- 1二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:01:01
悠仁は今日もいい子に過ごしてくれた。
前日に頼んでおいた時間通りに起こしに来たし、二度寝をキメていると5分ごとに声をかけてきた。
居間に顔を出すと、そのタイミングで朝食が出てくる。ご飯も味噌汁もほかほかと湯気が立っていた。卵焼きは次からだし巻きにするように、と伝えた。明日が楽しみだ。
仕事に出る時は「いってらっしゃい」、帰ってきた時は「ただいま」と挨拶をしてくる。もちろん玄関への出迎え付きだ。
夕食はリクエスト通りの鶏団子鍋だった。悠仁特製の、しょうがをふんだんに使った味付けはなかなか悪くないと思う。本人には言わないけどね。
悠仁が夕食の片付けをしている間に入浴を済ませるのがいつものパターンだ。これだって、私が入るタイミングを見計らって湯を沸かしている。まったく気が利く子だよ。
風呂から上がればもう布団が敷いてある。「明日も仕事頑張ってね」と言いながら風呂に入るのをよそに、私も布団に入る。
どうだい、充実した1日だろう?
……何か文句があるかい?
私は母親だぞ。
- 2二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:01:51
- 3二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:02:19
- 4二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:02:44
- 5二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:04:00
- 6二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:10:31
何が嫌ってスレ画が子供なのがヤングケアラー度マシマシで嫌
最低だよかものりとし - 7二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:16:59
> 悠仁特製の、しょうがをふんだんに使った味付けはなかなか悪くないと思う。本人には言わないけどね。
せめて言ってやれ
- 8二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:27:41
小僧が別に負担に思ってなさそうなところが余計に「こ、このヤロ〜〜〜ッ!」となる
- 9二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:32:00
パイセン乙
- 10二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:33:57
じいちゃん入院してたし本編でもヤングケアラーだったのかな
- 11二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:35:24
仁さんはどうしたんだよ
- 12二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 20:51:20
最低だよのりとし…
- 13二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:14:47
- 14二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:20:26
家事やらすにしてもじいちゃんは「自分が死んだ後困らないように」って意図込みでやらせてそうだけど
この脳みそは「色々やってくれて便利だな~」以上の意図がなさそうでこの野郎… - 15二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:26:23
- 16二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:38:10
それならばブラザーである俺が連れて行こう
- 17二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:38:59
- 18二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:40:57
嫌がろうと連れていくから「強引に連れ去る」んだよ
- 19二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:41:20
人の心があるから面白い物見たいし落ち込んだり期待も出来るし人を煽る事も出来るぞ
- 20二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:03:26
今朝は珍しく悠仁が起こしに来なかった。
たとえ幼い子供だろうと、任された仕事くらいきちんと全うしてくれないと困る。どう叱ろうか、と思いつつ居間に足を踏み入れると、テレビがついていた。
悠仁はそれに釘付けで微動だにしない。この番組のせいで私を起こすのを忘れたらしい。明日からは朝のテレビを禁止しよう。
『……児童相談所職員の〇〇さんと見られ、警察は……』
画面の中では、ひとりの男の顔写真が大写しになっている。
「悠仁の知ってる人?」
後ろから声をかけると、ビクッと大きく肩を震わせてこちらを振り向いた。そんなに驚くことだろうか。
「……だって、きのうの」
「昨日?」
首をかしげていると、悠仁の顔色はだんだんと悪くなっていく。
「昨日何があったか、私にはちょっと思い出せないんだ。悠仁、教えてくれないかな?」
悠仁はしばらく口をもごもご動かしていたが、やがて「なんでもない」とそっぽを向いてしまった。
朝食を催促すると、黙ったまま台所へ走っていく。そうして持ってこられたトーストとスープは、いつもより少し冷めていた。
……何か文句があるかい?
私は母親だぞ。 - 21二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:05:14
もしもしポリスメン?
- 22二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:06:00
- 23二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:06:06
悠仁に雑巾を作って持たせたんだが「お前の母ちゃんの額みたいなボロ雑巾」とか言った子を殴ったらしくてね
まぁ、我ながら下手くそな出来だったと言うかわざと下手に作ったんだが、なんと言うか嬉しくなってね
相手の親には「どうもボロ雑巾な母親ですいません」と泣きながら頭を下げたら慌てて謝り倒してきて愉快痛快だったね
面白かったから悠仁のハンカチ全部に虎の刺繍を入れてやったら笑ってたよ - 24二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:08:30
嫌々家に帰ったら弟が生えてて驚愕する脹相とかのドタバタギャグ想像してたらサイコホラーやんけ
- 25二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:14:16
家に児相来てたのかこれ、誰かに通報されたんかな
- 26二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:16:25
「お義父さん大丈夫ですか?」
最近倭助が入院している
ちょっとした検査のはずだったが即入院して手術したので特に命の危険があったわけではないが、やはり年もあるのか手術痕の治りが遅いのだ
「・・・お前におとうさんと呼ばれる覚えはない・・・が、悠仁は俺が面倒見ると言っておいてこのザマだ。恩にきる」
全くだ。本来なら悠仁の面倒は彼に任せて私は呪霊操術の使い手を監視に専念しなければならないと言うのに、姿を消そうと思った時にも倭助は怪我をしてしまい仕方なく留まってから数年が経ってしまった
らしくない。が、やはり倭助も仁さんを亡くしたあとでは怪しい女になってしまったとはいえ悠仁に母がいた方が良いと思っているのだろう
倭助が元気になれば私は心置きなくこの家から出れるのだ。早く元気になってくださいね。お義父さん - 27二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:24:04
- 28二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:26:06
ニュースを見た日以降、学校で配られる子供のSOS相談カードを親に見られる前に捨てるようになるんだよね…
- 29二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:26:07
これやべえ羂索じゃなくて母親だと思い込んでるただのやべえ奴なのでは?
- 30二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:26:21
- 31二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:26:43
は?香織さんだが?
- 32二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:34:44
誰か悠仁くんを誘拐してくれる方はいらっしゃいませんかー!!
- 33二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:45:37
高羽さん!と思ったけどガワが香織だとダメかな
- 34二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:47:17
- 35二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:52:02
(なんか別の悲惨な目に合いそうだから)駄目です
- 36二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 22:58:45
魂さんは…!?ダメだ親友特化だから仕事してねえ!この役立たず!
- 37二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:08:12
悠仁の夕食を堪能し、のんびり湯船に浸かっていると、外で破裂音がした。水風船がはじける音によく似ていた。
風呂から上がった私を、不安げな顔の悠仁が待ち構えていた。聞き慣れない音で驚いたらしい。
「見てくるから風呂に入っていなさい」と告げ、ゴミ袋片手にサンダルをつっかける。物置からスコップと軍手も取り出したのち、音の源へ向かった。
探すまでもない。家の裏手、表の通りからも見えにくい場所に、『それ』はある。
男か女かわからなくなってしまったが、そんな瑣末事はどうでもいい。この術式でわずらわしい闖入者を排除できた、という一点で、今回の実験は成功したようなものだ。
あってよかった反重力機構。
次からはこれにしよう。
かき集めた『それ』をゴミ袋に詰め、三和土に置いておく。おりしも風呂から上がってきた悠仁に「明日捨てておきなさい」と言えば、素直に頷いた。
「さっきのやつ、なんの音だったの?」
「さあね。当ててごらん」
少し考えて、「正解したらお義父さんの病院に連れて行ってあげる」と言い添えると、目の色を変えて真剣に考え始めた。
うんうん唸っている悠仁の脇をすり抜けて、私は寝室に向かった。私がいない間のこの家のセキュリティについても考えた方がいいな、と思案しながら。
……何か文句があるかい?
私は母親だぞ。 - 38二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:09:50
もしかして>>34が…
- 39二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:50:38
何も知らないまま母親が"処理"したゴミを捨てさせられる小僧を思うと興奮してきたな
なんならちょっと察し始めてても興奮する - 40二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 11:23:56
このレスは削除されています
- 41二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 12:15:03
こわいよ
- 42二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 13:44:03
悪趣味クイズ関係なしに爺ちゃんの見舞いはさせてやれよ…
- 43二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 16:08:26
宿儺がめちゃくちゃ心配してくれてるみたいで草生えた
- 44二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 16:10:52
爺ちゃんエサに使っててめちゃくちゃ嫌な親すぎる
- 45二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 16:57:10
毎回締めの「私は母親だぞ。」で脹相との似たもの親子アッピしてくるのムカつきますわ〜!
- 46二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 17:11:56
母親だからって息子に死体処理させて良いわけないだろ!
- 47二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 18:01:05
- 48二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 18:02:32
- 49二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 19:09:28
- 50二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 00:46:06
夕食後、皿洗いに向かおうとする悠仁を呼び止めた。
「それが終わったら居間においで」と言うと、少し視線が泳いだ後に頷いた。迷いがあったとしても最後には首を縦に振るのだから、やはり悠仁はいい子だ。
片付けられたちゃぶ台の上に『それら』を並べ、テレビを見ながら待っていれば、小さな足音が近づいてくる。
「さて、今日はどれがいい?」
問いかけに、悠仁は困り顔でちゃぶ台に視線を落とした。
隙間なく封印札の巻かれた呪物、ざっと9つ。卓上で一列に並んでいるモノ達は、悠仁の目にどう映っているのだろう。
右、左、右……探るような視線が、呪物の上をうろうろと彷徨う。
やがて、その指が「じゃあ……これ」とひとつを指した。9つの中では、一番小さいモノだった。
ご所望の呪物を取り上げ、札を少しずつ解きながら「悠仁」と呼べば、おずおずと私の膝に頭を乗せて仰向けになる。そうして、ぱかりと口を開けた。何度も教え込んできた姿勢だった。
片手を悠仁の顎に添え、もう片方の手で封印を解いた呪物を口元に添える。
「吐かないこと」
いつものようにそう告げて、口の中へ押し込んだ。
……ああ、きちんと口直しの飴はあげたよ。
私は母親だからね。 - 51二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 00:49:11
九相図食わせてやがる……
- 52二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 00:52:27
お前お前お前〜〜〜!!
何が母親じゃ!!児相さんこっちで し、死んでる… - 53二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 01:03:08
これって誰呼ぶのが正解なんだ 児相は死んだし警察でも多分死ぬし
- 54二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 01:43:36
この虎杖に「お母さん好き?」って聞く児相職員やりたい
好きと即答でも言い淀んでも何も答えなくてもそれぞれに違う味がある
まあどの回答だろうが関係なく帰り道で体が押し潰される感覚を最後に意識を失うんですけどねワハハ - 55二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 07:07:19
- 56二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 07:47:43
小さいのってことは受肉はしない4-9番かもな
お兄ちゃん受肉して弟助けてほしいがお兄ちゃん1人が反抗したところで捻り潰されそうで、じ、地獄 - 57二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 08:35:24
「今日は」ってことは今までにも呪物を飲ませてるんですか?(震え声)
- 58二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 09:55:18
なんか興奮してきた
- 59二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 10:53:00
悠仁を育てるにあたり、いくつか取り入れた育児法がある。悪いことをしたら尻を叩いて庭の木にくくりつける、なんて時代遅れな躾に固執するつもりはない。プロだからね。
中でもトークン・エコノミー法は悠仁によく効いた。好ましい行為に対し、報酬を与えて行動を強化させる方略だ。おかげで、今では何も言わずとも家事全般を自主的にやるようになっている。
今週は、赤いビー玉を2つ渡した。1週間おおむねつつがなく家事を済ませたこと、呪物を飲み込んだことに対する報酬だった。
悠仁はそれを両手で大事そうに握りしめ、居間を飛び出していった。「かあちゃん」とおそるおそる声をかけてきたのは、それからいくらもしないうちだった。
「『すくなポイント』がいっぱいになった」
悠仁がおずおずと見せてきたのは、小さなクッキー缶だった。中には鮮やかな赤いビー玉がいっぱいに詰め込まれている。目視で数えると、たしかに20個ちょうどあった。
ビー玉1つで『すくなポイント』1つ、20個貯まれば悠仁のやりたいことに付き合う。そういう取り決めになっていた。
「何がしたい?」
「……じいちゃんの、お見舞い……」
「いいよ、じゃあ今から行こうか」
立ち上がった私を見て、悠仁は目を丸くしていた。
「いいの?」
「支度しないと置いていくよ」
小さな足音がどたばたと居間を遠ざかっていくのを背中で聞きながら、私はカレンダーを見た。前回の見舞いからざっと1ヶ月経っていることに、その時ようやく気づいた。
子供との約束は守る。
それが母親ってものじゃないのか? - 60二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:03:42
ポイント制度の上にポイントになんつーネーミングしてんだこの女ァ!!!!
- 61二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:03:54
大好きな爺ちゃんの見舞いくらいいつでも行かしたらんかい!!
それが!母親って!もんだろうが!! - 62二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:06:48
やったー!かあちゃんポイント貯まったよ!って走ってくるんじゃなく「おそるおそる」なところに破綻してる親子関係が垣間見えますね
- 63二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:16:16
>>1の時点ではだらしない駄目親の面倒を見る健気なショタ小僧の少しだけ問題のある母子の平和な日常スレかと思ってたんだ
幻想だった そもそも閲覧注意がついてたのに今気がついた
- 64二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:22:54
このママ育児書はしっかり読んでそうだし正しく理解して(気になった理論は)実践してそうなのが“らしい”しそれがかえって嫌
- 65二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 11:40:05
悠仁のやりたいことがオモチャを買うとか遊園地に行くとかではなくじいちゃんのお見舞いなのが切実すぎて辛い
- 66二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 15:08:34
- 67二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 16:21:54
- 68二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 18:16:28
御三家さえドン引きしそうな教育方法で母親を語るなよかものりとし!
- 69二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 18:56:46
元気で明るくてかけっこが早くて鼻くそほじってるガキンチョの悠仁くんの家がこんなんなの興奮してきたな
- 70二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 20:15:48
この悠仁くん学校は通えてるんですか
- 71二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 20:32:27
悠仁は『いい子』にしなかったこともあったのかな
悪い子だった場合どんなことするんだこの母親 - 72二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:44:50
- 73二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:45:09
病室に足を踏み入れる。
こちらを認めた老爺が盛大に顔をしかめたのと、「ごめん!じいちゃん!」と悠仁が私達の間に割って入ったのは、ほとんど同時だった。
「お見舞い、おそくなってごめんな!おれが『わるいこ』だから、」
「悪くない」
いくらか痩せただろうか。骨ばった手を掛け布団の上に投げ出し、ベッドに体を預けたままの虎杖倭助は、遮るように言葉をかぶせた。
「オマエは何も悪くない。いいか、絶対に忘れるな」
「?……うん」
対する悠仁は、釈然としない顔で首を縦に振る。それに舌打ちし、虎杖倭助は「おい」とこちらへ視線をよこした。
「悠仁に、飲み物でも買いに行かせろ」
「最近は物騒なんですよ、お義父さん。こんな小さい子を一人にして、何かあったらどうするんです」
「……」
「大事な話ならなおのこと、悠仁を除け者にするのはちょっと」
悠仁の小さい手を固く握りながら、にっこりと笑いかける。
老爺はまたも舌打ちをした。笑みを崩さず待っていると、彼はひどく緩慢に上体を起こし始めた。
「……こっちに来い。悠仁はそこにいろ。いいな」
「うん!」 - 74二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:46:46
悠仁から手を離し、私はベッドの反対側へ回り込んだ。ベッドに腰掛ける形になった男の近くで、軽くしゃがみ込む。悠仁の側からは、虎杖倭助の後ろ姿と私の横顔が見えているはずだ。
私の耳元で囁く声には、喘鳴が混じっていた。
「仁のことは、もういい。アイツが選んだ道だ。……それに、どうせ俺が喚いたところで、とっくに手遅れなんだろう。そうだな?」
だが、と私の肩を掴んだ。痩せ衰えた手のくせに、つい眉をしかめたほどの強い力だった。
「悠仁だけは別だ。人として生きていけるように育てろ。オマエが何であれ、オマエの腹から産まれた子だ。自分を一心に慕う相手に、何も思わないってことはないだろう」
腹立たしげな口ぶりの裏に、縋るような色が見え隠れした。それに賭けるしかないのだ、と言わんばかりだった。
この男はこんな声も出せたのか。興味深く耳を傾けつつ、口を開く。
「もちろん、悠仁の嫌がることはしませんよ。だって私は───」
「───母親、なんですから」 - 75二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:50:18
悠仁ももう手遅れなんだよなあ……
- 76二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:53:13
でもまだ香織()から引き離せば取り返しは
呪物飲んでるんだよなぁ…… - 77二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:00:51
この歳から呪物飲ませてるんならもうこの頃から呪い見えるようになるんだよな?
英才教育だなあ(白い目) - 78二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:25:32
- 79二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:30:41
「本編が育児放棄育児放棄って言われるからこうしてちゃんと育児してたらしてたで文句を言う。全く君らって勝手なんだよなぁー」
- 80二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:36:38
すみません自分らが求めてる育児は少なくとも児相の介入が必要ないやつなんです
- 81二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:40:07
原作の羂索が子育てに乗り気じゃなくて良かった
- 82二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:40:19
誰かもっとちゃんとした親が引き取ってあげてくれ……人並みの幸せを享受させてあげて……
- 83二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:45:49
本編の虎杖は爺ちゃんに育てられてよかったな
- 84二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:51:29
- 85二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:01:33
虎杖のママする羂索好きだから助かるわ
もっと教育熱心になってもいいのよ - 86二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:03:02
こんな劣悪な環境で無理矢理呪物飲まされてる幼子だぞ執行猶予はつくだろ…つくよな?
- 87二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:03:38
うるせぇ!
- 88二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:07:08
誰か宿儺の指だけでも壊しておいてくれ
- 89二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:23:21
こっから入れる保険ってありますか?
- 90二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:25:57
- 91二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 00:58:10
性犯罪者でもない限り>>90でも引き取ってもらったほうが割とマジでマシに思える
- 92二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 01:14:33
- 93セコム24/04/21(日) 03:19:04
- 94二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 03:24:29
- 95二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 04:33:12
仕掛けられた術式で死なず、呪物食わされた子供を助けられて、祖父も一緒に保護できるような人…五条先生!助けて五条先生ー!!!
あっまだ先生じゃないや、クソガキだ…… - 96二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 08:28:39
さっき九相図出てたけど瓶の中の脹相がゴミ親が弟がいいようにされて、弟が呪物として食べられていくのを何もできずに見ることしか出来ないのかと思うと…うん…
- 97二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 09:25:51
でもお前指じゃん
- 98二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 09:40:58
話が終わると、私は病室の外まで遠ざけられた。虎杖倭助は、悠仁と二人きりで何事か話をしていたようだった。
気遣わしげに視線をよこす看護師たちが煩わしかったので、院内の散策がてら売店に向かった。
新発売とかいう飲み物を買って戻ってくると、ちょうど悠仁が病室から出てきたところだった。まなじりと鼻の頭がほのかに赤く色づいた顔で、こちらをじっと見つめてきた。
帰り道、悠仁から話の内容を聞き出そうと試みた。が、「じいちゃんが、かあちゃんには言うなって」の一点張りで、それ以上は口をつぐむばかりだった。
この子が隠し事をするのは、久しぶりのことだ。面倒だが、躾のやり直しを検討する必要があるらしい。
効果のありそうなプランをいくつか思い描きながら帰宅すると、悠仁は靴を脱ぐなり「かあちゃん!」と頭を下げた。
「おれ、がっこうに……行きたい。行かせて、ください」
おねがいします、と蚊の鳴くような声がした。
ズボンの裾を握りしめた両手は、小さく震えている。
私は、黙って微笑んだ。
過ちによって得られるものもある。
子供にそれを教えるのも、母親の務めだと思わないかい? - 99二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 09:45:20
- 100二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 09:55:26
学校は行かせたれよ……
- 101二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 10:26:34
とりあえず新発売チェックする羂索はわかる
それはそれとして小僧を解放しろ - 102二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 10:37:37
- 103二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 11:54:41
>>23は学校に雑巾持ってったのかと思ってたけどもしかして1とは違う人だったか?
色んな世界線のママがいるんだなあ
- 104二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 12:05:12
- 105二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 12:17:43
- 106二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 12:20:42
- 107二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 18:25:35
- 108二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 18:26:13
「いってきます!」
満面の笑みで家を飛び出していった悠仁を見送り、私はいつぶりかに着たエプロンを脱いだ。
悠仁が通うことになったのは、地元の小学校のひとつだ。もともと籍は置いていたが、入学式を含め、今まで一度も登校したことはなかった。
「おれ、ここにいるほうがいい」
「家のことやるの、すきだし」
「かあちゃんがよろこぶから」
学校おいでよ、いいところだよ、と言い募る教職員は、年端もいかぬ子供の頑固さに押し負けて帰っていった。
入学式の前日、私が『悠仁が学校に行っちゃうと、家のことをやる人がいなくなっちゃうね』とつぶやいたのを、悠仁はいつまでも律儀に覚えていたんだろう。いじらしいね。
それが、どういう風の吹き回しか。
考えるまでもない、虎杖倭助が何か吹き込んだのだ。おおかた、将来の夢について悠仁に考えさせたりしたのかもしれない。
あの子の未来は、生まれる前から決まっているというのにね。
もって1週間。
悠仁の学校生活が終わるまでを、私はそう予測した。
……当たると思うよ。
だって私は、母親だからね。 - 109二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 18:28:18
羂索さあ……虎杖がいじめられるよう仕向けたりしてない?
- 110二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 18:40:55
- 111二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:03:11
学校に通えてよかったね悠仁と思ったらこれだよ…
- 112二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:17:04
悠仁を解放しろ
- 113二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:38:40
おーい五条、夏油、九十九、乙骨、あと有志のみんなー!今からこのイカレたマミーぶん殴りに行こうぜ!
- 114二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:55:43
ここから本編のあの人懐こい陽キャになるの無理じゃない?寝込んでいい?
- 115二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 22:20:25
- 116二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 22:22:10
悠仁の善性は本人の気質と爺ちゃんの影響じゃないと嫌だあ
- 117二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 22:44:27
- 118二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 01:50:00
最初から宿儺の指封印されてたんで積みです
- 119二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 02:06:17
ここは地獄!本誌の出生も地獄!!
おのれ加茂憲紀!!! - 120二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 02:09:27
ただでさえアレな「すくなポイント」のおぞましさが増したんやが
- 121二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 04:22:56
おい本誌ィ!!!
- 122二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:17:26
悠仁が学校で暴れた、という連絡が入ったのは3日後のことだった。
電話してきた担任の男は、こちらの返事など待たずに詳細をまくしたててきた。言葉の端々から、疲労が色濃くにじみ出ていた。
「今朝、校門で会った時から様子がおかしかったんです。挨拶はしてくれたんですが、気もそぞろといった感じで校舎の方を睨みつけていまして。
で、授業を始めたら、やたらにこう……身ぶり手ぶりと言うんですかね、それをやるんです。虫を払うような手つきだったり、机の下で足をばたつかせたり。
もちろん注意しましたよ。返事はするんです。でもしばらくしたらまたやる。
……え……ええ、そうですね、元気ないい返事でしたね、はい……。
それが1時間目からずっとなので、他の子も気が散ってしまって。ですから、2時間目が終わったら保健室に行かせるつもりだったんです。
そうしたら、2時間目の途中ですよ。悠仁君、いきなり席から立ち上がって、机を振り回し始めたんです。周りはもうパニックですよね。
え?……ええ、はい……たしか『この野郎』とかなんとか……言っていたような気はしますが……。
それで、騒ぎを聞きつけた他のクラスからも先生方が応援に来たんです。でも私達も迂闊に近づけず、なかなか取り押さえられなかったものですから、まずは他生徒を避難させました。
それから少し経った頃かな、気が済んだのか、机は下ろしたんです。私達も駆け寄ろうとしました。
でも、悠仁君は教室を飛び出してどこかに行こうとしたんですよ。職員総出で慌てて抑え込みました。すごい力でした、大人4人が全力でかかっても何歩か進みかけたんですから……」
それだけ聞ければ十分だった。
私は電話を切った。不在着信が何件かあったが、すべて無視した。あとは悠仁から聞けばいい。
いつになく、帰宅が待ち遠しかった。
傷ついた子供のケアも、母親の役目だからね。 - 123二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:20:43
呪霊め…
- 124二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:23:21
これママが契約してる呪霊差し向けた可能性ない?
- 125二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:24:21
香織ボディだし呪霊操術使えないんじゃない
- 126二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:26:15
呪霊見えるようになっちゃったから……
- 12712424/04/22(月) 08:34:55
- 128二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 11:05:02
母ちゃんがくれるおやつのおかげで呪霊は見えるけど呪力の込め方とかは知らないから追い払えないんかな
学校は呪霊多いらしいから1人で騒いでる変な子扱いされるね
もうずっと家にいて母ちゃんの言うこと聞いてた方がいいね!よくねぇ!悠仁を解放しろ! - 129二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 20:31:01
呪霊が普通の人間には見えないってことすら知らなそうな小僧だ
どこまでも毒親だな羂索 - 130二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:30:32
家の引き戸を開けると、小さな人影が上がり框に立っていた。
悠仁だった。
西陽が差し込む中、うつむき加減の顔には影が落ちている。その両手は、いつかと同じようにズボンを固く握りしめていた。
私は、あらかじめ用意していた一言を口にした。
「今夜は出前でも取ろうか。好きなものを選ぶといいよ」
悠仁は、はじかれたように顔を上げた。震える唇が、ためらいがちに開く。
「せんせいから、でんわ、」
「来たよ。それで?」
「……おこらないの?」
「私は悠仁の話を聞きたいんだ」
おいで。
声をかけながら居間へと足を向けると、後をついてくる気配がある。古い床板の軋みに混じって、すん、と小さく鼻をすする音がした。 - 131二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:31:25
出前を頼んだのち、私は悠仁の淹れたコーヒーを飲みながら話を聞いていた。
悠仁の主張は、おおむねこちらの予想通りだった。
朝から『へんなもの』が校舎や教室をうろついているのが見えたこと。
嫌な気配なので無視しようとしたが、何故かやたらと近寄ってくるため、蹴ったり払ったりせざるを得なくなったこと。
そのうち『すごくでかいの』が前の席の女子生徒へ噛みつこうとしたので、それを追い払おうと机で殴りかかったこと。
そして、教師から困惑と恐怖のまなざしを向けられたこと。
「かあちゃん、おれ変なのかな」
途方に暮れた顔でこちらを見つめる悠仁に、私は笑みを堪えきれなかった。手を伸ばし、特徴的な髪色の毛先を遊ぶようにくるくると弄る。
悠仁は一瞬固まったが、私がそれ以上何もする気配がないと察してか、静かに肩の力を抜いていた。
「大丈夫、悠仁は何もおかしくないよ」
「……でも」
「そうだね、どこから説明しようか……」
刹那、ちょうどインターホンが鳴った。真っ先に立ち上がった悠仁を座ったまま見送り、私はひとりごちる。
「さあ、答え合わせをしようね。悠仁」
母親たるもの、子供の疑問には真摯に答えるべきだろう。
それがたとえ、望まぬ答えであったとしても。 - 132二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:37:17
> 「……おこらないの?」
> 「私は悠仁の話を聞きたいんだ」
こことか会話だけ見るといい母親だけど直後傷ついてる子供にコーヒー淹れさせててダメだった
誰が来たんだよ答え合わせって何する気だよ怖ぇよ
- 133二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:37:22
こわいこわいこわい
- 134二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:38:11
徹頭徹尾悠仁のためですが何か?
感出してるのすげえ - 135二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:52:56
>悠仁は一瞬固まったが、私がそれ以上何もする気配がないと察してか、静かに肩の力を抜いていた
これ前科ないか?これ前科…
- 136二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 08:17:33
来訪者は、出前を頼んだ近所の蕎麦屋だった。
目の前に置いた丼のふたを開けて、悠仁の顔は小さくほころんだ。鶏肉に火の通った卵がとろりと絡んだそれは、だしの香りをふんだんに漂わせていた。
「悠仁は今、どう思った?」
言葉を投げると、悠仁は無防備に目を瞬かせた。
「えっと……おいしそうだな、って思った……」
「どうして『美味しそう』と思ったのかな」
「できたてだから……?」
私は黙ったまま頬杖をつき、悠仁を見返した。それだけで十分だった。悠仁が焦った顔で考え込むのをよそに、割り箸を手に取った。せっかくの温かいそばが冷めてしまう。
つけ汁に浮かぶ鴨肉やねぎをいくつかつまんだところで、悠仁が口を開いた。
「……おいしそうな、においがするから?」
「そうだね」
悠仁の口から安堵の息が漏れる。
「今日の『へんなもの』も、今の悠仁と同じことを考えていたんだよ」
やわらかくなりかけた表情が、一瞬で固まった。
「あれらは『呪霊』と言うんだけどね。人が誰かを憎んだり、恐れたり……そういう感情から湧いてくる存在で、ほとんどは思考を持たない。そうだね、悠仁にもわかるように言うと、大きな害虫……ゴキブリの類だと思えばいいかな」 - 137二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 08:18:18
悠仁は食事にも手をつけず、こちらの話を聞いていた。丼から立ち上る湯気は、少しずつ薄くなっていく。
「呪霊は、根幹からして人を傷つけることしかしない。そして人も、潜在的に呪霊を忌む。だから、悠仁があれらを追い払おうとしたのは、極めて正常な反応だよ」
微笑みかけても、悠仁の表情は重く沈んだままだった。
「……その、『じゅれい』は、おいしそうなにおいがして教室にでてきたってこと?」
「ああ、そうだったね。話が少し逸れてしまったな」
「簡単な話だよ」と、そばを一口すすった。細身の麺は、早くものびはじめている。
「彼らのエネルギーは『呪力』と言ってね、それを得るほど強くなる。そのための方法はいくつかあるが、一番シンプルなのは強い『呪物』を食べること」
「じゅぶつ?」
「呪力や術式を持った物体……わかりやすく言えばパワーアップアイテムかな。これは数が限られているし、強いものはもっと少ない。だから、見つけたらすぐうとする」
例えば、そう。
「日頃から呪物を食べていて、腹に呪力が満ち満ちた、自分たちのことを認識できる珍しい子供……とかね」
悠仁がしっかり理解できるまで、私は付き合うつもりだよ。
母親として当然のことだろう? - 138二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 08:30:02
やっぱりお前のせいやないか…!
- 139二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 08:31:39
絵面は親子の微笑ましい食卓なんだろうにな
- 140二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 09:30:44
いたいけな悠仁になんてことしてんだテメェ
すんごい興奮する もっとやって - 141二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 10:23:15
>私は黙ったまま頬杖をつき、悠仁を見返した
この圧よ
ご飯くらい安心して食べさせてあげてくれよ
- 142二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 12:33:01
ねえもしかして頼んだのって親子丼と鴨南蛮……
- 143二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 12:49:05
> 丼のふたを開けて、悠仁の顔は小さくほころんだ。鶏肉に火の通った卵がとろりと絡んだそれ
> せっかくの温かいそばが冷めてしまう。つけ汁に浮かぶ鴨肉やねぎ
気づきたくなかったな…
- 144二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 13:24:46
無知ですまん、これだったとしたらどういう意味があるん?
- 145二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 13:53:49
「親子」と「鴨(加茂)」ってことやろ
意味というより嫌〜な質感が上がる演出 - 146二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:24:43
- 147二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:25:12
「おれの、こと?」
日頃はあまり察しがよくないから心配していたが、さすがに感づいたらしい。首肯してやると、悠仁は呆然としたまま私の顔を見つめ返してきた。
「おれ、たべてない、『じゅぶつ』なんて知らない……」
「随分なことを言うね。飴もビー玉もたくさんあげたのに、もう忘れてしまったかな」
口直しの飴玉ひとつ。願いが叶うポイントひとつ。
引き換えに、常人ならすべてを失う呪物がひとつ。
天秤の狂った等価交換を続けるうちに、悠仁の体は少しずつ変容していった。見た目こそ人間のままでいるものの、性質の異なる呪力に浸され続けた結果、いまやほとんど呪物と変わらない組成になっている。
もし、悠仁を六眼の前へ出そうものなら、そこにはきっと世にもおぞましいものが映るに違いない。やらないけどね。
「しかし災難だったね。近くにいた、女の子だっけ?襲われたのは。これは推測だが、おそらく悠仁の『匂い』が移ったんだろう。まったく鼻も頭も悪い呪霊と見える……」
「おれが」
悠仁が私の話を遮るのは、覚えている限りで初めてのことだった。
ちゃぶ台の向こう側に、ぎこちなく作られた笑みがあった。人によっては、泣き出す寸前の顔に見えたかもしれない。
「……おれが、がっこうにまた行ったら……どうなるの?」
最後に一口残ったそばを食べ終えて、私は目を細めた。
「私に聞かなくても、悠仁の方がよくわかっていると思うけどね」 - 148二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:25:34
悠仁が悠仁でいる限り、他者が自分のせいで傷つくことをよしとしない限り、人の集まる場所へ出ていくことは叶わない。
1000年前とは比べ物にならない人口過密の島国で、それは致命的な欠点だった。小学校、中学校、高校、会社……この時代に生きる人間が必ず通る通過点を、悠仁は通れない。
通信教育や認定試験といった代替措置も、教えなければ『ない』のと同じことだ。
あの日、悠仁が虎杖倭助と話した内容はいまもって不明のままだが、私はとうに興味をなくしていた。
この子はもう、家を出る必要はないのだから。
「悠仁」
名を呼び、両手を広げる。
焦点の定まらない目がこちらを捉え、のろのろと立ち上がった。いつものように素直に近づいてくる、その小さな手を取り、腕の中へ閉じ込めた。
「今まで黙っていたけどね、悠仁には役目があるんだよ。他の誰にも代わることができない、悠仁だけの大切な役割が」
悠仁の目からこぼれるしずくを拭ってやりながら、その耳へ唇を寄せる。
「教えてあげるよ、悠仁はね───」 - 149二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:26:07
(───いつか、宿儺をその身へ宿すために生まれたんだよ)
「───お母さんとずっと一緒にいるために生まれたんだよ」 - 150二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:26:49
───待て。
私は今、なんと言った? - 151二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:30:01
(なんか流れ変わったな?)
- 152二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:31:59
飴ちゃんとビー玉とかほんまに釣り合ってなくて笑う
- 153二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 22:34:13
でもこいつがマジで育児だの愛だのに目覚めたら目覚めたで絶対ろくなことにならない
- 154二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 23:09:00
高羽とはよく分からんが楽しくやってたし振り切れたら案外プラスの方にいくかもしれない
- 155二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 23:19:35
いい子だからな
情も湧くさ
湧いててくれ - 156二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 23:22:43
言い回しが情は情でも執着の方っぽくて状況が好転するようには思えんが
もう悠仁が幸せになるならなんでもいいわ - 157二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 23:34:19
流れが変わろうと今までの所業がエグすぎてこの先不穏なのに変わりないしやっぱりどう転んでもホラーなんよ
- 158二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:16:49
瞬間。
『不自然なほどに』目を逸らしていた事実の数々が、脳裏で幾重にも列を成した。
何故私は、悠仁を育てている?
私が育てる義理などどこにもないというのに。
何故私は、悠仁に家事を任せている?
子供にできることなど、たかが知れているのに。
何故私は、悠仁と虎杖倭助を引き離したがる?
頑固者の老人程度、大した障害にもならないのに。
何故私は、手持ちの呪物を何度も悠仁に飲ませている?
器の性能を見るなら、一度や二度で十分だというのに。
何故私は───これほどまでに悠仁と二人でいようとする?
何故、何故、何故……非合理で不可解な言動の群れ、しかしそのすべてに断言できる。
『これは私の内から出たものではない』。 - 159二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:17:15
悠仁はあくまでも道具のひとつ。希少性という意味での価値はあるが、慈愛を与える対象かと問われれば否だ。
にも関わらず、これはどうしたことか。
意思と行為の矛盾を埋めるパーツを片端から精査し、思考を巡らせる。
やがて。
「……そういうことか」
悠仁のうつろな目が、こちらを見上げた。
信じていたものを打ち砕かれた中で、唯一確かな存在……母を求めようとする瞳は、赤子を思わせた。
言い知れぬ満足感が『私ではない』何かから湧き上がり、気づけばその頭をあやすように撫でている。
知らず、口角が吊り上がっていた。
「私を、いや悠仁を呪ったな───虎杖香織」
人は、願っても得られないものにこそ執着する。
私は、それをよく知っている。 - 160二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:20:45
母ちゃん…!(本物)
- 161二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:21:24
本物の虎杖ママ!?
- 162二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:23:33
でも呪物食わせたり倭助と引き剥がす当たり「一緒にいたい」の気持ちが強すぎて手段選べるだけの精密さはないんだな
0のリカちゃんみたい - 163二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 08:27:06
一緒に居たいのは良いけど呪物飲ますのは流石に怖すぎるよ母ちゃん……
- 164二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 12:28:29
愛ほど歪んだ呪いはないにしたってそこまでしなくてもいいだろ母ちゃん!
- 165二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 21:59:13
か、かあちゃん…?
- 166二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:21:27
「子供と一緒に居たい」の出力が呪い過ぎる…
- 167二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:24:15
あれはいつのことだったか、暇潰しにふと考えたことがある。
魂は何によって支配されているのか、と。
魂は肉体であり、肉体は魂である、というのが私の持論だ。
ところで、肉体は脳によって完全な制御下に置かれている。
ならば、魂の支配者もまた脳と言えるのではないだろうか。
今思えば何の面白みもない三段論法的思考だったが、当時の私はその結論にひとまず満足していた。自身の術式とも矛盾しない結論が気に入ったのだろう。
『乗り換え』を重ねるうち、私はますます持論への確信を深めた。術師・非術師を問わず、私に頭の中身を空っぽにされた人間のデータが、着実に積み上げられていく。
その中で、わずかでも抵抗できた者は絶無だった。
だからこそ私は、虎杖香織を何の躊躇もなく『乗っ取り』、虎杖仁の胤を求め、そして悠仁を産んだ。
産んだ、が。
「あっはっは、初めて聞いたよこんなの」
悠仁を膝に抱きながら、私は笑いを堪えきれなかった。 - 168二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:25:01
もう一度言おう。
魂の支配者は、脳だ。
脳を奪われたが最後、誰もが例外なく魂の主導権も奪われる。
ところで女であれば、頭蓋の他にもうひとつ、脳を持てる場所がある。
生前の虎杖香織は不妊治療に勤しんでいた。愛した男との子供が欲しいと、狂おしいほどに願いながらも叶わなかった女の念は、当然『そこ』にわだかまる。
『そこ』には、呪術的には母親の一部とみなされる『モノ』が宿る。
それは、臍帯を切り落とされてもなお、血の繋がりによって母体と同一視されることがある。
虎杖香織───正確に言うと彼女の負の感情───は、悠仁の脳を己のものと同一視することで、私に対抗している。
そして今もなお、悠仁の脳を介し、魂の主導権を綱引きしてまで子供に執着している。
それが、私の導き出した答えだった。
キッショ。
まったく、愛ほど歪んだ呪いはないね。 - 169二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:39:30
羂索への対抗はどんどんやれと思うけど挟まれた小僧が大変なことになってて草生えぬ
- 170二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:42:03
なんか疑似的な大岡裁きの子争いみたいになってないか
- 171二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 22:45:35
じゃあ先に手を離したほうが小僧の母親(真)ってことで…
すでにほとんど呪物化してるので今更離しても手遅れなんですけど - 172二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 23:47:31
高専ー!早く執行猶予という名の保護してー!
- 173二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 06:53:13
ひえ……保護しなきゃ…
- 174二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 08:22:20
綱引きといっても、基本的には私が主導権を握っていると考えていいだろう。事実、悠仁に関すること以外で私の想定とズレた動きはない。
ただ一点、悠仁を手元から離そうとした時にのみ、虎杖香織の残留思念は目を覚ます。
そして厄介なことに、おそらく私は『虎杖香織による干渉を認識できない』。
虎杖香織がこの肉体本来の所有者であるせいなのか。
はたまた、私の意思に先行して起こる言動、という転倒した事象の帳尻合わせのために「これは私が起こした行為だ」と認識しているのか。
いずれにせよ、現時点では他の肉体に乗り換えることもままならないはずだ。
虎杖香織の肉体を離れると同時、この肉体は仮初の生を閉じ、真に死者となる。すなわち、悠仁から離れるということになってしまう。
計画に重大な支障をきたすイレギュラーな事象ではあったが、私はどこか晴れやかな気持ちでいた。
私だけでは生まれ得なかった、人の可能性がここにある。我が子を介して我が子を守ろうとする、矛盾を孕んだおぞましい呪いの姿が。 - 175二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 08:22:34
私の考えが正しければ、おそらくこの呪いはもってあと数年で破綻する。
1000年待った。
そこに加えてたかだか数年、どの程度のことがあろうか。
「いよいよとなれば、まあ最終手段もあるしね」
虎杖香織の遺志を満たし、かつ私の計画にもおおむね沿う方法が、ひとつだけある。
悠仁の前髪をかきあげ、額を指でなぞりながら、私は『母親』の顔で微笑んだ。
「悠仁。落ち着いたなら、ご飯を食べてしまいなさい」
すっかり冷めた親子丼に、私と悠仁は視線を向けた。 - 176二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 08:41:38
悠仁の脳みそに手を出すな!!!!!
- 177二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 19:08:15
悠仁…幸せになってくれ頼むよ…
- 178二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:31:00
悠仁は今日もいい子に過ごしてくれた。
前日に頼んでおいた時間通りに起こしに来たし、二度寝をキメていると3分ごとに声をかけてきた。
居間に顔を出すと、そのタイミングで朝食が出てくる。丁寧に焼かれたパンケーキは、ほかほかと湯気が立っていた。先日、日本初上陸とかいうパンケーキ屋の特集を、私がテレビで見ていたのを覚えていたらしい。
仕事に出る時は「いってらっしゃい」、帰ってきた時は「おかえりなさい」という挨拶とともに抱きついてくる。このところ急に甘えたがりで困るね。
夕食はリクエスト通りの中華だった。レシピのほとんどは、悠仁のセンスでアレンジしたらしい。花椒をふんだんに使ったよだれ鶏のタレの味などは、なかなか悪くないと思う。本人には言わないけどね。
悠仁が夕食の片付けをしている間に入浴を済ませるのがいつものパターンだ。これだって、私が入るタイミングを見計らって湯を沸かしている。まったく気が利く子だよ。
風呂から上がればもう布団が敷いてある。「明日も、お仕事がんばってね」と言いながら風呂に入る悠仁を見送って……
ああそうだ、ひとつ聞き忘れていた。
「お義父さんに、お線香あげた?」
「……うん」
素直な返事を聞き届けてから、私も布団に入る。
どうだい、充実した1日だろう?
……何か文句があるかい?
私は母親だぞ。 - 179二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:31:22
【終
- 180二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:31:41
「等級のことはもう教えたでしょ。出てもせいぜい3級ぐらいの土地に、いきなり1級相当の呪霊が出たからおかしいって話なんだよ。これはね」
「だからって、なんで俺まで行かなきゃ……いけ、ないん、です、か」
「うわ、カタコト敬語じゃんウケる。津美紀に怒られた?別にいいよ、僕そういうの気にしないから」
「…………」
「ほらほら恵、この写真見なよ。現場の小学校だってさ。同い年の子と仲良くなって遠距離恋愛しちゃえば?」
「…………」
「無視すんなよ」 - 181二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:31:59
【終……?】
- 182二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:33:24
爺ちゃん死んでる……
伏黒五条と遭遇するのかこの後…… - 183二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:41:08
伏黒…先生…お願いだ気づいてくれ…!
- 184二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:42:52
> このところ急に甘えたがりで困るね。
依存度上がってるじゃないですかヤダー!やだぁ……
呪霊の調査で「当日何もないところに向かって暴れていた普段学校に来ていない少年」の情報を聞いて接触を図る奴でしょこれ
ただ接触しても助けられるのかどうかはわからん
- 185二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 22:46:08
これこのまま育って原作みたいな根明陽キャに成長すんのか……?
なんか大分影ある性格に育ちそうなんですけど…… - 186二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 23:14:37
じいちゃん亡くなるの早いよー
- 187二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 23:20:28
大作をありがとう
こういうジットリホラーめっちゃ好き - 188二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 07:48:34
じいちゃーん!!
- 189二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 10:44:17
保護が早ければきっと生来の明るさを取り戻してくれる
それでも影はあるだろうが…うっ…… - 190二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 11:08:32
ママ(本物)がどこから乗っ取られたかは分からないけど、同情するわほんとに
- 191二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 20:29:12
ほしゅ
- 192二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 05:55:24
これは次スレありそうな勢い…
- 193二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 09:36:56
すごいものを読んでしまった…それはそうと助けて五条先生
- 194二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 17:03:31
五条ー!早くきてー!
- 195二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 00:03:14
- 196二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 00:05:01
やったぁ次スレだ!!続き読んで良いのか!!
- 197二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 00:05:59
オールマイトみたいなこといってる……
- 198二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 04:12:51
> 五条ー!早くきてー!
> 私が来たよ
違う
- 199二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 15:02:08
裏梅
- 200二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 16:29:24
200なら悠仁解放