神輿は軽くてバカが良い編 第三章 夢幻スレ立て

  • 1◆VLlUGaOg9c24/04/11(木) 22:37:32

    認知外で乱立するスレを前に、トリップの導入を決意した先生。

    ヴェリタス脅威の科学力によりスレ爆破が行われ、連邦生徒会は威信をかけて本スレ立てに乗り出した。

  • 2二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:38:08

    たておつです

  • 3◆VLlUGaOg9c24/04/11(木) 22:40:17
  • 4二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:40:57

    サーバーが不安定なせいなのかURLとスレ画を同時に載せようとすると画像がアップロード出来なくなる場合があるらしいから、次スレを立てるときはそれぞれ分けて書き込んだほうがいいらしいよ

  • 5二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:42:06

    二、三回支配されてましたもんね…立て乙です…!

  • 6二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:42:43

    建て乙
    前スレ埋められたせいで次スレが探せなくて焦った

  • 7二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:42:46

    立て乙

    別人が立ててたんかあれ……

  • 8二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:43:31

    たておつ
    トリップの重要さがよく分かる事件だった…

  • 9二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:49:08

    えっ、何があったの?

    >>3のスレが埋まったあたりで掲示板見れてなかったけど

  • 10二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 22:57:25

    >>9

    次スレを立てようとしてスレ主が失敗し、荒らしがサムネ画像を乗っ取る事件が複数回起きたとかそんなん

  • 11◆VLlUGaOg9c24/04/11(木) 23:02:20

    ナレーション
     正義実現委員会内でも大きな発言権を有するイチカの弁護は大きく、加えて、初犯である上に本人の証言が理路整然と
     していて道理が通っていたことで、アズサはすぐに解放された。犯人として拘束し続けるには早計だと結論付けられた
     のである。

     イチカ「という訳で、とりあえずアズサちゃんは無罪放免。この事件は捜査からやり直しっす」

     アズサ「ああ、余計に手間を取らせてしまったようですまない」

     イチカ「いいっすよ。アズサちゃんに悪気があった訳じゃないのは分かってますし、正義実現委員会としても
         冤罪はなるべく避けたいですからね」

    ナレーション
     たしかに捜査のやり直しは面倒ではあるが、目の前の素直で善良な友人を冤罪で裁くよりは余っ程いい。
     トリニティの生徒はゲヘナほど奔放ではないが、その分、狡猾で悪辣な悪事を働く者がいる。
     そのような生徒たちを知る身としては、純真で人の良いアズサのような存在は見ていて癒やされる。
     イチカは元アリウスの生徒たちがトリニティに染まり過ぎないことを切に願っていた。

     アズサ「それでも、お礼を言わない理由にはならないから・・・ありがとう」

     イチカ「どういたしましてっす」

  • 12二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 02:47:36

    前レスにあったけど、アズサ飲み込み早いよね

  • 13◆VLlUGaOg9c24/04/12(金) 06:50:44

    イチカ「へへっ、どういたしまして。せっかくだから、コハルのところまで案内するっす」

    ナレーション
     イチカはアズサが何故出歩いているのか?その理由を押収品の中にあったリストを見て知っていた。
     補習授業が必要と判断された落第生たちのリスト。その中に可愛い後輩がいたことには色々思うところはあるが、
     コハルのテストの成績が余りよろしくないことは以前ハスミ副委員長に装弾されて知っていたので納得出来た。
     むしろ、コハルの名前があったことでリストの信憑性が増したほどである。

    アズサ「ああ、助かる。この辺りの地理は大方把握したつもりだが、来たばかりなことに変わりは無いからな。
        まだ少し不安が残る」

    イチカ「いや、むしろこの短期間で広いトリニティの地理を大体把握出来てるのがもう驚きっすけど・・・・・・・・・」

    ナレーション
     なんて駄弁りながら、2人は取調べ室を出て下江コハルを探し始めた。
     

  • 14二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 12:36:10

    唯一実力で補習授業部に入った女

  • 15◆VLlUGaOg9c24/04/12(金) 22:00:21

    >>14

    ものは言いよう・・・・・・


    >>13

    コハル「イチカ先輩っ!?何で凶悪犯を連れ出してるんですかっ!?」


    イチカ「コハルちゃん、凶悪犯じゃなくて容疑者ですよ。それも証拠不十分で釈放っす」


    コハル「え、えぇ・・・・・・」


    アズサ「イチカが弁護してくれて本当に助かった。私には補習授業部のメンバーを集める任務がある」


    イチカ「ということで、忙しいアズサちゃんを何時までも捕まえている訳にはいきませんからねぇ」


    コハル「先輩がそう言うなら・・・・・・」


    ナレーション

     コハルは色々と言いたいことがあったが、他ならぬ先輩の言葉ならと飲み込んだ。

     イチカが面倒見が良くて後輩に慕われるいい先輩ということもあるが、コハルは余り人と話すのが上手い方ではない。

     つまるところ、先輩を相手に面と向かって反論するだけの弁舌も度胸もなかったのである。

     とはいえ、コハルも正義実現委員会の1人。現実に苦しめられている人がいれば頑なにもなっただろうが・・・・・・・・・コ

     ハルは事件を担当している訳でもなければ、目撃しているわけでもない。又聞きの事件概要と先輩への信頼を天秤に

     かけて後者を取った。

  • 16二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 05:49:53

    このレスは削除されています

  • 17二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 12:10:09

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 16:22:42

    スレ立て大変でしたね。

  • 19◆VLlUGaOg9c24/04/13(土) 20:36:36

    コハル「ふ、ふん!でも言い様よ!こっちはこんな凶悪犯かもしれない相手と一緒に居たくないし、
        そもそも補習授業部だなんて!恥ずかしい!アリウス分校なんてのも得体が知れない清々するわ!」

    ナレーション
     コハルの悪いところが出てしまった。コミュニケーションが苦手で内弁慶、その癖、見栄を張って自分を強く
     見せたがる悪癖である。虚栄心の賜物と呼んで良い。
     コハルには自身が正義実現委員会のエリートであるというプライドを拠り所にしている部分があり、
     自分はそこいらの落第生や得体の知れない連中とは違うのだ。という自負がコハルを攻撃的にしてしまっていた。

    イチカ「あー・・・・・・コハルちゃん、言い難いんっすけど・・・」

    コハル「え、イチカ先輩、一体何ですか?まさか、また他のアリウスが何か・・・・・・」

    アズサ「いや、私以外の元アリウス生はみんな教室にいる。私は元々トリニティ生だった補習授業部員のメンバーを
        呼びに来た」

    コハル「へ、へぇ~、トリニティにも補習授業部員が居るんだ。まぁ、お似合いじゃない?不審者にバカの組み合わせ、
        私なら一緒に居るだけで羞恥心で死んじゃいそう」

    イチカ「・・・・・・・はぁ」

    アズサ「下江コハル、君が1人目だ」

    コハル「・・・・・・えっ?」

    アズサ「私が探しに来た補習授業部員、その1人目は君だと言ったんだ。下江コハル」

    コハル「・・・私っ!?」

  • 20二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 04:47:28

    まだ磨かれてない頃のコハルって結構腐ってたよね…

  • 21二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 10:00:06

    それは…そうですね

  • 22二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 18:45:21

    このレスは削除されています

  • 23◆VLlUGaOg9c24/04/14(日) 20:31:50

     あ、ありのまま今日起こったことを話すぜ!

     何となく新しいゲームを買ったから、取り敢えずお試しで1時間と思ったら1日が終ろうとしている!?

     超スピードだとか超能力だとかチャチなもんじゃ断じてねぇ、もっと素晴らしい名作の片鱗を味わったぜ!

     

     という訳で遅れて申し訳ございません。続きを再開します。


    >>19

    コハル「・・・・・・」


    ナレーション

     エリートである自分が落ち零れの仲間とされたことに気落ちするコハルを引き連れながら、

     アズサと監視と案内を申し出たイチカはトリニティの通路を歩いていた。


    イチカ「それで他には誰がいるんっすか?」


    アズサ「リストによると、他の2人は2年生らしい。内、1人は私もイチカも知っている名だ」


    イチカ「というと、アリウス講話対策委員会の仲間?でも、補修になるような人は居なかったような・・・・・・」


    アズサ「ああ、私も意外だ。年月にすればそれほど長い付き合いではないが、

        浦和ハナコは聡明で理解力が高い少女のように見えた。もちろん、学校の勉強が出来ないタイプという可能性

        もあるが・・・・・・・・・あの予知染みた推理力は並外れたものだろう」


    イチカ「ああー・・・・・・、ハナコさんですか」


    アズサ「何か心当たりでもあるのか?」


    イチカ「まぁ、ちょっと、思うところはあるっす。・・・・・・・・・それはそうと、もう1人は?」


    アズサ「ああ、もう1人は・・・・・・」

  • 24◆VLlUGaOg9c24/04/14(日) 20:55:26

    チュドーンッ!(爆発音)

    ナレーション
     と、呑気に話している暇は無くなってしまった。
     トリニティは反目し合っているゲヘナほど治安が良い訳ではないが、それでもキヴォトスの学校である。
     街中での銃撃戦は珍しいが、遠いものでもない。運が悪かったら普通に遭遇するレベルのトラブルでしかないのだ。

    アズサ「話している時間が無くなってしまったようだ」

    イチカ「っすね」

    コハル「えっ、ええっ!?」
    ナレーション
     当たり前のように共闘しようと、愛銃を両手に駆け出した2人をコハルは慌てて追いかける。
     落ち零れの仲間扱いは気に入らなかったが、1人残されるのも心細くて嫌だったし、何よりコハルも正義実現委員会
     の一員である。自ら危険に飛び込んででも正義を成すことに異論も異存も無かった。

    コハル「ちょ、ちょっとっ!?イチカ先輩はともかくソイツも連れて行くんですかっ!?」

    イチカ「仮にも監視役っすから目を離す訳にはいかないですし、それにアズサちゃんは頼りになるっすよ?」

    アズサ「正面戦闘は余り得意ではないが、出来る限りのことはしてみよう」

    コハル「なっ!?」

    ナレーション
     憧れの先輩が自分でなく、得体の知れない素性の落ちこぼれを「頼りになる」と称したことは、
     コハルの心に暗い影を落とした。

  • 25二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 00:03:31

    コハルちゃん曇ってる

  • 26二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 05:31:25

    戦闘要員としてはどうしてもアズサ>コハルなのはしゃーない

  • 27◆VLlUGaOg9c24/04/15(月) 06:35:23

    イチカはコハルを頼りにしていない訳ではありませんが、アズサとはアリウスで既に共闘した中で実力を良く知っている
    ので・・・・・・

  • 28二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 16:01:49

    次スレ建ってた
    楽しい

  • 29◆VLlUGaOg9c24/04/15(月) 22:00:03

    >>24

    ナレーション

     阿慈谷ヒフミは激怒した。かの邪知暴虐なる生徒を除かねばなぬと決意した。

     ヒフミには政治が分からぬ。ヒフミはトリニティの1学生である。グッズを買い、ペロロ様のライブを見て暮らしてきた。

     けれども、モモフレンズには人一倍敏感であった。

     今日未明、ヒフミが何時ものようにトリニティの廊下を歩いているとモモフレンズのグッズショップを見つけた。

     喜び勇んでショップへと駆け出すヒフミであったが、グッズを見て気がついた。・・・・・・パチモンである。


    不良A「何なのよコイツ、温室育ちのお嬢様の癖にっ!」

    不良B「くそっ!あのキモ鳥のグッズなら売れるんじゃなかったのかよっ!?」


    ヒフミ「あはは・・・・・・ペロロ様の名を騙るなんてユルシマセンヨ?」


    不良A・B「「ひいぃっ!!」」

    不良C「お、お前等、怯まず戦え!このままじゃあ赤字だぞっ!」


    ナレーション

     立ち塞がる不良を跳ね飛ばし、ヒフミは炎のように怒った。銃弾を躱し、銃口を突きつけ、何度も引き金を引いた。

     街の人たちを仰天させ、大地を蹴飛ばし、射線を潜り抜け、少しずつ沈んでゆく太陽の十倍も熱く怒った。

     撃て、ヒフミ。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。


    ズダダッ(銃声)


    不良C「うぐぅ・・・・・・」ドサリ(倒れる)


    不良A・B「「リーダーッ!?」


    ヒフミ「後は貴女たちですね。ペロロ様の歴史を侮辱するお馬鹿さんたちは・・・・・・」

  • 30二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:14:59

    ファウスト…

  • 31二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 06:51:14

    あはは

  • 32二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 10:34:12

    や、やりやがった……

  • 33二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 20:00:40

    これは真のアウトロー

  • 34◆VLlUGaOg9c24/04/16(火) 20:10:48

    ナレーション
     彼女たち不良がしていたことは立派な犯罪だが、銃社会のキヴォトスでは大犯罪という程ではない。
     奪う訳でもなく、脅す訳でもなく、物理的には誰も傷つけていない。キヴォトス基準では可愛らしい悪事とさえ言える。
     その上で尚、不良たちが犯した失敗を上げるとするならば狂信・・・・・・ファンの熱量を侮ったことだろう。
     今、彼女たちの目の前にいるのはトリニティで最もペロロ様を愛する少女だ。

     不良A「や、やばいよコイツ・・・っ!」
     不良B「くそっ!こうなったらズラかるしか・・・っ!」

     ヒフミ「逃がしませんっ!」

     ナレーション
     倒れたリーダーを置いて逃げだそうとした不良たちにヒフミの銃口が向けられる。

     イチカ「はい、そこまでっすよ」

     ヒフミ「離して下さいっ!彼女たちはペロロ様を侮辱したんです」

     ナレーション
     しかし、背後から近づいたイチカがヒフミを羽交い締めにしたことで、その銃口から弾丸が発射されることはなかった。
     不良たちは脅威が取り除かれたことに安堵しながらも、正実に捕まる訳にはいかないと退却を続行する。

     アズサ「君たちもだ、大人しく両手を挙げて投降して貰おう」

     ナレーション
     しかし、その退却戦は元特殊部隊の精鋭によって阻まれるのであった。

  • 35二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 00:17:09

    阻まれた

  • 36二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:02:57

    前門のファウスト 後ろ門の氷の魔女、最初から逃げ場はなかったのか。

  • 37二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 16:45:47

    やっぱし怖いスねペロキチは

  • 38二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 21:10:47

    ナレーション
     得体の知れない落ち零れが憧れの先輩と肩を並べる姿を目撃したコハルとペロロ様の敵を粛清しきれなかったヒフミの
     2人が不満を隠さずにふてくされながら着いてくるのを尻目に、アズサとイチカは最後の1人を探し始めた。
     のだが・・・・・・

    アズサ「そういえば、イチカは心当たりがあるようなことを言っていたな?」

    イチカ「あー、まぁ、あの人もあの人で大変なんですよ。成績優秀で色んなところから勧誘されてるって話ですし・・・
        ・・・・・・それがストレスになっちゃったんですかね。あの人、水着で校舎を徘徊するようになって・・・」

    アズサ「水着?陸で水中用の装備を身につけるのは確かに変な話だが、それだけだろう?」

    イチカ「いや、まぁ、それを言っちゃったらそうなんっすけど・・・・・・・・・身体のラインとか出るし恥ずかしいじゃない
        っすか」

    アズサ「?むしろ運動性能が高そうでありがたいと思うが?」

    イチカ「・・・・・・ああ、そうだった。アズサちゃんたち、兵士として育てられたんだったっすね」

    ナレーション
     あまりにも純粋な目を前にして、イチカは1から情操教育まで施さなければならないのかと内心頭を抱えた。
     それは本来イチカの仕事ではないが彼女もアリウス解放に関わった講和対策委員会の人間だ。ただ独裁者を倒して
     「はい、お終い。後は自分たちで頑張ってね」と放置するのは気が引けた。だから、今もアズサに付き合っている。
     新しい友人たちの助けになれるのは誇らしいことだが、その前途多難さはイチカにとっても悩みの種であった。
     

  • 39二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 04:56:02

    水中機動性に優れるとかそそのかしたらえっちな水着も着てくれそうだよねアズサ

  • 40◆VLlUGaOg9c24/04/18(木) 06:36:19

    >>39

    アズサは価値基準が基本兵士なので・・・・・・

  • 41二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 12:49:52

    純粋なんだな

  • 42◆VLlUGaOg9c24/04/18(木) 21:04:31

    そのころ アリウス 補習授業編

    元アリウス生A「9×9=・・・・・・83?」
    元アリウス生B「違うよ、84だ」
    ヒヨリ「・・・・・・分かりました!90です!」
    元アリウス生A・B「「いや、それは違う」」
    ヒヨリ「うわあぁぁぁぁぁぁん!」

    "・・・・・・もう1回、1から教えるね"

    ナレーション
     先生は苦笑いを浮かべながらも、単純な足し算と引き算だけで生きてきた元アリウス生たちに勉強を教えていた。
     人数が多いので大変ではあるし、時間も掛かるけれど、生徒たちに勉強を教えるのは書類仕事よりも余っ程やりがい
     があったし、何よりも弱音を吐く生徒は沢山居たが誰1人として勉強を投げ出しはしなかった。
     
    カナ「うーん、分からん!」
    サオリ「カナ、この問題はどうだ?」
    カナ「それなら分かる!ここはだな・・・・・・」

    ナレーション
     それはきっと、トリニティ生としての暮らしがベアトリーチェの支配よりも心地よいというのもあるだろうが、
     彼女たちが選んだバ・・・カナが一緒になって必死に頭を悩ませているからだろう。
     ティーパーティーの新たなるホストとなるカナは他の補習授業部員よも学ばなければいけないことが多い上、
     要求されている合格点も高い。それでも、カナは諦めずにかつてのような元気さを見せているのだ。元アリウス生達
     にとってこれ以上の奮起材料はない。
     
    "よしっ!みんな、聞いて!かけ算についてもう1度説明するね!"

    ナレーション
     そして、そんな生徒たちの姿勢は先生のやる気をも引き出していた。

  • 43二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 00:57:37

    やさいせいかつ

  • 44二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 06:43:50

    九九覚えるところから高校レベルまで駆け足で100人以上に教えるのか・・・・・・

  • 45二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 12:04:42

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 22:43:53

    そろそろほしゅっと

  • 47◆VLlUGaOg9c24/04/19(金) 23:23:58

    ナレーション
     ハナコはある意味で最もトリニティに向いていながら、最もトリニティを嫌悪している生徒だ。
     優秀であるが故に笑顔の裏が見えてしまい、そこにある謀略を上回る策を導き出せてしまう。
     だからこそ、ハナコはトリニティの数多くの勢力から熱烈なラブコールを受けているし、その全てを振り切るために
     狂人の真似事まで始めてしまった。
     笑いながら他人の脚を踏み潰せる醜い人から、なのにその相手を上回る策を・・・他人を踏み潰す術が分かってし
     まう自分から、解放されるなら狂人でも痴女でも何でも良かった。

    カナ(回想)『これから先も胸張ってみんなの隣にいたいからだと思う!』

    ナレーション
     だけど、ハナコは自分の目で見てしまった。知ってしまった。
     悍ましい教えで心を蝕まれ、生きた道具に変えられてしまう現世の地獄に咲いた大輪の華を見つけてしまった。
     そこのは何の悪意もなく、ただ純粋で自由な心を以て、憎しむことよりも歩み寄ることを選んだ人。
     それは灼けるほどに眩しくて、気持ち悪いほどに理解不能で、忘れられないほどに光り輝いた希望。
     気がつけば、ハナコの心の奔流の中心に神子柴カナがいた。

    ハナコ「私は・・・・・・」

    ナレーション
     ハナコは神子柴カナになれない。上辺をなぞり振る舞うことは出来ても、その心は得られない。
     それは他ならぬハナコが1番理解していることだが、同時にハナコはカナへの嫉妬心を抑えられない。
     どうしてそんなにも眩しく在れるのか?どうしてそんなにも強く在れるのか?正しく在れるのか?
     ハナコは今ならイカロスの気持ちが分かる気がした。灼かれると分かっていても、手を伸ばさずにはいられないのだ。

  • 48二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 01:08:43

    イ、イカロス……

  • 49二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 06:24:45

    素直な子は大好きよねトリニティの才女ことウラワフラワーさん

  • 50二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 15:18:11

    かわいい

  • 51二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 15:35:27

    ハナコも脳焼かれちゃった…

  • 52二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 20:56:27

    このレスは削除されています

  • 53二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 07:14:25

  • 54◆VLlUGaOg9c24/04/21(日) 13:14:50

    トリニティモブ「浦和さん?そういえば、最近は元気が無いみたいで以前のような奇行も見ませんね。
            まぁ、私としては静かで良いですけど」

    正実モブ「えっ、浦和さんですかっ!?それが最近は考えることが増えたみたいで部屋に籠りがちで・・・・・・
         あの、イチカ先輩、浦和さんに会いに行くのなら」

    ナレーション
     地道な聞き込み調査によると、かつては水着徘徊の奇行で知られたハナコが最近は余り出歩いていないらしい。
     アリウス解放の1件以来、考えることが増えて部屋に籠りがちになってしまったという話だ。

     アズサ「困った、寮の場所は知っているが浦和ハナコの部屋の場所は分からない」

     イチカ「それなら寮監さんに頼んで場所を教えて貰えばいいっすよ」

     アズサ「しかし、それでは我々の情報が寮監にバレてしまう」

     ヒフミ「あの、やましいことがある訳じゃないんだから別にいいんじゃあ・・・・・・」

     アズサ「甘い、情報戦は武器を用いない戦争だ。どこに敵となる人物が潜んでいるか分からない以上、
         細心の注意を払って厳戒態勢をとる必要があるだろう」

     コハル「はぁっ!?意味分かんない!トリニティに敵なんて居る訳ないでしょっ!?」

     イチカ「うーん、そうとも言い切れないのが悲しところっすが・・・・・・、そう気を張り続けることもないっすよ。
         もう支配も戦争も終りました。ゆっくりで良いから、兵士以外の生き方を見つけていけば良いっす」

     アズサ「・・・・・・・・・分かった。盟友であるイチカがそういうなら努力しよう。

     ナレーション
     アズサたち一行はハナコの部屋へと行くことになった。

  • 55二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 15:30:50

    ᓀ‸ᓂ

  • 56◆VLlUGaOg9c24/04/21(日) 22:16:02

    イチカ「ハナコさん、ちょっと用事があるんですけどいいっすか?」

    ナレーション
     部屋の外から聞こえた声に、ハナコは意識を現実へと引き戻された。
     ハナコとイチカはアリウス講話対策委員会で一緒になるまで深い付き合いは無かったが、それでも有名人なので互いの
     ことは知っていた。イチカは正義実現委員会の幹部格、トリニティでも息苦しい立場の筈だ。
     なのに、どうして彼女は平気なのだろう?そんな何でも無いように振る舞えるのだろう?ハナコには分からなかった。

     ハナコ「・・・・・・ええ。今、扉を開けますね」

    ナレーション
     ハナコは自分の中に渦巻いている感情を自覚しながら、ちゃんと答えを返せたのは奇跡だと考えた。
     だが、すぐにその思考を改める。自分で自分が何を、どんな風に言っていたのか分からなくなったからだ。
     部屋の扉を開けたとして、学友に笑みを返せるだろうか?何も酷いことを口走らずにいられるだろうか?
     ちゃんと取り繕えるだろうか?そこまで考えて、ハナコはドアノブを手放した。

     ハナコ「・・・・・・・・・ごめんなさい。やっぱり、今日は少し都合が悪いので後日にしてくれませんか?」

    ナレーション
     浦和ハナコは嘘をついた。
     

  • 57二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 06:03:01

    ハナコ…

  • 58二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 12:39:06

  • 59◆VLlUGaOg9c24/04/22(月) 18:38:12

    アズサ「ハナコには補習授業部への招集命令が出ている。一緒に来て貰わなければ困る」

    ナレーション
     ハナコは、そういえば以前のテストは手を抜いていたな?と、今更ながら思い出した。
     アリウスのゴタゴタでハナコ自身すっかり忘れていたことだが、脚の引き合いでどうしようもないトリニティでの
     生活に嫌気が差し、テストを白紙で出して退学を目論んでいたのだ。
     もっとも、今のハナコにとっては、自分がトリニティから退学出来るか等、今の今まで忘れていたほどの些事でしか
     ない訳だが。

    ハナコ「・・・・・・・・・すいません。今はマシになってきたのですけど、体調が余り良くなくて・・・移すといけないので
        完全に治ってから合流させて貰いますね」

    ナレーション
     嘘ばかりスラスラと口をついて出る自分を嗤いながら、またハナコは心にもないことを口にした。
     ・・・だが、浦和ハナコはまだ白州アズサという少女を理解していなかった。

    アズサ「・・・緊急事態だ。3カウントまでに扉を開けなければ鍵を破壊する」

    ハナコ「え?あの、それは一体どういう・・・?」

    アズサ「3・・・2・・・1・・・0っ!」

    ズガンッ!(銃撃音)

    アズサ「ハナコ、君を救護騎士団に救急搬送する」

    ナレーション
    銃声とともに現れた少女は、ガスマスクをつけていた。

  • 60二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 18:38:56

    知ってた

  • 61二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 19:50:31

    この女版 相良宗介め

  • 62◆VLlUGaOg9c24/04/22(月) 22:13:45

    ナレーション
     アズサの先導の元、浦和ハナコを背負ったイチカがトリニティの廊下を爆走していた。
     苦笑いを浮かべたヒフミと先輩が加担していて止める度胸のないコハルが恥ずかしそうに後を追うのも合せて、
     トリニティ中の生徒が久し振りに見た変態・・・もとい天才の姿に注目していた。

    ハナコ「だ、大丈夫です!大丈夫ですから降ろして下さい!」

    イチカ「って言ってるっすけど?」

    アズサ「降ろすわけ無いだろうっ!事態は一刻を争う!大丈夫、私はハナコを死なせない!」

    ナレーション
     ハナコの名誉の為に言わせて貰えば、彼女の嘘はまったく場にそぐわないものではない。
     風邪だから人と会わないようにしている。というのは自然なことではあるし、幾ら戦友とはいえ付き合いが長い訳では
     ないアズサたちならば「お大事に」で終るだろうと考えても仕方のないことだ。だが、相手は元少女兵だった。
     アズサたち元アリウス生からすれば「たかが軽い体調不良」ですら「死の前兆」と同義であった。

    イチカ「そうっすよ~?体調不良を放っておいて死んじゃったら大変っす」

    ナレーション
     実のところ、イチカはハナコの嘘にある程度気がついていたが灸を据える意味も兼ねてアズサに乗っかっていた。
     一部始終を見届けた彼女の後輩曰く、すっごく楽しそうに笑っていたらしい。

  • 63二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 22:46:52

    Sっけイチカちゃん

  • 64二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 00:37:10

    ハナコが振り回される側に回るとは

  • 65◆VLlUGaOg9c24/04/23(火) 06:42:44

    ハナコは何だかんだ根っこのところは普通寄りの女の子だと思うので、
    根本的に価値観が違う相手には振り回されることもあるかな?と・・・・・・

  • 66二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 17:16:44

    狂人擬きだからね…

  • 67◆VLlUGaOg9c24/04/23(火) 22:27:25

    セリカ「おかしいですね・・・・・・。熱もありません」

    ハナコ「ね、念の為に大事をとっていただけですので・・・・・・・」

    ナレーション
     救護騎士団に運び込まれたはいいものの、仮病なので調べても何も分かるはずが無い。
     しかし、自分の嘘が大事になってしまった現状に内心苦悩する自分の胃を調べれば、もしかするとキリキリと痛む
     原因が分かるかも知れない。とハナコは嗤った。

    アズサ「本当に大丈夫なのか?食欲は?眠れているか?」

    ハナコ「大丈夫ですよ、アズサちゃん。ご迷惑をおかけしました」

    イチカ「なら、もっと元気そうな顔をすることっすね。アズサちゃん、本当にハナコさんの命の危機だったんですよ?」

    ハナコ「そう、ですね。すいません」

    ナレーション
     ズキリッ!と鈍い痛みがハナコの胸を刺した。
     普段の聡明なハナコの頭脳ならば、アズサの境遇を考えれば、単なる風邪でも大事になることは想定出来た筈だ。
     いや、ハナコが聡明か否かはこの際関係無い。重要なのは自身が自らの都合で下らない嘘を吐いて、アズサちゃん
     に心配をかけて、他の人たちにも多大な迷惑をかけたことだ。と、そこまで考えて、ハナコはせめて必死に笑みを
     取り繕おうとした。・・・・・・・・・のだけれど、自分が笑えているかハナコはその時になっても分からなかった。

  • 68二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:31:15

    ハナコがアリウスの面々とヒフミ達と向き合ってどう立ち直っていくかが本作の補習授業部編かな?

  • 69二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 00:06:51

    流石アズサ
    やっぱりハナコ

  • 70◆VLlUGaOg9c24/04/24(水) 07:01:15

    アズサ「白州アズサ、任務から帰還した」

    ナレーション
     何はともあれ、全ての補習授業部員を集めたアズサは仕事のあるイチカと別れて教室へと戻った。

    カナ「お帰り!」

    "お迎え、ありがとう。さぁ、アズサ達も席に座って"

    アズサ「ああ、分かった」

    ナレーション
     アズサに連れられて、3人が見たのは教壇に立つ先生と机に向かう何人もの生徒たち。
     それは正しく「授業」と形容するのに相応しい光景、黒板に書かれた九九の一覧表を前に3人は絶句した。
     「え?そこからやり直すの?」と・・・・・・

    アリウスモブA「ばにたす・・・・・・アズサ、教えてくれ。7の段が覚えられないんだ」

    アズサ「九九は暗記科目、算術は何度も練習する課目だ。時間をかけるしか無い」

    アリウスB「うぐっ、それしかないかぁ・・・・・・。でも、掛け算が終っても他の計算記号が出てくるんだよなぁ」

    ナレーション
     高校生とは思えない会話に混乱しながらも、3人の落第生たちは席に着いた

  • 71二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 17:38:18

    頑張れてるからエライ!

  • 72◆VLlUGaOg9c24/04/24(水) 20:46:48

    元アリウスA「コハルちゃん・・・」

    コハル「もうっ!仕方ないわねー♪」

    ナレーション
     コハルは機嫌が良かった。周囲が自分よりバカな子ばかりの環境は実に心地が良かった。
     コハルは見栄張りだ。虚栄心が強く、ただでさえ落第生なのに背伸びをして自分を強く見せようとする。だからこそ、
     素の自分の能力が認められるのは嬉しかった。
     これが他のトリニティ生相手なら「馬鹿にするな!」と憤っただろうが、元アリウス生の無知さ加減は誰が見ても
     明らかだ。バカにしているわけでは無く、本気で頼ってきているのがよく分かる。だから、コハルもそのSOSを
     素直に受け取ることが出来た。

    カナ「大丈夫か?ペン進んでないぞ」

    ハナコ「え、ええ。大丈夫です。ちょっと考え事をしていて・・・」

    カナ「そっか!難しいもんな、掛け算!」

    ナレーション
     一方、ハナコは気が気ではなかった。何しろ、ハナコの心をかき乱している張本人で直ぐ近くに居るのだ。
     冷静で居られる筈もなく、自分が何を考えいるのかすら分からないグチャグチャの感情を抱えながら、
     それでも笑顔の仮面をつけたままでいられたのは、ハナコを苦しめる天性の才能が故であった。

  • 73二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:05:08

    コハルはかわいいなあ

  • 74二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 00:15:24

    ここから成長して、自己肯定感を上げていけ

  • 75◆VLlUGaOg9c24/04/25(木) 06:57:43

    ヒフミ?あの子は性格面でも成績面でも問題なく授業に向き合ってくれるので・・・・・・ペロロ様が関わらない限り。

  • 76二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 12:00:44

    ですよね

  • 77◆VLlUGaOg9c24/04/25(木) 20:26:59

    ティーパーティーモブA「失礼します。アリウス分派ホスト神子柴カナ様、及びアリウス分派ティーパーティー志望の
                みなさんをお迎えにあがりました」

    カナ「もうそんな時間か。みんな、また明日会おう!」

    ナレーション
     補習授業部の空気が変わったのは、ティーパーティーからの使いが来てからだった。
     単なる転入生なら兎も角、ティーパーティーの一員に名を連ねるとなれば相応の振る舞いが求められる。つまり、
     座学では学ばないことも学ばなければならない。その事情を元から知っていた元アリウス生たちや講話対策委員会
     の一員であったハナコ、そして先生は何の疑問もなく素直に送り出した。
     驚いたのは、何の事情も知らないただの落第生であったヒフミとコハルである。

    コハル「えっ?はっ、あ、アリウス分派ホスト・・・?」

    ヒフミ「ナギサ様と同じティーパーティーの・・・・・・?

    ナレーション
     人は大き過ぎる衝撃を前にすると、困惑以外の感情が湧き上がる余地すらなくなるらしい。
     トリニティにおいてティーパーティーの・・・分派のホストというのは伊達ではない。学生自治区が集まって出来たキ
     ヴォトスにおいて生徒会長の持つ権力は絶大だ。3つ・・・いや今は4つの学園が統合して生まれたトリニティ総合学園
     のトップともなればその力は一国の国家元首にも等しい。持ち回りとはいえ、新興の分派とはいえ、そのトップの一角  
     に名を連ねるのは途轍もないことだ。
     だからこそ、阿慈谷ヒフミは「憧憬」し、下江コハルは「嫉妬」した。

  • 78二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 00:27:35

    ほうほう

  • 79二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 07:26:17

    保守
    1スレ目からまさかここまで来るとは

  • 80二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 12:28:11

    このレスは削除されています

  • 81二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 12:30:45

    あかんコハルがまた拗らせる

  • 82二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 21:00:45

    コハルちゃんが心配だ

  • 83二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 05:21:27

    平和に終わると良いが

  • 84◆VLlUGaOg9c24/04/27(土) 09:41:59

     ナレーション
     下江コハルの根底にあるのはコンプレックスである。
     そうなってしまった詳しい経緯については、コハルの名誉の為に伏せるが彼女の理想と現実とのギャップは虚栄心とな 
     なり、エリート意識という形で表面化した。わざと高学年向けのテストを受けたのも無意識の内に自分がエリートであ
     ると言い聞かせる材料を欲したからだ。

    コハル「どう・・・いうことよ」

    ナレーション
     コハルは周囲が自分よりバカな子ばかりの環境が実に心地が良かった。素の自分の能力が認められるのは嬉しかった。
     その心地よさは自分のコンプレックスを埋めてくれるからだ。自尊心を満たして、プライドの源を作り上げてくれ
     るからだ。
     だが、自分の優秀さを証明しているのは周囲のレベルが自分よりも低いから。にも拘わらず、そのバカたちの中に
     自分にとって雲の上の存在であるティーパーティーのホストが紛れ得ていた。
     それはコハルの自信を打ち砕くに相応しい衝撃だった。

    コハル「どういうことよっ!?なんで、ティーパーティーのホストが居るのっ!?私をバカにしてるのっ!?」

  • 85二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 14:17:48

    一難去ってまた一難というか、補習の方の問題は何も解決してなかったわね

  • 86二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 14:42:58

    >>84

    さながら生焼けのホルモンの状態なんだな今のコハル

    龍が如くの受け売りだけど

  • 87◆VLlUGaOg9c24/04/27(土) 19:18:49

    ハナコ「コハル、それは違う。私たちはただ無知なだけだ」

    コハル「嘘っ!分かってるのよ、補修になるようなヤツがティーパーティーに入れる訳ない!!
     みんな、私のことバカにして内心嗤ってたんでしょっ!?」

    ヒフミ「こ、コハルちゃん、そんなことは・・・」

    コハル「黙って、もう騙されないんだからっ!!」

    "あ、コハル・・・っ!"

    ナレーション
     コハルは世界に裏切られたような心持ちだった。ようやく自分が認められる場所を見つけられた筈だったのに、
     その全てはまやかしだったと思い込んでしまった。
     先生が伸ばした手は、教室を飛び出して行ったコハルを背を掴むこと無く空を切り、ここに道は分かたれた。
     ・・・・・・で、終ればこの物語までも終ってしまう。

    カナ「・・・すまない、今日は体調不良になったので休みにしてくれないか?」

    ティーパーティーモブA「別に私は構いませんが・・・・・・よろしいのですか?
                如何なる事情があろうと、期限が短くなる訳でも、合格点が下がる訳ではありませんよ?
                それに僭越ながら彼女・・・もとい体調不良の源は貴方の言葉等聞きはしないでしょう」

    カナ「そうだな。でも、私がコハルを傷つけてしまったみたいから何もしない訳にはいかない。
       それに全てが虚しいことは・・・・・・何だったっけ?」

    アズサ「例え全てが虚しくても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない」

    カナ「らしいぞ!だから、私は私の最善を尽くす!」

  • 88二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 21:21:13

    >>87

    1行目はアズサの台詞かな?

  • 89二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 01:44:58

    いやカナのセリフかな

  • 90◆VLlUGaOg9c24/04/28(日) 09:39:07

    >>87

    ハナコ「コハル、それは違う。私たちはただ無知なだけだ」× 


    アズサ「コハル、それは違う。私たちはただ無知なだけだ」○


    誤字指摘、ありがとうございます。

    こうしてみると、大声無くなったらアズサとカナの口調似てますね。姉妹同然の幼馴染み補正かな?

  • 91二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 14:46:27

    アズサだったか

  • 92◆VLlUGaOg9c24/04/28(日) 18:10:00

    ナレーション
     神子柴カナはバカではあるが愚かではない。コハルの怒りの原因が自分にあることぐらい理解している。
     だからこそ、コハルに言葉を届かせられるかもしれない人物の助けが必要だと感じていた。
     今回の件にまるで関与しておらず、コハルとの距離が近しい相手・・・・・・そう正義実現委員会である。

     ハスミ「なるほど、コハルがそんなことを・・・・・・」

     カナ「忙しいのは分かってるけど頼む!
        コハルはよくハスミさんの話をしてたから、私よりも話を聞いてくれると思う!」

     ハスミ「コハルは大切な後輩です。協力することは吝かではありませんが・・・・・・貴女は何をするつもりですか?」

     カナ「言葉が届かない以上、言葉以外で分かって貰うしか無いだろう。私がバカだと!」

     イチカ「いや、胸張って言うことじゃあないっすよ・・・」

    ナレーション
     羽川ハスミは思巡する。元アリウス生のことはイチカから話を聞いていただけで直接話すのはこれが始めてだ。
     実際に会ってみれば、なるほど頼もしい同僚が褒めるのも納得出来だ。実直ながらも相手の心情に配慮して、
     初対面の相手に頭を下げに来れる者が果たしてどれだけいるだろう?と、ハスミは感心した。
     とはいえ、相手は他の自治区・・・それも圧政状態にあったというアリウスの出身者。文化の違う相手が一体何を考え
     ているのか?思惑は善意であろうが、それがどんな結果を齎すものか想像がつかなかった。

     ハスミ「・・・いいでしょう。イチカ、カナさんサポートをお願い出来ますか?

    ナレーション
     だから、ハスミはカナに監視をつけた。

  • 93◆VLlUGaOg9c24/04/28(日) 23:24:54

    >>92

    《押収品保管室》


    コハル「・・・はぁ」


    ナレーション

     またやってしまった。と、コハルは今更ながら後悔して項垂れた。

     激情に任せて吐き捨てるだけ吐き捨てて、時間をおいて冷静さを取り戻してから悔恨に悩まされる。

     コハルが何度も繰り返してきた何時ものパターンだった。

     そして、人見知りのコハルには戻って謝るというのも無理難題に等しいことであった。


    コハル「・・・でも、やっぱり、おかしいわよ。そもそも何で補修になんであんなに・・・」


    ナレーション

     実力で補習授業部に入ったコハルの言えたことではないが、補習授業部の使命を考えれば異様な数の部員たちだ。

     それは元アリウスの転校生たちが丸ごと補修送りになったからなのであるが、コハルはその辺りの事情に詳しくない。

     エデン条約前で正義実現委員会自体がゴタゴタしていたこと、バカのコハルとって大きな試練である定期試験があっ

     たこと、噂話をする友人居なかったこと。様々な要因が重なって、コハルはアリウス分校との吸収合併について

     知る機会を失っていたのである。


    ハスミ「見つけましたよ、コハル」


    コハル「ハスミ・・・先輩?」


    ナレーション

     途方に暮れていたコハルの元に、1人の先輩が駆けつけた。

  • 94二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 07:31:02

    学生全員補習送りとかほんまベアおばさぁ

  • 95二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 13:12:24

    唯一の利点はみんなで補修を受けることで絆が深まることだなな

  • 96◆VLlUGaOg9c24/04/29(月) 19:12:52

    >>93

    ハスミ「話は聞きました。補修、抜け出したそうですね」


    コハル「うっ!それは・・・・・・・」


    ナレーション

     過程がどうあれ、コハルが途中で補修を投げ出してきたことに変わりは無い。加えて、その話を切り出してきたのが

     尊敬する正義実現委員会副委員長のハスミとなれば、気の強いコハルも押し黙る他ない。

     ハスミはそんなコハルを責めようとはせず、静かに近寄って隣に腰掛けた。


    ハスミ「実のところ、あの転校生たちについて私も報告書で見た以上のことは知りません。

        深く関わっているのはミカ様、イチカ、サコラコ様、浦和ハナコ、そしてシャーレの先生。

        この5人が中心となって、アリウス分校の吸収合併の話が持ち上がったと聞いています」


    コハル「アリウス分校・・・ですか?」


    ハスミ「おや、コハルは聞いていませんでしたか?彼女たちはかつて、トリニティ総合学園設立の際の講和会議に

        反対した学校。アリウス分校の生徒たちです」


    ナレーション

     それから、ハスミはコハルにアリウス分校の生徒たちが辿ってきた道筋を話した。

     とは言っても、ハスミも報告書以上のことは知らない上に守秘義務もある。なので、実際に話せたのは簡単な概略

     程度だが・・・・・・アズサが戦闘慣れしていた理由、元アリウス生たちが本来小学校で習うことすら知らなかった理由、

     そして何かと口にしていた「ばにたす」の意味・・・・・・・・全てが繋がり、コハルはアリウスの血と怨嗟の歴史の一欠片

     を垣間見ることが出来た。


    コハル「何よ・・・それ・・・、それじゃあ、アイツ等みんな初めて勉強するってこと・・・ですか?」


    ハスミ「そうなりますね」

  • 97二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 22:47:11

    改めて言われると悲しいね
    勉強初めてって

  • 98二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 06:47:10

    このレスは削除されています

  • 99二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 06:48:39

    このレスは削除されています

  • 100◆VLlUGaOg9c24/04/30(火) 06:50:33

    内戦→ベアおばの圧政なのがね・・・・・・

  • 101二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 16:01:19

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 22:04:06

    コハルもこれでちゃんと仲良くなれるだろうか

  • 103◆VLlUGaOg9c24/04/30(火) 22:13:18

    ナレーション
     トリニティ総合学園は3つの学校が統合して生まれ、生徒会であるティーパーティーでも3人の生徒会長をいただいている。
     つまり、現在トリニティに残る3つの分派の祖先はかつて存在した3つの学校の生徒たちにあたる訳だ。その流れに従え
     ば、トリニティに統合されるアリウス分校が新しい分派となるのは当然といえば当然の流れである。
     そして、新しい分派として寄り集まって勢力を立ち上げることは元アリウスの生徒たちの身を守る後ろ盾を築き上げる
     ことにも繋がるという訳だ。

    ハスミ「彼女たちがトリニティをホームとして腰を落ち着ける為には、アリウス分派という拠り所を作り上げることが
        必要です。そして、その旗頭にはアリウス生に選ばれた代表生徒が相応しいでしょう」

    コハル「それがカナ・・・」

    ハスミ「ということになりますね。イチカ曰く、神子柴カナさんは元アリウスの生徒たちから凄く慕われているみたい
        です」

    ナレーション
     コハルは惨めさを感じていた。
     凄惨な環境の中で絶望と諦念の教えだけを叩き込まれて、それでも尚と諦めることなく未来を勝ち取った。そんな、
     アリウスの生徒に対して自分は勝手な思い込みで好き勝手言って、補修からもみんなからも逃げ出して、これが本当
     に自分の憧れたエリートの姿なのか?コハルは断言することが出来ない。

  • 104二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 07:51:10

    コハルちゃんに罪悪感が

  • 105二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 08:18:57

    コハルはもっと身を焼いて脂落として味磨くべし

  • 106二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 17:35:57

    ほじ

  • 107◆VLlUGaOg9c24/05/01(水) 20:58:14

    >>103

    Q.つまりどういうこと?


    A.

    イメージ映像(今のままだと)

    トリモブ「カースカスカスカスッ!あの生意気な転校生どもを分からせてやるカスねぇ」


    イメージ映像(アリウス分派、正式に爆誕!)

    トリモブ「ひぃ~っ!新興とはいえティーパーティーの一角に数えられる正式な分派に手を出したら、

         小競り合いじゃ済まないカスよ~」


    という感じで、アリウス生たちが舐められて変な絡まれ方することが無くなります。

  • 108◆VLlUGaOg9c24/05/01(水) 22:14:18

    >>107

    注.(映像はイメージです。実際のトリニティ生とは異なります)


    スレ主代理の正実モブ「疲れ様です。これ、スレ主より預かったバイト代です」


    トリニティ生A「あ、ありがとうございます。・・・・・・今更ですけど、あのイメージ映像色々おかしくないですか?」


    スレ主代理「いや、本当、仰る通りで・・・・・・」


    トリニティ生A「分かりやすさ重視なのは分かりますが、高笑いしながら計画を喋るバカはいないカスよ」


    スレ主代理「・・・・・・えっ?」

  • 109二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 22:14:57

    エッ!?

  • 110二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 22:32:30

    よりにもよって語尾がそれかよ!?

  • 111二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 05:30:27

    語尾がトリじゃなくてカスなのは笑うんよ

  • 112二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 13:00:08

    トリカスならそこまでするんだろうなという負の信頼
    全体から見れば多くはないんだろうけど

  • 113◆VLlUGaOg9c24/05/02(木) 19:27:16

    >>103

    ナレーション

     内心の全てを悟ることは出来ないにしても、コハルを初めとする多くの後輩たちの面倒を見てきたハスミには

     コハルの内側にある劣等感に察しがついた。元々持っていた、薄々何か精神的な課題を抱えているのでは?と疑いが、

     惨めさに崩れたコハルの表情から確信に至ったのである。


    ハスミ「(神子柴カナさん、今はイチカの信じた貴女を信じますよ)」


    ナレーション

     ハスミは全面的に信頼出来るほど神子柴カナという少女をまだ知らないが、仲正イチカのことは信じられる。

     だから、ハスミはカナの口車に乗ってここまでやって来たのだ。


    ハスミ「コハル、神子柴カナさんを・・・・・・いえ、元アリウスの生徒たち監視してくれませんか?」


    コハル「え?」


    ハスミ「イチカからの報告書や、会って少し話した限り、彼女たちは不幸な境遇から抜け出したばかりな普通の

        生徒たちという印象です。その特殊な経歴から少し世間知らずなところはあるようですが、これから

        ゆっくりと学んでいけると思います。

        ですが、それはあくまで今の印象の話。確信に至るまでにはより詳しく、信頼出来る情報が必要です

        それに、コハルにも教室に戻る理由が必要でしょう?」


    コハル「そ、それは・・・・・・」


    ナレーション

     監視というの言葉に後ろめたさがありのか、渋るコハルの説得にハスミは少し悩んだ末に話してしまうことにした。


    ハスミ「・・・・・・本当は言うべきではないのですが、これは神子柴カナさん自身の提案でもあるのです」

  • 114◆VLlUGaOg9c24/05/02(木) 20:07:34

    代理モブ「急に呼び出して如何したんですか?またアルバイト雇って寸劇するのは反対ですよ。
         あんな小ネタ、しょっちゅうやるものじゃありません」

    1「いやね。俺、明日から家族旅行なのよ」

    代理モブ「・・・はっ?いやいや、スレはどうするんですか!?出先からだとIP規制?とかで書き込めないんでしょっ!?」

    1「いやぁ、書き込めないから更新は延期ですね」

    代理モブ「しか、ないですねぇ・・・・・・。ただでさえ、ウチの1は遅筆の駄文野郎なのに・・・・・・」

    1「モブちゃん・・・・・差し入れにプリンがあるんだけど!」

    代理モブ「文豪先生にもお休みは必要ですよね!家族サービス頑張って下さい!」

    1「可愛い」

  • 115◆VLlUGaOg9c24/05/02(木) 22:32:41

    >>113

    コハル「カナの・・・・・・・?」


    ハスミ「ええ、わざわざ私に協力要請までしに来たんです。

        自分の言葉じゃあ伝わらないから、私たちが本当にバカだってコハル自身に見せるつもりらしいですよ」


    ナレーション

     「実際、最初は「コハルに私を追跡させて欲しい!」とか言ってましたしね。流石に、止めましたけど」

      と、ハスミの回想の中に居るカナは補習授業部で見たのと同じように明るくて、真剣で、バカなほどに真っ直ぐで、

      コハルの心には惨めさを通り越して敗北感すら沸いてきた。しかし、それは苦しい敗北ではなく不思議と清々しい

      もので・・・・・・


     コハル「しょうが無いわね!カナたちったら本当にバカなんだから私が見ていてあげないと!」


    ナレーション

     紆余曲折はあったものの、下江コハルは再び立ち上がったのであった。

  • 116◆VLlUGaOg9c24/05/02(木) 22:56:00

    そのころ ティーパーティー

    ナギサ「それで、ティーパーティーの敷地に入る許可を得ていない下江コハルさんに配慮する必要が無くなったから
        此方にやって来たという訳ですか」

    ミカ「流石に追跡尾行させるのはやりすぎじゃんね☆」

    追跡・捕縛・尋問は情報収集の基本では?

    セイア「君はまず少年兵気分を抜くところから始めるべきだね・・・・・・」

    ナギサ「そうですね。毎回、ティーパーティーに入る度にクリアリングしようする癖は直して頂かなくては」

    い、いや、だが、何処に何が潜んでいるか分からないし・・・・・・

    セイア「普通の学生に常在戦場の心得は要らないんだよ。神子柴カナ」

    ・・・・・・すまない

    ミカ「まぁ、でも、ハスミさんに任せて正解だったかもしれないよ?
       本人の居ないところで、他の人がどんな風にその人について話すかって結構大事だし」

    いや、しかし、ハスミさんとはまだ少ししか話してないからな・・・・・・話すこと無くなってないか?

    セイア「ま、大丈夫だろう。君のようなバ・・・・・・純粋な生徒はトリニティでは珍しいから印象に残っている筈だ」

    だと、いいのだがな・・・・・・

  • 117二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 22:57:57

    普通の学生に常在戦場の心得は要らないんだよ

    でもキヴォトスだしなあ

  • 118二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 04:47:41

    セイアちゃん余計な事言いかけてるじゃんね☆

  • 119二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 15:27:10

  • 120二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 22:32:53

    この世界線だとアンウェルカムスクールはアリウス勢の持ちネタにもなってそう

  • 121二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 07:33:16

    万能BGM

  • 122二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 15:25:55

    カナちゃんもアリウスなんだな

  • 123◆VLlUGaOg9c24/05/04(土) 18:19:03

    旅先から帰還しました。


    >>115

    実を言うと、コハルにカナを尾行させててんやわんやしながら頑張ってるのを見せるつもりだったんですが、

    どうしてもハスミがその方向に話を持っていくビジョンが見えなかったので軌道修正しました。


    これならカナちゃんが仮病でお休みするくだり要らなかったじゃんね☆

  • 124二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 21:58:10

    なるほど

  • 125◆VLlUGaOg9c24/05/04(土) 23:07:37

    ナレーション
     コハルとカナが居なくなった後、ハナコは内心少しだけホッとしたし、苦しくも思った。
     ハナコにとって神子柴カナは太陽のようなものだ。
     身を灼かれてることに内心気がついていながら、それを気にせずにはいられない。
     
    アズサ「カナを目で追っていたが気になるのか?」

    元アリウス生A「カナが好きなのか?カナ、ずっと療養してたからハナコと話したことは少ないと思うが・・・」

    元アリウス生C「私、見てたから知ってるよ!ハナコちゃん、カナちゃんがベアトリーチェを問い詰めに行く前に    
            「どうしてそこまでするんですか?」って聞いてたよね?

    ナレーション
     そんな矛盾したぐちゃぐちゃの内心を知ってか知らずか、ハナコの視線の変化に気づいたアズサが声をかけた。
     すると、周りも気になったようで何だ何だと集まったり、聞き耳を立てたりする。
     先生とヒフミは困ったように苦笑したが、何だかんだで気になる話題であったので聞き役に徹した。

    ルリ「ああ、分かるわ。カナ、バカでしょう?いっつもそう、こっちの気も知らないで能天気なことばっかり。
       危険なことも、苦しいことも、悲しいことも、ちゃんと分かってる癖して泣き顔は絶対見せてくれないのよ」

    アズサ「そうだな。昔から自分より周りを優先していて、不安な顔は絶対周りに見せなかった」

    元アリウス生A「弱気を見透かされてるみたいで、ちょっと怖いくらい前向きだよな。
            「可愛い」とか「凄い」とか、言った相手よりも信じてる。それが毎日だから大した「たらし」だ」

  • 126二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 07:39:37

    モテモテカナちゃん

  • 127二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 09:23:57

    天然たらしじゃんね

  • 128◆VLlUGaOg9c24/05/05(日) 18:36:57

    >>125


    ナレーション

     ハナコは知れば知るほど分からなくなる。あのアリウスの酷い状況を多少なりとも見聞きしたが故に理解出来ない。

     怨讐と暴力、貧困と圧政、負の歴史とベアトリーチェの呪いが生み出した、歪んだ願いの成れの果て。

     あれはトリニティとは別種の地獄であると、聡明なハナコは僅かな情報から痛感出来ていた。

     だからこそ、その中で笑い続けられる強さが分からない。他者を鼓舞出来る明るさが分からない。


    ハナコ「私は・・・・・・・」


    ナレーション

     ハナコは目を白黒させながら、とうとう咄嗟の虚飾さえ出てこなくなった。

     ハナコは天才だが、幾ら仮面を被り取り繕うことが上手くとも、絶対に剥がれない仮面を被ることは出来はしない。

     ここ数日眠ることが出来ていなかったことも合わさって、ハナコの精神は限界を迎えていた。


    ルリ「・・・・・・・そんなに気になるなら、カナと直接話したら?暫くは忙しいだろうけど、

    試験が終れば少しは落ち着・・・・・・・いや、ティーパーティーのホストが忙しくならない訳ないか]


    サオリ「カナは御輿だが、それ相応の仕事はあるだろうな。だが、話の1つも出来ないほどじゃないだろう。

        忙しいなら私たちが支えればいい。それが担ぎ上げた側の責任というヤツだ」


    ルリ「それ、お姉ちゃんに習ったの?」


    サオリ「いや、責任という言葉の意味は先生を見て覚えた」


    "私を?」


    サオリ「大人は責任をとるのが役目。なのだろう?」

  • 129二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 20:39:00

    サオリはまだ子供なんだよなぁ、青春してどうぞ

  • 130◆VLlUGaOg9c24/05/05(日) 22:36:55

    >>129

    サオリは自分が大人じゃないことは自覚してますが、それはそれとしてアリスクのお姉ちゃんポジションとして

    保護者の自覚があるのでこんなこと言ってます。


    原作時空のエデン条約編後、自分なりのケジメとしてみんなから離れたりしてたので「リーダー」としての責任感みたい

    なのは持ってるんじゃないかなー?と・・・・・・

  • 131二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 06:54:23

    大人の役割をやらなきゃならい子供が多い

  • 132◆VLlUGaOg9c24/05/06(月) 10:37:32

    そもそもキヴォトス自体、子どもが大人の役目を果たして作り上げてる街なので・・・・・・・

    続き再開しますね。

    >>128


    サオリ「そういう訳だ。カナの時間なら私たちが作るから、また時間のある時に話せば良い」


    "先生としては、あまりサオリたちに負担をかけたくないんだけどね"


    アズサ「それこそ今更だ。何処の学園でも生徒会の負う責任は重い。

        アリウスの時とは違って、負った責任の分だけ私たちみんなの居場所が出来るんだ。安いものだよ」


    ルリ「毎日ご飯が食べられて、奇麗な水で生活出来て、暖かい布団で寝れて、

       お姉ちゃんのところにいた時みたいに急な襲撃で生活が崩壊したりしないよう、守ってくれる組織もある。

       この環境が守れるなら苦労し甲斐もあるわよ」


    ナレーション

     子どもが子どもらしく、自分らしい毎日を送れることを願う先生にとっては不本意なことだが、

     アリウスが自分たちの未来を守るためには戦わなければならない。責任を負って、勝ち取らなければならない。

     苦しいばかりの内戦と圧政を知る彼女たちは、そのことを良く理解していた。

  • 133二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 16:34:23

    >>131

    それはそう

  • 134◆VLlUGaOg9c24/05/06(月) 21:42:02

    ハナコ「・・・お気遣いいただき、ありがとうございます。
        カナさんと話す為にも、まずは補修試験を頑張らないといけませんね」

    ナレーション
     カナと1対1で話すことへの恐怖と歓喜が混じり合い、ハナコの中に生まれた形容することも難しい複雑怪奇な心。
     それを必死に押し込んで、蓋をして、どうにか仮面を被り直す。
     未だ心の激流が収る気配は無いものの、それでもハナコは表面を取り繕う程度の余裕を取り戻すことは出来た。
     元来聡明で(本人は不本意ながらも)トリニティの流儀に手慣れたハナコは、
     相応の時間さえあれば思自身を俯瞰して考を整え直すことが出来る。それこそが浦和ハナコが持つ天性の才能なのだ。
     
    "まかせて、全員合格出来るまで私も一緒に頑張るから"

    アズサ「まずは全員がかけ算をマスターするところから始めよう。これが出来れば、数学は一気に楽になる」
     
    サオリ「・・そうだな。教科書によると「かけ算」以外にも「割り算」や「分数」なんかもあるようだが、
        かけ算の記号も何度も出てきている。数学において避けられない要素なのだろう」

    アツコ「頭痛い・・・・・・ねぇ、国語しない?」

    ミサキ「まだ20分も算数の時間だよ」

    ナレーション
     腹の底は兎も角、表面上はハナコが平静を取り戻したことで教室の空気も元に戻っていく。
     そんな中、先生は心配そうにハナコを視界に捉え続けていた。

  • 135二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 22:42:24

    平和だ、あまりにも平和だ

  • 136二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 05:35:56

    リーダー格で人一倍努力してきたサっちゃんがこの反応なのホンマお辛いものがある

  • 137二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 10:22:59

    悲しいね

  • 138◆VLlUGaOg9c24/05/07(火) 18:14:14

    元アリウス組は地頭が良い子や知恵が回る子は少なくないですが、
    そもそも基礎となる知識が欠片もないので頭が良い方の子も躓いている状態です。

    アズサを含めた1部の天才児はハイスピードで暗記部分を吸収しているので、
    それが形になれば他の子にも問題なく教えられるようになるでしょう。

  • 139二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 18:28:42

    知識が不足してるだけだから後付で吸収できるよね
    まだ若いし

  • 140◆VLlUGaOg9c24/05/07(火) 21:34:16

    >>134

    ナレーション

     腹の底は兎も角、コハルもハナコも教室に戻り、補習授業部の活動が本格的に始まった。

     数式も諺も元素記号も初耳の元アリウス生たちが四苦八苦するのを、

     元々トリニティで勉強して育ってきたヒフミたちが支える中で基礎の基礎からゆっくりと学び直していく。

     躓いて分からないところが出てきても、誰かが同じ場所を一緒に学んでいる環境は良い学習環境を生んでいた。

     のだが・・・・・・・・・・・


    ズダダッ(銃撃音)


    カナ「私、1対1は苦手なんだがな・・・・」


    ルリ「ふざけんな、カナ相手に集団戦したら常に背後を警戒しないといけなくなるだろ」


    ナレーション

     ある日、彼女たち補習授業部はグラウンドで銃を抜いていた。

     ことの発端は「息抜きに訓練しない?」と、勉強に疲れた1人の生徒が言い出し、それに賛同する声が上がったことだ。

     勿論、彼女たちは補修の重要性を理解しているし、戦闘技術自体も望んで磨いたモノでは無い。

     しかし、毎日毎日繰り返してルーチンワークと化していた訓練が満足に出来ない環境に、元アリウス生たちは

     言いようのない不安を感じていた。積もりに積もったストレスが遂に決壊、「訓練しよう、模擬戦しよう!」と

     なったのである。


    "2人が戦ってるところは初めて見るね。カナの銃は2丁とも銃剣付きなんだ?"


    アズサ「乱戦に紛れて姿を隠し、気がつけば至近距離で刃と弾を叩き込む。カナの十八番だ」


    "・・・・暗殺者?"

  • 141◆VLlUGaOg9c24/05/07(火) 22:18:08

    >>140

    アズサ「先生は兎も角、キヴォトス人に1回の奇襲でそこまでのダメージは与えられない。

        けど、戦場で常に後ろの敵を警戒しながら戦わなければならないプレッシャーを与えることは戦術として有効だ」


    アツコ「カナは集団戦で本領を発揮するタイプだけど、ルリはカナ以上に1対1が苦手だよ。

        奇襲・撤退・隠形が得意なのは2人ともだけど、ルリの本分は指揮だから・・・苦しい勝負になる」


    ナレーション

     アツコの見立て通り、模擬戦は両手のサブマシンガンで牽制しながら前へ出るカナに対して、狙撃銃を手に逃げ回る

     ルリという防戦一方の展開になった。クジ引きだから仕方のないこととはいえ、ルリにとっては相当厳しい条件だ。

     戦場の真ん中に居ることが多く、インファイトの経験も多いカナを相手に、遠距離狙撃兵であるルリは四苦八苦しな

     がら何とか距離を取ろうとする。自分の生半可な近距離戦闘術では遊ばれて終りだと理解しているのだ。

     

    カナ「ふっ!」(強く地面を蹴る)


    ルリ「あ、やばっ!?」


    ズダダッ!(銃撃音)


    ナレーション

     決死の撤退戦も虚しく、ルリの敗北で模擬戦は幕を下ろす。

     アリウス時代であれば、訓練だとしても無様を晒せばベアトリーチェのキツい仕置きが待っていたし、そもそも実践

     での敗北は死を意味していた。戦うということは死の刃を潜り抜けることと同義であった。

     

    ルリ「あー、くそっ!こんなことなら、もっとインファイトの訓練しとくんだった!」


    カナ「ナイスファイト、ルリ!私はもう少し体力を戻さないとな。後、資金に余裕が出来たら煙幕を補充したい」


    ナレーション

     だが、もうここはアリウスでは無い。互いの健闘を称え合う、爽やかなスポーツマンシップがそこにはあった。

  • 142二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:54:22

    もう開放されたんだよね

  • 143二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 06:58:48

    勝っても負けても笑いあえるのは良いことだ

  • 144◆VLlUGaOg9c24/05/08(水) 07:00:57

    元アリウス生A「2人とも、お疲れー!」

    元第3分隊員「かっこよかったですよ!隊長!」

    ナレーション
     人は急激に環境が変われば混乱するものだ。元アリウス生が「もう無理に戦わなくて良い」と真の意味で理解するまで
     には相応の時間が掛かるだろう。それでも、何も変わっていない訳ではない。
     訓練が出来なくても、戦いに敗れても、従順に従わずとも、独裁者に怯える日々を送る必要はない。彼女たちは自由だ。
     試合が終ればノーサイド。憎しみでも恐怖でもなく、単純な競争意識で正々堂々と戦う姿はスポーツのそれだ。
     それを見て先生は確信する。"私は何も間違えていない"と、改めた肩を撫で下ろすことが出来た。

    "さぁ、次はアツコとミサキだよ!2人とも準備は良い?"

    アツコ「がってん」

    ミサキ「面倒臭いけど・・・・」

    ナレーション
     そうして、楽しい時間は過ぎていった。

  • 145二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 15:20:42

    陰謀とかがない代わりに数十から数百人規模の未就学児を教えるのは、本編とは別のベクトルで大変そう

  • 146◆VLlUGaOg9c24/05/08(水) 21:10:45

    ナレーション
     「わー!きゃー!」と、アリウスの頃では考えられないような騒がしい訓練を先生が眺めていると、
     カナが隣へとやって来て座り込んだ。
     ランニング、射撃訓練、そしてルリとの模擬戦・・・数多くの訓練を超えた身体は疲労困憊で息を切らしており、
     汗と泥を存分に吸い上げた服は強烈な青春臭を放ちながらも、カナは心底楽しそうにケラケラと笑みを見せていた。
     たったそれだけのことが、磔にされた姿を知る先生にとっては酷く嬉しかった。
     
    カナ「疲れた!」

    "お疲れ様、かっこよかったよ"

    カナ「ありがとう、先生。でも、やっぱり、本調子まで戻すにはまだ時間が掛かるな」

    "病み上がりであれだけで動けたら充分だと思うけど・・・・"

    カナ「でも、不安だ。平和が崩れるのは一瞬、人が傷つくのも一瞬、場所が壊れるのも一瞬・・・・・・
       もう守られるだけも逃げるだけも嫌だ。だから、私が安心するために訓練させてくれ」

    "何時か・・・その不安を安心が上回る日が来るよ"

    カナ「・・・それはいいな!素敵だ!明日が楽しみになる!」

    ナレーション
     アリウスを照らした陽光の笑顔に、改めて彼女たちの未来を守ろうと先生は決意した。

  • 147二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 07:19:28

    先行きが明るいのは良いことだ

  • 148二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 12:16:59

    がんばれー

  • 149二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 21:12:07

    平和だ

  • 150二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 21:27:03

    >>146

    カナ「それはそうと、アリウスのみんなはどうだ?強いか?」


    "え、うん。みんな強いけど・・・急に如何したの?"


    ナレーション

     突然の質問に困惑つつも、先生は生徒の質問に答えた。

     元アリウス生の生徒たちは長い内戦時代と少女兵時代を生き抜いてきただけあってか全体的に戦闘のレベルが高い。

     これまで先生が出会ってきたキヴォトスのトップ層や特定分野のスペシャリスト達には目劣りするものの、

     平均値の高さや集団での団結力はかなりのものがある。

     複数の小隊に戦力を分けているにも関わらず、数百人という大人数でもミレニアムの少数精鋭部隊に劣らない

     一糸乱れぬ連携戦術をとることが出来ると言えば、彼女たちの優秀さと凄まじさが分かるだろうか?

     元アリウス生たちは単なる同じ学校の生徒ではない。戦友であり、姉妹であり、家族なのである。


    カナ「そうだろ!?みんなは凄いんだ!私より射撃が上手い子も、格闘が強い子も、支援が上手い子も沢山いる!

       ・・・・・・・・・けど、私たちは戦い以外何も学んだことがない。銃は撃てるけど、算数が出来ない」


    "でも、今、学んでいる。みんなはまだ若いし、直ぐに取り戻せるよ"


    カナ「ありがとう、先生。でも、いつかじゃダメなんだ」


    "・・・どういうこと?"


    カナ「トリニティは良いところだ!飯は美味い、ベッドはふかふか、お風呂にも毎日入れる。しかも、壁にも窓にも穴

       が開いてない。アリウスとは大違いだ!

       ・・・・・・・・・でも、私たちはまだ与えられているだけだ。保護して貰って、世話して貰って、何も返せてない」


    ナレーション

     神子柴カナは神輿として祭り上げられたが、愚かなだけの少女には飾りすら務まらない。

     カナはカナで、今も笑顔の裏で何時もアリウスの仲間達のことを考ている。その言葉には背負う者の重みがあった。

  • 151◆VLlUGaOg9c24/05/09(木) 22:20:51

    >>150

    代理モブ「まったく、何の為のトリップですか・・・」


    1「本当に申し訳ない」


    代理モブ「ところで、アリウスってそんなに連携強い設定ありましたっけ?

         どちらかというと、大規模集団戦はレッドウィンターのイメージがあるのですが・・・」


    1「主人公(カナ)補正。カナが能天気な笑顔であっちこっち気を回していたお陰で、

     元アリウス生たちが自分の周囲にいる仲間に目を向ける余裕が出来た結果ですね。

     元々、同じ苦しみを共有する仲間ではあるので・・・・・・」

  • 152二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 06:35:51

    運命共同体的な強さか・・・

  • 153二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 16:26:33

    そーいやこの世界線のトリニティは戦力が大分底上げされた形になるんやな

  • 154二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 22:36:47

    >>150


    "つまり、アリウスの戦力をトリニティの為に使うってこと?"


    カナ「そんな感じだ。けど、トリニティにはもう正義実現委員会がある。自警団もある。

       だから、トリニティの外の世界でみんなが戦えるようにしたい。傭兵?みたいな感じだ」


    "それは・・・・・・・"


    ナレーション

     先生にとって、生徒が自分の遺志で未来を選ぼうとしているのは喜ばしいことだ。

     けれども、訓練をしなければ落ち着かないような、身構えて争いに備えなければ気が済まないような・・・・・・

     そんな闘争に疲れ切った少女たちを再び戦わせても良いのだろうか?それは、古傷を抉ることにならないだろうか?

     それが分からなくて、先生はすぐに言葉を紡ぐことが出来なかった。


    カナ「そんな顔をするな、先生」


    ナレーション

     そんな先生の一瞬の迷いを、アリウスの太陽は見逃すことなく優しい笑みを返した。


    カナ「私は嬉しい。ずっと生きるために足掻いて、虐げられないために戦ってきた。

       そんな私たちが、みんなが、自分たちの為に戦える。仲間の為に戦える。それはきっと素敵なことだ、嬉しい!」


    ナレーション

     その時、初めて先生は神子柴カナという少女の本質に触れた。

     悪意も害意も嫌と云うほどよく知っていながら、元気で、優しく、真っ直ぐに誰かを思い続けられる純真な少女。

     それが時に、世界の暗さに沈んだ心をどれだけ明るく照らすのか?身を以て知った以上、

     もう大人の先生がウジウジしている訳にはいかなかった。


    "・・・・・・分かった。先生として、私も協力するよ"

  • 155◆VLlUGaOg9c24/05/10(金) 22:44:00

    代理モブ「という訳で、トリニティに戦力が集中しすぎたので分散して貰うことになりました。

    トリニティ側からしても、いきなり現れた政治的権力を握る数百人規模の戦闘のプロ集団は劇物以外の何者でもないので、
    一旦距離を置くのは良いことかなー?と・・・・・・・・・・いや、まぁ、補習授業部の時点で距離取っては居るんですけどね?」

  • 156二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 05:55:13

    やったぜ
    顔の広さじゃ先生は一番だからな

  • 157二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 11:27:22

    あんまりトリニティが肥大化すると警戒されるからね

  • 158◆VLlUGaOg9c24/05/11(土) 19:38:39

    >>154

    ナレーション

     シャーレの先生の協力も取り付け、補修が終った後の身の振り方にも目処がついた。

     これでカナたちの荷も下りて、勉強も順調に進む。・・・・・・何て、都合の良いこともなく、先生は毎晩のように頭を

     抱えていた。


    "不味い、みんな頑張ってくれてるけど時間が・・・"


    ナレーション

     そもそもの話、数百人もの未就学児たちに短期間で高校生レベルの学力を身につけさせようというのが無茶な話だ。

     地頭が良くて物覚えが早いアズサやサオリ、元々一定までの学力は身につけていたアツコやカナのような子達はいるが、

     逆に普通よりも勉強が苦手なヒヨリやカナのような子もいるし、全ての元凶たるベアトリーチェを倒したとはいえ、

     心の傷が癒えきっていない子も多い。定期的に訓練して備えなければ落ち着かないのがその証拠だ。


    "せめて、周囲の警戒に割いている意識が勉強に向けられれば・・・・・・"


    ナレーション

     元アリウスの生徒たちは全力で補修に向き合っているつもりだ。戦場に置き去りにされた心が、

     彼女たちの無意識に働きかけて「警戒しろ」「敵に備えろ」と警鐘を鳴らしている。

     元々トリニティの生徒である子たちも、そんな元アリウス生たちが心配で気が気でない様子だ。

     やっと辿り着いた。ハッピーエンドのその先で、どうしようもなく残酷な現実が転がっていた。

  • 159二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:10:30

    プロジェクトXみたい

  • 160二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:11:47

    先生もずっとトリニティとだけ仕事するわけにもいかないからな…

  • 161二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 00:48:35

    時間が足りない

  • 162二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 08:04:09

    でも先生にできるのはこのぐらいだよなぁ
    後はアリウスの皆が頑張るしかない

  • 163二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 08:09:40

    このままではランボーが大量発生しそうだし…なんとかなれー!

  • 164◆VLlUGaOg9c24/05/12(日) 18:47:00

    ナレーション
     とはいえ、先生が幾ら悩んでもこればかりは一足飛びに解決出来る問題ではない。
     元アリウス生たちが抱えているのは職業病ともトラウマとも呼べるもの。心の奥深くに根を張る腫瘍のようなものだ。
     何とかしなければと不用意に触れれば最後、可愛い生徒たちの古傷を自らの手で抉りだしてしまいかねない。
     だから、せめて生徒たちが1日でも安心を覚えられるよう祈りながら日々尽力するしか、先生に出来ることはない。

     "今日は問題集を作って来たから、みんな自分の名前が書かれた物を取りに来てくれるかな?"

    ナレーション
     そんな先生の祈りと努力の結晶として生まれたのが、生徒たち一人一人の進度に合わせた自作問題集である。
     生徒それぞれ数百人全員に専用の問題集を用意するなんて不可能なように思えるが、そこは数多くの生徒たちと助け
     合いながら、シャーレの激務に耐える先生のやることだ。天才揃いのミレニアムサイエンススクールとエナドリの
     力を借りて、睡眠時間を代償に一晩で用意してしまった。

    カナ「ま、まさか、私たち一人一人に合せてあるのかっ!?」

    ナレーション
     そのことに最初に気がついたのは、奇しくも槌永ヒヨリと並んでアリウス屈指のバカと称されるカナだった。
     本当に頭が回るのか、回らないのか、よく分からない女である。

    アツコ「流石にそれはない。幾ら何でも労力が掛かりすぎ・・・・・・・・・・ほんまや」

    ナレーション
     カナの次に反応を示したアツコは、幾ら何でも非現実的だと否定しながらも複数の問題集を見比べて確信に至る。
     それは、驚きの余り口調が可笑しくなるほどの衝撃であった。

  • 165二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 19:32:39

    小学校のカリキュラムに躓いてる子を促成栽培は難儀よなぁ

  • 166二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 03:44:32

    待機

  • 167二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 06:30:53

    戦争の後遺症が…

  • 168二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 06:53:33

    流石先生
    一晩でやってくれたぜ

  • 169二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 15:45:29

  • 170二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 21:05:50

    やるなぁ

  • 171◆VLlUGaOg9c24/05/13(月) 21:53:25

    >>164

    カナ「これはいいものだ!分かり易い!」


    サオリ「ああ、難しい感じたかと思えば丁寧に解説してくれている」


    ナレーション

     アツコがキャラをかなぐり捨てて「ほんまや」というだけあって、問題集の効果は絶大だった。

     生徒たち1人1人の進度に合わせてある上、その生徒が躓くであろう範囲には丁寧に噛み砕いた解説が載せられてあり、

     これ1つで自習はバッチリと太鼓判を押せる一品。勤勉な元アリウス生たちには効果覿面であった。


    ("良かった、問題集は上手くいったみたいだ。けど、まだ・・・・・・")


    ナレーション

     しかし、そうして勉強の効率が上がったにも拘わらず、先生の内心は渋いものが残っていた。

     ここまでしても尚、高校生レベルの勉強に短期間で0から追いつくというのは難しいものがあったのである。

     元より地頭が良い方であるアズサやサオリ、アツコ等は余裕を持って試験に間に合うだろう。だが、他の子は違う。

     

    カナ「ん?んー・・・・・・?」


    ナレーション

    特にカナは頭が悪い訳ではないのだが、どちらかというと本能や無意識で判断するタイプ。

    過程の公式を求められる学校の勉強とは相性が悪い。他の生徒よりも良く壁にぶつかって頭を悩ませる姿を見せており、

    本人の生真面目な努力を持ってしても遅々としか勉強が進んでいなかった。

  • 172二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 04:38:45

    時間量ばかりはどうにもね…

  • 173◆VLlUGaOg9c24/05/14(火) 06:57:31

    カナ「先生、分からないところがある」

    "どれどれ・・・・・・ああ、これはね・・・・・・"

    ナレーション
     くどいようだがカナは愚かではない。このままでは間に合わないであろうことを肌で感じて知っている。
     けれど、それは諦める理由にはならない。抗うことを止める理由にはならない。笑わない理由にはならない。
     自分の為、教えてくれる先生たちの為、これからトリニティで暮らしていく仲間達の為、
     どれだけ絶望的な状況でもカナは「大丈夫だ!」と明るく振る舞って戦うことを止めなかった。

    ミサキ「・・・ほんと、私たちが頑張らないとダメだね」

    サオリ「ああ、そうだな。私たちも周りに教えられるよう頑張らねば」

    ナレーション
     その能天気にさえ見える明るさは陽光のように、心の奥深くに眠る力を照らし出す。
     単なる武力なぞ付属品に過ぎない。絶望の底で折れない希望、元アリウス分校が持つ強さなのだ。

    コハル「もう、しょうがないわね!私がしっかりしないとカナはダメダメなんだから!」

    "(・・・よし、何かカナに合った勉強方法がないか考えてみよう)"

    ナレーション
     そして希望は伝播していく。元アリウスの仲間だけではなく、その周囲にさえ光が届いた。

  • 174二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 16:29:19

    待機

  • 175二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 17:50:10

    時間はかかるけど皆良い子だ

  • 176◆VLlUGaOg9c24/05/14(火) 17:59:04

    >>173

    代理モブ「これ先生に聞きに行くんじゃなくて、コハルちゃんが悩んでるカナちゃんに「何が分からないのよ?」って聞

         いてあげる展開の方が良かったかもしれない。と、今しゃらながら、1が唸っております」


    1「今しゃら、可愛い」


    代理モブ「そ、それより、どうするんですか!?修正差し替え?」


    1「いや、もう読者の判断に任せようかなって・・・」


    代理モブ「また無責任なことを・・・・・・」

  • 177二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 21:24:43

    tasikani

  • 178二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 00:54:53

    がんばれ〜

  • 179二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 06:00:17

    待機

  • 180◆VLlUGaOg9c24/05/15(水) 06:51:50

    >>173

     ナレーション

     後日、時刻は夜。カナが速度計を片手にグラウンドを小走りしていると、後ろから息を切らしながら駆けてきたコ

     ハルが追いついてきた。


     "よし、コハルが追いついたね!それじゃあ、こっちに戻ってきてタイムを見てみようか!?


     カナ「ああ、分かった!」


     コハル「もう、しかた・・・ないわねぇ・・・」


    ナレーション

     呼び声にカナとコハルが応じて駆け寄り、先生手の中にあるタイマーを覗き込むとカナが驚きの声を上げた。


    カナ「凄いな!?本当に先生の言った通りになった!」


    ”まぁ、若干のタイムラグはあるから問題文通りにはいかないけどね・・・・・・。

     よし、次は撮影した映像と一緒に実際に計算する方法を解説するよ”


    カナ「ああ、宜しく頼む!」


    ナレーション

     これは感覚派のカナの為に用意した特別授業。体感して、観察して、身体と目で覚える体験型学習である。

     公式なんて後で覚えれば良い。どうしてそうなるのかが分かれば、無駄にややこしい記号の意味も分かるのだから、

     全て理解した後にパズルの完成図の上からピースを当てはめるように覚えれば良いのだ。という結論の下、

     先生はカナに対してまず身体で覚える方法を提示したのである。

     

  • 181二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 10:52:23

    学び方にはいろいろある

  • 182二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 20:16:48

    体で覚えるって奴だな

  • 183◆VLlUGaOg9c24/05/15(水) 22:21:47

    >>180

    ナレーション

     この方法は大掛かりで手間が掛かるという欠点こそあるものの、その労力に見合うだけの成果を上げた。

     繰り返しになるが、カナは何となくの感覚で覚える方が得意なタイプで机上の勉強が苦手なだけだ。地頭は悪くない。

     その為、感覚と理論の溝を体験で埋めることはカナにとってこれ以上ないほど良い「とっかかり」になった。

     問題の度こんなことをする訳にもいかないので、あくまで「とっかかり」にしかならないのだが・・・・・・それがどういう 

     ものなのか?理解してからのカナは早かった。


    "・・・うん、まだ少しケアレスミスが目立つけど凄く良くなったよ"


    カナ「ありがとう、先生が・・・・・・みんなが教えてくれたおかげだ!」


    ナレーション

     模擬テストの点数も上々、まだまだ油断は出来ないけれど希望は見えてきた。

     となれば、後はダメ押しだ。どんな形であろうとも、出来るだけのことしてあげようと先生は準備していた。


    "よし、今日早めに解散しようか。明日からはラストスパート、みんなで勉強合宿に行くよ!"


    生徒たち「「「「「「「「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

  • 184二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 06:03:43

    文字での学習って小さい頃からの音読とか読書の積み重ね大きいからねぇ…アリウス生でもマニュアルとかは必要だろうしベアおばはそのあたりどうしてたんやろ?

  • 185二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 17:10:20

    保守

  • 186◆VLlUGaOg9c24/05/16(木) 21:36:32

    >>184

    戦争が隣にあった環境で育った世代なので、銃火器類の扱い方は生きるために自然と覚えたんじゃないでしょうか?

    そうでなくても、キヴォトスなら母親から扱い方を教えて貰ったりしてそう。

    戦い方以外の勉強?ベアおば時代のアリウスにそんな上等なものはありませんよ。


    >>183

    ナレーション

     合宿の舞台は忌まわしくも思い出深い地。かつて先代生徒会長ベアトリーチェが支配した旧アリウス分校本校舎。

     ティーパーティーのホストであるミカやシスターフッドのリーダーであるサクラコたちが主導して改築工事が施されて

     おり、生活感の薄かった建物は荘厳さをそのままに明るく、それでいて過ごしやすいように再設計が施されている。

     ヒフミ・ハナコ・コハルの3人以外は来たことのある場所だが、だからこそ同じ場所とは思えないほどだった。

     

     元アリウス生A「弾痕がない・・・・・・?」


     アズサ「それだけじゃない。血痕と煤の痕も奇麗に掃除されている」


     サオリ「・・・・・・・・・あの絵、見覚えあるか?」


     ミサキ「美術品まで持ち込んでるの・・・・・・・・・っ!?」


    ナレーション

     長らく過ごした場所が、原形を残してはいるものの殆ど別物に改装されている光景に困惑の声が次々上がる。

     彼女たちはアリウスに戻った気がまるでせず、まるでトリニティにいるかのような錯覚を覚えたという。

  • 187◆VLlUGaOg9c24/05/17(金) 06:52:44

    改築されてた理由は「急に生徒数が増えたから使える建物を増やしたかったから」です。
    つまり、旧アリウス分校の校舎はトリニティの新校舎になります。

  • 188二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 17:39:08

    なるほどなぁ
    これで正式にトリニティの一角ってことか

  • 189◆VLlUGaOg9c24/05/17(金) 22:35:14

    ナレーション
     古巣に戻ってきたというのに、全然そんな気がしない元アリウス生たちは困惑しながらも机に向き直った。
     彼女たちは勉強合宿をしに来たのだ。何の問題も解かないまま、遊びや冒険に行く訳にはいかない。
     
    サオリ「初めてトリニティに行った時も思ったが、場所が変わっただけでも随分と気分が変わるものだな」

    アツコ「・・・・・・あっ、壁の穴も塞がってる。これじゃあ、鼠や虫が入って・・・・・・こなくてもいいんだったね」

    ナレーション
     ・・・・・・・・・と、最初は自らを律していた生徒たちだが、長い時間を過ごした場所の変貌に彼女たちは落ち着かなかった。
     余りの変わりように昔の名残をついつい探してしまったり、逆に以前から変化した部分を見つけて寂しがったり、
     感傷に浸ったり・・・・・・。勉強に集中しなければと言う意識は誰もが持っていたが、その意思に反して彼女たちの心は
     回顧心や冒険心にうずうずしていた。

    "・・・・・・せっかくだし、ちょっとだけ冒険しようか"

    ナレーション
     先生のその判断は英断だったかもしれない。

  • 190二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 06:41:47

    探検か?

  • 191二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:26:27

    楽しそうな回だ

  • 192二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 18:25:20

    ナレーション
     そして彼女たちは探検の旅に出た。

    アズサ「み、見てくれみんなっ!花壇どころか花畑があるぞっ!?」

    コハル「大袈裟な・・・こんなの普通の2話でしょ?」

    アツコ「お庭?これ、お庭?」

    ナレーション
     訓練場は西洋式の庭園へと姿を変え、その華やかな姿に主に2名がはしゃぎ周り・・・

    ルリ「な、何?この本の山?学校の中に図書館があるの???」

    ヒヨリ「うわぁーっ!すごいです!新品の雑誌がこんなに沢山・・・」

    サオリ「ヒヨリ・・・嬉しいのは分かるが、雑誌以外の棚も見たらどうだ?」

    ナレーション
     本1冊すら稀少で手に入ることが珍しかった彼女たちにとって、信じがたいほどの贅沢の塊である図書館に目を
     キョロキョロさせた。

  • 193◆VLlUGaOg9c24/05/18(土) 18:51:26

    >>192

     サオリ「それにしても広いな。これだけ部屋が多いのに全く密集している気がしない」


     カナ「それに飾りが多いな。それに、豪華だけど嫌な感じがしない。なんていうか、こう、シャランって感じだ」


     アツコ「何だろ?全然知らない表現なのに何か分かる」


    ナレーション

     また、生まれ変わったトリニティ新校舎の造り自体にも感嘆の声が上がった。

     だが、この探検で1番の目玉といえば「あの部屋」だろう。


     カナ「・・ここが生徒会室」


     サオリ「用心しろ、あのベアトリーチェが寄越した鍵だ。どんな罠が仕掛けられているか・・・」


     アズサ「調べた限り、罠の限りは無いようだが中がどうなっているどうか・・・・・・」


     ナレーション

     そう、先代生徒会長ベアトリーチェより最後の生徒会長となったカナに継承された「旧アリウス生徒会室」である。

  • 194二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 23:20:49

    やったぜ

  • 195二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 07:51:46

    そういやあの人生徒会長なんだった

  • 196二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 08:29:46

    ここのベアおばの最後の態度からして罠は無いと思いたいが…

  • 197二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 19:04:16

    何が出るかな

  • 198◆VLlUGaOg9c24/05/19(日) 20:05:05

    >>193

    ナレーション

     部屋に入ると、改装の手がつけられていないらしく中は他の部屋とは全体的なレイアウトが違っていた。

     黒檀の執務机が奥に1脚と向かい合うように4脚、聖書の一場面が切り取られたカーペット、

     灯の点いていないシャンデリア等、年季の入った調度品の数々が肩を並べていた。だが、かつてのアリウス分校校舎

     のような廃墟同然の荒れ具合とは違い、少し埃被っているものの壁や天井は穴も傷もなく、つい最近まで丁寧に手入れ

     されていたような痕が見られた。


    ルリ「ここが、アリウスの生徒会室……」


    アツコ「丁寧に手入れされてるけど、家具に細かい傷が沢山………きっと凄く古いものだよ」


    サオリ「…ベアトリーチェはこの部屋にだけは私たちを入れさせなかった。何が隠されていても可笑しくないと構えて

        はいたが、これは………」


    カナ「守ってたんだろうな。ベアトリーチェにとって特別な場所だったから、そのままの姿にしておくことに意味が

       あったんだ」


    ナレーション

     新たな主を迎えた部屋は何も答えない。けれど、その静けさと上品さは以前の主に相当気遣って貰ったことを言葉よ

     りも雄弁に物語っている。

     ベアトリーチェの邪悪さと卑劣さは疑いようもないが、それでも、彼女にも合理よりも優先する拘りがあり、奥底に

     秘めた野望と弱さがあった。「ベアトリーチェも中身はただの人だった」そんな当たり前のことを、元アリウス生達

     はようやく実感出来たのだった。

  • 199◆VLlUGaOg9c24/05/19(日) 20:19:48

    200近いので新スレ建てました


    https://bbs.animanch.com/board/3368108/?res=2

  • 200二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 20:20:25

オススメ

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