メモ帳の底に眠っていた謎のSS（冒頭だけ）を公開する

1二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 17:25:15

勿体無いからな。
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「全ての道は、きっと美食に。」

沈みかけの太陽が、ステンドグラスを熟れきった柿のような赤に染めた。
足元を見れば、大勢の客人達がテーブルを囲んで居る。
そしてシャンデリアの上、私が積み上げた「プレゼント」達の作動ランプが、沢山の瞬きを繰り返す目のように、私を見つめ返す。

イズミ「ねえ、本当にやるの……？」
ハルナ「今更やめる、なんて事は致しませんわ。やらない理由も無いですし。」
イズミ「イヤイヤイヤ、やらない理由ならちゃんとあるでしょ、ありまくるでしょ。だってホラ……」

振り向いて確認せずともジュンコがどこを指しているのかは分かった。
長テーブルの奥、不釣り合いに大きな主催者の席に座る少女。淡く金の混じった銀髪に蝋燭のゆらめく光が踊っている。

イズミ「トリニティの、代表が居るのよ？私達がやったってバレたらどうなるか……」
アカリ「イズミさん、ハルナさんはその程度、とっくに承知の上で来ているのですよ。」
イズミ「そんなの、分かってるけど……ただ確認したいだけ。本気なのね？今からやる事を理解した上で、それでもやるの？」

ああ、私だってよく分かっている。今回の計画が失敗し、全てが明るみに出たならば火の粉の降りかかるのは私達美食研究会に留まらない。
ゲヘナとトリニティ間の深刻な外交問題へ発展するのは明白だろう。だが私がやってはまずいと分かりきった上で辞められないのは今に始まった事ではなかった。

ハルナ「ええ、もちろん。……最も、大きな危険が伴うのは明白です。イズミさんが降りたいと言うなら今からでも……」
イズミ「……いいえ、分かった。会長がやるなら私もやる。だって……」
ハルナ「もちろん。これもまた美食、ですから。」

そう返したところで会話を打ち切り、また観察に戻る。
何やら偉そうな身なりの男と歓談する最中、チラリ、と見つめ返す彼女と目が合った。
ハルナ「ナギサさん……私は……」