先生を看取る生徒ss

  • 1二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:00:52

    (身体が…痛い)
    いや、厳密には痛いのは胸部だけだ下半身は熱く感覚すらない。肺に骨が刺さったのだろう、うまく息を吸うことが出来ない。
    (えっと、なにがあったんだっけ…)
    たしかいつも通りシャーレで仕事をしていたはずだ。それで、爆発音がしたと思ったら床が崩れて…丁度休憩しようと席を立ったからアロナとも離れちゃったのか。
    (休憩…そうだホシノは!?)
    今日の当番はホシノだった。彼女は無事だろうか
    「ほ…し、の」
    (駄目だ、声が出ない)
    なんとか動く右手を使い瓦礫で音を立てる。
    (頼む、気付いてくれ…!)
    ーーーー

  • 2二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:02:24

    ー--
    「先生!無事!?あっ!先…せ、い」
    瓦礫の山に躓きながらもホシノは駆け寄ってくる。良かったこの様子だと彼女の身体に異常は無いようだ。
    しかし、反応を見るに私の身体は酷い有り様らしい。
    「ホシノ、無事で良かった」
    声が掠れないように、不安を与えないように細心の注意を払いながら声を出す
    「それはこっちのセリフだよ先せi「ここは崩落の危険性は無さそう?」時間が無い。ホシノには悪いが割り込む形で質問する。
    「…うん。オフィス周辺の床が崩落したみたいだね、オフィスの壁も一緒に崩れたから瓦礫も沢山って感じだけど規模的にはそう大きくないよ。」
    かなり小規模な事故だ。この規模ならどんな生徒たちでも軽い怪我で済むだろう。
    「良かった。そしたらホシノ。まずは連邦生徒会に連絡をして、あと私のタブレットとパソコンに大切なデータが入っているから…」「先生?まずは救急医学部か救命騎士団に連絡だとおもうな」
    今度は私の話が遮られる。ホシノの顔を見れば、普段からは考えられない無表情で何を考えているかわからない顔だ。
    それでも、話を続ける

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:03:25

    「そしたら次にうさぎ公園に行ってーー」
    構うこと無くホシノに指示を捲し立てる。
    「先生」
    「ミレ二アムのヴェリタスって組織にーー」
    「…先生」
    「――あとは、」
    「……先生!!!どうして引継ぎをしようとしてるの!?もっと自分の事を心配してよ!」
    絶叫と共にハシノの顔は酷く歪む
    「ごめんホシノ…でも私が、長く、ないことも、わかって、いるんでしょ」
    もう気張る気力もなく絶え絶えな言葉を紡ぐ。
    「分かってるけど、そんなの、そんなのっ」
    ホシノは、もうこれ以上聞きたくないと頭を抱え泣きじゃくり始めた。
    それでもこれだけは言わなくては
    もう少しだけ、もってくれ
    「いい?ホシノ。これは先生として最後の指導だよ」
    優しく、それでも力強く言葉を発す

    「どうか、前を向いて自分らしく生きて」
    「ホシノが小鳥遊ホシノとして君がやりたいと思った事をやって欲しい」
    「ホシノが何かをやりたいと言った時にはきっと皆が協力してくれる」
    「もしこの事故が何者かの策略だったとしても、復讐をするななんて言わない。ホシノがやりたいようにしてね。」
    「私の事を悔やんで後悔して眠れない日があったとしても、」
    「どうか未来を、夢を望む勇気を、忘れないで」

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:04:40

    ホシノは俯いたままだが私の最期の言葉を静かに聞いてくれた。
    「先生はずるいよ...そんな顔でお願いされちゃったら、黙って受け止めるしかないいじゃんか...」
    どうやらずいぶん情けない顔をしていたらしい。ホシノは顔を上げ、少し呆れた顔で寂しく笑っていた。
    「先生はさ、この後私が何をやっても見守っててくれる?」
    「もちろん」
    切なげに、でもどこか夢を語るように朗らかにホシノは問う
    「みんなを危険に巻き込むかもよ?」
    「逆にみんながついてくると思うけどね」
    きっとあの子たちは放っておかないだろう
    「もしかしたら手段を選ばないようになるかもよ?」
    「それでもみんななら正しい選択をするよ」
    様々なことを経験してきたあの子達なら
    「きっとほかの学校の生徒傷つけるかもしれないよ?」
    「それでもきっと最後には仲直りできるよ」
    心優しい生徒達だからきっと
    「でも、もしかしたら…」「良いよ。ホシノが、君達がなにをしても、私はずっと見守って、応援し続けるよ」
    「...はぁ、先生はやっぱりずるいよ。おじさん、かなり覚悟を決めてるのにそんなサラっとさぁ。」

  • 5二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:05:27

    「決めた。今後の私のやること。先生、まだ手は動く?」
    「うん、片手ならまだ」
    「先生。私の髪、切ってくれないかな?乱雑でいいからさ」
    そういいホシノはそこら辺のガラスを渡してくる
    「私にできることならなんでもやるけど、これは気が引けるなぁ」
    ホシノは私と顔を合わせる形で私にまたがってくる
    「これって普通背中を向けるものじゃないの?」
    「良いからいいから、話せるうちに早く。片手だと切りにくいだろうからね、せーので切ってね」
    そう言いながらホシノは髪をかき上げうなじを露わにさせる。ここから刃を通せということだろう
    「ほら行くよぉ「「せーの」」

  • 6二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:06:03

    「せーの」
    掛け声とともに髪をひっぱり顔を前に出す。それとともに頭が少し軽くなる感覚。だがそれよりも唇に湿った感覚に意識が行く。
    「えへへ。おじさんのファーストキスだよ」
    不意打ちのキスに先生は目を丸くしている。最後ぐらいこんな我儘も許されるだろう。あまりにも一瞬でキスの味なんてわからなかったけど、きっともう味わうことのできない感覚なんd「もう一回」
    「んぅえ?んんっ...」
    先生に抱き寄せられ今度は唇ではなく口内をむさぼられる。私か先生か、それともどちらともか、口の中が切れているのかしょっぱい血の味がする。たった数秒のことが永遠のように感じた。
    「...先生失格かな?あ、ショートも似合っているよ」
    やっと先生の顔が離れたと思ったら悪びれもせずそんなことを言ってくる。
    「行ってらっしゃい。初めて訪れた学校がアビドスでよかったよ。君達との思い出が私の‘‘宝物‘‘だよ」
    「うん…うん、行ってきます...先生」
    もうこれ以上は言うことはないと私は背を向け歩き出す...歩き出そうとしたところで、聞こえてしまった。先生てが力なく落ちる音、酷く苦しそうな浅い呼吸。先生はあとどのくらいで死ぬのだろうか?このまま独りで衰弱して苦しみながら死ぬのだろうか?それは...嫌だ...
    「ホシ...ノ…?」
    背中を向けたまま歩きださない私を怪訝に思ったのか先生が声をかけてくる。もう声も掠れ音が出ていない。
    私は先生に向き合い銃を向ける
    「あっ、ホシノ、ごめん...ありが...とう...」
    私の意図を理解したのが悲しそうに礼をいってくる。もう焦点もあっていない
    できるだけ顔を傷つけたくないから側頭部から狙う。手が震えるが、無理やり押さえつける。狙うはこめかみ、苦しませないように、即死させる。
    「お休み。先生」
    「うん。おやす…み」

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:07:14

    その後、私は先生の遺言通りタブレットとPCを回収し始めた。あの銃声は今も頭の中で響いている。
    涙は止まらない。でもそれを拭うことはしない。どうせ止まらないし、そんな事をしていたら瓦礫をどかす手が足りない。サイレン音が近づいてきたが私は気にせず淡々と瓦礫を除去する。大丈夫、物を探して集めるのは経験済みで最早手馴れてる。

    幾分たったのだろうか口の中はまだ、血の味がする。

  • 8二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:11:36

    拙い文章ですまない普段の先生は生徒に介錯なんて絶対に頼まないからシチュに悩んだよね
    それはそれとして救済執行するマリーとか見たいよね
    最期まで神信じるのかそれとも神は何も救ってくれないと絶望するのか...

  • 9二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:15:10

    まーたホシノが曇ってやがる(最高ですありがとうございます)
    それはそれとしてホシノってどうしてこんなに曇らせが似合うのだろうか

  • 10二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:24:21

    「せん…せい……?」

     そんな哀しい顔をしないでよ。あーあ、しくじった。呼吸はできないしだんだんつま先から感覚がなくなってきた。溢れ出す液体の温かい感覚がスーツに広がる。今日のシャツ、下ろしたてだったのにな。口を動かそうとしてもかぼそい水音と血の味しかしなかった。せめてもとヒナタを見やる。

    「………」
    「そんな!先生、血が……待っててください今救護騎士団を…」
    「……」

     なんとか首を動かす。もう2人には結末が分かっていて、彼女はそれから目を背けたがった。溜まった涙が頬を伝う。

    「……いやです」
    「先生が、死んじゃうなんて……」
    「………」

     ヒナタ。弱い先生でごめんなさい。あなたの心に深い傷を遺してしまうかもしれない。でも、きっとヒナタなら乗り越えてくれる。そしてできればその力を、その優しさを多くの人に向けてあげて。目一杯のメッセージを込めて彼女の綺麗な赤みがかった褐色の瞳を射抜く。
     彼女の潤んだ目と目が合うと、暫く見つめあった。やがて意を決したように彼女の手がすっかり冷たくなった指先に触れた。そっと添えられた手はどんな陽射しよりも慈悲深く、惜しみなく熱を注ぐ。

    「…天にまします我らの父よ、ねがわくはみ名をあがめさせたまえ。み国を来らせたまえ。
    みこころの天になるごとく 地にもなさせたまえ。
    我らの日用の糧を、今日も与えたまえ──」

     そう唱えると彼女はどこからか深い紫に満ちた小瓶を取り出して口に含んだ。次の瞬間、霞む視界いっぱいに彼女の顔が映って、唇に柔らかいものが触れると半開きの口へそれが注ぎ込まれた。果汁特有の酸味が口に広がる。ガチガチと歯と歯が当たって、それでも私たちは離れなかった。頬をつたって涙が、塩辛さと苦味を味わせるほどに。ずっとそうしていた。

  • 11二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:36:52

    ええやんと思ったらまた違うパターンもあるやん嬉しい

  • 12二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 00:53:51

    >>6

    ショートつまり過去の暁のホルスの姿に戻ってまた暴れまわるのかな?

    ユメ先輩を想って髪を伸ばし先生と別れて髪を切る 美しいね

  • 13二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 09:17:26

    朝からホシノ曇らせありがとう

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