女騎士は───見られた。

1女騎士21/12/21(火) 23:27:07

「殿下、流石にトレーナー寮へこんな時間に忍び込むのは不味いのではないでしょうか…」
SPが声を潜めながらファインへ忠言する、現在時刻は朝の4時、高齢のトレーナー達がぼちぼち目を覚ます時間だった。もしもトレーナーの誰かと鉢合わせようものならたちまち噂は箝口令を敷くまでの間にトレセンを駆け巡り、大スキャンダル間違い無しである。
しかしファインは目を輝かせながらそのスリルすら楽しんでいるようで、あらかじめ作って置いた合鍵で女騎士の部屋をそーっと解錠する。
そして最近学友に教えて貰った抜き足差し足を駆使して寝室に忍び込むと、そこには小さく丸まった胎児寝の女騎士の姿があった。どうやら寝相は致命的に悪いらしく布団からタオルケットに至るまで全て床に落ちている。そんな女騎士のプライベートな姿を見てファインはくすりと笑うと、そっと布団をかけ直し───

ベッドの下を漁り出した。
「殿下…!一体何をしてらっしゃるんですか…!」
「スカーレットちゃんから聞いたんだよ、大人の人はベッドの下に人に見せられない物を隠しがちだって…!私に隠し事してないか殿下の抜き打ちチェックだよ♪」
「流石に王族以前に漁るのは人として…!」
「お、何かあった…みたい…」
出てきたのはロリ、触手、百合、ケモノの薄い同人誌の数々だった。
「起きろ。殿下の御前だぞ」
「ﾐ゜ｯ゜…!?えっ一体なんですか敵襲ですか…あ…」
SPに蹴り起こされた女騎士が目にしたのは薄い本を手に取り、顔を赤らめているファインの姿だった。
「腹を切ります。」
「介錯してやる、辞世の句を詠め」
「…浅緑の瞳に映る煌めきは、日光が照らす温もりのよう」
女騎士はただ運命を受け入れ、来世はファインの赤ちゃんが良いなと思った。しかしファインは女騎士の予想だにしない発言をする。
「ねえトレーナーの好みって…ウララちゃんとそれくらいの子なの?」
ファインは女騎士の服を掴み、心配そうに訪ねてきたのだ。女騎士は応える
「昔はそうだったよ、でもね…ファインのその目があんまりにも綺麗過ぎて、どうでも良くなっちゃた」
「…あぅ」
「殿下?しっかり!」
今回は引き分けだったがファインを照れさせた罪で女騎士は腹を切り、拉致ぴょい…の予定だったが約束通り今回はお預けになった。
たぶんめでたしめでたし