- 1二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 23:27:00
生まれてこの方のんびり屋さん。何をするにも逸りがちな子供たちの中でふわふわ浮いているような子だった。
父ちゃんみたいな、誰かの心を支える添え木のようになれたらと思うけれど、早送りしてるみたいな世界じゃあ、あたしはどうにもうまくいかないみたい。
『大丈夫! それが君の良い所だよ』
少しの間、友達の臨時家庭教師をしていたお兄さんが突然そう言ったの。とっても細かい所に気が付く人で、明るいお人柄か歳の離れたあたし達とも遊んだりしていた。
あたしもすっかり根っこを腐らせちゃってた頃でねぇ、「そんな事あるもんか。みんなより遅くてつまんない」なんて悪態をついちゃったりもしたんだよ。だけど……
『動くのは遅いかもしれない、だけど君はその分たくさんの物を見て気遣ってる。君と絶交した子はいないだろう? みんなが君に感謝してるんだ!』
陰が差したあたしの心を、お日さまみたいな言葉で照らしてくれた。
お兄さんの言葉はあたしの心の添え木になって、落ち込んだりした時にも励みになったよ。
あたしがトレセン学園を受験したのは、それがあるからかもしれないねぇ。
走るのも好きだったけれど、何より、お兄さんが目指したのがトレセン学園だった。
尊敬するトレーナーの話をしているお兄さんは子供みたいで、とってもキラキラした顔をしていたんだよ。
その顔をいつまでも憶えていて、こんな人と二人三脚でレースができたら、なんて夢を見て。
きっとお兄さんも立派なトレーナーになってる事でしょう。そう思って入学してから、しばらくして……
久方ぶりに見た彼は、今にも泣きそうな顔をしていた。
あの頃とはあんまりにも違う顔つきをしていたものだから、階段ですれ違った時も気付かなかったわ。
急いで追いかけて、屋上まで行って、夕暮れの下でも暗く見えるくらい小さくなって……
あれだけ自信満々だった彼が、どれだけ大変な思いをしてきたのでしょう。
「ほりゃまあ、おっきなため息だこと~」
だから、今度はあたしの番。
陰が差したあなたの心を、あたしの走りで照らしてみせる。
挫けそうな彼の心を支える添え木になりましょう。 - 2二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 23:28:15ここだけ全ウマ娘がカレンチャンみたいに昔トレーナーに会っていた世界線|あにまん掲示板覚えてそうな子と思い出しそうな子と全く覚えてない子がいそうですねbbs.animanch.com
このスレで59タルマエと64アキュートの概念書いてから文字に起こしたかったやつ
結局書かずに1年経ったけどSS投稿し始めると筆乗って書けるもんですね
- 3二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 23:31:58
ちょうど悠々閑々を聞いていた俺にタイムリーな良SS
しかし懐かしいスレだなぁ