- 1二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 21:56:15
- 2二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:02:11
ほしゅぅ
- 3二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:02:21
保守
- 4二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:02:41
ほしゅの2
- 5二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:02:53
保守3
- 6二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:03:03
保守4
- 7二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:03:16
保守5
- 8二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:03:34
保守6
- 9二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:03:48
保守7
- 10二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:05:34
ほしゅ8
- 11二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:12:20
許してくれ…時間を勘違いしていたのだ
- 12二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:17:37
- 13二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:35:58
- 14二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:42:01
- 15二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:42:41
- 16二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:53:18
ちょっと血がどろどろしてるから・・・水分たりんかった・・・
- 17二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:56:19
玉葱もいいぞ!
- 18二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 23:17:36
さて、ぼちぼち本編をば・・・と思ったけどなんだか筆が進まない。
ゴジョセンもまだもたもたしてるし、賀樂ちゃんも家入ママもまだまだ行動には制限が強い。
どこから突破口が開かれるのやら・・・。
「おっす、久しぶりな感じだね。優子」
「うん、ほんとに」
休日、家入が行方不明になったことが気がかりだったが突然友人が会いたいと申し出たので鈴鹿は高専の近くにあるファミレスで友人である優子と落ち合った。
「そっちはどうよ?」
「ぼちぼちかな、鈴鹿は?」
「こっちも、数少ないから知り合いしかいなくて変な感じはするけど」
他愛のない日常をお互いに話し合う。世界が違ってしまってもやはり友人だからか二人は話に花を咲かせた。
そんな折、不意に優子は鈴鹿にある話題を振った。
「ねえ、その・・・呪術師って、知ってる?」
「もち、アタシの事でしょ。現役よ?」
鈴鹿はその言葉にちょっと驚いたがやがて持ち前の明るさのままに応える。
「そうなの?じゃあ鈴鹿もあの宗教団体に入信したの?」
「?」
キョトンとした鈴鹿に気付かないのか優子はつづけた。 - 19二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 00:04:03
「すごいんだよ、あそこに入信した人は不思議な力を授かって呪術師になれるんだって」
「???、呪術師になれる・・・?」
鈴鹿の頭をよぎったのは賀樂のことだった。自身の中にある呪力を目覚めさせた彼女。
家入と共に行方不明になったはずだ。
「それでね・・・それだけじゃなくて・・・」
優子は元々そういうゴシップや都市伝説が大好きだ。それが信憑性の高いものという事で興奮が隠し切れないといった様子だ。
「怪我が治るんだよ、それも手や足を失くした人を元通りにしてくれるって!」
「へぇ・・・(間違いない、反転術式だ・・・)」
「えっとね、それで・・・」
「ちょいまち、優子。その宗教団体ってどこにあるとかわかる?」
「えっとね、噂によると・・・」
鈴鹿は興味があるふりをしつつ施設の所在を調べることにした。 - 20二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 00:04:27
今日はここまでにしときます、また明日!
- 21二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 00:29:00
乙ー
- 22二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 09:02:29
「ほーん、結構近くない・・・?」
「そうだね」
住所からそう遠くないことが分かった。しかしだ、優子がどうにも興味津々というのが鈴鹿には懸念事項だった。
彼女はなんというか、好奇心が強い質だ。きっと知った以上は調べるに違いない。
「優子、もしかしてその施設に行ってみようとか思ってない?」
「!・・・いや、そんなことは・・・」
「医者でもないのに医療に携わって、おかしな力を授けるなんて・・・典型的なカルトじゃん。個人で関わるのはヤバいと思うよ?」
釘を刺してみたが案の定図星だったらしい。鈴鹿は過去に心霊スポットなんぞに連れ出されたことを思い出した。
ずかずか進む優子に鈴鹿は戦々恐々だった。
「でも鈴鹿だって・・・」
「アタシは上から許可が下りたとこしか行かないし、こういった案件はどう考えたってアタシは関われないよ」
「そうなんだ・・・」
ちょっとだけつまらなさそうに言うと優子は息を吐いて突っ伏した。優子は好奇心は旺盛だが鈴鹿が反対することにはそこまで強引にはならない。きっかけがなければだが。
「とにかく、そういうのって裏じゃなにやってるかわかんないから関わらないこと!わかった?」
「わかったよぅ」
しぶしぶといった様子だが諦めたようなので鈴鹿は一安心だった。 - 23二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 13:13:22
始まってたぜ
- 24二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 13:41:54
単発でしたw続きは夜です
- 25二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:02:45
ほ
- 26二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:23:49
再開します!
鈴鹿は貴重な情報が得られたと優子と別れてからそそくさと高専へと戻って行った。
「鈴鹿・・・」
転校してからも優子は鈴鹿と交流をつづけてはいた。しかしながら彼女は鈴鹿との微妙な距離を感じていた。
まるで鈴鹿が別の存在になったような、遠い存在になったような。
「呪術師になった・・・から?」
優子は鈴鹿に教えた住所に目を落とした。しかしその日は頭を振ってその考えを追いやった。
「ただいま」
「お帰り優子、おばあちゃん老人会から帰ってくるから悪いんだけどお迎えお願いできる?」
「えー・・・もう、わかったよ」
もやもやしながら帰宅した自分を出迎えた母親からのお願いに優子は嫌そうな顔をしたが仕方なくそれを引き受ける。
祖母は元気ではあるが少しボケてきており、それを少しでも良くしようとほかの人と交流しているのだ。
しかし高齢には違いないためお迎えはいる。迷子になるときもあるからだ。
「さてと・・・あれ?!」
「ただいま、優子も帰ってたのね」
ドアを開けようとしたところで祖母が帰宅した。優子が驚いて呆然としていると祖母はいつになくしゃっきりした様子でニコニコしている。 - 27二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:31:21
「おばあちゃん一人で帰ってきたの?」
「もちろんよ、それくらい大丈夫だもの」
優子は履きかけた靴を脱いで母親にそのことを報告すると仰天し、祖母とあれこれと話し合っていた。
「どうしたの?そんなに慌てるようなこと?」
「だってお母さん・・・前はバスの乗り口がわからなくなって帰ってこれなくなってたじゃない・・・」
「そうだったわねぇ、でも今日は文字もはっきり見えたし乗り口もすぐわかったわ」
母親が驚くのも無理はない。少し前まで施設に入るかどうかと父親と話し合っていた祖母がどうしてかはわからないがはっきりとして帰ってきたのだ。
「そういえば今日は老人会でボランティアの人が来たんだっけ?」
「ええ、なんだか不思議な人たちの集まりでねぇ」
優子は疑問が尽きなかったが母親がいつになく明るいので自分も嬉しくなって夕食の卓を囲んでいた。
「なんだったかしら・・・そうそう、どこかの宗教施設から来た人だったわ」
母親は祖母がすらすらと今日の出来事を語るだけで嬉しそうだった。しかし優子はその話に別の理由で食いついた。
「宗教施設?」
「ええ、なんでも今はいろんなひとを治す凄い人がいて・・・それが驚いたことに小さな子供だったのよ」
「子供?」
「ええ、おかっぱで着物を着た可愛らしい子でねぇ」
話好きが高じてか祖母は1から10までと言わんばかりに優子にそのことを説明してくれた。 - 28二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:40:26
- 29二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:41:11
可愛らしいしな…うん()
- 30二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 23:09:55
>>28こ・・・ども?
宗教施設ではボランティア活動の一環で施設を巡っている。そしてその中で小さな女の子が奇跡の存在として崇められているということ、その理由がその女の子がケガを触れるだけで治してしまうという異能を持っている事。
「それでね、みんなの頭にその女の子が触れると皆すっきりした顔になって、意識がはっきりしだしたのよ」
「そんなことが・・・」
「私も触ってもらったらすごいのよ、頭の中の靄が消えたようなきがして・・・体も軽くなったみたい」
優子の頭の中で色々な情報が噛みあっていく感じがした。今までの彼女ならサイキックだの超能力だのと様々な憶測で目を輝かせてただろう。しかしそれが現実にありうるならと考えた時、彼女の好奇心は再び顔をのぞかせていた。
「ここだ・・・」
祖母の快復が叶い、母と祖母が買い物に出かけた日。優子はお礼の品を携えてその施設を尋ねることにした。
お礼の品といっても贈答品のお菓子だったがとりあえずの理由付けである。
「でか・・・こんなに大きな施設なんだ」
旧盤星教の施設は今は完全に改装されて新しい施設となっている。賀樂と家入をこき使っているからか資金はさらに潤沢になっているらしく人の出入りも多くなっている。
「入信の方ですか?」
「え、あ・・・いや、その・・・祖母が元気になって、そのお礼に・・・」
「ああ、なるほど」
入口で迷っていると警備員らしき人物に話しかけられどもりながら答えると警備員が来訪者用の入り口を教えてくれた。
- 31二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 23:38:54
そのまま指示に従ってドアを潜ると自分は丁度、前回の流れが終わったころだったのだろうか。
「だれもいない・・・?」
「おや、珍しいね。君みたいな若い子は」
不意に掛けられた声に驚いて振り返ると僧衣の男性がこちらを見てほほ笑んでいる。
「あ、その・・・すみません。おばあちゃんがお世話になったって聞いて、そのお礼に」
「ああ、そういうことかい。律儀だね」
僧衣の男性は優し気な笑みを浮かべながらお菓子を受け取り、笑みを深めた。
「そうだ、君は・・・呪術師というものに興味はあるかい?」
「!」
優子が驚いた様子で男性を見上げるのを見て、男性は優子に告げる。
「もしも君が呪術に興味があるなら・・・ついてくるといい。君にもみせてあげよう」
男性はそう言うと施設の奥へ奥へと進んでいく。優子もまた好奇心に突き動かされるまま男性の後ろをついていった。 - 32二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 00:27:20
「ここが、私の理想の世界だ・・・」
施設の奥へと進むと男性は体育館のような場所に居た。吹き抜けになっており、天窓から注ぐ光に照らされながら
人々が列を作って立っている。丁度自分たちは二階部分にいるようで、下は地面をくりぬいたように下がっている。
「御覧、あれが呪術師たちだ」
「・・・」
促されるままに下を見ると列を作った人が何やら的を目掛けて手を翳している。するとその的に何かがぶつかったような音が起こり、的に傷ができた。
「何が起こって・・・?」
「呪力を飛ばしているのさ、普通の人には見えない力だ」
列の傍で見守っていた別の人が手を翳すと今度は的が燃え上がり、周囲はどよめいた。
「こらこら!中で火を起こすんじゃない!」
『おお、教祖様だ!』
『夏油様!』
男性こと夏油が上から声をかけると火を起こしたらしい人物が慌てて手を振り、火もそれに呼応するように消える。
「教祖様・・・?」
「ああ、自己紹介が遅れたね。私は夏油・・・この教団のトップさ」
優子は驚き、突然トップに会えたという事実に幸運よりも戸惑いを感じていた。 - 33二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 00:31:13
今日はここまでにしときます、また明日!
- 34二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 01:10:28
夏油ほんと哀れ…乙〜
- 35二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 08:06:02
保守
- 36二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 13:03:29
保守
- 37二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 18:24:08
ほ
- 38二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 22:42:19
再開します!
「驚いたかな、トップがこんなところをうろうろしていて」
「え、いや・・・そんなことは」
正直なところ優子はそう思った。何故狙いすましたように自分のところにいたのか。偶然?
「実のところ私はね、呪術師がもっと増えればいいと思っていてね」
「そうなんですか?」
優子が尋ねると夏油は頷いた。
「元より呪術師は少数しか居ない。君も知らなかったろう?しかし大昔から呪術師は皆の為に働いてきた」
「働く?」
「そう、悪霊や怨霊、呪霊なんていう存在と戦うことでね」
夏油はまるでおとぎ話のように語り優子の目が好奇心に曇ったことを見て取ると彼女をそのまま奥へ奥へといざなう。
「つい最近まで呪術師っていうのは極々限られた人しかなれない特殊な才能だった」
しかしそれが今は違う。と夏油は嬉しそうに呟いた。
「彼女がいるからね、さ・・・入って」
奥にたどり着いた。その際には何度か鍵を開け、警備員に見送られて。打ちっぱなしのコンクリートの部屋に重そうな金属製の扉。
「やあ、今は大丈夫かな?」
「・・・まあ、大丈夫かな」
優子の目線の先にはどう考えても10歳ほどの少女が立っていた。そしてその手がストレッチャーに寝ている人の傷をあっという間に消したことを見て今日何度目かわからない驚きに呆然としていた。 - 39二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 22:56:10
ハジマタ
- 40二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 23:11:39
少女はストレッチャーを職員らしき人に任せると職員はエレベーターに乗ってストレッチャーごとどこかへ行ってしまった。
「次は彼女?」
「そうなるね」
もっとも、彼女が望めばだが。と夏油は告げる。
「あの、どういうことですか?」
「単刀直入に、君は呪術師になりたいかい?」
その言葉に優子は目を瞬かせた。思っても見なかったことだ。鈴鹿がそうだと、話では聞いていたがそれがよもや自分に降りかかってこようとは。
「なれるんですか・・・?」
「もちろん、才能の多寡はあるがね」
「な、なりたいです!私も!呪術師に!」
「そうかい、なら、なろうじゃないか」
夏油がニヤリと笑う。その瞬間に優子の頭部に衝撃が走り、意識が暗転した。 - 41二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 23:47:03
今日は早いですがここまでにしときます。また明日!
- 42二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 03:49:06
保守
- 43二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 06:40:13
ほ
- 44二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:20:33
ほ
- 45二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 13:30:49
ほ
- 46二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 22:24:07
ほ
- 47二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 23:02:24
再開します!
優子は闇の中で微睡んでいた。微睡むというのはちょっと違うかもしれないが、ともかくそんな意識のはっきりしない状況で何が起こったのか、自分はどうなったのかを思い出そうとしていた。
(暗い、闇の中・・・目を開けているはずなのに目を閉じているみたい)
手足の感覚はもちろん体の感覚もない。あるとすればそれはくらい空間に、徐々に沈んでいく感覚。
全てが失われるような。そんな感覚。
それが不意に現れた白い大きな手に引き上げられてーーーーーー
「がっ・・・は、ひゅっ!・・・こひゅ!」
「落ち着いて、息をすってー、はいてー」
気が付くとベッドの上だった。息をするのを忘れていたかのような息苦しさに目を白黒させながら優子は目を覚ました。
「ぜぇ・・・ひゅぅ・・・」
「そう、落ち着いて息を大きく吸い込んで」
咳き込んでどうにか呼吸を再開し、優子は涙目になりながら周囲を見渡した。
「ここは・・・?」
「医務室よ、あなた・・・信 者じゃないわね」
「?・・・どういう・・・?」
意識がはっきりしてきた優子が目を向けると自分を介抱していたのは先ほどの子供ではなく大人の女性だった。
雰囲気はどちらの部屋も打ちっぱなしのコンクリートに天窓で代わり映えしないため判断に困ったがどうやら違う部屋にいるらしい。 - 48二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 23:06:43
始まりましたねえ!
- 49二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 23:35:38
「あなた、ついさっきまで心肺停止状態だったのよ」
女性がぶっきらぼうにそういったので優子はギョッとした。心肺停止、言葉ではよく聞くがそれだって身近な言葉ではない。
(なんかとんでもないことになった気がする・・・)
「さっき信 者じゃないって言ったのはその反応もあるからかな」
「反応?」
「臨死体験っていうか、一回死んだ経験をしたのよ。それを知らされず、突然だったんでしょう?」
死んだ、そう言われて優子は血の気が引く思いがした。確かに自分は助かっている。今、生きているはずだ。
しかしそれが死んだ体験というのはどういうことだろうか。
「死んだって・・・」
「貴女、呪術師になりたいっていったでしょ」
「それが・・・どうかしたんですか?」
そう答えると女性は机に置いてあったキャンディを一つ口に入れて息を吐いた。まるでタバコをふかすようなしぐさである。
「呪術師に後天的になるには・・・頭を一度吹っ飛ばす必要があるのよね」
「あ・・・たま?」
「フッとばしてからそれを再生する、そんなとんでもない手順が必要になるの」
恐ろしいカミングアウトに優子は思わず頭を抱えた。 - 50二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 23:49:55
生き返るからでぇじょうぶだ!心配すんな
- 51二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 00:33:32
「臨死体験と引き換えに貴女は呪力を得たはずよ、どう?」
「どうって・・・」
「呪力っていうのはこういうこと」
女性が手を上げるとその手に不思議な光が点るのが見えた。優子はそれを目で追い、知覚した。
「その光がですか?」
「そうよ、普通なら見えないんだけどね」
「じゃあ、私もその・・・呪術師に?」
「その資格というか、前提条件の一つを満たしたわね」
優子は文字通り死ぬ思いをしたのにまだ前提条件という言葉にちょっとがっかりした。鈴鹿との差はまだ埋められないらしい。
「呪力のコントロール、術式の有無の調査、体力の鍛錬、呪術師には諸々必要よ」
「そうなんですか・・・」
試しに優子は呪力をイメージする。鈴鹿のような、ああであればいいなとおもいつつ。すると自身の手を覆い隠すほどの呪力が手から放たれる。
「わっ・・・」
「へえ、結構高い出力ね。あとは術式かしら」
「術式・・・?」
「なんていうか、固有能力みたいなものかな。持ってる人もいれば持ってない人もいるけど」
こればっかりは教えられないけど。と女性が言う。優子はなんとなくイメージが湧かず、首を傾げる。
「まあ、こればっかりは専門の機関で訓練するしかないわ。あんまりこういうとこで学ぶのはおすすめできない」
「ですよね・・・」
そういいつつどうしたものかと考えていると・・・ - 52二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 00:46:38
『ぐぅ』
お腹が鳴った。顔を赤くしながらポケットに入っていた携帯電話を見ると時刻は昼に近くなっていた。
「健康でいいことだよ、とにかく、どうにかここから出てお昼を食べたら・・・此処には近づかない方がいい」
「は、はい・・・」
「私とした会話もできるだけ明かさないように。下手なこと言うとどうなるかわからないから」
何度も念を押されて優子は部屋から出された。 - 53二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 00:47:30
今日はここまでにしときます!また明日!
- 54二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 01:15:41
乙〜
- 55二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 07:29:03
ほ
- 56二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 14:45:41
ほ
- 57二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:16:01
再開します
「あの、私そのまま帰れるんでしょうか・・・?」
「大丈夫じゃない?奴はとにかく呪術師を増やしたいだけみたいだから」
最悪此処から出られなくなっても衣食は保証してもらえるわよ。と女性はどこか不機嫌に言う。
やりかねない組織にか、それとも状況を打開できない自分にかはわからないが彼女は不機嫌だった。
「私の名前は家入、家入硝子よ。もしこの件が片付いたら貴女も高専に転校することになるかもね」
お大事に、と告げられて優子は部屋から出された。それからは意外にも誰に引き留められるわけでもなく帰路につけた。
「ほんとに・・・何事もなかった」
見慣れた風景が近づくにつれて優子は先ほどまでの経験がまるで夢かのように感じるほど、呆気なく終わってしまった。空腹を腹が告げて、食事を催促する。
「今日は何食べようかな・・・」
ふと思いついたのは朝に食べたチーズトースト。とろけたチーズがとてもおいしかった。ハンバーガーなんかもいいかもしれない。そう思いつつ手すりに触れたときだった。
「?」
ぐにゅっ、と奇妙な手ごたえがしてふと手をみると金属製の手すりがまるでゴムのように柔らかくなっていることに気付いた。
「わっ!?なに・・・これ」
手すりは金属だった。しかし自分が触れたところだけぐにぐにと柔らかい。スポンジとゴムの中間のような感触。
どういうわけか混乱する彼女の頭に家入の言葉が浮かぶ。 - 58二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:38:24
「これが術式・・・?」
個性として個人に備わる固有の能力。それが彼女のそれ。
「触ったところが柔らかくなった・・・」
しばらくぐにぐに触っていたが徐々に硬さが戻り、元の金属の質感になった。
再び触ってみたものの今度は固さはそのままで変化はない。
「もしかしてイメージ?」
柔らかいものをイメージして再び触れてみる。するとまた、触れた個所が柔らかくなった。
「すごい・・・これが私の術式なんだ・・・」
うきうきしながら優子は携帯電話を手に、友人に報告するべく連絡をとった。
「・・・はあっ!?」
「んだようるせーな」
ところ変わって任務帰りの鈴鹿は昼食後の眠気もぶっとぶ連絡に飛び上がった。隣で聞いていた真希はいつにもましてやかましい鈴鹿に悪態をつきつつちょっと心配していた。
「優子!?あの施設に行ったの?!」
「・・・マジか」 - 59二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:40:32
電話なので鈴鹿の声しか聞こえないが彼女の態度から察するに友人が例の宗教施設に行ってきたらしい。
「うん・・・うん、無事でよかった・・・マジでさ、心配かけないでよ・・・」
「おい、鈴鹿」
「なに?ちょ、今話し中・・・」
真希が手早く携帯を引っ手繰ると代わりに通話に出た。
「もしもし」
『え、誰?』
「鈴鹿のクラスメイトだ、今、ひまなんだな?」
『え、はい・・・暇といえばひまです。お昼まだだけど』
「なら今すぐ近くのファミレスに来い、鈴鹿と待ってる」
短く告げると真希は通話を切った。
「ちょ、真希!どういうつもり?」
「どうもこうもあるか、お前馬鹿目隠しからなにも聞いてないのか?」
「え?」
「呪詛師に関わって呪術に目覚めたなんて下手すりゃ秘匿死刑の可能性もあるんだぞ?すぐに対策を打つぞ」
真希は頭を掻きながらどうしたもんかな、とつぶやいた。 - 60二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:40:58
これはスパイスガール…!?
- 61二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:41:44
- 62二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:42:38
ダイヤモンドよりも壊れない
- 63二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:43:34
これ落下や衝突を無効化できるのでは
- 64二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:44:05
強い
- 65二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:56:21
真希と鈴鹿がファミレスで待っていると優子が少し遅れてやってきた。
「優子!こっちだよ!」
鈴鹿が呼ぶと優子がこそこそとやってきた。派手派手な鈴鹿と違い、大人しそうで地味な印象だ。
「お前が優子か、私は真希。さっき電話で話したろ?」
「あ、はい・・・」
「真希、優子は結構人見知りだからそんなハキハキ喋ったらだめだよ」
「普通だろうが、別にいいだろそこは」
真希と鈴鹿が言い合いしている間に優子はこっそりカルボナーラを注文した。 - 66二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:23:57
「で、単刀直入に聞くけどな。お前、例の施設に行ったって?」
「はい、行きました」
「妙な事されなかったか?」
それに対して優子は少し迷った。しかし鈴鹿にこれ以上隠し事はできないと全てを打ち明けることにした。
「実は・・・された、と思います」
「マジかよ・・・それで、やっぱりお前も?」
手を翳して軽く念じてみると手から呪力が僅かに灯った。真希と鈴鹿はそれぞれが驚き、そして困ったように頭を掻いた。
「人工呪術師ってマジで作れるんだ・・・」
「それよりよ、そこの施設に硝子さんと賀樂がいるってことだろ」
「硝子さんとお知り合いなんですか?」
友達まで呪術師になってしまって頭を抱える鈴鹿、真希はその施設が黒であることを確信するも優子の言葉に反応した。
「硝子さんを知ってるのか?」
「はい、あの施設で会いました」
「マジか、すぐにでも助けに行きたいが・・・そうだ、優子、その施設の住所知ってるよな?」
「え、あ、はい」
「被害者兼情報提供者ってことで馬鹿目隠しに保護してもらおう」
真希はそういうと今度は自分の携帯で電話をかけ始めた。 - 67二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:51:24
今日はここまでにしときます!また明日!
- 68二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:59:43
乙ー!
- 69二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 07:09:49
保守
- 70二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 13:19:43
保守
- 71二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 21:30:40
保守
- 72二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 22:20:05
再開します!
「もしもし、悟か?」
『どうした?』
真希と知っているからか、それとももうすぐ一カ月になろうというのに未だに手がかりを得られないことに対する苛立ちか。
「情報提供者だ、硝子さんと会ったらしい」
『ナイスだ真希、それで・・・今どこ?』
「〇〇のファミレス。すぐ来るか?なら待ってもらうけど」
『すぐ向かうよ。数分でつく』
通話を終えて真希が視線を前に戻すと優子はカルボナーラを食べていた。
「意外と図太いなコイツ」
「マイペースなんだよ」
鈴鹿の呆れた顔を他所に空腹が限界だったのか優子は黙々と食べていた。
「お待たせ、情報提供者って?」
「そこのJKだよ、鈴鹿の友達だって」
「彼女が・・・?」
真希がそう言うと五条は目隠しを取って六眼で優子を観察する。 - 73二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 22:58:19
「おどろいた、この子・・・出力がすごいね」
「そんなにか?」
「訓練次第で十分化けるよ、で・・・この子、もしかして例の人工呪術師ってやつ?」
「多分・・・自分ではわからないんですけど・・・」
その言葉に鈴鹿と真希は優子に視線を移し、優子は恐る恐る頷いた。
「なるほどね、術式としては無機物の硬度を変化させる・・・か、たぶんだけど固体から液体レベルまで変化させられると思うよ」
「マジ?」
「大マジ、しかしまあこんな術師をホイホイ作られたら・・・ちょっちヤバいよね」
(彼女レベルの術師を、卵とはいえ放り出すなんて・・・それほど数が多いのか?)
術師を捌いて硝子か賀樂、どちらかを助けるにしろ数を頼まれると厄介だ。ただでさえ夏油の術式は数の暴力で押し流すことのできる術式だ。呪霊の軍勢に、術師の兵隊まで加わったら・・・。
(呪術界も含めて国家転覆も夢じゃない、特級の面目躍如ってか・・・)
五条はかつての親友にとっての最高のシナリオと、自分にとっての最悪のシナリオが同時進行している事実に内心で頭を抱えた。 - 74二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 23:07:08
短いですが今日はここまでにしときます!また明日!
ぼちぼちストーリーが動くといいんだけどなぁ。 - 75二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 23:31:00
- 76二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 05:30:39
保守
- 77二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 06:41:57
ほ
- 78二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 13:13:48
保守
- 79二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 18:54:11
ほ
- 80二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 23:14:58
今日はおやすみかな
- 81二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 23:18:35
再開します!
夏油は今、この上なく充実していた。滅ぼすべき猿が、自らが守るべき呪術師へと姿を変える。
それが様々な世界へと旅立っていく者もいれば、自らの家族となるべく修行を重ねているものもいる。
「ミゲル、呪術師の数はどれくらいになった?」
「ソウダナ、ザット50クライカ。術式ノナイ者ナラモットイルゾ」
「嬉しいなぁ、私の世界が広がっていくような気さえする・・・」
夏油は人工呪術師の被検体募集は最初こそ熱心にやっていたが今はやっていない。理由は簡単。もう呼ばなくても来るからだ。幹部たちの選別のもと、呪術高専や呪術界の関係者を弾き施設の関係者たちから検体を選別する。
「おっと、着信か」
夏油は携帯電話を取り出して通話を始めた。ミゲルはそれを見て自分の仕事をへと戻って行った。
「久しいね、悟」
夏油は笑みを深めて通話の先にいるかつての親友に応える。
『傑、単刀直入に言うぞ。硝子とあの子を返せ』
「嫌だと言ったら?」
『信 者ごと施設を吹き飛ばす』
「穏やかじゃないね、一般人や政界なんかの連中もいるんだが?」
『呪詛師に関わった連中なんてどうとでもなる。知ってるだろ?』
それを聞いて夏油はそれを笑い飛ばした。
「君がそれをやるのかい?呪詛師(われわれ)のように?」
『・・・』 - 82二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 23:29:23
地震ビビったぜ
- 83二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 23:51:47
>>82 こちらは特に感じませんでした。
五条が黙り込んだのを察して夏油はさらに笑みを深めながら言葉を待っている。
取り込んだ呪霊、術師として引き込んだ仲間、そして駒となる人工呪術師。
そして賀樂によってもたらされる手駒と資金。
夏油は完全に、勝利を確信していた。時間が過ぎればすぎるほどに呪術師の種は四方八方へと飛び散り、それが芽を出せば呪術師という存在はもはや影の存在ではなくなる。
仮にここを失ったとしても賀樂を従えている内は無一文になったとしても容易く復興できるのだ。
「悟、非術師の猿どもを守るという建前がある以上、呪術界はどうにならないよ。私が呪術界の上層部の特権だった呪術の秘匿と独占を壊しつつあるんだから」
『そうだな、だがそれもあの子がいてこそだ。彼女を失っても同じことが言えるかな?』
「ああ、そうだなぁ・・・困るねえ、硝子を取り戻されたら彼女は暴れるかもしれないし」
夏油の呪霊躁術と賀樂が従える魔虚羅はすこぶる相性が悪い。魔虚羅は賀樂との長い生活で反転術式により正の呪力を生成し刃とするだけでなく、今はそれを放出することもできる。たとえ人混みの中でも賀樂はなんの気兼ねなく魔虚羅を使役して呪霊を全滅させることができるのだ。仮に魔虚羅を足止めし、体術を利用して彼女を黙らせようとしても彼女自身も呪力による強化と反転術式で肉体の欠損レベルの重傷を負っても即座に再生できる。
一瞬で意識を奪う必要があるが、復帰も同様に早い。
- 84二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 00:21:33
うーん、夏油の負けフラグたたなくねー?
- 85二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 00:33:48
今日はここまでにしときます。また明日!
- 86二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 00:52:14
乙!
- 87二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 00:52:42
フラグはな…勝手に立てるんじゃよ…
- 88二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 08:52:19
ほ
- 89二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 13:05:32
保守
- 90二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:39:55
再開します!
「ま、彼女は恐らくだが・・・私の元からは離れられないよ」
『なんだって?』
「信じる信じないは悟の勝手だけどね」
夏油はそう言うと通話を切った。
「ふふふ、彼女はまるで・・・あの時の私だよ。見捨てられるはずがない」
夏油はそう言うと大声で笑いだした。
「はははは!そうだともさ!あの子は!猿どもを見捨てられない!そうするにはあの子は優しすぎるからねぇ!」
猿をまだ人と呼んでいたころ。守るべき存在と信じていたころ。ぎこちない笑顔で生きていたあの頃。
賀樂はそうなのだ。まだ彼女にとって猿は人で、まもるべき存在だ。それを見捨てて逃げるだけの強さはない。
「ふふふ、さ・・・今日もルーチンをこなすとしようか。今日はどんな新たな家族を迎えられるかなぁ」
「ちっ、切りやがった」
五条は住所の書かれたメモを握りしめて一人。ビルの屋上で風に遊ばれながら考えていた。
このまま乗り込んで全てを台無しにするのは簡単だ。しかしそれでは夏油はきっと逃げ出すだろう。
賀樂が逃げないという確信をどこからか得ていることからもその線は濃厚だと言える。 - 91二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:56:18
お悩みゴジョさん
- 92二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:09:53
「学長、夏油の潜伏先がわかりました」
「そうか・・・」
夜蛾は五条の報告を受けても表情は暗かった。任務では既に乙骨と狗巻が準一級の呪霊による任務の妨害を受けているし、報告の上では夏彦に対してしつこいくらいの勧誘が手を変え、品を変えてきているという。
「早急に対策を・・・と言いつつももう一月か。早いもんだな」
「まだ前科もなにもない呪詛師連中をどうにかするにはどうしたらいいんでしょうね」
夏油の配下として動いている以上は彼らは呪詛師と認定され、排除されるだろう。危険視するものも少なくないのだろうが上層部は実際の規模と彼らの想像の中での規模の乖離か、それとも鼻薬でも嗅がされているのかいつも以上に動きが鈍い。
「普段の任務や訓練での負傷者が自然治癒任せで全然捗らないのも問題ですよね」
「あの子だけでもそうだったのに硝子まで連れ去られてはな」
貴重な反転術式のアウトプットができる人材が二人、しかも片方は前にでて直接救出などもできる貴重すぎる人材なだけに抜けた穴は大きかった。
五条はもちろん、夜蛾もどこか疲れが滲んでいた。
「・・・マジでホワイトだわここ」
対する硝子は天窓から降り注ぐ太陽の光を浴びながらぼへーっとしていた。自由が無い事はそれなりにストレスになるかと思っていたが考えても見れば賀樂が来る前は仕事仕事で夜に飲みに行くなど仕事終わりの自由時間を楽しむのがせいぜいで、休日などもあってないようなものだった。
「それでは家入先生、あとは我々が引き継ぎますのでカルテの確認だけお願いしますね」
「わかったわ、あの子はどうしてるのかしら・・・」
「共同作業がもうじきあるとか言っていました」
チャンスの到来に家入はポーカーフェイスを保ちつつ日時を正確に記憶した。夏油がどのような慢心を抱いたのかは知らないが賀樂と自分を引き合わせるらしい。 - 93二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:17:16
- 94二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:33:50
いいじゃねぇか
- 95二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:59:06
>>93 そんなもの・・・もうないよ(賀樂に合わせて早く寝るのが増えてから今の環境のため
カルテを書いて、仕事を終えてから先ほどのぼへーっとしていた時間に戻る。
賀樂の事は軟禁されている現在でも伝わってくる。既に教団の中ではなくてはならない存在で、彼女が教団のシンボルになりつつあるのだそうだ。
「夏油め、あの子をどうするつもり・・・」
言いかけてすぐに自分の頭の中で結論は出ていた。非術師を鏖殺して呪術師だけの世界を作る。そう学生時代の彼が言っていたのを思い出したからだ。
「意味わかんねー・・・」
日の光と冷暖房の完備された快適な温度が家入を夢の世界へといざなう。
「おねえちゃんと一緒に仕事するの?」
「そうだよ、その日はちょうど・・・医療関係者が少なくてね」
夏油の言葉を半信半疑で聞きつつ、賀樂はチャンスの到来に内心でガッツポーズした。
この前髪に一泡吹かせつつ家入を救出して、ここから逃げ出すチャンスだ。
「ああ、それと・・・君のファンからだ」
夏油は箱に入った手紙の束を賀樂に手渡した。彼女にとっては強制されてしていたことだが皮肉なことにそれが彼女の名声を高めていた。
「こんなに・・・?」
「本来猿の治療なんてどうでもよかったが・・・君のお陰で元気になった人がたくさんいるんだ、それだけは事実だよ」
- 96二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 23:28:40
笑顔を張り付けてはいたが。夏油は続ける。
「君がいなくなったら、もう彼らを助ける人はいなくなる」
と。
「いなくなる・・・?」
「おいおい、君や硝子みたいな呪術師がそう何人もいると思うかい?いたとしても・・・私なら助けないね」
「な、なんで・・・」
「だって呪術師以外はどうでもいいからね。今はお金や呪霊を集めてくれるが・・・そうでないなら」
用済みだ。と夏油はそう告げて首を掻ききるしぐさをした。賀樂がその言葉に呆然としているのを可笑しそうに見ながら夏油はそのまま部屋を出ていった。
「私が逃げたら・・・皆はどうなるの・・・?」
箱に詰まった手紙は彼女が助けた人々の数であり、それを聞きつけてまたさらに人が集まるだろう。
賀樂にとって感謝されることは嬉しい事、しかしそれが彼女の決意を鈍らせる要因になっていた。 - 97二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 23:59:13
「というわけで、二人を救出する作戦を練ります!」
「マジで言ってんの?」
ところ変わって呪術高専一年生メンバー。そこに優子を加えた面々が話し合っていた。
「だって、優子は超のつくいい子だけどほかの連中はアレかもしれないじゃん」
「私達だけでやるって言うのがマジか?って言ってんだよ」
「危ないんじゃ・・・」
「こんぶ」
「真希に同意だな。俺もそんなにうまくいくとは思えない」
なにより目立つしな。とパンダが言うとほかの面々もそれに同意し、唸るばかり。
「でも家入さんは助けたいし、賀樂ちゃんだってそうだよ」
優子はそう言うと記憶の中の賀樂を思い浮かべる。
「あの子、どこか疲れた感じだった。まともな扱いされてないかもしれない」
「軟禁されてるし今更だろ、それより夏彦にも嫌がらせしてるみてぇだしうざったくはあるよな」
真希は女性からのプレゼントがあったと夏彦が零したのを真依経由で耳聡くききつけ不機嫌になっていた。
それに対して他の面々は苦笑しつつ、それでも現在の状況を打開したいと考えてもいた。
「乙骨が囮になるのは?」
「え、僕が?!」
「だってアタシは下手すりゃ顔割れてるし、夏油って奴は元々高専に居たんでしょ?なら呪術界に関わってる奴らは身元と顔がバレてると思った方がいい」
「憂太なら最悪里香を頼れば逃げるくらいはできるだろうしな」
「えー・・・」
「ツナマヨ」
囮として真っ先に提案されたことにショックを受ける乙骨を狗巻はどんまい!って感じで肩を叩いた。 - 98二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 00:25:40
今日はここまでにしときます。また明日!
五条が早いか生徒たちが早いか、賀樂が割り切って無双するのが早いか! - 99二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 00:42:48
乙