ゴルシとスペがなかよくおバカする概念②

  • 1二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 18:26:15

    「こんにちは、ゴールドシップさん!」
    「お、スペ!今日は1人か?」
     放課後、部室のドアを開けるとゴールドシップさんが居ました。手にはいつものルービックキューブ。カチャカチャと音を立てるそれはあっという間に色が揃ったり、バラバラになったり。その百面相はまるで持ち主そのもの。思わず笑みがこぼれてしまいます。
     顔を上げたゴールドシップさんは笑い、くるりと手の中で回したルービックキューブを置きました。今日はみんな少し遅れてくる、集まったらトレーナー室でミーティングで終わりな、そう言ってあくびをしました。一昨日大きなレースが終わったばかり、練習したいですけど我慢です。怪我は怖いですし、悲しいですから。

  • 2二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 18:42:31

    >>1

    「はい!スズカさんは少し遅れてくるそうです」

    「へーん」

    「なんですかそれは。あ、座布団置く事にしたんですね!確かにただのパイプ椅子じゃ……」

     ぷぅ。私が椅子に腰掛けると同時に、間抜けな音が部室に響き渡りました。それも、私の腰の辺りから。顔に熱が集まるのを感じました。そして、視線も。

     何か、そうです、これは何かの間違いです。そんな声は全然出なくて、顔を上げたら、信じられないと言った表情のゴールドシップさんと目が合いました。そう言えばグラスちゃんが言ってました。『目は口ほどに物を言う』。まさにその通りだと思いました。身をもって知りたくは無かったです。と言うか、こんなタイミングで知りたく無かったです。

  • 3二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:05:11

    >>2

    「スペ、お前……」

    「ちちちがいますよ!私じゃありません!」

    「えーなんだよじゃあゴルシちゃんだって言うのかよー」

    「いやそうじゃなくて!その!お腹です!お腹の音!晩御飯まだかな!今日は何でしょうね!なーんて……」

     責める訳じゃなく、仕方ないなとでも言いたげに半笑いなゴールドシップさんの顔。とても恥ずかしい!私じゃ無いのに!気が気ではなく、口から出たのは苦しい言い訳でしょうか?でも、そうとしか言いようがありません。それでも私はやってません!

  • 4二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:06:54

    >>3

     数秒、沈黙が流れました。私にとっては10分にも20分にも感じられましたが、それはゴールドシップさんの破顔一笑で破られました。

    「あははは!引っかかったな!スペ、クッションの下見てみ?」

     慌てて座布団を捲ると、そこには潰れた風船の様な物がありました。つまみあげまると、ふすぅ……と空気が抜けました。もしかして……。

    「なんですかこれ!」

    「ブーブークッションって言うんだ。面白いだろ?」

    「……もーゴールドシップさーん!」

    「あはは悪い悪い。でも2人の時で良かったな。この前やったらテイオーはマックちゃんと、スカーレットはウオッカとでなすりつけあってな?そりゃもう凄かったんだぞ……いや実際踏んだのはマックちゃんだったんだけどな」

    「あはは……いやそうじゃなくて!」

    「──そこでだ」

  • 5二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:08:42

    >>4

     恥ずかしいやら何やらで顔を真っ赤にしてゴールドシップさんに詰め寄ろうとしたら、ピッと指を立てたゴールドシップさんに止められてしまいました。そして、にやりと歪められたその口からは、今日一番で私の脳を揺らす爆弾発言が飛び出しました。

    「これでスズカが慌てるところ……みたくないか?」

    「スズカさんが……」

     あの、スズカさんが……?いつもクールで、美人で、カッコよくて、でも優しいスズカさんが、顔を真っ赤にして、違うのよスペちゃん……なんて言い訳をする……!?見たく無い訳ありません!!憧れの人の事なら、なんでも知りたい。でも、それが本人の嫌がる事なら……ダメよそんな事!いいや、仲良くなる為にも積極的に行くべき!頭の中で天使と悪魔が取っ組み合いを始めてしまいました。それでも、私は……。

    「ずいぶん悩むな。まぁきっと、脳内の天使と悪魔が喧嘩してるんだろうな……」

     それでも私は……!!

  • 6二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:10:15

    >>5

    「見たいです!!!!」

    「それが聞きたかった!!」

     パチンと指を鳴らし、手を差し伸べるゴールドシップさん。その手をガッチリと握り、溢れる期待に胸を膨らませます。今私たち2人の間には、友情!それしかありません!スズカさん。ごめんなさい。それでも私は見たいんです!恥ずかしがるスズカさんを!隙だらけで、顔を真っ赤にしてこっちを見ないで、って言うスズカさんを……!!

  • 7二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:12:13

    >>6

    「ふふふ、スペ屋、お主もワルよのう……」

    「えへへ、きっとゴールドシップさんと同じ顔です」

     もうすぐでスズカさんは来るはず。いつになく張り切った私は、ゴールドシップさんとテキパキと用意します。私達は志を共にした同志!2人なら無敵です!顔……?顔を洗って待っててくださいスズカさん!

    「こんにちは!スズカさん!」

    「よ!」

    「お待たせ、スペちゃん」

  • 8二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:14:06

    >>7

    「おいおいあたしには挨拶なしかー」

    「ふふ、こんにちは。ゴールドシップさん」

    「ん!」

     ふふふ……完璧!完璧です!ドアを開けて入ってきたスズカさんに、走り寄り、荷物を受け取ります。こうする事で、自然と足は椅子に向かうでしょう!流し目でゴールドシップさんを見ると、微かなサムアップ!流れは完璧です!後はスズカさんが椅子に座れば……!!

    「ささ、スズカさん、座って座って!」

    「どうしたの?スペちゃん」

    「なんでも無いですよー!」

    「うふふ、変なスペちゃん」

     さぁ!スズカさん座ってください!その笑顔が、羞恥に染まる瞬間を……私もその瞬間を見過ごさない為にも腰を据えて……。

  • 9二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:15:16

    >>8

     ぷぅ〜。

    「え、スペちゃん……その……」

    「スペェ……」

     どうして、どうしてでしょうか?何故私が座った時に鳴るんでしょうか?何故?どうして?おかあちゃん……。

  • 10二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:16:28

    >>9

    「えええええぇ!?違います!違いますから!!」

    「スペちゃん、その……私は気にしないわ……うん」

    「スズカさん!違いますから!ほら!!ってアレ!?」

     慌てて手を振り否定します。ひどい冤罪です。ほら、ここに!座布団を捲って、ブーブークッションを……無い!?なんでぇ!?

     慌てて椅子の下を見ても何もありません。膝をつき、パイプ椅子の下に頭を突っ込んだ私に、ゴールドシップさんの氷点下の視線が突き刺さります。

  • 11二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:19:42

    >>10

    「スペ〜見損なったぞ……」

    「ゴォぉおルドシップさぁぁぁあああん……」

     思わず縋りつきますが、ゴールドシップさんは素知らぬ顔。頭の上からは追撃が降り注ぎます。

    「何だスペ。またあたしの所為だとでも言いたそうだなー」

    「スペちゃん……恥ずかしいのもわかるけど、人の所為にするのは、その、ちょっと……ね?」

    「ちがうぃます!ちがっ!もぉー!!」

     もうめちゃくちゃです。顔はめちゃくちゃに熱いし、呂律は回らないしスズカさんは変に気を遣ってくれるし……嬉しいですけどその優しさが痛いですスズカさん。やめてください。本当に。泣きそうです。

  • 12二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:21:05

    >>11

    「……うふふ」

    「……くくく」

    「え?」

     本当にとても、あまりにも恥ずかしくて、小さくなって顔を隠した私の耳に、2人の忍び笑いが飛び込んできました。状況が理解できないままの私の前で、ゴールドシップさんが腹を抱えて笑い出しました。

    「あーはっはっは!!」

    「ふふ、ふ……す、スペちゃん……おかし……」

    「え?え、え……何?なんですか!2人して!」

    「ご、ごめんねスペちゃん……ふふ……」

  • 13二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:21:49

    >>12

    「スペ、お前ホント面白いな!最高だぜ!」

    「え?あ……あーっ!!2人とも!!ひどいです!!」

    「ひーっひー……あーもうダメ笑い死ぬ……いっひひひひひ……」

    「スペちゃん、かわいい……」

    「本当に可愛いやつだよ!誇らしいぜあたしは!感動したー!!」

    「もー!……もぉー!!ごまかされませんよ!あー!はずかしぃー!あぁー!!」

     遂に全てを理解した私には、部屋の隅で湯気が立ち上る顔を覆って丸くなるしか選択肢はありませんでした。消えて無くなりたいぐらい恥ずかしいのに、2人は私を離してくれません。スズカさんの少し冷たくて柔らかい手と、ゴールドシップさんの大きくて温かい手に好き放題撫で回され、されるがままです。

  • 14二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:40:39

    >>13

     2人とも酷いです!2人して騙して……乙女心はもうボロボロです!青春の光と影を!乙女の純情を弄んで……!!もー!!

    「んじゃ、あとはお若い2人でーじゃなー!」

     ガチャリとドアを開け、嵐の様にゴールドシップさんは行ってしまいました。まだ恥ずかしさの抜けない私は何も出来ず、そんな私をスズカさんは優しく抱いて慰めてくれてます。スズカさん。その、すごい嬉しいですけど恥ずかしさが加速してます。背中をゆっくり叩くのやめてください。今少し泣いてます。違うんです。なんかものすごいホッとして、涙が止まらないだけなんです。本当です。

  • 15二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:41:42

    >>14

     たっぷり10分は経ったでしょうか、ようやく落ち着いてきて、私は漸くパイプ椅子に腰を下ろしました。瀕死の私に、断末魔の様な気の抜けた音ももはや気になりません。色々と限界でした。今日はもう閉店です……。ゴールドシップさん……次会った時が0年目です……!!

    「むむぅ……あーもぅ、全く、ゴールドシップさんたら……ね、スズカさん?スズカさん?」

    「スペちゃーん……?」

  • 16二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:43:36

    >>15

     おかしいやら恥ずかしいやら、何とか口を開いた私にスズカさんは微笑みかけます。その笑みが、語尾が、なんか……何か引っ掛かります!!

    「え、な、なんですか?何!?なんですかそれ!?何を持ってるんですか!?なんで今鍵閉めたんですか!?」

     いつの間にかに立ち上がりスズカさんはドアを閉めると、こちらへ振り向いてまたにんまりと笑いかけまてきました。ガチャリ、と鍵が閉まる音がいやに響き、耳に変な残響を残します。スズカさんの手には何か……銀色の禍々しい何かが握られてました。逃げなきゃ、逃げなきゃ……頭の中で何かが叫びます。今のスズカさんは、いつもの優しいスズカさんじゃない!湧き上がる本能に従い、手も足も逃げたがってましたが……その視線から逃れる事は出来ません……今の私は、蛇に睨まれた蛙そのものでした。

    「ねー、スペちゃん。私、悲しいなー、なんて……信じてたかわいい後輩が、こんなふうに騙そうとするなんて……」

  • 17二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:45:54

    >>16

    「ちょ、スズカさん、いやこれはゴールドシップさんが……ゴールドシップさぁぁん!!」

    「あら、目の前の私よりゴールドシップさんなのね……残念だわ……」

    「ひっ……」

    「これはね、メタルシャワーって言ってね……タイキから教えてもらったのよ……そしてフクキタルは、犠牲になったのよ……」

    「い、いやちが!すっ、あ、あぁ……ぁぁぁあああ……」

     ゆっくり、ゆっくり歩いてくるスズカさん。逃げ場はありません。スズカさんの脚質は逃げ、いや、大逃げの筈なのに……なんで!?どうして!?

  • 18二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:48:14

    >>17

     思わず椅子を蹴り立ち上がりますが、あまりの迫力にすぐ腰が抜けてしまいました。ずるずると壁際まで追い込まれ、今の私は震える事しか出来ません。

     スズカさんの口が、大きく、ニヤリと歪みました。普段はあんなに小さくてお上品な彼女の口が、ハロウィンのカボチャくらい裂けたように見えたのは幻覚でしょうか?頬に手を添えられ、それだけで金縛りの様に……スズカさんから目が離せません。私はもう逃げる事も、動く事も何も出来ません。ただ、涙目で震えるしか出来ない私を見て、スズカさんは、スズカさんは……!

    「ふふ、おイタをする後輩には、たっぷりとお仕置きが必要ね……」

    「す、すすスズカさん!ごめんなさい!許してください!!え、ちょ……」

    「ふふ、たくさん可愛がってあげ、る……」

    「たす、お、おかあちゃ……ふぎゃー!!!!」

  • 19二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 19:54:20

    おしまいです。お耳汚し失礼いたしました。

  • 20二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:25:11

    おまけ

    「あの……ゴールドシップさん?」
    「なんで仁王立ち?」
    「ゴールドシップ!?違うぜ!あたしはゴルゴル神拳の継承者!ここを通りたくば……」
    「ぁぁぁあああ……」
    「うふふ……」
    「え……その、なに?」
    「……うん。その、アレだ。スペの名誉の為後にしてやってくれ……そうじゃないと……コレだ!」
    「ひぃい!!もうそれは懲り懲りですわ!」
    「助けてー!!お注射とそれだけはダメー!!」
    「……この前押さえつけて死ぬ程やったの、そんなトラウマになったのか?あいつら……」
    「2人ともどうしたのかしら……そしてあのバカは……」
    「スカーレット、これを絶賛遅刻中のウオッカに喰らわせてやれ!」
    「なんですかこれ……?どう使うんですか?」
    「コレはだな……」
    「うふふ……待ってなさい!ウオッカ!」
    「許せウオッカ……お前の犠牲は忘れない……」
    「ぁぁぁ……」
    「スズカ!いつまでやってんだ!」
    「え、あ、後1分……いや5分!もう少し、あともう少しで、向こう側が……」
    「お、おぅ……うん。さらば、スペ……」
    「あ、探しましたよ。ゴールドシップさん」
    「ゴールドシップちゃん!早く早く!」
    「おうよ!行くか!」
    「お茶ピクニック楽しみだね!グラスちゃん!今度はキングちゃんも誘っていい?」
    「いいですよー。スペちゃんも、スズカさんも誘ってみましょうか……。ゴールドシップさんも、ウララさんも、今日は精一杯おもてなししますから、ゆっくりして行ってくださいね」
    「よっしゃー!今日は和菓子手作りしてきたからな!楽しみにしとけ!」
    「やったー!」
    「あらあら、今日の野点も騒がしくなりそうですね」

  • 21二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:26:12

    おまけ そのに

    「あいつら、遅いな……」

    本当に終わり!!

  • 22二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 20:26:39

    原作だと、グラスはゴルシがお気に入りだったりとかあったらしいね。スペちゃん絡みでもいいからもっと絡み増えてほしいなぁ。みんな良い子だし、スペはスピカの2人のお姉さんになでなでされながらごちゃごちゃわちゃわちゃ楽しくやっててほしい。

  • 23二次元好きの匿名さん22/01/15(土) 23:01:49

    男子高校生同士が馬鹿やってるような空気で…これは…良い……

オススメ

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