皆で埋めたタイムカプセル一人で開ける硝子の話読みたい

  • 1二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:13:36

    タイムカプセル……ああ、そんなこともあったっけ


    同期のクズ二人に一つ下の後輩二人、そして私 それぞれのとっておきをカプセルの中に閉じ込めて、桜の木の根本に埋めたんだった


    誰が何を入れたかは未来でのお楽しみ、なんて昨晩流れていたテレビ番組からの受け売りを得意げに語っていた言い出しっぺはもう居ない


    男子というのは勝手ないきものだ いつか皆で掘り起こそうという約束を、彼らは誰も守ってくれなかった まあ私もタイムカプセルのことなど今まですっかり忘れていたので、そのことを責めるのはお門違いな気もするけれど


    だがせっかく思い出したのだ、このまま放置して土に還らせてしまうのも勿体無いだろう 重たい腰を上げ医務室を後にする まずはシャベルを探さなければ





    かつん、とシャベルの先端から硬い手応えが伝わってくる 桜の木の下なんてベタな場所に埋めるのは誰の提案だったか、どうしても思い出せなかった


    ぱかっ


    カプセルの中には形も大きさもばらばらな五つの袋がお行儀良く並んでいた 最初に目についた袋──存外綺麗な筆跡で五条悟と書かれたそれを手に取り、封を切る



    あの馬鹿は未来の自分達に何を贈ったのか




    これは……>>3か?

  • 2二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:15:00

    ちんこレター

  • 3二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:15:37

    女子生徒のスカート

  • 4二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:15:42

    未来の自分への手紙

  • 5二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:16:34

    学生時代の五条が入手できる女子用のスカートってま、まさか…

  • 6二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:17:44

    最悪だよ五条悟

  • 7二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:21:30

    まあ、変にしんみりしちゃうものよりはこんくらいくだらないものの方がありがたいかもしれん

  • 8二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:32:55

    ────制服である


    どこの制服かって?そりゃあ我らが母校呪術高専の制服に決まっている


    それ自体はおかしな話ではないだろう 青春を文字通り共に過ごした制服はこれ以上ない思い出の品と言える 未来の自分への贈り物としてはそう悪くないチョイスではないか


    ひらり 



    ……制服が女物のスカートでさえなければ



    五条悟はれっきとした男である


    付き合いはそれなりに長かったがあれが女であったことなど一度も無かった 何ならまだ反転術式を習得していなかった頃の五条を治療する際にしっかりブツを視認すらしている イヤン硝子のエッチ!!とか叫んでたのウケたな……おっと脱線したがとにかく五条悟が青春を共にしたのはこんなひらひらした頼りない布切れではない


    …………まさか


    スカートを手に取り物色する かつて自分が着ていたものと同様なら確かこの辺りに……お、あった


    そこには>>11と名前が刺繍されていた

  • 9二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:33:55

    庵唱え

  • 10二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:34:08

    冥冥

  • 11二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:34:20

    庵歌姫

  • 12二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:34:26

    歌姫

  • 13二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:35:07

    これは嫌われるわ

  • 14二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 21:35:33

    もう本人空港行きやがったからぶん殴れないのが嫌

  • 15二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:02:13

    『借りパクしたまま返すタイミング分かんなくなっちゃった まあコレ開ける頃には時効っしょ(笑)』

    家入硝子は激怒した 必ずかの邪智暴虐の五条悟を除かなければならぬと決意した 家入には戦闘がわからぬ 家入は医師である 貴重な反転術式の使い手として、前線には出ず後方支援に徹してきた けれども敬愛する先輩に対しては、人一倍に敏感であった

    怒りに震えている内にスカートをきつく握りしめていることに気付き、はっと手を離す いかんいかん、シワが出来てしまう

    しかしこのスカート、一体どうすれば とりあえず同封されていたクソみたいなメモは後で燃やす そして五条を殺そう

    そうだ、殺す、殺してやるぞ五条悟 あっもう死んでたわ じゃあ生き返ってこい五条、私の手で殺される為に

    端から見れば理不尽極まりない要求だろうが、仕方ないじゃないか

    このスカートの件だけじゃない、こっちはあれに言ってやらねばならないことがたくさんあるのだ なのにこんなものだけ残してあっさり行ってしまうなんてずるいだろう 封を切る瞬間、一瞬でも何か期待した私がばかみたいじゃないか 私だって、私だってずっとアンタの隣とまでは行かずとも斜め後ろくらいには居たじゃないか

    なあ、五条

  • 16二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:03:00

    硝子さん………

  • 17二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:15:51

    五条お前ほんとお前お前

  • 18二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:18:16

    ……駄目だな


    親愛なる先輩から借りパクしやがったスカートなんて最低最悪の代物でここまで感傷的になっている自分はどう考えても冷静ではない 平常心平常心


    とはいえ自分以外全員故人のタイムカプセルの開封だなんて作業気が滅入るのも当然だろう こんなん実質遺品整理じゃん


    ──そうだ、助っ人を呼ぼう


    誰かと一緒なら少しは気が楽かもしれない 一人は寂しいってどっかの誰かさんも言っていたし いや私がいたろ何が独りだ馬鹿やろ……ああいけないこれ以上はやめよう


    スマートフォンのロックを解除し、お馴染みの通話アプリを開く うん、>>20に手伝ってもらおう

  • 19二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:19:45

    乙骨

  • 20二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:20:18

    伊地知

  • 21二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:29:49

    二人になっちゃったね…

  • 22二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:50:54

    「私でよければいくらでもお手伝いしますよ」


    突然呼び出したにも関わらずこの態度 持つべきものは素直で有能な後輩である 君の爪の垢を煎じて五条に飲ませておけば良かった


    「失礼ながら私の爪の垢如きで五条さんの性根は変わらないかと……」


    はは、言うじゃないか 何年もあの五条の相手をしてきただけはある


    「タイムカプセルの開封をなさってるんですよね 高専にそんなものが埋まっているだなんて知りませんでした」


    ああ、埋めたのは君が入学してくる直前だからね 知らないのも無理はないだろう


    「入学直前……ちょうど今頃ですね」


    うん


    三月のことだった 吹く風が未だ冷たいのも、見上げる空が青いのも、満開の桜も、あの頃と変わらない


    変わったのは私達だけ 五人で埋めた思い出をたったの二人で掘り返している


    それでも一人じゃないだけずっとマシなのだと思う


    残る袋はあと四つ どれから手をつけようか


    >>25

    1夏油

    2七海

    3灰原

    4家入

  • 23二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:53:23

    4

  • 24二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:54:55

    3

  • 25二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 22:55:44
  • 26二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:13:43

    伊地知、どれがいいと思う?


    「私が決めて良いんですか?」


    テキトーでいいから 好きなの選んでよ


    「はあ……」


    伊地知の指がおろおろと宙を彷徨い、しばらく後に一つの袋を指差す  


    導かれるがまま手に取ったそれには人生で最も馴染みのある四文字が書かれていた


    あはは、照れるねぇ


    「い、一番最初に目についたので!と、特にこれといった思惑は一切無くっ!」


    何故かひどく狼狽えている後輩(彼をオモチャにするのをそれはそれは愉しんでいた五条の気持ちが少しだけ分かった気がした)をよそに、袋の封へ手を掛ける


    家入硝子──かつての私から今の私への贈り物


    ……何入れたんだっけ? どうしよ全然覚えてないや




    袋の中には>>29が入っていた

  • 27二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:17:41

    未来の自分宛の手紙

  • 28二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:19:40

    5人で撮った記念写真

  • 29二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:19:52

    皆で撮った笑顔の写真

  • 30二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:20:02

    何故か男用のパンツ

  • 31二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:20:38

    伊地知さんかわいいねかわいい

  • 32二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:36:05

    寝ます
    明日もスレ落ちてなくて規制も無かったら続き書きます 普段あまり地の文書かないので読みづらかったら申し訳ない……
    お付き合いいただきありがとうございました

  • 33二次元好きの匿名さん23/10/15(日) 23:36:31

    !!!!!!
    硝子さんかわいい…

  • 34二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 07:54:30

    保守
    続きが楽しみ

  • 35二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 07:56:05

    >>29

    辛いなぁ…

  • 36二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 07:57:50

    2人とも泣いちゃいそう

  • 37二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 09:06:59

    これ最終決戦終わった後の世界なのか

  • 38二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 11:03:36

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 11:09:59

    こういうのに弱いんだ俺は………良スレが立ってた事に気づけて良かった、スカートの出オチ感がすごいけどwww

  • 40二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 12:17:16

    >>15

    が走れメロスの構文になってるの凝ってて好き

  • 41二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 21:02:15

    保守呪法

  • 42二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 21:29:55

    こんなの無理に笑おうとしても感情的になっちゃうじゃんよ…最高すぎる

  • 43二次元好きの匿名さん23/10/16(月) 23:14:11

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 07:37:27

    ほしゅ

  • 45二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 11:47:23

  • 46二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 17:56:04

    「写真ですか」

    過去の私は実に無難なチョイスをしたらしい 束になったそれらから一枚選んで手に取った
    元はガラケーで撮影したものを現像したんだろう、煤けた写真の中で若干画質の悪い私達が黒板をバックにピースサインをしていた

    背後に映り込む紙飾り、本日の主役と書かれたタスキを付けた後輩ふたり、そして黒板にでかでかと書かれた新入生歓迎会の文字……懐かしいな、何やかんやあって最終的に教室が半壊したんだっけ

    「教室が……半壊……?」

    信じられないものを見るような伊地知の視線を受けながら他の写真も確認していく

    頬にご飯粒が付いた灰原、それを取ってやっている七海、駄菓子のおまけをドヤ顔で見せつけてくる五条、任務中に助けた女子大生からしれっと連絡先を貰っている夏油……切り取られた日常は笑っちゃうくらい平凡で、私達が呪術師であることを忘れてしまいそうだった
     
    「これ、家入さんが撮られたんですか?」

    多分そうだよ 私が写ってるのはどれも自撮りみたいだし

    結構好きだったんだよね 写真撮るの

    悪ふざけする時は大抵五条が言い出しっぺで、夏油が窘めるフリして火に油を注ぐ 残った私がすることと言えば、安全圏から馬鹿じゃねーのとレンズを向けることだった ほら、巻き添え喰らって先生に雷落とされるのはごめんだったから だからってまるっとスルーするほど他人行儀にはなれなかった

    どれだけ言い合いをしていても、撮られているのに気付くと揃って決めポーズで振り向くのが可笑しくて そういう距離感が心地良かったんだろうね 

    視線を落とすと、十六歳だか十七歳だかの家入硝子と目が合った 真ん中に陣取って笑う彼女は実に楽しそうだ

    両隣のどっちかを実は愛してたなんてことは天地がひっくり返っても無い 無いけれど

    オマエらが馬鹿やってるのを一番近くで眺めていたあの時間が 私は結構好きだったんだよ

    何もなしにすっかり定着してしまった目元の隈に触れる 写真の中の少女にそんなものはなかった

  • 47二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 18:18:16

    五条たち今すぐ南から引き返してくれ…

  • 48二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 18:36:41

    こんないい女をおいていきやがった野郎共
    一人三発くらい殴られた方がいい

  • 49二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 18:52:57

    そのクズどもに向けてる感情の1割でも俺に向けてくれれば絶対俺は硝子さんを幸せにしてみせるのに…

  • 50二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 18:57:19

    硝子さんが歌姫さんと仲がいいのが救い

  • 51二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 18:58:28

    >>49

    は?硝子さんを幸せにするのは私だが?

  • 52二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 19:10:41

    >>49 >>51

    いつの時代も どこからともなく 虫は湧く 

  • 53二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 19:11:47

    >>52

    …季語は?

  • 54二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 19:18:39

    虫がやや秋の季語じゃない

  • 55二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 19:37:00

    まあここは伊地知さんと歌姫先生に任せるということで…

  • 56二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:08:58

    「家入さん」

    深く深く、水底へと潜っていくような心地から引き戻される 顔を上げると引っ張り上げた張本人は気遣わしげにこちらを見つめていた  

    「大丈夫ですか?」

    ちょっとぼーっとしてただけさ 悪いね心配させちゃって

    「休憩したくなったら遠慮なく仰ってくださいね」

    本当に出来た後輩だとつくづく思う ごくごく個人的な感傷に付き合わせてしまってるこちらが申し訳ないくらい……ん?

    ふと目をやると彼の手元には一枚の写真があった それ、と指差すと伊地知の顔色がさあっと青くなる

    「も、申し訳ありません!私ってば勝手に触ってしまって……!」

    そんなに謝らずとも 好きに触ってくれて構わないよ、見られたくないものがあるならならそもそも君を呼んでない

    むしろお礼を言いたいくらいだ 付き合ってくれてありがとね

    「家入さん……」

    私の言葉にほっとしたのか伊地知の頬が今度は仄かに染まる 青くなったり赤くなったり忙しい奴だな

    伊地知はぺこり、と頭を下げ手元の写真を差し出す そして少し言いづらそうに口を開いた

    「その、少々意外でして 思わず目を留めてしまいました」


    「夏油さんはこういう風に笑う人だったのかと」

  • 57二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:15:04

    そっか
    伊地知が入学した頃にはもう夏油はやつれてたのか…

  • 58二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:16:19

    少なくとも灰原に今の自分の容貌を見て隣に座るのが人をみる目があるという事か?(そんなわけないだろ)って言ってるくらいだもんな………伊地知は距離取ってそう

  • 59二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 23:09:13

    2年の差は大きいよなあ…それはそれとして文章が上手い

  • 60二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 07:49:37

    保守操術
    つれえけど、つれえけど本編でも家入さんサイドの様子が1コマでも見たい

  • 61二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 10:35:38

    >>57

    いたましい……

  • 62二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 19:06:16

    「夏油さんとはあまり話す機会が無かったので」

    今以上に気弱だった新入生に目をかけてやるのは、専ら私や七海達の役割だった 五条も夏油三年に上がる頃には特級に昇格していて、任務であちこち駆けずり回らされていたから 珍しく任務の無い日も、五条は熱心に術式の研鑽に励んでいた

    一方で、夏油の方はというと

    「それを抜きにしても……あの人は何だか近寄り難かった」

    ──傑、疲れてんのかな

    繁忙期の半ばのことだった。我が物顔で医務室のベッドを占領する五条がぽつりと呟いたのは

    ──何か変わっちまった気がする

    それに何と返したのか、よく思い出せない あの夏、茹だるような暑さと蛆のように湧く呪霊への対応に呑まれていたのは私も例外ではなかった

    ただ、今や出来ないことの方が少なくなった男が迷子のこどものような顔をしていたことだけが記憶に残っている

    「……申し訳ありません 出過ぎたことを言いました」

    構わないよ だがそうか、君の目に夏油はそう見えていたんだな

    写真の夏油は何が面白いのか大口を開けて笑っている 私や五条にとっては馴染み深い、伊地知は知らない……見せたことがない笑顔

    いつからだろう

    タイムカプセルを埋めたのは、あの夏よりも少し前 桜の舞い散る三月の終わり

    あの時 既にオマエの中で何かが変わってしまったのだろうか

  • 63二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 19:57:32

    つらい

  • 64二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:17:15

    カプセルの中には袋があと三つ そのうちの一つに手を伸ばす


    夏油傑 記されている三文字の名前は少し右上がりで、そういえばこういう字を書く奴だったなと思い返した


    字に関しては意外と五条の方が達筆だったのだ そのことを揶揄われ、読めるんだから良いだろと反論していた彼は几帳面そうに見えて大雑把なところも多かった……っと、閑話休題


    2007年の三月 半年後、史上最悪の呪詛師へ成り果てる男が呪術高専で最後に過ごした春


    当時の彼が未来の自分達へ遺したモノは今、私の手のひらに収まっている


    あの馬鹿が何を考えていたかなんて分からない 今更知ったところでどうにもなりやしない 過去はどうしたって変わらない


    それでも


    私はパンドラの箱を掘り起こすことを決めたのだ


    ぐっ、と袋を掴んで────脇に除けた



    ……いや、普通に気が重い コイツは後に取っておこう


    となると、残りの袋はふたつか


    >>67

    1七海

    2灰原

  • 65二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:18:47

    1

  • 66二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:20:50

    dice1d2=2 (2)

  • 67二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:23:31

    七海

  • 68二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:44:22

    安価確認しました 今日はここまでです
    ゆっくりやっとりますが気長にお付き合いくださると嬉しいです

    ……こんだけ前振りして大トリにした夏油の袋から硝子ちゃんのスカート出てきたらめちゃくちゃ面白くないですか?

  • 69二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:47:58

    花見て嬉しそうに笑ってる…
    何の花だろう

  • 70二次元好きの匿名さん23/10/18(水) 23:49:13

    いい笑顔や……

    邪悪な高羽やめろ

  • 71二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 08:21:01

    相方ポジの伊地知さん良いな
    安価がいい仕事してる

  • 72二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 10:18:30

    五条可愛い………スレ主さんのイラスト可愛くて大好きです!!文章もなんかYOASOBIの「勇者」がめちゃめちゃ似合いそうで最近「勇者」イメソンの小説ないかな〜と思ってたので理想のものが見れて幸せです!

  • 73二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 11:12:47

    保守
    文才あって素晴らしい

  • 74二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 14:29:15

    夏油のタイムカプセルかぁ…何が入ってるのかなぁ

  • 75二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:36:09

    >>74

    これは馬鹿してる頃の夏油

  • 76二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:36:33

    ど、ち、ら、に、し、よ、う、か、な 


    「あっそういう感じで決めるんですね」


    変に気負い過ぎても疲れるからな 最終的には両方開けるんだし


    て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、う、り……こっちか


    かみさまのご所望通り右の袋を拾い上げる 四角張った筆跡はいかにも神経質そうで、書き手の人柄を感じられた


    「……七海さん」


    うん、そうだね 七海のだ


    イカレ野郎の見本市である呪術界において、七海建人という男は相応にまともな部類に分類されていたと思う


    ああ、常識と良識と倫理の三拍子を兼ね揃えた人間がこの業界にはどれほど少ないことか! それら全てを欠いていた五条は彼のことを揶揄いつつも頼りにしていたし、私にとっても信頼のおける後輩だった あと、酒が強い 私とサシで飲んで最後まで着いてこられるのは七海くらいのものだった


    年下連中からも当然のように尊敬を集めていた 伊地知もその一人で、今も彼の名を呼んだ声は哀惜に沈んでいた


    「あの渋谷を私なんぞが生き残って、七海さんが……不条理な話です」


    こら、滅多なことを言うもんじゃないよ 君を生かした張本人の目の前だぞ?


    アイツだって伊地知がここまで生き延びたって知ったら喜ぶだろうさ そういう奴じゃなきゃ、せっかく抜け出せた地獄に戻って来ようだなんて思わない


    ……話し始めるとキリがないね これじゃあいつまで経っても終わらない


    袋の封を切る 中には>>78が入っていた

  • 77二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:38:30

    高専の女子用の制服

  • 78二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:42:37

    未来の自分と灰原に宛てた手紙

  • 79二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:45:39

    スカートにならなくて良かった、流石ナナミン

  • 80二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:53:40

    これは重い話になりそうだな…
    ナナミン…

  • 81二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 17:56:06

    灰原宛の読んではいけない感

  • 82二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 18:09:16

    タイムカプセル開ける頃にも灰原が生きててずっと友人であると疑ってなかったのがありありと分かる

  • 83二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 18:43:22

    かさり、と軽い音を立てて出てきたのはシンプルなデザインの封筒だった それが二通 片方を手に取る


    『未来の自分へ』


    なるほどね 私が言うのもなんだが、タイムカプセルに埋めるものとしては定番中の定番だな 几帳面な文字列をそっと指でなぞる


    今朝起きたら枕元に抜け毛が……などとぼやいていた七海も、この手紙を書いた頃は進級を間近に控えた高専一年生 仏頂面が常だった少年も内心では将来への期待に胸を弾ませていたのかもしれない 


    だって、あの頃彼の隣には


    「これは……」


    もう片方を検めていた伊地知に視線をやると、くるりと封筒を裏返しこちらに見せてくる


    やはり四角張った筆跡で書かれていた宛名は予想通りだった



    『灰原へ』



    ねえ、これって私らが読んじゃっていいやつ?


    >>86

    1両方読む

    2七海宛てだけ読む

    3読まない

  • 84二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 18:43:55

    読まない

  • 85二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 18:44:46

  • 86二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 18:47:12

    dice1d3=2 (2)

  • 87二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 19:50:10

    びり、と封筒の封を切る

    「読まれるんですか」

    まあね、こっちは約束すっぽかされてるんだ そんくらいはさせてもらわないと

    だけどね、伊地知

    伊地知の手から封筒を取り上げる 抵抗は無かった きっと彼も分かっている

    これは駄目だ

    七海は賢い男だった 呪術社会と一般社会の両方に揉まれ、現実というものをかなしいくらいに理解している

    だけどあの頃の彼は、こどもだった七海は、灰原が居なくなることなんて想像したことも無かったんだろう

    たった二人の同級生だったのだ 気難しい七海相手にも灰原は全く物怖じしなくって だから、対照的な黒髪と金髪はいつも連れ立って歩いていた  

    私達にこれを暴く資格はないよ

    宛名を一瞥したあと、封筒を元の袋の中に仕舞い直した もう誰にも読まれることのない手紙は、これからも陽の目を見ることなく眠り続ける

    誰にだって踏み込めない領域というものはあるのだ そう結論づけた時、脳裏をよぎったのは後輩二人ではなく、黒髪の団子頭と跳ねた白髮の後ろ姿だった

    ……いや、これは私が臆病だっただけ?

  • 88二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 19:52:38

    まあ実際自分からしたら異性相手の同性同士の友情の間に易々と入れるかって言われると…
    しょーこさん悪くはないよ…

  • 89二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 19:54:57

    五条と夏油の間に割り込める人なんていないよ

  • 90二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:08:02

    いえーい七海見ってる〜?君が学生時代に書いたお手紙勝手に読んじゃうぞ〜


    「えっ、切り替え早……」


    ふ、そうじゃなきゃこんな仕事やってらんでしょ


    びりびりと封筒を開き、中の便箋を取り出す せっかくだし音読でもしてやろうかな 


    「あの」


    どうかした?


    「無理をなさっていませんか」


    まあ精神的に負担の掛かる作業であることは否定出来ないね だが自分で始めたことだ、途中で投げ出す訳にもいかないだろ


    「……家入さんがそう仰るなら」


    伊地知がまっすぐとこちらを見つめる レンズ越しの瞳はいやに真剣な光を湛えていた


    「私もとことんお付き合いしますよ」 


    ……君は本当に出来た後輩だな



    七海レターに書かれていたこと

    >>93

  • 91二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:10:17

    これ
    (五条のイタズラ)

  • 92二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:17:25

    パン屋のこと

  • 93二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:18:02

    上2つ

  • 94二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:18:08

    >>90

    もし君が呪術師をやめていたとしても

  • 95二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:18:15

    将来の自分はどうなってるかの予想

  • 96二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:20:07

    五条はさあ…

  • 97二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 21:54:24

    このレスは削除されています

  • 98二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 22:08:09

    拝啓未来の自分へ、から始まる手紙は便箋二枚分で思いの外簡素なものだった

    淡々とした文面の中、一番熱を感じたのは最近出来たカスクートの美味いパン屋はまだ潰れていないかと問うもので、少し拍子抜けしてしまった 当時十六歳の七海少年は記憶していたよりも可愛げのある奴だったらしい

    踏み込まないと決めた以上実際のところは分からないが、多分灰原宛ての方に思いの丈を詰め込んだら自分宛てに書くことが無くなったんだろうな 何となくそんな気がする

    その後手紙は健康に気を付け呪術師として励んでほしいとの文言で締め括られていた ……あれ、これでおしまい?

    首を傾げて便箋をめくる 二枚目の便箋に書かれていたのは……

  • 99二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 22:15:52

    五条はほんとにさぁ……

  • 100二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 22:19:08

    なんかこういうの許されるのって結構レアというか……いやこの人はこういう人間だって諦めも七海はあるんだろうけどこのノリを許してもらえる後輩や同級生で良かったね、五条……とりあえず空港でしばらくバカやりながら硝子さんが来るのを気長に待っとけよ〜

  • 101二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 22:57:38

    「どうかしま……」

    突如フリーズした私を心配してか、伊地知が便箋を覗き込む そして同様に固まった

    繰り返すが七海建人という男は相応にまともな常識人であり、伊地知をはじめとした年下からも慕われる好人物 こんなふざけたわいせつ物を未来に向けて仕込むような奴ではないのだ というかそんな馬鹿ひとりしか居ない

    「七海さん!?七海さん何でェ!?」

    落ち着きな伊地知 忍者と遭遇した時みたいな声を出すんじゃない それにしてもよく七海にバレず仕込めたな アイツは散々ちょっかい掛けられてるから警戒してそうなものなのに

    ……ふっ、ふふ ははっ

    あはははは!

    「家入さん!?」

    突然声を挙げて笑い出した私に伊地知が慌てふためく だってこんなの笑うしかないだろう

    もし七海がこの場に居たら思い切り顔を顰めていたことだろう どこまでも深くなる眉間のシワを指さして不埒な犯人はゲラゲラと笑うのだ 夏油も口では叱るけれども結局耐えきれなくて吹き出してしまう つられて灰原も笑いだして、私も

    そんなもしもの話

    …………ははっ

    本当にどうしようもない、とことんふざけた男だ 感傷に浸っているのが馬鹿らしくって、涙が出てくるよ

    「い、家入さん……意外とこういうのがお好きで……?」

    それからしばらくの間、私は伊地知に心配されながら肩を揺らして笑っていた

  • 102二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 22:59:15

    硝子さん可哀想

  • 103二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 23:01:58

    今日はここまでです 自分はかなり五条贔屓なオタクですが、コイツは一度硝子さんにぶたれた方がいいと思います

    自己満足の為に立てたスレですが結構見てもらえてるようで有り難い限りです >>15が飛び抜けて♡多いの何で?

    お付き合いいただきありがとうございました

  • 104二次元好きの匿名さん23/10/19(木) 23:09:30

    >>103

    多分メロス構文がハマったんじゃないかな…

    いい笑顔の夏油…どうして本編ではああなってしまったのか

  • 105二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 07:16:46

    文章が上手すぎて惹き込まれる

  • 106二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 09:41:25

  • 107二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 13:15:53

    こういうの好きだなあ
    家入さんの心情を思うと気持ちが重くなってくるよ…

  • 108二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 15:36:48

    何という良スレ…

  • 109二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:13:37

    灰原と夏油の気になる…

  • 110二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 19:55:56

    残る袋はあとふたつ どちらにするかは既に決めている


    手に取った袋にはマーカーペンでどデカく灰原雄と書かれている 七海といい筆跡に人柄が表れるのは本当らしい……ああ五条はそうでもないか


    ところで伊地知、君から見て灰原はどんな奴だった?


    「……あの人の後輩で居られた期間は短かったですが」


    そう前置きして伊地知が口を開く


    「いつも明るくて、前向きで、ひたむきで……気持ちの良い人でした 私にも七海さん共々親切にしてくださって」


    そりゃあ良かった とうとう僕たちにも後輩が!って張り切ってたんだよねアイツ、良い先輩やれてたなら何よりだ


    「はい、良い先輩でした」


    私としても彼は良い後輩だったよ


    向こうも捻くれた七海と比べると私達のことを素直に慕ってくれていたように思う 中でも夏油にはよく懐いていた 一度あの胡散臭い野郎のどこが良いのかと聞いてみたら、満面の笑顔と共に夏油さんは胡散臭くても格好良いです!と返ってきた 胡散臭いのは否定しないんかい ……とにかく灰原雄という少年は


    人が好きで、人に好かれる奴だった


    さて、そんな彼は一体何を遺したのだろうか


    袋の封を切る 中には>>113が入っていた

  • 111二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 19:58:54

    またみんなで海へ行こうと旅行雑誌

  • 112二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:01:05

    当時の週刊少年ジャンプ今週号

  • 113二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:01:59

    上両方

  • 114二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:02:03

    これ食べようと人数分の非常食セット

  • 115二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:06:30

    BLEACHとかデスノートとかテニプリやグレイマンやネウロやアイシールドやREBORNの時代だな

  • 116二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 23:40:07

    ほしゅ

  • 117二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 23:52:10

    わ、懐かし

    袋から出てきたのは某国民的週刊漫画雑誌だった 表紙にはお馴染みの麦わら少年が歯を見せて笑っている 刊行日は2007月3月某日 どうやら読み終わった今週号をそのままぶち込んだらしい

    「こういった雑誌には当時の流行りやら空気感やらが色濃く反映されていますから 過去を振り返るのにはうってつけの資料なのかもしれませんね」

    まあ灰原はそこまで深く考えてないだろうけどな だが手紙やら写真やらしんみりするものばかり見せられたあとはこれくらいの温度感が丁度良い サンキュー灰原、オマエが根明で良かった  

    今も人気のあの漫画やら懐かしのあの作品やらをぱらぱらと流し読みする そういやハンターハンターってまだやってんのかな、この号には載ってないけれど

    「あの」

    うん?

    「こちらはご覧にならないのですか」

  • 118二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 08:18:26

  • 119二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:08:35

    やはり灰原、灰原が全てを解決する………
    灰原が生きてたらもう少し未来変わったかもなあと思うと切ない………

  • 120二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:32:23

    そう言って伊地知が差し出したのは年季の入った旅行雑誌だった 表紙を飾るのは白い砂浜とまばゆいくらいのエメラルドグリーン 

    ──沖縄へ行ってきます!

    何で?と返したら夏油さん達が行くので!との返事 そもそも何で夏油達は沖縄へ、護衛はどうしたんだと首を捻っていると、隣に居た七海が事情を掻い摘んで説明してくれたんだっけ 早速ガイド買っちゃいました!とルンルンで雑誌をめくる灰原に、彼は遊びに行く訳じゃないと呆れ顔をしていた 結局七海の見立て通り、彼らはずっと空港に缶詰めだったそうだ

    術式の特性上、留守番には慣れっこだった けれど今回ばかりは灰原達のことが少し羨ましかった

    いいなあ沖縄 私も行きたい

    慌ただしく高専を発っていった二人を見送りながら、呑気にそんなことを思った翌日、夏油達が護衛対象を連れて戻ってきて、それから、それから

    雑誌の表紙を指でなぞる 付箋の貼られているページをめくると、目に飛び込んできたのは表紙同様の透き通った海 県下有数の海水浴場だとか何とかポップな字体で紹介されていた

    『またみんなで!』 

    よれよれの付箋にはどデカい字でそう書かれていた 

    ──お土産は何がいいですか?……泡盛?僕たち未成年なので買えないです!

    ──……だから遊びじゃないって?分かってるよ七海、でもさあ

    ──いつかみんなで任務とか抜きに旅行へ行きたいな

    ──勿論、家入さんも一緒に!

    屈託のない笑顔が頭を過ぎる 出立前の他愛のない会話を彼はしっかり覚えていたらしい

    そうだね、私も行きたかったよ

  • 121二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:34:56

    夜の内に更新したかったのに寝落ちてた……灰原、それは俺たちが見た光……
    今日か明日には終わると思うのでもう少しお付き合いください
    今後どうしてもやりたい展開があるのですが、安価で女子生徒のスカートが当たった場合そこからどうシリアスな流れに持っていくかを今必死でシュミレートしています

  • 122二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 10:59:23

    😭

  • 123二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 11:23:18

    なんだこの文章力!?

  • 124二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 11:40:37

    辛い切ない素晴らしい

  • 125二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 13:44:26

    後は夏油だけか

  • 126二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 15:46:08

    ぱたんと雑誌を閉じる いつの間にやら随分と時間が経っていたらしい 見上げた空はオレンジ色に染まりつつあった

    残りの袋はあとひとつ

    ……伊地知、明日も早いんじゃなかったか?

    「いえ、私のことはお気になさらず」

    そうもいかないよ 優秀な補助監督に無理させちゃ他の術師達に申し訳ない

    「……最後までお付き合いすると約束しました」

    ぎゅ、と拳を握り締める後輩は不服そうな顔をしている 約束だなんてそう重く捉える必要はないのに、律儀な男だ

    なあ伊地知、君が隣に居てくれて随分と助けられたよ 付き合ってくれてありがとう だけど……

    最後の袋を手に取った

    一度は手を伸ばして、脇に除けた袋 目を逸らしていたそれを開封しなければ、この儀式は終わらない


    コイツとはサシで向き合いたいんだよ

  • 127二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 15:52:50

    伊地知さん…硝子さん…
    これは絶対にスカートを回避せねば

  • 128二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 16:21:39

    夏油傑と最後に話したのは街中の喫煙所だった

    スーツのおじさん達に混ざり、白昼堂々煙をふかそうとする女子高生を咎めることもなく、火いるかい?とソイツはライター片手にのたまった 妙にすっきりした笑顔をしていたのを覚えている

    それからぽつりぽつりと言葉を交わした こちらの問いにあちらが答える 仮にも優等生に区分されていたはずの男は、気づかぬうちにすっかりイカレちまったようだった

    分かっていた コイツには私と対話する気なんてさらさらないのだと 分かっていたから私も五条に取り次いだ これ以上はお互い時間の無駄だと思ったから

    間に女挟まなきゃケンカも出来なくなったのか

    毒づく代わりに煙を吐き出した もし口に出して言ってやってたら、アイツは一体どんな反応を返したのだろう ちょっとは取り乱してくれたのかな

    でも結局、私は雑踏の中に消える背中を眺めるばかりで


    それっきりだ


    それが私の最後に見た夏油傑の姿だった

  • 129二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 16:32:31

    硝子さん……

  • 130二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 16:38:39

    そうか、もしかすると硝子さんに気を遣って遺体処理させなかったから夏油の最期の姿も見ていない可能性が結構あるのか………辛………

  • 131二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 18:49:31

    さあ、何が入ってるんだろうね

  • 132二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 19:52:35

    ちんこだけは勘弁してくれ

  • 133二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 19:59:04

    見知った顔が冷たくなって戻ってくるのも、その身体にメスを入れるのも、そう珍しいことじゃない ありふれた悲劇に取り乱したりしないように身体と心はゆっくりと麻痺していく それが私にとっての大人になるということだった


    だから大丈夫 次に会うオマエが物言わぬ死体でも、きっと涙は出てこない


    ……って思ってたんだけどなあ


    デリカシーの欠片も無い癖に余計な気を遣いやがって そっちが十年掛けて覚悟を決めていたように、こっちだってとうの昔に腹を括っていたというのに


    お陰で私の中の夏油は今でもスウェット姿で吹っ切れたような笑みを浮かべたままだ 写真でしか知らない胡散臭い教祖サマは私の知る夏油と同一人物だったのか 挙句の果てにはおかしな化け物に乗っ取られてしまって  


    半端なまま、宙ぶらりんで



    ──弔いとは本質的には生者の為の行為なのだという 遺された人間がわだかまりに区切りをつけて、明日を歩いてゆくための儀式


    ならばこれは私の弔いなのだろう もう居ない彼らが未来に託したものが何なのか、知って、受け取って、思いを馳せて……ただの自己満足だ、それでも


    袋の封に手を掛ける



    夏油、オマエのことがわかりたいよ



    びりっ ……これは、>>136

  • 134二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:01:28

    加速

  • 135二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:01:51

    お揃いのキーホルダー
    それぞれ五条と硝子さんと自分用

  • 136二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:02:01

    ゴールドや株券と夏油のビデオメッセージ(時期が時期なのでスレ主の想像力と解釈フル稼働でお願いしやす)

  • 137二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:02:02

    悟と硝子への手紙

  • 138二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:02:58

    えっ株券?

  • 139二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:03:48

    おっ、ようやく当たった…資産運用というよりは成長性の意味合いが強い感じです
    年齢制限は硝子さんの医師免許よろしく上手く踏み倒してください

  • 140二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:03:57

    ゴールド…?

  • 141二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:04:26

    難しそうだなこれ

  • 142二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:05:39

    スレ主大丈夫か?

  • 143二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:06:22

    >>141

    そうかな

    難しかったら下でもいいけど

  • 144二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:07:07

    >>138

    クッソしょうもないけど夏油、株券のネタ思い出した

  • 145二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:07:44

    >>144

    株券呼びされてる疑惑ネタか

    あれ面白かったな

  • 146二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:11:46

    (ビデオメッセージは想定していた展開の導入に゙超都合が良くてマジでありがてえんですが前半がよく分からない……夏油投資やってたの……?)

  • 147二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:13:17

    >>146

    やってないです

    メッセージだけだとあれかな…とネタ要素も織り交ぜた将来に対する成長と資産の伸びに対する隠喩でしかないのでスルーでも問題ないです

  • 148二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:26:43

    >>147

    (了解です)


    (あと質問なんですけど五条らが学生の時ってビデオテープとDVDどっちが主流ですかね……?)

  • 149二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:35:34

    >>148

    ぱっと見wikiで調べてきた程度なので自信はないですが多分DVDです、2007年にビデオテープの機械か何かが生産終了してるっぽいので………間違ってたらすいません、参考までにスクショどうぞ

  • 150二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:38:23

    >>149

    (ありがとうございます!!書いてきます!!)

  • 151二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:40:07

    >>148

    お手数おかけして申し訳ありません…短い期間で辺に捻ろうとせず身の丈にあったレスをしようと良い教訓になりました


    どうなんでしょう、2006~7年頃だと親がDVDをメインに使い始めて1,2年くらい経つ一方で知り合いから何らかの映像がビデオで送られてきたこともあったくらいの時期だったのでギリギリ廃れきってはない感じなんでしょうか

  • 152二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 20:55:03

    危惧されてたスカートとかの類が1つもなくて草
    安心したよ

  • 153二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 22:08:58

    ここまで素晴らしいものを読ませてもらって今更言うのもアレだけど「皆で埋めたタイムカプセル一人で開ける硝子の話読みたい」ってスレタイから1の時点ですでに自分で書き始めてくださってるスレ主がストロングスタイルすぎる

  • 154二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 22:37:58

    何もかも特殊とは言え一応学校と名前の付いた施設だ、一般の高校にあるような設備は大体取り揃えてある この視聴覚室もそのひとつである がらんとした部屋の中は少し肌寒い

    夏油の袋に入っていたのは一本のビデオテープだった ラベルには『未来へ』と彼の字で書かれていた

    このご時世にビデオテープとは! 我々の学生時代ですらDVDに取って代わられ衰退の一途を辿っていた旧時代の産物である 再生しようにも映画はネトフリ派となって久しい私の自宅にビデオデッキなど存在しない

    ならばと校内の視聴覚室へと足を運んで来た訳だが、見込み通り埃を被ったビデオデッキが棚の隅っこで放ったらかしにされていた 学校って場所は物持ちが良いのだ

    早速デッキを備え付けのテレビに接続する 良かった、少し心配だったがちゃんと動きそうだ ぐっ、とテープをデッキ内に押し込む

    ザザ、とノイズがかっていた画面は次第に明るくなり、やがて

      ぐわん


       『録画を再生しますか?』

    脳内で直接声が響いた

        『2007/03/28』

    『23:07:02』


        『夏油傑』

      『録画を再生します』


    暗転したのは画面か視界か、認識する前に意識が途切れた

  • 155二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 22:40:39

    !?

  • 156二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 22:40:52

    エッ!?!?

  • 157二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 22:58:08

    ワワッ

  • 158二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 23:01:29

    マジか…!

  • 159二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 23:58:50

    ザザザ……

    どこからか聞こえてくるノイズの音 それに引っ張られるように意識が覚醒した 頬に冷たい感触を感じる どうやら机に突っ伏して眠っていたらしい

    ……違う、私は寝てなんかいなかった

    二、三度目を擦った後、ゆっくりと身体を起こし辺りを見渡す

    そこは夕暮れの視聴覚室では無かった

    教室に並ぶ机は自分のものも含めて三つ 窓の外はすっかり日が落ちていた 月明かりに照らされて、先程まで伊地知と共に居た桜の木がほんのり浮かび上がっている

    これは一体どういうことか 試しに頬をつねってみる 普通に痛い はたいてみる これも痛い……って何やってんだ私は

    「何やってるんだい硝子」

    ああ全くだ 自分で思ってるより気が動転してるのかもしれないな


    …………は?

    後ろを振り向く そこに立っていたのは

    「や、」

    長髪、ピアス、ボンタン、そして特徴的な前髪 ガラの悪い風貌と相反し、こちらへ向ける表情は穏やかで

    男……いいや少年は、呪術高専の制服に身をつつんでいた

    「久しいね」

  • 160二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:00:25

    今日はここまでです
    明日には終わるはずですがこのスレ内で収まるかは分からない(文字数無限膨らみマン) 場合によっては次スレ建てるかもです
    お付き合いいただきありがとうございました

  • 161二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:00:49

    うわっ
    うわぁ………お、お前……

  • 162二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:01:38

    >>160

    こちらこそありがとう!何度も読み返すくらい気に入ってるので楽しみにしてます!

  • 163二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:02:18

    夏油お前お前本当にお前本当

  • 164二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:02:40

    硝子さん可愛い!
    (線引きする夏油から目をそらしながら)

  • 165二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 00:09:00

    線を…線を引くんじゃない!

  • 166二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 10:06:46

    最後まで楽しみにしてます…

  • 167二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:15:49

    おつらい

  • 168二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:53:17

    「映像機器を媒体とする術式でね」

    夏油傑が目の前にいる

    「戦闘能力は皆無なんだが、これが中々面白い」

    あの頃と変わらぬ姿で

    「対象のその時点での人格や記憶をコピーし……いやこの場合ダビングなのかな、とにかくそれを映像機器内に保存しておけるんだ」

    私の疑問を読み取ったように、夏油はつらつらと喋り出した 同時にザザ、と耳に障るノイズ音の発生源が眼の前の彼であることに気付く

    「君、あのテープを再生したろ?それが術式発動の合図」

    「テープの中……呪霊の生得領域に引きずりこまれる あぁ安心して、さっきも言ったがコイツに戦闘能力は皆無だ 君に危害を加えることはない」

    「そして、生得領域内では」

    とん、夏油が自らの胸を叩く

    「記憶が実体化する」

    ……なるほど、まさしく録画ってことだね

    「そういうこと」

    「私は2007年3月28日23時07分02秒時点の夏油傑の複製さ」

  • 169二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 12:00:22

    過去に想いを馳せる、湧き出す未練に縋る負の感情(主に悲しみ)が呪力として漏出→結集して生まれた呪霊なんかな

  • 170二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 18:35:38

    「改めて、久しぶり硝子」

    ちらりと壁掛け時計を見ると、その針はちょうど11時7分を指し静止していた 眼の前のレプリカ同様、教室を模した領域内に時間は流れていないらしい 

    「ますます美人になったね」

    夏油が感慨深そうに目を細めた 気色の悪いことを言うんじゃない、それより現実の私はどうなってる

    「少し眠ってるだけさ 何度も言うが人に危害を加えるような力は無いんだ」

    心配しないで、そんな言葉と共に夏油がこちらへ手を伸ばす 思わず身構えるが……すかっ、骨ばった手は私の身体をすり抜け宙を切った

    「私もこの通り」

    試しにこちらからも拳を突き出してみるが(夏油がえっ何で殴るのと言いたげな顔をしていた)感触は無い これじゃあまるで幽霊だ

    「幽霊か、言い得て妙だね」

    くくっ、と肩をすくめて笑う様はあの頃とまるで同じで

    真夜中の教室に、大人になった私と学生の夏油が二人 およそ現実離れしたシチュエーションに喫煙所での記憶が蘇る あれが最後だと思っていたのに、まさかこんな形で覆るとは まあ厳密には夏油本人じゃないんだけどコイツ

    あのテープ、てっきりビデオレターか何かだと思ってたよ どうしてこんな凝った真似を

    「……硝子、覚えてるかい?」

    質問には答えず、夏油が窓の外に目線をやる 無人のグラウンドで満開の桜だけが生き生きと咲き誇っている 綺麗だろ、と彼が小さく呟いた


    「タイムカプセルを桜の木の下に埋めようと言ったのは私だった」

  • 171二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 19:44:34

    「──桜の樹の下には屍体が埋まっている」

    ……梶井基次郎?

    「正解 」

    「『桜の樹の下には』 硝子は読んだことあるかな」

    彼の言葉に頷く 先程夏油が諳んじた序文は有名なもので、そこだけ独り歩きしている節がある いつだったか全文が気になって調べたことがあったのだった


    物語は語り手である『俺』が『おまえ』に語りかける形式で進む

    美しく咲く桜に不信感を覚え、不安と憂鬱に陥っていた『俺』は空想する

    桜の樹の下には屍体が埋まっている 醜く腐ったそれらを養分に、桜の花は美しく咲き誇るのだと

    突拍子もない妄想に囚われるのと同時に『俺』は不安から解き放たれる 美と醜、生と死、正反対に思えるそれらは表裏一体なのだ 今なら自分も他の人々と同じように桜を愛でることができるだろう……大体そんな感じの話だったと思う


    「君はこの話を読んでどう思った?」

    どうって……拗らせてんなー、と 突然こんな話聞かされたって『おまえ』も困るだろうよ

    「はは、辛辣」

    夏油がくつくつと笑う 何がそんなにおかしいのやら、大体この話はタイムカプセルと何の関係があるんだ

    「私には『俺』の言う事が理解出来なかった」

  • 172二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 20:06:41

    永久保存スレだ…

  • 173二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 21:53:47

    ……そりゃあ『俺』の言ってることはただの妄想だ 共感出来ないのも無理はないんじゃないか 狂人の戯言をまともに受け取る必要はないだろう

    「確かにそうなんけど」

    苦笑した後に彼は続けた

    「もし仮に、本当に桜の木の下に死体が埋まっているとしたら」

    「ぐちゃぐちゃの死体から養分を吸い上げて、桜の花が咲いているのだとしたら」

    時の止まった教室に夏油の声が響く 鳴り止まないノイズはどこか雨音に似ていた

    「この世界の美しいものは、誰かの犠牲の上に成り立っているのだとしたら」

    窓の外から目を逸らし、夏油がこちらへ向き直る そこでようやく気付く

    「……もし、そのことを理解してしまったら」

    彼の眼差しは昏い光を孕んでいた

    「私は」

    「二度と桜を美しいとは思えない」

  • 174二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 22:01:06

    >>173

    神文スレ…

  • 175二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 23:36:52

    「地中で腐り果て、養分として吸い上げられる死体たち それを知らず桜を美しいと褒めそやす地上の生者たち」 

    「まるで……」

    そこで彼は口を閉ざした これ以上は言ってはいけないとでも言うように

    「ただの妄想、狂人の戯言……ははっ」

    乾いた笑い声が夜の教室に溶けて消える

    「私もそうだと思いたい」

    くしゃりと夏油の顔が歪んだ どうしたらいいのか分からない、途方に暮れた迷子のこどものような表情は、いつかの夏に見た五条のそれと少し似ていて

    ……ああ、だからオマエは

    「桜の木の下に死体なんか埋まっていない、こんな馬鹿げた考えに取り憑かれているのは私がこどもだからで」

    「いつかまた花は、世界は、変わらず美しいと思えるようになるって」

    「大丈夫だって!」



    「他でもない私自身に笑い飛ばして欲しかったんだ」

  • 176二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 23:41:10

    未来の自分がタイムカプセルを開けるころには、桜を再び美しいと思えるようになっていて欲しいと、縋るような思いで夏油はこれを残したのか…

  • 177二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 23:44:33

    明文すぎる……
    でも会いに来れたのは硝子さんだけなんだよな

  • 178二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 23:54:15

    【悲報】終わらなかった


    俺の人生はいつもそう すみませんがもう少しお付き合いください……


    梶井基次郎 桜の樹の下にはwww.aozora.gr.jp

    引用した小説です 自分がつらつら書いてるのはすげえざっくりした要約なので気になる方はこちらからどうぞ

  • 179二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 00:16:02

    続き楽しみに待ってます!
    スレ主さんの文才凄い

  • 180二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 01:01:46

    すごく心に来る 楽しみにしてます

  • 181二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 08:16:30

    ちょっと泣きそうになった、夏油の心からの悲鳴が辛い………みんな幸せに………なって欲しかったなあ

  • 182二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 17:29:36

    ここから入れる保険はないんですか………!!()

  • 183二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 18:42:18

    「未来を信じたかったのさ、オリジナルの私は」

    レプリカの夏油は、再び窓の外の満開の桜に目を遣った 黒い眼は今も養分を吸い上げられる腐乱死体を幻視しているのか

    あの桜の木の下で、彼は待っていたんだろう

    いつか冷たい土の中から掘り起こされる日が来ることを 不安と憂鬱から解き放たれることを 待ちわびながら眠りについた 

    目を覚まさせるのが大人になった自分自身であると夢見て

    「ま、見事に裏切られたようだねえ」

    机に腰を下ろした夏油が天井を仰ぐ 行儀悪いぞ優等生、硝子以外見てないし良いだろ 短い応酬の終わりに、あーあとわざとらしいため息がこぼれ落ちた

    「会いたかったな」

    ……来たのが私で悪かったね

    絞り出した声が存外不貞腐れていたことに自分でも驚いた 今日の私はらしくないことばかりだ

    「ううん、大人になった君に会えてとても嬉しいよ」

    夏油の頬がふわりと緩む だがその瞳は変わらず憂いを含んでいた

    「悟は」

    一瞬の躊躇いの後、彼は口を開く

    「もう私なんかどうでもいいんだな」

  • 184二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 18:44:07

    夏油…お前…

  • 185二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 18:49:47

    現状聞いたらレプリカだとしても相当ショック受けるだろ………

  • 186二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 18:55:06

    呪術師は死と隣り合わせとはいえ、まさか硝子さん以外全滅してるなんて予想できないよね。
    特にあの五条悟が…ね

  • 187二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:18:16

    ……五条がどうかした?


    「私の知る彼なら、学生時代のビデオレターなんてものは嬉々として見たがるだろうさ」


    そもそもタイムカプセルを埋めようって言い出したのは悟だし、と夏油は続ける


    「なのにここまで来たのは君ひとり、そういうことだろ」


    そして、ぶっきらぼうに吐き捨てた


    「昔から興味のないものにはとことん無関心だったしね アイツはそういう奴だよ」


    なに、拗ねてんの


    「そう見えるかい」


    力なく笑う夏油は大きな思い違いをしている 無理もない、私だって信じられなかった


    「会いにも来てくれないほど嫌われてしまったんだな」


    「ふふ……結構堪えるねこれ」



    …………五条は


    >>190

    1告げる

    2告げない


    (安価確認次第次スレ立ててきます!)(立たなかったら規制に巻き込まれてるので管理人ちゃんの方角に祈りを捧げてください)

  • 188二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:19:21

    1

  • 189二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:19:44

    1

  • 190二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:22:15
  • 191二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:23:54

    1

  • 192二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:24:59

    怒涛の1は草
    管理人ちゃんお願いします………!!

  • 193二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:25:29

    1しかねぇじゃねえかどういうことだスレ民!!

  • 194二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:25:44

    夏油お前、そういうところだぞ

  • 195二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:26:20
  • 196二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:26:34

    そりゃあここまで来たら1見たいでしょ

  • 197二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:26:36

    >>193

    だって2は…2は…

  • 198二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:28:21

    胸が締め付けられるような寂しさを感じながらも続きが気になる…

  • 199二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:29:55

    200だったら過去編キャラたちが納得のいく終わりを見つけれますように!!

  • 200二次元好きの匿名さん23/10/23(月) 19:30:40

オススメ

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