【SS】カフェ「これが……ホテル……?」

  • 1二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:36:55

    感覚が戻ってきた。
    周りを見渡すとカフェは制服姿で真っ暗な山道で立ち尽くしていた。手荷物は守っておらず…ポケットにはスマホや財布すら持ってない軽装を越えたもはや自殺行為とも思える状態。

    (……何故ここに居るのでしょう……)

    鈍い頭痛がする頭を必死に回すが全く思い出す事は出来ない。というより記憶に靄がかかっている様で…考えれば考える程に自分が何をしてるかすらも分からなくなってきた。
    そんな状態で雑草や木々が生い茂った山道を制服姿で立ち尽くしている。

    どう考えても可笑しい。
    それに周りに『お友達』の姿も見えない。

    「はぁ……はぁ……悪寒がします…それに倦怠感も……くしゅん!」

    体の不調が尋常ではない。汗や咳は止まらず、目眩と頭痛のせいで目の前に景色がクルクルと回る…立っている事に集中しなければそのまま意識を失ってしまいそうだ。

    「恐らく熱があるでしょう…風邪か…インフル……そんな事はどうでもいいですね……」

    雹も降り始めてきた。
    直ぐに誰かに助けを求めなければ命が危ない。だがスマホも無ければ…山奥で近くの民家の類は一切見当たらず誰かに連絡する事は不可能。
    ビバークをしようにもマトモな所持品が無い上に、周囲は鬱蒼とした山道…こんな所で野宿するなんて自殺行為でしかない。

    (せめては雹を凌げる場所さえあれば……そ、それと……川か何か……)

    薄れゆく意識を何とか引き戻しながらカフェは歩いた。途中何度も転び、足から出血しながらもとにかく歩いた。歩いて、走って、転んではまた立ち上がって…雹に打たれて。


    そして突如ホテルが現れた。

  • 2二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:37:08

    「何ですか…これは…!」

    ホテルにたどり着いたとかそういう話ではない。文字通り突如ホテルが山の中に現れたのだ。自分の背丈程ある草をかき分けた途端にソレが立っていた。
    街中にあるようなコンクリートの普通のビジネスホテルが……いや……違う。

    まるでホテルの様な何かだ。

    外壁や窓は一貫性が無く様々な色彩の資材やデザインがツギハギの様に建築されている。ホテルという存在を又聞きした人が作ったような奇妙な代物。カフェはその異様な姿に愕然とした。

    (奇妙で不気味ですが……もう行くしかないですね……)

    怪しいのは分かっている。
    だがカフェの体力はもう限界に来ており、これ以上山道を彷徨うのは厳しい。もうここに賭けるしかない。

    「………せ、せめて電話さえあれば……後は……」

    ドアを開けて中に入るとそこは至って普通のロビー。真正面には無人のフロントデスクがあり、横には閉鎖された朝食エリア、その反対側にはエレベーターがある。見慣れたホテルの風景に少し安心したカフェは受付のベルを鳴らした。

    「すいません…誰か居られますか…?!電話を貸して…ごほっ!はぁ…だ、誰か…!」

    誰も出てくる気配がしない。
    何度もベルを鳴らし叫んだが無反応……というより人がいる気配が全くしない。

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:37:20

    「仕方がありません……電話を……トレーナーさんか……誰か……!」

    もう待つだけ無駄だと察したカフェはカウンターを乗り越えた。そしてそこに置いてあった電話を取ろうとしたが。

    「で…電話……?いえ……なんですかコレ!!」

    偽物だ。
    電話線すら繋がっておらず本体は合板出来ており、番号は文字化けしてる様で解読不能……映画の小道具にしても作りが甘すぎるレベルだ。

    (…電話だけじゃありません…)

    最初は普通のホテルのフロントと思ったが違った。
    よく見ると壁掛けテレビが凸凹した形になっているし…時計は存在しない時刻をさしており…しまいにはコンセントは天井近くにある。外観同様にホテルの上辺だけを取り繕っただけの代物だ。

    「……気味が悪いですね……無人のホテル……電気が繋がってる以上少なくとも管理人はいるはず…」

    カフェはカウンター裏のドアに手をかけた。だがガチャガチャとなるだけで開かない。
    ならノックしたらどうだ?

    「も、申し訳ございません…!ごほっ…ごほっ…!お金はありませんが…後日必ず払いますので泊めて…くださ…ひっ?!」


    ドンドン!!!!ドンドン!!!!

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:37:34

    突然だ。
    ドアを破らんばかりのノックが返ってきた。
    木で出来た扉はミシミシと音が鳴り、微かにこの世の物とは思えない呻き声もする。

    「な、なんですか?!こ、これは…なにが……」

    余りの異常事態にカフェは腰を抜かした。
    その場から逃げ出す事出来ず……ドアを塞ごうともせず……ひたすら怯え固まっていた。


    「………はあ……はあ……意味が…分かりま…せん…」

    それか程なくしてノックが収まると…乱暴にドアの隙間からとある物が滑り込んできた。

    「……収まりましたか…それに何か隙間から……」


    ルームキーだ。 だが電話同様に番号は文字化けして意味が分からない。いや…今は考える時間が無い。
    直ぐにこの場から離れなければ。
    このドアの向こうに居るモノと会ってはいけない……直感がそう告げている。

  • 5二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:37:52

    当然というべきだろか?
    エレベータのボタンも文字化けしており、更に20は超えるボタンの中で押せたのは一つだけ。果たしてそのフロアに自分の部屋があるかどうか…そもそも部屋が部屋として機能しているのか。

    (いえ…どうだっていいです…とにかく横になれれば……)

    カフェはエレベーターの床に座りながらフロアに到着するのは待っていた。 不思議と体調は少し良くなったが……それでも咳や熱は収まる気配がない。

    「……えらく長いですね……もう15分は乗っているはずですが…お友達もずっと見えません……」

    エレベーターはまだ上へと上がっていく。
    上がっているのか?むしろ下がっては横に行ったり………不規則に動いてる気すらしてきた。

    (……このホテルではエレベーターは上に動くという常識すら通じませんか……何も信用出来ませんね)

    もはや呆れ笑いを零しながら待っていると、ベルの音がエレベーター内に響いた。ようやく目的フロアに到達したようだ。カフェはドアの先の景色に一抹の不安を抱えながら立ち上がった。

  • 6二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:38:02

    「……普通のフロアの様ですね…1つを除けば」

    観光バスのシートの様な悪趣味なデザインのカーペット、壁には絵画やら時計がズラっと飾られており、電光灯ハム音の雑音が響いている。これだけ見ればただのホテルの廊下と言えるのだが違った。


    それは異常ともいえるドアの数だ。

    壁には大小のドアがはめ込まれていた。人が出入りする事を考えられて建築されてるとは思えず……更にそれが天井や床にまでズラっと並べられている。

    「この建物を作った人はどういった意図で……考えるだけ無駄ですね…」

    小さくため息を付くとカフェはこのフロアを散策する事にした。ドアの覗き穴から感じる視線の感覚を無視つつ、廊下を慎重に歩く。

    (そもそも私の部屋がこのフロアにあるのかも疑問ですが…最悪床で寝るしかありませんね)

    カフェは廊下を歩き続けた。
    娯楽室、シアタールーム、ゲームコーナーをひたすら通り過ぎて……突き当たりへと辿り着いた。そこには比較的マトモな形をしたドアがあり…先程のルームキーの文字化けした番号が強く主張する様に刻まれている。

    (……ここが私の部屋……ですか……)

    不思議とそう感じとれる。
    カフェはポケットからさっきのルームキーを取り出し、鍵穴に差し込んだ。

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:38:13

    ガチャリ

    恐ろしい程にすんなりと開いた。肌寒い空気が流れ込んでくる扉の先は……

    「……人が泊まるというのを…理解してるとは思えませんね……」

    テレビは天井、冷蔵庫は異様に小さく、それに窓や時計が無い。カーペットとベッドと椅子のデザインがチグハグで一貫性が感じられず、バスルームは……ドアノブが無く扉だけがはめ込まれているだけだ。

    (……ともかく……ベッドがあるのはありがたいです……)

    カフェはユラユラとした足取りでベッドへと倒れ込んだ。不思議と安心する匂いと心地よい温かさにカフェの意識は……


    「……っ!!!」

    カフェは身の危険を感じ反射的にベッドから転げ落ちた。床に落下し全身が痛むが…その判断は正しかった事を直ぐに思い知らされる。


    カフェが床に転げ落ちた直後、ベッドの下から何本もの触手と思わしき物が突き上げてきたのだ。それも何度も何度も。

    「な、なんですか……あれは!!」

  • 8二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:38:24

    余りの異常事態とこれまで疲労により足が全く動かない。だが命の危機を感じたカフェは四つん這いとなり、床を這いずりながら必死に逃げ出した。

    だが廊下へと繋がるドアは固く施錠されており、カフェが力づくでドアを壊そうとしても歯が立たない。

    「何で…開いてください!!開いて……ひっ…!?」

    尋常じゃない殺気を感じ、後ろを振り向くとベッドの下から和服姿の人らしきモノが這い出てきている。明らかにベッド下に収まっていたとは思えない巨体…グチュグチュと気持ちの悪い音を立て、黒板を引っ掻いたような生理的に受け付けない声を漏らしている。

    そして顔は奇形と呼ぶに相応しい程に醜い女性。ニタニタと気色の悪い笑みを浮かべながらカフェへと1歩。
    また1歩と近づいてくる。

    「た、助けてください…!トレーナーさん!!お母さん…!!誰か…誰か!!」

    半分パニックを起こしかけてるカフェは固く閉ざされたドアを何度も開けようとしていた。何度も何度も殴り蹴りつけ壊そうとし…しまいには頭を打ち付ける程に追い込まれてしまった。だが扉は壊れる気配がない。

    「……ウウゥゥ……アアアッ!!」

    もうダメだ、この化け物に殺されて終わる。 既にカフェの思考力は、恐怖だけを残した野生動物までに退行している。冷静な判断も出来ないまま、ひたすらに開かない扉を縋り付いていた……正にその時だ

    どすんっ。
    重く激しい蹴りが化け物に炸裂した。

    「え」

    背後に誰かいる。
    まさか…この雰囲気は…幼い頃から何度も味わった…そう『あの人』だ。

    『よお…山神さんよ?随分とウチのカフェを可愛がってくれたじゃねぇか。オレも混ぜろよ』

  • 9二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:38:34

    「……お友だち……さん…?!」

    『悪ぃカフェ遅れた。オレも何とか入ろうとしたんだが…結構手間取っちまった』

    目の前にはカフェの瓜二つのウマ娘『お友だち』が立っていた。その先にはさっきの化け物…いや山神は倒れ込んだまま動かない。

    『はは、悪ぃなお邪魔してんのに手土産のオコゼも用意してねーが……こっから出たらラコビーくらいは備えてやるぜ?お前と違ってとびっきり綺麗なヤツを』

    「……あ、ありがとうございます…!貴方が居なければ…私は…!」

    『礼を言うのはまだ早ぇ。 さっさとここから逃げろ、オレだってここに入るので精一杯なんだ…脱出口も長くは持たん』

    「脱出口…?」

    首を傾げて事情を聞こうとしたカフェだったが…どうやらその余裕は今は無い。

    「ウォォォォ………ギェェェエ……!?」

    『嘘だろ?!もう立ち上がんのかよ!!』

    気色の悪い声を出しながら山神は立ち上がった。お友だちはすぐさま、お山神にタックルを噛まして押し倒した。ひして馬乗りになりひたすらに殴り付ける。

  • 10二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:38:50

    『エレベーター近くに窓があるはずだ!?2mくらいのクソでけぇ奴が……そこをぶち破って飛び降りろ!!現世に帰れる!!』

    「現世……山神……雹…!?そういう事ですか!!」

    『登山してる時に猪にちょっかいかけいちまったのが原因みてぇだ………クッソこのブス?!力が半端ねぇ!』

    一見すれば優勢。
    だがお友だちの攻撃に対して山神は全く効いてる素振りを見せない……もしかしたらこの世界では幾ら攻撃しようと無駄なのか?いやそんな下らない事を考える暇は無い。

    「…分かりました!あちらでまたお会いしましょう!」

    『行けっ!脱出口も下手したら閉じるかも知れねぇ!』

    気が付けば部屋の扉は開いている。カフェは転がる様に廊下に飛び出ると最後の力を振り絞って走った。

    「はぁ…はぁ…!!」

    熱で目がチカチカとしてマトモに見えない。足は鉛のように重く…心臓ははち切れんばかりに大きく跳ね上がっている。だがそんなの関係ない。

  • 11二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:39:04

    (……このくらいの不調……問題ありません…!)

    生憎だが絶不調で走るなんてコレが初めてではない。それにたかだか200m~300mの距離だ……コレくらいならどうとでもなる。

    「……これくらい…何て事ありません…!」

    もう足の感覚もなければ、視界がぼやけ、意識も霞がかかっている。少しでも油断すれば、カフェは無意識の世界へ旅立ってしまうだろう。
    それでもカフェはエレベーターまでの道なりをほぼノンストップで走り抜けた。


    「……はぁ……はぁ……!!こ、ここ…ですね……!!」

    エレベーターの近くには大きな窓が新しく現れていた。外が真っ暗のはずなのに一つだけ白く明るく光っている。お友だちが何とか脱出口をこじ開けてくれたのだろう。

    「………山登りをする際に遭難する備えはしていましたが……まさかこうなるとは……!!」

    自嘲気味に笑うとカフェはガラスに向かって突進しぶち破った。そしてそのまま下へと落ちていき……

  • 12二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:39:15

    「うっ……!!」

    大きく痙攣し目を覚ました。
    気がつくとカフェはベッドに寝かされている。見知らぬ木の天井と言いたいが見覚えがある、確か山小屋は……

    「カフェ?!目覚ましたのか!!オレが分かるか?ジャングルポケットだ!!」

    本当に目を覚ました瞬間だ。声の方向に首を巡らせると、涙なのか鼻水なのか顔中をべちょべちょにしたポッケがこっちに飛び込んできた。

    「ポッケさん……」

    カフェは額に置かれた濡れタオルをのけて起き上がる。周りを見ると何処かの無人の山小屋……激しく降り出している雨は窓を激しく揺らしている。
    時折遠雷が光り、遅れて雷鳴が届いたりとその勢いはますばかり。
    そうか……全て思い出した。

    「登山してたら急にカフェが気分が悪ぃとか言って気を失って…そんで雨も降り出してよ…!オレ達必死にカフェを担いで…前に教えてもらった避難小屋目指して…そ、そんで…!!」

    周りに散乱した道具を見るに、倒れて高熱を出していたカフェを抱えて山小屋までは避難し……手持ちの道具でどうにか介抱しようとしてたのだろう。

  • 13二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:39:32

    「ありがとう……ございます…ポッケさん……おかげで助かりました……」

    「無理すんなよ?!腹減ってるなら米炊くし…結構前にタキオンの野郎も!」

    ばぁん!
    扉が乱暴に開かれるとタキオンが山小屋に飛び込んできた。大きく息切れをしあの雷雨の影響かレインコート越しとはいえその体は大きく濡れている。

    「はぁ……はぁ……ようやく…お目覚めのようかねカフェ?気分はどうかねぇ」

    「タキオン?!良かった…オレもしかしたら遭難したのかと心配で…

    「タキオンさん……こんな雨の中で何を……」

    「何って…決まっているだろ?生憎手持ちの薬では風邪に効くモノは無かったのさ。だから……」

    タキオンは背中に背負っていたリュックを下ろし広げた…その中に草や花といった物が詰め込まれている。

    「即席だが漢方を作ろうと薬草を探していたのさ……はぁ…はぁ…とはいえこの雷雨だかなり苦労したが……」

    「……タキオンさん…」

    「おいおい…何だその目は?私が命の危険を顧みずに薬草を集めに奮闘した努力を少しは労わって欲しいもんだよ」

    レインコートを脱ぎ捨てると、タキオンは手近にあったタオルで髪と顔を乱暴に拭いた。そして小さくため息を吐く。

    「とはいえ薬草をそのまま煎じるだけの即席の漢方薬さ……無いよりマシ程度のモノと思ってくれたまえ」

  • 14二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:39:47

    「いえ…助かります……ですが……手持ちの非常食だけだと切り詰めて2日……直ぐに助けを呼ばなければ…」

    「その必要は無い.ラジオを聞く限りだと明日の朝には雷雨は収まるようだ。トレーナー君にも連絡はしているし……天候が収まり次第この避難小屋に救助に来るみたいだ。そんな下らない心配をするよりもゆっくり休みたまえ」

    「とにかくカフェもタキオンも無事で良かった!オレも直ぐに手伝…う…ぜ…」

    突如ポッケは気絶する様に床に倒れ込んでしまった。まさか彼女も山神に…と一瞬心配したカフェだったがそれは杞憂だったようだ。

    『もう休め、じゃねぇと今度はおめぇが倒れんぞ」

    ポッケの背後には『お友だち』が立っていた、頭をポンポンと優しく撫でるとベッドに彼女を寝かしつけている。

    「…確かにポッケさんは休もうにも休みませんからね……ですが少し乱暴過ぎませんか…?」

    『どいつもこいつも無茶し過ぎだ。特にタキオンの野郎…まあいいや、よお今帰ったぜカフェ』

    どうやら山神の足止めの傷は深い様だ。髪は一部を無理やり引きちぎられたのかざんばら気味、更に体は痣だらけで出血もしてる。本人もこれだけ全身ボロボロで何とか現世に戻ってきたというのに……まだカフェ達の事を気遣っている。

    それだけ『仲間』を失うのに過度なトラウマがあるのだろう。

  • 15二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:40:01

    『まー安心しろ、カフェの熱も朝には治ってるはずだ。だ…ら…ふわっ~。とにかくそろそろ休ませて貰うわ』

    お友だちは大きな欠伸をするとカフェの隣に寝転び…直ぐにイビキをかけながら眠り始めた。幽霊だろうと疲れる時は疲れるらしい。

    「その…タキオンさんも……早く休んでください……薬草を煎じるくらいなら…今の私でも…」

    「その必要は無い。病人を放置して惰眠を貪るほど私も冷たい人間ではないのさ……それにポッケ君の頑張りを見ていてはこれくらい何て事ないさ」

    タキオンは何処から持ってきたのか?
    そう疑問に思う程の設備で薬草を煎じながら続ける。

    「カフェが気を失っていて知らないと思うが…ポッケ君はこんな雷雨の中で君を担いで何十分も山道を駆け抜けていたのさ。この山小屋に付いてからも変わらない」

    「体の汗を拭く、額のタオルを頻繁に変える…水を飲ませる…それを何時間もだ……ふわぁ…かくいう私も疲労困憊だから…漢方薬を作ったら…トレーナー君が来るまで休ませて貰うよ」

    疲れているのは全員一緒のようだ。だがそれでもカフェには……『やるべき事』がまだ一つ残っている。

    「……その前に……タキオンさん……トレーナーさん達に一つだけ伝えて欲しい事が……」

    「何だ?言いたまえ」



    「ここに来る道中に…猪に出会ったらなら直ぐに引き返す様に……伝えて下さい。そうでなければ…また…」

    END

  • 16二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:55:59

    ホラーSSとは珍しい……忙しいのについ読み耽ってしまった
    3人の友情も感じられる大変良きものでした

  • 17二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 18:56:39

    ホラーは珍しい…読み応えありました
    詳しくないんだけど猪って何か霊的に特別な存在だったり?

  • 18二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 19:01:36

    解説のウインディちゃんなのだ

    作中で出てきた猪の元ネタは『ヤマトタケルの最期』なのだ

    詳しく説明するよりも…このURLを読んでくれた方が分かりやすく早いと思うのだ

    少し民俗学的な知識が必要なSSなので分からない事があれば遠慮なく質問して欲しいのだ


    ヤマトタケルと伊吹山の神|日本武尊物語|スペシャルコンテンツ|お祓い お宮参り 七五三 神前結婚式|滋賀 大津|建部大社悪い神を退治するために向かった伊吹の山。 そこで出会った牛ほどに大きな白い猪を威嚇したヤマトタケルに起こった突然の‥takebetaisha.jp
  • 19二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 19:16:23

    山神と殴り合って勝ったのかサンデーサイレンス…?!

  • 20二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 20:11:05

    そういうやあにまんでホラーSSってあんま見ないな
    こういう和風ホラー好きだからドンドン書いてくれ

  • 21二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 21:38:57

    猪か~、ヤマトタケルっぽいな~、と思ったらそのままでした。
    ちゃんと武器(お友達)を持って行ったから良かったんでしょうかね。
    トレーナーが宮簀媛になっちゃいますが。

  • 22二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 22:03:11

    >>18

    ヤマトタケル、か……。走水で育ったから名前はよく聞いたが、他の逸話はほとんど知らんのよな。


    あ、SSは面白かった。やっぱり緊急時には頼れる仲間が欲しいよね。

    (ただ、カフェが『お友だち』に話しかけるときは子供に語りかけるような口調になっていたはず)

  • 23二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 22:08:25

    >>22

    お褒めの言葉ありがとうございます( ´-ㅅ-` )

    久しぶりのSSだったので見苦しい所もあったのに最後まで読んで下さってありがとうございます!

    口調に関しては指摘を受けてから気付きました…()

    次回投稿する際はストーリーを見直す様に努めます…( ˊᵕˋ ;)

  • 24二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 22:42:08

    サンデーちゃんよ
    霊力とかじゃなくて物理で倒しに行くのか

  • 25二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 22:46:10

    貴重なホラーSSだ!囲め!
    扉や鏡がぐっちゃぐちゃになってる建物って怖いよね

    山は神様の領地だから生き物をみだりに脅かしたりするとバチが当たるのだ
    …といってもお友だちアメリカ出身だから知らんよな
    (カフェは人に説明する際には「お友だち」と呼称するがお友だち本人への二人称は「アナタ」のみだったはず)

  • 26二次元好きの匿名さん24/05/05(日) 22:50:59

    >>25

    いや仰る通りですね( ̄▽ ̄;)

    カフェのお友だちに対する口調がホントぐっちゃぐちゃ過ぎます…()

    またカフェのホラーシリーズは投稿したいと思ってるんですが…その際はこの様な事が無いようにします<(_ _*)>

    長いのに最後まで読んで下さりホントありがとうございます!

  • 27二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 00:47:35

    「…カフェが山神に襲われた時に「お母さん助けて」と叫んだ姿に興奮しました」ボソッ

  • 28二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 01:33:49

    変なホテルにたどり着くところからこの話が元ネタかと思ったけどまさかヤマトタケルが出てくるとはびっくり

    妙なホテルに着いた話更新日:10月8日08時03分togetter.com
  • 29二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 01:51:29

    魂を攫って記憶を失った状態で遭難させ…ホテルに誘導する
    そこで安心した所を狙うのはマジで悪趣味やな
    若い女に嫉妬しすぎやろ山神

  • 30二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 09:44:47

    ヤマタケ関連のやつだったか…

  • 31二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 16:59:31

    オコゼって確かくっそ醜い魚だっけ?
    山神が好んでたとかどっかで聞いたけど

  • 32二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 17:05:37

    >>31

    山の神はとんでもない不細工で自分以外の女性が来ると嫉妬して殺してしまうほど

    なので自分より不細工なオコゼがお供えされるとめっちゃ喜ぶ

    それ以外にもイケメンの場合、山で嵐に遭遇したときに自身の一物を露出するとこれまた山の神様が喜ぶので嵐が収まる

    ブ男がこれをやるとぶちキレてものすごく嵐がひどくなる

  • 33二次元好きの匿名さん24/05/06(月) 17:10:08

    >>32

    なるほど…解説ありがとうございます!

    サンデーサイレンスはそれじゃなくてこっちを備えるらしいけど…これ『世界一美しい魚』だからブチ切れ必須なのでは

オススメ

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