【🎲⚓腐CP死ネタSS閲覧注意】「出られない部屋」に入れられたカキツバタとスグリがPart2

[1 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 20:14:52]

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カキスグになるまでの物語（予定地）

💻カキツバタ　には　5つの秘密　がある

💻スグリ　には　1つの罪　がある

▼前スレ

【🎲⚓腐CP死ネタSS閲覧注意】ここだけノンケなのに「○○しないと出られない部屋」に入れられたカキツバタとスグリが｜あにまん掲示板

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[2 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 20:16:16]

新スレ乙です
スレ画改めて見ると体格差凄いな

[3 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 20:17:18]

前スレが完走しそうなので次スレを立てました
閲覧や感想などありがとうございます
21時頃から再開していきます

[4 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 20:38:19]

とても楽しみにしてました……！続きお待ちしてます

[5 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 20:46:36]

カキスグの可能性に気付かせてくれてありがとう…良いね…

[6 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 20:48:13]

新スレ乙です
早くハッピーエンド見たい気持ちとまだまだ続いて欲しい気持ちで戦ってる

[7 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:05:20]

あと190レスくらいできると思うと広々してますね
賑やかな方が楽しいのでお気軽にレスしてくださいー

ここまで読んで頂いてありがとうございます
再開していきます
※前スレで本日の17時頃から続き書いてました

ここまでのあらすじ
カキツバタ「オイラはもう、いいんだよ」
スグリ「今、なんて言った？」

[8 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:07:21]

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「スグリ？」
彼がふらりと立ち上がるので、釣られてオイラも立ち上がる。するとスグリはオイラのタンクトップを握り、怒りを込めるように引っ張った。
「――ふっざけんな！　もういいってなんだよ！　自分のことだろ！」
その怒声は過去の彼を想起させるが、あの頃のような苛立ち混じりのものではなく、あるのは純粋な怒りだった。
「カキツバタのそういうとこ……大ッ嫌いだ！　やる気なくて、頑張らなくて、すぐ諦める！　……自分の未来なんてどうでもいいみたいに……っ！」
「お、おいおい落ち着けよスグリさま？　なんでいきなり感情乱高下、」
「カキツバタがこんなときまでカキツバタだから！　なんでもっと生きようとしないの！」
「そりゃ無茶ってもんだ、オイラもう死んで、」
「でも、今、ここにいる！　話してる！　だったら……もういいなんて言うなバカ！　バカ！　バーカ！！」
スグリは持てる語彙を総動員してオイラを罵ると、今度は突き飛ばすように服から手を離し、反動のまま距離を取った。
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[9 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:09:22]

スグリー！もっといってやれ！
このヤローこんちくしょー

[10 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:11:27]

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光を飲み込む深い金色は、一心にこちらを見つめている。感情の昂りを表すように呼吸は荒く、であればきっと鼓動も激しいだろう。オイラと違って必死に生きる小さな彼は、目の前にあるものを薙ぐように腕を振るった。
「ボールさ構えろ！　ポケモン勝負で白黒つけてやる……！　俺が勝ったら、自分の人生、もっとけっぱって生きるって約束しろ！」
その気迫は、この何もない真っ白な部屋を、まるで広大なバトルコートのかのように錯覚させた。びゅうと風が吹き、熱く火照る頬を撫でる。オイラは自分が冷え切っているのも忘れて、焦げ付くようなバトルを期待し心を躍らせた。
……けれど、ここはバトルコートではなく、ポケモンだって手元にいないから、叶わぬ幻想だった。なんだか柄にもなくガッカリして、ああ惜しいな、と歯噛みしたくなる。
――こいつと戦り合いてえよ。
「あーあ。最期の最期に、なーんで未練増やしてくんだろうねぃ……」
呟いてから、うんっと伸びをする。
「残念だけどなー、元チャンピオンー。オイラたち丸腰だぜーい？」
「えっ……あ！」
「どうすんだー？　拳でやり合うかー？」
スグリは目を丸くして自分の手のひらを見つめる。ふっかけた手前引けないのか（意地というよりは律儀さだろう）、拳をぐっと握った。
「うぅ……やるべ……！」
「やるわけねーだろぃ。死者増えるわ」
そもそも、もう勝敗は決している。どんなときでもやりすぎなくらい懸命に生きてきた男に啖呵を切られ、心を動かされてしまったのだから、敗北を認めざるを得なかった。
――もっと生きていたい。
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[11 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:13:08]

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「分かった分かった、オイラ降参！　もーちょいやる気出してみるとしますかねぃ」
「えっ……いきなり？」
「いきなりじゃねーだろオマエの言葉が響いたんだよ」
「そ……そうなんだ」
スグリは意外そうにぽかんとしている。あれだけ威勢よくふっかけておいて、その効果のほどは期待していないのだから、自分に対する自信のなさが見て取れる。アンバランスな精神性だった。
そんな自信のない言葉に説得されてしまった以上、今くらいは怠惰を控えなければならない。オイラはこきりと首を鳴らした。
「……とはいえ、けっぱるったってこの部屋ん中でしかあがけねえわけだが……」
目下できることは部屋の探索くらいだ。それだって棚は探索済みなので残るはベッドだけ。モニタももう見るべきところは――

「……あ？」
オイラは思わず画面を凝視した。
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[12 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:14:39]

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💻第五層　ここは　キスしないと　出られない部屋

▼カキツバタ　には　5つの秘密　がある
　カキツバタはポケモン（フェアリー）が性癖
　カキツバタはスグリが嫌いではない
　カキツバタはドラゴン使いの一族
　カキツバタは心肺が停止している
　カキツバタの？？？

▼スグリ　には　1つの罪　がある
　スグリは心肺蘇生を躊躇った

▼カキスグパラメータ
カキツバタのノンケ度：17％
スグリからの好感度　：85%
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[13 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:16:51]

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――どうして最後の秘密が開いていない？
てっきり『カキツバタは死亡している』と来ると思っていたのに。よく見れば開いたのはスグリの罪だけで、五つめの秘密は秘匿されたまま。
「……この期に及んでまだなんかありやがるのか……？」
その不穏さに眉をひそめると、スグリも画面を覗き込む。
「……秘密、いっこ開いてないな？」
「そうだな。なーんだろうねぃ……」
ふたりして画面をじっと見つめる。死んだ人間に、まだ明らかにすべき秘密がある？
しばしして、スグリが「もういっこ分かんねんだけど……」と切り出した。
「カキツバタの予想では、ここって、俺たちが仲直りして心残りなくさよならするための場所……だったよな」
「まーそう考えるのが自然じゃねえの」
「んだば、なんで、キスしないと出られない部屋……なんだ？」
オイラは目を丸くしてスグリを見た。スグリも似たような顔をしている。
良いところを言い合って、ハグをして。そこまでは分かる。
キスまでさせるか？
「……いやまあ……最期だしとことん仲良くさせとこうって腹じゃねーの？」
「行きすぎだべ……」
「念には念を入れて……」
「慎重すぎだべ……」
俺、納得できね。スグリはそう切り捨ててから、「あと」と続ける。
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[14 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:19:48]

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「もういっこ変なこともある……。な、カキツバタは、何日までの記憶がある？」
「ん？　オイラの記憶だと……」
記憶にあるのは就寝時までなので、その日付を告げる。するとスグリも同じ認識だったようだ。
「俺も、さっきの記憶思いだすまではその日のつもりだった。ニュースとか新聞の情報さ照らし合わせると、その日寝て、翌日にカキツバタが死んで、翌日の朝にニュースになってる。……でな、俺が思いだした記憶って、その場面だけで、前後は覚えてねんだ。だから感覚としてはやっぱり、カキツバタが死ぬ前日で……」
「……ほーん？」
「俺らの格好も、その日のまんまだ。それもちょっとおかしい。普通なら死んだあとか、死んだときか、せめて当日の格好してるべきだべ。……なんで前日なんだ？」
スグリは右手を口元にやり、左手で太ももをぽんぽんと叩く。彼が考えているときの仕草。
「……この事件に関して、前日はなんも関係ないはずなのに、なんか俺らの状況が妙に前日のままだ。全部じゃねえけど、でも……」
少しの思考時間を経て、太ももを叩く手が止まる。
「俺……分かったかもしんね」
金の目がこちらを向く。
「カキツバタはまだ死んでない」
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[15 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:20:43]

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――ピッ。
もはや聞き慣れた電子音に振り返ると、画面の中では最後の秘密が開いている。

💻カキツバタの未来は確定していない
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[16 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 21:22:33]

今日はここまでとなります！
明日も続きを書いていきますが再開時間は未定です
たぶん安価もすると思いますのでよろしければご参加ください

[17 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:23:28]

これは希望が見えてきましたねぇ！

[18 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:23:39]

希望がみえた～㊗️

[19 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:27:07]

お疲れ様です！今日も神展開でした…
続きが気になりすぎて普段の生活中も考えてしまうくらいです
応援してます！

[20 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:27:58]

カキツバタ本人よりカキツバタのことに真剣になるスグリくん好き
終盤ぽいけどどう転んだとしても後日談とか小話的なの読みたいです(小声)

[21 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:47:45]

DLC買って放置ワイ、このスレによりカキスグが好きになる
こうなったら本家でも会うしかねえよなあ！？でもなんかすげえ強え野生とかダブルバトルとかやだなあ！！

[22 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 21:52:16]

乙　安価どんな内容か楽しみ…

着々とラストに向かってるんだろうけどスレ主の文好きすぎてもっと読みたいな…

>>21

ダブルも楽しいからやろう　そしてゲームの2人を見ようぜ

[23 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/23(土) 22:31:13]

感想などありがとうございます！

>>20

スレを立てたからには完走させたい派なのでこの話が終わったら安価とかでSS続けようかな……とは考えています

そこまでお付き合い頂ければですが

死ぬほどスローペースですけど

>>21

ぜひDLCやってください！　そして最後の最後までプレイしたあといろんなキャラの特殊会話まで見てください

このスレのカキツバタとスグリのベースはそこなので

バトルはレベルをあげて物理で殴るんだ

[24 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 22:40:55]

続きめちゃくちゃ気になる
元々カキスグ気になってたんだけど話が凄すぎる

[25 二次元好きの匿名さん 24/03/23(土) 22:41:45]

>>21

レベルあげてぶん殴ればすむけど、同レベルだとまず相手はステータスもふってる(対戦してる人達やってること)ブルベ四天王は当然ようにやってるのでよろしこ

(同レベルだと手応えあるバトルができるぞ)

[26 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 08:00:09]

ドキドキする展開だ
続き楽しみ保守

[27 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 11:42:31]

まだ再開しないのですがアンケートを取りたいです

シナリオのラストにカキツバタのノンケ度とスグリの好感度に対してそれぞれ1d100の判定があります
カキツバタ　1d100→ノンケ度以上の値で成功
スグリ　　　1d100→好感度以下の値で成功
なのでカキツバタのノンケ度0％、スグリの好感度100％に近付くほど成功率が高くなります

現在のカキスグパラメータは
カキツバタのノンケ度17％
スグリの好感度85％

このあとノンケ度減少・好感度上昇ダイスを振るのですがどの大きさがいいですか？
１：1d30（運が良ければカンストしそう、悪ければほぼ変化ないかも）
２：1d60（わりとカンストしそう）
３：1d100（ヤケクソ、絶対カンストさせる意志）

ダイスが大きければカンストの可能性が上がって、ラストの判定での事故率が下がります
でもゲーム的な面白さはなくなります

どれがいいでしょう？　お好みのものを教えてください

[28 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 11:47:06]

1にしてどうしようもなくなった所でイベント起こして3を振る

[29 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 11:57:13]

補正をつけないダイスなら1かなあと

もし安定性取る場合は選択肢外なんですがダイス2つ振って大きい値の方を取るみたいなのもありかもですね

[30 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 15:57:17]

回答ありがとうございます
じゃあとりあえず１にしときますかね？
やばそうだったらテコ入れします

今日は21頃から再開です！

[31 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 16:06:36]

>>30

楽しみです！

[32 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:03:11]

感想やアンケートへのご協力ありがとうございました！
再開していきます

ここまでのあらすじ
💻カキツバタの未来は確定していない

[33 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:07:08]

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「――たぶん、これ、未来に起こる出来事なんだ」
画面の表示を見たスグリが、静かにそう言う。
「本当の時間は、俺たちの記憶さある通り、寝る前。だけどきっと、未来の一部が流れ込んで、こうなってる……」
「……未来と来たか。まあそういうこともあんのかもねぃ……」
「で、この部屋がなんなのかっていうと。……俺がいざってとき、早く救助と蘇生さできるようにするため……だと思う」
カキツバタの蘇生が上手くいかなかった要因は二つある。ひとつは、スグリがカキツバタをはじめに見かけたときに遠ざかったことにより、救助が遅れたこと。ふたつめは、人工呼吸を躊躇ったこと。
「仲良くなれば遠ざかんねから……まあ近づきもしねっけど、もっと早く助けられる。そんで人工呼吸は……」
言わんとしていることを察して、オイラはこの部屋のお題を見た。
――キスしないと出られない部屋。
人工呼吸とキスは全然別もんだろ！　と心の中でツッコミを入れる。そこを混同するのは暴論だろがい。……とはいえ、根底にあるのがスグリの気持ちの問題だから、こういう形になってしまったのだろう。
「……ん？」
画面を見たことで、ふと違和感を覚える。よくよく見れば文面が変わっているようで、フルオープンになったオイラとスグリの秘密と罪は割愛され、逆に新たな文章が書き足されていた。
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[34 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:34:45]

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💻第五層　ここは　キスしないと　出られない部屋

▼カキスグパラメータ
カキツバタのノンケ度：17％
スグリからの好感度　：85%

※キスの成否判定は　『パラメータ』　のみで決定する
※成功の場合　退出後　『記憶』　は消去され　『パラメータ』　は維持される
※未来確定後　『記憶』　は復元される
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[35 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:36:48]

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同じく画面を覗き込んでいたスグリが、オイラを振り返り「なにこれ？」と眉をひそめる。オイラに解説を求めるな、こっちもよく分かんねーっての。
しかし文字通り命がかかっていることなので、なんとか文面を解釈する。これはつまり、
「まずキスできたら外に出られるぜってのは変わんねえな。で、オイラたちが外へ出ると、好感度とかはそのままだがいったん記憶は消える……ってことじゃねえかなー」
「え、記憶消えんの？」
「覚えてられたらそもそもオイラは溺れないんだけどなあ、そこまで都合よくはいかねーってか。んで、パラメータは維持されるから、ここでキス成功できるなら本番の蘇生も躊躇わずにいけんだろってことだと思うぜぃ」
「……つまり……えっ、んだば、ここでキスできっかどうかで、全部決まるってこと？」
「そーいうことー」
はなまる大正解！　と笑ってやれば、スグリは分かりやすくがちがちに緊張し始めた。そして「でも、」と眉を上げる。
「そんなら大丈夫だ。キスして助けられるならいくらでもするべ」
「おっと、そうはいかないみてーだぜぃ」
「なんで！？」
「書いてあるだろ、キスの成否はパラメータ……つまりノンケ度と好感度で決定するって。要は、オマエがオイラを好きで、オイラもオマエを好きじゃないとキスできねえってこったな。義務的なキスは好みじゃないらしいぜ？」
「なんだべそれ！」
「記憶なしの本番と同じ条件ってことだろうなー。ほーらがんばれ♡　がんばれ♡」
「なんで今ふざけてられっかなあ！？　うぅ……うざ……」
スグリはがっくりと肩を落とす。オイラはなんだか面白くなって笑ってしまった。自分の命がかかっているし、もうどうでもいいなんて思ってはいないのに、緊張も絶望もまるでないから不思議だった。
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[36 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:41:53]

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楽しい。スグリと話すのは本当に楽しい。
苦手意識が滲み出た警戒や、つついたら弾けるように反応するところや、呆れたような塩対応、生来の優しさ由来の思いやりを、もっともっと正面から見ていたいと思う。
思えば、ずっとそうだった。身を削ってひた走った過去も、立ち直ってあらたに歩み始めた今も、功罪はあれど懸命に生きたという点では同じだ。いつかの日、誰よりも楽しそうにバトルする姿を見てから今に至るまで、小さな体で精一杯進み続ける彼から目が離せない。

――たぶん、それが好きってことなんだろう。
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[37 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:42:46]

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「……いつの間にかオイラまで引っ張られてるんだから、めんどくせーのなんのって」
「え？　なに？」
うなだれていたスグリが顔を上げる。ちょうどいいしそろそろ決着をつけようと、不思議そうに見上げてくる金の目に微笑みかけた。
「よし、筋は通しとくか。キスしようってんなら先に想いを交わしとかないとなー」
「え、う、うん……？」
「これからさ、オイラの気持ちを伝えるから聞いてくれよ」
「気持ち？　うん」
あっさりとうなずいた彼は、きっとどういう意味だかまだ分かっていない。それならそれで別にいい。なんの準備も出来ていないところに、これからありったけの気持ちをぶつけてやる。どんな反応が返ってくるか楽しみで、ついにやけそうになった。
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[38 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:44:15]

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「……オマエってさ、オイラのことよく分かんねえって言ってたけど……。それを言えばこっちも同じなんだよな」
「え、そう……なの？」
「そらそうよ。昔はゼイユの後ろに隠れてばっかで全然話せなかったしよ。そんで林間学校行ったと思ったら、とんでもなく荒れて帰ってくるだろ。キョーダイとなんかあったってのはなんとなく知ってっけど、詳しいことはゼイユが話さなかった。……で、オイラの説得は完全にスルーして、かと思いきやエリアゼロ行って、戻ってきたら休学して、復学したら今のオマエになってたんだ。分かるかい？　オマエのでっけえ変化って、ぜーんぶオイラの与り知らぬところで行なわれてんだよねぃ」
置いてけぼりとはまさにあのことだ。きっとあの時にあった出来事は、スグリにとって転換点ともいえるものなのだろう。オイラはそれにほとんど関わらなかったし、ついぞ事情を知ることもなかった。
「オイラはきっと、オマエのこと少ししか知らない。オマエの人生にあった大切なこと、全然知らない。……別にそれを教えろなんて言わねえよ。それはきっと、キョーダイやゼイユとの大事な思い出だもんな。だろ？」
スグリは少し逡巡してから、「……うん」とうなずく。そうだ、だからそれを知る権利は、オイラにはない。
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[39 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:45:29]

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「……でもさ。なんか、ちぃとばかし悔しいなあと思ってな。オイラはオマエのこと少ししか知らないのに、それでもこんなに惹かれてる。そしたらよ、もっと知りたいって思うだろ。これからオマエに起こる大きな出来事も、些細な出来事も、今度こそオイラは一緒に見てたいんだ」
「えっ……惹かれて……って、え」
鈍感お子さまも、さすがになにを言われんとしているのかは気づき始めてきたらしい。驚いたように目が丸くなり、頬が赤くなる。
その隙を逃す手はない。
「返事は行動でよろしくな。……スグリ、」
まっすぐに目を見つめ、本心を告げる。

「　　　」

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[40 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:46:21]

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【安価】

▼カキツバタの愛の言葉を一言で！

>>43

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[41 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:46:47]

結婚しよう

[42 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:48:37]

好きだ

[43 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:48:52]

死ぬまで一緒に居よう

[44 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:50:45]

いいね！
書いてくるからちょっと待ってて！

[45 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:53:06]

死がきっかけだからこその良台詞だ…

[46 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:53:27]

その前にダイスを振るんでした

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【ダイス】

▼パラメータ変動

カキツバタのノンケ度(現在17％):-dice1d30=1 (1)

スグリからの好感度(現在85％): ＋dice1d30=10 (10)

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[47 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 21:54:15]

いやカキツバタさん！？　事故ってますよ！？

[48 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:57:11]

どこまでもおいしい男カキツバタだ

[49 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 21:58:45]

スグリの返答でなんとか…なんとか減らないか！？

[50 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:02:00]

たぶんカキツバタの告白はスグリに響いたんですがスグリ側がアプローチかけてないからノンケ度があまり減らなかったかな……？

▼カキスグパラメータ
カキツバタのノンケ度：16％
スグリからの好感度　：95%

このあとの判定でカキツバタは1d100で17以上、スグリは1d100で95以下を両者とも出す必要があります
このままシナリオを進めますか？
ちょっとテコ入れ（内容は未定）してカキツバタだけもっかい1d30しますか？
まあいけないことはない数値だとは思いますけど

[51 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:03:35]

自分はどちらでも！
ハピエンでもバトエンでも美味しいので…

[52 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:05:30]

うおおぉ！
至極のハピエン大好きマンだけど！
最後くらい作者のおまかせで！！

[53 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:06:06]

ハピエンにしてほしいと心から望んでいるがカスの自分がこんなに分かり合っても未来は変えられませーんwの胸糞エンドも見たいと喚いてる
たすけて

[54 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:06:20]

自分もどちらでもいいです！二人を信じます

[55 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:20:44]

今ちょっとシナリオ書いてたんですがテコ入れ扱いにした方が自然な行動してるのでテコ入れとします
ただし値は半分の1d15で振ります

[56 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:23:38]

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「死ぬまで一緒にいようぜ」

そう告げた途端、スグリの顔がりんごのように真っ赤になる。あまりにも分かりやすくて笑いそうになった。
さあどうでるか。見守っていると、彼はうろたえるように視線を彷徨わせたあと、不意に両手を伸ばし――オイラに抱き着いた。
「うお……っ！？」
急に暖かさに包まれて驚く。心臓が動いていれば高鳴っていただろう。どうしたことかと見下ろせば、スグリは真っ赤な顔で呟いた。
「……んだば、ずっと一緒にいさせてやっから……！」
━━━━━━━━━━━━━

[57 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:24:39]

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【ダイス】

▼パラメータ変動

カキツバタのノンケ度(現在16％):-dice1d15=5 (5)

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[58 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:25:42]

▼カキスグパラメータ
カキツバタのノンケ度：11％
スグリからの好感度　：95%

まあいける
たぶんいける
このまま進めます！

[59 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:40:30]

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触れ合った体から、トクトクと小さな、けれど明らかに早い鼓動が伝わってくる。スグリの感情の証であり、生きている証であるそれが、愛おしくて仕方ない。
「おっ、どきどきしてんねえ〜」
「うぅ……」
「でもスグリ、返事は行動でってのはこっちのことな？」
言いながら自分の唇を指差すと、「あ、」と目を丸くしたスグリの心臓が余計に早くなる。
「そ、そっち……」
「そうこっち」
「……もう、どきどきが治まんね……」
スグリは泣きそうな顔をして自分の胸を抑えた。おそらくは初めてのキスで、しかも人命がかかっているなんて、もういっぱいいっぱいなのだろう。「恥ずかし……」と小さく呟くのが聞こえた。
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[60 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:40:56]

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少しの申し訳なさがある。どきどきするのも、顔が赤くなるのも、体温が上がるのも、今の自分にはしてやれない。本当は似たようなありさまになっているはずなのに。
仕方がないので、せめてぽんと頭を撫でた。
「気にすんなって。オイラだって生きてりゃオマエよりどきどきしてるぜ、絶対」
「……本当？」
「ほーんとほんと。……好きなヤツ前にして平静でいられるほど、ツバっさん人間出来てないんだよねぃ」
悔しかった。もしも生きていたら、早鐘のような鼓動を聴かせてやれるのに。そうしたらスグリにだって、この気持ちがじかに伝わるだろう。
――そのときの顔が見られたら、どんなに面白いか。
「……スグリ。そろそろ返事、教えてくれぃ」
「……わ、わかっ……わっ」
スグリの腰を抱いて引き寄せ、身をかがめ、ずっと低い位置にある唇を誘うように顔を寄せる。
頼むよ、と囁いた。

「オイラの心臓、動かしてくれ」

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[61 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:41:56]

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【ダイス】

▼ふたりはキスをできた？

カキツバタ:dice1d100=47 (47)

12以上で成功

スグリ:dice1d100=87 (87)

95以下で成功

---------------------------------------

[62 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:42:51]

おおおおお！

[63 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:42:55]

やったぜ！！！！！！！！

[64 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:42:59]

---------------------------------------
シナリオ概要
ポーラエリアを歩いていたカキツバタは、女子生徒が池に落ちそうになっているところを咄嗟に助け、自らが池に転落。冷水によって即座に意識を失い、溺水してしまう。
偶然近くにいたスグリがそれを発見。ポケモンの手を借りて救助するも、すでに心肺停止状態。周囲の人間に通報を頼んでから、“わずかに躊躇ったあと”、心肺蘇生を開始。しかし救助が来るまでに蘇生することはなく、その後病院にてカキツバタの死亡が確認された。
――ここまでが『未来』に起こる出来事。
この『未来』を確定させないために作られたのがこの部屋。スグリとカキツバタの互いへの好感度を変化させ、スグリの“躊躇い”をなくすことが目的。
結果、無事に“躊躇い”をなくし、早期の心肺蘇生を開始したスグリは、カキツバタの生命を未来へ繋ぐことに成功した。

シナリオ『早鐘のような』　トゥルーエンドクリアです！
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[65 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:43:44]

おめでとう！そしてお疲れ様です！

[66 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:44:31]

大勝利だ…！

[67 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:45:25]

シナリオはここでクリアです！
エピローグがあるのですがこんな時間なのでまた明日更新したいと思います！
ここまで閲覧・ご参加くださったみなさま、ありがとうございました！！

よかった……！ほんとうによかった……！

[68 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:47:04]

お疲れ様でした&トゥルーエンドでよかった…
エピローグ楽しみにしてます

[69 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:47:38]

おめでとう＆お疲れ様でした！
数日間ずっとこれ生き甲斐にして
頑張ってました。ありがとうございます。

[70 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 22:47:57]

オイラの心臓、動かしてくれってセリフ良すぎる…
素晴らしい話をありがとうございます！エピローグ楽しみにしてます！

[71 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:48:32]

カキツバタはテコ入れしなくても大丈夫でしたがスグリが出目高かったですね
告白での好感度上昇＋10がなければ失敗でした
あらためて、安価に当たった方も当たらなかった方も素晴らしい告白をありがとうございました
正直カキツバタに全部言わせたかったです

[72 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/24(日) 22:51:18]

よかった……
それではまた明日もよろしければ見ていってください

[73 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 23:07:59]

こっちまでドキドキする素晴らしい展開…！
ダイス目も安価のセリフもよくてたまらない

[74 二次元好きの匿名さん 24/03/24(日) 23:11:16]

よ、よかった……

[75 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 03:10:03]

感謝の保守

[76 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 04:02:51]

読みふけりすぎて♡つけるの忘れてしまうくらいの力作だった
スレ主さんありがとう

[77 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 11:00:59]

保守
エピローグ楽しみにしてます！

[78 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 16:08:41]

ラスト楽しみほしゅ

[79 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:02:04]

エピローグ
━━━━━━━━━━━━━
目を覚ますと、視界に入ったのは白い天井――そして姉だった。
「……スグ！」
鋭い声とともに姉が身を乗り出すのが見える。なにやら尋常でない様子なのが不思議で、俺は今の状況を把握しようと、寝起き特有のぼんやりとした思考をなんとか動かした。
そして電流が走るように思いだしたのは、あの白い部屋での出来事と、現実に帰還してから遭遇した溺水事故。
――氷のような体温で目を覚まさないカキツバタ。
「……カキツバタは！？　ねーちゃ……、」
声を上げながら起き上がろうとして、すぐに咳き込みながらベッドに沈む。起き抜けに大声をあげるのは無茶だったし、よく見れば腕に点滴がついていて、動くなと言われているかのようだった。
「スグ！　無理に起きるんじゃないわよ！　あんた半日寝てたんだから……！」
姉はベッドへ押さえつけるように肩を押すと、布団をかけ直してぽんぽんと叩く。その手つきに労わりのようなものを感じながらも、俺の思考はどうしたって別の方を向いていた。
「ね、ねーちゃん、カキツ……」
「痛いとことか苦しいとこはない？　隠したらダメよ、遠慮なく言いなさい！」
「いや、それはないけど……」
「ならいいわ！　あたしちょっとお医者様呼んでくるから、大人しくしてなさいよね！」
口を挟む暇もなく言い切ると、姉はさっさと立ちあがって部屋を出ていってしまう。見知らぬ部屋に残された俺は、閉じた扉をぽかんと見つめるしか出来なかった。
━━━━━━━━━━━━━

[80 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:03:01]

━━━━━━━━━━━━━
追いかけようにも点滴を抜くのは怖い。仕方がないのでせめて居場所くらいは確認しようと周囲を見回す。
どうやらここは病室のようだ。白い壁に囲まれた個室で、どことなくあの不思議な部屋に似ているような気がした。
――あの出来事はなんだったのだろう、と漠然とした疑問と不安が頭を満たす。夢、だったのだろうか。だとすればどこからどこまでが夢で現実なのか。

……カキツバタは？

しばらくして足音が戻ってくる。今度こそ彼のことを訊こうと、俺は姉の勢いに負けないように一度深呼吸をした。
そして開いた扉のむこうを見て――呼吸を忘れた。
━━━━━━━━━━━━━

[81 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:04:39]

━━━━━━━━━━━━━
「よ！　元チャンピオン」

その男はパジャマのような入院着を着て、身一つでそこに立っていた。いつもとはずいぶん雰囲気が変わって見えるが、顔に浮かべた笑顔だけはいつも通りだ。
――カキツバタ！
俺は突然のことに呆然として、瞬きひとつできずに硬直する。目の前の状況を処理しきれない。
すると彼は「へっへっへー、サプラーイズ！」と楽しそうに笑ってから、俺のベッドに歩み寄って――
――その途中、ふらりとよろめいた。
「おっと」
「あっ……」
ゾッと背筋が冷えるが、カキツバタは踏みとどまって持ち直す。今度こそベッドサイドに立って、照れ隠しのように頭を掻いた。
「実はオイラもさっき起きたばっかなんだよねぃ。動くなって言われてたけど、それどころじゃねえからさ。なんか、病院着いた途端ぶっ倒れたんだって？　心因性で怪我とかじゃねえから心配いらないたあ言われたが……そーんなにオイラのことが心配だったかあ〜」
「――うん」
「え」
━━━━━━━━━━━━━

[82 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:05:44]

━━━━━━━━━━━━━
うっかり素直にうなずくと、カキツバタの笑顔が固まる。自分でも少し驚いたが、ぼうっとした頭は、心からの言葉をぽろぽろと零れ落としていく。
「……目、覚さなかったらどうしようって、ずっと考えてた。体の冷たさが忘れらんなかった。また、心臓止まったらって思うと……怖かった。……ごめんな。大変なのはカキツバタの方なのに、俺が弱音吐いちゃいけねんだけど……」
なんとなくカキツバタの顔を見られなくて、うつむきがちになる。すると前髪が視界を遮るので、手慰みにいじくった。心が落ち着かないときのクセだった。
「俺、気がかりなことさあると、頭から離れなくなる……みたいで。今も、こうやって目の前にカキツバタがいるのに、思い浮かぶのは、あのときの姿ばっかりで……」
真っ白な顔色。動かない心臓。冷たい体。
「どうしても、あの体温が忘れられねんだ」
――そう告げたときだった。カキツバタが身を乗り出したかと思うと、俺に向かって両腕を広げる。
そして、思い切り抱きしめた。
━━━━━━━━━━━━━

[83 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:07:40]

━━━━━━━━━━━━━
「……わやじゃ！？」
つい素っ頓狂な声を上げると、耳元で「くっくっく」と堪えるような笑い声が上がる。それはすぐに堪えるのを諦めたように大笑いになった。
「カ……カキツバタ！　いきなり……うう、わ、笑わない、で……！」
「あっはっは！　声ひっくり返ってやんのー！　これが笑わないでいられるかーい！」
「うぅ……は、な、れ、て……！」
「やだよ〜ん！」
押し除けようとしても、大きな体にぎゅうぎゅう抱きすくめられて話にならない。すぐに無理を悟ってため息を吐いた。
大人しくすると、カキツバタはようやく笑うのをやめ、ぽんぽんと優しく背中を撫でた。
「ほら、どうだい元チャンピオン？　オイラの体温のほどは」
言われて、ようやく意識する。――暖かい。あの氷のような冷たい記憶を払拭する、活き活きとした体温。
「……あったけ……」
つい呟くと、「だろぃ？」と得意げな声が返ってくる。
「今後は是非ともこのぽかぽか体温と逞しい胸板を思い出してくれーい！」
「逞しくはねえべ……」
「ちんちくりんのちびっこに言われたくないねぃ」
「俺は今関係ないでしょ！」
怒れば、それだけでカキツバタは楽しそうに笑う。無敵だ、と俺は怒るのを諦めた。
━━━━━━━━━━━━━

[84 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:08:27]

━━━━━━━━━━━━━
そして、自分もカキツバタの背中に手を回し、抱きしめ返した。どうにも安心できることに気づいてしまったのだ、この体温と鼓動を確かめるだけで。
――ついでに、もうひとつ気づいたことがあった。俺はぎゅうっと耳を押し当て、鼓動を聞く。
……やっぱり。
「カキツバタ……なんか、心臓速い……？」
トクトクトク、と規則的な音。平均的な鼓動の速さはよく知らないが、それにしてもこれは速い気がする。まさかどこか調子が悪いのかと思ってそう訊くと、「オマエさあ……」と何故か呆れた声色で言われた。
「鈍感お子ちゃま……」
「な、なんかおかしい？」
「はー。オイラあのとき言ったよな？　ツバっさん人間出来てないからさ……、」
そう言われた途端、いつか聞いた言葉が蘇る。

――好きなヤツ前にして平静でいられるほど、ツバっさん人間出来てないんだよねぃ。

━━━━━━━━━━━━━

[85 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:09:07]

━━━━━━━━━━━━━
「……す……っ」
好き、と反復した瞬間、俺の心臓まで駆け足になる。ぶわりと体温が上がって、顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。しかもそのときカキツバタが「スグリ」と呼ぶから、つい見上げてしまった。
「へっへっへー。その顔が見たかった！」
自分はどんな顔をしているんだろう。それは分からない。分かるのはカキツバタも言葉ほどの余裕はなく、真っ赤に照れていることだけ。
心臓がどきどきと、同じ速度で鼓動を刻む。
強く、速く、生きた感情を知らせている。

――それはまるで早鐘のような。

━━━━━━━━━━━━━
『早鐘のような』エピローグ　完

[86 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:10:33]

というわけで本作はこれで完結です！
ここまでの閲覧・感想・保守・♡をありがとうございました！
いっぱいカキスグ書けて楽しかったし、あらたにカキスグを好きになってくださった方もいて嬉しかったです！

[87 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 21:15:04]

エピローグスグリ目線ありがとうございます！
生きていたら、早鐘のような鼓動を聴かせてやれるのに。〜ってカキツバタ側が思ってたことがちゃんと生きて回収されててニヤニヤがとまらない
最初から最後まで素敵なカキスグありがとうございました！

[88 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:21:11]

個人的にはスレを立てたからには完走させたいので
明日以降ももうちょっと後日談とかをやりたい気はします
ただSSだとものすごく時間がかかるので普通の安価スレみたく進行するかもしれません
まだ未定です
もし最後までお付き合いしてくれる方がいらっしゃればよろしくおねがいします

[89 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/25(月) 21:22:49]

ちなみにどんなのが見たいとかってありますか？
というアンケートを投げておきます
このカキスグについてでも、また別世界線のカキスグでも

[90 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 21:44:05]

お疲れ様でした、素敵なカキスグをありがとうございました！
勝手ながらここ最近の活力にさせて頂いてました

個人的にはこの世界線のふたりをもう少しだけ覗いていたいです！
退院祝い・慰安も兼ねて何か楽しいことをするふたりが見てみたい…ピクニック・お出かけ・お部屋でまったり…お互いのポケモン達との交流もあわよくば見てみたい……いかん無限に欲望が出てしまう…

[91 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 21:44:10]

布団で二人でくるまってオニ様っぽいカキスグとか？
スグリあったけぇってカキツバタ抱き締めてほしい

[92 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 21:46:00]

>>89

バッドエンドの世界線とか気になります。

[93 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 22:10:36]

エピローグも良すぎでは…！？
2人ともたっくさんいちゃいちゃしてくれ…

[94 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 22:13:11]

>>89

素敵なカキスグありがとう…！

距離が詰まった２人とそれ見たリーグ部とか周囲の反応を…！良ければ…！ぜひ！！

[95 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 23:24:20]

お疲れ様です！最初からまた読み返したいと思います！

[96 二次元好きの匿名さん 24/03/25(月) 23:36:02]

完走お疲れ様です！ハッピーエンドで嬉しい！
二人の解釈がほんとによくて毎日更新を楽しみにしてました！
折角だからこの世界線で少し進展してもしなくても二人のその後が見たいです！

[97 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 06:39:52]

お疲れ様でした！
色んな意味でドキドキした

[98 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 06:50:22]

この作品のファンアートって描いても良いですか？

[99 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 12:35:42]

保守
素敵なエピローグもありがとう！

[100 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 21:01:21]

保守

[101 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:02:20]

今後についてのアンケートにお答えいただきありがとうございます！
バッドエンドやその後のふたりのSSを書いていこうと思いますー

[102 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 21:03:40]

待ってました！

[103 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:03:55]

>>98

ファンアート描いてくださるんですか！？　めちゃくちゃ見たいです……！

このスレ内なら自由に投下してください！

もし外部SNSにアップする場合は三次創作であることを明記すれば大丈夫かと思います

楽しみです……！

[104 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:06:03]

ではバッドエンドから書いて行こうと思います
ラストの判定でスグリの出目が高かったので、もしこれが失敗していたら？　というカキツバタ成功・スグリ失敗ルートとなります

[105 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:07:17]

━━━━━━━━━━━━━
「オイラの心臓、動かしてくれ」

返事をしないと、と思うと余計に鼓動が早くなった。カキツバタはかがんでくれたけれど、まだ少し背伸びしないと足りない。カキツバタの服を掴んで支えにし、かかとを浮かせて――

――それ以上、体が動かなかった。
あれ、と焦りが芽生える。返事をしないと、応えないと。どれだけそう思っても、体が言うことをきかない。まるで見えない糸に絡めとられているかのようだった。
火照っていたはずの体が急激に温度をなくしていく。心臓は嫌になるほど動悸していて、呼吸が浅く早くなる。冷たい汗が滲んだとき――ふっとカキツバタが腕を離した。
━━━━━━━━━━━━━

[106 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:08:43]

━━━━━━━━━━━━━
「……あーあ、フラれちまった」
その声色は笑みを形作っていたのに、どこか泣いているように聞こえる。思わず「違う、」と首を振った。
「か……体が動かねんだ！　俺は、キス、しようとしてんのに……っ」
こんなのは俺の意思じゃない。そういうつもりで反論しても、カキツバタの表情は寂しげな笑みのままだった。
「いんや、スグリ。ダメなんだよ。応えようとしてくれたのは嬉しいけどな」
「なんで！　ダメじゃ……ない！　俺はカキツバタを助けたいのに……！」
「だからダメなんだ。……スグリがオイラのこと好きじゃねえとさ、できないんだ」
「好き……だよ！　カキツバタの良いとこ、いっぱい知ってる……！　カキツバタのこと、好きだ！　だってほら、好感度だって……！」
モニタに表示された95%という紛れもない好意を指差す。けれど何故か自分ですら、もうこの現状が覆らないような気がして、胸中に諦観が広がっていく。
そしてよりにもよって、彼自身がそれを肯定するのだ。
「オマエの好きはさ、人としての好きなんだ。ツバっさん的にはそれでもじゅーぶん嬉しいんだぜぃ？　……けど、オイラの好きとは、違うんだ」
「違わない……俺、カキツバタに死んでほしくないのに、なんで……っ、……うううぅっぅ……っ」
視界を滲ませた涙があっという間に溢れ出す。泣きたいわけではないのに止まらなくて、ままならなさに歯噛みした。
━━━━━━━━━━━━━

[107 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/26(火) 21:11:14]

今日はここまで！
書き溜めがないのでゆったりペースになりますごめんなさい
ダイス目87％は本当に危うくて一歩間違えばこうなってましたね

[108 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 21:12:42]

う、うわぁ…胸が苦しい…
続きも楽しみに待ってます！

[109 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 21:15:34]

乙です　続き超待機
本ルートが大団円だったからこそのあり得た可能性に既にお辛いですね…好きを数値化しているからこそ尚更…
逆にツバっさんのノンケ度が下がらなかった場合は違うバッドエンドになってたのかこれ…

[110 二次元好きの匿名さん 24/03/26(火) 22:37:30]

片方失敗しただけでこんな苦しいとか両方とも失敗した時のバッドエンドどうしようもなく苦しくなりそう
マジで本編ハピエンで終わってよかった

[111 二次元好きの匿名さん 24/03/27(水) 05:03:49]

ハピエン確定の安心感で見るバドエン大好物…

[112 二次元好きの匿名さん 24/03/27(水) 09:48:03]

保守

[113 二次元好きの匿名さん 24/03/27(水) 17:56:48]

保守！楽しみです。

[114 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:04:33]

感想などなどありがとうございます！
バッドエンドの続きから再開していきます

[115 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:07:11]

━━━━━━━━━━━━━
やがて、「スグリ」と名前を呼ばれる。なんとかそれに答えようと、嗚咽を抑えて涙を拭う。
明瞭になった視界のなかで、カキツバタは――にぱっと笑った。
先ほどまでの寂しげなものではない、かつて一言も話せずにおどおどしていた自分に向けられたものと同じ。安心させるようなそれを見て、つい呆けてしまう。
するとその隙をついて、カキツバタは突然俺の頭をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
「わぎゃっ！？　なっなに！？」
「なんだよ泣くなよ元チャンピオン〜。ただでさえちっこいのにそれじゃ幼児になっちまうよ〜」
「幼児じゃない！」
「じゃあ笑えって、ほら。ツバっさんはいつでもにこにこでやんすよ？」
カキツバタは憎らしいほどの笑顔を浮かべて言う。けれど俺はとても真似できる気がしなかった。グス、と鼻を啜ったのが殊の外子供染みていて嫌になる。
「……できな、い。だって、俺のせいでカキツバタが……。せっかく、こんな部屋さ、来たのに……！　俺のせいで……！」
「あーあ、最期の最後までネガティブときたもんだ。スグリさまはプラス思考がへたっぴでいらっしゃる」
「だって、この状況でどうやって……」
「三留でも今を楽しんでたオイラをナメるなよ？　ってか実際、悪くねえ結果だと思ってるけどなあ。だって考えてもみてくれよ」
カキツバタは身を屈めて、泣き濡れた俺の目を覗き込む。
━━━━━━━━━━━━━

[116 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:10:40]

━━━━━━━━━━━━━
「そもそも元はと言えば、オイラは物言わずに死んで、オマエはなぁんにも悪くないのに自分を責めて泣くような状況だったんだろぃ？　しかもオイラに嫌われてるかもなんて思いながらの好感度ゼロ！　これよりひでえ状況はないと思うねぃ」
腕を組んで、芝居がかった調子でうんうんとうなずく。普段であればうっとおしいとも思える仕草だが、今は重い空気を霧散させるようで助かった。
「それがこうやってお互いわかり合って、スグリはオイラをだぁいすきになったんだから大した僥倖よ。あとはオマエが泣いたりしなきゃ万々歳！　どうよスグリ、思ってたほど悪い結果じゃなかったろ？」
な、と同意を求められ、俺は返事に窮してとりあえず涙を拭った。そう簡単に心は方向転換しないけれど、カキツバタの言うことにはそれなりの理がある気がする。
少なくとも良くはなった。最善でなかったというだけで。
俺は苦心して嗚咽を引っ込め、グス、と鼻を啜ってからカキツバタを見上げた。
「じゃあ、カキツバタは、これで未練さなくなる……？」
「うーんそうね……まああるっちゃあるなあ。とりあえずオイラのポケモンたちのことは頼んだぜぃ。んで、他にもあるけど今んとこは……」
━━━━━━━━━━━━━

[117 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:14:15]

━━━━━━━━━━━━━
カキツバタは腕を上げてうんと伸びをする。
「けっぱって生きろってどっかの誰かさんに言われちまったからなあー。ツバっさんとしても珍しくやる気出しちまったし、この熱量どーすんだいってかんじではある。だからまあ――」
晴れ晴れとした笑顔で、告げる。
「来世から本気出すか！」
「ら……来世？」
思いもよらない言葉に、俺は目を丸くする。それが面白かったのか彼は声をあげて笑った。
「おうよ、来世！　今世はここらでお暇させて頂きやすが、来世こそはデカイことやってやるからご照覧あれぃ！　ま、当社比だけどなー」
「ほ、本気で言ってんの？」
「本気よ本気。だからみんなに言っといてくれぃ。生まれ変わったら、今度こそノート貸してくれって……」
「それは……カキツバタ次第だと思うけど……」
手厳しいねぃ、と笑う顔に翳りはない。釣られて俺まで気が軽くなるほどだった。
━━━━━━━━━━━━━

[118 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:20:57]

━━━━━━━━━━━━━
カキツバタはそして、俺の頭をぽんと撫でる。
「ってことで、来世はもーちっと男磨いてくるからよ。覚悟しといてくれい」
そう言われて、何故だかせっかく止まったはずの涙がまた滲みそうになった。けれどここで泣くのは矜持が許さなくて、意地で堪える。出来上がった表情はきっとむくれた子供のようだっただろう。
「……どうせカキツバタのことだから遅れて来るんだべ」
「へっへっへ、違えねえ」
「でも、待ってっから」
そう告げると、カキツバタは珍しくぽかんとした。
すぐににかりと笑う。
「そいじゃ、けっぱりますかねぃ」
「……うん」
この男はとにもかくにも不真面目で適当で発言に信憑性がないけれど、きっとこの約束だけは守ってくれるだろうと信じられた。
だから笑って、別れを告げる。
「……んだば、おやすみ、カキツバタ」
その言葉を最後に、俺の意識もゆっくりと暗転した。


バッドエンド1『来世から本気出す』
━━━━━━━━━━━━━

[119 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:23:43]

というわけでバッドエンド１でした。２や３はありません！

このあとスグリは病院で目を覚まし、カキツバタが亡くなったことを聞かされます
ですが取り乱したりはせずにしっかりと受け止めることが出来ましたね

バッドエンドというわりには温いです！
ですがあんまり悲惨にすると部屋の意義そのものが問われるのでちょっとマシくらいにしました

[120 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:26:31]

スレでも言われてましたがハッピーエンド確定した状態のバッドエンドは安心して読めますね…
バッドエンドを希望してくださってありがとうございました～
明日からはトゥルーエンドの後日談を書いていこうと思います！　よければお付き合いください

[121 二次元好きの匿名さん 24/03/27(水) 21:31:45]

毎日最高文をありがとうございます
このバッドエンドすごい好きすぎる
ツバっさんの本気出す宣言もだしスグリの別れの言葉がさよならとかじゃなくておやすみなのがいい……
トゥルー後日談も楽しみです

[122 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/27(水) 21:36:08]

>>119

ちょっと訂正

このあと事件前日に目を覚まして（記憶なし）一連の出来事やった後に病院でぶっ倒れて目を覚ました時（未来が確定したとき）にこの出来事を思い出すんでした

そこらへんはトゥルーと同じです

[123 二次元好きの匿名さん 24/03/27(水) 21:40:55]

バッドエンドも味わい深くていい…
カキツバタのことだから遅れてくるだろう、でも待ってる、っていうのが刺さりました

[124 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 00:41:07]

カラッとした態度がかえって切ないなあ！
けど希望もあるのがいい…けっぱってやってきた歳下転生ツバタ×歳上スグリもワンチャンありえる…ってコト！？

[125 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 04:59:55]

ポケモンに転生してスグリにゲットしてもらうっての想像しちゃった
人に転生だとして幼児ツバタと大学生スグリもわやええなぁ

[126 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 13:43:46]

保守

[127 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 14:42:10]

バドエンもすごく良かった…！
ありがとうございます！！

[128 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 18:17:58]

カキツバタって口調を何となくそれっぽく仕上げるくらいならそこまで難しくはないけど内面描写も含めてそれらしく書き上げるのは相当難しいってよく言われるキャラだから、一度も引っかかることなくスッと読めるくらい「らしく」書けるスレ主さんはマジですごいと思う
そしてスグリも何考えてるか（実姉のゼイユはおろか本人ですら）よく分からないとされるキャラなのに「これはスグリだ」って自然に思えるのがまたすごい
何が言いたいかって最高だってことだよ
エピローグも楽しみにしてます

[129 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:03:39]

感想などありがとうございます！
嬉しいです！
後日談をはじめていきますー

[130 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:07:18]

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――日常が戻ってきた。
オイラが退院を果たし、事故の調査など諸々も終了して、完全に元通りになった頃にはそれなりの日数が経過していた。なんだかんだでリーグ部に戻ってきたときはみんなから優しく出迎えられ、今日も今日とていつもの席で駄弁る幸福を享受している。
授業の終わる時間帯になり、部室に賑やかさが増していく。オイラのお気に入りの席からは、部屋全体と特に出入り口がよく見える。現れる部員を眺めては、あいつ今日は早いな、あいつ今日は初めてのポケモン連れてるな、などとのんびり思い浮かべていた。
「――お」
そして新たに入ってきた人物を見て、オイラは眉を上げる。
スグリだ。あの部屋にいたときとは違って髪を結い、ジャージを羽織ったいつも通りの姿。彼は周囲の部員に挨拶してから、掲示板を眺め始める。
オイラとスグリの関係は、あの一件を機に劇的に変化した――のだけれど、これまでと変わりなく過ごすことを提案したのはスグリだった。もっと正確にいえば、「カキツバタのことは好きだけど、恋愛とか付き合うとかそういうのよく分かんねっから、いつも通りでいい？」だ。照れるでもなく困惑した調子で言われてしまえば、「もっかいちゅーさせてくれい！」という言葉は飲み込む他ない。そういうわけで退院以後も、オイラとスグリはこれまで通りの距離感を保っている。
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[131 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:08:39]

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……とはいえ、だ。どうしたって好きなヤツが現れれば目で追ってしまうもの。それくらいはご容赦願えるはずだ。ニヤニヤしながらスグリを見つめるのは以前からやっていることだから、はたから見ても怪しまれないだろうし。
スグリは掲示板を読み終わると、今度は共用の本棚へ向かい、しばらく吟味してから一冊の本を抜き出す。さてなんの本かと目を凝らしていると、不意に目と目が合った。
「あ」
見すぎた。そりゃいっときも目を離さずに見続けていればいつかは目が合う。
しかしオイラはそこで目を逸らすほど殊勝ではなかったので、にーっこりと満天の笑顔を浮かべてやった。
スグリは眉尻を下げ、驚きと困惑の混じったような表情で見つめ返す。そして逃げる――と思いきや、意外にもぽてぽてと歩み寄ってきた。
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[132 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:10:13]

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「カキツバタ。あの……さ！」
「おうどうした元チャンピオン？」
「……その、前から訊きたいこと……あったんだけど」
「ほーん？　今日の昼メシはみんな大好き学園定食だぜぃ！」
「そ、そうじゃなくて。……これ……」
言いながら掲げて見せたのは、さきほど本棚から抜き出した一冊。バトルについてのシリーズで、これは特にドラゴンタイプについて詳しく載っているものだ。当然オイラも読んだことがある。
「おう、ちょいと上級者向けのやつだねぃ。これがどうした？」
「……実は、よく分かんねとこあっから、カキツバタなら分かるかもって……前から思ってて……」
なるほど、ドラゴンタイプのことならドラゴン使いに訊け、と。餅は餅屋ということだが（スグリの地元のことわざらしい）、総合的な実力で勝るスグリに頼られるのは悪い気はしない。オイラはにこにこしながら「まあそこ座れって」と隣の席を促して、スグリに講釈を始めた。
座学ダメダメの三留劣等生でも、得意分野なら見違えるというもの。オイラが話した内容をスグリは「なるほどな」と素直に受け止め、「やっぱドラゴン使いってかんじだ」と噛み締めるように言った。ついニヤニヤしてしまったオイラを誰が責められようか。
「へっへーん、オイラわやかっこいいだろ？」
「自分で言わなければな」
「わや塩！」
「なんだべそれ……。まあ、ありがと」
スグリは呆れたように言ってから、本の内容へ視線を戻す。そして熟読し始めたので、オイラは手持無沙汰になってしまった。
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[133 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:12:13]

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集中した横顔を眺めるのもいいが、なにかしらちょっかいをかけたい。邪魔をしない程度に。そう思いながらスグリの隙を探っていると、視線が腰のバッグへ向いた。
――これだ。
スグリのお腰のバッグにはお菓子がたくさん入っている。たまに部室のお菓子を拝借しているくらいだから、きっとオイラともお菓子の趣味が合うだろう。
であれば、探って美味しそうなのを頂戴してやろう。
内心で笑いながら、そろりそろりとバッグへ手を伸ばす。ジッパーの引き手をつまみ、横へスライドして――
――その瞬間、スグリの手に掴まれた。
バレた、と驚いて視線を上げると、何故だかスグリまで驚いた顔で振り返る。彼は「え？」と視線を下げて自分がオイラの手を掴んでいることを確認すると、「……わやじゃ……っ」と慌てて放した。
それで理解した。スグリはオイラのいたずらに勘付いたわけではなく、ちょうどお菓子を食べようと後ろ手にバッグを探ろうとして、不埒な手を掴んでしまったわけだ。
つまり不本意。不意打ち。予想外。
だからこそ覿面に効いたようで、彼はぼっと顔を赤く染め上げた。
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[134 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/28(木) 21:15:48]

スグリが照れたところで今日はここまでです！
このふたりの距離感難しいですねえ
明日もどうぞお付き合いください

[135 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 21:16:52]

いいな……初々しいというか甘酸っぱいというか…

[136 二次元好きの匿名さん 24/03/28(木) 21:29:36]

微笑ましいけどもどかしい距離感がかわいいねえ…

[137 二次元好きの匿名さん 24/03/29(金) 07:06:19]

ぽてぽて歩くのかわいいね…

[138 二次元好きの匿名さん 24/03/29(金) 11:15:25]

保守！

[139 二次元好きの匿名さん 24/03/29(金) 19:54:49]

ほしゅ

[140 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/29(金) 21:03:51]

保守ありがとうございます！
再開します！

[141 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/29(金) 21:06:25]

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そんな反応をされるとこっちまで照れてくるから困る。以前のスグリだったら絶対にこんな反応はしなかったし、もししたとしてもオイラは手を叩いてからかったのに。以前と変わらないように振る舞っていても、根本的な感情はしっかり変化しているから、ふとしたときに表れてしまうのが厄介だった。
ともかく、部室で二人してガチ照れしているのは非常にまずい。一瞬だけ硬直したオイラだったが、なんとか気を取り直して「バレちまったかあ〜！」と盛大に空気を壊しにかかった。
「あーあ、元チャンピオンのバッグをカラにして泣かせる計画が……」
「な……っ」
スグリが眉を吊り上げたとき、その背後に三人の人影が並んだ。オイラの言葉を聞きつけてやってきた三天王で、三者三様の表情をしている。
「カキツバタ、またスグリくんにイタズラして！　そういうの、よくないと思います！」
「理解不能……」
タロとネリネの鋭い言葉に冷たい眼差し。そうそうこれだよこれ！
いつも通りの雰囲気に安堵したとき、アカマツがスグリを覗き込んで口を開いた。
「あれ？　なんかスグリの顔、強火で赤いよ！？　どうした！？」
――アカマツ！　なんでお前さんは変なところで鋭くなるんだろうなあ！？
そのうえスグリまで余計に真っ赤っかになるから、思わず頭を抱えたくなった。この一年生どもをなんとかしてくれーい！
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[142 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/29(金) 21:10:40]

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正直なところ怠いしかったるい気持ちが湧いてきて、「実はオイラたち愛を交わし合った仲なんで照れてるだけなんですぅ♡」と暴露してしまいたいところだが、それをすると即座に関係が冷え切るのでなんとか堪えた。ここは適当に誤魔化すしかない――幸い得意分野だ。
オイラはアカマツの両肩を掴むと、ぐっと顔を覗き込む。
「アカマツ、オマエの顔が赤くなるのはどんなときだ？」
「え、オレ！？　えーっとオレは……？」
「そう！　辛いものを食ったときだ！　激辛サンド食ったら顔真っ赤になるだろぃ？」
「あ！　確かに！　じゃあスグリは激辛なもの食べたってこと！？」
「それがよぉ聞いてくれっての。実はこの元チャンピオン、うっかり辛いお菓子を買っちまったみたいでな、あまーいもの大好き♡なお子ちゃま舌には“からスパイス”は早すぎたらしいんだわ。それで助けてかきつばたぁ～と泣きつかれたオイラが全部食ってやろうとしたってぇ寸法よ」
「へえー！　カキツバタ先輩優しいね！」
アカマツが屈託のない笑顔を浮かべる一方で、スグリががたりとイスを揺らしてオイラの服を掴んだ。
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[143 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/29(金) 21:12:20]

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「な……っ、な、なんだべそれ！？　俺……知らない！　なんでそんなこと言うの！」
「あれあれ、照れちまいやしたかスグリさま？　いいんだぜぃ、人には人の成長速度ってもんがあるからな。いかにスグリが甘いお菓子しか食べられないお子ちゃまでも、恥ずかしがる必要なんざねえんだ」
とりあえずそう煽るだけ煽ってから、ムキになって言い返そうとするスグリに耳打ちする。
「こりゃお前さんが顔まっかっかだったことの言い訳だ。嫌なら正直に『だぁいすきなカキツバタと手が触れ合って照れちまいました』って言うか？　バレたくなけりゃオイラに合わせなー」
するとスグリは「う」と呻いて言葉を飲み込む。いつも通りを望んだのは彼の方で、もちろん好き合っていることを他者に知られればいつも通りでいられるわけがないから、従うしかない。
それでも怒りと羞恥は飲み込み切れなかったらしく、オイラの服を掴んだまま「うぅー」と睨んだ。
「カキツバタのずるっこ！　バカ！　バカバカバーカ！」
相変わらずの大変豊富な語彙力につい笑ってしまう。姉の独創性のあるワードセンスとどこで差がついたのか。
などと考えていると、噂をすれば影。部室の出入り口の方から刺々しい声が聞こえてきた。
「――ちょっと頭フワ男！」
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[144 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/29(金) 21:13:16]

ねーちゃん来襲！
というところでまた明日です
感想など嬉しいです、ありがとうございます！

[145 二次元好きの匿名さん 24/03/29(金) 21:47:37]

かわいくてニヤニヤするーゼイユがどう出るのか…
明日も楽しみにしています！

[146 二次元好きの匿名さん 24/03/29(金) 22:25:20]

沢山キャラ出てきて楽しくなってきた！
それはそれとしてイチャつく時は部室じゃなくてどっちかの部屋でやるか…

[147 二次元好きの匿名さん 24/03/30(土) 07:24:22]

ほしゅ

[148 二次元好きの匿名さん 24/03/30(土) 11:55:10]

スレ主さんの書かれる物語やキャラ描写がすごく好きです！

[149 二次元好きの匿名さん 24/03/30(土) 20:43:08]

続き楽しみ保守

[150 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:01:02]

再開します！

[151 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:02:16]

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振り返れば独創性のあるワードセンスの持ち主――ゼイユが腰に手を当ててこちらを睨みつけている。険のあるときの目つきは姉弟でそっくりだなあ、などと考えていると、つかつか歩み寄って机にばんと手を叩きつけた。
「あんたねえ、あたしがいない間にまたスグにちょっかいだしてんの！？　やめなって言ってるでしょ！」
「ところがゼイユ、オイラははいとうなずいた覚えはないぜぃ！」
「むっ……かつくー！　あんたなんなのよ！？　っていうか……あんたたちがなんなのよ！　なんか例の件からこっち、妙に距離近くない？　前だったらカキツバタはともかく、スグは近寄らないようにしてたじゃん！　絡まれたら逃げなって言ってんのに、この前なんか自分から寄ってって！　そんなんだからからかわれんのよ？」
「ね、ねーちゃ、それは……」
「そりゃあの件でちょっとはこの男のこと見直したし、入院中のノートを貸してあげたりもしたけど、あんたは命の恩人なんだから絡まれたら遠慮なく怒んなさい！」
「う……えっと……！」
ゼイユの矛先がスグリに向き、彼は露骨にあたふたし始める。オイラはといえばゼイユの観察眼に舌を巻いていた。こっちとしてはいつも通りにしているつもりだったのに、知らぬ間に関係の変化が滲んでいたらしい。指摘されるまで気づかなかった。
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[152 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:03:34]

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さすが姉、と敬意を表しつつ、話を逸らすことにする。
「ゼイユさんよー、黙って聞いてりゃずいぶん過保護じゃねえですかーい？　もう過保護はやめるってオイラ小耳にはさんだんだけどなー」
あえてへらへらと笑って言えば、凄味のある金目がギロリと見下ろしてくる。
「うっさいわね！　弟に悪い虫がつくのを追っ払うのは過保護でもなんでもないわよ！」
「オイラあく・むしじゃなくてドラゴンだもーん。そもそもの話、悪いのは本当にオイラかい？　スグリを見てみろ、弄りポイントが無数にあるうえに弄れば弄るほど良いリアクション返してきてこんなに面白いもんはない！　これがからかわずにいらいでか！？」
「確かにスグは甘いもの好きだし辛いものどころか苦いものもダメでワルいものに憧れるだっさい髪型のイキリお子ちゃまだけど、あんたがからかうとむかつくのよ！」
「イキってない！　ねーちゃんのバカ！」
「誰がバカだ！　手ぇ出るよ！」
ゼイユが威嚇してスグリが怯む。こうして姉弟のコントが始まってしまえば、もういつも通りのリーグ部だ。アカマツが笑い、タロがため息をつき、ネリネが見守る。和気藹々とした空気になったのを感じ、オイラは安心して机に突っ伏した。
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[153 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:05:35]

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だらだらと過ごしているうちに時計の針は進み、外界では日が沈む頃合いになった。部員もひとりまたひとりと数を減らし、残っているのはもう鍵当番のスグリとオイラだけだ。
ぼちぼち帰るとしますかね、と席を立つと、後ろから背中をぽこんと叩かれる。振り返ればぶっすりとした顔の子供が見上げていた。
「おっ、背後から闇討ちとは卑怯だねぃ」
「どっちが！　さっきは変なことさ言って！　俺は子供じゃない！」
「うんうん、子供はみんなそう言うもんだ……」
「うざ……。どうすんだべ、アカマツに俺が子供っぽいって思われたら……」
そうやってスグリがいかにも子供らしい心配をするものだから、ついニヤニヤしてしまう。悪びれもせずに「悪ぃ悪ぃ」と謝れば、それ以上言う気をなくしたようだった。
静かな部室に小さなため息が響く。そして彼は、ふと、表情を神妙なものに変えた。
「……あと、真面目な話……なんだけど」
「……うん？」
「俺……考えたんだけどな」
視線が気まずそうに中途半端なところに向けられる。どうやら楽しい話ではないらしいと身構えると、告げられた内容は確かにつまらない話だった。
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[154 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:08:46]

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「俺ら、しばらく部室で話すのやめた方がいいかもしんね。……なんか、やっぱ変に思われてる……し」
「あー。お前さんすーぐボロ出すからなあ」
「……ごめんな」
別にいいのに律儀に謝ってから、「あと、」と続ける。
「その……言いづらいんだけど」
「……言ってみな」
なにを言われるのだろう、と瞬時にいくつかの想像が頭を巡る。距離を取る話をしたうえで、それよりも言いづらい内容。――あのときのことはやっぱり吊り橋効果でよく考えてみたら好きじゃなかったとか。全部忘れてなかったことにしようとか。普通にうざいとか。
果たしてそんなことを言われたとして、自分がどう出るのかが分からなかった。嫌は嫌だが、追い縋るのか、それとも怠惰に受け入れるのか。
そんなことを考えて一瞬思考を飛ばしたが、息を吸う音で意識を向け直す。
スグリはうっすら頬を染め、オイラを上目遣いに見つめながら言った。
「今夜、カキツバタの部屋さ行っても……いい？」

――どうしてそうなった？

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[155 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/30(土) 21:11:47]

今日はここまで！
あとはイチャイチャするだけの話になります……！

[156 二次元好きの匿名さん 24/03/30(土) 21:14:42]

わや積極的なスグリに振り回されるツバっさんは良いものですね…
イチャイチャタイム宣言やったぜ

[157 二次元好きの匿名さん 24/03/30(土) 21:27:36]

乙です！
部屋の指示じゃなくナチュラルにイチャつく二人楽しみだなあ

[158 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 06:33:49]

保守

[159 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 08:03:17]

スグリの方から積極的なのいいね…

[160 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 09:07:52]

無自覚インモラルショタめ
イチャイチャ楽しみ

[161 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 13:39:30]

保守☆

[162 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:00:53]

感想や♡などありがとうございます！
再開していきます！

[163 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:03:49]

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これまでスグリがオイラの部屋に来たことはない。逆にオイラがスグリの部屋に行ったことも。だから部屋に来た場合の展開が予想できず、ああでもないこうでもないと柄にもなく考えを巡らせてしまう。
そもそも“いつも通り”はどうした。などと悶々としながらベッドに転がっていると、やがて部屋の扉がノックされた。
扉を開けたむこうには、小さな後輩が遠慮がちにぽつんと立っている。どうやらオフモードらしく髪は下りており、いつものタンクトップの上にパーカーを羽織っていた。
「おう、来たな。ようこそツバっさんルームへ！」
招き入れれば、きょろきょろと不安そうに見回しながら入ってくる。まるで捕まえたての未進化ポケモンだ。
「なんか食うかい？　お前さんの好きそーなチョコがあったんだよなーどっかに。どこだったかねぃ」
「い、いい……。どうせ食いかけなんだべ？　賞味期限切れる前に食べた方がいいよ……」
「オイラの胃は期限切れなんかに負けないぜ」
「責任もって全部自分で食べてな」
スグリがなんとなくしらっとした視線を向けてくる。さっきまでの所在なさげな雰囲気は掻き消えて、可愛げがないのが可愛かった。
イスなんて上等なものはないので、まあオマエも座れよとベッドに腰かける。隣に並んだスグリは、興味深そうにベッドを触ってマットレスの硬さを確かめていた。
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[164 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:05:33]

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「そいじゃ、本題に入るかい？　なんか用があったんだろ」
顔を覗き込みながら尋ねると、彼は照れたように前髪に触れる。
「用ってほどじゃ、ねんだけど……。その……！」
「んー？」
「……俺、どうしたらいいか分かんねっから、いつも通りって言ったけど……。……なんか、な。……もすこし一緒にいたくなっちまって……」
うお。
たどたどしい口ぶりから飛び出してきた素直な剛速球に、さしものオイラもたじろいでしまう。塩対応したと思えば素直に甘えるなんて、わざとやっているのかと思うがおそらく無自覚だ。
動揺したのをどう受け取ったのか、彼は慌てたように手を振った。
「あ、ご、ごめんな。ひとりでくつろいでたのに、用もなく邪魔しちまって」
「いやいやなんで謝った！？　お前さん、そのクセ直した方がいいぜぃ……。オイラはなーんも問題なし！　むしろ大喜び！　だぁいすきなスグリといられるんだからな」
オイラもストレートな本心を打ち返すと、スグリの頬が染まって眉がへにゃりと垂れる。照れてる照れてる。可愛すぎますよー、と脳内タロがはしゃぎまわっている。
とうとうスグリは深くうつむいてしまい、前髪に隠れて表情が見えなくなってしまった。もったいないが、ちらりと見える耳が真っ赤なので良しとしておく。
「俺……な！　昼間……うっかりカキツバタの手、触っちまって……そしたら、あったかくて……なんか、すごく安心して……」
「……おう」
「……だから、もう一回、抱きしめて欲し……」
なんだこのラリーは。いつの間にかHP削りきるまではかいこうせんを撃つバトルが始まってるでやんすけど。
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[165 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:07:28]

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とはいえこれでこっちのHPはゼロになったので勝負ありだ。オイラは無言で、勝者であるスグリをひょいと抱き上げ、ベッドの真ん中へ放り投げる。
「わやじゃ！？」
目を白黒させる子供をさっそく抱きしめようとして、ふと良いことを思いつく。よりよく体温を伝える方法だ。
「せっかくベッドなんだし、活かさない手はないねぃ」
オイラは壁際でくしゃくしゃになっている掛布団を掴むと、自分の背中に羽織るようにする。これで抱きしめて二人包まれれば熱が逃げないという寸法だ。
――が。そんなオイラの姿を見てスグリは目を丸くし、そして肩を揺らして楽しそうに笑った。
「にへへ……なんか鬼さまみたい……わやめんこい」
「鬼さま？」
「あの、オーガポンっていうポケモンっこで……」
「あーキョーダイがたまに連れてるやつな。確かになんか羽織ってるかんじだったねぃ。オイラの可愛さもついにあのレベルかあ……」
「そこは天と地の差があるけどな」
「いきなりシビアだねぃ……」
シビアなことを言いつつも、スグリはまだへにゃへにゃと楽しそうに笑っている。あまり向けられることのない表情に胸が熱くなって、たまらず今度こそ抱きしめた。
「わや……っ！？」
いきなりだったせいか驚いたような鳴き声が上がる。けれどしばらくそのままじっとしていると、やがてオイラの背中に小さな手が回って抱きしめ返してきた。
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[166 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:09:41]

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オイラも体温を取り戻したとはいえ、結局こども体温には敵わない。布団のなかで自分とスグリの体温が混ざって、暖かさがじんわりと体に染み入ってくる。
スグリの体は柔らかかった。細っこいから決して肉感的な柔らかさはないが、子供特有の柔軟性があるのだ。やたらと関節の融通が利いて腕は上がるし腰は反るし、抱きしめやすくて堪らない。調子に乗ってぎゅうぎゅう抱きしめていると、ついに抗議の声が上がった。
「カキツバタ……苦しい！　力……強い！」
「悪いねぃ、なーんかオマエがやらけえもんだから……。うおーこれ腰どこまで曲がんだ！？」
「わぎゃー！　背中折れる！　やめろバカ！」
「うおっ、待て暴れるなって……！」
物は試しと腰を反らせ続けていたら鯖折りのような体勢になってしまい、スグリがじたばたと暴れはじめる。大した抵抗ではないが不安定な寝具の上ということもあって、うっかりバランスを崩して倒れ込んだ。
スグリのうえに思い切りのしかかってしまったので、慌てて手をついて体を離す。彼はベッドに沈んだままではあるものの、怪我などはしていないようで安堵した。
そして、黒髪をシーツに散らばらせるスグリを見下ろし、ふと、気づく。

この構図は、ちょっと、まずくないか？

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[167 スレ主◆llyUGYmmMw 24/03/31(日) 21:12:01]

ラッキースケベしたところで今日はここまでです！
イチャイチャかくの楽しすぎますよー！

明日には完結するかと思います
どうぞ最後までお付き合いください

[168 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 21:16:12]

イチャイチャの破壊力！そしてなんといういいところで持ち越し…！
完結は名残惜しいですが明日も楽しみにしています！

[169 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 22:12:40]

あ～～～～～～すき！！！！すっごいかわいい！！！てえてえです！！！！スレ主さんのおかげでカキスグに目覚めました！！ありがとうございます！！！完結までしっかり見届けます！！！

[170 二次元好きの匿名さん 24/03/31(日) 22:38:06]

わっふるわっふる(古いぞお前)

[171 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 07:43:12]

保守！

[172 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 12:26:20]

完結期待保守！

[173 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 19:40:38]

おそらくもうすぐスレ埋まってしまうかも＆出掛けなきゃいけなくてラストチャンスと思い感謝のイラストたちを捧げに来ました！ファンアート描いておっけーの書き込みがあったので…最後まで読んで貼りたかった…

https://bbs.animanch.com/board/3102073/

お話毎日ありがとうございます！本日更新も楽しみにしてます！

[174 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:03:39]

ここまでのあらすじ：スグリを押し倒した
━━━━━━━━━━━━━
体勢を意識した途端、カッと体が熱くなる。思わず無言になって見下ろしていると、スグリの視線がこちらを向いた。
「カキツバタ……？」
押し倒したおかげで服が乱れ、首元のみならず肩口まであらわになっている。それが無暗に視線を誘い、得も言われぬ感情を掻き立てた。
魔が差した。そっと手を指し伸ばし、首筋のほくろに指を這わせる。そのまま鎖骨、胸へと滑らせれば、スグリはびくりと体を引き攣らせ「ひ、ぅ！」と声を上げた。
見上げる目には困惑が滲む。
「な……なに……？」
「……抵抗したほうがいいぜぃ。オイラ、これからオマエが嫌がることすっから」
わずかに残った理性がそう警告する。ここで拒絶してくれれば歯止めが利くはずだから。
けれどスグリは怯えたそぶりをしながらも、頬を染め、目を潤ませながら囁いた。
「いい……よ。カキツバタになら……なにされても……」
――理性の焼き切れる音がした。
どくりと鼓動が高く鳴る。スグリの呼吸は緊張のためか浅く早い。上下する胸を見てオイラはごくりと生唾を飲み込み、その服に手をかけて思い切りたくしあげ
━━━━━━━━━━━━━
（省略されました。全てを読むにはわっふるわっふると書き込んでください）

というわけでエイプリルフールでした
懐かしのネタもふられたのでノらざるを得ず

続きから再開です！

[175 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:08:01]

━━━━━━━━━━━━━
少々不埒な想像が頭をよぎる。――が、スグリが口元に手をやってくすくす笑い出したので、すぐに霧散してしまった。
「なんかこういうの……お泊まりみたい！　友達っぽくて、わや楽しい……！」
ド健全！　あまりにもお子さまらしい発想に、つい全身から気が抜けてしまう。こうなったら枕投げでもしてやろうか。いっこしかねえからドッジボールになるけど。
ため息をつきながらスグリの上から退き、寝転がる彼の横に腰を下ろす。色気のいの字もない雰囲気が少々残念でもあり、大いに安心でもある。総合的には良いことだった。
スグリとはただ会話して、じゃれあって、怒ったり笑ったりできれば十分。――だからこそ、オイラはスグリにひとつ提案をした。
「な、スグリ。やっぱり部室でも話そうぜ？　わざわざオマエを避けなきゃいけないとか、こんな悲しいことがあるかい？」
するとスグリは笑顔を引っ込め、困ったように眉を寄せる。
「……でも、たぶん俺、またボロ出すと思う……」
「バレたらバレたでいいじゃねーの。オイラたちとぉーっても仲良しなんですぅー♡　って言やぁさ」
「それ知ったら、ねーちゃんがカキツバタをただじゃ済まさねえと思うけど」
「……まあそこは……命だけは見逃してもらうとしてだ」
せっかくスグリに繋いでもらった命を実姉に消し飛ばされたら悲しすぎる。が、とりあえずそのときのことはそのとき考えることにする。大事なのは今だ。
「オイラもべたべたする気はねえけどよ。でも好き合ってるからには、話したいときには話して、居たいときには居たいってもんだろ。……だってオイラ、あのとき言ったよな？」
――死ぬまで一緒に居ようって。
身をかがめて耳元で囁いてみると、ぼっと音がする勢いで顔が赤くなる。つい笑うと、悔しそうな顔をしながら手で追い払われた。
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[176 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:11:11]

びっくりした174はエイプリルフールネタだったのか…！！
わっふるわっふるの元ネタは知らないけど昔のネットミームなんだろうな、

[177 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:14:06]

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スグリは頬を紅潮させたまま、視線を合わせずに「……分かった」と呟く。
「別に距離取らなくても……いい。けど、なるべくいつも通りでな」
「はいよ。へーきへーき、どうせオイラは基本駄弁ってるし」
「……けど」
「んー？」
「知ってる人さいない場所なら、いつも通りじゃなくてもいい……。学校以外の……」
ほう？　オイラは眉を上げ、「というと？」と続きを促してみる。スグリは目を逸らしたまま、前髪をいじくっている。
「ふたりで……どっか遊び行ったり……したい。イッシュの観光とか……ピクニックしてポケモンっこと触れ合ったりとか……。……楽しいべ？」
楽しそうだ、と素直に思った。スグリとじゃれあいながら行くならどこだって楽しいだろう。怠惰な自分が重い腰を軽々上げてしまうくらいに。“未来”という、自分には縁がなかったはずのものを心待ちにしてしまうくらいに。
変わったもんだ、と感慨深くなる。
「……いいぜぃ。そいじゃー計画は任せた！」
「カキツバタも一緒に考えんの！」
「はーいはい。けっぱるけっぱる。……ところでスグリ、人がいない場所っていえば……」
オイラは体勢を変え、ベッドに肘をついてスグリの上に覆いかぶさるようにする。すると彼は先ほどと違って、うろたえながら頬を赤くした。
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[178 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:16:46]

>>174

わっふるわっふる

[179 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:19:29]

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「え、なに、カキツバタ……」
「オイラずっと気になってたんだよなー。“あのとき”ってオマエにとっちゃ冷たいツバっさんだったから、どっかでリベンジしたいって」
「…………あのとき……って？」
「人がいない場所っていうと、居室だってそうだもんな。そいじゃ、いつも通りじゃなくてもいいってわけで」
「えっ……」
言いながらスグリの頬に手を添える。熱い。胸に触れずとも、早鐘のように打つ鼓動が伝わってくるよう。
同じだけ脈打つ自身の鼓動を感じながら、問いかけてみる。

「もう一回、キスさせてくれ」

――顔を真っ赤に染めて、声もなくうなずく様子に笑みを滲ませながら、
愛しい人にキスを落とした。
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後日談　完

[180 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:19:40]

これは全裸待機でわっふるわっふるするしかねぇ！

[181 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:21:42]

というわけで後日談も書き終わりましたー！
マジで今書きながら更新してたくらい書きたてほやほやです

ここまで読んでいただき、また感想や保守、ハート、ファンアートなど、ありがとうございました！

[182 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:22:56]

わっふるもありがとうございましたー！　あっちの続きは書けませんけど！
ちょうどエイプリルフールだったので悪ふざけしましたがノってくれてありがとうございました！

[183 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:23:47]

完結お疲れ様でした！！最高のイチャイチャ後日談でずっとニヤニヤしっぱなしでした！
主さんの書かれるカキツバタとスグリの人物描写はとても二人らしくて毎日追うのが楽しかったです！

[184 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:25:03]

思わずわっふるわっふるしたくなってしまったッ！

完結お疲れ様です……！
毎日本当に素敵な文ありがとうございました
ハラハラからの大団円でしかも初々しい後日談まで読ませてもらえて本当によかったです……
派生のFAも眼福だし本当良スレでした、またどこかでスレ主の文に出会えますように！

[185 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:25:33]

>>173

ありがとうございます！！

ファンアートっていうかこっちがファンになったんですが……！？

めちゃくちゃ最高のカキスグありがとうございます……！　思わずガッツポーズするほど嬉しかったです……！

カキツバタが心配になっちゃうスグリも、スグリの言葉に撃ち抜かれてるカキツバタも良すぎです！

本当にありがとうございました……！

[186 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/01(月) 21:30:51]

繰り返しになりますが、ここまで閲覧、感想、保守、ハート、ファンアートなど、とても嬉しかったです
自分がカキスグでなにかやりたいと思ってスレ立てしてみましたが、新しくカキスグを好きになってくれた方もいらっしゃってやってよかったなと思いました
みなさん本当にありがとうございました！

200までもうちょっとありますが完走させたいです
カキスグの好きなところとか自由に書いてもらって、ご協力お願いします……！

[187 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:56:41]

最高でした！ありがとう！
また読めることを祈ってます

[188 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 21:58:15]

完結お疲れ様でした！
二人のやりとりが素晴らしくて何回も最初から読み直してます！

[189 二次元好きの匿名さん 24/04/01(月) 22:36:14]

三留ちゃらんぽらんとわや真面目少年

兄貴分とお子ちゃま

元々チャンピオンと元チャンピオン

からかう方とからかわれる方

けっぱれない方とがむしゃらにけっぱる方

こう色々と対照的だけど、対照的だからこその化学反応がカキスグのいいところですよね

>>10のスグリの懸命さに引っ張られるカキツバタや、エピローグやバッドエンドみたいにカキツバタの笑顔に沈んだ気持ちを和らげるスグリが好きです

[190 二次元好きの匿名さん 24/04/02(火) 07:53:47]

お疲れ様！めちゃ好みの文章でした

カキツバタは海外版だとスグリに何度も負けているらしい情報を聞いた時ちょっとグッときた

[191 二次元好きの匿名さん 24/04/02(火) 17:50:12]

完結お疲れ様です！
一見カキツバタが一方的にスグリをからかって振り回しているようにみえるけど、スグリを元に戻すために色々画策したり、休学して落ち込んだりカキツバタもスグリの言動で結構心乱されてるところが好きなので、お互い振り回し合う二人がたくさん見れて本当に最高でした！

[192 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 19:20:00]

感想やカキスグ語りありがとうございます！

それな……とめっちゃ頷きながら読んでいました

まずスレ主が語るの忘れてたので語ります

一番好きなのは怠惰なカキツバタと身を削るほど頑張ってしまうスグリの対比ですね

留年を繰り返して停滞し続けるカキツバタと、吐くほど頑張って抜き去っていくスグリという構図が鮮烈だと思います

カキツバタはオモダカさんに対し「オイラ今が楽しけりゃそれでいいんですわ」とスカウトを断りますし、ハッサクさんには「ときにはまわり道してゆっくり歩くのも人生だろぃ！？」と留年を肯定します。カキツバタにとっては【今】が大切で【未来】はあまり見てないなという印象でした

なので不慮の事故により【未来】がなくなったら？　というのがこの話なんですが、【今】もなくなってしまうから未練とかはさすがにあると思いますけど、【未来】がなくなることに関しては諦めが早そうです

けれど吐くほど頑張れるし（やりすぎだけど）部屋に頑張ったあとがたくさんあるようなスグリは、その諦めを肯定しないだろうというのが>>8あたりのシーンでした

そしてそんな懸命に生きるスグリにカキツバタが心動かされたらいいなという妄想をしています

逆にスグリは根を詰めすぎ思いつめすぎなところがあるのでカキツバタの緩さに影響受けたらいいなと妄想しています

[193 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 19:22:26]

あと体格差！　おにショタ！
身体的にも精神的にも凸凹なところがカキスグの魅力だと思っています

[194 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 21:03:53]

埋めがてら現在のパラメータきめとこ

エピローグなどを経てどう変わった？

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【ダイス】

▼パラメータ変動

カキツバタのノンケ度(現在11％):-dice1d30=17 (17)

スグリからの好感度(現在95％): ＋dice1d30=23 (23)

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[195 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 21:09:25]

というわけで無事お互いに大好きですね！

スグリがどっか遊びに行きたいみたいだけどどこいく？

１:パルデア観光

２:キタカミのお祭り

３:バトルサブウェイで腕試し

４:だりぃしねみぃしかったりぃのでお部屋でまったり

dice1d4=3 (3)

[196 二次元好きの匿名さん 24/04/02(火) 21:16:29]

バトルサブウェイ、元チャンピオンズらしくていいなあ

[197 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 21:16:30]

バトルサブウェイ！

せっかくならライモンシティで遊んでから挑むといいでしょう

またBP稼ぐのか……と思いつつマルチトレインに乗ったふたりはサブウェイマスターに勝てたのでしょうか？

１:勝てた

２:負けた

dice1d2=1 (1)

[198 二次元好きの匿名さん 24/04/02(火) 21:17:26]

バトルサブウェイで勝ってるのらしさがあってイイネイヌ…

埋め便乗しようと思ったら粗方好きなところが出尽くしてる…！
皆さんのに＋して対極的だからこそお互いみたいになれないと思ってそうなところと関係性の変化とこれからの関係性がどうなっていくのか楽しみなところが好きです

[199 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 21:21:17]

無事ノボリさんとクダリさんに勝てたようです！
さすが元チャンコンビ！
きっとふたりともいい汗かいて楽しく過ごしたことでしょう
そして学園に戻ってきたら、またいつものかけがえのない日常に戻るのです

[200 スレ主◆llyUGYmmMw 24/04/02(火) 21:21:30]

というわけで！
カキツバタとスグリは無事カキスグになって、幸せに過ごすことが出来ました！
200ならカキスグはこれからもずーっと幸せ！