- 1二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:41:17
- 2二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:41:55
ほしゅ
- 3二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:42:08
ほしゅ2
- 4二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:42:21
保守3
- 5二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:42:34
ほしゅ4
- 6二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:42:47
ほしゅ5
- 7二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:43:00
ほしゅ6
- 8二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:46:35
ほしゅ7
- 9二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:46:45
ほしゅ8
- 10二次元好きの匿名さん24/05/29(水) 23:46:56
ほしゅ9
- 11二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 00:15:05
ほす
- 12二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 00:51:41
すいません寝落ちしてたので明日また頑張ります!
とりあえず最後どこまでやったか思い出さねば・・・ - 13二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 00:56:37
- 14二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 08:15:26
あげ
- 15二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 08:57:52
ほ
- 16二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 15:13:31
ほす
- 17二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 21:07:13
保守
- 18二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:38:07
再開します!
とある呪術師の話、そいつは腕の立つ剣客で呪詛師相手にも、呪霊相手にも負けなかった。
斬れと言われれば呪霊でも、呪詛師でも斬った。三級、二級、準一級、一級・・・そして未確認の特級・・・。
どれほど斬り、捌いてきただろうか。その果てに彼に待っていたのは信じられない裏切りだった。
「俺が呪詛師というのはどういうことですか!」
初老の男性は仲間だったはずの呪術師に拘束されながら吠えた。
「お前が先日斬った呪詛師・・・あれはただの人だった」
「?!・・・そんなバカな!呪術を使った!あれは呪詛師だった!」
「残穢は確認できなかったそうだ」
男性が行ってきたのは「仕事」だった、一度たりとて私情は挟まなかった。裏の仕事だ、そう感じたこともあったが。
「お前は呪詛師だ、秘匿死刑の対象だ」
その一言が男性を絶望のどん底に叩き落した。
「俺は・・・人を助けられると!すこしずつ、世の中が良くなっていくと信じて刀を振るってきたんだ!」
男性は地に伏して涙を流した。
「なのに俺はお払い箱か!トカゲの尻尾斬りじゃないか・・・」
縛り上げられていく手を握りしめて男は嗚咽を洩らしながら呻いた。
「嫌だ・・・秘匿死刑なんて嫌だ・・・こんな死に方は・・・いやだぁぁぁあ・・・!」
うらぎりもの・・・!と男性が呻いた。 - 19二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:38:55
なんか始まったぜ
- 20二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 22:52:30
男性は呪いを吐きながら引きずられていく。その最中、彼に救いの手が差し伸べられた。
「・・・だれだ」
目隠しをされて後ろでに縛られた男性の顔に生暖かいしぶきが掛かった。間違うはずもない。血だ。
ごとりと音がする。受け身も取れない傷を負って、頭から床に落ちたのだろう。即死だ。
「動じないのか、流石ですね」
「・・・夏油傑、呪詛師か」
「そうですね、そう呼ばれてます」
「高専も落ちたな、貴様を招き入れるとは」
「ええ、あなたを切り捨てるほどには落ちぶれています」
だからこそ、と夏油は男性の拘束を解いて手を差し伸べた。
「あなたの力を貸してください。呪術師の楽園を築くために」
男性はくっく、と笑うと獰猛な笑みを浮かべて答えた。
「捨てられたものを拾ってどう使おうが拾ったものの勝手だ、いいだろう・・・刀を寄越せ」
男性に夏油は笑って、一振りの日本刀を手渡した。
「銘はありませんが、古刀の類です」
「呪霊相手じゃあるまいに細かい能書きはいるものかよ」
少し待て、と男性は言うと来た道を引き返していった。 - 21二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:01:36
刀〜!おじさんとは別のサムライがエントリーするって事?強そう(KONAMI感)
- 22二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:16:29
数時間後、依頼を受けて現場に急行した冥冥は現場の凄惨な有様に思わず鼻を覆った。
あまりに強い血の臭い。現場は血の海だった。
「一刀の元に・・・残穢がない、呪力を使わず仕留めた・・・?」
この数を?と冥冥は目を疑った。この施設は「討伐専門」の腕利きの呪術師が詰めている一種の派遣会社のような
施設である。高専の依頼を受けたり、個人的な依頼を受けたりして種類を問わず討伐を行う集団だ。
つまるところ呪術師であり、専門の戦闘集団ということになる。
「血しぶきが凄いね、真っ二つになれば当然といえば当然だろうが」
武器を握りしめているものもいれば、驚いた表情のまま絶命しているものもいる。
共通しているのは呪力を籠めない刃物の類で一撃ということ。医者ではない冥冥にもわかるほどの深い刃創。
泣き別れているものすらいる。
「・・・なるほど、ここの元締めが下手を打ったのか」
施設の奥まで進んでいくと社長こと施設長の部屋にたどり着いた。その扉を開けた冥冥が目にしたのは
『不義の狗』と書かれた紙を匕首で頭に縫い止められた社長の遺体だった。
「メンバーのリストか、生きているのはどれくらいいるのか・・・」
書類に手を伸ばした際に、首筋にひたっと刃が触れた。
「今度は女か、女を斬るのはあまり趣味じゃない。どこの誰だ・・・?」
「調査を受けて調べにきた。冥冥と、覚えておいてくださいな」
思わず汗が伝った。何時の間に後ろを取られた?呪力探知にも、音にも引っ掛からなかった。
「調査・・・犯人探しか、ならば覚えておけ。俺は「人斬り」だ・・・聞けば見知ったものもいるだろうよ」 - 23二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:31:31
- 24二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:33:22
せやな
- 25二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:36:19
「聞けということは・・・見逃してもらえるのかな」
「お前次第だ、烏をけしかけると首を飛ばすぞ」
バレてる!と内心ヒヤッとした瞬間、斧を持っているほうの肩に衝撃と痛みが走った。
「ぐっ!」
「呪力を出さず、手ぶらで外に出ろ。ここは夏油も見ているぞ」
斧が地面に落ち、首筋を離れた刃が指し示す先には呪霊がボコボコと湧き出ているのが見える。
「逃げるなら追わない、斧を拾うなら・・・斬る」
背中でもはっきりとわかる冷たい殺気に冥冥は思わず頷いた。
「いやぁ、久々に死ぬかと思ったね」
「冥冥にそこまで言わしめるとは・・・いったい誰だ?」
冥冥が逃げ出したその足で高専に報告に戻ると依頼主の一人である夜蛾は唸った。 - 26二次元好きの匿名さん24/05/30(木) 23:36:50
作中でも大道寺 鋼みたいなオッサンいますしね
- 27二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 00:43:18
「人斬り、そう名乗ったんだね?冥さん?」
二人が唸っている中で話を聞きつけたらしい五条が会話に参加した。
「そうだよ、気配も呪力も感じなかった」
「それが本当なら冥さんは運がいい。そいつは呪術界でも名うての殺し屋だ」
「知っているのか?悟」
夜蛾の問いかけに頷く五条。そしてその人物について五条は語り始める。
「そいつの名前は田中 半次郎。御三家の人間でも、一級術師でも震え上がる生粋の・・・人斬りだ」
「人斬りだと?」
「人間が主なターゲットで、奴に消された呪詛師は多い。他は上層部の連中に頼まれて不穏分子の抹殺なんかも」
けど呪霊に対する仕事ぶりも半端じゃないみたい。と五条は言う。
「未確認の特級なんかも祓ったなんて言われてる・・・でも、詳しい事はわからないってのが通説だね」
「有名なのにわからないのか?」
「狙われて助かった奴がいないからね。冥さんがめでたく例外になったわけだけど・・・ぶっちゃけ戦っては無いでしょ?」
「背後を取られて、抵抗しないことを条件に見逃してもらったね」
好戦的ではないとはいえ冥冥が戦闘を放棄して逃げるレベル。それを聞いて夜蛾は頭を抱えた。 - 28二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 00:43:34
今日はここまでにしときます!また明日!
- 29二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 04:54:46
田中新兵衛+中村半次郎か…
- 30二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 09:40:46
人斬りなんていれちゃったからアレだけど秒でバレて草
見た目まだ考えてないので元ネタに寄せます。イケオジやぞ! - 31二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 14:09:12
突発再開!
「総監部は犯人・・・田中半次郎に追手をかけるつもりらしい」
「やめたほうが無難でしょう。十年単位のキャリアで奴は追うことに慣れてる。逆もまた同様だ」
「油断していたとはいえ探知に引っ掛からないレベルで呪力をコントロールできるんだ、追ったところで下手をすれば逆に奇襲をうけることになるだろうね」
「玄人に素人が勝てるはずもない・・・か」
三人はそれぞれが言葉違いながらも見解を一致させ、高専側からは追手をかけず、まずは情報収集に努める方針で定まった。夜蛾は京都校の面々にも通達を出して下手に刺激しないこと、交戦を避けることを推奨した。
『なぜ高専は下手人を討伐しないのか?』
「なんども言いましたが準備不足です、居場所、動機、全てがわからない以上こちらからは呪術師を派遣できませんよ」
五条は上層部の呼び出しを受けて弁明を続けていた。
『君でもできないと?』
「街を吹き飛ばしていいならやってみますがね」
『たかが呪詛師一人にそこまで必要なのか?』
「・・・そちらの方がよくわかってるんじゃないんですか?」
五条は調べを進める中で得た田中の技量の詳細と、既に上層部が独断で動かした呪術師が犠牲になっていることを知っていた。
(抜刀が術式レベルまで昇華された剣客・・・呪力のガードと衣服を容易く切り裂く剣の技量か)
シン・陰流の門弟など剣技に精通した術師を派遣したらしいがその実、瞬殺だったという。
しかも戦闘に入ったわけではなく、標的を追跡中に逆に狩られてしまったという残念すぎる結果だ。
バイクで移動していたらしい犠牲者が偶然にも身に着けていたドライブレコーダーが彼の背中を捉えていた。
(刃渡りの短い匕首で一閃か・・・被害者は首を落とされた。走ってるバイクの運転手の首をだぞ・・・化け物め) - 32二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 18:27:26
始まってるやん!
- 33二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:05:15
再開します!
五条は二級、準一級以下の術師に不要不急の外出を控える触れを出すべきか夜蛾・楽巌寺双学長に打診した。
「暗殺者が明確な標的を持たずにうろうろしてる・・・それ自体が危険だ。首輪がついてない猟犬がいる」
「今は血を啜ったばかりだが、じきに次を求めるかもしれん。量を得たら次は質を求めるだろう・・・」
学長はどちらも特に無計画ともとれる行動をとる田中の得体の知れなさに危機感をあらわにした。
実績から言えば呪詛師に限れば一級相当も多数斬られてきた。今回も上層部子飼いの術師もあえなく斬られている。
「悟、生徒たちの動向には特に気を配れ。奴が狙うとも思えんが重要参考人として既に生徒にも名前が知られている」
「刺激して斬られるなって?言葉選ばないと逆効果でしょ・・・」
五条含む御三家の人間には情報がいち早く伝わり、田中の足取りが僅かではあるが見つかっている。
加茂などは外出に護衛がつく有様だという。どれほど恐れられているのやら。
「まったく、触れるなってんなら知らない方が安全でしょうに」
「おい、おっさん!前見てあるけよ!」 - 34二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:41:26
高専からほど近い街中で男性にチンピラが数人絡んでいた。どうやら男性が彼らの仲間の一人にぶつかったらしい。
「すみませんねぇ、ちょいとよそみをしてたもんで」
「ふざけやがって!」
迷惑料だせよこら!と喚くチンピラに男性は困ったようにしているばかりだった。
真希はそんな男性を遠巻きに見ていて、見かねて声をかけることにした。
「やめろよ、オヤジ狩りか?だせぇな」
「なんだ?お前には関係ねえだろ!」
「そうだぜ、それとも君がオッサンの代わりになんかしてくれるのか?」
チンピラはイライラした様子で真希を睨んだが真希の容姿をみるととたんにニヤついて真希を囲み始めた。
「ああ、いけない・・・そんな男がよってたかって女の子に絡むなんて」
「黙ってろオッサン!」
チンピラの一人が男性に掴みかかったのを見て真希は即座にそいつの襟を掴んで投げ飛ばした。
「ぐおっ・・・いってぇ・・・」
「次はどいつだ?かかってきな!」
チンピラたちは少し怯んだがすぐに怒り顔で殴りかかってきた。しかしながら真希の相手になるわけもなく。 - 35二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 22:41:48
「ったく、つまんねぇことすんなよ!」
数分と経たない内に全員が倒れていた。
「おい、おっさん。警察がくると面倒だからここから離れるぞ」
「ああ、はい・・・」
男性は真希に連れられて近所のコンビニ前まで走ることになった。
「はぁ、ふぅ・・・この年になると走るのが辛いね」
「しっかりついてきてるじゃん、走れてるって」
コンビニから出てきた真希は汗を拭きながら息を整える男性に缶コーヒーを差し出した。
「それにしても、いやぁ・・・お強いですな」
「鍛えてるからな」
受け取りながら男性が真希を褒めると真希は笑顔でそれに応えた。 - 36二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 23:14:17
外出中にて遅れながら馳せ参じた
- 37二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 23:15:26
- 38二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 23:24:32
やったぜ
- 39二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 23:43:18
「しかしおっさんはなんでこんなとこに?」
「ちょいと、会いたい人がいてね・・・事情が事情だから会えるとも思ってなかったんだけど」
男性は柔和な笑みを浮かべていたがやや疲れた表情でつぶやいた。
「ふーん?」
真希は人探しか、とこちらも呟いてコーヒーを一口飲んだ。
「お嬢さんは、なにか武術をなさるんだね・・・剣道とかかな?」
「まあね、けっこう自信ある」
わかるんだ?と真希は尋ねる。喧嘩こそしたものの武器は使っていないし、今は手ぶらだ。
「ふふふ、まあ・・・経験かな」
男性はそう言うと手に持っていた杖を左手に持ち直した。
「真希!そいつから離れろ!」
真希が声の方を向くといつになく焦った様子の日下部が立っていた。
「アツヤ?・・・離れろって」
戸惑う真希は突然背中を氷で撫でられたような感覚を覚えて咄嗟に前に飛んだ。
「カンがいい・・・斬らずに済んで良かったよ」
転がって振り返ると男性がまるで刀を抜くように杖を握りしめているのを見て驚いた。 - 40二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 23:54:12
- 41二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 00:03:10
(こいつ・・・さっきと雰囲気がまるで違う・・・!)
「クズとはいえ、命を救ったんだ。自分の命も大切にするといい」
目と構え、それから放たれる威圧感に真希は体が強張るのを感じた。
「アンタ、どうしてあんなことを・・・!」
「日下部、俺は捨てられた。道具は、持ち主を選ばない・・・自分を拾った奴に尽くすのみだ」
対面する双方の距離は数メートル以上空いている。しかしながら真希はお互いがお互いの必殺の間合いに立っていることを肌で感じていた。それは真希の感覚が優れているというより、それだけ双方が強い闘気を放っているからだった。
「持ち主?」
「ああ、多分・・・俺もそう長くないだろうがその前にお前の様子を見ときたくてな」
「長くないって・・・そこまでわかっててアンタは!」
日下部は刀を居合の構えにとり、じりじりと距離を詰める。
「シン・陰流『簡易「遅い」」
日下部が鞘からわずかに刀を抜いた瞬間に日下部の肩から鮮血がほとばしった。
「ぐっ・・・くそっ・・・」
「だが悪くない、お前が居ればシン・陰流は大丈夫だろう」
「そりゃどうも・・・」
「命は取らないよ、ガキの頃からお前の成長が楽しみだった・・・。今生の別れだ、次は敵同士だよ」
踵を返して、男性こと田中半次郎は歩き出した。
「ま、待て!どうして私にはなにも・・・!」
「女を・・・ましてや手ぶらの呪具使いを斬る刀は持ってないんだ。コーヒー、ありがとうね」
鋭い目線と雰囲気を霧散させて田中は真希に礼を言って、そのまま悠々と立ち去った。 - 42二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 00:08:08
- 43二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 00:18:08
- 44二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 00:18:34
今日はここまでにしときます!また明日!
- 45二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 00:25:29
乙!
- 46二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 06:23:28
ほ
- 47二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 11:13:10
保守
- 48二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 13:18:00
このレスは削除されています
- 49二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 22:14:16
保守
- 50二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 22:42:16
再開します!
真希は半次郎が立ち去ってからようやく体の自由が利くことと、日下部が肩を押さえて唸っていることに気付いて
慌てて彼に駆け寄った。
「アツヤ!」
「先生な!・・・ったく、相変わらずの化け物ぶりだ・・・」
よほど鮮やかだったのだろう。日下部が着ているコートの肩がぱっくりと開いている。
「とにかく高専へ行こう、今なら賀樂もいるはずだ」
真希の肩を借りながら日下部は高専へと戻る。
「で、その傷の犯人は誰なのさ?」
「くたびれた感じのオッサンだった、どっちかってとじいさん寄りの見た目だけど」
「なー、ケガしたのおれなんだけど?なんで真希がベッドに寝てんの?」
「私に聞くな」
「日下部は一人でも大丈夫だからねー」
「・・・!」
「あ、うん、おまえさんは頑張ってるから、知ってるから、顔を近づけないでくれ」
真希は何故かベッドに寝かされていて賀樂に看護されている。日下部を治療しているのは何故か魔虚羅だ。
家入は日下部がケガを負い、なおかつ手に負えない相手だという事実に驚いていた。 - 51二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:09:55
ハジマタ
- 52二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:48:10
「日下部さんが手に負えないとなるといよいよもってヤバいわね」
「私もアイツににらまれると動けなかった、実力差を肌で感じたよ」
「こわい!」
賀樂が真希に覆いかぶさるようにだきつく。魔虚羅も同じようにキャー!といったポーズである。
当然治療は中断した。日下部は頭が痛くなった。
「真希姉ちゃんは風邪を引くので外にでちゃだめだよ」
「仮病じゃねえか」
「でも危ないし・・・」
「任務ならしかたねーだろ。京都校はどうなってんだ?」
真希が尋ねると家入と日下部はそろって肩をすくめた。
「どうも上層部や御三家でも有名な人物らしくてな、下手に刺激しないように箝口令を敷こうかって話にもなってる」
「私が聞く限りでは悟も似たようなこと言ってた、呪詛師狩りで名を馳せた有名な呪術師だとか」
「マジか、しかしなんでそんな人が・・・」
真希は田中の柔和な表情を思い出して混乱していた。あの笑みはなんとなく見覚えのある表情だ。
まるで見知った人物のような・・・。
「冤罪で秘匿死刑にされかけたって・・・話だ」
日下部の一言で周囲が凍り付いた。 - 53二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:52:36
秘匿死刑みんな知ってるね!
- 54二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:55:44
- 55二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:58:18
うん!
- 56二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:20:41
「いろいろすっ飛ばされた感じだね」
家入の言葉に日下部は頭を掻いた。
「呪詛師認定からの即時裁定だからな。冥冥が持ち帰った情報からそれがわかったが・・・こんな凶行に走ったんじゃないか?」
どこか投げやりな態度の日下部に真希は違和感を覚えたが、何も言わなかった。賀樂が顔に飛びついたからである。
「もがもが」
「呪詛師に認定されるなんて・・・そんなに悪い事を?」
「違う!」
日下部が突然声を上げたので賀樂は驚いて真希にしがみつく力を強めた。真希は息が詰まった。
「あの人はそんな人じゃないんだ。若い奴が手を汚さないでいいようにって、呪詛師狩りや危険な任務を請け負って・・・」
日下部はそこまで言うと沈痛な面持ちで額に手をやった。
「俺も若い頃は世話になった・・・京極家の連中と一緒で・・・滅私奉公って言葉がぴったりな人だった」
ただ、あの人は上司に恵まれてなかったんだよ。と日下部はつづけた。
「あの人が・・・京極勝弘が生きてりゃあこんなことにはならなかったさ・・・」
「勝弘さんが・・・?」
「真希はあの人と知り合いだったか、あの人も五条と同じで御家の力なんかでいろんな術師を守ってたんだ」
それがあんなことになっちまって・・・と日下部は悔いるように呟いた。 - 57二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:23:13
どこにでも顔が効く京極家
- 58二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:26:16
五条とか御三家みたいな有名どころが出張るとこじれるような繊細なところは京極家がフォローしてた感じなんでかなり顔は利きます。
- 59二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:31:18
今日はここまでにしときます!また明日!
京極家が壊滅したことは思った以上に損失だったと書きながら思う・・・。
ま、善人が減ったら困る人が増えるのは当然なんでしょうが・・・。 - 60二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 01:42:02
乙〜呪術界は性格が個性的()な人達が多過ぎる
- 61二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 09:00:37
保守
- 62二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 12:58:59
ほ
- 63二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 21:23:44
保守
- 64二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 22:29:54
再開はしますんでもうちょいおまちを・・・
- 65二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 22:47:59
うい
- 66二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 23:15:12
再開します!
「京極家が壊滅したとき・・・五条はまだ学生だったからな、今みたいに斬った張ったをするには力不足だった」
庇護者の席に空白ができたんだ。と日下部は言う。
「五条が今の活動を始める前にどれだけの術師が野に下って・・・姿を消したか。あの人もその中の一人でな」
超一線級の術師の彼には割のいい仕事と手厚いアフターケアから、食えない仕事ばかりになり・・・最終的には裏方に。そしてそこでもキャリアを積み過ぎた結果、情報が漏れる事を恐れた上司と上層部に疎まれて排除されそうになった。
「冥冥みたいに守銭奴なら逆に良かったんだろうが・・・無欲な人でな。愚痴も何も言わず黙々と仕事をこなす姿が俗物どもには不気味に映ったんだろうさ」
吐き捨てるように言うと日下部は煙草の代わりに棒つきキャンディを口に放り込んだ。
「身も心も一振りの刀になって呪術界のために全てを捧げたあの人を・・・シン・陰流最速の抜刀を超える神速の抜刀・・・、ほぼゼロに近い極限の呪力コントロールによる潜伏。この二つの特技を持つ達人を呪詛師に貶めた」
「極限の呪力コントロール・・・」
「目隠ししてたらたぶん五条でも見えない。なんせそこらへんの無機物が放つ呪力と同じになるんだからな」
迷彩を纏うような感じかな、と日下部は言う。
「詳しいね?」
「まあな、言ったろ?世話になったって、シン・陰流に邪魔にならない程度に稽古つけてくれたりもしたんだ。呪力探知に頼りすぎるな、肌の感覚を磨けって・・・その時にその特技を披露してくれたんだ」
まったくどこにいるかわからなかったぞ、と言いながら田中の抜刀と同じ仕草をする。 - 67二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 00:22:49
「それでも戦いの本番は見せてくれなかった・・・血生臭いところを見せたくなかったんだろうな」
日下部はそう言うとコートを羽織って立ち上がった。
「とりあえずだ、不要不急の外出は控えろってこった。任務も緊急のモノ以外はするなってことだ」
生徒守る度にあんなのと斬り合うとか冗談じゃねえ、と日下部はぶつくさ言いながら出ていった。
「うへぇ・・・マジかよ」
「こんぶ」
「アツヤが敵わん相手となると私らじゃどうやっても無理だろうな」
「日下部先生ってそんなに強いんだ?」
一級術師の上澄みである日下部が真向から勝てない相手であると知り、一年生グループは外出自粛を言い渡されて黙々と鍛錬に勤しんでいた。
「なんつーか、アツヤが強いってのもそうだったけど・・・あのオッサンが規格外だったんだよな」
「真希がそういうの珍しいな」
「私だってそう言いたくなるレベルってこったよ。マジで体が固まる感じがした」
真希は見様見真似で抜刀し、巻き藁を両断した。
「これが、見えない速さで来るわけ」
「今でもほとんど見えないんだけど・・・」
「ま、その有様だと憂太は里香に助けてもらう前に首だけになっちまうってこった」
「うぃっ?!そうなの!?」
憂太が首を押さえて青い顔をする。パンダと狗巻も真希の今の抜刀を超える速さだということを聞いてさすがに
驚きを隠せなかった。 - 68二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 00:50:16
すいません、今日はここまでにしときます!また明日!
- 69二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:40:08
乙ー
- 70二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 06:20:27
このレスは削除されています
- 71二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:35:13
ほ
- 72二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:42:44
再開します!
田中は日下部への挨拶を済ませたあと、夏油のアジトへと向かう。
「最近あった新興宗教騒ぎが彼の仕業だったとはな」
後始末と情報統制の為に動いていた経験から田中は先だっての事件についてそれなりに情報を持っていた。
(人を癒し、呪力に目覚めさせる『奇跡の子』・・・一時は在籍していた彼女は今は家に帰されたと聞いたが)
彼女を引き取った者の中に『京極』の名を見つけて安堵したのは気のせいではなかった。あの子はそれだけで様々な事態を引き起こしかねない存在のはずだったが、保護者に名を連ねている『五条』『京極』の名が彼を安堵させた。
「さて、夏油傑の実力はいかばかりか・・・」
尋ねてみるとそこは胡散臭い新興宗教の施設だった。悪霊退治、心霊現象の解決などを謳い文句に資金などを募っている怪しげな団体だ。田中は長年このような団体と戦ってきた自分が今度はそこに属する立場になったことに苦笑しつつ、玄関からそのままお邪魔することに。 - 73二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:17:13
田中…聞いています
その名前の呪術廻戦ぽくなさは鈴木に匹敵すると… - 74二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:24:10
佐藤「あの…」
- 75二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:34:10
「ごめんください、ここに夏油傑さんがいるとお聞きしたのですが・・・」
施設の正面玄関には警備員らしき人物が立っており、田中を見ると怪訝そうな顔をした。
「アポは?」
「ありませんね、本人に誘われてきたもので」
困ったように頭を掻くと警備員は無線で連絡を取り始めた。そして少しして田中は裏口にまわるように言われた。
裏口は玄関口とは違う趣で、物資の搬入口といった感じだ。トラックなどの出入りを考えているのだろうか。
「宗教施設には似つかわしくないな」
流通業者の倉庫のような出で立ちの裏口を抜けて中に入ると・・・
『やっ!』『はっ!』
『呪力を途切れさせるな!腹から全身に巡らせるんだ!』
中では呪術師による指導の元、若者たちが呪力のコントロールの訓練を行っていた。
(驚いた、ここまでの規模だったのか・・・)
田中は情報統制に駆り出された人員の多さからそれなりの事態だったのだろうとは思っていたが想像以上の規模と人員が目の前に広がっていた。
「おや、来てくれたんですか!田中さん!」
「・・・夏油さん」
団体の首魁である夏油がにこやかに立っていた。 - 76二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:09:26
「いやあ、あなたほどの方が来てくれるとありがたいです」
「そう言われると、いやはや・・・恐縮ですな」
困ったように笑う田中に夏油は人好きのする笑みを浮かべながら彼を施設の奥へと案内する。
「家族たち!心強い助っ人を連れてきたよ」
夏油は幹部こと、家族に田中を紹介する。
「呪詛師狩りで名の通った御仁で、田中半次郎さんだ」
反応は皆疎らだった。というより突然普通?のおじさんをつれてきたので当然といえば当然なんだろうが。
「夏油様ー、そのおじさん強いの?」
「強いよぉ、その気なら私達の半数以上はもう死んでるくらいに」
「えー!うそっ!」
「そういうわけだから、美々子、菜々子。田中さんを部屋に案内してあげてくれるかい?」
菜々子が大げさに驚くが田中は困ったように笑うだけだった。二人はまだ少し困惑しつつも田中を幹部用の寝泊まりする部屋に案内することに。
「傑ちゃんがそういうなら相当な使い手なんでしょうね。それで?彼には何をしてもらうの?」
「来る12月24日の百鬼夜行で東京の担当、高専襲撃を手伝ってもらおうと思ってる」
「本命カ、大丈夫ナノカ?」
「秘匿死刑の撤回はもう無理だ、彼がこのままここで暮らすにはもう高専を落としてそれを撤回させるしかないのさ」
生殺与奪はすでにこちらの手の中なんだよ、と夏油は笑う。
「秘匿死刑?そんな悪人にはみえなかったけど・・・」
「秘匿死刑自体は最初は冤罪だった、けど私が助けてからは己の手でかなりの数を斬ってる。もう冤罪じゃない」
彼は既に血塗れなのさ。と夏油は言う。 - 77二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:12:42
今日はここまでにしときます!また明日!
そろそろ百鬼夜行に行きたい・・・! - 78二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 07:06:26
このレスは削除されています
- 79二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 13:27:47
ほ
- 80二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 19:59:32
保守
- 81二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:16:39
再開します!
「夏油傑・・・呪霊躁術を操る特級呪詛師。主従契約のない呪霊などを取り込み使役します」
伊地知がホワイトボードを背に資料を読み上げる。
「並びに・・・一級呪詛師、 田中半次郎・・・」
半次郎の名が上がると周囲には少なからずどよめきが上がった。
「呪術連関係の施設内で起きた殺傷事件の主犯であり、それを手助けしたのが・・・夏油だと言われています」
「どうしてそんなことに・・・」
「彼を切り捨てようとして、逆に斬り捨てられたって話だよ。馬鹿な奴らだ」
「百鬼夜行に夏油が踏み切った理由は半次郎を仲間に引き入れる算段があったからか・・・?」
「以前の禪院家の子女と高専校医の誘拐で得た金銭と合わせると納得だな」
夜蛾はガッデム!と不満を爆発させた。夏油は資金と情報網を武器に高専に冷遇されていた呪術師を抱き込んでいたのである。これに以前の人工呪術師の件を加えると・・・
「呪詛師の数も未知数、呪霊2000というのもハッタリではないかもしれません」
新宿と京都に千の呪いを放つーーー。夏油の言葉が高専関係者の脳裏によぎった。 - 82二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:16:59
過去スレ読み返してたらこんな時間だぜ
- 83二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:19:10
- 84二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 23:20:22
- 85二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:10:30
すみません。なんか今日は調子が出ないのでここまでにして早寝します。
- 86二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:16:44
- 87二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 08:03:11
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- 88二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 14:28:12
保守
- 89二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 22:55:06
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- 90二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 23:34:34
再開します!
「OBOGそれから御三家、アイヌの呪術連にも協力を要請しろ!総力戦だ!」
夜蛾の言葉に周囲はざわめいた。文字通り、下手をすると規模から考えても相当なものになる。
文字通りの総力戦だ。
「今度こそ夏油という呪いを完全に・・・祓う!」
「なんて息巻いてんだろうね、あの脳筋学長」
夏油は幹部と卓を囲みながら笑みを浮かべる。
「術師たちの訓練はどうなってる?」
「基礎が凡そ完了ってところかしら、速成訓練だけど呪力操作と術式の操作を練習させてる。二級クラスで上澄みって感じだけど」
教官として雇った術師が呪力の操作を教えてくれている。高い金銭を支払うことになったがそれでもその恩恵は大きい。上層部や総監部に不満をもっているが、組織には対抗しえないとあきらめていた呪術師たちを抱き込んで夏油達は勢力を伸ばすことに成功していた。
「それでも集団行動と術式の運用次第でいくらでも化けるさ。そこらへんの選定は?」
「リスト化ハシテル、実働部隊ト陽動部隊ニ分ケテルトコロサ」
「新宿と京都、それぞれを陽動に、できることならどちらかの施設に決定打を与えたいところだが・・・」
夏油はふぅむ、と考え込む。 - 91二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 23:50:41
「ところだけど?」
ラルゥが考え込む夏油に続きを促す。
「そうなると京都、東京両方に邪魔な存在がいる」
「東京は五条、京都は?」
「夏彦さ、元教え子なんだけどね・・・術式が私の呪霊躁術と同系統で手数が豊富、それでいて本人はバリバリの近接戦闘タイプ」
場数も相当に踏んでるらしいから、強くなってると思うんだよね。と夏油は頭を掻いた。
「彼を仲間に引き入れられていれば・・・まあ、京都は楽勝だっただろう。呪霊に京都を瓦礫の山にさせればあとは夏彦の術式で一面を彼の式神だらけにできたんだが、そううまくはいかないよ」
「仲間にと言えば・・・あの子もそうだったわね。惜しい事をしたわ」
「彼女か・・・確かにね、あの子がもう少し此処に居てくれれば術師も倍くらいは居たんじゃないかな」
千の呪霊が瓦礫を作り、それを付喪躁術で式神と化して軍団を増やしながら前進する様はおそらく地獄絵図を描くに用意な戦力だっただろう。夏彦はそれを可能にするだけの呪力と出力を備えている。
「同時進行で高専に襲撃を掛けて乙骨か特級過呪怨霊祈本里香を、そして叶うなら禪院賀樂の再度の奪取を目標に掲げる」
どちらかでも手に入れられれば、私達の勝ちだ。と夏油はほほ笑む。 - 92二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 23:56:28
気づいたら始まっとるやんけ!アイヌ呪術連懐かしいし結局出てこんかったな…
あと夏彦の術師やっぱり強いなぁ - 93二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 00:04:11
- 94二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 00:49:25
今日はここまでにしときます、やっぱり不調だ。どこかでインスピレーションを得ないと・・・
なぜ今週は呪術が休載なんだ・・・ - 95二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 01:20:31
このレスは削除されています
- 96二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 09:28:14
ほ
- 97二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 17:27:22
保守
- 98二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:40:26
保守
- 99二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:04:58
再開します!
「京都に幹部を割けないのは痛いですけど、その分戦力はそれなり・・・でも京都に戦力の半数近くを割くのは悪手では?」
「まあそこは夏彦を京都に縛るのが目的だね、未知数だからこそ相手は夏彦以外にもそれなりの戦力が必要になるだろう。呪詛師を混ぜるのは悟もそうだけど敵味方入り乱れる戦場では真価を発揮できないから。悟と違って夏彦は優しいからね、京都の戦いが厳しいものになれば仲間は見捨てられないし巻き込めない」
それに、と夏油は続ける。
「乙骨もそうだ、乱戦が必至のこの戦いで祈本里香を投入するのはあまりにリスクが大きい、下手をすれば全滅だからね。だからこそ京都・新宿で戦力を分散させて乙骨と禪院賀樂を孤立させる」
「あの子は前線で治療に引っ張り出されるんじゃない?」
「それならそれで構わないさ、彼女の式神は凶悪だ。けど、それに関しても混戦に持ち込み呪霊だけじゃなく人間同士の戦いに幅を広げることで彼女の意識をそちらにも割くことができる」
夏油が手を叩くと呪詛師がカートを押して食事を運んできた。
「成功を祈って、今日は前祝といこう。ささやかだがこれからの展望が幸多いことを祈ってね」
夏油はこれからの展望が明るい事を示唆するように、笑みを深める。
そして・・・月日は流れる。 - 100二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:06:45
始まった
- 101二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:19:30
12月23日、夏油が宣言した百鬼夜行の前日に関係者たちは現場に急ぐべく慌ただしく準備していた。
「しっかし、私達も駆り出されるとはね」
「ホントだよ・・・不安」
「心配すんな、お前らはほとんど家入さんの手伝いだろ」
「しゃけしゃけ」
高専では学生たちも百鬼夜行に対抗する戦力として召集が掛かっていた。とくに反転術式のアウトプットに近いことができる呪言使いの鈴鹿と微弱ながら反転術式のアウトプットができる優子がパンダと狗巻とともに新宿へ向かう事が決まっていた。
「しっかし、私が留守番って・・・」
「嫌がらせのせいとはいえ真希は等級が低いからなぁ」
「ちっ!」
「僕も留守番かぁ・・・」
「憂太は里香がコントロールできてないし、ま、当然だろうな」
「おかか」
「憂太はともかく真希ちゃんは居てくれると安心なんだけどな・・・」
「僕は・・・?」
「見た目が頼りない」
ぐふっ!と優子のストレートな言葉に憂太は傷ついた。
「そういや、京都の連中はどうなってんだろうな?」
「あっちは夏彦がいるから大丈夫だろう」
そんなに言うなら連絡してみたらどうだ?とパンダが言う。
「べ、別に心配じゃねえし・・・」
「顔赤いじゃーん、真希ちゃんツンデレ~」
鈴鹿にげんこつを落としつつ真希は京都にいる夏彦と真依に思いを馳せる。 - 102二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:28:49
大・バ・ト・ル
- 103二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:29:37
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- 104二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:38:59
資料がないからどこまで書けるか・・・むしろ自由に書けるとみるべきか。
とにかく人数をどれだけ捌けるかだ・・・ - 105二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:47:09
このスレは貴方の作品なんやで
- 106二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 00:03:05
京都では夏彦を筆頭に術師たちが防衛線を築くべく奔走していた。
なにしろ相手は呪霊だけではない。呪詛師も含まれるのだ。それ故に京都・新宿双方に服装の規定が定められた。
「学生は制服を、呪術師にも身分のわかるものを・・・か」
「同士討ちをさけるためとはいえ、こちらは格好の的になるわけだな」
「呪霊はともかく呪詛師となるとそこが怖い。なによりあの『人斬り』の動向もつかめてないんだろ?」
京都に集まった呪術師たちはあれこれと話し合っている。
「この騒ぎが収まったら休暇でも欲しいわね」
「高田ちゃんが出演するクリスマス特番があるというのに、なんとも許せん話だ」
東堂と真依が話している中、加茂と西宮は地図と自分たちの配置について話し合っている。
その中で一人、夏彦は誰も来ないことを意図して建物の屋根の上に立っていた。
「夏油さん・・・」
ふと、口から恩師の名前が零れた。 - 107二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 00:13:39
- 108二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 00:18:30
乙〜
- 109二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 06:51:19
保守
- 110二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 12:07:31
このレスは削除されています
- 111二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 21:31:27
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- 112二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:04:06
再開します!
冷たい冬の風が夏彦の頬を撫でる。夏油と初めて出会ったのは何時だったか。
孤独にさいなまれていた自分を見つけ出したのは夏油だった。呪霊を操って自分を探したのかもしれない。
それとも・・・
「どうだったかな」
自分に呪術師になる道を示した恩師であり、本来ならば五条悟と共に今の呪術界を引っ張っていく存在だったはずの彼は今や巨大な勢力を誇る呪詛師集団の頭目だ。
『呪いを祓い、人を助けるんだ。それが君の一族が代々してきたことで、きっとそれが君を導くだろう』
体を鍛えて、呪力の操作を学び、己の限界を幾度となく越えて。夏彦はいつしか京極家の当主として、そして呪術界の華族として、呪術界に大きな影響力を持つまでに至った。
がむしゃらに、ただひたすらに。その途中で夏彦は真希と真依、そして五条と出会い、呪術師として、人として成長してきた。
「アンタは、なんで・・・」
苛立ちにも似た感情が夏彦を巡った。夏油は呪詛師として活動し始めた際に夏彦を訪ねなかった。
若者を連れていくことを、彼の良心が咎めたのかもしれない。ただその日に京極家の先祖を祭る墓所に線香と花束が備えられていた。
「あの時、僕に声をかけてくれたアンタはどこに行ったんだ?」 - 113二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:40:05
夏彦の言葉を遮るように、一陣の強い風が吹いた。
「呼べど帰らず・・・か」
呪術師夏油傑はもういない。呪詛師として、非術師の不俱戴天の敵として彼はいるのだ。
夏油傑は夏彦の敵になった。呪術師として生きる夏彦の敵に。
「アンタがやれと言ったことにアンタがケチをつけるって言うんなら。上等だ、やってやる」
夏彦は覚悟をきめるように、拳を握る。
そんな時、突然携帯電話が鳴った。
「・・・真希ちゃんか」
着信の相手は真希だった。通話のボタンを押して、夏彦は通話の相手の声を待った。
『もしもし?』
「真希ちゃん?」
『この携帯使ってるのは私しかいねーよ、それより夏彦。そっちは大丈夫か?』
何時もの負けん気の強い真希らしからぬ問いかけに夏彦は思わず笑みが浮かんだ。 - 114二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:15:34
「心配、してくれるんだ?」
『たりめーだろ、お前とは・・・長い付き合いだしな』
時折ごにょごにょとなにやら呟いている。夏彦は聞き取れなかったが、聞き返すのも悪いと思い真希の言葉を待った。
『私は残念ながら留守番だ、新宿には呼ばれねえ。けどお前は違うよな?』
「うん、主力だよ。京都にも結構呪詛師なんかが集まってるみたい」
『そっか、大変だろうけど無理はすんなよ』
「そうだな、そこはちょっと確約はできないかな」
『そこは嘘でも確約しろよ!』
怒ったような声が聞こえてくる。無茶はいつものことだ、それは真希も知っているだろう。
けれども言わないという選択もない。それが真希だ。
「僕もそういうとこは性格悪いからね、誰かさんみたいに・・・強く、真っ直ぐ生きられたら楽なんだけど」
『ばか・・・』
「また明日、日付が変わる前に連絡するよ」
『・・・絶対だぞ』
「もちろん」
短く、約束を交わして夏彦は通話を終えた。鬱々とした気持ちはどこかに消えて、自分を呼ぶ仲間の声と共に決意を新たにする。 - 115二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:27:21
師匠弟子に近い関係だから
- 116二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:28:07
複雑よなぁスレ内でも結構仲良くさせて貰ってたみたいだし中々ね
- 117二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:45:35
- 118二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:46:06
了解です
- 119二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 00:47:37
- 120二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 01:11:05
12月24日、百鬼夜行当日。
「建物インフラへの被害はできるだけ避けるように。京都は古い建物が多いから壊すと大変だ」
「東堂がいないようだが」
「集団行動できるような人じゃないでしょ。ま、僕も単独行動が多くなると思うから加茂先輩は他の人たちと防衛線を張ってほしい」
「アンタはどうするの、夏彦」
「等級の高そうな奴の担当かな、術式の相性が悪くて街中じゃあんまり出せないから遊撃。」
周囲の灯篭に偽装して目を配置してはいるけど、戦闘には参加できないよと夏彦は言うと屋根の上に登って移動し始める。郎党は数体が大通りを通せんぼするように立っているが周囲の呪術師を援護する行動を取るので精いっぱいである。
「あ、夏彦ぉ・・・」
「真依ちゃん、まだ、まだ萎れないで・・・!」
自分の忙しさと夏彦の多忙が重なり夏彦と会話が少なくなっていた真依は消沈した。西宮が必至に激励するも、効果はちょっと薄目だ。
「本命はどこだ?京都とは考えにくいけど・・・戦力は未知数だしな」
建物を縫うように進んでくる呪霊の群れを見上げて夏彦は呟いた。 - 121二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 01:11:40
今日はここまでにしときます!また明日!
- 122二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 01:56:10
このレスは削除されています
- 123二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 11:14:57
このレスは削除されています
- 124二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 22:07:57
ほ
- 125二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 23:31:18
再開します!
一方新宿では夜蛾の陣頭指揮の元、展開した呪術師達が押し寄せる呪霊達と対峙していた。
「建物、インフラの破壊は極力避けろ!それから呪詛師への対処も怠るな!一定以上の呪力を探知したら即座に鎮圧!非殺傷が可能な術師は人間に対して優先的に対処するように!」
聞いてるのか悟!と夜蛾が吠える中、五条は冷静に周囲を見渡しつつ呟いた。
「一人、めんどくさいのがいるな」
五条が見据えるのは夏油一派の幹部、ミゲル。そして・・・
「ふふふ・・・」
不敵に微笑む夏油傑の姿だった。
(巧妙に呪力を隠してやがるな、帳に似た結界術で分かりにくくしてやがる・・・)
おそらくはブラフだろう。偽物の報告は京都でも上がっている。特殊メイクや術式を利用した変化の類なのだろう。
五条や夜蛾など知人の前では口を開かず、意味深な笑みを浮かべるに留めているところからも偽物なのは予想できる。
しかしながら事情を知らない呪術師達は混乱を招き、呪詛師が展開する結界術により呪力の探知を行えないことなども
それを助長した。 - 126二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 23:46:17
「趣味が悪いな、夏油さんの姿を取るなんて」
京都でも夏油傑はあちこちに出没した。中には呪霊躁術のように呪霊と連携して動いているものまでいるという。
即座にボコボコにして戦闘不能に追い込みつつも夏彦は自身に敵意を向ける夏油に思わず顔をしかめる。
「うぉぉぉぉぉっ!」
その鬱憤を晴らすように呪力を籠めた一撃がビルを思わせる大型呪霊を吹き飛ばし、周囲の呪術師から歓声が上がる。
「雑魚は任せます、こちらは反転術式を持ってる人が居ませんからケガにだけは気を付けてくださいね」
夏彦は重ねて周囲の術師に突出せず防衛線を張るように促し、自身は等級の高そうな呪霊を優先して攻撃していく。
「私達は怪我人の面倒を見るわけだから、できるだけこの建物から動かないでね?いざという時は鈴鹿ちゃんと賀樂ちゃんの魔虚羅頼みになるからそこらへんよろしく」
「わかった」
「かしこまり!」
新宿ではビルのエントランスを接収して怪我人の収容を行う救護班の前線基地が設置された。
そこには家入を筆頭に賀樂、鈴鹿、優子がそれぞれ準備を進めていた。 - 127二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 23:48:20
始まってるやん!
※偽夏油大量発生中 - 128二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:03:02
(あの目立ちたがりが前線に出てこない・・・戦力的にも結構いい線いってるはずだが・・・理由はなんだ?)
五条が考えを巡らせている中、伊地知が五条に駆け寄る。
「すみません、五条さん・・・こんな時ですが、急いだほうがいいかと」
「・・・構わない、なに?」
一瞬反応が遅れた五条を伊地知は訝しんだがすぐさま乙骨の素性を調べた結果を伝える。
それに対して五条は即座に答えを導き出した。
(狙いは賀樂と、憂太か!)
「悟?どうし・・・おおおぉ?!」
「質問禁止!お前らを今から高専に送る!」
「はあっ!?」
五条は大股で狗巻とパンダをひっつかんで歩き出した。
「僕の予感が正しければ夏油は今高専に居る!たぶん、絶対・・・間違いない!」
「どっちだよ!」
「予感が当たれば最悪憂太と真希二人が死ぬ!」
陣を描きながら五条は二人を真っ直ぐ見据えた。
「二人を守れ、悪いが死守だ!僕もあの異人を片付けたらすぐ向かう!」
「おう!」「しゃけ!」
ふん!と五条が印を組むと二人は新宿から姿を消した。 - 129二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:18:40
「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊祓え・・・」
高専を覆う帳、そしてそれを笑みを浮かべながら眺める夏油と・・・
「帳か、降りる瞬間を見るのは初めてだ」
「・・・新時代の幕開けだ、張り切っていきましょう」
刀を手にそれに随行する田中の姿。
「はぁ、なんかとんでもないことになっちゃったな」
時間は数十分前にさかのぼる。新宿と京都では既に厳戒態勢で、一部で戦端が開かれていたが高専に残っていた乙骨はそんなこと知る由もなく、ただぼんやりと無人の教室にいた。
天井を見上げているとガラッと音を立てて教室の戸が開いた。
「なにやってんだよ、今週は休校だろ?」
「うん、でもなんか落ち着かなくて・・・」
ふん、と素っ気ない態度を取りつつも真希は机の上に座って頬杖を突いた。 - 130二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:27:57
「なあ、気になるだろ?」
「え?」
「私がなんで落ちこぼれなのか」
真希はそう言いながらメガネを手にとった。
「いやべ「聞けよ」・・・はい」
「呪術師の最低限の素質ってなんだと思う?」
真希の問いかけに乙骨は少し考える。そういえばなんだろう?と考えていると
「呪いが見える事だ」
「あ・・・」
「私は禪院家の出で、禪院家ってのは御三家・・・ようは呪術師のエリートの家系なんだよ
「夏彦君の京極家みたいな・・・?」
「そうだな、だからアイツは入学前から高専で色々やってるわけだ」
でもな、と真希は眼鏡をはずしていう。
「私はこのダセェメガネが無けりゃ何も見えないんだ。賀樂の目だってアイツが呪力を迸るほど溢れさせてもアイツの目は私からはずっと綺麗な水色のまま」
「へぇ、え?賀樂ちゃんの目って水色なの?!」
「お前、賀樂に好かれてないな・・・硝子さんとパンダも知ってるんだが・・・」
「がーん・・・」
どんまい、と真希にフォローされた。 - 131二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:35:55
今日はここまでにしときます!また明日!
- 132二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:41:06
おつー
- 133二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 08:52:45
ほ
- 134二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 16:12:22
保守
- 135二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:53:41
再開します!今日はちょっと短くなるかも・・・
「私が使ってる呪具ももとから呪力が籠ってるもんで、私自身がどうこうしてるわけじゃねえ」
「・・・」
お陰で家でられたけどな、と言いつつ続ける。
「飯は不味ぃし、部屋は狭ぇし、知らねえオッサンはうろついてっし!ホント最悪だった!」
そうぶっきらぼうに吐き捨てる真希を見て乙骨は出会ったばかりのころを思い出していた。
(誰もがお前みたいに呪いに耐性があるわけじゃねえんだよ・・・!)(呪力のことは私に聞くな)
(私を苗字で呼ぶんじゃねえ)
真希がそう言っていた事を思い出して乙骨は質問を投げかけた。
「真希さんはどうして呪術師を続けるの?」
「私は性格悪ぃかんな、呪いも見えねえ奴が一級術師になって出戻って、家の連中に吠えづらかかせてやるんだ」
そういって真希は笑顔を見せた。 - 136二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:06:38
そんで内から禪院家ぶっ潰してやる。と決意を示す真希に乙骨は視線をすこし泳がせ、苦笑した。
「んだよ」
「いや、真希さんらしいとおもって・・・」
乙骨はそんな真希を見据えて、真っ直ぐに答える。
「僕は真希さんみたいになりたい、強く真っ直ぐ生きたいんだ!」
真希の視界に、かつて自身の心の支えとなった人たちがフラッシュバックする。
『真希ちゃん、君は強い子だ。きっと真っ直ぐ生きていける』
『真希ちゃん・・・君みたいになれたら・・・』
『真希ちゃんみたいに強く真っ直ぐ生きられたら楽なんだけどね』
禪院家で鬱屈とした生活を送る内に忘れていた事、当たり前になっていて忘れていた事。
乙骨はそれにふたたび光を当てた。
「僕に手伝えることがあったら何でも言ってよ、禪院家ぶっこわそー・・・なんて、はは」
困ったように笑う顔、優しい言葉、真希の瞳が様々な感情に揺れた。
「ばか!一人でやるから意味あんだよ・・・部屋戻るわ」
うん、またね。と背中に届く声にこたえることなく真希は戸を閉める。
「馬鹿か私は・・・アイツにまで認められた気になってどうすんだよ・・・」
頬を染めながら、真希は照れて強がるかつての自分とそれを見て微笑む京極家の人達を思い出していた。
まだ、まだ私は強くなってない。そう思い強がりながら。 - 137二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:06:52
「飯は不味ぃし、部屋は狭ぇし、知らねえオッサンはうろついてっし!ホント最悪だった!」
一瞬新手の吉幾三かと思ったぜ - 138二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:07:30
真希ちゃんかわゆす
- 139二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:24:31
体調がヤバいのでここまでにしときます、また明日!
- 140二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:33:09
乙〜
- 141二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 06:46:35
保守
- 142二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 07:34:06
ほ
- 143二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 11:06:06
ほ
- 144二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:24:29
保守
- 145二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 23:06:29
再開します!
「・・・憂太はこれで時間が稼げるとして・・・学長!」
「どうした?」
「賀樂はどこに?彼女も守ってあげた方がいい、傑はきっと彼女を諦めていないはずだ」
「あの子か・・・わかった」
夜蛾が何人かを連れて走り出したのを見て呪詛師側にも情報が伝わったのか呪霊を含めて前線が戦闘態勢に入った。
「アンタノ相手ハ・・・俺ダヨ!特級!」
「悪いけど今、忙しいんだ・・・!」
一方高専では侵入した夏油が真希と遭遇していた。
「君が居たか」
「居ちゃ悪いかよ・・・テメエこそなんでここに・・・!」
「悪いが猿と話す時間はない・・・」
互いに戦闘態勢に入ろうとしたとき、夏油を田中が押しとどめた。
「夏油さん、ここは私に任せてくれませんか」
「田中さん・・・?ええ、それじゃあお任せします」
一瞬怪訝そうな顔をした夏油だったが、田中が「時間がないかもしれませんよ」と促したので彼の忠告に従い
真希を素通りして乙骨を探しに向かった。
「ま、待て!」
「お嬢さん、余所見はいけない・・・首が落ちるよ」
「!・・・かっ・・・く」
首に衝撃が走ったような錯覚を覚えて真希は下がりつつ呪具を構えた。 - 146二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 23:11:07
展開は結構違う感じ?
- 147二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 23:16:22
人数増えてるので大筋以外は差異があります。
- 148二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 23:28:02
なるへそキャラ数違うしね
- 149二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:02:07
(今斬られた・・・?いや、殴られたのか?!)
首を押さえて咳き込みながら真希は長刀を構える。
「あれから修練は積んだかい?」
対する田中は構えるでもなく、棒立ちとも取れる体勢で真希と真正面から向き合っている。
「ああ、アンタに勝てるかはわかんねえけどな」
「それでも逃げないと・・・若いね」
くっくと笑いつつも田中はどこか嬉しそうだ。真希はあくまで余裕な田中の態度に苛立ちつつも日下部を軽くあしらう実力を持つ田中の力量を知るが故に踏み込めないでいた。
(憂太んとこにアイツを行かせたくねえ・・・が、今の私じゃコイツに勝てるとも思えねえ。となると時間稼ぎか・・・?)
長刀を構え、真希はじりじりと近づいていく。
「帳が降りてる!悟のカンが当たったのか!」
転移したパンダと狗巻が高専の上空で建物を覆う帳の存在を確認した。
「俺が帳を破る!あとは最短で・・・行くぞぉ!」
「明太子!」 - 150二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:18:29
ちょっと短いですが今日はここまでにしときます!また明日!
- 151二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:28:10
ぁ疲れ
- 152二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 09:00:49
このレスは削除されています
- 153二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 19:23:08
保守
- 154二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:09:21
再開します!
「帳に穴が開いたな・・・誰か来るか」
田中は刀を持ち直して空を見上げた。
「それで、まだ続けるかね?」
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
荒い息をしながら真希は長刀を握りしめる。全身には既に複数個所に渡って痣や浅い切り傷ができていた。
「私は時間稼ぎが仕事だ、誰かが追いついてきたり・・・君のように留守番が居た時のために」
「ふぅ・・・はぁ・・・」
「だから時間はたくさんある。君をここで食い止めるのが仕事だからね」
息を整えつつ真希は改めて田中との力量差に歯噛みしていた。
(遊ばれてる・・・くそっ、こんなこと・・・)
意を決して踏み込み、刃を突き出す。
「動きが鈍くなってきたね、そろそろ限界だろう」
半身をずらして刺突を躱すと田中は真希の足を払い、転んだ真希の背を踏みつけた。
「ぐあっ!」
「二人来るな・・・ちょいと休憩と行こう」
咳き込み悶える真希を他所に田中はすたすたと歩き距離を取った。 - 155二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:33:18
つおい
- 156二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:36:01
田中がふいっと壁の方を見ると、即座に壁が破壊され
「うぅおおお!」
「ほう、呪骸・・・」
パンダと会敵した。
「おらおらおらっ!」
「パワーはなかなか・・・だが」
「うぐ、ぐ、ぐおっ!?」
鞘に納めたままの剣撃がパンダの胴体を強かに叩いた。それに若干怯みつつも地面を叩いた一撃を田中は後ろに下がって躱し、距離を取った。
「よりによってコイツが高専にきたのか・・・真希!?」
長刀を杖にして立とうとする真希を見て驚くパンダを首、腹、膝と連続した打撃が襲う。
「余所見、いかんね」
「ぐっ・・・近接特化の術師・・・なら!」
パンダはモードを切り替え、肉体を変異させる。
「ウォーー!」
「ほう、そんなこともできるのか」
威力が数段ました攻撃を躱し、時にはいなしながら田中はパンダの攻撃に難なく対応していく。 - 157二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:51:50
「受けてみろ!激震掌≪ドラミングビート≫」
「!・・・ほう」
田中の肩を強かに叩いた・・・はずだったが。
「これをこうする」
「ぬうぅおっ!?」
剣先の峰の部分を手首に添えて持ち上げることで田中は難なくパンダの一撃を空振りさせた。
恐るべき技量である。完全に速さ、そして反射神経のレベルでパンダを上回っている。
「これを刃を添えてやると相手の力で攻撃を躱しながら手首を飛ばせるんだよ」
「う、く・・・!器用なじーさんだ」
「ふふ、褒められるのは、慣れないね」
田中がほほ笑むがパンダは相手の底知れない技量に冷や汗をかいていた。 - 158二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:53:58
この態度に技量…強者ですわ
- 159二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 23:57:35
剣同士の戦いなら日下部を子供扱いできる技量ですからね。恐らく五条や九十九などの術式で上乗せできる術師以外では近接では勝てないかもしれません。
- 160二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 00:29:00
「しゃけ!」
「棘!よし・・・やるぞ!」
田中は飛び出した狗巻を見やる。
「『動くなッ』!」
「!・・・呪言か」
「ウゥオオオ!ドラミングビート!」
再びの攻撃、動きの鈍った田中を今度こそ捉える。
「く・・・、体に響くね」
「派手に吹っ飛んだと思うが、なんでぴんぴんしてんだよ」
「おがが・・・」
棘の声は既にがらがらになっている。血を吐いていないだけマシと考えるべきだろう。
「動きを止めて、俺が畳みかける。あとどれくらい呪言を使えそうだ?」
「い”ぐら”・・・」
「わかった、次のチャンスに全てを賭けるぞ」
「待て、私も・・・ぐっ、参加する」
作戦を決めたパンダと狗巻に真希が駆けつける。
「真希!」
「怪我の一つでもさせなきゃ気が済まねえ・・・」
「めんたいこ!」
三人は田中に対して一斉攻撃を敢行する。 - 161二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 01:13:13
今日はここまでにしときます!また明日!
- 162二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 06:30:22
乙
- 163二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 11:30:59
ほ
- 164二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 20:20:00
保守
- 165二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:32:59
再開します!
「・・・来るか」
田中は内心で自身に向かい合う三人に高揚感すら感じていた。
(彼らは・・・勝てないと分かっていても、戦うのか。友人のために・・・)
いつしか人間の、呪術師と呪詛師の醜い部分ばかりをみてきた。斬るのは悪党ばかりで、仕事を持ってくるのも、結局得をするのもみんな悪党ばかりだった。仲間が倒れていくのも見てきた。
守るべきものと、嘘と矛盾に苦しむ中で・・・
『京極家が壊滅したらしい』
その言葉に衝撃を受けたのは自分だけではなかった。身を持ち崩した呪術師も。
自分もその中の一人だった。正義の儚さ、優しさの脆さに一人打ちひしがれた。
そして自分一人でなんでもできるとおもっていた驕りと無力さにも。
(心が沸きたつようだ、夏油さんの理想も、彼らの決意にも・・・)
呪術師のために、そう語り、皆と笑顔で語らう彼の姿にも田中は感銘に似たものを感じていた。
正直命を救われたこと自体にはそこまで恩義を感じていなかった。価値のない命を拾ったこと、犯罪者のレッテルを貼られた自分を助けたのは所詮裏の人間が人材を探して同じく裏の人間に当たっただけだろうとたかをくくっていた。
(彼は・・・家族を、守る為に・・・)
短いながらも共同体の一員として過ごした田中は彼らの団結と、夏油の理想にいい意味で裏切られた。
(滅私の奉公、仲間のため、理想のため、家族の為・・・)
自分がずっと持てずにいた理想と、彼らの信念に田中は心を揺さぶられていた。 - 166二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:46:39
隠しきれない人の良さが滲み出ている
- 167二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 23:17:56
「何が可笑しい?」
田中は緊張した面持ちの三人を前に思わず笑いを零した。
「いやなに・・・嬉しくてね」
「弱い者いじめがか?一級相当の実力者のくせに!」
「弱い者いじめはきらいだが・・・?」
キョトンとする田中に真希はムッとした顔になる。パンダはそんな真希の肩を叩いて彼女を宥める。
「真希、あの年齢の人間と口でやり合って勝てる道理なんかないだろ。それより手筈通りにいくぞ!」
「・・・わかってる!」
真希とパンダは素早く二手に分かれた。田中はそれを目で追いながら、正面の狗巻に注意を向ける。
(三方向からの同時攻撃・・・いや、それじゃあ私に通用しないのは知っているだろうから・・・)
田中は予想をつけると狗巻に向けて移動する。
「呪言で縛って叩くだろう・・・」
刀を持ち替えて狗巻に近づく最中に空いた手で耳を押さえ、呪力でガードする。
「おおっ!」
「おらっ!」
それを裏切るように二人は互いに同士討ちにならない角度から暗器と礫を投げる。
咄嗟に躱し、礫を払いのけた刹那。狗巻が口元を露わにするのが見えた。
(裏の裏、必中を期するための奇襲・・・なんとも柔軟な発想だ) - 168二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 23:39:43
「『動く・・・』むぐっ?!」
狗巻は呪言を発しようとした瞬間に口の中に飛び込んだものに驚き、慌てて吐き出した。
「うげっ・・・ぺっ!ぺっ!・・・すじこ?」
吐き出したものはコンビニなどでもらえるお手拭きだった。咄嗟に開いた口に投げ込まれたようだ。
「ふふふ、最近は頼まずともこういうものがもらえるものだから・・・ついついもらってしまうよ」
「いくら・・・あぐっ!?」
いつの間にか目の前に来ていた田中が狗巻の喉に貫手を当てる。
「棘!」
喉を押さえて悶絶する狗巻を心配しつつもパンダは真希と連携して田中に攻撃を仕掛ける。
「当てが外れたね、さ、次はどうするかな?」
「舐めんなっ!」
真希の長刀の攻撃を避け、いなしつつパンダの襲来を耳と足に伝わる振動で察知すると真希の突き出された長刀の刃を受け流し、力を利用して真希をそのまま引き倒してパンダに向けて投げ飛ばした。
「うおっ!?」
「それっ」
真希を受け止めてたたらを踏んだパンダに蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「ぐっ・・・わかっちゃいたが・・・バケモンだ」
「が、う・・・くそぉ・・・」
「げほっ、ごほっ!お”がが・・・」
いくら自身との開きがあるとはいえ、三人は田中に未だに殺意すらない様子に感心してすらいた。 - 169二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 23:52:58
今日はここまでにしときます!また明日!
- 170二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 00:23:07
乙ー強すぎて好き
- 171二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 06:59:48
このレスは削除されています
- 172二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 07:25:18
このレスは削除されています
- 173二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 17:50:50
ほ
- 174二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 20:15:33
保守するで
- 175二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:18:43
再開します!
「やせ我慢もそろそろ限界だろう、悪いが決めさせてもらうよ」
田中はそういうと居合抜きの構えを見せる。その瞬間に三人の背筋に冷たいものが走った。
(殺気?!構えただけでか!)
パンダと真希が再び一歩を踏み出そうとした刹那。
「術式解放『七丁念仏』」
白刃が煌めいた。そして、三人の腹を深々と通り過ぎていく。
「あ”ッ”」
「うっ!」
「!」
三人は痛みに顔をしかめたが・・・。
「き、斬れて、ない・・・?」
「いや、もう斬った。動かん方が身のためだよ」
鯉口を鳴らして刀を収めた田中は踵を返した。
「ま、まて・・・」
足を動かそうにも痛みが強く、真希は立っているので精いっぱいだった。それはパンダと狗巻も同様だ。
田中の斬ったという言葉自体は嘘ではないらしい。 - 176二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:30:46
(くそっ、どういう理屈だ・・・斬ったはずなのに斬れてない?足、動け・・・動けよ!)
真希はどうにか田中を追いかけようと足を踏ん張るが、上手く動けず立ち尽くすばかりだ。
「真希さん!」
そんな時だった。真希の背後に聞き覚えのある声が届いた。
「パンダ君に、狗巻君も!三人そろってどうしたのさ!」
「ば、来るな!」
帳が降りた事、そして先ほどからの戦闘の音などを聞きつけて駆け付けたらしい。乙骨は傍まで来ているらしい。
「ほう、彼が例の・・・」
踵を返していた田中が乙骨の声を聞いて振り返った。
「!・・・やらせるかよ!」
真希は歯を軋らせて、一歩踏み込んだ。
じわり。真希は腹部に熱を感じて視線を恐る恐る移した。
「動くなと言ったのに」
「が・・・ふ・・・」
まるで傷口が今しがた開いたかのように真希は喀血し、腹部から夥しい量の血を流し始めた。 - 177二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:39:09
「真希!・・・うぐっお?」
「!」
真希の傷口が開いたのに呼応するかのようにパンダと狗巻の傷も開き、鮮血が飛び散った。
「あ・・・あぁ・・・!」
呆然とする乙骨に狗巻は振り返りざまに乙骨に叫んだ。
「に・・・げ・・・ろ・・・!」
乙骨の精神が臨界点に達する。
記録ーーー2017年12月24日
「来い!里香ァ!」
特級過呪怨霊 祈本里香 二度目の完全顕現。
「なるほど、これが・・・現代の特異点!」
「ぶっころしてやる・・・!」
呪力が迸り、地面を砕く勢いで放出される。田中はそれを見てもあくまで冷静に相手を見据えていた。
「ご苦労様、後は私が」
「夏油さん、私がおらんで大丈夫ですか?」
「ああ、君は今から新宿に戻って家族たちに加勢してほしい」
「わかりました」
田中はそういうと掻き消えるように姿を消した。 - 178二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 23:04:32
規制解除されたぜ
- 179二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 00:25:39
すいませんクトゥルフ神話TRPGの動画みてたらこんな時間に・・・、今日はここまでにしときます!また明日!
- 180二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 00:41:39
いいんやで…乙
- 181二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 06:15:30
あげ
- 182二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 13:27:29
ほ
- 183二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 18:49:40
保守
- 184二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 22:44:02
再開します!
新宿、京都では予想外の苦戦を高専側は強いられていた。
「おおっ!」
「っ!・・・建物を壊すな!」
夏彦は時折現れる偽夏油を殴り倒しつつ呪詛師と呪霊の両方を相手取って戦っていた。
「うう・・・ぐ」
「呪力切れまで暴れるなよな・・・!」
呪詛師の大半は術式も持たない四級寄りの三級がほとんどだ。しかしながら高度な訓練を受けたのか、それとも少ない呪力を工夫するためか呪力を銃弾のように飛ばすことを心得ており呪術師側も行動を大きく制限されていた。
「こいつらは別に大したことないな、いっ・・・て、当たっても大したことない」
『こいつ、攻撃が通じないぞ!』
『呪霊と連携しろ!コイツが京極夏彦だ!』
『捕縛なんてできるのか!?』
「なんか集まってきたな」
頭を掻きながら上着についた埃を払うと夏彦は集まりだした呪詛師と呪霊に真向から対峙する。 - 185二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:06:26
行くのだ我らが主人公
- 186二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:10:18
「おーおー、デカいのまで来た」
『ふぎゅるぅぅ』
家ほどありそうな呪霊とそれに呼応するように歩を進める呪詛師。夏彦は一瞬考えたが・・・。
「ここまで壊れりゃもう気にしなくていいか」
夏彦は掌印を組んで瓦礫を呼び寄せると
「参陣せよ、瀬戸大将!」
夏彦よりも一回り大きい式神を召喚した。瓦礫を角柱に集めて細かく調整し、削りだす形で作られたそれは鎧武者さながらの恰好でたたずんでいる。
「呪霊はまかせた、こっちは呪詛師をやる」
『ムオッ・・・』
瀬戸大将は夏彦の言葉に頷くと瓦礫から与えられた呪力を用いて金棒を形作ると呪霊に一足飛びに飛び掛かった。
呪詛師たちは驚いて瀬戸大将に攻撃を仕掛けるが元より石や建材でできた体を呪力で強化しているため傷一つつかない。
『ム・・・!』
勢いをつけて金棒をフルスイング。呪霊の頭を吹き飛ばし、着地すると残心をしながら周囲を睨みつけた。 - 187二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:15:49
瀬戸大将まで出て来てええなぁ総力戦って感じがします
- 188二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:16:24
よく考えなくともゴーレム見たいなもんだからな
- 189二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:19:04
- 190二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:22:19
- 191二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:27:31
ちなみに残穢だけで呪力供給すると時間経過で呪霊になる可能性があるので呪術師とセットで動く必要はあります。
- 192二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:38:52
埋まりそうなので次建てて、小ネタ挟みます
- 193二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:40:29
- 194二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:42:21
やったぜ
- 195二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:51:22
禪院賀樂、彼女は可愛がられている。元より可愛いのはそうなのだが、小さい子にお姉ちゃん、お兄ちゃんと慕われるのは悪い気はしないだろう。男性に限っては大半がおじさん扱いだが。
「真希姉ちゃん・・・ふみゅ」
「なんだ賀樂、おらおら」
真希は賀樂の頬をもちもちしつつ彼女の用件を聞く。
「退屈だからついてくぅ・・・」
「そうかよ、でも私も別に今日用事ないんだよな」
真希は割と賀樂に甘い。小さいころの真依を重ねていることと、やはり姉と慕われるのが大きいのだろうか。
「どうしたもんかねえ」
「うじゅじゅじゅ」
頬で遊ばれる賀樂。普通は嫌がりそうなものだが賀樂は構ってもらえるのが嬉しいので無抵抗だ。
「そういや硝子さんの手伝いはどうした?」
「今日はお休みぃ・・・」
真希は家入の事を心配するも賀樂もそれは承知の上のようだ。 - 196二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:57:46
そういえば、と真希は家入の言葉を思い出す。
『若いっていいよね、頬がもちもちだし、肌もすべすべだし・・・』
真希には少しピンとこない言葉だったが後半の言葉にふと興味を惹かれる。
『手で触るのもいいんだけど頬同士をくっつけるとなんというか・・・新感覚だよ』
「・・・」
「?」
真希は黙って賀樂を抱き上げる。そして・・・
ふにっ
(これは・・・マジか、手でももちもちしてたのはわかるけど・・・)
「んにゅぁ~」
「変な声だすなよ」
賀樂が猫のように頬を寄せるので真希は内心悶えつつ、賀樂の頬を堪能した。 - 197二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 00:04:51
これはぬこ
- 198二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 00:07:08
きまぐれで、寂しがり屋で、甘えん坊な10歳の女の子なんですねぇ・・・猫ですねぇ!
- 199二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 00:11:03
そもそも考えたら真希も猫なんだよなぁ・・・!
- 200二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 00:13:12
200なら真希は猫耳をつける。