【閲覧CP注意】有馬かなが刺された世界(そして前向きイマジナリー重曹ちゃん)その8

  • 11◆SSFiNyCb23xa24/04/20(土) 21:38:36

    アクアは色々と警戒していたが、重曹ちゃんが…というパターンは想定していなかった
    重曹ちゃんはノーマークだった
    トラブルの中で重曹ちゃんはアクアの盾になった
    重曹ちゃんは最後はアクアの腕の中で去っていった
    ひとまずそれ以外の復讐とかは片付いた
    アクアは「俺はもう無理だぞ」な失意の底

    そんなアクアに、イマジナリーな重曹ちゃんが現れるようになった

    ただしその重曹ちゃんがなんだかとっても 前 向 き

  • 21◆SSFiNyCb23xa24/04/20(土) 21:39:51

    前スレその7.5

    【閲覧CP注意】有馬かなが刺された世界(そして前向きイマジナリー重曹ちゃん)その7.5|あにまん掲示板アクアは色々と警戒していたが、重曹ちゃんが…というパターンは想定していなかった重曹ちゃんはノーマークだったトラブルの中で重曹ちゃんはアクアの盾になった重曹ちゃんは最後はアクアの腕の中で去っていったひと…bbs.animanch.com

    スレ主ハーメルン版

    アクアが警戒ノーマークだった有馬かなが刺された世界(そして前向きイマジナリー重曹ちゃん) - ハーメルン有馬かなが刺されてしまった世界での、アクアと、「イマジナリー」を自称する有馬かなの物語。 自責の念から絶望し、自決すら望んでいるアクアと、そのアクアを毎日起こし…syosetu.org

    このスレでは、前スレからの継続で、スレ主はストーリーラインの繋がったSS、小ネタ等を適当に投下します。

    一応、基本スレ主の話は繋がった話になっています。


    また、前スレ同様、他の方も自由にネタ、感想雑談、SS等書き込んでいただけたらと思います。

    ちなみに、スレ主投下中に投下ネタへの感想や反応等をそのタイミングで頂けるのは大歓迎ですのでお気軽に。

    むしろ参考になりますので……。

  • 31◆SSFiNyCb23xa24/04/20(土) 21:43:06

    尚、スレ主は思いついたタイミングで適当に投下を開始するので、色々とかぶってしまった場合はご容赦下さい。

    特にリアルタイムで適当に考えながら投下をしたり、数日にわたってバラバラと投下をしたり、という感じのことをする場合もありますので、その辺りもご容赦頂けますと幸いです。

    (そういう意味でも投下中に反応や感想を頂けるのはむしろ歓迎です。そのまま作成中の投下の参考になったりもするのかも)


    ハーメルンでは現在「はじまりの章 有馬かなが刺された日」を投稿中です。また近日中に新作を投稿継続予定です。

    第0話「有馬かなが刺された日」① - 有馬かなが刺された世界(そして前向きイマジナリー重曹ちゃん) - ハーメルン有馬かなが刺されてしまった世界での、アクアと、「イマジナリー」を自称する有馬かなの物語。 自責の念から絶望し、自決すら望んでいるアクア。そのアクアが、再び歩み始…syosetu.org

    あと、スレ主は時々投下した後、一回消してすぐ再投稿みたいなことをしてしまうこともあります。時々レスが消えてるのはそういう感じの事も多いので、それもご容赦下さい……。


    という訳で新スレです。

  • 41◆SSFiNyCb23xa24/04/20(土) 21:45:17

    という訳で新スレです

    正月の続きを後程少し投下したいと思っています

  • 5二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 21:51:38

    スレ立て乙です

  • 6二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 22:21:51

    新スレ乙
    明るいかなちゃん概念は永久に残るべき

  • 7二次元好きの匿名さん24/04/20(土) 23:04:07

    新スレ来てた
    正月の続き楽しみ

  • 8二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 00:13:35

    保守しとこう

  • 91◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 00:21:15

    『正月』


    前スレ>>65

    https://bbs.animanch.com/board/3073284/?res=65

    続き


    「疲れたーっ。それに寒かったーっ」

     自宅に入った途端、有馬かなは大声を上げた。

    「でもまぁ、楽しかったわね。皆元気だわ、二日連続の新年会だっていうのに」

     そう言いながら有馬かなは靴を脱ぐ。

    「……そうだな」

     アクアは小さく返事をすると、彼女に続く。肩についた雪を軽く払う。室内の暖かさが有難かった。

    「アンタ、マジで疲れた感じね……」

     コートを脱ぎながら、呆れたように有馬かなは言う。

  • 101◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 00:32:32

    >>9

    「そうかな」

     アクアは、リビングに向かうと、そのままソファに座り込み、深く体を沈めた。

     頭を思い切りソファに預けて、天井の方をぼうっと見上げる。

    「ちょっと。手くらいはちゃんと洗いなさいよ」

     アクアはああ、と曖昧に返事をする。

     だが、再び立ち上がるような気持にもなれない。

    「……悪い。水をくれないか」

    「……別にいいけど。本当に大丈夫?」

  • 111◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 00:39:07

    >>10

     そう言いながら、有馬かなは、ウォーターサーバーからコップにミネラルウォーターを注ぐ。

    「水でいいの? 冷たいわよ」

    「水がいいんだ」

    「……そ」

     そうだ、冷たい方がいい。

     その方が、目が覚める。

     この良く分からない気持ちも、いくらかすっきりするかもしれない。

     そんなことをアクアは思う。

     有馬かなは、アクアの前に立ち、コップを差し出す。

    「ほら」

    「……ありがとう」

  • 121◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 00:45:05

    >>11

     アクアはそれを受け取ると一気に飲み干した。

     冷たい水が喉を通り越してゆく。

     サイドテーブルにコップを置くと大きく一つため息をついた。

    「まぁ、お前が言う通り、二日連続だしな」

    「……そういう理由なら、いいんだけどさ」

     そう言いつつも、有馬かなは、アクアの前に立ったまま、動こうとはしない。

    「……どうしたんだよ」

    「……それ、私のセリフよ」

  • 131◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 01:00:05

    >>12

     そして、心配そうにアクアの顔を見つめる。

    「ね、本当にどうしたのよ、今日は」

    「どうもしない」

     そう言いつつ、アクアは、どこかごまかすかのように俯く。

    「そうには見えない」

    「……そうだろうな」

     アクアはあっさりと認める。流石に自分でもわかっている。

    「ねぇ、こっち見て、ちゃんと話して」

     有馬かなは、すこしだけ真剣な声で言った。

    「……」

     アクアは、ただ黙って俯く。

  • 141◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 01:03:38

    >>13

     馬鹿馬鹿しい考えが。

     アクアの頭の中で、今日一日、ずっとアクアの思考にまとわりついているありえないことが。

     そのことが思い浮かんでしまう。

     もし、有馬かなを見たら。

     そのことが、少しだけ、現実に近づいてしまうような気がして。

  • 151◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 02:27:50

    >>14

     夕刻、神社の場での、ツクヨミとの会話を思い出す。

     やはり。

     やはり相談すべきだったのではないか。

     あいつは言った。


    『聞きたいことは聞けるときに、聞いておくことをお勧めはするかな。それもまた君の選択だけどさ』


     あいつ事務所に来るつもりなどなかったのだ。

     やはりあの時聞いておくべきだったのか。

     助けを求めておくべきだったのか。

  • 161◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 02:32:07

    >>15

     アクアは、そこで思い直す。

     ……そうだ、だが、あいつはこうも言った。


    『まぁ、それもまたひとつの正しい選択なのだろう。どちらかの選択が誤りということは決してない。私はそれを悪手などと罵倒するつもりもないよ。そこは君が気に病む話でもないさ』


     正しい選択? それが正しい選択なのか?

     わからない。

  • 171◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 02:35:17

    >>16

     ツクヨミの言葉が、思い浮かぶ。


    『その上で、私から、君という存在へ、一つだけアドヴァイス。きっと、色々なことがあるけれど。それでも、心の底から何かを信じられたのなら。そこで躊躇をしては、いけないよ』


     妙に優しくも感じられたツクヨミの言葉。

     それは、それこそ、普段のかの少女からすれば、不自然なほどに優しく。


     ……存在?

     躊躇?

     何を言っているのか、わからない。

  • 181◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 02:45:17

    >>17

     アクアが思考と後悔の渦に囚われ始めたその時。

    「ねぇ」

     アクアは、己の頬に、有馬かなの手が触れるのを感じた。

     直後、顔を掴まれ、強引に有馬かなの方を向かされる。

    「……!」

    「こっちを見なさいよ、馬鹿」

     アクアの目の前に、有馬かなの顔があった。

     気丈な彼女の顔が。

  • 191◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 02:46:27

    >>18

     ああ、大丈夫だ。

     何故かそんなことを思った。

     ちゃんと有馬はここに居るじゃないか。

    「……悪い」

     アクアは、少しだけ何故か安堵を感じて、優しく謝った。

     その気づきに、アクアの表情が和らいだのを感じたのか。

    「わかれば、いいけど」

     そう言いつつ、手を離す。

  • 20二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 02:53:50

    このレスは削除されています

  • 21二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 03:03:20

    このレスは削除されています

  • 221◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 03:06:10

    >>19

    「前にもあったわね、こんなこと」

     有馬かなは、少しだけ懐かしそうに言う。

    「確かにな」

     アクアも思い出す。


     そうだ、確かに、こんなことがあった。

     こんな風に有馬かなに元気づけられたことが。


     そうだ、あれは、映画撮影中の頃のことで。

     自分は落ち込んでいて。

     有馬かなに勇気づけられて。

     『約束』させられて。

     いきなりスナック菓子の話になって。


     そして……、自分は、そんなこと許されない状況なのに、楽しくなってしまって。


     そうだ、自分は、有馬と居ると、つい楽しくなってしまうのだ。


     懐かしい記憶。

  • 231◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 03:09:00

    >>22

     そんな、有馬だからこそ。


     だから……。今は。

     自分は、あのようなことには、耐えられない。

     あのような、許されないことには。

     決して。

  • 241◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 03:12:27

    >>23

    「……じゃあ、話して?」

     有馬かなは、改めてアクアに促す。

     少しだけ、優しく。


     もう誤魔化す場合じゃない、そうアクアは自分自身に言い聞かせる。

     そもそも馬鹿馬鹿しい話だ。何も気にすることはない。

     そう自分に言い聞かせる。


     そして、アクアは言った。


    「夢を見たんだ」

  • 251◆SSFiNyCb23xa24/04/21(日) 03:13:05

    今回の投稿はここまでになります
    引き続きどうぞよろしくお願い致します

  • 26二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 10:19:05

    投下乙でした
    「夢」かぁ……

  • 27二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 15:22:46

    相変わらず惹き込まれるなぁ…
    素晴らしいSSだ…!

  • 28二次元好きの匿名さん24/04/21(日) 23:28:04

    素晴らしいな…

  • 29二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 08:01:42

    続き来てた…!

  • 30二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 12:46:27

    このSS楽しみにしてるからありがたい

  • 31二次元好きの匿名さん24/04/22(月) 23:26:05

    正月は…正月は幸せになってくれ…!本音言うと全部幸せになってほしいが…正月だけでも…!

  • 32二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 08:08:50

    この話いいよなぁ

  • 33二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 12:45:33

    良いお話をいつもありがとうございます!

  • 34二次元好きの匿名さん24/04/23(火) 23:17:33

    Part1からずっと好き…

  • 35二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 07:29:18

    何度も読み返してる

  • 36二次元好きの匿名さん24/04/24(水) 18:42:32

    イマジナリーからのお正月は体の悪いところに効く

  • 37二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 04:56:17

    age

  • 38二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 12:38:33

    夢のこと話す時アクア泣いてそうだな…

  • 39二次元好きの匿名さん24/04/25(木) 23:06:31

    泣くだろうなそりゃあ…

  • 40二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 08:02:34

    嗚咽しながら話すアクアを優しく抱きしめて頭なでながら聞くかなちゃん

  • 41二次元好きの匿名さん24/04/26(金) 12:48:58

    >>40

    優しく相槌打ちながら聞いてるんだろうな…

  • 42二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 00:25:01

    手を握るのも良い

  • 43二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 12:06:47

    正月だと「大丈夫、私はここにいるから」ってセリフとぬくもりでそばにいることを感じさせられるのか…

  • 44二次元好きの匿名さん24/04/27(土) 19:43:46

    心にすぅ~っと沁み渡る…

  • 45二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 06:56:19

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん24/04/28(日) 18:15:27

    夢でも言うの辛いよな…

  • 471◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:17:47

    >>24

    「……夢?」


     有馬かなが、怪訝そうに聞く。


    「そうだ。夢だ」

    「初夢ってやつ?」

    「……そうなるな」

    「へぇ」


     有馬かなが、興味深そうに微笑む。


    「どんなのよ」


    「……悲しい夢を見たんだ」

  • 481◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:21:21

    >>47

    「悲しい夢?」


    「悲しくて、最悪で、どうしようもない。どうにもならない。どうすればいいのかわからない。そんな夢だ」


    「随分とおおごとね? それで、具体的にはどんな夢なのよ」


     アクアは、有馬かなを、じっと見た。


     再び迷う。


    「何よ」

  • 491◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:23:56

    >>48

     多分。

     多分言ってしまったら、もう戻れない。

     そんな気がして。


     ただの夢の話なのに。


     なのに、どうしてこんなに、怖いのか。

     どうしてこんなに、恐ろしいのか。

     自分は、何を恐れているのか。


     有馬かなは、確かに今、ここに居てくれるのに。


     アクアは、自分の気持ちを落ち着けようとする。


    「……大丈夫よ。言って?」


     有馬かなは、もう一度、優しく促す。

  • 501◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:40:58

    >>49

     そうだ。大丈夫の筈だ。

     そして、意を決する。


    「お前が……」


    「私が?」


     有馬かなが、少しだけ嬉しそうに合いの手を入れる。


    「……お前が」


    「だから私が何よ」

  • 511◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:43:05

    >>50

     次の言葉が出てこない。

     アクアは自身を落ち着けようとする。たかが夢の話なのに。

     どうして、ここまで。


    「……言って?」


     アクアは、迷いに迷って。

     それから、小さく言った。


    「お前が……死んでいる夢だ」

  • 521◆SSFiNyCb23xa24/04/28(日) 23:51:26

    >>51

     ああ、言ってしまった。


    「……ハァ!?」


     有馬かなが素っ頓狂な声を上げる。


    「いやさ、夢ならしょうがないけどさぁ!? 酷い初夢ね!?」


     その明るい応じ方が、アクアには嬉しかった。

     それはそうだ。夢の話だ。そう反応するのが普通だ。

     夢ならなんだって起こる。

     それこそ、別に変な話ではない。

     むしろ、アクアのように、何故かそのことで一日思い悩む方が、よっぽど変な話で。

  • 53二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 10:11:01

    遂に言ったか・・・!

  • 54二次元好きの匿名さん24/04/29(月) 20:44:28

    ここからどうなるのかな、めっちゃ気になる

  • 55二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 08:04:55

    夢でも大切な人が死ぬ夢は嫌だよな…

  • 56二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 19:46:52

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん24/04/30(火) 19:47:49

    このスレのアクアはゴールデンウィークをどう過ごすんだろうか
    卒業式は勇気出して出席してたけど

  • 58二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 00:56:45

    GWはお家で映画とか家で過ごすのもいいかもね

  • 59二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 12:44:30

    ほしゅ

  • 60二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 18:40:07

    >>58

    せっかくだしかなちゃんが出てる映画一緒に見て欲しい

  • 61二次元好きの匿名さん24/05/01(水) 23:44:05

    >>60

    ドラマとかも見てほしいな

  • 62二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 08:21:07

    イマジナリーなのにホラー怖がるかなちゃんか…

  • 63二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 17:41:29

    >>62

    『ぎゃー!?いやああーーーー!!のわぁーーーー?!』

    (滅茶苦茶怖がってるのをこのまま眺めるのも良いか)

  • 64二次元好きの匿名さん24/05/02(木) 23:41:49

    >>63

    奇声助かる、不足してた

  • 65二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 08:47:59

    >>63

    ホラーゲームする時もプレイしてるアクアよりも横で見てるかなちゃんの方が絶叫してそう

  • 66二次元好きの匿名さん24/05/03(金) 20:30:35

    age

  • 671◆SSFiNyCb23xa24/05/03(金) 23:25:26

    >>52

    「……すまない」

    「謝る話じゃないかもしれないけど……」


     有馬かなが、困惑したように言う。


    「まさかその程度のことで今日一日ずっとダークだったの? アンタ!?」

    「その程度、じゃないだろ」

    「だって夢の話でしょう?」

  • 681◆SSFiNyCb23xa24/05/03(金) 23:30:25

    >>67

     多分、その受け取り方こそが常識的なものなのだろう。

     アクア自身もそう思う。

     ただ、そこにあった現実感と。

     そして、どうにも形容し難いあの自身の感情が。

     アクアにとっては、どうしても気にかかってしまうもので。


    「そりゃさ、色んな夢を見て、ちょっとした気分にとらわれることはあるかもしれないけど。でも夢よ」


     そこまで言ってから有馬かなは少しだけ照れたように言う。


    「……いやさ。勿論そんな風に気にしてくれるのは、嬉しいけどさ」

  • 691◆SSFiNyCb23xa24/05/03(金) 23:31:57

    >>68

    「……そうだ。夢の話だ。そうじゃなきゃいけない」

     アクアはそう強く言った。まるで自身に言い聞かせるかのように。


    「そこまで真剣に言わなくても大丈夫よ……」

     有馬かなは苦笑した。

     そして、アクアの顔を覗き込むようにして、問いかける。


    「……そんなにリアルな夢だったんだ?」

  • 701◆SSFiNyCb23xa24/05/03(金) 23:52:25

    >>69

     アクアは、黙って頷いた。


    「じゃあ、もうちょっと具体的に聞かせてよ。どんな夢よそれ」

    「聞きたがるのかよ」

    「だって気になるじゃない? 私のことの夢なんでしょう?」


     有馬かなは笑う。


    「縁起の悪い夢なら、尚更、話しちゃってすっきりした方が良いわよ?」

    「……ありがとう」

  • 711◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 00:11:38

    >>70

     有馬かなは、それから、少しだけ不思議そうに問いかける。


    「でも、妙な言い方ね? 死んだ、じゃなくて死んでるって何よ」

    「言った通りだ。お前は……もう殺されていて」

    「急にサスペンス度合いが増したわね? 殺されたの!? 私!?」


     やたら明るく、驚いたように言う。

     こちらを元気づけようという意図もあるのかもしれない。アクアはそんなことを思う。

  • 721◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 00:20:55

    >>71

     そして、アクアは黙ってうなずいた。


    「お前は……俺のせいで殺された」

    「うはぁ」


     有馬かなが、どうにも困った、というような顔をする。

  • 731◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 01:19:35

    >>72

    「それで、お前が……」

    「うん?」

    「幽霊になって、俺と一緒に居る」

    「……」


     有馬かなが、あっけにとられたような顔をした。


    「幽霊?」

  • 741◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 01:25:55

    >>73

     アクアは頷いた。


    「夢の中のお前は、そうは認めないが。でも、そういうことだと思う」

    「何だかややこしいわね?」

    「お前は俺のせいで殺されて……でも、俺と一緒に居てくれている」

    「アンタに私って言う性格最悪の悪霊が付きまとってるわけね……」

    「違う。そういうものじゃない」


     アクアは否定した。

  • 751◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 01:35:05

    >>74

    「よくもよくもー、ってさ。うらめしやーって私がしくしく泣きながらアンタの枕元にでも立って、どろどろーってやる訳だ。それでアンタは日々うなされて」


    「違うんだ。そういうんじゃないんだ。お前は……そういうことじゃないんだ」


     アクアは強い口調でもう一度否定した。

  • 761◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 01:51:16

    >>75

    「お前は俺を助けてくれている。俺の望みを聞いて、俺と一緒に居てくれている。ずっと、俺と一緒に居てくれている。ずっと一緒に居てくれているんだ。」

    「そ、そうなんだ……」


     有馬かなが、少しだけ気圧されたように言った。


    「そうだ」


     アクアは頷く。

  • 771◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 01:55:18

    >>76

    「お前は……俺が、殺したようなものなのに。なのに、お前は」

    「というか今更だけど、犯人アンタかい!?」


     有馬かなが突っ込みを入れる。あくまで、明るく。


    「……そういう訳じゃない」

    「そ、そう、少しだけ安心したわ……」

  • 781◆SSFiNyCb23xa24/05/04(土) 02:03:55

    >>77

     有馬かなはやれやれ、とため息をつく。


    「流石に夢とはいえアンタにってのは寝覚めが悪いわ、夢だけに。あ、私なんかちょっとうまい事言った?」

    「さぁな」

    「ノリが悪いわね……」


     有馬かなは苦笑する。

  • 79二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 10:22:59

    茶化して重くしないようにしてくれるのいいな…

  • 80二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 22:05:46

    大量更新助かる

  • 81二次元好きの匿名さん24/05/04(土) 22:47:59

    続き来てた……!嬉しい

  • 82二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 09:38:27

    ここからどうなるかな?

  • 831◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 16:26:17

    >>78

    「……でも、俺のせいだ。俺のせいなんだ」

    「……あーくん?」


     アクアの調子が変わって来たのを感じたのか。有馬かなの口調に、少しだけ真面目なものが混じる。

     アクアは語り続ける。


    「お前が死んだのは俺のせいなのに。なのに、お前は俺を糾弾することもなく。ただ、俺と一緒に居てくれている。罪人の俺と」

    「……夢の話でしょう? そんな真剣に、悲しそうに言うことじゃないでしょう」

    「俺にはやるべきだった事も、やるべきじゃなかった事もあった。皆を傷つけ、悲しませている事もわかっていた。はじめからそれがわかっていて、そして覚悟していた。覚悟して突き進んでいた」

    「……あーくん?」

  • 841◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 16:28:56

    >>83

    「作用があれば反作用だってある。何かをやれば何かが変わる。当たり前のことだ。でも俺はそこから目を逸らして日々をいたずらに」


    「……あーくん」


    「俺はただ自分のせいで有馬を」


    「落ちついて」


     いささか強めに、有馬かなが言う。

  • 851◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 17:01:16

    >>84

    「あーくん。落ち着こう?」


     ゆっくりと繰り返す。


    「落ち着こう?」


     何度も繰り返す。

     アクアは震えていた。


    「お、俺は」

    「落ち着こう?」


     有馬かなは、もう一度繰り返す。


    「ぐ、ふっ……」

  • 861◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 17:05:06

    >>85

     いつのまにか、アクアは嗚咽していた。

     たかだか夢の話の筈なのに。

     あまりにも、あまりにも、その記憶が。

     その想いが。

     その感覚が。

     何故か、強すぎて。


    「お前は、俺の盾になって死んでしまったというのに。お前は、体を失い。もはや、俺はお前の体に触れることすらできない」


    「あーくん」


     有馬かなの呼びかけに応じようとせず、アクアはさらに絞り出すような声で言った。


    「俺にしか見えない、心だけの存在になってしまったというのに。なのに、お前は俺を責めることもせずに。あそこで死ぬべきはお前ではなく」

  • 871◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 17:05:56

    >>86

     アクアの言葉はそこで遮られた。

     そこでアクアの顔が掴まれる。


    「死ぬなんてもう言わない。あの時、そう約束したわよね」


     思い出す、その時のやりとり。


    「あり、ま……」


     アクアの声は、震えている。

  • 881◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 23:40:56

    >>87

    「……もぅ」


     有馬かなが、前から、覆いかぶさるように、アクアを抱きしめていた。


    「落ち着こう、あーくん。とにかく落ち着こう。それ、夢の話でしょう。そんな風に思ってくれるのは嬉しいけれども。でも、ただの夢の話。大げさすぎる。そうでしょう?」


     アクアの耳に、囁く。


    「う、あ……」


    「落ち着こう」


     有馬かなは、繰り返し、囁く。


    「落ち着こう、あーくん」


    「……」


    「……落ち着いた?」


    「……ああ」


     アクアは、やっと有馬かなに返答する。

  • 891◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 23:46:47

    >>88

    「そ」


     有馬かなは、アクアから体を離す。


    「……すまない」


     アクアは謝った。


    「本当におかしいな、俺」

    「いいわよ。そんな風に想ってくれるのは、嬉しい事だから。それだけリアルな夢だったんでしょう?」


     有馬かなは笑った。

     そして、アクアの手を取る。


    「有馬……」

    「触れられる」


     有馬かなは言った。


    「ちゃんと、触れられる」

  • 901◆SSFiNyCb23xa24/05/05(日) 23:55:55

    >>89

     そして、アクアの手は、有馬かなの頬に導かれる。


    「さわれるでしょう? 私」

    「……ああ」


     確かに、アクアの手には。

     温かな彼女の体温が感じられて。

     愛おしい彼女は、確かにそこに居て。

     アクアは、何か確認でもするように、何度も頬を撫でる。

     有馬かなは、アクアの手を強く握り、そのまま己の頬に押し付ける。


    「私はここにいる。ここにいて、アンタは私に触れられる。そうでしょう?」

    「ああ」


    「だったらそれはただの夢。ただの悪い夢よ」

    「……ああ」


     アクアは、安堵の中で頷いた。

     やっと、気分が落ち着く。


    「本当におかしいな、俺」

    「いいのよ。そういうこと、きっと誰にでもあるから」


     有馬かなは苦笑いした。

  • 911◆SSFiNyCb23xa24/05/06(月) 00:05:16

    >>90

     それから、すこしだけ楽し気に言う。


    「それにしてもね。あーくん。それが夢の話なのだとしたら。というか、またそういう夢が出てきたりしたら、さ」

    「……出てきたり、したら?」


     有馬かなは、改めて、アクアの手を、ぎゅっ、っと両手で握る。

     そして、アクアをじっと見つめて、微笑む。


    「アンタは、その夢で……。さっさと私を手放して、忘れ去れば、良いんじゃないかしら」

  • 92二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 12:00:17

    age

  • 93二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 23:05:51

    忘れられないよ…

  • 94二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 05:50:08

    これにアクアはどう答えるのか

  • 95二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 09:59:02

    かなちゃんこの言葉きっかけにアクアが我慢してること吐き出させて少しでも楽にしようとしてるのか…

  • 96二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 17:25:43

    ここからどうなるか期待

  • 971◆SSFiNyCb23xa24/05/07(火) 23:45:16

    >>91

    「……何言い出すんだよいきなり」

    「文字通りよ?」


     有馬かなは明るく言う。


    「さっさと私から離れれば良い。忘れたことにすれば良い。あ、その夢の話よ。この私と勘違いしたら殴る」


     そう言って楽し気に笑う。


    「覚えているかしら。私はアンタに言った。私はアンタが死んでも悲しんだりしない。死体にビンタしていつもみたいに口汚く罵って。そして、アンタなんかあっという間に忘れ去ってやる、って」


    「……ああ」


     それこそ。それこそが、有馬かなとのひとつの『約束』の日の会話。

  • 981◆SSFiNyCb23xa24/05/07(火) 23:46:26

    >>97

    「なら、アンタにとっての私もそれで真なりなのよ。アンタは私が死んでも悲しんだりしちゃいけない。私のことなんかあっという間に忘れ去ってしまえばいい」


     くすくすと、有馬かなは笑う。


    「仕返しとばかりに、死体にビンタして、口汚く罵ったりするのも許したげるわ。その時位は」


    「……やめてくれ、そういうの」

  • 991◆SSFiNyCb23xa24/05/07(火) 23:52:11

    >>98

     有馬かなは、ため息をつく。


    「たかだか夢の話なのに、アンタが本気で苦しんでるから。だから、せめてもの対処法を教えてあげてるだけよ。正直、夢の話でそこまでダメージ食らってらきりがないでしょうに」

    「だから、夢だから、もう大丈夫だ」

    「念のため、よ」

  • 1001◆SSFiNyCb23xa24/05/07(火) 23:53:45

    >>99

     有馬かなは、アクアの目を見つめてくる。


    「対処法を今から決めて置けば、またそういう悪夢でうなされても、アンタはきっと大丈夫だからさ。というよりも、そういう備えをしておけば、きっともう、そんな悲しい夢は見なくて済むかもしれない」


    「対処法って、お前……」

  • 1011◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:10:01

    >>100

    「大体さ。多分、その夢の中でさ。アンタが私を忘れたりもしないから。というか、ずっとこだわり続けるから。……こだわり続けてしまっているから」


     有馬かなは、笑って言う。


    「……だから、私も幽霊みたいにアンタの傍にまとわり続けてるんじゃないかしらね」

    「まとわりつづけてる、って……」

    「考えてみてよ。要はアンタに私がずっと取り付いて、それでアンタが罪悪感に苛まれて悲しんでる。客観的にはそういうことよ」

    「だから言ったろ。それは俺が望んで」

    「本当に? アンタさ、その私に無理矢理思い込まされたりしてない?」


     有馬かなは、アクアの主張を疑うかのように聞いてくる。

  • 1021◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:11:11

    >>101

    「違う」


     アクアは断言した。


    「明確に違う。それは俺の望みだ。俺の願いだ。俺の願いを、お前が叶えてくれている」


    「ああ、そう……」


     有馬かなは、気おされたように言う。

     それから、付け足す。


    「でも、だとするとさ。アンタは私をアンタの心に縛り付けてしまっているとも言えるわよね」

    「いや、それは」

    「そういうことよ。要はさ。その夢の中の、私を解放してやろう、って決めればいいのよ」

    「解放……」

  • 1031◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:13:48

    >>102

    「アンタがいつまでも私に拘りつづけるから。アンタは、その夢の中で、私に囚われつづけるのよ。だから、さっさと私を離す、って決めておけば、もう大丈夫」


     アクアは、有馬かなから視線を逸らす。


    「何でそんなに嫌がるのよ。夢の話でしょう?」


     有馬かなは、しつこく、アクアに問う。


    「アクア、私は別に冗談を言っているんじゃないのよ。たかだか夢の話で、アンタはこんなになってしまっている」


     そして、ゆっくりと言った。


    「……だったら、夢の話として、ちゃんとけりをつけないといけない」

  • 1041◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:16:05

    >>103

     そこまで言って、楽し気に笑う。


    「これもまた、『笑顔になれる魔法』かしらね?」


    「そんな悲しい魔法があるかよ」


     アクアは言った。


    「悲しくないわ」


     有馬かなは、首を振る。

  • 1051◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:22:55

    >>104

    「いいこと。その夢の中の話として、ね。アンタが私を離すと決めれば。きっとアンタは次の段階に進めて、そして、夢の中の私も次の段階に進める。そうじゃないといけないわ。そんな、アンタがずっと悲し気に泣いているのが、良い状態の筈はない」


     有馬かなの言っていること。その意味。それはアクアにも分かる。

     とくに間違ったことは言っていない。それに、そもそも夢の話。そんなに深刻な話でもない。


    「だから、アクア」


     有馬かなは、もう一度、アクアの目を見つめてくる。


    「約束して。またそういう夢を見たら。私をもう、離すと。忘れろとまでは言わない。いや、忘れてくれてもいいけど。ただ、とにかく、私を離すと決めてくれれば、そう約束してくれれば、それでいい」

  • 1061◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:29:19

    >>105

    「それをお前に約束してどうなるんだよ」


    「言ったでしょう。『魔法』よ。悲しい夢を見なくなる魔法。多分これで、アンタは大丈夫」


     有馬かなは、繰り返す。


    「だから……決めて。約束して」


    「有馬……」


    「お願い。アンタの為。アンタがもう、悪夢を見ないようにする為」

  • 107二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 00:35:16

    このレスは削除されています

  • 1081◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:36:16

    >>106

     いつのまにか、有馬かなの声は、真摯なものになっていた。

     アクアにも分かる。

     有馬かなは、本気でアクアを心配して。

     だから、『約束』させようとしている。


     彼女の思いやりを考えれば、それに同意するべきなのかもしれなかった。

     所詮、たかが『夢』の話。

     その約束が、現実に何かを及ぼすと言ったものではない。


    「お願い」


     有馬かなは、もう一度、繰り返す。

     その声は真剣。

  • 1091◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 00:39:15

    >>108

     同意するべきなんだろう。

     それは、わかる。


     悪夢を見ないために。

     この幸せな平穏を、この今を確実なものにして。

     悪いことを、有馬かなに悪いことを起こさない為に。


     そのために、約束すべきなんだろう。


    「お願い」


     有馬かなな繰り返す。


    「ねぇ、離そう? 離してしまおう?」


     もう一度有馬かなは繰り返す。その声は強い。

  • 1101◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 01:00:51

    >>109

     ただ、信じればよいのだろう。


     アクアはそう思う。

     どういう訳か、有馬かなの言っていることは、どこまでも真実のように感じられた。


    「……確かにそうなのかもしれないな」


    「ええ、そうよ」


     有馬かなは、静かに笑う。


    「難しい事は何も無いわ。ただ、アンタが決めればいい。一言決めればいい。それだけで大丈夫。きっと、ね」

  • 1111◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 01:10:28

    >>110

     そうだ、そうすればよいのだろう。

     従えば良いのだろう。

     そうすれば、有馬かなの言う通りにすれば、きっとこの嫌な気持ちから開放される。

     嫌な夢から。

     嫌な何かから解放される。

     そんな気がする。

     ちゃんと決めれば、それでけりが付く、そんな気がする。

     そうだ、そんな気がする。

     多分それはとても確実なことで。

     そうだ、それで、きっと有馬かなは大丈夫になる。

     悪いことはもう起こらない。

     安心できる。


     そうだ。

     そうしよう。


    「……そうだな」


     アクアの言葉に、有馬かなは微笑んで頷く。


    「……そうよ。それで大丈夫よ」


     そして、アクアは有馬かなの求めに応じて、その答えを、言葉にする。


    「有馬、俺は、お前を――」

  • 1121◆SSFiNyCb23xa24/05/08(水) 01:11:08

    本日の更新はここまでとなります
    ここまでお読み頂き有難う御座いました

  • 113二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 11:17:24

    大きな心の傷(トラウマ)をどのようにしたら治るか重要なポイントを1つ挙げるなら
    つらい感覚が生じても自分でゆっくり内省しながら思い返せる状態で少しずつ扱うことが大事だけど、これがなかなか難しい
    思い出してつらくなっても自分が安心感や現実感を取り戻せるための環境作りやスキルを身につけて、心の傷を怖れず向き合ってほしい…

  • 114二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 13:00:14

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 19:27:34

    うわあ 滅茶苦茶気になる引き……
    続き、待ってます 果たしてどんな結末になるのか

  • 116二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 07:02:32

    このレスは削除されています

  • 117二次元好きの匿名さん24/05/09(木) 12:40:54

    すごく気になる引きだ…惹き込まれる…

  • 118二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 00:27:24

    ここでおあずけか…

  • 119二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 12:11:11

    気になる続き…

  • 120二次元好きの匿名さん24/05/10(金) 23:13:25

    ここからどうなるのか…

  • 121二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 09:00:19

    アクアの回答で世界線が分岐しそう

  • 122二次元好きの匿名さん24/05/11(土) 20:33:13

    保守

    重曹ちゃんって母の日にあまり良い思い出なさそうだよな、とふと思った
    (母親に目をやりつつ)

  • 123二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 00:55:32

    >>122

    「お母さんこれ…」ってプレゼント渡しても末期の頃の有馬母は受け取ってない可能性もあるんだよね…やめようか、この話、悲しくなってきた…

  • 124二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 10:43:45

    母の日も「母の死を経て『生きてる間に母へ感謝の気持ちを伝える機会を設けるべきだ」と考えたのがきっかけで切ないからね…

  • 125二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 13:29:49

    >>124

    アメリカ発祥説がそんな感じなんだっけか>母親を失ったのが契機

  • 126二次元好きの匿名さん24/05/12(日) 22:56:58

    この世界のアクアはみやこさんに母の日のお祝い出来るだろうか…
    してあげてほしいな

  • 127二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 08:29:29

    母の日はアクアにとっても結構辛い日かもな…

  • 128二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 20:07:28

    続きも気になるな…ここから物語がどう動くのか…

  • 129二次元好きの匿名さん24/05/13(月) 23:37:15

    アクアは忘れることができるのか、それとも…

  • 130二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 08:29:02

    以前として気になる…

  • 131二次元好きの匿名さん24/05/14(火) 20:08:03

    ほしゅ

  • 132二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 06:56:22

    先がすごい気になる所だね

  • 133二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 12:36:04

    アクアがどう選択するのか

  • 134二次元好きの匿名さん24/05/15(水) 23:43:13

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 08:27:14

    アクアの答えは…

  • 136二次元好きの匿名さん24/05/16(木) 18:06:36

    イマジナリーかなちゃんが言いそうなセリフ貼っておく
    なおこのセリフの前に「私のことはさっさと忘れて」の一言が付く

  • 137二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 00:42:54

    言いそう
    そしてやっぱりアクアに見えないようそっぽを向いて涙を流しそう

  • 138二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 04:07:06

    気になる

  • 139二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 15:26:13

    あかねはアクアを救えると思ってるのは確かなんだもんな…
    本編は自信が無くて逃げちゃったけど
    このかなちゃんは本当の意味では真っ直ぐ向かい合うことが出来ないからさ…

  • 140二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 02:54:01

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 03:57:20

    保持

  • 142二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 15:52:16

  • 143二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 20:36:10

    続きが気になる…
    待っています

  • 1441◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 03:52:46

    >>143

    有難うございます…

    ちゃんと続けて行きたいと思いますのでどうぞよろしく…

  • 145二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 15:04:24

    このレスは削除されています

  • 1461◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 18:13:36

    >>111



         ※    ※    ※



     アクアは目を覚ました。


     何かこう、長い夢を見ていた気がする。

     良く分からない。


     ただ、妙に晴れやかな気分である。

     ベッドの上で小さく背伸びをして、窓の外を見る。


    「……いい天気だな」

  • 1471◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 18:16:18

    >>146

     時計を見る。結構良い時間だった。ずいぶんと寝過ごしたらしい。

     まぁ、別に決まった仕事がある訳ではないのだが、今の自分の人生目標からすれば、そう自堕落に過ごすことは褒められた話ではない。

     スマートフォンの通知を見たら、ルビーからメッセージが入っていた。


     そういえば、とアクアは思う。今日は皆で遊びに行こうと誘われていた。姫川さんが企画してどこかに遠出する、だったか。

     既に忙しいからいけないとはルビーには答えていたが、今朝まで諦めなかったらしい。

     流石に直接こちらに来ることはしなかったようだが。


     もう一度背伸びをして、それから起き上がる。

     一人暮らしは気楽なものだ。

  • 1481◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 18:45:08

    >>147

     一人暮らしのアイデアをルビーやミヤコさんに伝えた時、その反応はあまり前向きなものではなかった。

     まぁ、確かに勉強はあの家でもできる。

     ただ、色々とちゃんとするにあたって、そこはしっかりしたい。それがアクアの感覚だった。


     そして、しっかりした人生の目標を定めたのなら、ちゃんとそこに邁進しないといけない。その為にこそ、まずは自分で生活する。


     ルビーには、いつでも歩いて行ける距離であること、いつ来ても良いこと、それらの条件でやっと納得してもらっていた。

     実際ルビーはしょっちゅうやってくる。アクアにとって最大の庇護対象者が元気そうにしているのを見るのは、アクアにとっても安心できることではあった。


     そんないきさつを思い出し、物思いにふけりながら、アクアは歯を磨く。


     とりあえず起きる。

     とにかく起きる。

     歯を磨く。顔を洗う。

     大事な事だ。

     そんなことを、誰かにも言われたような気がする。

  • 1491◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 18:50:55

    >>148

     アクアは、最近は勉強に集中し、他の事は特にやってはいなかった。

     黒川あかねや姫川大輝からはララライの稽古への参加も誘われていたが、それらはきっぱり断っていた。

     片手間の受験勉強で医大にそう簡単に合格できるとは思っていない。


     というよりも、もっと正直に言えば、役者業への、演技への興味がどこか失せていた。

     アクアとしての人生の中で、あれほどある意味執拗に関心を持ち続けていた役者業にたいして、あっさりこんな気持ちになるというのがどこか意外だった。

     まぁ、人の気持ちは移ろうのだから、そういうもこともあるのかもしれない。


     それにあわせて、モデル業等の他の誘いも一切断っている。とりあえず芸能界に近づく気持ちにはあまりならなかった。


     ララライの人々にも、どこかでちゃんとそのことを伝えないといけないのかもしれない。

     黒川あかねにしても、姫川大輝にしても、アクアの事を気にかけてくれているからこそ、声をかけてくれているのだから。その気持ちには感謝しないといけない。

     感謝は大事だと、誰かにも言われた気がする。

     そんなことを思う。

  • 1501◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:09:51

    >>149

     そんな風に適当に考えを巡らせながらとぼとぼと歩いていたら、いつもの公園に辿り着いた。

     ここはアクアのお気に入りの場所だった。

     どうにも、ここのベンチで勉強すると、何かこう、しっくりくるのだ。

     良く分からないけど、頭に入る。

     気持ちよく勉強できる。


     ベンチの上で本を開く。

     一応次の模試に向けてしっかりと知識を確認しておきたい。

     ちゃんと読もう。


     ただ、ちょっと妙な気分だった。

     何か、文字が目に入らない。

     俺は今何をやっているのか。

     何をやらなければいけないのか。

     そんな気分がある。

  • 1511◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:19:18

    >>150

     違和感がある。


     気づいてはいけない違和感がある。


     それは気づいてはいけないものである。


     アクアは必死に本のページをめくり、文字を追う。

     なんでもいい。

     気持ちを集中させないといけない。

     落ち着かないといけない。


     自分は、こうすると決めたのだから。

     ちゃんと、こうしないといけない。


     ページをめくろうとする手が震えている。

     うまくいかない。

  • 1521◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:29:56

    >>151

    「……ぐっ」


     何故か目から涙があふれる。

     不思議である。

     悲しい事は何もない筈なのに。

     勉強は大変だけど、医大に入学して今度こそ外科医にでもなればきっと気分も晴れる。

     そのはずなのに。


    「ぅ、あ……」


     涙。


     涙が止まらない。


     自分は何をやっているのか。

     自分は。

  • 1531◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:33:50

    >>152

     涙がやはり止まらない。


     公園のベンチで、アクアは、顔を両手で覆って、嗚咽する。


     理由は分からないが。

     ただ、悲しい。


     悲しい。


     どうしてこんな気分になるのか。


     今日は本当に晴れやかな朝だったのに。


     新しい人生に進めるよう、誰かに願って貰って。

     自分もその願いを受け入れて。

     そうして、今日がある筈なのに。


     アクアはただ、いつまでも涙を流す。

  • 1541◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:41:51

    >>153

     どれほど泣いただろうか。

     アクアは、絞り出すように言った。


    「これは、違う」


     その言葉がどういう意味なのか。

     アクアにもはっきり分からない。

     ただ、分かるのは。


     これは『違う』ということ。

     良きことではないということ。


     これは、望ましいことではないということ。


     それは、分かる。


     そして、その時、声が、聞こえた。


    『……馬鹿ね』

  • 1551◆SSFiNyCb23xa24/05/19(日) 20:46:58

    今回の投稿はここまで
    ご覧頂き有難うございました

  • 156二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 06:46:10

    続き嬉しいけど涙で見えねぇ

  • 157二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 18:48:56

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 00:58:14

    ああああ(涙)

  • 159二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 01:02:08

    ……胸が痛む

  • 160二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 12:48:24

    このレスは削除されています

  • 161二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 19:54:02

    マジでこの人の書く話は引き込まれるなぁ……
    続き書いて下さってありがとうございます

  • 162二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 02:52:45

    問題は本編でマジで刺されるかもということ

  • 163二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 12:54:55

    >>162

    伏線ぽいのはあるから

    どうなるんだろうね

  • 164二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 21:11:52

    ルビーを守る発言は伏線ぽいけど
    アクルビマジで倒れるよなそんな事になったら…

  • 165二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 09:05:29

    このレスは削除されています

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています