♂モブトレは欲張りクズ野郎

1二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 17:35:53

「次はすみれステークスかなぁ」

トレーナー室で資料を眺めながら次のレースを決める。
正直、俺の担当のジュエルガーネットは弱いし、才能はない。だから大成はしないだろうし、ずっと脇役だろう。
それでも俺がトレーナーになったのは、お付きあいしている彼女の娘だからだ。

「うわ、スーパークリーク出んのか……。まぁ関係ないけど」

正直、こんな理由で担当決める奴はいないだろう。
他にも能力の低いウマ娘をスカウトする奴はいる。
己の才能や能力を証明するため、ノルマのため、アブれた者同士だから、同情や哀れみから、様々だ。

「しっかし、いい体してんなぁ」

まぁ俺の場合、彼女に絆されたと言えばそれだけだし。
重ねて言うなら、俺は彼女の不倫相手なんだが。
しかし、後悔はしていない。
ガララ、とドアが開いてジュエルガーネットが入ってくる。

「どーも、トレーナーさぁん」

ジュエルガーネットは入ってくるなり、トトトっと座る俺に近づいて後ろから抱きついてくる。

「あ、パパって言った方がいい？」
「そいつぁ、まだ早いなー」

彼女とその夫は現在離婚調停中で、彼女とはいずれ結婚する予定だ。
それに、こんなかわいい娘がついて来ると思えば儲け者だ。

2二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 17:36:52

さらに加えて言うなら、

「でもさ、別の意味じゃもうパパじゃん」

そういう事だ。

「学園じゃ、やめてくれ」
「はーい。あっ、クリーク先輩の写真」
「あぁ、次出るレースで出てくる予て」
「見てて、欲情した？」

俺の言葉を遮って、ジュエルガーネットは蠱惑的に笑う。

「……まぁな」
「ふふーん、ママも私もいるのに欲張りさんだなぁ？」

イタズラっぽく微笑みながら、ジュエルガーネットは俺の前に回って膝に跨がる。

「じゃあさ……トレーニング前に、一汗かこっか？」

そう言って唇を重ねられ、俺はその背中に手を回す。
トレーナーとしては不遇の三年間になるのは確定的だが、爛れた三年間になる確定的だ。
きっと楽しい三年間になるだろう。

──三年後、彼は妻に刺されて死ぬ。