- 1二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:29:03
トリニティ付近に捨てられて衰弱していた赤ん坊を拾ってしまったセリナ
周辺状況のきな臭さから救護騎士団で世話をすることを決める団長
以降救護騎士団の出動時、背中に赤ん坊がおんぶされている姿が目撃されるように
----------------------
という概念をSSにするスレ。なんだかんだで4スレ目。
概念や、ありそうなシチュエーション、見たいものの概要を書いてくれたら
俺がSSにしていく、そういうスレです
お前らが考えて、俺が書く
書きたい人は自分で書いてもいいのよ!
本編は(たぶん)もうすぐ終わるけど
スレが落ちない限り、ネタが続く限り
番外編としてだらだらと書かせてもらおうと思う
お付き合い頂けるととても嬉しい - 2二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:29:13
パート1
ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記|あにまん掲示板トリニティ付近に捨てられて衰弱していた赤ん坊を拾ってしまったセリナ周辺状況のきな臭さから救護騎士団で世話をすることを決める団長以降救護騎士団の出動時、背中に赤ん坊がおんぶされている姿が目撃されるように…bbs.animanch.comパート2
【SSスレ】ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記 Part2|あにまん掲示板元スレ:https://bbs.animanch.com/board/3194432/概念をSSにするスレ概念や、ありそうなシチュエーション、見たいものの概要をお前らが考えて、俺が書くこのスレが落ちな…bbs.animanch.comパート3
【SSスレ】ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記 Part3|あにまん掲示板概念をSSにするスレ概念や、ありそうなシチュエーション、見たいものの概要をお前らが考えて、俺が書くこのスレが落ちない限り、概念が続く限り、だらだらと書いていこうと思う非才の身だが、暇だったら読んでいっ…bbs.animanch.comパート4
【SSスレ】ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記 Part4|あにまん掲示板トリニティ付近に捨てられて衰弱していた赤ん坊を拾ってしまったセリナ周辺状況のきな臭さから救護騎士団で世話をすることを決める団長以降救護騎士団の出動時、背中に赤ん坊がおんぶされている姿が目撃されるように…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:29:39
このレスは削除されています
- 4二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:31:37
- 5二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:36:32
これ時間帯的にスレ落ちないかペロ?それとも10レス目まで保守連投して大丈夫ペロ?
- 6二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:37:17
10レス目までいるんだっけ…?
もう一本書くか… - 7二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:38:26
あ深夜だから、大丈夫そうペロ。今13時に落ちる感じになってるペロ
- 8二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 01:41:47
スズランちゃんは色々な生徒とプレゼント交換できたペロね。流石に全部は付けてるとごちゃごちゃしてしまうから、日ごとに付け替えするペロ。そして今日はどれを付けてくるか、予想して盛り上がるトリニティ生ペロ
- 9二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 02:16:55
子育て日記:番外編 クリスマス翌日
――――――――――――――――――――――――――
さんざんにわんわんと鳴いて、スズランは喜んだその翌日
少し遅めに起きた私達が顔を洗おうと部屋を出ると
私たちが暮らす私室の前には見覚えのないクリスマスツリーが立っていた
「…これは…なんでしょうか…」
そのふもとには山積みのプレゼントボックス。
頭を抱える程の量に、今日も救護の意思を改めていた心が少し折れかける。
確かに、クリスマスというのはそういうものなのかもしれないが
いくらなんでも、という量に私達は寝巻のままに立ち尽くす
寝癖を立てたままのスズランがドアの影からそれを見ると
「ほぉお!」と感嘆の声を漏らした
「さんたさん、いっぱいきたねえ…」
誰から誰宛、とも書いていないそのプレゼントボックスには
本物であったり偽物であったり色々な羽が挟み込まれていた。
ということは、きっとこれはスズラン宛なのだろうけれど
誰かこの量になる前におかしいと気付けはしなかったのだろうか。
というよりもこんな大きなクリスマスツリーを室内に運び込める人を私は数える程度しか知らない
「……セリナ。シスターフッドにお願いをしておいてください
明日にはこのツリーの片づけをお願いしたいと…私には…荷が重いです」
「…やっぱりそうですよね。」 - 10二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 02:17:13
セリナはちょっとだけため息を漏らしながらせっせとプレゼントボックスを部屋の中に運び入れる
スズランは「どうするの?どうするの?」と私の顔を覗き込む
「スズランがいい子にしてたから、いっぱいプレゼントが貰えたのですね
…朝ごはんを食べたら開けましょうか。」
―――――――――――――
顔を洗い、朝食を済ませて自室に戻る。
本来であれば部室に向かい、体調不良の方がいないことを願うのだが
プレゼントの山にスズランが目を輝かせていた
プレゼントを空ける前に箱に挟まれたその羽根をしげしげと
「これねー、しすたふのねー」と誰の羽根かを言い当てる
次々と生徒の名前を言うので、本当に合っているのだろうかと疑いたくもなるが
このこの羽根好きはそんな常識で測れるわけもなく
スズランの手によって図鑑の中の同じ白でも特に同じ色、同じ黒でも特に同じ色のページに仕舞われる
「スズラン、もしかして本当に分かっているのですか…?」
「?」
スズランが箱を空けながら「なんでそんな当然のこと?」とばかりに振り返る
子供の目というのは恐ろしい
きっと匿名のつもりでスズランの羽根を添えたであろう生徒の名前は
隣でそれを記録していたセリナの手によって、誰がどんなプレゼントをしたか記録されていた
さて、そんな中ハナエの動きがなんだか怪しい
山積みになったプレゼントの中に、背中に隠したプレゼントを紛れ込ませようとしていた
- 11二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 02:17:24
「ハナエ、何をしているのですか?」
「えっ!?いや!なんでもないですよ~」
慌てて背中に隠されたプレゼントボックス
直接渡せばいいのに、なんでそんな回りくどい事を
と思ったのだが、そういえばハナエはまだサンタを信じていたのだ
私の目に観念をしたのか、プレゼントの箱を背中から取り出した
「私だってスゥちゃんのサンタさんになりたかったんですー!サンタさんだけずるいですー!」
そしてそんな私の後ろでは
「せりまま、それなーに?」
セリナが同じことをしようとしていたのを、スズランに見つかっていた。
「まったく、2人とも直接渡してあげればよいではないですか…」
「私は知ってますよ!団長もこっそりプレゼントを用意してましたよね!」
「え、セリナ先輩それ本当ですかー!?
じゃあなんでミネ団長は…あ!ツリーのところにそっと置いてる!」
私はセリナとハナエに追い詰められる。
部屋の隅まで追いやられて、自分のプレゼントボックスの隣まで。
その後ろには二人の真似をして私を追い詰めるスズラン。
「分かりました!じゃあみんなで開けましょう!」
- 12二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 02:17:34
私が観念してプレゼントボックスを手に取ると
スズランの前に並んで、一緒にプレゼントボックスを開く。
すると2人の箱の中からは、いや私のものも大差はないが
それぞれが救護騎士団の意匠の制服を模した服を取り出す。
お互いのプレゼントを見て顔を見合わせる。。
考えていたことは同じだったようだ。
「……きゅうごふく!」
スズランが喜びのあまり私達の胸へと飛び込んだ。
そしてまとめてすりすりと頬ずりをして「まま、だーいすき!」と声を上げた。
ちなみに他の生徒達のプレゼントボックスの中身には
子供用の携帯用救急キット、私と同じメーカーの大盾、ミレニアムサイエンス製のおもちゃ
スズラン宛のものだけかと思いきや「救護騎士団の皆さんへ」と書かれたプレゼントも混ざっており
その中にはちょっと高めの医療品やお菓子など、色々なものが入っていた。
誰とも分からないが、私たちの活動が認められていうようで少し嬉しくなる。
そして楽しそうに箱を開けるスズランには申し訳なくて言えなかったが
羽根が添えられていなかった箱の大半は、これは先生からの物では?と思われる
校外でというよりも各学区で玩具だった
- 13二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 06:58:58
ピクニックの羽まみれになったとこで、そんな混ざり合ったらどれが誰のかわからんなと思ったけどスズランはすごいね
- 14二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 13:58:31
早めの保守ペロ
- 15二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 16:13:59
先生はダダ甘
- 16二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 17:48:15
主観にまみれた概念保管所
・スズランのおうた(シスターの聖歌編、ミカとキリエ編など)
・スズラン、はじめてのおつかい
・言葉を覚えるスズラン(わっぴ一編、ばにたす編など)
・編み物挑戦スズラン
・年越し後に旅行編
・正月太りスズラン
・他校絡み(忍研、ゲーム開発部、rabbit小隊、ヴァルキューレ、便利屋などなど) - 17二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 18:01:41
補足並びに没案まとめ
「他校ひっくるめて大冒険するスズラン」と記載していましたが「大冒険」に関してはトリニティ内で既にしているので「他校絡み」として統合
マリー孤児院育ち概念について
正直このスレで触れる理由あんまりない
・卒業式→ただの個人の妄想になる
・誕生日→卒業式を書く必要があるから
・幼児退行ナギサ→それはもう別スレ
・スズラン×アリス×イブキ
シンプル登場人物多すぎ
一番下見てぇ〜 - 18二次元好きの匿名さん24/05/24(金) 23:15:16
保持
- 19二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 00:51:30
- 20二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:43:29
- 21二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:44:14
子育て日記:182日目 鷲見セリナ
クリスマスから数日、冬の長期休講となりましたが寮に残る生徒も少しはいるため
彼女たちの体調不良に備えて、今年は私達も寮に残ることにしました。
といっても、スズランちゃんと離れたくない、というのが本音です。
――――――――――――――――
「…これは駄目ですね。」
「これは駄目ですねぇ…百鬼夜行の文化…素晴らしいものです~」
「あ゛~い゛~」
救護騎士団の部室の一角にはタタミとコタツが設置されている。
クリスマスプレゼントの中の一際大きな包みの中にあったテーブルと布団のセット
取扱説明書に従って組付けて見たら、そこは冬のバカンススポットになった。
私とハナエ、スズランがとろけるそれを横目に、ミネ団長は膝の上のスズランにみかんを剥く。
ミネ団長がスズランの口元にみかんを近づけるとパクりと一口
「しゅぱあっまー」と幸せそうなスズランの顔を覗き込んでニコニコ。
特番の番組を見ながら私達はのんびりと過ごす。
それもそのはず、長期休講ともなれば校外に出る事も多く校内に残っている生徒は少ない。
そうなれば、おのずとけが人や体調不良者の数も減るもので、昨日なんて誰も部室には来ていない。
「救護を求める方がいないというのは、良い事ですが…」
「このままだと太っちゃいそうですね…」
テーブルの上にだらんと溶けたハナエが返すと団長は決意をしたように立ちあが
…ろうとしてその寒さに動きを止め、コタツの中に吹き込む冬の空気に私とハナエが文句を言う
- 22二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:44:27
「団長!寒いんですからお布団捲ったままにしないでください~」
「そうですよ団長、暖かい空気と電気がもったいないんですから…」
私達のクレームに、動きを止めていた団長は無言のまま立ち上がって持ち上げていた布団を降ろす。
スズランを胸に抱いたまま、団長は数歩下がって靴を履く。
そしてスズランを遊び場に降ろして電気ストーブを点けると、つかつかとこちらへと戻ってきた。
「あれ?スズランちゃんと遊びに行くのかと思ってましたが…」
「私達は部室で待機しますので、大丈夫ですよ~」
ミネ団長がコタツの淵に手を掛ける。
そして大きく息を吸い込むと、いつもよりも数段と気合の入った掛け声
「救護ッ!!!」
コタツとみかん、みかんを収めていたかごが宙を舞う。
すっかりこたつに溶け切っていた私達を、真冬の空気が凍り付かせた。
そんな私達をよそに、ミネ団長は宙を舞っていたかごを掴み、みかんが地面に落ちる前に回収すると
ひっくり返したコタツの前でミネ団長は腰に手を当てて宣言する
その後ろではスズランも同じポーズを取って胸を張る。
「セリナ、ハナエ!外に出ますよ!外には救護を求める方たちがいるかもしれません!
私には救護の意思が足りていませんでした、そしてあなた達にも救護の意思が足りていません!!」
「そだー!きゅうごー!」
- 23二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:44:44
―――――――――――――――――
「ゆーきー!」
部室を出ると、そこは一面の銀世界。
空を見上げると太陽は薄灰色の雲の向こうで遠く輝いて、ここまでは温めてくれない様子。
それでもキラキラとしたとした白銀の世界に、もこもこ厚着のスズランが飛び込んでゆく。
「スズラン、あまりはしゃぐと危ないですよ!」
「あーい!」
私達は上着を着こんでいるものの、部屋の中と同じ、普段と同じ服装のミネ団長
部屋を出る時に聞いてはみたものの「いいえ、私には不要です!」とのことだった。
寒くないのかな、なんて見ていると風が吹くたびに自分の翼で風から身を守っている様子
「団長!やっぱり寒いんじゃないですか。上着を着ましょうよ!」
「そうですよ~、ミネ団長が風邪を引いちゃったら、それこそ救護の不養生です~」
私達の説得に、少しミネ団長が唇を噛んでは考える。
勢いで言ってしまったその手前、やっぱり寒いので着ます、なんて言えないご様子
「はぁ…仕方ないですね…スズランちゃん、ちょっと来てください」
「せりままなーに!」
スズランが駆け寄ってくると、私はスズランに耳打ちをする
「ミネママにこれを着せてあげてください、救護です」
- 24二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:45:09
私の言葉に目を輝かせて、ミネ団長のコートを受け取るスズラン。
そして翼を自分の体に巻き付けて仁王立ちのミネ団長へと突撃してゆく。
優しく渡してあげるんだろうなあ、なんて想像をしていた私とハナエの目の前で
スズランちゃんは大きく跳躍をすると、そのコートをミネ団長の頭めがけて振り下ろした。
そういえば、スズランに服を着せる時は頭からすぽんと被せる事の方が多いなぁ
なんて考えながら、自分が普段はする側の直上落下攻撃を喰らうミネ団長を見ていた。
―――
さて、そんな一件を終えて私達は街を歩く。
スズランちゃんを先頭に、年末賑やかな様相の街をずんずん進む。
どこに行こうとしているのか、とスズランに訪ねると「さくらこのとこ!」と元気よく答えていた。
その自信満々な足取りに、サクラコさんから予定でも聞いていたのだろうか
なんて考えていると、スズランは交差点のたびに足を止めて右左
きょろきょろと何かを探すと「こっち!」と指を指してまた歩き始める
だんだんと賑やかな街並みから、少し古びた街並みへ
そして街外れへと向かうその足取りは、街外れの方へと向かってゆく。
年末だというのにいつもと様子の変わらないそこはあまり治安がいいとは言えない地域だ。
「スズラン、待ちなさい。ここからはお手々を繋いでいきますよ」
「スゥちゃんはどこに向かっているんですかねえ…」
「さぁ、でもなんだかちょっとこのあたりは見覚えがあるような…」
なんて足取りを進めていると、そこには古ぼけた教会。
その前ではシスターフッドの皆さんが天幕を貼って、炊き出しを行っていた。
- 25二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:45:19
ホクホクと湯気を上げる器を両手に持ったマリーさんがこちらに気付き
サクサクと足音を立てて歩み寄る
「あら?スズランちゃん、救護騎士団の皆さん…どうしてこんなところに…?」
「まりー!さくらこあいにきた!」
「シスターサクラコですか?…確かにあちらにいらっしゃいますが…どうしてここが…」
不思議顔のマリーさん、その視線の先にはシスターフッドのトップだというのに
自分で給仕をしてそれを配るサクラコさん。
自分の番になるとその姿に手を合わせて祈る人すらいる様子。
「さくらこー!」
「え、スズランさん?なぜここに…?」
ミネ団長の手をぐいぐいと引いて、サクラコさんの方へと駆け寄ってゆくスズラン
そのサクラコさんの困惑している様子から、ここにいるとは教えていなかったのが見て取れる。
「突然お邪魔してしまいまして申し訳ありません、この子がサクラコさんに会いに行くと…」
「どうやってここを知ったのでしょうか…
…まあ、来てしまったのですから仕方がありませんね。
よろしければ皆さんも食べていきませんか?…温まりますよ。」
サクラコさんが手に持った紙皿を差し出す。
そこにはホクホクと湯気を上げ、甘い香りを放つクラムチャウダーがよそわれていた。
- 26二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:45:40
スズランはそれを両手で受け取ると、どこかにトコトコと歩いてゆく。
その先には少し離れた場所で訝し気に様子を伺っていたスラム街の住人。
私は慌てて銃を構えるが、それを制したのはミネ団長の右手。
その手には"救護の証明"は握られてはいない。
「あい!みんなでたべる!」
「ぱ、パンもこちらにございますので、よろしければ…
使い古しではありますが、毛布もありますので…」
それを追いかけていたヒナタさん。その手にはパンがたくさんのバスケット。
何人かのシスターは私のように銃を構えようとしていたが
それはサクラコさんの横手に遮られ、銃口が何かを狙う事はなかった。
「ふん。」
横柄な態度とは裏腹に、そっとスズランの手からクラムチャウダーを受け取るスラム街の住人
そして、それを皮切りにと、様子を伺っていた他の住人達が列へと並び始めた。
私達の銃口を制してはいたものの、やはり心配だった様子のミネ団長はほっと溜息を漏らす
「あの子は、みんなに心配をさせて…」
「…私達も拒絶する彼らへの手は差し出せませんでしたから」
少し遠い目をするサクラコさん
満足げな顔で駆けて戻ってきたスズランの頭を撫でて、ぎゅっと抱きしめる
抱きしめられてスズランは少しくすぐったそうに、楽しそうに羽根をバタつかせていた
「らこ!つぎのー!」
- 27二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:45:53
―――――――――
ひとしきり配り終えると、私達も少しだけクラムチャウダーを頂いていた
まだまだ量はあるようで、これは年末年始の間は続くのだという。
「おいしー」
スプーンを頬張るスズラン、その隣で一足先に食べ終えた私はスズランの口を拭う。
少し古ぼけたベンチに座って足をバタバタ、もぐもぐと最後のにんじんをぱく、と食べた。
「ごちしゃまでしたー」
「スゥちゃんは好き嫌いしなくて偉いですね~」
完食を褒めるハナエ。いつものごとく髪をくしゃくしゃとするその手にスズランはご満悦
しかし、しばらくそれを嬉しそうに受け入れていたのだが、スズランはその手を制するように手を掴む。
「どうしたんですか?」と疑問顔のハナエに「しー!」とジェスチャー
右、左、右とまた周囲を見渡して、椅子から飛び降りた。
「きゅうご!こっち!きゅうごのこえ!」
食べ終えたお皿をサクラコさんにぐい、と渡して駆けてゆくスズラン。
私達も慌てて追いかけるが、こういうときのスズランは素早い。
足跡と追跡装置の信号を頼りに追いかけると、そこには古い一件屋。
ドアはかろうじて残っているものの、窓もなく、中の様子を伺えない程に暗いその家の前にスズランはいた
「ここ!きゅうご!きゅうご!」
私達は顔を見合わせる。ミネ団長がスズランを背中に庇って扉を開けると
そこにはアリウススクワッドのみなさん、その中でも苦しそうなミサキさんが囲まれていた
- 28二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 01:59:03
>>13:人間、好きなものってのは不思議と一部分でも判別つくからね
曰く、ブルアカキャラのふとももだけで全キャラ言い当てる人もいるらしいからね…
>>15:先生って出すのちょっとためらうんだけどね…先生はプレイヤー自身だから…
でもお前らスズランちゃんに激アマだから、贈れるなら贈るだろ…?と!
…ごめん
>>16,>>17:まとめたすかる。とりあえずこのスレに収まる概念は収めるつもり
入らなそうなら、先に本編エンディングになるかな…
スズラン×アリス×イブキだけで良ければ番外編で書けると思うけど
クエスト、ってお題だったので、そうなると保護者達がね…多いんだ…
>>19:もらってすぐ着る!って言ってそうだよね
というわけで、年末年始のお話です。
導入で初夏って言ってるのに、180日で年末年始って計算合わなくね?って思った人がいるかもしれない。
はい、そうです…さすがに5月に最終章後はちょっと詰まりすぎかな、と伸ばしました…
だってこんなに長続きするなんて俺思ってなかったんだもん…
どこかでスレ落ちて、まだ書きたかったなーとか言いながら終わる気がしてたんだもの…
んで、本編はアリスク再登場です
なんでかって、書き上げるまでなんか俺の頭の中で
「アリスクもトリニティの生徒なのに全然出してないなぁ」とか思っちゃったからだよ…
このレスを書いている途中に、アリスクはアリウスやんけ、ってなったよ…
というわけで、次回アリスク回だよ…
- 29二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 06:17:47
アリスクの天使になれスズラン
- 30二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 07:24:54
救護レーダーの探知範囲が凄いペロ。……救護レーダーって何ペロ?
- 31二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 09:53:35
このレスは削除されています
- 32二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 16:13:48
泣きました
特に羽根を「いらない」と毟っちゃうところと
ママたちの似顔絵を用意するところ - 33二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 16:35:35
母親適正高い姫はいいペシよ。
- 34二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:00:02
3人に囲まれて意識の薄いミサキさんが浅い呼吸を繰り返していた。
季節に対して薄手すぎるカーディガン、紅くなった顔の横には古びたペットボトルに水が汲まれていた
アツコさんの手に持たれているのは市販の解熱剤。市場価格が最も安いものだ。
「……トリニティ、救護騎士団。なぜこんなところに…」
サオリさんの手にはその銃が握られており、私達が敵対をするのであればそれを構える準備はされていた。
別行動をしているというサオリさんも合流しているあたり、この状況に駆けつけたという所だろうか
扉を開けたまま対峙をする私達を彼女たちは見つめる。
そんな中で口を開いたのは、ヒヨリさんだった。
「ど、どどどどどうしましょうリーダー…あ、スズランさん、あの…こんにちわ…」
慌てているのか慌てていないのか、小さくスズランへと手を振るヒヨリさんに
スズランは3人を押しのけてミサキさんへと駆け寄ってゆく。
額に手を当てて、真剣に自分の体温と比べ、すぐさまに自分の上着をミサキさんへと掛ける
「ひよ、こんちゃー。まま!はやく!はやくきゅうご!!」
「はい、分かっています。セリナ、経口補水液は持っていますね?
ハナエはシスターフッドから毛布を借りて来てください。」
ミネ団長は私から経口補水液を受け取ると、ミサキさんの肩を抱いて「飲めますか?」と声を掛ける。
それを見ながら理解ができない様子の様子のサオリさんとヒヨリさん
「なぜ私達を助ける。私達と関係性を持ってもそちらにメリットはないはずだ。」
- 35二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:00:16
そんなサオリさんの前にスズランは立つ。
びしり、サオリさんへと指を指し、片手は腰に当てて宣言する
「きゅうご、ひつようなひとに、きゅうごのてを!」
「その通りです、スズラン。私達は救護騎士団。
あまねく人々に救護の手を差し伸べるのが、私たちの役割です。」
駆け戻ってきたハナエから毛布を受け取ると、ミサキさんを包んで抱え上げるミネ団長。
そんなミネ団長を、スズランは自慢げな顔で見上げていた。
「ど、どこに連れていくつもりですか!?
私達は…あの、あまり街の方に行くわけには…」
「病院に連れていかれても、私達に払えるお金はないよ。」
不安げな顔をするヒヨリさんと、ミネ団長の行方を阻むアツコさん。
確かに、手配をされているこの方達にとってみれば、医療設備の整っている場所というのは
それだけ捕縛をされる可能性が高い場所でもある。
「ミネ団長、バシススコラであれば特に人が立ち入ることもないのでは?」
「そうですね。学園内の設備ですが、今は使われていない建屋があります
とはいえ、私達が時折掃除もしていますし、ストーブもあります。
休講の間だけではありますが、ミサキさんが体調を戻すまでは使えるでしょう」
私が提案するとミネ団長は頷き、その場所の説明をする。
その昔は救護騎士団の拠点ともなっていたその建物の大掃除をしたのは私達の記憶には新しい
- 36二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:00:26
その言葉にサオリさんとアツコさんが静かに頷いた。
しかしヒヨリさんは扉の前に立ちふさがり、大きく手を広げ私達の行方を阻む
「と、トリニティの学内なんて!私達にとっては一番危険な場所です!
そんな場所に連れていかせるわけには…!サオリ姉さんも、姫ちゃんもなんでそんなに落ち着いているんですか!」
「ヒヨリ、信じよう。」
ヒヨリさんの肩にアツコさんが手を置く。
その二人を庇うように、サオリさんが前に立つ。
「もし思う所があるのであれば、…私の身柄を好きにしてくれて構わない。
ただ、ミサキを…助けて欲しい。」
サオリさんの言葉と共に、塞がれていた扉までの道が開かれた・
――――――――――――――――
バシススコラの談話室、そこにストーブと簡易ベッドを持ち込んで仮の拠点を作り上げた。
相変わらずミサキさんの呼吸は浅いものの、解熱剤が効いたのか少しだけ穏やかな顔になっていた。
私がタオルを絞ると、スズランはそれを持ってミサキさんの額に乗せる。
ようやく自分の状況を認識したのか、ミサキさんは横目にスズランの顔を見た。
「…気持ちいい。…ここは?…スズランだっけ…なんでここに?」
「ままー、みさきちゃ、おきたー!」
その声に、暖炉ストーブの前で学園の地図を広げていた3人がミサキさんを見る。
慌てて駆け寄る3人に、ミサキさんはまだ自分の状況を理解していない顔で周囲を見る。
きっと彼女にとっては見慣れない部屋に、見慣れない私達の顔。
しかし、駆け寄ってきたサオリさんの顔に少し笑って見せた。
- 37二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:00:36
「リーダー…来てくれたんだね。」
「ああ、姫から連絡を受けた。ここはトリニティの設備だ。
…慌てるな、彼女らに敵意はない。助けてくれたのも彼女らだ。」
慌てて体を起こし、ふらつくミサキさんの肩を支えたのはアツコさん。
いまだ状況が呑み込めないミサキさんの肩を横たえると
その額から落ちた濡れタオルをスズランがもう一度、ミサキさんの額に乗せた。
「…救護騎士団、久しぶりだね。
私のせいで逃げ遅れた、ってこと?」
「いいえ、私達が保護をしたのです。お腹は空いていませんか?お粥を用意していますよ」
「…お腹…少しは空いているかな。」
その言葉に、ハナエがストーブにかけてあった鍋からお粥をよそう。
それを彼女の手に渡すと、スズランがそのスプーンを手もってお粥を掬う。
「あい!あーん!」
「ちょっと、自分で食べられるってば。」
「あーん!!」
スズランの勢いに気圧されて口を開けるミサキさん。
そこに突っ込まれたお粥はまだ熱かったのか、ミサキさんは「ん゛!」と声を上げる
水を渡すアツコさんの隣で、スズランは次の一口を、とまたスプーンでお粥を掬う
- 38二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:00:47
「ちょっと待って、熱いから。ちょっと待ってってば。」
「スズランちゃん、熱いのが苦手な人もいるので、ふーふーしてあげるんですよ」
私の言葉にスズランははっとした顔をする
一生懸命に掬ったお粥へとふーふーと息を吹きかけてまたミサキさんの前に差し出した。
困惑をしながら見回すミサキさんではあるが、スクワッドの皆さんは困り顔
ぐい、とスプーンを差し出すスズランに、同じ困り顔でまた一口食べるミサキさんだった。
何口か食べさせて満足をしたのか、スズランはミサキさんにスプーンを渡し、私達の方へと駆けてくる。
両手を出して何かをせがむようなポーズ
「おくしゅり!」
その言葉に準備をしておいた風邪薬を一袋スズランへと手渡す。
この子はいつの間にこんなに学んだのか、とてとてとミサキさんの方へと戻り
ミサキさんが食べ終えるのを見守ると、薬を手渡した。
「はい!おくしゅり!おいしいおくしゅり!」
「薬がおいしかった覚えなんてないんだけど……」
薬に嫌そうな表情を浮かべるミサキさんへと笑顔のままずい、と薬を差し出すスズラン
なんとなく、その姿に手術を迫るハナエの姿が重なって見えるのは気のせいだろうか
嫌々と薬を受け取って、アツコさんから手渡された水で流し込む
薬を飲み干したあとのミサキさんの渋い顔に、私達とスクワッドの皆さんの間に笑いがこぼれた。
その中で、スズランだけは「なんで?」と言わんばかりの顔を浮かべていた。
薬をおいしいと思って飲んでいるのはスズランだけだと、教えてあげるべきかもしれない。
- 39二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:08:04
>>29:元ネタの人、まだ青学の柱になってないんですけどね…
>>30:救護レーダーはほら、セリナも持ってるから…
>>32:感受性豊か!!!俺の文章で泣ける人はたぶんあんまりいないよ!!!
でもそんな感情移入して読んでくれるのはうれしい!
>>33:姫、どんな子なのか実はよくわかってないんだよね…
面白い子っぽい、ってのは分かるんだけど
うちのシャーレ、ヒヨリ以外おらんかったから
…最近ミサキ来たけどミサキすら絆エピまだ見られてないのよね…
はい、今回は救護されるミサキ回でした。
一応補足をしておくとバシススコラはいちいちローマ字入力したくないからカタカナだけど
スケジュール画面でトリニティの真ん中下くらいにあるBasis scholaって建物。
フレーバーテキスト曰く、今は使われてないらしい
昔の救護騎士団の本拠地ってことだし、昔は救護騎士団もいっぱいおったんかな…
次回、雪合戦をするアリスク、の予定
- 40二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:30:09
あげた羽や抜け落ちた羽がセンサーになってて、落ちた羽はタンポポみたいに風に乗ってレーダーの範囲を広げてるのかと考えてしまった
- 41二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 21:58:25
スズランちゃんのほっぺたに手を当てて足をバタバタして喜ぶ仕草が好きすぎる
- 42名無しの先生予備軍24/05/25(土) 22:21:09
思ったんだけどスズランちゃんはどんな曲が好きなのかが少し気になった
- 43二次元好きの匿名さん24/05/25(土) 23:05:35
スレチかもしれませんが...動画にまとめさせてもらっている者です。今日やっと2スレ目ラストのスズランちゃんがさらわれる話を投稿しました。
トリニティが団結したり、スズランちゃんがあまり泣かない理由がわかったりと、めちゃくちゃ好きなところなので編集凝ってみました!
見ていただけると...嬉しいです...。
【SS】救護騎士団の子育て奮闘記 その13【ブルアカ ブルーアーカイブ 反応集】
- 44二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 00:51:22
姫はスクワッド組の一番年下だからスズランちゃんを妹のように可愛がりそうペロ。姫と一緒にお花のお世話をするスズランちゃん…お花に水を上げるときに救護と言うペロか?
- 45二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 01:35:45
救護レーダー、それはすなわちあまねく救護を必要とする人を察知する魂……つまり救護魂ともいえる(?)
- 46二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 08:17:51
救護魂は大事な概念だ
- 47二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 08:30:49
- 48二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 12:05:44
- 49二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 20:11:54
- 50二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 20:22:18
- 51二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:43:06
子育て日記:185日目 朝顔ハナエ
体調もすっかり良くなったミサキさん達はトリニティを出ようとしていました。
というよりも、翌日からすぐに立とうとしていたところを
スズランちゃんの「まだ!」の一言によって留められてきたのですが
朝の往診の際には既に経過による肺炎などの合併症も見られずそろそろ万全、と言ってもよい状況。
ミネ団長からスズランへのお伺いに対しスズランちゃんは「うむ」と深く頷いたのでした
―――――――――――――――
「やっと…やっと布団から出られるんだ…」
待ちわびた事のようにベッドから起き上がり、ぐいっと伸びをするミサキさん。
体はあまり強い方ではないらしく、昨日までは呼吸に雑音が少し混じっていた。
私達だけでは引き止められなかったであろう彼女たちを引き留めていたのはスズラン。
そのスズランも、胸の前で腕を組んで「うんうん、良かったね」と言わんばかりの表情をしている。
その後ろで身支度を始めていたサオリさんの袖をヒヨリさんが引き止めていた・
「え…リーダーもう行っちゃうんですか?」
「契約だからな。ミサキの看病の代わりに、私の身柄を引き渡す。」
自らの片手に手錠をかけて、ミネ団長の前に差し出すミサキさんだが
真剣なその表情の中、私達の誰もが「何を言ってるんだこの人は」と言わんばかりの顔。
元々そんな約束をした覚えもない上に、身柄を引き渡されたところで私達はどうすればよいのだろうか。
「いえ、そんな契約をした覚えは…ないのですが…
セリナ、ハナエ。どちらかそんなお約束をした記憶はありますか?」
首を横に振る私達、その足元でスズランも同じように首を横に振っていた。
満場一致の解釈の不一致に、ミネ団長はとりあえずと手錠を外す。
- 52二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:43:41
「あなたが何を言っておられるのか分かりませんが
治療の対価を支払いたい、という意図でよろしいでしょうか。」
「…まあ…そうだな、そういう事になる。」
「そうですか、困りましたね。」
基本的に私達は報酬や対価を受け取るための治療、という事を行わない。
必要な人に、無差別に、分け隔てなく救護の手を差し伸べるのが、私達の役割だからだ。
しかし、対価を支払いたい、という方からは報酬を頂くことはある。
それ自体を気に病んでしまっては、それもまた救護の対象となるからだ。
「部屋の掃除は滞在中にして頂いていますし、金銭がないからこうなっているわけですし…」
ふむ、と顎に手を当てて悩むミネ団長。
藪蛇を踏んだ、という顔に変わっていく3人とは正反対に、サオリさんの顔が青ざめてゆく。
「対価を、支払えないということは…私は…どうすればいいんだ…」
「いや、この人たちは無償で治療をしてくれる気だったみたいだけど」
「ミ、ミサキさん、でも、でも!いい話には裏があるって…」
「借りを借りのままは、よくない」
4人は小さく輪になって会議を始める。
正直なところ「助かった、ありがとう」の一言でも言ってくれれば
たぶんこの場からみんなでいなくなったところで私達は「よかったねー」くらいの事なのだが
それが彼女たちには大ごとなようで、真剣に話し合いをしている様子だった。
- 53二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:43:56
お互いに違う意味で困り果てていたこの場にスズランは手を挙げる
「みんなであそぶ!おそと!げんきにあそぶ!」
手を挙げてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
それはもう、自分にいいアイデアがあるんです、どうですかどうですか
と言わんばかりに、飛び跳ねるたびに鼻息をふんすふんすと荒立てていた。
「そうですね、では皆さんでスズランの遊びに付き合ってあげてください。」
―――――――――――――
スズランの提案で、雪遊びをしようということになった私達。
バシススコラの敷地内に出ると、スクワッドの彼女たちは注意深く周囲を確認する。
その中でも特にびくびくと周囲を見渡すヒヨリさんに私は声をかける
「わ、わ、わたしたちが…トリニティの学内にいていいんでしょうか…
誰かに見つかったら…捕まって酷い事をされるんじゃないでしょうか…終わりです…」
「大丈夫ですよ~。今、生徒は数える程度しかいないですし
ここは使われてない施設なのでここを訪ねてくる人もいませんし~」
そんなヒヨリさんとは対照的に、周囲を索敵しおわった様子の3人はまたも作戦会議
「姫、雪遊びとはなんだ…?雪を食べたりするのか?あれは腹を下すぞ」
「リーダー…それは遊びじゃないでしょ。あの時は空腹の限界で食べただけだし。」
「雪だるま、かまくら、雪うさぎ、雪合戦
…私も、どれもやったことはない。」
- 54二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:44:12
あんまり急かすのも悪いかと、私達は雪を避けて焚火の準備。
倉庫から持ち出したドラム缶に銃弾で穴を空け、ストーブへと改造する
ポイポイとストーブに薪を放り込んで、ようやく火が立ち上り始めた頃には作戦会議も終わった様子。
しかし、今度は誰がスズランを遊びに誘うのかで揉めている様子。
つくづく不器用な人たちだなあ、と眺めていると不器用な作り笑いでヒヨリさんがスズランを誘う
「スズランちゃ…さん。あの一緒に雪だるまを作りましょう?」
「だるまつくる!ゆきだまー」
私達は病み上がりのミサキさんと共に、その様子をストーブの近くで見守る。
スズランと共に雪を転がし始めたサオリさん、それは玉というよりもロールに変わってゆく。
よほどその横で玉を転がし始めたアツコさんとヒヨリさんの方が器用なようだ。
私達の中ではなんとなくオチの見えて来たその行方。
この人たちが案外、抜けた人達であるのはそろそろと、私達も察し始めていた。
雪玉ならぬ雪ロールはそこそこの大きさになっては崩壊する
その失敗に何度も雪ロールを作っては崩壊させるサオリさん
冷たいであろうに、雪の上に膝をついてはそこに拳を突き立てる。
「私は…この程度の任務もこなせないというのか…!」
すまない…スズラン…私には雪だるま一つ、作ることはできない…」
「サッちゃん、…バカになった?」
「あたま、きゅうご?」
言葉が拙いだけではあるのだが、突如飛び出した暴言に私達はストーブの周りで笑う。
これまで表情を見せる事のなかったミサキさんも、一緒に笑っていた。
- 55二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:44:37
そんな中、ふたつの雪玉を重ねるアツコさんとヒヨリさん
立派な雪だるまが1つ出来上がり、スズランを抱き上げて顔を作り上げる。
少し遠くで私達に手を振るスズランはご満悦。
初対面の時もそうだったが、やっぱりスズランはスクワッドの皆さんがお好きな様子。
いくつか雪だるまを作り上げ、かまくらのための雪山が出来上がった頃
サオリさんが動きを止めて、何やらハンドサインを3人へと送る。
その動きから察するに、何かの気配を見つけた、そんな様子だが武器は建物の中
サオリが生垣に向けて鋭く雪玉を放つ。
きっと目くらましのつもりだったのだろうが、そこから聞こえてきたのは間の抜けた声
「いったぁ!なに!スズランちゃんの声がしたからこっちに来たのに!
いきなり雪玉を投げつけるなんて、さすがに頭にくるじゃんね!」
生垣を突っ切るように出てきたのはミカさん。
きっと状況を察する前に姿を見せたのだろう、彼女はスクワッドの方たちの顔をみつけ
体を半分生垣から出したところで、動きを止める
「なんであなた達がここにいるの…?」
ミカさんから出たのは、ミカさんにとってはご尤もな疑問。
しかし彼女にとっては彼女たちがここにいたことよりも、サオリさんの手に二の矢と握られた雪玉
「あなたが…投げたの…?錠前サオリ。」
止まっていた体を生け垣から抜け出すと、ミカさんは雪玉を握る。
ぎゅうぎゅうと押し固めて、その怒りは雪玉へと押し付けられた。
次の瞬間には剛速球と化した雪玉が、スズランが最初に顔をつくった雪だるまを貫通していた。
- 56二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:44:49
無残にもボロボロと崩れ去る雪だるまを見て、スズランの顔がぷくーっと膨れた。
自分の手元の雪をきゅっきゅと固めると、ミカさんへと投げつける。
「え、スズランちゃん?」
「さおり!やっちゃえ!ひより!みかねやっちゃえ!」
次々と放り投げるスズランに続いて、あわあわとしたヒヨリさんが雪玉を投げる。
それにさらに続いてアツコさん、その後にサオリさんによる雪玉のレーザービーム
どれもミカさんにぶつかると、ぼろりと崩れ落ちるあたり、強く固めてはいない様子
「なんで!?なんでスズランちゃんまで私に雪を投げるの?」
「みかね!ゆきだるまこわした!」
「え。あ…ごめんね……、わぶっ!?」
謝るミカさんへとスズランの雪玉がクリーンヒット
当てた、というよりも、あたる所まで移動した、という方が正しいのであろうその位置。
ミカさんとヒヨリさんの間に入り込んだその頭に、ヒヨリさんの放った雪玉があたった。
「あ。ごめんなさぃぃ…」
「みかね!ひより!ひよりやって!」
「あ、うん!」
スズランの指示によりヒヨリさんの顔面に、ミカさんが放った雪玉が当たって砕ける。
それが、チームも何もない、雪合戦開始の合図だった。
- 57二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 00:45:04
それからというのはひどいもので、私達の方への流れ弾がミサキさんに当たり
少し怒ったたミサキさんが雪玉を投げ返し、それを皮切りにこちらへも雪玉が飛んでくる。
争いを調停しようとしていたミネ団長にも雪玉が当たり、ミネ団長も参戦。
私も楽しくなって参加していると、もうこの場には誰に当てても、誰が投げても恨みっこなしのノーサイドゲーム
スズランが満足げに空を仰いで倒れるまで、ずっと続いた。
―――――――――――――――
「それでは、お達者で。」
「世話になった。…感謝しても、しきれない。」
4人それぞれが私達の手編みのセーターと手袋、そしてマフラーを巻く。
それぞれの両手にはビニール袋いっぱいの缶詰と保存食と飲料水のろ過機。
毛布などの防寒着が詰まった袋や、簡易燃料など様々な袋を提げている。
来た時よりもずいぶんと厚着になった彼女らを私たちは学校の裏門で見送る
「いいえ、必要とする人には必ず救護の手を差し伸べるのが、ね。スズラン」
「…きゅうごきしだん。」
また離れ離れになることに涙を貯め、不服な顔のスズラン。
しかし、彼女たちが歩みを進めるころにはその涙を拭って、大きく手を振っていた。
私達はその影が消えるのを見送って、校舎の方へ向かう。
「あーあ、ちょっとはわかりあえたと思ったんだけどな、結局また戦いになっちゃったー」
「そうですか?十分わかり合えていたのではないでしょうか?」
私達はその道すがら、バシススコラの庭に目をやる。
そこには大きなかまくらと10体の雪だるま。どれも楽しそうな顔で笑っていた。
- 58二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 01:02:58
>>40,>>45:なんかスズランがすげえ生物になっとるwww
最後までたぶん説明しないから言っとくと聴力です。ただのすごい聴力です。
>>41:ちなみにこのしぐさの元ネタ、SAでコーヒー飲んでる時に見た名も知らぬ子供の動作
まじで、子供って天使だな、って思ったよ…
>>42:そらオステンビーバーのベイビーよ。いや、たぶん違う。
そこら辺設定は詰めてないので、サイドストーリー欲しければ案を書いてね!!!
>>43:ちなみに俺は、毎日最新を追っている。アニメの原作者の気分である。
ただ…所詮二次創作だからね、あんまりデカい顔しちゃあかんね…
おそらくこのスレ見てて分かってないって事はないと思うが、原作はブルーアーカイブです。
>>44,>>48,>>49:かいても!いいのよ!誰か!!書いても!!いいのよ!!
おれは!!ただ!!!自給自足生活してるだけだかんね!!他給でも、いいのよ!!!
>>46,>>47,>>50:言葉はともかくとして、救護魂ってたぶん俺が一番書こうとしてるとこかもしれんね…
はい、というわけで雪合戦おーわり!
で、気づいちゃったんだが
もしかしたら俺が本編中で消化したい概念が全部終わったかもしれん…
2スレ目行く、と決めた時から概念の文章化に際して
「子育てによって変わる何か」をその中に書こう、と思って入れて来たんだけど
騙し騙しやってきた俺の子育てエアプ妄想力が、ついに終わった…
次回から本編は最終編に入ろうと思うんだけど、やべえ。名残惜しい。
本編は終わるんだな、と思うとすげえ名残惜しい。
本編の最終編もクリスマスみたいに何話か構成だと思うけど、なんか指震えてきた。
- 59二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 01:32:44
- 60二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 02:02:54
あ、ヤバい…アズサの話をオミットしたの忘れてたよ…
年末年始は実家があるなら実家に帰るだろうけど、アズサも実家無いから学校にいるよね
と思ったから元々はアズサもいたんだけど、この絡みのスタンスは解釈の余地多いし
文章量とキャラ数の都合、本編で今後語られるのかなあ
とかって色々過ってオミットに至ったんだ。。。
9体でいいです…救護騎士団3人+アリスク4人+ミカ+スズランでいいです…
- 61二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 03:36:07
施されてばかりは性に合わないからはじまりの4人+スズランのSS書いてるけど……終わりそうにない
すまない……無力な私ですまない…… - 62二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 04:04:20
雪だるまがロール状になるの解像度が高すぎる
さては雪国出身だな?
思えば雪遊びなんかも大分しなくなってしまった……
小さい時はあんなに雪が待ち遠しかったのになぁ(遠い目)
久しぶりに懐かしい記憶を思い出せたよ、ありがとう - 63二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 10:02:55
そろそろ保育園か幼稚園に入園できそうですが
それだとオリキャラやオリ設定がたくさん必要になるので
難しそうでしょうか
トリニティ内で済むネタもそろそろ底が見えてきましたし
D.U.のデパートや娯楽施設に通って遊ぶネタなんていかがでしょう?
他校との交流ができるチャンスにもなりそうです - 64二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 18:45:14
保持
- 65二次元好きの匿名さん24/05/27(月) 20:21:29
雪に喜ぶのもまた子供の純真さゆえペシか…
「行ってくる…きひゃひゃ…きひゃひゃひゃひゃ!!!!」
「ツルギ、なぜまだトリニティにいるのか忘れたのですか。」
「…」
「まだ仕事が残ってるんです行かせませんよ」
「きええええええええ!!!(声にならない叫び)」 - 66二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:18:29
子育て日記:192日目 鷲見セリナ
危険な状態になってしまいました。
数日前、休講の間のんびりと過ごす私達は部室でテレビを見ていました。
小さな子供がおつかいに行く、という内容の物です。
スズランはそれに目を輝かせてここ数日「いく、おつかいいく!」と聞かないのです。
――――――――――――
『こちら校門前、生徒会シスターフッド混成部隊、配備完了しております』
スズランが出掛ける準備をする中で、私のインカムの中から聞こえるその声の主はマリーさん。
学園へと人が戻り始め、始業に向ける中、部室へと尋ねてくる生徒も増えました。
そんな中で「おつかいに行く!」というスズランの声を聴いてしまったのはナギサさん
「良い事ではないですか」と部屋を立ち去った翌日
モモトークへと送られてきたのは『スズランちゃんお使い計画書』という文書
部隊編成、経路の安全確保、現在の各組織の状況までが記載されたその計画書は
たった数日のうちに全組織へと通達されて、あれよあれよという間に実現した。
コートのボタンを留めるハナエと、心配そうに地図の説明をするミネ団長の耳にもインカム
『正義実現委員会、狙撃部隊。生徒会砲撃部隊
共に経路上の全てを狙撃圏へとカバー完了っすよ~』
『ふふ、航空追尾部隊も既に上空だよ。データリンクも良好
大丈夫、このお使いは無事に成功するさ』
インカムの中ではイチカさんとセイアさんの声。
スズランはいつものポーチに地図とお買い物メモ、そしてお財布をしまう。
- 67二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:18:40
「いいですか、いつもの薬局で絆創膏と包帯。
その先のスーパーマーケットで、この紅茶のパックを1箱と…」
「ばんそこー、ほーたい、おこーちゃ…」
ミネ団長の言葉を復唱するスズラン。
相変わらずインカムの中では騒がしく準備が進められており
その準備完了までの時間をミネ団長は稼ぐ
「何かあったらどうするのですか?」
「これ!」
スズランのポーチには防犯ブザー。
ミレニアムサイエンス製の防犯ブザーを昨日、先生が持ってきてくれた。
何やらボタンを押すと、凄まじい事が起きるのだとか。
使う事態になった場合に、犯人の方が酷い事になるのではないかと心配になる。
『A地区追跡部隊準備かんりょ~
『なんであたし達まで参加させられてるわけ…?』
『ギヘヘヘ…トリニティの一大イベントだ。当然の事だ、スイーツ部…』
『…はぁ…まあ手伝いはするけどさ…ツルギ委員会もしくじらないでよね。
買うものを忘れたらお手伝いする部隊、隊長さん。』
全部で何部隊あるのかも数えられない程の準備完了報告が落ち着き始める
私達のスマートフォンの中では専用のアプリの中で、部隊とそのステータスが表示されている
- 68二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:18:50
『スズランさんが疲れたら助けてあげる部隊、隊長サクラコ。
こちらもプランA~Kまでのシミュレーションを終えました。準備完了です』
スマートフォンの中で全部隊のアイコンが緑色になる。
私がそれを確認して、スズランの後ろからミネ団長へと合図を送ると
予め決められていたセリフをミネ団長が口にする
「では、スズラン、いってらっしゃい。
変な人について行ってはいけませんからね。」
ミネ団長が部室の扉を開けると、ふんすふんすとスズランが鼻を鳴らし
1歩2歩、スズランが扉を出て大きく私達に向けて手を振った。
「いてきます!」
とてとてと校門の方へと駆けだしてゆくスズラン。
それを見送って私達も追跡の準備を慌ただしく始める。
服を着替え、眼鏡をかけたり、羽をなんとか隠そうとしたり、カツラをつけたり。
インカムからはナギサさんの声が聞こえる
『スズランちゃんお使い大作戦、開始します。
各員、全力で作戦の遂行と、成功を期待します。』
スマートフォンの画面ではスズランの位置が校門へと近づく。
そして作戦工程の1つめ、私達が変装を完了するまでの足止めが開始された
――――――――――――
- 69二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:21:30
子供の育生には村一つの協力が不可欠とは聞くが…的な暴走
- 70二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:27:16
>>61:ゆっくりで大丈夫だよ。どうせここから長くなるのが俺だから…
ゆっくり待たせてもらうよ!
>>62:残念だったな!雪遊びもエアプだ!!!
九州の民だから、雪なんて年1回見れば多い方だし、雪遊びなんてしたことねえ!!!
youtubeの映像と北国の人のブログと妄想だけでやってやったぜ!
>>63:おっしゃる通り、そこまで行くとオリキャラメインになっちゃうからね…
学外と本編で交流させないのは
原作内で今後出会うストーリーが追加された場合、それと齟齬が出ちゃうから、なんだよね…
例えばトリニティとどこかが対立する話になった場合とかね…
>>65:え?雪って降るだけでテンション上がらない…?
数センチ積もるだけでもうテンションMAXなんだけども…降雪地帯に住んだことないからかな…
>>69:スズランだからね、しかたないね…
はい、今日はちょっと短いです。理由は偏頭痛です。
最終章最初のお話はスズラン、初めてのおつかい(トリニティ総出の大作戦)となります
俺の最終章は、ちっとばかし長えぞ…悪癖出ちゃうからね…
- 71二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 01:36:08
スズランちゃん誘拐事件あったから見守りは必要ペロね(戦力過剰)。なんか他のスレとかの影響かスズランちゃんの買い物先でサオリがバイトしてる姿を想像してしまうペロ。スズランちゃんは無事お使いを達成できるのか楽しみペロ
- 72二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 10:31:33
保守
- 73二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:44:25
これ知らない側からするとトリニティが戦力を動かしてるから襲撃するための演習とか勘違いされそうペロね。なお、その実態はスズランちゃんのはじめてのおつかいを見守り隊ペロ
- 74二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:53:59
雪国はね、冬になるだけで億劫になるの。
機械使わずに排雪なんてできないくらいに積もるの。 - 75二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 15:11:39
- 76二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:45:28
私達が着替えを終えようとして居た頃、インカムからナギサ様の焦ったような声
『緊急事態、緊急事態が発生しました。
救護騎士団の皆さん、部室にスズランちゃんが戻っています。忘れ物ですか!?』
「いいえ、忘れ物はないはずです!なんとかして引き止められませんか!?」
『今、変装完了までの引き留め隊長であるミカさんが急いで向かっていますが
…ダメです、間に合いません。隠れてください!』
私達は慌ててそれぞれの場所に身を隠す。
私は掃除用具入れの中、ハナエはベッドの下でシーツを被り、ミネ団長は天井の隅に張り付く。
パァン!とドアが威勢よく開かれた後、スズランは部屋の中を見渡した。
誰もいないな、おかしいな、と首を傾げた後部屋を見渡す。
入口でキョロキョロと見回した後、部室を空ける時には救急キットを置いている机の上を覗くが
当然、私達は部室にいるわけで、救急キットは置いてはいない。
「あー…。まま、わすれものー」
はぁ、と溜息をひとつ、戸棚から救急キットを取り出して椅子をよじ登りテーブルの上に置く。
ポーチから小さなスケッチブックを取り出してクレヨンで文字を書くとページを千切って救急キットと一緒に添えた。
そして自分はドアの横に据えてあった、クリスマスプレゼントの盾を背負う。
ミネ団長のもののレプリカ、とはいえ強度はミレニアムのお墨付きのそれを背負う。
戻ってきた理由はこれだったらしい。
「いてきまーす!」
誰もいないはずの部室にばいばいをして、もう一度スズランはお出かけをした。
- 77二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:45:47
それから数十秒、様子を伺う私達にインカムから連絡
『ミカさんと接触…なんとかなりましたね…』
『やっほー!スズランちゃん!お出かけかな?あの…えっと次はなんだっけ…』
インカムから聞こえてくるスズランとミカさんの会話。
予め台本は渡されているはずだが、ミカさんは忘れてしまった様子であわあわしている。
とりあえず、私達の危機は過ぎたようで一安心
私が掃除用具入れを出ると、ハナエがベットの下から這い出し、ミネ団長は天井からべちゃりと墜落。
二人とも、よく気付かれなかったものだと感心するが、今はそんな場合ではない。
「ふぇ~、なんとかなりましたね~…」
「なんでミネ団長は天井に…?」
「天井しか隠れる場所が見当たらなかったのです!」
確かに、天井に隠れているとは誰も思うまい、それを実現できる人の方が少ないのだから。
私達は一息をついてテーブルの上に置かれたメモを見る
"おでかけちゅう"
スズランが書いたメモと、しっかりといつも通りに置かれた救急キット。
今の私達よりしっかりとしていそうなスズランに
この大作戦は不要だったかもしれないな、なんて考えながら私達も計画通り部室を後にした。
――――――――――――――――――――――
- 78二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:46:10
「こちら引き留め隊長ミカ、ごめん…追いつけなかったや…」
『大丈夫です。スズランさんはまた部室を出ました。
作戦は続行、通路Aにてスズランさんの引き止めを行ってください』
地図の指す方向を見ると、計画外に盾を背負ったスズランちゃん
私は計画外の行動に忘れてしまった台本を思い出しながらスズランちゃんの方へと向かう
「やっほー!スズランちゃん!お出かけかな?あの…えっと次はなんだっけ…」
「みかね!あのね、おつかいいくの!えらい?」
てくてくと校門へ向けて歩きながらスズランちゃんが言う。
やばい、私の役割は救護騎士団の皆が変装を終えて、追跡準備ができるまでの校門までの引き止め。
歩きを止められなければ、私の役割を果たすことが出来ない。
「うん!…うん!とってもえらいね!…えと…どうしよ…」
慌てる私にギモンの顔を浮かべながらスズランちゃんは歩く。
その歩みは止まらないどころか、褒められたからかその足取りが大きくなる。
慌てる私の裏側で、ナギちゃんが指示を飛ばしているが、そんなものを聞く余裕はない
「あの、疲れたんじゃない?ちょっと休憩…とか?」
「げんき!」
「そっかー…。…ナギちゃんナギちゃん、どうしよ、どうしよ!」
私はインカムの先のナギちゃんに助けを求めるがインカムの向こうのナギちゃんは誰かと話をしている様子。
- 79二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:46:24
ずんずんぐいぐい進むスズランちゃんに、私は慌てていると
マリーちゃんとヒナタちゃんが校門の前に立っていた。
マリーちゃんは珍しく、シスターの帽子を被らずに、その耳を晒していた。
「まりー!ひなちゃ!」
「スズランちゃん、こんにちは。」
「まりーおみみあるのねぇ、すてきねぇ。」
なるほど、スズランちゃんを引き留める作戦だったのか、と私は胸を撫でおろす。
スズランちゃんに視線を合わせて耳を触らせてあげていた
私もなんとかしてスズランちゃんを引き留めようと、翼でスズランちゃんをくすぐるが
マリーちゃんの耳も、私の羽根も、おつかいの使命の前には効果が薄い様子
「いてきます!」
少し触ると満足したように、手を振ってばいばい、校門の方へと向けて歩き始めたスズランちゃん。
この場にいる3人全員がどうしようと慌てていると、一番に追いかけようとしたヒナタちゃんが転んだ。
「スズランちゃん、待ってくだ…あぁっ!」
べちーん、と盛大に転んだヒナタちゃんに、スズランちゃんは駆け寄る。
地面にぺたんと座るヒナタさんの手と足を順番に見ると、怪我がないかを確認する。
「ひなちゃ、あぶない。いたいたいからね。…きゅーご。ね?」
擦りむいていた様子のヒナタさんの膝に、ポーチから取り出した絆創膏を貼る。
私とマリーちゃんはその随分と手慣れた様子に、関心をしながら見とれていた
- 80二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:47:18
『引き留め隊、校門前部隊…救護騎士団の皆さんが定位置につきました
ミッション1、お母さん待機作戦…成功です。』
インカムのから聞こえて来たナギちゃんの声に私達は安堵する。
「ばいばいねー」と手を振って歩き出すスズランちゃんを見送り、その影が校門をくぐり
それを追いかけるように校門を出たスイーツ部のみんながこちらに手を振ると、私達は通路にへたりこんだ。
「マリーちゃん、ヒナタちゃんありがとねー」
私が二人に抱きつくと、マリーちゃんとヒナタちゃんも私を抱き返す
「よかったですね…なんとかなりました…」
「あ、あぁ、危なかったですねぇ」
ぎゅうぎゅうと抱き合う私達の傍へ、正実の部員ちゃん達とシスターちゃん達も駆け寄って来る。
「ミカ様、お疲れ様でした!」
「ヒナタ様、すごい機転でしたね!」
「あれは、ただ転んでしまっただけというか…」
みんな変わる変わる握手をして喜ぶ、自分の所属相手の所属なんて関係なしに握手をする
私が犯してしまった罪もなかった事のように、私とも平等に握手をしてくれる。
きっと私が許されたわけではないとは分かっている
でも、なんだかそれが嬉しくなって、私の目には涙が溜まった。
- 81二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 22:57:57
>>71:さすがにトリニティ学区内ではバイトできないと思うのでサオリは出ないよ!
というかマジで、サオリと姫が来てくれないから、どんな子かいまだに理解で来てねえ!!!
ネタバレ:お使いは達成される。
>>72:保守たすかる。最終章書かずに終わったら死んでも死にきれない…
俺は、ハッピーエンドを、書くんだ・・・
>>73:何も言うまい…何も…
>>74:俺…いつか雪国に住むのが夢だったんだ…夢…「だった」んだ…
嘘だろ…冬はかまくらと雪だるま作って過ごす妄想してたんだぞ…
>>75:槍?……槍…?
RW在住先生まで出て来たから、九州から北海道までつながったので
スズランちゃんのファンが全国に分布したことになるな!!!
体感したことないから雪の情報参考になる!もしRWのSS書くことがあれば気を付ける!!!
そしてもし、単独ミッションになるような状況になってたら失敗はしてたと思う
犯人の思うつぼにお互いの組織のせいとしてることになっちゃうからね…
エデン条約の頃のトリニティなら救出より優先して、互いの組織の絞り合いが裏で起きてるはずだから…バッドエンドルートだね…
刻むぜぇ…超刻むぜぇ…
というのも1日にこの子ならどうするかなーとか書き直すのに時間かかる上
シナリオ読み返しとか、あのシナリオどこにあったっけ…ってなるからね…
たかだか150行に2時間半もかかってるんだ…
というわけで、ミカ視点までおわり!
最終章だからね、みんなにハイライト当てられるといいなぁ
- 82二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 23:24:25
>また、この救助活動の間に、初めて「1時間の沈黙」を適用した。すなわち、すべての捜索と瓦礫除去の活動を一時停止して、救助隊員は、より多くの生存者を見つけるために、注意深く耳をすましたのである。以来、これは世界中でスタンダードになっている。
https://jp.rbth.com/history/80788-roshia-hij%C5%8Djitaish%C5%8D-ni-yoru-jinmei-ky%C5%ABjo
軽くググったけど槍のとこ見当たらないな…テレビの再現VTRでやってた覚えがあるんだけど…
あと一時間だったわ
- 83二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 00:53:20
好きなものを前にしてもおつかいという使命を前にして夢中にならないの偉いペロね
- 84二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 03:51:36
あんまり愚痴でスレを消費するのは気が引けるけど、雪なんてロクなもんじゃないぜ!
なんてったって酷い時には30cmの積もった雪を片付けたと思ったら3時間もすれば同じだけ積もってるんだからな!!
あとSS内の時期に怖いのは圧雪された雪とかアイスバーンかな、奴らうっすら積った雪と合わさって天然のトラップになるから歩いてる時は要注意だ
ちっちゃい子とかは踵に可動式の滑り止め金具がついた長靴履いてるから雪が降るトリニティにもあるかもしれないね - 85二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 12:48:29
保守う授業部
- 86二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 18:37:38
除雪車にはお世話になるよね
- 87二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:00:23
――――――――――――
「あー、あー…こちらスイーツ部カズサ。追跡を始めるね」
スズランちゃんが校門から出てくるのを見届けて、4人で買い物を装って歩き出す。
私達は何をしているのだろうか、耳につけたインカムから聞こえるナギサさんの声を聞きながらもため息
『全部隊に通達、スズランさんが校門を出ました。
ウェポンズフリー。ウェポンズフリー。銃火器の使用を認めます
全ての不穏分子を排除してください。過ちがあったとしても私が揉み消します。』
『ナギサ…君という奴は、本当に成長しないね……』
インカムから聞こえてくる生徒会長達の会話。
不穏な言葉にもう一度ため息をつきながら、私達はスズランちゃんを追いかけて歩く。
ナツが肩にかけたバッグにはカメラが仕込まれていて、少し重く気怠そうにするのをアイリが気にしている。
「ナツちゃん、重いなら持とうか?」
「放っておいていいわよ!ナツが自分から持つって言い出したんだから!」
「薄情者ぉ~…私だってこんな重いとは思わなかったんだよ~」
追跡だと言うのに、こんな騒がしくするのはどうなのだろう
そんなことを考えていると、前を歩くスズランちゃんがこちらを振り向く
ほら、言わんこっちゃない、ともひとつため息をつくと
インカムからも「はぁ゛…」と不気味なため息が聞こえた。
どこから見ているのだろうと見渡すと、屋根の上に見える全身で呆れた態度の真っ黒の影。
『お前たちは、騒がずに歩くことができないのか。』
- 88二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:00:46
何か言い返してやりたいが、そうも言えない状況に私は小さく舌打ちをすると、インカム越にもう一つため息。
そんなやりとりをしていると、私達の前にいたスズランちゃん。
「えとね、えとね」と思い出そうとしているのは何なのだろう、と思っていると
ようやく言葉が出てきたようで、私達を指さして言う。
「けーきぶ!」
確かに、この子にとって私達はケーキ作りをする人たちなのかもしれないが少しずれた認識に、アイリが訂正。
「こんにちは。スズランちゃん。
ケーキ部ではなくスイーツ部です。」
「まあ、ケーキもスイーツだから、ケーキ部でもあるといえば~、あるのであ~る。」
「すいつぶ!すいつぶもおつかい?」
私達を引っ張るように歩き出したスズランちゃんについて歩き出す。
台本にないこのやり取りに、インカムからの指示を待ってみても、指示は来ない。
聞こえてくるのは誰のものかわからない「かわいー」「前見て前見て~」という実のない言葉
そしてあとの3人はアドリブをこなせるほど器用なわけもなく、私が口を開く
「私達は駅前のケーキ屋さんに行くところ、おんなじ方向だね。」
「ほほお、けーきぶおんなじ!」
私の渾身のアドリブに、称賛の声でも来ないものか、と思っていたのだが
屋根の上を同じペースで歩くツルギ委員長からは笑いとツッコミの声
『ギヒャヒャ…なんで行先も聞いていないのに、同じ方向だと分かったんだろうな?』
- 89二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:00:57
「…チッ!」
思わず出た本気の舌打ちに、スズランちゃんはハテナ顔。
いやいや、なんでもないよと両手を振って見せ、なんとか取り返そうと言葉を探す
「スズランちゃん、は…、なにをおつかいに行くのかな~」
「えとねー、ばんそこー、ほーたいー。おこーちゃー…えとねー」
最初の3つは完璧なのに、その先は一歩ごとに「えとねー、えとねー」と繰り返す
思い出そうと何度もなんども繰り返されるその言葉の続きを待つが
通りの半分を過ぎてなお、その続きは出てこない。
私は少しスズランちゃんと3人から離れて屋根の上を見上げてインカムへと話しかけた。
「これは、買うものを忘れたらお手伝いする部隊、隊長さんの出番じゃない?」
ぴたりと屋根の上で移動をやめた漆黒の影にニヤリと笑ってやると
そのまま屋根の上から滑るように落ちて来たツルギ委員長
「うわっ、ちょっと急に何!?」
それはヨシミの前に墜落か着陸かわからない落下をすると
スライムか何かのようにぬるりと起き上がる
「あ゛~…あ゛~…お買い物の内容、忘れチャッタナー
あ゛あ゛あ゛…お買い物メモヲミテオモイダサナクチャー」
私が思わず吹き出すと、それをぎろりと睨みながらも大根芝居を続ける
この人は本当に戦闘以外の才能はないんじゃないだろうか
- 90二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:01:12
インカムの向こうからは嚙み殺したようなハスミさんの笑い声
その笑い声にツルギ委員長の顔はどんどんと紅くなってゆく。
『ツルギ…なんですか…その大根役者は…ふふ…ほらスズランさんがぽかんとしてますよ』
「つるぎー、なにしてるのー」
突如と目の前に現れたツルギ委員長に思わず足を止めるスズランちゃん。
普通の人なら気を失っていてもおかしくない衝撃映像だとは思うが
乳児時代からこの姿を見ていれば、少しは慣れる物なのだろうか。
「あ゛あ゛……あの…スズラン…ちゃん…」
完全にフリーズして完全に及び腰、これを誰が正義実現委員会の委員長と言って信じるだろうか
いや、見た目の化け物具合は変わりないから信じるか。
B級ホラー映画のような動きで困り果てるそんなツルギ委員長に助け舟を出したのはアイリ。
「あの!ツルギ委員長も…お買い物ですか?」
「あ゛あ゛……!?」
「ひぃぃ!あの…お買い物なのかな、と思いまして…」
「そうだ…買い物に…」
ツルギ委員長を誘導しようとするアイリ。
スズランちゃんがもうちょっと大きかったら、大きくなった時に
この山門芝居を覚えていたら、きっとツルギ委員長はさんざんイジられるんだろう。
- 91二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:01:25
「買う物を忘れちゃったの?どうすんのよ!」
ヨシミのツッコミに、はたとその身に似合わないポシェットからメモを取り出して
これまでにないくらい大きな声で叫ぶツルギ委員長
「買う物を忘れたら、お買い物メモォォオオオオ!!!」
その大きな声に、周囲を歩いているモブ役の生徒達が振り返る。
異常なほどに周囲にはトリニティ生ばかりなのは、この作戦のエキストラだからだ。
そんなエキストラ達ですら振り向くその大声に、スズランちゃんもポーチから紙を取り出した。
「おかいものめも!いっしょ!」
「何を買うの?」
「えとね、やっきょく、ばんそこ、ほーたい。すーぱ、おこーちゃー、ぼーろ…」
私が尋ねると、メモを一番上から読み上げて、ようやく思い出せた様子
思い出した買い物めもの存在に私達が胸を撫でおろし
お買い物メモをもう一度ポーチに仕舞ったのを見届けると、そこは私達の任務達成地点。
ここを曲がれば、もうすぐで薬局という路地で私達は代わる代わるにスズランちゃんの頭を撫でて見送る
「おつかい、頑張ってくださいね」
「あい!」
ばいばい、とスズランちゃんが手を振って、迷わずに薬局の方へと歩いてゆく。
その影が路地の湾曲に沿って消えるのを見送るとインカムからは引継ぎ完了の声がした
- 92二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:01:54
『こちら補習授業部のヒフミです、スズランちゃんを視界に捕えました。
スイーツ部の皆さん、ツルギ委員長、お疲れ様でした!』
「あとはよろしく~」
ナツがヒフミさんへと申し送ると、それが醜い言い争いの始まりの合図
開口一番、私の口から出たのは労いの言葉ではなくツルギ委員長への文句の言葉
「ちょっと、ツルギ委員長、さすがに大根役者にも程がない?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「わっ!ちょっと!怖いからその顔やめてよ!」
ヨシミが文句を言うと、ツルギ委員長は目を逸らして髪の毛で顔を隠す。
「…私は…もとからこの顔だ…任務は達成した、それでいいだろう…」
「ま~ま~いいじゃん、ミッションこんぷり~と!
ほら、ハイタ~ッチ。」
ナツが両手を上に上げると、次に言おうとしていた文句は頭の中から書き消える
ため息ひとつ、ナツとハイタッチ、そして隣にいたツルギ委員長にそれを向けると
「お前は何をしたいんだ?」と言わんばかりの表情が向けられる
「もう、ハズイじゃん…ハイタッチ!ほら!」
隣でハイタッチするナツとアイリ、アイリとヨシミに目をやると
ツルギ委員長も両手を上げて、私達とハイタッチを交わした。
- 93二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:09:47
>>82:へぇ…そんな事を一切考えずにスズランの超聴力設定だったけど
災害救助のお話、作れるって事か…もし最終章後にできたらめっちゃ活きたんだろうな…
>>83:子供ってさ、だんだん大きくなるにつれて目の前の物<目的に変わっていくんだってさ。
参考資料に買った子育ての本に書いてあった。ちなみに3冊買った。
>>84,>>86:それだとトリニティってどのくらいの降雪地帯なんやろな…
日本海側のような豪雪地帯なイメージは、なんとなくないんだよなぁ
>>85:保守アリぺろー!(授業部まで言われたらもう返す言葉が残ってねえ!!!)
というわけで、今回はスイーツ部の皆さんとツルギ編
なんでこの組み合わせなの、っていうと
なんかスイーツ部の子らってツルギの本性さえ知ってしまえば
壁作らない気がしたんだよな…
根拠も何もないんだけど、ツルギがこういう無様晒しても
なにやってんの、って笑ってくれそうな気がする…
なんとなく、なんとなくね。海イベ的には補習授業部の役割かもだけど…
なんか、こう、ケーキ作りの時からお気に入りの組み合わせなんだ…
ちなみに、明日は俺が苦手な補習授業部だよ!!!
あんなに出番あるのに、なんか解像度上げられねえんだ!!!
- 94二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 00:42:48
- 95二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 00:52:20
- 96二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 08:29:33
補修授業部は二グループに分かれているからなあ
- 97二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 14:05:58
スズランの元ネタってもしかしてイエス・キリストかな?
- 98二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 19:39:24
保守
話が面白くて更新楽しみにしてます - 99二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:13:47
もしスズランが将来はパパ(先生)と結婚するとか言い出したら保護者sはどんな反応を見せるのやら
- 100二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:16:24
―――――――――――――
「こちら補習授業部のヒフミです、スズランちゃんを視界に捕えました。
スイーツ部の皆さん、ツルギ委員長、お疲れ様でした!」
『スイーツ部の皆さんは見つかってしまいましたが
ヒフミさん達は見つからないようお願いしますね』
スズランちゃんが歩く様子を
横目で見ながら、私達はカフェのテラス席でお茶をする。
その向かいには薬局、そこがスズランちゃんの第一目的地だ
作戦通りにいけば、私達はスズランちゃんが横を通った後
そのまま席を立って、あとを追う形になる。
薬局の中にはハナコちゃん、無事にお買い物ができるのを見守る係だ・
あまり広くもない調剤薬局、当然顔を合わせる事になるため、一番アドリブに強いハナコちゃんがその役割
のはずなのだが、既にハナコちゃんはスズランちゃんの羽を握りしめて少し過呼吸気味になっていた。
「大丈夫か?ハナコ」
ハナコちゃんの様子を心配するアズサちゃんに、ハナコちゃんは目の前の紅茶を飲み干す
ふう、と一息落ち着けるものの、その呼吸がまた早くなる。
「大丈夫です。少しトラウマがフラッシュバックしただけです。」
「…あんた、それで自分からついて行くって言えたわね。」
「…あら。じゃあコハルちゃんが行きますか?
コハルちゃんに慌てずに適切なそこにいる言い訳ができますか?」
- 101二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:16:41
思わぬ鋭い返しに、コハルちゃんが言葉をを詰まらせる
そんな姿にはっとしたのか、ハナコちゃんは慌てて優しく笑った。
「任せてください。これでも私、演技派なんですよ?」
むぅとするコハルちゃんに、ハナコちゃんはウィンクをする。
器用に飛ばされたそのウィンクを、ハナコちゃんはしっしと払いのける
「サポートは任せてくれ。準備は万全だ。
Vanitas vanitatum、全ては無に帰すとしても、準備は万全に、だ。」
「あの…アズサちゃん…?トラップなんて仕掛けていないですよね?」
「なぜだ?」と問い返すアズサちゃんに、私はその結果を聞くことができなかった。
インカムから聞こえてくるナギサさんの声、それは私達を少し叱るように右耳に響く
『スズランさんが所定の地点に到達、移動を開始してください。』
羽をパタパタさせながら行進するスズランちゃんが横を通り過ぎてゆく
その後を追い、私達はそれぞれにアイコンタクト、席を立つ。
ハナコちゃんが少し離れてスズランちゃんのすぐ後ろへ
私達は2人の姿を確認しながら後を追う
スズランが薬局の前につくと、自動ドアのボタンへと手を伸ばす。
しかし、スズランちゃんの背には少し足りないその場所へ背伸びをするもやっぱり届かない様子。
『うーん…うーん…』
サクラコちゃんのマイクがスズランちゃんのうなる声を拾う
- 102二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:16:54
もう真後ろに立っていたハナコちゃんが代わりにボタンを押してあげようと手を伸ばしたその瞬間だった。
羽根を大きく広げると、強く地面を蹴り出して思い切り飛び上がったスズランちゃん。
真上にあったハナコちゃんの胸へと頭をぶつけハナコちゃんはその勢いに尻餅をついた。
『お?……はなこ!』
転んだハナコちゃんに対して、スズランちゃんは着地のポーズ。
この子の運動神経は、まったくどうなっているのだろうか。
『あらあら、スズランちゃん…今日はお日柄もよく…えっと…』
そんなさすがのハナコちゃんでも想定外の出来事に、言葉に詰まっている様子
私の隣では、慌てて駆けだそうとしていたコハルちゃんを、アズサちゃんが引き留めていた。
「コハル、待て。ここで助けては作戦が崩壊する」
「……わ!わかってるわよ!放してってば!別に助けに行こうなんて…
「もうコハルちゃんは素直じゃないんですから」
私の言葉にふん!とそっぽ向いてみせるコハルちゃんではあるが
ちらちらとハナコちゃんを伺っているあたり、やはり怪我をしていないか心配なのだろう
素直じゃないコハルちゃんに少し笑っていると、あちらでは既にハナコちゃんは立ち上がり
スズランちゃんの代わりに自動ドアを開けていた。
『スズランちゃんもお買い物ですか?』
『おつかい!えとね、ばんそことほーたい、かうの!』
- 103二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:17:05
二人仲良く店の中に入っていくのを見届けて、その店内でのやりとりを聞く。
ガラス越しに見えるその姿は、最初の嫌われ方はなんだったのかと思ってしまう程だ。
いっしょに棚から絆創膏を選び、包帯を選ぶ姿を遠目に眺めていると
私達の背後、路地の方から爆発音が響き渡る
「来たか。」
「アズサちゃん!?やっぱり爆弾仕掛けてたんですね!?」
「ヒフミ、何を言っている?準備は万全だと言っただろう
武器使用許可は下りている。作戦上なんの問題もないはずだ。」
当然トラップが爆発したということは、引っかかった人がいるということで
爆音が上がったその路地からは、慌てる声と憤りに満ちた男性の声が響いてくる。
「クソが!あれ以来ついてねえ!いきなりなんだってんだ!」
「ガキの誘拐くらいで組は壊滅、今度は路地裏で爆発だ?ふざけてんのかこの町は!」
私はその声のする路地裏へと踏み出して、煙の上る先、次の交差点を恐る恐ると覗き込む。
その先にある交差点から顔を出した2人の男たちは
爆発のせいか生活のせいか、少しボロボロの身なりながらあまりガラのよくない姿。
その胸には、スズランちゃんを誘拐したギャングの紀章が飾られていた。
「ハナコちゃん、スズランちゃんを店内に引き留めてください!」
私が声を上げるのと同時に、アズサちゃんが銃を構える。
しかし、私の大きな声がいけなかったのか、その二人も銃を構えて物陰へと身を隠す。
出来上がってしまった膠着状態、インカムの向こうではナギサ様の指示が飛んでいた。
- 104二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:17:17
ちらりとこちらの様子を伺う男のうちの一人が、私の顔を見ると
物陰に隠れていたのを忘れたかのように身を晒して指を指す
「てめえら、あのガキの守してたやつらじゃあねえか!
てめえらのせいでこちとら路地裏に隠れて過ごす羽目になってんだ、おいお前ら出てこい!」
その声に、路地裏の扉がいくつか開く。
そこから出てきたのは何人もの同じ紀章をつけた男達だった。
「まずいな、ヒフミ。これでは大騒ぎになってしまう」
こちらを見るアズサちゃんは、言葉に反して冷静な様子。
インカムの先では、こちらの映像を捉えたのか、ナギサ様が頭を抱えている様子
『安全の確保と思い、隠れ家を殲滅したのが裏目に出ましたね…
…ヒフミさん、アズサさん、指定場所へとおびき寄せて下さい。』
こちらもこちらで元凶だったようで、送られてきた地図を見ながら場所を確認する。
裏路地の井戸の広場、そんなには広くないその場所は、私達の背後
アズサちゃんは構えを解かずに私のスマートフォンの画面を見ると「なるほど」と頷いた
「うん、ここなら都合がいい。ヒフミ、走ろう」
アズサちゃんの言葉に、私はわけもわからず走り出す
私達の横をすり抜けてゆく弾丸の中、必死で走り井戸の横を通り過ぎる
その先は行き止まり、駆けてくる男達の姿に私が焦っていると
彼らがポンプの広場に到達しいよいよダメだ、と私が銃を構え放つ前に
何条もの光が、様々な方角から彼らを射抜いた。
- 105二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:17:46
彼らが倒れこんでゆくのを私が呆然と見ているとインカムからはハスミさんの声
『こちら狙撃部隊隊長、ハスミ。全標的の沈黙を確認。』
「標的の動きが止まった好機だ」
そう言うアズサちゃんの手には何かのボタン
押すのを止めようと手を伸ばすと、うっかり私の手がそれに触れ井戸は大爆発をした
「――はぁ…もうさんざんですね…」
私達が大通りに出るころに、スズランちゃん達が薬局を出て来ていた。
ホクホクとした顔で袋を抱えるその表情からはどうやら事件に気付いてはいない様子
待っていたコハルちゃんと一緒にそこに合流をして歩き出す。
私達の任せられた区間はあと少し、気を抜きかけているとコハルちゃんハナコちゃんの脇腹をつつく
「ハナコ、何か垂れてるわよ」
セーラー服の裾から何か、太いリボンのような何かが垂れる。
ハナコちゃんはそれを手探ると「あら、さっき外れてたんですね」とするりと抜き取った。
どう見たって下着のそれをコハルちゃんが慌ててひったくる。
「なんで脱ぐのよ!?エッチなのはダメ!死刑!」
自分のカバンにしまい込もうとするも
なかなかうまくいかないそれを見てスズランちゃんは目を丸くする
「おっきーねー」
「スズランちゃん!?絶対、絶対こんな大人になっちゃだめだからね!!」
- 106二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:26:44
>>95:もうペシもペロもいるから伸ばすしかなかったんだよ!!!!
そしておまけの最後はたぶん、ペシって生易しい音じゃなく
ベチィ!!!かな…ご想像の上では、任務完了後のミネ団長をご相談ください。
>>96:なるほどやっとちょっとしっくりきた。
((ヒフミ+アズサ)+(ハナコ+コハル))で考えればよかったのかなるほどそういうことか!!!
>>97:さすがにそんな尊大なモチーフじゃないよ
まあもう少しで本編終わるから、その時にでもちょこっと書かせてもらおうかな
>>98:もう!すぐ!おわ!るよ!
まあたぶん、番外編というか外伝というかを、ちょこっと書かせてもらうと思うけども…
正直もう、毎日書くのに慣れ過ぎて、ちょっとクールダウン期間ないと精神がダメになる気がする…
はい、というわけで今回は補習授業部編でした。
最後にスズランちゃんに「だめ!しけい!」って言わせようかな、ってオチだったんだけど
さすがに、そんな言葉を教えたらママs(救護騎士団以外含む)がたぶん黙ってない
ので、オチはコハルちゃんに担当して頂いた。
明日はどこにしようかなーなんにも考えてねえや…
あとは古書館組と、ツルギ以外の正実、自警団、そして救護騎士団か…
どうしようかね…部品で区切ってあるから、実はどこでも行けるのよね…
ほんと、どうしようかな…
- 107二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:17:12
- 108二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 00:21:10
悪いことをした人が居場所をなくしたのは当人のせいペロ。悪いことをしなければ追われることも無かったペロ。そう、ブラックマーケットを牛耳るファウスト様が守護するスズランちゃんを誘拐するのに協力した時点でチェックメイトだったペロ。………将来ハナコみたいになるスズランちゃん?母親と過保護トリニティ組がフリーズしちゃうペロ………。でも1番ダメージ受けるのはハナコなんだペロ
- 109二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 08:18:51
ハナコはだからハナコなんですよ
- 110二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 18:40:29
保守
- 111二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 20:53:26
某動画を視聴し、続きを待ちきれなくてこちらに来ました!
いつも楽しみに読ませていただいております。スズランちゃんの日々の成長はいつも楽しみになりますね♪
私も概念を投下させてください。
概要
スズランがケガした小鳥を発見し「救護!」と部室に連れ帰っていく、人為的につけられた傷をみて救護騎士団で救護することになった小鳥をスズランは懸命にお世話するけど小鳥は日に日に弱っていく。
ある朝に小鳥は元気な姿を見せるがパタリと力尽きる小鳥に涙を流すスズラン。
そして、そんなスズランを悟すように慰め、命の大切さと救護の精神を説く団長。
意味をまだ十分理解できないが、心に響くその言葉にママたちのまねっこだった「救護」が
自分なりの意味を持ち始める。
そして最後に小さなお墓を作って丁寧に祈りをささげる。
曇りつつも最後に救いがあるお話ですがどうでしょうか。 - 112二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:07:45
―――――――――――――――――――
「こちらマシロ。時計台、大通りにスズランちゃんが入りました。」
私はスコープ越しにスズランちゃんを見下ろす。
大通りを全てカバーするこの時計台からスズランちゃんを護衛するのが私の任務。
倍率を少し下げたそのレンズの中には手を上に上げてグルグルと回すイチカ先輩
『こっちも位置についたっすよー』
「はい、見えています」
私が確認を伝えると、イチカ先輩が手を回すのをやめて尾行に移る。
予定では自警団の2人も合流するはずだったのだが
と、周囲を確認するがその姿は見当たらない
「自警団のお二人は…」
『すみません!!おくっ…!!ん~!!ん~!?』
角から飛び出してきたレイサさんだったのだが、口を塞がれて角に引き戻される。
危うく気付かれたかと思ったのだが、スズランちゃんは声の主を探してキョロキョロ。
なんとか気付かれてはいないようで、なんだったんだと眉を顰める
『自警団スズミです。子ども同士のいさかいを見つけて対応をしていました
配置についたのでこれより任務に合流します。』
その声を止めたのはスズミさんのようで、呆れたような声色。
ともあれ、無事に開始された区間にほっと胸をなでおろす。
- 113二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:08:05
「各位、配置を確認しました。位置に多少ずれがありますが、問題ありません。」
私は手元を確認する、初弾は装填済み、セーフティも解除済み
とはいえ、これを発砲するような事態にはならない事を祈る。
スコープの先は平和そのもの、薬局の袋を抱えて歩くスズランちゃんは
周囲の生徒達にふさがった手のかわりに翼を振って歩いていた。
『スーちゃん楽しそうっすねー』
「ええ、そうですね。はじめてのおつかい楽しんでいますね。
…と、交差点に差し掛かります、交通規制部隊は信号の操作をお願いします
大通り全域の信号機は掌握済み、ボタン一つで信号機も切り替えられるようになっている。
ここまでは、計画通りで万全の体制。スズランちゃんの進行方向の横断歩道だけが青に変わる。
しかし、スズランちゃんは交差点の前で立ち止まる。
右、左と道の先を見て「あれ?」と首をかしげるスズランちゃん
「直進です、直進ですよスズランちゃん…曲がるのは次の交差点です…」
『あちゃー、道忘れちゃったっすね…どうするっすか?道教えてあげるっすか?』
そんなイチカ先輩の声に、本部のナギサ様が答える。
とても、とてももどかしそうに、苦渋の決断を返した。
『いいえ、地図が渡されているはずです…自分で気づくのを待ちましょう。
スズランちゃ…スズランさんの邪魔をしてはいけません。』
ちゃんで呼びたいのならば、スズランちゃんと呼んでしまえばいいのに。
そんな事を考えながら「了解」を返してみんなで待つ
- 114二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:09:00
スコープの先ではスズランちゃんがポーチから紙を出して眺めていた。
きっとミネ団長の手書きの地図だろうそれを、クルクルと回して
地図と景色を見比べては、ハテナ模様を頭の上に浮かべている様子。
気づいて、とばかりにスズランちゃんの進行方向以外の信号が赤になる。
進むべき横断歩道以外は赤信号、気づいて、気づいて。と
みんながモニタをスズランのポーチに仕込まれたマイクに切り替えて願っていると
スズランちゃんが周囲を見渡し、何かに気付く。
『れいさ!れいさー!』
その目立つ髪色故に、見つかってしまったレイサさん。
慌てて隠れようとしたレイサさんを、スズミさんが不自然だと引っ張り出す。
『れいさー!こっち!こっちきて!
すずみもいる!』
戸惑うレイサさんの背中をスズミさんが押してスズランちゃんのもとへ
こっち、はやくはやくと手招きするスズランちゃんの方へと小走りで向かう二人
その後ろで、赤信号で停車しているべき車が動き出す。
その車は赤信号にしびれをきらしたのか、前の車列の横を擦り抜けようと歩道へと乗り上げる。
『れいさー!』
『スズランちゃん、あ ぶ な い!』
小さなスズランちゃんに気付いていないのか歩道で速度を上げようとする車
絶対に外せない一撃。私が照準を合わせるため息を止めると世界は遅くなる。
脳がそれを処理しようと色の認識をやめた。
- 115二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:09:15
スローモーションの世界の中、レイサさんがスズランちゃんの横を通り抜け、車の前へと立ち阻かる。
建物の影に隠れていたイチカ先輩が飛び出して、スズランちゃんを抱きかかえる。
スズミさんは車へと照準をあわせて引き金を引いてるが、その小口径では車は止まらない。。
私が引き金を引くと、世界は速度を取り戻した
ガキン!と鈍く金属が砕け散る音がインカムから聞こえる。
スコープの先では車が、レイサさんの目の前数センチのところで停車、というよりも停止していた。
ボンネットには弾丸が作り上げたクレーター
私は空の薬莢をチャンバーから追い出して、二発目を運転手に向け放つ。
「正義執行。…ヒット。目標の排除を確認。」
狭窄した視野を戻そうと、左目を空けると
遥か上空のヘリコプターから飛び降りようとするミネ団長を、セリナさんとハナエさんが引き留めている。
軽く数百メートル以上はあるそこから飛び降りようとしていたのか、と少し呆れながら私はスコープへと視線を戻した
『ひええ…なんで二発も!?いや…!スズランちゃんご無事ですか!?』
レイサさんが車から目を放して、スズランちゃんの方へと駆け寄る。
既にイチカ先輩により安全圏へと移されたスズランちゃんはレイサさんへと元気よく手をあげた
『れいさ、すごいねえ…』
『え、あの…止めたのは私じゃ…えっと……』
『さすが自警団のレイサさんっすね!車を止めてしまうなんてさすがっすね!』
私の狙撃をバラしてしまいそうなレイサさんにイチカ先輩が口留め
大袈裟に褒め称えているようだが、その目はレイサさんを制しているようだ。
- 116二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:09:25
保守
- 117二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:09:28
『え…あの。えっと…そうですね!
自警団のエース、この宇沢レイサにお任せください!』
『しゅごい!れいさ!うるさいだけちがう!』
『え、スズランちゃん…今まで私の事うるさいって思ってたんですか…?』
しょんぼりとしゃがみ込むレイサさん。
その背後から車の運転手を簀巻きにして抱えたスズミさんが肩を叩きながら笑っている。
『褒められているんですから、素直に喜ぶといいと思いますよ』
『全然褒められてる気がしません!!』
スズランちゃんが涙目のレイサさんの頬をポーチから取り出したハンカチで拭う。
そこには血が伝っていて、絆創膏をひとつ、レイサさんの頬へと張り付けた。
『れいさ、ありがとー』
ぽんぽん、と張り付けた絆創膏を撫でて今度は遠く、こちらの方を向く。
ようやく自分の進む道に気付いたかな?
なんてのんきな事を考えているとスコープ越にスズランちゃんと目が合って大きくこちらに手を振った
『ましろもー!ありがとー!』
「はい…って、こっち見えてるんですか…え、いつから気付かれてたんですか…」
狙撃手にとっては背筋が凍るようなその視力
スコープ越しのスズランちゃんの笑顔の周りで、3人の顔も凍り付く。
- 118二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:09:43
『そういえば、スズランちゃん!!
なにか用だったんですか?』
『あ!…あのね、あのね、すーぱーいくの。
これがね、あれでね…こっちが…あのね…』
地図を見せて、道を教えてもらうスズランちゃん。
私が見つかっていた驚きから落ち着き始めたころには、レイサさんとスズランちゃんが手を繋ぎ
スーパーマーケットに向かって歩き始めていて、インカムからは二人の歌声が響く。
『だーれにもー、秘密でー』
『おーでーかーけーすーるのー』
『どーこーにー行こうかーなー』
その歌にインカムの中には笑い声が混じる。
ふふ、くすくす、あははと誰とも分からない仲間と笑いあう不思議な感覚
なんだか胸がすくような気持ちになりながらスコープの先の二人の進路を見守る
もうすぐスーパーマーケットへと二人が入ってゆくその時、インカムからはイチカ先輩の声
『マシロ、聞こえるっすか?』
「はい、聞こえています。」
『今どういう気分っすか?』
「狙撃手にとっては、悪夢みたいな気分です。
でも、正義実現委員会としては、悪くない気分かもしれません。」
- 119二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:25:34
>>105:ハナコのこれパンツじゃないんだ、ブラだったんだ…
テキストエディタで書いてるんだけどラインカウント引き算して30行を計算してるんだ…
実はここ行数カウント間違えたせいで、急遽何行か消してるんだけど
「なんで脱ぐのよ!?エッチなのはダメ!死刑!」
↓
「なんで脱ぐのよ!?って言うか肩紐どうしたのよ!?
なんで脱げたの!?どうやって脱いだの…じゃない!
エッチなのはダメ!死刑!」
って元々は3行の説明込みのセリフだったんだ…すまない…
何も考えずに消しちゃった…
ふふ、3桁の引き算すらできない俺を笑ってくれ…
>>107:お久しぶりペシ先。いいんだよ別に義務じゃないんだからw
今度は俺がSS読む番かな、期待して待ってる。
>>108:行数の関係でオミットしたけど、とどめをさしたファウストさんが伝説になる
って幻の行があったりしたんだよね…みんな考える事は同じかw
>>109:ハナコは何させてもハナコなんだけど、何をさせたらハナコらしいか分からん…マジでわからん。
>>110:これセルフ保守。実はこの一連で初めて有効なセルフ保守したよ
>>111:カロリー!!!執筆カロリーがとても高い!!!
もうそれは概念じゃなくてSSだよ!!
自分で書いた方が早いくらい内容詰められてるのよ!!
1にも書いてるけど自分で書いてもいいのよwww
一応、ツール一式置いておくねwww
テレグラフ(書くところ):
URL短縮ツール(レスする前にURL短縮しないと今規制されてるっぽい):x.gd短縮URL作成ツール長いURLを短いURLに変換します。短縮URL押下時の広告画面なし、好きな文字列で短縮URLを発行することができます。develop.tools全トリニティキャラ出すのすげえしんどいな…
とはいえ、なんとかこのスレ中には終わるかな。。。
中盤って言ってたけど、やっぱり俺の構成力は、信用ならなかったね…
- 120二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 02:32:02
スナイパーの距離を裸眼で補足するとは...
以下スズランの能力
・驚異的な成長速度
・アズサでも捉えきれない移動術
・潜伏に長けているはずのアリスクを簡単に発見するほどの聴力
・スナイパーを目視で発見する視力 ←NEW
スズラン…恐ろしい子…! - 121二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 04:03:26
- 122二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 07:03:47
お気に入りの羽センサーペロか?いやでも、スズランちゃんはネズミとかも乱獲してるから生きてるもの全てを感知できる能力の可能性もあるペロ。後は子供は普通に鋭かったりするペロから、そっちの可能性の二択ペロね
- 123二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 14:03:15
全方位に感覚が回っている場合もあるな
- 124二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 16:31:21
保守
- 125二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 20:36:13
ブラだったペシか…
そうか…だからおっきーねって…そうか…
そうか…ペシもまだまだぺしね…
そしたら嗅覚も鋭くて血の匂いで「…!きゅうごのにおい!」
で気づいたりするのかな
猿轡で声出せないのに来たらいいよね - 126二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 22:04:03
- 127二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:25:34
―――――――――――――――――――
「こちらハスミ、店内にスズランさんが入ってきました。」
スーパーマーケットの前でスズランさんはレイサさんに手を振って分かれ、自動ドアを潜る
さすがに店内では何もないとは思うが、インカムの向こうではギャング掃討戦が繰り広げられている模様
私が棚の上からスズランさんの様子を覗き込むとお買い物メモを片手に歩き出す。
このお店でのスズランさんのお使い内容は紅茶と好きなお菓子。
「おこーちゃ、おかしー、おこーちゃーおかしー」
棚を左右に見まわしながら、お菓子の棚を探して店内を歩く。
お菓子に悩んだ時のためにと配置された私も先回りを、と棚に向かうと
そこにいたのは図書委員会のお二人
「スズランさん、以前はぼーろがお好きだと言っていましたよね
でも次はいつ来るか分からないですからね、日持ちをするものが…」
「委員長、いつまで悩んでるんですか…?」
お菓子の棚を見ながらお菓子を吟味するお二人
今回の作戦を知らされてはいるものの、たぶんこのお二人がここにいるのは偶然
そしてスズランさんの来訪に備えてお茶菓子を買いに来ているのも偶然だろう。
スズランさんが来ることを伝えてあげた方がよいだろうか、と私は声を掛ける。
「こんにちは。」
「ひぇあ!?なんで正義実現委員会がここに!?」
- 128二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:25:48
私の姿を見てびっくりするウイさんと、会釈をしているシミコさん。
そんなに驚かなくても、と少しショックながらも、私は言葉を続ける。
「私達だって、お買い物をすることだってありますよ。
お二人は、スズランさんが遊びに着た時に備えてお菓子、ですか?」
「いえ、あの…まあ、はいそうです。」
「委員長ったら、スズランちゃんがいつ来てもいいようにって
お茶菓子選びにもうずっと悩んでまして…、ハスミさんもお買い物ですか?」
「通達はあったと思いますが、お使い大作戦が決行中でして。
今、店内にスズランさんもいらっしゃいますよ。」
スズラン、という名前を聞いてウイさんの表情が少し明るくなるが周囲を見渡しては不安顔に変わる。
シミコさんの袖を掴んでどこかに逃げようと歩き出そうとするも
逆にシミコさんがウイさんの手を掴み、動かない様子。
「シミコ、早く退散しますよ。お使いの邪魔になるかもしれません。」
「そんなこと言って、会えるのが嬉しいんですよね?
やましいこともないんですから、逃げなくってもいいじゃないですか」
わたわたと慌てるウイさんをシミコさんが宥めていると棚の向こうをスズランさんが通り過ぎ
通り過ぎてしまったかな、と私が気にしていると。バックで戻って来るスズランさん。
私達の顔を見つけ、嬉しそうに羽根を上下させて、こちら側へと駆けて来た
「うい!しみこ!はしゅー!
あのね、あのねーおつかいきたのー!」
- 129二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:26:01
慌てるウイさんへと駆け寄って、ぎゅっと抱きしめるスズランさん。
今日は私じゃなかったな、なんて少し寂しい気持ちでそれを見ていると
ウイさんの足を離れ、シミコさんへとハイタッチ。私の足にも抱きついてくれる。
「おつかい偉いですね。スズランさん。
何かお探しなんですか?」
「おこーちゃとー、おかし!」
本来ならば、お菓子を何にしようか悩んでしまったり、お菓子に手が届かない時に
私が現れる予定だったのだが、こうなってしまっては仕方が無いだろう
インカムの向こうで『計画と違いますよ!』なんて騒いでいるナギサさんの声を無視しつつ
私はスズランさんへとお菓子の棚を指さす。
「お菓子の棚はここですよ。」
「おかしいっぱいねー、ぼーろもあるねー」
はしゅもおかしすきねー!」
やっぱりこの子は、私の事を食いしん坊だと思っているらしい。
間違ってはないのだろうけれど、子供に言われると少し恥ずかしいものがこみ上げる。
それを察してか、少し笑いそうになっているウイさんに目を合わせると
彼女は目を逸らして咳払いしてごまかした。
キラキラとした目で棚を眺めるスズランさんに、シミコさんが目線を合わせて訊ねる
「スズランさんはどのお菓子が好きなんですか?」
「ぼーろすき。…このクッキーすき、
びすけとかわいい!…ぜんぶすき!」
- 130二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:26:11
シミコさんの質問の答えを受けて、ウイさんがこっそりと指さされたお菓子を自分のかごに入れる
よくやった、とシミコさんに向けられる目線に、向けられた本人は苦笑い。
「スズランちゃんは、今日はどのお菓子を買うんですか?」
「えとね、これ!」
指さした先にはチョコレート。
小さい子にはチョコレートは、という話を聞いたこともあり
お預かりする際の禁忌リストにも、チョコレートの名前が未だに残る。
きっと食べた事のないお菓子、パッケージも子供向けとは言えないそれへと手を伸ばす。
それをウイさんが慌てた様子でその手をいさめた。
「…あ、あの。スズランさん…これは、あなたには少し早いかと…」
「これままの!ままこれすきなの!
ままがよろこぶのがいい!」
ウイさんの手を擦り抜けて、手にチョコレートの箱を取る。
まったくこの子は、賢いというか、賢すぎるというか
その言葉をインカム越しに聞いている救護騎士団の3人は、感極まって泣き出す始末
「スズラン、自分の好きなのを、好きなのを買うのです!」
「そうですよスズランちゃん!あの!ハスミさんお願いします!」
「うわーん、スゥちゃんが、スゥちゃんがいい子すぎますー!いい子ですー!」
- 131二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:26:24
こちらの耳の都合も知らず、大声で喚いているのか指示をしているのか。
この親ばか3人へと小さくため息をついて、スズランさんへと目線を合わせる
「スズランさん、もう一つ自分の好きなのを選びましょうか
きっと、お母様達も、スズランさんが食べたいお菓子を買って欲しいと思ってますよ」
「いいの?…えとね。あのね、これ!」
指で指した先にはいつもの卵ボーロ。
いくつも連ねた小分けの袋を指さすスズランさんを抱きかかえて寄せると
それを手に取って「むふー。」と少し嬉しそう。
チョコレートと卵ぼーろを胸に抱き、じたじたと足をばたつかせた。
「ういー、しみこ、はしゅ、つぎー、おこーちゃー!」
「え、え、あ…はい、紅茶ですね。紅茶はあちらの棚です」
ウイさんへと案内されたお茶の棚。
そこではミネ団長こだわりのお茶を紅茶を迷わず選んでレジへと向かう。
慣れた様子でお会計を済ませているのは、きっと一緒におかいものするときにしていることなのだろう。
しかしながら、子供のお使いに最高紙幣を持たせるのは、ミネ団長の過保護さというかなんというか
子供のお財布から高額紙幣を渡された店員さんも、困惑の顔をしていた。
店の外へと出ると、スズランさんは駆けてゆく。私はインカムで次のチームへと申し送り。
ばいばいと手を振る図書委員会の二人の横で、スズランちゃんへと手を振っていた
「ウイさん、顔がにやけていますよ」
「これは…あの…まあ、誰しも子供には甘くなるものです…」
- 132二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:37:02
>>122,123,超人説出たwwwそう聞くとバケモンスペックしてるなwww
>>124,保守たすかる!!!
>>125,すまねえ…カットする場所が悪くて…すまねえ…
たぶんスズランなら気付くんだろうなあ…
>>126,おお、すげえ早くも正解出た…、その通り、ミネルヴァの梟モチーフだよ!
羽根生やすことが決まった時から、ミネルヴァの梟モチーフで書いてきた!
その梟のモデルは、友達の飼ってるワシミミズク。
俺が遊びに行くと毎回羽根くれるのがスズランが羽根を渡す行動のモデルだよ!
というわけで、明日はサクラコ様書いて、ウィニングランまで。
明日はなんも予定ないので、2本書くかもしれねえ…
そしてエピローグ書いたら完結かな…
いやあ、ようやく、ようやく本編の終わりが、見えたよ…
- 133二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:21:07
- 134二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:45:56
ブラックカードを持たせてるわけじゃないから理性が残ってるペロね。それとナギサさま計画は既にスズランちゃんの可愛さのせいで破綻してるペロ
- 135二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 01:02:26
はしゅ、おかしすきペシね。
ふくろうかぁ…首回す?傾げる?のかわいいよね
音出さずに飛ぶんだっけ?それで移動術?
なるほどよく考えられてるペシね… - 136二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 09:10:13
保持
- 137二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:46:12
保守
- 138二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:08:15
―――――――――――――――――
「スズランさん、全然疲れた様子がないですね…」
『サクラコさん、気を抜かないでくださいね。
スズランが疲れたらすぐに、すぐに向かってくださいね』
元気よく行進する姿を車両の中からモニタ越しに眺める。
スーパーマーケットから学園までの道のりは一般生徒達によって護衛される。
ミネ団長たち救護騎士団の皆さんは先に学園に戻ってスズランさんを迎える準備だ。
ふんふん、と鼻歌を歌いながら行進するスズランさんの足が噴水の広場で止まった。
じっと見つめる先には噴水。学園の中でもお気に入りのそのオブジェに目を奪われている。
『もしかしてお疲れなのではないでしょうか?』
今日何度インカム越しに聞いたか分からない言葉。
その毎回に不安げな気持ちが乗っているそれは過保護ではないだろうか。
モニタ越しのスズランさんは、噴水へと歩み寄り
その縁に腰かけて、たすき掛けした水筒からお茶を汲む。
『サクラコさん!出番、出番です!
スズランさんが疲れたら助けてあげる部隊、出動してください。』
「え、あの、ちょっと疲れているというよりも一息のような…わっ!」
ナギサさんの声に急発進する車、それは噴水広場の裏道を駆けて急停車。
隣に座っていたシスターが扉を開けて、正義実現委員会の生徒が私の事を車から追い出す。
それと同時に車が大きく揺れ、何事かと上を見上げると、そこにはツルギ委員長。
この人の役割は終わったはずでは?と疑問を抱いていると彼女は私の事を抱えて駆けだした。
- 139二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:08:29
「ちょっとツルギ委員長、なんですか!?なんなのですか!?」
風のように駆けるツルギ委員長に担がれながら、わけもわからないまま噴水の隣へと放り出された。
状況が未だに飲み込めず、周りを確認してみるが、当然そこにはスズランさん
私の事を見つけると「おー!」とばかりに目をぱちくりとさせて私のことを見つめる
「あの…スズランさん、こんにちは…休憩、ですか?」
「さくらこ…さくらこでた…」
とてもごもっともな驚かれ方、私はそっと隣に座ってみると
水筒からお茶の注がれたコップを私に差し出してくれるスズランさん。
そしてスズランさんはポーチから卵ボーロを取り出して、袋を開ける
「さくらこもおちゃする?」
「あの…ありがとうございます。」
コップを受け取って、私は自分のバッグに入れていたミックスジュースを探す。
この作戦にあたっての支給品のバッグには、ミックスジュースに応急キットと、お菓子と
小さなクラッチバッグの中にどうやって収めているのか疑問になるほどのものがバッグには収まっていた。
このバッグの中は時空でも歪んでいるのではないかと錯覚するこのバッグはミレニアム製とのことだ。
パックにストローを刺してスズランさんに渡してあげると
卵ボーロを私達の間に置いて「あがとー」パックを受け取る。
私はお茶、スズランさんはミックスジュース
二人で冬の陽気の中に身を置いて、噴水の広場の往来を眺めて一息。
広場の中には作戦に参加する生徒や、気になって見に来た生徒、街の住人と様々な人たちが行き交う。
- 140二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:08:40
「たのしーねー」
そんな流れゆく街を見ながら、ニコニコとしているスズランさん。
この子には、世界がどのように見えているのだろうか。そんな疑問が口に出る。
「スズランさん、ここは…トリニティは好きですか?」
「すき!ままいてね、はねのひとがいてね、はねじゃないひともいる。すき!」
私だって好きだからこそ、辛い事もあるこの立場を選び、続けられたのだろう。
それでも、権謀術数が行き交うこの街を、学園を見ていると少し嫌気が刺すこともある。
彼女がそんな空間に気付いた時に、どのように感じるのだろうか。
私は少しだけ心配になってしまう。
そんな私をよそに、スズランさんは道行く生徒たちを指さしていく。
黒い制服の生徒、正義実現委員会の制服を指さして言う
「あのねー、くろいひとねー、つるぎ、はしゅ…みんなすき。
いっぱいけがしてね、いっぱいきゅうごしてる」
インカムの向こうでは湧き上がる声、きっと正義実現委員会の生徒達が喜んでいるのだろう
「もー、ちょっとうるさいよー」なんて声も聞こえるが、それは決して邪険にする声ではなかった。
『…ス゛ズ゛ラ゛ン゛ち゛ゃ゛ん゛……』
『ちょっと…ツルギ…泣いているのですか…?あなたが泣くところなんて初めて見ましたよ』
インカムの向こう側でツルギ委員長がむせび泣くような声
きっとハスミさんが背中を撫でているのであろう、そんな光景が目に浮かぶ
- 141二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:08:51
次に指さされるのはティーパーティー所属の生徒
ケープを肩にかけ、帽子を被ったその生徒を指さしてスズランさんは難しい顔
「おちゃのひとねぇ、たいへん、とってもたいへん。なぎがねぇ…」
『ふふ…ナギサ、言われているよ。スズランにはお見通しだ。』
『そんな…嘘ですよね、嘘ですよね…スズランさん…』
『ナギサ様には確かに振り回されてますね』『いつも大変なんですよ』なんて騒ぎ始める生徒会の皆さん
口々に色々な愚痴が出るあたり、やはり何か思う所はあったようだ。
「でもね、なぎね、みんなのことすき。ぶきっちょねぇ」
スズランそんな中にも『私はナギサ様のこと好きですよ』なんて言葉も混じり
『私も!』『私も大変だけど好きですよ!』なんて言葉が飛び交う
誰のものか分からないそんな言葉に、ナギサさんは言葉に詰まり次の言葉は出てこない
そんなナギサさんをからかうように、笑い声が混じり始める
『ナギサ、よかったね。みんな君のことが好きだってさ』
『セイアさん…うるさいですよ!…もう、あの…ありがとうございます…』
赤面しているのが目に浮かぶ声色に、またインカムの向こうは笑う。
私もすこし頬が緩みそうになるのを堪えて、スズランさんへとほほ笑みかける
「スズランさん、みんなのことが好きなのですね」
「すきー」
- 142二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:09:05
スズランさん、は卵ボーロをひとつ口の中に放りこむ。
自分で袋をあけて、自分で食べられるようになったのだなあ
なんて、子供の成長の早さをしみじみと感じていると、その視線に気づいたように
スズランさん、は私の方へと笑顔を返してくれる。
「すきー、さくらこたちもすき。
おいのりしてー、おうたうたってー、とってもきれい。」
噴水の縁で足をぷらぷら、翼と足を揺らしながら、その目が追いかけるのはシスター服
作戦の参加者なのだが、ちらりと目が合ってしまった子が手を振ると
スズランちゃんも、あわせて手を振り返す。
「さくらこ、おいたわしい!」
「そうですか…お労し…えっ…?私、そんな風に見えますか…」
お労しい、という言葉に私の頭が思考を止める。
誰がそんな言葉を教えたのか、どこでそんな言葉を聞いたのか
自分としてはそんなつもりもなかったのに、聞こえてくる声はマリーとヒナタの同意の声
『確かに、サクラコ様は…時折…』
『あの、時々、ほんとうに時々ですよ!』
絶妙にフォローになっていないフォローに私の表情筋が引き攣る。
そこにツルギ委員長の奇妙な笑い声と、ナギサ様の押し殺したような笑い声
釣られたように笑いだす皆さんの声に私の頬が少し熱くなる
「さくらこー?」
- 143二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 19:09:25
落ち着かない私の表情を察してか、スズランさんが私の顔を覗き込む。
私は慌てて話を変えようと、咄嗟に言葉を探して周囲を見回すと
私達よりも一足先に学園へと返る救護騎士団の皆さんを乗せたヘリコプターの軌跡
「救護騎士団の、…お母さんたちのことは、どう思ってますか?」
「ままー?えとねえ…」
スズランさんが空を見る。おつかい大作戦開始から既に数時間
真上から少し傾き始めた太陽に、スズランさんは手をかざす。
うーん、と難しい顔をしたり、何かを思い出したかのように頬を緩めてみたり
大きく首をかしげてみたりと、色々な事を考えて思い出して
たっぷりと時間を使って、心の中を言葉にしようと一所懸命に言葉を探す
でも出てきた言葉はとってもシンプルに、一言。
とってもいい笑顔で、屈託も迷いもない、その表情が感情の全てを物語る。
「…だいすき!」
照れた顔でスズランさんは噴水の淵から飛び降りる
まだ残った卵ボーロの残りを私に渡し
私からいつの間にか空になっていた水筒のコップを私から受け取って蓋をして。
そして私に大きく手を振ると、スズランさんは歩き出す。
「またね、さくらこ!」
「はい、いってらっしゃい。」
ずいぶんと大きくなっていたその背中を、私はスズランさんを見送った。
- 144二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:29:45
ええ子やなぁ…スズランちゃん…
…サクラコ様…しゃーないよ… - 145二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:56:56
――――――――――
―――――――――――――――――
「ハナエ、そんなに近づいたら気付かれてしまいますよ」
「だってミネ団長!よく見えません!」
学園のヘリポートに降り立って、裏門からこっそりと抜け出して
学園まではもう少し、あと半分ほどの道のりを、私達はスズランの後ろをつけていた。
右手にスーパーマーケットの袋をかけて、胸には薬局の紙袋を抱いている。
生徒達とすれ違うたびに手を振るスズラン。
一人で街を歩いている姿すらも、私達にとっては大きな成長に見えて涙腺が緩む。
セリナもハナエもそれは同じようで、ハンカチ片手にスズランの様子を伺って
「もう少しですよ!」「がんばってください!」なんて声を上げる。
そんな私達が見守るものそろそろ終わり、そろそろ部室に先回りしなければ
なんて考えていると、スズランが足を止めて周囲を見渡す。
『……?』
スズランが通りの外れをじっと見る。
一本奥の通り、普段は通ることのない裏通りへと目を向けて
スズランはちょっと悩んだ様子のあとに、そちらへとトコトコ進んでゆく。
「あー、スゥちゃんそっちじゃない、そっちじゃないですよー!」
「だからハナエ、あんまり大きい声を出したら…」
「とにかく、追いかけましょう。あちらの通りは人も少ないでしょうから」
- 146二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:57:11
スズランの迷いながらも何かを目指して進む後ろ姿を、私達は追いかける。
左右を見渡してはあっちかな、こっちかなと道を進んでゆく、
おつかい大作戦の配備外、インカムの向こうでは大慌てのナギサさんが周囲の安全確認
少し大通りから外れた公園で、スズランの足が止まる。
公園の中、スズランの視線の先には取り囲まれた女の子。
スズランよりも年上に見えるその翼のないその女の子に、石を投げつける子供達。
あまり認めたくはないものだが、生まれを重視するトリニティではない話ではない。
「ミネ団長、これは…」
「助けてあげなきゃです!」
勇む二人に、私も背中に背負っていた盾を準備するが
それよりも先に動いていたのは、スズラン、
私達よりも先に女の子の前へ、大きく翼を広げて女の子の前へと阻み出る。
「だめ!きゅうご!」
「なんだおまえ!どけよ!」
「そうだそうだ、どっかいけー」
どこからともなく現れたスズランに、少し怯みはするものの
投げかけられる罵声と、標的の変わった小石の雨。
しかし、スズランは引き下がらない。
それどころかそれを気にすらせずに、背中の盾を降ろして女の子へと盾を渡すと
自分はもう一度、石を投げる子供達へと向き合った
- 147二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:57:26
「だめ。」
「おまえそいつのことしらねーだろ!
そいつの親はわるいことしたんだぞ!」
「だめ。」
口々に浴びせられる罵声と共に、石は続けて投げられる。
一歩、スズランが進むと、石を投げる子供達が一歩下がる。
スズランの感情を示すように、大きく広く、強く広げられたその大きな翼。
その姿に私はセリナとハナエを制すると
二人も私の考えを理解したかようで茂みの中へと身を隠した。
そんな中、インカムの向こうでナギサさんが慌てている。
『ミネ団長、何をしているのですか!
鎮圧します、正義実現委員会、シスターフッド対応部隊!配置へ。』
「待ってください。ここで私達が手を出しても、それはこの場を荒らすだけです。
救護とは、その場を収めるだけでは成せません、原因を取り除く事こそが、救護なのです」
『何を悠長な、スズランさんが怪我をしてしまいます!』
スマートフォンを介して各部隊へと指示が飛ぶ。
私がセリナへとアイコンタクトを送ると、セリナはその指示を取り消した。
「子供は怪我をしてもいいのです。怪我をするものです。
怪我をしたら治療すればよいのです。
怪我をしなければ得られない経験を奪うことは、親のすべきことではありません。」
- 148二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:57:39
スズランは石を投げる子供達へと一歩、また一歩と歩みを進め
そして、もう目前へと迫ったスズラン。
自分達よりも一回り大きなその子供達、しかしスズランは怯まずにじっと睨みつける。
「関係ない奴がくちだすな!」
「そうだそうだ!おまえも痛い目みたいのか!」
なんと言われてもスズランは引き下がらない。
じっと、じっと石を構える子供達を見据えて、それを公園の隅へと追い詰めてゆく。
「なんなんだよ、なんだよおまえ!」
問われたスズランが大きく息を吸い、共に拳を突き出す。
そんなスズランの姿を、私達は息を飲んで見つめていた。
「きゅうごきしだん、すずらん!
ほこりと、しんねんを、むねにきざみ!
さいごの、そのしゅんかんまで!」
それは私がいつも、自分へと投げかける言葉。
救護騎士団の信念を受け継ぐための魔法の言葉。
私達はスズランの呼吸に合わせて呟く。
スズランは聞いたこともない程に大きな声を張り上げた。
「きゅうごが、ひつようなひとに、きゅうごのてを!」
- 149二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:57:53
そこからは、本当にただの子供のケンカだった。
石を投げていた子供がスズランを殴り、スズランが殴り返す。
大きな翼を広げ、その素早さで翻弄をしながらも囲まれて
盾を渡された女の子が立ち上がり、盾を構えてスズランを助けに飛び込んで。
ただ殴って、殴られての戦略も、戦術もないただの子供のケンカの行く末を
私達は固唾を飲んで見守っていた。
がんばれ、まけるな、と石を投げていた子供達が逃げ出すまで。
「ふん!やっつけた!…きゅうごかんりょう!」
ノイズ交じりに聞こえてくるスズランの勝鬨。
きっとスズランのポーチに入ったマイクが壊れかけているのだろう。
盾を渡された女の子も、ボロボロの姿で地面へとへたり込んでいた。
「だいじょぶ?」
「あの、ありがとう…ございます…」
スズランは自分のポーチから絆創膏を取り出して、女の子の治療を始める。
たくさんの擦り傷に、一枚ずつ絆創膏を貼ってゆき、ついに無くなってしまった絆創膏、困った顔のスズラン。
「そうだ!」と思いついたように、放り出していた紙袋から絆創膏を取り出した。
ニコニコご満悦顔で、スズランは引き続き絆創膏を貼り、女の子へと貼り終えて。
自分の傷へと絆創膏を貼っていると、女の子もそれに手を貸して、終わる頃にはスズランも女の子も絆創膏まみれだ。
「…あ。おつかい。」
「え、おつかい中だったの?」
- 150二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:58:03
ようやくおつかいの事を思い出して、自分が空けた絆創膏の箱をじっと見るとスズランは考え込む。
「こまった…」と呟くスズランであったが少しすると「うん!」と女の子に手を差し伸べる
「おつかい!いっしょにいく!」
スズランが女の子の手を引いて、薬局の方へと駆けてゆく。
私達その影が遠く小さく、でもその大きくなった背中を見届けて、一足先に学園へと戻ることにした。
――――――――――――――――――――――
校門でスズランを待っていると、夕暮れ、その向こうに二人の人影。
スズランは私達を見つけると、手を繋いで歩いていたその子に手を振って分かれる。
盾を返そうとするその子へと「あげる!ばいばい!」と大きく手を振って私達の方へと駆けてくる
「お帰りなさい。大冒険だったみたいですね。」
「うん!」
スズランが笑顔で答えながら、私に紙袋とビニール袋を渡す。
それを受け取ると、その中にはおつかいの品と、どこかで摘んだであろう花束。
どうりで帰って来るのが遅いはずだ、なんて私達は笑っていると
その様子を知りたくて仕方がない人たちがこちらを覗き込む。
「皆さん、たぶんスズランには気づかれていますよ。」
茂みからはツルギ委員長とハスミさん、校門の影からはシスターフッドの皆さん
往来の生徒達に紛れたナギサさんとセイアさん。
思い思いに隠れていた色々なところから顔を出す人達へと
スズランが「ただいま!」と大きく手を振った
- 151二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:59:24
「あのね!おつかいできた!ちゃんとみてた?」
順番に駆け寄って行っては褒められるスズラン。
きっと周囲にみんながいたことなんて気付いてはいたのだろう。
しかし、スズランにはそれがトリニティ挙げての大作戦だったことなんて、知る由もないだろう。
スズランが囲まれて褒められているのを眺めていると校門の前に、ガタガタと大きな音を立てて戦車団が乗り込んできた。
その先頭、ゲヘナの校章を掲げるそれのハッチから顔を出すのは二人。
「電撃戦だトリニティ!戦争準備をしていると聞いたが、こちらが先手を取れば関係あるまい!」
「あ~スズランちゃん、遊びに来たよ~」
その異様な光景に、あれよあれよとナギサさんが前へと押し出される。
2校の生徒会長が、トリニティの校門前で対峙するその構図は剣呑な雰囲気。
かと思っていたのだが、さすがに計画外も計画外だったようで、ナギサさんの口から出た言葉はまとまらない。
「えっと…、ゲヘナの皆さんごきげんよう。
これからスズランちゃんの初めてのおつかい成功パーティーなのですが……ご一緒にいかがですか?」
私達も、ゲヘナの人たちも、そのよくわからない言葉に凍りつく。
私達もパーティーなんて聞きいてはいなかったが、道理で役割を終えた人たちが一か所に集められていたわけだ、と納得する私達。
その後、よくわからない形で、史上初トリニティとゲヘナが入り混じるパーティーが開催される事となった。
そしてこれは余談、本当に余談ではあるのだが
今回のおつかいは、スズランにとって、とてもとっても楽しかったようで
このあと事あるごとに「おつかい、またおつかいいくの!」なんて言い出して
そのたびにおつかい大作戦を決行しようとするナギサさんに困る羽目になったのは、また別のお話。
- 152二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 21:11:57
>>133:景品でも出してあげたいが残念ながらなにもねえ!!
>>134:そっか…カードか…ブラックカード持たせておくべきだったかもしれねえ…
カードの存在というのを、すっかりと忘れていたよ…
>>135:そう。スズランの移動術はふくろう由来
なので、実はセリナの移動術とはちょっと違う由来だったりする。
これは某動画サイトで当てられて少し驚いた…
>>144:たぶんスズランちゃん「お労しい」を「美しい」とか「かわいい」って意味で理解してるよ
「サクラコ様、お労しい」ってみんなが言ってるのと
「さくらこ、きれい」って言うのが同じ意味の言葉だと思ってるよ!
というわけで、おつかい編。終わり!!!!!
最後のお話があと1話(たぶん今日明日で終わるお話)が残ってるよ!
苗字のお話だね!だいたいもうエピローグだよ!!!
んで、本編と番外編の間なお話を2話挟んで、本当に本編はおわりだよ!
なんか気分乗りすぎてるから、もしかしたら、全部今日終わるかもしれねえ…
次スレまでは立てようかなって。
なぜならば学外の番外編を書くって宣言しちゃったからね
学外編書くって約束した人たちがいるからね。
たぶん、その間のどこかでスレが落ちるんじゃないかなーって思ってる。
書ける順に書いていくから、まあ落ちたらその先はごめんなさいっていうことで…
とにかく落ちるまで、またひたすらに毎日1話ずつ書いて行こうかなって。
あとは幕間のお話だからね。
原作ブルアカシナリオとの整合性とか考えないし
環境や心情の変化とかを作らなくていいから、たぶん無限に書けるよ。
俺のウィニングランだと思って付き合ってくれると嬉しい。
- 153二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 22:21:45
エデン条約はここにあったんだペロ……きっもイブキちゃんと食べさせ合いをして、微笑ましい光景で癒しを与えてたんだペロ
- 154二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 22:52:52
書いてくれるならどこまでもこの優しい世界を見ていたいわ
- 155二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 00:08:19
スズランが、ミネ団長の口上の”ほこり”だとか”しんねん”という意味を理解しているとは思えないペシ
だが、体躯の差を、恐怖を前にして、その口上が”魔法”として、きっとスズランを支えた。あるいは、すでに恐怖はなく、救護騎士団としての”使命”を証明するための言葉だったかもしれない
どちらにせよその口上は、スズランに与えられた大切なものの一つだろう
大量の愛、共に過ごした時間、騎士団としての使命もらったものは形あるものだけじゃない
だが同時に、救護の意志はその象徴とも言える盾とともに彼女にも渡った事だろう。
ゲヘナのトップとナギサの二人からも分かる通り、スズランには”繋ぐ力”があるのだ。
「だからいっただろう、もうスズランは立派になったと」
「…」
「母親たちの優しさを、救護騎士団の強い意志を、ちゃんと受け取って成長した」
「…ナギサ、ミネ団長の言うとおりだ。君も過保護になって機会を、可能性を奪ってはいけない」
「今日のことでわかっただろう?何かあっても一人で解決し、それどころかちゃんと他人の救護まで出来てるんだ」
「君の愛が無駄とは言わないが、あの子が傷つき、失敗し、そしてそれを超え成長する姿をちゃんと見るのも愛なんじゃないか?」
「私は、あの時から何も変わっていませんね。まるで周りが見えていないで…」
「…君が一番わかっているか。余計なことを言ったな。忘れてくれ」
「君のことは大丈夫だ、あのときも今回も、ちゃんと最後は見守っていたじゃないか」
「…」
「…なんか前にも同じようなやり取りしませんでした?デジャヴですデジャヴ。」
「そうだな、やはり君は変わっていないな。周りを見ろ。過保護をやめろ」
「(泣)」
ペシは何書いてるんペシ?(錯乱) - 156二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:38:46
子育て日記:200日目 蒼森ミネ
今日は全校集会が実施される日でした。
スズランが学内の皆さんに愛されている、ということは理解しています。
それでも、それを意志として表明される、ということには少し胸がざわめくことがありほんの少しだけ、不安がありました
―――――――――――――――――――――――
「それでは、救護騎士団の皆さん、登壇をお願い致します。」
ホールの中、私達はその階段を踏みしめて一歩ずつ壇上へと昇ってゆく。
私の胸にはスズランに「スズランちゃーん!」なんて呼びかける生徒
それにスズランはニコニコと手を振っている。
演台の前に立ったナギサさんを目の前にして上がってゆく。私達の立つ位置はテープで示されている。
私達がその位置につくと、舞台袖からは各派閥のトップが並ぶ
派閥の大小、そして影響力の強さなど関係なく並ぶその一団
彼女たちとの会合は、数日前、おつかい大作戦を終えた後に実施されていた。
――――――――――――――――――――――――
数日前のこと、生徒会室の中、大小様々の各派閥のトップが集められ
いつもよりも人数の多いその部屋の中でナギサさんは言う。
「今まで空欄となっていたスズランさんの苗字ですが
私は、そこにトリニティの名前を預ける事を提案します。」
私達以外の理由も告げられずに集められた皆さんは、その言葉に驚いていた。
アイスブレイクもなしに告げられたその提案に場がざわめくと
あまりにも早いその本題の提示に、セイアさんが頭を抱えていた。
「……私からちゃんと説明をしよう。
スズランには苗字というものがない。孤児だからね。」
- 157二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:40:26
セイアさんの椅子に立って、耳をいじいじとしているスズランへとちらり目を向けるセイアさん
スズランはこんな空気なんてお構いなし、セイア様の耳に夢中。
というよりも、自分の苗字なんて子供にはあまり興味もないものだろう。
「スズランにとっての親というは、救護騎士団の3人
ミネ、セリナ、ハナエ、この3人だ、というのは認識の通りだとは思う。」
当然の事だね?と言わんばかりに紅茶を一口。
クールな顔をして見せてはいるものの、みんなの視線はやはりその後ろ。
本人としては慣れたものなのかもしれないが
それを見るこちら側としては「耳を弄られながらクールな顔をされても」だ。
しかし、私達の考えている事とはよそに、セイアさんは続ける
「では、スズランの家族は誰だい?
スズランの家とはどこだい?」
「私は…このトリニティ総合学園であると考えます。」
セイアさんさんの言葉に続けるナギサさんの声へと反応し
スズランは椅子を降りてナギサさんのもとへと向かう。
今度はナギサさんの椅子へとよじ登り
ポーチからブラシを出してナギサさんの羽根をブラッシングし始める。
この2人はなんでこんなしれっとした顔で話を続けられるのだろうか。
きっと私達の誰もが、お二人の話よりも、スズランが何をしているのかに注目をしていた。
「私達は、この1年たった1年の間に大きくその形を変えました。例えば…そこ。」
- 158二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:40:45
指されたのはツルギ委員長とウイさん、そしてサクラコさんの3人組。
スズランの様子にこそこそと、3人で内緒話をしていた様子を指さす。
先ほどから、この3人組がだけひそひそと何かを話していたというよりも
ナギサさんの長いお話に、雑談を始めていない人の方が少なくはない。
しかし、いきなり指を指されて驚いた様子のツルギ委員長
「あ゛ぁ゛!?」
「ひぇえ…すみません…つい…」
その驚いた声にさらに驚くウイさんと
雑談を叱られて、ちょっとしょんぼりとしたサクラコさん。
「怒っているわけではないのです。
……1年前、それより以前にそこの3人が会話しているのを見たことがある人は?」
ナギサさんの言葉に、部屋の中の一同が首を横に振る。
それもそのはず、派閥の違うシスターフッドのトップと、正義実現委員会のトップ。
ウイさんなんてこんな公式の場に出てくることの方が稀だった。
この学園は派閥が友達を決めるような場所だ。
いや、そうだった。
「…つまりは、そういう事です。」
「ナギサ、君だけは本当に変わらないね。
…ちゃんと説明をする癖をつけろと何度言わせるんだい?」
――――――――――――――――――――――
- 159二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:41:15
私達が壇上に並び、ホールの中へと向きなおしてスズランを降ろすと
それを確認したナギサさんが語り始める。
「もう、ずいぶんと前の事に感じますが
エデン条約…あの事件を覚えているでしょうか」
つらつらと語られる、当時の学園の混乱、そして騒乱。
壇上から見下ろすそこには少しふくれ顔のミカさんがいた。
隣の生徒から意地悪につつかれて「もうからかわないでー!」と頬を膨らませている。
そんな話がしばらく続き、いよいよそれに耐えられなくなったのだろう。
ナギサさんの話を遮ってミカさんの大きな声が響く。
「ナギちゃん、お話ながーい!結局何が言いたいのー!」
ミカさんの声に、壇上のナギサ様のこめかみに青筋。
そんな光景も、もうに見慣れた光景の一つだ。
「…ミカさん、あとでお話があるので、生徒会室に来るように。」
ホールの中に笑い声が満ちて真剣な空気が崩れ落ちる
もう戻らないであろうその空気に、ナギサさんがため息をひとつ。
マイクを通して、ホールの中に霧散する。
「つまりは……そうですね、要点だけをお話しましょう。
スズランさんさんにトリニティを示す文字を、苗字にと考えました。」
「なんだろなんだろ」なんて隣の人と予想しあう声や
「きゃースズランちゃーん」なんて声
これが気高きお嬢様校の全校集会だろうか。
- 160二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:41:26
私がそんな生徒達に笑っていると、一息をおいてナギサさんが続ける。
「スズランさんの苗字にトリニティと、救護騎士団の団長の名前から
"三峰"の名前を。……異議のある方は?」
ホールの中はしんとした。次第にぱちん、ぱちんと拍手が弾ける。
それは加速して、だんだんと広がって、大きな波となる。
そんな構内に、セイアさんがマイクを持ってスズランの隣へと歩み寄る。
「ふふ、異議は…ないようだね。
…じゃあ、どうだい?スズラン。三峰スズラン、君の名前に。」
セイアさんにマイクを向けられて、スズランはなにこれ、とポンポン叩く
スピーカーから流れたぼふぼふと叩く音にスズランは羽を広げて驚くが
周囲を見渡して「ふむ、なるほど」と理解顔
「きゅうごきしだん、みつみねすずらん!」
実は、昨日の夜から練習をしていた名乗りを上げて、Vサイン。
ホールの中にはいつまでも、黄色い歓声と、拍手が鳴り響いた。
明日にはシャーレへと登録に行こう。
きっと、今は分かっていないその名前の意味をいつか教えてあげよう。
きっと、いつかこの名前を誇りに思い、愛しく思う日が来るのだろう。
もしかしたら、重責に思い、恨むような日も来るのかもしれないけれど
また大切に思ってくれると信じよう。
あなたは、ちょっとたくさんのお母さんと
誰よりも多くの家族に愛され見守られ育てられた子なのだから。
- 161二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:48:48
と、いうわけで本編は、終わり!
あんまり盛大に終わるのは好きじゃなくてね!!!
そっと、そーっと終わるのが好きなんだ。
そっと終われば、まだ物語が続くような気がしてね…?
明日明後日あたりに2話、本編と番外編の間のお話だよ!
まあ、後味は薄味だけど、完結はしたから落ちたら落ちた時だね!
>>153:エデン条約、あの先の話なんか足されるのかなあ
もう1本くらい、メインシナリオにトリニティの話あるとうれしいよね
青春物語らしく、なんかこうちょっと成長した姿も見たいなあ…
>>154:…嘘かもしれねえ…無限に書けるは嘘かもしれねえ…
でも、みんなが飽きればそのうち落ちるのがスレってもんだし
続いたら続く限り書いてみようかな、とは思うんだ
>>155:またペシ先生が文豪と化してる…
お気づきの通り、スズランは意味を理解はしてないよ!
本当の本当に、魔法の言葉、なんだと思う
- 162二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 02:29:07
保守
- 163二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 04:00:36
- 164二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 05:22:17
- 165二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 10:53:44
最高のトゥルーエンドでした!
- 166二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 12:55:30
かー!今日は土砂降りだね!!!()
- 167二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 16:39:19
お疲れ様です
いいSSですね…!おかえりスズランちゃん!!
書き手にはなれませんが、いつも楽しく読んでいました、200日目、おめでとうございます - 168二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 19:09:13
とても楽しく読ませてもらいました。
今後も続くのならそれも楽しみですが無理だけはなさらぬように。 - 169二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 19:30:35
- 170二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:00:25
- 171二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:11:21
- 172二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:22:27
- 173二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:26:57
>>164,>>169:三"峰"のミネの話だったら169のとおりだよ。
「蒼森」はミネ団長の家名(だろう)から、ミネ団長のミネ、だよ
誤字があったなら…すまない…見返して見たけど
誤字脱字と誤記は…ほんとうに…すまないと思っている
>>165:トゥルーエンド…?バッドエンドも書けと、そういう…ことかい?
私もあにまんの民だからね…曇らせるのは、得意だよ…
>>166:千葉…?千葉の雨の話なの…?触れていい奴なのかい?
>>167:おつあり!200日目で本編終わり
ってなんか気持ちいいなってことで200日目で本編おわりです!
>>168:ありがと!気を付けながらがんばる!
というか実は頑張ってはないからなんと答えりゃいいかわかんねえ!!!
>>170:ペシ先も、ありがとね!
ちなみに、俺が書く物語には極力、必要なければ、先生は出ないよ。
公式曰く先生はプレイヤーだから、自分ならどうするの解釈が多すぎて追いつけないからだね!!
>>172:ありがとね!まだまだ書くぞー!
- 174二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:31:24
はじめてのお使いの時に助けた子が今でもスズランちゃんがあげた盾を持ってるの良いペロね。2人の友情の証ペロ
- 175二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 05:20:37
- 176二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 10:08:21
スズランちゃんが入学する頃のトリニティほぼ派閥争い無くなってそう……ママ達やママの友達達が「三峰」の名を汚さぬようにと頑張って。まぁゲヘナとはケンカするけどね。
- 177二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 12:36:41
この作品でバッドエンドや曇らせが見たいかと言われると難しい
書いてくれたら読むとは思うけど積極的に「見たい!」ってなれないくらいに優しい世界すぎて… - 178二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 14:48:17
フクロウモチーフだからスズランは感心したりするとフクロウの鳴き声(ホーホー、ホッホー)に似た「ほほぉ」と声を上げていたのかな?
- 179二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 16:34:41
- 180二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 17:41:14
- 181二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:50:18
これがある意味正しい、自然な曇らせ方というものだよ…
救護騎士団のアルバム:ストーブの写真
x.gd>>174:ミネ団長から受け継がれた盾をもらったのは、誰なんだろうね…
>>175:ごめんね、分かりにくかったね!
>>176:たぶん派閥争い自体はあるんじゃないかな
ギスギスしてるというよりも子供のケンカに変わってるかもしれないけどね。
そして、翼膜の生徒もゲヘナの生徒じゃなく、トリニティの生徒だよ。わかりにくいからなおしとく
テレグラフだと修正しやすくていいよね、レスだと二度と編集できないから…
>>177:おら、曇らせたぞ、読め。曇ったのは救護騎士団の3人でもスズランでもないけど…
>>178:そういうこったぁ!!!
>>179:これはね…おまけのネタをやりたいがために、大人になったスズランが
現代のシャーレに来る必要があったからね。。。
脳内設定のスズランの出自の設定にも、ちょっと関係あったりする。
でもたぶん、書くことはないと思う、察してみてね!!!
>>180:まじで…?え、まじで…?いいの、ほんとうにいいの…
なんか色々広がってきたの嬉しいな
明日あたりに次スレかなあ
明日から外伝での校外イベントとか、残ってる概念消化していくつもり。
今日はちょっと曇らせネタ消化をやりたかっただけだよ…
こういうネタの拾い方できるのが掲示板の楽しさだからね…
いつもの進行なら、明日まで埋まることはないと思うけど
次スレは>>190くらいかな、>>195くらいかな、超えそうなら誰かスレ立て頼む!
埋まらないか一応寝る前にも見に来るよ!
- 182二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 22:43:36
ストーブは子供に近づきすぎて危ないから柵による保護大事ペロね。小学校の時とか柵張ってあったけど今思うと、あれも素材的に熱が溜まるから危険じゃないかペロ?ってなってしまうペロ
- 183二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:52:26
家も電気使わない石油ストーブなんだけど
子供いないのに洗濯物乾かすのに便利なので柵は付けてるペシ。大人でも安全に越したことはないペシ。
四人での買い物から帰ってきた。積もるほどではない雪がその寒さを示してる
「うぇ~寒いー」
「これからもっと寒くなると思うとやんなっちゃいますね」
「スズランとハナエは手を洗ってきてください。」
「あい!」
「その間にストーブ付けときましょうか」
「そうですね。たしかマッチは…」
「みねまますとっぷ!」
「どうしました?」
「すとーぶつける」
「スゥちゃん火付けたいの?残念だけど、ちょっと危ないから我慢してね」
「や、やる」
「いいじゃないですかハナエ、私たちが見ているところなら挑戦させてあげてもよいのでは?」
「ただし、今後も私たちのいるときしかやっちゃ駄目ですからね?約束できますか?」
「あい!やくそく!」 - 184二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:54:30
- 185二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:14:52
- 186二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:27:20
- 187二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:38:07
- 188二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 01:01:34
誰も曇ってんの窓ガラスじゃねえか、とは言ってくれないんだね…
おじさん悲しいよ~
…アビドス書きてえな
>>182:それ疑問で電熱ストーブ出して来て試してみたんだけど
金網程度だと「あっつ!」とはなるけど、深いやけどするほど熱量貯められないっぽい。
手に熱伝わったらその分冷えちゃうっぽい
>>183:このネタ収集にストーブの動画見てたら火事になるって言ってたやつ…
火事には…気を付けてね…そしてもう一本出てるwww
>>185:oh…よい、とてもよい…、絵を描ける人ってすごいよね…
なんでそれをたった6時間の間に描けるんだ…すげえ…
>>186,>>187:チャッカマンとかライターも考えたけど
なんかマッチの方がトリニティっぽいなー、とかいう理由でマッチになったよ!
他の学校はライター使ってても違和感ないけど、なんかトリニティはマッチかな、という謎のイメージ
ふむ、寝る前にと思って見に来たけど一応立てておこうかな…
残量5%って考えるとなんか不安になってきた…
- 189二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 01:29:45
- 190二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 02:18:14
- 191二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 09:25:32
次スレ落ちちゃってるね…
- 192二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 09:33:07
- 193二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 09:44:53
今日は珍しくテレワークなのである
【SSスレ】ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記 Part6|あにまん掲示板トリニティ付近に捨てられて衰弱していた赤ん坊を拾ってしまったセリナ周辺状況のきな臭さから救護騎士団で世話をすることを決める団長以降救護騎士団の出動時、背中に赤ん坊がおんぶされている姿が目撃されるように…bbs.animanch.com昨日の夜立てたは立てた、落ちる時間、12時間伸びてたと思ったんだけどなあ
もう一回立てておくか
- 194二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 09:48:43
- 195二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 09:50:27
このレスは削除されています
- 196二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 18:35:50
次スレが機能したの見えたのでうめる
- 197二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 23:03:04
うめ
- 198二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 00:51:31
うめ
- 199二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 01:38:00
埋まらないスレに救護の手を!
- 200二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 01:39:57
梅