- 1二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:15:46
- 2二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:17:02
待ってました!早速ロックバンド選ばれてて草生える
- 3スレ主24/11/02(土) 21:17:17
過去作
🎲よいこのSEEDおとぎ話『3匹の子豚』|あにまん掲示板「むかしむかし、あるところに3匹の子豚の兄弟がいました。長男はキラ、次男はアスラン、そして末っ子はシンという名前です。ある日、三兄弟はそれぞれ自分の家を建てて暮らす事になりました。理由はdice1d3…bbs.animanch.com🎲よいこのSEEDおとぎ話『人魚姫』【CP注意】|あにまん掲示板「むかしむかし、あるところにdice1d2=@1 (1)@ (1.カガリ 2.アスラン)という人魚のお姫様がいました。(※元ネタの都合上、アスカガ等CP要素が多く含まれる可能性大です。ご注意ください)bbs.animanch.com🎲よいこのSEEDむかしばなし『竹取物語』|あにまん掲示板「むかしむかし、あるところにdice2d47=@22 40 (62)@ の夫婦が暮らしていました。https://bbs.animanch.com/img/3462477/1bbs.animanch.com🎲よいこのSEEDおとぎ話『アラジンと魔法のランプ』|あにまん掲示板bbs.animanch.com🎲よいこのSEEDおとぎ話『白鳥の湖』【CP注意】|あにまん掲示板「むかしむかし、あるところにdice1d2=@1 (1)@ がいました。1.キラという心優しい王子様2ラクスという美しいお姫様(※元ネタやダイスの都合上、キララクやそれ以外のCP要素が含まれる可能性大…bbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:20:13
新作!!
前作みたくトンチキルートになるのか真面目なルートになるのか… - 5二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:21:49
わーい新作!と喜んでたらダイスで笑っちゃった
今回も楽しみです - 6二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:24:03
初手からロックバンドww
今回もダイスあらぶりすごくなりそうな予感・・・ - 7スレ主24/11/02(土) 21:25:18
- 8スレ主24/11/02(土) 21:28:42
- 9二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:29:06
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:30:58
リューとホーク姉妹とリデルってピンポイントで面白くなりそうなとこ引いたなぁ
- 11二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:32:09
アコード&ホーク姉妹ww
ダイスの偏りがww
でも他おとぎ話で出番多かった
アスランだのカガリだのまた当てなくてよかったですねww - 12スレ主24/11/02(土) 21:46:51
- 13二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:49:10
ダイス神「第二弾絶賛上映中」って宣伝しに来たのかな?>FREEDOM
- 14二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 22:02:47
違いキーボードを叩くメイリン
- 15二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:11:57
オルフェ主人公期待
しかし選出メンバーみんな赤いな髪 - 16スレ主24/11/03(日) 10:17:26
「ギターが遅れています!Aメロからやり直し!」
「オルフェ、今コードを間違えましたね?もう一度最初から!」
通しの練習をしても頻繁にリューの厳しい指摘が入って演奏が止まり、そのたびにオルフェは自分がバンドの足を引っ張っているのだと嫌でも実感してしまいます。
「あーあ。せっかくフェスに出場出来るってなったのに、このままじゃ誰かさんのせいで失敗しちゃうかもね〜?」
「ちょっとリデラード!そんな言い方ないでしょ!」
「何さ、本当の事言っただけじゃん」
あからさまな嫌味を言い始めたリデラードをすかさずルナマリアが窘めますが、反省の色は全く見えません。
オルフェが落ち込んでいる事を察したメイリンが、慌ててフォローに回ります。
「大丈夫だよ!まだフェスまで一ヶ月あるんだし、それまでいっぱい練習すればきっと上手くなるから!」
そのメイリンの励ましの言葉に、オルフェはぎこちなく笑って「そうだな、ありがとう」と返事をするのがやっとでした。 - 17二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 10:28:48
やっぱりホーク姉妹がフォローしてくれた
姉妹が選ばれてよかったなオルフェ - 18スレ主24/11/03(日) 12:11:38
その日、オルフェは練習が終わり他のメンバーが全員帰った後もスタジオに残って自主練を続け、スタジオの閉店と共に重い足取りで自宅へと帰りました。
「やはり私にはギターの才能がないのだろうか……もっと他に向いているものがあるのかもしれない…例えばdice1d3=2 (2) (1.宰相 2.パン屋 3.鬼殺隊)とか…」
そんな風に自虐しながら、オルフェは自宅でもギターの練習を続けます。
しかしいくら弾いても上達したという手応えが感じられず、いよいよオルフェは何故自分がこんな風に苦しい思いをしてまでギターを弾いているのか分からなくなってきました。
もう諦めて寝てしまおう、そう思ってギターをケースに仕舞おうとしたその時です。
トントン、と小さなノック音が聞こえ、オルフェはゆっくりと立ち上がって扉を開きます。
「……ああ、君か」
そこには、最近オルフェの家の近くに住み着くようになった三毛猫のdice1d47=12 (12) がいました。
(既出キャラの場合は+1)
- 19二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 12:23:51
- 20二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 12:32:55
あにまんオルフェパン焼きがちw
あとナタル猫は厳しそうですね…
できたらちゃんとほめてはくれそうですが - 21二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 17:29:03
厳しくも熱心に練習付き合ってくれそうではあるナタル猫
- 22スレ主24/11/03(日) 18:44:46
(パン屋オルフェスレ好きで選択肢に入れたけど…やっぱりオルフェはパン屋やった方が良いのでは?)
「む、今日の練習はもうおしまいなのか?いつもならまだ練習している時間だろうに」
すまし顔でそう聞いてくるナタルに、オルフェは「君には関係ないだろう」とぶっきらぼうに返します。
「随分と機嫌が悪いようだな…まあいい、手土産だ。これでも食べて落ち着くといい」
そう言ってナタルが差し出してきたのはオルフェが家庭菜園で育てているdice1d2=2 (2) (1.トマト 2.薔薇)でした。当然オルフェは怒ります。
「何が手土産だ!これは私の畑で育てているものじゃないか!この泥棒猫め!」
「猫だけに泥棒猫呼ばわりとは安直だな」
「やかましいわ!とにかく出て行ってくれ、私はもう寝る!」
肩を怒らせて寝室へと向かおうとするオルフェをナタルは呼び止めます。
「待て、本当に寝るのか?練習はどうした?」
「もうやめだ。どれだけ練習したって上手くならないならやるだけ時間の無駄だろう」
オルフェがそう吐き捨てると、ナタルは軽やかな動きでオルフェの前に降り立ってdice1d2=1 (1)
1.強烈な猫パンチをお見舞いしました。
2.「寝る前に一曲弾いて聴かせてくれないか?」とお願いしました。
- 23二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 18:47:35
華麗なる猫パンチwww
- 24スレ主24/11/03(日) 23:04:59
「グフゥ!?」
猫の全力パンチは意外と威力があります。それを顔面にモロに食らったオルフェは堪らずよろけますが、そんな彼をナタルは厳しく叱責します。
「何を腑抜けた事を言っている!練習が上手くいかないからと不貞腐れて投げ出すなんて子供のする事だぞ!」
「な、なんだと!?猫の癖に一丁前に説教なんて──」
「くどい!!」
「ギャンッ!?」
二発目の猫パンチが再びオルフェの顔面にクリーンヒットしました。
「に、二度もぶったな!?母上にもぶたれた事ないのに!」
「大先輩の台詞をパクる暇があったらさっさと練習を再開しろ!」
ナタルはそう言うと机の上に移動して、そこに腰を下ろします。
「練習は続ける事に意味があるんだ。モチベーションが上がらないなら、私が観客になってやるから本番のつもりで演奏してみるといい」
「くそっ、猫のくせに生意気な…!」
「いいから早く弾かないか。こっちは毎晩君のギターの音をBGMにして寝ているんだ、もう今ではそれ無しでは眠れないんだよ」
恐らくオルフェがギターを弾くまでそこから動く気はないのでしょう。机の上を陣取り、まるで催促するかのように尻尾をペシペシとさせるナタルを悔しそうに睨みつけていたオルフェでしたが、やがて観念したようにため息をついてギターを手に取りました。
「…何かリクエストはあるか?」
「そうだな…ではdice1d3=1 (1) (1. シューマンのトロメライ 2.あんなに一緒だったのに 3.Distance)をお願いしよう」
- 25二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 08:23:29
なかなかいいところチョイスしてくるなナタル猫
- 26スレ主24/11/04(月) 09:07:29
- 27二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 09:42:02
おお!覚醒している!
- 28二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 09:48:22
クラシックギターで弾いた動画見てきたけど凄くノスタルジックというか情感たっぷりで良い選曲の演奏だった
- 29スレ主24/11/04(月) 17:34:24
「ほう、なかなか上手いじゃないか」
ナタルが感心したように賛辞の言葉を送りますが、当のオルフェはというと初めて感じた手応えにdice1d2=1 (1) (1.感動 2.困惑)していました。
「もしかしたら君はクラシック方面の才能があるのかもしれないな」
「私が所属しているのはロックバンドなんだが…?今度フェスで披露するのもT.M.Revolutionの曲だし…」
「細かい事は気にするな。何はともあれ、上手く弾けたという実績が生まれたことは事実だ。良い演奏を聴けた事だし、私はこれで失礼するよ」
今晩はいい夢を見れそうだ、とナタルは上機嫌で帰っていきます。
そんなナタルにオルフェはdice1d2=2 (2) (1.ああ、おやすみ 2.もう来なくていいからな!)と声を掛け、今度こそギターをしまって寝室へと向かいました。
- 30スレ主24/11/04(月) 22:46:01
ナタルに練習に付き合って貰った(?)翌日、オルフェはまたスタジオでバンドメンバーとの練習の後自主練を行なってから帰宅しました。
昨晩の演奏は中々の出来だったものの、肝心のフェスで披露する予定のFREEDOMの完成度は未だ低く相変わらずリューに怒られてばかりの1日でした。
帰宅するなりオルフェは早速ギターの練習に取り掛かります。
昨晩の演奏の影響なのか普段よりも集中力が続き、夢中でギターを鳴らしているうちに気付けば時刻は午前2時を回っていました。
そろそろ寝るかとオルフェが考えたその時、屋根裏から何やら物音が聞こえました。
「また来たのか?もう来なくて良いと言っただろう!」
どうせナタルだろうと決めつけて屋根裏に向かって怒鳴ると、天井の穴から何かが落ちてきてオルフェは思わず飛び上がって驚きました。
「なっ、なんだ!?」
穴から落ちてきた"何か"は小さく羽ばたいて難なく床へと着地します。
それはナタルではなく、一羽のかっこう……dice1d47=15 (15) でした。
- 31二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 10:48:35
サイか…どうなるんだこりゃ?
- 32二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 13:16:39
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 20:23:18
またロックバンドと関係ない曲のリクエスト来たな
- 34スレ主24/11/05(火) 21:30:18
ゆっくりとしたテンポでドレミの歌を弾きながらオルフェはぼやきます。
「なんでどいつもこいつもロックバンドが演奏しないような曲ばかり要求してくるんだ…」
「まあまあ、何事も基礎からと言うじゃないか」
「ところで…」と、不意にサイがオルフェのギターをじっと見つめながら切り出します。
「そのドレミの歌、音階がおかしくないか?」
「え?」
「ドがドじゃなくてレになってる。ドはこっちだろう」
そう言ってギターに近付いたサイの嘴が弦を弾きました。
「ほら、ここから1音ずつ上げていけば正しい音階になるはずだ」
「そ、そうか。ありがとう」
「じゃあもう一度最初から弾いてみてくれ。今度は俺も一緒に歌わせてもらうからさ」
「…これじゃあどっちが教わっているのか分からないな」
思わず苦笑をもらしながら、オルフェはサイに言われた通りの音階からドレミの歌を再度演奏しました。
するとどうでしょう、今までどこか違和感のあったオルフェの演奏が、綺麗なメロディーへと変わっているではありせんか!
何が原因かまでは分かりませんが、どうやらオルフェは知らず知らずのうちにズレた音階を覚え、それが手癖になってしまっていたようです。
どうりでいくら練習しても上手くならないわけだと心の冷静な部分で納得しながらオルフェは正しいメロディーでドレミの歌を奏で、それに合わせてサイは楽しそうに歌っていました。 - 35スレ主24/11/05(火) 21:32:35
どれほどの時間そうしていたでしょう。夜が終わり、東の空が白み始めた頃になってついに眠気と腕が限界を迎えたオルフェはぱったりと演奏をやめてしまいました。それまで一睡もせずに延々とギターを弾いていたのだから当然と言えば当然です。
しかしサイはオルフェが手を止めた事が不満なようで、パタパタと羽ばたいてオルフェの腕へと止まります。
「どうして止めるんだ?俺はまだ歌えるぞ」
「君が良くても私が限界なんだ。頼むから少し寝かせてくれ…」
「だったらせめてあともう一回だけ弾いてくれないか?俺はじきにここを発つ。その前にお前のギターの音を覚えたいんだ」
「私より上手いギタリストなんていくらでもいるだろう?そいつに頼めばいいじゃないか」
「そんな事言わないでくれ!俺はオルフェのギターがいいんだ!」
眠気が限界な中でしつこく食い下がってくるサイにオルフェはついカッとなり「いい加減にしろ!」と怒鳴って力任せに腕を振り回しました。
オルフェの腕に止まっていたサイはたまらず振り落とされ、小さな体が床へと叩きつけられてしまいます。
「あっ…」
そこで我に返ったオルフェは慌ててサイを拾い上げようとしましたが、サイはdice1d2=2 (2) (1.悲しそうに 2.怒った様子で)オルフェを睨みつけ、そのまま開いた窓から勢いよく飛び立っていってしまいました。
オルフェは暫しの間呆然とサイが飛び立った空を見上げていましたが、やがて諦めたようにそっと窓を閉めてベッドへと倒れ込みました。
「……次あいつが来た時に謝ろう」
そう呟いて泥のように眠ったオルフェでしたが、次の日も、そのまた次の日も、サイがオルフェの前に姿を現す事はありませんでした。
- 36二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 06:17:59
このレスは削除されています
- 37スレ主24/11/06(水) 06:19:01
(ミスあったんで再レス)
サイに正しい音階を教えて貰った日から1週間が経過し、その間にオルフェのギターの腕前はメキメキと上達していきました。
その成長ぶりはリデラードが目を丸くするほどで、ホーク姉妹はまるで自分の事のように喜び、リューも驚きと共にその成長を賞賛しました。
しかし、オルフェの心の中ではサイの事が未だに引っかかっていました。
あの日以降、自宅での自主練メニューにドレミの歌が組み込まれるようになりました。
矯正された音階がまたズレてしまわない為の復習と、もうひとつ…この曲を弾いていたら、またサイが来るのではないかという淡い期待を抱いていたからです。
そしてこの日の夜もまたドレミの歌を弾いていると、不意にコンコンと家の扉が叩かれました。
サイが来たのだろうか?
そう思ったオルフェは急いで扉を開きましたが、そこにいたのはサイではなくdice1d2=1 (1) でした。
1.狸のdice1d47=44 (44)
2.西川貴教
- 38二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 08:00:27
ドア開けて仮面のおっさんは不審者でしかない
- 39二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 19:59:16
保守
- 40二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 01:45:58
たしかに
- 41二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 10:10:53
保守しつつ
どんな話が出来上がるか楽しみです - 42スレ主24/11/07(木) 13:05:03
保守ありがとうございます
仕事がバタバタしてて昨日は更新できず…一応今日の夜には続きを投下できる&完結までの流れはざっくりとですが考えてあるので(ダイスで破壊される可能性あり)、どうかもう少しだけお待ちください
あとついでに上のダイスで西川ニキ引いてたら消臭力かHOTLIMIT歌って帰ってもらう予定でした - 43二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 00:15:12
保守
セロ弾きのゴーシュって原作に触れたことがなかったからこのスレが終わったら読んでみようかな - 44スレ主24/11/08(金) 05:57:13
ぐええ寝落ちしてた…
今日の夜こそは続き投下します!すみません! - 45スレ主24/11/08(金) 12:31:32
セルフ保守
- 46スレ主24/11/08(金) 19:53:13
(大変長らくお待たせしました…この件につきましては冨岡義勇が腹を切ってお詫びいたします)
「はじめましてだな人の業その2!」
「うわっ!なんだこの狸……狸、だよな?」
「面白い事を言う男だね。どこからどう見ても狸だろう?」
変な仮面をつけた狸にオルフェがビビっていると、狸改めクルーゼは我が物顔で家の中へと入ってきます。
「あっ、こら勝手に入るな!」
「そんな硬い事を言わないでくれ。君と私の仲じゃないか」
「初対面だが!?」
「共にSEEDシリーズのラスボスを務めただろう」
「そんなうっすい繋がりで知り合い面するな!くそ、なんて図々しい狸だ…!」
ここは心を鬼にして狸汁にしてやるとでも脅して無理矢理追い出すか、とオルフェが考えている最中にクルーゼが本題を切り出しました。
「今日ここを訪れたのは他でもない、君に私のdice1d2=1 (1) (1.小太鼓 2.ドラム)の練習に付き合ってもらうために来たのだよ」
- 47二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:56:45
脅したところで嘲りながら居座るだろうと簡単に想像がつく
- 48スレ主24/11/09(土) 06:15:12
「小太鼓だと?狸なら太鼓なんて叩かなくてもそのお腹をポンポコ鳴らせばいいだろう」
「狸にそんなイメージを抱いているのは日本人くらいなものなのだがね」
オルフェの小馬鹿にしたような言葉を気にする様子もなく、むしろやれやれと言わんばかりの態度を見せるクルーゼにオルフェは苛立ちが募ります。
「そもそも、練習に付き合うと言っても私に出来ることなんてないだろう。もっと他に適任がいるはずだ」
「そんな事はないさ。君は夜な夜ないろんな動物に音楽を聴かせてやっていると森でももっぱらの噂だよ」
「別に君達の為に演奏しているわけじゃ…」
「取り敢えず、君はこの楽譜の通りに曲を弾いてくれ。私はそれに合わせて太鼓を叩くとしよう」
そう言って、クルーゼは楽譜が書かれた大きな葉っぱをオルフェに差し出します。それを受け取っさて読んでみると、どうやらそれはdice1d3=2 (2) (1.静かな夜に 2.Quiet Night C.E.73 3.去り際のロマンティクス)の楽譜のようでした。
そのまま突き返して追い払おうとしたオルフェでしたが、ふとある事を思いついてクルーゼへと向き直ります。
「おい狸。君の言う通り練習に付き合ってやってもいいが、その代わり条件がある。私の質問に一つ答えて欲しい」
「ほう、何かね?」
「サイという名のかっこうを知っているか?彼に会いたいんだ」
オルフェの問いにクルーゼは笑みを消して「ふむ…」と少し考え込んでから再び口を開きました。
「…そのサイとかいう個体の事は知らないが、かっこうは今頃どこの群れも越冬の準備で忙しくしているよ。例年通りなら恐らく来月の頭にはこの地を離れるだろうね」
- 49二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 16:33:05
保守
- 50スレ主24/11/09(土) 23:33:47
クルーゼの答えにオルフェは短く「…そうか」とだけ返し、葉っぱに書かれた楽譜をもとにQuiet Night C.E.73を弾き始めました。
「おや、いいのかね?」
「約束は約束だからな。勿論お望みでないようなら今すぐにでもやめるが…」
「私が聞いているのはそういう事ではない。わざわざ条件にまでして知ろうとしていた割には随分と簡単に引き下がるのが少々不可解でね……何より君は会いたいと言っただろう?」
要するにサイの事を探す気がないのかと聞いているのでしょう。仮面越しのクルーゼの視線が少し痛くて、オルフェは居心地悪そうにそっぽを向きます。
「…別に、あのままだと少しばかり寝覚が悪いからダメ元で聞いてみただけだ。越冬の準備が忙しいなら私が出向いた所で却って迷惑だろうしな」
「ハハハ!存外面倒臭い男だな君は!」
「っうるさい!練習するつもりがないならさっさと出ていけ!」
顔を赤くしたオルフェが怒鳴り、ようやくクルーゼは持参した小太鼓を置いてギターの音に合わせてリズム良く叩き始めました。
「人の業!人の業!」ポンッ ポンッ
「(掛け声がうるさい……)」
- 51二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 09:32:09
掛け声w
- 52二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 09:49:36
やだよ練習でもこんなセッションするの
- 53二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 14:36:45
このレスは削除されています
- 54二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:48:47
ラクーンドッグ見ただけに…調子狂うぜってか
- 55スレ主24/11/11(月) 06:08:50
- 56スレ主24/11/11(月) 06:10:00
- 57二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 16:44:38
保守がてら
🎲神がアコード三昧をお望みのようで - 58二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 16:49:54
コノエお父さんとその子供ってことなんかなww
アコード率高くて笑う
しかし時折太鼓もってくる仮面タヌキはなんかうん・・・ - 59二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 01:03:44
残り少ないアコード組に出番はあるのか
- 60スレ主24/11/12(火) 05:59:48
「いやはや、夜分遅くにすみませんね」
「……どーも」
いかにも社交辞令といった風の会釈をするコノエとダニエルに、オルフェは慣れた様子で「要件は?」と聞きました。
「いやね、dice1d2=2 (2) (1.どうもうちの倅の塩梅が悪いんですよ 2.恥ずかしい話ですが歳のせいで腰をやりまして)だから先生に治療をお願いしたくてね」
コノエの無茶振りに流石のオルフェも頭を抱えます。
「勘弁してくれ……私は獣医になった覚えはないぞ。病気を治してもらいたいならドクター・ドリトルかブラックジャックを訪ねるんだな」
「今の若い子はドリトル先生なんて知ってるんですかねえ?」
「い、一応2020年にも映画やってるから(震え声)…というかそもそもの話、どうして私の所に来たんだ」
「おや、先生はご存知ないんです?」
意外そうに目を丸くしたコノエ曰く、森に住む小動物達は具合が悪くなるとオルフェの家の床下に忍び込んで体を休めるのが当たり前になっているそうです。
恐らくオルフェの弾くギターの音が響き、それが按摩のような効果を発揮しているのでは…という事のようですが、自分の知らぬ間に動物達の間でそんな療法が確立されていた事にオルフェは驚きと呆れの混じった複雑な感情を抱いていました。
- 61二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 15:12:37
ジェ…いやそう判断するにはまだ早いか…
- 62スレ主24/11/12(火) 15:13:10
「…まあとにかく、弾くだけで良いというなら私は別に構わないが」
オルフェはそう言ってコノエをひょいと摘み上げると、ギターの穴の中に放り込みました。するとダニエルもそれに続くように穴の中へと入って行きます。
「なんだ、君もどこか悪いのか?」
「いや、俺はただの好奇心」
ある意味子供らしいと言えるダニエルの返答に苦笑しながら、オルフェは練習を再開しました。
床越しですら按摩代わりになる振動をギターの中から直接受けるとなると、その効果は絶大でしょう。
コノエは「ああ、こりゃあいい。極楽だ」と気持ちよさそうにしていましたが、健康体のダニエルにとってはただの大きな揺れでしかなかったようで「知らないよ!こんな楽器!!」と悲鳴をあげていました。 - 63スレ主24/11/13(水) 00:06:38
好奇心は猫をも殺すとはまさにこの事ですね。今回死にかけているのはネズミですが。
曲が終わると同時に、ギターの穴からぴょこんとコノエが飛び出して来ました。ダニエルも若干ふらつきながらそれに続きます。
「いやあ、おかげですっかり良くなりましたよ。やっぱり先生に頼んで正解でした」
「頼むからその先生というのはやめてくれ。私はただのしがないギタリストで、先生なんて呼ばれるほど立派な人間じゃない」
「謙遜もここまで来ると欠点だなぁ」
やれやれとコノエが肩をすくめました。
「先生はまだ若いんだし、もう少しくらい自己肯定感を高くしてもバチは当たらんと思いますがね……ま、何はともあれ先生が恩人である事には変わりありませんし、この恩はいずれ何らかの形で返させて頂きますよ」
「つっても俺ら所詮ネズミだし、出来る事は限られてるけどね…」
人の卑屈さを心配をするより自分の息子の方を気にするべきじゃないのか?というツッコミは心の中に留め、オルフェは「期待しないでおくよ」と小さく笑いながら答えました。
- 64スレ主24/11/13(水) 06:21:52
その日から、夜な夜なオルフェの家を訪ねる常連客にネズミの親子が加わりました。
気まぐれに訪ねてはオルフェの演奏を聴いたり、自分達も持参した楽器を弾いてみたり、他愛のない世間話を振ってきたり……そんな彼らの相手をする事がオルフェの日課となっていましたがその中にサイの姿はなく、それがオルフェの中で小さな蟠りとなってずっと心に引っかかっていました。
しかしそんなオルフェの心境などお構いなしに時間は流れていき、そして──dice1d2=2 (2)
1.ついにフェスの本番の日がやってきました。
2.フェスを翌日に控えた日に事件は起きました。
- 65スレ主24/11/13(水) 06:22:09
あっ…
- 66二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 12:22:40
- 67スレ主24/11/13(水) 20:40:31
(ダイス神はトンチキルートをご所望のようで…)
「大変です!」
フェス会場でオルフェ達がリハーサルの準備をしていると、別室で運営スタッフと打ち合わせをしていたはずのリューが慌てた様子で飛んで来ました。
ルナマリアが目を丸くしてどうしたのかと聞くと、なんとフェスの目玉として呼ばれていた有名バンドが、突然dice1d2=1 (1) (1.音楽の方向性の違いにより解散 2.メンバーが不祥事を起こして無期限の活動休止)を発表したというのです。
「え、ちょっと待って…それってつまり、明日のフェスには……」
「…つい先程バンドの所属事務所から運営スタッフの方に連絡が入ったらしいのですが…やはり、明日の出演はキャンセルになると……」
「「「えええーっ!?」」」
ルナマリア、メイリン、リデラード、そしてオルフェの絶叫が同時に響き渡りました。
- 68二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 21:11:51
おいリデルwwwww
- 69スレ主24/11/14(木) 06:16:15
- 70二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 13:36:24
逆にこのメンバーで今まで解散してないことが奇跡だな
- 71二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 13:42:21
- 72二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 17:36:32
- 73二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 17:41:28
既出キャラ+1だけど
36~38までは出てるから
36と37のダイスは
39,40になるんかな?
仲良くバンドやってるイメージができんけどww
なんだろうなこの双子かかわっててそれが原因でもめて解散になったみたいなチーム - 74二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 19:58:55
39と46の暴走によって空中分解した感がする…
- 75スレ主24/11/14(木) 21:39:34
(多分エリカさんが緩衝材になってたんやろなぁ…)
「あのバンドにトップバッターで演奏して会場盛り上げてもらうって予定だったわよね?どうやって穴埋めするつもりなの!?」
「一応運営側で緊急の募集をかけてみるとは言っていましたが…」
「今から募集なんてかけたって来るわけないじゃん!本番明日なのに!」
「初めて大きな舞台に立てると思って今まで頑張って練習してきたのに…一体どうなっちゃうの…?」
リュー達の会話を聞いて、同じくリハーサルに参加していた他のバンドチームにもざわめきが拡がっていきます。
本番を前日に控えたこのタイミングでのトラブル。この窮地を乗り越えるために何か自分に出来る事はないだろうかとオルフェは思考を巡らせ──そして、一つの案が頭に浮かびました。
ほとんど衝動的にオルフェは立ち上がり、そのまま走り出します。
「オルフェ!?どこに行くんです!?」
驚いて声を上げたリューに、オルフェは立ち止まる事なく声をかけます。
「リュー!運営スタッフに伝えておいてくれ!」
無茶苦茶な事をしようとしている自覚はもちろんあります。
けど、このまま何もせず明日最悪の結果を迎えてしまったら?
明日の為に今まで必死に練習してきた仲間達や他のバンドチーム、そしてフェスに来てくれる人達全員が悲しむ事になってしまったら?
きっとオルフェは一生後悔する事になるでしょう。
だったら、無茶苦茶でもなんでもやるだけやった方がまだマシというのが、オルフェの考え方でした。
「明日集まれる連中に心当たりがある!花形は到底務まらないだろうが、前座くらいにはなるはずだ!」 - 76二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 08:31:25
保守!
- 77スレ主24/11/15(金) 12:27:10
大急ぎで自宅に戻ったオルフェは、脇目も振らずに庭の畑へと一直線に向かいそこにいたナタルへと声をかけました。
「やっぱりここにいたか」
「む、どうしたんだ?確かフェスがあるから今日明日は帰らないと言っていただろう」
「その予定だったが、そうも言ってられない事情が出来てな」
そう言うなりナタルの首根っこを掴み、真剣な表情で言葉を続けます。
「時間がないから手短に用件だけ言うぞ。君も何度か会っている、あの変な仮面をつけた狸と野ネズミの親子をここに呼んできてくれ。
それと──サイという名前の鳥の居場所を知っていたら教えて欲しい」 - 78二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:09:47
当日が楽しみだ
- 79スレ主24/11/16(土) 11:23:59
一方その頃、当のサイはと言うとようやく越冬の準備を終えて体を休めていました。
何もせずただぼんやりと過ごしていると、自然とあの時のオルフェとのやり取りを思い出してしまいます。
当時は怒ってオルフェの家を飛び出しましたが、一晩経って冷静になると流石にしつこく迫りすぎだったなとサイは自分の行動を反省していました。
もう一度赴いてちゃんと謝るべきだとは思っていたもののどうにも気まずくて二の足を踏んでいるうちに越冬の準備が本格化して忙しくなり、結局一度もオルフェに会えないまま時間ばかりが過ぎていきました。
今更謝りに行くのも何だか今更すぎる気がするし、何より明後日には越冬の為にこの地を離れて南へと渡らなければなりません。
そんな中でオルフェに会う勇気を、サイはどうしても持てずにいました。
「あの時俺が引き下がってれば、南に行く前にもう一度くらい演奏を聴きに行けてたんだろうな…」
思わずそう呟いた時、サイが止まっている木の近くの茂みがガサガサと揺れました。
狸が何かだろうか?そう思いながらそちらに視線を向けると、茂みが一層大きく揺れて中から金髪の青年が飛び出して来ました。
「──やっと見つけた!」
髪のあちこちに葉っぱをくっつけた金髪の青年……オルフェが肩で息をしながら木の枝に止まるサイを見上げてそう言いました。 - 80スレ主24/11/16(土) 21:22:54
「お前、なんでここに…」
「ナタルから聞いたんだ。うちに来た時に彼女に私の話を聞いたと言っていただろう?だからもしかしたら交流があるのかもしれないと思ってな」
確かにオルフェの言う通り、サイとナタルには以前から交流がありました。だからサイのいそうな場所も大方想像が出来たのでしょう。
オルフェはサイをじっと見つめた後……深々と頭を下げました。
「──あの時はすまなかった」
驚くサイをよそに、オルフェは謝罪の言葉を続けます。
「いくら苛立っていたとはいえ、私の演奏を好きだと言ってくれた君にしていい事ではなかった。今更なのは重々承知しているし、許しを乞うつもりもない。だが!今回だけ協力してほしい!君の力が必要なんだ!」
「お、おい!頭を上げてくれ!」
サイは慌てて木から飛び降り、頭を下げるオルフェの目の前に移動して彼の顔を見上げます。
「むしろ謝るのは俺の方だ。一晩中演奏したら疲れるのも当たり前なのに、そんな事にも気付かないで自分勝手にしつこく迫って……怒るのも当然だよな。ごめん」
「でもだからって手を上げていい理由には──」
「だからもういいって!オルフェは謝ったし俺も謝った!これでおあいこ!もうおしまい!
それより、俺に何か頼みたい事があるんだろう?一体なんなんだ?」
サイがそう言って強引に話題を変えると、オルフェは小さく笑ってサイに問いかけました。
「……一度、大きなステージで歌ってみたいと思わないか?」 - 81二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 23:15:28
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- 82スレ主24/11/16(土) 23:16:17
翌日、フェスの会場でリュー達はずっとソワソワしていました。
というのも昨日会場を飛び出したオルフェはその後『連中との話はついた。明日の本番までには戻るから心配しないでほしい』という旨のメッセージをバンドのグループラインに送り、リュー達の説明を求めるメッセージには今現在も既読が付いていない状態でした。
オルフェの言葉を信じてフェスの運営スタッフに代役のバンドを呼べると伝えはしましたが、本番の時間が刻一刻と近付くにつれて4人の焦りの気持ちも比例するように強くなっていきます。
「どうしようお姉ちゃん、もう本番始まっちゃうよ!?」
「分かってるわよ!ああもう、オルフェはまだなの!?」
「……ダメですね、通話にも出ません」
「最悪あたしらがMCやって時間稼ぐっきゃないかもねー…」
舞台袖から見える会場には既に多くの観客が集まっており、全員フェスの開幕を心待ちにしている様子でした。
どうしたものかと全員で顔を見合わせたその時、待ち侘びた声が4人の耳に届きます。
「すまない!遅くなった!」
「「「!!!」」」
息を切らしたオルフェの声にリュー達は一斉に声のした方を振り向き、そしてぎょっとします。
ギターケースを背負ったオルフェは、どういうわけかdice1d2=2 (2)
1.目の下に真っ黒な隈を作っていました。
2.ウサギの着ぐるみを着ていました。
- 83二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 09:43:24
自分から(動物の姿に)合わせに行くスタイル
- 84スレ主24/11/17(日) 13:57:20
「えっと……オルフェ、だよね?どうしたのその格好」
「こうした方がビジュアル面で奴らと調和が取れるからな。まあライブ衣装みたいなものだと思ってくれ」
「は?それってどういう…」
リデラードの言葉を遮るようにステージの方からけたたましいBGMが流れ、それに合わせて歓声が上がります。フェスが開催された合図です。
「始まったな…それじゃあ、行ってくる」
「ちょっとオルフェ!?」
オルフェはギターケースから愛用のギターを取り出し、事態を呑み込みきれていないメンバーの横を通り過ぎてステージへと飛び出しました。
突然ステージに現れたウサギの着ぐるみに観客は歓声を止め、困惑したようなざわめきが起こります。
しかしそんな事は予想の範囲内で、オルフェは落ち着いた様子で手に持ったマイクの電源を入れて観客へと語りかけました。
『皆様、本日はフェスにお越しくださりありがとうございます。まず皆様もご存じの事とは思いますが、本日フェスに出場する予定だった例のバンドチームは先日の解散宣言により、今回の出場を辞退いたしました。楽しみにしていた皆様には非常に残念な結果になった事を、ここにお詫びいたします』
そう言って頭を下げるウサギ(オルフェ)。気付けば会場は沈黙に包まれています。
『ですが!今回のフェスに出場する他のバンドチームも、皆今日のために必死で努力を積み重ねてきた、彼らに引けを取らない──否!彼らと同等の情熱を持ったミュージシャン達です!彼らの演奏は、きっと皆様の心を動かすでしょう!私が保証します!そんな彼らの演奏の前座を、僭越ながら我々が務めさせて頂きましょう!』
ウサギの着ぐるみ姿で、オルフェは堂々と宣言します。その光景だけを切り取って見ればただただ滑稽に見えますが、オルフェの言葉が、圧倒的な存在感が、滑稽さを打ち消して一種のカリスマ性のようなものすら感じさせていました。
舞台袖でハラハラしながらオルフェを見ていたリュー達も、今や固唾を飲んでオルフェのMCトークを見守っています。
(※この時のオルフェのイメージ画像↓) - 85二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 14:14:42
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- 86二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 14:15:26
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- 87ダイスミスにより連投すまぬ…24/11/17(日) 14:17:49
『──イカれたメンバーを紹介するぜ!!キーボード!親子のコンビネーション、コノエ&ダニエル!』
「やれやれ…確かに恩返しをするとは言ったが、なんともネズミ使いの荒い先生だ」
「別に楽しそうだしいいんじゃね?」
チョロリとキーボードの上へと駆け上る野ネズミの親子。
『ドラム!仮面がトレードマークのクルーゼ!』
「これが狸の望み!狸の夢!狸の希望!」
ドラムスティックを両手に持ち、高笑いと共に舞台袖でから現れる仮面をつけた狸。
『ボーカル!音楽を愛する渡り鳥、サイ!』
「大舞台とは聞いてたけど、まさかこんなにデカいとはなぁ…」
パタパタと羽を羽ばたかせ、スタンドマイクへと降り立つカッコウ。
『ベース!スパルタクーデレ三毛猫のナタル!』
「…私の説明だけなんだかおかしくないか?」
やや不服そうにしつつ観客席からヒョイとステージへと登るナタル。
『そしてギターはこの私!ただのしがないギタリスト、オルフェ・ラム・タオ!!』
全員の紹介を終え、オルフェはdice1d3=3 (3) (1.一晩かけて熟考した 2.ここに来る途中で考えた 3.ついさっき5秒で思いついた)バンド名を声高らかに叫びました。
『我ら!即興アニマルバンド、dice1d4=3 (3) !!』
1.Animal:CODE
2.獣FRIENDS
3.結束動物
4.放課後アニマルタイム
- 88スレ主24/11/17(日) 20:12:39
(2番目くらいにダセェなと思ってたやつ引いちゃったな…いや全部ダセェけど)
「ところで、一体何を演奏するつもりなんだ?私達は基本的な弾き方を覚えただけで、曲の練習なんかちっともしてないだろう」
ナタルが小声でオルフェに問います。
サイとの和解の後、オルフェは事前にナタルに招集を頼んでおいたクルーゼ達に徹夜で楽器の弾き方を叩き込みました。
「こんな事を頼めるのは君達しかいない」と頭を下げるオルフェに大なり小なり借りがあった彼らは二つ返事でそれを了承して夜通しのレッスンを行なったものの、何らかの曲を通しで演奏する事はしていません。
当然とも言えるナタルの疑問に、オルフェはあっけらかんと答えます
「なんでもいい」
「は?」
「君達は君達の思うまま好き勝手に演奏してくれ。私がギターでそれを纏める。纏めてみせる!」
一夜漬けで覚えた付け焼き刃での演奏の完成度なんてたかが知れていて、どうやったって粗の目立つお粗末な演奏になる事は目に見えています。
──ならいっそ、その粗を持ち味にしてしまおう。
完全なフリースタイル、個性の押し付け合い……それこそが結束動物の音楽なのだと、そう観客に思わせてしまえばいい。それがオルフェの出した結論でした。 - 89スレ主24/11/17(日) 20:13:13
オルフェのその言葉を聞いて、クルーゼは再び高笑いを上げました。
「やはり面白い男だよ君は!いいだろう、付き合ってやろうじゃないか!間も無くロックンロールの扉が開く!私が開く!!」
「好きにして良いってんなら、お言葉に甘えさせてもらいましょうかね」
「まあ、ここまで来て尻尾巻いて逃げんのもカッコ悪いし…」
クルーゼが一心不乱にドラムを叩き始め、続いてコノエとダニエルが2人でキーボードの鍵盤を駆け回ります。
「ええっと、俺は即興ソングを歌えばいいって事だよな?」
「ああもう全く!どうなっても知らないからな!」
つられる様にリズムに合わせてサイが即興の歌詞を歌い、ナタルはヤケクソ気味に爪でベースの弦を弾きます。
「そう、それで良い!」
各々自由に音を奏で始めた動物達を満足そうに見回した後、オルフェも表情を引き締めて軽快にギターをかき鳴らしました。 - 90二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 07:45:25
トンチキだけど原作考えるとほのぼの度が上がってて
これはこれで好き - 91スレ主24/11/18(月) 15:13:26
──それは、不思議な音楽でした。
他人に合わせようという気を感じない、自分が主役だと主張するかのように自由奔放な四つの旋律。
個性の殴り合いと言っても差し支えのないそれは、本来ならば不協和音として聴く者を不快にするでしょう。
しかしそれに着ぐるみのウサギが弾くギターの音が加わると、どういうわけか四つの音色は絶妙に混ざり合い、一つの音楽として完成していたのです。
ロックとして見れば邪道も邪道。その道の人が聴けばこんなものはロックではないと憤るかもしれません。
けれどこれこそが彼らにとっての正解なのだと、演奏する5匹と1人の楽しそうな表情が雄弁に物語っていて、気付けばその場にいる全員が彼らの音楽に聴き入っていました。 - 92二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 23:22:53
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- 93二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 23:23:48
一時はどうなるかと思ったけど…これが王道に見えてきた
- 94スレ主24/11/19(火) 06:14:29
ドンッ!とクルーゼが勢いよくドラムを叩いたところで、全員は楽器を弾く手を止めました。
打ち合わせも何もしていませんでしたが、何となく今が締め時だと直感したのです。
結束動物の演奏が止み、会場は静寂に包まれました。
聞こえるのは、演奏で息が上がったオルフェ達の呼吸音をスタンドマイクが僅かに拾った音のみ。
(……駄目だったか…)
そう思ったオルフェがつい顔を俯かせたその時です。
──パチパチパチパチパチ
舞台袖から聞こえた小さな拍手。
驚いて音がした方を見ると、リューとリデラード、ルナマリア、そしてメイリンがオルフェ達に向かって拍手をしていました。
その拍手は次第に観客席にも拡がっていき、やがて割れんばかりの拍手と歓声が沸き上がってフェス会場を揺らしました。
大観衆からの歓声を浴びて、1人と5匹は喜色を露わにして顔を見合わせます。
夜通しの練習とステージで一つの曲を作り上げた事で、即席で集められたはずのメンバーの間にはいつしか絆のようなものが生まれていました。
沸き立つ興奮に突き動かされるように、オルフェはマイクを手に取り叫びます。
『──以上、結束動物でした!ありがとうございました!!』
ワァッと、一際大きな歓声が会場から上がりました。 - 95二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 18:11:57
保守
- 96スレ主24/11/19(火) 21:23:46
拍手喝采を受けながらオルフェと仲間達がステージ袖へと捌けると、すぐさまリュー達がオルフェに駆け寄りました。
「オルフェ!凄かったよ!上手く言えないんだけど、なんかこう…とにかく凄かった!」
「あんだけ弾けるなら普段の練習もあれぐらいやりなよねー」
「色々と言いたい事はあるけど、取り敢えずお疲れ様。正直私も聴いててテンション上がっちゃったわ」
「まさかオルフェが土壇場に強いタイプだったとは……素晴らしい演奏でしたよ」
「あ、ありがとう…」
ギターに関してメンバーからこんな風に称賛されるのはオルフェにとって初めての経験で、やや気恥ずかしそうにしながらお礼を言います。
「貴方達もありがとうございます。おかげで助かりました」
「いえいえ、とんでもない。自分達はただ好きなように楽器を鳴らしただけですから」
小動物達相手に深々と頭を下げるリューにdice1d3=1 (1) (1.ナタル 2.クルーゼ 3.コノエ)はそう答え「だからどうか頭を上げてください」と添えました。
- 97スレ主24/11/19(火) 21:24:48
「──で、お疲れの所悪いけど、まだ終わりじゃないからね」
「へ?」
「当たり前じゃん!アンタの所属バンドはどこだっつーの!」
背後からリデラードがオルフェの被っていたウサギの被り物をスポッと抜き取り、ルナマリアが綺麗に折り畳まれた服をオルフェに押し付けます。
「私達との演奏がオルフェの本番!そうでしょ?」
「ほら、早く着替えて!もうすぐ私たちの番が来ちゃうよ!」
「その目の下の隈もメイクでちゃんと隠してくださいね」
「40秒で支度しな!…なんつって」
ニシシと笑うリデラードにつられる様にオルフェも笑みを浮かべ、すぐさま更衣室へと駆け込みます。
そして寝坊した日の朝のような最大限の手際の良さで着替えとメイクを済ませてメンバーの所へ戻ると、ステージの方から歓声が聞こえてきました。どうやら自分達の前のバンドの演奏が終わったようです。
「い、いよいよだね…緊張してきた…」
「しっかりしなさいよメイリン。せっかくオルフェ達が会場を温めてくれたんだもの、私達が白けさせるわけにもいかないでしょ?」
「分かってるよぉ!」
「動物の演奏に負けてちゃバンドマンの名折れだし、今回はガチのマジでいくよ!」
「立て続けの演奏になりますが…いけますね?オルフェ」
「ああ、勿論だ」
円陣を組んで気合を入れ、5人は同時にステージに向かって歩き出します。
その姿を、5匹の動物達は何も言わずに見守っていました。
──そしてその日のフェスは長い歴史を持つフェスの中でも『伝説の日』として後年語り継がれる事になるのですが、それはまた別のお話。 - 98スレ主24/11/19(火) 22:44:38
ギタリスト人生初の大舞台を終えてほどなくして、結束動物のメンバー達はそれぞれ越冬に入りオルフェは彼らと暫しの間の別れとなりました。
久方ぶりに楽器の音や動物達の賑やかな声がしない穏やかで静かな、けれどどこか物足りない夜を幾度となく過ごして、やがて冬が終わって春になり……
「ただいまー!みんな久しぶりだな!あ、これ沖縄土産のdice1d3=3 (3) (1.ちんすこう 2.シーサーの置物 3.ハブ酒)な」
「おかえり。サイが一番遅かったな」
「彼だけ南に渡っていたんだ、時間がかかるのも仕方ないだろう」
「このメンバーで集まるのも久しぶりだねぇ」
「そんじゃ、早速アレ…やっちゃう?」
「最近の若者は堪え性がないな!かくいう私も体が疼いて仕方ないのだがね!」
「じゃあ始めようか。結束動物の演奏会を!」
それからというもの、オルフェの家では春から秋にかけて毎晩のように結束動物による演奏会が開かれ、それを聴くために森に住む動物達が夜になると彼の家を訪れるようになりましたとさ。
めでたしめでたし。
…………宮沢賢治のファンにぶん殴られても文句言えないわよコレ!」
完
- 99二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 23:13:03
完結乙
- 100スレ主24/11/20(水) 06:08:01
お付き合い頂きありがとうございました!
今回はいつも以上に見切り発車でスレ立てしたので途中グダってしまった…後半とかもう完全に原作に擦りもしてねえオリジナルストーリーになっちゃってたし、反省点の多い回だったなと。
一応最初は他の動物達に背中を押されたオルフェがカッコウと和解してハッピーエンド!な感じで終わらせるつもりだったのに、気付いたらなんかアニマルバンド結成してた。なにゆえ。
ついでに補足しておくとラストのオルフェは2つのバンドチームを掛け持ちしてる状態で、リュー達とのバンド活動も変わらず続けています。オルフェにとってはヘタクソだった自分を見捨てずにチームメイトでい続けてくれた大切な仲間達なので。
シンルナメインの話も書きたいとは思っているのですが、ベースにするお話のネタ探しが難航中&例の人がまだ暴れてるっぽいのでしばらく様子見するつもりなのでもう暫くかかると思います。もしその間に何か別のネタが思いついたらそっちを先に書くかもしれないので、そこだけご理解いただけるとありがたいです。 - 101二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 07:34:55
乙です。終盤の熱い展開すごく好き
セロ弾きのゴーシュって熱いパッションを感じる作品なんだなぁ(原作未履修)
シンルナお待ちしてます超期待 - 102二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 08:13:41
いつもありがとうございます
🎲神とスレ主さんの素敵なコラボ楽しませてもらいました
ハッピーエンド最高です
同じ原作は使わない、と仰ってたので、使いやすいお話減っちゃいますよね
次のお話も楽しみにしています - 103二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 20:07:37
原作好きだけど、ゴーシュとカッコウのくだりでいつも侘しい気持ちになっていたから、
スレ主とダイスがハッピーエンドに導いてくれて嬉しかったよ。
某作品でも言っていたけど、「お話はやっぱり、ハッピーエンドが良いのです。」 - 104二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 20:21:02
乙でした
まだやってなかったら雪の女王とか見てみたいですね〜