【閲覧・CP・死ネタ注意】(ホラーSS)ハジメカラpart1.5

  • 1二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:46:40

    保守が遅れてしまってスレが流れてしまいました

    本当に申し訳ございません

    スレをまた立てなおすこと
    本当にお詫び申し上げます

    今日の夕方6時には必ず進行します

  • 2二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:47:18
  • 3二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:55:13

    6時頃に新しく立て直すという意味ならすみません

  • 4二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:55:35

    とりあえず10まで保守

  • 5二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:55:48

  • 6二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:56:04

    保守

  • 7二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 08:56:17

    支援

  • 8二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 09:07:41

    ほーしゅっしゅっしゅ

  • 9二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 09:14:27

    ほしゅ

  • 10二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 09:15:03

    10まで保守

  • 11スレ主24/04/19(金) 18:12:05

    保守してくださってありがとうございます
    それでは進行します

  • 12フタリダ24/04/19(金) 18:20:04

    「フランシス君!フランシス君! 今どこにいる!?」
    洗面所の外で村長の切羽詰った声が聞こえてきた

    「なんだ?朝から······」



    「む...村で人が殺された!!!」

    村長はドレークを連れて、家の外へとびだした

  • 13フタリダ24/04/19(金) 18:28:34

    通りでは、住民たちが老翁の遺体を囲んでざわついていた

    死体は首を折られていた


    「ティコさん!これはいったいどういうことだ!?」
    「なんと、一体誰が…」
    「当然あいつに決まっている!」



    「みんな、フランシス君を連れてきた!」

    人々の視線はすべてドレークに向けられた

  • 14フタリダ24/04/19(金) 18:29:11

    「お前がやったんだ!」
    「お前しかない!」
    「お前じゃなければ誰がやったと言うんだ!」
    「この殺人鬼!」

    住民たちが一斉に罵倒し始めた

    ドレークは、突然の非難に戸惑い、硬直するしかなかった

  • 15フタリダ24/04/19(金) 18:33:46

    「みんな落ち着いて! 」

    村長が前に出て人々を止めた


    「あいつじゃないなら、他に誰がいる? 」
    「ちがう...おれじゃない··· 」
    「何が違うんだ! 部外者がお前以外にもいるか? 」

    人々の疑念は、すでに彼に向けられていた

  • 16フタリダ24/04/19(金) 18:35:19

    村に他の部外者は入ってきていないようだった

    もし誰かが隠れているなら、とっくに見聞色で気づいているはずだ


    そう、だから
    犯人は村の誰かなのに···

  • 17フタリダ24/04/19(金) 18:38:59

    「お前たちにはあれが見えないのか!」


    突然の叫びに視線がそちらへ集まった

    昨日少しだけ見かけた、変わった身なりの老婆だった


    老婆は恐ろしい顔をしてドレークに近づいてくる

    「若者!あなたに今、おぞましいものがついている!」
    「どういう意味だ···」
    「ウェンディさん、何があるんだ?」
    「本当にあれが見えないの?あなたたちにも見せてやるわ」

  • 18フタリダ24/04/19(金) 18:41:25

    老婆は懐から奇怪な装飾が施された鏡を取り出した

    そして、それをドレークにかざした

  • 19フタリダ24/04/19(金) 18:44:00

    冷や汗が噴き出て、心臓が止まりそうになった


    鏡には赤い何かがドレークにぴったりとくっついていた

  • 20フタリダ24/04/19(金) 18:47:35

    「こ···これは···」

    昨夜夢に出た「何か」だ
    まるで彼を抱きしめているように見えた


    昨日見聞色を使った時も、こんなものは全然見えなかった

    今も、いくら使っても感じられない


    あの鏡には堂々と映っているのに

  • 21フタリダ24/04/19(金) 18:53:16

    「あの悪霊が犯人よ! 」
    「なんと···」
    「悪霊って······」


    老婆の言葉に人々がざわめく

    「何か」の表情は凶悪になった



    幽霊のようなものが本当にあるなんて···

    そして、それが生きた人間を傷つけたと?!

    かつて、数多くの戦友が戦死した時には、敬意を込めて葬送した
    海賊を数え切れないほど殺し、踏みにじってきた

    しかし、死者が幽霊になるとか呪いだなんて、考えたことは一度もなかった

    いくら偉大なる航路が常識外れの海だと言っても
    今の状況を正しく実感できはしなかった

  • 22フタリダ24/04/19(金) 18:56:24

    「ウェンディさん、どうすればいいんですか?」
    「今すぐ除霊する!」
    「ジョ…何?」
    「彼女はうちの村の巫女だ。とても立派なね」

    村長が老婆を紹介してくれた

    「彼女さえいれば心配することはない。ぜんぶ解決するだろう」
    「ウェンディさんなら、悪霊なんて問題ないよ」
    「どうかお願いします、ウェンディさん」


    「うむ!あなたはついて来なさい」
    老婆はドレークに向かって言った

  • 23スレ主24/04/19(金) 18:57:46

    ちょっと夕食を食べてきます

    朝に保守をすべきだったのにできなかったこと、本当に申し訳ありません

  • 24スレ主24/04/19(金) 20:00:04

    ご飯食べて来ました
    それでは進行を続けます

  • 25フタリダ24/04/19(金) 20:02:25

    「そして、貴様はダメージを受ける肉体がないからといって慢心しない方がいい!貴様もただの供物に過ぎない!」

    彼を睨みつけてあざ笑った



    俺に憑いた「何か」に向けての言葉だろうか...?

  • 26フタリダ24/04/19(金) 20:02:46

    dice1d20=9 (9) +80

  • 27フタリダ24/04/19(金) 20:05:45

    「...あれは、いつから俺についていたんだ?」
    「始めからだ」



    二人は村の外れにある祠に向かった

    「誰も入ってくるでないぞ」
    ドレークと老婆の二人だけが祠に入った

    村長を含む他の人々は、その前でうろうろと屯っていた

  • 28フタリダ24/04/19(金) 20:09:35

    祠の内部は非常に暗かった
    光源は壁際に置かれたろうそく一つだけだった

    ここにも殺虫剤の臭いが強くする

    老婆がもう一つろうそくを灯すと、ようやく周りが見え始めた

    天井が赤い布で覆われているため、祠の内部は全体的に赤く見えた

    所々、箱が山積みになっていた
    棚には物が散らかっている
    壁にもたくさんの物が掛かっていた

  • 29フタリダ24/04/19(金) 20:12:10

    特に最も目を惹くのは、壁にかかった馬の頭骨
    そしてすぐ下段に交差して掛かった剣と斧



    まるで海賊旗を連想させる装飾だった

  • 30フタリダ24/04/19(金) 20:15:35

    老婆は香炉に粉を入れて火を灯し、穴の開いた蓋をかぶせた

    穴から黄色い光が微かに漏れていた
    強い香りが祠の内部を覆うように広がっていく


    その香りは、老婆から漂う悪臭と殺虫剤の臭いも覆い隠した

  • 31フタリダ24/04/19(金) 20:18:40

    「座れ」

    老婆の言う通り正座した

    床には二つの器が置かれていた

    一つは正座したドレークのすぐ前
    もう一つは、奇怪な装飾の鏡の前


    彼の前にある器は空だったが、鏡の前にある器には水が入っていた

    鏡に赤い「何か」が映る

  • 32フタリダ24/04/19(金) 20:21:42

    「ᛗᛖᛏ ᛁᛊ ᛏᛟ ᛒᛖ ᛞᛁᚷᛖᛊᛏᛖᛞ ᛞᛖᚲᛖᛊᛖᛞ ᛁᛊ ᛏᛟ ᛒᛖ ᛖᚾᛊᛚᚨᚢᛖᛞ」
    老婆は全く聞き取れない言葉でつぶやき始めた

    寒気がし始めた

    香炉に粉を入れると、漏れてくる光が青くなった

  • 33フタリダ24/04/19(金) 20:23:59

    ​​「ᚲᛟᚾᚠᛁᚾᛖ ᛏᚺᛖ ᛞᛖᚲᛖᚨᛊᛖᛞ」

    ...

    何事もなく静かだ
    水面にも動きはない

  • 34フタリダ24/04/19(金) 20:26:17

    「もしかして...失敗か?」

    ドレークが老婆に尋ねた


    老婆は彼を少し見た後、近くの箱を開けて品物を取り出した
    蛇の抜け殻といくつものネズミの頭骨だった
    床に抜け殻を円形に広げて、頭骨を円の內側に散りばめた

  • 35フタリダ24/04/19(金) 20:29:45

    老婆が鏡に向かって言った
    「あなたはわれらに恨みがあるのか」

    ガチャガチャ
    ネズミの頭骨が、誰も触れていないのに揺れた

    「なぜ人を殺したのか」

    ガチャガチャガチャ
    ネズミの頭骨が更にけたたましく揺れた

    ドレークはネズミの頭骨に注目した

  • 36スレ主24/04/19(金) 20:32:49

    ちょっと皿洗いをしてきます

    ルーン文字はグーグルでルーン翻訳機サイトを利用しました

  • 37スレ主24/04/19(金) 20:59:52

    皿洗いを終えて来ました

    もう一度行きます


    dice1d15=11 (11)

  • 38フタリダ24/04/19(金) 21:01:59

    「...若者、空の器が見えるろう?」
    「ああ」

    「その中にあなたの血を注げ」
    老婆が短刀を差し出した

    「血を…?」​
    「儀式のためだ」
    ドレークを嘲るように老婆が言った


    ドレークは言われた通りに、短刀で腕を刺そうとした


    「ᛞᛖᚢᛟᛏᛖ ᚹᚺᚨᛏ ᛒᛖᛚᛟᛜᛊ ᛏᛟ ᛁᛟᚢ」

  • 39フタリダ24/04/19(金) 21:03:34

    その時だった

    祠に突風が吹き荒れた

    扉は閉めたはずなのに

  • 40フタリダ24/04/19(金) 21:06:44

    ガチャン!

    壁に掛かっていた剣が器に突き刺さった
    器は粉々に砕け散った

    ガチャン!

    鏡の前にあった器も壁に飛んで粉々になった
    中に入っていた水と破片が壁や床へ飛び散った

  • 41フタリダ24/04/19(金) 21:10:00

    「...!まずい!」

    ドレークは反射的に壁に駆け寄り、掛けられていた斧を握りしめた

    老婆を守るように、自分の後ろに下がらせて戦闘態勢を取った

  • 42フタリダ24/04/19(金) 21:12:27

    突然、不安感よぎった
    「…お前は…まさか海賊か?」

    剣が動いて床に文字を刻んだ



    YES

    憑りついていたいたのは、海賊だったのか…!

  • 43スレ主24/04/19(金) 21:29:13

    今日はここまでです

    絶対このスレが流されないようにします

    あにまんのみんなおやすみなさい

  • 44二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 21:37:39

    面白い続き楽しみにしてるよスレ主

  • 45二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 07:02:06

    保守

  • 46スレ主24/04/20(土) 12:48:04

    保守ありがとうございます

    それでは行きます

  • 47フタリダ24/04/20(土) 12:50:09

    老婆が突然立ち上がり、叫んだ

    「貴様!そうしたからといって抜け出せると思っているのか?」

    老婆はひどく怒った顔になった

  • 48フタリダ24/04/20(土) 12:56:35

    すると急に壁隅の戸を開けた
    クローゼットのような小さな部屋だった

    「若者、この部屋に入って」
    「何言ってんだ、あんたも危ないって!」

    「あなたこそ危険にさらされている!その間あなたは隠れていなさい!」

    ドレークは老婆の突然の言葉に戸惑った

    「隠れろとは...」
    「本当に強い奴だ。こちらも強い手を使わないと」
    「だが…」
    「私一人でこの悪霊に直接向き合わなければならない」

    老婆はきっぱりと言った

  • 49フタリダ24/04/20(土) 12:58:21

    「…本当に大丈夫か?」
    「これは私にしかできない」

    「…もし問題があったらすぐに呼べ」

    不安だが、彼女に任せることにした

  • 50フタリダ24/04/20(土) 13:01:07

    ドレークは小さな部屋に自分の体を押し込んだ
    念のため、斧も携帯している


    「私がいいと言うまで絶対出てくるんじゃないよ」

    バタン
    部屋の戸が閉まった


    …彼女は立派な巫女だという話だ
    とりあえず待ってみよう

  • 51フタリダ24/04/20(土) 13:04:01

    海賊なら···

    ここの人々に恨みがあると答えた


    しかし、憑りついたのは俺だ
    多分、恨みの対象は俺なのだろう

    こんな何もない村が海賊の恨みを買うことがあるか?


    頭が痛い···

  • 52フタリダ24/04/20(土) 13:05:31

    俺の手で死んだ奴か?

    それとも...


    少し疲れた···

  • 53フタリダ24/04/20(土) 13:08:06

    それなら...俺のせいでここの人が巻き込まれたのだ

    四皇や世界政府、風評が届かない素朴な島
    辺鄙けど、こんなに静かで平和な村なのに...

    結局、血が流れてしまった


    罪ない人殺しは、編笠村で十分だって...

  • 54フタリダ24/04/20(土) 13:09:03

    香りが鼻を突くように漂う...


    ...

  • 55フタリダ24/04/20(土) 13:11:32

    赤い空が渦巻いていた
    地面は地震のように揺れていた

    寒気がした


    四方から怒鳴り声が聞こえてくる

    「あいつだ!!」
    「あいつがうちの村を!!」

    激怒した人々に包囲された

  • 56フタリダ24/04/20(土) 13:12:19

    ワノ国の服装

    明らかに編笠村の人々だった



    俺の手で踏みにじった村

  • 57フタリダ24/04/20(土) 13:15:15

    「この殺人鬼!!」
    「どうしてわたしたちを殺した?」

    幾多の手が彼を掴み、引っ張った
    体のあちこち引っ張られ、揺さぶられる

    「そんなにカイドウに媚びを売りたかったか?」
    「許さない!!」

    四肢を裂く勢いで引っ張っられていく

    「しね、海賊め!!」
    「子供まで殺した!!」

    首が締まった

    「外道め!!」

  • 58フタリダ24/04/20(土) 13:17:08

    すぐそば、手の届くところにメイスがあった


    これで抵抗しろ


    メイスを握った

    怒りのまま暴れようとした

  • 59フタリダ24/04/20(土) 13:18:23

    しかし、その腕はなにかに掴まれて阻止された


    赤い「何か」が、ドレークの腕を引き止めていた

  • 60フタリダ24/04/20(土) 13:20:13

    腕が動かない

    抵抗できない

    「それでも海軍か!」
    「何が『正義』だ!」

    浴びせられる強烈な怒りに、なすすべもなく晒される

  • 61フタリダ24/04/20(土) 13:22:41

    「はなせ!」

    「何か」はドレークの腕をしっかりと掴んでいた

    喉が痛くなるほど締め付けられる
    このままでは肩も足も折れそうだ



    クルシイ

  • 62フタリダ24/04/20(土) 13:24:06

    ガチャン!

    「はっ!」

    目が覚めた
    またしても冷や汗で全身が濡れていた

    一瞬、気を失っていたようだ

  • 63フタリダ24/04/20(土) 13:26:05

    静かすぎる
    香りも消えている

    代わり他の臭いが漂ってきた


    腐った血の臭いだった

  • 64フタリダ24/04/20(土) 13:27:13

    「おい!どうした! 無事なのか!」

    ...

    返事がない

  • 65フタリダ24/04/20(土) 13:28:08

    ドレークは斧を握り、急いで部屋を出た


    そして目の前の光景に絶句した

  • 66フタリダ24/04/20(土) 13:30:12

    老婆が死んでいた

    香炉が倒れており、 中身は床にこぼれていた
    その横で、両腕を切断された彼女が倒れていた

    近くには血のついた剣があった


    部屋に入ってはいけなかった!

  • 67スレ主24/04/20(土) 13:31:13

    数時間後に、夕方にまた来ます

  • 68スレ主24/04/20(土) 18:07:45

    いい夜です、あにまんのみんな


    進めます


    dice1d10=5 (5)

  • 69フタリダ24/04/20(土) 18:10:30

    「ウェンディさん! 除霊は成功しましたか?」
    「ウェンディさん?ウェンディさん!」

    祠の外から声が聞こえてきた


    今度は確実に犯人として捕まるだろう
    弁解は不可能だ

    もうここにいるわけにはいかない

  • 70フタリダ24/04/20(土) 18:11:41

    祠の門を蹴り飛ばして、港に向かって逃げ出した

    人々のどよめきはすぐに遠ざかり、聞こえなくなった

  • 71フタリダ24/04/20(土) 18:12:31

    しかし、予期せぬ事態が発生した

    ドレークは足を止め、顔を青ざめた

  • 72フタリダ24/04/20(土) 18:13:01

    「ふ…船が…ない!!!」

  • 73フタリダ24/04/20(土) 18:14:34

    港に停泊していた船が消えた
    周りを見渡してもどこにも見当たらなかった

    船は一艘もない

    目の前には、ただ夕日の色に染まった海が広がるだけ

  • 74フタリダ24/04/20(土) 18:16:02

    「こっちに行ったぞ!」
    「港の方だ!」
    「必ず捕まえるぞ!ゆるさねえ!」

    遠くから怒号が聞こえ始めた

  • 75フタリダ24/04/20(土) 18:17:06

    「どうせ船を沈めたから出られない!」


    その一言で心臓が凍り付いた

    非常事態だ

    この島から出られない

  • 76フタリダ24/04/20(土) 18:19:37

    声が聞こえた方向と逆へ走った
    人々をごまかすために、村の外の山に入った

    すぐに声は聞こえなくなった

    もう少しで日が暮れて暗くなる
    その前に身を隠す場所を見つけなければならない

  • 77フタリダ24/04/20(土) 18:22:59

    やがて、島全体を見下ろすことができる山頂までたどり着いた

    幸い、山頂近くに洞窟があった

    ふと、崖の上から村の方を見下ろした

    山を登る篝火は全く見えなかった
    暗い野山を老人たちが明かりなしで登るのは無理だ

    今日はもう探しに来ないということだろう

  • 78フタリダ24/04/20(土) 18:25:02

    そういえば、山に登る時も山道は雑草が蔓延っていた
    苔と蔓に覆われた村の標識も一瞬だが見えた

    村人たちが長い間、この山に来なかったことは明らかだ


    不幸中の幸いだろう

  • 79フタリダ24/04/20(土) 18:28:09

    洞窟の中で火を焚いた

    誰かがこの島に来るのを待つしかない
    どれくらいかかるか分からないけど
    その方法しかない


    その間、村人たちを避けるべきだ
    一人でも会えば衝突は必至だ

    無実な民間人を害するのは、うんざりするほどやった

    もう極力避けたい

    しかも、これは潜入任務でも、上官命令でもない

  • 80フタリダ24/04/20(土) 18:30:00

    非加盟国の衰退した村
    人口もわずかだ
    それも全員力のない老人たち

    何が起きても外部に知らせることができる電伝虫すら一匹もいない

  • 81フタリダ24/04/20(土) 18:32:13

    …こんな状況なら、そのまま皆殺しにしてしまう輩は海軍内にもかなりいる

    居座って暴君のように悪政で搾取したり


    カイドウみたいな海賊のように


    海賊同然の海軍
    海賊になった海軍

    堕ちた海軍将校...

  • 82フタリダ24/04/20(土) 18:35:03

    いや、余計な考えはやめよう

    寒い...

    それよりも問題は、依然憑りついている「これ」だ

    島を離れた後も、今のように周囲を傷つけるとなると、今後の活動に大きな支障をきたすことになる
    これからどこに潜入するかもわからないのに···

    なにより、このままでは隊員たちに会うわけにもいかない

  • 83フタリダ24/04/20(土) 18:37:01

    寒い...
    それにしても夜になったせいか寒くなってきた


    しかし焚き火に近づいてもなお寒かった

    いや、いくら夜でも急激に冷えるなんて…

    違和感を覚え、周りを急いで見回すと
    明かりに映った影がおかしかった

  • 84フタリダ24/04/20(土) 18:39:02

    ドレークの影の横には手のような長い影があった
    洞窟の内側から腕のように長く伸びていた

    「な...なんだこれ···」

    手の影が足をつかんだ
    その影は、体ををよじ登って首まで伸びてきた

  • 85フタリダ24/04/20(土) 18:40:52

    手が両耳を覆った

    「ドリィ!!!」
    「海賊め!!」
    「それでも海軍か!」

    悪夢のような声が聞こえ始めた

    たちまち手は顔までよじ登ってきた
    手がドレークの髪をつかみ、洞窟の内側へ頭を叩きつけた

    「うっ…!」

  • 86フタリダ24/04/20(土) 18:42:31

    今度は、胴が反対側に引っ張られた

    影の手に覆われた体に「何か」がまとわりついていた
    今度も行かせないように腰を押さえている
    動けず、互いに反対方向へ体が引っ張られた


    昨日から見ていた悪夢の正体はこれだったのか!

  • 87フタリダ24/04/20(土) 18:44:04

    見聞色で洞窟の内側に何があるのか見ようとしたが、何も感じられなかった

    代わりに洞窟の外に誰かがいるのを見つけた


    まずい、よりによってこんな時に村人か!

  • 88フタリダ24/04/20(土) 18:46:01

    その時、洞窟の外にいた人物は驚いたようだった
    こちらの視線に気づいたのかもしれない

    影の手が急に消えた
    「何か」も、もう見えない


    ドレークはすぐに洞窟から飛び出した

    そして、ここを訪ねてきた者に正面から向き合った

  • 89フタリダ24/04/20(土) 18:47:18

    「…村長?」
    「ちくしょう、ばれた! 貴様でさえなければ···」

    外にいたのは村長だった

  • 90フタリダ24/04/20(土) 18:47:36

    しかし姿がおかしかった

    両目は発光していて、頭には乾いた角のようなものがあった

  • 91フタリダ24/04/20(土) 18:52:22

    「そんなに私の正体が見たいか?」
    「…あんたも…能力者か?」
    「能力?もちろんある。ここの神様だからな!」

    村長の頭が鹿の頭骨のように変わり、全身の肉は骨が見えるほどやせ細っていた

    あたりが急に寒くなった

    「我はウェンディゴ。 ここの家畜が仕える者だ」
    「家畜?なにを言って···」

    まさか…

    「…お前が殺したのか?」

  • 92フタリダ24/04/20(土) 18:54:09

    「殺した?殺すって? ハハハハハハハ」

    ウェンディゴは大声で笑い始めた

    「何がおかしい?」
    「ハハハ…すでに死んだ者をどうやってまた殺すんだ?奴隷にすることはできるがな」

  • 93フタリダ24/04/20(土) 18:57:07

    はあ?

    ​​​

    「そう!食べ残した残骸は我に従属する。ここで生きているのは、初めから我と貴様だけなのだ!」
    「何を言ってるんだ…」
    「信じられないか? では、見せてやろう」

    茂みがカサカサと音を立てた
    すると、ウェンディゴの後ろに20人ほどの人影が現れた

    全て腐った死体だった

    腐敗臭が漂い、ハエがたくさん飛び交っている

    着ている服はすべて村人のものだった
    最初の犠牲者の服も
    巫女の老婆の服を着たものもあった


    信じられない状況にドレークは絶句した

  • 94フタリダ24/04/20(土) 18:58:14

    「貴様に憑いている『それ』、本当に腹正しい。守護霊か?」


    そういえば、昨日の昼食の時、皿が二つ用意された

    …こいつ、始めから「これ」を知っていたのか

  • 95フタリダ24/04/20(土) 19:00:09

    「せっかく力のある肉が来たのだから、このまま食べるのはもったいない。この機会に体を入れ替えようと思っていたのだ。ご覧の通り、この体は年老いているだろう?」


    ウェンディゴは大声で怒り始めた

    「でも、あいつが毎回邪魔していた!ずっと貴様が行かないように抱きしめているが、本当に傑作だ!ハハハハハ」

  • 96フタリダ24/04/20(土) 19:01:01

    笑いを止めて、憤慨した

    「ただの供物に過ぎないくせに!」


    巫女と同じ言葉だ

  • 97フタリダ24/04/20(土) 19:03:34

    「さっきの儀式は…」
    「貴様にあいつを、我に捧げさせるためだった。 器が割れて台無しになってしまったがな!こうなると分かっていたのなら、昨日肉なんてやるんじゃなかった!」

    ドレークの顔が強張った

    「ハハハハハ、そんなに衝撃的だったか?」
    「...昨日の畑仕事は何だったんだ?」
    「言っただろう?生きるためには、穀物と野菜を食べなければならないと。 腐ってしまった骨に畑をまかせても、作物なんてあまり育たないからな」

  • 98フタリダ24/04/20(土) 19:05:14

    「それなら…貴様は本当に生きている人間だな」
    「そうだ。そしてまた、生きているのは我だけになる」

    腐った死体の群れがだんだん近づいてくる

    「貴様らには、あれもこれもできないからイライラする。 最大限苦しめようとしても、それすらできない」

    死体が一斉にドレークに襲い掛かった
    「そのまましね」

  • 99フタリダ24/04/20(土) 19:05:44

    「ふむ?何だ、怒ってるのか?」

    ウェンディゴは虚空に向かって話し始めた

    まるで誰かと会話するように

  • 100フタリダ24/04/20(土) 19:06:20

    「…話を続けろ。貴様に何ができるというんだ?」

    くすくす笑いながら、のんびりと嘲笑するだけだった

    ウェンディゴが突然笑いを止め、真顔になった

    「死相? うわごとを…」

  • 101フタリダ24/04/20(土) 19:07:54

    ウェンディゴの後ろで大きな音がした

    振り返ると、死体はすべて遠くに飛んでいた

  • 102フタリダ24/04/20(土) 19:09:00

    目の前に人の頭ほどの歯が見えた

    巨大な口が開いた

    バキッ
    鹿の頭骨が粉々に砕けていた

    ベチャッ
    血が地面にめりめりと飛び散った

    ペェッ
    怪異の頭だったものを吐き出した

    ストン
    やせ細った体も倒れる

  • 103フタリダ24/04/20(土) 19:10:02

    寒さが消えた

    カササッ
    死体はあっという間に白骨になり粉のように分解された


    住民たちは今やっと土に還ったのだ

  • 104スレ主24/04/20(土) 19:13:55

    しばらく夕食を食べてからまた来ます

  • 105スレ主24/04/20(土) 19:41:39

    あにまんの皆さん、夕食は食べましたか?
    それでは、行きます

  • 106フタリダ24/04/20(土) 19:42:49

    これからどうすれば良いか···
    ここでどうやって過ごそうか、途方に暮れる

    とりあえず誰か港に来てくれないか、一目確かめるために崖に向かった


    水平線から太陽がゆっくりと顔を出し、空が徐々に明るくなる

    海は朝焼けの色が染まり始めていた

  • 107フタリダ24/04/20(土) 19:44:29

    その時、全く予想外なものを発見した

    港には赤い帆の船が一艘が見えた
    いなくなったはずの船が堂々とたたずんでいた

  • 108フタリダ24/04/20(土) 19:46:03

    すぐに山を下りて港に向かう

    近くで見て触れても、乗ってきた船そのものだった


    幸いにも、沈めたというのは嘘だった

  • 109フタリダ24/04/20(土) 19:48:17

    そういえばそれも村長···ウェンディゴの声だった


    …見事にやられたな

    徹底的に翻弄されていたのだ

  • 110フタリダ24/04/20(土) 19:50:15

    抵抗はあるが、仕方なく村に帰ってきた
    村長の家、今は主人なき家から飲み水と食料を持ち出した

    食料はすべて穀物と野菜だけだった

  • 111フタリダ24/04/20(土) 19:51:20

    では、肉はどこで······



    いや、これ以上の詮索はやめよう

  • 112フタリダ24/04/20(土) 19:53:06

    錨を上げて帆を広げた

    ついに、このおぞましい島を去る

    連絡がどれくらい遅れたのか、悪かったな隊員たちよ

    赤い帆のキャラベル船が、今は誰もいない島を後にして悠々と海を横切っていった

    ...

  • 113ツイニ24/04/20(土) 19:55:01

    真っ暗な空に星がちりばめられている

    草一本すら見当たらない荒野は、静かで穏やかだった

  • 114ワカッテクレレバ24/04/20(土) 19:57:44

    ドレークは荒地に横たわっていた

    横になったまま頭を左に向けた

    「この間のあれは…、お前が助けてくれたのか?」

  • 115ジュウブンダ24/04/20(土) 19:59:45

    その視線はすぐ隣に横たわる金髪の男と交わった

    男には左腕がなかった

    超新星の一人、バジル·ホーキンスだった

    赤い「何か」ではなく、生前の姿そのままだった

  • 116フウ…24/04/20(土) 20:02:20

    彼は言いたいことがたくさんあるようで複雑な表情だった

    「…気づいてくれたのなら、それでいい」

    しかし、言わないことにしたらしく、これ以上話を切り出さない


    二人はしばらく黙って星を見ていた

  • 117アア24/04/20(土) 20:04:50

    静寂を破ったのはドレークだった

    「埋葬した時から憑いてきたのか?」
    「ああ」
    「葬式があまりにも粗末だったから怒ってるのか?」
    「いいや、お前に呪われた」
    「お、俺に?!」

    ドレークの驚いた表情がホーキンスの笑いを誘った

    「ああ。 お前に。それで、死んでもあの世に行けずここにいる」

  • 118ソバニ24/04/20(土) 20:07:22

    あの時、命が残り少ないことを知りつつも
    最後の力をふり絞って探しに行った

    お前を思い出した

    船員でも、走馬灯でもない
    お前だった

  • 119イタイ24/04/20(土) 20:09:01

    99%の確率だったので、結局こうなってしまったが

    しかし、その後のお前の行動は予想できなかった

    まだ万全でない体なのに俺を埋葬してくれて、弔ってくれた

  • 120呪い24/04/20(土) 20:10:25

    その時やっと気づいた

    お前のそばにいたい

    もっと
    ずっと

    俺はお前に

    呪われ(惚れ)しまった

    「お前がくれた百合は黒く染まった」
    呪(恋)いに染まった

  • 121コレカラ24/04/20(土) 20:11:36

    「俺のせいでか?解くにはどうすればいい?」
    「解けない。 諦めろ」
    「...すまない」
    「謝るな」

    また沈黙が訪れた

    星がくっきりと見えた

  • 122イツモ24/04/20(土) 20:13:23

    再び静寂を破ったのはホーキンスだった

    「これからいつもそばにいるだろう」
    「いつも?24時間監視と変わらないじゃないか」
    「お前がかけた呪いだ。 同居と思え」

    これから、今と同じように夢で話せるはずだ
    やっとこうして話せるようになって嬉しい

    「その、島では···ありがとう」

    お互い笑って見つめ合った


    荒れた大地の隙間には、目立たないが小さな新芽が芽生えていた

  • 123スレ主24/04/20(土) 20:20:48

    ここまでがドレークの視点でした

    少し休んでからホーキンスの視点で再開する予定です
    ドレークの時点では見られなかったものが見えます


    それ以前に質問や雑談など何でもお答えしたいと思います

    期待して待ってくださって 本当にありがとうございます
    ずさんなスレ管理やストーリーでがっかりしていたら、本当に申し訳ありません

  • 124二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 20:53:36

    すごい良かったおつかれスレ主
    ホーキンス視点も楽しみにしてるけど、スレ主の無理ないペースでね

  • 125スレ主24/04/20(土) 23:09:07

    >>124

    ありがとうございます😭


    寝る前まで少しだけ進めます

    ホーキンス視点、行きます

  • 126フタリダ24/04/20(土) 23:10:41

    赤い帆のキャラベル船一艘が港に停泊する

    ドレークが船から降りた

    ―この島で飲み水を得る確率···100%

  • 127フタリダ24/04/20(土) 23:12:44

    しかし、港は誰もいなかった

    船も乗ってきたのが唯一だ

    住民たちは海賊だと思って避難したわけではないと確信できた
    もしそうなら、どこか隠れてでも武装して警戒していただろう
    そして何より、帆は黒くなく骸骨もない

    捨てられた島でもなかった

    散布したばかりのように近くで殺虫剤の臭いが強く漂ってくる

  • 128フタリダ24/04/20(土) 23:13:39

    どうも釈然としない

    ―お前がここで安全である確率は··· 11%?!

  • 129フタリダ24/04/20(土) 23:14:57

    ―11%しかならない···

    水だけ求めてすぐこの島を出ようと言いたかったが


    いくら言っても聞こえないだろう

  • 130フタリダ24/04/20(土) 23:16:08

    なぜこのような確率が出たのかは、村に到着すると分かった

    通りには腐った死体が立っていた

    通りでも殺虫剤の臭いが漂っている

    当然だ
    そうでなければウジとハエが沸いてしまうからだ

  • 131フタリダ24/04/20(土) 23:18:24

    しかしドレークは死骸を目の前に置いても平気だった
    「そこの若いの! 何の用事でここに来たんだ?」

    死体の一つが話しかける


    ―死体がしゃべっている!

    「飲み水と電伝虫を探している」

    こいつは平気で答える

    ―お前にはこれがまともな人に見えているのか?!

  • 132フタリダ24/04/20(土) 23:20:10

    「水ならあるが···電伝虫?ここにはそんなものはない」
    「わしらは使わないから···」
    「そうか…店はどこに?」
    「ここはそういうのはないよ」
    「わしらは必要なものはお互いに貸したり配ったりしてるから~」


    俺もすでに死んでいるが、死体が生きている人のようにおしゃべりをするのを見ていると拒否感を覚える

  • 133フタリダ24/04/20(土) 23:22:38

    屍人たちが近づいた

    ​腐った臭いが漂ってくる
    腐敗した肉付きが間近に迫る

    ―…これは本当にまずい

    「若いのや、かなり疲れているように見えるけど。 大丈夫か?」
    「村長にご飯でも食べさせてもらったらどう? せっかくのお客さんだし、喜んで迎えてくれるわよ」
    「そうだな。この島に誰かが来てくれたのは本当に久しぶりだ」
    「いや、しかし···」

  • 134フタリダ24/04/20(土) 23:24:19

    ―腐った死体が何を馳走するんだ?ドレーク、さっさとここを出て行け!



    「若者がこんなにやつれているなんて気の毒だわ」
    「ちょうどお昼時じゃないか。 村長も気前良くもてなしてくれるだろう」

    死体は何とかドレークが泊まるように懐柔してきた
    ドレークはそれらの後へついていった

  • 135フタリダ24/04/20(土) 23:26:22

    元七武海にゾンビを操れる者がいた

    ゲッコー・モリア
    2年前に死亡したと言われているが

    念のため、この島が彼のナワバリである確率を占う

    しかし、結果は0%だった


    ―では、これらは誰が動かしているのか?

  • 136フタリダ24/04/20(土) 23:30:09

    村長の家は他の建物に比べてしっかりしていてきれいだった
    村唯一の二階建てだ

    ここは殺虫剤のにおいがしなかった

    ​村長が正門を開けて姿を現した​

  • 137フタリダ24/04/20(土) 23:31:28

    その姿を見て驚かずにはいられなかった


    頭は鹿の頭蓋骨の形で、全身の肉は骨が見えるほどやせ細っていた

  • 138スレ主24/04/20(土) 23:33:22

    今日はここまでにして寝たいと思います

    おやすみなさい

  • 139二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 01:44:03

    最初から一気に読んでしまった
    途中のダイスは何だったのか気になる
    続きが楽しみだ

  • 140二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 07:33:14

    保守
    続き楽しみにしてます

  • 141スレ主24/04/21(日) 18:11:32

    保守してくださってありがとうございます

    それでは進行します

  • 142フタリダ24/04/21(日) 18:14:41

    「マナハ村へようこそ! わしは村長のウェイン·ディエゴ! 」

    ―村長が能力者である確率…0%だと?!

    「俺は···フランシス」

    ―すると、村長が​人間でない確率は···50%?

    「フランシス?...ハハハ」

    ―...なぜ笑う?

    「フランシス君、本当に歓迎するよ!」

    ―何かの混血か?それとも改造人間?

    「この村にお客さんが、それも若者が来たのは何年ぶりだろうか…」

    ―確率は···どっちも0%?!

  • 143フタリダ24/04/21(日) 18:16:01

    頭蓋骨の口角がまるで笑ってように歪んだ

    ―死骸を操るのが村長である確率··· やはり100%か

    村長は笑いをこらえ切れない様子だ

    ―何がそんなにおかしい···

  • 144フタリダ24/04/21(日) 18:18:31

    ドレークは夢中で水を飲んでいる

    村長はホーキンスを見てきた


    偶然ではない
    確かに目が合った

    …となれば 、言葉もすべて聞こえるだろう

  • 145フタリダ24/04/21(日) 18:19:43

    「ありがとう。おかげで助かった」

    ドレークの顔色は、数杯の水を飲んだ後、かなり良くなった

    「なんだ。喉が渇いていたのか」

  • 146フタリダ24/04/21(日) 18:21:09

    ―...村長が怪異である確率···

    「村長、もしかして電伝虫はあるか?」


    結果を見て硬直するしかなかった

  • 147フタリダ24/04/21(日) 18:22:26

    100%だった

    「残念だが、最後の一匹はとっくに亡くなってしまってな」


    再び村長と目が合った

    笑っている鹿の頭蓋骨を真正面から見てしまった

  • 148フタリダ24/04/21(日) 18:25:15

    「それでは、俺はもう…」
    「そうそう!ちょうど食事も準備中だったんだ。もうすぐ料理も出てくる頃だろう」
    「いや、もう行かないと…」

    ―バカなことするな、怪異め。何を企んでいる?

    「ほんの気持ちだよ。 せっかく来たお客さんを追い出すわけにはいかないじゃないか」
    「...何が欲しいんだ。 素直に言え」

    「実は... 君もご覧の通り、この村には若者がいない...海賊になって出世すると言ってみんな去ってから20年以上経った...年寄りだけでなんとか村を維持しているが、やはり力仕事はわしらにはちょっときつい」

    ―ふざけるな

  • 149フタリダ24/04/21(日) 18:26:29

    今すぐこいつらの真の姿を知らせてやりたいのは、山々だが


    …方法がない

  • 150フタリダ24/04/21(日) 18:28:28

    ドレークはため息をつきながら言った

    「…分かった。一宿一飯の世話になろう」
    「いやあ、ありがとう! 頼みを聞いてくれて」​

    ―聞くな!



    怪異は彼を嘲笑っていた

  • 151フタリダ24/04/21(日) 18:31:30

    「たくさん食べなさい。 せっかくの肉料理だよ」

    食卓には三つの皿が置かれていた

    一つは、村長の皿
    もう一つは、ドレークの皿

    そして、さらにホーキンスの皿


    村長が味付けした肉を包丁で切ってそれぞれの皿に盛り付ける

    そして、席に座って食べ始めた

  • 152フタリダ24/04/21(日) 18:33:30

    「...」
    「ん?なんでじっとしているんだ?早く食べなさい。」

    ホーキンスは嫌そうに肉を見た

    「もしかして肉が好きじゃないなのか?」
    「いや、その···」

    ―貴様、これを食べろというのか?

    「ああ、すまない。まさか肉が嫌いなんて」
    「そうじゃなくて、まだそちらの奥方が来てないので···」

    「ははは!わしは独身だよ」

  • 153フタリダ24/04/21(日) 18:34:51

    ドレークがホーキンスの皿を見つめた

    「では、これは···?」



    ―これは人肉だろ!

  • 154フタリダ24/04/21(日) 18:37:20

    村長がナイフを握った手を止めてホーキンスを見た

    食事の席に重い沈黙が訪れた


    「···それはフランシス君がお腹が空いていそうだったから用意したんだ! ただでさえ血気盛んな若者が荒波を越えてここまで来たのだから、二人分も食べるべきだろう? だから早く食べなさい」

    怪異は大笑いしながら食事を再開する


    すぐにでも皿をひっくり返してやりたかったが
    肉体がなくてできなかった

  • 155フタリダ24/04/21(日) 18:40:02

    ドレークはフォークとナイフで肉を切って食べ始めた

    腹は減っていたせいか、ホーキンスの分も簡単に空にしてしまった


    ―…結局食べてしまったのか

  • 156フタリダ24/04/21(日) 18:42:01

    「デザートにプリンはどうだ? これもやはり二人分いるか?」
    「ありがたいけど結構だ」
    「そんなに遠慮するなよ。 まだ足りないと思うが···」
    「いや、もうたくさんいただいた。だから本当結構だ。 肉も十分だったぞ」


    ―どんな肉かは、一生知らないほうがいい

  • 157フタリダ24/04/21(日) 18:44:02

    「腹も満たしたからもう働かないと。 何からすればいい?」

    ―本当に手伝う気か

    「まず村の畑に行ってくれ。 そうでなくても今年の農作業の準備で仕事が多い」
    「了解した。 でも手伝いは今日までだ。 明日にはここを発つ」​



    畑には20人ほどのゾンビがいた

    ―死んだ人々を奴隷ように働かせるのか。軽蔑するな

    「お若いの、倉庫の肥料を持って来てくれる?」
    「若いのや、ここの荷物を運んでくれ」
    「土替えを手伝ってくれ」
    「これちょっとやってくれ」
    「あれもやってくれ」

  • 158フタリダ24/04/21(日) 18:46:26

    いつの間にか日が暮れてきた

    ドレークは一日中、死体が指示するまま下男のように働いた
    それとも、怪異が好きなようにというべきか?


    屍人と一緒に村に殺虫剤を散布した

    いくら散布しても無駄だ
    腐ったものがたくさんあるのだから

    この村そのものが墓地だ

  • 159フタリダ24/04/21(日) 18:49:20

    藁とハエの死骸の山に火が付き大きく燃え上がった
    腐った死体が焚き火の周りに集まった

    ―…!あいつら、ネムキノコを入れやがった!

    強力な睡眠薬の材料になるキノコだ

    焼いた煙も吸い込んでしまえば強制的に眠りにつく

  • 160フタリダ24/04/21(日) 18:50:08

    「若者のおかげで仕事が早く終わったな」
    「お疲れ、若いの」​

    ドレークの顔色が悪そうだ
    彼は急いで席を立った

    ―しまった、もう手遅れか

  • 161スレ主24/04/21(日) 18:52:52

    夕食をとってきます


    ネムキノコは

    ​「寝る+キノコ」に急造したオリジナル要素です


    >>139

    ダイスはホーキンスの占いでした

  • 162スレ主24/04/21(日) 19:46:41

    食事してきました
    じゃあ、行きます

  • 163フタリダ24/04/21(日) 19:47:50

    村長も畑へとやってきた

    「おお、フランシス君、本当にお疲れ様」
    「...村中に、殺虫剤の臭いが漂うんだな…」

    ―睡眠薬とは…、ずいぶん卑怯な手を使うのだな

    「ハハ…そうかね?それより、そろそろ夕食の時間じゃないか? 今回もうちでもてなそう」
    「いいや、結構だ···」

    ―ドレークに何をするつもりだ!

    「そんな怖い顔するなよ...おや、かなり疲れているね。 熱心に仕事してくれたようだな」

    ―よくもぬけぬけと…貴様のせいだろう

  • 164フタリダ24/04/21(日) 19:50:20

    「じゃあ、今日はもう休んだらどうだい? 使わない部屋を貸してやろう」

    ―ドレーク、ダメだ

    「···悪いが、一晩、世話になる」

    「ハハハ、これくらいお安い御用さ」」


    村長が嘲笑しながら答えた

  • 165フタリダ24/04/21(日) 19:52:18

    ―貴様、何が目的だ

    「住民の畑仕事を手伝ってくれと言っただけだがなあ?」

    ―ふざけているのか?

    「人の体である以上、穀物と野菜は食べなければならないのではないか。ハハハ」

    ホーキンスは怒りで言葉を失った

  • 166フタリダ24/04/21(日) 19:54:16

    「じゃ、おやすみなさい」

    怪異の口角は下がらない

    部屋の戸が閉まった

    部屋は、窓が一つと寝具が一つあるだけだった
    床には急いで埃を掃除した形跡があった

    ドレークは寝具に寝転ぶとすぐに、目を閉じて眠りについてしまった

    ...

  • 167フタリダ24/04/21(日) 19:56:09

    ​―寝る間に村長が何かを仕掛けてくる確率···やはり100%!

  • 168フタリダ24/04/21(日) 19:56:43

    その時、窓に何かが映った

    ―ドレークが起きる確率…5%

    手のような長い影だった
    蛇のように部屋へと侵入してきた


    ―俺が防げる確率…99%!

  • 169フタリダ24/04/21(日) 19:58:32

    影の手はすぐにドレークの足を掴んだ
    体をよじ登り、首まで伸びていった

    「....ぁ...」

    そして、ドレークの首を乱暴に掴んだ
    彼の体が窓際に引きずられていく


    考える余裕もなく、急いでその体に抱きついた

  • 170フタリダ24/04/21(日) 19:59:04

    …抱きついた?


    ―実際に···触れただと?!

  • 171フタリダ24/04/21(日) 20:01:58

    影の手はかなり強い力でドレークを引っ張っていこうとしていた

    ―このまま連れて行かせると思うか?

    腰をさらに強く抱きしめて影の手を阻止した

    「....っ...」

    片腕では、思ったよりも難しい
    能力を使えたら···

  • 172フタリダ24/04/21(日) 20:03:36

    ようやく、ついに諦めたのか、影の手がドレークを離した

    影が消えると、彼の体はホーキンスを通過して布団の上に落ちた


    悪夢を見たのか、ずいぶんと苦しそうだった
    全身が冷や汗でびっしょりで、顔色もひどかった

  • 173フタリダ24/04/21(日) 20:05:06

    そして、ゆっくりと目を開けた

    ―やっと起きたか

    ドレークは自分の喉を探るように触った

    「うっ…」

    ―…なんで一人で勝手にダメージを受けているんだ

  • 174フタリダ24/04/21(日) 20:08:26

    窓の外を見ると夜が明けるところだった


    彼は部屋を出て洗面所に行った

    …プライバシーは守ってやろう

  • 175フタリダ24/04/21(日) 20:09:03

    「フランシス君!フランシス君! 今どこにいる!?」

    忌々しい声がやかましく響いた

  • 176フタリダ24/04/21(日) 20:10:02

    「なんだ?朝から······」

    ―昨夜のあれは何だったんだ

    「む...村で人が殺された!!!」

    ―答えろ!

    村長はホーキンスをちらりと見るだけで無視した
    そしてドレークを連れて家から出て行った

  • 177フタリダ24/04/21(日) 20:14:22

    通りでは、ゾンビたちが地面に倒れた死体を取り囲んでざわついていた

    「ティコさん!これはいったいどういうことだ!?」

    全部腐った屍体なので違いがまったくわからない

    「なんと、一体誰が…」
    「当然あいつに決まっている!」

    「みんな、フランシス君を連れてきた!」

    がらんどうになった目の穴が、すべてドレークに向けられた

    眼球はすでに溶けてしまったのか、穴しか残っていなかった

  • 178フタリダ24/04/21(日) 20:16:59

    「お前がやったんだ!」
    「お前しかない!」
    「お前じゃなければ誰がやったと言うんだ!」
    「この殺人鬼!」

    死体たちが一斉に罵倒し始めた
    当然、ドレークは当惑して硬直してしまった

    「みんな落ち着いて! 」

    村長が前に出て、止めるフリをした


    その口角は上がっていた

  • 179フタリダ24/04/21(日) 20:21:00

    「あいつじゃないなら、他に誰がいる? 」
    「ちがう...おれじゃない··· 」
    「何が違うんだ! 部外者がお前以外にもいるか? 」


    ホーキンスは村長をにらみつけていた
    溢れんばかりの殺意を込めて


    ホーキンスに今できることは何もなかった

  • 180フタリダ24/04/21(日) 20:25:51

    「お前たちにはあれが見えないのか!」

    一つの腐った死体が突然大声で叫んだ
    服装を見ると巫女のようだった

    巫女服の死体がドレークに近づいてくる

    「若者よ!おまえには、おぞましいものがついている!」

    ―自己紹介か?

    「どういう意味だ···」
    「ウェンディさん、何があるんだ?」

    「本当にあれが見えないのか?おまえたちにも見せてやろう」

  • 181フタリダ24/04/21(日) 20:29:52

    巫女の死体は、懐から奇怪な装飾が施された鏡を取り出した

    ―鏡?そんなものをどうする気だ?

    そして、それをドレークにかざした

  • 182フタリダ24/04/21(日) 20:30:53

    その瞬間、鳥肌が立ち、吐き気がした


    鏡には赤い「何か」がドレークにぴったりとくっついていた

  • 183フタリダ24/04/21(日) 20:32:14

    歪んで映ると予想していたが、これは…

    ドレークは顔色を失って、愕然としている

    「こ···これは···」


    これが…まさか…、俺だと?


    ―俺を..こんな化物だというのか!

  • 184フタリダ24/04/21(日) 20:40:10

    「あの悪霊が犯人じゃ! 」

    「なんと···」
    「悪霊って······」

    ゾンビたちがしゃべった

    ホーキンスは鼻で笑うと、すぐ表情が凶悪になった


    今度は俺を追い込むつもりか?

    あまりにも馬鹿馬鹿しくて、腹が立つ

  • 185フタリダ24/04/21(日) 20:45:24

    「ウェンディさん、どうすればいいんですか?」
    「今すぐ除霊する!」


    はあ?


    「ジョ…何?」

    ジョ??レイ???

    「彼女はうちの村の巫女だ。とても立派なね」

    誰が??

    「彼女さえいれば心配することはない。ぜんぶ解決するだろう」

    誰を???

    「ウェンディさんなら、悪霊なんて問題ないよ」

    除霊すると????

    「どうかお願いします、ウェンディさん」

    もはや、笑いすら出なかった

    「うむ!あなたはついて来なさい」

  • 186フタリダ24/04/21(日) 20:47:55

    巫女の死骸がホーキンスに向かって叫んだ

    「そして、貴様はダメージを受ける肉体がないからといって舐めるんじゃない!貴様もただの供物に過ぎないのだから!」

    ホーキンスを睨みつけてあざ笑った


    明らかな宣戦布告だった

  • 187スレ主24/04/21(日) 20:52:54

    今日はここまでです

    次は明日の夕方にpart2スレを立てます

  • 188二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 21:31:09

    ドレーク視点もホーキンス視点もすごくいい文章だ…
    スレ主のイラストも文章も好き

  • 189二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 23:27:23

    スレ主の判断に任せるけど
    このスレもう残り少ないし新しいの立てなくて大丈夫?

  • 190スレ主24/04/22(月) 10:11:05

    part2スレは今日の夕方に立てる予定です

    レスが残っているので、3週休載前にSSを初めて構想した時に描いた落書きをアップします

  • 191二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 19:27:15
  • 192二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 19:30:52

    うめ

  • 193二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 19:31:27

    新スレありがとう!埋め

    >>191

  • 194二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 20:51:46

    うめうめ

  • 195二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:21:54

    埋め

  • 196二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 21:49:26

    新スレ乙
    ss完走まで頑張れ

  • 197二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 23:16:30

    埋める

  • 198二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 00:22:28

    埋めとく

  • 199二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 00:25:56

    埋め埋め

  • 200二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 00:26:16

    埋め終わり

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