釘崎の関係者生やしたい(ダイス) その13

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:35:11

    次! 賀樂ちゃんの過去話が続くが今は小ネタかな?

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:40:28

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:40:42

    ほしゅ

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:40:58

    保守の番

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:43:20

    保守

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:46:44

    ほす

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:46:54

    保守

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:48:11

    保守2

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:48:26

    9

  • 10二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 23:02:25

    10

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 23:14:10

    小ネタ 三輪の不運?な日。

    「あははは、うふふふ」

    上機嫌に三輪は駅の構内を歩いていた。三級術師として堅実な、悪く言えば鳴かず飛ばずの彼女であったが
    今回の任務で一級術師たちと並んで任務をこなしたことで実勢を積み、昇級もあるかも?と
    内心彼女は浮かれていた。

    そのせいなのかはわからないが・・・

    「あれ・・・私のカバンと財布どこ・・・?」

    ふとしたことから駅で一人、無一文となった。

    「と、とととととにかくおちつけわたし・・・携帯・・・ないな、財布・・・ないな・・・鞄も・・・そうだ、ないんだった」

    頭を抱えた。県外で一人になった絶望から三輪はひとり真っ白になった。

    「あああ・・・私のお金が・・・生活費が・・・あぁぁぁぁ」

    構内の壁に寄りかかって溶けかけていた三輪だったが・・・

    「あれ、三輪先輩?」

    救い主、我らが夏彦の登場である。

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 23:26:38

    「なにやってんですか、ここで?」
    「夏彦くぅぅぅっぅぅぅ」
    「うわ、なになに?」

    べそべそと泣きながら夏彦に縋りついた三輪。周囲の視線が痛かったが夏彦は三輪を宥めて事情を尋ねた。
    「なるほど、連絡手段含めて貴重品の一切を無くしたと」
    「うん・・・」
    「全ロストってやつですね」
    「なんども言うなぁ!」

    わー!と泣きながら抗議したものの無一文に変わりはない。紛失というよりは窃盗の被害にあったのだろうか。

    「はー・・・ま、僕もそんな手持ちあるわけじゃないんで・・・」
    「うぅぅ・・・ごめんねぇ」
    「とりあえずこれだけ・・・」

    そう言って渡された封筒は折り曲げるのにちょっと無理臭い厚みがあった。

    「とりあえずでもらえる厚みかな?」
    「これくらいしかないんで・・・あとはこれで凌いでもらうしか」
    「ちょっとまってまだなにかあるの?」
    「この名刺だしてください、これで関西圏のタクシーはタダで乗れるんで・・・」
    「タクシー券じゃなくて?」
    「あと、この柄糸を京都のこの名刺の店に持ってったら替えの刀を容易してくれるんで使ってください」
    「手触りからして絹かなにか?ってかこれで刀と交換してくれるんだ・・・」

    んじゃ自分はこれで、きをつけてくださいね?と夏彦から念を押されて、三輪は呆気にとられながらも頷いた。
    我に返った三輪はこっそりと封筒の中身を確認する。

    「封筒・・・わぁ・・・私の年収だァ・・・」

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 23:38:13

    財力の差が酷すぎて草

  • 14二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 23:40:37

    >>13

    華族の末裔と一般人というね・・・w

  • 15二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 00:15:27

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 16二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 00:47:49

  • 17二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 08:19:55

  • 18二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 10:48:49

    唐突に三人が夏彦に対して求めるあれこれ

    真希:甘えてほしい

    真依:手を引いて甘えさせてほしい

    野薔薇:一緒に笑っていて欲しい

  • 19二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 17:17:10

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 22:56:24

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 22:57:30

    再開します!そろそろ本編へ


    賀樂の笑顔を見て少しだけ安堵した夏彦は家入に細かい確認を取った後に高専を後にした。
    これから彼女に起こるだろう苦難を想像しては溜息をつきつつ。

    「さてどうするべきかな・・・」

    名家である禪院家にこのことが漏れるのは恐らくは時間の問題だ。夏彦はなんとなくそう思う。
    確証があるわけではなかったが、同じく名家の生まれである彼には後ろ盾を失ってからの日々でそれを察知していた。
    何より、夏油が賀樂を手に入れるのに必要な要素となるのが彼女を保護から引き離すことであり、それを達成するのに高専と家入・・・そして五条の影響力から引き離すことが重要だからだ。

    「漏れるだろうなぁ・・・混乱させるのに一番だしな」

    禪院家と高専をもめさせ、もたもたしている間に賀樂を自分の陣営に引き込むのが夏油の狙いだろう。
    禪院が動けば間違いなく五条と上層部はもめるだろう。彼が説明や抗議に奔走している間に賀樂を唆すなり
    なんなら拉致するなりしてしまえば彼女の10歳かそこらの子供だ、どうとでもできるだろう。

    (術式は強力だが・・・本体はただの女の子だしな)

    十種影法術の奥義である魔虚羅の召喚が可能であり、魔虚羅はおそらく呪霊に対しては唯一無二の威力をもつ。
    そして彼女の異次元の出力の反転術式が合わされば式神を扱う術師の中ではトップクラスの耐久力を持つだろう。
    本体が狙われやすい式神を扱う術師にとって即死と気絶以外を対処できる反転術式を持つことは大きなアドバンテージだ。

    (彼女の体力はどうかはわからないけど・・・)

    ただ賀樂自身の体力がどこまで続くかという問題はあるが。

  • 22二次元好きの匿名さん24/04/01(月) 23:59:18

    「あの人・・・なんだかんだで人を惹きつける力はあるからな」

    夏彦はかつて自分を救った師である夏油を思い出していた。

    『弱者生存、それが呪術師としてのあるべき姿だ。それを忘れないでくれ、夏彦。君の一族がそうだったように。そして私を助けてくれた勝弘さんのようにね』

    まだ高専に所属していたころの夏油はそう夏彦に説いた。呪術師としての理想を掲げる夏油は夏彦にとって
    頼りがいのある大人だった。それがあのようになるとは思わなかった。

    『夏彦、私は私の道を選んだ。君も君の道を行くといい』

    あの時、どこか吹っ切れた彼の姿と、かつての自分を救ってくれた時の姿。その二つが重なって、夏彦は戸惑った。
    引き留めるべきなのか、それとも自分は・・・どうするべきなのか。
    呪詛師として登録された彼の所業を知って、夏彦はその戸惑いをさらに強めた。流れる月日と多忙な日々がそれを記憶の片隅に追いやっていたが・・・今、賀樂の存在ととものに浮かび上がった。

  • 23二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 00:17:52

    勝弘さんは何処にでも出て来ますね…

  • 24二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 00:24:11

    >>23

    京極家の人間は善意の塊ですからね。皮肉なことに高専をバックアップしていた京極家が壊滅したことで夏油達の負担は爆増していった形になります。

  • 25二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 00:33:28

    今日はここまでにしときます!また明日!
    自分の過去スレ読み返してたらもうこんな時間に・・・

  • 26二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 00:45:09

    乙〜お疲れ様でした

  • 27二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 08:39:44

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 11:37:59

  • 29二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 21:48:42

  • 30二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 22:48:44

    再開します!
    『ほお、若いのに君は良く頑張る』
    『そちらこそ、歳の割によく頑張りますね』
    『そりゃあそうだ、大人になる前に大人と同じ苦労をさせるなんて・・・良い事じゃないからな』
    過去の残穢に触れるように夏油は一人、京極家の一族が眠る墓の前に立っていた。
    「勝弘さん・・・あなたが生きていたら・・・今の私を見てどう思いますか」
    人気のない墓地は手入れこそされているものの墓地らしくというべきか。静かで寂しげな雰囲気を湛えている。
    返事などあるわけがないと思いながらも夏油は歴代の当主が眠るとされる墓碑に問いかけた。

    「怒るかな、悟みたいに・・・」
    『そんなこと・・・できるわけねぇだろ!』

    戸惑い、激怒した親友の姿を思い浮かべて夏油は苦笑した。生きる道は決めたのだ。振り返らないと、そう決めた。

    『ならば、行け。若者の背を押すのが大人の仕事だ』

    そう聞こえた気がして、夏油は驚いて振り返った。そこには当然、何もあるはずがなかったが・・・

    『男が一度、一生のことと決めたのだろう?たとえそれが万民に通じずとも』
    「勝弘さん・・・?」
    『正しいことも、間違ったことも、やりきってみなければわからん。そうだろう?夏油君』

    佇む勝弘の姿を、夏油は何故か目視した。そして、風に乗って消えたそれを見送った後

    「呪詛師になっても応援されるとは思っても見ませんでしたよ」

    どこまで人が良いんだか、と夏油は笑いながら墓地を後にする。これはきっと、自分が見たかった幻。
    過去の自分を知る誰かが、自分を応援してくれるとそう信じたが故に見せた幻だと自嘲しながら。

    「そうだとも、やれることをやるだけだ・・・そのために、呪い合うことになったとしても・・・!」

  • 31二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 22:58:43

    始まりました

  • 32二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 23:07:13

    それから数日後、夏彦が危惧した事態が起こった。

    禪院家が高専に抗議を入れたのだ。最初の内容は賀樂を個人的な理由で高専に寝泊まりさせていることだった。
    賀樂が10歳の女の子であり、保護者の元にいなければならない年齢であることは明白である。
    そのことと五条家の人間が意図的に彼女の術式を利用しようとしているのではという内容も。

    「あちゃー、そうきちゃったか」
    「どうするの、悟」
    「呪術師としてのあれこれなら僕の力でごり押ししてもいいんだけどさー、相手禪院家でしょ?当主も反発するだろうし・・・ちょっち面倒だね」

    ついこの間までまったく連絡もなかったくせに保護責任がどうのこうのと言い出したのだ。だれの入れ知恵やら。

    「とりあえず僕と高専、それに禪院家の面々で話し合いになるかな。もしもヤバくなったらごり押しするけど」
    「最初からそうした方がいいんじゃないの?」
    「それもそうなんだけどさー・・・硝子、いっそのこと彼女のホントのママンになろうよ」
    「ぶっ飛ばすわよ」
    「いや、だって保護責任とかそういうこと言い出されたら警察が出てくるからさ・・・」
    「アンタが独身辞めたら?」
    「僕がパパに?!」
    「いややっぱダメだわ。学長に頼む方が万倍、億倍マシ」

    家入は笛ラムネをふすーと鳴らしながら溜息をついた。

  • 33二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 23:38:16

    「というわけで学長、学長に賀樂ちゃんの養父に・・・」
    「なんの話だ悟」
    「彼女を御家やらのゴタゴタから守れるのは学長しかいないんですよ」
    「だからなんの話だ悟」
    「学長!未来ある若者の為にここは一肌脱いであげようじゃぁあありませんか!」
    「だから何の話だと言っているんだ悟!」

    突然の話に夜蛾は頭に?を浮かべたまま五条に詰め寄られていた。

    「じつは禪院家の家出娘が高専の保健室で寝泊まりしてましてね」
    「ああ、硝子の手伝いをしているというあの子か」
    「それが反転術式以外にもいろいろと能力がありまして・・・」
    「ほぼ即死状態の人間を蘇生できるレベルの反転術式以外になにかあるのか・・・?」

    夜蛾がこんどは逆に五条に詰め寄る。隣でみていた家入は五条が恐らく肝心なことを夜蛾に伝えていないだろうことを想像して溜息をついた。

    「脳か心臓を再生した際に呪力や術式に目覚めることがあるんですよ」
    「なんだと!?」
    「つまるところ彼女は呪術師を後天的に生み出せるんです」
    「ガッデム!」
    「いってぇ!」

    なんでもっと早く言わなかった!と夜蛾が怒りのビンタを五条に食らわせる。

  • 34二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 23:39:10

    今日はここまでにしときます!また明日!
    明日は早出だぁ・・・

  • 35二次元好きの匿名さん24/04/02(火) 23:49:35

    お疲れ様!

  • 36二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 07:41:52

  • 37二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 18:45:19

  • 38二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 22:03:43

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 22:34:59

    ほ!

  • 40二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 22:52:52

    再開します!

    「頻度はどれくらいだ・・・?」
    「ほぼ十割、術式とかは未知数ですけどね」
    「つまり、補助監督レベルならいくらでも増やせると?」

    実験なんぞできないんで憶測ですけどね。と五条が言うと夜蛾はサングラスを外して目を揉んだ。

    「それが何故か禪院家の人間にバレたと?」
    「そうなりますね」
    「リークした奴がいるだろうが・・・それよりどうするんだ悟」
    「彼女が帰りたくないと言っている以上はこちらとしてもおいそれと帰すわけにはいきませんよ。御三家のパワーバランス的に考えても呪術師を量産できるとなれば・・・向こうの家は人権なんぞ無視でしょうし」

    呪術師の頭数が自在に増やせるとなればどの家にとっても賀樂は金の卵を産む鶏に等しい。相伝の術式を持てなかった呪術師はともかく、非術師になってしまった呪術師一家の落伍者などは藁にもすがる思いだろう。
    それを得ているとなれば・・・

    「隠したいが・・・無理か」
    「現に禪院家の連中から来てますからね。苦情が」

    どうすべきか、三人は頭を抱えるしかなかった。

  • 41二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 22:54:09

    はじまた

  • 42二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 23:56:11

    結局のところ高専側、夜蛾と五条、家入に大した対策を打つこともできず高専を訪れた禪院家の面々と対談することになった。

    「それで・・・ウチの賀樂はどこだ?」

    当主直々の出座である。直毘人は髭をいじりながらふんぞり返って高専の面々を見ている。

    「今は寝てますね、お昼寝中です」
    「ほぉー、随分と丁重に扱われとるようだ」

    夜蛾がそう言うと直毘人はさして興味がなさそうに答える。

    「正直言うとな、俺はさして賀樂の処遇について興味がない」
    「では何故あのような・・・」
    「もちろん、五条のガキが嫌いだからだ」

    酒はないのか?と尋ねる辺りどうやら本音はそこらしい。周囲との温度差が激しいがどうやら彼女を欲しがっているのは禪院家当主ではなく禪院家の面々らしい。

    「ウチの連中は何やら考えとるようだが・・・下らん話だわな。手前の実力以外に磨く意味もないし、他家の術師がどうこうというのも詰まらん話だしな」
    「しかしそうなると彼女の処遇を考える必要があると思いますが・・・」
    「そうさな、俺としては五条のガキに嫌がらせができればそれでいい。あれはあれで実力はあるしな・・・」

    そもそも親がちゃんと見てないのだからどうなっても知らんぞ。と直毘人は言う。

  • 43二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 23:58:13

    「五条のガキが嫌いだからだ」

  • 44二次元好きの匿名さん24/04/03(水) 23:58:45

    >>43

    正直すぎて草

  • 45二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 00:04:24

    >>43

    ストレスが五条の男だ、面構えが違う。

  • 46二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 00:20:24

    「そうでしたか・・・」

    夜蛾は禪院家と当主、それぞれの思惑の違いなどのややこしさに内心苛立ちを覚えていた。

    (少なくとも禪院家は小さな女の子一人、人として扱うつもりはないか・・・)

    「それでは、彼女を信頼に足る家に預けるというのはどうでしょうか」

    夜蛾が提案したのは次善策、ベストよりはベターに。禪院家に渡らず、尚且つ人としての彼女を傷つけないような
    そんな御家を探すことを提案した。

    「信頼に足る・・・か、そうさな。俺はそれで構わん」
    「禪院家はそれで納得していただけると?」
    「ああ、五条のガキがでかい面をするかもと思ってここまでやってきたからな。それが無くなるならそれで充分」

    それで、アテはあるのか?と直毘人は言う。夜蛾はそれに対して少し返答に窮したが・・・。
    五条が手を上げた。

    「それなら僕にいい案があるよ!」
    「却ッッッ下ァァ!」
    「え”ー!?」

    直毘人、渾身の却下。

  • 47二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 00:37:25

    「まだ何も言ってないけど?!」
    「黙れ黙れ!お前が口を開くと不愉快だ!」
    「そうだぞ悟、ややこしくなるから黙っててくれ」
    「学長まで!?」

    五条は二人からの集中砲火を受けて部屋の隅で三角座りをし始めた。

    「ふふふ」

    直毘人はご満悦である。

    「さて、話を戻すとするか・・・信頼に足る家という奴だが」
    「そうですね・・・」
    「京極の倅に任せるのはどうだ?」
    「京極?夏彦君ですか?」

    夜蛾は直毘人からの思ってもみない提案に驚いた。

    「ああ、先代からの縁もあるしな。俺としてはそこらの馬の骨よりも身内連中も黙らせやすい」
    「しかし彼もまだ子供だ、あまり適した人材とは思えませんが」
    「そこは学長殿が補佐してやればいいではないか。それで万事解決だ」

    本当に興味がないらしい。直毘人はそう言って手を叩くとソファから立ち上がった。

    「俺は奴の親ではないからな、育てた覚えもない。ならば好きにさせるのがせめてもの愛情という奴だろう。家に縛る必要もあるまいよ」

    直毘人は夜蛾にそう言い残すとそのまま帰ってしまった。

  • 48二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 00:54:08

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 49二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 01:39:08

    乙〜

  • 50二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 08:53:24

    ほしゅ

  • 51二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 14:41:39

  • 52二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 22:17:26

    再開します!


    「とりあえず問題はかいけつしましたねー」

    部屋の隅で不満を顔全体で表現しながら五条は棒読みでつぶやいた。

    「表向きはな、禪院家の総意でないことは明らかだし・・・なによりあの子の父親はまだ存命だろう」
    「あのジジイ、夏彦に全部押し付けたけど前も似たようなことで京極家と揉めてたはずなんだよね」
    「・・・」
    「こっちが尻ぬぐいするだろうからってマジでこっちに面倒全て投げられた感じだねー」

    夜蛾は頭を抱えた。夜蛾の頭には真希真依の姉妹が京極家に養子に行くかどうかでバチバチに揉めた騒動が記憶に新しかった。双方がまるで893の抗争がごとく互いと揉めていたのを思いだしたからだ。

    「ま、なにかあればこっちは当主の意向だからでごり押しできる権利もらったしあの子は引き続きここで面倒見ていきましょうか」
    「・・・そうなるか」
    「さて、それじゃあ夏彦君に報告しましょうかね」



    「で、僕のとこに御鉢が回ってきたと」
    「そそ、賀樂ちゃんは表向きは君のとこで預かってることにしといて」
    「家入さんが面倒見てくれてるし・・・まあ名義貸しくらいなら大丈夫ですけどね」
    「すまんな、夏彦くん」

    完全に事後承諾になってしまったが夏彦は事情が事情だけに了承してくれた。
    夜蛾は申し訳なさそうにしていたが五条は相変わらずなので夏彦は微妙な顔をしていたが。

  • 53二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 22:48:41

    高専の敷地の外で双眼鏡を覗いていた夏油は事の成り行きを見ながら意外そうにしていた。

    「ふぅん、禪院家も思ったよりあっさり引くんだね。もっと揉めるかとおもったが」
    「どうします?」
    「私が行けばバレるのは確実だからね・・・ま、少しくらいは頭を使わないといけない」

    手ぶらで帰る直毘人を見て夏油はなにやら思案を巡らせているようだった。







    「ん、おはよ・・・」
    「おはよ、今日はケガ人が結構来るよ、顔洗ったら準備してね」
    「はぁい・・・」

    家入はとりあえず賀樂の身柄を禪院家に取り返される心配がなくなりホッとしていた。戦力として役立つのはもちろん、彼女としても独りぼっちの賀樂を放っておけなかったこともある。

    彼女が居れば仕事は捗るし、家入自身の気持ちも明るくなる。
    時折、助けられているのは自分ではないかと思うほどだ。

    「ホント助かるわ。一人じゃ毎回終わらないから」
    「うん、頑張る」
    「私が要らないくらい頑張ってちょうだいね」
    「えー・・・私はおねえちゃんがいないと頑張れないよ」
    「そう・・・、私がいないとダメかぁ」

    無邪気な賀樂の言葉にかつて掛けられなかった言葉が家入の中でリフレインした。

  • 54二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 23:05:39

    脳汁でてますね…これは

  • 55二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 23:06:40

    家入心の中は大暴れ

  • 56二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 23:22:36

    『私がいただろ・・・』

    勝手に傷ついて、勝手に一人で突っ走っていく二人の背を眺めていただけの自分に
    賀樂の言葉は家入にとって深く、響いた。

    「一人じゃ頑張れない・・・か」

    欲しかった言葉、誰とは言えないが。それでも今、こんな小さな子が自分を必要としてくれていることが嬉しい・・・んだと思う。なんとも不思議な感覚で上手く言えないが。



    仕事の為に気持ちを切り替えた家入はいつの間にかクセになっていた飴を口に入れながら運ばれてくる患者に応対する。その中で家入は賀樂と共に怪我人の治療に当たりながら彼女の腕前の上がり方に注目していた。

    (やっぱり、この子は才能があるね)

    魔虚羅の退魔の剣から正の呪力を循環して得た再生能力。そこから反転術式もどきを使用していたと思っていたが
    彼女はそれを差し引いても反転術式を扱う才能がある。六眼よろしくのロスの無い正の呪力を利用できる都合上
    その出力はとても高い、ただ単に高いというにはあまりに桁違いの力だ。

    「う、いてて・・・」
    「じっとして・・・、はいおしまい」
    「まだ手とか痛いんすけど」
    「骨は元に戻ってるわ。小さい傷は自分で治しなさい、顔色悪いからそのケガが治るのを目途に休暇をとること」
    「はい、そうさせてもらいます」

  • 57二次元好きの匿名さん24/04/04(木) 23:58:32

    怪我人に療養を勧めつつ、賀樂も同様にケガの治療に当たる。家入と違い必要な個所以外にも反転術式を当てているためそれ自体は大きなロスになってしまっているが命に関わるようなケガの場合は賀樂のやり方がいいだろう。
    計画的にポーションを使うのが家入で、常に頭からエリクサーをぶっかけているのが賀樂といった状態だ。

    「すげえ、痕まで残さず消えてる・・・」
    「体力は戻らないからちゃんと君も休むんだよ?」
    「は、はい!」

    驚きながら自分の体を見ている術師を他所に家入は賀樂へ体を治すことに対する意義や心構えを説く。

    「賀樂ちゃん、ケガの治療をするときには完璧に治すことはもちろん重要だけど、それだけじゃダメなんだ」
    「そうなの?」
    「もちろん、今はわからなくて当然だけど。呪術師の世界は過労気味の奴がほとんどだからね。ケガを理由に療養させてあげることも必要なんだ」
    「怪我してないと休めないの?」
    「どうかとは思うけど、そうなの」

    えー!と声を上げる賀樂。それを見て新鮮に思う家入は自分もかなりブラックな環境になれてしまったと内心で苦笑した。

  • 58二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 00:10:21

    エリクサードバドバで草

  • 59二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 00:11:29

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 60二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 08:26:09

    ほしゅ

  • 61二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 09:27:02

  • 62二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 17:40:42

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 23:32:23

    再開します! コロトック兄貴に亜種ができているのを知った衝撃が冷めやらぬ中で・・・

    「わかったら少しだけ休憩しよう」
    「うん」

    賀樂が頷いたことと、怪我人が落ち着いたので二人は休憩することにした。普段ならすぐに別の仕事をしていた家入だったが賀樂が入ったことで仕事のペースを調節することが多くなり、目元のクマも少しだけ薄くなっていた。

    「さてと・・・あら、もう飴が残ってない」
    「そうなの?今日くらい別に・・・」
    「近所の店で買ってくるわ、誰か来たら容態を聞いて、わからないことがあったら私に連絡頂戴」

    わかった、と賀樂が答えるのを聞いて家入はお菓子を買いに高専の外へ。

    「さて、今日はどれにしようかな」

    コンビニに入った家入はお菓子のコーナーを物色する。賀樂は特にミルク系の飴が大好きだ。
    甘ければ甘いほどいいがそれだと家入は食べられないし、消費が偏るのでラムネ系の飴にすることにした。

    「あの子が気に入るといいけど・・・」

    会計を済ませた帰り道・・・。ふと、家入は違和感を感じた。

    「帳・・・?うそ、いつ降りたの・・・?」

    不意に空の色が変わったことに気付き、家入は周囲を見渡した。人影も呪霊のそれもない。
    しかしそうなるといったい誰が?足早にその場を立ち去ろうとして、家入は立ち止まった。

    「傑・・・」
    「や、硝子。久しぶりだね」
    夏油がいつもの笑顔を浮かべながら家入の目の前に立っていたからだ。

  • 64二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 23:36:02

  • 65二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 23:41:48

    すいません明日早いのとなぜか尾てい骨が痛いので今日はここまでにしときます!
    夏油はなにをしようとしているのか・・・!

  • 66二次元好きの匿名さん24/04/05(金) 23:53:02

    乙〜お大事に

  • 67二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 07:07:05

  • 68二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:13:24

  • 69二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 22:26:46

    再開します!

    「なんでアンタがここに・・・」
    「ちょっと懐かしくなってね、それと・・・君の大切なヒロインを迎えに来た」

    ヒロイン、その言葉が意味するところを理解して家入は自分の心臓がキュッと縮まるのを覚える。

    「・・・そう」

    精一杯の言葉が口から零れた。夏油は空を見上げながら愉快そうに笑みを深める。携帯を取り出してみたが圏外の文字が浮かんでいる。

    「凄いだろう?隠蔽に特化した術式を持っている者がいるんだ、ここで起こることは範囲外の人間には感知できないよ」
    「アンタみたいなのに持たせちゃいけない類の術式ね」
    「そうかもね、ま・・・とりあえずこちらの指示に従ってもらいたいね」

    笑顔とは裏腹に家入の周囲を取り囲むように呪霊が召喚される。特段戦闘能力を持たない家入には絶体絶命の状態だ。

    「指示って何をするのよ」
    「とりあえずその携帯電話を貸してもらいたい」

    家入が少しためらっていると呪霊がそれを手早く引っ手繰った。呪霊をにらむも、効果はない。

    「ヒロインと連絡先は交換してるのかい?だとしたら手間が省けるんだがね」
    「あの子がアンタの言う事を聞くと思うの?」
    「さてね、10歳というからには反抗期だってあるんだろうけど・・・」

    君がいるじゃないか。と夏油は鋭い眼差しと笑みで家入を射抜いた。

  • 70二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 22:38:35

    始まりました、夏油と家入の最悪の再開

  • 71二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:03:16

    「おねえちゃん遅いな・・・」

    賀樂は一人保健室で家入の帰りを待っていた。すると、彼女の携帯電話に着信が入った。よく見るとメールらしい。

    「なんだろう・・・」

    メールには『迎えに来て欲しい』との文章が。

    「なにかあったのかな・・・」

    賀樂はなんら疑うことなく保健室を抜け出して外へと向かった。その際に伊地知とすれ違ったが

    「あ、賀樂さん!どこへ?」
    「家入おねえちゃん迎えにいく!」

    そういって駆け出して行ったのを伊地知は不思議に思いながらもそれを見送ってしまった。




    「おねえちゃんどこだろう・・・?」

    外にでた賀樂は記憶を頼りに家入と一緒に飴を買いに行った店へと向かう。

  • 72二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:20:13

    「ワオ、偶然ダネ」
    「あの時のおじさん?」

    きょろきょろと視線を動かすと以前であったおかしな外国人が賀樂の前に立っていた。

    「探シ物カイ?」
    「人を探してるの・・・」

    不安そうに答える賀樂に外国人ことミゲルは携帯電話を取り出し、そこに映る画像を示した。
    それには縛られた状態でこちらを睨む家入の姿が映っている。

    「コノ人ノコトカイ?」
    「え・・・っ?」

    フリーズした賀樂の首筋に後ろから迫った男性が注射器を刺した。その瞬間に賀樂は糸が切れたように倒れた。

    「イソグゾ」

    バンが停まり、二人は賀樂を抱えて即座に乗り込んだ。


    「硝子ー・・・あれ、いない?」

    授業でケガをした面々を連れてやってきた五条は保健室に誰もいなくなっていることを見て不思議に思った。

    「悟ー、どうしたんだよ?」
    「いや、硝子が居なくてね」
    「えーっ、じゃあ少なくとも棘っちと憂太がボコボコなんだけど?」

    無人の保健室に入って周囲を見渡す鈴鹿。もぬけの殻の保健室に鈴鹿はもちろん治療をアテにしていた乙骨たちも困ったように各々が椅子やらベッドに腰掛けた。

  • 73二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:42:19

    バン×黒人×注射器……ミゲルが同⚪︎誌の黒人になっちまったぁ!!お巡りさん〜!

  • 74二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:43:05

    このレスは削除されています

  • 75二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 23:43:57

    まずい…この前ではグフフ(猿がいない未来)な展開になってしまう

  • 76二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:00:17

    「ちぇ、仕方ないな・・・効きが弱いんだけどアタシの術式で治すか」
    「時間もかかるけどしょうがねえよ」

    鈴鹿は息を整えつつ、ふと家入の机にある飴の袋を見つけた。

    「喉のお手入れは飴に限るよねぇ」
    「あ、勝手に食うなよ」

    真希が言うのもお構いなしに鈴鹿はごそごそと飴の袋を取るとさかさまに振った。

    「ありゃ、ない・・・」
    「そりゃ残念だったな、諦めて術式使えオラ!」
    「ちぇー!二人は飴でも買いにいったのかなぁ」

    五条はそんな生徒たちの会話を聞きつつ、ふと感じた違和感に考え込んだ。

    (硝子はともかくあの子まで外に連れ出すか・・・?買い出しだって僕か硝子が一人でやってたけど・・・)

    その疑念は

    「五条さん、家入さんはどちらかへお出かけですか?」
    「伊地知?僕はそんな予定聞いてないけどどうした?」
    「今しがた賀樂さんがお迎えに行くと・・・」

    その言葉を聞いて五条は慌てて保健室を飛び出した。

  • 77二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:21:37

    五条は家入がよく行く近所の店に一足飛びに移動した。呪術を使った移動は本来人目を避けるべきだがそうも言ってられない。

    「くそっ、禪院家があの子を引き取りに来るくらいに仕掛けてくると思った・・・!」

    店の前に立つと目隠しを取って周囲を六眼で探しまわる。すると・・・広範囲に広がった残穢が五条の目についた。

    「帳の跡?いや、違うな・・・術式か・・・特殊な結界術の痕跡がある・・・」

    結界術の痕跡の中に入る。そこにはまだ対象を隠そうとする意志が残っているような、透明な目隠しをされたような
    違和感が六眼を通して発見できた。

    「隠そうとする術式か、持続力と強度の強さ故に僕の目に映った。皮肉だな」

    帳を破るように呪力で結界をこじ開ける。そこには懐かしい気配が残っていた。

    「硝子?・・・それに」

    チッ!と五条は思わず舌打ちをした。

    「やられた、傑め・・・この術で姿を隠してずっと監視してたのか」

    結界の中からなら点在する結界の中を見れるらしい。そこには監視用らしい呪霊が数体、高専の方角を見詰めながら固まっている。監視に特化した呪霊のようだ。

  • 78二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:24:08

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 79二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:27:03

    乙〜

  • 80二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 09:02:40

オススメ

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