モブ生徒「私達、MTR部連合!!」………を見届ける

  • 1二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:25:07
  • 2二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:26:12

    お盆にはまだ早いぞ!
    でも楽しみ

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:33:00

    「………今日もまた、死は、ありますね……」
    ふらりと、死へと向かう。
    望むわけでもなく求めているわけでもない。
    けれど、見逃す理由もないのであれば。

    「……死の、気配……」

    何かの『死』を感じ取れる。
    その事に気がついたのはいつだったか、少なくとも物心がついた時から私は死を、死の気配を知っていた。
    暗く冷たい死も、明るく満足げな死も、未練と悔いにまみれた死も……
    全部、感じ取れていた。
    だから…というわけではないけれど。
    私は普通の人よりも死というものを考えて、そこにつきまとう孤独と苦しさを知って。
    ………逃げるでもなく、救うという道を選んで。
    そして。

    「………………」

    こうして寂しく終わる死を、看取っている。
    それは生徒がいなくなった学校であったり、使命を全うした道具であったり、自然の厳しさで命を落とした動物であったり…

    「……もしもし、私です…。
    葬儀と…調査の手配を、幸いどの学園かはすぐに分かるかと……」

    ………青春の、終わりであったり。

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:40:09

    「………はぁ」
    葬儀を終えれば辺りは夜。
    疲れはある、しかし…頭にあるのは。

    「最期に……寄り添えませんでしたか…」

    ……結局、孤独に死なせてしまったという後悔。
    このキヴォトスは広い、それに…いくら目を光らせていたとしても限りはある。
    あるけれど、それでも…じゃあ仕方ないと諦めるのかと言われれば、諦めれない。
    ……だから私は今日も、悔いるのだ。
    寄り添えない己の未熟さと。

    孤独に死んでいく人々に救いの手を差し伸べる『大人』がいないこの世界を変えられない、己の無力さを。

    「………1年生の私が……。
    何を考えても…どうにも、ならないことですけどね……」


    連邦生徒会長だって全力を尽くしている。
    各学園だって、組織だって。
    …生徒たちも、住人たちも、必死に行動している。
    それでも救えない人がいるのは……それだけ死が逃れられず絶対的なものだからで。

    「………私が」

    私のような、役割が。

    「いなくなれる世の中なら……よかったのに……」
    ……未熟な子どものつぶやきは、夜へと消えた。

  • 5二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:44:12

    確かにMTR部最終編スレは葬長の出番あんまりなくて寂しかったんですよね…
    組長たちの中でも一際キャラが立ってただけに今頃になってオリジンエピソードを見られるというのはなんというか
    あえてこう言うなら、生きててよかったなって

  • 6二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 18:51:34

    「…いなくなれる世の中って、物騒な事を言うね?」
    ――はずだった。


    「……貴女、は…?」
    その制服は山海経の物ではない、他校の物。
    顔も…知らない。
    もしかしたら先程弔った彼女の関係者なのかもしれないが、葬式場で見かけた覚えもない。
    「私?私はねー…ちょっとした部活の、一般生徒?
    まあまあそれよりさ!悩みなら聞くよ?」

    ……もしかしたら何か勘違いをしているのだろうか。
    とはいえ、悩みを抱えているのも事実。
    さて、言うべきか言わないべきか…いいや、言ってしまおう。
    後ろ暗いことは何も無いのだから。

    「……死に、死の傍に寄り添うだけの自分が…
    その死に間に合うこともなく孤独に人を死なせてしまった…
    それを…悔いている、だけです…」
    「……死に寄り添う?」
    「……死を看取り、孤独に寄り添い、誰かの最後を刻むという行い……
    それは、必要な事ですが……起きていいことでは…ないはずですから…
    ………孤独に寄り添う見届人がいらない世の中を夢想した…ただ、それだけの話です…」
    「…見届人、死に寄り添う、そしてその喪服…
    もしかして君って?」
    「…?
    存じておられるのですか、まだ…発足してから日は立っていませんし山海経だけの企業ですが…」
    「そりゃもう!知ってるよ!
    誰かの死に寄り添う最後の見届人で、死の先を取り扱う葬儀屋!
    『ウォッチャー』…でしょ?」

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:01:06

    「…そう興奮して言われるほどの物では…ないと思いますが…」
    「いやいやいや!ウォッチャーと言えば一部の人達に凄い支持を集めてるじゃん?
    ……最後に寄り添ってくれるだけでも救われる、って」
    「…買いかぶり過ぎ、です…」
    ……変な人だ。
    死の話題と言うのを喜々として行える…不謹慎ではあるが、その内容が私達への賛辞であるならとやかくは言えない。
    けれど。

    「……私自身、あまり自分の行いが正しいとは思えませんから…」
    「…………ふぅん?」
    …?なにか、ピリついたような…気の所為?
    「それは、どうして?」
    「……立派であると、遺族の方々や学園上層部…それに門主様からも言われています…。
    けれど。
    …私達に見届けてもらえるから、と…。
    誰かの最期を…妥協させてしまうのではないかと…。
    足掻かなくてもいいと、死を…生み出しているのではないかと…不安に、なるのです……」

    「……妥協、か。
    それは確かに大変な問題だね」
    「ええ…死に安心を覚えてもらうことは良いことでも有り…同時に、悪でもあるので…
    ………死にたいと、死んでもいいと、こういう死に方ならそれでいいだなんて。
    そんなの、間違って…」
    「……間違ってると、思うの?」
    「………?」

    夜闇のせいだろうか。
    ……彼女の目が、酷く冷たく見えるのは。

  • 8二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:07:17

    「それは……どういう……」
    「そこまでじゃ」

    ―――凛と、声が響く。

    「葬長、其奴に関わるでない。
    ……死に真摯に向き合い、人の為であろうとするそなたが触れ合うべき人間でも、組織でもない」
    「……キサキ、様…?」
    「これはこれは、次期門主様。
    お顔を覚えて――」
    「黙れ、そして…失せろ。
    これは警告じゃ」
    「………」

    ……キサキ様がここまで怒気を眼と声に浮かばせている姿を見たことが、無い。
    一体彼女は何者で、そして――
    「ええ、と…?」
    「残念ですがここまでみたいですね。
    それでは、次期門主様と…葬長さん、いつかお会いできますように」

    ふらりと去りゆくその背中を、忌々し下にキサキ様は睨み言葉を吐き捨てる。

    「――カルトめ」

  • 9二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:12:30

    キサキ様にここまで嫌われるとかMTR部何したの…

  • 10二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:18:17

    「……長」「…葬長」
    「………」
    「「葬長!」」
    「わっ。……すみません、どうしましたか…?」
    「どうしましたかじゃ無いですよ!
    そんなにぼーっとして…やっぱり昨日変な事を言われたりしたんじゃ?」
    「いえ…踏み込んだことを言われる前にキサキ様に助けられましたから、大丈夫です……」
    「…そうだといいですけど」

    1年とはいえ、組織の長として少し気が緩んでいたかもしれない。
    気を引き締めなければ…と思うけれど。

    「…仕方ないですよ、葬長あの人たちのことを聞いてショックを受けてましたし」
    「う…で、ですけど組織の長なんですから!
    ……変な奴らのことなんて気にしないで、私達ができることをしましょう、葬長!

    MTRなんて、忘れてほら仕事しますよ!」


    ――――MTR。
    その名を、MTR部連合。
    特定の学園の部活ではなく各校に根を張り、一つの思想の元集い日々……思い思いの『死』を。
    ……どうやって死ぬかを考えて、焦がれている…異常者の集まり。
    死を嫌いながらも、その苦しみを減らすために誰かの傍に寄り添い、時には死を取り除く私達とは遠くかけ離れた思想の―――カルト集団。

    それが、キサキ様から聞かされたMTRという団体の内容だった。

  • 11二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:27:12

    そしてそう思っているのはなにもキサキ様だけでは無い。
    なにせどのように死ぬかとは青空の下で死ぬだとか、友に看取られて…という思いもあれば。

    『誰かの心の傷になり死にたい』
    『誰かに使い捨てられて死にたい』
    『誰か、あるいは何かとともに終わりを迎えたい』

    ……一人で終わるならば、そこまで嫌われることもなかったのだろうけど。
    それに自警団…あるいは死にたがりの武装集団を抱えているだなんて噂もあれば、死ぬために情報を集めては死地に喜んで突き進んでいるだなんて噂も……

    ……噂…だと、いいのですけど。
    ともかく、MTR部はそういった情報からか敬遠されていて。
    「………そして、あの勧誘…」
    「葬長?」
    「私は…勧誘されたのでしょうか…?彼女に、彼女達に……」

    ……死を思い、死にたがり、あるいは心の弱い人々を勧誘していると聞いた。
    あの時私が話しかけられたのは―――
    「………はぁ……」
    「…ほんと、迷惑な話ですけど…気にしないでください葬長!
    葬儀屋だからってそんな願望抱えてるだなんて酷い風評被害で――!」
    「…私は……そんなに死にたがりで心が弱そうに見えます……?」
    「あ、そっち…」

  • 12二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:32:04

    まあ葬長暗くて無表情だからね…
    内面?はっはっは

  • 13スレ主24/05/17(金) 19:33:28

    とりあえず今はこのくらいで
    書きすぎて他の誰かが供養できないとなれば私も悲しいので

  • 14二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:36:33

    おつです。続きも待ってます
    MTR部は思い出深いスレだったなぁ…

  • 15二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 19:38:43

    改めて言われるとそりゃ警戒されるよなぁ
    立派な志で1年ながらウォッチャー立ち上げた葬長知ってるなら尚更嫌うだろうし

  • 16便乗24/05/17(金) 19:54:15

    ―先生と出会ったばかりの、なんでもない一幕―
    「……こんにちは、先生」
    “こんにちは葬長"
    「…………」“………………"
    「どうしましょう…話題が…なくなりました…」
    “え、えっと無理に話さなくてもいいんだよ?"
    「そうは…行きません…
    仲良くしていて損は…ありませんし…
    それに我々は通じ会えると…思うのです…」
    “…まあ、MTR部の中だとウォッチャーが一番私と価値観が近いかもだけど"
    「…無理に理解しろとは、言いません…
    なにせ……私も理解していませんから」
    “えっ"
    「厳密には…個々人のMTR思想を理解して…いません…
    要望としては…理解できますが…
    その思想に共感することは…できませんので…
    しかし、逆に言えば…それでも大丈夫なのです」
    “……大丈夫、か"
    「ふふ…ええ、大丈夫。
    理解せずとも、否定はせず。
    分からずとも…力になればいいのですから……」

  • 17二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:14:44

    総長は部の中でもかなり独特な立ち位置だったよね
    怪力だったり無機物看取ったりサメ映画撮り始めたりするけど

  • 18二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:38:26

    そら無名の司祭もキレるわ

    追い出された挙げ句看取られたいとかもうね


  • 19二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:41:17

    一つ懺悔をするなら
    じつは当時は葬長のキャラをあんまり掴めなくて、最終編スレで書いてたSSにも葬長はそこまで出せなかったんですよね
    あの時は自分で書いた設定畳むので精一杯だったけど今になって提唱者の方が直々に掘り下げて頂けるのならもう思い残すことは…

    …え、隊長? 隊長はなぁ…

  • 20二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:43:08
  • 21二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:50:02

    葬長はMTR部に必要な人材なんだろうけどMTR側の人間かと言われると違うしね
    シリアスだったりするシーンは大抵核心に迫る展開だけれど葬長がそこにいるかと言われるとあんまそのイメージは無い
    もちろん救えるなら救うし救えないなら見守ろうとしてるだろうけど

  • 22二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 20:57:30

    >>20

    この流れは当時流石に吹いた

  • 23二次元好きの匿名さん24/05/17(金) 21:20:55

    ウォッチャー所属の子たちもMTR一般部員とは思想が違うって言われてたしウォッチャーはやっぱMTRの本筋ではないのかもしれない
    葬長が行くと決めたからついて行った子たちと、自分達が必要だからと行くと決めた葬長って図式だし

  • 24二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 01:58:40

    ウォッチャーと言えば救急医学部と救護騎士団のコンビの子もいたっけ
    過去話でも出番あるかな?

  • 25初代スレ主24/05/18(土) 02:24:55

    どうしてお盆まで待てなかったんですか?(電話猫)

    まあ建てちゃった物は仕方がないので期待して待ってますね


    >>20はたしか私のレスですね

  • 26二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 08:23:34

    ま、まあこのスレはあくまで葬長スピンオフってことで…
    …自分もカヤちゃんの幼馴染(自称)ちゃんのスレとか勝手に立てたりしてたし

  • 27二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 09:24:04

    MTR部連合の1スレ目が立ったのは去年の7月だからそろそろ一年になるのか
    こうして見ると当時からスレに参加してた人達も結構残ってるみたいで嬉しくなる…

    …いや、少なくとも一年近くあにまんに入り浸る生活続けてるってのは果たして喜ばしいことなのだろうか…?

  • 28二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:04:10

    「…………」
    「…、ぁ…」

    雨の中、私は地面に座り…泣くでも喚くでもなく彼女の手を握っていた。
    虚ろなその目は私を見ていて、失われていく体温は…私が何をしてもどうしようもなく、連絡をした人員も間に合わないだろう。

    キヴォトスではここまで欠損し、重体を負うことは珍しいが…あり得ない事では無い。
    ――こうまでなるのは、裏社会だとか復讐だとか、拷問だとか、そういった事が関わっているのだろうけど。
    けど、そんな事情は私には関係が無い。

    水溜りと混じり合う赤に浸かりながら、ただその時を待つ。
    私は――救えない命の最期を、見届ける。
    それが、ウォッチャーを立ち上げた最初の理由であり。
    ウォッチャーの存在理由で。
    ……死を感じ取れる私の使命なのだから。

    「ね……ぇ……」
    「…なんでしょう…?」
    「だ、き……し、め…」
    「…ええ…もちろん…」

  • 29二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:14:48

    雨に濡れたその身体は酷く冷たく、重く。
    けれど――異常なまでに軽くも感じた。

    「………あり…が…」
    「………」

    ヘイローが、割れる。
    ゆっくりと、崩れていく。
    光を失い、透明になりながら欠片は辺りに散らばり…
    そして、最後の一片が。

    宙に、溶けていった。

    彼女は……私の胸の中で息絶えた。
    せめて、望む死を迎えれたのなら。
    それは彼女にとっての救いになれたのだろう。
    一人孤独にこんな路地の中でも…誰かに看取られ、抱きしめられて逝けたのなら……

    「……看取られ、て…?」


    「…葬長、すみません。
    間に合いませんでした」
    「………いえ、私が来た時にはもう…手の施しようが無かったので…
    皆さんの責任では…ありません…」

  • 30二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:23:53

    「………」

    葬儀を終えて、一人考える。
    彼女は、彼女の最期は…あれでよかったのだろうかと。
    一人で死ぬよりは…私に看取られて、抱きしめてもらえたならこれでいい、と…思ってくれたのだろうか?

    ――そして、この死に方ならいいか、と思ったのなら。

    『………死にたいと、死んでもいいと、こういう死に方ならそれでいいだなんて。
    そんなの、間違って…』
    『……間違ってると、思うの?』


    彼女は――そして、そんな死に方を与えた私は、間違っているのだろうか?
    正しい最期とはなんなのだろう?
    正しい死に方とは、生きるとは、死ぬとは。

    看取るという事と、看取られるという事は…何なのだろう?

  • 31二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 12:34:46

    1年生の子が背負うには重すぎるけど死を感じ取れるから葬長は看取る者としての責任を背負ってるんかな
    そしてその責任の正しさやどうすればいいのかって所まで1年ながら考え始めてる
    逆に言えばMTRの皆が最期になって考える葛藤をこの時点で経験してるわけか

  • 32二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 15:57:36

    うお、MTR部連合帰ってきとる
    前に描いたFAあげとこ

  • 33二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 17:49:27

    どこかで拾ったアロスのコラ画像も貼っておこう

  • 34初代スレ主24/05/18(土) 17:55:18

    もしかして自称カヤの幼馴染以外にも派生スレかオリキャラ語りスレでなんか話題あったタイプ?アロスコラあったの知らなかったんだけど???

  • 35二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 17:58:20
  • 36二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 18:14:43

    正直他スレで名前やキャラ出すやつもいたり変なやつもいたりで扱いが難しかったなMTR部
    他の長寿スレより持ち出しされる例が多くて当時はスレ立てする時にちょっと怖かった思い出
    面白かったけどね……

  • 37二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 19:03:55

    >>36

    どうして持ち出しは発生してしまうのだろう・・・

    あれ害悪というか荒らしの一種じゃない?

  • 38清涼剤葬長を投入!24/05/18(土) 19:11:42

    「………ふふ、ふふふふ…」
    「…今度はどうしたんですか葬長」
    「ついに…ついに完成しました…!
    伝説の…クソ映画が…!」
    「クソ映画の時点で伝説もなにもないじゃないですか!?
    というかまた懲りずに映画作ってたんです!?」
    「憧れは…!止められないんです…!!!
    それに今回のクソ映画はとてつもない神映画のはず…!」
    「今ひっどい矛盾が1行で起こりましたよ!?」
    「気のせいです…
    さあ…ミレニアムプライスを征服しますよ…!!
    この私の魂のクソ映画……『ペロロジラVSキヴォトスセンセイモドキバージョンツー』で!!!」
    「なんて???」

  • 39二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 19:14:11

    持ち出し云々はここまでにしておこう
    せっかくの久々MTRなのだから、暗い話題はMTRだけで十分だ

  • 40二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 19:30:19

    >>34

    白状するならカヤちゃんの幼馴染コラもアロスコラも作ったの自分なんです…

    ↓のいろんなあにまんスレのアリスが集まるスレが過疎ってきた頃せっかくなのでこっそり投下したやつ

    うわーん!|あにまん掲示板bbs.animanch.com
  • 41二次元好きの匿名さん24/05/18(土) 23:42:28

    葬儀とは…命と向き合うとは

  • 42二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 01:49:04

    「……看取るとは」
    夜の街を一人歩く。
    「看取られる、とは……」

    答えを見つけるために、というにはおぼつかない思考と足取りでただ夜闇を進む。

    『………あり…が…』

    苦しさの中で彼女は…感謝しながら亡くなった。
    孤独ではなく、例え雨と死の冷たさに包まれようとも私という個人に抱きしめられ、看取られて。
    孤独ではない死であるならば、これでいい――そう思って、彼女は息絶えたのだろうか。

    「……死に、満足した……?」

    いいや、あんな死に方では。
    路地裏で冷たく横たわる死に方なんて、未来を奪い取られただ亡くなるなど――
    「……けれど、私が来たことで、そこに妥協を…?
    …………いえ、しかし。
    かと言って…一人孤独に死なせては、元も子もない…
    ……悔いと苦しさだけ……寂しさと、冷たさで…嘆くだけの死など……!」

    …………。
    私は、私達は。
    ウォッチャーのあり方とは孤独に寄り添いその苦しみを減らす事。
    だけれど、その在り方で…死に妥協させてしまうとしたら。

    「……MTR」

    私達がいるからと、死んでもいいかと…こんな死を遂げれるならと、生への執着を無くしてしまうのなら。
    私達とは…私達の、存在とは…?

  • 43二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 01:54:24

    「………もし、彼女達が」

    『………死にたいと、死んでもいいと、こういう死に方ならそれでいいだなんて。
    そんなの、間違って…』
    『……間違ってると、思うの?』

    「私達のせいで…死に、妥協をして。
    その命を終わらせようとしているのなら――?」
    死の苦しみを和らげて。
    死の苦しみから逃れるために、抵抗するために立ち上げたこの組織が死への道となってしまうのなら。

    「………そんな………
    私が…私達、が…死の…キッカケに……?」

    …いいや、結論づけるにはまだ早い。
    もしそうだとしても、もしそうだとするのであれば。

    「……潰す…しか、ないのでしょうか…?」

  • 44二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 02:05:39

    穏やかじゃないなあ…

  • 45二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 02:08:00

    「……MTR部に接触したい?」
    気がつけば私はその足で玄龍門に向かい、キサキ様に会っていた。

    「お主…正気か?あのようなカルトに会いたいなど、毒されれば…」
    「見極め…たいのです…」
    「…見極めたい?」
    「……MTR部。
    死を思い、死に焦がれ、思い思いの死へと向かう者達の集まり…
    もし…彼女達が死にたいと思う理由に…
    苦しみがないからと――我々、ウォッチャーがどうせ苦しみを取り除いてくれるのだと。
    そう、思われていたのだとするのなら……」
    「よせ、葬長。
    狂人の心の機微など思考などにお主が左右される事ではない、思い詰めることではないじゃろうて」

    ――キサキ様の言うことも最もだ、けれど、それでも。
    「…それに、キサキ様…
    狂人…と一括りにまとめる事は容易いですが…
    その…狂人にそそのかれ、希望など無いのだと…楽な死があるのだからと惑わされた娘がいるのなら…?」
    「………まさか」
    「我々が…ウォッチャーが死のキッカケとなっているのなら…ウォッチャーは一度解体し、別の道を模索しましょう…
    寄り添うという行いを秘匿して…私だけが、孤独な方に寄り添えばそれでいいですから…
    ……そしてもし、MTR部が、無辜の少女達の死を生み出しているのであれば―――」

    がちゃり、と。
    背中の棺は音を鳴らす。
    「………潰します。
    壊します、破壊します、再起不能にします、組織を、MTRを――殺します」
    ――死のせいで狂ってしまった狂人は、私だけでいいのだから。
    普通の少女は普通の青春を送るべきで、死に焦がれるなど…死を思うなど、そこへ進むなど。
    そんな事――あっては、ならないのだから。

  • 46二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 02:15:13

    葬長(一年生)の覚悟がめちゃくちゃガンギまってる…
    むしろここからおもしろお姉さん枠に収まるほど丸くなるのか…

  • 47二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 11:04:12

    まあMTR部がヤバい組織なのはなんだかんだ事実だし…ストッパーは必要だよね

  • 48二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 12:58:24

    当時のスレの懺悔をするなら
    元アビドスのホシノ先輩の傷になりたいちゃんは早い段階から伏線出してたにも関わらずろくに掘り下げられないままスレ最終編に突入して無理やり一気に畳んじゃった感じになっちゃったので
    スレの皆様に受け入れられてたかどうかはちょっと不安ではあった…

    でも個人的にはかなりお気に入りの子なんですよ傷になりたいちゃん。…対策委員会編3章の前提如何では存在自体が消滅しそうで不安ですが…
    いつかどこかで使おうと思って用意してたコラ画像もついでに供養しとく

  • 49初代スレ主24/05/19(日) 20:18:46

    スレ主版テレグラフちまちま作ってるんだけどリンクの貼り方わかんねぇなんだこれ

    …ところで葬長前日譚ってまだ続きあるんですかね

  • 50二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 20:22:27

    >>49

    別スレだけどテレグラフの使い方はここが分かりやすい

    匿名で長文を貼りたいお前に教える|あにまん掲示板bbs.animanch.com
  • 51二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 20:28:13

    >>50

    …あれ、試してみたけどもしかしてテレグラフってスマホじゃ仕様上リンク貼れない!?

  • 52二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 21:19:59

    >>49

    あるよ!

  • 53二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 21:34:59

    「………どうも、お久しぶりですね…」
    「いやぁははは…いつかお会いできますように、とは言いましたが…」

    MTR部連合…とはいえ明確な拠点のようなものは見つからず、あるにはあるのだろうけど部外者である私には調べられなかった。
    けれど―――

    「…どうやってここを見つけたのか、聞いても?」
    「青春と未来を思う少女達の中に、死を思い見据え続けてる者がいるのなら……
    それは、目立ちますから……死に近い者、死へと近づくものというのはね……」
    「死…いやはや、流石はウォッチャーの葬長さんといいますか、正直よくわかりませんがそれが死者を看取り続けてきた秘密なので?」

    ……秘密。
    秘密にするべき力なのだろう、ただの少女が持つものでも扱うものでもないのだから。
    けれど。

    「秘密などでは…ありません……
    見届ける者として…寄り添う者として…当然の技術…
    そう、孤独な死を迎えてしまう方々のための…力です…」
    「孤独な死を迎えてしまう方々のための…ですか」
    「……ええ。
    そして……我々ウォッチャーは、孤独な方々のための組織…
    ……なのですが、ね…」

  • 54二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 21:47:36

    「………本題へと参りましょう?葬長さん」
    「……ええ…」
    「葬長さん自らがいらっしゃるということは、それ相応のお話なのでしょう?」
    「…私は、貴女方を…知りません…
    MTRも、どのような方々なのかも、噂程度でしか分かりません…が、その噂もあまりいい内容ではなく…」
    「………」
    「そして…私はハッキリ言えば…私が知りえるうちのMTRの内容に理解も興味も…共感すらも、示せません…」
    「…へえ」

    あの時の冷たい目を、彼女はしていた。
    まるで敵対者を見るような、警戒をするような。
    けれど、関係ない。

    「けれどその噂を鵜呑みにする事は…できません。
    ですので―――」
    「ですので…なんです?
    理解もできない方を入部させれるほど寛容では、ないのですが」

    冷たい瞳にかける言葉、知らず理解できぬ相手にできる事…それは、一つしか無い。

    「サメ映画を見ませんか?」
    「は?」

  • 55二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 22:04:43

    ―――山海経高等中学校一年生にして、葬儀・介護・福祉を取り扱う企業『ウォッチャー』を立ち上げ、門主とその後継者に認められるほどの経営手腕を振るう少女が一部の生徒の間で話題となったいた。

    それは、孤独に死ぬかもしれない不良少女達の最後の希望で。
    それは、一人さみしく最期を迎える老人達を見送る者で。
    それは――


    「(……死の先を飾り、理想の死を迎える事を手伝ってくれる葬儀屋。
    ………なんです、よね…?)」
    「うっう…うぅ…ペロロシャーク…まさかそんな…
    ずびっ…だ、だめですよ…自分だけペペロンチーノになるだなんて…!」
    「……………」


    「…いやぁ…面白かったですね…ペロロシャークと魔法の地図……」
    「えー…えー…?ええと、その…?」
    「……あ、ご心配なく……
    このお店の味は…ふふ、保証しますとも…私イチオシの激辛ラーメン店ですので…」
    「げ、激辛!?いやそうではなく!」
    「?」
    「そんな一体どうしたのだろう?って顔をしないでくださいよ!?
    あーもう…罠!?罠なんですか!?何を企んでいるんです!?
    悪いですが外には部員たちが待機していますし、カメラだって回していますので下手な真似は!」
    「…???」
    「……え、ええ…?て、天然…?」

    変な人だ。
    ……あっ、激辛は苦手だったのでしょうか?

  • 56二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 22:31:51

    「そもそも……です…
    MTRを知り…連合を知り…それで終わりではないでしょう…?」
    「んぐっ!?ちょ、ま、まっふぇくだひゃ…!
    これほんとから!?」
    「死だけが人生ではないように…
    そして生だけが人生でもないように…一部だけを見て、切り取って、それを見たとして……
    正しい姿は…見れません……」
    「ま、まじめなお話をいま!?いまやるんです!?
    タイミングどうなってげっほげほ!?」

    やはり激辛は苦手だったようです。
    お口直しに餃子を頼んであげましょう。

    「……すみません、にんにく大餃子の16個セットを…
    …ですので、私は…理解できない物は理解できないと、置いておくのです…
    置いておいて…別の部分を、見ることにしています…」
    「べ、別の…?うぅ…お口痛い…」
    「MTR思想が受け入れられない、分からない。
    もうそこは仕方ありません…どうしようもない価値観の相違ほど、解決が難しいものはありませんから…
    ……しかし、だからと決めつけて……致命的な誤解をしてしまっているままなら…?
    ……ただ危険だと、簡単に排斥してしまうのは…正解ではなくただの逃避でしかありません…」
    「…そ、それで…どうしよう、と…?」

    「本当に貴女方が危険なのであれば…普段の生活に現れるはず…
    ふとした瞬間、ふとした価値観、ふとした……人生の1場面で受け入れられない…受け入れてはならない脅威が…映るのです…」
    「……だから、こうして…?」
    「ええ、貴女はその…一人目です…」
    「……なるほど、なんでもない日常を通じて私を監視しようと一人目?」
    「……?当然です、貴女は安全かもしれませんから。
    一部を見て判断してはいけない…そう言ったでしょう…?」

  • 57二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 22:48:01

    「……こんにちは」
    「わっ!?あ、貴女は確か…」
    「葬長と…お呼びください…」
    「あ、あのウォッチャーの!?
    あのあの!私…その、一人で寂しく死ぬつもりはなくて…」
    「………ふむ?
    ……いえ、今日は別件で…」
    「別件…?え、なにそのBD?マッシュルームの野望?
    え、ちょ、ななな!?」


    「んあ?あー…あんた確か…葬長?だっけ?
    葬儀屋の仕事を増やしたくねえなら杞憂だよ、アタシらは自殺魔なんかじゃねーの、あんたの仕事は増やさねえよ…アタシらは、な」
    「……他はそうではないと?」
    「あー?どういう死に方がしたいか、終わりがいいかなんて人それぞれだしよ。
    理想の死に方が結果的に死にに行かなきゃ叶わねえなんて…って、喋りすぎたな。
    ほら、帰れ帰れ!アタシらの事は放っておいてくれ!」
    「………いえ、実はですね…………ふふ」
    「…えっ?なに?ちょ、なんなのそのラーメン?
    えっ赤!?えっ?あ、あの?あの――――」

  • 58二次元好きの匿名さん24/05/19(日) 22:49:33

    >変な人だ


    ブーメラン刺さってますよ葬長

  • 59二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 07:20:48

    やっぱりこの人のテンションは独特だなぁ…

  • 60二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 07:39:56

    SS連載中のところ申し訳ないけれど、この場を借りて>>1やスレ民の皆様に改まってご相談があるのですが…

    今自分が別にやってるSSスレに、ほんのちょっとだけ葬長をゲストとして登場させちゃっても問題ないでしょうかね?

    (特にMTR部のスピンオフ的なスレというわけではないのだけれど、今後の展開進める上で葬長というかウォッチャーがいてくれたらすごく助かるので…)

  • 61124/05/20(月) 07:53:01

    >>60

    自分は大丈夫ですよ、MTR部関係ない葬長を出すなら角は立たないでしょうし

    リンクを貼ってくれると読みに行きますぜ

  • 6260 ◆FriZmlCMoU24/05/20(月) 12:10:15

    >>61

    感謝です!

    関係無い場所で自スレの宣伝みたいなことするのもアレなので名前は出さないですが

    (というか今スレが緒事情で落ちてるのでリンクが張れない…)


    大切にしてたAIがお釈迦になってちょっとしょんぼりしちゃってるミレニアム生のお話なので

    どこかで見かけたら励ましの言葉でも掛けてやってください…

  • 63二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 12:37:44

    「いやぁ、面白かったですね…タイラント・ミッシェル…」
    「いやまぁ面白かったけどさぁ。
    本当にこれでいいの?見極めるために私達に接触してるんでしょ?」
    「そうです…見極めるには…仲良くなるのが1番でしょう…?
    仲の良い人ほど…相手の事を知っているものですから…」
    「否定はしないけどさぁ…
    ……まあいいや!ならこっちも潔白のために仲良くしないと!
    えーと…なにか話題…そうだ葬長!聞きたかった事があるんだけどさ?」
    「…?」
    「葬長って…どんな風に亡くなりたい?
    …あっ!?いやその!脅しだとか、ましてやどんな風に看取られたいかとかじゃなくてね!?
    どんな風にその…」
    「………分かりません」
    「………そっかぁ、そりゃ…」
    「…………」
    「……?葬長?」
    「私は…どのように亡くなるのでしょう?」
    「え?」


    産まれた頃から、死が傍にいた。
    生の中で死を感じ、死に触れながら私は生きている。
    生きて――いるはずなのだ。


    「私はどのように生きて……どのように死ぬのか……
    ………分かりません、分かりませんが…分からなくて、いいと思っています」
    「…葬長」

  • 64二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 12:49:14

    葬長…ちょっとズレてるけど基本的には対話を重んじる人よね
    それはそれとしてタイラントミッシェル草。なつかしいな…

  • 65二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 15:15:44

    「それは…どうして?怖くないの?」
    「…怖い?」
    「自分がどうして生きてるのかも分からないで…どうして平然といられるの?
    どうして、死を…恐れてないの…?
    どうやって死ぬのかも、いつ死んでしまうのかも分からないのに…私達は、怖くて…だからせめて死ぬ時はこう亡くなりたいと、願うのに、なんで…」
    「………さて。
    もしかしたら私は…己の生き死には対して気にしてないのかもしれません……」
    「…………まさ、か…」
    「…私は。
    最期の最期、己が死ぬその時まで…誰かを看取り…苦しみを和らげ……葬儀を行い、魂を見送るでしょう…
    ……それこそが私の生きる道で……ああ。
    終わりは対して、関係ないのかもしれません。
    私の生においては、終点よりも……過程のほうが、私は大切なようです」
    「――なん、で…そんな、へ、平然と……!?」

    ……?
    どうして彼女は怯えているのだろう?
    ……いや。
    もしかしたらまた私は無意識に、ズレているのかもしれない。
    …けれど。だからこそ。

    ズレた、私だからこそ……彼女達を、見極めなければならないのだろう。

  • 66二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 15:44:30

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 16:36:08

    「(―――この人は、この葬長と言う人は…歪んでる。
    普通、人間はどんな風に生きるか、どんな風に死ぬかを目標にして生きている。
    それはつまり――例えば、風紀委員になって悪いやつを捕まえたいだとか葬儀屋になって誰かを送りたいだとかがどんな風に生きるかで。
    私達が考えているようにどんな風に死ぬかも…また、人生の目標。
    けど)」
    『私はどのように生きて……どのように死ぬのか……
    ………分かりません、分かりませんが…分からなくて、いいと思っています』
    『私の生においては、終点よりも……過程のほうが、私は大切なようです』


    「(――葬長、まさかあなたは、結果的に葬儀屋になっただけで…例え風紀委員だろうと不良だろうと商人だろうと、どんな道を歩んだとしても――
    ――誰かを…見送る、看取ると言う『過程』をやり続ける人生を選ぶの…!?

    ……それは、自分が主体じゃない…
    誰かの為の、人生だというのに…!?)」

  • 68二次元好きの匿名さん24/05/20(月) 22:35:06

    懐かしいサムネだと思ったら同窓会みたいな空気感の中上映会してる・・・!

  • 69二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 00:58:50

    ―――――――――――
    ――――――――
    「以上が部員達から集められた報告となります…『部長』」
    「お疲れ様です。
    ……それにしても彼女は、単なる葬儀屋でもなければ…単なる狂人でもないようですね。
    掴みどころが無い…と言えばいいのでしょうか」
    「我々の調べでは次期門主に『MTRを潰す』と言っていたはずですが…特にそのような動きは確認されていません。
    それでいて、ハッキリと理解できないと言ったにも関わらず歩み寄ろうとしているような――」

    「ような、ではなく…実際歩み寄ろうとしているのでしょう」
    「……理解できないし、共感もできないと分かりきっていて?」
    「彼女の価値観は普通に見れば矛盾だらけです。
    理解できないけれど理解できると思うから歩み寄る。
    MTRを潰さなくてはならないが潰す必要は無いと思っている。
    ―――命の重さと人生の価値を理解しながらも、自分自身の人生の在り方やその死などは全く考えていない。
    全くもって荒唐無稽な話ですが――彼女目線では、それらは全て矛盾せず一つの線の上で共存している」
    「……訳がわかりません」
    「全くです。
    ですが……そうとなると、かなり厄介です。
    分かろうと思えば分かる、けれど普通に考えても分かることはできず…
    理解し合えることはできるけれど、本当の意味では理解できない。
    そんな狂人が…友好的に接してきた。
    ――しかも、下手に拒めないと来ましたから。

    ………どうするべきなんでしょうね?はぁ……」
    「……部長、私なんだか…彼女に苦労させられそうな気がしてきました。
    1年先も、2年先も…」
    「……そこまでMTR部が続いているといいのですがね」

  • 70二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 01:25:00

    誰にも理解できない性格になったのは死が身近なせいなのか天然物なのか…
    とりあえず変人であることには間違いないけど

  • 71二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 06:14:36

    (ぶっちゃけ葬長の考えって人間の本質じゃね...?人生って今の瞬間、過程しか実際は経験できないからとても上手く本質を着いていると思います 逆に今じゃなく終わりや理想を掲げる人って結構ヤバいような...)

  • 72二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 11:02:58

    >>71

    その本質を捉えられる人ってのも、まっすぐ本質に向かえる人も少ないから…

    MTR部の半分くらいだって「将来や死が怖いからせめて理想道理に死にたい、そのためにヴィジョンを見なければならない」っていう逃避のために死を見てる部分がある


    逆に言えばどんな風に生きるかって目標もどんな風に死にたいかって逃避もなく今を生きれる人は最も人間らしくもあり最も人間らしくないとも言える

    まさに葬長のように、矛盾しているようで一つの線の上で共存している

  • 73二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 11:20:15

    どんな人間でも一つくらい逃避するもんだからね

    もちろんMTR思想も異常側ではあるけど、それと同じくらいに他人の将来や死、人生を見てるのに自分に関しては自分の使命しか見ず言われるまで思いもしなかった葬長も立派に異常側

    だからこそ葬長は歩み寄れるし自分がMTRを何とかするべきだって考えてるっぽい?

    >ズレた、私だからこそ……彼女達を、見極めなければならないのだろう。

  • 74二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 20:16:14

    果たしてこの頃の部長は我々の知ってる部長なのだろうか

  • 75二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 20:23:25

    >>74

    そりゃぁ葬長が一年ならつまりそういう事だろ

  • 76二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 01:21:45

    寝る前保守
    MTRスレ完結してから見始めたからこうして雰囲気感じられるのありがたい
    今からお盆が楽しみ

  • 77二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 06:25:18

    ――――
    ――
    「……ふむ」
    未来が、死が怖い。
    だからこそ…理想を思い浮かべ逃避する。
    あるいは…恐ろしい結末を避けるべく、理想へと進む。
    ――それが、彼女達が集まりMTRを掲げる理由なのでしょうか?
    「そこを探ったつもりは無かったのですが…案外、理解できる理由でした……が…」

    ……とはいえ。
    なにか、何かが足りないような…
    「…私が、詳しく聞かなかったのは拒絶されていたから…
    だからこそ…関係ない部分から彼女達を知ろうとした…けれど……」

    何故彼女達は同胞を探し…そして、分かりあえない者を拒絶――いや

    「……分かりあえない者を拒絶しているのではない、のだとすれば…?
    …彼女達の活動は、人はいらないはず…
    規模も、何もいらない…語り合う友さえいればそれで完結するはず…」

    『アタシらは自殺魔なんかじゃねーの』
    『…アタシらは、な』

    「………むしろ、語り合えないほど方向性が違う者が集まって…それがかえって、外部から警戒される要因となっているのに…それでも、人を、メンバーを集めている…?」


    …何かが、隠れている気がする。
    それも――私の『死の気配を知る』力では、探せない何かが。

  • 78二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 06:40:12

    「………」
    拠点を持たない、神出鬼没の彼女達に接触できたのは私の気配察知があったからこそ。
    けれどそれで探せない秘密と言うのは――

    「……?おや…」

    考えを巡らせていれば、誰かが来る。
    あの服装は…トリニティの?

    「あなたが葬長?」
    ――――ううん、困った。
    「MTRを嗅ぎ回ってる部外者、よね?」
    「……ええと」
    荒っぽいのは、苦手なのだけれど。

    「そろそろここらへんで手を引いて欲しいの。
    私達は私達で、ただ思い思いの理想を思い浮かべて語っているだけ。
    誰にも迷惑なんかかけてなければ警戒されるようなこともしていない。
    ――ましてや、立派な企業のウォッチャーが関与する必要なんてないでしょ?
    だから…引いて」

    「それは……お願いですか?」
    「……ううん、これは―――脅迫」

  • 79二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 06:52:13

    「………脅迫」

    やはりおかしい、何故ここまで他者を拒むのか。
    それでいて同胞を見つけては勧誘し勢力を拡大して…それが迫害の理由になっているというのは、分かっているだろうにどうして?
    眼の前のこの少女は…見た所、一年生だろうか?
    メンバーの一人が勢い余って独断で私に言いに来た…という可能性もあるけれど。

    ――彼女の目は、何かを背負う者の目だ。
    死者を見送る私とは違う。
    何かを背負って…抱えて…それを守り続ける者の眼。
    「……そう、ですか……
    しかし私は…今更退けません…」
    「そう、なら残念だけれど」

    彼女は銃を手に取り、私へと――
    ―――――あ。

    「―――――」
    「力ずくで………ねえ、どうしたの?」
    「――死の、気配」
    「…!?」

    行かなくては。
    …救わなくては。

  • 80二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 07:31:47

    怒らせると怖い人来たな…


    >荒っぽいのは、苦手なのだけれど。

    嘘つけ葬長絶対MTR部でも上から数えた方が早いだろ!

  • 81二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 07:38:01

    本編だと葬長は三年だから充分いつの間にか代替わりしてても不思議ではないライン

    >>75

  • 82二次元好きの匿名さん24/05/22(水) 17:19:52

    どーなつぐみや狼煙組もこの頃から原型あったのかな
    今より殺伐としてそうだぁ…

  • 83二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 01:19:51

    「――――」
    「…………」
    私はただ彼女を見つめ、彼女もまた私を見つめるだけだった。
    ――手遅れだった、私が処置をできる領域はとっくに越えている。
    応急処置は済ませたが、到底助かりはしない。
    ちょうど終えたところで先程のトリニティの生徒が追いついてきた。
    …全力で駆けてきたのだけれど、思ったよりこの子は足が速いようだ。

    「……うそ、ほ、本当に人が…!?
    は、はやく!はやく救急車を……!!」
    「…既に呼んであります、ヴァルキューレとウォッチャーの看護チーム……」
    ―――そして
    「……まさか」
    「………」
    ただ、口に指をあてる。
    例え結果が目に見えていても私達は当人を前にその『言葉』を言ってはならない。
    医師が患者を不安にさせないために失敗を口にしないように、役者が己の体調不良を晒さぬように。

    「………」
    けれど、大丈夫とは言わない。
    彼女も分かっているのだ、自分がここまでだと。
    「……、ねぇ…」
    「………なんでしょう?」
    「……ふふ、あなた…ウォッチャーの…死神さん…?」
    ……死神、それはまた。
    「光栄です」
    「……皮肉を……ふ、ふ…素直にうけとるなんて…
    ピュアな死神が…いたものね…」
    「……皮肉」
    ちょっとショックだ、死神…立派でありカッコいいのに…

  • 84二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 01:29:21

    「……トリニティの…お嬢様もセットなのは、誤算だけれど…」
    「…!ぇ、ぁ…」
    「退散…させますか…?」
    「…ふ、ふ。
    大丈夫、一人で死ぬよりは…いいから…」
    「……分かりました……」

    死の間際の、最期の会話。
    求められたなら付き合い、求められないのならば黙り。
    求められたのならできるだけ答える。
    ―――せめて、この世を去る者への手向けとして出来る限りを行う。
    それがウォッチャー、看取る者故に。

    「…………」
    「……一つ、お願いして…いいかしら…?」
    「なんでしょう……?」
    「……なでて。
    …褒めながら、なでて…」
    「…分かりました」

  • 85二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 01:37:58

    「……」
    葬儀を終えて夜になる、彼女は骨となり共同墓地へと送られ石碑にその名が刻まれて。
    それで…それまでだ。
    私が、私達ができる事はそれまでなのだ。

    「……大丈夫…ですか…?」
    ――死者に関しては。
    葬儀を終えてもまだ、残っている事がある。
    「いつもあんな事をしているの?
    …とても慣れているみたいだったけど」

    結局、トリニティの彼女は葬儀を手伝い、参加して――弔った。
    全てが終わってからは葬儀場のソファにもたれかかり放心しているようだった。

    「慣れていますし……それが我々の仕事です……」
    「……そう。
    ……私は、慣れないわ…」
    「………怒らないで聞いて下さい」
    「言葉によるわ」
    「……意外です」

    私はデコピンを受けた。

  • 86二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 01:47:12

    「……痛い…」
    「はぁ…デリカシーの欠片もないわね。
    いくらMTR部でも誰かが亡くなるのは悲しいし、何よりもMTR部は『こう死ぬことができたらいい』という理想を思う部で――死にたがりが来る場所じゃ、無い。
    だから人死にはあまりないし、誰かの死を看取ることなんて……」
    「……違います」
    「…何が?」
    「慣れないと思うくらいには……経験がある事が、意外です…」
    「………!」

    私は死に近い。
    けれど、それはそれとしてキヴォトスは死が遠いのだ。
    爆発も銃撃も事故も……それらはキヴォトスの外では致命的な出来事であるらしい。
    けど、私達はとても頑丈で。
    だから――という訳ではないけれど、治安の割には死は遠い。
    とても遠い、だからこそ。

    『死』を知るものは少なく、慣れるも慣れないも――そもそもそこへたどり着ける者はあまりいない。
    生徒なら、尚更。

    「……それは、その…こんな部活だし。
    やっぱり、死に向かうのもいるからで…」
    「…貴女は、そう言った思想の派閥からはむしろ…遠い派閥にいると認識していたのですが……」
    「………へえ?」

    ――この部活の人達は冷たい目線を出すことが必修科目なのだろうか?

  • 87二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 02:00:06

    「ねえ、本当にどこまで探りをいれているの?
    本当にどこまで私達の事を調べて――!」
    「分からないから、分かりました」
    「――はぁ?」
    ふざけるな、という顔をしているけれど…私は大真面目で、私が得意とする『知る』方法。
    理解できないことも知らないことも…『知らない』を浮き彫りにすれば、分かるのだ。

    「……まず、疑問に思ったのが貴女方がMTR部の勢力を拡大させる理由です……
    普通に考えて……『こう死ぬことができたらいい』なんて思想を持つのに、人数はいりません…」
    「……」
    「それでいながらしっかりと部員の厳選…相入れぬ者、危険そうな人物を取り除く…
    ……単に派閥がありそれぞれが引き抜いているならともかく…貴女方には、核が…中心が見えました…
    ……実際、幹部らしき方も兵隊らしき方々も、何も知らない方々も存在していました…」
    「じゃあ、危険な組織だとでも思ったの?
    それなら残念だけど――」

    「それなら、わざわざ私から手を引く必要がありません…」
    「……?」
    「相入れぬとはいえ…企業を保有し、それでいて『死』という根本は共通して……
    ……何より、代表が一年生というウォッチャーを保有している私を利用しない手は、ありません…」
    「!!」
    「けれど、利用も何もせずリスクを警戒して手を引く…というのは…
    ……短期的な利益がいらず、組織の崩壊が最も避けるべきであるということ…
    けれど、ウォッチャーに最初は友好的に接した辺りウォッチャーのような企業の力は必要である、という事でもあります…」

  • 88二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 02:12:24

    「……資本、資金源が必要である。
    そしてキサキ様のような権力者も敵に回せない辺り…突発的に事件を引き起こす過激な思想の団体でも無い…
    だって、そうでしょう…?
    本部も拠点もない勢力が……なんでわざわざ、軋轢や政治を気にかけるのでしょう…?」
    「……あなたは」

    間違いかもしれない。
    けれど、真実なら――私の推理が、正しいのだとすれば。

    「次に…私は死を知る事が、できます…」
    「…ええ、私も見たわ。
    単なる都市伝説かと思ったけれど…それがどうかしたの?」
    「…死にたがりや死を思う方の気配も察知できる、だからこそ…私は貴女方の集まる場所を知れました。
    けれど……
    ……そうして得た情報は、知り合った方々だけでは何か…足りないのです」
    「………」

    感じていた違和感がある。
    そも、ただこうやって死にたい、と思う集まりなのであれば――
    「どうして…死にたがりだなんて呼ばれるような武闘派の方々や、あなたのような何かを守ろうとする方が現れるのか…?
    それぞれの思想が問題なら…隠せばいい…
    貴女方に武力が必要だとは――思えない。
    なのに必要だとするのなら、それは………
    ………守るべき者が、いるからでしょう?」

  • 89二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 02:20:03

    「死の気配を出さず、守る必要があり、資金が必要…
    資金集めのためにも…そしてそれら守るためにも人員が必要である…
    ……ふむ」
    「あなた、本当に葬儀屋なの?」
    「葬儀屋です…少しばかり死に敏感なだけの……
    ……さて、貴女はおそらく…
    …その守るべき者を、守るために尽力している方では…ありませんか?」
    「………。
    …ええと、……。


    ………ええ、そうね。
    名前も何も無い、細かく言えば――MTRの衰退とともに派閥の名すら亡くなってしまったその役割をどうにか繋いでいる。
    MTRの中で…いいえ。
    MTR思想が無くとも、心が折れかけていて、弱く、助けが必要なのであればその子達を救う。
    そのための派閥の――最後のメンバー。
    MTRが組織たる理由の――一片。
    それが、私達よ」

  • 90二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 02:42:45

    組織である理由は他には暴走しかねない生徒を取り込むことで抑えたり『書庫』の管理だったっけ?
    これらは1年時の葬長ではまだ分からないか流石に
    ……むしろ何も知らない状態からこれ導き出すのエグない?

  • 91二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 09:06:38

    各方面に連絡入れつつ応急処置をした辺りでようやく追いつかれて「足が速いようだ」ってどんだけのスピードで駆けてきたんですか葬長

  • 92二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 12:14:00

    「……やはり、そうですか」
    「で、それを知ってどうするつもり?
    同情でもする?それとも――」
    「…吸収をしようにもできませんよ、私だって…ストッパーを壊すほど…愚かではありません……」
    「…本当に、どこまで分かってるの」
    「……流石にここまでです…
    ……守るためならわざわざMTRにいる必要も無い、けれどMTRに必要で守られている…
    ……守られている、ようで…MTRを今程度の安全な組織に留めているのは、守られている子達があってでしょう…?」

    どんな猛獣も、心があるのなら。
    子を守り、自ら破滅へと向かうことも無く―――少なくとも巣の近くで暴れることはない。

    「MTRは死を恐れるが故に死を思い、未来へと歩むことができる思想であると……私は皆さんの話を聞いて解釈しました……
    ……つまりは、死ぬためではなく『生きるため』の思想なのだ、と…
    そんな思想だけれど、やはり内容が内容だけに自ら破滅してしまう方もいる…でしょう?」
    「………そうね。
    私達は自殺サークルでも無ければ――テロリストの養成所でもない」
    「だから死へと向かわせないために……ストッパーがいる…
    ………倫理観を持ち、死を恐れ、臆病で、弱く……下手なことをしてしまえば傷つけてしまうようなそんな存在が、必要だった……」

    ―――それが全てだとは思わない。
    けれど、それがMTR部であることに、MTR部の仕組みであるのなら。
    私がする事は、一つだろう。

  • 93二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 12:27:00

    「……ええ、私達が守っている子はもちろん。
    死へと向かうような奴らだって、人でしょう?
    未来があって、まだ人生がある…なのに。
    なのに、命を自ら危険に晒すだなんて――!」
    「――私は、看取ることも看取られることも…良く思ってはいません…」
    「……?」
    「死を想いながら生きるのも私達のような役割の者で十分だとも思っていますし、できる事なら普通の青春を歩んでもらいたい…死など考えず、過ごして欲しい…
    ……けれど。
    それができない方も、私には理解できない人も考え方も…そして」

    彼女の目を見る。
    まっすぐ、真剣に。

    「そうしてはならない組織というのも、存在するのなら。
    なら私は―――」
    手を、差し出す。
    「共犯者になります、死を見届ける事が使命である私が、理想の死へと向かう事を教義とするのに――その死を否定し、繋ぎ止めるという貴女の、共犯者に」
    「……それは、どうやって?」
    「私に、企業にできる力で。
    ……企業というのは、闇を抱えているものでしょう?
    誰かの夢を否定する行いは、闇です。
    たとえその夢が――理想の死を迎えたいというものでも」

  • 94二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 12:37:45

    「――どうして」
    「……どんな人間でも、どんな大悪党でも、人々から理解できないと言われた人も、自殺しようとした人も……」

    『だ、き……し、め…』
    『……なでて。
    …褒めながら、なでて…』

    「…結局のところ、女の子なんです…
    死が怖くて、後悔して…最後にはぬくもりを求めてしまう。
    最期に満足なんて、ありません……ただ代替品があるだけで…結局、彼女達は死よりも今傍にある何かを求めてしまう…
    葬儀屋が、こう言っていけないのでしょうが……

    ……終われば、それまでなんです。
    その人も、その人との思い出も。
    良いも悪いもなにもなく…それで物語は、終わってしまう。
    映画と違って続編もない……」
    「……そう、そう…よね。
    …………終われば、それまで」
    「だから、望まれないとしても、私は……」

    彼女もまた、手を差し出した。
    お互いに手を握りあい…誓いを今、私達は建てる。

    「青春を、守ります……
    無理だとしても、後悔が続くとしても…」
    「……最低限しか、守れないとしても?」
    「それでも、です…たとえ貴女がいなくなったとしても、私だけになったとしても…
    ……それが私の使命じゃ、ないのだとしても」

  • 95二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 12:42:46

    「……1年時間をあげます、なので1年時間をください。
    それで準備を終えます……」
    「…ふふ、なら私も準備を終わらせるわ。

    ……ねえ」
    「…?なんでしょう?」
    「私、あなたが嫌いよ―――ヘドがでるくらい」
    「―――ふふ、なら私は貴女を好きでいてあげますよ」
    「…天邪鬼」
    「多数決が行われると……ついつい半々にしたくなる性分なので…ね」

  • 96二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 17:39:11

    誓いあった彼女は園長なのか、それとも園長のようで違う別人なのか

  • 97二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 17:57:38

    >>96

    もしかしたら入院しているという妹さんの可能性も…?

  • 98二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 18:06:10

    >>57

    下の子は狼煙組ぽいけど

    上はどこだろう

  • 99二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 18:51:40

    望んだ死を目指すMTRの中で望んだ死に向かわせない二人はある意味裏切り者なんだよね
    でもその裏切りは元々MTRの役割として存在しなきゃいけないっていう、組織の仕組みとして仕込まれてる裏切りでもある
    歪だけど矛盾しない、異常だけれど普通でもある
    ある種これがMTR部と葬長のテーマなのかな

  • 100二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 22:00:54

    ―――――――
    「…え、ええと…葬長さん…?」
    「………どうしましたか……?」
    「あの、理想のシチュエーション欄に『なし』は流石に…」
    「……おや?部長、私が聞いていた話では…
    …看取り手の入部が最近可能になったと…聞いたのですがね…」
    「えっ」


    『看取り専も入部ヨシ!』
    『やったー!流石部長は話がわかるなぁ!』


    「な、な、な…ま、まさか彼女は…!?」
    「……はて、何のことやら…
    …それに、ウォッチャーの使命として亡くなるその瞬間と死後を、本人の理想通りにするために……
    『こんな風に亡くなりたい、という理想』を叶えるために我々は近くにいるべきです…」
    「う、うぐ…!理にはかなってますけど…!
    いやしかしそろそろ資金も…拠点だって…いやいやいや!」
    「……ふふ、それに。
    医療班も…必要でしょう…?
    我々も1年前から医療分野に力を入れ始めまして…ね…
    ……望まぬ死を取り除くことも、我々ならば」
    「ぐ、ぅ……あーもう!分かりました!分かりましたよ!
    ……ほんと、看取られシチュが『なし』の入部届けなんて本来は受け入れられないんですからね!
    特例、特例ですから!そこのところを―――」
    「―――――死の、気配」
    「…ちょっと?聞いてます?あれ!?ど、どこに!?
    葬長ー!?」

  • 101二次元好きの匿名さん24/05/23(木) 22:03:42

    ―――これが、彼女の前日譚
    この1年後……彼女が待ち望んでいた『大人』がMTR部に訪れるのはまた、別のお話

  • 102124/05/23(木) 22:08:41

    と言うわけで長々と書きましたがこれにて葬長の前日譚は終わりです!
    膨らんだなぁ…

  • 103二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:43:59

    おつでした
    今になって葬長の話が読めるとはね…

  • 104二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 07:10:36

  • 105二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 12:08:36

    1番の裏切り者はクソ映画を作りながら部員達を見守っていたんやなって

  • 106二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 17:18:38

    改めて思うとMTR部の組長達って運営側というか、どっちかというと自分のMTRよりは部員たちのために尽くしてる人たちよね
    真っ当にMTR目指してるのは案外ファイアフライの隊長くらいか

  • 107二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 17:33:11

    MTR部はあにまんで初めてSS書いたスレだったのでかなり愛着あるんですよね
    機会があればまたいろいろ書いてみたいって思いは当時からずっとある

    …というわけで、せっかくだから何か機会があれば投稿しようと思ってたネタでもどうぞ

  • 108~MTRビデオレター①~24/05/24(金) 17:40:11

    いえーい、ホシノ先輩見てるー?
    今からあなたの大切な後輩が御臨終しちゃいまーす!
    あ、今のは「いえーい!」と「遺影」を掛けたブラックユーモアで……な~んて。

    ──改めて、お久しぶりですホシノ先輩。お元気でしたか?
    私は……まあ、見ての通りですね。たぶん致命傷です。
    先輩がこのビデオレターを見ている頃、私はもうこの世にはいないんだろうなって思います。
    幸いスマホは無事だったので……大慌てで、こんな動画を撮ってるってわけです。
    できれば直接先輩に看取られたかったんですけどね……あはは。

    うえぇ、なんて言ってる間に……そろそろ、タイムリミット、みたいですね……
    ……皮肉だなぁ。勝手にアビドスを見限って、せめて私が生きてるうちに最期を看取りたいって思ってたはずが……私の方がアビドスよりも先に終わっちゃう、なんて。
    こういうのをきっと、本末転倒って言うんでしょうね……私って本当、最後までダメダメだったなぁ。

    ……それでも。
    こんな私でも、あなたの記憶に遺して貰えるなら。
    ほんの少しでも、あなたにとっての傷になれるのなら。
    ……そうしたら、誰に顧みられることもないモブキャラみたいな私の人生にも、ちょっとくらいは意味があったのかなって……そんな風に勘違いしたまま逝けるかも、なんて思うので。

    だから、先輩。
    一生に一度だけのお願いです。

    どうか、わたしのことを──

  • 109~MTRビデオレター②~24/05/24(金) 17:47:19

    ────────


    “えぇ……何この動画……?”


    「……何って、最近部活で流行ってるMTR(みとられ)ビデオレターですけど?

     自分の今際の際を動画で撮影して、死後に遺書代わりとして看取り手の方へ届けて貰う……って趣向のビデオメッセージです!

     ……まあ、流石にホントに死ぬわけじゃないし、ましてホシノ先輩に見せたりなんて絶対にしませんけど。また学長に怒られちゃいますし!」


    「……ただ、やっぱり人間いつ死んじゃうか分からないし、備えあれば憂いなしって言うじゃないですか。

     『その時』がいつ来るかなんて誰にも分からないから、せめて大切な人にだけは自分の最期の瞬間を覚えていてほしい。そのためのリハーサルってとこですね。

     ……誰にも寄り添って貰えずに、ひとりぼっちで死ぬのは寂しいですから」



    「ってなわけで先生! ここはひとつ、先生もご自身の大切な人に遺すためのビデオレターを取ってみては?

     ぶっちゃけ先生って私たち以上に命知らずな人生送ってますし、こうして凝ったMTRシチュ考えるのも案外楽しかったり……」

    “……とりあえずこの動画は削除ね” ポチポチ

    「そんなー!?」


  • 110二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 23:20:51

    園長の妹とかいう謎に包まれた存在…
    そういや隊長がキャスパリーグと並び称してたゲヘナの魔人サイレントデーモンは実は副園長の異名ってのも回収しそびれてたっけ…

  • 111二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 09:40:25

    それではお盆にまた

  • 112二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 12:41:12

    こうしてレスや感想があるのを見るとMTR部にひかれた人多いんだなって
    本編でもいろんな設定や生徒が明かされて中にはMTR部と関りが深くなりそうなところもあって
    再開できる日が待ち遠しいな

オススメ

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