聖夜の約束【トレウマSS】

[1 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:43:39]

トレーナーさんが仕事をサボっています。
いつも真面目なトレーナーさんはサボり方が下手くそです。
キーボードを打つ音も、何かを書く音もそんなにしないトレーナー室。
「なに、みてるの、ですかー」
あまりにだらだらとしていたので、ひょいっとトレーナーさんに乗っかります。
肩に顎をのせてぐりぐり、トレーナーさんの手元のスマホに視線を落とします。
「天気予報……？」
ぱっと見えたのは雲レーダーの画面。トレーナーさんは天気が気になってな、と笑っています。雪が降らないようで安心したよ。そう呟く横顔に、なにか楽しそうなものを感じました。
「……セイちゃん、今日は眠くならなくてもいいですかー？」
一拍、すぐに理解してくれたトレーナーさんは、こくんと、うなずいてくれます。
ふーん、そっかー。そうなんだー。
「じゃあ、楽しみにしてますねー？」

[2 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:43:57]

とはいえ、疲れがあるならすこし寝ておいてほしいといわれたので、セイちゃんはお昼寝スポットを探して校内を歩き回ります。
冬場はお外で眠れる場所が少ないので、ゆらゆら、ふらふら。
調理室から甘い匂いがふわふわただよって
図書室には夜に向けて予習する子達がいて
保健室では緊張の余り泣き出した子がいて
化学室では白衣のウマ娘に人集りができて
そんな感じでどこもかしこも浮かれに浮かれて大騒ぎ。
セイちゃんの眠れそうな場所は残念ながら見つかりません。
結局一番落ち着ける場所に戻ってきたセイちゃん。トレーナーさんは優しく笑っています。
「ね、トレーナーさん、追い出さないからここで寝ていい？」
意地悪顔をしたトレーナーさんが、セイちゃん条例は問題ないか？と聞いてきます。
「この一年で改訂されましたー。トレーナーさんに罰則はありませーん」
照れてる照れてる、顔を赤くしたトレーナーさんから視線をそらしてソファーにダイブ。
ポカポカ顔にひんやりソファー心地よいです。
どんなことが起こるかワクワクしながら目を閉じます。
おやすみなさい。

[3 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:44:19]

目が覚めたのは、窓の外が紫色になるくらいのころ。
トレーナーさんが出掛けよう！といいます。
ふわふわコートをきて、だるだる鞄を肩にかけて、トレーナーさんの車に乗り込みます。
「どこにいくんですかー？」
ナイショ、と楽しそうな声が帰ってきます。仕方がないのでワクワクしながら窓の外をみます。キラキラ輝く町並みがどんどん流れていきました。
流れに流れてキラキラが少なくなってきた頃。まさか？と思いながらも今日の朝を思い出します。
うん、大丈夫、一番かわいいのにした。お財布にも、準備はある。
そんなセイちゃんをよそに車はどんどん進んでいきます。
お城のような建物は通りすぎ、人気の少ない山道に入っていきます。
外かぁ、寒そう。何てぼんやり考えていると、ガタガタ道の途中で車が止まります。
──すこし、歩こうか。
さてさてどこにつれていかれるのでしょう。

[4 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:44:38]

てくてく歩いて、お山のてっぺん。誰もいないところにポツンとベンチがありました。
上も下もキラキラと眩しい景色が広がります。
──スカイはどれがほしい？
トレーナーさんが訊ねてきます。何をしてくれるんだろう、ワクワクしながら、ゆっくりと空に指さします。
セイちゃんの腕に、トレーナーさんの腕が寄り添って──とんっ
セイちゃんの手に小さなお星さまが落ちてきました。
「……覚えてたんですね」
当然だ、とトレーナーさんが胸を張ります。
「もー、セイちゃんが作戦考えるっていったじゃないですか。」
尻尾でぺしぺし、ポカポカの顔が見られたくなくてついついそっぽを向いてしまいます。
まだまだあるからな、どんどん捕まえにいこう、と笑ってトレーナーさんはセイちゃんの手を握りました。

[5 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:45:05]

ポケットがお星さまでいっぱいになったころ、トレーナーさんがいいます。最後にとびきり大きなのを捕まえようと。
とびきり大きなもの、一番大きなお星さま。
するりと繋いでいた手を離して、ひとりでくるくる歩きます。くるくる、てくてく、ぴたり。
北向きに指をさして、トレーナーさんを振り向かせます。
北極星か。そう呟いて近寄るトレーナーさん。セイちゃんの腕にそっと寄り添わせて──その腕をきゅっとつかみました。
ポトリ、と青色のお星さまが地面に落ちます。
「つーかーまえたっ」
トレーナーさんはキョトンとしたあと、冴えない六等星だなと笑います。
「とびきりの一等星ですよ。」
指と指を絡めて、手のひらをくっつけて、逃がさないようにしっかりと握ります。
セイちゃんにとっての一番のお星さま、いつでも導いてくれる、大事な存在。そんなあなたのことをセイちゃんは、私は───

[6 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:45:26]

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車に戻って、トレーナーさんが小さくくしゃみをします。
車もすっかり冷えきっていて、エンジンをかけて温まるまで時間が必要そうです。
「トレーナーさん、座席下げてくださいー」
一番後ろまで下がったところで、だるだる鞄と一緒にお膝にとびのります。
戸惑うトレーナーさんをよそに、鞄から大きな包みを取り出します。ぱりぱりと破って中から出てきたのは、大きな毛布。
お星さまには及ばないけれど、悩んで悩んで選んだプレゼント。さわさわふかふか暖かなそれを、二人で一緒に被ります。
「車があたまるまで、ねー？」
すこし迷ったあと、トレーナーさんはぎゅっと抱き締めてくれました。幸せなポカポカについつい顔が緩んでしまいます。
そういえば、まだこれをいってませんでした。トレーナーさん──
「メリークリスマス」

[7 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:46:32]

クリスマスイベントの一年後の妄想です。
頑張ったのでサンタさんセイちゃんください

[8 二次元好きの匿名さん 21/12/24(金) 16:55:33]

だいたいこの系統のセイトレです

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