- 1二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 18:26:15
- 2二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 18:42:31
「はい!スズカさんは少し遅れてくるそうです」
「へーん」
「なんですかそれは。あ、座布団置く事にしたんですね!確かにただのパイプ椅子じゃ……」
ぷぅ。私が椅子に腰掛けると同時に、間抜けな音が部室に響き渡りました。それも、私の腰の辺りから。顔に熱が集まるのを感じました。そして、視線も。
何か、そうです、これは何かの間違いです。そんな声は全然出なくて、顔を上げたら、信じられないと言った表情のゴールドシップさんと目が合いました。そう言えばグラスちゃんが言ってました。『目は口ほどに物を言う』。まさにその通りだと思いました。身をもって知りたくは無かったです。と言うか、こんなタイミングで知りたく無かったです。
- 3二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:05:11
- 4二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:06:54
数秒、沈黙が流れました。私にとっては10分にも20分にも感じられましたが、それはゴールドシップさんの破顔一笑で破られました。
「あははは!引っかかったな!スペ、クッションの下見てみ?」
慌てて座布団を捲ると、そこには潰れた風船の様な物がありました。つまみあげまると、ふすぅ……と空気が抜けました。もしかして……。
「なんですかこれ!」
「ブーブークッションって言うんだ。面白いだろ?」
「……もーゴールドシップさーん!」
「あはは悪い悪い。でも2人の時で良かったな。この前やったらテイオーはマックちゃんと、スカーレットはウオッカとでなすりつけあってな?そりゃもう凄かったんだぞ……いや実際踏んだのはマックちゃんだったんだけどな」
「あはは……いやそうじゃなくて!」
「──そこでだ」
- 5二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:08:42
恥ずかしいやら何やらで顔を真っ赤にしてゴールドシップさんに詰め寄ろうとしたら、ピッと指を立てたゴールドシップさんに止められてしまいました。そして、にやりと歪められたその口からは、今日一番で私の脳を揺らす爆弾発言が飛び出しました。
「これでスズカが慌てるところ……みたくないか?」
「スズカさんが……」
あの、スズカさんが……?いつもクールで、美人で、カッコよくて、でも優しいスズカさんが、顔を真っ赤にして、違うのよスペちゃん……なんて言い訳をする……!?見たく無い訳ありません!!憧れの人の事なら、なんでも知りたい。でも、それが本人の嫌がる事なら……ダメよそんな事!いいや、仲良くなる為にも積極的に行くべき!頭の中で天使と悪魔が取っ組み合いを始めてしまいました。それでも、私は……。
「ずいぶん悩むな。まぁきっと、脳内の天使と悪魔が喧嘩してるんだろうな……」
それでも私は……!!
- 6二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:10:15
- 7二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:12:13
- 8二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:14:06
- 9二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:15:16
- 10二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:16:28
- 11二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:19:42
- 12二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:21:05
- 13二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:21:49
「スペ、お前ホント面白いな!最高だぜ!」
「え?あ……あーっ!!2人とも!!ひどいです!!」
「ひーっひー……あーもうダメ笑い死ぬ……いっひひひひひ……」
「スペちゃん、かわいい……」
「本当に可愛いやつだよ!誇らしいぜあたしは!感動したー!!」
「もー!……もぉー!!ごまかされませんよ!あー!はずかしぃー!あぁー!!」
遂に全てを理解した私には、部屋の隅で湯気が立ち上る顔を覆って丸くなるしか選択肢はありませんでした。消えて無くなりたいぐらい恥ずかしいのに、2人は私を離してくれません。スズカさんの少し冷たくて柔らかい手と、ゴールドシップさんの大きくて温かい手に好き放題撫で回され、されるがままです。
- 14二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:40:39
- 15二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:41:42
- 16二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:43:36
おかしいやら恥ずかしいやら、何とか口を開いた私にスズカさんは微笑みかけます。その笑みが、語尾が、なんか……何か引っ掛かります!!
「え、な、なんですか?何!?なんですかそれ!?何を持ってるんですか!?なんで今鍵閉めたんですか!?」
いつの間にかに立ち上がりスズカさんはドアを閉めると、こちらへ振り向いてまたにんまりと笑いかけまてきました。ガチャリ、と鍵が閉まる音がいやに響き、耳に変な残響を残します。スズカさんの手には何か……銀色の禍々しい何かが握られてました。逃げなきゃ、逃げなきゃ……頭の中で何かが叫びます。今のスズカさんは、いつもの優しいスズカさんじゃない!湧き上がる本能に従い、手も足も逃げたがってましたが……その視線から逃れる事は出来ません……今の私は、蛇に睨まれた蛙そのものでした。
「ねー、スペちゃん。私、悲しいなー、なんて……信じてたかわいい後輩が、こんなふうに騙そうとするなんて……」
- 17二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:45:54
- 18二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:48:14
思わず椅子を蹴り立ち上がりますが、あまりの迫力にすぐ腰が抜けてしまいました。ずるずると壁際まで追い込まれ、今の私は震える事しか出来ません。
スズカさんの口が、大きく、ニヤリと歪みました。普段はあんなに小さくてお上品な彼女の口が、ハロウィンのカボチャくらい裂けたように見えたのは幻覚でしょうか?頬に手を添えられ、それだけで金縛りの様に……スズカさんから目が離せません。私はもう逃げる事も、動く事も何も出来ません。ただ、涙目で震えるしか出来ない私を見て、スズカさんは、スズカさんは……!
「ふふ、おイタをする後輩には、たっぷりとお仕置きが必要ね……」
「す、すすスズカさん!ごめんなさい!許してください!!え、ちょ……」
「ふふ、たくさん可愛がってあげ、る……」
「たす、お、おかあちゃ……ふぎゃー!!!!」
- 19二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:54:20
おしまいです。お耳汚し失礼いたしました。
- 20二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:25:11
おまけ
「あの……ゴールドシップさん?」
「なんで仁王立ち?」
「ゴールドシップ!?違うぜ!あたしはゴルゴル神拳の継承者!ここを通りたくば……」
「ぁぁぁあああ……」
「うふふ……」
「え……その、なに?」
「……うん。その、アレだ。スペの名誉の為後にしてやってくれ……そうじゃないと……コレだ!」
「ひぃい!!もうそれは懲り懲りですわ!」
「助けてー!!お注射とそれだけはダメー!!」
「……この前押さえつけて死ぬ程やったの、そんなトラウマになったのか?あいつら……」
「2人ともどうしたのかしら……そしてあのバカは……」
「スカーレット、これを絶賛遅刻中のウオッカに喰らわせてやれ!」
「なんですかこれ……?どう使うんですか?」
「コレはだな……」
「うふふ……待ってなさい!ウオッカ!」
「許せウオッカ……お前の犠牲は忘れない……」
「ぁぁぁ……」
「スズカ!いつまでやってんだ!」
「え、あ、後1分……いや5分!もう少し、あともう少しで、向こう側が……」
「お、おぅ……うん。さらば、スペ……」
「あ、探しましたよ。ゴールドシップさん」
「ゴールドシップちゃん!早く早く!」
「おうよ!行くか!」
「お茶ピクニック楽しみだね!グラスちゃん!今度はキングちゃんも誘っていい?」
「いいですよー。スペちゃんも、スズカさんも誘ってみましょうか……。ゴールドシップさんも、ウララさんも、今日は精一杯おもてなししますから、ゆっくりして行ってくださいね」
「よっしゃー!今日は和菓子手作りしてきたからな!楽しみにしとけ!」
「やったー!」
「あらあら、今日の野点も騒がしくなりそうですね」 - 21二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:26:12
おまけ そのに
「あいつら、遅いな……」
本当に終わり!! - 22二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:26:39
原作だと、グラスはゴルシがお気に入りだったりとかあったらしいね。スペちゃん絡みでもいいからもっと絡み増えてほしいなぁ。みんな良い子だし、スペはスピカの2人のお姉さんになでなでされながらごちゃごちゃわちゃわちゃ楽しくやっててほしい。
- 23二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 23:01:49
男子高校生同士が馬鹿やってるような空気で…これは…良い……