オリキャラ集めてバトロワ書きます6

  • 1二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 20:42:03

    「バトロワするからオリキャラ募集します」の6スレ目です。

    ※最初のスレで皆さんから頂いたオリキャラを元に私がデスゲーム小説を書くスレです。

    ※ジャンルの都合上、残酷なシーンが多く、キャラクターがどんどん減っていきます。ご了承ください。

  • 2◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 20:44:38
  • 3二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 20:44:54

    このレスは削除されています

  • 4二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 21:18:39

    ハイ保守

  • 5二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 21:19:10

    ほしゅ

  • 6二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 22:13:03

    期待の保守

  • 7二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 22:25:13

  • 8二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 22:26:14

    キタ━(゚∀゚)━!!

  • 9◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 22:36:01

    投下します……!

  • 10◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 22:36:30

     ドラギモスの亡骸を抱え、姫氏原は俯いていた。
     ゲーム中盤で出会って以来、いつだって彼(彼女)は、明瞭な言葉で導いてくれた。
     もしドラギモスと会っていなければ、きっと姫氏原は堀木と再会する前に斃れていた。だから彼(彼女)は命の恩人で、結局その恩を返す前に、彼(彼女)は亡くなってしまった。
     掴んだはずの異能の真髄は霧散し、芽生え始めた自信はぽっきりと折れる。
     こんなことをしている場合ではない。
     今も仲間たちは戦っているはずだ。
     堀木もどうなっているか分からない。
     ドラギモスの亡骸から手を離し、姫氏原は立ち上がらなければならない。
     ——分かっていても、体が動かない。

    (ああ、そっか、私って……)

     どうして自分が『悪霊憑き』なのか。姫氏原は実感する。

    (一人じゃ、何も出来ないんだ……)

  • 11◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 22:37:04

     誰かが傍に立たなければ、立ち向かうことが出来ない。
     創造主に近い異能でありながらも、どこまでも受動的な性質。
     それを、自覚する。

    (私は、勘違いしてた。私は、まるで成長してない。ただ、皆に引っ張られてただけだ。皆の決意や意志にただ乗りしてただけ)

     どこまでもネガティブな思いが、姫氏原を満たしていく。

    (私なんて、きっと……)

     破滅的な思考が一つのより破滅的な結論に達しようとしたとき。
     むくり、と姫氏原の視線が上昇した。
     尻と脚に、暖かくふかふかとした感触が生じる。
     誰かが、否、何かが姫氏原を下からすくい上げた。
     ドラギモスの亡骸から手が離れる。
     恐怖や拒絶の反応は起こらなかった。内に閉じ籠った姫氏原は、自身を運んで動き出すその生物の背中を撫でる。
     それは、一匹の狼だった。

  • 12◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 22:37:34

     大型犬より一回り大きい、牙も爪も獲物を狩ることに特化した猛獣だった。

    (狼……)

     見覚えがあった。
     自分を庇うように姿を現した狼男のような風貌の怪物。
     姿形は件の狼男から変わっているが、姫氏原の直感が同一存在だと伝えていた。
     それだけではない。
     自分を乗せた狼には、どこか懐かしい感覚があった。
     彼の滑らかな肌と、狼のふかふかとした毛皮は、似ても似つかないが、それでも姫氏原の魂は、この狼を、彼だと認めていた。

    「…………ねぇ、堀木くんだよね……?」

     狼は答えなかった。
     ただ姫氏原を乗せて、進み続けた。

  • 13◆xaazwm17IRZa23/09/23(土) 22:37:50

    投下を終了します……!

  • 14二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 22:41:59

    堀木ウルフ割と理性あるな!?
    茜音沢先生もなんかの拍子に自我取り戻しちゃうんじゃないの

  • 15二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 00:31:11

    やっぱ愛が最強だな

  • 16◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:53:32

    投下します……!

  • 17◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:54:08

     どれだけ崇高な思いがあっても、どれだけ立派な願いがあっても、どれだけ積み重ねた努力があっても、そんなものは理不尽を覆さない。
     17年と少しの人生で、歯荷はそれを、嫌というほど知っている。
     石川の亡骸の前で決意を新たにし、殆ど廃墟のような本部を探索していた。
     今の歯荷は、無力である。
     ちょっとダンスが上手い女子生徒でしかない。
     命がけで積み上げたものは霧散し、残ったのは疑似的な不死の肉体のみ。
     心もとない。
     それでもどこかに隠れ潜むのではなく、積極的な探索を選んだのは、歯荷が、状況が流転していく殺し合いという状況に慣れたからだった。
     対応に遅れた者から死んでいく。
     ある程度のリスクは覚悟しても、行動できた者が生存を勝ち取る。
     たった2時間が数日、数週のような密度を持つ殺し合いにおいて、停滞は死……。

    (とか、思ったのがいけなかったんですわね)

     油断していた。

  • 18◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:54:33

     否、普段の自分と、さっきまでの実力者・歯荷仄花のギャップを、埋め切れていなかった。
     瓦礫の中から這い出してきた大蛇を前にして、歯荷はようやく己の失策に気づく。
     武器はあった。黒服の死体から奪った拳銃だ。
     が、咄嗟に銃口を構え、歯荷は愕然とする。

    (どうやって当てるんですの?)

     本来の歯荷は、銃の撃ち方なんて知らない。知るはずがない。何となくアニメや漫画で見た構えを真似するが、その動きはぎこちないものだった。
     この殺し合いで戦った相手は、目の前の大蛇よりも遥かに強かった。
     つい数分前までは、あの茜音沢と殺し合ってさえいたのだ。
     それが今では、人間大の大蛇に、臆する始末だ。

    (お、落ち着くんですの!? 噛まれても死には死ないですわ……死なないですわよね、え、毒とか効くのかしら、不死太郎さん、その辺どうなんですの?)

     きっと、本来の不死太郎ならば効かない。が、疑似的な不死である歯荷に毒耐性があるかは、この場の誰にも分からない。
    膠着状態。

  • 19◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:55:05

     それを打ち破ったのは

    「待ってくれ! その子は私の家族だ!」

     大人におんぶされて登場した、千頭之のづちだった。



    「アラシー!」

    「シャァー」

     涙ぐむ千頭之の首をくるくると大蛇が絡みつく。
     捕食される寸前のように見えるが、歯荷はそのスタイルに見覚えがあった。

    (あ、言われてみれば教室でよく見る蛇ですわ)

     やはり冷静さを欠いていたのだろう。
     クラスメイトのペットを射殺するところだったと歯荷は猛省する。どこぞの金木冥と違って歯荷には罪悪感という回路が備わっているのだ。
     もちろん、あくまでクラスメイトのペットという認識であり、優先順位はそこまで高いわけではないが。

  • 20◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:55:32

    (まぁ、千頭之さんの家族探しというサブミッションがクリアされたのは良かったですわ。問題は……)

     一緒に着いてきている、明らかに運営側の女。
     そして、そんな女に負ぶわれている千頭之。
     千頭之とは親しい間柄ではないが、敵である女に身を預けるほど、大らかな性格ではないことは知っている。むしろ爬虫類のように排他的な印象さえある。(この極限状態ではすっかり鳴りを潜めているが)。
     歯荷の疑問に気づいたのか、千頭之が苦笑した。

    「実はな、足が動かないんだ」

     千頭之が話した、戦車に乗っての女神像戦。
     待機組にそんな修羅場があったとは、というか金木から千頭之を見捨てた話はまったく聞いていなかった。
     千頭之本人は責める様子はないが、歯荷の中でもともと低かった金木の信頼度が更に下がっていく。

    (もうあいつこの島に置いて行こうかしら)

  • 21◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:56:04

     千頭之を見捨てたことは腹立たしいのではなく、千頭之を見捨てたこと、ひいては女神像の存在を歯荷に伝えなかったことが、金木への不信感を高める。

    (今更優勝狙いですの? 茜音沢を倒せるかどうかも分からないっていうのに……)

     まさかその金木冥が茜音沢に致命傷を与えることになるとは露知らず、歯荷は視線を黒服の女に向けた。

    「まさかとは思いますが、一緒に私たちと帰るつもりですの? 随分と虫が良い話ではなくて?」

     問われたスーツの女は軽薄な笑みを浮かべた。

    「知ってるよ。でもいいの? それは、歯荷ちゃんにも刺さる言葉でしょ」

    「…………っ」

     技術は消えた。けれど、記憶は消えない。
     死にたくない、と願ったクラスメイトを殺した事実は、永久に消えることはない。

    「茜音沢相手だと、私の【異能殺し】も無用の長物だからねー。ほら、さっさと逃げよ」

    「ですが、機動力を削がれているのは気に入りませんね」

     千頭之の顔に影が射す。意外にもスーツの女は歯荷を睨んだ。

  • 22◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:56:30

    「おねーさんからの忠告だよ。このタイミングでのクラスメイトの切り捨ては、やめたほうがいい。ただでさえ一生モノの傷が、致命傷になるよ」

    「……いや、歯荷の判断は正しい。生存率は少しでも上げるべきだ……」

    「何か勘違いされているようで、不愉快ですわ。機動力のためだけに頭数を減らすのはお馬鹿さんのやること。RTAしてるんじゃねーですのよ」

     刃物をお持ちではないかしら、と歯荷は宇都に訊いた。
     警戒しながらも、宇都はナイフを歯荷に渡す。
     歯荷はそれを受け取ると
     一息に、自分の手首を切り裂いた。
     血が、迸る。

    「あ、あんまり上手く切れなかったですわ……」

    「歯荷……!?」

     千頭之が驚愕の声を出す。
     痛みに顔を歪めながら、歯荷は傷口を千頭之の顔に差し出した。

    「お舐めなさい」

  • 23◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:56:56

    「はぁ!?」

    「いいから……! 勿体ないですのよ……!」

     剣幕に圧され、千頭之は素直に傷口に顔を近づける。
     そして、ちろりと舌を伸ばした。

    「え、あんたたち何してんの? 令和の女子校生進み過ぎじゃない?」

    「何勘違いしてんですの!? 私はただ、不死太郎さんの血を、千頭之さんにも分けているだけですわ」

    「え、そういうことなの?」

     口元を血で汚しながら千頭之が言う。

    「いいからさっさと飲む!」

    「あ、はい」

     ごきゅり、と喉を潤す。
     血だ。美味いはずがなく、むしろえづきそうになる。

  • 24◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:57:32

    「もっともたった少量の血でそこまで効果があるとは思えません。ただ、千頭之さんは蛇と話せる異能者……そして蛇といえば不死……私以上に、不死太郎さんの血と相性がいいはず……」

    (っていうか、蛇が不死って合ってますわよね? NARUTOの大蛇丸が不死なんですから、きっと不死のイメージは間違ってないですわよね? 信じてますわよ岸本先生!)

     悲しいかな、歯荷は漫画の知識しかなかった。

    「あ、ああ、蛇は遥か昔から不死の象徴として語られてきたんだ。ギルガメッシュ叙事詩、エジプト神話、旧約聖書……ウロボロスなんかが有名だな」

    (すごい……まるで蛇博士ですわ)

     やがて、歯荷の出血は徐々に止まり出す。
     歯/荷状態からの回復より、再生力は下がっている印象を受けた。

    (やはり不死性を過信するべきじゃないということですわね。だとしたら……)

    「お、おお、歩けるぞ……!」

     たどたどしくステップを踏む千頭之。二度と歩けないと覚悟していたのだろう、その顔には深い安堵があった。

  • 25◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:58:13

    「……さて、機動力が戻ったわけだけど、改めてどうする?」

     宇都の問いかけに歯荷と千頭之は顔を見合わせる。

    「…………戻りませんか? このまま逃げても、追いつかれれば死ぬだけですわ。でしたら、死地に戻って、私は、もう一度実戦レベルの技術を手に入れたいと思います」

    「私も……足手まといかもしれないが、疑似的に不死になった。肉壁代わりにはなるかもしれない……」

    「あまり過信するものじゃないですわよ、不死。不死太郎さんが死んだのを忘れたわけじゃないでしょう。……ですが、蛇の力、思っていた以上に伸びしろがありそうですわね」

    「ふーん、結局行くんだJKさんたち。わざわざ死にに行くのは、クラスメイトと一緒に死にたいっていう青臭さなのかしら。それともまだ勝てるって信じてるの?」

    「さあ。どっちかなんて分からないですわ。けれど、ここで諦めたら」

    「あんまりにも、悔しいじゃないか……」

     千頭之も、歯荷と同じ思いを抱えていたのだろう。

  • 26◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:58:39

     自分のために生き抜いた少女と、家族のために生き残った少女。二人の視線は交じり合った。

    「……そう。私たちとは違うのねぇ……」

     宇都は、どこか羨ましそうに言った。

    「いいよ。戻ろうか。道中、面白いこと教えてあげる」

    「面白いことですの?」

    「うん。例えば、ディスクの裏コードについて、とか……」

     かくして、殺し合いに翻弄され続けた三人の女は、戦場へと舞い戻ることとなった。

  • 27◆xaazwm17IRZa23/09/24(日) 00:59:00

    投下を終了します……!

  • 28二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 01:26:45

    まるで蛇博士ですわで草

  • 29二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 01:57:15

    大した能力だけどほんとにただの蛇博士ではどうしょうもない現状、さてどうなる

  • 30二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 04:36:57

    久しぶりにちょっと和んだ

  • 31千頭之投げた人23/09/24(日) 08:30:40

    この最終局面に満を持してのアラシ合流……
    当初のフルパワー解禁だよ!やったねのづちちゃん!

  • 32二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 16:16:21

    終わりが近づくに連れて「でも茜音沢とか倒して日常に戻ったとしても死んだ奴らはもうそこにはいないんだよな……」って喪失感に襲われる

  • 33二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 18:52:27

    石川もやっと本当の願いを自覚したんだから帰ってきて……結とドラギモスが仲良くやってるところに乱入とかして……
    キルコとオルランドもくっついて……

  • 34二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:55:25

    早めの保守

  • 35二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 03:08:53

  • 36二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 09:05:23

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 15:49:13

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 20:45:35

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 01:04:03

    age
    姫氏原ちゃんにもこれからの人生があって結婚もして子供も作るだろうに、堀木ウルフは生きて帰ったらどうするんだろうか

  • 40二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 02:35:44

    性別不明や喋る猫がいる世界だし人さえ襲わなければ「そういう異能の人なんです!」って言い張れないかな……

  • 41二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 06:17:26

    生きて帰ったとしても姫氏原ちゃんのこと考えてどっかに消えちゃいそう

  • 42二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 11:29:02

    ほしゅ

  • 43二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 18:49:23

  • 44二次元好きの匿名さん23/09/26(火) 22:26:26

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん23/09/27(水) 02:47:36

  • 46二次元好きの匿名さん23/09/27(水) 06:21:46

    ほしゅ

  • 47二次元好きの匿名さん23/09/27(水) 08:43:31

    ほし

  • 48二次元好きの匿名さん23/09/27(水) 17:37:30

    保守

  • 49二次元好きの匿名さん23/09/27(水) 21:57:59

    保守ざます

  • 50二次元好きの匿名さん23/09/28(木) 01:47:53

  • 51二次元好きの匿名さん23/09/28(木) 06:36:42

    ほしゅ

  • 52二次元好きの匿名さん23/09/28(木) 11:13:34

  • 53二次元好きの匿名さん23/09/28(木) 19:46:40

    干し柿

  • 54二次元好きの匿名さん23/09/28(木) 23:52:12

    ほしゅ

  • 55二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 08:32:36

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 12:03:32

    ホシュロワイヤル

  • 57二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 21:27:16

    保守

  • 58二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 01:27:40

    保守ロワイヤル

  • 59二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 08:46:50

    ほしゅ

  • 60二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 17:03:17

    ほし

  • 61二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 17:03:46

    ほしゆ

  • 62二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 21:05:13

    保守ですわ

  • 63二次元好きの匿名さん23/09/30(土) 23:14:43

    保守るよ

  • 64二次元好きの匿名さん23/10/01(日) 02:13:02

    ほほほ

  • 65二次元好きの匿名さん23/10/01(日) 10:38:43

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん23/10/01(日) 17:14:17

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん23/10/01(日) 18:23:22

    早めの保守

  • 68二次元好きの匿名さん23/10/01(日) 22:42:03

    ⭐️

  • 69二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 01:12:16

    ✡️

  • 70二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 01:22:09

    保守ちょっと早くなぁい?

  • 71二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 07:32:02

    ほし

  • 72二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 14:24:30

    規制かね

  • 73二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 18:22:15

    ほしゅ

  • 74二次元好きの匿名さん23/10/02(月) 22:01:48

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん23/10/03(火) 01:05:20

    干し湯

  • 76二次元好きの匿名さん23/10/03(火) 08:33:15

    ほしゅう

  • 77二次元好きの匿名さん23/10/03(火) 12:49:05

    ほりき

  • 78二次元好きの匿名さん23/10/03(火) 18:15:53

    ほしゅ

  • 79二次元好きの匿名さん23/10/03(火) 21:52:29

    ほしゆ!

  • 80二次元好きの匿名さん23/10/04(水) 05:02:08

    今週末頃には投下あるといいなあ

  • 81二次元好きの匿名さん23/10/04(水) 11:34:49

    だよな

  • 82二次元好きの匿名さん23/10/04(水) 18:45:27

    星々

  • 83◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:00:17

    ちょっとリアル事情が始めたときより忙しくなってきてしまい、投下が滞っていました……
    申し訳ないです
    下手に分割すると更新がもっと伸びそうなので、頑張ります。

  • 84◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:01:29

    本デスゲームは本日完結します……!

  • 85◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:19:46

    ひとまず、前半パート投下します……!

  • 86◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:20:22

    「王さま……」

     千頭之のづちが茜音沢の元へ戻ったとき、事態は彼女が去った時とは一変していた。
     怪獣が暴れまわったかのように屋根も壁も床もボロボロに崩れ去り、そして、蛇の王——ティタノボアが頭部を切断されるという無惨な死体を晒していた。
     災禍の中央に立つのは、鬼。
     比喩ではなく、文字通り、額から二本の角を生やした、筋骨隆々の怪物が周囲を睥睨していた。

    「あれは……誰だ?」

    「茜音沢、だったものだ」

    「Nek-O……」

     疲労困憊といった様子の猫は、鬼を睨む。

    「奴は一度、胸を抑えて蹲った。持病でもあったのか、誰かに呪いでも掛けられたのか。吾輩も詳しくは知らん」

    「胸を抑えて……」

  • 87◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:20:51

     金木冥の執行指輪を、千頭之は知っている。が、金木は「首輪爆破」としか伝えていなかったため、千頭之は金木の行動だとは看破できなかった。
     何より、金木は茜音沢の一撃で死亡したと、千頭之はそう考えていた。

    「好機だと思ったが、奴は懐から得体の知れない物質……臓器のようなものを取り出し、自身の胸に押し当てたのだ。
     結果——ああなった」

    「私たちにもアイテムが配られてるんだ。先生にだって、もちろん配られるか……」

     などと、感心している場合ではない。
     鬼となった茜音沢を囲うように立つのは、狼に乗った姫氏原、鉄棒を構えた歯荷、そしてメタリックな装甲の怪人。彼らより少し離れた場所に、全身を鮮血で汚した篠宮。
     そして30mほど距離を置くNek-Oと千頭之。

    「あの怪人は三田だ」

    「ああ、うん、たぶんそうかと思った」

  • 88◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:21:14

     他にも石川、ドラギモスといった候補があったが、石川は死んだと歯荷から聞いている。ドラギモスの可能性はあるが、彼(彼女)なら、この局面ではNek-Oと同じような位置取りで皆に指示を出すだろう。

    (ドラギモスがここに居ないってことは……死んだか)

     クラスメイトの死。
     千頭之の心に痛みが走った。が、それだけだった。
     もはや、慣れてしまっていた。失うことに。喪うことに。
     全てが終わった後、きっとクラスメイトの死は、一生残る傷になる。
     けれど、今は。今だけは。悲しみを押し殺して、敵と向き合わなくてはならない。
    歯荷は、鉄棒を器用に振り回し、鬼を牽制していた。
     戻ることを決めた後、彼女は先行した。
     同じ非戦闘員とはいえ、美術部の千頭之とダンス部の歯荷では体力に大きな差がある。ましてや今しがた足の不随が治ったばかりの千頭之では、歯荷と同じ速さで移動は出来ない。
     歯荷は一旦千頭之・宇都と別れて駆けだし、恐らくずっとどこかに隠れて戦闘の様子を『観て』いたのだろう。

  • 89◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:21:56

     鉄棒の捌き方は、一流の武術家と同等以上だ。茜音沢をラーニングしたのだと、千頭之は気づいた。
     そして、千頭之と共に戦場へ舞い戻った女は、死んだ。
     鬼の一撃から篠宮を庇って命を散らした。
     宇都紀久子がどういう人物だったのか、千頭之にはまるで分からない。殺し合いの運営の一人であり、つまりは不俱戴天の敵であったはずだ。
     それがどうして、篠宮を庇って死んだのか。宇都の立ち位置、思想、信念。何一つ分からないまま、彼女は世を去った。

    「私には、何ができるのだろう」

     もう何度目になるかわからない問い。

    「お主にしか出来ないことがある」

     答えたのはNek-Oだった。

    「力を貸してくれ千頭之よ。——そして、アラシ、コサメよ」

    「「シャ?」」

     首に巻き付くアラシと、鞄から顔を出すコサメが、同時に首を傾げる。

    「何をすればいいんだ?」

    「お前達には——巫女になってもらう」

    と、Nek-Oは言った。

  • 90◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:22:37

     目にも止まらぬ速さで、鬼が動いた。
     姫氏原小毬は、肉体的には何の強度も鋭敏さもない。
     銃弾よりも速い鬼を肉眼で捉えることなど、とても出来ない。
     そして、捉える必要すらない。
     鬼が、その丸太のような腕を振り下ろしたとき、既に姫氏原は、鬼の背後に回り込んでいる。

    「やぁっ!」

     『悪霊』を使い、鬼の無防備な背中を殴る。
     鬼はびくともしない。攻撃力が足りていないのだと、姫氏原は気づく。大の男でも一撃でKOできる一撃が、この鬼には蚊でも刺されたかのような感触に違いない。
     振り返った鬼の一撃を、再び回避する。
     否、回避はしていない。
     姫氏原はただ、心の底から信じているだけだ。
     鬼の攻撃は、絶対に当たらない。

    (だって、堀木くんが助けてくれるから)

     姫氏原が乗っている狼が、鬼の攻撃を超高速移動で躱す。
     いつ動き出すのか、どこへ逃げるのか。全て狼に任せている。丸投げしている。
     姫氏原はただ、全てを信じて乗っているだけだ。
     そして、堀木と呼吸を合わせ、悪霊で殴る。
     事実、戦闘が開始してから、一度も鬼の攻撃は姫氏原に当たっていない。
     悪霊遣いと人狼は、鬼を完全に翻弄している。
     ……と、油断したのが失敗だったか。
     鬼の顔に悪霊の一撃を叩きこもうとした瞬間だった。

  • 91◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:23:03

    「あっ!」

     殴ろうとした悪霊の腕を鬼が掴んだ。そして、振り解こうともがく悪霊の顔に、鬼の一撃が炸裂した。
     悪霊が霧散していく。
     この世の通りを外れた鬼は、悪霊に干渉できる。
     一方的に干渉できる関係ではない。
     頼みの綱の悪霊を消し飛ばされ、姫氏原の顔に焦りが浮かぶ。
     その隙を突くように鬼が攻撃を仕掛け

    「じゃあ次はこっち!」

     突如出現した二体目の悪霊が、鬼の側頭部を殴打する。
     鬼は、ダメージこそ受けていないが、攻撃に遅れが生じ、それが逃げるチャンスとなる。
     高速移動する狼に身を預けながら、姫氏原は思考する。

    (悪霊の数は、まだまだストックがある。けど、じり貧かも……)

     姫氏原は、悪霊を失った。

  • 92◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:23:29

     ドラギモスを救えず、失意に塗れた姫氏原を背負って、狼が向かったのは——十三階段であった。
     一度、十三階段を通して死者と対面した姫氏原は、十三階段を『霊界と繋がる場所』だと解釈した。
     きっとこの階段で飛ばされた場所には、この島で死んだ者たちが居るのだろう。
     それが事実なのかは分からない。姫氏原が出会った目裏雨子も、彼女の心理が生んだ幻覚なのかもしれない。
     異能者にとって重要なのは解釈である。
     姫氏原は改めて十三階段を前にして

    「みんな、力を貸して」

     パワースポットだと、理解した。
     二体目の悪霊が捕らえられ、押しつぶされる。
     すかさず三体目の悪霊を投入する。
     亡くなったクラスメイト、だけではない。本部で死んでいた多くの大人たちもまた、悪霊として召喚できる、と姫氏原は信じていた。

  • 93◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:23:55

     もし彼女が、石川が目撃した、100人を超える黒服の魂が翁に喰われる瞬間を見れば、召喚できるのは亡くなったクラスメイトの数だけだと考えてしまったかもしれない。が、姫氏原はその事実を知らない。
     知らないからこそ、クラスメイトを超える数の悪霊を召喚できる。
     悪霊の動きに、個性は無い。
     死体と思い出、何より渾身の願いを込めて作ったドラギモスが例外であり、逐次召喚される悪霊は皆一様に、殴る蹴るといった単純動作しか出来ない。
     異能を発動したり、格闘技術を披露したり、言葉を操ることはない。
     ただの、純粋な力である。
     死者は、生き返らない。

    (それは、とっても寂しいけれど……)

     躱す。殴る。躱す。殴る。
     悪霊が消える。悪霊が召喚される。悪霊が消える。悪霊が召喚される。

    (これが、今の私の精一杯!)

    「——足りませんわね」

  • 94◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:24:34

     やや離れた場所で静観していた歯荷が、いつの間にか姫氏原の傍に立っていた。
     狼という機動力を持っていない歯荷は、鬼と姫氏原から距離をとり、見に徹していた。

    「さっきから見てましたけれど、有効打が与えられてないのでは?」

    「うん、悔しいけど正解。悪霊一体じゃ、茜音沢先生には勝てない」

     奥の手は、ある。
     あるが、安易に繰り出すことは出来ない。
     それを使えば、鬼を、茜音沢先生を、確実に葬れる。
     当たれば。

    「発動に時間はかかるし、避けられたら、たぶん全部終わりだよ」

    「……やはり、三田さんの作戦が最適ですわね」

     気は進みませんけど、と歯荷は肩を落とす。
     三田の言う作戦とは、さっき姫氏原も聞いた。
     すぐに鬼が攻撃を仕掛けてきたため、上手く呑み込めた自信は無いが。
     提案者の三田は、再び鬼と打ち合っている。

  • 95◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:25:01

     悪霊よりは強い打撃を打っているが、やはり鬼には有効打になっていない。
     そして、鬼の一撃を捌く度に、装甲に火花が散っている。
     限界が、近い。

    「上手く引き離してくれましたわね」

     歯荷は駆けだした。
     姫氏原はその場で鬼を見据える。
     三田が時間稼ぎと引きつけ。
     姫氏原が、念のためのディフェンス。
     そして、歯荷は

    「篠宮さん、私にディスクを!」

     血まみれの少年へと、彼女は駆けだした。

    「裏コードを使いましょう!」

  • 96◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:25:32

     篠宮は、動けなかった。
     宇都の血で制服を真っ赤に汚しながら、ただ腰を抜かして座り込んでいた。

    「何でだよ……」

     さっぱり分からない。
     宇都は敵だったはずだ。憎き運営側の女だったはずだ。
     なのに彼女は、篠宮を庇って死んだ。
     透明な少年を、血で汚して死んでいった。

    「お前、何をしたかったんだよ……」

    『頑張れ高校生』

    「ふざけんなよ……」

     頑張れ。
     無理だろ、と篠宮は自嘲した。
     三田が、姫氏原が、歯荷が、茜音沢と戦っている。
     もはや戦局は、篠宮のような常人が入れる環境ではない。

    「何を、どう頑張れって……」

     宇都の遺体を見下ろす。
     もはや人の原型を留めていない、血溜まりを見る。

  • 97◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:26:01

     その中に、ディスクが沈んでいた。
     もはや篠宮では使えないアイテム。それを、拾い上げる。

    「……これは」

     ディスクは、赤く変色していた。
     血で汚れたわけではない。内部から熱を発しているかのように、鮮烈に輝いている。

    「まさかお前……」

     あの時。
     篠宮を庇ったあの一瞬で。
     宇都は、ディスクの裏コードを起動していたのか。

    「嘘だろ……」

     これを、どうするべきなのか。
     篠宮はディスクを掴み、悩む。
     彼は、摩耗していた。
     戦場に立っていることを、失念していた。

  • 98◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:26:53

    「篠宮さん、私にディスクを!」

     歯荷の声が聞こえる。

    「裏コードを使いましょう!」

     どうして彼女が裏コードを知っているのか。
     だが、歯荷はまだディスクを使っていない。
     ここで彼女を強化すれば、茜音沢に勝機が。

    (……信用できるのか、彼女のことを)

     自分たちの目を盗み、殺人に手を染めていた女だ。
     一瞬の惑い。

    「——さセねェよ」

     鬼が、降り立った。
     歯荷の背後に立った鬼が、拳を振り下ろす。
     歯荷が振り返る。
     間に合わない。
     篠宮は迷わず歯荷にタックルしていた。

  • 99◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:27:18

     突き飛ばされた歯荷が床を転がる。
     それを見届ける間も無く、篠宮の背中に鬼の一撃が振り下ろされた。

    (ああ、くそ)

     星峰も、こんな気分だったのか。
     それが、篠宮の最期の思考————。
     致命の一撃は、振り下ろされなかった。

     「ガァ……グゥ……ッ!!」

     鬼を、絡めとる影がある。
     分厚い体躯の鬼よりもなお厚い……大樹のような太さの鱗が、鬼を拘束し、圧殺せんと蠢いている。
     蛇、と篠宮は呟いた。
     ティタノボア、蛇の王。篠宮と一時共闘し(その時篠宮は実質小田斬であったが)、意識を失っている間に殺されていたはずの巨大生物。
     それが、顕現している。
     突如出現した奇跡に、篠宮は呆然と立ち尽くした。

  • 100◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:27:52

    「篠宮さん!」

     と、叫んだ声に、現実へと戻される。

    「ディスクを……!」

    「ああ!」

     歯荷の叫びに応じ、篠宮はディスクを投げた。
     ふと、思い出す。
     廃校でマネモフルと銃撃戦を展開したとき。
     自分のミスで皆を危険に晒した。
     あの時とは違う。
     ディスクは綺麗な放物線を描いて、歯荷の手元に収まる。

    「勝ってくれ、歯荷さん!」

     歯荷は答えなかった。
     ただ無言で、額にディスクを挿しこみ。

    「…………ッッ!」

  • 101◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:28:32

     鮮血が舞った。
     最初、篠宮はそれを狙撃だと誤認した。
     歯荷が頭をのけぞり、血が飛び散ったからだ。
     しかし、すぐに違うと気づいた。
     血は、歯荷の鼻や耳から噴き出したものだからだ。
     紅いディスクがからからと転がる。

    「まさか、そんな……」

     最後の希望が、音を立てて崩れていった。
     副作用は、重々承知していた。
     クラスメイトの死者全員分の異能と記憶。そんなものを脳にインストールすれば重大な負荷がかかる。
     分かっていた。分かっていたが、それでも歯荷なら、歯荷の異能ならば耐えきれると篠宮は心のどこかで信じていたのだ。
     それは、あまりにも都合の良い解釈だった。

    (僕らは……『主人公』じゃない……)

     英雄でもなく、勝利者でもなく、大人ですらない。
     ただ、幸運にもまだ死んでいない、ただの『生存者』に過ぎない。
     機械的に残り人数をカウントされるような、そんなちっぽけな存在に過ぎない。
     鬼が、吠える。
     篠宮の心は、奈落へと落ちていく。

  • 102◆xaazwm17IRZa23/10/04(水) 23:28:58

    前半パート終了です……!

  • 103二次元好きの匿名さん23/10/04(水) 23:39:08

    一旦乙です、ディスク入れて使う能力次第ではデメリットも踏み倒せそうだけどそう簡単でもなさそうか…!

  • 104二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 00:06:49

    とうとう最終話……!生徒達もスレ主も頑張ってくれ~!

  • 105二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 01:19:29

    今日で完結!?読んでてドキドキが止まらない

  • 106◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:32:17

    後編投下します……!

  • 107◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:33:19

     Nek-Oは、自らの死因を再現する異能を持つ。対茜音沢戦では、もっぱら砲撃をメインに使用していたが、彼の死因には、銃撃や灘心影流、そして、『ティタノボア』も含まれている。
     が、体力が全快の時ならばともかく、余力を残さない程の異能の行使の末に、更に蛇王を召喚する体力は、Nek-Oには無かった。
     ——Nek-O一匹ならば。

    「これは……中々、きついな……」

     Nek-Oの背に、腕を乗せ、千頭之は微動だにしない。
     が、その顔からは脂汗が浮かび、服もまたびっしょりと塗れている。

  • 108◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:33:43

     ティタノボアの具現化。
     それを為すには、Nek-Oの異能に加えて、千頭之の異能もまた必要だった。
     千頭之の、蛇遣いとしての異能。それをNek-Oの異能と混ぜ合わせ、不可能である蛇王具現化を為す。
     それだけでも、まだ足りない。
     既にこの世を去った王の肉体……そのコアは、生者でなければならず。

    「「シャア!」」

     担当したのは、アラシとコサメ、千頭之が心底から信頼している家族であった。
     かくして、太古の王が再び君臨する。その膂力は、鬼と化した茜音沢の動きを止めるのに、十分な働きをしていた。
     これだけで勝てる、と考えるほど、千頭之は楽観的にはなれない。だが、歯荷がディスクを回収できる隙は作れた。
     ここから逆転の一手に繋がる。そう信じ。
     顔中から血を流し、倒れる歯荷を見た。

    「嘘だろ……」

  • 109◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:34:04

    (歯荷ならワンチャンあると思ってた……歯荷が無理なら、いったい誰が……)

     まだディスクを使用していない者、千頭之、Nek-O、三田、マネモフル。
     次は誰が試す? 試すことに意味があるのか? これ以上犠牲者を増やしてどうする?
     ——諦めて、たまるか。
     歯荷が無理なら、自分が試す。
     家族を守るために。クラスメイトを守るために。亡き親友の仇をとるために。いなくなった奴らの無念を晴らすために。
     千頭之は一歩を踏み出し——その場で崩れ落ちる。
     身体が動かない。
     千頭之とて、決して健康とはいえなかった。
     死闘に次ぐ死闘、連戦に次ぐ連戦。戦車を駆使して女神像と戦い、不死の血で傷を癒し。ティタノボアの具現化という無茶まで行い。
     決して体力に優れているというわけではない千頭之には、これが限界だった。
     ディスクを挿しに行くどころか、その場から一歩も動けない。

  • 110◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:34:30

    (負けてたまるか……!)

     せめてもと思い、Nek-Oに注ぐ力を強める。
     ぎりぎりとティタノボアの胴体が、鬼を締め上げた。
     痛みか、怒りか、鬼が吠える。
     ——そして、音速の速さで瓦礫が飛んできた。

    (あ……)

     世界がスローになっていく。
     鬼が掴み、投げた瓦礫。
     自分たちに当たれば、肉を容易く破壊し、あっという間にミンチに変えてしまうだろう。
     助からない。
     無限に引き延ばされる時間の中で、千頭之は、残していく家族と仲間のことを思い、早くも会うことになってしまう彼女のことを考え。

    「しゃあっ!」

  • 111◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:34:56

     気づいたときには、千頭之とNek-Oの身体は、屈強な大胸筋に抱きしめられていた。

    「マネモフル……!」

    「言ったろ……ワシ、めっちゃ、タフやし……」

     ワープによって助けられたのだと千頭之は気づく。
     最後の力を使い切ったのだろう、マネモフルはその場に倒れた。

    「お前……」

    「不味い、とうとうこちらも限界だ!」

     Nek-Oが悲鳴のような声を上げる。
     ティタノボアが、霧散していく。
     ワープで一時集中が途切れたのが、決定的だった。
     鬼が、自由となる。
     瓦礫を投げたことから全て計算づくだったのか。
     その眼には、確かな理性が戻っていた。
     鬼の行動は、迅速だった。

  • 112◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:35:21

     残党をどう処理するか。
     決まっている。一番近くにいる者から。
     鬼は、最も近い者、篠宮と歯荷に襲いかかり。
     ——銀色の装甲で、止められた。

     ◇

    (失敗した……!)

     歯荷にディスクを挿させるため、姫氏原は茜音沢の足止めを任された。
     数多のストックがある悪霊。機動力を賄う狼。倒すことは難しくても、時間稼ぎなら可能。
     そんな風に、考えていた。

    (まさか、あんな急に速くなるなんて……)

     今まで見せたことがない、超加速。
     その動きに、姫氏原も、彼女が身を任せる狼も、反応が遅れた。
     すれ違いざまの一閃。

  • 113◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:35:47

     咄嗟に狼が庇ったおかげで、姫氏原は——深い裂傷で、済んでいる。
     切り裂かれた腹から、際限なく血が零れていく。
     意識が遠のく。
     傍らで、狼が、堀木が、胴体を両断されて横たわっている。
     まだ、息はある。

    (不思議、あんまり怖くないや。堀木くんと、一緒だからかな)

     死ぬ。
     だが、ただで死ぬつもりはない。
     手を伸ばす。堀木の前足を掴む。
     狼の瞳と、視線が合う。

    (やろう。私たちのありったけを……)

     姫氏原は目を瞑り、意識を集中させる。
     心を安心と静謐が満たしていく。
     人生最期の一撃に向けて、彼女は深い集中に沈んだ。

  • 114◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:36:18

    「敵が来たら、どうしますの?」

     と、歯荷は訊いた。
     ゲームが始まって最初の六時間、まだ日が昇ってない頃だった。

    「そうだね」

     と、星峰は顎に手を当てた。

    「僕たちの武器は貧弱だ。基本は逃げに徹するべきだろうな」

    「けど、遭遇戦もありえるね」

     と、篠宮が口を開く。

    「近接武器が三つ……近距離戦では有利かもしれない。けど……クラスメイトたちとの実力差を考えれば、付け焼刃だな」

     確かに、と歯荷は思う。
     日本刀、ヌンチャク、特殊警棒。これで石川やらオルランドやら、ましてや茜音沢に対抗できるとはとても思えない。
     それに、例え相手がドラギモスのように貧弱でも、銃を持っていればお陀仏だろう。

  • 115◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:36:41

    「……合図を決めておくのはどうだろう?」

    「合図?」

    「僕たちは連携すら上手く取れない。三人という数的有利を生かすには、少しでも速く、少しでも的確に動く必要がある。いちいち口頭で指示をだしていたら、相手にも筒抜けだし、動きが遅れてしまう。だから、合図を決めておけば、咄嗟に動けるかもしれない」

    「……いいアイデアですわね」

     三人は、合図を決めた。
     それは、とてもシンプルなものだ。
     反復練習をする時間も余裕も無く、何より、三人の間には、友情も慕情も、信頼関係もなかった。
     結局この三人は放送の後には他のグループと合流し、その後目まぐるしい状況の中で合図のことなどすっかり忘却していた。

  • 116◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:38:48

     意識が、戻る。
     頭が、割れるように痛い。
     世界が、真っ赤だ。
     ここは、どこだったか。
     視界の端に、転がるCDディスクが映る。
     あれは、怖いものだ。
     痛いものだ。
     もう、二度と触りたくない。

    「歯荷さん!」

     声が、聞こえる。
     誰の声だったか。

    「歯荷さん、生きてるか!」

    「篠宮、さん……」

     意識が、徐々に形づくられていく。
     記憶が、輪郭をともなっていく。
     割れるような頭痛と共に、歯荷は再び地獄へ帰還した。
     すぐ近くに、鬼が居る。

  • 117◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:39:16

    そして。

    「三田、さん」

     腹部に、鬼の剛腕が突き刺さり——貫通した、銀色の怪人が立っている。
     どう見ても、致命傷だ。

    「歯荷……さん……」

     装甲の下から、くぐもった声が響く。

    「ディスクを……」

     歯荷は地を蹴り、転がるようにディスクのもとへ走った。
     三田が、無造作に放り捨てられる。
     鬼が、動く。
     爪が、腕が、掠れば即死の一撃が歯荷に届く。
     篠宮は、歯荷に向かって叫んだ。
     しかし。

    「アカネエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

     それは、鬼の怒号によって掻き消される。

  • 118◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:39:42

     致命の一撃が、歯荷へ届く。

    (どうしてなんでしょうね)

     歯荷は微笑を浮かべた。

    (どうしてか、はっきり『聞こえました』わ、篠宮さん)

    『合図はそうだね、うん、僕も歯荷さんも音楽関係者だし、それ関係の単語で。
     フォルテなら、同時に前へ。
     ピアノなら、同時に後ろへ。
     どうかな』

     三人の時に決めた合図。
     篠宮の「フォルテ!」という叫びを耳にして、歯荷は前へ転がった。
     鬼の一撃が、歯荷の背を掠め、肉を抉る。
     止まらない。
     歯荷は、前へ出る。
     ディスクに手を伸ばす。
     掴む。掴んだ。

  • 119◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:40:39

     鬼の一撃が、振り下ろされる。
     右半身が、磨り潰される。
     別に、構わない。
     既に、歯荷の左足と左腕は先へ進んでいたのだから。
     フォルテ。

    「茜音沢先生」

     手を伸ばす。

    「——私たちも、見てください」

      鬼の額に、紅いディスクが挿しこまれる。

  • 120◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:40:56

    【あにまん学園「3年1組」、出席番号13番、星峰 灼(ほしみね あきら)は全盲である。
     高校三年生という若さで、全盲。
     その境遇に同情する者も多い。が、灼にとって、自らに視力が無いことは、何ら気にするものではなかった。
     生来の異能か、あるいは視力を持たないが故の後天的能力か。
     ——彼の聴力は、異常に優れている。
     会話をそつなくこなし、授業を介護なく聞き取り、コントラバスの演奏さえ可能にする。
     だけではない。
     舌打ちをすることで、周囲の距離を測り、体育の授業にさえ参加できる。
     それどころか、呼吸音から相手の心理を読むことさえ出来るのだ。
     異能者が集まるあにまん学園において、灼は何不自由なく暮らしている。
     異常者が集まるクラスにおいて、灼は常に穏やかな微笑を浮かべていた。
     ——この時までは。】

  • 121◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:41:28

     流し込まれる。
     記憶が、記録が、言葉が、感情が、生き様が、死に様が。
     喜びも、怒りも、哀しみも、快楽も、希望も、絶望も。
     石川大輔の、宇多一郎の、宇都創希の、小田斬純恋の、オルランド・テークトリの、金輪幹久の、金島明宏の、芝野貴仁の、新條アキラの、パンパンパン・ラッタッターの、星峰灼の、麻井涼の、垣根澄花の、金木冥の、霧田キルコの、里美綾香の、瀧沢魁の、文乃あかりの、結栞奈の、目裏雨子の、山野二の、鰐淵英利の、虎肝ドラギモスの。
     彼らと彼女の記憶が、茜音沢へ、注がれる。
     鬼は——静止した。
     一瞬で、23の人生が、23の一日が、まるで数か月にもわたるような濃密さを持って、茜音沢の脳を駆け巡った。

    「——そうか」

     鬼の口から、人の声が漏れた。

    「——済まねぇな」

     謝罪の言葉が、漏れた。

    「けどな」

    「俺はもう、止まれねぇ……!」

     鬼が、再び動き出す。

  • 122◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:42:10

     脳に深刻な損傷を受けようと。
     生徒たちの生き様を追体験しようと。
     家族を取り戻そうと足掻く修羅は、止まらない。
     再生しようとする歯荷にトドメを刺すべく、拳を振り下ろし。

    「——待たせて、ごめん」

     姫氏原の身体が、金色に輝いた。

    「これが、私たちのありったけ……!」

     狼が、吠えた。
     仲間を集めるように。
     旧友との再会を懐かしむように。

    「『全悪霊・融合!』」

     この島で死んでいった、全ての命を束ねて——。
     創り出したのは、大きな掌。

    「破ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

     それは、この島が誕生して以降、最大のエネルギーを誇った。

  • 123◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:42:37

     隕石落下にも等しい衝撃が、鬼を襲った。
     鬼が吠え——それを遮るように、全ての悪霊を束ねた一撃が、鬼を圧し潰す。
     島そのものが衝撃で揺らめいた。

    「やったか!?」

     Nek-Oが叫ぶ。

    「まだですわ!」

     掌の中で、鬼が雄たけびを挙げた。
     死なない。
     もはや純粋な物理攻撃では、この修羅は止められない……!
     姫氏原の髪が、一瞬で白髪に変わった。
     短時間で急速に生気を失っているのだ。
     ここまでやって、ここまで重ねて、ここまで捧げて。
     それでも、勝てない。

    「勝たなくて、いい」

     姫氏原は、力を抜いた。

  • 124◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:43:05

    「先生はもう人じゃなくて、鬼だから……。悲しいけど、鬼になってしまったから……」

     姫氏原の頬を、涙が伝った。

    「だから——引っ張られる」

     茜音沢を包んだまま、掌は堕ちていく。
     下へ、下へと。地下へ、地下へと。
     そして、十三階段へ。
     三田の作戦通り。

    「鬼……だったら……」

     変身を解いた三田は、息も絶え絶えになりながら、口を開いた。

    「もう、この世のものじゃないのなら……」

     引きずり込めるかもしれない。
     ——死者の世界へと。
     鬼が、堕ちていく。
     十三階段を通り抜け、霧の森へと堕ちていく。

  • 125◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:43:28

     這い上がろうとする腕を、悪霊が掴む。
     既にその体は死者の世界へと入っており、姫氏原の悪霊としての姿から、本来の姿へと変化する。
     茜音沢に殺され、なおかつ老人に取り込まれなかった、暗黒金持ちや黒服たち。
     彼らの執念が茜音沢を冥府へと引きずり込む。
     それは、鬼に相応しい末路。
     修羅道の果て。
     かくして最強の男は、無敗のまま、この世を去り。

    「——嘘でしょ」

     姫氏原の声から、絶望が漏れた。

    「這い上がって来る……!」

    「アカネェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」

     ディスクで脳を焼かれ、全悪霊の一撃で全身を砕き、死者の国へ引きずり込んで、なお。鬼の闘志は衰えない。

  • 126◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:44:23

     纏わりつく死者を薙ぎ払い、茜音沢は現世への帰還を果たそうとする。

    「……やるしか、ないか」

     ふらふらと、三田は立ち上がった。
     他の者も、お互いが支え合うようにして、立ち上がる。
     お互いに、限界をとうに超えている。
     それでも、死さえも乗り越えて茜音沢が自分たちを殺しに来るのなら。
     迎え撃つしかない。
     もっとも執念深く纏わりついていたマエストロ・セピアの亡霊を裂くように押しのけ、茜音沢は、現世へ帰還を果たそうとして。

    『おっと先生、ここから先は行かせないぜ』

     殴りつける影が、あった。
     茜音沢の進撃が、止まる。

    『俺だけじゃねぇ。先生を一発ぶん殴りたい奴は、いっぱいいるんだぜ』

     大柄な影が、にやりと笑った。
     その後ろから、23の影が、姿を現す。

  • 127◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:46:46

     23の影と、茜音沢が激突する。

    『皆、次の攻撃に備えて……! 先生は、我武者羅にパンチを繰り出すと、見せかけて』

    『フェ、フェイントでタックルを狙ってるぞ……! 気をつけろ瀧沢!』

     星峰と芝野はレーダーとして適切な指示を仲間に伝える。

    『名指しすんな馬鹿っ! だが、あんがとよ——寸勁!』

     瀧沢はタックルを躱しつつ、脇腹に一撃を浴びせる。

    『これ以上殺生を重ねるのは——ルール違反です!』

    『まったくだぜ委員長、委員長の言うことはいつも正しいなぁ』

    『ですから私は風紀委員であって委員長ではありません!』

     麻生が異能の弓矢で、宇都は銃器で茜音沢の動きを止める。

    『茜音沢! 貴様に相応しいレクイエムを送ってやろう!』

     宇多が歌唱で仲間を鼓舞する。それを潰そうとする茜音沢の攻撃を、ラッタッターが踊りながら無効化する。

    『食べ物の恨みは恐ろしいっすよ! これでも喰らえっす!』

     金輪はカロリーを消費しながら熱線を茜音沢に浴びせかける。

    『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 正義パンチ!』

  • 128◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:47:34

    『うるっさいわね正義馬鹿!』

     金島が雄たけびをあげながら殴りかかり、その肩に飛び乗った垣根が上からの狙撃を茜音沢に命中させる。

    『今だ結! マッハ婆で相手を撹乱しろ!』

    『OK、ドラギモスくんちゃん!』

     ドラギモスの指示に合わせ、結が怪異を具現化、茜音沢を撹乱する。
     それらの猛攻を耐えきり、茜音沢はなお、全身する。
     右足に、ストームが絡みつく。
     左腕を、鰐淵が斬りかかる。

    「ストーム、鰐淵!」

     千頭之の叫びに、鰐淵は顔を上げ

    『まだこっちに来ちゃ駄目ですよ』

     と、冷め切った顔で言った。
     これだけ攻撃を重ねてもなお、茜音沢は止まらない。
     止まれない。

  • 129◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:48:13

     もはや、意思の力だけで、修羅は進む。

    『新條くん!』

    『応! 見てろよ文乃!』

     新條が燃える剣を構える。

    『侍よ!』

    『ええ、貴女が見ているなら、心強いです』

     小田斬も、居合の構えを見せる。

    『キルコサン、共ニ、戦イマショウ』

    『はい……』

     オルランドが拳を握り、その傍らでキルコもまた、槍を構える。

    『ぎゃははははははは、いくぜテメエら!』

     石川の号令に合わせ、彼らは一斉に茜音沢へ攻撃を仕掛けた。
     一人一人は茜音沢に及ばなくとも、手数が違う。
     少しずつ、茜音沢は削られていく。

    「吾輩たちは……何を見ているのだ……」

  • 130◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:48:58

     Nek-Oが、感嘆の声を上げた。

    「これは、現実なのか……?」

    『歯荷さん』

     遠方から銃撃をしていた里美が、振り返ることなく言った。

    『私を殺したこと、絶対許さないから。あの世で精々待ってるわよ
     でも、フェアに言っておくわ。私もゲームに乘っていた。あなたが殺さなかったら、私があなたを殺していたわ』

    「……フォローのつもりですの? 言われなくとも、許してもらおうとは思っていませんわ」

     歯荷は、肩を竦めた。

    『よーし、ちゃんとリッチーを回収したね♡ ちゃんとお世話しないと化けて出るから♡ 勝手に死ぬなよ♡』

     人型ロボを使って銃撃を行いながら、目裏は姫氏原に釘を指す。

    「善処するよ……」

     姫氏原は力なく笑った。

  • 131◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:50:20

    『うわ、三田死にかけじゃん。受けるんだけど。せっかく助けてあげたのに、ドジだね』

     一人だけ何もしていない金木に笑われ、三田は苦笑した。

    「やっぱり、あれは君のおかげだったんだね」

     茜音沢の侵攻が食い止められる。
     23の霊が、たった一人の瀕死の修羅を相手に、押しとどめる。

    『死者の世界から出すな! 現世では、僕たちは干渉できない!』

    『だけど、これ以上は……』

    『アカネェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ! アカネェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!』

     悲鳴にも似た怒号が響く。
     均衡は、徐々に茜音沢側に傾いていく。
     どれだけボロボロになろうとも。どれだけ人を辞めようとも。とっくに死んでいるとしても。

  • 132◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:51:09

     茜音沢は止まらない。父親は、止まらない……!

    「アカネェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」

    『お父さん』

     声が、した。
     居るはずのない、声が響いた。
     茜音沢の喉から、叫びが止まった。

    「朱音……?」

    『もういいよお父さん。もう、十分伝わったから』

    「まだだ、まだなんだ朱音……! 俺は、お前を……!」

    『私はね、お父さん』

     魂の間をかきわけて、小柄な少女が姿を見せた。

    『死んだの』

    「違う……! 違う、違う……! お前は、お前はまだ……」

    『死んだんだよ。死んだ人は、生き返らない……ううん、生き返っちゃいけないの。ね、お父さん』

  • 133◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:51:46

     朱音は、父の手を握った。

    『こっちで、また一緒に暮らそう? お母さんも、待ってるから……』

    「俺は、俺はお前を守れなかった……!」

     茜音沢は、膝をついた。

    「お前が、お前が苦しんでいる間、俺は……!」

    『分かってる。分かってるよ、全部分かってるから』

    「それに、俺は、お前を生き返らせるために、教え子も、多くの人を殺したんだ……今更、今更諦められねぇ! 諦めちゃ、いけねぇだろうが!」

    『お父さん』

     朱音は、父を優しく抱きしめた。

    『そんなこと、みんな、望んでないよ。お父さんの罪は、私も背負うから……だから、これ以上罪を重ねないで』

     お願いだよ、お父さん。
     長い、長い沈黙が周囲を満たした。
     そして。

  • 134◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:52:13

    「——————ああ、分かった」

     それは、一人の修羅が、遂に諦めた、瞬間であった。
     十三階段に空いた大穴が閉じていく。
     死者たちは、生者を見上げた。
     生者たちは、死者を見下ろした。
     昨日までは、同じ教室に居たはずの彼らの間には、超えられない協会があった。

    「本当に、済まなかったな」

     生存者を見上げ、茜音沢は口を開いた。

    「だが——俺の、負けだ。
     お前たちが、このゲームの勝利者だ。
     おめでとう——」

     そして、十三階段の穴が閉じていく。
     後には、何の変哲もない階段だけが残り——やがてそれも、灰のように溶けて消えていった。
     死者の世界など無かったかのように。

  • 135◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:53:36

    「…………終わったん、ですの?」

    「一応は、ね」

     三田が尻もちをつく。顔面は蒼白だった。
     それどころか、その場の誰もが、死者と遜色ない顔色だった。
     疲労困憊を通り越し、全員が限界を超えていた。
     ふう、と三田は息を吐いた。
     そして、ぱん、と手を合わせた。

    「みんな、お疲れ様」

     探偵は、くたびれた笑みを浮かべ、宣言した。

    「ここに居る人も、ここに居ない人も、全部合わせて——僕たちの勝利だ」

    【茜音沢 仁史 死亡】
    【黒服 残り0人 全滅】

    【島内爆破まで 残り3分】

  • 136◆xaazwm17IRZa23/10/05(木) 05:54:35

    投下を終了します……!

    そして申し訳ありません、もうちょっとだけ続くんじゃ……!

  • 137二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 07:27:12

    乙です
    ラストに相応しい激熱展開からの懐かしい顔触れで涙出そうになった
    そうだよな……32人揃ってあにまん高校3年1組だもんな……

  • 138二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 08:30:13

    本当に長い間お疲れ様でした〜
    あとは脱出と…管理人だけか…

  • 139二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 08:45:06

    朝からめっちゃ興奮してる……!

  • 140二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 11:08:55

    茜音沢倒しても全然安心できない……
    これでまだ管理人の相手もしなくちゃいけないのマジ?

  • 141二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 15:32:46

    もう歩けるメンバーすら少ないけどここからどうやって脱出するんだ…
    そもそも管理人って戦いが成立する存在なのかね

  • 142二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 18:59:55

    ディスクが余りにも壊れ性能すぎるんだけどこれを作った奴も運営の中にいたのかな?

  • 143二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 19:14:35

    金輪とか金島垣根コンビ好きだからもう一度顔が見れてよかった

  • 144二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 19:26:43

    0.2秒の無量空処でも7年分の情報量なのに18年×死亡した生徒の数の分の人生一気に追体験はそりゃ脳みそ焼けるし意識ある茜音沢先生改めてやべえよ

  • 145二次元好きの匿名さん23/10/05(木) 23:01:59

    タフという言葉は茜音沢のためにある

  • 146二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 07:23:10

    保守の時間だ!

  • 147二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 08:19:06

    強ェ奴はタフの語録を叫ぶんだ(当社比)

  • 148二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 12:10:06

    心が強ェ学生なのか…?

  • 149二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 17:10:54

    6ヶ月以上も追ってきたから終わって欲しくないな〜
    あにまんのSSスレでここまで長続きしたシリーズもあまりないだろ

  • 150二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 19:16:04

    これが始まってから今日までの間でドラトライが始まって終わったからな……

  • 151二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 19:41:16

    >>144

    これディスクが飛び出てきてないからここで倒せてなかったらパーフェクト茜音沢になって本当に終わりだったんだよな


    それはそうと一年後くらいにあるかもしれない次回作にも期待

  • 152二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 20:46:47

    6ヶ月で文庫数巻分は書いてると考えると実際ヤバい

  • 153◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:19:51

    プロローグを投下します

  • 154◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:20:24

     繁華街から僅かに離れた裏路地で、地獄が形成されていた。
     この辺りを根城にするホームレスが、一升瓶片手に通りすがり、裏路地の入口を覗き見た瞬間、脱兎の如く逃げ出した。
     何かを目視したわけではない。ただ、裏路地に立つ男の殺気を感じ取り、生物的本能が足を動かしたのだ。
     我が物顔で獲物を探す鼠の群れも、今夜ばかりは尻尾すらまろび出さない。
     それほどまでに、男の存在は、ありふれた裏路地を、異界へと変えていた。
     殺気で塗りつぶされているが、裏路地には臭いが充満していた。
     血の臭いである。
     ゴミバケツの中から漂う生臭ささえ幸福を感じるような、濃厚な血の臭いが周囲を覆っていた。
     男は、血塗れであった。
     白いカッターシャツは、赤黒い血でべっとりと汚れていた。
     男の血ではなく、全て返り血である。男の足元で轢殺されたかのように血の華を咲かせる者たちの血であった。
     今となっては分かりにくいが、男の足元で潰された彼らの顔や体には無数の古傷があり、千切れ飛んだパーツからは、鋼のような筋肉が見て取れた。
     拾い集めれば、死体の遺留品に、刃渡り30センチを優に超える刃物や、外国から違法に輸出された銃火器を見つけることが出来るだろう。
     死体は全て、カタギではなく、裏社会を渡世の場とする男たちであった。この場で死んだ十三人全てが裏にその名を轟かせ、殺した数も両手の指の数でも足りない残忍な人間だった。

  • 155◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:20:51

     それらを一方的に虐殺し、無傷で立つ男の名を、茜音沢といった。
     二週間前に娘が行方不明になり、探しているうちにここまで来てしまった男である。
     背こそ平均より高いが、ぱっと見で屈強な様子には見えない。だが、血で濡れたその体は、シャツの上からでも分かるほど、研ぎ澄まされた筋肉を身につけていた。全身が鉄で出来たような男であった。
     フケだらけの頭髪を掻きむしり、茜音沢は血走った眼を周囲に向けた。
     それに怯える生物は、既にこの異界から居なくなっている。

    「こいつらも、外れか……」

     軋むような声を出し、茜音沢は呻いた。
     娘の詳細は、とっくに分かっていた。
     暗黒金持ちたちの余興によって拉致され、デスゲームの渦中で殺された。
     真相にはとっくに辿り着いている。
     ——そこから情報が更新されないのだ。
     『実は生きている』という、在るはずのたった一つの答えがいつまで経っても見つからない。

  • 156◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:21:23

     裏社会で指名手配されるほど大暴れしながらも、茜音沢はいつまで経っても真実に辿り着けないのだ。
     ——既に、茜音沢は狂っていた。
     三日前に、愛用の鉄棒を持ちだすために家に帰ると、妻が首を吊っていた。娘が消え、夫さえも消えた彼女は、生きる気力をすっかり失っていたのだ。
     妻を下へ降ろしてやり、警察を呼んだ後、茜音沢は逃げるように家から飛び出した。
     どうすれば取り戻せるのか。
     まるで分からない。
     ただ殺戮に身を沈め、茜音沢は存在しない真実に向かって手を伸ばし続けた。

     ——そして、『それ』と行き遭った。

    【やぁ】

     と、茜音沢は声をかけられ、反射的に振り返った。
     一般人でも本能的に逃げ去る今の茜音沢に声をかけるのは、一定の力量を超えた裏社会の人間だけである。
     獣が次の獲物に狙いを定めるように、茜音沢は殺気を滾らせながら振り返り

  • 157◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:22:02

    「————!」

     完全に、思考を停止させた。
     それの姿形は、狂い切った茜音沢の脳髄を一時的に正気に帰すほどの力があった。

    「あ、ああ……」

     茜音沢の声から悲痛な叫びが漏れ、よろめくように彼は一歩踏み出し

    「…………!?」

     違う、と気づいた。

    「お前、何だ……!?」

     それは、ゴミ箱の上に腰かけ、茜音沢に一瞥もくれずに、コミックを読み耽っていた。

    【私は】

     と、視線を落としたままそれは言った。

    【屈強な男が、尊厳を破壊されるのが好き】

    「はぁ……?」

    【届かぬ大望に手を伸ばして、その身を墜としていくのが好き】

  • 158◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:22:37

    【過去の所業に耐えられず、自殺を選ぼうとするのが好き】

    「お前、何を言って……」

    【私は、『曇らせ』が好き】

     そう言って、それはぱたんとコミックを閉じた。

    【茜音沢仁史。あなたは、わたしの寵愛を受ける権利を得た】

     顔が、見える。視線が合う。
     やはり、違う。
     それは、断じて彼女ではない。

    【あなたは、全てを取り戻せる】

    「何だと……?」

    【娘も、妻も、取り戻すことが出来る。そう聞いたら、あなたは何を差し出せる?】

    「そんなもの、決まってる……!」

     茜音沢は、吼えた。

    「全てだ……! 俺は、全てを差し出せる……! 何故なら俺は、『父親』だからだ……!」

  • 159◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:23:20

     茜音沢の目から血涙が流れた。
     一人の修羅が、そこに顕現していた。
     それは、興味深そうにその顔を眺めた。

    【分かった、あなたの家族を、取り戻すチャンスをあげる。代償に】

    【——教師としての尊厳を、差し出してもらうけどね】

     ぞくり、と茜音沢の全身が震えた。
     教師を辞職しろ。そんな簡単な要求でないことは本能的に察した。
     可愛い教え子たちの顔が次々に脳裏に浮かんだ。
     これは悪魔の契約だと、茜音沢は理解する。
     自分は今、とんでもないものと相対する。
     茜音沢とて、生まれながらの最強ではない。未熟な時分に、格上と相対したことは何度もあった。
     だが、これは違う。
     存在の格が、質が、違い過ぎる。
     まるで、次元さえ違うような感覚さえ覚えた。

  • 160◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:23:47

    ——だからこそ、この契約は本物だ。

    「……言ったはずだ。全てを、犠牲にしても構わないと……!!」

    【じゃあ、契約成立だね。これからよろしくね、茜音沢先生】

    【私のことは、『管理人』さんって呼んでね】

    あにまん高校3年1組がデスゲームに巻き込まれたのは、この二か月後のことであった。

  • 161◆xaazwm17IRZa23/10/06(金) 23:26:56

    投下を終了します……!

    皆さん、感想ありがとうございます……!
    半年以上続けられたのは、皆さんのおかげです……!

    明日は脱出パートを投下する予定です……
    残り僅かですが、最後までお付き合いいただけると幸いです……!

  • 162二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 23:32:52

    乙です、明日の更新楽しみ!しかしなんか魚頭だったりガビに似てたりしそうな邪神だな…

  • 163二次元好きの匿名さん23/10/06(金) 23:34:04

    あにまんデスゲームの管理人に相応しい嗜好だ……

  • 164二次元好きの匿名さん23/10/07(土) 02:12:20

    なんか終わりに向かってると思ったら本当に感慨深い
    しっとりした空気感が沁みる

  • 165二次元好きの匿名さん23/10/07(土) 08:30:36

    今日の投下を楽しみにしつつ保守

  • 166二次元好きの匿名さん23/10/07(土) 10:54:31

    管理人さん人間の価値観では測れない系の神性かと思ったらしっかり存在してはいけない生き物で草

  • 167二次元好きの匿名さん23/10/07(土) 18:14:37

    保守

  • 168二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 00:11:05

    保守

  • 169◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:47:31

    お待たせ致しました。
    脱出パート投下します。

  • 170◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:48:26

    【島内爆破まで、残り三分です】

    (念入りなことだ。まったく、骨さえ残らない、か)

     三田は、患部に触れた。
     痛みさえ、鈍化している。何しろ、穴が開いているのだ。ショック死しなかったのは、戦闘により脳内麻薬が大量に分泌されていたからだろう。
     つまり、戦闘が終わり、気分が落ち着けば、三田はそのまま死亡する。
     残り三分と急かされなくても、それまで生きてはいれないと、実感している。

    (……彼らと一緒に帰れないのは、残念ではあるが)

     篠宮纏。Nek-O。マネモフル=タマネ。姫氏原小毬。千頭之のづち。歯荷仄花。
     彼らとは、昨日まではほとんど話したことがなかった。
     知っているのは所属している部活と異能くらいで、クラスメイトというには、あまりにも薄い関係性だった。
     今は違う。共に何度も死線を潜り抜けた彼らを、三田は誇りに思う。

  • 171◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:48:56

    (ああ、一緒に帰りたいな)

     彼らだけでない。
     地獄のような一日で、多くのクラスメイトと交流し、知られざる彼らの内面を知った。
     本当は、誰一人欠けることなく、帰りたかった。

    「私が、皆を脱出装置までワープさせる」

     と、宣言したのは、ねうねい・めああえだった。
     再びマネモフルの中から実体化し、三田たちに話しかける。

    (彼女も彼女で、つくづくでたらめな存在だな……)

    「君たちは体力を消耗しすぎだ。後三分で、自力で脱出装置までたどり着くことは不可能。でも——私なら出来る」

    「ま、待てや」

     マネモフルは、疲労からか小刻みに身体を揺らしながら、ぜぇぜぇと息を吐いて立ち上がる。
     そして——ねうねいを見据えた。

  • 172◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:49:27

    「ねうねい、お前、ワープできるのは自分だけやろ。儂の中で進化して、他人をワープさせることが出来るようになったかもしれんが、それでもだいぶ無茶を通しとるはずや。茜音沢戦でもお前は力を使っとったのに、この人数を一度にワープなんかさせたら、お前……」

    「きっと消滅するだろうね」

     ねうねいはそう言って、寂しそうに笑った。

    「けど、いいんだ。元々私は死者なんだから。最後にみんなを日常に送り届けて消えられるなら、本望だよ」

    「しゃあけど……それじゃあ儂の気持ちが収まらんのです。……頼むよ、〇〇」

     マネモフルが呟いた単語は、三田の聞きなれぬものだった。微かに興味を惹かれたが、意識も朦朧とし始め、集中して考えることが難しかった。

    「議論してる時間もないよ。さぁみんな、お互い手を繋いで」

     だが、これだけは言わなければならない。

    「僕は、いい」

     三田は、霧散しそうになる意識を必死に束ね、重みさえ感じながら舌を動かした。

    「僕のことは、置いて行ってくれ」

  • 173◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:50:03

    「……三田くん」

     篠宮が懇願するように顔を振る。三田は笑みを浮かべた。

    「分かってるだろ。もう、手遅れだ。後、数分。いや数十秒で僕は死ぬ。だったら僕は置いて行け。運ぶ人数は少ないほうが、ねうねいさんの負担が減るはずだ。……もしかしたら、消えずに済むかもしれない」

    「そ、それなら私も……」

     大きな裂傷を胸部から腹部に、袈裟切りに残している姫氏原も、おずおずと手を伸ばす。

    「たぶん私も、もう助からない……」

    「いや、探偵の僕が断言するよ。君は、適切な治療さえ受ければ、助かる可能性がある。命を諦めるべきじゃない。……君もだぜ、狼くん」

     姫氏原が抱えているのは、狼である。その下半身は、無い。上半身だけの狼は、しかし呼吸をし、意識こそないが、荒い息を吐きだしていた。

    「おそらくそれは霊的な存在だ。姫氏原さんが回復すれば、自然に治癒されるはずだ。……オカルトは専門外だから、断言はできないけどね。ただ言えるのは、君が命を諦めれば、その狼の命も諦めなくちゃいけないってことさ」

  • 174◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:50:37

     姫氏原は押し黙った。
     そして、狼を頬に寄せると、涙を流した。

    「これでお別れなのかい、三田くん」

     篠宮は悔しそうに声を震わせた。千頭之も、Nek-Oも、歯荷も、それは同様だった。

    「私の血を分け与えれば、どうにかなりませんか」

    「……無理だ。君の回復だってまるで追いついてないじゃないか。たぶん多少飲ませてももう手遅れだよ。最悪、死者が二人に増えてしまう」

     さぁ、もう話している時間もないよ、と三田はわざとらしく大きな声を出した。

    「……それに、実のところ、助かる手段を一つ思いついている。探偵は不死身なのさ。例え作者が殺したがっても、ライヘンバッハの滝から復活するんだ」

    「三田くん……君と一緒に戦えて、光栄だった」

    「僕もさ篠宮くん。今までありがとう」

     篠宮と、堅く握手を交わす。
     その透明な瞳を覗き、三田は彼の将来に思いを馳せた。

  • 175◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:51:11

     篠宮だけではない。生き残った誇るべきクラスメイトたちは、どんな大人になるのだろうか。

    【残り一分です】

    「さようなら、みんな」

     ワープする瞬間まで、彼らは三田の方へ顔を向けていた。
     瞳に浮かんでいた涙が、三田にとって何よりの手向けだった。
     そして、静寂。
     彼らは無事、脱出装置に辿り着けただろうか。
     そして、この消え去りゆく島から脱出できたのだろうか。
     今の三田には、知るすべもない。

    (……さて、最後の賭けを始めようかな)

    「もはやこの島に生存者は僕一人だ」

     刻一刻と死に近づきながら、三田は笑う。

    「つまり、暫定的な優勝者はこの僕ということになる」

     心臓が止まるのが先か、島が消える方が先か。

  • 176◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:51:33

    「だったら、何でも願いを叶える権利を使えるはずだね」

     傷を治せ/僕を帰還させろ/不死の身体にしろ。
     願いは、そのどれでもなく。

    「——【管理人】に、会わせろ」

     三田が、願いを口にした瞬間だった。
     本部に仕掛けられた爆弾が起爆し、殺し合いが行われていた離島は、瞬時に光に呑まれて消失した。
     そして、最初から何も無かったかのように、静謐な海だけが残った。

  • 177◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:52:14

     意識を取り戻すと、花園に居た。

    「……僕は、死んだのか?」

     腹部を撫でる。
     傷は、癒えている。
     自分は魂だけの存在なのだろうか。

    (ふむ、情報が足りないな)

     ここが天国であろうと地獄であろうと、あるいは現世のどこかであろうと、調査をしなければ始まらない。
     三田は、花畑の中を進み始めた。
     傷だけでなく、殺し合いで蓄積していた疲労さえも、完全に回復している。
     やはり、自分は霊体なのか。
     そう考え、懐を探ると、拳銃の感触があった。

    (つまり、この肉体は現実のものということか)

     恐らく、死亡直前、あるいは島内爆破の直前に、自分は転移した。
     ならば、この先にあるものは……。
     三田は、自分の推理が正しかったことを知る。
     花畑をしばらく進むと、英国風の庭園が姿を表したのだ。
     そして、チェアに腰かけた少女が、三田に向かって手を振っていた。

    【いらっしゃい、三田哲くん】

    「ええ、おじゃましますよ、『管理人』さん」

  • 178◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:52:38

     対角線上のチェアに腰かけ、三田は『事件の黒幕』と相対した。

    「それとも、こう呼んだほうがいいですか——数時間ぶりですね、Akane」

     三田の言葉に、管理人「アカネ」は——滑稽そうに、笑った。

  • 179◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:53:03

    投下を終了します……!

  • 180二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 01:56:29

    このレスは削除されています

  • 181◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 01:57:56

    最後の暗黒金持ち枠が登場したので、生存値ダイスを振ります

    管理人アカネdice1d100=13 (13)   【+100】

  • 182◆xaazwm17IRZa23/10/08(日) 02:02:01

    次の投下は月曜日の夜、管理人と三田の相対パートとなります
    皆さん、いつも感想や保守をありがとうございます……!
    皆さんの暖かい対応のおかげで無事に完結を迎えることができそうで、とても嬉しいです……!
    完結の際には、予告していた各キャラの個人的な総括などをやってみたいと考えています。
    それでは、今夜もありがとうございました……!

  • 183二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 02:28:38

    乙でした
    久しぶりですねって、三田くんと管理人らしきキャラどっかで会ってたっけ?読み直した方がいいかな

  • 184二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 06:24:38

    いよいよ管理人登場か……
    たしかロッカーのシーンに出てきてたっけ?

  • 185二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 10:28:08

    ほし

  • 186二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 14:12:44

    頭脳派キャラがみんな死んでた場合誰が管理人との対話枠になってたんだろうか

  • 187二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 19:20:57

    その場合そもそも茜音沢が優勝しそう

  • 188二次元好きの匿名さん23/10/08(日) 19:37:08

    明確に馬鹿なキャラいないし誰が生き残っても対話はできそうである

  • 189二次元好きの匿名さん23/10/09(月) 00:02:00

    最後に相対する二人が"黒幕"と"探偵"なとこに因果を感じて好きなんだ

  • 190二次元好きの匿名さん23/10/09(月) 03:34:43

    管理人の初出ってどこだっけ
    廃校の頃はまだ出てなかったよな?

  • 191二次元好きの匿名さん23/10/09(月) 11:40:16

    です

  • 192二次元好きの匿名さん23/10/09(月) 16:22:12

    このアカネって茜音沢朱音とはどちらが先なのかな

  • 193二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 00:14:57

    ブシロード

  • 194◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:48:59

    第32話  最終回 投下します

  • 195◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:49:40

    【どうして私がAkaneだって分かったの?】

     と、テーブルを挟んで向かい側に座る少女は言った。
     外見は、同年代の小柄な女子にしか見えない。
     ただ、纏う雰囲気が、異質である。
     三田のクラスには、数多くの超人が居た。
     自分を容易く引き裂ける存在と会話を交わすことは、三田にとってある種慣れたものだ。
     もっと言えば、三田は今しがたまで、最強の武人、茜音沢と文字通りの死闘を繰り広げていたのだ。
     眼前の少女がどれだけ強くても、今更惑ったりはしない。
     しない、つもりだったが。

    (違う)

     強いとか弱いとか、そういうレベルの話ではない。
     少女と三田は、明確に存在の次元が異なっている。

  • 196◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:50:12

     それを、肌感覚を通り越した、魂で知覚する。
     戦っても負ける。
     否、戦いにすらならない。
     アニメや漫画のキャラクターが現実の人間を殺せないように。
     三田哲という存在は、『管理人』を殺せない。
     そう、自覚させられる。
     三田は、西遊記を思い出していた。
     孫悟空とお釈迦様が戦い、孫悟空は筋斗雲で四方八方に逃げ回るが、それは全てお釈迦様の掌の上であった。
     三田は、それに近い絶望を味わっている。
     もっとも、『管理人』はお釈迦様ではなく

    (邪神に近い、か)

     それでも、どうやら会話は可能な存在らしい。

    「初歩的なことだよ」

     だったら、探偵としての矜持を貫くだけだ。

  • 197◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:50:58

    「さっき、茜音沢先生を倒したとき、茜音沢朱音さんその人を目撃してね。
     彼女の外見は、君と瓜二つだった。
     けれど、君は彼女本人じゃない。纏う雰囲気が、あまりに違い過ぎる。
     茜音沢朱音の外見をしているが、茜音沢朱音ではない。
     そこまで考えたとき、ロッカーの自動音声を思い出した。
     確かあれは、自らを『Akane』と称していた。
     後は、チェーホフの銃さ。ただの高機能ロッカーに意味ありげに名前がつけられているんだ。後の伏線と考えるほうが、綺麗だろう?」

    【なんだか探偵というより小説家の考え方だね】

    「これでも文芸部だし、作家志望でもあるんだ。
     それで、僕のお粗末な推理は合っていたかな」

    【そうだね。私はアカネだけど、茜音沢朱音じゃない。朱音ちゃんは、この世界の私で、私になりそこなったできそこないだから】

     できそこない。
     三田は、茜音沢朱音のことをよく知らない。

  • 198◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:51:49

     希咲の遺したメモによると、茜音沢先生の愛娘であり、デスゲームに巻き込まれて命を落としたらしい。
     幽霊らしき姿を視たが、そして彼女の後押しによって三田たちは茜音沢に勝利を収めることが出来たが——それだけだ。
     三田が殺し合いに招かれるずっと前に、彼女は故人だった。
     だから、彼女の人格も口癖も、性格もまるで知らないが。
     できそこない、という言葉は三田を強く苛立たせた。
     だが、三田がどれだけ不快感を示したところで、アカネの精神をざわめかせることすら不可能だろう。
     それほどまでに、存在のスケールが違う。
     管理人アカネは、あまりにも巨きい。

    「貴女は、いったい何者なんですか?」

    【私は、無数の平行世界の観測者にして管理者。
     とある世界では魔王だったし、とある世界では魔法少女だった。
     令嬢だったこともあるし、AIだったこともある。

  • 199◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:52:33

    色んな世界で、私は殺し合いを開催して、観測してきた】

    「それは、一体何のために?」

    【理由なんか無いよ。
     だって、殺し合いって、楽しいじゃん。
     色んな個性のキャラクターが、死力を尽くしてぶつかり合ってさ。
     日常の些細な人間関係が、大きな火種になったり。
     過去に犯した小さな過ちが、自らの死因に直結したり。
     仲良しグループが、無惨に崩壊したり。
     恋人を裏切ったり、親友を見捨てたり。
     弱者が容赦なく蹂躙されて尊厳さえ奪われたり。
     強者があっけなく下剋上されて無様な末路を晒したり。
     ダークな部分だけじゃないよ。
     接点がまったくなかった者が親友になったりカップルになったり。
     ライバル同士が共闘して強敵に挑んだり。
     殺し合いじゃないと、見られない展開ってとても多いんだ】

  • 200◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:53:18

    「……だから、殺し合いを開くんですか?」

    【うん。
     私は、『曇らせ』が好き。
     『尊厳破壊』も好きだし、『鬱展開』が好き。
     そして何より『殺し合い』が大好き】

     朱音ちゃんは友達になれると思ったんだけどなぁとアカネは溜息をついた。

    【殺し合いで拡声器ジンクス踏んで死んだときは爆笑したけどさ。一応彼女、こっちの世界の私だし、死後に接触したんだよね。
     私と同化して、管理人生活をエンジョイしない? って。
     でも、駄目。断られちゃった。
     同じ私なのに、どうしてあんなつまらない性格になっちゃったかなぁ。
     アカネなんだから、殺し合いが好きなはずなのに……。
     しかも、最後の最後で干渉してくるしさ。本来あの空間には、この島で死んだ者しかいないはずなのに。勝手に潜り込んできて父親脱落させちゃうんだから、まったくとんでもないできそこないだよ】

  • 201◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:54:12

    「……貴女も、元は朱音さんのような、人間だったんですか?」

    【あ、そこ食いつく?
     残念、秘密だよ。
     私の来歴については、続編で順次公開予定なのだ】

     ふざけた物言いに、やはり三田は憤りを覚えた。
     が、すぐに彼女が話した言葉の真意に気づく。

    「続編……?」

    【うん。君たち中々面白いからね。この世界を舞台に、もう二・三回開こうかなって思ってる。次は100人規模とか面白いかも】

    「……まさか、その続編とやらに、僕のクラスメイトは……」

     けらけら、とアカネは笑った。

    【当然、リピーターとして参加してもらうよ】

    「ふざけるなっ!」

     三田は、一瞬で懐から拳銃を抜いた。

  • 202◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:54:53

     黒服の死体から回収した拳銃。
     隠し持っていたそれを早業で抜き出し、撃つ。
     弾丸はアカネの額に吸い込まれ——何も起こらなかった。

    【気は済んだ?】

    「そんな馬鹿な……」

    【君じゃ私を殺せないよ。でもまぁ鬱陶しいし……】

    【武装解除】

     その一言で、三田が持っていた拳銃は消失する。
     分解や破壊ではなく、まるで最初からそんなものは存在しなかったように、霞のように消え失せてしまった。
     ——次元が違う。

    【ふふふ、殺し合い二回目って、そんなに嫌? 君のクラスメイト、同じ文芸部の文乃あかりちゃんはこれで二回目だったよ。大丈夫、今どき殺し合いに二回参加するのってそんなに珍しくないから。よくあるよくある】

    「……せっかく脱出したのに、いったい僕らは何のためにここまで……」

  • 203◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:55:22

    【あれ、何か勘違いしてない?】

     アカネは、大きく身を乗り出し、三田の顔を覗き込んだ。

    【誰が生存者だけって言った?】

    「っ!?」

    【死者にだって、チャンスは与えるべきでしょ】

    「君は……まさか……」

     ああ、可能なのだ。
     この超越者は。絶対者は。死者の蘇生すら可能にする。
     ならば当然。蘇った死者を、再び殺し合いに放り込むことだって、可能なのだ。
     三田の瞳から、光が消えていく。
     無力感。絶望感。
     花畑の中に居ながら、三田の心は奈落の底に沈んでいく。

    【ねぇ、クラスメイトを助けたい?】

     ——そこに、蜘蛛の糸が垂らされる。

  • 204◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:56:32

    【脱出できたクラスメイトも、脱落したクラスメイトも、これ以上殺し合いに巻き込まないことを約束してあげてもいいよ】

    「…………本当か?」

     相手は、邪神に等しい存在である。
     それでも、三田は、探偵は、縋らざるを得ない。

    【うん。——代わりに、『探偵としての尊厳』を、差し出してもらうけどね】

    「……どうすればいいんだ」

    【簡単だよ。第二回デスゲームで、三田哲くんには、ジョーカーをやってもらう】

    「僕が……ジョーカー……?」

    【そう。参加者にスパイとして入り込んで、主催者が利するように動く存在だよ。茜音沢みたいに門番やれる体力は無いからね。上手くやり遂げて、見事君が優勝したら——君のクラスメイトは、二度と殺し合いには参加させない】

     仲間を守れるのは、君しかいないよ? とアカネは笑った。

    「僕が……僕しか、いない……」

    【そう、簡単な話だよ。探偵であることを止めれば、君のクラスメイトは次の殺し合いから逃れることが出来るんだから。
     それとも、仲間より探偵のプライドを優先するの? それでもいいよ。ジョーカー候補は、他にいくらでも居るんだから】

  • 205◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:57:05

    「……このゲームに、参加する前の僕なら、仲間よりも探偵を優先させていただろうね」

     探偵として、巨悪の味方になることは絶対になかったはずだ。
     管理人アカネは、邪悪だ。
     探偵の美学とは、絶対に相容れない存在だ。

    「けれど、今の僕は違う。仲間のためなら——この手を、血に染める覚悟がある」

    【覚悟は出来たようだね】

    「ああ。僕は、ジョーカーになる」

     そう言って、三田は悪魔の手を取った。
     
     ぺたり。

    【ん?】

     手の甲に表れた奇妙な感触に、アカネは不思議そうに顔を近づけた。

  • 206◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:57:36

     札が、貼ってある。

    【何これ——こひゅっ】

     喉から、奇妙な音が漏れた。
     熱。異物感。苦痛。

    「————嘘だけどね」

     何が起こったのかわからぬままに、アカネの手足が混乱してじたばたと暴れる。
     三田は、それら一切を斟酌することなく、今しがたアカネの喉に突き刺したそれを、強く、押し込んだ。

    【………………ぁ】

     喉を刺されたアカネは、断末魔を上げることなく、目を見開き机に突っ伏した。
     それにより、首に刺さったそれがますます深く刺さり、血が泡となって傷口から噴き出した。
     三田は、注意深くアカネを観察した。
     そして、確実に絶命していることを確認すると、ほっと息を吐いた。

    (どうやら、上手くいったようだ)

  • 207◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:58:07

     アカネの手の甲に貼られた札は、【異能殺し】宇都紀久子の札であった。
     そして、アカネの喉に突き刺さった鋭利な凶器は

    (本部で回収しておいて良かったな)

     ボールペンである。
     どちらもアイテムであり【武装】の定義から反するため、アカネの【武装解除】の対象外となっていた。

    (彼女に【異能殺し】が通用するかは賭けだった。
     けれどアカネは、元々は人間だったのか聞いたとき、その話を流そうとした。あの一瞬、彼女の表情に隠蔽の兆しが見えたんだ。『元々はただの人間である』。それが、彼女の唯一のウィークポイントだった……)

     恐らく、管理人アカネは、元々ただの少女だったのだろう。
     それが、異能、あるいはそれに準ずる概念に目覚め、今のような絶対的な力を手にした。
     それが何年前か、何十年前か、何世紀前かは分からない。
     少なくとも、ここではない、また別の世界で起こったことなのだろう。

  • 208◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:58:36

    (探偵の矜持より、仲間を取る……か。まったく、まさか僕が殺人犯になるなんてね)

     三田にとって、これは初めての殺人だった。
     相手は今まで出会った中で最悪の人格をしていたが——それでも、殺人という行為の嫌悪感は耐えがたい。

    (何が最悪って、僕はこのことを後悔していないことだ)

     やはり、探偵失格なのだろう。
     地平線の先を見る。
     どこまでも広がる花畑。
     それが、遠方から徐々に、光の粒子となって消滅していく。
     じきに、この空間は消滅するのだろう。創造主であり管理者であるアカネが死んだのだから、当然だ。
     もちろん三田も、例外ではないのだろう。

    (……うん、やっぱり、後悔はしていないな)

     人の命を奪うことに比べて、自分の命が失われることの、何と軽いことか。

  • 209◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:59:10

     三田は、空を見上げた。
     仲間たちは脱出できたのだろうか。
     二度と殺し合いに呼ばれることはないと信じたい。
     が、これから先、きっと彼らの前には、多くの壁が立ちはだかるのだろう。
     殺し合いに関係した邪悪な者たちはみな死に絶えたが、世界から悪が根絶されたわけではない。

    (それでも、彼らならやっていけるさ……)

     自分のような不甲斐ない探偵にはもったいない仲間たちだった。

    (初歩的なことだろ、友よ……)

     ふと、誰かに後ろから声をかけられた気がした。
     なんだか妙に懐かしい気がするその声に、三田は苦笑しながら振り返り
     ——そして、花畑は消滅した。
     後には、何も残らなかった。

    【管理人アカネ 死亡】

    【暗黒金持ち 残り0人 全滅】

    【三田哲 死亡】

  • 210◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 03:59:38

     管理人アカネが死亡したことによる影響なのか。
     霧の森もまた、徐々に消滅を始めていた。
     森に囚われていた死者たちも、光となって空に昇っていく。
     それを、一組の親子が穏やかに見上げていた。

    「なぁ、朱音」

    「なに、お父さん」

    「昔、虫籠いっぱいに、色んな虫を入れて帰って来たことがあったろう」

    「あったね、そんなこと」

    「あれは、どうしてなんだ?」

     朱音は、恥ずかしそうに笑った。

    「色んな虫さんを集めてね」

    「ああ」

  • 211◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:00:05

    「——仲良くしてほしかったの」

    「……そうか」

    「でも、駄目だった。虫さんには、私の虫籠は狭かったから」

    「じゃあ、逃がしてあげないとな」

    「うん」

     朱音は、手に持った虫籠を開けた。
     中から、幾つもの光が解き放たれ、空へ昇っていく。

    「あの子たちは、どこへ行くの?」

    「色々さ。帰るんだ、それぞれの場所へ」

    「……私たちも帰ろう? お母さんが、待ってるよ」

    「そうだな……」

     茜音沢は、もう一度昇り行く魂を見上げた。
     見送りの言葉は無かった。
     すでに彼は、教師では無かった。

  • 212◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:00:32

     教師として築いたものを全て破壊した今の彼に、教え子たちに送れる言葉などなかった。

    (本当に、済まなかった)

     ただ、心からの謝罪と。

    (お前たちは、最高の生徒だった)

     常に心に抱えていた賛辞を胸に秘め。
     茜音沢は、朱音に背を向けた。

    「お父さん……私も、お母さんも、ずっと待ってるからね」

    「…………ああ」

     同じ場所へは行けないと、分かっていた。
     自分のような鬼畜に相応しいのは。
     幾つもの魂と共に、茜音沢は暗い場所へと降りていく。
     それを、朱音はいつまでも見送っていた。
     やがて、霧の森は完全に光へと代わり、消失する。
     最初から何もなかったかのように、後には『無』だけが残っていた。

  • 213◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:00:57

     あにまん高校三年一組集団失踪事件は、世間を殆ど騒がせることは無かった。
     表沙汰にこそしていないが、異能者を多数有しているあにまん学園は、世間の注目を浴びることを恐れ、戒厳令を敷いたのだ。
     それは、学校の利益を守ることが第一でこそあったが、失踪から帰還した生徒たちの保護のためでもあった。
     たった一日の失踪で、彼らは全身に無数の傷を負い、病院に搬送されたときには意識を失っていた者すら居た。
     一か月の静養期間を設けた後、あにまん高校の教師たちは生存者の彼らに聞き取り調査を行い——まったく信じられない、あまりに恐ろしいゲームの内容を知った。
     本当にそんなゲームがあったのか。異能の存在を知り、二本を牛耳る暗黒金持ちの現実を知っている教師たちでさえ、彼らの話はひどく荒唐無稽に聞こえた。
     しかし、現に生徒たちの殆どは帰ってこず、生還した生徒は重傷であり——なにより、この頃国内では、各界の有力者が多数失踪し、更には失踪した有力者のうち何割かは名前すら思い出せないという異常事態に陥っていた。
     これらの状況を鑑みて、学校側はこの殺し合いを事実として認めた。

  • 214◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:01:27

     世間一般や他の生徒には、クラス学習でバスに乗っていた際に事故に遭ったとし、突然寝室から消失した現実を知っている遺族には、なるべく真実が伝えられ、口外しないことを懇願した。
     それがどれほど守られたのか。デスゲームの噂は風のように流れたが、他の多くの都市伝説のように、ただの噂としてそれ以上広がりを見せることはなかった。
     集団失踪や集団事故死をデスゲームと関連付けることは、この国ではごく当たり前の陰謀論だった。それが時に真実を指し示しているとしても。
     やがて、空いたポストには、また別の人物が座り、日本は一時的な混乱から立ち直った。
     あにまん学園も今まで通り運営され、世界は何事もなかったかのように進み始める。

    「……明日から、通常授業が再開されるそうですわよ」

     職員室から戻った歯荷は、空席だらけの教室に座る、クラスメイトに声をかけた。

    「まったく、後一年くらい休養したかったですわ」

    「……私は、早く日常に戻ってきてほしい、かな」

     足元に座る狼を撫でながら、姫氏原は遠慮がちに言う。

  • 215◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:02:03

     その肩には、白い鼠が乗っている。

    「私たちには、これから大人になる責任があると思うし。そのためには、勉強しないと」

    「それは勉強が出来る奴の台詞ですわ。学生の本分は遊ぶことのはずですわよ! あ~一生遊んで暮らしたい~」

    「永遠に学生する気か歯荷は……」

     まったく、と千頭之は肩を竦める。
     首に絡みつくアラシも、通学鞄から首を覗かせるコサメも、呆れたように顔を見合わせる。

    「プラモなど作っておるから成績が悪いのだ。お主の異能ならいくらでもテストで活用できるだろうに」

    「私のことを馬鹿にしてもプラモを馬鹿にすると許さないですわよ? 進路先を三味線にされたくなかったら口を閉じることをオススメしますわ」

    「言ったな貴様」

     唸り声をあげながら、歯荷とNek-Oはくるくると回転し、睨みあう。

    「そこまでや。二人ともこれ以上は傷に響くで」

  • 216◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:02:35

     と、マネモフルが屈強な肉体で割って入る。

    「それでも喧嘩するなら儂がなんぼでも受け止めたる。儂、めっちゃタフやし」

    「傷だらけの鯰は、土の中でも笑うんだ(いや、君も無茶しちゃ駄目だよ)」

     わいわいと盛り上がるクラスメイトを、篠宮は窓際の席から静かに見守る。
     あの事件の前までは、まるで興味を持てなかった喧騒が、今ではとても愛おしい。
     だからこそ、教室のあまりの広さと、空席の多さに、心をかき乱される。
     32人のクラスメイトのうち、人の姿で帰ってこられたのはたった6人、例外を合わせてもたった8人。
     24人は、帰ってこれなかった。

    (それでも、8人も帰ってこれたのは、僕たちが掴んだ勝利だ)

     自分たちあにまん高校3年1組は、殺し合いに勝利した。
     8人の生還という奇跡を為してみせた。

    (なぁ三田くん、君はいつ帰ってくるんだ?)

     心の中で問いかける。
     狼が、わおんと鳴いた。
     その声は、なんだか笑っているように聞こえた。

  • 217◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:03:00

    【篠宮纏 生還】
    【Nek-O 生還】
    【マネモフル=タマネ 生還】
    【姫氏原小毬 生還】
    【千頭之のづち 生還】
    【歯荷仄花 生還】

    【堀木彩 帰還】
    【ねうねい・めあめえ 帰還】

    【あにまん バトル・ロワイアル 終了】

  • 218◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:03:25

    以上で投下を終了します……!

  • 219◆xaazwm17IRZa23/10/10(火) 04:40:08

    今までお付き合いいただき、本当にありがとうございます……!
    元々一週間で終わる予定でしたが、想像以上に盛り上げていただき、集まったキャラクターが魅力的だったので、うっかり長期化してしまいました……! 皆様には長々と突き合わせてしまい、申し訳ありません……また、更新頻度がどんどん遅くなったことも重ねてお詫びします……!

    今後の予定としましては、生還したキャラの短い個別エピローグを順次投下しようと思います。
    それらが終わり次第、あとがき代わりに各キャラクターを総括して、本企画を閉じようと思います。

    それでは、本日の投下はここまでとさせていただきます。
    次の投下は、水曜夜の予定です。
    保守や感想、ありがとうございました……!

  • 220二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 06:24:33

    乙でした
    この数ヶ月間毎日楽しかったです、ありがとうございました
    管理人しっかり死んでてよかった

  • 221二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 08:06:37

    なんだか管理人に汚名を被ってもらった気分だけど
    実際デスゲームは見てて楽しかったな
    同じ世界では二度と開かれなくても、またいつか見られるといいな

  • 222二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 08:42:24

    乙です、クラスメイト一人一人の個性を出しながら追加された黒服や金持ちにアイテムとかも(全てとは言わずとも)活用して完結に持ち込める手腕に賛辞を送ります。

  • 223二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 12:31:04

    死んだのは悲しいけどよくやった三田
    メスガキはわからせられてこそだよな!!

  • 224二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 12:34:04

    乙でした〜
    匿名の不特定多数から募集したキャラ設定でここまで面白くできるのは中々できることじゃないと思うのでスレ主の文才が羨ましいなぁ

  • 225二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 13:51:13

    お疲れ様でした
    最初からずっと追ってたのできれいに終わって嬉しいような寂しいような……とりあえずこの企画に参加することが本当にできてよかったです
    そして一週間で完結だったらどんな内容になっていたのかとても気になる

  • 226二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 14:54:42

    スレ民のネーミングセンスにもかなり恵まれてて本当に楽しかったよ
    虎肝ドラギモスとか科葉師智みたいなの大好き

  • 227二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 20:44:01

    >>223

    わからせ(刺殺)はハードリョナすぎる……

  • 228二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 21:02:09

    元からそういう企画だし…

  • 229二次元好きの匿名さん23/10/10(火) 22:59:09

    "※ジャンルの都合上、残酷なシーンが多く、キャラクターがどんどん減っていきます。ご了承ください。"

    この見慣れたテンプレが最後の最後で管理人akaneに適用されるのも因果応報の極みよな
    生存値に固定補正+100ついてるのが不穏だけど

  • 230二次元好きの匿名さん23/10/11(水) 06:57:58

    保守

  • 231二次元好きの匿名さん23/10/11(水) 11:26:36

    ほし

  • 232二次元好きの匿名さん23/10/11(水) 16:36:06

    堀木くん視点のエピローグもあるのかな……

  • 233二次元好きの匿名さん23/10/11(水) 17:11:13

    堀木くん視点ではループ脱出できて満足なんだと思うんだけどワンちゃんになるのは普通に絶望なのでは

  • 234二次元好きの匿名さん23/10/11(水) 22:57:08

    保守

  • 235◆xaazwm17IRZa23/10/12(木) 01:25:20

    申し訳ない、体調が悪いのでちょっと今日は投下できないかもです……(汗

  • 236二次元好きの匿名さん23/10/12(木) 01:32:22

    了解です、お大事に

  • 237二次元好きの匿名さん23/10/12(木) 08:49:46

  • 238二次元好きの匿名さん23/10/12(木) 17:20:22

    保守好きかい?

  • 239二次元好きの匿名さん23/10/12(木) 22:21:59

    ほしゅ

  • 240二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 07:27:52

    >>238

    うん、大好きさ!

  • 241二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 16:06:20

    今夜あたり更新あるかな

  • 242二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 21:04:45

    保守

  • 243二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 02:38:26

  • 244◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:49:09

    篠宮纏のエピローグを投下します……!

  • 245◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:49:57

     かつて、とある離島で殺し合いが行われた。
     集ったのは高校生、出資者、護衛者、怪物、最強の武人。
     それぞれが全力をかけて殺し合い、結果として高校生六人の生還を持って、殺し合いは幕を下ろした。
     ——だが、誰にも知られていない、七人目の生還者が居たのだ。



    「ククク……あれから五年か……」

     男は、机の上に並べられた計画書に目を通し、残忍そうに笑った。
     計画書には新たなバトルロワイアルの計画が書かれていた。
     参加者、ルール、会場、支給アイテム。

    「今度こそ、俺が殺し合いを仕切るのだ……」

     男は以前のバトルロワイアルでは違う名前で参加していた。
     姿かたちも大きく異なっている。
     そして、男は以前のバトルロワイアルで確かに死んだはずなのだ。
     そのバトルロワイアルでは、男は『ペギー・ジョーダン』と呼ばれていた。

  • 246◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:50:19

    「ククク……ペギー・ジョーダンなど仮の姿……あれは俺の『端末』に過ぎない」

     男は、以前のバトルロワイアルには、本体ではなく、自らの異能で作り出した端末を派遣していた。
     会場の誰もが男の正体を知らなかった。
     まさか黒服ホルダー『ペギー・ジョーダン』の正体が……暗黒金持ちの王(ワン)・スティーブだとは。
     人は彼を『ダークタワー卿』と呼ぶ。
     運営側唯一の生還者であるスティーブは、この五年間をフィードバックしたダメージの回復と、権力の増大に勤めた。
     日本を牛耳っていた暗黒金持ちの殆どが消息不明(おまけに何故か彼らの名前や詳細な情報を誰も思い出せなくなり、記録上も表示されないという怪現象が発生していた)となり、それは世界中に影響を与えた。
     スティーブは回復を待ちながら、複雑なパワーゲームの世界を生き抜き、五年経った今、いよいよ本懐であるバトルロワイアルの開催を行うだけの余力を確保できたのだった。

  • 247◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:50:46

    「さて、高校生はちょっと怖いな。参加者はもっと幼い子どもに限定して……そうだ、パートナーが死ぬと連動して首輪が爆破するシステムは面白いかもしれないぞ……」

    邪悪な笑みを浮かべながら、スティーブは来るべき次の殺し合いに思いを馳せた。
    ——次の瞬間、会長室は炎に包まれた。

    【王・スティーブ 死亡】

    ビルの一画が爆破された様子を、一人の青年が喫茶店のテラスから見上げていた。

    (どうやら上手くいったようだね)

     青年は、どこまでも存在感が薄かった。
     しっかりと見れば整った顔立ちの美形なのだが、そこに居ることに気づかれにくい、透明な印象を周囲に与えていた。
     青年の名は、篠宮纏といった。
     高校時代はボランティア部に所属、三年生の時に、クラスメイトをバス事故で亡くした過去を持つ。
     そして高校卒業後、彼の足跡はあらゆる記録から消失していた。

  • 248◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:51:09

    (五年前、僕たちは勝利した)

     目を瞑れば、今でもありありとあの時の情景を思い出せる。
     悲惨な記憶ばかりだ。
     それでも、仲間と力を合わせ、篠宮は勝利を掴んだ。
     だからこそ——無粋な逆襲は好まない。

    (王・スティーブ。彼が新たなデスゲームを開催しようとしていたことは、既に調べがついていた)

     高校卒業後、篠宮は同じような境遇の者たちと巡り合った。殺し合いを優勝し日常に帰還できたが、そのことが未だトラウマとなっている者たち。
     宇都喜久子のような、バトロワチルドレンは、島に呼ばれなかった者にも大勢いた。彼らと連絡を取り、篠宮は新たな組織を結成した。
     再びデスゲームを開催しようとする暗黒金持ちを、開催前に潰す組織。名を、【アンカー】という。
     殺し合いに巻き込まれた怒り(Anger)と、無辜の人々を平和な世界に繋ぎとめるための錨(anchor)、二つの意味が合わさっている。

  • 249◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:51:39

     【アンカー】のエージェントとなった篠宮は、世界を飛び回り、殺し合いが開かれていないか監視を行っていた。
     そして今日、数多くの凶悪犯罪を権力で隠蔽し、数多くの異能者を部下に抱え、本人も強力な異能者である王・スティーブの粛清に成功したのだった。
     密かに会長室に設置された『透明な爆弾』により、スティーブは即死した。
     彼が以前ペギー・ジョーダンという名前で篠宮が参加した殺し合いに間接的に関わっていたことは、既に調査済みだ。
     感慨は——無い。篠宮はどこまでも透明である。
     裏社会で経験を積んだ今の篠宮は、もう一度あの時と同じメンバーで殺し合いを行っても、優勝候補になるほどの実力をつけていた。

    (もし僕が高校生のときにもっと強ければ……)

     彼らを失わずに済んだのだろうか。
     どれだけ自問しても答えは出ない。
     案外、弱いからこそ生き残ったのかもしれない。
     それとも、運が良かっただけだろうか。

    (きっと、一生わからないんだろうな)

  • 250◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:52:00

     コーヒーを飲み終え、篠宮は席を立った。
     ふと、卒業式以来会っていない、仲間たちに会いたくなった。
     いや、と首を振る。
     篠宮は既に殺しの道を歩んでいる。
     平和に生きる彼らの邪魔になってはいけない。
     それでいいと決めたのだ。
     もう二度と子どもが殺し合わされるようなことが起きないために、篠宮は自らの手を血で汚す覚悟を固めたのだから。
     会計を済ませた篠宮は人混みの中に消えた。
     通り過ぎた者は誰もが、篠宮の存在に気づくことはなかった。

    【篠宮纏 END】

  • 251◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 02:53:44

    投下を終了します……!

    次の投下は明日の夜を予定しています……!

    最終回後の暖かい言葉、ありがとうございます……! 至らぬ点があったと思いますが、少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです……!

  • 252二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 03:52:38

    お疲れ様です
    エピローグが想像以上の密度で満足感がすごい……
    みんな色々あったんやろな

  • 253二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 09:25:19

    お疲れ様です
    ペギーさん生きとったんか!!

  • 254◆xaazwm17IRZa23/10/14(土) 10:12:43

    弟がいる(①麻井、②結、③三田、④金木、⑤ドラギモス、⑥ねうねい)

    妹がいる(⑦星峰、⑧Nek-O、⑨金木、⑩宇都、⑪歯荷、⑫ラッタッター)


    dice3d12=11 9 8 (28)

  • 255二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 11:57:05

    Nek-Oの妹とかどう言う生き物なんだ…?
    私生活が想像つかないキャラ第一位だろ

  • 256二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 17:50:46

    今更ながら兄弟いそうにないメンツばっかりで面白い

  • 257二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 18:14:42

    堀木くんみたいにNek-Oも昔は人間だった説ない?
    今何歳なのかも分からないし

  • 258二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 23:09:35

    >>256

    ラッタッターは下の兄弟いっぱいいそうではある

  • 259二次元好きの匿名さん23/10/14(土) 23:25:35

    猫王の妹は生物学上の妹じゃないのかもしれない
    キュアムーンライトとダークプリキュアみたくDNAが一緒のクローン的な

  • 260二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 01:00:05

    ペギーさん風船で分身を作れる能力だったとしたらなかなか強いな

  • 261◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:06:14

    Nek-Oのエピローグ、投下します

  • 262◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:06:39

     また、騒がしい時期がやってきた。
     あにまん高校の廊下を練り歩きながら、Nek-Oは溜息をついた。
     既に時刻は六時を回ろうとしているが、校舎からはきゃあきゃあという声は収まらない。
     明日の文化祭に備え、生徒たちは準備を進めているのだ。
     昨年は一晩泊まり込んで作業をしたクラスもあり、それはさすがにどうなのかと問題になった。しかもそのクラスは教師の監視の目を盗んでということなので、今年はどれだけ遅くても21時前には返すよう、上からきつく言い渡されている。

    (ふん。異能者であろうと超人であろうと、青春は楽しみたいということか)

     自分たちはどうだったかとNek-Oは五年前を思い出す。
     たった六人のクラス。学園祭では何をしたのだったか。

    (確か、姫氏原が提案した動物カフェだったか……)

  • 263◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:07:15

    「あ、ニャンコ先生だ」

    「ニャンコ先生、こっち手伝ってよ」

     通り過ぎるNek-Oに気づいたのか、生徒たちから声をかけられる。

    「面倒だ。若いんだから自分たちでやれ。その方が楽しいぞ」

    「げぇ、爺みたいなこと言うじゃん」

    「ニャンコ先生は気楽でいいなぁ」

    「気楽じゃないぞ馬鹿者。吾輩は見回りで忙しいのだ」

     生徒をあしらいながら、Nek-Oはあにまん高校の教師としての職分に戻った。
     何しろ模造紙に一生懸命書いたり、教室を飾り付けたり、お化けの衣装を作っているのは、異能者や超人である。
     もし万が一生徒同士の喧嘩でも起これば、止められる人員は限られてくる。そして、Nek-Oは、止められる人員の一人でもあり、茜音沢亡き今、あにまん高校で最強の存在でもあった。

    (結局、吾輩たちの代が異能者や超人の質は全盛期だったな)

     奇跡の世代だったと、研究者たちは言う。

  • 264◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:07:44

     そして奇跡の世代だったからこそ、殺し合いに拉致されたのだとNek-Oは推理している。

    (もっとも、弱いからといって、厄介でないかは別の問題だが)

     高校卒業後、気紛れで始めた教職だが、これが中々面倒くさい。
     生徒の立場では見えてこなかった物が色々と見えてくる。
     きっとこの視点は、茜音沢も同じだったはずだ。

    (——どれほど辛かったのだろうなぁ)

     きっと、茜音沢はNek-Oよりも生徒のことが好きだった。
     そんな彼が自らの手で生徒を殺さざるを得なかった程の絶望。
     誰もが茜音沢を加害者と捉え、そしてその認識は正しいことをNek-Oも認めつつ、唯一彼より遥かに年長だった者として、僅かばかりの同情を、Nek-Oは茜音沢に抱いていた。教職に就いたのも、それが理由か。
     ふぅとNek-Oが憂鬱げな息を吐いたとき。

    「兄ちゃん、大変だよ!」

     階段の上から、少女がひょっこりと顔を出した。

  • 265◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:08:20

    「……夏目、学校では先生と呼べ」

    「あ、ごめん! でも、大変なんだよ!」

     夏目と呼ばれた少女は慌てて、大変、大変と繰り返す。
     彼女は、名目上は、Nek-Oの妹になる。名は、夏目漱子。かつてNek-Oがあにまん高校に通うことを決めた際、住居を提供した研究者夫妻、その一人娘である。
     今年からあにまん高校に入学した彼女は、よりにもよってNek-Oのクラスに配属され、学校でも家と同じ調子で兄ちゃんと呼ぶ。その度に訂正しているが、10月になっても未だに治らない。というかたぶんわざとやっている。

    「それで、どうしたというのだ」

    「喧嘩だよ喧嘩!」

    「それはまずいな」

     Nek-Oの受け持つクラスには、Nek-Oがあにまん高校の現最強ということもあってか、一年生の中でも問題児が集められている。Nek-Oの時代の石川や小田斬に比べれば可愛いものだが、それでも生徒同士でぶつかり合えば大怪我、最悪死ぬことすらありえる。

    (生徒同士の殺し合いなど、洒落にもならんぞ)

  • 266◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:09:01

     一足跳びで階段をジャンプし、Nek-Oは夏目に詳細を尋ねた。

    「喧嘩しているのは誰だ?」

    「金木と歯荷だよ! 金木が無神経なこと言って歯荷がキレたの!」

    (ふむ、その二人なら大事にはならないか……)

     金木、とは金木冥の妹、金木天。文芸部に所属していて、品行方正で真面目だが、たまに毒を吐く。かつて金木冥は薄っぺらな邪悪と形容されたが、金木天は一滴の邪悪だ。極々稀に失言が元でトラブルを起こしている。
     歯荷は、歯荷仄花の妹、歯荷知花だろう。女子ダンス部に所属しており、一年生時から既に頭角を現している。歯荷のような異能は持っていないが、勉学も運動能力も高水準のハイスペック女子だ。

    「ちなみに金木は歯荷に何と言ったのだ」

    「『君のお姉ちゃん、本当にダンサー? 芸人じゃなくて?』」

    「そりゃあ怒るだろ……」

    「『検索で歯荷仄花って打つと、候補にコモドドラゴンって出るんだけど』」

    「あやつは何をしておるのだ……」

     しばらく会っていない戦友の悲しい現状に、Nek-Oは心を痛めた。

  • 267◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:09:40

     そうこうしているうちに1年1組の教室に辿り着く。
     Nek-Oは器用に肉球でドアをスライドさせ、教室の中に飛び込んだ。
     パーンとクラッカーの音が響く。

    「「「ニャンコ先生、お誕生日おめでとう~!」」」

     想定外の事態に、Nek-Oはぱちくりと目を見開いた。

    「えへへ、兄ちゃん、サプラーイズ!」

     後ろで夏目がきゃはきゃはと笑い声を挙げている。

    「ニャンコ先生、今日誕生日らしいなんだってね」

     と、金木天は折り紙で作ったカラフルな冠をNek-Oの頭に被せる。

    「皆でお金出し合って、ケーキ買って来たんです。さぁ、ここに座って」

     歯荷知花に誘導されるがまま、Nek-Oは用意された椅子に座らされる。
     そこに蝋燭がたくさん刺さったケーキが運ばれてきて、Nek-Oの前に置かれた。

    「さ、電気消して」

    「ハッピバスデートゥーユー」

  • 268◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:10:01

     生徒たちに祝われながら、Nek-Oは蝋燭の数を数える。三十二本の蠟燭は、Nek-Oの実年齢と比較してあまりにも少なかったが、そんなことは大して気にならなかった。
     長ければいいというわけでもない。
     たった一日がNek-Oの心に強く刻まれたように、短くとも尊いものがある。
     少なくとも、この日をずっと覚えているだろう。あの五年前の日のように。
     そう思い、Nek-Oは蝋燭に息を吹きかけたのだった。

    【Nek-O END】

  • 269◆xaazwm17IRZa23/10/15(日) 02:11:05

    投下を終了します……!

    感想&保守ありがとうございます……!

    続きは明日投下します……!

  • 270二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 02:13:48

    猫、狼、蛇と適任が多いし動物カフェ気になりすぎるな

  • 271二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 02:16:46

    平和な日常が今までとの対比でなんかしんみり来て泣けるな

  • 272二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 02:17:47

    後輩といえばちいかわちゃんはなかなか強かったよね
    強制成仏の能力は堀木くんとかドラギモスに当たってたら危なかった

  • 273二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 07:58:15

    みんないろんな道を歩んでるんな…五年も経てば反バトロワや母校の教師やコモドドラゴンと共演する人間にもなるか

  • 274二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 16:01:42

    保守

  • 275二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 18:05:47

    歯荷ちゃんはリアクションでかいしオタク度高いし絶対テレビ映えするからな……

  • 276二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:25:52

    順番的に次はマネモフルか…?いよいよ終わりが近づいてきて寂しいな

  • 277◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:00:22

    投下します……!

  • 278◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:00:52

     人の侵入を拒むような鬱蒼と生い茂る原生林、その最奥で拳をぶつけ合う二人の男が居た。
     奇妙なことに、どちらも同じ体格、同じ服装、同じ顔をしている。
     二人の男は互角の戦いを繰り広げていた。

    「しゃあっ 真空!」

    「ぶへへ 破心掌」

     攻撃は相殺されあい、二人は同時に後方へ弾き飛ばされる。

    「くっ……」

     が、その結果は明暗が分かれた。
     一人は血を吐き出して蹲る。
     もう一人は汗をかきながらもしっかりと立っていた。

    「怒らないで下さいね 修行ってバカみたいじゃないですか」

    「しゃあけど 儂はお前を屈服させて、人格を一つにするんです 儂の気持ち、分かってください」

    「どうして病院へ行かずにこんなところへ来たの?」

  • 279◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:01:20

     高校卒業後、マネモフルは山へ籠り、自らの野蛮性を抑える特訓を開始した。
     そして遂に、修行の最終段階、自らの野蛮人格との対決を迎えようとしていたのだった。

     「「しゃあっ」」

     二人同時に駆け出し、共に技を繰り出し合う。
     技量は互角、肉体性能は互角。
     差がつくとすれば

    「ぐぅ……」

     凶暴性の違いか。
     フェイントのかけかたや、技の繰り出し方は、野蛮人格の方が上だった。
     徐々に、善のマネモフルの傷が増えていく。

    「殺し合いで生き残ったのに、ここで死ぬ。人生の悲哀を感じますね」

    「儂は死なん お前に勝つまでは……!」

    「ふうん そういうことか」

  • 280◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:04:08

    マネモフルは再び悪のマネモフルに攻撃を仕掛けるが、その動きは精彩を欠いていた。

    「なめてんじゃねぇぞ!こら!(ゴッ)」

     側頭部を強く殴られ、マネモフルは大地を転がる。

    「エピローグでは死なないというルールは撤回された」

     そう言って、悪のマネモフルは善のマネモフルに拳を振り下ろし——。

    「ここからきえる(猿空間)」

     善のマネモフルの姿が掻き消える。

    「なにっ」

     驚愕する悪のマネモフル。
     その無防備な後頭部に、善のマネモフルの一撃が命中した。

    「ウ…ウソやろ こ…こんなことが こ…こんなことが許されていいのか」

     それを最後の言葉に、悪のマネモフルは姿を消したのだった。

  • 281◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:04:38

    終わったか、とマネモフルは思う。
     否、終わりではないのだろう。
     精神世界を探れば、完全に野蛮な人格を消し去れたわけではないと感じ取れる。
     油断すればまた五年前のような過ちを繰り返してしまう。
     生涯をかけて、マネモフルは自らの異能と向き合わなければならない。
     困難な道だろう。だがそれは、殺人者でありながら生きて帰ってしまったマネモフルの贖罪なのだ。

    「ほしのおうじさまと こうふくなつばめ(君だけに背負わせないさ マネモフル)」

     精神世界からねうねいに語り掛けられ、マネモフルは穏やかに微笑んだ。彼女にはずっと支えられっぱなしだ。
     一応、修行にひと段落はついた。久しぶりに下界に帰ろうとマネモフルが足を踏み出したとき——。
     強烈な気配を、周囲に感じた。
     マネモフルはすぐに臨戦態勢をとる。
     この気迫は、野生動物のそれではない。
     そして、茂みを掻き分けるように現れたのは、四人の人影だった。

  • 282◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:05:11

    全員、初見である。

    (殺し合いの関係者か……?)

     マネモフルは警戒を強める。

    「お前ら、何者や?」

     沈黙が、森を支配する。
     そして——。

    「私は……!!! "一時の力"を得るために!!!… 命を削る水を… "豪水"を飲んでいる
     もはや…数分の命………助からぬ!!!」

    「この無能が クソの役にも立たねぇじゃねぇか」

    「内緒やで 術士が道具に頼るのダサイと思っとんねん」

    「心の強さでもう一杯!」

    「な…なんだあっ」

     唐突に口を開いた四人のキャラの濃さに、マネモフルは驚愕した。

    「お…お前ら 変なクスリでもやってるのか」

  • 283◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:05:56

    「ちゃかさま ざおさが なおや どりとらい(違うよマネモフル、彼らは君や私と同じ……)」

    「そういうことか……!」

     自分たちと同じ境遇の者がまだ居たのだ。
     マネモフルはそのことに頼もしさを感じ——同時に危機感を覚えた。
     見たところ、彼らは五年前のマネモフルと同じく、凶悪な人格に呑まれている。
     非常に危険な存在だ。
     所詮、赤の他人。
     ここは逃げるのが正解だろう。
     けれど。

    「これ以上は危険や 彼らを止めるぞ」

     マネモフルは救う道を選んだ。それもまた、贖罪の一つである。

    「敵わぬ…ポロッ」

    「あんた…その意味わかって向かってくるのか」

    「疾風迅雷やね」

    「心が強ぇ敵なのか……?」

  • 284◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:06:25

    四人は戦闘態勢を取るマネモフルに動揺する。
     マネモフルは気づいていた。彼らの瞳の奥に、哀しみがあることを。

    「しゃあけど なんぼでも受けとめたるわ」

      マネモフルは四人に向かって駆けだした。

    「たふということばは まねもふるのためにある(私たちの戦いは、これからさ)」

    【マネモフル=タマネ END】

  • 285◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 01:09:06

    投下を終了します……!

    いつも感想や保守をありがとうございます、最後の最後まで応援していただきとても嬉しいです……!
    次の投下はかなり間隔が空いてしまうのですが、水曜夜を予定しています

    それでは本日もありがとうございました……!

  • 286二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 01:15:20

    直哉とかトルトゥーガに混じって邪悪な人格扱いされるツメゲリ部隊かわいそうすぎるだろ

  • 287二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 01:28:04

    1スレ目のトップバッターがタフネタで荒れないかと杞憂していた それがボクです
    マネモフル…すげぇ 語録で笑いを誘いつつ本人のキャラもしっかり立ってるし

  • 288二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 01:59:30

    まさかこんなに感動させてくるキャラになるとは思わなかったわ本当に
    2人の過去編のしっとりした雰囲気が好きだったからねうねいちゃんも健在でほっとする

  • 289二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 02:02:05

    4人とかいうから一瞬爆弾卿四天王が復活したかと思って草

  • 290二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 02:02:23

    マネモフルがいることがなんやかんやあにまんらしさであった。おかげでボルガが行きやすかったです(隙自)
    しかしなんじゃあこのネット・ミームの哀しき被害者達は…

  • 291二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 02:12:52

    そういやセピアさんと四天王以外のボルガ配下はまだ本土にいるんだよな
    篠宮くんはそいつらと戦うことになりそうだ

  • 292二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 02:45:12

    しかしスレ主ねうねい語を最後まで使いこなしてたのすごいな

  • 293二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 08:43:13

    ドリトライの異能者もドリトライの登場人物全ての人格が入ってるんだろうか

  • 294二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 10:29:30

    ドリトライの異能者とかいうパワーワード

  • 295二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 12:21:25

    このレスは削除されています

  • 296二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 14:28:50

    ねうねい語に何か法則性とかあるんだろうか
    そのワード選びは何処から来てるんだろ

  • 297二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 20:27:19

    ⭐️

  • 298◆xaazwm17IRZa23/10/16(月) 20:28:26

    保守代わりに補足を……
    ねうねい語は基本的に台詞→ノムリッシュ翻訳→ひらがなで童話風で書いていました

    例:【明日は単語テストがあるよ】→【永遠が終わるその時は単語全ての者が己の人生の頂きの景色を見る為に与えられる通過儀礼が存在を維持しているよ】→【とけいのはりがじゅうにじをさしたよ、さあやまにのぼろう(明日は単語テストがあるよ)】

    制作者様の意図するねうねい語とはズレていると思いますし、場合によってはまったく違うルールで書いているときもありますが(マネモフル→まねもぶなど)……

  • 299二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 00:51:34

    ノムリッシュ草

  • 300二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 07:11:49

    単語全ての者が己の人生の頂きの景色を見る為に与えられる通過儀礼で草
    ノムリッシュ翻訳ツールには「単語」から変換できるワードは無いんだな

  • 301二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 11:47:40

    ほしゅ

  • 302二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 20:40:08

    保守

  • 303二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:06:27

    明日の夜は姫氏原ちゃんか

  • 304二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:48:39

    このレスは削除されています

  • 305二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 22:25:44

    元堀木くんのその後が一番気になるわ

  • 306二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 22:41:14

    回想とかでも良いから久々に喋ってる堀木くんが見たいな

  • 307二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 08:11:33

    夜を楽しみに
    保守

  • 308二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 16:09:40

    保守

  • 309二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 18:44:40

    狛村隊長みたいに姫氏原家のペットとして飼われるんだろうか

  • 310二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 19:15:01

    堀木くん男子高校生だし恋人のペットになるのは割と尊厳破壊なのでは…?
    あと不老不死っぽいのも地味にキツい

  • 311◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:01:37

    投下します……!

  • 312◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:02:11

     堀木くんの夢を見た。
     正確には、人間に戻った堀木くんの夢だ。
     可愛らしい狼の姿でもなく、かっこいい人狼の姿でもなく、痛ましい火傷を負った姿でもない、あの殺し合いが始まる前の、究極のメス男子である堀木くんが、私の夢に現れた。

    「小毬😆」

     堀木くんが楽しそうに笑っているのを見て——私は強い自己嫌悪に襲われた。
     これは夢だ。私の深層心理を表しているに違いない。
     私は、私を庇って火傷を負った堀木くんより、今一緒に暮らしている狼になった堀木くんより、昔の堀木くんの方が良いと思っているのか。
     ——なんて、醜い女なんだろう。

    「違うよ(*’ω’*)」

     と、堀木くんは私の心を読んでいるかのように、楽し気に笑った。

    「小毬が望んだんじゃなくて、姫がこの姿を望んだんだ😋」

    「堀木くん自身が……?」

  • 313◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:02:48

     私の夢なのに……?
     それともこれは堀木くんの夢で、私こそが堀木くんが想像したイマジナリー小毬なのだろうか。

    「どっちだっていいじゃん('ω')」

     堀木くんらしい答えだった。

    「姫ね、どうしても小毬に伝えたいことがあったから、こうして夢の中に出てきたんだ🥳」

     伝えたいこと……? 

    「姫たちさ、別れよう(-_-)」

     ——え?


    「元々さ、遊びだったんだよね😎」

    「悪霊憑きの女の子を恋人にしてるなんて、サッカー部の友達に自慢できるでしょ(‘ω’)」

    「でも、人間辞めた今となっては、意味ないしね🥺」

  • 314◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:03:24

    「だからお終い♪ バイバイ小毬~★」

    「堀木くん」

     私は——呆れてしまった。

    「嘘つくの、下手すぎでしょ」

     ぎょっとしたように、堀木くんの笑顔が強張る。
     ああ、この人は、何て分かりやすいんだろう。

    「私と別れたいのは、別の理由があるんでしょ。正直に言ってよ……一緒に考えるから」

    「……小毬に問題があるんじゃないよ(*_*) ただ、もう姫と小毬には、断絶がある😭」

    「そんなもの、ないよ」

     私の否定に、堀木くんは微笑を浮かべて首を振った。

    「ねぇ、小毬は獣になった姫をずっと恋人扱いするの? 残りの長い人生を、狼と心中するつもり?」

    「え、そのつもりだけど……」

  • 315◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:04:02

     どうして当たり前のことを聞くのだろう。
     私が首を傾げていると、堀木くんは困ったように頬を掻いた。

    「姫は嫌だね😠」

    「どうして?」

    「小毬が、こんな可愛い女の子が、もう居ない人間の面影を引き摺って一生を不意にするなんて、世界に対しての損失だよ(-_-)」

    「堀木くんは、ここにいるよ」

     現実世界でも、布団の下で私が抱きしめているはずだ。
     文化祭も一緒に動物カフェを盛り上げたし、つい先日の卒業式も一緒に参加した。
     私と堀木くんは一心同体、これまでも、これからも。

    「姫は、小毬の人生の鎖になりたくない」

     ああ、それは堀木くんの、偽りざる本心だったのだろう。
     まっすぐこちらを見据えた表情は、真剣そのものだった。
     あの殺し合いでしか見たことがないような、そんな顔だった。

    「だから、お別れだ」

  • 316◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:04:39

    「待って——!」

     手を伸ばす。
     悪霊の腕ではない。私の脆く華奢な腕を伸ばす。
     指先が堀木くんの頬に触れる前に、世界は暗転し、私はベッドの上で飛び起きた。
     そして——傍で眠っていたはずの堀木くんは、姿を消していたのだった。



    「はぁ……」

     一年前に起きた悲劇を思い出し、姫氏原は深いため息を吐いた。
     あれから堀木彩は見つかっていない。仲間たちにも相談したが、未だに発見には至っていない。

    「だからですね、私はこの村に来たんです。ここって、かつて人が獣に変わったという古い言い伝えがあるんですよね。まぁそんなものは世界中にあるんですけど、私がここを選んだのは」

    「黙れ!」

     そう言って、白服の男は刀を姫氏原に振り下ろした。

  • 317◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:05:09

     が、白刃が姫氏原に触れる前に

    「ごはっ!」

     男は、透明な巨人に殴られたかのように吹き飛ぶ。
     その放物線を視界に入れることもなく、姫氏原は滔々と語る。
     ——自分を囲む、武装した集団に語り続ける。

    「ある情報筋から、この村では【人を人狼に変える実験】が行われていると聞きました。一種の生物兵器を作る研究だとか。何でも、かつて狼に変身できた異能者を素体としているんでしたっけ」

    「貴様……どこまで知っている」

    「調べただけです」

     白服の集団は武装している。
     剣、ナイフ、そして、銃。
     若い女一人、ましてや丸腰の女一人、簡単に料理できる。
     そう考え、彼らは村を訪れた姫氏原を拉致しようとし、今に至る。
     周囲に転がるのは、近づこうとして吹き飛ばされた白服たち。

  • 318◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:05:48

     屈強な男たちは、いずれも一撃で気絶していた。

    「この、クソ異能者が……!」

     白服の一人が自動小銃を姫氏原に向け、撃った。
     人を容易くミンチに変える銃弾が姫氏原に降り注ぎ。

    「……そんな馬鹿な」

     全て、空中で静止していた。
     面倒くさそうに、姫氏原が指を傾けると、銃弾は重力に従って落下する。

    「あの、これ以上無駄なことしないでくれませんか? 私、無駄が嫌いなんです」

     少しでも早く堀木くんに会いたいので、と姫氏原は言った。

    「あなたたちがすごい悪い組織だってのは分かってます。けど、私は別に正義の味方じゃないし、私だって人殺しです。だから研究資料だけ渡してくれたら、それでいいんですけど」

    「ふざけるなよ、メスブタめ……! おい、試作品を出せ!」

    「ですが、あれはまだ調整が……!」

    「構わん、ここで全滅するよりマシだ」

  • 319◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:06:18

    「だーかーら、私から襲うつもりは……」

     どうして邪魔するんだろう、と姫氏原は疑問に思った。
     ただ、堀木くんに会いたいだけなのに。
     堀木くんが私の傍に居られるように、人間に戻す方法を探しているだけなのに。
     お金を求められたら頑張って稼いで渡すし、異能を求められれば実験にだって付き合う。(もちろん、堀木くんが悲しむことはしないけどね)
     それなのに、最初から臨戦態勢だから話にならない。
     ぎゃああああああああああああ! という男の断末魔が聞こえた。
     そして、白服を手あたり次第に捕食しながら、五m程のサイズの三つ首の怪物が姿を表す。

    「我が結社の最高傑作、魔獣ケルベロス! 果たして貴様の異能で倒せるかな?」

    「うーん、もしかして堀木くんとは別系統……?」

     堀木くんは人狼だったり狼だったりしたけれど、首が三つになったりはしなかった。もしそうなったら大変だ。キスするときにとても困ってしまう。
     えっと、つまり、無駄足を踏んだかもしれない。

  • 320◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:06:47

     でも一応、情報は貰っておこう。

    「行け、ケルベロス!」

     ケルベロスは、姫氏原に向かって突進する。
     姫氏原は、悪霊で迎え撃つ。
     ケルベロスは、遅い。堀木と比べれば、天と地ほどの差だ。
     ただ

    「ん、パワーは堀木くんよりあるかも」

     悪霊が押されている、と姫氏原は感じ取った。
     姫氏原の悪霊は機関銃の弾丸を掴み取り、乗用車をひっくり返すパワーを持つが、それでもケルベロスの膂力はそれを凌駕している。
     苦し紛れに顔を殴りつけるが、痛がりこそすれ、攻撃を止める様子は無い。
     白服のリーダー格の男に、勝利の笑みが浮かんだ。

    「さすがに一体じゃ苦しいかな……」

     仕方ないと姫氏原は立ち上がった。

    「あんまり時間かけたくないし——悪霊、50体追加」

  • 321◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:07:26

     瞬間、ケルベロスの全身が凸凹に歪んだ。
     苦悶の声を挙げ、地に伏せるケルベロス。
     腰を抜かしたリーダー格に近づき、姫氏原は笑顔を向けた。

    「それじゃあ、研究資料をお願いします😄」



    『……なんか一人だけインフレしてません? 精神と時の部屋でもお使いになられました?』

    「うーん、ほら、茜音沢先生と戦ったとき、たくさんの霊に協力してもらったじゃん。あの時に、コツを掴んだっていうか……」

    『……掴んだコツをいつまでも覚えていられるというのは、素直に羨ましいですわ。私は、あの殺し合いで得た技能を、全て失いましたから』

    「それでも、残るものはあったんでしょう?」

    『……ええ』

    「私もだよ。うん、本当にありがとうね、情報教えてくれて。堀木くんの人狼化と直接結びついているかは分からないけれど、これでまた堀木くんを人間に戻すことに一歩近づいたから」

  • 322◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:07:56

    『正直、想像以上にヤバい場所に元クラスメイトを向かわせてしまった私の立場としてはローリング土下座決めたいところ何ですけど……。すいません、次からはもっと情報を精査致しますわ』

    「いいよ、たぶんある程度危険な場所じゃないと、たぶん情報は手に入らない。堀木くんはあの殺し合いで人狼化した……あの、暗黒金持ちがたくさん関わってた殺し合いに……だったら、情報もきっと暗黒に近いところにしか、ない」

    『……堀木さんに変わってご忠告いたしますけど、あまり危険なことに首を突っ込むべきじゃありませんことよ? 貴女が怪我をして一番辛いのは、きっと……』

    「分かってる。今回は危険が少なかったけど、本当に危なかったらすぐ逃げるよ」

    『分かればいいんですのよ。…………姫氏原さん、もう一つ、貴女にお伝えしたい情報がありまして』

    「何?」

    『北欧で、人語を介す狼が目撃されたそうなんですのよ。あの地には、狼の森と呼ばれる危険な場所があるという伝説が残っていまして……』

    「それが、堀木くんか……」

  • 323◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:08:57

    『あるいは、堀木さん以外の人狼か……。ただ、狼の森は危険な場所。一人で行くことはオススメしませんわ。……どうしても行くのなら、Nek-Oさんと、後、先日マネモフルさんから連絡があって、要領を得なかったんですが、四人の修行仲間的なのが出来たみたいで、今度私のYouTubeチャンネルに全員で出演してくれるそうなんですの。彼らにも協力を仰げばもしかしたら……』

    「うーん……」

     危険な場所に、仲間を突き合わせられない。
     けれど、Nek-Oやマネモフルが居れば、安心だという気持ちもある。
     自分が傷つけば、堀木も傷つく。
     姫氏原はそれを理解していた。

    『それにしても、卒業して一年経つのにお熱いですわね。胸やけしてきますわ』

    「違うよ、私と堀木くんは、今、恋人じゃないの」

     姫氏原は決めていた。
     もう一度堀木に合ったとき、改めて好きだと伝えよう。
     そして、もう一度恋人同士になる。
     その時のことを考えて、姫氏原の胸は高鳴った。

  • 324◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:10:13

    「今の私は、堀木くんのストーカーだよ」

    『ええ……』

     堀木彩を探す。
     堀木彩を人間に戻す。
     両方やらなくちゃいけないのが、ストーカーの辛いところだ。

    「覚悟なんか、とっくに出来てるんだから」

     姫氏原小毬が、堀木彩と再会するまで、残り■■日……。

    【姫氏原小毬 END】

  • 325◆xaazwm17IRZa23/10/19(木) 01:12:01

    投下を終了します……!

    三日間感想や保守をありがとうございます、すでにロワが終了しているにも関わらず長引いてしまい申し訳ありません……!

    次の投下は土曜日夜の予定です……!

  • 326二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 01:28:54

    投下乙です
    堀木くん…… 姫氏原ちゃんの幸せを本当に願って姿を消すの、すごく彼らしいなあ
    そして彼を追う姫氏原ちゃんが力だけでなく心も本当に強くなったなあと感じる
    二人がいつか必ず再会できることを信じたいね

  • 327二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 01:53:04

    こういう希望が見える終わり方大好き

  • 328二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 06:19:43

    ストーカーされてた女が今度は好きな人のストーカーを自称しだしたの上手く言えないけど面白いな

  • 329二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 06:24:20

    小鞠ちゃん強くなったな……

  • 330二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 08:35:23

    先生が強すぎるせいで忘れてたけどこの二人は殆どの黒服ホルダーより強くなってたんだった

  • 331二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 11:03:43

    今更だけど堀木くんの一人称を姫、語尾に('ω')をつけたのは良いキャラ付けだったな
    序盤は絶対本性隠してるサイコパスキャラだと思ってたけどそんなことはなかった

  • 332二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 16:56:09

    ほし

  • 333二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 20:41:20

    歯荷ちゃんが人生楽しそうで何より
    気づいたら推しになってたんや

  • 334二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 06:05:06

    ほしゅ

  • 335二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:32:10

    保守ですわ

  • 336二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:37:35

  • 337二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 21:38:05

    次は千頭之かな?

  • 338二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 05:40:55

    >>328

    なんだろ……類友?

  • 339二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:36:03

    姫氏原ちゃんすごく好きなキャラだったからエピローグが終わってもう出てこないのシンプルに寂しいな

  • 340二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:38:18

    もしかしたら別キャラの話で出てきてくれるかもしれない

  • 341二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 18:50:05

    保守 ついに今夜

  • 342◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:08:47

    投下します……!

  • 343◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:09:19

     正気の沙汰じゃ無かったな、と千頭之は思った。
     目の前で展示されている、旧日本軍の戦車を観賞した上での感想だ。
     正確には、千頭之は展示されている戦車を見ているわけではない。
     千頭之が見ているのは、記憶だ。この戦車と同じ型のものに乗り込み、斧を振り回す女神像と戦った記憶を思い出し、結論付ける。——正気ではなかったと。
     殺し合いという極限状態では、色々と麻痺するらしい。
     元々千頭之のキャラクターとしては蛇のようにローテーションの、マイペース少女だったはずなのだ。間違っても戦車に乗って勇敢に敵と戦うキャラクターじゃない。

    (もう五年前か)

     当時は18歳の女子高生だった。
     今は23歳の会社員だ。背も伸びておらず、体形に変化もなく、頭脳や身体能力に変化もない。ただ、歳だけ取った。といっても老化の兆しもまったくなく、千頭之にとっては本当に時間だけが流れてしまったという印象なのだ。
     殺し合いの一日は、人生で一番長い一日だった。
     それに比べると、意図して堅実に歩んできたのもあるが、千頭之の五年間はあっという間だった。

  • 344◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:09:45

    (これは再会の日も思ったより近いかもな、鰐淵、ストーム)

     自殺する気も早死にする気もないが、こうも時間感覚にルーズだと、あっという間におばあさんかもしれない。
     周囲に人だかりはでき始め、千頭之は静かに、展示物から離れた。
     人混みは苦手だ。
     蛇などの爬虫類は変温動物だ。周囲の温度に合わせて自身の体温を変化させる。
     千頭之も似たような傾向があると自認している。
     殺し合いという異常な状況では、周囲の熱気に呼応して、千頭之もまた熱く戦ったが、終わってみれば熱も冷めてしまう。
     殺し合いを乗り越えたからといって人混みが得意になったりはしない。

    (そもそも、殺し合いで失うことはあっても、得ることはないだろ)

     と、思う。
     殺し合いを得て成長した仲間もいる。
     千頭之自身、殺し合いが無ければたまたまた同じクラスになった哺乳類を、生涯の仲間と認識することもなかっただろう。

  • 345◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:10:16

     だが、殺し合いが無くても卒業するころには同じくらい仲良くなっていた可能性だってあるはずなのだ。
     そして、亡くなった生徒とは、二度と絆を深めることは出来ない。

    (もし殺し合いが無ければ)

     千頭之は周囲を見渡す。
     広い空間に陳列される、数々の展示物。

    (たぶん私は、鰐淵と一緒にここに来ていたはずだ)

     二人ともOLになり、たまの休みを合わせて、共通の趣味を満たせる場所に行く。そんな人生を送っていただろう。
     こうやって、博物館に二人で足を運ぶことだってあったはずなのだ。
     頭を振って、千頭之は再び歩きだした。
     この博物館で一番の大目玉を観に行こうと思ったのだ。
     すでに人だかりが出来ているため至近まで近づくことはしないが、遠くからでもその威容ははっきりと見える。

    (王さま)

  • 346◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:10:45

     ティタノボア。地上最大の蛇。その再現模型を前にして、千頭之は王に思いを馳せる。
     どうして彼が千頭之たちに協力してくれたのか。そしてNek-Oとどんな因縁があったのか、詳しくは知らない。
     ただ、彼が居なければ、千頭之がここに立っていることはなかった。
     ティタノボアだけではない。ストームも、芝野も、瀧沢も、星峰も、多くの仲間の犠牲によって自分は生かされている。
     千頭之は模型に背を向けた。
     観たいものはだいたい観れた。
     明日も出勤だ。早めに帰ってぐっすり眠ろう。
     そう思い、出口を目指して。

    「——刀、か」

     展示された、古い日本刀に目を奪われる。
     名刀、では無いのだろう。
     近くに住む老人が寄贈した、江戸中期の打刀。

  • 347◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:11:57

     立ち止まる者もほとんど居ない展示物。それに、強烈に惹かれる。

    「——鰐淵」

     過去を想起していたからだろうか。
     喉から言葉が漏れた。

    「——どうしてお前は、ここに居ないんだよ」

     抱えていた思いが、零れる。
     頬を熱いものが伝った。
     帰ろう。
     留守番をしているアラシとコサメを可愛がって。
     お手軽に晩御飯を作って。
     ゆっくりとお風呂に浸かって。
     そして、一晩、慣れない喪失感に浸ろう。
     明日から、また頑張るために。

    (止まってられない)

     どれだけ傷ついても、欠けていても、苦しくても。
     生きている限り、前に進まなくては。
     ハンカチで涙を拭うと、千頭之は今度こそ出口へ向かって歩き出した。

    【千頭之のづち END】

  • 348◆xaazwm17IRZa23/10/22(日) 03:12:54

    投下を終了します……!

    次の投下は、水曜夜の予定です……!

    本日も感想&保守を、ありがとうございました……!

  • 349二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 04:30:16

    改めて亡くなったメンバーの名前を見ると切なくなるな
    そしてエピローグも次で最後かな?終わりが近づいてきてる……

  • 350二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 09:02:48

    乙でした〜
    千頭之ちゃん生き残りのメンバーを生涯の仲間と認識してるのか…悪いことばかりじゃなかったんだな

  • 351二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 18:17:59

    保守

  • 352二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 20:52:27

    死亡キャラを回想することの多かった千頭之ちゃんだけど、その中に絶対毎回現地ペットのストームもいるのが好きなんだよね

  • 353二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 00:19:22

    補修

  • 354二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 08:43:35

    保守ですわ

  • 355二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 15:28:29

    干し揚げ

  • 356二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 23:07:19

    他の生徒と違い最愛の存在を失ったけどこれからも強く生きててほしい

  • 357二次元好きの匿名さん23/10/24(火) 08:06:04

    しゃあっ

  • 358二次元好きの匿名さん23/10/24(火) 14:20:37

    ほしゅろう

  • 359二次元好きの匿名さん23/10/24(火) 21:46:54

    次は歯荷ちゃんかな

  • 360二次元好きの匿名さん23/10/24(火) 22:40:16

    歯荷ちゃん終盤までのメイン戦力になるとは思わなかったよ……あの小物っぷりに加えて里見殺したので完全に敵対ルート入るかと思ってたのに
    咄嗟に庇ってくれた星峰くんのお陰だわ

  • 361千頭之投げた人23/10/25(水) 07:18:26

    後れ馳せながら完結お疲れ様でした!
    初陣の相手が初期マネモフルだったり相方の愛が重かったりなんだかんだで常識人枠に落ち着いたり死の淵から蘇ったり終盤でご先祖様が生えてきたり……思い返せば本当に色々ありましたね
    生みの親として千頭之のづちの生還をこの目で見届けられてよかったですし、しっとりした雰囲気の後日談もこれまた最高です
    OLになっても身長は伸びないのかわいいね

    スレ主さん、七ヶ月間の楽しみをありがとうございました……!一緒に戦った同級生の皆も愛してるよ!!

  • 362二次元好きの匿名さん23/10/25(水) 12:39:54

    予定通りなら今夜は歯荷ちゃん

  • 363二次元好きの匿名さん23/10/25(水) 20:34:11

    ⭐️

  • 364◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 02:43:35

    歯荷パートが纏まらず、今夜中に投下は無理そうなので、適当にオリキャラ作ります

  • 365◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 02:58:06

    以前ダイスを振って兄弟設定を作ったので、適当に参加キャラの兄弟を作ります


    ダイスが高いほど参加キャラに似ています


    【星峰家長男】家族仲66(かなり良好)

    【名前】星峰 洋(ほしみね あきら)

    【年齢】星峰灼より+dice1d6=2 (2)

    【性別】男

    【外見】dice1d100=9 (9)

    【部活】dice1d100=83 (83)

    【趣味】dice1d100=26 (26)

    【好きなもの】dice1d100=84 (84)

    【嫌いなもの】dice1d100=32 (32)

    【性格】dice1d100=67 (67)

    【特技】dice1d100=32 (32)

  • 366◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:11:59

    【星峰家長男】家族仲66(かなり良好)
    【名前】星峰 洋(ほしみね あきら)
    【年齢】20
    【性別】男
    【外見】大柄で筋肉質。
    【部活】吹奏楽部(コントラバス)
    【趣味】作曲・ランニング
    【好きなもの】心地いい音色・穏やかな性格環境音
    【嫌いなもの】灼と比べ、耳障りな音、不快な匂いに耐性がある
    【性格】穏やかよりでそれなりに思慮深い。まあまあ器用だが、人を頼ることが多い。
    【特技】盲目でもなく、異能の聴覚も有していないので、一般吹奏楽部員程度には耳が良くリズム感がいい程度。
    【詳細】星峰灼の兄。星峰家長兄。異能者でもなく、音楽の天才でもないが、優しい兄で兄弟から慕われている。

  • 367◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:15:16

    【キルコ兄】


    【名前】霧田キルオ

    【年齢】霧田キルコより+dice1d6=4 (4)

    【性別】男

    【外見】dice1d100=68 (68)

    【部活】dice1d100=87 (87)

    【趣味】dice1d100=13 (13)

    【好きなもの】dice1d100=76 (76)

    【嫌いなもの】dice1d100=66 (66)

    【性格】dice1d100=88 (88)

    【特技】dice1d100=11 (11)

  • 368◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:28:40

    【キルコ兄】

    【名前】霧田キルオ
    【年齢】22
    【性別】男
    【家族仲】46……普通よりちょい低め
    【外見】黒髪短髪、切れ長の瞳、背は高め
    【部活】不良
    【趣味】両親からは多趣味と思われている
    【好きなもの】基本的に無いが、強いて言えばコイントス
    【嫌いなもの】基本的に無いが、強いて言えば妹がちょっぴり苦手
    【性格】妹と同じく主体性無し
    【特技】誰の命令にも従わず、コイントスで行動を選択する。妹と同様に学習能力は高いが、無作為に獲得するスキルを決めているため、柔道/盆踊り/ザリガニ獲りなどよく分からないスキル構成になっている。
    【詳細】キルコの兄。元ヤンの22歳フリーター。何でもコイントスで決める。バ先もコイントスで決める。傍から見ると多趣味の遊び人に見える。妹に恋愛相談を受けコイントスで答えようとしたら本気でどつかれて以来妹がちょっと怖い。

  • 369二次元好きの匿名さん23/10/26(木) 03:32:10

    このレスは削除されています

  • 370◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:34:33

    【篠宮三兄弟長男】



    【名前】篠宮織(しのみやおり)

    【年齢】篠宮纏より+dice1d6=4 (4)

    【性別】男

    【家族仲】13……最悪

    【外見】dice1d100=87 (87)

    【部活】dice1d100=33 (33)

    【趣味】dice1d100=4 (4)

    【好きなもの】dice1d100=67 (67)

    【嫌いなもの】dice1d100=75 (75)

    【性格】dice1d100=81 (81)

    【特技】dice1d100=53 (53)

  • 371◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:46:31

    【名前】篠宮織(しのみやおり)
    【年齢】22
    【性別】男
    【家族仲】13……最悪
    【外見】白髪のポニテ、篠宮纏そっくり
    【部活】大学で投資系サークル所属
    【趣味】絵画
    【好きなもの】スイーツ
    【嫌いなもの】いくら・うに、魚はまあ食べれる
    【性格】優しく真面目風だが他人に無関心
    【特技】武器を作る異能を持っているが、燃費がかなり悪い。透明化は出来ない。また、武器を扱うスキルもない。
    【詳細】家族仲最悪篠宮三兄弟の長男。現在大学四年生。自分の上位互換である弟を使い一儲けしようと画策し、弟から警戒されていた。将来の夢は武器商人。本編から10年後、新たな暗黒金持ちへと成長した織とアンカーのリーダーとなった纏の間で壮絶な戦いが繰り広げられることになるが、それはまた別の話。

  • 372◆xaazwm17IRZa23/10/26(木) 03:47:53

    本日はここまでとさせていただきます……!

    投下できず申し訳ありません……!

    次の予定としては金曜夜に今度こそ歯荷パートを投下できるよう努力します……!

    それでは、ありがとうございました……!

  • 373二次元好きの匿名さん23/10/26(木) 08:44:21

    乙です
    篠宮兄の設定ワクワクするな
    目裏兄とも何かしら関わりがありそう

  • 374二次元好きの匿名さん23/10/26(木) 18:10:01

    おつおつ

  • 375ドラギモス投げた人23/10/26(木) 18:33:05

    あっもしドラギモスの弟作るとしたら名前は虎肝ロンギヌスでお願いします

  • 376二次元好きの匿名さん23/10/26(木) 23:21:07

    ほしゅ

  • 377◆xaazwm17IRZa23/10/27(金) 04:35:08

    保守代わりのオリキャラ投稿


    【星峰家次男】


    【名前】星峰昭(ほしみねあきら)

    【年齢】篠宮灼より+dice1d2=2 (2)

    【性別】男

    【家族仲】66……かなり良好

    【外見】dice1d100=15 (15)

    【部活】dice1d100=1 (1)

    【趣味】dice1d100=92 (92)

    【好きなもの】dice1d100=40 (40)

    【嫌いなもの】dice1d100=63 (63)

    【性格】dice1d100=27 (27)

    【特技】dice1d100=32 (32)

  • 378◆xaazwm17IRZa23/10/27(金) 05:00:03

    【名前】星峰昭(ほしみねあきら)
    【年齢】20(星峰洋とは双子)
    【性別】男
    【家族仲】66……かなり良好
    【外見】洋と同じく大柄で筋肉質
    【部活】美術部
    【趣味】音楽鑑賞・芸術鑑賞
    【好きなもの】音楽も絵画もどちらかというと派手な方が好き
    【嫌いなもの】騒音はある程度我慢できる
    【性格】短気で直情的
    【特技】灼のように盲目や異能聴覚は無い。絵画の才能は一般部員レベル。
    【詳細】星峰四兄弟の次男。長男・洋とは双子。顔立ちや体格はよく似ているが、トトロのように穏やかな兄と違い、昭はすぐに手が出る性格。灼が小学生の頃、上級生に盲目を揶揄われた際には教室に殴り込みに行ったこともある。

  • 379◆xaazwm17IRZa23/10/27(金) 05:05:04

    せっかくなので今夜はもう一人


    【瀧沢兄】


    【名前】瀧沢曉(たきざわあかつき)

    【年齢】瀧沢魁より+dice1d6=6 (6)

    【性別】男

    【家族仲】87……めっちゃ仲良し

    【外見】dice1d100=73 (73)

    【部活】dice1d100=12 (12)

    【趣味】dice1d100=77 (77)

    【好きなもの】dice1d100=34 (34)

    【嫌いなもの】dice1d100=68 (68)

    【性格】dice1d100=100 (100)

    【特技】dice1d100=10 (10)

  • 380◆xaazwm17IRZa23/10/27(金) 05:13:57

    【名前】瀧沢曉(たきざわあかつき)
    【年齢】24
    【性別】男
    【家族仲】87……めっちゃ仲良し
    【外見】金髪ソフトモヒカン、背は低く童顔
    【部活】文芸部
    【趣味】アクション映画・小説の鑑賞
    【好きなもの】辛党・猫
    【嫌いなもの】流行
    【性格】気のいい気分屋。というか瀧沢魁とまったく同じ性格。正確には魁の方が兄の真似をしている節がある。
    【特技】枕が変わると眠れない/身体能力は低く格闘技の経験も無い。
    【詳細】口調や性格は男版瀧沢魁。バトルはもっぱら観る専。魁がジークンドーを始めてからはマネージャーのような活動もしている。

  • 381◆xaazwm17IRZa23/10/27(金) 05:14:33

    以上です

    明日の夜には歯荷パート投下の予定です……!

  • 382二次元好きの匿名さん23/10/27(金) 13:21:05

    保守…楽しみだ

  • 383生き残った暗黒金持ち23/10/27(金) 14:08:21

    でもただのバトロワじゃねぇぞ…
    何度でも心の強さで立ち上がりバトロワを開催する…

  • 384二次元好きの匿名さん23/10/27(金) 18:00:43

    ドバトロワだ!……語呂が悪い!

  • 385二次元好きの匿名さん23/10/27(金) 18:42:37

    心が強ぇ卿なのか…?

  • 386二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 02:10:00

    続き読みたさでもう一保守!

  • 387◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:40:04

    投下します……!

  • 388◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:40:49

    「どうして私が大トリなんですの……?」

    「え、歯荷先輩、急にどうしたんですか?」

    「いえ、こっちの話ですわ」

     おほほほ、と今年二十三歳になるタレント、歯荷仄花は口元を隠し、上品な笑い声を立てた。
     同時に光の速さでコメント欄を流し読む。

    【はにはろ~】
    【後輩ちゃんかわいい】
    【お嬢様笑い助かる】
    【SEKIROから逃げるな】

     いささか距離が近い感じはあるが、視聴者の反応も概ね良好である。
     未成年相手に歯荷リスナーがセクハラして炎上、という事態は避けられそうだ。

    「……あ、大トリってそういうことですね。すいません、私ったら反応鈍くて……」

     しゅんと肩を落とす後輩女子。庇護欲をそそられるが、彼女は里美綾香を排出したあにまん高校演劇部所属、当代の期待のエースだという。

  • 389◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:41:45

    (どこまで演じているのやら、くわばらくわばら……)

    「そうなんです、今まで色んなOBの皆さんにインタビューをしてきました。そして、大トリがそう、今をときめくマルチタレント、歯荷仄花さんなんです!」

    「身に余る光栄です。ちなみに私の代で他に誰かインタビューしました?」

    「え? いえ、特に……」

    (まぁ、確かにいませんわよね)

     歯荷のかつての仲間たちで、表社会の著名人は、歯荷を除いていない。
     Nek-Oも表向きはクラスで可愛がっていた猫だ。後輩女子も、あにまん高校現役生なら教師をやっているNek-Oを知っているだろうが、それを隠す分別はあるようだった。

    「あの、歯荷先輩に会ったら一度お聞きしたいことがあったんですけど」

    「何ですの?」

    「歯荷先輩って、どうしてあんなにも色んなことに挑戦するんですか?」

     ああ、やっぱり聞かれたかと歯荷は納得した。
     一応、本業はダンサーである。

  • 390◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:42:17

     が、歯荷仄花は活動領域をダンスだけに絞ってはいなかった。
     格闘技の大会に参加する。楽器に手を出す。小説を出版する。
     ありとあらゆることに挑戦を続ける歯荷は、マルチタレントという枠組みすら超えて、ジャンル・歯荷仄花として確立している。

    「今度、喧嘩自慢を集めた大会の司会もするんですよね……仕事、選ばないんですか?」

    「んー、シンプルに選んでいられる立場では無いというのもありますけど……」

     二十三歳。芸能界でもダンス業界でも駆け出しの新人だ。
     歯荷はちらりとコメント欄を盗み見る。

    【後輩ちゃんかわいい】
    【何でもそつなくこなせるからすごいよ歯荷は】
    【コモドドラゴンでばずった女】
    【SEKIROから逃げるな】

    (さて、どこまで話そうかしら……)

  • 391◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:42:47

    「単純に、責任感が強いんですの。『出来ない人』の代わりに『出来る私』がやるんですの。それが、生き残った私の、やりたいことですから」

    【芸能界は厳しいってこと?】
    【ふむふむ】
    【闇深】
    【歯荷ちゃん多趣味で羨ましい】

    「素敵な考え方ですね」

    「けれど、歯荷先輩って女優の仕事はなされないですよね」

    「——何か理由があるんですか?」

     臓物を抉られたような気分になった。
     女優。
     里美綾香。
     歯荷が直接殺したクラスメイト。

    「月9ドラマの主演候補にもなっていたって噂を聞きましたけど、あれって本当なんですか?」

  • 392◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:43:12

    「……ノーコメントですわ」

     女優の仕事。
     そればかりは、中々踏ん切りがつけられない。
     死んでしまったクラスメイトがやりたかったであろうことを、できるだけやる。
     そう思って、歯荷はダンス一本ではなく、マルチタレントの道に進んだ。
     けれど、女優の仕事は、里美綾香の領分は、歯荷とって一種のタブーだ。
     これで歯荷が、里美綾香が本来やるはずだった仕事をやってしまえば。

    (まるで、私が殺して奪ったみたいじゃない……)

     否、じゃない、ではない。

    (事実として、そうなっていますの)

     怨恨があったわけでもなく、偶然の事故によるものでもなく、きっと正当防衛ですら無かった。
     野蛮な人格や、悪霊の暴走といったまっとうな言い訳すら無い。
     少しでも死から遠ざかるために、少しでも生存リスクを上げるために。
     そのためだけに、歯荷は里美綾香を殺した。

  • 393◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:43:50

     殺して、のうのうと今も生きている。

    「……歯荷先輩、大丈夫ですか?」

    「あ、ああ。寝不足でして……夜中までプラモ作ってましたので」

    「分かります。私も昨夜は緊張して眠れませんでした」

    【これが若さか……】
    【歯荷ちゃんJKにフォローされてて草】
    【プラモ動画新作待ってます】
    【SEKIROから逃げるな】

     応援してくれているファンにカミングアウトをしたら、どうなるのだろう。
     自分は殺人者だと告白すると、どうなるのだろう。

    (どうにも、ならないでしょうに)

     法的には、きっと緊急避難が適用されてしまう。
     第一、異能の存在すら知られていない表社会では、歯荷の巻き込まれた殺し合いなど荒唐無稽すぎて受け入れられもしないはずだ。

  • 394◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:44:23

     ならば、カミングアウトは自己満足で、歯荷は結局、引き摺って生きていくしかない。
     体の傷は治っても、覚えたスキルは失っても、心に負ったトラウマが癒えることは恐らく一生無い。
     ずっと抱えて生きていくしかない。
     ならば。

    「……いつまでも逃げていては仕方ないですわね」

    「歯荷先輩?」

    「いまここで宣言しますわ。私——銀幕デビューを目指します!」

    「おおっ!」

    【言い切ったな……!】
    【最初はサメ映画から行こう】
    【楽しみ~】
    【意外とシリアスな役ハマりそう】

    「私も映画出てみたいです! 共演したいですね!」

  • 395◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:44:47

    「ええ、楽しみですわ!」

     歯荷は笑った。
     それは虚勢で、強がりで、ハリボテで、誰かの笑顔を真似したような笑みだったが。
     それでも歯荷は、お嬢様のように高らかに笑うのだった。
     生き残った者の、責務として。

    【歯荷仄花 END】

  • 396◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:45:08

    投下を終了します……!

  • 397◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 04:49:20

    今まで感想や保守をありがとうございました……!

    半年以上かかりましたが、無事に完結を迎えることが出来たのは、皆さまの暖かいご支援&ご協力のおかげでございます

    予告していたあとがき代わりのキャラ総括は明日の夜からやろうと思います

    それでは本日もありがとうございました……!

  • 398二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 08:00:49

    乙です、歯荷ちゃん賑やかだし前ループの優勝者なだけあって終盤の戦闘では頼りになるし良いキャラしてた。

  • 399二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 08:43:47

    乙でした
    コモドドラゴンバズりの詳細が気になるんだが?

  • 400二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 10:45:10

    乙でした〜
    半年間ほんとに楽しかった、またどこかでスレ主と出会えることを願っているよ

  • 401二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 13:24:24

    お疲れ様でした
    歯荷ちゃんが元気そうで安心した
    本当に今まで楽しませてもらいありがとうございました
    これでまた生きる楽しみが一つなくなってしまう……

  • 402◆xaazwm17IRZa23/10/28(土) 13:58:41

    皆さん暖かい感想ありがとうございます……!

    今日キャラクターの各語りで振り返りをするのですが、聞きたいことがあれば基本何でもお答えします

    実力不足で分かり辛かった所や、展開の関係で書けなかった設定などもあるので気軽に質問していただけると助かります

    また、設定投げた際に想定していた動きなどを教えていただけると、実際のロワでの動きと比較して面白いかもしれません

    次回作のことなども聞かれれば答えるので、適当に質問投げてください~

  • 403二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 14:01:43

    聞きたいことが多すぎて何から言うべきか分からない〜
    とりあえず堀木はそれこそ目裏兄みたいなサイコ悪役のつもりで投げたんですけど、なんか姫氏原ちゃんに絆されてイケメンになった…

  • 404二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 14:22:11

    やはり一番気になってるのは次回作の話ですかね
    最近は規制で書き込みづらいし、あにまんに入り浸ってるわけでもないので開催時期だけでも教えていただけるとありがたい…

  • 405二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 14:43:01

    スレ主さん的に一番好きなキャラとかが知りたいっすかね
    あとスレ立て前に考えておいた構想とか覚えていれば聞きたいっす

  • 406二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 15:49:25

    キャラ総括って生徒の全員と黒服・金持ち全員で良かったですっけ?
    それと展開の質問だとこいつらの戦いを書きたいって組み合わせとかありますかね?

  • 407二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 17:45:00

    茜音沢先生はなんで最強になったんですかね?
    あとは、強さtierの最終版も見てみたいです

  • 408二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:36:20

    書いてて一番楽しかったシーン、難しかったシーンが知りたいです
    あと歯荷仄花ちゃんは序盤に情けない死に方をする小物かませキャラをイメージして作ったのでまさか最後まで生き残って美味しい役割を与えられるとは思わなくてめっちゃ驚いてます

  • 409二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:39:56

    生徒達の殺し合いを止め、茜音沢や暗黒金持ちの皆さんを倒してバトロワを終わらせた今の状況をゴールとして、MVPが誰か聞きたいです スレ主の主観でいいので

  • 410二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:41:59

    >>409

    黒服と主催者を皆56しにしてジジイを弱らせた茜音沢やろなぁ…

  • 411二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:47:30

    >>410

    十二鬼月半分殺したから無惨がMVPみたいな話だ……

  • 412二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:48:09

    終わっちゃうの本当に寂しいので明日からドバトロワが始まったりしないかな

  • 413二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:49:12

    >>412

    殺す気かスレ主を

  • 414二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 18:49:22

    ほら暗黒金持ち!金の強さでもう一開催!

  • 415二次元好きの匿名さん23/10/28(土) 19:13:41

    あとは次回作がどういうものになる予定なのか、結局異世界なのか魔法少女なのか、展望や次回予告的なやつがあったら泣いて喜びます

  • 416二次元好きの匿名さん23/10/29(日) 00:11:47

    保守
    虎肝ロンギヌスの西尾維新感好き

  • 417◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 00:27:52

    >>403

    私も、堀木くんはオープニングの段階ではサイコキャラとして書いていました


    それこそラッタッターのダイスが極端に低ければ登場話で堀木くんはラッタッターを刺殺(以前皆さんが話していたように、一緒にダンス→ナイフでグサーという流れ)の可能性もありました


    サイコから純愛キャラへ移行したきっかけとしては

    ・姫氏原とカップル成立

    ・同行キャラのダイスが低くなく、ゲームに乗る必然性なし

    ・姫氏原以上に高いダイスを関係性ダイスで出さなかった(姫氏原→堀木、堀木→堀木だったので、じゃあ素直にカップルにしようかなと これが堀木→文乃などでダイス100など出ていたら姫氏原をヤリ捨てする堀木くんになっていた可能性もあります)

    ・廃校全員集合で一旦ロワを〆たかった(集合→再び離散だとぐだると思い)

    以上の理由から愛戦士・堀木くんとなりました。

  • 418◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 00:34:07

    >>404

    >>415


    次回作は魔法少女のデスゲームものやろうと考えています。(魔王のやつはその次)


    ルールとしては今回と同じくバトロワか、まほいく1巻のようなキャンディ集めをするか、また別のルールにするか……この辺りはその時集まったメンバーで決めようかなと思っています。


    開催時期は……ちょっと悩んでて、毎日投稿できるくらい暇になるの、恐らく4,5年かもっと先になりそうなんですよね……(汗)

    週1投稿でも楽しんでいただけるのなら、ざっくり三か月後……来年2月くらいに始められるかなと

    (三か月開けるのは公募に送る作品書きたいからです)

  • 419◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 00:53:23

    >>405

    一番好きなキャラは、もちろん2組の田中不死太郎です!


    ……好きなキャラはたくさんいるので、一番は中々決まらないですね……

    筆が乗って活躍が増えたと自認しているのは歯荷、瀧沢、ドラギモス。

    手癖で書きやすいのは金木

    ダイス抜きでデスゲーム小説として書いた場合主役に据えるのは新條、文乃、垣根です


    友達になりたいのは金輪です

  • 420◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 00:58:22

    >>405

    スレ立て前の構想


    落ちないように気をつけながらオリキャラ30人自分で投下してロワ開始、一週間くらいでテンポ良く殺して行って完結


    いわゆる「パロロワ」をあにまん掲示板に立てて実験的にやってみたかったが当初の動機なので、ここまで読者がつくのはいい意味で予想外でした

  • 421◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 01:01:57

    >>406

    書いてみたかった展開


    1位:新條VS小田斬(光と闇の剣道部対決)

    2位:強マーダーの三つ巴、四つ巴(→後に本部戦の茜音沢VSセピアVS翁VSティタノボアである程度解消)

    3位:新條VS茜音沢(師弟対決)

  • 422◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 01:05:18

    >>407

    設定としては、茜音沢はオルランドや石川のような生来の超人が生死をかけた武者修行の末に剣士となり、更に数多くの同格との戦いを得て、最強の武人となりました。

    メタ的には、本部戦の前の黒服をある程度処理するため、そして単独でも最大の壁として立ちはだかれるように、最強になりました。

  • 423◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 01:05:58

    ……たぶん今日中に書ききれないので、ある程度書いたら明日に回します……!

  • 424◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 01:32:08

    続きは明日書きます……!

    質問も引き続き募集します……! それでは……!

  • 425二次元好きの匿名さん23/10/29(日) 07:52:18

    普段全然小説書かない素人の感想ですけれど

    瀧澤、歯荷、ドラギモスってそれぞれ全然タイプが違うキャラなのに「筆が乗った」って言えるのすごいですわね……


    >>416

    アンヴァリッドアンヴィシャス姉妹感

  • 426二次元好きの匿名さん23/10/29(日) 09:23:55

    ドラギモスと言えば、顔と声のギャップ以外にも友達想いでフィジカルよわよわで頭脳つよつよな面ありましたけど
    そういえばそこら辺ってバトロワ開催後の後出し情報で出てきたんですよね
    あれが無かったらドラちゃんはどういうキャラになってたのか知りたいです
    もしかして首輪解除できる唯一の人間ってとこを盾にして周りを利用しつつ優勝狙う悪どいキャラになってたりして

  • 427二次元好きの匿名さん23/10/29(日) 17:35:47

    ほしゅ

  • 428◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 18:49:23

    >>407

    【SSS】管理人アカネ

    【SS】茜音沢 翁 拳王卿(威圧感)

    【S+】 セピア 紀久子(対異能) 九龍(群体)

    【S】ティタノボア 姫氏原(エピローグ) Nek-O(エピローグ) 石川(終盤) 堀木(人狼) 処刑者 

    【A+】 新條 三田(変身) 小田斬 オルランド 篠宮(エピローグ) マネモフル(エピローグ) 結 長村 ティエ・レン 笛吹 高地 零式処刑忍者

    【A】キルコ 瀧沢 鰐淵 張(全盛期) 科葉 

    【B+】 金輪 篠宮(in小田斬) ラッタッター マネモフル 垣根 姫氏原 

    【B】 堀木 麻井 歯荷(一番強い時) 破目 屍山血河 ペギー 護衛忍者

    【C+】篠宮 三田 ねうねい 目裏兄 拳王卿(実力) 希咲 ストーム

    【C】 金島 Nek-O 里美 ジョンソン 準 冬爺 紀久子 九龍(単体) 不死太郎 アラシ 

    【D+】宇多 千頭之(エピローグ) 歯荷(エピローグ) 

    【D】宇都 芝野 星峰 歯荷 錠著 谷淵 墓蟹

    【E+】文乃 目裏

    【E】千頭之 ヴェラジウス ドラギモス 張 コサメ 

    【F】リッチー


    【不明】スーツの男

  • 429◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 20:14:52

    >>408

    書いていて一番楽しかったのはVSオルランドです。初めてのバトル回ということで一晩で集中して書き上げました。思えばオルランドを盛りすぎたせいでインフレが始まった気もしています。


    一番難しかったのはVS茜音沢先生です。強さを盛りすぎました。いっそのこと敗北エンドもありかなと考えながら、逆転できそうなフラグを小出しにして結局ディスクや死者の世界をフル動員して倒す回を書くことが出来ました。

  • 430◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 20:49:55

    >>409

    割とマジで茜音沢先生ですね、首輪解除に成功しても生徒だけで本部の戦力に勝つことは不可能なので……


    生徒の中だと首輪解除&石川を仲間に引き入れる&翁無力化のドラギモスがMVPといっていいかもしれません。

    ただ、ドラギモスは単独行動時に危険人物に遭遇すると死ぬしか無いので、ドラギモスを石川から逃がした金輪もかなり勝利への貢献度が高いと思います。


    他を挙げると、茜音沢先生1キルに成功した金木、死者の世界に放り込んだ姫氏原、管理人アカネを倒した三田もMVP候補です。


    スペックを考えると、金木・千頭之・宇都(生徒)はかなり頑張ったと思います。

  • 431◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 21:09:26

    >>426

    ドラギモスの各設定に関してはダイスの兼ね合いとキャラ立ちで決めていきました。


    まず、結の登場話で「ドラギモスと友人」という設定が生えました。


    その後、一人は首輪解除要員が居ないと困るという判断から「アマチュア無線部」のドラギモスを解除要員として決定。


    (他に解除できそうな設定を生やせそうなのは、探偵の三田、リピーターの文乃、主催と繋がりがある目裏が挙げられます。もしドラギモスが死亡した場合は、この中の誰かが新たな首輪解除要員としてフラグを立てるつもりでした)


    性別不詳/首輪解除要員→頭脳キャラ/ついでに武器も超外れ、という設定からキャラ立ちをするために作中最弱という設定が生えました。同じ男の娘属性の堀木、頭脳属性の三田は一定以上の戦闘力があるので、差別化を図るためです。また、せっかくDX日輪刀を支給したので、丸腰でもある程度戦えてしまうと面白くないという判断もありました。


    「正体不明」の異能が生えたのは、「実は男子」や「無性」という設定すらなく、「性別不明」という設定が明示されていたため「絶対に性別が分からない」というキャラクターだと解釈。いっそのこと、それを異能にしようと思い、けれど「性別不明」だけだと使い処が難しいので、「正体不明」の異能にしました。

    結果として、翁を倒す決定打になったので、良かったです。

  • 432◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 21:29:51

    全員分は大変なので、お名前を頂いたロンギヌス君だけ作ります


    【ドラギモスの弟】



    【名前】虎肝ロンギヌス

    【年齢】ドラギモスより-dice1d6=2 (2)

    【性別】dice1d100=86 (86)

    【家族仲】59……普通

    【外見】dice1d100=20 (20)

    【部活】dice1d100=6 (6)

    【趣味】dice1d100=79 (79)

    【好きなもの】dice1d100=20 (20)

    【嫌いなもの】dice1d100=93 (93)

    【性格】dice1d100=63 (63)

    【特技】dice1d100=17 (17)

  • 433◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 22:05:07

    【名前】虎肝ロンギヌス

    【年齢】ドラギモスより2歳年下
    【性別】男の娘
    【家族仲】59……普通
    【外見】シスターの恰好をしている
    【部活】聖歌隊所属
    【趣味】ゴミ拾い
    【好きなもの】オムレツ
    【嫌いなもの】固茹で卵
    【性格】穏やかで社交的、ノリはあまり良くない
    【特技】お菓子作り
    【詳細】ドラギモスの弟を名乗るシスター。性別は男。外見は小学生程度にしか見えないが、そもそもドラギモスは実年齢不明なので、ロンギヌスもまた年齢不明。いつもニコニコと微笑んでおり、ドラギモスのようにふざけたりツッコミなどは入れない。CV神谷明。

  • 434◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:02:32

    【歯荷知花】
    歯荷仄花の妹。歯荷より7歳下。Nek-Oの教え子。女子ダンス部所属で、一年生でエースの座についている。ダンスの才能は歯荷仄花を凌駕しているが、歯荷のような異能は持ち合わせない。口調は丁寧語。時々口が悪くなる。
    名前の由来は仄花をラブライブのほのかのパロディだと仮定して、サンシャインのちかから知花と設定。
    姉とはそれなりに仲良しだが、最近の活動は迷走していると考えている。

    【金木天】
    金木冥の妹。金木より7歳下。Nek-Oの教え子。基本的に無害な優等生だが、うっかり暴言を吐くことがある。
    姉が存命の頃は年が離れていたこともあって慕っていたが、成長するにつれ姉の邪悪さに気づき、今では複雑な感情を抱いている。

    【金木海】
    金木天の双子の弟。金木より7歳下。あにまん高校ではなく、地元の不良校に通っている。姉がかつて付き合っていた伝説のアウトロー、石川大輔に憧れを抱き、彼のようになろうと努力している。喧嘩は弱い。

  • 435◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:11:58

    どこまで書いたか思い出せないので、もう一度主催側から書きます

    【爆弾卿】
    〇最初のネームド暗黒金持ち。
    〇国内の暗黒金持ちの中では最大の組織力を持つ。護衛集団【ジュラル】のうち、四天王入りしなかったメンバーは島の外にいたため、エピローグの時間軸でも残党として活動している。そのうちの何人かは篠宮が撃破済。
    〇最大勢力だからこそ真っ先に茜音沢に狙われ、真なるバトルロワイアルの情報も他の暗黒金持ちから秘匿されていた。
    〇主催戦前の進行では、暗黒金持ちの代表としてかなり動かしやすかったキャラクター。
    〇生存ダイスが高ければ他の運営勢力を纏め上げ、脱出してきた生徒とも同盟し、対茜音沢同盟を築いて、茜音沢・翁と三つ巴の長期戦を展開する可能性もあった。

  • 436◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:22:02

    【長村洋】
    〇ガンマンの黒服ホルダー。関西弁の男。
    〇茜音沢の様子を見に行く途中で翁に襲撃され、逃げるところをティタノボアに丸呑みされた。
    〇単独の実力は笛吹の方が上だが、部下の統率能力は長村の方が上。
    〇翁→ティタノボアのボスラッシュで死亡したが、実力はクラス最上位層と互角。
    〇ティレ・レン、高地もそうですが、事前に情報が伝わっていれば翁・ティタノボアともう少し善戦できました。
    〇ダイスが高ければ生き残った黒服を率いて生徒と激突、キルスコアを2~3稼いでいた可能性があります。

  • 437◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:34:18

    【破目囃子】
    ちいかわおじさん。操作対象は「自分より小さい」「動物」。「動物」の定義を「人間」まで広げられれば管理人すら支配下における可能性があった。が、覚醒とは無縁の小市民的性格なので無理。
    もし生徒突入時まで生きていれば恐らく相手は千頭之。コサメを操られ、千頭之はピンチに陥るが、アラシと共にコサメの洗脳を解くという展開もあったかもしれない。

  • 438◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:40:08

    【田中屍山血河】
    不死殺し。不死太郎と違い利便性は低いがぶっちゃけ翁や管理人にもぶっ刺さるので対格上性能がエグイ。茜音沢が声をかけていたのもその辺が理由。逆に言えば除霊技を持っているセピアとしては、翁は茜音沢にぶつけて消耗させたかったので、翁をぶっ殺せる屍山血河は邪魔な存在だった。結果として早期に見つけ出し、始末した。
    が、屍山血河を殺しに向かっている隙に爆弾卿は茜音沢に殺されてしまった。
    実のところ、屍山血河はセピアをおびき出すのが本来の役目であり、茜音沢の作戦は上手く嵌った形になる。

  • 439◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:42:43

    【ジョン・ジョンソン】
    ディープブルーのパロディで死んだ人。
    ジムで鍛えているので暴飲暴食のモブ暗黒金持ちより動ける。また観察能力に長けているため、相手の実力をモニター越しなら正確に見抜ける。
    もしモニター越しなら茜音沢でも見通せない拳王卿の真の実力を見抜くことも出来た。

  • 440◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:48:18

    【目裏晴刈】
    目裏兄。兄として義務的にシスコンをやっている異常者。
    妹から慕われていると勘違いしているが、雨子の好感度ランキングは
    1位 リッチー
    2位 パパ/里美
    3位 お兄ちゃん♡
    なお、死に際の雨子の言葉は全て妄想の産物。
    実際死者の森から観ていた雨子の感想は「死んでるしww♡」
    色々残念な男だが年齢に限らず暗黒金持ちとしての能力は高く、真なるバトルロワイアルにも即座に順応。黒服を率い、更には処刑忍者という武力まで有している。本人も思い込みの力であらゆる技能を取得できるため、普通に強敵。

  • 441◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:51:51

    【準 標】
    モブ黒服からネームドに昇格しそうになって失敗した女。
    ダイスが高ければ黒服側の主役としてストーリーが展開されていたかもしれない。
    技能としては平均女性よりは体力があり、銃も一通り扱える。

  • 442◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:54:12

    【錠著 者絵】
    ザマスの人。部下を使い潰す模範的暗黒金持ちムーブをする。やられ役の典型だが、生存がダイスで決まる当企画ではまさかの生徒戦まで生き延びる。
    彼女の指揮する黒服は他の黒服より武装が派手。拳銃ではなく自動小銃を装備している。

  • 443◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:56:54

    【谷淵 玄夜】
    扇動卿。
    黒幕ムーブを決めていたが、茜音沢をはじめあまり周囲から意識されていない。
    扇動能力で茜音沢朱音に負けかけたことがコンプレックスとなっており、茜音沢に勝つことでそのコンプレックスを解消しようと考えていた。
    「強者」という概念にこだわるのは自分が「弱者」である事実から目を逸らすため。フードを被るのも本来の自分を隠すためである。

  • 444◆xaazwm17IRZa23/10/29(日) 23:57:39

    【スーツの男】
    管理人アカネ直属の謎の男。詳細不明。

  • 445◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 00:01:14

    【マエストロ・セピア】
    〇最強の黒服。茜音沢の右腕を奪うその実力は本物。
    〇幼少期から爆弾卿に仕え、忠誠を誓っている。
    〇なお爆弾卿はクソ映画・ネタ映画が好きなので、映画の趣味はまったく合わない。

  • 446◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 00:02:39

    ……続きは明日書きます!

    本日も
    感想&保守ありがとうございました……!

  • 447二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 07:58:07

    晴刈お兄ちゃんも雨子から極端に軽視されてたわけではなかったんだな……
    そしてメスガキ女子高生にしては父親への好感度が意外に高い

  • 448◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 18:30:24

    【ペギー・ジョーダン】
    本来、茜音沢の代わりに司会進行をするはずだった黒服ホルダー。
    仕事を茜音沢に奪われ、すっかりふてくされていた。
    本部戦ではドラギモスに接触するが、冬爺&墓蟹に不意打ちで銃撃され命を落とした。
    風船爆弾の異能は、実のところその場の三人では勝つことは難しく、不意打ちで仕留められたのは三人にとって幸運であった。

    が、それは暗黒金持ちの一人、スティーヴンが派遣した端末に過ぎなかった。『端末だけよこして本人は島に行かない』という方法で死亡を回避したスティーヴンは、五年の雌伏を経てバトルロワイアルを開催しようとするが、篠宮の爆弾によって始末されたのだった。

    裏事情としては、死亡話を書いた後ダイスが高かったことに気づき、急遽端末設定を生やしました。原作でも本体いたし……

  • 449◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:20:19

    【ティエ・レン】
    相手が悪かった人。素手のみの戦闘なら黒服内№2の実力者。
    生き残っていれば石川やマネモフルと激闘を繰り広げたかもしれない。
    張の全盛期とは時代が被っていないのでただの老いぼれだと思っている。

  • 450◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:23:38

    【笛吹 享楽】
    黒服ホルダー第二のスナイパー。
    趣味はYouTube鑑賞。ひろ〇きの真似をしている。
    以前本人にスパチャを送り「頭良く殺し屋で稼ぐ方法はありますか?」と聞いたが「殺し屋やってる時点で頭悪いです」と返され、チャンネル登録を解除した過去を持つ。
    ガンマンとしての実力は長村を凌駕するが、他者を見下す性質から、部下を上手く扱うことが出来ない。

  • 451◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:27:52

    【張 湖李】
    中国の黒社会を制した帝王。かつては爆弾卿をも凌駕する組織力を持っていた。老いた今でも九龍のような秘密兵器、自身を兄貴分として慕う老人たちを従えているので中々侮れない。
    が、どちらかというと本人がすっかり気が滅入っていて、死に場所を探しに来たメンタル。

    なんかいい感じの回想→ザマス卿に乱入され死亡という流れは「言うてこのお爺さんバリバリ殺し合い鑑賞楽しんでた人間だしなぁ……」と思ったので。

  • 452◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:30:25

    【冬爺 凛】
    オルランドを推してた人。突入した生徒を殺せた暗黒金持ちの一人。異能や超人的身体能力は有していないが機転とガッツ、非情さで勝ち抜いてきた。
    もし金木冥や歯荷仄花が暗黒金持ちになっていたら、きっとこんな感じのお姉さんになる。
    男の価値はフィジカルだと思っている。

  • 453◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:32:56

    【墓蟹 毒美】
    爆弾卿とはあまり関係がない人。
    結推しだがあっという間に脱落してしまった。
    暗黒金持ちの一人であり愚民がどれだけ死のうと何とも思わないが、暗黒金持ちの中では新参者であり肩身は狭い。
    一緒に行動するうちにドラギモスの肉体に惹かれていたが想いを遂げる前に翁に喰われた。

  • 454◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:37:49

    【高地 鼓一】
    相手の鼓動をコントロールするというセルフ執行指輪が出来る強者。
    一応設定で、高地は「鼓動をコントロール」が異能なので、対象者も心臓をコントロールできる強者なら対抗可能
    執行指輪は「首輪を爆破」=「不死だろうと必ず死ぬ」=「心臓を止める(二度と動き出さない)」という異能なので、強者でも対抗不可能という違いはある
    茜音沢/翁/セピア(彼女もまた心臓の鼓動をセルフコントロールできる)には勝ち目が薄いが、他の相手なら一方的に勝つことも可能。
    相手が悪かった。

  • 455◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:39:40

    【科葉 師智】
    出オチ。
    生存ダイスが高ければ元殺し合い参加者という経歴を生かし、紀久子のように生徒側のために動く未来もあったかもしれない。
    ボルガ博士を通して茜音沢にダメージは与えているので無駄死にというわけでもない。

  • 456◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:42:58

    【宇都 紀久子】
    幸運ダイスで90以上を叩きだしたので、黒服で最も出番があった人。
    異能殺しであり、茜音沢やセピアのような武人には瞬殺されるが、翁ならば一定時間防戦可能、一瞬だが管理人アカネでさえ無防備に出来る使い手。
    以前クラスメイトを殺して優勝してしまった過去があり、そのことを悔やんでいる。

  • 457◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:46:29

    【九龍】
    増える黒服。
    一応増える上限はあるが、零になるまで殺しきるのは、作中では茜音沢と管理人アカネしか不可能。
    一体一体の戦闘力は低いが、決死(そもそも死の概念が薄い)の覚悟で向かってくる無数の軍勢はかなりの脅威。
    翁に喰われたことで分裂能力を乗っ取られ、初めて失う恐怖を知ることとなった。

  • 458◆xaazwm17IRZa23/10/30(月) 19:49:50

    【拳王卿・呉偉】
    暗黒金持ちの中に混じった一般金持ち。
    経営者としての才覚と鍛え抜かれた肉体を持ち、金持ちとしての実力は並みいる暗黒金持ちにも引けを取らない。
    常に強者のオーラを漂わせ、茜音沢ですら自分と互角の存在だと誤解していた。

  • 459◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 01:35:43

    【希咲枯春】
    探偵卿。かつては探偵として活躍し暗黒金持ちたちと戦っていたが、自身の師もまた暗黒金持ちだと知り、闇堕ちする。
    サークルクラッシャーである金木冥を暗黒金持ちに押し上げ、暗黒金持ち界隈そのものをクラッシュさせることを目論んでいた。
    高校生探偵である三田には複雑な感情を抱いている。
    希咲のメモには管理人の存在の他に、本部各種施設の詳細や暗黒金持ちたちの情報が記載されている。

  • 460◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 01:40:07

    【ティタノボア】
    頂点捕食者。5億年前から生息していたが、不老の異能により現代まで生き長らえた。爬虫類の特性により成長を続けており、他の同種と比較してもなお大きな体躯を誇る。また数々の強敵との戦いを経て鱗が変化し、戦車の砲撃でも致命傷にはなりえない。
    かつて猫王の集落を滅ぼし、その結果猫王は数々の異能者を引き連れティタノボアを討伐した。本来ならそこで死ぬはずだったが蛇の巫女が助命を嘆願したことにより、地下深くに冬眠していた。しかし管理人アカネによって覚醒し本部へと連れてこられた。

  • 461◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 01:48:16

    【廃村の老人】
    増える爺。
    相手の恐怖心に合わせて増殖・強化を繰り返す。
    その正体は■■■。今となってはその正体は翁本人も含め誰にも分からない。
    なお終盤に取り込んだ黒服・金持ちは翁ごとドラギモスの正体不明で正体を失ったため、名前を失っている。故にモブ黒服とモブ暗黒金持ちとしか表記されない。
    (逆に言えば、名前がある黒服&金持ちは取り込まれていない)

    当初の構想では正体は島の土地神でありラストに翁が死亡した全員の墓を作り、菩提を弔う葬式エンドもあったが、黒服を襲うシーンが展開されたため、神から怪物へ零落した。

  • 462二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 01:51:19

    廃村の老人めっちゃ好きだったな
    でも葬式エンド想像できなくて笑う

  • 463◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 01:59:48

    【管理人アカネ】
    無数の異世界を渡り歩く次元違いの能力を持つ【異能者】。
    あにまん掲示板の管理人さんとは無関係。
    殺し合いの舞台を作ったのも、ティタノボアや処刑者などのつよつよデストラップを用意したのもディスクや十三階段などを作ったのも管理人の仕事。
    参加していた暗黒金持ちはこれらを誰が作ったのか深く考えられないように操作されている。(例外は探偵卿)

    アカネが黒幕になったのは某アースの影響。

    生存+100は「絶対に勝てない敵」という演出のためで、三田は異能殺し勇気でその絶対を覆した。なので、実は管理人アカネが生きている、というわけではない。
    ただ、彼女は「バトロワ・パロディ」の概念そのものでもあるので、誰かが新しくバトロワを続ける限り、彼女のミームは継承されていく。故に不死身。
    死に方は原作のパロディ。

    作中で魔法少女や魔王をやっていたと言っているが、今後私が開催するデスゲームの主催が必ずしも管理人アカネというわけではないのであしからず……。

  • 464◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 02:16:00

    【石川 大輔】
    廃校編のラスボス。
    外見イメージはバトゥーキの悪軍鉄馬。
    タフという言葉は石川のためにある。
    その本領は対格上にあり、相手が自分より強ければ戦闘力が上昇する性質を持つ。

    大抵の参加者は登場話でダイスを振るまで対主催か優勝狙いか決めていないが、石川だけは設定投下の段階で優勝狙いが決まっていた。
    同格のはずのオルランド・小田斬・新條が廃校に辿り着くまえに死亡したため、エンジョイ勢にも関わらず曇りまくることになった。
    皆さんの一人が指摘いただいたように、中身は戦いごっこをしたいだけの子ども。煙草をふかし美人局をやるがメンタルは小学五年生である。
    序盤退場ルートだと同格と激闘の末に死亡するか、翁のような怪異に喧嘩を売って死亡する。(割と廃校での邂逅はギリギリだった)
    生還した場合、相変わらず不良で戦闘狂だが、共に生還した仲間の危機には駆けつけるようになる。

  • 465◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 02:28:19

    【宇多 一郎】

    合唱部エース。


    実は私の自作キャラ。自作キャラなので割と容赦なく出オチに使える。

    恐らく参加者で一番不遇。序盤退場&関連人物が星峰くんだがそこまで関係性が深くない&死んだ瞬間に立ち会った灯台組が早期に全滅という三重苦により回想でもほとんど出番がない。

    生前は音楽革命を起こし日本を支配する暗黒金持ちに対抗しようという信念があった。この殺し合いで日本の暗黒金持ちは大打撃を受けたので、ある意味野望は達成している。

    序盤に退場しなければ星峰のように精神的支柱として対主催を支えていただろう。

    危険人物ルートだと、命のやり取りに慣れていないため、恐怖に負けて発狂。悲観的な気持ちで歌いながら島中を徘徊するため参加者に絶望的な気分を強要する。

    もし生還していれば歌手として23歳時点でカリスマ的地位に立つ。


    本編時点での音楽家としての実績はラッタッター>宇多>星峰>歯荷である。

  • 466◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 02:38:23

    【宇都 創希】
    ジャイアントキリング。
    暗黒金持ちのアイドル(道化)。

    ある意味石川の最大の敵。

    本編でも書かれている通り、新條や金輪と仲が良く、クラスの盛り上げ役の一人。
    ただ、自分が凡人であることにコンプレックスは抱いている。
    本編では咄嗟についた嘘から疑心暗鬼になり狂ってしまったが、ルートによっては等身大の主人公として対主催の道を進むこともあった。
    (もし発狂しなければ結&宇都&新條&文乃が廃校に辿り着くため、犠牲はもっと少なかった可能性がある)

    終盤まで生存していれば一般人代表として管理人アカネに引導を渡したり、生還して普通の大学生→普通のサラリーマンというコースもあった。

    逆に本編軸でも廃校到達後ロッカーで武器→戦車や忍者などに並ぶ強武器さえ引けていれば、更にキル数を稼ぎ、優勝の道もあっただろう。

  • 467◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 02:49:53

    【小田斬 純恋】
    辻斬り。
    まさかのキルスコア0で退場。

    石川からは一方的に戦友と思われているが、小田斬はああいう暴力的なタイプは嫌悪の対象である。

    作中では殆どその実力を発揮することはなかったが、こと殺し合いなら3年1組で最強。
    剣術なら鰐淵、総合力なら新條に一歩及ぼないが、小田斬の本領は『何でもあり』なメンタル。
    もし自殺するのがもう少し遅ければヴェラジウスのために優勝狙いになっていた。その際は本人が一流の剣客でありながら銃も使うし地雷も仕掛けるし毒ガスも散布する。

    廃校までたどり着いていれば生還者の数は半分になっていたかもしれない。
    逆に新條との対決を通して改心(あるいは優勝せずに主催から直接蘇生の力を奪うなどの方向転換)に成功すれば、対茜音沢でも通用する戦力になっていた。(石川と違い教え子であるため技を知っている&バトルは徹底的に避け殺しを狙うため)

    生還した場合はヴェラジウスも一緒に帰還しない限りすぐに自殺するか廃人同然となる

    なお、本編でヴェラジウスと再会を誓ったやり取りをして地獄へ向かったが、島の使用上二人揃って死者の森送りになったため、思ったより早すぎる再会に喜びつつ、お互い気まずかった。
    管理人アカネ死亡後は再会を願いつつ改めて地獄へ向かった。

  • 468◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 02:59:31

    【オルランド・テークトリ】
    序盤のボス。

    バスケターミネーター。

    堀木彩も同程度の才能を持っているが、彼はその才能の何割かをメス男子に回しているため、オルランド程の超人にはなれない。

    本編でも夜中に歌っていたという理由で宇多を殺し、夜中に起こしたという理由で金島と垣根を執拗に狙ったが、日常ではここまで極端な動きはしない。精々ぶん殴る程度である。
    彼は彼なりに殺し合いに精神をかき乱され、バグった挙動をしている。

    キルコについては明確な恋心はまだ抱いていないが、一緒に居て心地いいと感じている。
    タイムスケジュールを崩したくないオルランドにとって、そのタイムスケジュールに秒単位で合わせることが出来るキルコはかなり相性が良い。

    序盤で退場しなければ殺し合いそっちのけで朝食を食べ、廃校へ登校し、朝練を始める。邪魔をすれば即座に襲いかかるデストラップ的挙動をとっていた。

    「お前が登校するべきは廃校じゃなくてあにまん高校だろ」と指摘し、その上で「優勝するより脱出するほうが早く帰れる」と思わせられれば対主催に転向させることが可能。

    A+の戦闘力だが、フィジカル特化であり、戦闘技術は何も備えていない。そのため同格以上が相手となると苦戦を強いられる。そもそもオルランドはバスケがしたいだけなのでバトルの強さとかマジでどうでもいいと思っている。

    生還すればバスケットプレイヤーとして世界で活躍する。

  • 469◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 03:05:02

    【金輪 幹久】
    料理の人。

    石川に初めて大ダメージを与えている実力&クラスの殆どの者から好かれている愛嬌&怯えつつも強敵に立ち向かう男気と、ハイスペ男子。
    個人的に一番友達になりたい生徒。

    その分飢えると怪物として見境なく襲いかかる。

    終盤まで生きていれば食堂で皆に昼食を振る舞っていただろう。

    もしイノシシの調理に大失敗しカロリーを使い過ぎた場合いきなりグール状態になるルートもあった。

    生還した場合レストランを開き、同窓会の会場になっていただろう。

  • 470◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 03:05:26

    ……続きは明日書きます……!

  • 471二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 06:09:28

    地味に堀木くんのメス男子化にすごいリソースが使われてることが判明してる

  • 472二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 10:33:21

    だからオオカミになってフィジカル100%の堀木になったのか

  • 473◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:18:19

    【金島 明宏】
    正義馬鹿の新聞部。

    ラッタッターとは幼馴染にして親友。

    普段から体を鍛えており体格も良いが、あくまで一般的な高校生の範疇であり、オルランド相手では分が悪い。

    宇都程ではないが、彼もまたジャイアントキリングを成し遂げている。

    思い込みが強く猪突猛進な性格なので、もし廃校までたどり着いていたら騒動を起こしていた可能性がある。(少なくとも石川・歯荷の仲間化には猛反対していたはず)

    長生きできる性質ではないが、もし生還していたらフリーのジャーナリストして活動していた。

  • 474◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:28:06

    【篠宮 纏】
    生還者。

    武器没収→ランダム支給というバトロワルールと、透明な武器を作る異能が、異常なシナジーを生んでしまいこれで修羅場慣れしてたら文句なしの優勝候補。
    何事もそつなくこなし、頭も良いが、根は一般人なため、本編では終始振り回されていた。
    また、誰とも一定以上仲良くしない処世術が、絶対に信頼できる相手がいないという状況を創り出してしまった。

    異能が本体な面もあり、人間関係はロワが始まってから徐々に育んでいった印象。
    【アンカー所属の始末屋・篠宮纏】の第零話がこのロワなのかもしれない。

  • 475◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:36:55

    【芝野 貴仁】
    読心能力を持った少年。

    自身の至らなさがコンプレックスだが、周囲からの評価は高い。

    もしロワが無ければ瀧沢とは殆ど交流なく卒業していただろう。

    正確や序盤の展開は安価に任せたらかなりいい感じのキャラクターが出来て自分としては満足。

    本編では殆どの出番を瀧沢を助けるために使っていた。

    善性が強く、優勝狙いになるルートが存在しない。(例え瀧沢と死別しても乗ることはない)
    本部戦まで生存してれば谷淵を始めとする暗黒金持ちから情報を得ることが出来、茜音沢の説得にも貢献できていただろう。
    生還していれば普通に進学して卒業後はボランティア団体に就職していた。

  • 476◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:48:05

    【新條 アキラ】
    主人公。

    オルランドに僅かに劣るフィジカル+鰐淵に僅かに劣る剣術+炎を武器に纏わせる異能、とシンプルにめちゃくちゃ強い男。3年1組最強の男であり、どんな相手にも対応できる。

    性格は少年漫画の主人公のようなメンタルをしており、誰とでも仲良くなることが出来る。

    もし廃校までたどり着いていれば生還者の数が倍に増えていた可能性もある。

    本来の構想なら茜音沢と一対一で戦い、ダイス次第で勝利→BR完結! 敗北→総力戦突入!というものだった。

    結果として対主催には殆ど貢献できていないように見えるが、宇都の連射砲を破壊しないと廃校に戦車がもう一台増えるようなものなので、十分に仕事はしている。

    生還した場合、あにまん高校の教師になり、剣道部の顧問の座に就く。

  • 477◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:53:11

    【Nek-O(ネック・オー)】
    生還者。

    まさか生還するとは……。

    7つの魂を持つ→6回は殺せるということで隙があればひたすら命のストックを削っていった。

    幸運ダイス10以下を出した場合は、不死殺しの水槽に落として死んでもらうつもりだった。

    電波を受信して猫王となり、一線級の実力者に躍り出た。

    当初は野生の感覚で自己の命が最優先であったため、優勝を狙うルートもあった。

    エピローグではニャンコ先生として慕われている。一応教員免許持ち。

  • 478◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 18:58:57

    【パンパンパン・ラッタッター】
    二人目の外国人。

    踊っている間は無敵というチート異能持ち。
    何気に茜音沢先生の天敵で、平時ならともかく娘を取り戻すために修羅になっている先生は音楽を楽しむことが出来ず、ラッタッターを傷つけられない。

    学外の知名度は随一で、若くしてダンス界のカリスマとして注目されている。
    彼の肉声を聞いたことがあるのは幼馴染の金島だけ。

    優勝狙いの強者でラッタッターを攻略できるのは石川だけだが、逆に歯荷・里美なら音楽に乗った上で暗殺可能であり、堀木もまたその気になれば可能。

    生還していれば世界的スターとして活躍していた。

  • 479二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 19:08:04

    新條、正直亡くすには惜しい奴だったな
    お手本みたいな光の主人公だし剣道部の仲間と対立したりしてもっと曇るのが見たかった

  • 480二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 19:27:43

    茜音沢とタイマンして勝利ルートもあったとか新條やば……
    やっぱ人間相手に火って強すぎるんだな……

  • 481◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 20:43:02

    【星峰 灼】
    記念すべき視点人物第一号。

    オープニングでは動揺していたがその後は精神を持ち直し、初期廃校組の精神的支柱になる。
    度々本編で「聴覚の調子が悪い」と言っていたが、実は管理人よって普段より異能を制限されている。

    芝野と同じく本部戦まで生きていたら聴覚を駆使して間接的に貢献できていただろう。

    しかし、死に際に歯荷を庇ったことで歯荷の味方化→対主催の勝利に繋がったのも事実である。

    オープニングの視点人物としては状況に動揺しつつ茜音沢や他の参加者の心理も紹介でき、導入役としてかなり良いキャラを引けたと思っています。(いきなり視点人物:堀木彩の可能性もあったわけで……)

    生還した場合、プロの音楽家として活動している。

  • 482◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 20:51:56

    【堀木 彩】
    メス男子。後に人狼化。

    オープニングの段階ではサイコとして書かれているが、ダイスや展開から実は純愛キャラだったことが判明。

    人狼になったのは挙げていただいたキャライラストが、どことなく狼を連想させたから。

    エピローグの後は、世界各地を転々と移動しつつ、姫氏原の敵になりうる存在を滅ぼしている。

    男女問わずファンも多く、双方から告られまくってるが、姫氏原以外の恋愛経験は無く、身持ちもめちゃくちゃ固い。

    本編でも言及されている通り、姫氏原が死んだ瞬間秒で優勝狙いに切り替わる。

    そもそも姫氏原と恋仲にならないルートだとオープニングのテンションでキルスコアを稼ぎ、最後も笑いながら退場するサイコキャラとして運用されていた。

  • 483◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 22:04:25

    【マネモフル=タマネ】
    どうしてタフキャラがオリロワに出て生還しているの?

    投稿キャラ一人目がタフキャラってそんなのあり? オリロワはルール無用だろ

    あの、自分タフ未読なんですよ……それでもマネモフルは書けますか? はい、語録集を見れば書けますよ(ニコッ

    語録だけで書けるわけねーだろ、なめてんじゃねえぞ!こら!(ゴッ)

    最期は瀧沢に負けて猿空間送りにしたら次の話で幸運ダイスで生存確定出すんだから話にならねーよ

    とにかくマネモフルはダイスに愛された幸運キャラなんだ、本人は贖罪のために死に場所を探している節があったのに、きっと日常が地獄だったはず、ねうねいが支えてあげないと……

    ちなみにスレ主は30人の枠が全部タフで埋まったらスレ消して逃げるつもりだったらしいよ

  • 484◆xaazwm17IRZa23/10/31(火) 22:12:00

    【三田 哲】
    便宜上優勝者。

    きっとバトロワじゃなくてダンガンロンパだったら大活躍をしたキャラ。

    一応バリツでナイフを持った素人なら一方的に取り押さえることが出来る。(現実基準なら十分超人)

    本編では自らを役立たずと卑下することも多かったが、要所要所で僅かなヒントから正解に辿り着く頭脳のキレを見せている。

    千頭之がストームを仲間にしていなかった場合、マネモフルに追いつかれ、序盤退場していた可能性がある。

    最後は管理人アカネを殺し、仲間が再び殺し合いに招かれる可能性を潰したが、もし生還していれば暗黒金持ちの情報を調査、法的に潰す探偵になっていた。

    30人の枠が埋まってからの投稿だったため転校生というキャラ設定を加えようと思ったが、結局ナーフされた。

  • 485二次元好きの匿名さん23/10/31(火) 22:26:43

    ネックオー、あの後ちゃんと教育大学に進学したのか……この世界人ならざる者に寛容で良いな

  • 486◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 00:59:02

    【麻井 涼】
    委員長(委員長ではない)。

    トイレの花子さんの犠牲者第一号。

    ルール違反の相手を拘束する異能を持っているが、「ルール違反」の定義は麻井に委ねられているという無法ぶり。

    怪異は校則や法律で縛れる存在ではないため花子さんへは対抗できないが、結に対しては校則を押し付けられるため、実は結には相性勝ちできる。

    助けが来るまで待っていようという麻井の作戦だが、実際は島そのものが管理人の異能によって隔離されているため、助けは絶対に来ない。

    本編で里美も考察しているが殺し合いという環境下で思考が硬直している節はある(これはオルランドも同様)。
    普段はもう少し柔軟で普通の女の子。

    優勝を狙うことこそルールと認識した場合、危険人物に変化する。

    生還した場合、警官になっていた。

  • 487◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:07:42

    【垣根 澄花】
    他の生徒より半年程早く茜音沢と戦った女子。

    サバゲ―スキル×パルクールスキル×異能と長所のシナジーがヤバい人。
    灯台という閉所、初めての殺し合いという精神的デバフでオルランドに圧倒されたが、森林や街中で戦えば互角以上に立ち回れる。

    幸運ダイスで生存死亡を決めるルールさえ無ければ、どう考えても終盤まで生き残るフラグを積み重ねていた。

    本部に向かって高所から攻撃を仕掛け、本部戦開幕の嚆矢となる構想もあった。

    VS茜音沢戦ではこれで退場ということでアイテムを駆使して盛りまくった節はある。

    生還してれば負けん気の強さから篠宮と同じ組織に入っていただろう。

  • 488◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:19:25

    【金木 冥】
    作中一番手癖で書いてたキャラ。

    頂いた設定だと青春ドラマに出てくる小悪党のような設定だったが、他に集まった生徒がいじめに加担しそうな人物が殆どおらず、元いじめっ子という設定に変化。

    映画版BRの外れ武器、鍋の蓋が支給されて心が折れる。

    祖父と仲が悪いのはいじめをやめろと説教されたから。年の離れた妹弟の仲は良いが、わりかし雑に扱っている。ただ教育に悪いので石川を家に呼ばない良識はある。

    優勝狙いにならないルートの方が珍しいキャラ。初期武器が銃だったら初期位置が近い三田と千頭之を銃撃してキルスコアを稼ぐがマネモフルと遭遇して詰むことになる。

    いじめや美人局で多くの人間の人生を狂わせており恐らく死後は地獄に落ちたが、結果を見れば石川戦に貢献、暗黒金持ち一人撃破、命と引き換えに茜音沢の心臓停止とめちゃくちゃ貢献している。

    三田と一緒に生還しない限り、日常に戻っても再び邪悪として活動を始める。三田と一緒に生還しても、ルートによっては道連れに破滅する。

  • 489◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:31:52

    【姫氏原 小毬】
    ロワ開始前からの恋人と一緒に生還という、デスゲームにあるまじき偉業を成し遂げた少女。

    エピローグではめちゃくちゃいい空気を吸っているが、本編では常に曇っている。
    堀木に愛されていることに気づく前に死亡するルート、誤解したまま死ぬルート、愛されていることを知ったが死別するルートと無数のBADENDがあり、本編は最高のHAPPYENDを引き当てている。

    堀木に愛されていると気づいた後死別した場合、後を追うルートと優勝狙いになるルートがある。

    なお、自分が初めて悪霊で傷つけた少年が堀木だとは気づいていない。

    堀木を探しつつ人間に戻す方法を探し歩くために世界中を旅しており、大学は留年している。裏社会では「最強の異能者」として恐れられている。

  • 490◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:39:23

    【霧田 キルコ】
    自作キャラ二人目。私の自作キャラは宇多とキルコだけです。

    どれだけ優勝狙いに動きそうな参加者が集まるか分からなかったので、必ず優勝狙いになるキャラクターを投下しました。

    コンセプトはターミネーターで、主催の殺し合えという命令を愚直に守り、容赦なくクラスメイトに襲いかかるというもの。
    しかし関係性ダイスによりバスケターミネーター、オルランドに憧れているという設定に。
    結果、恋する乙女になりました。

    オルランドが序盤で退場しなかった場合、彼のルーティンを守るために邪魔な参加者を排除に動く。

    逆にオルランドが対主催に転べばキルコもまた対主催に転ぶ。

    実力は瀧沢や鰐淵といった実力者からは一歩劣るが、学習能力と容赦の無さで互角に戦える。

    中学生の頃から護身術の練習で不良生徒を病院送りにしていた。

    ドラギモスの幼馴染だが、キルコからのベクトルは無関心に近い。

    もしロワに参加していなければ鰐淵と千頭之に応援されながら、卒業式の日に桜の木の下でオルランドに告白していた。

  • 491◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:47:11

    【里美 綾香】
    オープニングで目立っていた演劇少女。

    戦闘力は高くないが堅実に優勝を狙う本ロワでは珍しいタイプ。

    実際運営との戦力差を考えれば優勝するしか道はないという里美の考察は何も間違っていない。

    演技力の高さを生かし、優勝するルートも存在する。

    あくまで堅実に優勝を狙っているので、ドラギモスが首輪を解除できるということを知れば、優勝狙いを一旦保留にする可能性はある。

    幼い頃に武術を習っているが、いくら天才とはいえ瀧沢レベルではなく、三田に一歩劣る。ナイフを持った素人なら無力化は可能。

    優勝・脱出どちらにしても、生還していれば殺し合いで得た経験を血肉にして、女優として更に成長する。

  • 492◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 01:53:41

    【瀧沢 魁】
    寸勁少女。

    彼女も口調などを安価でお任せしたので、かなり良いキャラになっている。その節はありがとうございます……!

    登場話でいきなりコモドドラゴンに噛まれ、失血死寸前まで追い込まれる。
    芝野の血を吸って回復後は、読心能力を身に着けた。これにより戦闘力は一段階上昇しており、仮に心身万全な状態まで回復していれば石川とも互角に戦えた。

    ロワに巻き込まれていなければ芝野を意識することは無かった。告白する前に芝野と死別するが、仮に芝野と恋仲になった後死別した場合、メンタルの状況次第では優勝狙いに切り替わる。

    本部戦まで生きていれば重要な戦力になっていたのは間違いない。

    生還した場合更にジークンドーの実力をつけるため、武者修行の旅に出る。
    芝野と共に生還した場合、イオンデートをする。

  • 493◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 02:05:30

    【千頭之 のづち】
    巻き込まれた家族を全員見つけて帰還した少女。

    自らの無力を嘆くシーンが多かったが、彼女の真面目さは仲間から信頼されていた。

    ストームと仲良くなる前にマネモフルと遭遇すると即詰む。

    また蛇以外は友達になることは出来ないためイノシシやコモドドラゴンに遭遇してもアウト。

    一度キルコに殺され復活したのはライブ感ではなく、蛇=復活のイメージから当初からあった構想。その際に鰐淵が関与するのも構想の初期からあった。

    まともな人格者、等身大のツッコミ役として活躍したが、日常ではむしろ変人キャラ側であり、殆どのクラスメイトと距離を置いていた。例外は鰐淵とキルコ。

    エピローグではOLとして忙しい日々を送っているが家族の世話に博物館巡りと充実した日々を送っている。

  • 494◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 02:05:51

    続きは明日書きます……!

  • 495二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 02:12:15

    IF展開が見てみたいのばっかだけど見たくても見られなかったという事実がまたいいなと思う

  • 496二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 05:41:26

    イオンデートをする。の平和さがいい
    叶わなかったけど

  • 497二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 07:37:06

    あの世にイオンがあればデートできるのに…死者の世界で再会してるからそこからワンチャンないかな(まあ希望的観測として)

  • 498二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 18:39:48

    保守

  • 499二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 18:40:06

    保守

  • 500二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 19:38:01

    生還ルートで歩む未来みんな微笑ましくていいね
    ねうねいとかドラちゃんとかどうなるんだろう
    猫王が教員になってるが大抵のものが出てきてももう驚かないけど

  • 501◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 20:10:06

    【ねうねい・めあめえ】

    ワープ少女。

    マネモフルの掘り下げに貢献してくれた子。

    アウトプットがバグっているが内面は普通の底抜けの良い子。

    堀木が唯一ペースを崩されるが、ラッタッター相手にはツッコミにまわる。

    参加者の中で唯一他者を害するルートが存在しない。

    登場話で最後まで残ったため、もし幸運ダイスが低ければゲーム開始直後に本部へ無理やりワープして茜音沢の悲しみを癒そうとし首輪を爆破されるルートがあった。

    三田が本部に残ったことで余力を残した状態で帰還でき、マネモフルの中で消えずに残っている。

    もし肉体ごど生還したら神出鬼没に世界各地に出現し異能で周囲を幸福にする、そんな都市伝説めいた存在になる。

  • 502◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 20:22:52

    【歯荷 仄花】

    エセお嬢様。

    長期戦になればなるほど強いが、意識を失えばリセットするため、持って24時間と少しが限界。

    ルート次第では優勝するポテンシャルはあったが、大抵のルートでは自己保身に執着し過ぎ、結果として序盤で退場する。
    それこそ第一話で特殊警棒で殴りかかり星峰と篠宮に返り討ちにあって死亡するルートもある。
    瀧沢VSマネモフル戦で逃げたフリをしつつ観戦する、という選択を選ばければ生き残ることが出来ず
    茜音沢戦で不死になった後再び茜音沢に挑まなければ生徒側は勝利できない。

    優勝して生還したルートでは自責の念に圧し潰されて家に閉じ籠るようになる。

    エピローグではマルチタレントとしてテレビで活躍しつつ自身のYouTubeチャンネルも盛況である。
    海外ロケでコモドドラゴンに追われ俊足で逃げ切ったことがバズり、トレンド1位を獲った。(歯荷からすればコモドドラゴンに噛まれて死にかけていたクラスメイトを知っているのでそりゃ必死である)
    仲間とも時々連絡を取り、自身のYouTubeにゲストとして出演してもらうこともある。
    (再生回数1位が自身のダンス動画ではなくマネモフルと四人の愉快な仲間たちとのコラボ回だったことをかなり屈辱に感じている)

  • 503◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 20:32:24

    【文乃 あかり】
    殺し合い二回目。

    いきなり対主催最強の新條アキラと合流するという神引きをするが(そもそも初期位置が結・宇都・新條という廃村や樹海と比較して本来ならかなりラッキーな場所)肝心の幸運ダイスで外し、放送直後に死亡した。

    作中あまり触れられていないが、ガチャを引けば必ずSSRを引き当てる。試したことはないが、宝くじでも一回引けば確定で100万以上は確定するので、資本主義社会においてある意味最強の能力を持っている。

    咄嗟に新條を庇ったことで新條が宇都の武装を壊すチャンスを生み、結果として廃校に辿り着いた段階で宇都はほぼ無力化されていたので、かなり対主催に貢献したといえる。

    ルートによっては原作の中川ポジションで生還する。その場合は作家になる。
    逆に新條を撃とうとして返り討ちに遭うルートもある。その場合咄嗟のこととはいえクラスメイトを撃ち殺してしまった新條は主人公補正を失い、その後の展開によっては闇堕ちする。

  • 504◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 20:42:47

    【結 栞奈】

    ダイスに恵まれなかった子。

    カタログスペックだけなら女子生徒で最強格であり、性格も内向的だが善良で責任感も強い。
    が、幸運ダイスでいきなり10以下を出してしまい宇都にジャイキリされてしまう。

    更に死後数か月後の掘り下げダイスの結果、学力がくそ馬鹿なことと私服がダサいことが暴露されるという死体蹴りを喰らう。
    結の異能はドラギモスが活用したが、結本人が使えばマッハ婆だけで万全の石川と互角に戦うことが出来る。

    トイレの花子さんは結の意思ではなく、彼女の死に際の無念が呼び寄せたもの。

    善良だがメンタルがそこまで強いわけではなく、ドラギモスとの死別などの鬱イベントが溜まると自暴自棄になり召喚した怪異に取り込まれる。

    逆に本部戦まで生存すれば戦力として重宝され、姫氏原のように戦いの中で覚醒すれば、翁と互角に戦えるまで成長する。

    生還した場合、高校卒業後、フリーの怪異退治屋として生計を立てる。ドラギモスと一緒に生還できなかった場合、確定申告で詰む。

  • 505◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 20:59:01

    【目裏 雨子】

    元凶。

    一応彼女が推薦しなくても管理人アカネの悪意で3年1組は選ばれることになる。

    思い通りにいじめが出来ず鬱憤が溜まっていたこともあり冗談半分で家族にクラスメイトを殺し合わせるよう頼んだ。結果、シスコン(義務感)の兄が無駄に頑張って殺し合いがガチで開催されることになりこれには目裏もビックリ。
    今更自分がどれだけ撤回しようとしても無理だと悟り、せっかくなので切り替えて楽しむことにした。

    ワープ装置の故障は事故であり、大抵のルートですぐに本部側に移動して観戦するか、トダーを使い参加者相手に無双を始める。
    ただその後の生存率はかなり低く、茜音沢が超人だった場合、家族ともども殴殺される。
    またトダーで無双しても油断したところを徒党を組んだ参加者に返り討ちに遭って死亡する。

    実のところ、唯一の生還ルートは茜音沢が普通の教師だった世界線で、なおかつトダーを使わずに本部で観戦に徹した場合だけである。

    その際は数年後姫氏原の悪霊(の素体となった少年)が参加したデスゲームの進行役になる。
    若き暗黒金持ちとして数多くのデスゲームを取り仕切るが、里美を助けられなかったことが心に傷として残り、無軌道な振る舞いが多くなる。
    ペットのリッチーが寿命で死んだ頃から、その行動は自暴自棄に近いものとなり、最期はガバガバなルールでデスゲームを開き、参加者に反抗を起こされ死亡する。

    基本的に邪悪であり、金木と違って妥協しないので、対主催になるルートが存在しない。

  • 506◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 21:13:50

    【山野 二 ※闇のヴェラジウス】

    厨二病の少女。

    初期武器が竹槍、開始位置がキルコ・目裏・姫氏原の樹海という不運な子。
    (この中で一番安全な姫氏原にしてもゲーム序盤は精神不安定なため確定で安心とはいえない)

    キルコに竹槍を奪われ取返しそうと挑発したところを殺されてしまう。
    ルートによっては素直に竹槍を諦め、丸腰で樹海を歩くルートもあるが、廃校に辿り着く前に石川に発見された場合やはり殺されてしまう。
    上手くドラギモス・金輪と合流できれば姫氏原と同様に廃校までたどり着けるが、その後の戦禍を生き残れる可能性は低い。
    本編でもかなり悲惨だが、ルートによっては小田斬の殺人シーンを目撃して思わず拒絶したり、逆に恐怖から相手を殺してしまいそこを小田斬に目撃され解釈違いで襲われるルートもある。

    本部戦まで生き残れば黄金の瞳を覚醒させ茜音沢の足止めに一役買えるかもしれない。

    生還したら劇作家として優しい物語を書き続ける。
    小田斬と一緒に生還したら、五年後結婚し、生涯をかけて小田斬を光の道に引き留め続ける。

  • 507◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 21:22:42

    【鰐淵 英利】

    廃校に行くまで誰とも出会わなかった人。
    関係性ダイス100。

    千頭之に会ったらどうするかは会うまで、会ってからも決めきれなかった。
    ルート次第では、千頭之を自らの手で殺してしまう。
    その場合は死に場所を求めるように周囲に襲いかかり、退治されてしまう。

    新條・小田斬を凌ぐ剣術使いであり、純粋な剣技なら茜音沢にも手が届く領域。

    廃校で千頭之と合流後、千頭之を守り切れず、なおかつ自分だけ生還した場合は、無気力になるパターンと、優勝狙いに切り替えるパターンに分かれる。

    キルコに勝利後千頭之の傷口を抑え続けマネモフルが間に合うルートだった場合、二人一緒に本部で戦う。

    一人で生還した場合は、千頭之と同じようにまっとうにOLしながら時々動物園へ行くようになる。
    千頭之と一緒に生還した場合は、シェアハウスしながら二人とも別の会社でOLをやる。

  • 508◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 21:33:01

    【虎肝 ドラギモス】

    イロモノ。

    私の記憶違いで過去スレ読み返したら頭は良いが運動苦手は製作者さまの追加情報からでした。失礼しました。

    首輪解除要員であり、対主催の要。
    翁・石川が揃う廃校スタートという中々ハード仕様で、廃校を抜けても廃村へ向かう途中でキルコと遭遇する可能性もある。

    戦闘力はブッチギリで最弱であり、ドラギモスが殴ってダメージを受ける生徒は居ない。
    廃校に辿り着けずに死ぬルート、首輪解除で失敗して死ぬルートと、本編のように全員の首輪を解除して本部へ攻め込めるルートはかなり低い。

    ドラギモスがいったい何者だったのか、その正体、実年齢、性別は、生きている我々は知ることが出来ない。
    制作者様も知らないと仰っていて、書いている私も複数の可能性を用意しその時が来たらダイスで確定させようと思っていたので、もはやダイスを振れない以上確定させることが出来ない。
    何気に異能の範囲が第四の壁を突破しているので管理人アカネを超えている。

    生還した場合、【アンカー】に所属し、暗黒金持ちを潰して回っている。
    結と一緒に生還した場合、彼女の仕事を手伝わされる。

  • 509◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:29:45

    【茜音沢 仁史】

    事実上のラスボス。

    娘を生き返らせるために殺し合いを開催した人。

    生徒が出来る技能は大体できる。また戦闘経験も豊富であり隙が無い。
    狂う前はくたびれた雰囲気を出しながら生徒のために積極的に行動し生徒たちからも慕われていた。

    超人ではなく普通の教師だったルートでも同じように真なるバトルロワイアルを開こうとして謀殺されてしまう。

    殆どのルートで殺し合いを完遂している。しかし茜音沢朱音は生き返ることを拒否するため、娘を取り戻したルートは存在しない。

    生徒を否定する言動が多いのはそうしないと修羅でいられないから。
    絶対に娘を取り戻すがもし自分を終わらせるならデストラップや運営陣ではなく生徒たちだと心のどこかで信じていた。

    殺し合いが起きなかった場合、卒業式で色紙を渡され涙ぐんでしまう失態を晒す。
    教師を引退した後は妻と一緒に静かな余生を送るが、新條を始め元教え子は頻繁に顔を出し忙しい老後を送る。

    どうやって倒すか最後まで頭を悩ませたキャラクター。結局思いついたの全部乗せで撃破。

  • 510◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:30:50

    「記念写真を撮らないか」

     と、言い出したのは宇多君だった。合唱部所属の通称・歌の王子様。
     朝のホームルーム、日直だった宇多君は、教卓の前で胸を張り、堂々と宣言した。

    「記念写真?」

     と、疑問の声を挙げたのは、新條君だ。

    「卒アル用にか? まだ早くねぇか?」

     剣道部所属の彼は、腕を組んで不思議そうに首を傾げている。

    「僕は賛成だな、一年のうちに撮っておいて損はないだろ」

    「そうそう。何人学校残ってるか分かんねぇしな。ぎゃははは」

     私と同じ、文芸部所属の三田くんが賛同の意を示し、不良の石川君も何やら物騒な理由で同意する。
     たぶん石川君の言いたいことは不祥事で退学とかのことだと思うけれど、私、文乃あかりにとって、石川君の言葉は私の心をかき乱すのに十分なものだった。
     私がかつて巻き込まれた殺し合い。

  • 511◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:31:40

     もし、あれにもう一度巻き込まれたら……。

    (いや、考え過ぎだよ。まさか、人生で二回も殺し合いなんて……)

    「私も、記念写真に賛成。これから背伸びる子とかいるだろうし、卒業のときに見比べたら絶対楽しいよ」

     気づけば、自然と手を挙げ、発言していた。
     まぁ、そこまで手間のかかるものでもない。専門の写真家を用意するまでもなく、皆で集まってスマホでパシャリなら、十分もかからないだろう。

    「い、今から撮るの? 今日、寝ぐせついてるんだけど……」

     結さんが慌て始め

    「私モ、今日は筋肉の張リが足リナイデース」

     オルランド君も難色を示す。

    「では提案です! 一週間後はどうでしょうか!」

     麻井さんの発言が決定打になって、何となく記念写真を撮ることだけは決定した空気になった。
     良くも悪くも連帯感があんまりない、マイペース主義者が集まった私たちのクラスだけど、波風を強く立たせる生徒もそう多くない。

  • 512◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:32:18

     思う通りに場が進行したのが嬉しいのか宇多君はふふふと不敵に笑っていた。

    「あー、まぁ青春っぽくていいかもなぁ。んじゃ宇多、時間押してるしそこどいてくれ」

     教師用のテーブルからのっそりと立ち上がった茜音沢先生は、宇多君をどかすと、今週の日程について説明を始めた。
     けれど私の意識は先生ではなく、一週間後の記念撮影に向かい始めた。

    (美容院、予約取れるかなぁ……)

     毛先を指で撫でながら、そんなことを思った。

  • 513◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:33:45

    「はーい、撮りますよ」

     通りすがった2組の先生の号令に合わせ、あらかじめ椅子と机を後ろに運んだ教室で、私たちは並び始める。

    「ばっちりかっこよく撮ってくれよ~」と石川君。

    「ふむ、我が王道の始まりにふさわしい」と宇多君。

    「うっす」とけだるいのは宇都君。

    「よろしくお願いしますね」とホストのような笑みを浮かべるのは小田斬君。

    「コノ一週間デ、筋肉ハ最高ノ状態デス」と、誇らしげなのはオルランド君。

    「自分、せっかくなんでお玉持ってとってもいいっすか」と調理器具を構えるのは金輪君。

    「これが今の俺の証明写真! うおおおおおおおおお!」と吠えだしたのは金島君。

    「………………」と気配を消しているのは篠宮君。

  • 514◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:34:14

    「ぼ、僕の顔、ちゃんと、映ってるか?」と不安げなのは芝野君。

    「よっしゃ、良いのを一枚頼むぜ」と何だかんだノリノリなのは新條君。

    「吾輩には理解できん風習だな」と呆れているのがNek-O君。

    「♪♪」と楽し気に身体を揺らしているのがラッタッター君。

    「何だか気恥ずかしいね」とはにかんでいるのが星峰君。

    「姫の可愛い☆写真、お願いね~😄」と笑うのは堀木君。

    「さっさと撮って欲しいですね、マジでね」と言ったのはマネモフル君。

  • 515◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:35:07

    「どうだい? 駅前の服屋にいいのがあってね」と鹿撃ち坊を自慢しているのは三田君。

    「皆さん、早く並んでください!」と仕切っているのは麻生さん。

    「あーもうぐだぐだ! 早く並びなさいよ!」と怒っているのは垣根さん。

    「えへへ、ぴーすぴーす」と怠そうにピースするのが金木さん。

    「あ、あの、その……」と表情を強張らせているのは姫氏原さん。

    「よく分かりませんが、命令なら……」と無表情の霧田さん。

    「可愛く撮ってくださいね」と舞台映えする笑顔を見せるのは里美さん。

    「けけけけ、かったるいイベントだなおい」とくさすのは瀧沢さん。

    「大丈夫だ、アラシは噛んだりしない」と隣の女子を説得しているのは千頭之さん。

    「いかろすは ほしに てをのばして まっさかさま(本当に噛まない? めちゃくちゃ怖い)」とよく分からないのがねうねいさん。

    「おほほほ、どんな写真になるのか楽しみですわ~」と口元を隠して上品に笑うのは歯荷さん。

    「あ、私、制服のリボン家に忘れちゃった……」とドジっ子しているのは結さん。

  • 516◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:35:56

    「早くシャッター押せよ貧乏人♡ こんな写真一生黒歴史確定じゃん♡」と傲慢なのは目裏さん。

    「時空を補完するはクロノスの権能か。闇のヴェラジウスが受けて立とう」と奇妙なポーズを決めているのが山野さん。

    「……どうでもいい」と無関心なのが鰐淵さん。

    「……まぁ嫌いじゃないよこういうイベントは」とCV神谷でクールに決めているのはドラギモス……君……ちゃん? だめだ、分かんない。

     私、文乃あかりも、適当なスペースを見つけて体をねじ込む。
     と、一人忘れていることに気づいた。

    「ほら、茜音沢先生も」

    「おいおい、俺はいいよ」

    「せっかくですから」

     渋る先生の手を引いて、真ん中に立たせる。先生もまんざらでもなさそうだ。

    「それじゃあ撮りますよ~」

     2組の先生が持ったスマホ(私のスマホだ)を見ながら、私はこれからの三年間に思いを馳せる。

  • 517二次元好きの匿名さん23/11/01(水) 23:36:50

    このレスは削除されています

  • 518◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:39:03

     誰と仲良くなるのだろう。
     誰かと恋人になったりもするのだろうか。
     体育祭、文化祭、夏のキャンプに修学旅行。最後には卒業式で号泣。
     5年、10年経って、同窓会で集まれるような、そんな素敵なクラスにしていきたい。

     ……もし、そうならなかったとしても。

     ——私たちは、確かにここに居たんだと証明になると思うから。

     そう願って、私は笑顔でピースを決めた。

     1組のみんな、これからよろしくね。

    【エピローグ 了】

  • 519◆xaazwm17IRZa23/11/01(水) 23:39:36

    全エピソードの投下を終了します……!

  • 520二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 02:09:28

    本当に長い間楽しませて頂きました
    個人的には最初に30人余りが集まったとき、まさかここまでキャラ立てをしてほぼ全員が活躍できるとは想像できませんでした
    やはり最初の二週間、特にオルランド戦で一気に引き込まれましたね

  • 521二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 02:31:26

    乙です、全エピソード見届けました。無造作に集まったのではなくて一つのクラスとして呼ばれたと思えるほどのキャラクター同士の連帯感が感じられました。暗黒金持ちや黒服達一人一人にも様々な個性を尊重した動きが見られて大変なのにできる方だと思いました。次の企画でもし見かけたらしっかり参加又は観戦させていただきます。長い間ありがとうございました。

  • 522◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:43:00

    感想ありがとうございます……!

    嘘予告投下します……!

  • 523◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:43:21

     ——始まりは、一つの願いだった。
     告白する勇気が欲しい。
     テストで100点を取りたい。
     大会で優勝したい。
     友達と仲直りしたい。
     ケーキ屋さんになりたい。
     学校の先生になりたい。
     お嫁さんになりたい。
     いじめから救われたい。
     病気を治したい。
     もう一度走れるようになりたい。
     お母さんにもう一度会いたい。
     親から解放されたい。
     昔に戻りたい。
     未来へ進みたい。

  • 524◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:43:52

     今の自分では叶えられない、願い。
     変われば、今の自分から『変身』できれば、きっと叶えられる。

     だから私たちは『魔法少女』になって——互いを殺し合った。

  • 525◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:44:53

    「消えろ、消えろ、消えろぉおおおおおおおおおおおおお!」

    「加速させろ、私を、全部……!」

    「ああそうだよ、なるべきじゃなかったんだ、アタシたちは、夢を見ちゃいけなかった……!」

    「友達になるのは簡単だよ……名前を呼んで……後、インスタフォローして……」

    「ようやく気づいたか、あいつ、まだ変身してねぇぞ」

    「どうしてこんなところに魔獣が……せっかく、せっかく全部上手く行ってたのに……!」

    「もう、何も怖くない」

    「出して! 僕は帰らなくちゃいけないんだ僕の世界へ!」

    「余は英検二級だけど貴様は?」

    「簡単なことだったんだ、青い鳥は、最初から……」

  • 526◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:46:10

    「魔法ローキック! 魔法ローキック! 魔法ローキック!」

    「あのね、俺が召喚された時点で、お前ら終わりなんだよ」

    「さようなら、今までありがとう」

    「ちょwwおまww有名人じゃんww」

    「嘘……先輩の正体が、お父さんだったなんて……」

    「やめてっ、殺さないでっ! まだ、死にたくない……!」

    「待ってろ、今、姉ちゃんが助けに行くからな」

    「何のために私たちは魔法少女になったんだよ……! ふざけんなよ……!」

    「知ってたよ、女の子は無力だって、きっと、生まれる前からさ」

    「こういうのはうちら闇系に任せときな。ガソリンの味とか知らないでしょ?」

    「明日は漢字の小テストがあるの。五分で片づけるよ」

    「可愛くないなぁ」

    「後悔はしていない。しちゃ、いけない」

    「ねぇ、もしかしてどこかで会ったことある?」

    「死んじゃえ、ばーか」

  • 527◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:46:42

    「確かに、もう希望は無いのかもしれません。
     でも、貴女に会えて良かった。
     だから、見ていてください、私の——変身を」

  • 528◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:47:07

    「あにまん魔法少女デスゲーム」

     二〇二四年二月開催予定。

  • 529◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 02:48:18

    嘘予告投下を終了します……!

    実際にどんなルールで展開し、どんなキャラが集まるかは来年集まった人たちで決めていきたいと思います

  • 530二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 02:59:30

    ちょいちょい別の修羅場が挟まってて草。来年楽しみ〜!スレ主も無理なく過ごしてください。

  • 531◆xaazwm17IRZa23/11/02(木) 03:03:29

    それでは、最後になりますが、本当に今までありがとうございました……!

    元々軽い気持ちで始めたのですが、遅筆もあって一週間どころか三月末~十一月頭までかかってしまいました。次回はこの反省を生かしてもう少しテンポ良く進めていきます……!

    安価になったりならなかったりとぐだぐだだったのも申し訳なかったです。
    次の魔法少女でも幸運ダイスと関係値ダイスは導入しようと思います、ただもう少し話がコンパクトになるよう工夫はしようと思います……!

    キャラクターを始め数々のアイデアをありがとうございます……! 私では思いもつかないような魅力的なキャラクター・アイデアばかりで一人で三〇人分投下することも覚悟していた身としては、望外の喜びでした……!

    また感想をたくさん頂いたことも大きなモチベーションになっていました。こんなにもたくさんの感想を頂いたことは初めてで、忘れられない思い出です。

    この先同じような企画はちょくちょく立てると思いますが、プロトタイプであり第一回である今回は、この先ずっと私にとって特別な作品になると思います……!

    拙い文章力であるにも限らず、リアルタイムで付いてきてくれた方、完結後に過去スレから読んでくれた方、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます……!

    それでは、本バトルロワイアルはここまでとさせていただきます……!
    ご観覧、ありがとうございました……!

  • 532二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 06:18:22

    乙でした
    公募に送る作品書くってことは作家志望なのかな?
    本出たら教えてください!って言いたいところだけど「自分あにまん民です」って公表するようなモンだしなあ……
    ひとまずめっちゃ楽しかったんで次も期待してます!

  • 533二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 11:17:17

    今まで本当にありがとうございました
    わりとガチで毎日の生きる楽しみと化してました
    その場の思いつき75%でできたキャラが生き生きと活躍しているのを見るのがとても楽しかったし、毎回白熱の展開で本当にドキドキさせられました
    アツいバトル、ゆるいギャグ、しんみりした展開などどれも最高だったので次回作も期待してます!

  • 534二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 16:41:31

    山野が小田斬に解釈違いで殺されるルート地獄すぎるからそうならなくてよかった……

  • 535二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 17:45:52

    英検二級姉貴絶対好きなキャラだから逆輸入して投下しようかな

  • 536二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 19:03:51

    長い間本当にお疲れ様でした
    もうこのスレのキャラを語れる場所がなくなるの寂しい…
    そして魔法少女ものは設定の統一が大変そうだな…安価スレの魔法少女ものは設定決めでミスると立て直せなくなるし

  • 537二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 19:06:17

    もしまだいらっしゃるなら最後に質問なのですが、ステッキや魔法、魔法少女名などの設定はどこまで原作に寄せるおつもりでしょうか?

  • 538二次元好きの匿名さん23/11/02(木) 21:43:27

    お疲れ様でした!
    長期間に渡る連載、そしてたくさんのキャラクターの設定を活かしつつ他のキャラクターと絡ませながらの掘り下げなど、どれも見事で楽しませていただきました。

    ちなみに私は…生徒・金輪幹久、黒服・ペギージョーダン、金持・拳王卿、あと怪異・十三階段の投稿者です
    彼らを活き活きと動かして下さって本当にありがとうございました!

  • 539◆xaazwm17IRZa23/11/03(金) 00:52:51

    >>537

    まほいくの二次創作ではないので、魔法少女育成計画に寄せるつもりはあまりないです……!(世界観なども共有しないつもりです)


    魔法少女や魔法の設定、デスゲームのルールについては新スレで安価・ダイスなどで決める予定です……!

  • 540二次元好きの匿名さん23/11/03(金) 06:25:17

    えへへ、ぴーすぴーすで不覚にも萌えてしまった
    金木ってもしかして可愛い?

  • 541二次元好きの匿名さん23/11/03(金) 16:36:44

    保守

  • 542二次元好きの匿名さん23/11/04(土) 00:12:43

    保守

  • 543二次元好きの匿名さん23/11/04(土) 07:34:37

    金木は実際かわいいよ
    個性強すぎるのが他に多すぎたけど

  • 544二次元好きの匿名さん23/11/04(土) 18:03:04

    保守

  • 545二次元好きの匿名さん23/11/05(日) 00:02:29

  • 546二次元好きの匿名さん23/11/05(日) 00:40:05

    (次作は新スレでやるっぽいから保守しなくてもええと思うよ)

  • 547二次元好きの匿名さん23/11/05(日) 11:19:37

    話が終わっても保守され続ける神スレ

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