【🎲時々⚓・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が 2

[1 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 19:31:23]

『爆撃(The Explode)』ではなく『侵入(The ENTER)』の世界線。

私のシュリフトはE｜あにまん掲示板

↑のスレの能力設定を所々引用しつつやります（完全見切り発車）。

現在のバンビちゃんの能力値。

戦闘力 100

霊力 54

霊子操作 38

静血装 18

動血装 49

聖文字の熟練度 5

前スレ↓

【🎲時々⚓・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が｜あにまん掲示板

[2 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 19:39:52]

黒崎家の面々からバンビちゃんの好感度ダイス。
黒崎一心　59
　　真咲　56（固定）
　　一護　96
　　遊子　39
　　夏梨　64
その逆、バンビちゃんからの黒崎家の好感度ダイス。
黒崎一心　39
　　真咲　80 (固定)
　　一護　37
　　遊子　47
　　夏梨　47

[4 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 19:47:04]

バンビちゃんからの一護以外の現世メンバーの好感度。
朽木ルキア　41　井上織姫　99
茶渡泰虎　44　石田雨竜　27
浦原喜助　60　石田 竜弦　33
有沢 竜貴　29　浅野 啓吾　86
小島 水色　17　四楓院　夜一　58
逆からのバンビちゃんの好感度ダイス
朽木ルキア　57　井上織姫　83
茶渡泰虎　48　石田雨竜　78
浦原喜助　88　石田 竜弦　69
有沢 竜貴　40　浅野 啓吾　83
小島 水色　21　四楓院　夜一　63

[5 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 19:53:10]

＊話が途中だったので、現世・大虚出現編から再掲載

「アンナ、この商品の在庫はあるか？」
　六月下旬、期末テストが終わった日。バンビエッタはいつものように洋裁店でアルバイトをしていると、中学時代から黒崎一護の相方になっている大男が話しかけてきた。
　茶渡泰虎――二メートル手前の身長と百キロ超えの体重。とても一護と同い年とは思えない大柄に浅黒い肌、顔立ちも異国人の雰囲気が残り、同年代と比べると老け顔で子供におじさん扱いされる。
　一護とバンビエッタを始め友人からはチャドの愛称で呼ばれ、不良の間では「馬芝中のチャド」と恐れられていた。
「ああ、それね。裏にあるわ」
　四十センチ近い身長差にバンビエッタは頭を上げてチャドが持っていた商品を確認してから、バックヤードに向かい同じ商品を持って来る。
「ああ、すまない……アンナ」
「うん？　なによ」
　商品を受け取ったチャドだったが、その場を動かずにバンビエッタをじっと見下ろす。
「一護は、何か……俺に隠していると思うんだ。アンナは知らないか？」
　バンビエッタはチャドの言葉に無言で考える。彼がそう考える理由は、彼が巻き込まれたインコに憑依した少年霊と地獄に堕ちて行った虚が原因と思いながら、小さく頷いた。
「知ってるわ。でも、それは一護が語るものだと思うからあたしからは言えないわ」
「……そうか」
　小さく落ち込むチャドに、弱めの霊感と凄まじい勘の良さに強靭な肉体がある彼に、バンビエッタは助言をする。
「チャド。時が来たら一護はちゃんとあんたを頼るから、それまで体を鍛えてみたら？　それか格闘技を学ぶとか」
　滅却師のバンビエッタから見ても、チャドの筋力と頑強さは規格外の部類。だからこそ長所をさらに伸ばす事を進めた。
「格闘技……その手の技術は避けていた。だが、一護は確実に強くなっている。俺はあいつの隣に立ち続けるには…………アンナ、ありがとう」
「そっ、頑張りなさい」
　チャドの決意を察し、バンビエッタは優しい性格の彼を見送った。

黒崎アンナ（バンビエッタ）の期末テストの結果。
国語 51　数学 6　理科 2
社会 46　英語 30　保体 67
技家 15　音楽 37　美術 96

[6 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 19:54:47]

「はぁ……もう死にたい」
　バンビエッタは廊下の窓に寄りかかり、過去になく意気消沈していた。
　350点――それが彼女の期末テストの合計点。それに比べて黒崎一護・茶渡泰虎・井上織姫・石田雨竜の顔見知り四人は、学年上位に入る成績が余計に落ち込ませた。
　今後やってくる追試と補習の日々から逃げたくて、窓から跳び立ちたい気分だった。
「アンナちゃん！　飛び降りちゃだめー！」
「ぎゃっぁ！！」
　唐突に横から誰かに抱き着かれ、バンビエッタは廊下に横倒しになる。普段の彼女ならそんな攻撃に当たることはないが、今日は周囲に意識を向けられないほど落ち込んでいた。
　胡桃色の長髪が顔をかかり、彼女の巨乳がバンビエッタの肩にのしかかる。
「どきなさいよ、織姫！　あと重い！」
「重くない！」
　学年3位という輝かしい成績を取った井上織姫に抱き着かれ、バンビエッタは鬱陶しいとばかりに抱き着く彼女を強引に引き剥がそうとするも、それに抵抗する織姫はさらに強く抱き着く。
　おお……っ。
　学年上位の美少女と男子生徒から見られているバンビエッタと織姫が絡み合う姿に、男子生徒は興奮し感嘆の声が漏れていた。
「こら男子ども！　見てんな！」
　そこを井上織姫の保護者である有沢竜貴からの怒声が飛び、廊下にいた男子は脱兎の如く逃げて行く。
「織姫！　あんたは離れる！」
「ひゃあ」
　親猫が子猫を持ち上げるように、有沢は織姫の首根っこを掴むと彼女を持ち上げてバンビエッタから引き剥がす。
「はぁ……織姫、アンタはどうしてそう突発的に動くの。冷静って言葉を知っているの？」
「たつきの言う通りね」
「うう、すいません……」
　織姫としては窓から飛び降りそうな雰囲気だったバンビエッタを助けたい一心で動いたのに、数分後にはバンビエッタと有沢の前で正座させられていた。
「アンナもたまたまテストが悪かっただけでしょ。まだ期末テストはあるんだから、そこで巻き返しなさいよ」
「そう言われると、そうだけど……」
　あんなに酷い点数を取ってしまったら簡単に立ち直れないと思うバンビエッタであったが、それを口にすると余計に気分が落ちると思って口をつぐむ。
「はぁ……」

[7 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 20:08:17]

立て乙です

[8 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 20:12:02]

高校生バンビちゃんのイメージ画像です。

[9 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 20:27:35]

凄いいい感じ
ついつい原作の黒髪ロングを想像していたがショートボブもいける

[10 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 20:31:07]

能力値のステータスに燦然と輝く戦闘力100

[11 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 20:35:25]

>>9　ありがとうございます。原作通りのロングヘアも良かったんですが、差別化も兼ねてミディアムヘアにしました。

>>10　この時だけはダイスが味方してくれたと思ってます。ただ、護廷十三隊の隊長・副隊長のステータスを100越えにしてもいいんじゃないかと思ってます。

[12 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/01(日) 22:46:09]

　期末テストの結果が張り出された日の授業は午前だけなので、バンビエッタは何やら考えごとをしている一護を置き去りにして下校すると、その足で黒崎夏梨を捜しに向かった。
　目的は彼女を虚から護るために侵入させていた精神体を回収するため。普段は朝か夜に回収して、その日の情報を把握してから再び精神体を侵入させていたが、期末テストの結果を気にするあまり一昨日からすっかり忘れていた。
「こっちね……」
　夏梨の霊力量は一護より少ないが常人よりもずっと多い、確実に虚だけではなく死神の姿も見えると判断したため姉の遊子よりも優先順位が高かった。
　バンビエッタは夏梨の体から垂れ流しの霊力が生む霊圧を捉えると、きのがや地区の方へと向かった。
　しばらくきのがや区内の町を歩いたバンビエッタは、小さい丘の階段を登った先に拓けた空地が広がり、そこには赤い帽子を被ったボーイッシュな服装の夏梨と、友達だろう四人の男の子がサッカーをしていた。
「かーりーん！」
「え、姉ちゃん？！」
　バンビエッタが後方から呼びかけると夏梨は勢いよく振り向き、足元のサッカーボールを放棄して彼女の方へ走ってきた。
「なに、どうしたの？　今日は早いね」
「今日は授業が午前だけよ……夏梨は、よくここで遊ぶの？」
「まあね、ここは私たちの遊び場だからさ」
　夏梨と話しながらバンビエッタは彼女の肩に触れて二日ぶりに精神体を回収し、すぐに再度精神体を精神世界へ侵入させた。
「へえ……ねえ、夏梨。ここって私有地じゃないわよね？」
「え、だいじょうぶだと思うけど……うん」
「ならいいわ。ちゃんと夕方には帰ってきなさいよ」
「わかってる！」
　夏梨は元気よく返事をしてから男の子たちの方へ走り、サッカーを再開する。
　それを確認したバンビエッタは、帰宅しようと思った矢先――町の方から虚の霊圧を感じて足が止まった。

[13 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/02(月) 00:12:17]

展開ダイス、バンビちゃんはこれからどうする？

1.夏梨と一緒に避難　2.静観

3.雨竜に制裁　4.学校に向かう

dice1d4=1 (1)

[15 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/02(月) 14:27:44]

「――あのバカ、なにやった」
　バンビエッタは丘の空地から霊覚の範囲内に連続で出現する虚と、虚を遠距離狙撃で滅却する石田雨竜の霊力を感じ、手際の良さから彼が何かしたと悟る。必然的に死神代行の黒崎一護も巻き込まれたと気付く。
「避難させないと」
　夏梨をここから避難させると決めたバンビエッタは、サッカーをする五人の方へ顔を向けた。その夏梨は男友達の声を無視して空を見上げ、つられてバンビエッタも視線を空に向ける。
　……ああ、そういうこと。
　上空には口を窄めたように凝縮された空間があった。それが虚の世界から現世に出現する際に発生する穴、黒腔（ガルガンタ）の前兆と気付いた。
「――夏梨、帰るよ」
「え！　ね、姉ちゃん、でも……」
　面倒な上位虚に見つかりたくないバンビエッタは、夏梨を連れてこの場から早く去りたかったが、何も気づかない男友達が心配な妹分は素直に頷くことが出来ずにいた。
　――しょうがないわね。
　バンビエッタは自分を見つめる男友達に、問答無用で精神体を侵入させた。無防備な彼らは一瞬で精神体に肉体を奪われて、瞳に光が無くなる。
「あんたたちも早く家に帰りなさい」
「「「「はーい。じゃあな、かりん！」」」」
　バンビエッタ本体が男友達たちに帰るように言えば、精神体は同時に返事をして町とは逆方向にある階段を降りて行った。「侵入」に記憶を読み取る能力はないので、各々の家へと向かわせる事は出来ないため、近場の公園のトイレに隠れるように操作した。
　男友達が一斉に去るその光景に、夏梨は目を見開いて驚いていた。
「え？　えっ？」
「素直ね。さ、夏梨も帰ろ――うん？」
　バンビエッタが夏梨の手を取った時、町の方に覚えのある霊圧を感じ取り視線を町へ向ける。
　チャド？　…………これ、虚に追われてる？
　バンビエッタはチャドの霊圧を狙って探り、彼の置かれている状況を理解した。
　しかし、これから夏梨を避難させるには逃げる彼を無視しないといけない。
「姉ちゃん、なんか空気がへんだ」
「……あーうん、そうね」
　虚を知らない夏梨は、各地から感じる虚の霊圧が混じった事で空気が淀んでいるからと気付かない。それよりもバンビエッタはチャドの行動が気になっていた。
　……こっちに来てる。
　優しい彼は虚の被害が出ないように、この空地に向かっていると理解した。
「はぁ……どうするのよ、これ」

[16 二次元好きの匿名さん 23/10/02(月) 17:07:55]

各種アシストにお役立ちな侵入

[17 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/02(月) 21:51:04]

　……もうしょうがないか。

　こちらへ向かって来るチャドと虚の霊圧が迫り、バンビエッタは虚を倒すことを決めた。

　滅却師である事が夏梨にバレてしまう可能性があるものの、侵入で意識を奪っておけば問題ないと考えながらバンビエッタはチャドの到着を空地で待った。

「姉ちゃん、帰らないの？」

「その前に、用事を済ませてからね」

　――来たわね。

　階段を駆け上がる足音が聴こえバンビエッタはチャドが来た事を悟りながら、夏梨に忍ばせた独立させた精神体と再度繋がりを結び、バンビエッタ本体の方で夏梨の意識と肉体を奪った。

　ほぼ同時に紫のアロハシャツという若者らしくない服装のチャドが、荒れた呼吸のまま空地に入ってきた。

「アンナ、それに一護の妹……！」

「チャド。すぐにそこを――」

　バンビエッタが彼にそこを退くように言おうとするより先に、チャドは彼女らの方に飛ぶとそのまま二人を抱き抱えた瞬間、ズドンと音をたてて地面が陥没した。

　土煙の向こうに見える虚は、灰色の肉体に威嚇したシーサーのような仮面を付けた中サイズの人型虚だった。

　あの程度なら、バンビエッタは指先から滅却の矢を撃とうとしたところで、チャドが彼女の前に立ち射線を遮った。

「チャド」

「アンナ、一護の妹を連れて逃げてくれ……俺と違って、あれが見えるんだろう？」

「……見えるけど。あんた、あれがちゃんと見えてるの？」

「…………やや見える」

　と答えるチャドの言葉を嘘と判断したバンビエッタは、大方類まれなる勘とわずかな霊感だけで虚の攻撃を回避してきたと思った。それはそれで凄いと思いながら、そっと彼の逞しい背に触れて精神世界へ侵入しようとした。

　それが茶渡泰虎の眠っていた能力を引き出すことになるとは、誰も思っていなかった。

ダイス、チャドの開花した能力はどっち？

1.巨人の右腕　2.悪魔の左腕

dice1d2=2 (2)

>>16　能力的に攻撃型ではありませんから、アシストは得意です。

[18 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 04:08:47]

いきなり悪魔の方に目覚めちゃった

[19 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/03(火) 13:12:48]

「「――は？」」

　バンビエッタとチャドは唐突に起きた予想外の事態に、唖然の声を出した。

　彼女が級友の精神世界へ侵入しようとした瞬間、それが引き金になったかのように彼の左腕が変質を起こし、肩に角を生やし腕に赤いラインの入った白い腕になった。

「「…………」」

　互いに視線を合わせ、意味が分からないと無言で訴え合っていた。そんな二人に対して、チャドを追っていた虚は雄叫びを上げた。

「―――ッ」

「ちょっ！　チャド！？」

　雄叫びを合図にチャドは虚の方へ振り返り、猛烈なダッシュで敵に迫る。その迷いのない走りにバンビエッタは彼がしっかり虚の姿を捉えていると気付いた。

　力の発現。その原因が自分の「侵入」と思ったバンビエッタは、なぜそんな事が起きたのか皆目見当が付かない。

　バンビエッタが立ち止まっている間に、チャドは虚と殴り合う距離まで接近していた。

　体格差は歴然、生身のチャドが虚の拳を受ければひとたまりもない。バンビエッタはこれ以上彼を放置できないと、素早く矢を生成しようとした。

「！！」

　それよりも早くチャドの白い左拳に彼の霊力が集まる。そのまま自分に拳を振り下ろそうとする虚に向かって、左腕を思い切り振り上げた。

　豪風と共に左手に集まっていた霊力が、霊力の拳として放出されて虚の胸に当たれば風船の如く上半身が破裂して跡形もなく消し飛んだ。

「――あ」

　虚を消し飛ばしたチャドは腕を振り上げたまま硬直していたが、急に糸が切れたように前へ倒れ、バンビエッタは小走りでチャドの安否を確認するよりも早く、彼に近づいた人物がいた。

「鉄裁」

「お久しぶりですな、アンナ殿」

　姿を見せたのはチャドに劣らない体躯と頑丈さ、おさげに眼鏡とインパクトが強い浦原喜助の片腕的存在、浦原商店店員・握菱鉄裁。

「なにしに来たのよ」

「店長より、茶渡殿の保護を頼まれまして」

「ふうん……じゃあ、夏梨もお願い。しばらくは起きないから」

「――お任せを」

　バンビエッタに頼まれた鉄裁は、気絶したチャドと意識の無い夏梨を軽々と担ぎ上げ、近場の屋根に飛び移るとカエルのように跳び去って行った。

ダイス、バンビちゃんは次に誰のところへ行く？

1.織姫　2.雨竜　3.一護

dice1d3=1 (1)

>>18　ダイスがそれを望みましたから。しょうがないです。

[20 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 22:20:43]

応援保守

[21 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/04(水) 00:26:07]

　……一度、学校に行ってみよう。

　鉄裁に担がれたチャドと夏梨を見送ったバンビエッタは、虚が出現しそうな空座第一高校へ向かう事にした。

「ん？」

　地区を一つ越えて高校の校舎が見えたところで、バンビエッタの霊覚に憶えのある霊圧があった。

「――何してんのよ」

「おや、アンナサン」

　いつもの服装の浦原喜助が物陰にしゃがみ、こそこそ何かの作業をしていた。

「いえね、もしもの時のための準備をしているんッスよ」

「ふーん……さっき鉄裁と会ったけど、チャドを保護させたのはどうして？」

「……力が発現したみたいッスね」

　浦原の発言でバンビエッタは、彼が部下をチャドに張り付かせていたと気付き、力が発現しない時はどうするつもりか問いただしたい気持ちになるも、口上手が相手ではうやむやにされるのは分かっていた。

「多分……あれ、完現術（フルブリング）と思うわ」

　「完現術」物質に宿った魂を引き出し使役する能力の総称。チャドの力を死神・滅却師・虚の力でもないと判断したバンビエッタの憶測だった。

「へえ、じゃあアンナサンの固有能力も完現術ッスか？」

「あ～……」

　当たり前のように完現術とは訊かない浦原の問いに、バンビエッタは自身の「侵入」が完現術なのかよく判らないため、明言が出来なかった。

「どうでもいいでしょ。あんた、学校に居る誰を保護する気よ？」

「……井上織姫サンです」

「理由は？」

　バンビエッタは浦原喜助に近づき肩に触れ、井上織姫を保護しようとする理由を訊ねる。

　彼女の能力を肉体支配と推測する浦原喜助は、正直に嘘ではない自分の考察を述べ始めた。

「二人の霊力の高さもありますが、一番は死神の一護サンとの接触です。ご存じの通り、彼の霊力は強大ですが垂れ流しの状態。彼との接触とこの異常事態……危機に二人の魂の底に眠る能力が引きずり出される可能性がありました」

「で、保護してどうするつもり？　そこで終わりじゃないでしょ？」

「――選んでもらおうと思っています。目覚めた力をどうするか」

「…………」

　バンビエッタは表情が見えなくとも、浦原喜助が二人をこちら側に招きたいと理解した。これから先に起こるだろう戦いに備えて。

ダイス、バンビちゃんはこれからなにをする？

1.傍観　2.浦原に任せる　3.虚と交戦　4.雨竜を制裁する

dice1d4=2 (2)

[22 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/04(水) 00:30:35]

浦原に学校を任せたバンビちゃんは何をする？

1.家に帰る　2.一護を様子見　3.町の虚を狩る　4.大物に備えて待機

dice1d4=3 (3)

[23 二次元好きの匿名さん 23/10/04(水) 05:41:40]

雑魚散らしに不足はない戦闘力

[24 二次元好きの匿名さん 23/10/04(水) 12:27:25]

悪い男だぜ　浦原喜助

[25 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/04(水) 14:57:30]

「……やりますか」

　学校と織姫の件を浦原喜助に任せ、バンビエッタは空座町に出現した虚を狩ることにした。

　一護の霊圧を常に捕捉し彼に気付かれない事に注意しながらも、機会があれば石田雨竜を殴ると決めていた。

　手頃に人のいない場所に立ち、周辺の霊子と自身の霊力を合わせて長弓と矢を生成する。バンビエッタは目を閉じて、霊覚だけに世界を視る。暗い視界に火の玉のように霊圧が映り、ひときわ大きく動き回る霊圧は一護と分かる。

「ほんと、いい餌ね」

　本能優先のザコ虚なら一護の霊圧に引き寄せられる。あれでもほぼ毎日霊力を消費させているのに、まるで精力絶倫のウサギと思いながら、バンビエッタは弓矢を構え、一護の後方にから近づく虚に向けて一射した。

　雷光の如く標的に一直線で向かう矢は的確に虚の頭を撃ち抜き、彼女の視界から一つの霊圧が消えた。一護がそれに気付いたかは判らないが、少なくとも彼の霊覚はバンビエッタより狭いのは確実だった。

「――というかっ、なんで竜弦の奴は来ないのよ！」

　誘蛾灯・黒崎一護に寄ってくるザコ虚を狙って倒し続けるバンビエッタだったが、ここまでの騒動になっているのに全く姿を見せない石田竜弦に対しての不満が溜まっていた。

「あとで病院にクレームを入れてやる！」

　虚の脳天を射抜き、クレーム内容を考えながらバンビエッタは虚を狩り続けた。

　しばらく時間が経ち、二十五体の虚を滅却したところで一護が朽木ルキアと自分の体に入ったコンに石田雨竜と遭遇したと気付き、攻撃を止めた。

「どうしよう」

　多数の虚が空に向かって行く様子を見上げるバンビエッタの先にある黒腔は、今にも開きそうな予感をさせる。一護たちを静観するバンビエッタは、こっちに近づく霊圧に気付き視線を向ける。

「どーも、お疲れ様です。アンナサン」

「浦原、ちゃんと仕事したの？」

「もちろんッスよ……あの二人には、この戦いを見てもらってます」

「へーそう。夏梨は？」

「きちんと、家にお届けしましたよ」

　とバンビエッタに答える浦原喜助の視線は、虚の群れを追い移動を始めた雨竜とルキアと話す一護に向いていた。

「それじゃあアタシは、テッサイたちと合流します。あなたはどうします？」

　

ダイス、バンビちゃんは――。

1.家に帰る　2.黒腔から出る奴に攻撃準備　3.織姫たちと合流

dice1d3=3 (3)

[26 二次元好きの匿名さん 23/10/04(水) 18:24:26]

ダイスのお導きか仲間ムーブが続くなあ

[27 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/04(水) 20:09:10]

「そんなに窓に寄っていたら、一護に気付かれるわよ」

　虚の群れに共闘を決めた一護と雨竜を、二人が戦う工事現場隣の空きビルの窓から眺めている織姫とチャドの背後からバンビエッタが話しかけた。

「ア、アンナちゃん……」

「アンナ」

　振り向いた二人は複雑な心境が窺える視線をバンビエッタに向け、迷っているとすぐに分かった彼女は溜息を吐く。

「はあ、あんたたち、どうするの……こっちに関わるの？」

　ここに来た時点でバンビエッタもこっち側と分かった二人だったが、それを聞くことなく織姫が質問に答える。

「それは……店長さんが、見て選んでほしいと思う。あたしたちの歩く道を……」

「…………」

　織姫の言葉とチャドの沈黙が重い空気に漂う。今までの常識が根元からひっくり返る情報と発現した力を受け入れるにはまだまだ時間は必要と思った。

　バンビエッタは二人が立つ窓から外を覗くと、ちょうど一護と雨竜が戦っていた虚の殲滅を引き受けた浦原商店一行が居た。相変わらず、対象の性格を把握した上で嫌な手段を取る浦原喜助を嫌悪しつつ、窓から空を覗く。

「……ギリアンね」

　宙にあった黒腔は開き、穴の向こうから長く尖った巨大な仮面を付けた赤目の虚が顔を出していた。

　大虚（メノス・グランデ）、虚の上位種。その最下級種ギリアンが現世に出現した事は、尸魂界にとっても無視出来ない事態なのは間違いなかった。

「アンナ、あれはなんだ……虚なのか？」

「そうよ。虚の上位種メノス・グランデ、その下級に分類されるギリアンよ」

「――あ！　黒崎くんがっ！」

　チャドの質問に答えたバンビエッタは、織姫の驚きに反応して視線を空から地に向けた。

「あのバカ……なにしてんのよ」

　斬魄刀を掲げながら、一護が足を現世に出そうとしたギリアンへ猛進して行く姿にバンビエッタは呆れるしかなかった。

　雄叫びを上げてギリアンの足に斬りかかった一護は斬魄刀で浅く斬るも、その直後にギリアンに足蹴りされて追従していた雨竜のところまで戻された。

「バカ、一護――チャド、あんたが行っても何も変わらないから見てなさい」

「ム……だが」

　相方のピンチに駆け付けようとしたチャドをバンビエッタは引き留める。

「いいから見てなさい。織姫もね」

「……うん」

展開ダイス、次の場面は？

1.大虚撤退後　2.帰宅　3.雨竜制裁

dice1d3=2 (2)

[28 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 05:23:38]

ここで帰ったのは黒崎家防衛のためか

[29 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/05(木) 10:31:15]

「ただいまー」
　現世に出現した大虚は、虚からの攻撃に呼応して霊力を解放した黒崎一護の一撃に撤退した。後処理は浦原喜助に任せ、バンビエッタは井上織姫たちを家まで送ってから黒崎家に帰宅した。
　制服から私服に着替えようと階段を登ると、二階の廊下に夏梨が立っていた。
「どうしたの、夏梨？」
「姉ちゃん。あのさ……あの後なにがあったの？」
「――なにが？　何もなかったわよ」
　「侵入」で意識を奪われた夏梨からすれば、目覚めた時には家に居た状況に訳が分からない。空にあった黒腔も見ているため、余計にあの後に起きた出来事が気になっていたと判断したバンビエッタは、あえて白を切る事にした。
「うそだ。だって、あの時は空が変だったし、ドニーたちだって急に……ねえ、隠さないでよ。一兄と姉ちゃんは――」
「……教えたくない」
「！？」
　白を切るつもりのバンビエッタだったが、夏梨は一護の名が出た時点で死神としての彼を見ていると気付き、遠ざける方針に切り替えた。
　まさか拒否されるとは思っていなかった夏梨は、目を見開いて驚いていた。
「夏梨、あんたがどう考えているか知らないけど、あたしが教えたくないのはちゃんと理由があるの」
「どんな……」
「危ないから。それが一番の理由よ、家族を地雷原に踏み入れる事を良しとしないでしょ？」
「――っ」
　バンビエッタの言葉に夏梨は言葉を詰まらせる。彼女からすれば実兄と姉分が地雷原と表現する場所に立つ二人を心配にしたが、そこに自分まで踏み込めば負担になると考える程度には彼女の頭は落ち着いていた。
「じゃあ、どうして一兄たちはそんな場所にいるんだよ……」
「一護は家族を含めて、この町を護りたいからでしょ……あたしは教えないけど」
　元々そういう場所にいた、敵として黒崎一護を狙っていた、義骸と一緒に死ぬのが怖いから。そういった好感度を下げる事情を話すのか悪手と思ったバンビエッタは、一護のあながち間違っていない動機を代わりに告げた。
「姉ちゃんは、一兄のこと手伝っているの？」
「……それなりと言っておくわ。だからね、夏梨、一護のために何も知らないままでいて」
　じっとバンビエッタに見つめられた夏梨は、彼女の言葉を噛み締めるように口をつぐみ俯いたままこくんと頷いた。
「いい子ね、夏梨」
　ポンと夏梨の頭に手を置いたバンビエッタは、妹分の頭を優しく撫でた。

[30 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/05(木) 10:40:04]

展開ダイス、次の話で終わる予定です。

1.？？？　2.黒崎家　3.石田家

dice1d3=3 (3)

>>28　単に自分の出番が終わりと思っただけかもしれません。

[31 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/05(木) 20:23:53]

「ふぅ……」
　大虚を退けたその夜、石田雨竜は公園のベンチに座っていた。
　彼の両腕には包帯が指先まで巻かれ、体に負担が出るほど滅却師としての力を行使した証であったが、自分の身勝手が招いた結果で負った傷のため、彼が誇る事はない。
　戦いで疲労した彼が公園にいたのは、今回の戦いで自分の未熟さを痛感したからだ。生来の滅却師の能力は最後まで劣ることなく使う事が出来た。しかし、それを扱う自らの体力と精神力が釣り合っていないためにミスを何度もした。
　だから雨竜は体力・精神面の強化をする事にした。
「あと、100……いや、甘えるな。200回だ」
　自分に厳しくしなければ高みに登れない。雨竜は愚行を犯した自分を罰するように、肉体を酷使する道を選んだ。
「――無様だな」
「！！」
　雨竜の耳に聞きなれた声が聴こえ、反射的に立ち上がり声の方に視線を向けた。
「……竜弦っ」
　雨竜は自分に近づいて来た実の父親を呼び捨て、恨めしい眼で睨み付ける。子から向けられるべきではない視線を竜弦は平然と無視し、自分に反発し一人暮らしを始めた息子に告げた。
「随分と迷惑なことをしてくれたな、雨竜。お前の愚行のおかげで私までいらぬ苦情がきたぞ」
　その苦情は彼が嫌厭の対象と見ているバンビエッタから。「親として、どういう躾をしているのよ！」と言われ、竜弦は何も言い返せなかったのは屈辱だった。
「――っ、反省はしている。もうあんな真似はしないと師匠（せんせい）に誓った」
「それならいい」
　竜弦は懐からタバコを取り出して火を付ける。
「……雨竜、お前はこれから死神と関わる道を選ぶのか？」
「あんたには関係ないことだ。僕が誰と付き合うと……っ」
　思春期からの反抗心からではなく、雨竜には父親が過去に行った行為を許す事は出来なかった。それに対して竜弦は何も反論しないため、関係が修復がされないままだった。
「――だが、忠告はさせてもらおう。雨竜――黒崎アンナに心を許すな」
「どういう事だ」
　同族である滅却師を警戒しろと言う竜弦の言葉に、説明もないままで雨竜が納得するはずもなかった。
「父、宗弦が死神との共存を夢想し、私が滅却師を金にならんと捨てたように、親子でも道は違えるという事だ」
「…………」
　竜弦は無言の雨竜の横を通り過ぎて、その場から立ち去って行った。

[32 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/05(木) 20:24:51]

＊これで大虚出現編は終わりです。次は死神来襲編です。

今更ですが、バンビちゃんへの好感度を一部更新します。

ダイスの出目が加算されます。

黒崎夏梨　64　dice1d10=5 (5)

井上織姫　83　dice1d10=10 (10)

茶渡泰虎　48　dice1d10=9 (9)

浦原喜助　88　dice1d10=6 (6)

一護と雨竜はバンビちゃんに会っていないので対象外です。

[33 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 20:37:09]

織姫との相性がどんどん高まっていく

[34 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/06(金) 00:13:00]

>>33　このまま高くなったら、百合に近い関係にはならないです。

[35 二次元好きの匿名さん 23/10/06(金) 06:01:49]

あくまで女の子同士の友情ってことですね

[36 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/06(金) 12:56:22]

　はぁ……夏休み中に登校とか最悪よ。
　虚騒ぎから一日、バンビエッタは気分が低いまま授業を受けていた。
　期末テストの成績が悪い生徒たちを集めた補習と追試。それと合わせて夏休みの宿題もするという過酷な夏休みになってしまった事を彼女は憂いていた。
「アンナちゃーん！　一緒に外でご飯食べよ～！」
　教室のドアから笑顔の井上織姫に昼食を誘われたバンビエッタは、学年3位の彼女にどうにか宿題を協力させようと思いながらお弁当を片手に席から立ち上がった。
　バンビエッタの昼食は、女子の集まりになった。井上織姫以下、空手家有沢竜貴・学年31位のレズビアン本匠千鶴・手芸部小川みちる・学年2位の文武両道国枝鈴・一護のクラスメイト夏井真花、それと木の上で黄昏ていた朽木ルキアの計八人。
　そろそろ、やるしかないわね。
　夏井がルキアに一護との関係を質問する隣で、バンビエッタはこの二ヶ月近く放置している朽木ルキアの内側に侵入させた精神体の回収を考えていた。
　隣にいるから「肩にゴミが付いてる」とバンビエッタが肩に触れるだけで、朽木ルキアから精神体の回収が出来る。しかし、未だに繋がりが断たれた原因が分からないままで再侵入は何が起こるか判らない。
「ねえ、アンナ」
「――何よ、夏井」
　思案中のバンビエッタに、ルキアへの質問を引き受けていた夏井が質問する。
「朽木さんが黒崎としょっちゅういっしょにいる事をどう思っているの？」
「いいんじゃない？　一護も嫌がってないなら、それにあたしが何か言っても簡単に変えるような奴じゃないから」
「えー義兄妹なのに、気にならないの？」
　小川からの質問に、バンビエッタは小首を傾げる。
「うん？　黒崎家とは養子縁組していないから、あたしは居候の遠縁のままよ。真咲――一護の母親が死んだ時期が悪くて、その話は流れちゃったから」
「あ――ごめんなさい」
　デリケートな部分を聞いてしまった小川はすぐに謝るも、そんなのバンビエッタは気にしない。
「謝らなくていいわよ。あいつが誰を好きになっても、あたしに関係ないから――まあ、黒崎家の味はあたしと遊子しか知らないけど」
「わっ、止めろよ、嫁いびりとか！　織姫をいじめたらアタシが許さないぞ！」
「――しないわよ！　そもそも、一護の嫁がなんで織姫なるのよ！」
　有沢の言葉にバンビエッタが噛み付く様を、友人たちは生温い眼で見守った。

[37 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/06(金) 13:01:13]

初登場の面々のバンビちゃんへの好感度ダイス。

本匠千鶴dice1d100=74 (74)　小川みちるdice1d100=22 (22)

国枝鈴dice1d100=81 (81)　夏井真花dice1d100=65 (65)

それと場面ダイス。

1.洋裁店　2.浦原商店　3.黒崎家

dice1d3=2 (2)

[38 二次元好きの匿名さん 23/10/06(金) 19:42:40]

JKやれてるアンナちゃんいいな

[39 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 00:58:05]

　下校時間、バンビエッタはアルバイト先へ向かう前に浦原喜助のお店へ向かっていた。
　昼休み後の授業中、微量の霊圧と視線を感じてバンビエッタが外に視線を向けると校庭の木の下に黒猫姿の夜一が立っていた。それを彼女は「浦原商店に来い」という報せと受け取った。
「どーも、アンナサン。すみませんね、急に呼び出して」
　店の看板が無ければ古い空き家に見える民家の前に、浦原喜助が扇子を片手にバンビエッタを迎えた。
「手短にしてよ。バイトの時間もあるから」
「もちろんッスよ――どうぞ、中で話しましょう」
　浦原に促されてバンビエッタは店内に入り、陳列された駄菓子の奥にある部屋に入った。
「夜一」
「元気そうじゃなアンナ」
　ちゃぶ台の上に座る行儀の悪い黒猫の夜一を見ながら、彼女を囲うように握菱鉄裁とバンビエッタも出自素を知らない二人の子供、紬屋雨（うるる）と花刈ジン太が座っていた。
　バンビエッタは鉄裁の隣に座り、腰を下ろして座った浦原喜助の方に顔を向ける。
「浦原、さっさと要件を言いなさいよ」
「はい、では早速。尸魂界から――こちらに死神が複数人来ています。目的は、ほぼ朽木サンの回収で間違いないでしょう」
「ふーん……それで？」
　浦原の真面目な声に対してバンビエッタは、実に興味がない返事をする。朽木ルキアの回収は前々から予想されていた事で、ついにその時がきただけ、滅却師の自分には関係ないと思っていた。自力で死神代行になれない一護の心が曇るのはどうしようもない。
「その際に一護サンから、譲渡された力を奪い返そうと黒崎家を強襲される可能性があります。その場合、彼が殺められる可能性があります」
　彼の予測にバンビエッタの心中は穏やかではなくなった。だから彼女は直球で彼に訊ねた。
「あんたの言う通りになったら、その死神たち――滅却するけどいいのよね？」
　その強気の言葉に夜一は「ほぅ」と楽しそうな反応をする。対照的に浦原は困った表情を浮かべる。
「半殺しでお願いします。もしくは朽木サンを向こうに差し出して下さい」
　浦原の言葉にバンビエッタは薄く笑った。
「お得意様じゃなかったの？」
「それで彼を護れるなら、あなたも選ぶッスよね？」
　浦原の問いにバンビエッタは何も言えなかった。

[40 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 07:32:19]

レスバで浦原には勝てない

[42 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 10:58:24]

そろそろ登場する隊長・副隊長の能力値ダイス。

隊長格の戦闘力の上限は150とします。

朽木白哉　戦闘力:dice1d150=28 (28)

阿散井恋次　戦闘力:dice1d100=67 (67)

＊現世なので限定霊印がされているはずなので、適用するか悩みどころです。あまり低すぎる数値だと勝負になりませんから。

[43 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 11:06:28]

白哉が低すぎる、限定霊印ありでも弱い気が……。
恋次だけ限定霊印なしはおかしいですよね。やっぱり斬拳走鬼も足すべきだったような、だけどそれだと高くなり過ぎる気もするからどうしたら。

[44 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 11:09:40]

隊長はd100＋固定値50とかでもいいんじゃないかな

[45 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 11:14:09]

>>44　それもありですね。でも、限定霊印を扱うかどうかで大分違いますから。試しにやってみます。

朽木白哉　戦闘力:dice1d100=98 (98)　+50（固定）

[46 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 11:22:33]

最初の段階でこれくらい出てくれたらよかったのに。
朽木白哉の戦闘力は148
阿散井恋次の戦闘力は先に出た67にします

[47 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 16:18:04]

「うっさい、わね……何時だと思っているのよ」

　深夜、就寝していたバンビエッタの耳にうるさい黒崎一護の声が聴こえてきたため、むくりとベットから上半身を起こした。朝の家事をする彼女と黒崎遊子の朝は早いため、睡眠を妨げられる行為を許すことはできなかった。

　何も言わず拳で黙らせる気のバンビエッタはベットから出ると部屋も出て、一護の部屋の前に立った。

　妹分たちの睡眠を邪魔したくない彼女は、ノックもせずにそっと閉じていた扉を開けた。

「――一護、あんた今何時だと思っているのよ」

「うおっ！？」

　突然、部屋に入ってきたバンビエッタに一護は驚いたリアクションをする。その姿に彼女は違和感を抱き、すぐに霊圧を探ると中身が一護本人ではなく改造魂魄のコンと気付いた。

　そして、押し入れの朽木ルキアがいない事と微かに感じる浦原喜助の霊圧に、バンビエッタは何か起きたと気付いた。

「――早く寝なさい。バカ一護、大迷惑よ」

「お、おう、悪い。もう寝るよ」

　中身が違うから殴る意味はないと考えたバンビエッタは気持ちを抑え、一護のフリをするコンに注意だけをして部屋へ戻ると、さっさとパジャマから私服に着替え始めた。

　押し入れの朽木ルキアがいない、浦原喜助の訪問、一護の不在……その三点で、バンビエッタは朽木ルキアが死神に見つかるのを恐れて部屋を出て、それに気付いた一護が浦原の手で死神になって追ったと推理した。

「はぁ……来るならもっと早い時間に来なさいよ」

　私服に着替えたバンビエッタは抜き足で一階に降りて玄関の靴を履き、静かに玄関から外に出て一護の霊圧を追った。

展開ダイス、バンビちゃんが一護を見つけた時の状況。

1.恋次が始解　2.ルキア発見直後　3.鎖結と魄睡を白哉に貫かれた

dice1d3=2 (2)

[48 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/07(土) 20:21:22]

「黒崎一護！　テメーを倒す男だ！！　よろしく！！」
　バカ。
　赤髪の死神に名乗る一護のドヤ顔を黒髪の死神の後方にある建物から見ながら、バンビエッタは呆れた。
「なんであんたがそこにいるのよ、雨竜」
　どうして一護の足元で石田雨竜が負傷して倒れているのか不思議に思いながら、戦況を見続ける事にした。
　……気付くの早いわね。
　佇む黒髪の死神はちらりと視線をこちら側に向けたと気付き、厄介なのは赤髪よりも黒髪の死神と判断したバンビエッタだったが、それでも前に出る事はしなかった。
「オラオラオラオラぁ！！　どうしたどうしたァ！？」
　赤髪と一護の戦闘が始まるも、一護は防戦一方を強いられる事になった。
　赤髪の死神が繰り出す斬魄刀の猛烈な連撃に、一護は回避も出来ずに自分の斬魄刀を盾にして耐えるしかない様をバンビエッタは、地力と経験の差と思った。
「……朽木は助けられない、雨竜はダメね」
　遊子の私物から拝借したワンピース姿の朽木ルキアは、二人の戦いを見守るしか出来ないようで衝動を堪えるように自分の片腕を押さえ付けていた。それ以上に負傷する雨竜は戦力外として無視する事にした。
「だらァッ！！」
　連撃の合間にどうにか大振りの一閃を出した一護だが、それは赤髪に跳びかわされて宙で回転しながらカウンターとばかりに一護の右肩を切り裂いた。
「これは負けるわね」
　地面に両膝を着き出血した右肩を押さえる一護の姿と、それを斬魄刀を肩に担ぎながら彼を見下ろす赤髪の差からバンビエッタは戦いの結果を予期した。
「あ」
　赤髪の不意を突いて一護は斬魄刀を振り上げ、それに赤髪の死神は少し下がる。一護の表情に笑みが見え、まだまだ戦意は失っていない事が分かるも、バンビエッタに一護が敵に勝てる姿は予想出来なかった。
　死神はまだ斬魄刀の力を解放していないからだ。
　大笑いした赤髪の死神は、斬魄刀を構え刃の側面を撫でると刀身の形状が蛇腹状に変化した。
「始解ね」
「吼えろ蛇尾丸！！　前を見ろ！　目の前にあるのは……てめえの餌だ！！！」
　蛇尾丸という名の斬魄刀を振るいながら赤髪の死神は跳び上がり、一護へ振り下ろした。
　一護は再び自分の斬魄刀を盾で受け止めようとしたが、それは蛇腹状の一つの刃節しか防げないため他の刃節は彼の左肩に食い込み、そのまま柄が引かれた事で鮮血が飛んだ。

[49 二次元好きの匿名さん 23/10/08(日) 04:55:31]

応援保守

[50 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/08(日) 10:45:04]

「あ～ぁ、ダメね」

　蛇尾丸の刃節に左肩を大きく斬られた一護の姿にバンビエッタは、このまま戦わせても彼の敗北は濃厚、これ以上無駄に怪我をさせるのは可哀想と思った彼女は、これから死神の戦いに参戦しようと決めた。

「うん？」

　二度目の両膝を地面に着く一護の霊圧が上がった事を肌で感じ取り、バンビエッタは立ち止まる。

　追い詰められた事で、一護の本能が霊力の放出量を増やし身体能力を上げた事に気付いた。そこからの一護は水を得た魚のように筋力と速度が上昇した。

　速力で赤髪の死神の背後を取り、斬撃で敵を後方へ吹き飛ばしてみせる。さらにアドレナリンも出ているのか、一護の表情から非常に気分が高揚していると分かった。

　このまま押し切れると思ったかもしれない一護は、額から出血させた赤髪の死神に追撃をかけようとしたところで、黒髪の死神が動いた。

　死神の歩法によって、高速で一護に近づくと彼の斬魄刀をへし折り、直後に立っていた場所に立ち戻った。一護の眼には斬魄刀の刀身が消えたようで、動揺と驚愕が混じった表情で黒髪の死神を見ていた。

　黒髪の死神は無言のまま一護を見つめ、右手で斬魄刀の柄を握ろうとしたところで、弓矢を構えたバンビエッタが頭上から強襲した。

「――その辺で終わりにしてくれない？」

「…………」

　頭上からの一矢を軽々と避ける黒髪の死神は、無言で自分と一護の間に立つバンビエッタを見つめた。

「……何者だ」

「黒崎アンナ。オレンジ頭の遠縁で、そこのザコ眼鏡と同じ滅却師よ。あんたたちの目的は、朽木ルキアの回収でしょ？ なら、さっさと連れ帰ってくれない？」

　バンビエッタの最優先順位は一護の身の安全。そのためなら、朽木ルキア一人平気で差し出せる。

「悪いな、それは出来ねえ。俺たちはそいつからルキアに力を還すのも仕事だ」

「恋次」

　黒髪の死神に恋次と呼ばれた赤髪の死神は、戦意に満ちた瞳でバンビエッタを睨みつける。

「アンナ、俺はま――がっ！」

　彼女の背後に立ち尽くしていた一護は「まだ戦える」と言おうとしたところで、バンビエッタに腹部を後ろ蹴りされ、そのまま石田雨竜のところまで蹴り飛ばされた。

「黙りなさい。アホ一護……そこの赤頭は、あたしが黙らせるから」

バンビエッタ（㏋100）戦闘力100　dice3d100=49 5 68 (122)

阿散井恋次（㏋100）戦闘力67　dice3d100=43 88 16 (147)

[51 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/08(日) 10:52:25]

新しいスレでの初戦闘なので、ルール記載。
・戦闘方法はひとまず互いの㏋を100とした、ダメージダイスで削り合い。
・基本は三回ダイスを振り戦闘力以下の出目が多い方の勝ち、相手に入るダメージ量は一番小さい出目。
＊ただし、帝国滅却師の場合は静血装があるので、静血装の値分ダメージが下がります。
・戦闘力以上の出目はミス扱い。どちらかに戦闘力と同じ出目が出た場合は引き分け、もう一度三回ダイスを振る。
・戦闘力以下の出目が互いに同数の場合、一回ダイスを振り出目が大きい方の勝ち。ダメージ量は先の三回ダイスの出目。

[52 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/08(日) 16:10:29]

「赤頭じゃねえ！　阿散井恋次だ！！」

「ふーん……あばらいたい。珍しい苗字ね」

「ッ、あ・ば・ら・い、だ！　間違えんな！　――吼えろ！　蛇尾丸ゥッ！！」

　バンビエッタの挑発に恋次は激昂しながら蛇腹剣の斬魄刀を振るう。螺旋を描きながら迫る刃節に、彼女は弓矢を構え、速射する。

　バンビエッタが狙ったのは蛇腹剣をムチのように操るための要である、斬魄刀の柄。

「うっぉ！」

　斬魄刀の柄に霊子の矢が直撃し、その衝撃で腕が飛び上げられ驚く恋次に向けて、バンビエッタは二射目三射目を放ち、今度は彼の両足の甲を射抜いた。

「うぐっ！」

「クソ眼鏡と同じ滅却師だからって、楽勝と思わない方がいいわよ。あたしは無様に転がるザコ眼鏡より強いから」

　クソ、無様、ザコとバンビエッタに口撃される雨竜はあながち間違っていないため、彼女に文句が言えない事を悔しがり奥歯を噛み締めていた。

「そこまで言わなくてもいいじゃないか……」

　そしてバンビエッタに蹴り飛ばされた一護は立ち上がるも、斬魄刀を折られたため彼女の援護は難しいと考え直し、ルキアを連れて逃げようと考えるも黒髪の死神がそれを許さないようにじっと見つめられ、一護はその場から動く事が出来なかった。

「ッ、この程度！」

　恋次は両足の甲に刺さる矢を斬魄刀で砕き払い、再び斬魄刀を振るおうとするもそれよりも早くバンビエッタが彼の左肩を射抜いた。しかし、恋次はその程度で立ち止まる男ではないため、雨竜を圧倒した時と同じように近接戦で彼女を黙らせようと突撃した。

バンビエッタ（㏋100）静血装18 戦闘力100　dice3d100=13 87 91 (191)

阿散井恋次（㏋95）戦闘力67　dice3d100=94 73 36 (203)

[53 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/08(日) 23:39:47]

「――大聖弓（ザンクト・ボーゲン）」

　迫り来る恋次に対してバンビエッタは、黒崎真咲の死後に会得した滅却師の技を披露する。

　宙に輝く巨大な霊子の弓と矢が精製され、真夜中の空を明るく照らす。

「なんだそりゃ……！　くそっ！」

　あっさりと倒した石田雨竜を滅却師の基準にしていた恋次は驚きの声を上げるが、先に術者のバンビエッタを倒せばいいと意識を向けるも、彼女の方が速かった。

　自動的に弦は引かれ、光の矢は発射された。斜め頭上から発射された弩級の矢に恋次は斬魄刀を振り上げて矢を打ち落とそうとする。

「うっ、ぐぉおお！　だっりゃぁあ！！」

　気合一閃、霊力を体から噴出させた恋次は斬魄刀で矢を地面に叩き落としてみせた。地面を砕く一撃に光の矢は枝のように砕けて散った。

　ただ、バンビエッタの攻撃が一矢だけのはずがなかった。

「――ぐっ、ぉおお！」

　舞う土煙を突破して恋次の腹部に二射目の光の矢が突き刺さり、そのまま矢の勢いに吹き飛ばされて後方の柵に亀裂が入るほど強く叩き付けられた。

「ぐっはっ！」

「こっちが加減している内に、さっさと尸魂界に朽木ルキアを連れて行きなさいよ」

　バンビエッタは柵に寄りかかり座る込む恋次を横目に、棒立ちしたままのルキアに視線を向けた。

「あんたからも何か言いなさいよ」

「っ――白哉兄様！　私は大人しく尸魂界に行きます！　ですから……恋次に、これ以上の戦闘は不要とお止め下さい！！」

　ルキアは溜め込んでいた思いを吐き出すように、必死で兄白哉の死覇装を掴み強く訴えかける。

「必要ねえぞ、ルキア……ッ」

「――恋次っ」

　腹から出血したままの恋次は柵を支えに立ち上がる。その姿にルキアは苦い表情を作り、白哉はじっと見つめてから静かな口調で彼に告げた。

「次で終わりにしろ、恋次」

「――分かってますよ。朽木隊長！」

　恋次の叫びにバンビエッタは、朽木白哉と戦うのはまずいと悟り、ひとます阿散井恋次を斬り伏せる事にした。彼女は展開したままの大聖弓の矢の形を両刃剣に整えると自分の隣に撃ち、地面に突き刺さった剣の形をした矢を掴む。

　輝く青い霊子の剣に恋次は笑う。

「へ、器用じゃねえか」

「――斬る」

バンビエッタ（㏋100）静血装18 戦闘力100　dice3d100=83 83 67 (233)

阿散井恋次（㏋82）戦闘力67　dice3d100=14 98 48 (160)

[54 二次元好きの匿名さん 23/10/09(月) 05:51:23]

大聖弓までできるとは相当練り上げられている

[55 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/09(月) 10:38:04]

>>54　彼女の師匠があの人ですで、出来ないのは許さないでしょうから。威力は師よりも下です。

[56 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/09(月) 15:30:28]

　――一閃。

　バンビエッタが矢から成形した光剣の一撃は、光の軌跡を描きながら阿散井恋次の斬魄刀もろとも彼の肉体を袈裟斬りに切り裂いた。

　がくん、と脱力し半分に断たれた斬魄刀と共に崩れ落ちる恋次をバンビエッタを見下ろしながら、光剣に付着した血を振り払った。

「恋次……っ」

　うつ伏せに倒れ荒い呼吸の恋次を、自分の身が斬られたような苦い表情を浮かべる朽木ルキアを一瞥してから、バンビエッタは仲間がやられても顔色を変えない朽木白哉に視線を向けた。

「これでも退く気はないの？　朽木白哉」

「……無論だ」

　淡泊に答える朽木白哉を格上と見ているバンビエッタは、このまま彼と戦うのは危険と思っていた。どうにか戦わずに尸魂界に帰したいと考えた時、夕方の浦原喜助らとの会議で彼が提示したパターンの一つを思い出した。

　その内容に浦原喜助の頭はどうなっているかと思いながら、バンビエッタは実行する前に朽木白哉へ話しかける。

「ねえ、あんたたちって一護から朽木ルキアの力を還せば、向こうに帰るのよね？」

「そうだ」

「そ、しょうがないわね――一護、悪いわね」

「え――」

　光剣を霊子に還したバンビエッタは利き手を一護の方へ向けると、彼に謝りながら指先から光の矢を二本高速で撃ち、それらは彼の胸と腹部に突き刺さった。

「あ……アン、ナ」

　まさか味方に攻撃されると思わなかった一護は唖然の表情でバンビエッタを見つめ、直後に矢の刺さった傷口から鮮血が噴出し、彼はそのまま前に倒れ込んだ。

　その様子を見上げていた石田雨竜と朽木ルキアは絶句するしかなかった。

「今ので、一護の魄睡と鎖結を砕いたわ。これで彼女の死神の力は戻るでしょ？」

「…………」

　この戦いを収める方法を取ったバンビエッタに白哉は一瞥してから、彼女の足元で倒れる恋次に視線を向ける。

「起きろ恋次。これより尸魂界へ帰還する」

「っ、は、い……隊長」

　上官の声に恋次は流血する体を無理矢理起こし始める。

「まて……コラ、かってに、終わ、る気になっているんじゃ……」

　一護は立ち上がろうとしたが、それをルキアが彼の顔を蹴って止めた。

「一護……もういいのだ」

「なに、言って……」

「間違えても、私を追うな……絶対に、来るな。それだけは決して許さんからな……っ！」

展開ダイス　1.浦原商店　2.直後　3.？？？　4.黒崎家　dice1d4=2 (2)

[57 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/09(月) 23:43:56]

>>47　一護を追う前のパジャマ姿のバンビちゃん。

[58 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 01:29:52]

可愛いなあアンナちゃん
大聖弓ができるなら苦悶の環や簒奪聖壇も使えるのでは？なんて期待も出てきました
あのお方なら苦難の手袋がなかったころの滅却師の高みに近づく術を知っているかもしれない

[59 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 09:40:06]

あげ

[60 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/10(火) 13:24:09]

「ち、ちくしょう……」
　現世と尸魂界を繋ぐ『穿界門（せんかいもん）』が閉じる様を、黒崎一護は薄れる視界の中で見届けた。
　二人の死神は朽木ルキアを連れて尸魂界へ行ってしまった。それを地に伏して見るしかなかった彼の胸中は、悔しさで埋めながら気絶した。
「――遅いわよ。雨が降ってきたじゃない」
「いやいや、ばっちりじゃなかったッスか。テッサイ、石田サンの治療を」
「承知しましたぞ」
　バンビエッタが雨に気付いたタイミングで、浦原喜助と握菱鉄裁が一護と石田雨竜の救助のためやって来たのだ。
「一護の魄睡と鎖結を砕いたわ」
　死神代行に致命的な損傷を与えたバンビエッタに、浦原喜助は驚く事もなく小さく頷いた。
「了解ッス……どうでした、護廷十三隊の隊長は？」
「無理ね、あたしじゃ勝てないわ」
　浦原から女性向けの和傘を受け取るバンビエッタは正直な感想を言い、止血・治療中の雨竜に視線を向ける。
「全く、隊長に負けるならまだしもあの程度の死神に負けるなんて滅却師の恥さらしね」
「っ……どうして、黒崎に攻撃を」
　納得出来ない表情を向ける雨竜に、バンビエッタは溜息を吐いてから説明する。
「最善手だからよ。向こうの目的が朽木ルキアと一護の魄睡と鎖結である以上、こっちから目的を達してあげれば戦う理由もなくなるし、向こうは退くしかないでしょ？」
「最初にそれを言い出したのアタシですけどね」
「うっさい」
　横槍を入れる浦原に肘鉄を打ち、雨竜に話を続ける。
「雨竜、あたしは護りたい奴の命を護るためなら、遠ざける事も自ら傷付ける事も厭わない。無傷で大切な誰かを守りきるなんて、妄想よ――あんたは滅却師が弓以外の得物を使うのを良しとしないみたいだけど、矜持と命を天秤に乗せるのは止めた方がいいわよ」
「――っ」
　雨竜は眉間にしわを寄せる。もしも近接攻撃の手段かもっと弓を極めていれば自分は負けず、一護が来るまでの時間稼ぎと共闘が出来たかもしれないと思ったからだ。
　己の未熟さを痛感し苦い表情を浮かべる雨竜を無視して、バンビエッタは隣に立つ浦原に視線を向けた。
「浦原。あたしは帰るから一護を任せたわよ」
「はい、ちゃんと治療しておきます。あ、傘はあとでちゃんと返して下さいね」
「――分かっているわよ」
　バンビエッタは和傘をくるりと回しながら、さっさとその場から離れて行った。

[61 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/10(火) 13:27:08]

>>58　ありがとうございます。苦悶の環はともかく、簒奪聖壇はどうしようかなと考えてます。苦難の手袋がなかったころの滅却師の高みに行けるほどバンビちゃんに才能があるか分かりませんが、これから彼女は強くなります……意図せず。

[62 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/10(火) 17:41:50]

　和傘を時々回しながら、バンビエッタは一人雨の中を静かに歩いていた。だが表情は何かを堪えるように渋く顔色も悪かった。

「もう、無理……！」

　口をぎゅっと押さえた彼女は押し寄せる吐き気を我慢できず、近くの排水溝へ盛大に嘔吐した。

「なっなに、あれ……！」

　バンビエッタは穿界門が開いた瞬間、背を向けていた朽木ルキアの内に残したままの精神体回収を行った。それは意外なほどあっさりと取り戻せ、それにより彼女の脳に精神体の体験・経験・見聞きした情報が流れ込んできた。

　精神世界ではない謎の空間、押し寄せる言葉でのない声の瀑布、それに堪える精神体（自分）、暇潰しと声に宿る意思との対話……それらが約二ヶ月分一気に脳へ与えられた事で、彼女は気分が悪くなっていた。

「……気分が悪くなっただけでも最悪なのに、何かあそこの意思と繋がっているし勘弁してよ」

嘔吐でムカムカする胸を摩りながら、バンビエッタは感覚でしか認識できない朽木ルキアの内側にある意思との繋がりが出来ている事にうんざりした。現世と尸魂界と世界を隔てても感じている事実に、あの意思はとんでもない存在と解るもこちら側から繋がりを断つ事は出来ない。

「はぁ……」

　ただでさえ脱着不可の義骸に自爆と追跡装置という首輪が付けられているのに、さらに外せない紐が別から繋がれた状態にバンビエッタは溜息が出さずにはいられなかった。

「……一護は助けに行くんでしょうね」

　魄睡と鎖結を砕いても、失われるのは朽木ルキア由来の死神の力。黒崎一護自身の未覚醒の死神の力は、まだしっかり魂魄に残っている。

　浦原喜助が治療後、彼に再度死神になる方法を示すはず。朽木ルキアを助けられるのなら、一護は危険を孕んでいても死神の力を取り戻す道を選ぶとバンビエッタは思った。

「あたしが尸魂界に行くのは無理ね……宿題、アルバイト、補習に追試があるから」

ダイス、次の場面は？

1.一護の精神世界　2.黒崎家　3.織姫とチャドの修行　4.終業式

dice1d4=4 (4)

[63 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/10(火) 22:34:04]

死神来襲編はこれで終わり、次は修行編です。

今後は編の終わりに、バンビちゃんへの好感度更新とメンバーの追加をします。

ダイスの出目が加算されます。

黒崎一護　96　dice1d10=8 (8)

朽木ルキア　57　dice1d10=1 (1)

石田雨竜　78　dice1d10=9 (9)

浦原喜助　88　dice1d10=10 (10)

朽木白哉　dice1d100=10 (10)

阿散井恋次　dice1d100=68 (68)

[64 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 23:01:40]

兄様には警戒されてるのかね
それはそうと浦原には使えると思われているっぽい？
あの願望機との繋がりが切れないままってのが実に不穏ですね

[65 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/11(水) 01:47:00]

>>64　朽木白哉には副隊長級の強さで、冷静に戦況を見る眼と必要なら縁者さえ傷つける冷徹さがあるように見えたのかもしれません。浦原喜助から見ればバンビちゃんは、やや突進気味の黒崎一護を止めた実績と井上織姫・茶渡泰虎・石田雨竜らからの信用があり、藍染相手に生き延びた運の良さ、副隊長相当の強さ、かつ自分の用意した首輪を付けている……十分に利用できる人材でしょうね。

あの玉の意思もせっかく出来た繋がりを断たれるのは、嫌でしょうから。悪いようにはならないと思います。

[66 二次元好きの匿名さん 23/10/11(水) 05:47:03]

侵入本スレだとあの玉はネタにされてなかったけれど本編開始以降侵入が一護以外に認識されだすようになったきっかけにあれが干渉したからなのでは？とこのスレを見て思った

[67 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/11(水) 10:22:35]

>>66　そうかもしれませんね。あの玉の意思とかよく分かりませんし、こっちも精神体バンビちゃんを侵入させていない者にも見えるようにするかしないかを考えてます。でも、同じ場面で複数のバンビちゃんをしゃべらせるのは本文の制限的に難しい気がしています。

[68 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/11(水) 10:42:32]

　一学期の終業式。

　体育館に全校生徒が集まり校長の長い講話を聴き終え、担任から通知表の結果に一喜一憂しながら、宿題と共に夏休みに入った。

「――アンナ、ちょっといいか？」

　さっさと帰ろうとしたバンビエッタが廊下に出ると、黒崎一護に捕まった。夜中に受けた傷の影響は窺えないが短時間の完治は容易じゃないと考え、浦原喜助は薬で完治させる気だと思った。

「いいわよ」

　バンビエッタは一護に連れられて裏庭に行くと、井上織姫・茶渡泰虎・有沢 竜貴・浅野 啓吾・小島 水色・小川みちるが揃っていた。二人を待っていたように黙っていれば二枚目の浅野 啓吾は早着替えを行い、オールバックにゴーグルとアロハシャツ姿になる。

「夏と言えば海！　海と言えば夏！！　というワケで私、浅野 啓吾は明日より10日間の海への合同合宿を提案するものでありまっす！！」

　ハイテンションで提案し、夏のバカンスに興奮したサルのようにウキウキの啓吾とは対照的にバンビエッタたちの反応は冷めていた。

「わりぃ、俺、用事あるからパスな」

「バイトがあるんだから無理に決まっているでしょ、しかも明日からとかバカ？」

「ごめん……あたしもちょっと……」

「俺も……今回は遠慮しとく……」

　誰にも迷われず拒否された啓吾は、最後に返答し一番贅沢な休みを謳歌する水色に八つ当たりで襲い掛かり、彼を生贄にしている間に集まりは解散となった。

「ふ～ん……尸魂界へ行くために、浦原と十日間の殺し合いね」

「おう、だから遊子たちを頼んだ」

「はいはい」

　下校中、一護はバンビエッタに浦原とは会話を説明した。大方予想されていた流れだったので、彼女に驚きはない。不安は彼がどうやって一護の死神の力を呼び起こすのか、その手順を全く知らなかった。

「しかし、あのゲタ帽子は一体何者なんだ。尸魂界に行く方法は知っているし、やたら物知りに語る――」

「――当然でしょ。あいつは朽木ルキアと同じ死神で、朽木白哉と同じ元が付くけど隊長だもの」

「はぁっ！？」

　さらりと浦原の素性の一端を言われ、一護は目玉が跳び出さんばかりに見開いた。

「ま、そんな事よりも、浦原がどんな修業をするか見当が付かないから気を抜かないようにしなさい」

「お、おう……」

　

展開ダイス。

1.黒崎家　2.補習と追試　3.崩壊中の一護の精神世界　4.織姫とチャドに修行

dice1d4=2 (2)

[69 二次元好きの匿名さん 23/10/11(水) 13:26:12]

尸魂界に行けない理由が切実すぎて涙

[70 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/11(水) 19:15:12]

　夏の日差しが射し込む教室で、バンビエッタは来る追試に繋がる補習授業を受けていた。

　黒崎一護は浦原喜助、井上織姫と茶渡泰虎は四楓院夜一が修行を請け負い、石田雨竜は一人で修行をしていると小耳に挟み、バンビエッタは四人で尸魂界へ乗り込む気と悟った。

　その輪に彼女が入る事は出来ない。現世でアルバイト・宿題・補習と追試と夏休みにやる事が山積み、加えて尸魂界には『見えざる帝国』がある。

　今の彼女は現世の死神と滅却師に外れない首輪を付けられ、自分の本名さえ判らない状態……そんな敵に雁字搦めのまま帰還など出来るはずがない。仮に向こうから回収されても待つのは、昔に考えていた粛清でもおかしくはない。

「……リルたち、どうしているのかな」

　帝国に愛着はないが、行動を共にしていたバンビーズの面々がやや心配になる。陰口くらいは言われていると思うバンビエッタの前に、黄色髪の不良が立った。

「おう、女黒崎。ちょっとツラ貸せや」

「――あ？　……いいわよ」

　身長180センチ強のごつい長顔のたれ目に下唇と左耳にピアスを付けた男子生徒。一護にヒヨコヘッドと呼ばれた大島麗一が、バンビエッタを誘ってきた……彼もまた同じ追試組であった。

　彼の態度が気に食わないバンビエッタはあえて誘いに乗り、校舎裏へ移動する。そこで待っていたのは校内に蔓延る不良たちだった。

「悪りぃが、黒崎と茶渡をボコるための人質になってくれよ」

「はぁ……大島。あんた、あたしが馬芝中での呼び名を知っているのに、そんな事を言っているの？」

「あぁん？！　魔人拳だ――ぽっぉおぉっ！！？？」

　大島の腹部にバンビエッタの拳が槍の如く突き刺さり、彼の体が浮き上がるとそのまま落下し地面に口付け、その光景を見た他の不良たちは唖然して固まる。

「脆いわね。チャドなら今のは耐えたわね」

　バンビエッタは肩を回しながら大島の頭を踏みつつ、次の獲物に狙いを付ける。

「ちょっ、いや。ま――」

　全てが言い終わる前に拳が顔面に刺さり、大島の取り巻きが一人後ろへと吹き飛ぶ。

「あんたたちは、これからあたしのサンドバッグよ――もっと踏ん張りなさいよ。男らしくね？」

　残った不良たちは彼女を罵りながら立ち向かい、その全員が地面と熱い口付けを交わす事になった。

展開ダイス。

1.アルバイト　2.崩壊中の一護の精神世界　3.補習と追試2

dice1d3=1 (1)

[71 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/11(水) 19:16:35]

>>69　期末テストが良ければ、何とかなりそうだったんですけどね。

[72 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/12(木) 00:32:43]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が〇〇と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 100　+dice1d5=3 (3)

霊力 54　+dice1d5=5 (5)

霊子操作 38　+dice1d5=4 (4)

静血装 18　+dice1d5=2 (2)

動血装 49　+dice1d5=4 (4)

聖文字の熟練度 5

[73 二次元好きの匿名さん 23/10/12(木) 06:22:11]

最大で５上がる仕様で今回のステータスアップはだいぶいい感じですね

[74 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/12(木) 13:41:31]

　暇……。

　夏の洋裁店でアルバイトを続けるバンビエッタは、今日もレジ担当をやっていた。夏休みの間、勤務時間を昼過ぎに変更したものの、昼の暑さから暇になる時間が多く、井上織姫からのメールで茶渡泰虎との修行成果の報告を見れるほど。

「――八月七日ね」

　浦原喜助の計画では八月七日に尸魂界へ向かう。それまでに自衛が出来るまで能力を高めなければならないのだからスパルタと思った。そして肝心の黒崎一護からは何の連絡もないが、死神の力を取り戻す過程で、彼が『陛下』と邂逅するのは予想していた。

　終業式後に侵入させた独立した精神体が変な事をしていなければいいと思いながら、本日六人目の入店を確認して、すぐに表情がつまらなくなる。

「らしゃいあせー」

「心がこもっていないな。それでは勤務態度に問題ありというしかないな」

　やって来たのは、洋裁店と縁が無さそうなバンビエッタを義骸に閉じ込め続け、彼女が一番苦手とする石田竜弦だった。

「……次から気を付けるわ。それとレジは談笑する場じゃないから、商品を持って来なさいよ」

「ふむ……」

　店員として注意するバンビエッタに頷いた竜弦は、夏季の客寄せに設置したドリンクコーナーから冷たいコーヒー缶を一缶持ちレジ台に置いた。

「会計を」

「――98円よ」

「尸魂界へ行くそうだな」

「あたしは忙しいから行かないわよ。向こうに行くのは、一護たち四人と……案内役に夜一でしょうね」

　高めの財布から100円玉をレジ台に置きつつ竜弦が問う。それを缶コーヒーに会計済みシールを貼り、お釣りを渡しながらバンビエッタは答えた。

「息子が心配なら、あんたも同行したら？　戦力は多い方が安全でしょ」

「……私がいつ、雨竜が心配と言った憶えはないが。それに私は院長だ、長期の不在は出来ない」

「休暇を取ればいいんじゃない。ま、いいけど……――あんがとました～」

　素直じゃない奴と思いながら、バンビエッタは非常に雑な一礼を竜弦にして退店を促した。

「ふん」

　不快とした竜弦は、缶コーヒー片手にさっさと退店して行った。

「そんな態度だから子供と仲良く出来ないのよ」

展開ダイス。

1.黒崎家　2.花火大会　3.雨竜の修行　4.浦原商店

dice1d4=3 (3)

[75 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/12(木) 13:43:56]

>>73　戦闘が長引けばステータスアップの最大値を10にしようと考えてます。

[76 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/12(木) 21:39:49]

>>74　竜弦が仕事先に来たと気付いた時のバンビちゃん。

[77 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/13(金) 00:58:37]

「雨竜の奴……もっと近場で修行しなさいよ」

　バンビエッタは石田雨竜が修行する山間の滝へと文句を言いながら向かっていた。目的は一人で修行する彼の成果を確認するため、成長が見られなければ尸魂界へ行く事を止めるつもりだった。それをする事で、素直じゃない石田竜弦に恩を売る算段もあった。

「――いた」

　岩場を乗り越えてバンビエッタは目的地の滝に到着すると、すぐに流れる滝へ向けて霊子の弓矢を構えている雨竜の姿を見つけた。

「うん？　なに付けているのよ」

　バンビエッタは雨竜の右腕に、白い生地に青いラインが入る長手袋を付けている事に気付いた。それが『見えざる帝国』では苦難の手袋（ライデンハント）と呼ばれ、石田家では散霊手套（さんれいしゅとう）と呼ばれる道具とは知らなかった。

「――雨竜」

「！！」

　バンビエッタがわざと気配を消して背後から雨竜に声をかけると、びくっと肩を震わせた直後に彼は大慌てて振り向きすぐに背で右腕を隠した。

「くっ、黒崎……さん」

「修行は順調？　あんたから全然メールがこないから、わざわざ様子を見に来たのよ。ま、あんたのメールアドレス知らないけど」

「そ、そう……だね。その、井上さんたちの様子はどうだい？」

「ちゃんと自分の能力を引き出せるようになったわ。一護の方は浦原の所だから帰ってから確認できるから、後回し――で、あんたの方は？」

「順調だと……思う」

　右腕の長手袋を気にしている雨竜の様子にバンビエッタは、それが彼の奥の手だと悟った。それが一度きりならここで出させるのはまずいと思いながら、彼の成長を確かめたい彼女はある提案をした。

「雨竜、模擬戦するわよ」

「え？」

「死神の基本戦術が斬術なのは阿散井恋次で分かっていると思うけど、あんた対処出来るの？」

「――近づけないようにすればいい。僕は滅却師だ、師匠の教えを貫き通すつもりだ」

　滅却師の基本兵装である弓矢で、死神との戦いを生き抜くと宣言する雨竜の眼にバンビエッタは覚悟を感じて何も言わなかった。

「そう……じゃあ、模擬戦をしましょうか」

「ああ――」

石田雨竜　戦闘力dice1d100=20 (20)

＊最低保証は50となります。

[78 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/13(金) 01:04:23]

バンビエッタ　戦闘力73 静血装20 dice3d100=75 34 84 (193)

＊模擬戦なので、バンビちゃんの戦闘力はあえて低下させています。

石田雨竜　戦闘力50　dice3d100=87 9 67 (163)

[79 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/13(金) 01:09:20]

戦闘力以下の出目が同数でしたので、一回ダイスします。

バンビエッタ　戦闘力73 静血装20 dice1d100=88 (88)

＊模擬戦なので、バンビちゃんの戦闘力はあえて低下させています。

石田雨竜　戦闘力50　dice1d100=29 (29)

[80 二次元好きの匿名さん 23/10/13(金) 01:13:27]

雨竜これまだ霊子集束力伸びてない頃かな、飛廉脚が失速とかのすごい見てわかる形で戦闘技能のバランス崩しまくってる姿が見えるような
でもバンビちゃんなら模擬戦したらこの手袋(＝右腕)を中心に異様に霊子の集まり悪いのすぐ見抜きそう

[81 二次元好きの匿名さん 23/10/13(金) 05:44:10]

そうか帝国では滅却師最終形態が廃れたから古参で無ければ苦難の手袋のことは知らないか
才能と実力が一定以上なら使っても能力を失うことはないし完聖体と違って奪われることもないから純血なら一考の余地があると思うんですよね

[82 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/13(金) 13:42:34]

>>80　雨竜これまだ霊子集束力伸びてない頃、そのイメージです。バンビちゃんはバカだけど戦闘勘と戦闘IQは高いイメージですから、すぐに気付かれると思います。

>>81　バンビーズは帝国では新参者らしいですから、昔の道具を知らないのも当然ですよね。純血のバンビちゃんが雨竜と同じ修行をするなら、最終形態にはならない散霊手套を浦原に作ってもらうしかなさそうですね。

[83 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/13(金) 20:32:40]

　大聖弓の光剣を握るバンビエッタと弓を構える石田雨竜の模擬戦は、誰の合図もなく唐突に始まった。

　対死神を想定した模擬戦のためバンビエッタは矢を放つ事を控えるも、一足飛びで雨竜に接近するとそのまま光剣を上段から振り下ろす。

　それを雨竜はバックステップで回避するも、バンビエッタは片足を蹴り上げて地面の小石を雨竜にばらまく。

「くっ」

　反射的に雨竜は左腕で顔を防御したが、その間にバンビエッタから右のアッパーが放たれ、彼の脇腹に刺さりぐらりと体を揺れる。

「がっあ！」

「死神が斬術だけと思わない方がいいわよ。白打っていう体術もあるから、鬼道くらいは知っているでしょ？」

　つい数日前にインターハイを準優勝した空手の達人有沢竜貴よりも強いバンビエッタは、雨竜のシャツを掴むと自分に引き寄せて光剣の石突きで、彼の右肩に叩き付ける。

「ぐっ！」

「唸るだけじゃなくて、対処しなさいよ」

　足の甲を踏みつけ、腹に膝蹴り、バランスを崩してからのあごに右手の掌底、光剣で斬るフェイントからの足払い、片膝を着いたところに右手のビンタ……バンビエッタは、とにかく近接攻撃で雨竜を攻め続けた。

「あんた……木偶の坊か何か？」

「――違うっ！」

「！？」

　バンビエッタからの前蹴りが繰り出される直前で、雨竜の姿が彼女の視界から掻き消えた。すぐに霊圧を探った彼女は、十メートルほど離れた人の背丈ほどの大岩の前に立つ雨竜を見つけた。

「その歩法、こっちだと飛廉脚って呼ぶんだったわね。でも遅いわ――ま、その理由は分かるけど」

　とバンビエッタは光剣を雨竜に見せる。戦う前は綺麗な刀身を作っていた霊子の刃は、錆びたように途切れ途切れ崩れていた。

「その手袋が霊子を拡散させているみたいね。あんたの体に触れた剣が崩れるなら、それを付けるあんたはその弓を維持するのに相当の集中力が必要……で、それを外した時あんたは飛躍的に強くなるわけね」

「正直、これは誰にも見られたくなったよ」

「それは悪かったわね。でも、あたしは敵役だから攻めるけどね」

「分かっているさ」

　雨竜は左手に矢を生成して、矢をつがえてバンビエッタへ放った。

バンビエッタ（㏋100）戦闘力73 静血装20 dice3d100=44 9 18 (71)

石田雨竜（㏋66）戦闘力50　dice3d100=18 66 17 (101)

[85 二次元好きの匿名さん 23/10/14(土) 06:08:02]

ダイスが程よく格上が稽古してくれている感じだ

[86 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/14(土) 10:09:57]

「――うわ、っ」

　突き出された拳が石田雨竜の頬を掠り、少しでも距離を得ようと後退しようとしたが小石に靴が滑りバランスを崩したところでバンビエッタの掌底が胸に刺さり、バシャンと盛大な水音と共に川へと落ちてしまった。

「……眼鏡が濡れるから、水に落とすのは止めてほしい」

「そんなの知らないわ。あんたが当たるのがいけないのよ、もっと俊敏に動けばいいでしょ」

　川から這い上がる雨竜にバンビエッタはもっと早く動けと言いながら、彼が這い上がり弓を作り出してから再び攻撃を仕掛ける。

　途中から模擬戦は雨竜の霊子集束を高める方向に向き、どれだけ忙しなく攻撃されても弓と矢が維持できるかを試す場となっていた。

「――じゃあ、そろそろあたしも矢を使うから」

「！？」

　バンビエッタの宣言直後、彼女は揃えた二本の指先を雨竜の方に向けた瞬間、彼は横に転がって回避を選んだ。刹那、彼女の指先は輝き、猛烈な勢いの一矢が岩に突き刺さる。雨竜が黒崎一護と阿散井恋次に弓無しの一射を見ていなければ、胸に矢が突き刺さっていた。

「滅却師同士、矢の撃ち合いしなさいよ」

「――遠慮しておくよ」

　涼しい表情で返答する雨竜だが、その心情は気を抜けば一撃で体を貫かれるバンビエッタの矢にとても焦っていた。無論、それを理解しているバンビエッタはあえて彼を虐めるような連射を始める。

「ほらほら、弓が崩れて速度も落ちているわよ。このまま眼鏡を割るわよ」

「くっ！」

　追い込み漁のようにバンビエッタは、雨竜の背後に矢を撃ち彼を強引に走らせる。濡れた服は重しとなり、すでに肉体・精神的にも傷つけられ、彼は疲労困憊で倒れる寸前だった。

「くそっ、眼鏡が濡れて視界が」

「――視力だけじゃなくて、霊覚でも世界を見なさいよ」

「ぅ、うわぁっ！」

　飛廉脚で雨竜の背後に近づき、彼の襟を掴んだバンビエッタは柔術の如く二十センチ近く背が高い彼を片手で川へ投げ飛ばしてみせた。

バンビエッタ（㏋100）戦闘力73 静血装20 dice3d100=9 5 52 (66)

石田雨竜（㏋57）戦闘力50　dice3d100=14 7 40 (61)

[87 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/14(土) 10:11:49]

戦闘力以下の出目が同数でしたので、一回ダイスします。

バンビエッタ（㏋100）戦闘力73 静血装20 dice1d100=56 (56)

石田雨竜（㏋57）戦闘力50　dice1d100=84 (84)

[88 二次元好きの匿名さん 23/10/14(土) 10:15:42]

そりゃ眼鏡割られて破片が目に刺さって視覚ゼロになる可能性そこそこ高いもんなー

[89 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/14(土) 15:44:20]

「はぁ、はぁ……」

「水場だから冷えてきたわね。雨竜……せめて一矢くらい当てなさい！」

　再び大聖弓の光剣を作り出したバンビエッタは、ずぶ濡れの石田雨竜に突撃した。

　飛廉脚を使わず地を蹴って走って来るバンビエッタを見つめる雨竜の眼に、諦観は宿っていなかった。

「せい！　やぁっ！」

　上段から振り下ろされる光剣を回避した雨竜に追撃の下段切り上げを素早く行うバンビエッタに、彼は左手に矢を作りそれを彼女に突き立てようとするも、彼女の腕払いで弾かれると即時バックステップをした雨竜は弓に矢をつがえる。

「――はっ！」

　近距離からの射撃、直撃は避けられない攻撃に彼女は光剣を盾にして矢を受け止める。その動きにバンビエッタは笑う。

「ようやくまともな動きになったわね。慣れた？」

「なんとかね」

　雨竜も薄く笑い、散霊手套の枷がありながら本来の実力を発揮しつつあった。

「そ、じゃあ――これを抜けてみなさい。苦悶の環（クヴァール・クライス）！」

「！！」

　バンビエッタが呪法を唱えると、雷めいた揺れる霊子の柱が複数建ち雨竜を囲う。彼はすぐに術者の彼女を撃とうと構えたが、それよりも速く柱の一部が変化して弓矢を形成する。

「っ！」

　大型の霊子の矢が放たれ雨竜は素早く回避する。それを皮切りに柱から矢が連続して放たれ、彼は飛廉脚で移動しながら時には矢で相打ち、時には弓で力任せに叩き落として、バンビエッタを射る機会を狙い続け、彼女もそれが解っているのであえてその場から動かない。

「ほらほら、雨竜。あたしはここにいるんだから早く撃ってこなさいよ」

「――ッ！　光の雨（リヒト・レーゲン）！」

　雨竜はバンビエッタに向かい、大量の矢を放つ。それに彼女は弓矢で迎撃しようとするも、彼から放たれる矢の軌道は彼女を避けるように地面に突き刺さり、土煙が舞う。

「ごほっごほ、雨竜――」

　土煙で咳き込むバンビエッタが彼に文句を垂れる前に、漂う土煙を突き破って一本の矢がバンビエッタの肩に刺さった。

「このっ」

「――僕の勝ちだ」

　攻撃されて憤怒するバンビエッタの背後には、弓に矢をつがえた荒い呼吸の雨竜が立っていた。

「……いいわよ、あたしの負けで」

　模擬戦の成果としては上々と思ったバンビエッタは、あっさりと負けを認めた。

　

展開ダイス

1.花火大会　2.学校　3.黒崎家　

dice1d3=1 (1)

[90 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/14(土) 15:49:21]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が〇〇と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 103　+dice1d5=4 (4)

霊力 59　+dice1d5=1 (1)

霊子操作 42　+dice1d5=5 (5)

静血装 20　+dice1d5=3 (3)

動血装 53　+dice1d5=4 (4)

聖文字の熟練度 5

>>88　敵ももっと眼鏡を狙えば勝てたかもしれないと思います……チルッチとか。

[91 二次元好きの匿名さん 23/10/14(土) 16:15:40]

平均的にいい感じに成長できてる

[93 二次元好きの匿名さん 23/10/15(日) 05:43:09]

苦悶の環も使えるあたりクラシカルだがよく練り上げられた業師にも思えますね

[94 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/15(日) 10:03:31]

　八月一日、空座町の川向いにある隣市で花火大会が行われていた。

　花火の打ち上げ場の市立グランドには、多数の出店が並び大勢の人々が集まる中、浴衣姿のバンビエッタと黒崎一護に茶渡泰虎の三人は、出店を見て回っていた。

　目付きの悪いオレンジ髪の一護、筋骨隆々で大柄なチャド、その二人の前を歩く美少女という構図はヤクザの娘とその護衛のように見え、周囲から距離を取られていた。

「なあ、俺たち周りから避けられてねえか？」

「……フム」

「いいじゃない、歩きやすいから」

　朝から黒崎家の花火の席取りに駆り出されたバンビエッタは、午前中は席を取られないようにずっと敷物に座る事となった。午後は浴衣に着替えた黒崎家の面々と交代して、彼女も浴衣に着替えて今に至る。

「ねえ、あんたたち尸魂界へ行くなら宿題はどうするのよ？」

「この一週間で終わらせるから問題ねぇ」

「大丈夫だ」

「チッ、これだから優等生は……ついでにあたしの分もやりなさいよ！」

　自分はアルバイトと補習に宿題の日々を繰り返しているのに、優等生二人は宿題を一週間で終えると言い切る事にバンビエッタは非常に不満だった。だから自分の宿題をやるように言うも、返事は無言で頭を左右に振るだけ。

「一護。あたし、焼きそばが食べたいから、あんた買ってきなさいよ」

「あ？　なんでっ、俺が――いっっで！　けっ、蹴るなよ！」

「うっさい！　さっさと行く！！　少しは日頃のあたしを労いなさい！」

「わ、わっ分かったっ。だから蹴るのやめろ！」

　バンビエッタは一護にお使いを命じるも、それを嫌がる彼の脚に蹴りを繰り出し、無理矢理彼にお使いを了承させた。人混みの中に一護が消えると、バンビエッタはチャドに視線を向ける。チャドは今度は自分もかと考えつつお使いを受け入れる気でいた。

「チャド、無理して一護に付き合って尸魂界へ行く必要ないのよ」

「……いや、無理はしていない。一護が行くのなら俺も行くべきだ……ただ、井上は厳しいと俺は思う」

「あたしに言わせれば、あんたも厳しいと思うわ……極力、戦闘は控えなさい。多勢に無勢なんだから」

「分かった……うまく避けて動くようにする」

　出来れば自分たちの中で一番強いアンナに来てほしいと思うチャドであったが、色々と忙しい彼女に無理強いは出来なかった。

展開ダイス

1.黒崎家　2.花火大会2　3.花火大会後

dice1d3=2 (2)

[95 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/15(日) 17:47:56]

　男二人と別れたバンビエッタは、私服姿の井上織姫と右腕を骨折した有沢竜貴と合流した。

「そんなに買っても食べきれないでしょ」

「えへへー」

「買い過ぎなんだよ、織姫」

　呆れ顔のバンビエッタと竜貴の前には、出店で買った大量の食べ物を両手に抱えて照れ笑いする織姫が立っていた。明らかに一人で食べられる量ではなかったため、もったいないとバンビエッタと竜貴は無言で頷き合った。

「――一本貰うわ」

「あたしも」

　と二人はチョコバナナとわたあめを織姫から奪い食べ始める。それから彼女たちは買い過ぎた食べ物を食べるため、グランド端のベンチへ座った。

「ねえ、たつき。啓吾と水色は？」

「知らない。一護のお父さんたちと一緒にいるんじゃない？」

「こへおふあふよ！」

「「食べながら、しゃべらない！」」

　掃除機の如くソース焼きそばをすすりながら喋る織姫を二人で注意する。わたあめを食べ終えた竜貴が、行き交う人々を眺めながらぼそりと言った。

「こういう場所だから、チャラい男がナンパしてくるもんだけど思ったけど、実際にそんな事は起きないものね」

「え？　た、たつきちゃん……男の人にナンパされたいの？」

「え～……てっきり、自分より強い奴しか夫に認めないと思ったのに。弱い恋人が欲しいの？」

「はぁ！？　ナンパなんてされたくない！　変な事を言うなよ！」

「「だってねえ……」」

　織姫とバンビエッタは視線を交わらせて互いに笑い合う。それを見た竜貴は急に自分の発言が恥ずかしくなって、頬が赤くなってベンチに置かれていたイカ焼きを掴んでガツガツと食べ始めた。

「へいへい、彼女たち～！　俺とお茶しない～～かいっ！！」

　狙っていたかのように啓吾が彼女たちをナンパしてきた。それの瞬間に竜貴が激怒しベンチから立ち上がるや、矢の如く彼へと走り出して無言で彼の無防備な腹を左拳で貫いた。

「ぐっべっ、ぇぇえ？！　な、なぜ……」

　訳も分からず知人に殴られた啓吾は地に伏しながら竜貴に質問するも、彼女は何も言わないままさらに彼を踏みつけ始めた。

「たつきちゃん、やっぱり恋人がほしいのかな～」

「さー」

　焼きとうもろこしを食べながら見当違いの事を呟く織姫に、バンビエッタはタコ焼きを食べながら適当な返答をしつつ、ボコられる啓吾を見つめるのだった。

展開ダイス

1.浦原商店　2.誕生日　3.一護の見送り

dice1d3=2 (2)

[96 二次元好きの匿名さん 23/10/16(月) 00:02:08]

保守

[97 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/16(月) 09:58:14]

「今日はあたしの誕生日！　盛大に祝いなさい！！」

「いや、だから全員うちに集まっているだろ」

　黒崎一護たちが尸魂界へ行く前日の八月六日は、バンビエッタの偽りのない誕生日。

「い、一護！　てっ、手伝ってくれ～」

「うるせぇ、ヒゲ。しっかり働きやがれ、さっさとジュース持ってこい」

「そんな～」

花火大会の時に未成年の娘たちに酒入りジュースを飲ませた罰として、家長の黒崎一心は給仕として来客に誠心誠意仕える事になった。だから息子に泣き言を言っても、彼が助けられる時は来ない。

「――じゃあ、王様ゲームをやるわよ」

　主役のバンビエッタからの発言に、浅野啓吾のきらんと眼が光る。

「すぐ準備するぅう！」

　疾風の如く啓吾はあっという間に人数分の棒と箱を用意してみせる。その俊敏さに「まるで飛廉脚だ」と石田雨竜が小さく呟く。

「じゃあ、やるわ」

　バンビエッタの言葉に全員が息を呑む。王様ゲームは、王になった者の命令に必ず従わないといけない……織姫以外の女子たちは啓吾だけを強く警戒し、男子たちは啓吾以外節度ある命令にしようと決め、黒崎姉妹の姉は兄に甘えようと妄想を膨らませていた。

　しかし、それぞれの思惑は主役の一言で粉砕される。

「で、王様ゲームって具体的に何をするの？」

『――知らねえのかよ！！』

「なによ！　誕生日には王様ゲームが定番だって啓吾が教えてくれたから言っただけよっ」

　全員に総ツッコミされたバンビエッタはなぜ王様ゲームを選んだのか理由を告げた瞬間、浅野啓吾は複数の女子にボコられた。

　結局王様ゲームは流れ、ボードゲームやツイスターで時間を潰しながら、注文したバースデーケーキが配達された。二段のホールケーキにロウソクがバンビエッタの外見上の年齢分だけ立てられ、先端に火が付けられる。

　そして暗くしたリビングで来客たちに合唱される誕生日の定番ソングの中、バンビエッタはロウソクに灯られた火を吹き消した。

「みんな、ありがとう」

　拍手を受けてバンビエッタは素直に喜び、プレゼントも受け取り高校生活最初の誕生日は幸福に満たされながら何事もなく綺麗に終えた。

「――ま、片付けはこっちがやるんだけど」

　来客が去り、バンビエッタは妹分たちと一緒に誕生日会の後片付けをするのだった。

展開ダイス

1.学校　2.黒崎家　3.浦原商店

dice1d3=1 (1)

[98 二次元好きの匿名さん 23/10/16(月) 14:45:15]

素直にありがとうって言葉が出ることになんだか感動する
帝国にいたままじゃ性格が矯正されず誕生日を祝ってくれる友達も持てなかっただろうから

[99 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/16(月) 22:02:40]

「はぁ……明日は追試か」
　補習期間が終わり学校の屋上で黄昏るバンビエッタは、明日の追試に憂鬱となっていた。
　今日の夜中には黒崎一護たちは尸魂界へ出発する。彼らが千年もの間、魂の循環を守護してきた護廷十三隊から朽木ルキアの救出を成し遂げるのは非常に困難だ。
「なんじゃ、悩み事か？」
「夜一」
　いつの間にか金網フェンスの上に立つ黒猫姿の四楓院夜一にバンビエッタは驚くことなく、彼女を見上げる。太陽光に当たる夜一の黒さは、まるで影そのもの。
「年頃の女の子は悩みが多いの。ねえ、あんた元同僚相手に戦えるの？」
「フ――愚問じゃ。ワシを誰だと思っておる、『瞬神』の肩書きは伊達ではないぞ」
「へーならいいけど、あんた本気で戦ったのはいつよ？」
　バンビエッタの問いに、夜一は猫の手をあごに当てて考える。
　浦原と夜一がいつから現世にいるのか彼女には判らないものの、相当の実力者が虚相手に本気で戦う機会など滅多にない。だから彼女は懸念していた……四楓院夜一の実力は、全盛期のままかを。
「懸念は解る……じゃが、ワシはあくまで案内役。もしもの時は隠れてやり過ごす」
「ふーん、もしも見つかった時は？」
「決まっておる。猫のフリをするだけじゃ」
　にゅあ～、本物の猫と見分けるのが不可能な鳴き声を披露した夜一は、ひょいとフェンスの向こう側へ降り、「じゃあの」と言うや屋上から飛び降りて行った。
「――ただの暇潰しに来るんじゃないわよ。変な噂になったらどうするの」
　黒猫の怪談話が生まれない事の願いつつ、バンビエッタは下校した。
「おう、アンナ。帰りか？」
「見れば分かるでしょ」
　下校中のバンビエッタに、コンビニ帰りの黒崎一心が声をかけてきた。
「仕事はいいの？」
「今は休憩中……なあアンナ」
「なによ」
　二人が並んで歩く姿は思春期の娘と父親のように見えるも、二人の空気には緊張が漂っていた。
「ちょいと、俺の死神としてのリハビリ……手伝ってくれねえか？」
「――一回2000円」
　一心の申し出にバンビエッタは料金を提示する。彼女はつい最近一心が死神の力を取り戻した事に気付いていた。また、その理由にも見当が付いていた。
「いや～今月出費が多くて、もう少し安くしてくれ」
「じゃあ、来月分前借りね」
　黒崎家の財務大臣からの言葉に、一心は唇をへの字に曲げた。

[100 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/16(月) 22:06:02]

＊これで修行編はお終い、次は尸魂界編。バンビちゃん視点とその他視点を適当にやろうかと思います。

好感度ダイス。

黒崎一護　104　+dice1d10=8 (8)

石田雨竜　87　+dice1d10=5 (5)

井上織姫　93　+dice1d10=9 (9)

茶渡泰虎　57　+dice1d10=5 (5)

有沢竜貴　40　+dice1d10=10 (10)

浅野 啓吾　83　+dice1d10=6 (6)

四楓院夜一　63　+dice1d10=6 (6)

黒崎一心　59　+dice1d10=10 (10)

>>98　友達はいなくても仲間はいましたから、ジジくらいは「誕生日おめでとう、バンビちゃん」くらいは言ってくれたかも。

[101 二次元好きの匿名さん 23/10/16(月) 22:18:14]

アベレージ高めに好感度上げていくね

[103 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/17(火) 00:57:52]

>>94　浴衣姿のバンビちゃん

[104 二次元好きの匿名さん 23/10/17(火) 06:02:30]

かわいい
拡大せずに見ると浴衣の模様が錯覚で濡れて透けているようにも見えるのが絶妙

[105 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/17(火) 12:40:09]

「は～……広いわね。ねえ、地震とかで地面が沈下したらどうするの」

「だいじょーぶッスよ、その辺はしっかり対策してます。まあ、秘密裏に作ったので犯罪には引っかかりますが」

「あんた、その内捕まるわ」

　黒崎一護たちが尸魂界へ行った翌日、追試を終えたバンビエッタは浦原商店の地下空洞『勉強部屋』に初めてやって来た。天井に青空が描かれ、広さ数百メートル級の荒野を一昼夜で作った浦原喜助に呆れつつも、その技術力には感心するしかない。

　準備運動を始めるバンビエッタは、これから死神の力を取り戻した黒崎一心と戦う……一回2000円のところを初回限定1500円で、彼の対戦相手を引き受ける事になった。

「……ねえ、浦原」

「はい、なんッスか？」

「あんた、朽木ルキアの義骸に何を仕込んでいたのよ」

「――何のことッスか？　アタシは朽木サンにただの義骸を貸しただけッス」

　背を向ける浦原の言葉に、自分の読みは正しいとバンビエッタは確信する。彼が朽木ルキアの義骸に意思のある『何か』を仕込んでいたと、それと繋がっている影響で自分の霊力を含めた能力が上がっているのだと。

「ふ～ん、そう……まあいいわ」

　それは浦原にとって秘匿したい物であると理解し、害が出てきたら責任を取らせようとバンビエッタが決めた時、地上と繋がる入口から誰かが降りてきた。

「ほー……随分とでかい地下室だな、浦原」

「お久しぶりッス……一心サン」

　死覇装を纏い左肩に羽織を縛り付けている一心の立ち姿に、バンビエッタはさすが元十番隊隊長と内心で思いながら戦い方を考えていた。

「いやァ、そのお姿を見るのは二十年ぶり。霊圧もしぼんでいないようで、アタシ安心しました」

「別に霊力がしぼんでいてもオメーのせいにゃにしねえよ、それも含めて俺の実力だ」

「で、どうッスか？　二十年ぶりの死神の体は？」

「……まあまあだ」

　素っ気ない返答をする一心に素直じゃないとバンビエッタは思いつつ準備運動を終えた。

「ねえ、こっちは準備出来たけど、一心はどうなの？」

「いつでもいけるぜ」

　戦意充分と一心はバンビエッタに胸を張る。彼が二十年の空白を埋めるのは、昔の戦闘勘を取り戻したいだけではなく、先の戦いを見据えてだ。

「お互いに準備も出来たようですし、そろそろ始めましょう」

黒崎一心　戦闘力dice1d100=57 (57)　+50（隊長補正）

＊最低値50保証

[106 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/17(火) 12:55:36]

＊戦闘力が互いに100を超えた場合は㏋を150、ダイスの最大値も130に変更します。

バンビエッタ（㏋150）　戦闘力107　静血装23　dice3d130=75 17 88 (180)

黒崎一心（㏋150）　戦闘力107　dice3d130=48 109 108 (265)

[107 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/17(火) 20:11:31]

　大聖弓の光剣は、黒崎一心の振るう斬魄刀と激しく切り結ぶ。

　二十年、戦いから離れていた事を感じさせない一心の力強い剣術に、バンビエッタは力負けする。すかさず指先からの光の矢で彼を狙うも、それを察知した一心は片手を振るい、彼女の腕を外に弾いて放たれた矢は彼方に飛んで行く。

「ちょっ、リハビリの必要があるの？！」

「あるぜ。昔と比べたら、腕が落ちてるからな」

　ギィンと甲高い音と同時に剣と刀の鍔迫り合いを行いながらバンビエッタは、護廷十三隊隊長の基礎能力を軽視していたと反省しつつ、血装無しでは手こずると思っていた。

「ねえ、卍解はしないわよねっ」

「しねえよ。さすがにそれはやり過ぎだろ――おっと」

　会話しながら激しい斬撃戦を広げつつ、バンビエッタは頭上から大聖弓の一矢を撃つも一心はそれをバックステップで軽くかわしてみせる。

　間合いが生まれた瞬間、バンビエッタは指先から最速の矢を猛射する。矢の輝きで一心の姿が見えなくなるもバンビエッタの視線は横を向いた。

「ふう、あぶねえあぶねえ」

　死神の高速移動術で近距離からの猛射を回避した一心は、危機一髪とばかりに額を擦るも演技だと丸分かりだった。

「ふん、むかつくわね。余裕で回避したくせに」

「そう、怒るなよ。にしても、想像していたよりもずっと強いな」

「まだまだこれからよ」

「いい――！！？？」

　一心から余裕を消すためにバンビエッタは、速度を抑えていた飛廉脚を本気で使用して一心に急接近するや彼の右手をぐっと掴んだ。

「聖隷（スクラヴェライ）！！」

「おおおっ！？！？」

　周囲の霊子を隷属・吸収する能力の効果範囲を制限し、バンビエッタは一心の腕と死覇装を構築する霊子を強引に剥ぎ取り、分解された霊子は全て光剣に収束されて刀身が肥大した。

「やぁぁあ！！」

「――ッ」

　繰り出される巨剣の一撃に一心は斬魄刀を左手に持ち替え、間一髪防御が間に合ったものの威力を抑えきれず彼は後方へ大きく吹き飛ばされて行った。

「フン！　どーよ！！」

　巨大光剣を肩に担ぎ、バンビエッタは威張った表情で地面を擦って仰向けになる一心を見下ろした。

バンビエッタ（㏋150）　戦闘力107　静血装23　dice3d130=57 1 16 (74)

黒崎一心（㏋133）　戦闘力107　dice3d130=12 52 127 (191)

[108 二次元好きの匿名さん 23/10/17(火) 21:42:23]

掴んだごく短時間で霊子を奪い取れるのは技量の高さを感じる

[109 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 01:10:46]

>>108　範囲を絞っての聖隷ですし、何より発動速度が鈍いと実戦で使えませんからね。

[110 二次元好きの匿名さん 23/10/18(水) 06:01:41]

逆説的に滅却師の使う技術一通りを実戦レベルで使えるなら強みにできますね

[111 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 11:00:30]

「おーいってぇ、容赦なさすぎだろ」

　むくりと体を起こした黒崎一心は、聖隷で皮膚を剥がされ流血する右腕を見る。

「それくらいの傷、医者ならちゃちゃっと縫えるでしょ？」

「回道は得意じゃねえ……ま、これくらいの傷、舐めれば治る」

「うわっ、汚いわねえ」

　傷から流れる血を舌で舐め取る一心に、バンビエッタは嫌悪の視線を向けて溺愛する娘たちに報告してやろうと思いながら、これから反撃されると考えた彼女は先手を取ろうと指先から矢を放つ。

　やや斜めに飛んでくる矢に一心は斬魄刀で弾くや、バンビエッタの視界から掻き消える。すぐに霊覚で追跡するよりも先に、彼女の頭上に影を生まれる。

「――ッ」

「ふんっ！」

　影に鋭く反応したバンビエッタは素早く光剣を横にして防御姿勢を取った直後、斬魄刀を大上段で構えた一心が体重を乗せた垂直の斬撃を放つ。

　力負けはすでに把握しているバンビエッタは受け止めではなく、受け流しに意識を向けて斬魄刀が光剣に衝突したと同時に横に跳び、反動で地面を何度か転がりながら器用に地を手で叩くと宙に跳ね上がり、そのまま回転しながら一心に光剣を投げナイフの如く投げ付けた。

「おいおい、曲芸――かっよ！」

　バンビエッタは器用さに感心しつつ、一心は逆袈裟斬りで投げ付けられた光剣を上空へ弾き飛ばす。そのまま追撃に出ようとした一心の眼が霊子の光を捉え、反射的に頭を横に動かした瞬間、ピュン――と光線が通り抜けて彼の側頭部の髪を焼いた。

「はあぁ！？　なんでかわすのよ！　直撃コースだったでしょ！！」

「あっあぶね……っ。レーザーかよ」

　技後硬直を狙い、自分の霊力を収束させて放った閃光が髪を焦がす程度のダメージしか与えられなかったバンビエッタは憤慨し、対照的にほぼ偶然で危機を回避した一心は本気で焦っていた。

「ふう……始解、させてもらうぜ」

　一心はバンビエッタを油断禁物の相手と再認識し、始解の使用を決めた。

「いくぜ――燃えろ！　剡月（えんげつ）！！」

　始解を呼んだ瞬間、一心の斬魄刀の刀身から炎が溢れ出す。

　赫赫と燃える炎の斬魄刀を前に、バンビエッタの口がⅤの字になる。

「そっちが始解なら、あたしも聖文字（シュリフト）を使わせてもらうわ」

バンビエッタ（㏋150）　戦闘力107　静血装23　dice3d130=119 74 3 (196)

黒崎一心（㏋132）　戦闘力107　dice3d130=48 96 56 (200)

[112 二次元好きの匿名さん 23/10/18(水) 13:28:27]

バーナーフィンガーならぬバンビーフィンガー

[113 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 17:08:14]

>>112　特に技名は考えていませんでしたが、バンビーフィンガーも悪くないですね。イメージ的には掌から出していたんですが。

[114 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 17:09:10]

「あっつ！　ちょ、ちょっと火力を抑えなさいよ！　肌と髪が焼けるでしょ！？」

「そこは我慢してくれ」

　再び大聖弓の光剣と斬魄刀・剡月の斬撃戦が始まるも、始解した黒崎一心の刀は振られるたびに火の粉と熱を周囲に振り撒きバンビエッタの体をじりじりと炙る。

「あとで治すから勘弁してくれよ！」

　一心はバンビエッタに一言告げてから右腕から流れる血をズッと口に吸い込み、それを血飛沫として彼女に噴き掛けるや、血は明るい色の炎となった。

「ひゃっあ！　あつっ！！　やけっ――このヒゲぇ！　服と髪が焦げたじゃない！！」

　バンビエッタは本気で憤怒して黒崎姉妹に言いつけると決め、聖隷時に彼の精神世界に侵入させた精神体を動かし、彼の脚を止めさせた。

「なっ？！　ぉっ！」

「――うりゃあぁ！！」

突然脚が動かなくなった一心が驚いた一瞬の隙に、バンビエッタは光剣を鋭く振り下ろす。隙を突いた攻撃にも防御してみせる一心だったが脚に力が入らないため、そのまま地面へ仰向けに押し倒される。本気の戦闘なら即時腕を封じるか、精神世界破壊をするバンビエッタだが、今は模擬戦ゆえに脚だけに留めていた。

「これが、浦原の言っていた支配の力か……！　厄介だぜっ」

「ッ、しゃべり過ぎよ。あいつ！」

　チラッと岩場の頂きから観戦する浦原喜助をバンビエッタは睨み付けてから、一心に視線を向ける。

「で、このまま続けるの？　もうあたしの勝ちでしょ」

「ははっ、それでもいいが――最低一撃はやらせてもらうぜ！」

　一心の宣言と同時に斬魄刀の炎が消えた刹那に、刃先に黄色い光が迸った直後にバンビエッタは鍔迫り合いを止めて、後方に飛び退いた。

「――いくぜ、アンナッ」

「嫌よ！　それ、絶対痛いやつじゃない！！」

　むくりと上半身を起こした一心から向けられるニヤッとした笑みにバンビエッタは悪寒を覚え、彼の放つ技を拒否しながら無意識に光剣を盾にしていた。

「月牙天衝！！！」

「ッツ！！」

　腕の力だけで斬魄刀を大上段から振り下ろし空を切った直後、黄色い光の斬撃が放たれる。それは真っ直ぐバンビエッタへ向かい、彼女は光剣で受け止めるも留まれず、そのまま後方に吹き飛ばされ岩山に激突した。

バンビエッタ（㏋125）　戦闘力107　静血装23　dice3d130=130 83 111 (324)

黒崎一心（㏋132）　戦闘力107　dice3d130=123 94 36 (253)

[115 二次元好きの匿名さん 23/10/18(水) 17:12:05]

だんだんバンビちゃんが劣勢になってきたな

[116 二次元好きの匿名さん 23/10/18(水) 17:14:37]

隊長格が勘を取り戻してきた感じ

[117 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 23:49:32]

「もうっ、最悪！！」

　崩れた岩山が起こす土煙から怒髪冠を衝くバンビエッタが姿を見せた。彼女の服は剡月の火で焦げて土で汚れて、さらに斬撃で一部破れていた。だが、彼女の体に傷はなく代わりに皮膚には血管のように青い霊子が通っていた。

「静血装（ブルート・ヴェーネ）か」

　滅却師の防御で、月牙天衝の威力が殺されたと思いながら黒崎一心は立ち上がる。右肩をぐるりと回し、昔の感覚の戻りを体に感じながら、髪の埃を手で払うバンビエッタに話しかける。

「おう、大丈夫か？」

「あんたねぇ……っ！　あたしじゃなきゃっ死んでいるわよ！」

「まあそう怒るなよ。お前さんが強いのは分かっていたからやったんだよ」

　と苦笑しながら、一心の斬魄刀に炎が噴き出す。

「ようやくだ……もう少し付き合ってくれや」

「ッ！　5000円でも割に合わない！」

　地面を蹴り砕く脚力で地を駆ける一心に、恨めしい表情を浮かべるバンビエッタは光剣を構えた。

　今度は互いに高速移動術を使用しての高速剣戟が始まり、転々と衝撃音が不規則に移動する。その戦いを浦原喜助は帽子の奥から黙々と眼で追っていく。

「おっと！」

　大聖弓の矢を頭上に降り注ぐ、落ちる矢を縫うように回避しながら一心はバンビエッタに接近する。

「うぐぐっ」

「もう一発やらせてもらうぜ。月牙天衝！」

　鍔迫り合い中で高密度の霊圧を帯びた斬魄刀の斬撃に、バンビエッタの光剣は耐えられず砕音と共に砕け散り……彼女は得物を失うも、反射的に両腕を交差させて静血装も使い体を守る。

　パチン！！

「ぐっ！」

　一心の中指が弾かれると同時に、指に込められた霊圧がバンビエッタの体を押し、そのまま彼女を数十メートル後方に吹き飛ばす。

「おお……結構威力でたな」

　意表を突くための近接技を試しに行い、想像以上の威力に一心は手応えを感じて採用を決めた。

「おーい、アンナ。だいじょ――おぶっ！」

　吹き飛ばされたバンビエッタの安否確認をしようと声を掛けた時、一心の左頬が勝手に動いた左拳にぶん殴られた。

「ちょ、お前っ。や、めっ――ろ！」

　それはバンビエッタが健在の証だが、容赦のない拳の連打は彼女の怒りを如実に表していた。

バンビエッタ（㏋112）　戦闘力107　静血装23　dice3d130=80 42 13 (135)

黒崎一心（㏋132）　戦闘力107　dice3d130=75 37 98 (210)

[118 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/18(水) 23:52:15]

戦闘力以下の出目が互いに同数でしたので、一回ダイスを振り出目が大きい方の勝ちです。

バンビエッタ（㏋112）　戦闘力107　静血装23　dice1d130=48 (48)

黒崎一心（㏋132）　戦闘力107　dice1d130=57 (57)

[119 二次元好きの匿名さん 23/10/19(木) 10:09:48]

ほしゅー

[120 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/19(木) 19:27:48]

「いてて、ここまでやることねえだろ」

「ふん！　その程度で勘弁してあげているのよ！」

　精神体に両腕を操れ、両頬を赤く腫らしあぐらを掻く黒崎一心を衣服がボロボロになったバンビエッタが、怒気の宿った双眸でじろっと見下ろす。

「さっきの……げつがてんしょうって技はどういう仕組み？　教えなさいよ」

　バンビエッタはグランドフィッシャーに止めを刺した技とほぼ同一と予想しながら、感覚ではなくきちんと仕組みを理解した方が技の出来は違う。

「…………しゃーねぇな。いいか、月牙天衝は――」

　滅却師に教えていいのか疑問に思う一心だったが、仕組み自体は単純な技でもあるので彼は休憩も兼ねてバンビエッタに月牙天衝を教える事にした。

「斬撃の瞬間に斬魄刀に霊力を喰らわせて、刃先から高密度の霊圧を放出する事で斬撃を飛ばす……単純ね」

　バンビエッタは率直な感想を呟き、大聖弓の光剣を見つめて何かを考える……それが纏まったのか一心に視線を向けた。

「じゃあ、続きをやりましょうか」

「おう……」

　短く返事をした一心に、バンビエッタは強襲とばかりに斬撃を繰り出す、それを一心は斬魄刀で防ぐ。

「ほんとっ、容赦ねえな！」

「はっ、容赦してるわよ。本気なら動けない状態で切り刻んでやるわ！」

「確かになっ！」

　ニヤっと笑う一心は光剣を弾き返し、今度はこちらの番とばかりに連撃でバンビエッタを攻める。それに対して、彼女は真っ向から立ち向かった。

「んあ？」

　激しく斬り合う中で一心は光剣の刀身の変化に気付く、つい数分前まで両刃だったのが細身の片刃となり強度も跳ね上がっていた。それだけではなく、バンビエッタの霊力が剣に流れていくのに気づき、一心は彼女が何をやろうとしているのか悟った。

「おいおい」

「げつが――」

「月牙天衝！！」

　いきなりぶっつけ本番で疑似的な月牙天衝を撃たれる前に、一心は最大火力の月牙天衝を放ち霊力を蓄えていた光剣の側面を全力で叩き折った。

「あ――」

　瞬間、光剣に蓄積されていたバンビエッタの霊力が放出、周囲を青い光に包まれ爆発した。

「……もーやりたくない！　これでおしまい！」

「あーうん、そうするか」

　一心は爆発で服が大きく消し飛んだバンビエッタに申し訳ないと思いながら、模擬戦を終えた。

展開ダイス

1.一護視点　2.続き　3.黒崎家　dice1d3=3 (3)

[121 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/20(金) 00:16:52]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が〇〇と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 107　+dice1d5=1 (1)

霊力 60　+dice1d5=4 (4)

霊子操作 47　+dice1d5=1 (1)

静血装 23　+dice1d5=1 (1)

動血装 57　+dice1d5=5 (5)

聖文字の熟練度 5

[122 二次元好きの匿名さん 23/10/20(金) 00:46:33]

一転伸び悩んじゃった

[123 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/20(金) 10:19:47]

>>122　多分負けた状態で戦闘放棄したからじゃないですか？

[124 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/20(金) 20:59:05]

　黒崎家、バンビエッタは昼食のパスタを茹でていると、涼しい夏服の黒崎遊子がキッチンにやって来た。

「おねーちゃん、おにいちゃんから連絡ない？」

「……ないわよ」

　どうしてこんなに兄が好きなのか双子の妹さえ判らない兄激ラブの遊子は、バンビエッタに三度目となる質問をしてきたので、同じ返答をするしかなかった。

「うう、夏休みが始まってからいきなり十日も出かけたのに、また旅行なんて……お兄ちゃんのお小遣いじゃあぜったい無理なのに！　私、おにいちゃんと遊んでない！」

　涙目の遊子はまるで彼氏に冷たくされている彼女の如く兄を想う姿に、バンビエッタの胸に去来する感情は呆れしかなかった。

「一護も年頃だから友達と旅行してもおかしくないでしょ」

「でも、でも……」

「遊子、しつこすぎ。一兄は高校生だよ、どこに行こうと一兄の自由じゃんか」

「うぅ、夏梨ちゃん……」

　リビングで宿題をだらだら進めていた黒崎夏梨は、心配性の姉が邪魔になっていた。こういう時に場の空気を有耶無耶にする黒崎一心は不在だった。

「夏梨ちゃんは、おにいちゃんが心配じゃないの？！」

「べつにー。一兄だって男なんだから自分でなんとかするでしょ」

「むぅ～夏梨ちゃんつめたい！」

　味方がいない状況に遊子は不貞腐れて、姉妹の部屋へと走って行った。その後ろ姿に妹は呆れるしかなかった。

「遊子の一兄好きは、もうびょーきだ」

「そこまで言う気はないけど、ブラコンなのは間違いないわね」

「……それで、姉ちゃん。一兄はどこへ行ったの？　やっぱり、危ない場所？」

　バンビエッタと一護の立ち位置をわずかでも悟る夏梨は、姉よりも自分の方が信頼されている優越感が少なからずあった。

「本来なら縁がない場所よ。夏梨もいつか行くかもしれないけど」

「ふーん……」

　どこだろうと考える夏梨だったが、やがて意識を眼前の宿題へ向けてだらだらとやり始めた。

　平和を感じるバンビエッタは、一護たちは死神の拠点（瀞霊廷）に入れたかなと思いながら、茹で上がったパスタを冷水が入った器に入れる。

「夏梨、味は何にする？　ごま、中華、酢醤油、ミートソース」

「じゃあ、中華」

「ええ、遊子は何味にしよう……まあ、柚子は散らしておこう」

展開ダイス

1.志波家　2.浦原商店　3.瀞霊廷　4.アルバイト　

dice1d4=3 (3)

[125 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/20(金) 21:39:38]

瀞霊廷になったので、誰の視点にするか選び忘れていました。

1.一護＆岩鷲　2.阿散井恋次　3.織姫＆雨竜　4.チャド　5.ルキア

dice1d5=5 (5)

[126 二次元好きの匿名さん 23/10/20(金) 23:03:47]

アンナ来てないからあっちはほぼ原作準拠で進みそう

[127 二次元好きの匿名さん 23/10/21(土) 06:00:10]

アンナも行くわけにはいかないもの

[128 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/21(土) 11:35:51]

　朽木ルキアは跳び上がっても届かない高さの細長い格子窓を見上げる。

　窓の向こうには、高い丘の先端に巨大な磔架と垂直に立てられた巨大な矛が見えた。それが『双極（そうきょく）』、彼女を処刑する処刑道具だ。

　それを処刑日まで見つめ、己の罪を悔いるのが彼女がいる懺罪宮（せんざいきゅう）の牢だ。

「一護……」

　ルキアは移送に同行した阿散井恋次から伝えられたオレンジ髪の死神、それが黒崎一護だと彼女には確信があった。他の四人は誰かと思いつつも、それ以上になぜ彼は別れの言葉を無視した事に対する不満と怒りの方が強かった。

「全く、貴様はなぜそう自分勝手なのだ……！」

　口では非難するルキアであったが、その表情は確かな喜びが窺えた。しかし、すぐに自分が場違いな感情を抱くことに気付いた彼女は、思い出したように表情を戻した。

「いかん。一護たちが来てくれて嬉しいなど……」

　別にいいんじゃない、誰もいないんだから。

「！？」

　唐突に女性の声が脳に直接聞こえたルキアは驚愕し、勢いよく振り向いた。

　後方に居たのは、用意された寝床に座る白い軍服姿のバンビエッタ。ルキアの頭はどうしてここにいるのか、その服装は滅却師の……と疑問が一気に湧き、混乱する。

「く、黒崎……さん」

　アンナでいいわよ。一護と被る……あんたは名前で呼ぶから、どっちでもいいや。

「……どうやってここに、いや、なぜこの場にいるのだ」

　ルキアは彼女が、その疑問に答えてくれるのか判らないものの問わずにはいられなかった。バンビエッタは天井を見上げて少し考えたのち、彼女に答えた。

　あたしは本体の能力で作られた精神体、眼前に居るんじゃなくあんたの内側にいるのよ。

　バンビエッタの言葉にルキアは無意識に胸を触る。いつ頃から自分の内側にいるのか彼女には判らないものの、自分が死神であることも時期次第では自分が黒崎家の押入れに隠れていた事も把握しているのではないかと思った。

　そう考えると、黒崎家の夕食がちゃんと自分の分まで余っているのも納得ができた。

「そうなのか……私は殛囚の身だ。このままではお主も共倒れだ」

　あたしの心配をしてくれるなら、あがくんでしょうね？　一護たちが来るまで。

　脳に直接届く彼女の言葉に、無力な殛囚は何も言えなかった。

展開ダイス

1.アルバイト　2.志波家　3.瀞霊廷突入後

dice1d3=1 (1)

[129 二次元好きの匿名さん 23/10/21(土) 17:26:31]

そうか来れないのは本人だけだったな

[130 二次元好きの匿名さん 23/10/21(土) 18:35:29]

今更なんですが、一心との模擬戦パートで最終的に服をぼろっぼろにされたバンビエッタさん(外見年齢１５歳)……どうやって替えの服見繕って帰ったんだろうか
大きく消し飛んだ、ってあるんだから下手すりゃ半裸だと思うのですが

[131 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/21(土) 21:32:58]

>>129　こういう時には本当に便利な「侵入」ですよね。

>>130　そこはいくつもの可能性を考慮している浦原喜助の事前準備で、女子の替えの服くらい用意していますよ。

[132 二次元好きの匿名さん 23/10/21(土) 22:05:34]

同じ服そろえてるのか、さすが用意周到

[133 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/22(日) 01:21:09]

「いらっしゃい……ませ」

　夏のアルバイトに精を出すバンビエッタは、自動的に来客を見つけると挨拶をするようになっていた。

　今日はレジ係から離れ、商品の品出しを担当していた彼女に近づく者の姿を見て表情がやや曇る。

「アンナちゃぁ～ん！　ぐぶっふぇ！」

「こんにちは、黒崎さん」

　洋裁店と無縁の人生を歩んでいそうな小島水色と浅野啓吾が入店してきたのだ。早々にふざけてきた啓吾の対して、バンビエッタは鋭角の拳を腹に打ち込む。

「珍しいわね、あんたらがこの店に来るなんて」

「うん、ちょっと近くを通りかかったからね」

「冷やかしはお断りよ」

「大丈夫だよ、ちゃんと飲み物を沢山買うから。啓吾が」

　床で悶え、「お、俺のおごり……っすか」と囁く啓吾を完全無視して、バンビエッタと小島は話し合いを始める。

「ねえ、黒崎さん。井上さんがどこ行ったか知らない？」

「織姫？　なんでよ」

「有沢さんが一緒に宿題をやろうと電話したけど連絡がつかないから探しているって。チャドや石田くんもいないから……もしかして一護もいない？」

「まあ、いないわよ」

　隠してもしょうがないからと、バンビエッタは素直に答えた。それを聞いた啓吾はがばっと床から体を起こして立ち上がる。

「織姫ちゃん一人に、野郎が三人……！　ここ、これはまさか輪か――がべっぇえ！？」

　問題発言しかしない啓吾に、バンビエッタは彼の正中線を三ヶ所打ち貫いて即座に黙らせ、追い打ちに蹴りを腹に刺す。

「心配するような事は起きないから大丈夫よ。それより、このゴミ野郎をちゃんとゴミ箱に入れてよ」

「うん、ちゃんと捨てておくよ」

　にっこりと笑顔を浮かべた水色は「ほらほら、そんなとこで寝てないでさっさと歩きますよ。浅野さん」と敬語で啓吾に言うと、彼に敬語で話しかける事を嫌う啓吾は「敬語にしないでっ！」と元気よく立ち上がり、二人で大量の缶ジュースを買ってから退店して行った。

　二人を見送ったバンビエッタは、遅れた分を補うために再び品出しを再開する。

「あいつらに仕込んだ精神体（あたし）、ちゃんと役に立っているかしら？」

展開ダイス

1.瀞霊廷　2.見えざる帝国

dice1d2=2 (2)

[134 二次元好きの匿名さん 23/10/22(日) 06:10:02]

ここで帝国に視点が移るのは見ている側にもありがたい

[136 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/22(日) 14:21:44]

　見えざる帝国『星十字騎士団・諜報部隊』。

　現世の諜報部と同じく金属配線とモニターがいくつも設置され、常に尸魂界・瀞霊廷を観測し続け、有事には通信部隊として働く非戦闘部隊。

　その隊室の数十台のモニターには、瀞霊廷内部の映像がリアルタイムで映し出されていた。

「黒崎一護……目的は朽木ルキアの奪還か」

　騎士団長ハッシュヴァルトは連絡を受けて隊室を訪れ、モニターを見つめていた。画面には黒崎一護と阿散井恋次の戦闘が映り、その場所が朽木ルキアの居る懺罪宮へ通じる道から、一護の目的を看破した。

　二人の戦闘は阿散井恋次の優勢であるものの現世で負った傷が完全に癒えていないのか、頬に汗が垂れ呼吸が荒れるのも早い。それでも黒崎一護に優位であるのは経験と技量の差、いずれにしても決着は近いと悟り、彼は別のモニターに視線を移す。

　そのモニターには石田雨竜と井上織姫の二人が共に行動し、警戒しながら巡回する死神たちを避けて迷路のような瀞霊廷内部を進んでいた。

「石田雨竜、石田宗弦の孫か」

　現世に残る滅却師の一族が、死神のために瀞霊廷へ乗り込む。それは帝国に属する滅却師にとって衝撃的な情報であるが、死神との共闘を思想する男の孫ならその思想を継ぎ、その選択も十分にあり得た……同行する井上織姫についての情報が皆無のため、彼女の後日調査を決めたハッシュヴァルトは、隣のモニターを見つめる。

「……この男も調査が必要だな」

　今、侵入者の中で一番瀞霊廷を破壊している茶渡泰虎。完全ノーマークの男は、変化した白い左腕から霊力の拳を飛ばして塀を破壊し、捕らえに来た隊士を巻き添えにしながら直進していた。現状の戦力としては脅威ではないが将来性は未知数だ。

　たった四人で瀞霊廷が落とされることは絶対にない、単独行動中の黒猫――四楓院夜一も戦意はない……そう確信したハッシュヴァルトは、ユーハバッハ陛下に連絡するのは事後で十分と判断した。

「記録は継続。火急の知らせは、陛下ではなく私に連絡だ」

　諜報部隊長の命じたハッシュヴァルトは、画面の斬魄刀を掲げる黒崎一護を一瞥してから隊室から出て行った。

展開ダイス

1.プール（現世）2.瀞霊廷　3.見えざる帝国2　4.イレギュラー戦闘

dice1d4=2 (2)

＊4の出目が出た場合、雨竜＆織姫が強制戦闘。

所属隊 dice1d13=9 (9)　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=1 (1)

[137 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/22(日) 14:33:43]

瀞霊廷になったので、誰の視点ダイス。

1.チャド　2.一護＆岩鷲＆花太郎　3.織姫＆雨竜　4.夜一　5.死神

dice1d5=5 (5)

＊5の出目が出た場合、dice1d13=12 (12)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=2 (2)　視点。

[138 二次元好きの匿名さん 23/10/22(日) 18:38:30]

ネムなら石田関係か？

[139 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 00:19:00]

>>97　誕生日会のバンビちゃん。

[140 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 09:37:55]

　黒崎一護と阿散井恋次の戦いが始まる少し前。
「全く信じられない無能だヨ！！」
　面妖な黒い化粧と仮面をした異相の十二番隊隊長・涅マユリは、自分の求めた情報を黒崎一護に敗れた十一番隊の席官・斑目一角から得られなかった事に苛立ちを募らせていた。その後ろを寡黙で無表情の副隊長・涅ネムが続く。
「まあいい。旅禍たちの目的は判っている、機会などまだある」
　『旅禍（りょか）』尸魂界に不法侵入した者を指し、今の黒崎一護たちを示す言葉。
「はい、マユリ様」
　彼女にとってマユリは上官で父親、人工授精めいた方法で生まれた彼女にとって彼の望みは、何事よりも誰よりも優先されるべきだった。
　四番隊の綜合救護詰所から出たマユリは、しばし無言だったが静かに口を開いた。
「ネム……現世に、こちらの監視を逃れた滅却師の女がいたらしいネ」
「はい、黒崎アンナと名乗っていたそうです。朽木隊長からの情報では、霊子の弓だけではなく霊子の剣を使用したと記憶しています」
「そう、滅却師でありながら剣を扱う……そんな滅却師は私が技術開発局の局長になって以降、捕らえ解剖した滅却師たちの中には一人もいない。だが、過去に――」
「…………」
　思案に耽り立ち止まるマユリの背をネムを無言で見つめる。彼の邪魔はしない、邪魔をすれば彼は怒り、顔を殴られると知っているからだ。
　彼女に分かるのは、能力制限下とはいえ現役の副隊長を倒す実力を持つ滅却師と、その師が現世にいるということ。もしかすると、二百年前から三界のどこかに隠れる滅却師たちの組織があるかもしれない、とネムは考えていた。
「ネムっ！　何をしている！　この木偶の坊が！」
「――っ」
　マユリの思案は終わり再び歩き出したが、それに気付かなかったネムに彼の裏拳が頬に当たり、受け身も取れずにそのまま横に倒れてしまった。
「私に手間を取らせるなっ！　お前の耳はただの飾りか！！」
「っ、申し訳ありません……マユリ様、ッッ」
　追加の踏み付けを浴びながらネムは謝罪する。周囲にはただの暴力と見られているのは知っている彼女であったが、親の期待に応えられなかった自分の罰と考え誰にも相談しなかった。
「さっさと立て！　グズめ、私の時間を無駄にさせるな！」
「はい、マユリ様……」
　マユリは自分の考えを総隊長に伝えるため、一番隊舎へと向かった。ネムもまたそれに続くのだった。

[141 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 09:41:26]

展開ダイス

1.見えざる帝国2　2.浦原商店　3.瀞霊廷　4.プール（現世）

dice1d4=1 (1)

＊瀞霊廷の場合、誰の視点ダイス。

1.死神　2.チャド　3.織姫＆雨竜　4.一護＆岩鷲＆花太郎

dice1d4=2 (2)

＊1の出目が出た場合、dice1d13=4 (4)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=1 (1)　視点。

[142 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 09:49:55]

前回と違い『見えざる帝国』　誰の視点ダイス。

1.陛下　2.ハッシュヴァルト　3.ペルニダ　4.アスキン　5.エス・ノト　6.リルトット　7.バズビー

8.蒼都　9.キルゲ　10.BG9　11.ペペ　12.ジェラルド　13.ロバート　14.ドリスコール

15.ミニーニャ　16.ベレニケ　17. ジェローム　18.マスキュリン　19.キャンディス

20.ナナナ　21.グレミィ　22.ニャンゾル　23.リジェ　24.ロイド　25.ジゼル

dice1d25=6 (6)

[143 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 10:30:25]

絵がついて予想以上に爽やかに笑えているアンナちゃんにびっくりするが可愛らしいとも思えます

>>142

的確にまっとうな人が選ばれた

[144 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 16:51:11]

「……瀞霊廷が騒がしいのな」
　ガリガリと棒菓子を食べる小柄で金髪おかっぱの聖章騎士リルトット・ランパードは、暇で帝国の外が見られる諜報部隊の隊室を訪れていた。
「こいつが、黒崎一護か」
　一つのモニターに映るのは、戦闘後の治療を地下空間で受けて床に横たわる黒崎一護、彼の治療をする弱そうな死神の少年、出入口に立ち見張りをするバンダナをするブサイク顔の男。
「……育ち盛りの男子だな、キャンディの奴が食べそうだ」
　リルトットは一護の名を随分と前から知っていたが、その姿を見るのは今回が初めて。彼を捕まえるためにバンビーズのチームリーダー・バンビエッタ・バスターバインが、現世で消息不明となった。
　その件にリルトットは何も思わない……バンビエッタは沸点が低く癇癪持ち、ストレス発散に部下を能力で自殺や狂死させる破綻した性格で、彼女をリーダーはおろか仲間として見ていなかったからだ。
　リーダー不在で十年近く経つも、バンビーズは平常運転。相変わらず帝国の治安は陛下の統治で争いはないに等しいが、閉塞感は拭えない。
「俺たちの出番はいつなんだか……」
　打倒・護廷十三隊のために千年掛けて揃えられた星十字騎士団。その最精鋭たる聖章騎士の自分たちは、その時が来るまでずっと敵の膝元で隠れ住んでいる。リルトットは死神に個人的な恨みはないが、お上が殺れと言われればするしかない。
「はらへったなぁ～～」
　と言いつつ彼女はハート型のポーチから、歯応えのあるお菓子を出してバリバリ食べ始める。
　リルトットの能力は『食いしん坊（THE GLUTTON）』、口を巨大化・延長してギザギザの歯でどんな相手でも齧る……その捕食対象は当然同族も入る。
　彼女の言葉に瀞霊廷を監視する諜報隊員たちに緊張が走ったのは言うまでもない。悪名高いバンビーズの一員ゆえに尚更。
　黒崎一護を見つめるリルトットは、もしもバンビエッタが彼の親あるいは周辺の輩に殺されていたとしても敵討ちはしないが、顔見知りの縁で骨くらいは取り返してやろうと思った。
「……死体があれば、ジジのゾンビにさせるか」
　クソビッチは死体の方が役立つと考えるリルトットは、お菓子を食べ終えるまでモニターを見つけるのだった。

[145 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 16:51:53]

展開ダイス

1.浦原商店　2.プール（現世）　3.瀞霊廷　4.？？？

dice1d4=3 (3)

＊瀞霊廷の場合、誰の視点ダイス。

1.織姫＆雨竜　2.チャド　3.一護＆岩鷲＆花太郎　4.死神

dice1d4=4 (4)

＊4の出目が出た場合、dice1d13=3 (3)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=2 (2)　視点

[146 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 17:21:32]

劇的ビフォーアフターしたバンビちゃんと再会したバンビーズの反応はいかに

[147 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 19:27:09]

捕獲して洗脳して手駒にした、くらいはナチュラルに考えそう

[148 二次元好きの匿名さん 23/10/23(月) 21:50:21]

　六番隊副隊長・阿散井恋次の敗北。
　それは護廷十三隊に更なる緊張をもたらす事になった。彼の敗北に六番隊隊長・朽木白哉は単独行動時の敗北を咎め、牢屋送りを命じた。
「市丸隊長、救護の手配ありがとうございます！」
　てんやわんやの四番隊の救護詰所から出てきた――大きく偏らせた前髪で左眼を隠す――三番隊副隊長・吉良イヅルは、上官の三番隊隊長・市丸ギンに深くお辞儀をした。
　彼が上級救護班を手配してくれなければ、吉良の同期である阿散井恋次の命は危ういものがあったからだ。しかし、市丸の常に薄ら笑いを浮かべたような顔からは落ち込む気配があった。
「礼はいらんてイヅル……ご免な、あん時に旅禍を仕留められていたら、彼にあんな怪我せんかったのに」
　旅禍一行と最初に接触した隊長の市丸は、門番を放棄した兕丹坊（じだんぼう）を始末しようとした際に黒崎一護と交戦、斬魄刀を解放した上で仕留め損ねる失態を犯している……それがなければ、恋次がさらに負傷する事はなかった。
「いえ、阿散井くんも覚悟はあったはず……どうか、ご自分を責めないで下さい」
「……おおきにイヅル」
「いえ」
　吉良にとって市丸ギンは絶対の信頼を寄せる隊長の一人。彼にはいつも通りに飄々とした立ち振る舞いをして欲しい、落ち込んだ隊長に付いて行こうとする隊士などいないからだ。
　流れを変えるように姿勢を正した吉良が市丸に進言する。
「市丸隊長。旅禍の行方ですが、情報に四番隊席官を人質にしているがあります。それが正しいのなら、彼らは地下水道にいる可能性があります……あそこの複雑な構造を完全把握しているのは、四番隊ですから」
「なるほどなぁ……ボクあそこ行った事ないけど、イヅルは？」
「僕は元四番隊ですが、正直うろ覚えです」
「そうなん？　怪我人も多いみたいやし、こっちに貸せる隊士は下位の子やろ……しゃあない。放置しておこうか」
「え！？　いいのですか」
　市丸の発言に吉良は目を見開いて驚いた。
「旅禍の目的は殛囚。それになイヅル、十一番隊隊長さんが旅禍に興味あるみたいやし、ボクらはしばらく静観したらええ」
「……分かりました」
　最強の死神『剣八』を名乗る隊長に目を付けられては旅禍の全滅も当然と思った吉良は、市丸と共に三番隊隊舎へ戻る道を選んだ。

[149 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 21:52:28]

>>148トリップ忘れてました。

展開ダイス

1.瀞霊廷　2.見えざる帝国3　3.浦原商店

dice1d3=2 (2)

瀞霊廷の場合、誰の視点ダイス。

1.雨竜＆織姫　2.一護＆岩鷲＆花太郎　3.チャド

dice1d3=2 (2)

＊そろそろ戦闘させたい。

『見えざる帝国』の場合、　誰の視点ダイス。

1.陛下　2.ハッシュヴァルト　3.ペルニダ　4.アスキン　5.エス・ノト　6.リルトット　7.バズビー

8.蒼都　9.キルゲ　10.BG9　11.ペペ　12.ジェラルド　13.ロバート　14.ドリスコール

15.ミニーニャ　16.ベレニケ　17. ジェローム　18.マスキュリン　19.キャンディス

20.ナナナ　21.グレミィ　22.ニャンゾル　23.リジェ　24.ロイド　25.ジゼル

dice1d25=1 (1)

[150 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/23(月) 21:54:48]

>>146　確実に偽物と疑われると思います。「バンビちゃんはこんなに優しくない！」とかジジが一番に言いそうです。

>>147　悪い奴ですね、浦原喜助。

[151 二次元好きの匿名さん 23/10/24(火) 01:35:31]

支援あげ

[152 二次元好きの匿名さん 23/10/24(火) 06:15:10]

ここに来て陛下は予想がつかない

[153 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/24(火) 11:51:46]

「闇より生まれし我が息子よ。大きくなったな」
　見えざる帝国皇帝・ユーハバッハは玉座の間にて、大画面モニターに映る瀞霊廷・懺罪宮東で行われる黒崎一護と更木剣八の戦闘を観覧していた。
　危険視すべき未知数の脅威『特記戦力』候補の二人が激突する光景に、ユーハバッハは子供の成長を慈しみ父親のようにほくそ笑む。
「旅禍を巡る戦い……我らに利する事ばかりだな。ハッシュヴァルト」
「おっしゃる通りです、陛下」
　玉座の隣に影の如く立つハッシュヴァルトは、皇帝の言葉を肯定する。
　護廷十三隊の隊長・副隊長の戦闘力把握は難しい。彼らが前線に出る事は滅多にないゆえに、予想は出来ても所詮は予想に過ぎず、実戦をさせてこそ現在の強さは推し量れるからだ。
　その点で、黒崎一護は帝国に多大な貢献をしている。瀞霊廷を掻き回し上位の席官・副隊長・隊長の実力を晒し、さらに指示系統の鈍さを示し、加えて以前より暗躍していた『特記戦力』候補に動くきっかけを与えているのだから。
「このまま更なる戦いを引き起こせ……お前こそが渦の中心だ」
　上機嫌で剣八の肉体を斬った一護を観察するユーハバッハに対して、ハッシュヴァルトは戦況を分析する。
　黒崎一護に恐るべき成長速度と霊力があっても、それで勝てる戦いは少ない。まして始解さえ出来ない身で隊長の地位に就いた化物が相手ならばなおさら……小さな油断で天秤は傾く。
「うぬ……」
　そこでユーハバッハは唸る、一護が剣八の斬魄刀に胸を貫かれたのだ。致命を与えた事で剣八の興味が無くなったのか、倒れる敵に背を向けて立ち去ろうとした。
　その数瞬後、一護の体から膨大な霊圧が噴出しながら彼は堂々と立ち上がった。
「見事だ。敗北と死に直面した事で枷が外れたか――」
　画面の向こうでは一護が剣八に痛烈な一撃を与え、それで火が付いたように剣八は眼帯の封印を外して全力を出し始める。
「しかし、残念だ。画面越しでなければ奴らの霊圧を肌で感じられたというのに…………ハッシュヴァルト」
「はい」
「黒崎一護、更木剣八の両名を特記戦力に認定する」
「――承知しました」
　一礼するハッシュヴァルトには眼を向けず、ユーハバッハは周囲の建物を吹き飛ばすほどの衝突を魅せる二人の死神に宿る『未知数』に期待する微笑を浮かべながら、決着を見届けた。

[154 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/24(火) 11:51:57]

展開ダイス

1.浦原商店　2.瀞霊廷

dice1d2=2 (2)

瀞霊廷の場合、誰の視点ダイス。

1.ルキア　2.一護＆夜一　3．死神　4.雨竜＆織姫

dice1d4=3 (3)

＊3の出目が出た場合、dice1d13=6 (6)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=2 (2)　視点

[156 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/24(火) 21:28:33]

　阿散井恋次は目を覚ました。

　怪我は治療されて両手には木製の手枷がはめられ、足元の先には鉄格子。さらに鉄格子前には見張りの死神が立っていた。

　まるで本物の罪人と感じた彼は、この状態は朽木隊長の指示と思い隊長らしいと考えながら、自然と苦笑を浮かべた。

「……俺、負けたんだな」

　フラッシュバックする黒崎一護との戦い、自分の敗北……不思議と負けた悔しさはなく、頭の中はスッキリとしてこれから自分は何をすべきかに意識が向いた。

　そして、その答えはあっさりと出た友達を――ルキアを助けたいと。

　その行いは瀞霊廷に弓を引き、引いては朽木隊長含めた全ての仲間に対する明確な裏切り行為。それでも――死んだ人間の魂が辿り着く――流魂街からの付き合いで、唯一生き残っているルキアを見捨てる事はもう出来なかった。

「……蛇尾丸」

　視線を向かいの壁へ向けると折られた斬魄刀の修復はほぼ終え、横には替えの死覇装が畳まれていた。これは独断専行に対する謹慎ゆえに武器も共に置かれていた。大人しくしていれば謹慎は解けて牢から出られるが、恋次の気持ちは謹慎解除まで待てなかった。

　しかし、逸る気持ちとは逆に体の方は休息を欲していた。

「もう少し休まないと動けねえか……」

　恋次は自分の体の状態を認識して、まだ体力は回復していないと感じ、今は休息に徹すると決めた。

「そもそも、あの野郎無事なのか？」

　方針を決めた恋次は、かなりの負傷をさせた黒崎一護の安否を気になった。本気で殺すために攻撃をして左肩をばっさりと蛇尾丸の刃節で斬った。五体満足だとしても傷の完治には時間がかかるはず、処刑ギリギリまで回復に時間を使っても万全に戻せるか怪しい。

　仲間内に傷の回復が出来る奴がいれば話は変わるが、恋次の知り得た情報にその手の能力持ちがいる情報はなかった。

「……啖呵切ったんだから、死ぬんじゃねえぞ」

　今の自分に出来る事は休むこと。恋次は眠るまでの間、黒崎一護との戦いを振り返りながら反省点を見つけつつ、再び深い眠りにつくのだった。

展開ダイス

1.瀞霊廷　2.浦原商店

dice1d2=2 (2)

瀞霊廷の場合、誰の視点ダイス。

1.一護＆夜一　2.雨竜＆織姫　3.ルキア＆岩鷲＆花太郎

dice1d3=3 (3)

[157 二次元好きの匿名さん 23/10/25(水) 06:37:32]

応援保守

[158 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 10:45:05]

　現世で過ごすバンビエッタは、浦原喜助に呼ばれて再び浦原商店地下空洞を訪れていた。
「どーも、アンナサン。お待ちしておりました」
「浦原。あたしに何をさせるつもりよ」
「まーそう身構えないで下さいよ。用件の前にお茶でもどうッスか？」
「……それは無理ね。あとお茶はいらないわ」
　バンビエッタの視線は、彼の握る仕込み杖に偽装された斬魄刀・紅姫へ向けられていた。死神が自分の斬魄刀を持つのはおかしくないが、彼から漂う闘気めいた雰囲気があれば誰でも戦意ありと気付く。
　彼女の視線に気付いた浦原は、いつもの微笑みを浮かべる。
「分かちゃいます？　アンナサン――アタシと戦ってくれません？」
「鉄裁がいるでしょ」
「テッサイじゃダメッスよ。あなたじゃないと……タダ働きはさせませんよ――起きろ、紅姫」
「はぁ！？」
　斬魄刀の解号を唱えた浦原からバンビエッタは驚きながらも距離を取った。始解状態の紅姫は、鍔の無く柄尻が曲がった刀身短めの直剣に変化した。
　蒲原の意図が読めないバンビエッタだが彼の戦意を感じ取り、細身の片刃剣にする事で強度を増した大聖弓の光剣を作り出す。
「……静血装を使用して構いませんよ」
「そうさせてもらうわ！」
　対策済みとも取れる蒲原の発言に、バンビエッタは返答と指先から矢を連射。彼は高速移動で回避して、彼女の背後へ移動するや斬魄刀を振り下ろす――それにバンビエッタは光剣を背中に置き防いでみせる。
「背中から斬るとか、あんたそういう奴だっけ？」
「どうでしょうね――破道の三十一　赤火砲（しゃっかほう）！」
「！！」
　蒲原が空いた掌をバンビエッタへ向けた瞬間、掌に赤い火球が点った瞬間に爆発を起こす。小規模の黒煙を跳び抜けた彼女はすぐに蒲原の位置を探ろうとした時、追撃と彼が黒煙の中から勢いよく飛び出して突撃して来た。
「この――！」
　光剣に握る彼女の手に赤いラインが走る。防御の静血装の対になる強化の動血装（ブルート・アルテリエ）を発動させた光剣の一撃に、蒲原は驚きつつも刀で防御を選ぶも桁違いの火力に後方へ大きく吹き飛んだ。
「ふんっ」
「いやァ～それは初見殺しッスね……じゃあ、アタシの負けッス」
「はぁ？　何言って……」
「五分後に、もう一戦やりましょうか」
　唐突な蒲原の敗北宣言に本気で意図が読めないバンビエッタが、彼の目的に気付くのはしばらくしてから。

[159 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 10:45:30]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が〇〇と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 108　+dice1d5=4 (4)

霊力 64　+dice1d5=3 (3)

霊子操作 48　+dice1d5=2 (2)

静血装 24　+dice1d5=4 (4)

動血装 62　+dice1d5=2 (2)

聖文字の熟練度 5

浦原喜助　戦闘力dice1d100=32 (32)　+50（隊長補正）

＊最低値50保証

[160 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 10:50:40]

＊戦闘力が互いに100を超えた場合は㏋を150、ダイスの最大値も130に変更します

バンビエッタ（㏋150）　戦闘力112　静血装28　dice3d130=31 106 103 (240)

浦原喜助（㏋150）　戦闘力100　dice3d130=17 128 85 (230)

[161 二次元好きの匿名さん 23/10/25(水) 17:10:13]

模擬戦やる浦原さんの目的ってなんだろ？

[162 二次元好きの匿名さん 23/10/25(水) 17:57:04]

クインシーの情報収集じゃない？

[163 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 18:09:59]

「やっ、ああぁぁ！」
「――ッ！」
　動血装を使用してのバンビエッタの一撃を受けたくない浦原喜助は、回避と防御に徹する立ち回りをする事になった。
　彼の予定では、戦いを優位に進めながら自分の考察が正しいのか確認するつもりだったが、彼女に初見の技を使われ主導権を取られた上、またあっさり降参しても彼女がそれを認めてくれないと思った。
　しかし、蒲原は余裕ある表情を崩さない。想定外の展開になるのも想定された展開の一つだから。
「いやァ、本当に怖い技だ。直撃したらか弱いアタシなんてぽっくり死んでしまうッスよ」
「死ぬ気で耐えればいいのよ！」
　空く左手の指先から拳銃のようにテンポ良く矢を連射しながら、バンビエッタは走り逃げる蒲原の脚を狙うも、ひょいとウサギの如く跳ねてかわす。
「ところで、その血装の名前は？」
「――動血装（ブルート・アルテリエ）！」
「静血装と併用しないんッスか？　それとも出来ない？」
「好きに考えなさい！」
　飛廉脚で一気に距離を詰めたバンビエッタは、余裕ぶった蒲原の頭へ光剣を振り下ろす。斬魄刀の防御は間に合わない、あたしの勝ちと思っていたバンビエッタに蒲原は彼女の剣を握る手の手首を掴んで動きを止めて見せるや、そこから振り子のように彼女の体を後ろへ投げ飛ばした。
「！」
　蒲原はバンビエッタを後ろに投げたと同時に体を捻った直後、甚平の背を頭上から落ちてきた霊子の矢が引き裂いた。
「ああ、アタシの一張羅が」
「ふん、同じの何着も持っているのを知っているんだからっ！」
「おっと」
　宙で体勢を変えて着地したバンビエッタは蒲原の頭に一矢を撃つも、それを容易くかわされてしまう。
　その仕返しと蒲原の口ずさむ。
「縛道の六十一　六杖光牢（りくじょうこうろう）」
「くっ！　――聖隷！！」
　蒲原の指先から光が放たれ、バンビエッタは六つの光に胴体を突かれ身動きが取れなくなった。即座に彼女は聖隷を使用して身を封じる霊力の光を分解して体内に取り込む。
　隙を見逃さない蒲原は彼女の首に斬魄刀を振るうも、すでに動血装から静血装に切り替えていたためその一撃は薄肌一枚で止められた。
「硬いッスね。同時に血装は使えないみたいだ」
「……あんな何がしたいわけ？」
「検証ッス。アタシの負けです……次は十分後に、もう一勝負しましょう」
「はぁ――いいわよ」
　そして、三戦目が始まる。

[164 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 18:10:21]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が〇〇と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 112　+dice1d5=2 (2)

霊力 67　+dice1d5=1 (1)

霊子操作 50　+dice1d5=4 (4)

静血装 28　+dice1d5=2 (2)

動血装 64　+dice1d5=4 (4)

聖文字の熟練度 5

[165 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/25(水) 18:11:51]

＊戦闘力が互いに100を超えた場合は㏋を150、ダイスの最大値も130に変更します

バンビエッタ（㏋150）　戦闘力114　静血装30　dice3d130=11 94 57 (162)

浦原喜助（㏋119）　戦闘力100　dice3d130=35 58 128 (221)

[166 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/26(木) 00:19:29]

>>120　一心との戦闘後の服がボロボロになったバンビちゃん。

[167 二次元好きの匿名さん 23/10/26(木) 05:52:01]

戦闘後のボーナスが積み重なった結果ファンブルしにくくなったのがいいね
普段使いできなくなるレベルでボロボロになった服装が可哀想可愛い

[168 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/26(木) 13:58:57]

　バンビエッタと浦原喜助との三戦目。
　底の見えない浦原の思惑に警戒したバンビエッタは一転して静かな動きになり、淡々と彼の斬魄刀と刃を交え続けた。
「今度は随分と大人しい立ち回りですね」
「浦原、あたしの何を確認したいの。力を測るなら、もう十分じゃない？」
「ええ、技量だけなら十分です。ですが、アタシが知りたいのはあなたの体に起きている事象です」
　殺気の薄い斬魄刀の刃をかわしたバンビエッタは、彼の言葉の意味を探りすぐに思い至る。浦原は自分と『何か』の繋がりに気付いたと……戦闘後の霊力上昇から疑いを持ち、すぐに負けるのも霊圧上昇を確かめるため。
　こっちから訊いた時には白を切ったくせに、とバンビエッタは内心で浦原の嘘に苛立ちつつ光剣の切っ先を彼の口を突き立てようとしたが、紙一重で回避される。
「破道の四　白ら――」
　白雷（びゃくらい）を指先から放とうとする浦原の手をバンビエッタは腕で弾き、直後に彼の指先から直進の光が飛んだ。
　お返しとバンビエッタは光剣を逆手に持ち、鋭く横薙ぎしようとするも浦原は斬魄刀で事前に止める――ことを見越して、彼女は浦原の脚を蹴った。
「！？」
　そこで一心同様にバンビエッタの精神体が浦原の魂魄に侵入。途端にガクンと両手足の力が抜けた浦原は驚愕し、その場に正座の形で座る……そこでバンビエッタは緊張を抜くような小さい溜息を吐いた。
　魂魄の内側に侵入された浦原の命は、バンビエッタが握ったも同然だ。
「対策をしていたんですが……なるほど、あなたの能力は魂魄干渉ッスね。その力の名は？」
　体内に仕込んだ対策が機能しない点、身体操作をする霊的器官は意識と魂魄。意識に変化がない点から、浦原はバンビエッタの操作対象は魂魄だと結論付けた。
「……侵入、ジ・エンター。よ」
「侵入……なるほど、その能力ならアレに張った防壁を抜けられるのも無理ないッスね。アタシの完敗ッス」
　苦笑する浦原は三度目の降参をする。ここから四戦目をしましょうと彼が言っても、バンビエッタに協力する気はなかった。
「白を切ったくせに……全部話してもらうわよ。朽木ルキアの義骸に仕込んだモノの正体を」
「はい、影響下にあるあなたには教えておこうと思います……崩玉を、それを狙う者たちの存在を」
「崩玉？」
　浦原は諦めたような口調で、バンビエッタに自分の抱える秘密の一端を語り始めた。

[169 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/26(木) 13:59:37]

バンビちゃんが戦闘をした事で、能力値が崩玉と繋がっている影響で一部が更新されます。

戦闘力 114　+dice1d5=1 (1)

霊力 68　+dice1d5=2 (2)

霊子操作 54　+dice1d5=5 (5)

静血装 30　+dice1d5=3 (3)

動血装 68　+dice1d5=3 (3)

聖文字の熟練度 5

展開ダイス（瀞霊廷限定）

1.ルキア＆岩鷲＆花太郎　2.死神　3.雨竜＆織姫　4.一護＆夜一

dice1d4=3 (3)

＊2の出目が出た場合、dice1d13=13 (13)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=2 (2)　視点

[170 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/26(木) 21:27:57]

「石田くん。あたし、昨日夢を見たんだ」

「は、えっ、夢……？」

　死神たちの追跡から逃れるために一組の死神を強襲して死覇装を奪い、死覇装に着替えた井上織姫と石田雨竜は無人の通路を走り、朽木ルキアが収監される懺罪宮を目指していた。

　その最中、織姫は急に昨夜見た夢を語り始めることに彼女の前を走る石田は戸惑いつつも耳を傾ける。

「うん、石田くんみたいな白い衣服を着たアンナちゃんが出てきて、あたしお説教されちゃった。もっと早く着替える案を出しなさいよ、その緩い顔を引き締める、とか色々」

　とキリッとした表情を作る織姫に、雨竜は小さく笑った。

「井上さんは……黒崎さんのことは、どの程度聞いているんだい？」

「えっと……夜一さんからは、石田くんと同じ滅却師で黒崎くんよりもずっと強いって」

「そうだね。現世で、僕が負けた奴を圧倒出来るくらいに強かった。ここでも充分に強者で通じる強さと思うよ」

　確実に格上、奥の手を出す必要があるくらいに黒崎アンナの強さを評価している雨竜は、出来ることなら自分たちと一緒に尸魂界に来て欲しかったのが、彼の本音だ。

「そうなんだ。アンナちゃん、昔からたつきちゃんより強いのは知っていたけど……えへへ、やっぱり凄いんだ」

　自分の友達が凄いと評価されて、織姫は自分の事のように頬が緩んだ。しかし、すぐに表情は元に戻る。

「あたしもみんなくらい強かったらいいんだけど、ごめんね。役に立たなくて」

「な、何言っているんだ！　井上さんには防御と回復が出来るじゃないか！　それで十分だよ！」

「……ありがと」

　雨竜からのフォローに織姫は硬い笑顔を向ける。彼のフォローは嬉しく思う織姫だったが、瀞霊廷に入ってからはずっと雨竜にフォローされてばかりで情けないと感じ、もっと自分に戦える術があれば良かったと思っていた。

　あんたの防御も使い方次第で凶悪だと思うけどね。

「――え？！」

　織姫は不意に聴こえた黒崎アンナの声に驚いて振り向くも、走る彼女の後ろには誰もいなかった。

「どうしたの、井上さん？」

「え、ううん……何でもないよ」

　空耳だったのかな、と思う織姫はすぐに正面を向いて雨竜の後に続いた。

新・石田雨竜　戦闘力dice1d100=71 (71)

＊最低50保証

井上織姫　戦闘力dice1d100=45 (45)

＊最低50保証

＊続きます。

[172 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/27(金) 10:34:12]

　瀞霊廷内部に小規模の爆発が起き、遅れてさらに大きめの爆発音が起きた。

　二度の爆発に気付いた死神は何人かいたものの、爆発場所が十二番隊隊舎近くと気付くやその全員が無視を決めた。

　また涅マユリの実験か、仮に旅禍だとしても決着がついた時に向かえばいいと。

「ダメだヨ、放られた爆弾は手元に戻って来るもんじゃないァ無い」

　起爆スイッチを押したマユリの前で、役目を放棄した爆弾化させた新米隊士たちが爆ぜた。部下の命を迷い無く使い捨てる行為を外道と誹られても、優先は事態の早期解決……つまるところ瀞霊廷延いては尸魂界のため。

　入隊した時点で全隊士の命は等しく、尸魂界のために捧げられる人柱。

　爆発の白煙が晴れ始める、最初の爆発の中心にいた井上織姫と石田雨竜の前に三角形の光の盾があった。『三天結盾（さんてんけっしゅん）』、織姫の能力『盾舜六花（しゅんしゅんりっか）』の外側からの攻撃を防ぐ防御技。

　素早い技の展開は鍛練の賜物。術名だけで反射的に発動出来るようにしていた事で、彼女は近距離の爆発に対象する事が出来た……しかし、眼前で人が爆死する光景は現世育ちの少女には刺激が強いのは言うまでもなかった。

「石田くん、他の三人の人たちは……」

「……死んだよ。……でも、それは井上さんが心を痛めることじゃない」

　庇うために盾と座り込む織姫の間に立っていた雨竜の言葉に、彼女の心情を表すように盾全体にひびが入り砕け散った。敵のためにも涙を流せる優しい彼女は、決定的に戦いには向いてないと雨竜は強く思いながら背後に立つ敵を睨み付けて言い放つ。

「心を痛めるべきは、お前だ！」

　異相の化粧をした死神と、その副官らしき女性の死神。どちらも敵だが、優先するべきは異相の死神と雨竜は直観で理解した。

「ホウ！」

　しかし、雨竜の睨みなど興味がないのかマユリの注視対象は織姫の術へ向いていた。

「こりゃァ面白い術だネ！　その盾！　その後ろの女の術なのかネ！？」

「……答える気はないね」

　敵に興味を持たれた織姫を隠すように、雨竜は名前も知らない敵の死神と相対した。

　一人盛り上がるマユリは織姫に検体としての待遇を提示するも、訊くに堪えない言葉の羅列に雨竜は飛廉脚で敵の傍へ移動し弓矢を突き付けた。

涅マユリ　戦闘力dice1d100=50 (50)　+50（隊長補正）

＊最低値50保証

[173 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/27(金) 19:08:53]

「十二番隊隊長及び技術開発局二代目局長、涅マユリ」
　名乗りと共にマユリは霊圧を周囲に放出する。隊長格の霊圧を初めて浴びる井上織姫と石田雨竜は、重さと感じるようなその濃さに驚愕する。
　その霊圧を受け、雨竜の決断は早かった。
「――井上さん！！　逃げるんだ！　早く！！！」
　危険な相手と判断した雨竜は、攻撃手段を欠いた非織姫にこの場から逃げるように促した。
「そ……ッ、いやだ！　あたしも戦うよ！」
　雨竜の言葉に彼女は立ち上がって反論する。自分も戦う覚悟で瀞霊廷に居るのだから、彼の言葉は自分の覚悟に対する侮辱と受け取ったからだ。
　しかし、雨竜としては能力的に後衛で性格にも不向きの織姫を戦わせるのは、今後に影響すると考えて横目で自分たちが偽隊士と最初に暴き、運良く織姫に助けられて今にも逃げようとする十一番隊の中年隊士に目を付けた。
「おい！　そこの十一番隊のあんた！　井上さんを連れて逃げろ！！」
「ふ……ふざけんな！　なんで俺が……！」
「死にたくないだろ！！　ここにいれば、あんたも巻き添えを喰うぞ！！　力尽くでも連れて行くんだ！　出来ないな――」
「フム？」
　雨竜が中年隊士に脅しをかけようとしたところで、石がマユリに投げられて彼はそれを片手で掴む事なく手で弾く。
「――い、井上さんっ」
「ごめんね、石田くん。でも、あたしも戦うよ」
　苦い表情を浮かべる雨竜に、敵に石を投げた織姫は謝りながらも戦う意思を示した。その隙に中年隊士は脱兎の如く逃げ出し、もう強制的に彼女を連れて行ける者はいなくなった。
「その人が強い人なのは、あたしにも判るよ。だから二人で勝とうよ」
「――ッ」
　雨竜は織姫の決意が自分の考える以上に堅いと知り、もう二人で隊長を倒すしかないと悟った。
「フム、美しい決意だネ。嫌いじゃないヨーーどれ、実験体の危機察知能力を確認しておこうか」
　マユリはそう言い左手を織姫に伸ばした瞬間、さながらロケットパンチが如く肘から先が発射されて織姫に迫った。
　間に合わない、雨竜は発射された手を矢を射抜こうとするも飛んだ手と織姫の距離が近いため、自分の矢の速度よりも手が彼女に触れる方が速いと気付く。
「―――」
　織姫もまさか手が飛んで来るとは思わずとっさに動けず、それでも手は真っ直ぐ迫ってきた。

　はぁ～、織姫のバカ。

　また織姫の耳に、友達の声が聴こえた。

[176 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/27(金) 19:15:12]

＊マユリの戦闘力が100なので、雨竜と織姫の戦闘力を足します。互いに100越えになったので㏋を150、ダイスの出目を最大130に変更します。またマユリがダイスで勝った場合のダメージ対象もダイスします。

石田雨竜（㏋150）& 井上織姫（㏋150）　戦闘力121　dice3d130=89 76 87 (252)

涅マユリ（㏋150）　戦闘力100　dice3d130=52 111 22 (185)　　ダメージ対象dice1d2=1 (1)　1.石田雨竜　2.井上織姫

[177 二次元好きの匿名さん 23/10/28(土) 01:34:09]

あげ支援

[178 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/28(土) 10:34:42]

　――あれ、なんだか手がゆっくり見える。
　涅マユリの飛ばした広げた掌が迫る中、井上織姫の視界で動く物全てがスローモーションに見えた。
「織姫。あんた、バカなの？　素直に雨竜の言う通りにすればいいのに」
「アンナちゃん……！　どうして」
　ゆっくりと動く視界の中、死角からやや不満顔の白い軍服姿の黒崎アンナ（バンビエッタ）が姿を見せた事に織姫は驚きの表情になった。
「あんた、本当に覚悟あるの？　あいつ、傷つけられるの？」
「ッ……出来るよ。黒崎くんたちの足手まといになりたくない。朽木さんを助けたい」
　織姫は眼前に立つアンナを心が生み出した幻と思った。友を護り・癒す力を、誰かを傷つける覚悟が本当にあるのか、途中で迷って躊躇わないのか……その決意を強く認識するための。
アンナはじっと織姫の顔を見つめてから、小さく肩を下げた。
「そ、覚悟があるならいいわ。そこそこサポートはしてあげる、決着は雨竜の奥の手次第だろうけど――いいのね、織姫？」
「うん。ありがとう、アンナちゃん」
　心配してくれる友達に感謝の言葉と同時に世界の速度は元に戻り、その刹那に織姫は塀の上に立っていた。
「わっとと……！」
「！？」
「ホオ、飛廉脚だネ。滅却師の技だ」
　雨竜は織姫が飛廉脚を使用した事に驚愕、マユリは冷静に彼女も滅却師ではないかと考えたが、自分に矢を向ける雨竜の表情からそれは違うと判断した。
　仕組みを理解すれば死神でも滅却師の技術を再現できる、その逆も然り。

　織姫、防御の盾を出して。あたしが手本を見せてあげるわ、あんたはあいつをとにかく生理的に受け付けないくらいに強く拒否しなさい！！　あいつはゴキブリよ！！

「――うんっ、三天結盾！　私は……拒絶する！！」
　脳内の声に応えて織姫は光の盾を出す。その瞬間に三天結盾の操作がアンナの精神体に奪われ、盾は織姫の前から離れるや高速飛行を始め、マユリの伸びたままの腕に向かい、その拒絶の防御力と速度で腕を繋ぐケーブルの一部を切断した。
　そのまま盾は方向を変えると、マユリに矢の如く突撃。面白いとばかりにマユリは体と繋がっているケーブルを動かして、盾を横薙ぎに払おうとした所で――。
「――僕を忘れるな」
　戦いが始まった以上、色々と疑問を抱えた雨竜は容赦なく敵を滅却するために矢を放った。

＊続きます。

[179 二次元好きの匿名さん 23/10/28(土) 15:31:06]

アンナちゃんサポーター適正滅茶苦茶高いね

[180 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/28(土) 17:07:23]

　ボタボタと血が頬から垂れる。
「フム……やはり君の術は面白いネ。防がれるというよりは弾かれる感覚だ」
　石田雨竜が近距離から放った矢に右頬を裂かれつつ、涅マユリはカウンターに右手の爪を伸ばした中指の爪で雨竜の左眼を貫こうとしたが、寸前で井上織姫の三天結盾を操る黒崎アンナ（バンビエッタ）の　防御が間に合った。
　雨竜は飛廉脚でマユリから距離を大きく取り、光の盾も彼に追従するように移動する。
「大丈夫、石田くん！？」
「井上さん、さっきのは――いや、後にしよう」
　塀の上から飛び降りて眼前に着地した織姫に色々訊きたい雨竜だが、今は戦闘中と考え直して敵に意識を向ける。
「やれやれ、これを一回仕込むのは意外と手間がかかったのだがネ」
　と呟くマユリは左腕の内側を押すと接続部のワイヤーが外され、懐から針付きの道具を出すとそれを腕に刺すと瞬く間に彼の左腕と手が生えた。
「痛くて痛くて、頭が蕩けてしまいそうだヨ」
　狂気の笑みを浮かべるマユリに、雨竜と織姫の表情がひきつる。

　すぐに相手の圧に呑まれないの。技術者なんだからあれくらい出来るわ。

「……うん」
　内から聴こえるアンナの声に小さく頷き、織姫は気をしっかりと持つ事を心掛ける。
「井上さん。君はあいつの後ろに立つ彼女に意識を向けておいてほしい。僕一人で奴を倒すから」
「石田くん……」
　奥に居る黒髪の女性は指示待ちのようにじっと後方で立っているだけ。いざという時に動く人かなっと思う織姫は、雨竜の指示に従うことにする。
　そして雨竜は攻勢に出る。その場で矢を放ちマユリの頭部を狙うも簡単にかわされるも、すでに飛廉脚で敵の背後にあるアーチの方へ移動し、そこから二射目を放っていた。
　直撃したように見えたが、マユリはすでに高速移動法で雨竜と同じアーチの上に移動していた。

　織姫、もっと前に近づいて。この距離だとちょっと間に合うか判らない。

「うん」
　三天結盾を維持しながら織姫は対峙する雨竜とマユリに近づいて行く。
　その間にマユリは腰の前にぶら下げていた斬魄刀を鞘から引き抜き、始解する。
「掻き毟れ、疋殺地蔵」
　刀身はうねった三本の刀身に分かれ、根元に赤子が浮かび上がったような不気味なレリーフが付いたものになった。
　雨竜は斬魄刀の能力を警戒して撃つのを迷う、しかしその間にマユリは踏み出したので彼は撃つしかなかった。

[181 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/28(土) 20:54:42]

　石田雨竜が撃った矢は、瞬時に彼の眼前に移動していた涅ネムが掴んでいた。高密度の霊子に掌が焼かれても彼女は無表情を貫く。一拍遅れで、飛廉脚にてアーチの上へ来た井上織姫は涅マユリと対峙する事になった。
「井上さん！」
　雨竜はすぐにその構図がまずいと気付くも、ネムは彼の死覇装を掴むやそのままマユリから遠ざけるようにアーチの反対側へ雨竜と一緒に落ちる。
「やァ♪　よく来たネ」
　マユリはニヤリと織姫に笑いながら斬魄刀・疋殺地蔵を横に振った。飛廉脚の速度に慣れていない織姫は反応・対処が遅れてしまうが、それでも反射的に自分の体を護ろうと両手でガードした瞬間、斬魄刀の刃が彼女の腕を裂く。
「あぁぁ――っ！！」
　初めて刀に斬られた痛みに表情を歪めた織姫は体勢を崩して、背中から倒れてそのまま石畳へ落ちてしまう。
「おやおや、斬られるのは初めてかネ？　艶のある悲鳴をあげても良いのに」
「――っ」
　石畳に激突する寸前の織姫を助けたのは、生きたまま彼女を実験体にしたいマユリだった。左手で斬られた痛みに耐える彼女の体を支え、丁重に疋殺地蔵の能力で四肢の自由を奪った彼女を石畳に置く。
「ネム、そのまま滅却師を足止めだヨ。私は先にこの女を処理をする」
「はい、マユリ様」
　アーチの向こう側で、雨竜に白兵戦を仕掛けるネムに命じたマユリは斬魄刀を石畳に突き立て、両手を開ける。
「安心してくれたまえヨ。君は貴重なサンプル、穏やかに永遠に眠るといいヨ」
「……る」
「うん？　何かネ？」
　脂汗を浮かべ痛みに耐える織姫の囁き声に、マユリはやや前屈みになり耳をたてる。それを待っていたかのように織姫は息を吸い、叫んだ。
「三天結盾！　私は拒絶する！！」
「！？」
　織姫の腹部にいた盾舜六花の一枚リリィ、左右の塀に配置された梅厳（ばいごん）、火無菊（ひなぎく）の三枚で行われる三天結盾が、マユリの体を挟んで発動する。
　ザシュ――光の盾が形成されると同時に、マユリの腰から切断された。
「――ごぼァッ！！」
「マユリ様！？」
　吐血し上半身と下半身がズレるマユリの後ろ姿にネムは珍しく声を荒げ、雨竜を無視して高速移動で落ちる彼の上半身を支えて織姫から離れる。
　自らを改造するマユリが上半身と下半身が切り離された程度で死ぬ事はないが、大きなダメージには違いなかった。

[182 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/28(土) 20:54:58]

石田雨竜（㏋150）& 井上織姫（㏋150）　戦闘力121　dice3d130=100 65 106 (271)

涅マユリ（㏋74）　戦闘力100　dice3d130=85 44 101 (230)　ダメージ対象dice1d2=2 (2)　1.石田雨竜　2.井上織姫

[183 二次元好きの匿名さん 23/10/29(日) 00:44:01]

もしかして位置的に織姫、マユリの血をかぶるのを三天結盾が傘になる感じで間一髪回避できた？
ただでさえ今四肢が麻痺っている上にマユリの血なんて何が流れてるかわかったもんじゃないのでなるべく避けられてるといいんだけど

[184 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 09:20:59]

>>183　そうですね、マユリの切断部からの出血はほぼ三天結盾で防げています。多少は吐血の際に服に付着しているイメージですが害はないつもりです。

[185 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 12:40:10]

「井上さん！　大丈夫！？」
　飛廉脚で倒れる井上織姫の傍に駆け寄った石田雨竜は、涅マユリの下半身を蹴り飛ばし展開する三天結盾の下から彼女を引っ張り出す。
「ごめんね、石田くん。手足が動かないの……多分、毒だと思う」
「毒……」
　織姫の言葉に雨竜は彼女の体を確認する。外傷が両腕以外にない事から、斬魄刀の能力で生成された毒で動けないと判断した。
「君は回復に専念してくれ。あとは僕に任せて」
「……うん」
　血に濡れた三天結盾から回復の双天帰盾に切り替え、解毒を試みる織姫の前に立つ雨竜は前方の敵へ視線を向ける。
　涅ネムに抱えられたマユリの表情は激怒一色、副官から渡された自身の斬魄刀を強く握り締める。下半身を失い傷口から大量出血をしているのに意識を保つマユリを化け物と雨竜は評価しつつ、一切の油断なく弓矢を構えて彼らに通告する。
「――退くのなら、ここで見逃す……僕は彼女のように甘くない」
「はぁ、は……ァ。ぐっ――図に乗るなヨ、小僧！！！！」
　雨竜の発言に激昂するマユリは雄叫びを上げた。
「滅却師風情がふざけてくれる……！　下半身を切り離した程度で勝った思うな！！」
「マユリ様……」
　ネムはマユリがこれから何を行うのか悟り、彼を持つ両腕に力が入る。
　雨竜も敵に何か秘策があると感じ取り、それを使われる前に仕留めるべきと矢を放とうとしたが――。
「悪いが、このタイミングで卍解をされるのはこちらが困る」
「――がはっ！？」
　空からやって来た死神は、マユリの前に着地した時には彼の右肩を斬魄刀で切り裂いていた。仲間からの攻撃にさすがのネムも驚愕する。
「ッ、東仙……要！　どういう、つもりだ……！」
　ゴーグルを付けた褐色肌に独創的な髪型をする九番隊隊長・東仙　要。新たな敵の出現に雨竜は警戒を高める。
「……涅隊長、それ以上の傷は命に関わる。ここからは私が引き受けよう」
「ふざっ！！　私から実験体をっ！」
「――隊士を爆弾化させた非道。総隊長の判断を仰ぐことになるがよいのか？」
　ゴーグルの向こうから発せられる盲目の視線に、瀕死のマユリは押し黙るしかない。
「……ネム」
「はい。東仙隊長、あとはお任せします」
　ネムはマユリを抱えて、戦線離脱した。
　二人が立ち去ると東仙は雨竜に視線を向けて告げる。
「恨みはない。だが、平和の為なら滅すも已むなし――鳴け、清虫（すずむし）」

[186 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 15:34:59]

　リィン……東仙要が斬魄刀を始解した瞬間に響いた超音波が、石田雨竜の耳の届いた刹那に決着はついた。
　雨竜は自分が気絶された事に気付かないまま、その場に倒れることになった。その様子を後ろで見ていた井上織姫は驚き焦る。
「石田くん……っ」
「案ずるな、旅禍の少女よ。彼を気絶させただけ、君たちは重要参考人だからな」
「参考人……？」
　半分ほど鞘から抜いた斬魄刀を納刀した東仙は、自己治療中の織姫に近づく。織姫には彼の重要参考人が何を指すのか判らないが、それでも自分が危機なのは解った。
「涅隊長の疋殺地蔵の麻痺は時期に解けるだろう。大人しく捕縛されることを望む、私は無益な戦いは好まない」
「……っ」
　織姫は必死に頭を回転させて状況の打開を考えるも、実戦経験の乏しい彼女に打開案が浮かぶほどの閃きは起きない。頼りの黒崎アンナの助言もないまま、東仙の影が織姫に届くところで彼の足が止まる。
「なんの用かな、草鹿やちる副隊長」
「！？」
　いつの間にか織姫の隣には、ピンク髪の六歳程度の女の子が鞘に補助輪の付いた斬魄刀を持って立っていた。おまけに東仙から副隊長と呼ばれた事が、さらに彼女を焦らせる。
「あのね、この子がうちの隊のヒゲチョロを助けたから、お返しに助けてあげるの！」
　にっこりと東仙に目的を告げるやちるに、織姫は彼女の言うヒゲチョロが誰なのか考えて、マユリの人間爆弾から助けた中年の死神と気付いた。
　やちるの発言に東仙は溜息を吐く。
「……更木といい、君の思考も理解に苦しむ。彼女たちは旅禍、敵だ」
「うんっ♪　いっちーも旅禍だけど剣ちゃんと遊んでくれたから、この子を助けるといっちーがよろこぶと思うの！」
「……いっちー？」
　やちるは、その小さな体で回復中の織姫を横抱きで持ち上げる。
「あ、あっ。や、やちるちゃん……石田くんを」
「しらな～い。そのメガネはあげる。ばいばいっ♪」
　やちるは屈託のない笑顔を東仙に向けると、織姫の重さなど感じないように塀に飛び乗り、そのまま雨竜を置いて去ってしまった。
「……所詮、獣か」
　東仙は恩を返すためなら、敵さえ助けるやちるを非難しつつ、旅禍一名が十一番隊に確保されたと考え直し、マユリの隊員爆弾よりは幾分かまともと思うことにした。
「戻るか」
　気絶する雨竜を脇に抱えた東仙は、他の旅禍がいる地下牢へ彼を連行するため立ち去った。

[187 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 15:35:34]

＊これで雨竜＆織姫編は終わりです。最後にマユリにダメージを与えたのが東仙になってしまいましたが、雨竜に最終形態を使わせない展開がこれしか浮かばなくて。

展開ダイス（瀞霊廷限定）

1.死神　2.牢屋組（チャド、岩鷲、雨竜）　3.一護の精神世界

dice1d3=1 (1)

＊1の出目が出た場合、dice1d13=5 (5)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=2 (2)

[188 二次元好きの匿名さん 23/10/29(日) 17:28:36]

アンナちゃんサポートが入ると織姫がネームド相手に攻撃が通る戦闘要員になるの凄いね

[189 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 22:05:42]

「藍染隊長……あたしやります」

　五番隊副隊長・雛森 桃は、牢屋の窓から空を見上げていた。

　彼女は何者かに殺された敬愛する五番隊隊長・藍染惣右介を想うあまり市丸ギンを犯人と思い込み、彼に襲いかかったため五番隊の牢屋に拘置される事になった。

　その彼女の手には、友人で同じ副隊長の松本 乱菊から渡された藍染が死ぬ前夜に書かれた手紙が握られていた。その内容と彼の記した自分を殺した犯人の名前に衝撃を受け、今し方藍染の敵討ちに牢屋から脱走する事を決めた。

　雛森は床に正座の状態から立ち上がり、牢屋の前に立つ見張り番の背後に気配を殺して立った。

「すいません」

「はいっ、なん――！！」

　見張り番が振り向いた直後に、鉄格子から彼の襟を掴んで引っ張り強引に体の向きを変えると、鬼道の一つ『白伏（はくふく）』の掌底を見張りの胸部に叩き込み、気絶させた。

「ごめんなさい」

　ずるりと鉄格子に寄りかかる見張りを優しく床に置く。このまま鍵を奪って逃げる事は簡単だったが、敵に対しての自分なりの宣戦布告の意味合いも兼ねて、雛森は派手に破壊行為をする事に決めた。

　鍵で牢屋の外に出た雛森は、見張り番に被害が及ばないように隣の牢屋の前に移動させてから彼女は今し方入っていた牢屋の前に立ち掌を向ける。

「散在する獣の骨 尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風 止まれば空 槍打つ音色が虚城に満ちる――破道の六十三（雷吼炮（らいこうほう）！！」

　彼女の掌から身の丈ほどの巨大な雷撃が発射され、それは鉄格子の鉄を溶かしてそのまま牢屋側の壁を破壊し円形の穴が開いた。

　これで騒ぎにならないはずもなく慌ただしくなる事を見越した雛森は、さらに縛道の二十六『曲光（きょっこう）』を使用して現世の光学迷彩ばりに周囲の景色に溶け込み、霊圧も著しく抑えてから彼女は普段通りの足取りで牢屋の廊下を歩き、爆発音にドタドタと牢屋へ走って行く隊士とすれ違いながら隊舎の外へと出て行くのだった。

展開ダイス

1.一護の精神世界　2.黒崎家　3.地下牢組（チャド、岩鷲、雨竜）　4.プール（現世）

dice1d4=3 (3)

[190 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/29(日) 22:10:59]

>>188　織姫の能力は高いですから、その気になれば出来る子のはず。おそらく異なる精神体の影響で、彼女の精神にも多少の影響があったから傷付ける覚悟も出来たのかもしれないです。

[191 二次元好きの匿名さん 23/10/30(月) 08:04:14]

保守

[192 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/30(月) 11:37:59]

　四番隊綜合救護詰所・地下救護牢〇七五番。

　その牢には三人の男が入っていた。八番隊隊長・京楽春水に斬られた茶渡泰虎、朽木白哉に切り刻まれた志波岩鷲、東仙要に気絶させられた石田雨竜。手枷で霊力を封じられた彼らが生かされているのは、藍染惣右介暗殺の重要参考人と判断されているからだ。

　三人は脱獄のために英気を養いながら、それぞれの戦いを語り合い時間を潰していた。そこで雨竜はチャドの話に興味を持ち、マユリ戦で見せた井上織姫の疑問が一気に解消される事になる。

「つまり、黒崎さんには他者に自分の精神体を入れる能力があると？」

「あぁ、俺の中にいるアンナの精神体がそう言っていた……その補助もあって、隊長相手になんとか一撃を入れる事が出来た」

「なるほど、井上さんが急に滅却師の高速移動法が出来た理由が分かったよ」

「おいおい、お前ら。説明しろよ、誰だよアンナって」

　尸魂界出身の岩鷲には、アンナが何者か判らなかった。なので雨竜が簡単に黒崎アンナについて説明した。

「ほお～、一護の奴にそんな親戚がいるのか。しかし、なんでこっちに来ないんだ。副隊長より強いんだろ？」

「彼女は現世でやる事もあったし、黒崎もそこを解っているから来てほしいと頼まなかったと思うよ……茶渡くんと井上さんの内側に精神体を忍ばせた理由も、二人の実戦経験の乏しさを補う目的があったはずだ」

「……アンナには、あとでお礼をしないとな」

　チャドはアンナのサポートが無ければ、隊長相手に一打も与える事なく負けていたと理解していた。それはまだまだ自分が弱い証拠、強くなっているだろう黒崎一護の背を護るためにももっと強くなろうと決意させた。

　そこで雨竜は思い付く。

「茶渡くん、彼女と話すことは出来る？」

「……いや、岩鷲が運ばれる前に俺から問いかけても返答はなかった。ただ、こっちの話は聞いていると思う」

「その状態からさらに他人へ憑依？　が出来たら牢から出るのもすごく簡単だから」

「フム……アンナ、応えてくれ」

　雨竜の案は良案と考えチャドは内側のアンナへ問いかける……数秒の沈黙後、チャドは無言で頭を左右に振るのだった。

「なら、他の案を考えないと」

　アンナは必要以上の協力はしない方針と悟った雨竜は、別案を三人で考える事になった。

展開ダイス

1.一護の精神世界　2.黒崎家　3.一護＆夜一

dice1d3=3 (3)

[193 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/30(月) 19:34:03]

　石田雨竜が牢で目覚める前、朽木ルキアの処刑場である双殛の丘、その地下深くには大昔に浦原喜助と四楓院夜一が作った秘密の遊び場があった。
　その場所で黒崎一護は、斬魄刀の第二形態『卍解』習得のため、夜一の用意した人形『転神体（てんしんたい）』を用いて彼の斬魄刀・斬月（ざんげつ）を強制具象化させ屈伏させるための戦いを始めようと、一護は斬魄刀を人形に刺した。
　しかし、ここで予想外が起きた。
「は……はぁ～あ！？」
「な、なっ……なぜ、お主が出てくる！？　アンナ！？　なぜ、どうやって……っ！！」
　転神体から具象化するのは斬月のはずが、実際に具象化してきたのは白い軍服姿の黒崎アンナ（バンビエッタ）だったため、二人は大きく目を見開き絶句した。
　唖然とする二人に、アンナは呆れ顔を向けた。
「驚き過ぎ。一護、あたしがあんたの内側にいたのは墓参りで分かっていたでしょ？　言いたくないけど、あたしは他人の内側に自分のコピー……精神体を侵入させる能力があるのよ。夜一は浦原に聞いているんでしょ？」
「う……うむ。あるのは聞いておったが――いや、今はよい。斬月はどうした？　なぜ出て来ない？」
　夜一は、アンナの登場で一護の卍解習得が出来ない可能性を懸念していた。
「――斬月は忙しいのよ。安心しなさい、一護があたしに勝てば、斬月は屈伏を認めるって言質は貰っているから、卍解の習得には支障ないわ」
「オッサンが忙しい？　俺はどうやって勝てばいいんだよ？」
「――すぐに教えるわよ」
　急かす一護の前でアンナが地面を強く踏みつけるや、天井と地面に様々な形状の斬魄刀が数百本出現した。
「……な、なんだ、こりゃあ……！？」
　驚き左右を見回す一護を無視して、アンナが説明を始める。
「この中に一本だけ本物の斬月がある。斬月の代役たるあたしを倒せるのはその一本だけ、一護あたしはあんたを本気で攻撃するわ。殺されたくないならさっさと本物を見つけて、あたしを斬り伏せなさい――説明、終わり！！」
　と手早く説明を終えたアンナは横に跳び、ノコギリ歯の斬月を地から引き抜くや飛廉脚で一護の前まで移動し、斬魄刀を彼に振り下ろした。
「！？　――うおっぁ！？」
　紙一重で回避した一護は逃げ出し、前方にあった曲刀の斬月を引き抜きながら振り向き、迫りくるアンナを迎え撃った。

[194 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/30(月) 19:34:37]

展開ダイス

1.一護の精神世界　2.ルキア　3.一護VSバンビエッタ（転神体）　4.死神

dice1d4=1 (1)

＊4の出目が出た場合、dice1d13=13 (13)　隊　1.隊長　2.副隊長　dice1d2=1 (1)

[195 二次元好きの匿名さん 23/10/30(月) 20:18:40]

陛下の存在を夜一にも秘匿したかったのか？
にしても一応場所的には瀞霊廷内部(？)なのによくアンナ出てきたな

[196 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/31(火) 00:42:19]

>>195　夜一に秘匿したい訳ではなく精神世界でやる事があったからです。原作では陛下が出てきたのに帝国が何も言わなかったので、帝国の眼は瀞霊廷全域を網羅していない上に隠された地下空間ですから、バンビちゃんも大丈夫と考えたのではないかと。

[197 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/31(火) 00:54:49]

　黒崎一護の青空と摩天楼が乱立する精神世界。
「……始まったようだ」
『みたいだな』
　一護と黒崎アンナ（バンビエッタ）の卍解に至る戦闘を感じ取る二人。漆黒の衣に身を包んだ長髪髭面に半透明のサングラスをかける一護が『斬月のオッサン』と呼ぶ者と、一護と容姿が瓜二つも髪色・死覇装は白く白目や爪が黒いアンナが『白一護』と呼ぶ者。
『アイツが時間を稼いでいるうちに、こっちも決めようぜ。なぁ――斬月？』
「あぁ……」
　黒と白を象徴するような二人の手には、それぞれ抜き身状態の斬魄刀・斬月が握られていた。
「『卍解」』
　同時に斬月には青色、白一護には赤色の霊力の奔流がそれぞれの足元から噴き出し、二人を包み込む……奔流が止んだ時、二人の衣服と得物は別物となっていた。
『おいおい、斬月さんよぉ。そのセンスはねえだろ』
「……ゆくぞ」
　白い衣装を羽織る斬月は駆け、弓形で白い長刀の斬魄刀を横薙ぎに振るうも、白一護は高く跳び上がり回避する。
『こっちもいくぜぇ！！』
　大口で笑い一転して黒衣を纏う白一護は、石突きから切っ先まで全てが漆黒の斬魄刀を斬月へ全力で振り下ろす。
「うぬぅ！」
　叩き付けられる強烈な一撃を斬魄刀で受け止めた斬月は、唸りながらその場に踏み止まる。
『ハハハッ！　この程度で終わりじゃねえぞ！　斬月！！」
　白一護は宙に浮いたまま荒々しい斬撃の何度も斬月に浴びせる。それを達人の如き剣技で斬月は見事に捌いていく。
『さすがだな！　なら、コイツはどうだぁ！！」
　白一護は再び高く跳び、空に掲げた漆黒の斬魄刀に赤い霊力が収束する。
『ヒャァァアハ――ッ！！！！』
　急降下し狂喜の叫びを発しながら白一護は、斬月へ斬魄刀を振り下ろすと同時に赤黒い三日月の斬撃が放たれる。
　足場の摩天楼は斬撃の衝撃で炸裂、大量の白煙が舞った。白一護はすぐに不安定な足場に立ち斬月を探る。
『――そこぉ！』
　斬月の気配を察知するや、白一護は煙を吹き飛ばす強烈な突きを放つ。
「外れだ」
　だが、斬月は紙一重でかわし、素早く白一護の利き手をがっちり掴む。仕返しとばかりに白い長刀の斬魄刀に青い霊力が収束させる。
『なあ……この技、月牙天衝でいいよな？』
「――ああ」
　直後、白一護の体を青い斬撃が貫く――。

[198 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/31(火) 00:55:59]

展開ダイス

1.一護＆夜一　2.一護VSバンビエッタ（転神体）　3.斬月VS白一護

dice1d3=3 (3)

[199 スレ主◆rhJ3hMLWbY 23/10/31(火) 09:30:03]

新しいスレつくりました。

【🎲・SS・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が　3｜あにまん掲示板

[200 二次元好きの匿名さん 23/10/31(火) 10:17:59]

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