- 1二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:35:24
- 2二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:35:40
このスレは2スレ目になります
以下の前スレの続きですので、そちらから読んでください
【SS】閉ざされた大地【独自設定・妄想あり】|あにまん掲示板【注意】独自設定・独自解釈・妄想で補完した烙印ストーリーになります公式からストーリーが公開される前に脳内設定を供養しようとおもいます公式からの情報や個人の考えを否定する意図は一切ありません大筋ではカー…bbs.animanch.com本編は次からです
- 3二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:37:27
side:フェリジット
本当に、馬鹿げてる。
自分で言うのも何だが、ウチはそこそこ裕福な家だった。
だった――そう、過去形だ。
当たり前だが獣人の国の中にも貧富の差は当然あり、上層には当然のように権力者が集まる。
土地の所有者、警備兵の雇い主、食料や嗜好品を取り扱う商会の主。
全体の一握りの、それでも枚挙に暇がない有力者達。
その全員が善良とは限らないし、常に互いの隙を伺い足を引き合う。
自然界でも社交界でも弱肉強食は変わらない。
なら、こうして売られても、命があるだけマシなのかな、なんて納得しようとして。
「……リズ姉?」
見上げてくる妹を見て、決心した。
馬鹿げてる。
本当に馬鹿げてる。
だから、誰かに食い物にされるくらいなら。
こっちが喰う側になってやる。
それで、『泥棒猫』とか呼ばれるようになってからしばらくして。
路地裏で、アイツ等と出会ったの。 - 4二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:37:54
side:ルガル
なんで、
なんで、こんな、
今日は息子の誕生日で。
久々に出稼ぎから帰れて。
彼等だった、仮面と刃物の化け物に襲われて。
逃げようとしたら村の奴ら全員化け物で。
受け入れようと、しょうがねえと思ったのに。
こんな理不尽の、元凶を知りたい。
そう思って、気がついたら自分だけが立ってて。
隣の街に助けを求めて、村に帰ったら元の姿のあいつら転がってて
叫びながら逃げて、いつの間にか追われる立場で。
『同胞殺し』とか呼ばれても。
それでもコソコソと、手掛かりだけでもと。
追手から逃げる途中で、アイツ等と出会った。 - 5二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:38:31
side:シュライグ
この世は、慈悲深いなと思う。
なんだかんだで、『羽なし』の自分もこれまで生きている。
それに、石を投げてくる彼等は何故か怯えた目でこちらを見ている。
曰く、片方しか翼が無い自分は『不吉』らしい。
自分より明らに強者である彼等は、何かを恐れている。
なら。
無抵抗でいれば、彼等は安心できる。
それで、今日も生きて行ける。
今日は路地裏で殴られた。
痛いのは嫌いだが、以前避けようとした後に一晩雨晒しにされたから。
蹲る自分を見下し、満足して帰って行く彼等を見送る。
血まみれで、平衡感覚も曖昧だけど。
それでも夜までに帰らなければ、食事を抜かれてしまう。
それも、もういいかな、なんて。
目を閉じようとした時、アイツ等と出会ったんだ。 - 6二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:39:33
「……誰か居るの?って、うわっ、あんた、生きる?」
痛みに蹲り意識を手放そうとしたシュライグを、覗き込むように誰かが声をかける。
「……ああ、まだ、生きてるみたいだ……」
「そいつは何より。頼むから大声ださないでね」
声をかけた獣人の女性――フェリジットは興味を失ったように壁に寄りかかり、手に持っていた袋から果物を一つ取り出す。
「……はぁ、この街も潮時だね。大きな街は物も多いけど警備が厳重だわ……って、何見てるの、あげないわよ。」
「……」
無言で視線を逸らすシュライグに、フェリジットはムッとして近寄る。
「あんた、欲しいならせめて言うぐらいはしなさいよ」
「え?」
理不尽な内容の説教に、シュライグは驚いて顔をあげ、近くまで来た彼女の顔を凝視する。 - 7二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:44:24
「だいたいなに?なんでそんなボロボロなの?よく見たら痩せ過ぎだし……あーやだやだ。その手のヤツか、あー!!」
フェリジットは頭を掻き、シュライグの胸ぐらを掴む。
「本っっっ当に嫌だわ、あんたみたいな意気地なし!!」
シュライグは突然の出来事に目を見開き、そこで初めて相手が自分を直視して感情を剥き出しにしていることに気付く。
何に怒っているのかは相変わらず理解できないけど。
「何か、気を損ねてしまったなら済まな……」
「だから!!」
謝ろうとして、遮られる。 - 8二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 07:46:39
「自分が悪くもないのに謝らないで!!怒りなさいよ!あんた今、凄い理不尽な目に遭ってるのよ!?」
「……。」
「抵抗しなさいよ!反撃しなさいよ!じゃなきゃせめて……」
フェリジットは膝から崩れ落ち、泣きながら怒鳴り続けようとして。
「あー、嬢ちゃん、そのへんにしとけよ。」
隠れて見守って居たルガルが、バツが悪そうな顔で出てくる。
「……あんた、手配書で見たことあるわ。」
「おう、俺も嬢ちゃんのこと見たぜ。」
ニッと笑うルガルを睨み返すフェリジット。 - 9二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:31:41
保守
- 10二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:32:12
もう少し書き溜めます
- 11二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 20:28:48
保守
- 12二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 07:24:35
前スレよりだけどキット編無いんですね
- 13二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 13:05:35
- 14二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 20:37:04
保守
- 15二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 22:03:40
なるほどスピンオフ…返信ありがとうございます
- 16二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 07:19:42
保守
- 17二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 12:59:14
保守
- 18二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 20:39:16
ほす
- 19二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 07:22:40
保守
- 20二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 07:29:39
「それが何?別にわたしは自分が生きるためにやってることだから。」
「俺だって、……いや。それで、盗人が他人に説教か?」
「あんただって、他人に何か言える立場じゃないでしょ?」
言い争う2人を見て、シュライグが声を上げる。
「……大声出して大丈夫なのか?」
睨み合っていた2人は目を丸くしてシュライグを見る。
この発言は、後々まで「なんか抜けてて放っておけなかった」と語られる事になるのだった。 - 21二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 13:04:16
保守
- 22二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 23:17:38
保守
- 23二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 07:13:35
保守
- 24二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 12:57:47
保守
- 25二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 20:39:07
保守
- 26二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 07:23:46
保守
- 27二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 12:55:02
保守
- 28二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 20:33:54
保守
- 29二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 04:59:10
保守
- 30二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 15:39:57
保守
- 31二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 20:47:15
保守
- 32二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 07:26:12
「私は師匠を探さなくてはならないので案内はここまでです。この山を真っ直ぐ上に登ってください。」
しばらく歩いた後、莫邪は立ち止まり振り返る。
「真っ直ぐですか?」
「はい。アルバス殿なら飛べるので、その方が早いです。私も後で行きますので。
……そうです、氷水の子にエジルという子がいます。少し人見知りな子ですがとてもいい子なので、どうかよろしくお願いします。」
頭を下げ、走り去る莫邪に、手を振り見送るエクレシア達。
「ありがとうございましたー!!……さて。」
アルバスは姿勢を低くして、エクレシアに背に乗るように促す。
「ありがとうございます……、っと、ええ、よろしくお願いします。」
背に乗ったエクレシアは、今度は首に抱きつく。
アルバスは山頂を見据え、大きく羽ばたいて地を蹴った。 - 33二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 07:27:00
「わっ!!凄いですよアルバス!!」
山頂を見下ろせる高さまで飛び、空中に留まったアルバスと、その背から霊峰を見下ろすエクレシア。
霊峰の頂点は大きく窪み、水が溜まり湖のようになっている。
水は澄んでいるが底は見えないほど深い。
その縁の僅かな岩を目指し、アルバスはゆっくりと降下する。
近づくと青い人影がこちらを見ながら近づいてくる。 - 34二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 09:30:44
「……何者?」
声や体型から推測するに恐らく女性であろう人影は、アルバスを少し見上げながら首を傾げる。
エクレシアは背から降り、頭を下げる。
「えっと、はじめまして。私はエクレシアです。彼はアルバスです。」
「ん、よろしく。ワタシはアクティ。……ここに来たって事は承影様に認められた?」
「……はい、えっと、」
「大丈夫。ここは招かれないと入れないから。……妖眼の妹?だよね、付いて来て。」
アクティは当たり前の様に水面を歩く。
エクレシア達は恐る恐る一歩踏み出し、
「……っ、わっ、立てました!!凄いです、ほらアルバスも……えっ、」
少し歩いて、水中に飲み込まれてしまう。 - 35二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 19:16:30
アルバスは一瞬固まった後、躊躇なく自分も水中に飛び込みエクレシアを追う。
飛び込む直前、アクティの姿が無かった気がするが、それどころではない。
呼吸を止め、水中で目を開き――そこは水中では無かった。
空気はある。
空間には水の様なものが漂っていて、上から光が降り注いでいる。
「アルバス!こっちです!!」
呼ばれた方を向くと、空中に浮かぶ水の球に乗るエクレシアがいた。 - 36二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 22:15:20
アルバスは文字通り飛ぶようにエクレシアの元に向かい、その様子を伺う。
「ええ、大丈夫です。……落ちてすぐに足場に乗れたので。」
「このまま下に向かう。」
振り返るとそこには同じく水の球を足場にするアクティがいた。
「アルバス、そっちに乗ってもいいでしょうか?……ありがとうございます。」
エクレシアはアルバスの背に乗り移り、器用に足場を飛び移るアクティについて下を目指す。 - 37二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 07:22:52
保守
- 38二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 13:04:50
保守
- 39二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 20:48:22
保守
- 40二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 07:10:19
保守
- 41二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 13:02:53
保守
- 42二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 20:46:32
保守
- 43二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 01:44:29
このレスは削除されています
- 44二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 07:25:25
保守
- 45二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 12:56:09
ほしゅ
- 46二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 20:07:13
「あの方がここを統べる氷水帝様。」
円盤の一つに着地したアルバス達にアクティが説明する。
降り注ぐ水を避けながら底へ向かうと、女性はこちらを見ないで話しはじめた。
「ようこそ。ここは我々氷水の根源、イニオン・クレイドル。私はコスモクロアです。」
見惚れていたエクレシアがハッとして頭を下げ、アルバスもそれに続く。
「し、失礼しました!エクレシアです。こっちはアルバスです。」
コスモクロアはゆっくりと頷く。
「こちらこそ、歩くことすらままならぬ身での不格好をお許しください。」 - 47二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 20:10:58
コスモクロアはゆっくりとエクレシア達の方を向く。
「繰り返しになりますが、ようこそおいで下さいました。……お待ちしていましたよ。」
「……待っていた?」
エクレシアは首を傾げる。
「ええ。……少し長話になります。」
「……はい。」
「そう遠く無い未来、大きな争いが起こります。、それに際してここは滅びるでしょう。」 - 48二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 20:14:07
「え?」
「私ももう長くはありません。この身体も氷水に還るでしょう」
「……」
受け入れたように語るコスモクロアを、不思議そうに見る2人。
「どうしてこんな話をするか不思議ですか?」
「……はい。」
「これから、貴女達には様々な苦難が訪れます。その先を目指す若い世代に助言をという老婆心だとでも思ってください。」
コスモクロアの話は続き、2人は真剣な顔でそれを聞く。
「我々氷水はここから生じ、個々として生活します。その後この黒い部分が身体にゆっくりと広がって、全身が覆われるとまたここに還るのです。」
「それじゃあ……」
ゆっくりと腕を上げたコスモクロアの全身は、そのほとんどが黒色のに覆われていた。
「最初は水に近い身体がゆっくりと凍り、動かしにくくなるのです。」
「……辛くはないのですか?」 - 49二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 20:20:51
悲しそうに問うエクレシアに、微笑みながらコスモクロアは答える。
「ええ。水とは流転するものです。その過程でどのような形を取ろうとも本質は変わりません。」
「……」
「たとえここが滅んでも水は流れ、何処かに溜まり、気に混じって空へと上り、雨となって何処かへと巡る。そういうものなのです。
……それに、」
コスモクロアは視線を動かす。
「託すべき次の世代もいます。」 - 50二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 20:21:48
彼女が視線を向けた先に、物陰からこちらの様子を伺う小さな少女がいた。
「彼女はエジル……ほら、こっちに来て挨拶なさい。」
呼ばれた少女は、しかし身を隠してしまう。 - 51二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 07:14:40
保守
- 52二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 11:36:35
保守
- 53二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 20:34:09
保守
- 54二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 07:10:29
保守
- 55二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 11:23:51
保守
- 56二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 20:23:10
保守
- 57二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 08:04:06
保守
- 58二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 19:27:18
保守
- 59二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 21:00:54
ほしゅ
- 60二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 07:35:25
保守
- 61二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 15:13:19
保守
- 62二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 21:42:48
保守
- 63二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 07:20:27
保守
- 64二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 11:26:07
保守
- 65二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 20:16:54
保守
- 66二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:22:54
しばらくの間、エジルの逃げ隠れた先を見つめていたエクレシアだったが、一度頷きアルバスと視線を交わす。
「あの、アルバス。」
アルバスは目を細めて頷き、エクレシアはパッと笑顔になり、コスモクロアに向き直る。
コスモクロアも嬉しそうに笑って頷き、エクレシアも頷き返す。
「ええ、よろしくお願いします。」
「はいっ!!」
エクレシアは、エジルの隠れている元へ向かい、ゆっくりと歩き出す。 - 67二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 21:36:54
物陰に確かな気配を感じ、その前にしゃがみ込むエクレシア。
壁をコンコンと軽く叩き、優しい声で語りかける。
「……はじめまして。私はエクレシアです。どうぞ、よろしくお願いします。」
物陰から小さな手が覗き、片目が見えるぐらいまで顔を出すエジル。
エクレシアは優しく微笑み、しかしそれ以上動こうとしない。
「えくれしあ……?」
「ええ、そうです。……貴女のお名前を教えていただけますか?」
「……」
ゆっくりと壁から半身を出し、小さく頷くエジル。 - 68二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 07:23:03
保守
- 69二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 11:33:22
保守
- 70二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 20:38:28
保守
- 71二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 07:22:12
保守
- 72二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 11:23:51
保守
- 73二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 20:25:37
保守
- 74二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 07:20:08
保守
- 75二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 11:20:33
保守
- 76二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 20:33:23
保守
- 77二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 07:20:04
保守
- 78二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 11:22:24
保守
- 79二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 20:54:27
保守
- 80二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 08:08:57
保守
- 81二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 13:45:16
「……えじる。」
「素敵な名前です。……莫邪が言っていました。とても優しい子なのだと。」
「ばくや、しってるの……?」
隠れていたエジルが、怯えながらもエクレシアに近づいて来る。
エクレシアはその場に膝をつき、エジルに目線を合わせる。
「ええ。ここに辿り着くまでにお世話になりました。後で彼女も来ると言っていましたよ。」
「ほんと?ばくやの、ともだち……?」
エクレシアは少し困った顔をしながら、右手を差し出す。
「どうなのでしょうか……。でも私は彼女とも、もちろん貴女とも友達になりたいと思っています。」
エジルは小さく頷いてからゆっくりと手を伸ばし、エクレシアの手を取った。 - 82二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 13:58:07
「……彼女は、とても優しい心の持ち主ですね。」
手を繋ぎながらこちらに戻ってくる2人を眺めながら、コスモクロアがアルバスに語りかける。
話題を振られた事に驚いたアルバスは、一瞬固まった後で強く頷く。
「なるほど、貴方にも……。そうですか。」
「彼の言葉がわかるのですか!?」
コロコロと笑うコスモクロアに、戻ってきたエクレシアは驚いたように尋ねる。
コスモクロアは首を横に振り、エジルを手招きする。
「……えくれしあ。」
「ええ、どうぞ。」
エクレシアの手を離れたエジルは、コスモクロアに駆け寄り足に抱きつく。 - 83二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 17:33:06
「おやおや。ふふ。……彼の『言葉』はわかりません。しかし、何かが動けば波紋が広がります。」
エジルの頭を撫でながら、コスモクロアは続ける。
「広がった波紋を受け、読み取るのはそこまで難しいことではありません。それは水の流れも同じです。」
「流れ……ですか?」
「ええ、水は基本的に溝に沿って上から下へと流れます。平らな地面でも微かな凹凸があり、それが見えれば行き先はある程度は絞れます。」
エクレシアは真面目な面持ちで、コスモクロアの話を聞く。
「ここまでの出来事、風向き、相手の目的……それらが示す未来も、読み取り予測できるものです。」
「未来……。じゃあ、」
何か言いかけたエクレシアを制止するコスモクロア。 - 84二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 20:02:29
「貴方は、人の姿に戻りたいですか?」
コスモクロアに見られたアルバスが、少し悩んでエクレシアを見る。
視線を受けたエクレシアは、どこか少し驚いた様子で彼を見返し、
「……ええ、どんな姿でも変わりませんよね。……え、そんな、えへへ、もう!!」
照れて頬を抑えにへっと笑い出す。
その様子を楽しそうに眺めていたコスモクロアが、どこかからかう様に尋ねる。
「……彼は何と?」
「えっ、……その、えっと……、要約すると『この姿は便利だけど、不便なこともある』と。……えへへ。」
少し顔が赤くなったエクレシアは、それでも喜びを隠せない。
……浮かれている彼女が、コスモクロアには内容が理解できていると気付くには、もう少し時間が必要だった。 - 85二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 07:44:30
保守
- 86二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 15:58:48
保守
- 87二次元好きの匿名さん24/08/11(日) 20:03:19
保守
- 88二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 07:32:12
保守
- 89二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 11:18:46
保守
- 90二次元好きの匿名さん24/08/12(月) 20:15:04
保守
- 91二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 08:03:09
保守
- 92二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 11:19:53
保守
- 93二次元好きの匿名さん24/08/13(火) 20:38:54
保守
- 94二次元好きの匿名さん24/08/14(水) 07:22:25
保守