好感度が低い理由ダイス。

1.自分よりも夏梨に構いがち

2.時々家事を押し付けてくる

3.兄をよく倒して帰ってくるから

4.↑三つ全部

dice1d4=3 (3)

・一護の好感度が低い理由

1.回収に向かうたび不良と喧嘩することになる

2.勉強が自分よりも出来るようになった。

3.「馬芝中の魔人拳」と呼ばれる原因だから。

4.↑三つ全部

dice1d4=2 (2)

[132 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 16:24:12]

なんだか味わい深そうなスレ
バンビの偽名がアンナなのが過去のバンビちゃんの親友スレを思い出します

[133 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/20(水) 21:42:08]

「ありがとうございましたー」
　洋裁店の制服に着替えたバンビエッタはレジに立ち、会計を済ましたお客を見送る。
　週三日のアルバイトを始めてひと月、多くの品名を憶えたりレジスター操作に苦戦したものの、レジ係だけは出来るようになっていた。
「いらっ……しゃい、ませ。何よ、冷やかしは帰りなさいよ」
　次にレジ台へやってきた客の姿を見るや、バンビエッタは冷めた視線を客に向けた。
「いやいや、冷やかしじゃないッスよ。ちゃんと買うものありますから、ほら」
　客――浦原喜助は、レジ台に置かれた裁縫糸数種と生地数枚を指差す。バンビエッタは小さく溜息を吐いてから、会計を始める。
「どうすッスか、一心サンとは」
「……変化無しよ。仲直りは気長に待つわよ」
「そッスか。義骸に異常はないですか？　あればサービスで治してあげますよ」
「今のところは問題ないからいいわよ」
　六年前、バンビエッタの義骸は大きく損壊する出来事があった。それによって再び滅却師の力を使えるようになったが、彼女の魂魄と霊体もかなり負傷した事で一から鍛え直す事になり、「侵入」の熟練度は鍛練先の都合で自然と高くなった。
　ただ、義骸から出る事は依然として出来ず、自爆と追跡も健在だ。
「ところで、アンナサン。一護サンの霊力について何か気付いた事はありませんか？」
「……早熟だっただけでしょ」
　浦原は一護の霊力成長率が、六年前から急に落ちた事を不思議に思っていた。早熟と一言で片付けるには違和感があり調べようにも、不必要な接触は彼の父親から止められていた。
「ならいいんッスけどね」
「25000、じゃなかった2500円……です」
「では5000円で」
　レジスターからお釣りを浦原に渡し、バンビエッタは渋い顔で「ありがとうございました」と言おうとした瞬間、彼女の霊圧知覚に強大な霊力の波が引っ掛かり、それが一瞬で消えた。
「――え、一護？」
　一瞬の霊圧でもバンビエッタには、それが黒崎一護の霊力と気付く事が出来た。それは浦原も同じで、買ったばかりの商品が入ったレジ袋をその場で落とすと、そのまま店外へと走り出して行った……すぐに一護の下に向かったと悟ったバンビエッタだったが、彼女が動く事はなかった。
「はぁ……なにやっているのよ」
　浦原が落としたレジ袋を拾い上げ、レジ台の裏に置いて引き続きアルバイトを続けた。

[134 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/21(木) 01:14:19]

「わ、酷い」
　アルバイトが終わり、バンビエッタは黒崎家に戻って来た。
　道路側の塀と外壁が破壊されて大穴が空き、周辺を漂う霊子の残滓から虚と死神の霊圧に黒崎一護の霊力が混じっていた。
　死神と虚の戦いに巻き込まれ、一護の霊力が暴発したと想像したバンビエッタは、浦原喜助と死神をどちらも見当たらないので、彼が死神を連れて行ったと予想しつつ玄関から家の中に入った。
　リビングは荒れ果てテーブルと食器がひっくり返され、その光景を見てからバンビエッタは二階に上がる。
「おう。バイト、お疲れさん」
　廊下には複雑な心境の表情が窺える一心が、一護の部屋の前に立っていた。バンビエッタは目に見える負傷が彼にない事を確認し姉妹も同じと判断して、彼の隣に立つ。
「……虚が来た？」
「ああ、死神もな……どうやら、そいつから一護に死神の力が譲渡されたみたいだ」
「――は？　じゃあ一護、死神になったの？」
　バンビエッタには寝耳に水の情報でどうしてそうなったと気になりつつも、それ以上に一護の精神世界にいる人物の安否が気になった。
　一心は彼女の問いに無言で小さく頷いた。
「そう……どうするの？　引き続き知らないフリするの？」
「俺には何も出来ないからな……大人しく知らないフリをするさ。問題は死神の力の譲渡は重罪なんだよ」
　一心の言葉に由々しき事態へ発展する予感がしたバンビエッタは、滅却師として死神間の戦いに介入するか悩み、今すぐ結論は出なかった。
「面倒ね……一護の様子を見てくるわ」
「ああ、俺は軽くリビングの掃除してくるよ」
　一心と別れたバンビエッタは、静かに一護の部屋に入った。
　彼の部屋に被害はないものの、室内に満ちる彼の霊力に死神の霊力が確かに混じっていた。　
　バンビエッタは朝と同じように、うつ伏せで寝ている一護に触れる。すぐに彼女の指先に霊的な微光が生まれ「侵入」の力が働き、バンビエッタの精神体は黒崎一護の精神世界へ霊圧の障害もなくすんなりと入った。　
　青空と流れる雲、乱立する無数の摩天楼――それが黒崎一護の精神世界。
　バンビエッタは摩天楼の壁面に対して真横で立つと、そのまま空に向かって数歩進んだのち、騎士らしく頭を伏して傅いた。
「ご無事で安心しました」
　漆黒のコートに身を包んだ長髪髭面、半透明のサングラスをかけた男は、無言のまま自分に傅く彼女を見つめ続けた。

[135 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 07:56:32]

ついに原作1話の出来事かぁ
ここから色々と大変になっていくなあ一護とバンビ

[137 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/21(木) 22:51:19]

　空座第一高等学校の三限目のチャイムが鳴る前に、自宅の修理を手伝っていた黒崎一護とバンビエッタはそれぞれの教室に入った。
　窓際の席に着席したバンビエッタは、早々に意識を昨夜の出来事に向ける。一護の精神世界で「陛下」と呼んでいる人物から、虚の襲撃事件の仔細を聞かされ、これから死神代行として活動する一護にどう接するか考えていた。
「死神の力を全部奪い取るって、どんだけ欲張りなのよ……」
　と朽木ルキアなる女性死神に同情しつつ、死神と敵対する滅却師の自分が隣に立つべきか悩む。
「……――ま、必要な時に力を見せてやればいいわね」
　しばし考えた末、一護は高校生なんだから、いつまでも傍に居てあげる必要はない。自分の出番は自然にやってくると考えたバンビエッタは早々に意識を切り替え、始まった授業に集中する……としながらも、隣の教室にいる彼の霊圧はしっかりと捉え続けた。
「ん……？」
　だからこそ、一護のすぐ隣に見覚えのない微弱な霊圧がある事に気付く。それが彼の部屋にあった死神の霊圧と酷似、すぐにバンビエッタは朽木ルキアという死神が義骸に入り学校に通っていると悟った。恐らく一護を支援するためと予想しながら、自分の出番はないかもと思った。
「どこ行くのよ」
　三限目が終わると二人が教室から移動したので、バンビエッタもこっそり追跡。校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下の前で密談を始めたので、内容を盗み聞きするために彼女は朽木ルキアの精神世界へ侵入する事にした。
　「侵入」の練度が上がり、接触状態なら霊圧を無視して精神世界への侵入が出来るようになり、さらに精神体の完全独立化。独立状態中に見聞き・体験・経験した事はバンビエッタ本体と再度繋がれば、本体に反映されるようになった。
　ただ、ここで彼女に想定外の事が起きた。
「はっ？」
　精神世界への侵入に手応えを感じた瞬間、バンビエッタの本体と精神体の繋がりが切断された。
「え？　ええっ？？」
　密談する二人に見つからないように小さく動揺する。一護とジジのように内側の「誰か」に拒絶されるなら解るものの、繋がりそのものが絶たれる経験は初めての事だった。
　バンビエッタは驚きつつも二人に視界を向けると、ちょうどルキアが一護の体から魂魄を抜き出す瞬間が映る。これから虚退治へ向かうと予想したものの、朽木ルキアを警戒して死神姿の一護を追う事が出来なかった。

[138 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/22(金) 00:54:50]

「繋がりが絶たれたぁ！　なんで！？」
強制的に独立されたバンビエッタ本体と寸分違わない精神体は、混乱の声を上げた。
「やばい、出られなくなった」
　精神体側から本体に再接続する事が出来ない。本体が手を伸ばしてくれないとここから出られない。
「どうなっているの。それに、ここ……本当に朽木ルキアの精神世界？」
　精神体の視界に広がる世界は、無重力の暗闇に雷雲の中を迸る雲間放電のように不規則な軌跡が縦横無尽に走り続けるだけ……精神体の彼女は、精神世界と根底から違うものと感じていた。
　試しに精神世界にダメージを与えてみようと思い、彼女は宙を掴もうとした。
「――掴めない」
　精神世界なら何かを掴むような感触があるのに、それが無く空を掴んだ点から、この場所は精神世界ではないと判ったが、では何かと考えると答えが思いつかない。
「ま、あたしが戻れなくとも侵入するには問題ないけど……」
　本体が「侵入」を使えば、そのたびに精神体は生まれる。限界は途中で飽きてしまったため分からないが、最低でも四十体までは問題がなかった。だから自分一人がいなくとも問題なく「侵入」は使えて戦える。
「にしても、こんな場所でじっとしているのはさすがに辛いわね」
　無重力の空間だから宙で回転する体験は面白くとも、一人で行うのはあまり楽しくない。
「……誰かいるなら、返事をしなさい」
　どうせ誰もいないと思いながら、うつ伏せのまま精神体が声を出して暗闇の空間に問いかけた。案の定、何分待っても誰からも返答がない。
「――うん？」
　遠くの方から何かが聴こえ、彼女は体を起こして聴こえた方に視線を向けて耳を傾ける。
「ねえ、誰かいるの？」
　精神体は声を掛けて、しばらく待っていると暗闇の不規則な軌跡が波紋に変化した。
　――DnByHKZht。
「は？」
　波紋が動くたびに空間全体から男女の判別が出来ない声が響いた。しかし、それは声であっても言葉ではなかったため精神体に伝わる事はなかった。
　rUCfrGtPD QrdnnyFSx――。
「ちょっと、何よ！　意味分かんないっ！」
　jCKLzzaWTSHRRGWaYHNNW-fp
　言葉にならない声の瀑布が精神体の耳に襲い掛かり、彼女は反射的に両耳を塞いだ。
「うっさい！！」
　彼女の叫びも声の波に掻き消され、精神体が声は意思と気づくのにしばらく掛かった。

[140 二次元好きの匿名さん 23/09/22(金) 01:34:44]

やっぱり侵入は能力えぐい
精神体が無力化されたということはルキアの中の…

[141 二次元好きの匿名さん 23/09/22(金) 11:32:14]

そういやバイト先がそこってことは石田とも接点できるわけか

[142 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/22(金) 19:36:36]

>>140　まあ、そういう事ですね。

>>141　同じ滅却師ですから、必然的に前々からの知り合いとなります。

[143 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/22(金) 23:57:15]

「店員さん、この綿がもう少し多い品はないのかい？」
「――ないわよ。諦めなさい」
　商品を棚に並べているバンビエッタは、質問してきた同級生に突き放す態度で即答する。
　黒髪を真ん中分けで整える眼鏡の男子同級生は洋裁店の常連客であり、そのド真面目な印象と愛想のない態度とは裏腹に手芸部のエースであり、バンビエッタが現世で一番苦手な石田竜弦の息子――石田雨竜。
「全く……君はどうしてそんな態度なんだ。もう少し愛想よく出来ないのか？」
「その言葉、あんたにそのまま返すわ」
　バンビエッタはなるべく石田親子と関わりたくない。息子に関わり過ぎると親がやって来て、ねちねちと苦情を言われると思っているからだ。
「ところで、君は彼の霊圧の変化に気付いているのかい？」
「……当たり前でしょ」
　竜弦から、バンビエッタは異邦から来た滅却師とだけ聞かされているらしい雨竜は、彼女に黒崎一護の死神化について確認してきたので、バンビエッタは面倒そうな口調で答えた。
　石田雨竜は、死神を憎んでいる……どういう理由なのかは知らないバンビエッタだが、他人の怨讐にさほど興味はなかった。
「だからどうって事ないわよ。死神と滅却師の不仲を、代行しているだけの人間に適応するのはどうかと思うけど？」
「……それでも、今の彼は死神だ。少なくとも、彼の近くにいる死神の彼女には滅却師の力を示す」
　雨竜の眼には、何かしらの計画と覚悟があるように窺えた。バンビエッタはそれに賛同する気はないが、竜弦が嫌いな彼女としてはその息子が痛い目に合ってほしいと内心で思っていた。
「朽木ルキアに、ね」
　「侵入」の繋がりを切断してみせた朽木ルキア。彼女の内側に残された精神体を回収したいバンビエッタであったが、警戒心から再侵入を行う決心がつかないでいた。
「好きにすればいいけど、その過程であたしが滅却師である事を一護か朽木ルキアに漏らしたら――あんた、ぶち殺すからね」
「ッ……分かっている」
　バンビエッタは雨竜へ本物の殺意を向ける。才能ある滅却師でも、本物の命懸けの戦いや対人経験が乏しい雨竜は彼女の殺意に息を呑む。
「言いたいことは済んだでしょ。さっさと会計したら？」
　どっちが格上か、それを定期的に示さないと何を言うか分からない雨竜にしっかり警告したバンビエッタは、次の商品を棚に乗せるためバックヤードへ移動した。

[144 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/23(土) 10:24:50]

「おかえりー。おねえちゃん、あたしのワンピースしらない？」
「マンガの？」
「ちがうよ、服のほう。あとパジャマも一つないの」
「う～ん」
　アルバイトから帰宅したばかりのバンビエッタに、遊子は行方不明の衣服を知らないか訊ねる。
　バンビエッタは記憶を掘り返して、ワンピースの類をどこに入れたか思い出してみるも。
「ワンピースはタンスの中に入れたから、そこから先は分からないわ。パジャマは知らない」
「そっかー、どこにいっちゃったんだろう？」
　手掛かり無しと落胆した遊子は、リビングへ戻っていく。
　バンビエッタはどこかの衣類に紛れ込んでしまったと考えながら、私服に着替えるために二階へ上がる。
「ううん？」
　一護の部屋の前を通り過ぎた時、朽木ルキアの霊圧を壁越しに感じて立ち止まる。位置的に押入れの中にいると分かり、その瞬間にワンピースとパジャマは彼女が持っていったのだと悟った。
「あいつ、なに女連れ込んでるのよ……」
　不健全な行為をする一護に失望しつつ、彼女は風呂場にいるスケベを後で尋問してやろうと決めた。
「ふんっ」
　不機嫌顔のバンビエッタは、ドスドスと足音を鳴らして部屋に戻って着替えた。
「……姉ちゃん。なんか、きげんがわるい？」
　もぐもぐと遊子の作った野菜炒めを食べるバンビエッタに、TVを見ていた夏梨が質問する。
「何もないわよ。夏梨……幽霊が憑いてる」
「うん？　あ～……一兄につけるからいいや」
　黒崎家の霊感で一護の次に強い夏梨は、自分の肩にいた女性の浮遊霊を見つけるとそれを兄に押し付ける事にした。幽霊なんていないと思えばいないも同然と言っていた彼女からすれば、大分優しい対応だ。
「あたし、姉ちゃんもゆうれいが見えるなんて知ったの最近なんだけど。やっぱり、ヒゲのちすじ？」
「……黒崎家のね」
　父親をヒゲと呼ぶ夏梨を窘めることなく、バンビエッタは食事を続けた。
　食事を終えたバンビエッタは、一護が風呂から上がったのを確認してから階段の踊り場でまだ衣服を探す遊子とすれ違い、二階に上がろうとした。その瞬間――ごく近距離で虚の霊圧を感じた。
「ッツ！」
　反射的にバンビエッタは動きを止め、虚の出現場所を探る。すぐに一護の部屋からと気付き、部屋の扉を叩いた。
「一護いる！？」
　バンビエッタが扉を勢いよく開けるも、部屋にいたのは魂魄の抜けた一護の体だけだった。

[145 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/23(土) 13:16:45]

展開ダイス、ここからバンビちゃんはどうするか？

1.念のため、一護たちを追う

2.任せて、部屋に戻って宿題をする。

3.追わず、義骸から遊子のパジャマを取り返す。

4.外には出て、夜の散歩に出かける。

dice1d4=2 (2)

[146 二次元好きの匿名さん 23/09/23(土) 19:43:22]

ほしゅ

[147 二次元好きの匿名さん 23/09/23(土) 21:48:20]

真面目に今家離れたら一護の抜け殻のガードができないからね

[148 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/23(土) 22:23:14]

>>147　本人はただ宿題したいだけでしたけどね。原作時は一心が護っていたのかな？

昼のダイス分はなんとか書けたので、再び展開ダイスをします。（多分、明日の夜には書けるはず）

1.チャドとインコ

2.コン

3.お墓参り

dice1d3=3 (3)

[149 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 01:01:07]

グランドフィッシャーイベどうなるか

[151 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/24(日) 01:12:22]

「もう、自分の体くらい丁寧に扱いなさいよ」
　バンビエッタは床に伏す魂の抜けた黒崎一護の体をベッドの上に転がす。ついでに押入れを開けば、黒崎遊子のパジャマを着た朽木ルキアの義骸が寝転がっていた。
　服を脱がそうと考える彼女だったが、後々に面倒事が起きると想像して思い留まった。
　バンビエッタは二人はさっき感じた虚を追ったと考え、空っぽの体が見つからないように部屋の扉を閉めた。
「――宿題やろう」
　自室の客室へ戻ると、バンビエッタは黒崎夫婦から贈られた勉強机に座って宿題を始める。中学の一年生から一護の学力が上がり始め、学力面で彼に抜かれる事が多くなった。今度の中間テストでは勝ってやろうと密かに勉強していた。
　静かな部屋にノートを叩くペンの音がリズムよく響く、時々止まり思い出したように動き出しては、ノートに記入されていく。
「おねーちゃん。おふろ、どうぞー」
「はーい」
　宿題を続けていると扉越しに入浴後の遊子が声をかける。椅子から立ち上がりパジャマを抱えて廊下に出た。ついでに霊圧を探るとまだ一護とルキアは虚退治から帰還していない、苦戦しているのかと思いつつ、彼女は入浴に一階へ向かった……。
「――ふん、やっと帰ってきたのね」
　四十分ほど入浴して脱衣所を出ると、一護とルキアが部屋に戻って来ている事に気付いた。思い付きでからかってやろうと、バンビエッタは二階へ上がる。
「一護いるの？　――開けるわよ」　
　ドアノックをしてから声をかけると、部屋からドタバタと乱れた足音が聴こえて、続けてドタドタと扉へ足音が向かってきた。
「――な、なっ、なんだよ！」
　はあはあ、と息を切らした一護が急いで扉を開けた。
「なに息を切らしているのよ。あんた」
「な……なんでもいいだろ。で、何の用だよ？」
「そうねー……」
　問いかける一護にバンビエッタは彼の体の方へ顔を寄せると匂いを嗅ぎながら、体に触れて「侵入」で自分の精神体を精神世界へ入れた。
「あんた、恋人いるの？」
「はぁ！？ いきなりなんだよ！」
　一護がすっとんきょうな声を上げ、バンビエッタはニッと笑う。
「嘘が下手ね……恥ずかしいからって、押入れに隠すのはどうかと思うわ」
「！？」
　仰天の表情になった一護に、バンビエッタはさらに笑う。
「ま、黙ってあげるわ。でも代わりに、風呂とトイレの掃除してね」
「……はい」

[152 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/24(日) 10:22:57]

保守も兼ねた好感度ダイス。

バンビちゃんからの一護以外の現世メンバーの好感度。

朽木ルキアdice1d100=41 (41)　井上織姫dice1d100=99 (99)

茶渡泰虎dice1d100=44 (44)　石田雨竜dice1d100=27 (27)

浦原喜助dice1d100=60 (60)　石田 竜弦dice1d100=33 (33)

有沢 竜貴dice1d100=29 (29)　浅野 啓吾dice1d100=86 (86)

小島 水色dice1d100=17 (17)

逆からのバンビちゃんの好感度ダイス

朽木ルキアdice1d100=57 (57)　井上織姫dice1d100=83 (83)

茶渡泰虎dice1d100=48 (48)　石田雨竜dice1d100=78 (78)

浦原喜助dice1d100=88 (88)　石田 竜弦dice1d100=69 (69)

有沢 竜貴dice1d100=40 (40)　浅野 啓吾dice1d100=83 (83)

小島 水色dice1d100=21 (21)

[153 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 10:29:52]

織姫との好感度がどちらからも高いのいいな…

[154 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 10:34:07]

石田竜弦よりも相互好感度が下回る小島水色とかいう一般人……

[155 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/24(日) 10:56:35]

>>153 なんだか高いのも分かる人もいますが、お前なんで高いのもありますね。

>>154　きっと、啓吾に好感度が取られているんですよ。

あ、夜一の好感度を忘れていました。

バンビちゃんから　四楓院　夜一dice1d100=58 (58)

逆から　四楓院　夜一dice1d100=63 (63)

石田竜弦からの好感度が高い理由。

1.努力と研鑽は認めている　2.黒崎家へ素直に献身している

3.息子を抑えているから　

dice1d3=2 (2)

浦原喜助からの好感度が高い理由。

1.対藍染戦に役立つ　2.固有能力が興味深い

3.商店に来ると雨とジン太の相手をしてくれる

dice1d3=2 (2)

[156 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/24(日) 20:21:21]

「明日は命日ね……」
　黒崎一護が死神代行を始めてひと月が経過した六月半ば、正体を隠し通せているバンビエッタは黒崎真咲の命日の前日六月十六日を確認してから、いつものように寝ている一護を起こしに向かう。
　彼女は黒崎家の行事である真咲の墓参りには、一度も行っていない。理由はバンビエッタに真咲の墓参りをされる事を嫌う奴が睨みを効かせているからだ。
「たまには自分で起きなさいよ。アホ一護」
　バンビエッタは文句を言いながら、一護の部屋の扉を静かに開ける。押入れには依然として朽木ルキアが住み着き、加えて死神中の一護の肉体を護るために用意された改造魂魄コン(浦原情報)が、机の上に横たわるライオンのヌイグルミの中にいた。
　一護の中から精神体を回収してから、バンビエッタは窓のカーテンを開けて部屋に陽光を入れる。
「ほらっ、起きなさい。オレンジ頭！」
「ぅぐう……」
　寝返りをうつ一護の背中をパンと叩いて、バンビエッタは部屋を出て行った……。
「明日は休みにするんでしょ？」
「おう、頼むわ」
　一護が起きて来ない事を放置し、他の四人は朝食を食べ始めていた。納豆を箸でぐるぐるとかき回す一心は例年通りに、バンビエッタに留守番を頼んだ。
　ここで黒崎姉妹から質問が出る。
「ねえ、お父さん。どうしておねえちゃんはお留守番なの？」
「そうだよ。ヒゲ。養子縁組してないからって、毎年毎年、姉ちゃんだけ家に残すのはおかしい！」
　遠縁でも約十年も一緒に生活すれば、それは家族も同然。
「それはだな……」
　返答次第で娘たちの評価が激変すると悟り、一心は口を閉ざして考える。本音を言えば、バンビエッタが墓参りに同行するのは一向にかまわない。妻亡き六年の彼女は家族として受け入れるに、充分な働きと献身があった。
　それでも養子縁組をしないのは、一心に黒崎アンナ（バンビエッタ）の義父になる資格は無いと思っているからだ。
「遊子、夏梨……ありがとう。でも、あたしは居候の身。留守番で問題ないから」
　平然と言い放ち、みそ汁を啜るバンビエッタに遊子と夏梨は悲しい表情を浮かべ一心に冷めた視線を向ける。それが姉妹の中の父親好感度が下がった瞬間でもあった。
「ぁ……？　なに落ち込んでいるんだよ、親父」
　ようやく一階に降りてきた寝ぼけた頭の一護は、納豆入りの小鉢を抱えて落ち込む父親の姿を不思議に思っていた。

[157 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/25(月) 00:53:28]

「いってらっしゃい」
　六月十七日、バンビエッタは母親の墓参りに行く黒崎家の面々を玄関で見送った。朽木ルキアも遅れて外に出るのを察知したが、無視した。
「やりますか」
　毎年一人になる彼女は掃除用具を持って、住居からクロサキ医院の方へと移動する。
　院長の一心が不在なので医院は休み。だからバンビエッタは、毎年院内の掃除をしていた。
　清楚清潔が必須の医院であるため、日頃の掃除は行き届いている。だから彼女が掃除するのは、毎日の掃除が難しい箇所。黒崎家の墓参りは、朝から夜までほぼ一日お墓にいるという変わったものなので掃除する時間は十分にあった。
　コンコン。
　医院のガラス扉がノックされてバンビエッタは振り向き、叩いた者を見た瞬間に視線の位置が下がる。
「何の用、掃除中よ」
　鍵を閉めていたガラス扉を開けて、来客に話しかける。
「感心じゃな。少し休ませてもらうぞ」
「あ、ちょっと。ここは病院なのよ！」
　年配の男声で喋る黒猫は、わずかに開いた扉の隙間をすり抜けて院内へと侵入する。
　黒猫の名は、四楓院 夜一。浦原喜助の幼馴染、自由奔放の性格で、猫の姿に変身しては気ままに暮らす女性の死神。猫の姿になっている間は全裸である事に抵抗感が薄いのを、女性としてどうかとバンビエッタは思っている。
「よいではないか、また掃除すれば」
「二度手間でしょう」
　夜一はベンチに飛び乗ると、本物の猫のようにごろんと横たわり体を伸ばす。バンビエッタは持っていたモップを壁にかけると彼女の隣に座る。
「くく、触れてもよいぞ」
「……そう」
　バンビエッタは腕を伸ばして夜一の胴に手を置いて左右に動かす。黒い体毛の毛並みは、上等な油で手入れされたように艶がありもふもふしていた。このクオリティなら本物の猫と区別するのは難しいと思いつつ彼女の手は止まらない。
「ふふふ、お主なかなか筋が良いのう」
「それで夜一。なにしに来たのよ、浦原のお使い？」
「近くに寄っただけじゃ。喜助の遣いをワシがやると思っておるのか？」
「内容次第でしょ」
　ほどほど満足したところで、バンビエッタは夜一から離れて掃除を再開する。
「……お主は墓参りにいかんのか？」
「気にしないで」
　と夜一に告げ、彼女は「お昼、食べていく？」と彼女に聞いた。
　この六年間ずっと、精神体が本体の代わりに墓参りへ行っていたので何も問題はなかった。

[159 二次元好きの匿名さん 23/09/25(月) 17:17:27]

馴染んでいるが一線は引いているこの感覚いいなあ

[160 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/25(月) 23:54:21]

　黒崎家之墓と彫られた墓石の前で、黒崎家の面々が両手を合わせる。
　各々が墓前で想いを語る中、黒崎一護は懺悔の念を抱きながらじっと母親の遺骨が納骨される墓を見つめていた。
　母親の死は自分がずぶ濡れの少女を見つけた事がきっかけ。あの少女が幽霊だったのか今でも分からない……しかしそこから自分が気絶して、目覚めた時には母親は出血しながら覆い被さっていた。
　家族から太陽のような母を奪い、自分の一番大好きな人を失った、世話焼きの居候と家族になる機会を消してしまった。
　――俺が護るんだ。
　ゆえに、彼は誰かの大切を護るために全力で戦う。自分と同じ想いをする人を一人でも減らすために。
　その後、一心の罰当たりなおふざけ行為を兄妹で窘めたり、墓石をさらに掃除、他家の先祖霊と話しなどしながら家族は日暮れまで墓場にいた。
「うう……」
「遊子さあ、もうあたしら十一歳なんだから毎年泣くの止めなよ」
「うん、わかっている、わかっているけど……ふええ～～」
　そろそろ父親から帰宅の笛が鳴る時間と知る夏梨は泣き虫の姉に泣き止むように言うも、遊子の脳内は理性より感情が勝っているようで再び泣き始める。
　これじゃあどっちが姉だよ、と夏梨が思いながら視線を別方向に向けていると、父親から帰宅を告げる笛の音が聴こえた。
「あれ……あの子、あんなトコで何してんだろう」
「え、どれ？」
　父親がいる寺に向かうため姉を起こそうとした夏梨は崖の上にいる少女に気付いたが、遊子の反応から少女が幽霊と悟った。
　夏梨は未練ある浮遊幽霊と考え、成仏が出来るように寺の坊主を教えてあげようと歩き出すはずだった脚が、自分の意に反してピタリと止まった。
「あ、れ……足がうごかない」
「夏梨ちゃん？」
　自分の脚が前へ動かない事に動揺する夏梨の後ろで、遊子は不思議な表情で妹を見ていた。
「え、へ、あれ、え……やだ、なんだよこれ」
「か……夏梨ちゃん？！」
　夏梨の体は後ろ歩きを始め、パニックとなる彼女の意思は無視されてどんどん階段の方へと向かって行く。妹の異常事態に気付いた遊子はとっさに妹の背後に立つも、後ろに目があるように見事なターンで姉を回避してみせた。
「ふええっ？！」
　びっくりする遊子の声を置き去りに夏梨の体は、前を向くと走り出してそのまま階段を降りて行き、それを慌てて姉は追った……。

[161 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 05:16:02]

今更気づいたが精神体が墓参りについていってるのね
原作展開のクッションになってくれれば…

[163 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/26(火) 21:16:29]

>>161

精神体なら、バンビちゃんが墓参りされるのが嫌な奴にも気付かれませんから便利な能力です。

すでに夏梨と遊子が逃げていますから、それなりに違う展開になると思います。

[164 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 23:47:13]

期待

[165 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/27(水) 01:03:16]

「くそっ、虚かよ！」
　一心と合流した一護は虚の気配を感じ取り、妹たちを捜すうんぬん言っている父親を無視して、彼は石階段を駆け上がる。
「――一護！」
「ルキア！」
　駆け登る途中で一護はワンピース姿の朽木ルキアと合流し、共に虚の下へと向かう。
　二人は墓参りの前にひと悶着あったものの、有事の際には足並みを揃えて共に戦う程度には関係を築いていた。
「一護、私はもう訊かない。私にはお前の深い問題に、お前の心に泥を付けずに踏み込む術をもたない。だから待つよ、お前から話してくれるまで」
「……ああ」
　一護はルキアの優しさを噛み締め、顔を上げた時――気付いた。夏梨が階段から転げ落ちるような勢いでこっちに向かって来ることに。
「い、いち、一兄ぃぃい！」
「――夏梨！？」
　妹の叫びに一護は反射的に両腕を広げ、受け止める姿勢を取った。
　そこを狙ったように彼女の体は、兄の胸に飛び込む。その勢いに危うく階段から転げ落ちそうになった一護だが、そこはルキアが背中を支える事で難を逃れた。
「はぁはぁ……おお、おに、お兄ちゃん……」
　遅れて、息も途切れ途切れの遊子が夏梨に追いつく。すぐにルキアは姉妹の意識が一護に向いている間に、こっそりとその場から離れて、単身虚の方へと向かった。
「どうしたんだよ、夏梨。あんな速度で駆け下りたら危ないだろ」
「――わ、わかんないよ、急に脚が後ろ歩き始めて……死ぬかと思った」
「きっと、ゆうれいが夏梨ちゃんにイタズラしたんだ。お兄ちゃん、早くはなれよう！」
　胸の中で怯える夏梨、この場から逃げる事を推奨する遊子。普段の一護なら同行する場面だったが、虚が近くにいる以上、引き返す事は出来ない。
「……悪い。先に親父と合流しておいてくれ。俺にはやることがあるんだ」
「あっ、お兄ちゃん！」
　夏梨から離れた一護は、妹たちを置いて先行したルキアを追った。
「どこにいる……！」
　先行したルキアは目的地に到着すると、虚を探しに走っていた。
「ネエさん、一護のやろうと合流した方が」
　ルキアの背負うリュックの中からヌイグルミ姿のコンが顔を出す。彼女は一護に死神の力をほぼ奪われたため、戦う力は無いに等しい。それでも彼女が前に出るのは、虚にとって死神の魂魄は旨そうな匂いがするらしい。
　さあ、出て来るがいい！　ルキアは虚が出やすいように人気のない場所へさらに進んだ。

[167 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/27(水) 13:59:37]

　グランドフィッシャー。

　人の上半身ほどもある巨大な面、全身を大量の長い体毛に覆われた巨体、鳥の足に似た四肢を持ち、最大の特徴は頭部と接続された姿自在の疑似餌。疑似餌を用いて霊力の高い人間だけを捕食する高い知性を持つ虚。それが今回黒崎一護の戦う敵であり、過去一番の強敵だった。

「おっ、あああぁぁ！」

　死神になった一護は跳び上がり、裂帛と共に斬魄刀をグランドフィッシャーへ振り下ろす。

　眼前の敵が母親の死因と知り、虚の疑似餌に引っかかった過去の自分も斬るつもりで、彼は全力で戦いに臨んだ。

　巨体に似合わない俊敏さで軽々と斬撃をかわす虚は、体毛を四肢のように操り一護の四肢を拘束しようとするも、それを一護は斬魄刀の刃で断ち切った。

「ひひっ」

　虚は笑い、体毛を穂先のように一護へ一気に伸ばす。それを避ける一護のこめかみを掠り血が滲む。

　その程度で彼が怯む事はない、眼前の敵が長女に悲しみを、次女に淋しさを、居候に失意を与えた原因なのだから擦り傷程度で足を止めるなど出来ない。

「うっらぁ！」

「ひひっ、甘いぞ」

　威勢と勢い良く間合いを詰めようとする一護に対して、五十年以上生き延び戦闘を重ねた虚は冷静だった。

　グランドフィッシャーは一護の未熟な死神であると見抜くと、体毛の物量に紛れて左手の爪で彼の体を貫こうとする。それを一護は持ち前の身体能力と喧嘩の日々で培った経験と勘で捌いてゆく。それでも力量差はじわじわと出てきて、彼の頬や腕に切り傷が刻まれていった。

「うっおぁ！」

　それでも一護は諦めずに虚へ斬魄刀を振る。未熟でも当たれば危うい一撃で理解するグランドフィッシャーは、回避だけはしっかりとしていた。

「どうした小僧、わしを斬るのだろう！　おそいぞっ」

「うるせぇ、じゃあ避けるな！」

　怒鳴りながら一護は間合いを詰めようと攻める。破道縛道の一つでも使えれば多少は違うものの、彼は全く鬼道が使えないため、斬魄刀による接近戦しか戦う術がなかった。

「のろいぞ、小僧」

「！？」

　ここで急接近してきたグランドフィッシャーは、一護に左手を突き出す。反射的に斬魄刀で防御してみせた一護だったが、左手の爪がにゅっと伸びて彼の体に突き刺さった――。

黒崎一護　戦闘力dice1d50=49 (49)

＊借り物の力なので出目の最大を50にしました。

グランドフィッシャー　戦闘力dice1d100=81 (81)

[168 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 14:28:22]

一護も出目いいけどグランドフィッシャーつええな

[169 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 21:34:14]

伊達に一護が最後まで勝てなかった虚じゃないな

[170 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/27(水) 21:49:32]

>>168　本当ダイス運が悪いというか、味方してくれません。

>>169　原作だと最後まで一心に倒された事を知りませんでしたね。

「かっ、ぁ」

　黒崎一護は胸にグランドフィッシャーの左爪が食い込み呼気が漏れる。それでも彼は虚を振り払い、飛び退いて急いで呼吸を整えようとするも、人間との喧嘩では経験した事のない痛みと出血で膝を着いてしまう。

「おまえはこうしてわしに弄ばれ、一太刀の傷もわしに与えることなく死んでゆくのだ」

「ふっ、ざけんな！！」

　虚の挑発に一護は激昂し立ち上がり、斬魄刀を大振りで振り下ろす。

「倒すんだよ！　手が千切れようが、足が飛ぼうが、俺はてめえを絶対に！」

「……だからおまえは死ぬというのだ。おまえは若いがゆえに容易く怒り、怒るがゆえに心乱す」

　グランドフィッシャーは疑似餌を出すと、疑似餌の少女の頭を右手で握り揉み始めた。

「そして、心乱すゆえに刃が鈍る。終わりだ、小僧！　おまえはわしと戦うにはあまりにも若すぎた！」

　警戒する一護に勝利宣言とも取れる言葉と共にグランドフィッシャーは、疑似餌を握っていた右手を開き、姿を見せた疑似餌の顔に一護は驚愕する。

　つい一分前までおかっぱ頭の少女の顔だった疑似餌から、死ぬ前の黒崎真咲の顔になったからだ。

「では、行くぞ。小僧――！」

「！！」

黒崎一護（㏋100）戦闘力49　dice3d100=92 72 14 (178)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice3d100=9 82 90 (181)

[171 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/27(水) 21:53:52]

戦闘力以下の出目が互いに同数でしたので、一回ダイスを振ります。

黒崎一護（㏋100）戦闘力49　dice1d100=88 (88)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice1d100=65 (65)

[172 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/28(木) 01:03:58]

「お前、どうしてっ！　さっきは――っ」

　動揺する一護の言葉を無視して、グランドフィッシャーが突撃する。

　グランドフィッシャーの左爪には、刺した相手の記憶を読み取る能力がある。その記憶の中から、斬ることが出来ない者を選び、右手で疑似餌の形状を変える事が出来た。この能力を用いて、黒崎一護が斬る事が出来ない相手――黒崎真咲の顔を作った。

　俊敏さを生かした突進に一護は斬魄刀を盾にして受け止めようとしたが質量差で弾き飛ばされ打ち上げられるも、持ち前の身体能力で空中で態勢を整えると、そのままグランドフィッシャーの背中を叩き斬ろうとした。

「うおおっ！」

　体毛が操られる前に気合の入った一閃が繰り出される前に、母親の顔をした疑似餌が動かされてるだけではなく――。

「一護」

　はっきりと母親の声で名が呼ばれた事で一護の動きが止まり、その隙に虚の体毛は一護の体に絡まるやそのまま彼を頭から地面に叩き付けた。

「げはっ！」

「ひひひひっ。心を揺らしたか、思考が止まったか、小僧？」

「うるっせえ！！」

　体毛を断ち切り、立ち上がる一護の瞳から戦意は消えない。それを見抜きグランドフィッシャーは疑似餌の真咲はふらりと彼の前に置くと、再び声を発する。

「だめよ！　一護、刀を引いて！　お願い……母さんを斬らないで」

「――――」

　偽物の母親からのお願いなんて無視すればいい、斬る……頭で分かっている一護であったが、心の方がそれを拒否する。斬るな、斬っちゃだめ、と。

　理性と感情がぶつかり合い、一護の動きは再び止まる。その瞬間をグランドフィッシャーは見逃さない。

「ひひっ」

　笑うと共に左手の指先を揃えて、グランドフィッシャーは疑似餌を背後から貫いた――。

黒崎一護（㏋91）戦闘力49　dice3d100=57 94 73 (224)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice3d100=69 24 5 (98)

[173 二次元好きの匿名さん 23/09/28(木) 09:50:11]

唐突にでかい差ができたね

[174 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/28(木) 15:04:42]

>>172

「――ほお」

　疑似餌が死角となり、一護の腹にグランドフィッシャーの手突が貫通するはずだった。

　しかし、手突は上半身を捻った一護の腹部を薄く裂くだけで致命に至らずに、彼は反射的に飛び退くと驚いた表情で自分の腹に触れていた。

「……今のをかわすか、小僧。勘は良いようだな」

　グランドフィッシャーは一護の勘と反射神経を評価しつつも、若さゆえの未熟さは変わらない自分が勝つと確信していた。母親の疑似餌がある限り、こちらに攻撃が届くことはないのだから。

　どうすればいい……どうやってこいつを倒せるんだ。

　余裕の虚とは対照的に一護には余裕がなかった。偶然致命的になる一撃を軽傷で済ませたものの、戦況は不利なまま。ルキアのように術が使えれば違ったと考えつつも、彼は斬魄刀を肩に置く。

「止めて、一護」

「っ、――来るんじゃねえ！」

　貫かれた疑似餌の母親は何もないかのように一護の前に立ち、再び一護の心を揺さぶりにかかる。その姿と声を拒絶したい一護は斬魄刀の切っ先を突き付けるも、疑似餌は平然と近づくと喉元に刃が触れた。

「だめよ、一護。こんな危ない刃を持っちゃだめ」

　くしゃっと一護の表情が歪み、「やめろ……！」と疑似餌が呟くもそれが疑似餌とグランドフィッシャーに届く事はなかった。

「ひひっ、愚かだな小僧！」

「！！」

　疑似餌の後ろから爪を伸ばした両腕で襲い掛かるグランドフィッシャーに、一護は前に跳んで疑似餌を虚の仮面に叩き付けて爪の攻撃を回避する。

「痛いわ、一護」

「――うるせえぇ！！」

　悲鳴のような絶叫をあげた一護は斬魄刀を垂直に振り上げる。このまま疑似餌もろとも虚の頭を割れば、こちらの勝ちだからだ。

　斬れ、斬れ――斬れ！！

　何度も何度も脳内で復唱しながら、一護は痛む体を動かし、心を殺して、斬魄刀を振り下ろした。

黒崎一護（㏋86）戦闘力49　dice3d100=26 42 87 (155)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice3d100=1 60 13 (74)

[175 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/28(木) 21:31:52]

「ひひひっ、太刀筋がにぶっているぞ。小僧！」

　一護が決死の覚悟で振り下ろされた斬魄刀の一撃に、虚は仮面の口で挟み止めてみせた。そのまま空いている両手の爪で、一護の腹部を左右に切り裂き、鮮血が噴き出した。

「がっはっ！」

　堪らず一護は斬魄刀の柄から両手を放し、そのまま地面に倒れ込むもまだ戦おうと一護は立ち上がろうとしたが、彼の頭上からグランドフィッシャーの片足が押さえつけた。

「――ぐっ！」

「若く、短慮、そして弱い。小僧、おまえは一番弱い死神だったな」

「一護、一緒になりましょう」

　グランドフィッシャーと疑似餌は、地面に体を押し付けられる一護に笑みを浮かべながら見下ろす。この時、ルキアは木々の影から戦況を見つめ続けていたが、何かに葛藤し堪えるような表情だった。

「まだだ。まだ……！」

　万事休すの状況でも一護は諦めず、地面に転がる斬魄刀に手を伸ばそうとした。

　そこでぽつぽつと雨が降り始め、瞬く間に髪を濡らすほどの大雨になった。

「どこから喰おうか……小僧、選ばせてやる。最初に喰われるのは脚か手か、それとも皮膚を剥がしてほしいか？」

「うるせぇ……黙れ、必ずぶっ倒してやる！」

　虚の言葉に一護は嫌悪と激怒をにじませて睨み付ける。しかし、それが虚勢である事は誰の眼から見ても明らかであり、一護の言葉を無視してグランドフィッシャーは空いている手で彼の片足を掴んだ。

「――脚をもいでやろう。悲鳴を聞かせろ」

　グランドフィッシャーは、一護の片足を持ち上げて根元から引きちぎろうとする。それに抵抗して一護は脚に力を込めて抗うも、元々の筋力差から徐々に脚が持ち上げられていく。

　はあ……さすがにこれ以上見ているのはまずいわね。

「！？」

　聞き覚えのある声が聴こえた瞬間、一護の視界に映る雨の動きが緩やかになり、死角から白い軍服姿のバンビエッタが姿を見せ、彼を見下ろす。

「アン――」

「何も聞かず、この手を取りなさい。バカ一護――あんたに力を貸してあげる」

「――――」

　いくつもの疑問が彼の脳裏を巡るも、バンビエッタの差し出された手を一護は夢中で掴んだ。

　その瞬間、黒崎一護の霊力は全身から噴き出した。

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice3d100=88 15 98 (201)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice3d100=16 71 59 (146)

[176 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 08:24:03]

ほ

[177 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/29(金) 10:06:28]

忘れてました。

戦闘力以下の出目が互いに同数でしたので、一回ダイスを振ります

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice1d100=68 (68)

グランドフィッシャー（㏋100）戦闘力81　dice1d100=50 (50)

[178 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/29(金) 11:38:41]

　地面に押さえ付けていた黒崎一護から突如として噴出した膨大な霊力が生み出す霊圧に、グランドフィッシャーの巨体は宙に吹き飛ばされる。

　戦いを見続けるルキアも驚愕の表情を浮かべ、雨雲を吹き飛ばすほどの巨大な霊圧の中心である一護から視線を外せなかった。

「なぜだ、なぜ急に霊圧が増した！　小僧？！」

　地面に着地したグランドフィッシャーは、勝てるはずだった盤面をひっくり返すような予想外に冷静さを欠いた声で叫ぶ。

「――教えるわけねえだろ」

　自分から噴き出す霊圧を切り裂き、一護が姿を見せる。

　死覇装、斬魄刀含めて変化した部分はなかったものの、グランドフィッシャーに傷付けられた傷からの出血は完全に止まり、一薙ぎで地を爆砕するような高密度の霊力を宿している事に、グランドフィッシャーの虚としての本能が恐怖に震えた。

「グランドフィッシャー……」

「っつ」

　一護に睨まれたグランドフィッシャーは風向きが変わったと悟り、即時撤退を選び飛び退いた。

「逃がすかよ」

「ひぎっ！？」

　正面に居たはずの一護が、いつの間にか自分の背後に居た彼に驚く間もなく、グランドフィッシャーの両足は斬魄刀に斬り飛ばされていた。

　ずざっと態勢を崩して地面を滑るグランドフィッシャーに、一護は追撃の一撃を放つ。

「い、ぎぎぎっ」

　その一撃が完全に振り切る前に両手で受け止めたグランドフィッシャーだったが、その衝撃は凄まじく地面が陥没した。

「うっおおおぉぉっ！！」

「止めて、一護！　母さんを悲しませないで！」

　疑似餌の言葉を無視して、一護はグランドフィッシャーをぶった斬ろうとする。

　聴こえるわけないでしょ、あんたの声なんか。

　精神体のバンビエッタは「侵入」の出力を調整し、疑似餌の声が一護の耳に届く事を防いでいた。同じ方法で夏梨の内側に居た別の精神体が、彼女の脚を動かしてグランドフィッシャーから遠ざけた。

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice3d100=30 93 52 (175)

グランドフィッシャー（㏋85）戦闘力81　dice3d100=7 90 56 (153)

[179 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 15:43:59]

聖文字の熟練度を遺憾なく発揮してるなアンナちゃん

[180 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/29(金) 21:37:33]

>>179　限定的な鏡花水月みたいになってきました。

「ぬっおおおおぉぉ！」

　グランドフィッシャーは雄叫びを上げながら、顔に迫る刃を気合いでそらし地面に刃がぶつかった瞬間、爆音と同時に地面が爆砕し、大量の土煙が舞って一護の視界を塞ぐ。

「くっそ……」

　一護は土煙の中から勢いよく跳び出し、すぐにグランドフィッシャーの霊圧を探る。

「ゆゆ、許さん、ゆるさんぞ～～！」

　土煙から這い出てきたグランドフィッシャーの上半身は、爆砕に巻き込まれて片腕の肩までを無くしていた。

「ぬうううう……っ！」

　屈辱に塗れた唸り声を上げる虚だったが、その思考はとにかく一護から逃げる事に向けられていた。

「そこか！」

　一護はグランドフィッシャーの霊圧を捉えるや、追撃するために地を駆ける。

「ぐっ、ううぅぅ！」

「！？」

　頭部から吊られていた疑似餌に、本体であるグランドフィッシャーの肉体が吸い込まれていく光景に一護は驚愕し足も止まる。

　そのままグランドフィッシャーの巨体は完全に疑似餌に吸い込まれ、頭から下を隠していた白い服のような皮膚から鳥のような四肢が出現した。

「ひひひ、驚いたか小僧。わしの肉体は本体と疑似餌の二つ。片方が傷つけば、もう片方に逃げ込むだけのことだ」

「…………」

「斬れるか？　ひひっ、お前はもうわしを斬ることはできん！」

　だからといって、グランドフィッシャーが戦う事は選ばない。このまま一護を牽制しつつ逃げ切るつもりだった。

　しかし、無言のまま一護は猛進して母親の顔をした疑似餌のグランドフィッシャーに斬りかかってきた。

「ぬぅぁ、こ、小僧、この顔は貴様の母だぞ！　なぜ急に……！」

「悪い、さっきの爆音で耳鳴りが酷くて聴こえねえ」

「なにっ！？」

　実際はバンビエッタが爆音に乗じて一護の聴覚を封じただけだが、それを彼は知らない。さらに言えば、母親の顔が邪魔と理解していたので、グランドフィッシャーが疑似餌に移る際に一護の顔認識に干渉して、疑似餌の顔をグランドフィッシャーの仮面にした。

　これにより一護の戦いを妨げる部分は無くなった事で容赦ない攻めが出来るようになった。

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice3d100=45 51 37 (133)

グランドフィッシャー（㏋55）戦闘力81　dice3d100=30 59 69 (158)

[181 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/29(金) 21:39:33]

戦闘力以下の出目が互いに同数でしたので、一回ダイスを振ります

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice1d100=82 (82)

グランドフィッシャー（㏋55）戦闘力81　dice1d100=52 (52)

＊そろそろ戦いは終わります。

[182 二次元好きの匿名さん 23/09/30(土) 02:55:23]

義姉のサポートが手厚い

[183 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/30(土) 10:48:58]

「おらあああぁぁ！！」

　鬱憤を爆発させたような雄叫びを上げ霊力を撒き散らす一護は、斬魄刀を何度も上下左右に振るいグランドフィッシャーの肉体に斬撃を浴びせる。

　両手の爪で応戦しながら距離を取ろうとするグランドフィッシャーであったが、自分の速さに追いつくようになった彼の剣戟から逃れる事が出来ないでいた。

　ちょっと一護。もう少しスマートな剣術は出来ないの？　チャンバラごっこじゃないのよ。

　居候の声が体の内側から聴こえた一護は「うっせえ、頑張ってるんだよ」と胸の内で言い返しながら、彼女は何者なのかと考える。

　喧嘩は常勝無敗、公言はしてないが霊が見える、バイト先、黒崎家の遠縁……それ以外の事は、何も知らない。なぜ黒崎家に預かる事となった経緯も、本当の家族や故郷の事も何も知らない。

　死神と虚の戦いに介入できる能力は、自分よりもずっと前から虚との戦いの渦中にいたんじゃないかと考えさせる。それを霊が視えない父親は知っていた可能性も十分にある……しかし、彼はそれを父親に問いただす事はしない。

　語りたくない過去や秘密は誰にもある。自分もルキアと同じように、向こうから語ってくれる時を待つと決めた。

「うおおおっ！！」

　裂帛と共に一護はグランドフィッシャーの疑似餌の肉体を斜めに切り裂く。

「うっぐぅぅう！！　わ、わし、が負けるという、のか。し、死は……！」

　鮮血が体から噴き出した事にグランドフィッシャーは忍び寄る死の気配を悟り、恐怖で体が震え始める。

「い……一護！　母さんを殺すの！　ねえ、止めて！　お願いよ！！」

「はぁ……だから何を言っているか聴こえねえよ」

　グランドフィッシャーは心から本気で切迫した母親の声で一護に訴えかけるも、バンビエッタに聴覚を操作されている彼の心には何も届かなかった。

「――終いだ」

　再び一護の体から凄まじい霊圧が雷の如く迸り、グランドフィッシャーは絶望した。

黒崎一護（㏋77）戦闘力49+バンビエッタ精神体　戦闘力50＝戦闘力99　dice3d100=32 51 93 (176)

グランドフィッシャー（㏋18）戦闘力81　dice3d100=98 12 54 (164)

＊もう少しダメージの出目が大きいといいのに。

>>182　サポートしないと負けるかもしれませんから、バンビちゃんも渋々です。

[184 二次元好きの匿名さん 23/09/30(土) 17:16:59]

勝ったか？

[185 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/30(土) 21:36:22]

「ひひっいいぃぃ！！」
　バンビエッタの補助で一護から噴き出した大量の霊力は、斬魄刀の刀身に収束させられ死神の霊力を帯びた黄色い光を帯びた斬魄刀となった。
　グランドフィッシャーは、超高密度の霊力を宿した斬魄刀を見た瞬間、理性は崩壊し表情を著しく歪ませながら絶叫。構えている一護に背を向けるや、猿のように四つん這いで地を駆けて逃げ出した。

　一護、撃ちなさい。

「――ああ」
　バンビエッタの声を合図に、構えていた一護は尻尾を巻いて逃げ出すグランドフィッシャーの魂魄を一片も残さないつもりで、輝く斬魄刀を全力で振り下ろした。
「～～～～」
　斬魄刀が黄色の軌跡を描いた瞬間、凄まじい突風を帯びた巨大な光の斬撃が放たれ、それは地を裂きつつ恐るべき速度で逃げるグランドフィッシャーを背中から真っ二つに切り裂き、光に呑まれたその肉体は泡のように弾けて跡形もなく消えた。
「……はぁ」
　斬撃は霊力を粉雪のように宙に散らしながら彼方へ飛んで行き、それが消えるまで一護は見届けると気の抜けた溜息を吐き、その場に座り込んだ。

　時間かかり過ぎ、こんな体たらくじゃあ先の戦いも不安ね。

「うっせー……よ」
　一護は白い軍服姿の居候（バンビエッタ）を視界に捉えつつ、力ない声で彼女へ悪態をつく。そこで彼は気付く、再び雨が降っているのに衣服が濡れていない足場に影がない点から、彼女が実体ではないと気づいた。
　次は手を借りないからな。
　彼女の補助が無ければグランドフィッシャーに負けていたと自覚していた一護は、次は自力で強い敵に勝つと決意すると頬傷から血が垂れた。

　サービスはここまでよ。傷はあの死神の……朽木ルキアだっけ？　彼女に治してもらいなさい。

「はっ？」
　その一言を残してバンビエッタの姿は一護の視界から消え、同時にグランドフィッシャーが刻んだ傷口から血が一斉に流れ始め、黒崎一護はがくんと気絶した。

[186 スレ主◆wFZIecBdPc 23/09/30(土) 21:47:00]

「お帰り……どうしたのよ一護、その顔の傷――転んだの？」

「……なんでもねーよ」

「あっそ、さっさと手洗いしなさい。もうすぐ夕飯よ」

　墓参りから帰ってきた黒崎家の面々を玄関で出迎えたバンビエッタは、四人の中で一人だけ擦り傷顔の一護を見て何かあったと悟り、手洗いを急かす意味も込めて彼の背中を押しながら精神体を回収、そして墓参りで何が起きたか知った。

　真咲の仇が取れたんだ、良かったわね……と思いながら、妹たちと洗面台に向かう一護を見送りバンビエッタはキッチンに戻り、夕食の仕上げに取り掛かった。

　そこに微かにタバコの臭いを帯びた一心がリビングにやってくると喪服を脱ぎ始め、上着をハンガーにかけた。

「ねえ一心。少しは気持ちが晴れたの？」

「……多少はな」

　一心は霊感があるので、墓場でグランドフィッシャーと一護が戦い、息子が勝った事には気付いたはず。それでも彼が飛び上がるほど喜びを浮かべないのは、彼が本当に許せないのは、妻の危機に駆け付けなかった自分だとバンビエッタは解っていた。

　ただ、仮に駆けつけたとしても一心が役に立てた事はないだろう。

「このまま、もう一人の仇とも戦う事になるかな？」

「……さあな」

　黒崎真咲の死には、実際に彼女を殺したグランドフィッシャーとは別に、間接的に死をもたらした人物がいる。その人物が原因で、六年前にバンビエッタは義骸を著しく損傷する事になり危うく死にかけた。

「もしも、一護がそいつと戦い事になったら、お前さんはどうするんだ？」

「……その時に考えるわ」

「そうかい」

　一心は脳裏に浮かぶ選択をバンビエッタが選ぼうとも、責めないと決めていた。

「ほら、さっさと着替えて食器を並べて」

「へいへい」

これで墓参り編はおしまいです。戦闘時のダイスのダメージが小さくて長引きました。

次の展開ダイスを行います。

1.大虚出現

2.空座町廃病院

3.六番隊襲来

dice1d3=1 (1)

[187 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 00:50:49]

ほしゅっ

[188 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 00:54:26]

ついに決着

[189 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 09:27:01]

>>188

やっと終わりました。もう少しダイスの出目が大きかったら良かったんですけどね

[190 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 12:50:44]

「アンナ、この商品の在庫はあるか？」

　六月下旬、期末テストが終わった日。バンビエッタはいつものように洋裁店でアルバイトをしていると、中学時代から黒崎一護の相方になっている大男が話しかけてきた。

　茶渡泰虎――二メートル手前の身長と百キロ超えの体重。とても一護と同い年とは思えない大柄に浅黒い肌、顔立ちも異国人の雰囲気が残り、同年代と比べると老け顔で子供におじさん扱いされる。

　一護とバンビエッタを始め友人からはチャドの愛称で呼ばれ、不良の間では「馬芝中のチャド」と恐れられていた。

「ああ、それね。裏にあるわ」

　四十センチ近い身長差にバンビエッタは頭を上げてチャドが持っていた商品を確認してから、バックヤードに向かい同じ商品を持って来る。

「ああ、すまない……アンナ」

「うん？　なによ」

　商品を受け取ったチャドだったが、その場を動かずにバンビエッタをじっと見下ろす。

「一護は、何か……俺に隠していると思うんだ。アンナは知らないか？」

　バンビエッタはチャドの言葉に無言で考える。彼がそう考える理由は、彼が巻き込まれたインコに憑依した少年霊と地獄に堕ちて行った虚が原因と思いながら、小さく頷いた。

「知ってるわ。でも、それは一護が語るものだと思うからあたしからは言えないわ」

「……そうか」

　小さく落ち込むチャドに、弱めの霊感と凄まじい勘の良さに強靭な肉体がある彼に、バンビエッタは助言をする。

「チャド。時が来たら一護はちゃんとあんたを頼るから、それまで体を鍛えてみたら？　それか格闘技を学ぶとか」

　滅却師のバンビエッタから見ても、チャドの筋力と頑強さは規格外の部類。だからこそ長所をさらに伸ばす事を進めた。

「格闘技……その手の技術は避けていた。だが、一護は確実に強くなっている。俺はあいつの隣に立ち続けるには…………アンナ、ありがとう」

「そっ、頑張りなさい」

　チャドの決意を察し、バンビエッタは優しい性格の彼を見送った。

黒崎アンナ（バンビエッタ）の期末テストの結果。

国語 dice1d100=51 (51)　数学 dice1d100=6 (6)　理科 dice1d100=2 (2)

社会 dice1d100=46 (46)　英語 dice1d100=30 (30)　保体 dice1d100=67 (67)

技家 dice1d100=15 (15)　音楽 dice1d100=37 (37)　美術 dice1d100=96 (96)

[191 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 12:54:53]

理数系がカスというか美術以外ダメダメじゃないか…

[192 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 12:57:37]

>>191　どうしてこうなった！　と思ってます。赤点多数なので、補習か追試は確実ですね。このバンビちゃん本当にダイスに嫌われている気がしてしょうがないです。

[193 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 14:33:48]

一護より勉強できるってあったのにテスト点数ダイス振っちゃったのおかしくない？
赤点取らないようにプラスしたうえでダイス振りなおします？

[194 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 15:04:33]

>>193

一護より学力があったのは小学生までの話で、中学生からは学力面で抜かされる事が多くなりました。>>151にその旨を書いてあります。ただ、ここまで酷くなるのは予想外でしたが。

[195 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 16:47:03]

「はぁ……もう死にたい」

　バンビエッタは廊下の窓に寄りかかり、過去になく意気消沈していた。

　350点――それが彼女の期末テストの合計点。それに比べて黒崎一護・茶渡泰虎・井上織姫・石田雨竜の顔見知り四人は、学年上位に入る成績が余計に落ち込ませた。

　今後やってくる追試と補習の日々から逃げたくて、窓から跳び立ちたい気分だった。

「アンナちゃん！　飛び降りちゃだめー！」

「ぎゃっぁ！！」

　唐突に横から誰かに抱き着かれ、バンビエッタは廊下に横倒しになる。普段の彼女ならそんな攻撃に当たることはないが、今日は周囲に意識を向けられないほど落ち込んでいた。

　胡桃色の長髪が顔をかかり、彼女の巨乳がバンビエッタの肩にのしかかる。

「どきなさいよ、織姫！　あと重い！」

「重くない！」

　学年3位という輝かしい成績を取った井上織姫に抱き着かれ、バンビエッタは鬱陶しいとばかりに抱き着く彼女を強引に引き剥がそうとするも、それに抵抗する織姫はさらに強く抱き着く。

　おお……っ。

　学年上位の美少女と男子生徒から見られているバンビエッタと織姫が絡み合う姿に、男子生徒は興奮し感嘆の声が漏れていた。

「こら男子ども！　見てんな！」

　そこを井上織姫の保護者である有沢竜貴からの怒声が飛び、廊下にいた男子は脱兎の如く逃げて行く。

「織姫！　あんたは離れる！」

「ひゃあ」

　親猫が子猫を持ち上げるように、有沢は織姫の首根っこを掴むと彼女を持ち上げてバンビエッタから引き剥がす。

「はぁ……織姫、アンタはどうしてそう突発的に動くの。冷静って言葉を知っているの？」

「たつきの言う通りね」

「うう、すいません……」

　織姫としては窓から飛び降りそうな雰囲気だったバンビエッタを助けたい一心で動いたのに、数分後にはバンビエッタと有沢の前で正座させられていた。

「アンナもたまたまテストが悪かっただけでしょ。まだ期末テストはあるんだから、そこで巻き返しなさいよ」

「そう言われると、そうだけど……」

　あんなに酷い点数を取ってしまったら簡単に立ち直れないと思うバンビエッタであったが、それを口にすると余計に気分が落ちると思って口をつぐむ。

「はぁ……」

＊次の展開ダイス。バンビちゃんは誰と一緒にいる？

1.チャド　2.一護　3.織姫　4.夏梨　　

dice1d4=4 (4)

[196 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 16:52:45]

妹のボディガードかな
次のテストダイスは最低保証つくといいねアンナちゃん

[197 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 17:23:45]

そろそろ、次のスレを作ろうと思います。

>>196　そうですね。次があればテストダイスの時には最低保証を付けようと思います。その最低保証もダイスで決めてしまおうかな。

[198 スレ主◆wFZIecBdPc 23/10/01(日) 19:33:05]

新しいスレを立てました。ついでにトリップも変えてました。

【🎲時々⚓・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が　2｜あにまん掲示板

[199 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 19:46:31]

うめ

[200 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 19:55:17]

うめた