釘崎の関係者生やしたい(ダイス) その19

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:31:31

    いあいあ!次すれ!

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:31:44

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:33:59

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:35:26

    次スレダァ!

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:37:56

    早とちり送信

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:38:38

    カシムパパ苦労譚と打ち込むつもりが

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:38:50

    保守

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:39:05

    >>5

    >>6

    よくある

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:39:15

    9

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:39:18

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:39:27

    とりあえず10

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:39:44

    カシムパパ爆誕

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:40:42

    んじゃあ小ネタで日記風にちょっと書きますかね。

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:46:23

    草 まさかの

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:59:29

    〇月2日
    日本に来て何年だろう。自身に宿る力がこのように使えるとは。しかしこの力があればこの国の平和にも
    寄与できると信じて訓練を行う。

    4日
    なんということだ、自身が所属していたグループが犯罪者の集まりだったとは。
    この国では人々の為に働く者を呪術師、私利私欲の為悪事を働く者を呪詛師と呼ぶそうだが
    私は知らぬ間にその片棒を担がされていたことになる。神がおわすなら・・・

    〇月5日
    呪詛師のレッテルが誤解だということがわかってもらえたようだ。私の力が淀んだ土地の浄化に役立つとわかってからの彼らの態度の軟化は私にとってもうれしいことだ。

    〇月10日
    一人の子供を保護した。どうやら日本の魔物・・・『鬼』を身に宿してしまった女の子らしい。
    彼女の意思とは関係なく彼女の体が傷つき、血が出る度に彼女の傷口から体を食い破って出てくるようだ。
    悪魔祓いなどではだめなのかと聞いたが、どうやら彼女は門のような役割を果たしているだけで、彼女の体自身に
    鬼たちは居ないようだ。なんとも難解かつ難儀な話だ。
    すくなくとも彼女が傷つけられることはないとのことで一安心。秘匿死刑なる制度があることを知ってからは
    こう言った手合いに関わるのが辛くなる。

    〇月12日
    彼女はなかなか心を開いてくれない。私が日本人ではないからだろうか?それとも彼女の体に宿る魔性のせいだろうか?できることなら彼女には年相応の暮らしをしてほしいが・・・

    〇月14日
    彼女が笑った!夕食の調理中に私のひげが焦げたことが発端というのが情けないが・・・。
    それでもあの子が笑ってくれたこと、未来に展望が持てた事を今は喜ぼうと思う。

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:59:42

    ▽月3日 
    私は飛んだ思い違いをしていた。彼女が、あれほどの力を持っていたとは・・・
    呪詛師の襲撃に際して彼女を切りつけた男がいた。大慌てで助け起こした彼女の体は・・・ああ、おそろしい。
    門の役割を果たしているという呪術師の言葉が脳裏によぎった。まさしくあれば地獄の門・・・ともいうべきか。
    彼女の体の秘密の一端を覗いた気持ちだ。あの子は、あれほどの力を幼い体に押し付けられたのだ。
    ああ、神よ。あの子を憐みたまえ。

    ▽月5日
    医療に応用できるレベルのヒーリング術、反転術式というものだろうか?その術によって彼女の傷はあっという間に塞がり、消えてしまった。神の御業だ。
    しかしあの一件で彼女はまた暗い顔をするようになった。どうすれば・・・。

    ▽月6日
    呪術師たちはあの子を霊山の結界に閉じ込めるつもりだ!あんな小さな子がまるで罪人のように暮らすなんて
    とても耐えられない。俺は彼女をどうにかして自由にしてやりたい。

    ▽月同日
    俺は決意をもってこの日記を書いている。呪術師だとか呪詛師だとかは関係ない。俺は俺の意思をもって
    彼女を連れ出すことにする。幸いなことにあの子の術式を抑え込むのに俺の術式は有効らしい。

    やるしかないんだ。

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 23:11:40

    今日はここまでにしときます!また明日!
    明日は日記風から再開するかも。

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 23:16:31

    >>17

    乙です!ありがとうございます

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 06:39:09

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 17:54:19

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:29:10

    日記風良いですな

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:45:44

    再開します!カシムパパの日記から

    ▽月7日
    任務に行くと偽ってとある人物に接触する。なんでも呪術師のための世界をつくろうとしている大物呪詛師だそうだ。
    まさしく彼女のためにあるような組織だが・・・。
    どのような人物に出会えるのだろうか?

    ▽月8日
    夏油傑という人物はどうにも人好きのする笑みとしゃべり方の青年だった。若いにもかかわらず彼は相当な組織を動かしており、彼を慕って、あるいは信仰して新たな人たちが集まっている。中には呪いについて悩んでいる者も。
    俺たちもその中の一人だ。

    ▽月9日
    決断の時だ、俺たちは夏油一派に属する決意をする。秩序に背を向け、非合法な方法をとってでも彼女の自由を得る。
    その為には手を汚す必要もあるかもしれない・・・。

    ▽月10日
    あらたな出会いだ。あの子の・・・姑獲鳥よりもさらに小さな女の子を紹介された。
    彼女も呪術師なんだろうか?姑獲鳥と同じようにハキハキとしゃべる利発な子だが・・・

    ▽月12日
    夏油傑は何を考えているのやら、俺が保育士だとでも・・・?姑獲鳥の件で確かに慣れてはきたが
    それでも独り身の俺が父親なんてできるのだろうか・・・。しかし夏油傑は若く、それに多忙だ。
    そんな彼が子供の面倒を見れるはずもないか。

    ▽月13日
    どうしたものか・・・、一筋縄ではいかない案件ではと思っていたが・・・あの子は、尾ノ目写楽は
    姑獲鳥とは違った危うい術式だった。外なる神という私の理合いの外の存在と自在に交信し、召喚するその術式は
    私の想像を超えてはるかに強い力を持っているようだ。

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:52:46

    【保育士とでも…?】
    →はい
     いいえ

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:35:21

    ▽月14日
    出血を伴う傷が無ければ基本的にどうとでもなる姑獲鳥と違い写楽の術式はとても不安定だ。
    喜怒哀楽の感情の内、姑獲鳥が怒と哀の感情で敏感に反応するのに対して写楽は喜の感情にも反応する。
    私にとっては特に危険はないが写楽の呼び出す外なる神は生贄と称して人や物を食らう邪神だ。
    彼らがはたして実在しているのか、はたまた彼女の術式によって具現化した存在なのかはわからないが
    私の術式で場の呪力を集束させれば写楽の術式を阻害できることもわかった。

    ▽月18日
    暴走した彼女の術式の鎮圧に成功した。やはり彼女の術式は相手の負の感情やそこから派生する狂気にも似た感情を操作することそして情報を無理やりにでも共有し、『ミーム』を汚染することで力を増すようだ。
    奇しくも彼女を鎮圧したことで彼女の信頼を得たらしい。すっかりなつかれてしまった。

    ▽月20日
    夏が近づき、気温は高くなってきた。二人にせがまれてプールに行った帰りに最近の施設の盛り上がりに気付いた。
    なんでも『奇跡の子』なる者がいるらしい。死人同然の怪我人を治せるとかなんとか。
    また子供か・・・こちらに御鉢がまわるようなことが無ければいいが。

    ▽月21日
    夏油傑の闇を垣間見た気がする。彼は理想の為に彼女を利用している!
    賀樂と呼ばれる小さな女の子は施設に閉じ込められて、仕事を強要されている。皮肉にもそれで多数の人間が救われ、呪術師が産まれている。しかし・・・それでいいのか・・・?
    私は、あの子たちを救う為に彼を頼ったが、彼はまた違う小さな子を・・・。

    俺はどうしたら・・・

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:03:33

    今日はここまでにしときますまたあした!

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 06:48:34

    上げる

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 12:47:26

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 20:07:24

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:26:19

    再開します!

    ▽月gyふじk日
    ほしのふるよるがきた おれは かみの すがたをみた あのこは かみのこ いやしのちからなんて めじゃない
    いあ いあ・・・・・・・・

    ▽月25日
    最悪な目覚めだ。気が付いたらローブを目深く被った変な奴らと一緒にモノリスを作って祈りを捧げていた。
    施設に戻ってみれば呪術師たちによって施設は破壊され、ほとんどの人間が逃げ出すか捕まっていた。
    あの子たちは俺の意識が星の海を泳いでいる間ホテル暮らしだったそうだ。
    なんでも彼女を神の使いと呼ぶ連中、おそらくはあのローブを被った連中だろう。奴らが金を出していたらしいが・・・。迎えに行った時に二人にかなり心配されてしまった。なんでもあの子の「ともだち」とやらがモロに俺に干渉したらしい。なんとも恐ろしい力だ。

    ▽月26日
    夏油と連絡が取れた、なんでも特級術師の襲撃を受けたようだ。そのどさくさで例の子供も逃げ出したとかなんとか。
    内心ホッとしつつもこれからの活動を聞いたところ京都に向かい、来る12月の決戦に備えて欲しいとのことだった。
    あの子たちも・・・戦力とするのだろうか?もしもそうなるのであればいっそ別の庇護を受ける場所をさがさなくては・・・

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:34:26

    ぼちぼち本編にもどります

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:09:35

    すいません、体調が優れないので今日はここまでにしときます

  • 32ホスト規制24/06/29(土) 00:22:11

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 07:14:40

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:24:35

    保守

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 18:29:16

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:47:19

    再開します! 呪霊狩りの競争の時間だ!


    「あの子を追いかけなくては・・・」

    七海は呪力で強化した身体能力をフルに活用して少女を追いかける。彼女の戦闘能力がいかほどのものなのかを正確に把握する必要もある。

    『あはは!あはは!』

    笑い声が響く。それと同時に呪詛師と呪術師を区別しない悲鳴と血しぶきの飛ぶ音。
    追い掛けた七海は辛うじて人が死んでいないこと、そして呪霊が力任せに次々と引きちぎられ、破壊されていく様を見た。大小、強弱に関わらず強引に破壊していくため洗練されてはいないが自身のものと影、また恐怖した呪術師や呪詛師から得たであろう眷属を味方につけてば呪霊に襲い掛かっていく。

    「素晴らしい力だ、ぜひとも私に代わって全国を飛び回ってほしいものだ」

    七海も若干ヤケになりながら少女を追いかけ、自身も雑魚の呪霊を殴り飛ばし、鈍刀で斬り倒しながら進んでいく。

    (精神汚染と、それに伴って呪力を得て自身の術式を強化しているのか・・・?)

    随分とまどろっこしい、手間のかかる術式だがその分威力は絶大だ。ビルのような呪霊が触手に絡めとられて悲鳴を上げている。

    「恐怖が根源、それに伴って力を増す恐るべき術式・・・!」

    『いあ!いあ! あはははははははははははは!!!』

    触手の圧力に負けた呪霊が千々に引き裂かれて血しぶきを上げる。そして、彼女が恐怖をあおるような行動を取る度に

    ≪キィーーーン≫

    (また!・・・これが彼女の力を増幅させている!)

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:06:04

    クトゥルフtrpg始まってるやん!

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:12:27

    ガードしつつ七海は周囲を見渡す。するとこの音に当てられた呪術師や呪詛師、果ては呪霊に至るまでが彼女を見上げて悲鳴を上げている。

    『まだ!まだよ!もっと、もっとちょうだい!』

    触手は少女の求めに応じるように荒々しくうねっては呪霊を八つ裂きにし、人間を間接的に救っていく。
    そしてその際に彼らに信仰を植え付けていくのだ。恐怖という名の信仰を!

    「天井知らずに力を増す術式だ・・・」

    どこかで彼女のボルテージを抑制しなければならない。しかしどうやって?七海にはそのアイデアがまったくといっていいほど浮かばない。そもそも敵対行動を取ればどうなるかなどわかりきったことだ。

    「どうしたら・・・」

    悩んでいた七海の目にふと、クリスマスの料理を描いた広告が飛び込んだ。

    「クリスマスか・・・本来なら家で・・・ん?」

    目のついた触手が広告にはりついてそれを見ているのが見える。どうやら彼らもクリスマス・・・というよりもごちそうに目を奪われているようだ。

    (・・・)

    七海は彼女の姿を思い出していた。小さな女の子だ。そんな子がこんな術式を持っていたらきっとまともなクリスマスなど過ごせるはずもない。

    「・・・一か八か・・・」

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:17:20

    七海は避難が完了した店の中に入るとショーケースに残されていたホールのケーキを取り出し、財布から万札を取り出してカウンターに置いておく。

    「ケーキがあります!!!!」

    すっ、と天に掲げるようにしてから店の前のテーブルに置く。すると・・・

    びちゃん!と水が跳ねるような音がして触手の塊が落ちてきた。どうやら釣られたようだ。

    『けーき!』
    「チキンもあります」
    『ちきん・・・!』

    触手がすごい勢いでうねった。

    『さんかく じゃない けーき! はじめて みたわ!』
    「私が買ったので好きなだけ食べててください」
    『いいの?!』
    「もちろん」

    触手たちが集まってナイフとフォークを取り出して食べ始める。がっつくかと思いきやなんとも上品なもので
    女の子もちまちまと小さな口で食べている。

    (こんな手が通じてくれてよかった・・・)

    通じなかったら少女よりも先に正気を疑われそうな手段だったが功を奏したらしいので七海はホッとした。
    経費で落ちるだろうかなどと考えるほどには。

  • 40二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:17:44

    >>37

    原作からしてSAN値が減る世界なんだよなぁ

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:18:36

    >>39

    ふふ…メシの顔してやがるぜ…口は正直だな

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:19:04

    >>40

    主人公たちはあんまり遭遇してませんけど呪霊の被害者って真人にやられたのがマシなレベルの状態で

    死んでる人がほとんどらしいですからね。

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:19:46

    >>41

    ただの腹ペコキャラならよかったんですが純粋に不遇な人生ですからねぇ・・・

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:20:20

    >>43

    せやな…

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:20:53

    >>42

    純平のお母さんもだいぶ悲惨な死に方したしな

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:29:08

    >>44

    ちなみに写楽の両親はDV中に彼女が召喚した外なる神を直視してSAN値が直葬した後神様にもぐもぐされました。

    彼女はその際の一部始終を目撃した後にカシムに保護されてます。精神がそれでもバランスを保ってるので彼女も異常な存在です。

    外なる神はカシムを見て『まあこいつはちゃんと面倒みるだろ』って感じに思って攻撃せずカシムの術式で門を閉じられて帰りました。

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:51:12

    今日はキリがいいのでここまでにしときます。
    なんていうか飛んでもない設定ばっかり浮かんで困るわー。

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:52:11

    良いではないか良いではないか
    お疲れ様でした

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:55:05

    >>48

    あー、ちなみに言っとくとDV両親が悲鳴を上げながらもぐもぐされるのを見たので写楽は潜在的に人の悲鳴が大好きです。

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 06:34:45

    あげ

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 08:55:18

    ほしゅ

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:10:44

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 23:03:58

    あげるぜ

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 23:05:17

    サイカ・イ サイカ・イ


    七海はクリスマスセットに夢中な少女と触手の群れを見ながら内心でどうしたものかと途方に暮れていた。
    触手の手数は結界術の苦手な七海にとって相性が悪く、それだけでなく定期的に発せられる呪言ににた音・・・
    七海はその現象に『恐怖の波』と称して情報を整理することにした。

    (『恐怖の波』が起こる度にガードできない人間や呪霊は潜在的な恐怖を呼び起こされ、それが彼女の力になる・・・)

    彼女の呪力は呪力そのものとしては感知しにくく、ただただ膨大だということと、悍ましいという感情によってそれが感知できている状態だ。

    「紅茶を?」
    「ほしい!」

    七海は色々と考えつつ、少女に紅茶を差し出した。とりあえずはこの子をここに押しとどめていれば被害は小さくなる。彼女が短時間暴れただけで周囲1キロ圏内は混乱の渦だ。呪霊はほぼ瞬殺され、呪詛師も混乱している。

    (この状況こそが彼女の独壇場だな・・・混乱と破壊、生と死が入り乱れる中を支配する混沌こそが彼女の術式と言わんばかりの性能だ)

  • 55二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 23:34:35

    わあつおい

  • 56二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 23:44:16

    >>55定期的に呪言に相当する音波を垂れ流しつつ精神汚染に成功するたびにそれを呪力に変換して自身を強化しますからね・・・



    もぐもぐと咀嚼する音、触手のうごめく音に苛まれつつ七海はこの状況を打開すべく知恵を働かせていたが・・・


    『ごちそうさま あとは かしむとうぶめに とどけましょう』


    残ったホールのケーキとチキンがずぶずぶと黒い闇に沈んでいく。


    「とどける?」

    『しょうぶ は あなた の かちで いいわ わたし どうでも いいもの』


    少女は再び触手の塊に変ずるとそのままビルからビルへ飛び移って再び移動し始めた。


    「待ってください!約束は・・・?!」

    『だれも きずつけず じゅれい を かるわ それで いいでしょう?』


    ぞろぞろと触手が生えて七海を通せんぼする。そしてまるで紋様のようについている口から口々に言葉が発せられていく。


    「それは・・・そうですが・・・!」

    『けーき と ちきん の おれいに ふたり をみつけたら もう ばいばい するわ』

    「戦わないと?」

    『そうよ じゃあ ね』


    触手はそれだけを告げると用事は済んだとばかりに地面に引っ込んだ。


    「捕まえられるとは思ってなかったですが・・・全くとんでもない・・・」


    鵜呑みにはできないがとにかく戦闘を中止して逃走してくれるならそれに越したことはないと七海は思考を切り替えて自身も呪詛師と呪霊との闘いを再開した。

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:18:37

    なんか筆が乗らない・・・信仰が・・・たりない!
    いあ!いあ!つかれた! まぶたが重い!

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:19:10

    とりあえず戦闘が一区切りしたので次はカシムのターン!

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:37:08

    乙!

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:38:07

    「おおお!」
    「やあああ!」

    二人の呪詛師が同時に走り出すと呪力で強化した拳で夏彦の体を強かに打った。

    「・・・え?」
    「・・・うそ」

    ノーガードだった。無表情の夏彦はそのまま一人を手刀でノックアウトし、二人目の胸倉を掴んでそのまま半壊した建物に投げ飛ばした。

    「そろそろ、呪詛師も呪霊もネタ切れかな・・・?質も量も減ってきた感じだな」

    腕時計を見るとそろそろいい時間だ。終わりのないと思っていたこの戦いにも終局が見え始めてきたと思っていたころだった。

    「む」

    呪力を塊にして飛ばす攻撃が夏彦の近くを掠めていった。飛んできた方向に目を向けると異人がこちらを見ている。

    「呪詛師がまだ居たのか」
    「ここいらで戦局を立て直さないとな」

    両手をまるで銃を撃つように構えるとそこから呪力の塊が飛んでくる。夏彦はそれを殴って破壊しながらカシムへと近づいていく。

    「君は、準一級のはずだが・・・うおっ!?」
    「便宜上ね」

    カシムの居た位置に夏彦が蹴りを入れると小規模な爆発が起こり、カシムは慌てて回避する。

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:39:09

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:52:39

    おやすみなさい

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 06:36:00

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 12:35:43

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 21:55:06

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:46:13

    再開します!

    「とんだ馬鹿力だ」

    カシムは建物の上を走りながらつぶやいた。夏油からピックアップして伝えられた要注意人物の一人だという事は知っていたが単純な身体能力の高さは圧巻である。

    (五条悟だけでも厄介だというのに、京都にも化け物がいたか)

    呪霊をけしかけて足止めを試みるもそれらをなぎ倒しながら迫る姿はある意味五条悟のような洗練された呪術師のそれよりも恐ろしい。まるで獣に追われるような恐ろしさだ。

    「ちっ、命がけで戦う理由もないというのにな」

    夏油から既に心が離れつつあったカシムはどうここを切り抜けるかについて頭を働かせる。

    (夏油から離れるなら彼らの逃走ルートは使えない・・・かといって投降すればあの子たちがどうなるか)

    京都が主力ではないとはいえそれでも相当な戦力を投入している。夏油が決定的な勝利を手にできなければ
    どのみち組織は弱体化し、自分たちの肩身がせまくなるのは明白だ。

    「こいつに話が通じるか・・・」

    カシムが走りながら振り返るとそこには呪霊を粉砕しながら迫る夏彦の姿がある。
    呪霊の返り血をものともせず、カシムの呪力の攻撃をまるで意に介さず歩を進める姿はまさしく怪物だ。
    「うおっ!」

    一足飛びに距離をつめた夏彦の攻撃をカシムはしゃがんで回避した。風の吹き抜ける音とともに隣に立っていた灯篭が粉砕されて倒れていく。

    「殺す気か!」
    「呪力でガードすればいいでしょ、できなきゃそこまでだ」
    距離を詰めることに成功した夏彦はスピードを重視した攻撃でカシムにダメージを与えていく。

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:48:35

    はじまた

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:09:15

    「ぐっ・・・がっ!」

    ジャブがカシムの頬を捉え、カシムの視界が揺れた。

    (軽い攻撃でこれか!当たったら・・・こりゃ死ぬかもしれん)

    避けた攻撃が戸板をぶち抜いたのを見てカシムは慌てて距離を取った。呪力の攻撃も溜めも集中もできない状態では威力も期待できず、それが夏彦の頑丈な体を撃ち抜くことは難しかった。

    (相性が悪い、術式で戦う相手ならもう少し頑張れたか・・・?)

    呪力を帯びさせて戦うならカシムの術式はそれを中和できる。もしくは土地や空間に呪力をもって作用する効果ならば同様にカシムはそれから呪力を奪って自身の呪力とすることができる。

    「わかってやってたら怖いぞ」

    夏彦は当然ながら術式を使わない理由は別にあったが、元々自身の肉体をもって戦う事が彼の得意分野であり
    本領だった。かつての師に教わったこと、その途中で出会った仲間との鍛錬の過程で彼は自身の肉体を使って
    戦う事を学んでいた。

    「ふんっ!」
    「ぐおおっ!?」

    腹に蹴りが命中してカシムは派手に吹っ飛ばされる。

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:19:32

    ゴリラ「ゴリラ(ゴリラ)」

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:20:32

    すいません、今日はここまでにしときます。また明日!

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:44:26

    >>70

    乙!

    他人から見た夏彦は怖い…敵なら尚更

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 06:42:16

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 13:31:27

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 20:46:26

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:11:02

    再開します!

    民家の壁に当たり、それをぶち抜いて中に転がり込んだカシムは大の字に倒れて天井を見上げる。

    「ごほっ、一級レベル・・・だったか・・・これほどとは・・・」

    鉄火場を経験するにはそろそろつらい年齢だ。その上に相手は能力として格上、こちらの攻撃が通じない以上不意をつくか奇策を弄する必要があるがその手も通じるか怪しい。

    「むしろ奇策はあちらの得意分野だろうしな・・・」

    残穢を呪力に変換して補給しつつカシムは再度呪力による身体強化で家の中を逃げ続ける。

    「ここまで逃げれば・・・」

    家を数軒抜けて大通りに出たカシムだったが・・・

    「待ってたよ、遅かったね」

    既に夏彦が瓦礫に腰掛けていた。夏彦は立ちあがると空になった缶を握りつぶしてゴミ箱に放り投げた。

    「ぐっ・・・」
    「そろそろ終わりにしよう。時間が惜しいんだ」

    カシムはじりっと後ずさりして・・・。

    「すいませんでしたー!」

    土下座した。

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:16:06

    DO…GE…ZA…何と見事な

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:22:16

    夏彦が頭に?を浮かべているのをちらりと確認してカシムは言う。

    「実は、実は小さな子供が!子供が二人いるんです!その子たちの保護が、必要でっ!」
    「えっ・・・え?」

    戸惑う夏彦の足元にしゅばっ!と土下座のポーズを崩さないようにしつつにじり寄ると夏彦の足に縋りついた。

    「子供たちだけでもなんとかなりませんか!」
    「え、いや・・・そういわれても困るって」
    「このままだと呪詛師になっちゃうんですよ!子供が!」

    先ほどまで殺気だっていた夏彦の感情に戸惑いが大多数を占めたのをカシムは見逃さなかった。
    元よりプライドなんぞ二人の為に容易く捨てられる男である。夏彦の優しさに最大限縋るように
    子供をとにかく強調した。

    「元々俺は大それたことがしたかったんじゃない!ただ、難儀な術式をもって生まれた子供たちが平穏に暮らせるようにしてあげたかっただけなんだ!」
    「でもアンタ呪詛師じゃ?」
    「俺だって悪い事はしてないんだよ!ただ、子供たちを霊山に閉じ込めるとかなんとか言われたから・・・それで・・・」

    身寄りがないんだよ!とさらに子供の哀れを誘う為にカシムは情報を付け加えていく。

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:33:44

    元々カシムも非術師をどうこうしたいわけでもなければ呪術師だけの楽園というのも別段譲れない案件というわけでもなかった。カシムにとっては二人の難儀な術式に苦しむ子供を救えればよかったのである。

    「な!な!頼むよ!子供たちだけでも!」
    「そんな・・・えぇ・・・うーん、じゃあその二人はどこに?」
    「呼べばすぐ来るさ、えっと」

    根負けした夏彦が尋ねるとカシムは即座にポケットから携帯電話を取り出した。が

    「携帯使えないよ?帳降りてるし」

    夏彦の言葉にぴたっ、とカシムの動きが止まった。

    「まさか帳のこと考えてなかった?」
    「・・・神様ー!」

    カシムは天を仰いで絶叫した。

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:59:24

    今日はここまでにしときます。また明日!

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 06:36:00

    おつー

  • 81二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 08:53:51

  • 82二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 18:01:57

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 22:51:04

    再開します!

    カシムはまんまと夏彦の慈悲を乞うことに成功した。身寄りのない子供。その言葉に夏彦は弱い。
    自身がそうであったこと、そんな子の為に奔走しているであろう人物に非情になりきれなかった。

    「いいよ、今は信じるから。子供たちをどうにかして集めて・・・もし揉めてるなら宥めてくれ」
    「いいのか?」
    「五条先生ならなんとかできるでしょ、それでも無理なら日本を出て・・・呪霊に関係ない世界に行けばなんとかなるかもしれないし」

    面倒になったら五条、夏彦はそれを覚えつつあった。

  • 84二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:01:50

    さす五

  • 85二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:02:42

    困った時は五条、みんな知ってるね!

  • 86二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:04:50

    夏彦だってクソ忙しいですからね!仕方ないね!

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:18:01

    >>86

    うむ…

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:29:27

    カシムが天に向かって叫ぶ中、京都校の面々はどうにか目の前の少女を拘束することに成功した。

    「ふむぅ・・・」
    「もう十分戦ったし、私達も疲れたわ。貴女も休憩してちょうだい」

    真依に正面から抱きしめられた少女、姑獲鳥は返事の代わりに真依の背に手を回した。

    「決着ね、はぁ・・・一時はどうなることかと」

    西宮は破壊が広範囲に及んだ状況を見て溜息を吐いた。相変わらず東堂はいないし、他の面々にも疲労が滲んでいる。

    「呪詛師はもうここらへんで打ち止めかしら・・・」
    「むぅ・・・まだカシムと写楽がいるもん」
    「あなたの友達ね?夏油のたくらみはきっと失敗するわ。だからもうこんなことはやめなさい」
    「どうしてわかるの・・・」
    「東京には五条悟が、ここには一級術師と・・・夏彦がいるもの」

    真依がそう言うと姑獲鳥は彼女の胸に顔を埋めつつも、少しだけつまらなそうに身を捩った。

    「カシムだってすごいもん」
    「なら、余計に止めるべきね。すごい同士がぶつかったら・・・いいことないもの」
    「うん・・・」

    戦闘を停止した姑獲鳥、カシム。そしてそれを知らずに探す写楽。
    京都の争乱は終局を迎えつつあった。

  • 89二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:35:35

    真衣さんママ味を増す

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:37:25

    >>89

    ヒロイン三人の中でなんだかんだ適性一番高いの真依ちゃんだと思われ。

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:39:25

    >>90

    勝ったな(真衣過激派

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:40:26

    >>91

    釘崎&真希「「あ?」」

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:40:44

               死 

  • 94二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:49:07

    >>93

    「凄惨な現場だな」

    「ああ、数分前の現場だ。オロクはすさまじい力で殴られたあと釘でピンボールみてえにされてたぜ」

    「新人にこれを拾わせたのか?」

    「何事も経験さ」


    「相方はどうした?姿が見えねえが?」

    「奴は昼飯を食った後でオロクを見た」

    「だらしのねえ野郎だ」

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:14:09

    dice1d2=1 (1)

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:14:38

    もうちょい京都視点が続きますねー

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:19:13

  • 98二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:19:33

    場所ダイスかな?

  • 99二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:22:27

    そうですねー、京都編が結構続いたのと新キャラは一通り描写できたんで

    >>98

  • 100二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:29:58

    んじゃ写楽がどっちかを見つけたかダイス振って今日はおしまいにしときます。

    どっちをみつけたかは明日をお楽しみに



    dice1d2=1 (1)

  • 101二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:31:45

    乙ー

  • 102二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 06:32:13

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 10:51:28

  • 104二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 17:28:17

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 19:05:22

  • 106二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:51:51

    再開します!

    カシムと夏彦はしょうがないので皆と合流するために市街を歩き始める。

    京都の町は不幸にも破壊の痕跡があちこちで見られたが呪術師たちが辛くも勝利を収めていた。

    「組織としても力の差か、こちらも結構な準備をしていたとおもったが」
    「・・・正直、夏油さんが早まらなきゃもっとやり様はあったと思うんだけどね」

    夏彦が寂しげにそういうのを見てカシムは口をつぐんだ。彼と夏油の関係がそれなりに深いものだということを
    彼の経験が察したからだ。デリカシーのない発言を避けるべくカシムは沈黙を選んだ。

    「・・・妙な気配が近づいてるな」
    「?」
    「なんか異質な呪力を感じる・・・」

    先んじて反応した夏彦。少し遅れてカシムが周囲に呪力の探知を始めると彼にとっては見知った感覚が。

    「やばい、写楽だ・・・術式を使ったのか」
    「?」
    「子供の一人だよ、正直俺一人じゃ手に余る」

    カシムがそういうが早いか、二人の前に触手の塊が降ってきた。

  • 107二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:52:17

    すいません、体調がヤバいのと明日早出なんで一回で終わりにしときます。また明日!

  • 108二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:58:05

    >>107

    おろろ

    お大事になさってください

  • 109二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 06:29:45

  • 110二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 12:58:44

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 18:51:31

    あげ

  • 112二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:02:54

    再開します!

    落ちてきた触手の塊はぐねぐねとうごめきながら形を整えるとぎょろぎょろと目があちこちから開いてこちらを見据える。

    『いた わ、 かしむ 、 むかえに きた よ』
    「写楽、ずいぶんと術式を使ったな?解除できるのか?」
    『ち ちょっと あそんだ だけ だも の だい じょうぶ よ』

    カシムはそれをみてやれやれと首を振ってから手を翳した。

    「写楽、すぐに術式を解除するんだ。できないならこちらから呪力をコントロールするぞ」
    『もう せっかち ね わかって る わよ テケ リ』

    不思議な単語が響きかけた刹那にカシムは魔法陣のようなものを描いて写楽を囲んだ。

    「悪い子だ!それをやってはいけないとあれほどいったろう!」
    『ううぅ』

    カシムが掌印を組んで陣の一端を踏むと煙を上げて触手の塊が小さくなり始めた。

    「おお・・・縮んでく」

    夏彦が陣の中でうごめく触手が次第に小さくなり、それが小さな女の子になったのを見てさらに驚いた。

    「この子が?」
    「そうだ、尾ノ目 写楽。聞いたことのない術式で・・・対処が限られてる」
    「うー・・・ふらふら~」

    倒れそうになった写楽を夏彦が抱き上げる。

  • 113二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:18:53

    「こんな小さな子が・・・」
    「もう一人はこの子よりは大きいんだが、10歳くらいだ」
    「くらい?」
    「二人とも親がいなくてな・・・苗字はわかってるが俺は日本の戸籍なんかには疎くてわからんのだ」

    そういうとカシムは溜息をついた。つられて夏彦も息を吐いた。

    「どこも大変だな」
    「おにーさん、なんかいい匂いする」
    「君もなんかいい匂いするよ。なんか食べてきた?フライドチキンとか」

    夏彦は香水をつけている。お高い奴。対する写楽はまだ食べたチキンとケーキの匂いが残っていた。

    「そうだったわ、カシムと姑獲鳥にケーキとチキンを買ってもらったの!」
    「誰に?」
    「どうやって?」

    二人がほぼ同時に尋ねる。

  • 114二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:24:52

    和やか〜(なお

  • 115二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:38:29

    写楽ちゃんの方か

  • 116二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:52:08

    「あそんでた時に会った、サングラスの人!」
    「サングラス?青いシャツだったり?」
    「そう!その人がケーキとチキンを買ってくれたの!」

    にへーと笑う写楽は一目で夏彦を気に入ったらしい。面食いなところがあるようだ。

    「あのひともかっこよかったけど、あなたもかっこいい!」
    「ありがと」

    夏彦が笑みを浮かべて答えると写楽はきゃー!と声を上げてカシムと夏彦を交互に見やる。
    年相応といったところか。それにしてもませてはいるが。

    「きっと姑獲鳥はあの青いシャツの人が気に入ると思うのよ」
    「渋い人が好みなんだ」
    「俺はどうなんだ?」
    「うーん・・・」
    「へあっ!?」

    子供は残酷である。

    「覚悟はしてたがやっぱり俺はかっこよくないのか」
    「父親にあこがれるのは小さい頃だけって話だけど・・・随分とおませさんだね」
    「うふふ」

    写楽は楽しそうに笑いながらカシムを見ている。どうやら彼の反応を見て楽しんでいるようだ。

  • 117二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 00:14:18

    今日はここまでにしときます。また明日!

  • 118二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 00:15:07

    パパン…

  • 119二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 00:16:08

    乙〜

  • 120二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:31:50

    ほし

  • 121二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 09:31:50

    ほほ

  • 122二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 18:49:28

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 23:52:23

    再開したい!

    「カシムはおとうさんだからね、おとうさんと恋愛するのは変だから」
    「へー、となると・・・僕は結構いい線いってるわけか」
    「そう!」
    「抱っこしてもらって上機嫌だな、俺はそろそろ腰が・・・」

    カシムは戦闘で負った傷と合わせて体を摩りながら溜息をついた。

    「そろそろ仲間のところに合流できそうだけど・・・」

    三人が歩いていると向こうから真依が姑獲鳥の手を引いて歩いているのが見えた。

    「姑獲鳥!」
    「真依ちゃん!」

    二人が声を上げると対する二人も同時にこちらに顔を向けた。

    「そっちは片付いた?」
    「ええ、そっちは?」
    「こっちも大丈夫かな」

    真依と夏彦が会話を交わす中で姑獲鳥はカシムに抱き着いた。

    「さてと、後始末の問題があるが・・・カシムさん、だっけ?」
    「ああ」
    「君たちがこちらの仲間を傷つけていないことが前提になるけど・・・どうかな?」
    「写楽、姑獲鳥、どうだ?」

    カシムが尋ねると姑獲鳥は目を逸らし、写楽は笑みを浮かべたままだ。

  • 124二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 23:54:54

    >>123

    いつの間に…やったぜ

  • 125二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 23:55:27

    …セーフ!()

  • 126二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:09:15

    「飲み込んだままだからまだ死んでないわ」
    「暴れたから・・・お姉ちゃんたちと戦った」

    申し訳なさそうな姑獲鳥ときょとんとしている写楽。

    「最低限ではあるが・・・殺めてはいないらしい」

    カシムが頭を掻きながら言うと夏彦もふーむ、と首を傾げる。

    「ならそこまで問題にはならないかな、おおっぴらにはこちらもどうこうできないけど」
    「この三人はどうするの?」
    「うーん、そうだなぁ・・・海外に行ってもらうか、表だと目立ったりするとバレる可能性あるしな」

    資金援助はするけどね。と夏彦が言うと三人はやったー、とわいわいしている。

    「術式がヤバいから海外でも大人しくしててほしいもんね」
    「そっちの子、そんなに?」
    「傷口から鬼が飛び出してくるトンデモ術式よ、ケガすると自動発動」
    「うっわ」
    「そっちは?」
    「あの子の術式は見てない、カシムさんは呪力を吸い取ってコントロールできるみたい」
    「それはそれですごいわね、どうするの?」
    「うーん、ま、しかるべきところに相談かな」

    どうせ五条先生に投げるしいっか、と夏彦は知らん顔することにした。

  • 127二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:35:50

    今日はここまでにしときます、また明日!

  • 128二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:43:30

    乙〜

  • 129二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:47:43

    ホシ

  • 130二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:53:20

    保守

  • 131二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:36:05

    再開します!

    「とりあえずどこかに出した方がいいかも、あまり長い事飲み込んだままだと・・・」
    「気になるけど聞かない」

    夏彦がそう答えると写楽は笑顔を深めて夏彦の頭に頬を寄せる。

    「怖い事がわかるのね、好奇心を抑えられる大人の人!」
    「さてね、それより時間に限りがあるならそこの・・・ひらけたところにお願いしていいかい?」

    うん!と元気よく答えた写楽は口を両手で覆うようなしぐさをした。すると空間に裂けめが現れ、太い触手が飛び出したかと思うと先端が裂けて中から人がボトボトと吐き出された。

    「おえ~!」
    「見てるだけで気持ち悪いわね」

    真依と連絡役としてやってきた西宮はその有様だけでげっそりした様子。

    「これで全員よ、だれがだれかはわからないけど」
    「ありがとう、これで君たちの支援もやりやすくなる」
    「どういたしまして~」

    写楽がにこにこしながら夏彦に抱っこされているのを見て・・・

    「・・・っ」

    真依はなにかを察した。

  • 132二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:40:41

  • 133二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:48:04

    真依はなにかを察した。
    うーむこの

  • 134二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:00:19

    「夏彦?ちょーっと話があるわ」
    「どうしたの」
    「とりあえずその子は保護者に返してあげて」

    夏彦は頭に?を浮かべたまま写楽を降ろそうとするが

    「や」
    「ちょ、降りなさいよ」
    「やーなの!」
    「真依ちゃん、危ないから引っ張ったらだめだって」
    「んにぃぃぃ」
    「ほんとに困った子!夏彦も!」
    「えっ!?」

    突然しがみついた写楽を真依が降ろそうとし、二人は夏彦をはさんで揉めだした。

    「あの子、もしかして彼の彼女 さん?」
    「んー、まあ、そんなとこかなぁ・・・それにしても夏彦モテるわぁ・・・」

    カシムと西宮はそんな三人を見つつこの状況を見守っていた。

  • 135二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:26:57

    京都が終局へと進む最中、新宿ではいまだに混沌を極めていた・・・。

    「ひ、人斬り・・・!」
    「列に並ぶといい、一人ずつ相手をしてあげよう」

    田中は白刃をきらめかせ、新宿に再び姿を現した。






    ってなわけでお次は新宿に戻ります!

  • 136二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:44:20

    (…すっかり田中さんの事を忘れてだなんて、言えない…)

  • 137二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:55:03

    「く、くそっ・・・呪霊と呪詛師・・・それにこんな奴まで・・・!」

    呪術師たちは負傷者もそこそこに彼らの侵攻を抑え込むところまでは成功していたが、そこに混沌を呼び込む一石が投じられたのである。

    「ふふ、悪党と呼ばれるのは心外だと・・・そう思っていたが・・・」

    田中はそう言うと呪術師の一人に切っ先を向けた。

    「存外、悪くないね」
    「くっそぉぉぉぉ!」

    自棄になって攻撃を仕掛けてきた呪術師を一刀の元に切り伏せ、田中は踵を返した。
    鍔鳴りは一度、しかしてその斬撃は不可視の領域である。刀が鞘に収まると同時にさらに数人が出血と共に倒れ伏した。

    「が、は・・・ぐぅ・・・あ」
    「死にはしないさ、若い命・・・無駄に奪うのは忍びないのでね」

    重傷ながら、致命傷のぎりぎりを越えない一撃。神業ともいうべき斬撃に周囲はざわめく。

    「さて、君達・・・斬らなかったのは彼らを助けてもらうためだ。頼んだよ」

    倒れ伏した呪術師たちを他所に数人が無傷だった。圧倒的力量差に愕然とし、立ち竦んでいた彼らに田中は
    彼らを救護するように言づけてその場を立ち去った。
    当然ながら十割が善意というわけではない。田中の目的は救護班やサポート組のパンクを狙い、あえて怪我人を増やすことで呪術高専の動きを鈍らせることと、呪詛師たちの撤退の時間を稼ぐことだった。

  • 138二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:59:09

    今日はここまでにしときます。また明日!

  • 139二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 00:03:42

    お疲れ様でした

  • 140二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:09:43

    あげ

  • 141二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:59:45

  • 142二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 13:07:14

  • 143二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:45:58

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:34:20

    ほし

  • 145二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:41:11

    再開します!田中が新宿を暗躍する中、彼の目論見通り救護班はひっくり返したような騒ぎになっていた。

    「助けてくれ、仲間の・・・ち、血がとまらないんだ!」
    「落ち着いて!指示する場所を縛って!」

    家入が担ぎ込まれた呪術師たちの先導を始める。

    「いてぇ・・・、は、腸が、出てくる・・・!誰か!」
    「うぶっ・・・、くっ!落ち着いて欲しいし!誰かガーゼ持ってきて!素手で触ったら雑菌が入るよ!」

    鈴鹿は腹部をやられた患者が半狂乱になっているのを吐き気をこらえつつ患者を宥める。

    「息が止まってからどれくらい?」
    「わかりません・・・三分か、五分か・・・」
    「まだ助かるから、泣いてないで点滴と、栄養剤もってきて」

    賀樂が家入にも負けない冷静さで患者の応対をする。

    「怪我の軽い方はこっちへ!手伝える人は他のひとの運搬を手伝ってください!」

    優子はその中でトリアージと物資の運搬をこなしていく。

    「呪力が尽きそう・・・糖分糖分!」
    「栄養ドリンクでげっぷがでそう」
    「アタシは吐きそう、何出ても黄色一色かも」
    「終わったら美味しい甘味が食べたい」
    「その前に私は寝たいかも」

    隙を見て四人は一か所に集まり糖分や栄養分を補給する。
    家入、賀樂、鈴鹿、優子の順に呪力の消費は多い。前半の三人は反転術式のアウトプットが、優子は術式で入口を拡張したり、倒れた人やふらついた人がぶつかってケガをしないように咄嗟に壁や床を柔らかくしていたので彼女の負担も馬鹿にならないものになっていた。

  • 146二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:51:45

    足手纏いが産まれるのが1番めんどくさいからね…

  • 147二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:54:56

    >>146

    現状はさながら野戦病院みたいな有様ですね。一段落した京都側と違ってこちらはまだ

    混迷を極めています。

  • 148二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:03:29

    最初こそ軽口も叩けていたがそこからさらに怪我人が増えると四人はほぼ真顔で応対することになった。
    そして・・・

    「『快癒!元気出して!』・・・お、ろ・・・ろ・・・?」

    反転術式の範囲照射を行った鈴鹿が最初に呪力切れで昏倒した。鼻血を流して倒れた彼女を周囲の呪術師や連絡役の補助監督たちが慌てて抱きとめる。

    「家入さん!鈴鹿さんが倒れた!」
    「流石に限界来たみたいね、呪力量だと私達の中じゃ一番少ないのによく頑張った」

    そこに寝かせといて、と家入から指示が飛び、手すきの補助監督が彼女を毛布を敷いた地面に寝かせる。

    「陣はまだ有効っぽい、そこに治療待ちの重傷患者を入れといて。止血くらいはできるから」
    「りょ、了解っす!」

    家入と賀樂は手慣れたもの、鈴鹿が失神したとしても微塵も動揺していない。

  • 149二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:04:09

    今日はここまでにしときますまた明日!

  • 150二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:16:54

    乙ーみんな大変

  • 151二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 06:29:59

  • 152二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:05:15

    あげ

  • 153二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 22:05:01

    ほし

  • 154二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:51:43

    再開します!

    外では呪骸が夜蛾と共に戦闘を行っているのが見える。それを掻い潜って救護班のところに転がり込んでくるのだから救護所はさながら野戦病院の様相を呈していた。

    「鈴鹿がダウンしたから雰囲気悪くなるよ、気合いれて」
    「うー、負担もね」
    「ラストスパート・・・だといいなぁ」

    優子はダウンした鈴鹿の額に冷えピタを貼りながら気合を入れるように頬を叩いた。
    鈴鹿の賑やかなエールの声はある意味で精神に作用する反転術式だ。飛びかけていた意識を繋ぎ、元気な声が
    周囲を元気づける。それが無くなると周囲は一気にマイナスの空気が強まる。
    聞こえるのは苦し気な息遣いや痛みに呻く声、そしてそれを心配する仲間の声や順番待ちに不安を隠し切れない人たちなど・・・。鈴鹿が搔き消していた不安が周囲をつつみ始める。

    「家入さん!この子もお願いします!」
    「わかった、重傷かどうかの判断はできる?急ぎなら賀樂ちゃんの方へお願い、他は?」
    「軽傷患者がほとんどです」
    「なら消毒して、傷口を悪化させないようにして頂戴」

    悪いけど後回し、と家入は言うとマスクをつけ直して再び治療に当たる。

    「痛ぇ・・・腹に穴が開いてるんだ、なんとか・・・ならないか」
    「悪いけどまって、今やってる人足と手が無いの、治さないと血が足りない」
    「マジかよ・・・ぐっ」
    「しゃべんないで、これ以上悪くなったら治すのに時間かかるよ」

    賀樂の言葉に呪術師は手でサインを送ってOKの意思を示した。止血こそしているもののガーゼは真っ赤で、呼吸にも時折喘鳴が混じっている。こちらも猶予は少ない。

  • 155二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:57:18

    「包帯やガーゼでどうにかなる怪我の人はこっちに!自力で移動できる人もです!」
    「優子さん、医療品の補充です!」
    「ありがとうございます、消毒液と止血用のバンドと、滅菌ガーゼが尽きそうで・・・」
    「消毒液がどうしても重たくて・・・とにかく今はガーゼと包帯で持ちこたえてください」
    「わかりました・・・」

    液体の搬入に補助監督たちは思いのほか苦戦していた。どうしてもかさばるし、重たくなる。
    それを戦場に近い場所に運ぶのだから大変だ。

    「消毒液は賀樂ちゃんと家入さんのところに優先してください。こちらはできるだけ踏ん張ってみます」
    「わかりました」

    補助監督もスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めて走り回っている。彼らに戦闘能力はないに等しい。
    呪詛師や呪霊と戦闘になれば歯が立たないだろう。それでも怪我人たちのために彼らも足をとめないのだ。

  • 156二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:45:41

    すいません今日はここまでにしときます!また明日!

  • 157二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 06:36:44

    乙!保守

  • 158二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 15:31:29

  • 159二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:12:35

    あげ

  • 160二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:11:15

    再開します!

    「ㇱッ!」
    「ぐはっ・・・!」

    新宿の建物の上ではミゲルと五条の戦いが終わりを迎えようとしていた。

    「呪具ももうなくなったな、ぼちぼちトドメだ」
    「グッ・・・」

    ミゲルは周囲を見渡す。しかし周囲には既に呪霊もほとんどおらず、絶体絶命だった。

    「死ンダラ祟ルゾ夏油・・・」
    「術式反転・・・」

    五条は手を翳していたが・・・不意に首筋に感じたびりびりとした感覚に思わず飛びのいた。

    「カンがいい、術式だけじゃないね・・・やはり」
    「人斬り田中・・・お前がここに来たってことは」
    「ああ、教え子と夏油さんが今戦っているよ」

    五条は首筋に手を当てる。チクッとした痛みが気になったからだ。

    「・・・驚いたな。無下限をすり抜けたのか」
    「必殺の一撃、なんていえば格好いいが・・・ようは無意識さ」

    うっすらと手についた血をズボンで拭いて五条は目の前の老人を睨みつけた。

    「さて、無意識なら君でも斬れるということだが・・・真正面からはどうかな」
    「やってみろ」

  • 161二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:31:35

    田中の手が僅かにブレたかと思うと空間に火花が散った。

    「流石に無理か」
    「恐ろしいじいさんだ」

    五条は無下限をすり抜けた理由を考えつつ、いくつかの仮定をした。

    (おそらく日下部サンの言ってたじいさんの特技の奴だな。無意識に近いレベルで放つ斬撃・・・ふわっとしてるが僕の無下限のオート反射をすり抜けるくらいに殺気がない)

    もしくは、と五条は頭を働かせる。

    (じいさんの呪力コントロール・・・それによってオートの無下限が危険物かどうか判断できないくらいに『ありふれた物』とおなじレベルまで呪力を下げること・・・六眼もないのにどうやってんだ?)

    膨大な実戦経験。それも呪霊のように言ってしまえば雑な思考の相手ではなく綿密に作戦を立てる相手を斬り伏せることだけで解決してきたことが、自分の無下限によるオートガードに近いレベルになっていると考えられる。

    「さて、どうしたもんかね」
    「術式反転『赫』」

    小規模な衝撃が田中の周囲に着弾し、爆発が起こった。

  • 162二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:46:23

    強い人×強い人

  • 163二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:56:36

    これが…タツジンジツ…

  • 164二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:59:47

    「雑に無下限を展開するのもしんどいから、遠距離からいかせてもらうよ」

    五条は赫に混ぜて呪詛師が使っていた呪力を飛ばす攻撃を飛ばす。本命の赫を当てるための牽制ではあるが
    五条の緻密な呪力操作で放たれるそれは呪詛師が使うそれとは比べ物にならない威力だ。

    「お、っと・・・これはたまらないね」

    弾丸のように降り注ぐ呪力の粒のあとに赫が飛んでくる。そしてそれを交互に、もしくは順番を入れ替えて行う。

    「元よりこれが私と戦う正解というわけだね。勉強になる」

    田中は呪力を物陰に隠れて、赫を大きく移動して回避する。そして適度に距離を詰めると

    「ふんっ」
    「おっと」

    五条に肉薄して剣撃を繰り出した。五条は斬撃を警戒して無下限によるガードを最小限にしつつ、転移や術式を使った高速移動を駆使して体ごと回避する。

    (下手すると無下限をすり抜けてくるとなると受けるのはリスキーだよな。遠距離で削りたいがこちらは時間がない・・・憂太が無事だといいけど)

    戦いつつ周囲を見渡すと先ほどまで戦っていたミゲルがいつの間にか姿を消している。五条は逃げられたことに
    多少の懸念はあったものの放置できない目のまえの存在に注力することに。

  • 165二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:05:08

    今日はここまでにしときますまた明日!
    早出辛い。

  • 166二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:06:31

    ほいほーい!乙

  • 167二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 06:27:14

    保守

  • 168二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 13:00:36

    ほほ

  • 169二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 18:42:12

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 00:13:15

    再開します!しばらくの間、一進一退の攻防が続いていたが・・・。
    「潮時かな」
    「?」

    ふと、動きをとめた田中に五条は訝しむ。

    「降参でもするのか?」
    「いや、こちらの仕事は終わりというわけだよ。殿はあとはここを脱出するだけだ」

    田中はそう言うと刀を鞘に納めた。

    「お互い、ここで血を流してもいいことないだろう。退かせてもらうよ」
    「逃がすとでも?」
    「もちろん、お互い優先事項が違うからね」

    そう言うと田中は五条に背を向けて歩いて行った。
    五条は咄嗟に田中に茈の構えを見せたが・・・

    「ちっ、優先事項か・・・。食えないじいさんだ」

    二人は多数の破壊の痕跡を残したまま、新宿を後にした。田中の暗躍により新宿で戦っていた呪詛師の内幹部クラスは全てが逃げおおせただけでなく一般の呪詛師もまた野に降って潜伏することになる。

    『失礼だな、純愛だよ』
    『ならばこちらは大義だ』

    その日、最悪とされた呪詛師夏油は呪術高専東京校にて現代の異能と称される呪術師 乙骨憂太との戦いにて重傷を負い・・・。

    『最後くらい呪いの言葉を吐けよ』

    親友の手によって、この世を去ることになる・・・

  • 171二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 00:18:47

    今日はここまでにしときます。眠い・・・!
    そろそろ百鬼夜行終わりにしたい・・・!

  • 172二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 06:48:48

    寝てたぜ

  • 173二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:58:58

    ほしゆ

  • 174二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 13:23:55

  • 175二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:19:11

    保守

  • 176二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:16:16

    再開したい・・・!百鬼夜行編、0編はそろそろ終わりたい!


    一応なんですがリクエストとかありますかー?

  • 177二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:38:02

    うーむ…本編ではあり得なかった事が見たいかな?
    夏油と五条の小競り合いとか

  • 178二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:46:14

    >>177 なるほど、そこらへんか・・・うーん、田中さん帰らせるんじゃなかったなぁ・・・



    京都・新宿百鬼夜行 報告書。


    京都方面は一級術師数名を筆頭に鎮圧、数十名の呪詛師を捕縛。呪霊の掃討を確認。


    新宿方面における大規模な破壊と、幹部とされる呪詛師を数名と十数人の呪詛師の逃亡を確認。

    人斬りこと田中 半次郎の逃走を確認。捕縛を試みるも失敗、複数人の負傷により追跡を断念。


    東京校に侵入した呪詛師 夏油傑による襲撃により補助監督の複数名の死亡を確認。

    同刻、特級過呪怨霊 祈本里香の完全顕現も確認。


    その後現着した特級術師 五条悟により祈本里香の消滅並びに夏油傑の排除を確認。


    新宿京都の呪霊と呪詛師の排除、首魁 夏油傑の死亡をもって百鬼夜行の鎮圧を宣言することとする。

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:58:55

    >>178

    いいんやで

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 00:02:48

    >>179

    まあ現状夏油に無下限突破する方法ありませんからね・・・

    単眼猫氏が早々に五条封印したのが察せられるところ。

  • 181二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 00:15:52

    とはいえリクエストいただいたのでIFストーリーとして一幕書きましょうかね!

  • 182二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 00:17:31

    やったぜ

  • 183二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 00:37:51

    ※時間軸は賀樂ちゃんが救出されて、百鬼夜行の宣戦布告が行われたところまで遡ります。

    「ったく、こんな時でも呪霊は湧くな」

    賀樂と家入が戻り、高専ではまた生徒達を含めて穏やかな日々が戻って来ていた。しかしながらそれでも五条の仕事がなくなるわけではない。乙骨の育成に尽力したい五条ではあったが彼自身も術師としての義務というものがある。

    (しかしあれから傑の動きが見えない・・・どうなってる?)

    宣戦布告までした夏油の動向がつかめないのだ。補助監督や窓の努力も虚しく夏油は見つからない。
    低級呪霊の発生報告は減少の傾向にある。つまるところ奴に先回りされていると思われる。

    「っと・・・電話か」
    『もしもし、五条先生ですか』

    ふと、着信の来た携帯を手に取ってみると電話の主は夏油とも縁の深い、京都校の生徒 京極夏彦だった。

    「どした?」
    『どしたじゃないでしょ、今日の仕事じゃご一緒するって話じゃないですか』
    「マジ?今日ってそんなにめんどくさい仕事だったっけ?」

    五条はずれたサングラスを戻しながら尋ねる。特級と実質一級相当の準一級が肩を並べて当たる任務なんぞ早々あるものではない。しかもどちらも多数から少数にいたるまで幅広く対応できるオールラウンダーだ。

    『上がらみでしょ、呪霊というよりは』
    「うへぇ、僕たち並べて顎で使って、それで権威保とうって?嫌だね」
    『さっさと終わらせて帰りたいんで、早めに来てくださいよ』

    いつもの夏彦と違いぶっきらぼうな言葉遣いが目立つ。彼も相当嫌らしい。
    五条はなるべく目撃者がでないようにしつつ、術を使って高速移動を敢行した。

  • 184二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 00:44:24

    今日はここまでにしときます。明日までに夏油が無下限やぶれそうな方法考えるぞ!

  • 185二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 06:25:51

  • 186二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 12:36:12

    保守

  • 187二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 18:41:19

    >>184

    手札の多さがウリだから…

  • 188二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 21:56:17

    再開します!

    五条が現地に到着する。現場というよりは料亭、そして・・・

    「呪霊の討伐じゃないの?」

    思わずつぶやいた五条。彼でなくともそう思っただろう。呪術師の世界はいつだって人手不足なのである。
    にもかかわらず今回はどうやら呪霊の討伐ですらないかもしれないのだ。

    「政治ショーなら他所でやってほしいもんだ」

    馬鹿じゃないの、と愚痴を垂れ流しつつ歩を進めると明らかに退屈そうな夏彦の姿が。

    「おつかれー、大変だね」
    「お互いに」

    夏彦は実力はもちろん、御三家に匹敵する影響力のある家の生まれである。呪術界の上層部は夏彦が若い内に彼をどうにかして自分たちの下につけたいと思っているようだ。しかしながらそれは五条と禪院の両家によって妨害されている。理由としては夏彦が両家の当主と懇意にしているからという理由である。
    権威にすがる連中は自分以上の権威に弱い。京極家の影響力は欲しいが五条と禪院ににらまれてはたまらないのである。それ故にこうして嫌がらせのような仕事も舞い込んでくるわけだ。

    「しっかし、あれですね」
    「あれ?」
    「あほらしい」

    夏彦の言葉に五条が噴き出した。

  • 189二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 22:24:04

    二人が料亭に歩いていく。

    「しっかし・・・僕たちに何させたいんだろうね」
    「さあ?ありがたーいなにかを聞かせてくれるんじゃ?」
    「馬鹿の中には自分より若い奴は無条件に自分より馬鹿だと思ってる心底救えないタイプもいるから困るんだよね」
    「ま、自分達が貧乏くじ引いている内は他の人がフリーになると考えましょうよ。弱者生存、弱者の括りには立場も含まれてますよ」

    弱きを助けましょう、と夏彦に言われて五条は溜息をついた。

    「それ、受け売り?」
    「・・・半分は」
    「マジ、それ聞くとテンション下がるわ」
    「すいませんね」

    なんだかんだ五条と付き合いの長い夏彦である。自分の一言が割と地雷であることにはすぐに気付いた。

    「仕事はアレでも、食い物は上等なのでるでしょ。頑張りましょ」
    「気に入らない奴の顔見ながら食う高級料理より生徒と仲間と食うコンビニ飯だよ」
    「その条件ならふりかけご飯でもいいですね。真希ちゃんたちとまた焼肉行きたいなぁ・・・」

    愚痴がよどみなく、とめどなく溢れる。しかしながら彼らを咎められる呪術師が居ないのもまた事実である。
    二人と対峙して彼らを止められる人間は恐らくいないだろう。

    「ようこそいらっしゃいました」
    「どうも、遅くなりましたかね」
    「いえ、そのようなことは。五条様と京極様でよろしかったでしょうか?」
    「そうです」

    料亭の中に入るとすぐに店員がやってきて二人を部屋に案内してくれた。その中には数人が既に待っている。

  • 190二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 22:31:51

    高そう(KONAMI感

  • 191二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 22:36:30

    「やっときたか、待ちくたびれたよ」
    「お待たせしたようで申し訳ないです」 

    出迎えた中年男性に夏彦が愛想笑い全開で応対する。五条はその後ろで噴き出しそうなのを堪えている。

    「来てくれないかと思ったが」
    「多忙な身でね、そちらは時間があるようでなによりですよ。すいませーん、車なんでジュースください!」
    「僕もー」

    五条はそう言うと勧められるまえにどっかりと座り、店員さんにジュースを要求する。
    車で来たと大嘘までついて早々に帰る気満々である。

    「家が遠いと移動が不便で困りますよ。朝も早いし」
    「だね、あちこち飛び回る関係もあるしね」

    二人はそうそうに苦情同然の会話を二人で重ねる。それに対して男性陣は眉をひそめていたが・・・

    (なんで女の子がいるんだ・・・?)
    (知りませんよ、先生狙いじゃ?)

    それとは別に熱い視線を送っている人たちが。何故か知らないが若い女性が混ざっている。

  • 192二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:06:29

    これが噂のハニートラップというやつっスか?

  • 193二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:22:01

    二人は普段の接待やらなにやらとは違う雰囲気に少々戸惑っていた。
    本来なら自分達にもてなしやら見返りやらを求めるために時には居丈高に、時には腰を低くしている中年男性やら
    呪術界の上層部やらもなにやら困った様子でこちらを見ているからだ。

    (どーも相手もこの状況は望んでないっぽい?原因は・・・どうみても彼女達だよな)

    困惑する男性陣を他所に女性陣は今にも黄色い声を上げそうな雰囲気だ。

    「えっと、その・・・そちらのお嬢さんたちは?」

    夏彦が状況を打開すべく話題を振った。苦笑が隠せていなかったがそんなことはお構いなしと言わんばかりに
    女性陣は顔を見合わせて嬉しそうにしていた。

    「私達、お二人の事が気になってて!」
    「あの、お二人が呪術界で一番強い人って本当ですか?!」
    「!?」
    「あー、そうだねー、僕たちは最強だからね」
    (こんな時だけ僕まで最強にしないでくださいよ!)
    (うるせー!僕だけでやってられないでしょーが!)

    五条がそう言うと女性陣はきゃーきゃー言い出した。夏彦は五条に耳打ちしたが五条は夏彦を巻き込む気満々である。

  • 194二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:24:54

    そろそろ埋まりそうなんで次スレ立てて、そっちを保守してもらって今日はおしまいにしましょうかね。

  • 195二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:26:36
  • 196二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:32:12

    >>194

    お疲れ様でした

  • 197二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:32:22

    埋め

  • 198二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:32:46

    リクエストでもええんやでー?

  • 199二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:33:14

    200なら酔っ払った五条を介護する夏彦

  • 200二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:33:28

    200!

オススメ

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