担当ウマ娘が彼氏を連れてきた時

1二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 16:56:57

多分けっこう落ち込む。
あの笑顔を向けられていたのは私だけじゃないんだな。ずっと最高の二人組として走ってきたつもりだけど、それはレースの中での関係よね。こんなに可愛い子だからそりゃ相手はいるよねって。
当然のことをしみじみと実感するけど、担当の子が遠くにいってしまったようでやっぱりなんだか悔しい。自分が子供扱いしてた担当が突然大人になってしまったと、大きなショックを受けると思う。
彼氏と一緒に恥ずかしそうにする担当は私といる時よりも尻尾が揺れて耳もピコピコ動いていて、この子も本気の恋をしたんだなあって妙な感慨に浸ってしまう。
彼氏くんもきっと良い子で、何が起きても担当のことを一番に考えてくれるヒーローみたいな男の子だと思うんだ。レースに身を捧げたウマ娘に着いていくって決心した子なんだから。
本当は大袈裟な笑顔で二人を祝福するべきなんだろうけど、何故かできる自信がない。愛想笑いをしながら「良かったね、幸せになりなよ」と辛うじて言えるだけ。大人なのに大人になれない自分に嫌気が差してしまうんだ。
これからデートに出る二人を送り届けても、多分心はもやもやしたまま。二人は腕を絡めて街を歩き、幸せな笑顔で笑い合う。私は一人、これが娘を送り出す両親の気持ちなのかと身の丈に合わない考えをしながら、トレーナー寮にのそのそと帰る。
懇ろと呼ぶべきか親愛と呼ぶべきか、とにかくその幸福な関係に私は自分で思うよりも依存していたのかもしれない。私を慕うあの子はトレーナーとして慕ってくれる。その理解を頭のどこかで拒んでいた。
夜は枕を濡らす。絶対濡らす。声を出して泣いちゃうかもしれない。でも落ち込む期間は長くないと思う。
トレーナー室で惚気話をする担当に慣れて、彼氏くんとも担当の話題で仲良くなって、いつのまにか二人の未来を心から祝福できるようになる。
そうやって諦め切れる私は所詮負け犬なんだろうなと、また一歩大人の階段を登ったと誤魔化して、二人の仲をサポートする側に回る。
結婚式には呼んで欲しい。白いドレスに身を包んだ担当の子は、きっと満開の笑顔で笑うだろうから。それを見た時、私はようやく感動の涙を流せるんだろうな。