【🎲・SS・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字『E』の能力が 10

[1 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:15:14]

『爆撃(The Explode)』ではなく『侵入(The ENTER)』の世界線。

私のシュリフトはE｜あにまん掲示板

↑のスレの能力設定やスレ内容を所々引用しつつやる予定でした（完全見切り発車）。

現在のバンビちゃんの能力値

戦闘力 273

霊力 227

器用さ 241

霊子操作 221

静血装 189

動血装 243

聖文字の熟練度 5

前スレ↓

【🎲・SS・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字『E』の能力が　9｜あにまん掲示板

[2 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:15:46]

最初のスレ↓

【🎲時々⚓・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字「E」の能力が｜あにまん掲示板

『侵入(The ENTER)』

基本能力

・他人の精神世界に、本体の人格と能力に戦闘力（本体の半分）を持つ精神体を侵入させる。

・侵入対象は生物全般（義骸内の死神、霊体の死神・虚も可能）もしくは意志がある物体。

・侵入対象の霊圧の質によって侵入時間が変化、ただし接触状態なら即時侵入可能。

・射程は目視出来る範囲（双眼鏡などで射程の延長可）。

機能

・複数人に精神体を侵入させる事が出来る。

・完全独立化。体験・経験・見聞きした事を、本体との再接続時に本体へ反映される。

　（一度に大量の精神体と再接続した場合、情報量によっては脳に多少のダメージが入る）

・侵入対象の五感・身体操作及び能力干渉。

・侵入対象の全能力を完全支配（一名限定）

　（完全支配中は別の対象に侵入不可）

弱点

・侵入対象を視力による目視が出来なければ、魂魄への侵入が出来ない。

・他の能力で支配下にある生物には侵入が出来ない。

　（但し侵入対象が非支配状態なら侵入可、侵入後に支配状態になっても侵入は維持される）

・電子機器越しに対象を視認しても侵入不可。

滅却師完聖体

『神の指先（Kesher'el/ケシャルエル/意味：神との絆）』

基本能力

・戦闘力の向上

・飛行

・斬魄刀もしくは聖文字の能力を対象と共有及び併用

・発動時に広範囲無差別侵入

[3 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:16:11]

バンビちゃんからの/黒崎家からのバンビちゃんの好感度
黒崎一心　39　/　93
　　真咲　80（固定）/　56（固定）
　　一護　37　/　141
　　遊子　47　/　49
　　夏梨　47　/　

バンビちゃんからの/現世メンバーからのバンビちゃんへの好感度
井上織姫　99　/　114　茶渡泰虎　44　/　78
石田雨竜　27　/　11　浦原喜助　60　/　116
石田 竜弦　33　/　72　有沢 竜貴　29　/　56
浅野 啓吾　86　/　98　小島 水色　17　/　2　
四楓院　夜一　58　/　87　握菱鉄裁　3　/　61
コン　28　/　88　　本匠千鶴 63 /　81　
小川みちる　59　/　22　　国枝鈴　2　/　81
夏井真花　17　/　65


バンビちゃんからの/死神からのバンビちゃんへの好感度
朽木ルキア　41　/　63　阿散井恋次　87　/　72
朽木白哉　37　/　10　日番谷冬獅郎　22　/　8
平子真子　57　/　26　愛川羅武　38　/　94　
山本重國　49　/　95　　市丸ギン　13 　/　52

バンビちゃんからの/滅却師からのバンビちゃんへの好感度
ユーハバッハ　9　/
リルトット　61　/　50　　ジゼル　84　/　97
ミニーニャ　64　/　15　　キャンディス　8　/　23
ハッシュヴァルト　50　/　86　　アスキン　65　/　55

[4 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:17:01]

エリッタ・バスターバイン（千年血戦版）

[5 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:18:33]

エリッタ・バスターバイン（鋭刃）

[6 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:21:51]

大人っぽい衣服のバンビちゃん

[7 二次元好きの匿名さん 25/01/18(土) 22:32:48]

保守

[8 前スレの続きです◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:34:16]

「……疲れた」
　銀架城に帰還した星十字騎士団は、簡易報告を終えると各々の部屋に戻り、バンビーズの参謀リルトット・ランパードは自室に戻ると濡れた体を拭き、私服に着替えて全力でだらけていた。
　バンビエッタの妨害のせいで普段よりも疲れていたリルトットの腹は、死神を何十人も食い千切ったのにまだ食い足りないのかぐぅぅと鳴いていた。
「あいつ捕まったのか……」
　聖章騎士に死者も出た中、エリッタが死神に捕縛された事実に驚くも、聖章騎士になったばかりの新米を隊長格と戦う事を許した自分のせいかとリルトットは反省し、殺されていないのなら気が向けば助けてやろうと決めた。
「どうすんだ、あの腰巾着」
　ソファーで寝転がり菓子を食べ始めたリルトットは、ハッシュヴァルトの責任を考える。エリッタは聖章騎士ながら、扱いはハッシュヴァルトの部下。ゆえに部下が敵に捕縛されたのなら、上官が何かしらの責を負うのが筋。
　しかし、最高位の聖章騎士を罰せられるのは皇帝のみ……皇帝補佐に罰を与える行為が侵攻を遅らせる事に繋がるのは間違いない。
「あやふやになるんだろうな」
　優先順位は明白になっている状況、エリッタの処遇含めて後回しにされて最終的になかった事になるとリルトットは予想した。別に自分には関係ない事なので、あやふやでもいいかと思いながらお菓子の袋を開ける。
　バリバリとポテトチップスを齧り、リルトットは次の侵攻を考える。第二次侵攻は撤退無しで徹底的に死神たちを殲滅する事になり、ある程度数を減らしてから皇帝ユーハバッハは親衛隊と選ばれた聖章騎士を率いて霊王宮へ行く計画になっている。
　選ばれる基準は不明だが、選ばれなかった聖章騎士はどうするのか決まっていないものの、引き続き死神の殲滅をする事になるとリルトットは考えていた。
「まあ、俺らは選ばれねえだろうな」
　リルトットはバンビーズの誰も霊王宮同行に選ばれないと考えていた。霊王宮には死神側の最高戦力である零番隊が待ち構えている、彼らに勝てる実力が自分たちにあるのかと考えれば答えは否だったからだ。
「……あのクソビっチは、今何してんだが」
　バンビエッタの姿が浮び、もう衝突は避けられないがせめてもの情けに――ジゼルのゾンビにされる前に――骨も残さずに喰ってやろうと思うリルトットだった。
「あー腹減ったなぁ」

[9 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/18(土) 22:34:43]

展開ダイス

1.兵主部一兵衛＆神将　2.エリッタ＆狛村左陣　3.バンビエッタ＆黒崎一護　4.護廷dice1d13=6 (6)　隊　5.隊首会

dice1d5=1 (1)

1の場合

1.麒麟寺天示郎　2.曳舟桐生　3.修多羅千手丸　4.二枚屋王悦

dice1d4=4 (4)

[10 二次元好きの匿名さん 25/01/18(土) 23:06:41]

ジジはゾンビエッタが欲しいんだろうがバンビが死亡したら死神化&虚化で蘇生するという出鱈目復活あるからなぁ
ゾンビエッタの道は険しい

[11 二次元好きの匿名さん 25/01/19(日) 01:09:06]

本編同様斬魄刀打ち直し入るか

[12 二次元好きの匿名さん 25/01/19(日) 08:15:32]

前スレでアンナに対して一瞬眼を開くことになったユーハバッハはそのわずかな時間でアンナの可能性に気づくことになったか
以前のレスでアンナが凄いことになっているのを分かるのは第１次侵攻の後みたいな発言があったような

[13 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/19(日) 10:35:56]

　霊王宮、雲より高い位置にある神域は澄んだ晴天を保っていた。
「尸魂界の地を踏むのはいつぶりかのう」
　見えざる帝国の侵攻を見ていた兵主部一兵衛は、霊王の意思に応えるため瀞霊廷へ向かう準備を進めていた。
「――和尚。山本チャンが死んだのは本当KAi？」
　霊王宮から地上へ降りるための移動用の柱『天柱輦（てんちゅうれん）』を選ぶ兵主部の下に、褐色肌に肩出しの死覇装にダウンベスト風の隊長羽織を着たレゲエダンサー風の風貌をしたサングラスを掛けた男がやって来た。
　彼は西方神将『刀神』二枚屋王悦、斬魄刀の生みの親である。
「うむ、本当じゃ。ユーハバッハから黒崎一護を護るためにのう」
「ショックだYo……山本チャンほどの死神は、もう生まれないだろうNe」
　刀匠でもある二枚屋から見ても山本重國の流刃若火は、間違いなく最高傑作の斬魄刀と呼んでいい一振りだった。あれほど使い込み、あれほど刀と深く心を通じさせたまごう事無き最強の死神は彼にとっても代え難い存在だった。
「悲しむのが悪いと言わんが、儂らにはやるべき事があるぞ」
「……判ってるYo。チャンぼくは天下の零番隊、引き受けた仕事はしっかりとやりとげる男Sa」
　もう少し悲しい気持ちになってもいいじゃないか。と山本とは数千年前からの知り合いなのに、その死に淡白な態度を見せる兵主部に、二枚屋はそういう部分が自分と合わないと思った。
「それで、いつ頃下へ行くんⅮai？」
「ふむ、そうじゃな……明日の朝でいいじゃろ」
　瀞霊廷は見えざる帝国が撤退しても強い警戒が解けず動きが悪い。これから夜通しの生存者探索や治療で多忙になると予想した兵主部は、出発時刻を明日と定めた。
「OK、みんなにも伝えておくよ。ところで、黒崎一護チャンはここに連れて行くのは確定でいいのKai？」
「うむ。霊王もそれを望んでおる。おんしとしても、黒崎一護は興味深い男じゃろ？」
「……まあ、そうだNe」
　二枚屋としても、死神と滅却師の合いの子が斬魄刀を持つとどんな刀になるのか、斬魄刀の生みの親としても強い興味があった。
「ところで和尚？　お気にの滅却師はどうするのSa」
「――あくまで控えじゃ。霊王宮に連れてくる必要はない」
　兵主部にとってバンビエッタは控え以上の存在ではない。例え『調和』を司る霊王の『神経』持ちでもその扱いと対応は変わらない。

[14 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/19(日) 10:36:17]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆朽木ルキア　2.浦原喜助＆黒崎一心　3.黒崎一護　4.ユーハバッハ＆ハッシュヴァルト　5.エリッタ＆狛村左陣

dice1d5=5 (5)

>>10　大分先になりますが、ゾンビエッタになる展開は一応考えてあります。

>>11　天鎖斬月が折られない展開もありましたが、王悦が斬魄刀を打つ展開は変わりません。

>>12　一瞬だけなので視えた光景も本当に一瞬だけです。バンビちゃんの潜在的な可能性に気付くかは微妙ですね。

[15 二次元好きの匿名さん 25/01/19(日) 17:34:40]

調和を司る神経
なんだかハッシュヴァルトとペルニダにかかったような感じがします

[16 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/19(日) 19:25:51]

　七番隊隊舎。
「……う、動けない」
　麻酔薬で眠っていたエリッタ・バスターバインは目覚め、すぐに体が拘束具で固定されている事に気付いた。『わたしの可能性』の効果も眠った事で切れて元の子供の姿に戻っていた。
「――目覚めたか」
「ワンちゃん」
　現場指揮を射場鉄左衛門に任せ、見張りとして彼女の傍で仮眠をしていた狛村左陣が椅子に座りながら声をかけてきた。
「見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）は撤退した。貴公は置き去りにされたようだ」
「そう、なんだ……」
　時間になったら撤退する事は聞かされていたエリッタに驚きはなかったが、バンビーズの誰も助けに来なかった事には少なからずショックを受けていた。
　狛村は悲しい表情を見せるエリッタに同情した。恩人である山本重國を屠った憎むべき一団の一人であるが、彼女は周囲の大人たちに言われたまま動いただけの子供と理解していた。
「名乗っていなかったな。儂は狛村左陣、貴公の名は？」
「……エリッタ・バスターバイン」
　やはり黒崎アンナの身内か、確信を得た狛村は、綜合救護詰所にいるバンビエッタに会わせるべきか悩んだ。姉妹で殺し合うはずがないと信じたい彼であったが、彼女が滅却師たちにどんな事を吹き込まれているか分からないので決断が出来なかった。
「エリッタよ、素直に答えてほしい。見えざる帝国は尸魂界のどこにある？」
「やだっ。またクインシーをたくさん殺すから」
　即答されて狛村は言葉に詰まる。二百年前の滅却師殲滅戦は、滅却師にとって忘れる事の出来ない歴史と改めて理解した。
「多くの命を奪う気はない……だが、ユーハバッハには責任を取ってもらう必要がある」
　狛村は胸中に恩人を殺された怨讐の火が燃えている。東仙はこれを抱えて何百年も死神として生きてきたのか、再度亡き友の気持ちを理解した。
「じゃあ、たくさんクインシーを殺した死神はせきにん取ったの？」
「それは――」
　二百年前の殲滅戦に責任の所在を問えば、陣頭指揮をした山本重國と滅却師の殲滅を決定した前任の四十六室が筆頭になるだろう……その彼らは、すでにその命を別の思惑から断たれている。
「……本人たちの望む形ではなかったかもしれんが、全員が責任は取っている」
「そうなの？」
　責任を取ったのならいいのかな？　とエリッタの子供の思考は狛村に場所を教える方向に傾き始めた。

[17 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/19(日) 19:26:26]

展開ダイス

1.隊首会　2.バンビーズ　3.阿散井恋次＆黒崎一護　4.バンビエッタ＆朽木ルキア

dice1d4=1 (1)

2の場合

1.ジゼル　2.キャンディス　3.リルトット　4.ミニーニャ

dice2d4=2 2 (4)

>>15　最初は調和じゃなくて接続か伝達を考えてましたが、人体における神経の重要性を考えると調和でいいかなと思いました。

[18 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 00:46:47]

　隊首会に使用される一番隊隊舎の部屋には戦闘で負傷した隊長たちが集まり、安置された山本重國の遺体もあって場の空気はお通夜そのものだった。
　最強の死神が死に、大勢の部下を失い、敵を見す見す逃し、住み慣れた土地を蹂躙される……数時間で起きた悪夢の連続に、全員が沈痛な面持ちになるのも当然だった。
「みんな、いつまでも沈んでいると山じいがゾンビになって起き上がって、全員拳骨だよ？」
　卍解と右目を奪われ、体に穴が開いている京楽春水の発言に総隊長に敬意を抱く砕蜂が反応する。
「総隊長殿が目覚めるのならば、それでも……っ」
「ちょいちょい、ゾンビの総隊長とか笑えんわ。胴が分かれとるから、テ〇テケになるだけやん」
「真子。テケテ〇は現世暮らしの長いボクらにしか分からないよ」
「……それもそうやな」
　場の空気をちょっと変えようとした平子真子だが、元仮面の軍勢以外に都市伝説の妖怪が判るはずもなかった。
「……総隊長殿の隊葬はいつ頃行う？」
「ちょっ！　朽木！　空気読めや！」
　杖無しでは歩けない重症の朽木白哉の発言に、場の空気がまた静まり返る。
「賊軍は銀城空吾の遺骸を盗んでいる……万が一にも遺体を操る敵がいるのなら、総隊長の遺体を利用される可能性がある。早急に弔うべきだ」
　銀城の遺骸を盗んだ犯人は見えざる帝国と確定していないが、彼の言う通りに遺体を操る敵がいるのなら遺体の処置は急いだ方がいいのは当然、本当にゾンビになった総隊長と戦うなど悪夢以外の何者でもない。
「山じいの早めの隊葬は、僕も賛成かな……敵さんの能力はここで推測するより、彼女に訊いた方が早いよ。もしくは狛村隊長が捕まえた彼女の妹ちゃんもいるからね」
「京楽、俺が彼女に話を聞きに行くよ。四番隊に薬を貰いに行くからちょうどいい」
　酷い顔の浮竹十四郎は行動する事で、尊敬する師を失った気持ちを誤魔化そうとした。
「そうかい？　じゃあ、お願いするよ。浮竹」
　そんな浮竹の心情を察した京楽は、彼にバンビエッタへの質問を任せた。
「……みんな、護廷十三隊は死人を悼んだり、壊れた尸魂界に思って泣くためにあるんじゃない。尸魂界を護るためにあるんだ――前を向いて行こうじゃないの、僕らは護廷十三隊だろう」
　その言葉で、この場に居た全員が山本重國が二代目総隊長に推薦したのは京楽春水だろうと強く思った。

[19 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 00:47:07]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆黒崎一護　2.黒崎一心＆浦原喜助　3.ユーハバッハ　4.浮竹十四郎＆朽木ルキア

dice1d4=2 (2)

[20 二次元好きの匿名さん 25/01/20(月) 08:26:00]

一心から一家の親の目線で見るとアンナがここまで味方でいてくれることはそこまで驚くことでもないのかな

[21 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 12:52:20]

「夜分遅くに失礼しまス」
　真夜中近く、虚圏から現世に戻って来た浦原喜助は大荷物を抱えて黒崎家を窓から来訪した。ちょうど夜食のカップラーメンを食べていた黒崎一心は、明らかに迷惑な客が来たという表情を作った。
「おや、いいんスか？　夜食なんて食べても？」
「――いいんだよ。アンナが解禁したんだから」
　すぐに見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）との戦いを考えての解禁と浦原は考えたが、それよりも先に黒崎家へ来た要件を一心に伝える事にした。
「今日の朝、護廷十三隊と見えざる帝国の戦争が開戦しました」
「……朝っぱらからお前も来たし、一護たちも動いたからな。んな気はしてたよ」
　予期していた一心にとっては驚く事ではない。
「尸魂界に居るアンナサンからの報告スが、見えざる帝国の第一次侵攻は終わり、隊士は席官含めて二千百名ほど死亡したそうス」
　浦原喜助は伝令神機を二機持っており、一つは黒崎一護の手に渡ったが、もう一機を予備で所持していたのでバンビエッタからの情報を受け取る事が出来た。
「そうか……」
　箸も止まる浦原の言葉に一心は十番隊隊士たちの安否を心配する。死神にとっての二十年前などごく最近で隊士の顔ぶれもほぼ変わっていないはずだからだ。
「一護サンも途中で参戦しましたが、ユーハバッハと皇帝補佐ハッシュヴァルトにボコボコにされ、卍解も折られたみたいっスが五体満足で生きていると」
「どうせ無理に戦ったんだろ、いつものことだ……で、その大荷物はなんだ。夜逃げでもすんのか？」
「いやいや、夜逃げじゃないスよ。虚圏で解析するための荷物っス」
「ふーん」
　難しい事は浦原任せの一心は、ズズッと麺を啜る。
「一心サン、これが一番衝撃になると思うスけど……山本総隊長がユーハバッハに敗れて、死亡しました」
「――」
　衝撃で思わず箸を落として絶句した表情を作る一心の心情を察するも、冷静に浦原は話を続ける。
「アンナサンから伝言ス、近々一護に真咲の例の話をする事になるはずだから心の準備をしなさい。と」
「――……分かったよ」
　神妙な顔で一心は頷く。浦原は『聖別』の存在を知らない。石田竜弦が一心に口止めしているせいだが、彼も滅却師・黒崎真咲の死に何か裏事情があると察していたが、あえて口を挟まないが最善と判断したからだ。
「まだ何かあったら、アタシからも連絡しまス」

[22 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 12:52:40]

展開ダイス

1.エリッタ＆死神（隊長）　2.石田雨竜＆ハッシュヴァルト　3.バンビエッタ＆黒崎一護　4.浮竹十四郎

dice1d4=2 (2)

1の場合

1.鳳橋楼十郎　2.涅マユリ　3.砕蜂　4.平子真子

5.卯ノ花烈　6.京楽春水　7.日番谷冬獅郎　8.六車拳西　

dice1d8=3 (3)

>>20　驚きよりも家族を守るために動いてくれる事に嬉しい気持ちの方が強いと思います。

[23 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 20:05:49]

「――ここが、見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）」
「そうだ。滅却師の祖ユーハバッハ陛下が治める、滅却師の帝国だ」
　現世に残った石田雨竜を配下に加えようとするユーハバッハの命で、侵攻を終えたばかりのハッシュヴァルトが空座町へ派遣された。
　祖父の手記を読み終え、心が揺れていた雨竜は誘いを受け入れ、ハッシュヴァルトの案内で見えざる帝国へとやって来た。
「ここは地下なのか？　随分と天井が暗いな」
　雨竜は、見上げた空の異様な暗さと閉塞感から地下と推測するもハッシュヴァルトの返答は淡白なものだった。
「いずれ判る……石田雨竜。しばらくの間修業をしてもらう」
「修業？」
「そうだ。陛下の下に加わるなら我々の技能を会得してもらう。お前も一度は目にした事があるのではないのか、血装（ブルート）を」
　とハッシュヴァルトは雨竜に手の甲を見せて静血装を披露する。すぐにバンビエッタが自分との修業時に使用していた技と気付いた。
「黒崎さんが使用していた技か」
「それでは誰を指しているか伝わらないぞ。偽名ではなくバンビエッタと呼べ」
「……分かった」
　納得していない雨竜であったが、帝国にいる間は黒崎アンナの事をバンビエッタと呼ぶ事にした。
「着いたぞ」
　ハッシュヴァルトの案内で雨竜が到着したのは、中世が舞台の映画に登場するような円形の闘技場。その中心には軍服姿が様になっている女性がポツンと立っていた。
「お前には、血装を初めとしたいくつかの技を習得してもらう。本来、戦技教官が教えるべきだが浦原喜助に討たれたため私の副官が代役を務める――陛下の期待に応えるだけの実力を身に付けろ、石田雨竜」
「……」
　妙に高圧的な態度を見せるハッシュヴァルトに、雨竜は若干の嫌悪を抱く。彼の立場が皇帝に次ものだと言われたが、初対面である自分を見下す態度にはどうしても不満があった。
「一つ教えてくれないか」
「なんだ？」
「なぜここに来るまでの間、彼女以外の滅却師と接触しなかった？　偶然というには不自然だ」
「――そんな事か。星十字騎士団は瀞霊廷への攻撃を終えたばかり、ゆえに各自部屋で休息しているだけだ」
　ハッシュヴァルトの発言に、雨竜は行動が早過ぎると思い表情に出た。
「覚えておくといい、帝国の未来は陛下がお決めになる。我らに加わるのならその事を夢忘れるな、長生きしたければな」

[24 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/20(月) 20:06:23]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆コン　2.白一護＆斬月　3.浮竹十四郎　4.エリッタ＆死神（隊長）

dice1d4=4 (4)

4の場合

1.卯ノ花烈　2.京楽春水　3.砕蜂　4.鳳橋楼十郎

5.平子真子　6.涅マユリ　7.日番谷冬獅郎　8.六車拳西　

dice1d8=2 (2)

[25 二次元好きの匿名さん 25/01/21(火) 01:21:31]

もうそろそろ零番隊が来るがバンビは一護が霊王宮に行ってる間何するんだろうか

[26 二次元好きの匿名さん 25/01/21(火) 08:54:50]

エリッタの場面が多いのは結構楽しくもある
彼女の更生にも役立つかもしれない

[27 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 09:41:17]

「こんばんわ～♪　起きてるかい？」
「――ひっ、変人！」
　臨時の隊首会を終えた京楽春水は七番隊隊舎を訪れ、見張りの狛村左陣と交代で拘束されているエリッタ・バスターバインに接触した。
　しかし、京楽の見た目はエリッタ的に嫌悪の対象だったようで露骨に嫌がったので彼は内心ショックを受けた。
「酷いなぁ、僕のどこが変なのさ？」
「ヒゲ！　かれいしゅう！　むなげ！　じょそう！」
　エリッタの言葉の矢に京楽の心は容易く傷つけられ撃沈。廊下で控えて聞いていた伊勢七緒は小さく笑った。
「こ、子供は素直で容赦ないな～……エリッタちゃん、お姉ちゃんに会いたくないかい？」
「お姉ちゃん？　リル姉さま？　キャンディ姉さま？　ミニー姉さま？」
「えっと、アン――じゃなくてバンビエッタちゃんの方だよ」
　姉妹多いのかな？　と勘違いする京楽がバンビエッタの名前を出すとエリッタの表情が引き攣った。
「うぅ、バンビエッタ姉さま……っ、こわい。会いたくないッ」
「え、怖いのかい？」
　予想外の反応をされ、京楽は困った表情を浮かべる。
「ジジさん言ってもん。バンビちゃんはとってもこわいからおこらせると誰でも殺すって！」
「……そ、そうなんだ」
　とてもそんな事をするような印象をバンビエッタに抱いていない京楽であったが、護廷のためなら非情も悪道も選べる男はエリッタの恐怖心を利用する事に決めた。
「でも、バンビエッタちゃんが君に会いたいらしいけど……どうしようかな？」
「やだっ！　やだ、会いたくない！」
「じゃあ、僕が彼女から守ってあげるから。見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）の秘密を教えてくれないかい？」
　敵戦力の情報は浮竹に任せ、京楽は独自に別の情報を得ようとした。
　京楽の言葉にエリッタの天秤が動く、怖いバンビエッタから守ってもらう事と引き換えに帝国の情報を話す事は釣り合うのか考えて、答えを出す。
「あのねっ、帝国に入るにはカギがひつようなの」
「へぇ。持っているのかい？」
「持ってるよ。でも、あげない」
「じゃあ、貸してくれる？　ちゃんと返すよ」
　京楽はエリッタの装飾品のどれかが鍵と気付く。廊下の伊勢に目配せすると、彼女が動き出して押収品を調べ始める。
「バンビエッタ姉さまから守ってくれる？」
「あぁ、約束するよ」
　子供との約束一つ守れないと亡き山じいに叱られるので、京楽はエリッタに誓った。

[28 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 09:41:39]

展開ダイス

1.朽木ルキア＆阿散井恋次　2.隊首会　3.バンビエッタ＆黒崎一護　4.零番隊

dice1d4=1 (1)

4の場合

1.二枚屋王悦　2.兵主部一兵衛　3.曳舟桐生　4.麒麟寺天示郎　5.修多羅千手丸

dice2d5=5 4 (9)

>>25　尸魂界にいても聖章騎士に狙われる可能性があるので現世に戻るかと。

>>26　本人は更生が必要なほど悪い事をしている自覚は薄いですね。そういう面を自覚させるには現世で暮らした方がいいかもしれません。

[29 二次元好きの匿名さん 25/01/21(火) 18:09:55]

ほしゅ

[30 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 19:35:56]

　重度傷創治療室、霊圧治療では間に合わない緊急手術を必要とした患者が送られる病室。一時は黒崎一護も入っていたが、現在は阿散井恋次のみがベッドを使用していた。
　阿散井が目覚めたと報せを聞き、駆け付けた朽木ルキアが病室に来た時には彼は何故か四番隊の隊士に配給されていたおにぎりを食べていた。
「貴様、随分と元気そうではないか……ッ」
　心配して損をしたルキアだが、ひとまず阿散井の意識が戻った事を喜ぶ。
　ルキアが来た事で阿散井は口に含んでいたおにぎりを呑み込んでから、彼女にニヤリと笑ってみせた。
「よう、ルキア。元気そうじゃねえか」
「――当然だ。たわけ」
　阿散井が強がりを言っているのはすぐに判ったルキアだが、こういう奴だと知っている彼女は普段通りの対応をする事にした。
「ルキア、一護は来たのか？」
「貴様の隣のベッドで寝ていたぞ。明朝に涅隊長に呼ばれ、アンナ殿と共に技術開発局へ出向いたが……恋次、状況は理解しているのか？」
「俺の伝令神機に、隊長からメールで書いてあったよ……総隊長の死とか」
「そうなのか、今はアンナ殿が提供してくれた敵の情報を隊長たちで共有しているようだ。その内、我々にも共有されるだろう」
　死神に仲間の情報を売ってしまってバンビエッタは大丈夫なのかと心配になるルキアであったが、彼女の協力無しに見えざる帝国に対抗出来ない事が非情に情けないと思っていた。
「なにしょげた顔してんだよ。俺が滅却師たちをバンバン倒してやるよ！」
「フン、ミイラ男に言われても説得力がないぞ」
「うっせーよ。すぐに治してやるからみてろ」
　と言う阿散井は食いかけのおにぎりを再び食べ始める。その姿にルキアは自然と微笑みを浮かべ、これなら心配いらないと思った。
「恋次、どれほどの猶予があるか分からんが、敵はまた攻めて来るのは確実だ」
「おう」
「その間に、私たちは卍解無しでも戦う術を得なくてはならない」
「そうだよな。卍解を奪われないようにする鬼道とかありゃいいけど」
　阿散井の脳裏に滅却師の防御に弾かれる斬魄刀の姿が甦る。
「浦原も動いている技術的な対策を用意してくれると思うが……何かいい手はないものか」
「――思い付いた！　合体技で戦えばいいんだ！」
　それを兄様とするのか？　途端に不器用な阿散井が義兄に怪我させるのではないかとルキアは内心不安になるのだった。

[32 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 19:40:02]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆涅マユリ　2.浮竹十四郎　3.聖章騎士　4.黒崎姉妹　5.黒崎一護＆コン

dice1d5=3 (3)

3の場合

1.マスキュリン+ジェイムズ　2.キャンディス　3.ナナナ　4.蒼都

5.BG9　6.ぺぺ　7.ジェラルド　8.ロバート　9.ミニーニャ

10.ニャンゾル　11.リジェ　12.ジゼル　13.ハッシュヴァルト

14.アスキン　15.エス・ノト　16.リルトット　17.バズビー

dice2d17=10 5 (15)

[33 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 23:59:17]

　瀞霊廷侵攻から一夜明け、星十字騎士団の聖章騎士の中には戦い足りない者もいた。
「誤差修正」
　全身に鎧を纏ったBG9（ベーケー・ノイン）は鉄仮面の隙間からモノアイを光らせ、外套の中からガトリング砲を右腕に装着すると、正面に立つ仲間――ニャンゾル・ワイゾルへ掃射した。
　私闘は禁止の見えざる帝国だが、修練は許可されているので聖章騎士同士の戦闘も問題なかった。ニャンゾルはガトリング砲から発射される弾丸が迫っても、二枚舌を出したまま棒立ちして動かない――ぐにゃりと弾道は曲がり、ニャンゾルを自然と避けていく。
　本能で見つけた攻撃を曲げて、自身に当たらないように逸らす【紆余曲折】の能力。攻撃に転じれば近づくだけで敵の体をねじ切るも出来る。
「……ふむ、物理攻撃は効かないか」
　感情の抑揚が無い平坦な声質のBG9は、解かっていた事を音声に出す。対物理防御においてほぼ最強と思われるニャンゾルの能力とやり合うには概念系の能力がないと難しい。
「じゃあ、オイの勝ちでいーな」
「いや、まだテストしたい攻撃がある」
　ガトリング砲を外套に収めたBG9は武器を切り替えて両手にホースを装着した腕を出す。
「にゃんだ？　今度はみじゅでもらすのか？」
「水ではない」
　瞬間、BG9はホースから高温の炎を放射した。炎は一瞬で骨も残さないような火力でニャンゾルの体を包むも、【紆余曲折】の前では炎さえ逸らしてみせる。
「残念らな、オイは燃えないじぇ」
「理解している」
　炎の中からニャンゾルに返答するBG9はそれでも火炎放射を止めない。そんな無意味と思われる攻撃が続く中、ニャンゾルが炎の中から飛び出して来た。その表情は普段の腑抜け顔と違い、焦りが覗いていた事にBG9は気付く。
「効果を確認。次の攻撃に切り替える」
　BG9は両手のホースを外套の下に戻すと外套を広げ、胸部から小型ミサイルを生やして即時ニャンゾルに発射するも着弾する前に宙で爆発する。
　BG9はニャンゾル周辺の空気を無くし彼を酸欠状態にする目論見だった。空気は生物には必須、能力で空気が逸らせないのは先の反応で確信していた。
「降参ら、降参」
　ニャンゾルは爆炎の中から出てくると、あっさりと負けを認めた。BG9は次弾のミサイルを胸に出したまま、
「良いデータを収集できた。協力に感謝する、ニャンゾル・ワイゾル」
　と告げた。

[34 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/21(火) 23:59:49]

展開ダイス

1.零番隊　2.黒崎一護＆コン　3.エリッタ　4.浦原喜助　5.バンビエッタ＆死神（隊長）

dice1d5=2 (2)

1の場合

1.麒麟寺天示郎　2.曳舟桐生　3.修多羅千手丸　4.兵主部一兵衛　5.二枚屋王悦

dice2d5=2 2 (4)

5の場合

1.砕蜂　2.日番谷冬獅郎　3.卯ノ花烈　4.鳳橋楼十郎　5.狛村左陣

6.六車拳西　7.涅マユリ　8.京楽春水　9.平子真子　10.朽木白哉　11.浮竹十四郎

dice1d11=10 (10)

[35 二次元好きの匿名さん 25/01/22(水) 07:59:39]

朝保守

[36 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/22(水) 12:56:04]

「おい、一護！　もっと丁寧に扱えよ！」
「はいはい。これでいいだろ」
　技術開発局でほぼ一年半ぶりにコンと出会った黒崎一護は、鈍痛が続く体を我慢しながら瀞霊廷外周を目指して涅マユリと共に歩いていた。彼らの目的地に、霊王宮から零番隊がやって来るからだ。
「掴んでいた場所を腕から胴に変えただけじゃねえかっ！　マスコットらしく肩に乗せろよ！」
「うっせーな。つーか、お前なんで尸魂界にいるんだよ」
「それを語ろうとして邪魔されたんだよっ。いいか、よーく聞け！　オレの波乱万丈の十七ヶ月を！」
　そして語り始めるコンの物語をBGMに、一護は先に目的地へ向かったバンビエッタの言葉を復唱していた。

　真咲の死についてあたしは語らない、知る覚悟があるなら一心から聴きなさい。

「グランドフィッシャーを倒して終わりじゃねえのかよ……」
　母親の死にユーハバッハがどこかで関係している。その予想は正しいと思う一護であったが、どうして今の今まで教えてくれなかったのかと、苛立ちをバンビエッタと父親に募らせる。
「……お袋」
　仇の虚を討てて満足した気持ちに水を差された気分に一護がなったのは言うまでもない。滅却師と虚が共闘するとは思えず、偶然同じ日に別々で動いた結果があの日の母親の死ならば、自分は全てを知らないといけないと思った。
「そこでオレは拘束が緩んだ瞬間に、浦原の手から――って聞いてるのか！　一護！」
「聞いているよ。浦原さんがなんだって？」
「あぁ、逃げた後――」
　一護は最後の方しか聴いてなかったが、それに気付かないコンは腕を組みながら続きを語り始める。
「……」
　もしも、ユーハバッハが母の死の根本的な原因なら――絶対に倒す。ただでさえ瀞霊廷をめちゃくちゃにしたのだからその落とし前をつけさせないとならない。
　ただ、戦う前に一護は折れた斬魄刀を直さないといけない……折られた卍解は修復が出来ないと、涅マユリに言われているため井上織姫の事象の拒絶で、卍解を折れる前の状態に戻さないとならない。
「一度、虚圏に戻らねえと……」
「おうおう！　やっぱりオレの話を聞いてねえだろ、てめぇ！」
　一護の呟きに、彼の手に捕まれたコンは自分の話を聴いていないと気付き、癇癪を起して暴れ始める。
「あ、おい」
　暴れた事でコンは手の拘束から逃れ、憤慨した彼は一護を置き去りにして先へ行ってしまった。

[37 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/22(水) 12:56:26]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆死神（隊長）　2.浮竹十四郎　3.石田竜弦＆黒崎一心　4.エリッタ

dice1d4=4 (4)

1の場合

1.砕蜂　2.日番谷冬獅郎　3.卯ノ花烈　4.鳳橋楼十郎　5.狛村左陣

6.六車拳西　7.涅マユリ　8.京楽春水　9.平子真子　10.朽木白哉

dice1d10=9 (9)

[38 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/22(水) 20:36:43]

「つまんない……」
　エリッタ・バスターバインは窓からぼうっと外を見ていた。
　拘束具が技術開発局の霊力封じの拘束具になった事で軟禁状態に変わり、場所も七番隊隊舎から技術開発局に移送された……涅マユリの要請で。
「姉さまたち、ぜんぜん来ないー」
　バンビーズが誰も来ない事が見捨てられたんじゃないかと不安になるエリッタであったが、そんな事はないと否定しながら、局員から渡された知育玩具を手の中で転がす。
「おなかすいた～」
　昨日から水しか飲んでいないエリッタは、部屋の隅にある監視蟲に向かって空腹を訴える。蟲の向こう側で局員が見ている事くらい子供の彼女でも解っていたからだ。
　しばらく待っていると、男性局員がトレイ皿に乗った食事を持ってきた。それは軍人が食べるレーションのように栄養重視で見栄えが良くないものの、見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）での食事と大差ないのでエリッタは特に文句を言う事なく食べ始めた。
「ぁ、おいしい」
　むしろ味は上。元々は幼少期の涅ネム用の食事を解凍したものなので、人体には何の影響はなかったものの冷凍期間がうん十年前なので、誰も食べようとはしなかった。
　そんな事は微塵も知らないエリッタは綺麗に出された食事を食べ切って、気分が良くなった。
「……コーンスープが良かったな」
　唯一の不満を漏らしつつ、エリッタはカップの緑茶を飲む。
　そんな彼女の下に来客があった。
「ここにおったか、幼子」
「――え？」
　軟禁部屋の扉が開くと、派手な髪飾りと背中にカラクリ義手を六本付けた女性死神が姿を見せた。
「え、誰？」
「誰でもよい。霊王の意思に従い霊王宮へ連れて行くだけのこと」
「？？」
　突然姿を見せたのが、零番隊の修多羅千手丸であると理解していないエリッタは頭を傾げるばかり。霊王宮ってどこだっけ？　そんな事を考えている彼女に修多羅は近づく。この時、監視していた局員が大慌てになるが修多羅は義手の一本をエリッタに伸ばす。
「抵抗されるのも面倒ゆえ、しばし眠るとよいぞ」
　プシュと手首から色付きの煙が出るやエリッタは気絶するように眠ってしまった。倒れようとする彼女を他の義手で支えると、修多羅は持参した球体の中に入れてしまう。
「黒崎一護の斬魄刀は……マユリの部屋かえ」
　テキパキと動く修多羅は厳重である隊長室の扉をあっさりと開け、一護の天鎖斬月を回収した。

[39 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/22(水) 20:37:08]

展開ダイス

1.死神（副隊長）　2.バンビーズ　3.バンビエッタ＆黒崎一護　4.浮竹十四郎

dice1d4=3 (3)

1の場合

1.大前田 希千代　2.虎徹勇音　 3.雛森桃　4.射場 鉄左衛門

5.伊勢七緒　6.檜佐木修兵　7.松本 乱菊　8.草鹿やちる　9.涅ネム

dice1d9=5 (5)

2の場合

1.リルトット　2.ミニーニャ　3.ジゼル　4.キャンディス

dice2d4=4 2 (6)

[40 二次元好きの匿名さん 25/01/22(水) 21:48:23]

エリッタが霊王宮に？どうするつもりだ？
霊王宮に踏み入れる初の滅却師がエリッタになるとは

[41 二次元好きの匿名さん 25/01/23(木) 07:22:13]

エリッタとアンナは世界観的に同一存在判定されるのだろうか？

[42 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/23(木) 10:47:54]

　霊王宮から天柱輦でやって来た零番隊は早々に、派手な演出をして場の主導権を握った。
　そして霊王の意思という建前で霊王宮へ連行する面々を早々に確保し、その中には黒崎一護と朽木白哉が含まれていた。
「なあ、あの玉の中にいるの……アンナの妹だよな？」
「まあ、そうね。エリッタよ…………誰が名付けたか知らないけど」
　修多羅千手丸の義手が持つ球体の中に、捕虜として捕まっているエリッタ・バスターバインが眠っていた。敵である滅却師を霊王宮へ入れる事に、三界の楔たる霊王は何を考えているのかと思うバンビエッタであった。
「あんたが世話しなさいよ」
「は？　俺が？」
「当たり前でしょ。あたしは霊王宮に連れて行ってくれないんだから、あの三人に子供の世話が出来ると思っているの？」
「……」
　バンビエッタの問いに、一護は朽木兄妹と阿散井恋次をじっと見つめ、彼らに子供の世話が見られるのかと考えれば、すぐに無理という結論に至った一護は人任せを諦めた。
「俺も修業あるはずなんだけどなぁ……斬月打ち直してくれた後でさ」
　霊王宮にある超霊術でも折れた卍解を直す事は出来ない。しかし、斬月に近い斬魄刀を握る機会があると知って一護は霊王宮へ行く事を選んだ。
「あ、そうだ――一護、天鎖斬月をあたしにちょうだい」
「はぁ？　打ち直すのに必要だから斬月を持って――」
「――必要ないわよ」
　一護の言葉を遮るバンビエッタの断言に、彼は母の死とユーハバッハの関係を隠していた時と同じ空気を彼女から感じ取った。
「また、なんか隠しているだろ」
「……隠してないわよ。ただ、あんたにそれを語るのにあたしは不適切だから言わないのよ。で、天鎖斬月くれるの？」
「大丈夫なんだよな？」
「問題ないわよ。でも、覚悟しなさい。あんたが霊王宮で知る事実は、浦原と一心も把握していない事だから」
　またそんな凄い事なのかよ、バンビエッタの忠告に一護は驚いてやらないと内心で決めた。
「ああ、譲る」
「言質は取ったから。後で返せって言っても返さないからねっ」
　とバンビエッタは駆けて、千手丸の持つ球体へ向かい刀身が折れた天鎖斬月を取り出そうとした。案の定、阻止される彼女だったが一護を指差して許可を得ている事を零番隊に示す。
　彼らも持ち主が承諾しているので拒否は出来ない、その結果バンビエッタは天鎖斬月を手に入れる事が出来た。

[43 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/23(木) 10:48:30]

展開ダイス

1.黒崎一護＆エリッタ　2.浮竹十四郎　3.黒崎一心＆黒崎夏梨　4.バンビエッタ＆死神（隊長）　5.死神（副隊長）

dice1d5=5 (5)

4の場合

1.六車拳西　2.狛村左陣　3.卯ノ花烈　4.平子真子　5.京楽春水

6.砕蜂　7.涅マユリ　8.鳳橋楼十郎　9.日番谷冬獅郎

dice1d9=6 (6)

5の場合

1.伊勢七緒　2.射場鉄左衛門　 3.雛森桃　4.大前田希千代

5.虎徹勇音　6.松本乱菊　7.草鹿やちる　8.檜佐木修兵　9.涅ネム

dice2d9=9 1 (10)

>>40　ダイスで当たらなかった場合はエリッタは霊王宮へ行かない展開でした。さすがに修業はしないと思いますがどうなるでしょう？

>>41　現世の科学的に言えば遺伝子レベルで同一の肉体なので歳が離れた双子になります。霊的に視ると霊圧適合率は95パーセント越えなので霊圧だけ視れば同一存在ですが、エリッタの魂魄には手が加えられているので同一存在ではないですね。

[44 二次元好きの匿名さん 25/01/23(木) 17:06:13]

数いる中でもこの先ターニングポイントを迎える副隊長ズをきっちり選出するダイス

[45 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/23(木) 19:44:34]

「零番隊の人達は、あんなに我が強いのでしょうか」
「判断しかねます」
　伊勢七緒と涅ネムは、修多羅千手丸が去った技術開発局の研究室に居た。二人の正面にあるモニターには、エリッタ・バスターバインから借りた円形のペンダントが解析されている最中だった。
「これで見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）へ入れるといいのですが……」
　エリッタから押収した装飾品で、霊力に反応したペンダント。それが見えざる帝国に入る鍵なのか不明だが、手掛かりはそれしかなかった。
「……早期の反撃は難しいのでは？」
「それは――」
　護廷十三隊は大勢の隊士を失い、主戦力の隊長格も少なからず負傷し卍解も使えない状態で敵陣に乗り込むのは自殺行為でしかない。それをネムに指摘され伊勢は返答が出来ず、彼女も滅却師用に新しい鬼道を開発しようと決めたばかりで何の準備も出来ていない。
「――入れる準備はしておいて損はないはずです」
「……そうですね」
　ネムはこちらの準備が整う間に、鍵と思われるこのペンダントが使用出来る保証はないと考えたが、マユリ様なら鍵の仕組みを解析して複製を作ってみせると思った。
「問題は鍵を使う場所が分からない点です。鍵の機能がある以上、どこかに入口があるはず……」
　バンビエッタに訊けば一番早いと思う伊勢であったが、死神側の状況を見て入口を教えてくれない気がした。なぜなら、こちらが動くと黒崎一護が勝手に動く事となるからだ。
「……入口の見当は、マユリ様がもう付けていると思います」
　多忙で徹夜もする中でも、涅マユリは敵が遮魂膜を無視して侵入して来た方法を解明していた。「実に興味深い」と呟いていたので、想定外の侵入方法なのだとネムは思った。
「そうなのですか……じゃあ、本当に隊士たちの回復を急ぐべきですね」
　こういう時に井上織姫の回復術があればと思ってしまう伊勢であったが、死神が現世の人間に頼るのはよくないと考え直す。
「……マユリ様が、昔に開発した回復薬が保存してあります」
「効果のほどは？」
「欠損した四肢や壊死した臓器の復活も確認が出来ています」
　滅却師たちの襲撃で命は助かったが四肢や臓器を失って再起不能になった隊士は多い。その回復薬があれば大勢の隊士が前線復帰出来ると伊勢は期待する。
「四割の確率で、四肢が倍に増えて臓器が巨大化しますが」
「却下です！　破棄して下さい！」

[46 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/23(木) 19:45:11]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆死神（隊長） 2.四楓院夜一＆握菱鉄裁　3.浮竹十四郎　4.バンビーズ

dice1d4=1 (1)

1の場合

1.日番谷冬獅郎　2.六車拳西　3.卯ノ花烈　4.砕蜂　5.鳳橋楼十郎

6.平子真子　7.狛村左陣　8.京楽春水　9.涅マユリ

dice1d9=5 (5)

4の場合

1.ジゼル　2.ミニーニャ　3.リルトット　4.キャンディス

dice2d4=3 4 (7)

>>44　こういう時だけ出目が良くなるダイス、一護が戦う時にもこれくらい出目良くなってくれたらいいのに。

[47 二次元好きの匿名さん 25/01/24(金) 06:13:03]

ほ

[49 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/24(金) 14:23:44]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆握菱鉄裁　2.浮竹十四郎　3.死神（隊長）　4.黒崎一護＆エリッタ

dice1d4=2 (2)

3の場合

1.平子真子　2.狛村左陣　3.京楽春水　4.涅マユリ

5.日番谷冬獅郎　6.六車拳西　7.卯ノ花烈　8.砕蜂　9.鳳橋楼十郎

dice2d9=7 5 (12)

[50 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/24(金) 14:25:36]

「なんで折れた斬魄刀を、彼から貰ったんだい？」
　零番隊が黒崎一護たちを連れて霊王宮へ戻るため、志波邸へ向かう彼らを見送ったバンビエッタと隊長たちは解散する中、鳳橋楼十郎がバンビエッタに質問した。
　滅却師が斬魄刀を持っても始解や卍解が使えるはずがない。しかも卍解状態で折れているのだからなおさら貰う意味が解らない。
「……教えないわよ」
「つれないね。ボクらはもう一蓮托生じゃないか？」
　バンビエッタは敵主力の能力を教えたので、見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）から裏切り者扱いになのは確実のため、死神の仲間になったも同然と鳳橋は暗に言った。
「それで、君はこれからどうするんだい？」
「――現世に帰るわよ。尸魂界でやる事ないし、あいつらに闇討ちされる可能性もあるから」
　裏切り者に厳しい滅却師たちが多いので、バンビエッタは長時間尸魂界に滞在する訳にはいかなかった。
「ボクが送ろうか？　地獄蝶付きの死神がいれば穿界門も通れて、早く現世に帰れるよ」
「遠慮するわ。あんたはもっと技の練度を高めるべきじゃない？」
　鳳橋の思惑が判らないバンビエッタはとりあえず早足で彼から離れ始めるも、彼は普通に追って来る。
「そう言わずに、ね」
「あんた。何が訊きたいわけ？」
「――どうしてAが抜けているんだい？」
　鳳橋の質問にバンビエッタは足を止める。彼女が教えた敵の固有能力がアルファベット対応と言いながらAが無い事に他の隊長たちも気付き、意図的に隠していると予想した。
「Aは知ったとしても理解と対策しようがないからよ」
「涅隊長や喜助でもかい？」
「頭脳の問題じゃないの……聖文字（シュリフト）Aは、零番隊に封印された陛下の能力よ」
　バンビエッタの言葉に鳳橋はやっぱりと思った。わざわざ伏せるのだから敵陣の重要人物が持っていると考えていたからだ。
「そんなに強力な能力なら、なおさら共有するべきじゃあ……」
「絶望するのが目に見えてるのに？　気を遣ってあげているのが分からないの？」
　とバンビエッタに冷たく言われ、ユーハバッハの聖文字Aは絶望するほど強力なのかと鳳橋は緊張するも彼は情報を求めた。
「せめて能力名くらいは教えてほしいな」
「はぁ――全知全能と書いてジ・オールマイティよ」
「全知全能……名前からして強そうだ」
「さらに陛下自身の強さが加わるんだから、本当に絶望すると思うわ」

[51 二次元好きの匿名さん 25/01/24(金) 16:52:29]

聖文字の能力は開示したか、わかったところでどうこう出来るかどうかはわからないが
まぁLやZのくらったらほぼ終わりみたいなのを先に知れただけでも良いか

[52 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 00:06:10]

「……無事に霊王宮へ向かったか」
　浮竹十四郎が見上げる空には、一筋の白煙が描かれていた。それは零番隊と黒崎一護たちを乗せた天柱輦が、志波邸の花鶴大砲で打ち上げた痕跡だった。
「俺も覚悟を決めないといけないな」
　もしも霊王宮へユーハバッハがたどり着いた時、霊王は確実に殺されると読む浮竹は無意識に己の胸を触る。不治の肺病を抑えてくれている霊王の恩恵を、霊王へ還す時が来たと『神掛』を決めた彼には、先にしておく事があった。
　……殺されるかもしれないな。
　深呼吸をした浮竹は歩き出し、志波邸へと向かった。
　霊圧を抑える必要はない、向こうも自分の霊圧を察知しているはず。開口一番に何を言うべきかと悩む浮竹の前に拓かれた草地が広がる。
　ようこそ志波空鶴邸へ、と書かれた横断幕を支える志波岩鷲の石像とその下に建つ民家――そして、民家の玄関前で顔を俯きながら立っている、初代死神代行・銀城空吾。
「銀城……」
　浮竹は彼の名を呟くも、銀城は無言のまま立ち続ける。しかし俯いても感じ取れる銀城の霊圧が浮竹に対する憎悪の深さを物語っていたが、彼はそれに抗う事なく受け入れた。
　自分は代行証を発案し、善良であった死神代行を監視し制御していた……それは銀城が向けていた護廷十三隊に対する信頼と信用を大きく裏切る行為、そこに大貴族の意向があっても最終的に承諾したのは自分だからだ。
　浮竹は腰に差していた斬魄刀を草地に置くと、そのまま銀城へと近づいて行く。
「何のつもりだ、浮竹」
「謝罪するべき相手を前に、謝る側が武器を持っていたらおかしいだろ？」
　顔を上げ敵意の視線を刺す銀城に、浮竹は普段通りの返答を返し彼の一メートル手前で足を止めると、その場で正座し銀城に頭を下げて土下座した。
「――すまなかった！　銀城っ！　お前の信頼を裏切り、代行証で監視していたこと。加えて、お前の遺骸を敵に奪われた事を、今ここで謝罪する！」
「ッ、全て話せっ！」
「ぐっ」
　感情を発露させた銀城だが、居候する家の主から自分の土地で流血沙汰はするなと釘を刺されているため、浮竹を斬りたい衝動を抑えつつも土下座する彼の頭を踏みつけた。月島秀九郎を同席させなかったのは、彼の口から当時の情報を直に聞きたかったからだ。
「あぁ、俺の知り得る全てを話す」
　後頭部を踏み付けられても浮竹は土下座を崩す事なく、当時の事を語り始めた。

[54 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 00:07:28]

展開ダイス

1.ユーハバッハ＆ハッシュヴァルト　2.黒崎一護＆エリッタ　3.浮竹十四郎＆銀城空吾　4.バンビエッタ＆黒崎一心

dice1d4=1 (1)

3の場合

1.草鹿やちる　2.檜佐木修兵　3.涅ネム　4.雛森桃　5.大前田希千代

6.虎徹勇音　7.伊勢七緒　8.射場鉄左衛門　9.松本乱菊

dice2d9=3 2 (5)

[55 二次元好きの匿名さん 25/01/25(土) 08:54:31]

浮竹隊長は銀城と顔を合わせて謝罪する場を設けられたことがせめてもの慰めよな

[56 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 13:33:31]

　銀架城。
　ユーハバッハは帝室の椅子に座り、天井を仰ぎ見ていた。
「やはり、すぐには回復せぬか」
　バンビエッタとの戦闘で一瞬だけ開眼させた眼、その副作用とも言える視力の喪失は一夜明けても元に戻る事はなかった。幸い視力喪失は片目だけなので、活動には何の問題もなかった。だが、力の九年が終わる前に二度目の開眼をすれば、両目の失明は避けられないと悟っていた。
「御休みのところ失礼します――陛下、ご報告が」
「どうしたハッシュヴァルト」
　石田雨竜を見えざる帝国に連れて来たまでは報告で把握していたユーハバッハは、ハッシュヴァルトの報せは大方零番隊が霊王宮から瀞霊廷に降りて来た事だと予想した。
「早朝、零番隊が護廷十三隊と接触しました」
「想定内だな――零番隊は、黒崎一護を連行したか？」
　特記戦力・兵主部一兵衛の性格を考慮すれば、黒崎一護を霊王宮で鍛えて次代の霊王に据えようと動くのは自然な流れ。皇帝の指摘にハッシュヴァルトは頷く。
「はい、黒崎一護の他に朽木白哉、朽木ルキア、阿散井恋次を連行対象としました」
「ほう……」
　黒崎一護と縁が深い者まで霊王宮に連行したのは、彼を霊王に据えた後の近衛にするつもりだろうとユーハバッハは予想した。
「それと捕縛されていたエリッタ・バスターバインも霊王宮に連行されました」
「なんだと……零番隊は何を考えている……」
　捕虜のエリッタまで連行されるのはユーハバッハにも予想外で、その理由がすぐに思い至る事が出来なかった。
「申し訳ございません。即時の回収をするべきでした」
　エリッタの上官であるハッシュヴァルトは頭を下げて謝罪する。死神に捕まる自体粛清ものの失態、聖兵に回収する方法もあったのにそれをしなかったのは、自分の落ち度と解っていたからだ。
「よい、石田雨竜を優先させた結果だ。娘一人動いたところで、計画に何の支障もない」
　元からエリッタに何か為せると期待していないユーハバッハは、早々に彼女を切り捨てる事を決めた。霊王に何が見えていようとも、楔として物言わぬ存在に成り果てた者に未来を作る事は出来ない。
「――ハッシュヴァルト。第二侵攻時、バンビエッタが再び同じ手を取る可能性がある。聖章騎士の出撃を分散させろ」
「承知しました」
　二度も同じ手をやらせないと、ユーハバッハは戦力分散を選んだ。それが吉と出るか彼にも分からなかった。

[57 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 13:34:04]

展開ダイス

1.浦原喜助　2.黒崎一護＆エリッタ　3.バンビエッタ＆有沢竜貴　4.死神（隊長）　5.四楓院夜一＆仮面の軍勢

dice1d5=5 (5)

4の場合

1.京楽春水　2.涅マユリ　3.平子真子　4.狛村左陣　5.日番谷冬獅郎

6.鳳橋楼十郎　7.六車拳西　8.浮竹十四郎　9.卯ノ花烈　10.砕蜂

dice1d10=3 (3)

5の場合

1.猿柿ひよ里　2.有昭田鉢玄　3.矢胴丸リサ　4.愛川羅武

dice1d4=1 (1)

>>55　銀城が簡単に許してくれるとは思えませんが、それでも誠意は見せられて良かったです。

[58 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 19:18:02]

「ふーん……えらい被害出とるな」
　仮面の軍勢（ヴァイザード）のアジトを訪れた四楓院夜一は浦原喜助の代理で、彼らに瀞霊廷が滅却師に侵攻された事とその大き過ぎる被害を伝えた。
　猿柿ひよ里は腕を組んで、あまり興味がないような感想と態度を見せた。
「で、ウチらに何してほしいんや？」
「霊王宮まで侵攻された場合、追うために大勢を霊王宮へ移動させるだけのエネルギーを集めてほしいらしい」
「――あれがそうなんか」
　黒猫状態の夜一が視線を斜め上に向け、つられて猿柿も視線を上に向ける。アジトの二階部分には小さな空間の歪みがあり、それは滅却師たちによる虚の大量消滅と同時期に発生したもので、うかつに触れるのは危険と放置されていた。
「みたいじゃのう。道具の準備が出来たら、お主らに喜助か涅の名で荷物が届く。それでエネルギーを集め――」
「気ぃがのらん！　なんでウチらがやらなあかんのや！」
　夜一の言葉に猿柿が拒否の姿勢を見せて、他の仮面の軍勢が呆れ顔を作った。夜一も一瞬唖然としたがすぐに面倒くさい表情に変わる。
「そう言われてものぅ、儂もこれから動かんとならんし……お主ら――暇人じゃろ？」
　矢動丸リサは死神相手に現世の書籍を扱って一財産を築き始めているが、他三人はそうでもないのが彼女の印象だった。
「ウチらをニート集団みたいに言うなや！　ウチはアルバイトしとるわ！！」
　夜一の言葉に猿柿は強く噛みつくも、傍観している他の三人は「嘘つけ」と内心で指摘したがそれを言うと自分たちにも被害が及ぶので沈黙を続けた。
「しかしのう、霊王を殺される事態になると現世も崩壊しアルバイトどころの話ではなくなるぞ？」
「そうなる前に何とかするのが、護廷十三隊――死神やろ！」
「まあ、そうなんじゃが……」
　怒鳴る猿柿の正論に夜一も強く言い返せなかったが、敵戦力は護廷十三隊を凌駕しているからこそ霊王を護る零番隊まで動いているのに、非協力的な元死神の猿柿の姿勢には内心で呆れるしかない。
　これは儂の言葉では動かないと考えた夜一は、尸魂界に居る平子真子に説得を任せた方がいいと判断した。
「はぁ、お主だけ傍観を貫くなら仕方ないのう」
「なっ！？　んな事言うてへんやろ！」
「よいよい。儂もやる気のない者に強制は出来ん――またの」
　と夜一は猿柿を煽ってから、自慢の俊足でさっさと商店に帰って行った。

[59 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/25(土) 19:18:27]

展開ダイス

1.麒麟寺天示郎＆エリッタ　2.聖章騎士　3.黒崎一護＆阿散井恋次　4.バンビエッタ＆有沢竜貴

dice1d4=1 (1)

2の場合

1.ナナナ　2.ミニーニャ　3.BG9　4.ハッシュヴァルト

5.マスキュリン+ジェイムズ　6.エス・ノト　7.キャンディス　8.ニャンゾル

9.ジェラルド　10.ロバート　11.アスキン　12.ジゼル　13.蒼都

14.リジェ　15.ぺぺ　16.リルトット　17.バズビー

dice2d17=5 17 (22)

[60 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 00:27:13]

　零番隊と共に霊王宮へやって来た黒崎一護たちは、まずは傷を癒すため回道の生みの親である東方神将『泉湯鬼（せんとうき）』麒麟寺天示郎の離殿『麒麟殿』で湯治をする事になった。
「おふろ、でっかーい！　すご～い！！」
　全裸のエリッタ・バスターバインは、麒麟殿の巨大露天風呂を見て大声で感嘆の声を上げた。自分が死神の敵側で捕虜である事など完全に忘れた子供のリアクションに、自分の湯殿を喜ばれた麒麟寺は満更でもない表情になりながら、口に銜えたキセルを動かす。
「ほれ、手拭いを頭に乗せな。これがここのマナーだ」
　と麒麟寺は折り畳んだ手拭いを彼女の頭に乗せる。
「マナーは大事って、ミニー姉さま言ってた。ねえねえ、あれなに？」
　エリッタが指差したのは巨大な竹筒で作られた鹿威し（ししおどし）。見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）になく、現世の知識も乏しいので彼女の興味を惹いた。
「ありゃ鹿威しだ――デケェだろ？」
「うん、でかい！」
　とエリッタが答えると、お湯を限界まで溜めた竹筒が上下に動き支持台を叩きカコーンと大きな音を立てた。
「おっきな音！　カコーンっていった！」
「おう、この音を聴きながらじっくり湯に浸かる――それが風流ってもんだぜ。ほれ、裸で寒いだろ湯に入れ」
　鹿威しにはしゃぐエリッタに上機嫌の麒麟寺は、湯に入るよう勧める。彼の露天風呂は二種類あり、一つは白色の湯で身体から血と霊圧を絞り出す『白骨地獄』と、赤色の湯で血と霊圧を補充する『血の池地獄』があった。これらを交互に入る事でどんな傷も癒すのが麒麟寺の治療方法だった。
「はーい……シャンプーないの～？　おふろに入る前に体をあらうんだよ？」
「気にすんな、俺の湯殿じゃあそのまま入っていいんだよ。見ろ、あそこの連中なんざ包帯付けたまんま入ってやがるぞ」
「ほんとだー」
　麒麟寺の見る先には、先に彼の舎弟によって湯に放り込まれた一護たちがいた。彼らは俺たちがマナー無い奴みたいな言い方は辞めろと、無言の訴えが飛んでいたが麒麟寺は無視した。
「血が出てる、お湯がよごれちゃうよ？」
「心配いらねぇ。かけ流しの湯で湯船の外へ流れ出るからな。ほれほれ、入れ。手拭い頭から落とすなよ？」
　麒麟寺は彼女の背中を押し、入浴させて自分も浸かる。
「気持ちいー」
　肩まで浸かるエリッタのふやけ顔を他所に、麒麟寺は難しい表情を浮かべていた。

[61 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 00:27:56]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆浅野啓吾　2.京楽春水＆伊勢七緒　3.死神（隊長）　4.銀城空吾＆月島秀九郎　5.黒崎一護＆エリッタ

dice1d5=1 (1)

3の場合

1.涅マユリ　2.平子真子　3.狛村左陣　4.日番谷冬獅郎　5.浮竹十四郎

6.卯ノ花烈　7.砕蜂　8.更木剣八　9.鳳橋楼十郎　10.六車拳西

dice1d10=9 (9)

[62 二次元好きの匿名さん 25/01/26(日) 09:10:16]

アンナはしれっと学校通っているんだろうか

[63 二次元好きの匿名さん 25/01/26(日) 10:46:34]

アンナ以外の現世組は成績いい方だし多少欠席しても問題ないがアンナはなぁ

[64 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 12:47:54]

「――おはよう、啓吾」
　尸魂界から現世に戻って来たバンビエッタは、黒崎家に戻ると制服に着替えて昼前に学校へ登校した。休んでも良かったが、急ぎの要件もないので彼女は登校を選んだ。
「あれ、アンナちゃん？　今日は一護と一緒に休むって水色から聞いたけど？」
　廊下で出くわした浅野啓吾に挨拶すると、彼から自分が欠席扱いになっていると知ったバンビエッタは適当な事を小島水色に伝えた黒崎一心へ溜息を吐く。
「時間が出来たから来たのよ。それに、あたしは雨竜や織姫みたいに優等生じゃないから気軽に休めないでしょ？」
「そうだよなー。アンナちゃん一護より成績悪いし、水色といい勝負――あびんっ！」
　バンビエッタは無言で浅野の脛を蹴り、彼を黙らせる。成績の面で黒崎一護たちに勝つのは無理と諦めているのが、それを他人に言われる事に我慢ならなかった。
「余計な言葉が多いわ――雄弁は銀、沈黙は金って言葉を知らないの？」
「す、すんません……あの、一護たちは向こうにいるんで？」
　低姿勢の舎弟状態になった浅野は、バンビエッタに一護たちの行方を訊ねる。
「そうよ。しばらくは帰って来ないわよ、多分、修業とかする事になるから」
　一護の修業内容よりも、バンビエッタは死神と滅却師の全面戦争が六月下旬の期末テストまでに終わるのか不安だった。戦争の進み具合は、ユーハバッハの心次第の部分があったからだ。最悪、テストのために離脱も考えないといけない――それだけ、高校三年のテストは重要だからだ。
「そうすか……また危ないことしてんのかな」
　浅野の呟きに、あたしの古巣と戦争しているとはとても言えないバンビエッタは聞かない事にした。
「大丈夫よ。怪我しても織姫が治すから……ところで雨竜は見た？」
「え、石田？　今日は見てないなぁ。一護たちと一緒じゃないの？」
　浅野の中で石田雨竜は茶渡泰虎と同じ黒崎一護とセットの印象があったため、別行動だったのが意外だった。
「あいつだけこっちに残ったのよ。そう……まあいいや」
　もしかしたら、担当死神不在の空座町で虚退治に出向いている可能性が過ったバンビエッタは、雨竜に尸魂界の現状を教えるのを後回しにすると決めた。
「そうだ。啓吾、昼休みに購買部であたしの分のパンも買って来てね」
「ええ～」
「しょうがないでしょ。弁当を作る時間なかったんだから、返事は？」
「は～い」

[65 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 12:48:19]

展開ダイス

1.死神（隊長）　2.朽木ルキア＆エリッタ　3.バンビーズ　4.バンビエッタ＆有沢竜貴　5.京楽春水＆卯ノ花烈

dice1d5=1 (1)

1の場合

1.日番谷冬獅郎　2.六車拳西　3.浮竹十四郎　4.涅マユリ

5.狛村左陣　6.更木剣八　7.砕蜂　8.鳳橋楼十郎　9.平子真子

dice1d9=3 (3)

3の場合

1.ジゼル　2.キャンディス　3.リルトット　4.ミニーニャ

dice2d4=2 3 (5)

>>62　バンビちゃんは現在学生で平日ですから登校は仕方ないかと。

>>63　一応水色といい勝負くらいの学力はあります。あれだけ忙しくも好成績を維持する石田と井上がおかしいのです。

黒崎アンナ（バンビエッタ）の中間テストの結果。

国語　dice1d100=34 (34)　数学　dice1d100=10 (10)　理科　dice1d100=60 (60)

英語　dice1d100=5 (5)　社会　dice1d100=63 (63)

最低保証点数　dice1d100=11 (11)

赤点　dice1d55=3 (3)　以下

[66 二次元好きの匿名さん 25/01/26(日) 16:43:03]

折角の最低保証点数が低いのもつらいがテストの点数もダイスがふるわない
ある意味ダイスが空気読んでるとも言えるが

[67 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 19:49:31]

「――ここへ最後に来たのは、何百年前だったか」
　銀城空吾に謝罪するも、赦されはしなかったが命は見逃された浮竹十四郎は『神掛』を行う場として、東流魂街七十六地区『逆骨』にある御堂を訪れていた。
　その御堂には土着神『ミミハギ様』の仏像が祀られ、その姿が暗闇に隠れないように常にロウソクの火が灯っていた。
　浮竹は御堂の引き戸を開けて中央に置かれた仏像を見上げる。ミミハギ様の見た目は右腕そのもの、手の甲に一つの目と羽衣と着物を着ていた。そんな異形の姿をしている理由は、ミミハギ様とは太古に落ちてきた霊王の右腕と言われているからだった。
「……少し埃っぽいな」
「たーいちょ～う！」
「浮竹隊長～！！」
「仙太郎？　清音？」
　自分と朽木ルキアが不在の間、十三番隊を任せていた三席の虎徹清音と小椿仙太郎が逆骨に現れた事に、浮竹はやや驚きながら御堂の外へ出る。
「どうしたんだ二人共、そんなに慌てて？　いや、よくここが判ったな」
「隊長、伝令神機を隊長室に置いたままで……」
「――二代目総隊長が、京楽隊長に決まりました！　あと隊長の霊圧を探すなんて、あたしには朝飯前です！！」
「く、俺のセリフを……」
　清音の発言から京楽春水が総隊長に選ばれた事に浮竹は目を大きく見開き、すぐに微笑を浮かべ彼が選ばれた事に納得した。
「そうか……」
　一番の友人が総隊長として護廷十三隊を率いる姿を長く見られない可能性を悲しみつつ、浮竹はこの二人には先に告げておこうと思った。
「清音、仙太郎――俺は神掛と呼ばれる儀式を、この御堂で行うつもりだ」
「かみかけ？　ですか？」
「あぁ、今後の展開に備えてな。このまま行うつもりだったが、少し中の掃除をしようと思っていたところだ」
　埃で咳き込み祈祷を中断するのはまずいと、浮竹は御堂の清掃をしてから神掛を行う事に決めた。
「なるほど、埃が多そうですもんね――分かりました！　箒と塵取り持って来ます！」
「お、俺も雑巾と桶を持ってきますんで！」
　清音と小椿は、我先に瀞霊廷へとんぼ返りしてしまった。
「俺も隊舎に戻るから一緒に……もう聴こえていないか」
　御堂のロウソクも補充し、最後になるかもしれない隊士たちの顔を見ておこうと考えていた浮竹は自分を置き去りにして隊舎に戻ってしまった二人を追うように、一人で歩くのだった。
「……朽木、もしもの時は十三番隊を任せたぞ」

[68 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 19:50:07]

展開ダイス

1.黒崎一護＆エリッタ　2.京楽春水＆卯ノ花烈　3.麒麟寺天示郎＆数男＆数比呂　4.聖章騎士　5.バンビエッタ＆有沢竜貴

dice1d5=4 (4)

4の場合

1.リルトット　2.エス・ノト　3.ナナナ　4.BG9

5.リジェ　6.ぺぺ　7.ニャンゾル　8.ハッシュヴァルト　9.バズビー

10.ジェラルド　11.蒼都　12.ジゼル　13.ロバート

14.アスキン　15.キャンディス　16.マスキュリン+ジェイムズ　17.ミニーニャ

dice2d17=14 14 (28)

>>66　この手のダイスをやるとバンビちゃんにいい出目が出ないので、数字に嫌われている気がしてなりません。もうこの手のダイスはやらない方がいいと言われている気が。

[69 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 19:51:40]

＋もう一名　dice1d17=15 (15)

[70 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 23:53:48]

「……やっぱりさ、無垢で明るい子がいなくなると寂しくなるもんだねェ」
「人を茶に誘っておいて、いきなり他の奴を話題に出すとか頭おかしいんじゃねえの！？」
　銀架城、アスキンとキャンディスは珍しく二人でカフェオレを飲んでいた。もちろん誘ったのは彼の方だったが、早々に霊王宮へ連行されたエリッタ・バスターバインの事を話題に出した。
「けどさ、実際バンビーズの面々は寂しいと思っているだろ？」
「……別に寂しいとか思ってねえし！　だいたいあいつ、バンビのコピーだぞ！」
「そういうなよ、可哀想じゃないの。俺は無二の個性として認めるね」
　聖章騎士内でエリッタの正体が、バンビエッタのコピーである事は周知されていた。ただ、作られた理由を知る聖章騎士は未だにハッシュヴァルトと彼女の誕生に関与したグレミィのみ。
「そーかよ。オシャレってか」
　キャンディスは不機嫌のままカップのカフェオレを飲む。まだ一日しか経過していないのに寂しいも何も思っていないのは本当だったが、エリッタの身は人並みに心配していた。
「あ～そういう考えも出来るな、オシャレ……オシャレなのか？」
「あたしが知るか」
　喉が渇いていたからアスキンの誘いに乗った事を後悔しつつ、キャンディスはまたカフェオレを飲む。
「しかし、敵を霊王宮に連行とか霊王って奴は何を考えているのやら……エリッタが黒崎一護を懐柔してこっちに付かせたら、戦いが凄く楽になるんだけどねェ」
「……しないと思うぞ？」
　エリッタは指示をよく聞き仕事を頑張る頑張り屋の長所があるものの、指示がないとすぐに自由行動をする短所があり、そもそも子供の知能で敵を味方に引き込むという考えは思いつかないとキャンディスは思った。
「逆に懐柔される可能性が高いぞ」
　黒崎一護はエリッタのオリジナルであるバンビエッタを懐柔した実績がある。世間知らずの子供と敵にも甘い優男が出会えば、無垢なエリッタは親に甘える子犬の如く黒崎一護に懐いてしまう可能性が高かった。
「――そうなった時、バンビーズはどう動くんだ？」
「んなの決まってんだろ――処刑でしょ」
　キャンディスはアスキンに断言するも、本当にそんな場面に出くわしたら処刑よりも先にリルトットかミニーニャの説得が入ると予想した。
「怖い怖い。だからバンビーズは致命的に恐れられるんだぜ」
　アスキンは女の制裁は容赦がないと強く思った。

[71 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/26(日) 23:54:18]

展開ダイス

1.兵主部一兵衛＆麒麟寺天示郎　2.バンビエッタ　3.京楽春水＆死神（隊長）　4.朽木ルキア＆エリッタ　5.黒崎一心

dice1d5=4 (4)

3の場合

1.更木剣八　2.鳳橋楼十郎　3.狛村左陣　4.六車拳西

5.浮竹十四郎　6.日番谷冬獅郎　7.平子真子　8.涅マユリ　9.砕蜂

dice1d9=4 (4)

[72 二次元好きの匿名さん 25/01/27(月) 08:28:58]

最終局面に入ってからエリッタのダイス運が強い
自身の生存がかかっている可能性もあるからスポットが当たりやすいように可能性を引き寄せているようだ

[73 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/27(月) 12:52:42]

「すずしいー」
　エリッタ・バスターバインは、『麒麟殿』の湯殿に用意された長椅子に横たわって涼んでいた。体が小さい彼女は十時間近い入浴でのぼせたので、隣に座る朽木ルキアが斬魄刀・袖白雪の冷気で彼女の体を冷ましていた。
「……大丈夫か？」
　斬魄刀の能力で涼を取るのは間違っていると思うルキアであったが、敵とはいえ子供のためだから赤い湯に浸かる義兄も咎めはしないはずと思いながら、彼女はエリッタを心配する。
「……氷食べたい」
「う、うむ。分かった」
　湯殿には水分が十分あったのでルキアは斬魄刀を振り、宙に小さい氷を作ってエリッタの口に入れる。エリッタは瀞霊廷へ侵攻し多くの隊士を殺めた一党の一人だが、恩があるバンビエッタの身内なので厳しい対応が出来なかった。
「シャリシャリしておいしー」
「そ、そうか。もう一つ食べるか？」
「うんっ」
　素直なエリッタの返事に、ルキアも麒麟寺同様まんざらでもない表情を作り、自分も実の姉に対してこんな風に甘えた態度が出来ただろうかと考える。
　朽木ルキアの実姉・緋真。どういう縁か朽木白哉の妻になるも病弱のため早々に逝去してしまい、赤ん坊の頃に別れてしまったルキアは写真でしかその顔を知らない。
　シャリシャリと口の中で氷を砕くエリッタの姿を、あり得たかもしれない可能性の自分を重ねるルキアだったが、すぐにやはりこんなに甘えるのは無理と思った。
　それは朽木家の厳しい教育を受けた自分だからで、流魂街で生活し阿散井恋次らと共に盗みをしていた頃の自分なら想像が出来たのではと考え、大人になった事が少し寂しいと思った。
「……エリッタ」
「なーに？」
「その、仲の良い者はいるのか？」
　子供に語れる話題が乏しいルキアは、エリッタに星十字騎士団の内情を訊く事にした。
「うんっ、えーと、リル姉さま、ミニー姉さま、キャンディ姉さま、ジジさん、アスキンかな？」
「ほう……普段どんな事をしているのだ？」
「えっとね――色々、訓練とか姉さまたちとお茶会するよ」
「ふむ、女子会というものか」
　ルキアは死神も滅却師も女子が集まればやる事は同じと思った。
「ジジさんがね、よくだきつくけどひんやりしているから好き」
「うん？　ジジとは男性ではないのか？」
「そうだよ。でもそれを言うのは禁句だから言っちゃダメなの」
　ジジとやらには複雑な事情がありそうだとルキアは思った。

[74 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/27(月) 12:53:18]

展開ダイス

1.バンビエッタ　2.京楽春水　3.黒崎一心　4.兵主部一兵衛＆麒麟寺天示郎　5.死神（隊長）

dice1d5=2 (2)

5の場合

1.狛村左陣　2.卯ノ花烈　3.更木剣八　4.浮竹十四郎　5.鳳橋楼十郎

6.六車拳西　7.砕蜂　8.涅マユリ　9.平子真子　10.日番谷冬獅郎

dice1d10=9 (9)

[75 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/27(月) 17:53:07]

「山じい……希望通り、ボクが二代目の総隊長になったよ」
　夜中、二代目総隊長となった京楽春水は四番隊隊舎の遺体安置室を訪れ、面布を被せた山本重國の遺体を前に盃を置き、持参の酒瓶から酒を注いだ。
「出来ることなら、山じいから直接ボクを推薦してほしかったよ」
　見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）に死体を操る能力者がいるため、山本の遺体には隠密機動が二十四時間体制で見張っていたため、京楽は泣き言が言えなかった。
「それはそうと、七緒ちゃんと沖牙さんを副隊長にしちゃったけど問題ないよね？」
　京楽は四十六室に対して副隊長を二人置く事を告げた。一人は一番隊の実務を熟知している沖牙源志郎三席と自分の扱いを心得ている伊勢七緒、四十六室は二人体制に反対するも任命権を理由に黙認させた。
「……卯ノ花隊長には悪い事をしちゃったよ」
　彼は総隊長としての初仕事として、更木剣八に斬術を教える事を決めた。その昔に山本が更木に剣術を教えた時は四十六室の横槍から一日で終わってしまったが、滅却師によって瀞霊廷は大きな傷を負った現状だからこそ、更木剣八の戦力は重大で強化は必須。
　更木の暴走を警戒している四十六室も、現状は理解しているので京楽の提案を強く拒否が出来なかった。
　そして更木の斬術指南役に京楽が選んだのは、初代護廷十三隊十一番隊隊長・初代『剣八』卯ノ花烈こと卯ノ花八千流（やちる）。
「この件で初代護廷十三隊の隊長は全員が退く事になるだろうけど、瀞霊廷のためだ」
　剣八対剣八の戦いが、指南なんて優しい表現で終わるはずもなく、どちらかの命が尽きるまで戦う殺し合いになるのは解っていたのに、それでも京楽は卯ノ花を指南役に任命した。
「ボクの決断――認めてくれるかい、山じい？」
　京楽の瞳に映る山本重國の幻影は、こちらを見て何も言わずに佇むのみ……それを死者が語る事はない生者のお主が決めればよい――と受け取った。
「はぁ……山じいの幻を見るなんて、今のボクはちょーっと飲み過ぎちゃったみたいだ」
　総隊長の重圧から飲酒量が増えない事を願いつつ、酔い潰れた時は七緒ちゃんに全部を任せようと決めた京楽は、尊敬する師の遺体に背を向けて歩き出した。
「それじゃあ、山じい。今度会う時は隊葬で――お酒は好きに飲んでくれていいよ」
　安置室の扉を開いた時には、京楽は二代目総隊長の面構えに変わっていた。

[76 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/27(月) 17:53:28]

展開ダイス

1.黒崎一護＆エリッタ　2.兵主部一兵衛＆麒麟寺天示郎　3.バンビエッタ＆黒崎夏梨　4.石田雨竜

dice1d4=2 (2)

[77 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 00:11:22]

「お～い天示郎、調子はどうじゃぁ？」
　真夜中、兵主部一兵衛は『麒麟殿』を訪れていた。血生臭い坊主の来訪にキセルを吹かしていた麒麟寺天示郎は機嫌が悪くなる。自分の湯でも落ちない血塗れ坊主が陽気な声でやって来て気分が良くなるはずがなかった。
「……どっちのだぁ」
「無論、一護たちの方じゃ。おんしの調子を聞いてもしょうがなかろう」
「はぁぁ～、一護は午前中には完治すると思うぜ。ありゃあ、虚の再生力が少なからず働いてやがるな。朽木兄妹は早くても明日の午後、赤頭は明後日の朝だろうな」
「そうかそうか、桐生には食事の準備をするよう伝えておこう」
　兵主部は治療が順調な事に頷き、豊かな黒ひげを撫でる。一方で麒麟寺の表情は硬く、彼の脳裏にはエリッタの姿が浮かんでいた。
「度合いで言えば一護の野郎より、あのチビの方が重篤だぜ」
「うん？」
　麒麟寺は入浴前にエリッタの体に触れた時、独自の霊術で彼女の内側を探りほぼ全ての臓腑の形がおかしくまた尋常でないほど弱り、生命維持装置無しで普通に活動しているのか分からないレベルの重篤具合だった。
「察するに、あのチビの正体は――現世風に言えば、バンビエッタ・バスターバインの複製（クローン）だ」
「ふむ、出自はともかく、おんしの事じゃから治したのじゃろう？」
　麒麟寺の回道を認める兵主部の言葉に、彼は整えたリーゼントを掻き難しさと苦々しさの混じった表情を浮かべた。
「俺の湯で臓腑は賦活させたが、全快は無理だ」
「ほう」
　麒麟寺から治療関係で「無理」が聞けた事に兵主部は珍しいと思った。
「全快させるなら五臓六腑の交換は必須だぜ。そこまでいくと回道の分野じゃねえ、科学者の領域だ」
「そうか……」
　麒麟寺の説明を聞き、兵主部はエリッタの生命維持に霊王の部位が関係していると予想した。霊王の神経を持つ者を複製した事で霊王の神経も複製され、神経が司る『調和』の力が脆弱奇形の臓腑を奇跡的な働きで命を繋いでいるのだと。
「複製など出来るはずがないんじゃが……ユーハバッハはどうやったのやら」
「ぁ？」
「――解った。千手丸にはわしから相談しておこう。霊王に会う者が不健康ではいかんからのう」
　エリッタが連行された理由は、数奇な出自の黒崎一護も出来ない霊王との面会だった。
「会話も出来ねぇのに、霊王サマは何を考えているんだが」
「それこそ、神のみぞ知るじゃぞ」

[78 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 00:11:47]

展開ダイス

1.浦原喜助　2.死神（隊長）　3.阿散井恋次＆朽木白哉　4.黒崎一護＆エリッタ　5.バンビエッタ＆小島水色

dice1d5=4 (4)

2の場合

1.日番谷冬獅郎　2.平子真子　3.卯ノ花烈　4.浮竹十四郎　5.砕蜂

6.涅マユリ　7.鳳橋楼十郎　8.六車拳西　9.更木剣八　10.狛村左陣

11.京楽春水

dice1d11=10 (10)

[80 二次元好きの匿名さん 25/01/28(火) 08:19:50]

ある意味複製が出来ない理由を知らなかったから出来たと言うべきかＶも大概だしなぁ

[81 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 12:49:55]

　黒崎一護は驚異的な治癒力を発揮し、湯治を始めてから三十二時間ほどで完治に至った。
　完治すればここに居る必要はないと、麒麟寺天示郎から言われ彼は次の離殿へと移動する事になった――エリッタ・バスターバインと一緒に。
「ムキムキ～」
「鍛えているからな」
　腹筋が割れた腹をペタペタと触ってくるエリッタに、チャドの腹筋を見たらどんな反応をするのか気になりつつも死覇装を羽織る。
「姉妹だけあって、小さい頃のアンナとスゲー似てるな」
　髪型や目の大きさが違うもののエリッタの容姿がバンビエッタに酷似しているのは、彼女が複製体だから当然の事だが一護はそれを知らない。
「アンナ？」
「あーなんだっけ…………バンビエッタ？」
　一護の脳内でアンナの名前が固定されているので、彼女の元の名を思い出すのに時間を有した。バンビエッタの名が出た途端にエリッタの表情が曇る。
「バンビエッタ姉さま……いや」
「嫌って、喧嘩でもしてるのか？　仲直りした方がいいぞ」
　ずっと黒崎家で暮らしていたバンビエッタが尸魂界に行けるはずもなく、現世に来る前の話なら十年以上喧嘩別れしたままという事になる。
「仲直り？　けんかしてないよ？」
「違うのか？　じゃあなんで嫌なんだ？」
「……バンビエッタ姉さま。すぐ怒って誰でも殺すってジジさんが言ってた」
　エリッタの発言に、藍染惣右介との戦いで有沢竜貴たちを一時誘拐した女滅却師たちが言っていたバンビエッタの悪行を思い出した一護は、だから嫌がっているのだと解った。
「――今のあいつはそんな事しねぇよ」
　どうしてバンビエッタがそんな事をしていたのか、一護には解らないが理由無く仲間を殺すはずがないと強く思った。
「ほんとう？　バンビエッタ姉さま、ひどいことしない？」
「ああ、しねえ。もしそんな事をしようとしたら、俺が護ってやるよ」
　勝つとは言ってないので、一護がバンビエッタに負けても約束の反故にはならない。エリッタはじっと一護の眼を見て、ジゼルに言われた事とどっちを信じればいいのか悩む。聡い子なら敵と味方の言葉のどちらかを信じるべきかすぐに分かるはずだが、エリッタの地頭は鈍かった。
「ほんとう？」
「ああ、指切りしようぜ」
「指切り？」
「指切りは約束だ。破ったら針を千本呑む事になるけど」
「針！？　やだっ！　約束しない！」
　一護の言葉に怯えたエリッタは逃げ出した。

[82 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 12:50:17]

展開ダイス

1.曳舟桐生＆エリッタ　2.バンビエッタ＆小島水色　3.コン　4.死神（副隊長）　5.黒崎一心＆四楓院夜一

dice1d5=1 (1)

4の場合

1.射場鉄左衛門　2.檜佐木修兵　3.松本乱菊　4.草鹿やちる

5.涅ネム　6.虎徹勇音　7.雛森桃　8.伊勢七緒　9.大前田希千代

dice2d9=7 1 (8)

>>80　霊王の部位さえ生み出すVの力を完聖体バンビちゃんが使うチャンスは来るのか。でも、Vは見た目以上に難しくて使いこなすイメージがないんですよね。

[83 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 21:13:51]

「ほいさっ、ほいさっ！」
　南方神将『穀王（こくおう）』曳舟桐生はふくよかな体型を揺らしながら、高火力の火が噴き出す釜戸の前に立ち大鍋とフライパンを操り同時に複数の調理をしていた。
　『麒麟殿』から曳舟の管理する食の宮殿『臥豚殿』へ移動した黒崎一護とエリッタ・バスターバインに、痩せ我慢で麒麟寺天示郎の許可を得た阿散井恋次の三人は、曳舟からおもてなしと臥豚殿の食卓へ案内された。
「お～」
「おや、料理している光景が珍しいのかい？」
　一護たちは食卓で警戒しながら待つ一方、エリッタは厨房に入り曳舟が調理する場面を珍しいものを見る視線で見つめていた。
「うんっ」
　見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）では調理場に入る機会がなかったエリッタは、曳舟の豪快な火を散らす調理がパフォーマンスに見えて非常に楽しいと感じていた。
「危ないから、そこで見ているんだよ」
「はーい」
　エリッタは返事をしてその場にしゃがむ。素直でいい子じゃないか、曳舟は自分が十二番の隊長時代に懐いてくれていた猿柿ひよ里とエリッタを重ねて自然と微笑を浮かべる。
「お嬢ちゃん、何か食べたいものはあるかい？」
「食べたいもの？　……みそラーメン！　オムレツ！　ぎゅーどん、ホットケーキ！　……てんぷら！」
　エリッタは料理名の知識も乏しいため、一年半の間にバンビーズと現世で活動した時に食べた美味しい物の名前を出した。
「あいよっ、みんな作ってあげるよ！」
　てっきりデザート系を言われると思った曳舟は、オムレツとホットケーキ以外は男寄りのリクエストと思いながら子供だから量は少なめにしようと決める。
「……料理って楽しい？」
「ああ、大変だけど楽しいよ。みんなが美味しいと言ってくれると心が満足感に満たされて、また頑張ろうって気になるからね。お嬢ちゃんももう少し大きくなったら、料理に挑戦するといいよ」
　曳舟は時間があれば、お嬢ちゃんにおにぎりくらい教えようかと考えながら、一護たちが食べる和洋中の大盛り料理たちをドンドン仕上げていく。
「ね、誰が食べるの？」
「もちろん、一護ちゃん、恋次ちゃんさ。男なんだからこれくらい余裕で食えるさ」
　傷を癒すために体内のエネルギーは空の状態。飢えた動物に大量の食事を用意すれば貪り喰うのは確実だった。
「さ、お嬢ちゃんも食堂で待っていな！　お腹一杯食べてちょうだいね！」
「は～い」

[84 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/28(火) 21:14:29]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆石田竜弦　2.死神（副隊長）　3.エリッタ＆コン　4.聖章騎士

dice1d4=1 (1)

2の場合

1.松本乱菊　2.射場鉄左衛門　3.檜佐木修兵　4.雛森桃

5.涅ネム　6.伊勢七緒　7.草鹿やちる　8.虎徹勇音　9.大前田希千代

dice2d9=4 1 (5)

4の場合

1.リルトット　2.アスキン　3.リジェ　4.ジェラルド

5.ナナナ　6.マスキュリン+ジェイムズ　7.ニャンゾル　8.ミニーニャ　9.キャンディス

10.BG9　11.ハッシュヴァルト　12.ジゼル　13.蒼都

14.エス・ノト　15.ぺぺ　16.バズビー　17.ロバート　18.グレミィ

dice2d18=9 15 (24)

[85 二次元好きの匿名さん 25/01/29(水) 04:36:56]

帝国でも歪まないように育成されたことがよくわかるエリッタの無邪気さ

[86 二次元好きの匿名さん 25/01/29(水) 10:13:09]

いつの間にか１０時間でスレが落ちるようになってしまった
バンビ集合スレが落ちてしまったので保守

[87 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/29(水) 11:02:41]

『……霊王を取り込み、人間と虚を排除した滅却師だけの新世界を創造するか』
　石田竜弦は病院の屋上でタバコを吸いながら、バンビエッタの報告を携帯電話越しに聞いた。現世に戻って一日遅れの報せだが、そんな事を気にする彼ではなかった。
「当然、その時には死神は残らず殺すか地獄送りにするかもしれないわね」
　バンビエッタは電話の内容を聞かれてはまずいと、昼休みの校舎裏で一人昼食の弁当を食べていた。この内容を理解できるのは死神を知る有沢竜貴たちごく一部しかいないものの、彼女らに伝えるつもりがない話だからだった。
「ところで、雨竜が今日も学校に来ていないのだけど何か知ってる？」
　石田雨竜にも同様の情報を教えようとしたバンビエッタだが、昨日に引き続き雨竜は学校を欠席していたため話す事が出来なかったので、父親に訊ねた。
『……さぁな』
「――正直に言いなさい」
　竜弦の沈黙から息子の行方に見当が付いていると察知したバンビエッタは語気を強めて白状するように言った。
『……お前たちが現世を離れた後、雨竜は屋敷の書庫を漁り滅却師関係の情報を探り――祖父宗弦の手記を得て、滅却師の歴史とユーハバッハに関すること全てを知った』
「へぇ、その後は？」
　その手記の内容に興味が湧くも、今は雨竜の行方を知るのが優先だった。
『奴が屋敷を出た後、しばらくして雨が降り、私は雨竜を捜し――川の土手、橋の下に置かれた手記を見つけた。微かだが雨竜ではない滅却師の霊圧が残っていた』
　竜弦の締めの言葉で、バンビエッタは雨竜がどこに行ったのか見当が付いた。
「帝国（ライヒ）の誘いに乗った？　バカねえ……」
　その予想が当たりなら、今頃雨竜は見えざる帝国の滅却師にするべく訓練をさせられている可能性が高く、わざわざ現世まで赴いて帝国に誘う辺り、もしかしたらユーハバッハは雨竜に血杯――聖文字を与える可能性もあった。
「どうするんのよ、雨竜が敵になって出てきたら？」
『……倒して構わん。一時の感情で動くよう愚か者に慈悲は不要だ』
「…………ふーん」
　感情ではなく目的を持って動いていたら生かせ。そう竜弦の発言を解釈したバンビエッタは面倒くさい奴だと心の中で思った。
「分かったわ、雨竜の件は浦原にも伝えておくから。いいわよね？」
『――好きにしろ』
　そこで竜弦は通話を切り、バンビエッタは一言言ってから切れと思った。

[88 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/29(水) 11:03:11]

展開ダイス

1.石田雨竜　2.エリッタ＆阿散井恋次　3.バンビエッタ　4.死神（隊長）　5.兵主部一兵衛＆修多羅千手丸

dice1d5=1 (1)

4の場合

1.六車拳西　2.京楽春水　3.涅マユリ　4.浮竹十四郎　5.更木剣八

6.卯ノ花烈　7.平子真子　8.日番谷冬獅郎　9.狛村左陣　10.砕蜂

11.鳳橋楼十郎

dice1d11=2 (2)

>>85　第二のバンビエッタ・バスターバインを生み出さないためですし、何だかんだ聖章騎士たちも邪気の無いエリッタの事を気に入っていたと思います。

>>86　確かに十時間で落ちるようになってますね、気を付けないと。教えてくれてありがとうございます。

[89 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/29(水) 17:07:50]

　見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）の滅却師になるべく、石田雨竜は訓練に明け暮れていた。
「さすがはユーハバッハ陛下がお選びになられた方、見事な才能です」
　雨竜の指南役に抜擢されたハッシュヴァルトの女性副官は、わずか二日半で静血装（ブルート・ヴェーネ）を習得した雨竜を称賛した。
「まだまだです。発動も遅く、持続時間も短い。戦いには使えないでしょ？」
「謙虚ですね。新米の聖兵（ゾルダード）なら、ここで喜び気が緩んでしまうというのに」
　副官は、このペースなら二次侵攻までに影の領域を扱えるのではと予想する。それはそれで大変素晴らしいという他なく、亡きキルゲ・オピーなら拍手を送ると思った。
「そういうものですか？」
「ええ――では、続きをしましょう」
「はい」
　雨竜は副官から距離を取ると、彼女は霊子の弓に矢をつがえて雨竜へ放った。
　血装を頭だけではなく体にも覚えさせるため、雨竜は無防備の状態で矢を腹で受ける――覚えたての血装は間に合わず、鏃が彼の肌に食い込む。
「ぐっ」
　痛みはあるが肌を破らない絶妙の威力に雨竜は声を漏らし、直撃から一拍遅れで静血装が当たった部分に届いた。
「遅いですね」
　と言い副官は、事務的な動きで二の矢を撃ち今度は雨竜の左肩を狙った。
　反射的にかわしてしまった雨竜に、無表情の副官は続けて三の矢を撃つ。今度はかわさないようにと忠告を込めて再び左肩を狙う。
「ッツ！」
　パチンと今度は静血装が間に合い、矢は雨竜の肌に食い込む事なく弾き飛んだ。
「その調子です。接触の瞬間に体を強張らせてしまうと次の行動に遅れます。生体反応の部分なので慣れろとしか言えませんが――次は二本同時、強めに撃ちます」
　と言いながら副官は二本同時に霊子の矢をつがえて、それを雨竜に見せつけるように狙いを定めて撃った。
　瞬時に体のどこに当たるか見極め、静血装で身を守らなければならない。
　一本は外れている、もう一本は――左腰！
　雨竜に矢の軌道を見極め、静血装を左腰周りに向ける。
「ぐっ！」
　今度も静血装は間に合い左腰の矢を弾くも、衝撃は殺せず雨竜はよろめく。
「もっと血管に霊力を流した方がいいかと、今の強度では実戦に使うのは難しいです」
「……分かりました」
　あなたの矢の威力が強いだけではないかと思う雨竜だが、帝国に溶け込むため従順に従い続けた。

[90 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/29(水) 17:08:12]

展開ダイス

1.死神（隊長）　2.コン＆燧ヶ島メラ　3.エリッタ＆修多羅千手丸　4.黒崎一護＆浅打　5.バンビエッタ＆崩玉

dice1d5=5 (5)

1の場合

1.卯ノ花烈　2.狛村左陣　3.日番谷冬獅郎　4.鳳橋楼十郎　5.砕蜂

6.平子真子　7.六車拳西　8.涅マユリ　9.京楽春水　10.更木剣八

11.浮竹十四郎

dice1d11=8 (8)

[91 二次元好きの匿名さん 25/01/29(水) 22:59:49]

弓矢の技量で言えば並の聖章騎士より優れてるらしいからある意味石田の指導役としては一番適切かもしれない

[92 二次元好きの匿名さん 25/01/30(木) 05:03:13]

>>88

まあ今のところはいいけどスレ主がちょっとss続けるの大変になってきたかも…ってなったらまた一旦休んでもいいからね

[93 二次元好きの匿名さん 25/01/30(木) 09:05:53]

>>92

それでも続きが欲しいのでなるだけ応援

[94 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/30(木) 11:19:31]

　崩玉をお守り袋から取り出したバンビエッタは、自身の影の中から折れた天鎖斬月を取り出し、先程までノートと教科書を広げていた自室の机に置く。
「やりますか」
　涅マユリは理解が足りなかった。天鎖斬月には死神の力が宿っているが、正体は斬魄刀ではなく――死神の力を宿した滅却師の霊子兵装。
「崩玉、また力を貸してね」
　Mi ne zorgas
「聖隷」
　崩玉の補助を受けバンビエッタは極小範囲の聖隷を使用し、天鎖斬月を構成する霊子を分解し体に取り込み、死神と虚に完現術が混じった霊力をそのまま残していく。
「相変わらずバカみたいな霊力ね……」
　正確に霊子兵装の部分を剥がした彼女の眼前に、ドス黒い霊力が渦巻く塊が出来上がった。さながら霊力爆弾であったが、彼女は慌てずに崩玉を握りしめる。
「地味に痛いからやりたくないのよね」
　Vi devus pacienci pri tio
「我慢出来ないものもあるのよ」
　痛覚のない崩玉に反論しつつバンビエッタは崩玉と融合する。義骸の掌に崩玉は癒着するようにはまり、そのまま霊力の塊へ崩玉が付いた掌を向ける。
「簒奪聖壇（ザンクト・アルタール）」
　塊の上に小さな五芒星が展開され光に当たるとどろりと霊力の塊が溶けて、バンビエッタの掌から体内に吸い込まれる。
「ッツ！」
　多数の死神の力に混じった虚と完現術の力。体内で胎動する霊力の蠢きにバンビエッタは滅却師の力で抗い耐える間に、無意識下で霊王の神経が働き、釣り合いの取れないバンビエッタと一護の力は調和されて安定してから十分後。
「はぁー、ほんとバカ霊力なんだから……」
　滅却師と崩玉の力で抑え込んだと勘違いする額に汗を浮かべるバンビエッタはティッシュで汗を拭い、次の作業に取り掛かる。
「いいよね、真咲」
　机の引き出しから黒崎真咲の滅却師十字を取り出し、バンビエッタはそれを核に天鎖斬月を再構築。そこに一護の霊力を限界まで注ぎ入れ、霊子兵装『天鎖斬月』を完成させた。斬魄刀の能力はないが、死神・虚・完現術の力はしっかり宿っていた。
「崩玉、疲れた？」
　iom
「はぁ～、もう寝ないと」
　多少と返答する崩玉との融合を解くとさっとお守り袋に入れ、天鎖斬月を影の中に戻したバンビエッタは立ち上がるとすぐにベッドへ入る。
「――お休み」
　明日も朝から家事をするので、彼女は意識を沈めて眠りについた。

[95 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/30(木) 11:24:05]

展開ダイス

1.浦原喜助＆四楓院夜一　2.二枚屋王悦＆兵主部一兵衛　3.バンビエッタ　4.死神（隊長）　5.朽木兄妹

dice1d5=3 (3)

4の場合

1.六車拳西　2.更木剣八　3.涅マユリ　4.砕蜂　5.鳳橋楼十郎

6.狛村左陣　7.京楽春水　8.日番谷冬獅郎　9.卯ノ花烈　10.浮竹十四郎

11.平子真子

dice1d11=1 (1)

>>91　元々聖文字を得る機会を蹴ってハッシュヴァルトの副官を選んだ人ですから、上位の実力者なのは間違いないですから。

>>92　今後も毎日最低一回の投稿は心掛けるつもりです。

>>93　頑張ります。

[96 二次元好きの匿名さん 25/01/30(木) 14:03:06]

>>95

了解

一応保守は頑張るけど一日一回の投稿難しそうだったら休んでね

いつもありがとう

[97 二次元好きの匿名さん 25/01/30(木) 18:21:30]

一護の場合極端に言えば死神のフリした滅却師みたいなもんだしなぁ

[98 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/30(木) 21:57:30]

「……回復が遅い気がする」
　黒崎遊子と一緒に家事と炊事をこなして一人で登校したバンビエッタは、普段より霊力の回復が遅い事に気付いた。
　天鎖斬月に一度は自分の物にした一護の膨大な霊力を大量に失った影響で、回復が遅いと考えながらバンビエッタはいつものバス停に到着し、並んでいる乗客たちの後ろに立つ。
「浦原、何してんだろ？」
　バスを待つ間、バンビエッタは井上織姫の伝令神機で虚圏にいるだろう浦原喜助にメールで近況を訊いてみる事にした。彼はきっと卍解奪掠から隊長たちの卍解を護る方法を模索しているのだと考えていると、返信があった。
　ふーん、気付いたんだ。
　浦原はメダリオンの脆弱性を見つけ、それが顕著に現れるのが虚の力と気付いた事はさすがと思ったバンビエッタはついでにキルゲ・オピーをどうやって倒したのか訊いた。
「――へぇ」
　送られてきた長文を読み、バンビエッタは素直に激闘だと思った。浦原は追加戦力として自分の霊圧をネル・トゥに注ぎ込んで、彼女を元第3十刃ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクに戻した。
　滅却師にとって虚の力が毒である事は、浦原は当然把握している……四対一の状況になれば、飛行の出来るキルゲでも勝てないのは明白だった。
「あ、雨竜の件を伝えていない」
　石田雨竜が見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）に勧誘されて誘いに乗った可能性を浦原に伝え忘れていた事を思い出したバンビエッタは、これ幸いと雨竜の情報をメールした。
　短く、了解ス黒崎サンたちには伏せておきます。と浦原から返信があった。彼からすれば急ぐべきは卍解を護る事なので、雨竜は二の次三の次扱いになるのも当然だった。
　バスが来たので乗車してもバンビエッタは、浦原とメールを続けて同行した井上織姫と茶渡泰虎の現状を訊けば虚圏で修業中と知り、こっちは期末テストに向けて頑張っているのに優等生は余裕ねとちょっとイラッとしつつ、自分も修業するべきかと考え始めた。
　すでにユーハバッハを仕留める下準備は整えてあるので、霊王を取り込んでも目的の好機が来るまで聖章騎士の相手は死神に任せ、石田竜弦と一緒に尸魂界へ行く方が安全で注意すべきは『聖別（アウスヴェーレン）』のみ。
「……リルたちどうなるかな」
　死んでほしくない面々を思い出し、バンビエッタは尸魂界へ行くタイミングをバスに揺られながら悩み続けた。

[99 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/30(木) 21:57:52]

展開ダイス

1.聖章騎士　2.バンビエッタ＆有沢竜貴　3.浦原喜助＆四楓院夜一　4.エリッタ＆修多羅千手丸　5.阿散井恋次＆浅打

dice1d5=3 (3)

1の場合

1.キャンディス　2.ぺぺ　3.BG9　4.ジェラルド

5.マスキュリン+ジェイムズ　6.ハッシュヴァルト　7.リルトット　8.グレミィ

9.ニャンゾル　10.蒼都　11.ナナナ　12.ジゼル　13.リジェ

14.ミニーニャ　15.アスキン　16.バズビー　17.ロバート　18.エス・ノト

dice2d18=2 1 (3)

[100 二次元好きの匿名さん 25/01/31(金) 06:44:39]

アンナからは死なないでほしいというくらいには情と気遣いがあることをバンビーズは知る由もないのが悲しい

[101 二次元好きの匿名さん 25/01/31(金) 09:30:43]

零番隊から見ても気が抜ける存在であろうエリッタ

[102 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/31(金) 11:26:54]

　虚圏、大型テントを設営し、対メダリオン（卍解奪掠）の研究を続ける浦原喜助は、ようやく見つけた脆弱性に刺さる虚の力をどうやって隊長たちに与えるか悩んでいた。
　下手に虚の力を与えれば虚化を起こし暴走、やがて自滅――『魂魄自殺』を起こしてしまう。だからといって、現状虚の力無しで卍解を護る方法を見つけていない。
「――発想を変えるべきなんスかね」
「なんじゃ、喜助。珍しく悩んでおるのか」
　浦原に呼ばれた四楓院夜一は挨拶も無しにテント内に入り、霊圧から彼女の到着を察知していた浦原は振り向く。
「待ってたスよ、夜一サン」
「フン、本当に待っていたのは儂ではなく、こっちじゃろ」
　砂除けの外套の内から出したのは、ガラス製の円筒二本。一本には滅却師の矢が束で纏められ、もう一本には彼女が捕らえた――浦原が目を付けていた地獄送りにならない――犯罪者の地縛霊たちの魂魄が納められていた。
　『魂魄自殺』は、滅却師の矢と人間の魂魄から作るワクチンで防ぐ事が出来るため、ワクチン使用は浦原の中で絶対だった。
「いやいや、そんな事ないっスよ。夜一サンにはまだしてもらいたい事がありますから」
「全く、人をこき使いおって」
　と不満を漏らす夜一は二本の円筒を浦原の横に置き、我が家の如くテントに横たわる。
「で、儂に何をさせたい？」
「――四楓院家から、天賜兵装をいくつか借りてきて下さい」
　四楓院家は、天から賜った宝具・武具を祀る『天賜兵装番』の役割がある。浦原の要望は貸し出し不可の物品を永久除籍された夜一に拝借して来いと言っているも同然だった。
「……そこは夕四郎に頼むしかないのう」
　夜一は甘えん坊で頭が弱い実弟、四楓院家第23代目当主・四楓院夕四郎の顔を思い浮かべた。今でいうシスコンの弟に頼めば、当主命令で天賜兵装は借り放題と浦原も予想していた。
「お願いしまスね。あ、これリストっス」
「ハァ～」
　四楓院家秘密の連絡網を使用すれば、厳戒態勢の瀞霊廷内に居る弟と連絡が取れる夜一は、その過程を面倒と思いながらリストが書かれたメモを受け取る。
「……リストの兵装、今必要に思えんが？」
「はい、次の侵攻までにすぐ運べる状態にしてくれたら問題ないス」
　浦原はユーハバッハが霊王宮へ踏み入るという、死神側にとって悪い展開に備えての準備だった。
「まあ、急がぬのなら一休みしてから行く」

[103 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/31(金) 11:27:21]

展開ダイス

1.エリッタ＆修多羅千手丸　2.黒崎一心　3.阿散井恋次＆浅打　4.死神（副隊長）　5.バンビエッタ

dice1d5=3 (3)

4の場合

1.草鹿やちる　2.檜佐木修兵　3.涅ネム　4.雛森桃　5.大前田希千代

6.虎徹勇音　7.伊勢七緒　8.射場鉄左衛門　9.松本乱菊

dice1d9=1 (1)

>>100　バンビちゃんは信用されない状況にあると理解しているので本人たちに直接言わないと思います。

>>101　気が抜けるのは曳舟と麒麟寺に二枚屋で、修多羅と和尚は普段通りの態度になるかと。

[104 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/31(金) 19:05:52]

　二枚屋王悦の『鳳凰殿』で修業をする事になった黒崎一護と阿散井恋次は、何にでもなれる最強の斬魄刀『浅打』の群れとの殴り合いをする事になった。
「う、おらァァァ！！」
　白い人型に目があるはずの部分に口が付いた浅打の具象化と阿散井が殴り合いを始め、二十四時間以上が経過していた。
　斬魄刀と死神どっちが上か。二枚屋のヒントから彼は浅打たちを屈服させろという意味と理解し、ひたすら向かって来る浅打たちに培ってきた白打を与え続けた。
　同じ奴が来てやがるな！
　正確な数は暗がりで分からないものの、白い体に血が付いている個体がいたので阿散井はその個体を優先して攻撃する事に決めた。
　要は卍解の屈服と同じ、俺の方が格上と認めさせればいい。
「――ぐぅオ！」
　しかし浅打の数が多いため、一体を殴る隙に別の個体から攻撃を受ける事が多々あるので、せっかく湯治と食事で癒えた肉体は打撃の痣と噛み付きで出血していた。
　それでも阿散井は果敢に浅打たちと殴り合い、時にはプロレスラーばりの投げ技を披露する。
「おおおおッ！」
　肉体的に屈服させても、それだけでは足りない。内面――心まで屈服させなければ、卍解は習得出来ないからだ。
　一護の奴はどうだ！
　阿散井はチラっと一護の方に視線を向ける。自分と同じように殴り合いを演じ、その体は傷ついていたが背中は闘志に満ちていた。
　大丈夫だ、あいつはまだ戦える。それを確認した阿散井は浅打の首にラリアットを当て押し倒し、すかさず顔面を踏みつける。
「――ぬぅおっ！？」
　二体の浅打は左右から阿散井に接近し彼の両腕に抱きつき、直後に別の個体が正面から顔を殴ってきた。
　こいつら連携を！
　学習した浅打に、阿散井は何度も頬を殴られ口の中を切る。
　しかし、彼の心は折れない。
「拳に魂が入ってねえぞ！」
　雄叫びを上げた阿散井は正面の個体を蹴り飛ばし、腕を拘束する二体に膝蹴りを与える。
「――土でも食ってろ」
　地面の土を削り取った阿散井は起き上がろうとした個体の口へ土を押し込み、苦しいのか土を吐こうとした浅打に追撃の顔面キックをお見舞いする。
「へっ――ぐぉ！」
　いい一撃が入ったと満足した刹那、阿散井は浅打の飛び蹴りを背中で受けうつぶせに倒れる。
「ぬ、おおぉぉ？！」
　直後に浅打たちは阿散井に襲いかかり、叫ぶ彼は白い裸体に埋もれて見えなくなった……。

[105 ◆gNU7Ei8Z3I 25/01/31(金) 19:06:30]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆黒崎夏梨　2.死神（副隊長）　3.エリッタ＆修多羅千手丸　4.井上織姫

dice1d4=1 (1)

2の場合

1.虎徹勇音　2.雛森桃　3.射場鉄左衛門　4.檜佐木修兵　5.松本乱菊

6.涅ネム　7.草鹿やちる　8.伊勢七緒　9.大前田希千代

dice1d9=5 (5)

[106 二次元好きの匿名さん 25/02/01(土) 00:19:04]

土押し込んだ口って目の方の口だったらえぐいな

[107 二次元好きの匿名さん 25/02/01(土) 09:08:26]

>>106

まあ孤児時代のダーティファイトですよ

[108 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/01(土) 13:14:36]

「一兄って、今何しているのかな？」
　夕食を済ませた黒崎夏梨はバンビエッタの師事の下、霊力の訓練をしている最中に兄の黒崎一護が何をしているのか不意に気になった。
「まぁ、普通に修行でしょ。内容までは知らないけど」
　零番隊の師事する修行だからスケールの大きい内容と思いつつも、滅却師のバンビエッタには見当が付かないので具体的な事は何も言えなかった。
「ふぅん……ね、一兄はどんな所で修行しているの？」
「簡単に言えば、神域ね」
「神域って、神様がいる場所ってこと？　本当に神様いるの？」
　死神や虚がいるんだから神様が居てもおかしくないと思う夏梨であったが、まさか兄がそんな場所で修行しているとは考えもせず、やや驚いた表情になる。
「表向きは神の枠だけど、実際は――そんな事より、続きやるわよ」
「えー」
　夏梨に霊王の仔細を語る必要はないため、バンビエッタは修行の続きを行うためひも付きのゴムボールを握り締め投手のように構えると、正面の夏梨へバンビエッタは迷うことなくボールを投げつけた。
　特別速くない投球を夏梨はさっとかわし、ボールはある程度の距離を飛べばひもは伸び切りバンビエッタの足元にボールが戻って来た。
　今投球したボールには霊力を込めず、霊力無しのボールはかわし、霊力ありのボールは掴む行為を繰り返す事で霊圧知覚の訓練を兼ねていた。
「うん。霊覚の訓練は、そろそろ次の段階に移行ね」
「やった。次は何するの？」
「目隠ししたまま、矢をかわすだけね」
「矢？」
　刹那、夏梨は顔の横をバンビエッタの指先から発射した矢が通り過ぎた。プロ野球が投げるような速度の矢に、彼女の表情は引きつった。
「威力は当然抑えるけどそれなりに衝撃はあるわ、飛ぶ速度は今くらいよ――はい、目隠し」
「う、うん」
　一気に難度上がったと悟った夏梨は、恐る恐る手渡された布で目を隠す。
「霊覚と霊視が出来るようになれば、暗闇や背後からでも人の位置が判るようになるから便利よ」
「そ、そうだよね……あれ、動いてる？」
「今日から夏梨の周囲を歩きながら撃つから、集中しないと蜂の巣よ」
　バンビエッタの忠告に夏梨はすぐに反応出来るように備え、彼女の声や音を逃すまいと集中した。
「とりあえず、二十発連続回避が目標ね」
「スパルタだぁ。でも頑張る！」
　数分後、夏梨はボロ雑巾の如くボロボロになり地に伏せる事となった。

[109 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/01(土) 13:15:03]

展開ダイス

1.兵主部一兵衛＆修多羅千手丸　2.バンビーズ　3.四楓院夕四郎　4.バンビエッタ＆黒崎一心　5.死神（隊長）

dice1d5=4 (4)

2の場合

1.リルトット　2.キャンディス　3.ジゼル　4.ミニーニャ

dice2d4=3 3 (6)

5の場合

1.砕蜂　2.浮竹十四郎　3.卯ノ花烈　4.六車拳西　5.更木剣八

6.平子真子　7.涅マユリ　8.日番谷冬獅郎　9.京楽春水　10.鳳橋楼十郎

11.狛村左陣

dice1d11=3 (3)

[110 二次元好きの匿名さん 25/02/01(土) 21:03:09]

保守

[111 二次元好きの匿名さん 25/02/01(土) 21:38:43]

夏梨が成長するなら空座町の治安の未来は明るいなぁ

[112 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 00:19:43]

「ちょっと、やり過ぎじゃないか？」
「ふつーよ」
　リビングでゆったりしていた黒崎一心が、浴室でシャワーをしている黒崎夏梨に対する霊力訓練を厳しくし過ぎではないかと言ってきた。それに対してバンビエッタはムッとした表情を一心に向けて普通と言い切った。
「まあ、死神は斬魄刀を振るだけで卍解に至れるから、滅却師流の修行は厳しく見えるだけよ」
「死神も斬拳走鬼と学ぶ事は多いんだぞ？」
「はいはい。ところで、一護に話す心の準備は出来たの？」
「……あったりめーだ」
　一心は天井を見上げながらバンビエッタに準備万端と告げる。霊王宮の修行中に黒崎一護が現世に戻るのか知らないが、二十年前の黒崎真咲との出会いユーハバッハとの因縁を語る日は近いとはっきり感じていた。
「それならいいけど。その流れで遊子たちに自分は死神だった事も勢いで言ったら？」
「ダメダメ、それは生涯隠すつもりなの！」
「その理由って、中年オヤジでギリ許されるバカの数々を実はうん百歳のオッサンがやっていたと、遊子たちに知られてドン引きされるのが嫌なんでしょ？」
「ぐ、ぅぅ！　し、死神の基準から見たら俺は若年で通じる年齢なんだぞ……！」
　核心を突かれ、一心は悔しそうな声を上げる。
「じゃあ、胸張って前職は死神だって言いなさいよ、中年親父。きっと夏梨にお母さんと何歳差とか訊かれて答えると、うわぁ……ってドン引きされる光景が瞼に浮かぶわ」
「うぅ、夏梨！　それでも俺と真咲の間には確かに愛はあったんだ……！　すごい年の差婚だけど！」
　幻の夏梨に言い訳する一心に呆れ、バンビエッタはこれが志波家分家元当主の姿かと彼を放置し、台所に向かい明日の夕食用に食べる鶏肉の処理を始めた。
「んー下味……一心、カレー味と塩どっちがいい？」
「ゆ、遊子っ、そんなゴミを見るような目で見ないでっ！　お父さんも加齢臭は気にして――ぇ、カレー」
「はいはい」
　今度は黒崎遊子の幻に冷たくされて悲しむ一心に質問をすれば、普通に答える彼の要望に応えてバンビエッタはカレー粉を入れて鶏肉を揉んでから冷蔵庫に入れた。
「ねえ、一心は向こうに来る気あるの？」
「うん？　そりゃああるぞ。多分石田と一緒に行くと思うが、何でだ？」
「ただ確認しただけ、深い意味はないわ……先にお風呂入るわ」
　バンビエッタはリビングを出て、脱衣所の夏梨と入れ替わるように入浴した。

[113 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 00:20:23]

展開ダイス

1.四楓院夕四郎　2.二枚屋王悦＆燧ヶ島メラ　3.バンビーズ　4.グリムジョー　5.黒崎一護＆浅打

dice1d5=2 (2)

3の場合

1.キャンディス　2.ジゼル　3.リルトット　4.ミニーニャ

dice2d4=4 2 (6)

>>111　将来は滅却師と完現術を使えるようになっているかもしれませんから、三代目死神代行に就任しているかも。

[114 二次元好きの匿名さん 25/02/02(日) 08:52:37]

アンナからすれば黒崎家との交流は最後の思い出作りになりかねないから消えないように刻み付けてるかもな

[115 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 13:50:12]

「待ってたYo、メラちゃん。一護チャン、恋次チャンの様子はどうDai？」
　現世のキャバクラを模した偽の鳳凰殿『Galaxy鳳凰殿』で、キャバ嬢にしか見えない女性型斬魄刀たちと戯れる二枚屋王悦の前に、ソフトモヒカンに近い赤髪にツリ目が特徴の二枚屋親衛隊・燧ヶ島メラがやって来た。
「御館サマの想像通り、差が出てきたよ」
　黒崎一護と阿散井恋次の修行が始まり、もうすぐ四十五時間を過ぎようとしていた。その間、二人は休みなく浅打たちと殴り合い、燧ヶ島はよく頑張ると素直に思った。
　彼女の言った差とは浅打が屈服出来た数の差で、阿散井が三体に対して一護はゼロ。その差は今後もさらに広がると二枚屋は判っていた。
「うんうん♪　つまり順調ってことDaNe――一護チャンは一体も浅打を屈服させる事はない」
　斬魄刀の生みの親から断言される一護に燧ヶ島は同情しつつも、そうなるのが御屋形サマの希望だからしょうがないと思う彼女であったが、やはり思うところはあった。
「メラちゃん。お悩み事ならちゃんボクが聞いてあげるYo？」
　斬魄刀に対して真摯な男である二枚屋は、斬魄刀の悩みを訊かずにはいられない。何故ならナンバーワン・ザンパクトー・クリエイターだからだ。
「悩みじゃないけど、わざわざ浅打達と戦わせないで、最初からあいつに屈服が無理な理由を教えれば済む話と思っただけ」
「――メラちゃん、男には言葉だけで判る時とそうじゃない時があるのSa。一護チャンは自分が死神と滅却師のハーフなのは知ってる。でもNe、それは知っている＝理解しているじゃNai」
「……答えは知ってるけど、途中の計算式は知らないから理解していない的な？」
「イイNe！　その通りSa！　一護チャンは知らないといけない、自分の過去（ルーツ）を。そのためにまずは身と心に解らせないといけない、自分は今のままじゃあ浅打に選ばれないコトを。どんなに努力しても無駄なコトもあるってNe」
　だからこそ、現世に居る黒崎一心に語ってもらわないといけない……そのために、二枚屋は霊王宮から現世へ直通で行ける超界門の準備をしたのだから。
「……男って面倒くさい」
　燧ヶ島はそんな事をしなければ解らない男の在り方を一言で一蹴する。その一言に二枚屋は苦笑するしかなかった。
「合格の恋次ちゃんも今頃ha、一護チャンには無駄って分かっている頃Sa」

[116 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 13:50:36]

展開ダイス

1.グリムジョー　2.死神（隊長）　3.朽木兄妹　4.麒麟寺天示郎＆修多羅千手丸　5.バンビエッタ＆XCUTION

dice1d5=4 (4)

2の場合

1.平子真子　2.涅マユリ　3.狛村左陣　4.卯ノ花烈　5.六車拳西

6.日番谷冬獅郎　7.浮竹十四郎　8.砕蜂　9.京楽春水　10.鳳橋楼十郎

11.更木剣八

dice1d11=4 (4)

5の場合

1.雪緒・ハンス・フォラルルベルナ　2.ジャッキー・トリスタン　3.毒ヶ峰リルカ　4.沓澤ギリコ　5.獅子河原萌笑

dice1d5=2 (2)

>>114　簡単に死ぬ気はないでしょうけども、殺される覚悟が必要な相手ですから無意識に思い出作りしたいのかも。

[117 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 20:48:05]

「目がチカチカしてしょうねぇ」
　草履の底を擦らせる麒麟寺天次郎は、修多羅千手丸が管理する離殿を訪れていた。彼女の御殿は色鮮やかでデザインに富んだ布を所狭しに広げて大変綺麗かつ派手であったが、男の麒麟寺から見るとあまりにも眩しすぎた。
「眩いのならば、その瞼を縫って見えなくしてやろう」
「けっ、遠慮するぜ」
　自分を出迎えた修多羅の笑えない冗談に悪態を吐きつつ、麒麟寺は彼女の横を通り過ぎて御殿の奥へと進む。
「おい、千手丸。準備は出来ているんだろうな？」
「当然であろう。一日も猶予があれば妾の刺絡に織れぬものはないえ」
　彼女の斬魄刀『刺絡（しがらみ）』。針頭から霊子の糸が無限に出し、その糸で縫い目を入れたものを操る能力を持つ。
　ゆえに彼女はあらゆる物を糸で織る事が出来る。圧倒的に織物が多いが、過去にモノ作りのグループを創設しリーダーも務めていたので科学者の一面もあったからこそ、今回の仕事は修多羅が適任だった。
「この部屋か」
　麒麟寺がたどり着いたのは、彼女の離殿には似合わない現世の自動開閉を備えた鉄扉。早速中に入ろうとした彼を修多羅が引き止める。
「待て、そこより先は無菌で清潔な部屋。入りたければ使い古したキセルと草履を置いて行け」
「……ちっ、しょうがねえか」
　最新の衛生観念はしっかりある麒麟寺はキセルと草履を脱ぐ。それを確認した修多羅は自動ドアを開閉させて、二人は中へと入る。
　ドアの先には現世風の手術室が広がり、中央の手術台には曳舟桐生の『臥豚殿』で黒崎一護たちと別れたエリッタ・バスターバインが仰向けで寝ていた。
　また彼女の隣には培養液の詰まったガラスの円筒がいくつも並び置かれ、液と共に小さい臓器が部位別に分けられていた。
　これから二人はエリッタに臓器移植の手術を行う。そのために修多羅は刺絡で彼女の移植用の臓腑をさながら3Dプリンターが如く精密に霊子の糸で織った。
　全てが霊子の尸魂界だからこそ出来る芸当、執刀は麒麟寺となる。
「……状態は良さそうだな。術後に恙なく動くんだろうな？」
「誰に物申している。妾は大織守ぞ？」
　始解の刺絡を取り出す修多羅を麒麟寺は無視し、視線をエリッタへ向けていた。
「千手丸……俺様の仕事は速ぇぞ。その義手で付いてこれんのか？」
「造作もない事。妾とお主の腕を比べる良い機会え」
　手術は零番隊の腕比べになった。

[118 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/02(日) 20:48:31]

展開ダイス

1.井上織姫　2.バンビエッタ＆XCUTION　3.志波岩鷲＆銀城空吾　4.聖章騎士　5.グリムジョー

dice1d5=1 (1)

2の場合

1.毒ヶ峰リルカ　2.沓澤ギリコ　3.雪緒・ハンス・フォラルルベルナ　4.獅子河原萌笑　5.ジャッキー・トリスタン

dice1d5=5 (5)

4の場合

1.ナナナ　2.ロバート　3.バズビー　4.リジェ　5.ミニーニャ　6.キャンディス

7.アスキン　8.グレミィ　9.ニャンゾル　10.エス・ノト　11.ハッシュヴァルト　12.ジゼル

13.ジェラルド　14.マスキュリン+ジェイムズ　15.リルトット　16.BG9

17.ぺぺ　18.蒼都

dice2d18=16 14 (30)

[119 二次元好きの匿名さん 25/02/03(月) 02:39:21]

斬月正体バレもそろそろか

[120 二次元好きの匿名さん 25/02/03(月) 10:44:25]

正直エリッタの施術は成功すればそれでよし
失敗しても千手丸としては罪悪感なしの案件よな（原作より手間かけているわけだし）

[121 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/03(月) 12:44:24]

　虚圏。
　外套を纏う井上織姫は修行のため浦原喜助から離れて数日、広大な砂漠を一人で歩いていた。
　目的地はネガル遺跡と呼ばれる遺跡で、一足先にそこへ向かった茶渡泰虎と遺跡で合流する予定となっていた。
「――広いなぁ」
　砂丘のてっぺんから虚圏を見回す井上は、どこまでも広がる白い砂漠の寂然とした世界を見つめる。現世ではお目にかかれない景色を友達に見せたい気持ちになる彼女だが、今は修行中である事を思い出して気を引き締める。
「油断しちゃダメだよね。今は修行中、どこに虚がいるのか解らないのに――ペロちゃん、進む方角は合っているよね？」
「ハイ、チョクシンすればネガルイセキにトウチャクでペロ」
　振り向いた井上の正面には、黒いくびれのある壺の表面に丸い両目と口を付けさらに羽も持つ奇怪な物が浮いていた。それは浦原の発明品である自立型カメラで、彼女の様子を浦原がモニタリングするためのものであった。
「そっか。このまま真っ直ぐに行こう」
　遺跡までの具体的な距離は教えてくれないペロちゃんを問い詰める事なく、井上は再び遺跡を目指して歩き出した。
「――あれ？　魚？」
　砂丘を降りる井上の視界にあるものが入る。
　全長は井上よりも長く、全身の鱗は保護色の砂色をした大魚が滑るように砂漠を前進していた。　
　ぐぅぅ～と彼女の腹が鳴る。数日の間、彼女が食べたのは芋の練り物のような茶渡には不評の食べ物と水だけ。そのため違う味を舌と胃袋が自然と求めてしまった。
「あはは、虚だよね。食べられない、食べられない……」
　虚を食べられるはずがないと考え直した井上は見つからないように、砂丘を降りて行くも振動か霊圧に敏感だったのか、魚型の虚は進行方向を変更し彼女の方へ向かって来た。
「――逃げよう！」
　逃走を即決した井上は飛廉脚で虚を撒こうとした。しかし、虚は標的が本気で逃げる事を察知し本体を見せた。
「へ？」
　井上は砂の中から出現した本体に唖然とする。魚部分は疑似餌なのか、イソギンチャクとタコが混じった触手だらけの本体が潜水艦の如く浮上したのだ。優に彼女の倍近い全高になった異形の虚に彼女の頬が引きつる。
「う、わぁぁ！！」
　生理的に無理な異形の虚に井上は声を上げて全力で逃げ出し、虚は当然のよう追う。
「浦原さーん！！」
　助けを求めた井上に、カメラ越しに見ている浦原からの返答はなかった。

[122 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/03(月) 12:44:53]

展開ダイス

1.死神（副隊長）　2.茶渡泰虎＆グリムジョー　3.バンビエッタ＆四楓院夜一　4.志波岩鷲＆銀城空吾

dice1d4=3 (3)

1の場合

1.雛森桃　2.虎徹勇音　3.松本乱菊　4.草鹿やちる　5.射場鉄左衛門

6.檜佐木修兵　7.伊勢七緒　8.大前田希千代　9.涅ネム

dice1d9=4 (4)

>>120　確かに修多羅にはダメージがない案件ですが、自分の織物のせいでエリッタの体調不良が起こればそれは麒麟寺よりも自分の技術が下になるので、全く手を抜かないと思います。

[124 二次元好きの匿名さん 25/02/03(月) 17:50:08]

織姫飛廉脚できるようになってたのか
霊子の濃い虚圏だからできるのか、もうそれなりの速さと安定度で使えるのか

[125 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/03(月) 20:00:24]

「夕四郎って重度のシスコンね」
「じゃろう？　百年ぶりである事を差し引いても、あの甘えん坊ぶりにはただただ呆れるしかない。四楓院家の明日は危ういぞ」
　四楓院夜一から愚痴に付き合えと言われたバンビエッタは誘いに乗り、瀞霊廷の四楓院家にいる彼女の弟の愚痴をファミレスで聞いていた。
「でもいいじゃない。姉弟仲が良くて――浦原の注文した天賜兵装って、どんなもんなの？」
「ん～戦闘用というよりは、儀式などに使用されるような兵装じゃな。放出された霊力を陣に留める物や霊力の循環を助ける物など」
「ふーん、浦原は何かの儀式でもするつもり？」
　バンビエッタは夜一の説明を聞き、サンドイッチを食べながら浦原の事だから悪い展開に備えての事だろうと思った。
「ところでアンナよ。お主は実妹との仲はどうだったんじゃ？」
「あぁ、エリッタね」
　浦原喜助経由でエリッタの事を聞いたのだろうと思ったバンビエッタはどう説明しようか考えた。一応、実妹なのは事実だが、実際に会ったのは彼女が霊王宮へ連行される時が初めてだったので、どんな性格かも知らない。
「――特に何も、あの子と話した事は一度もないから」
「うん？　どういう事じゃ？」
「あー……エリッタって、実はあたしの複製体（クローン）なのよ」
　バンビエッタの告白に、夜一は「え？」と驚いた表情を作った。
「儂にはチンプンカンプンの科学技術を使う、あのクローンか？」
「そーよ。あたしが聖章騎士になったばかりの頃に、帝国の技術部に遺伝子とか提供してね」
「……何の目的で？」
　見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）がバンビエッタのクローンを作った理由が、死神側にいる夜一は非常に気になった。
「説明されたはずなんだけど、当時は全然興味がなくて内容を覚えてないのよね」
「なんじゃそれは……」
　夜一はバンビエッタの説明に、ガッカリした表情を浮かべる。直接戦いには関係ない事なので、喜助に報せる必要はないと判断した。
「まあ、陛下との戦いで生き残れたら、あの子に触れ合うのもいいかもね。仲良く出来るか判らないけど」
「……そこは仲良しになれるように頑張るじゃろ？」
　バンビエッタの「生き残れたら」発言には、相打ちや自分が死ぬ事になってもユーハバッハを倒すという彼女の覚悟が含まれていると感じた夜一は訂正させる。
「そうね、仲良く出来るように頑張ってみるわ」

[126 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/03(月) 20:01:05]

展開ダイス

1.ユーハバッハ　2.黒崎一護＆浅打　3.死神（隊長）　4.XCUTION　5.バンビエッタ＆黒崎遊子

dice1d5=4 (4)

3の場合

1.狛村左陣　2.砕蜂　3.日番谷冬獅郎　4.京楽春水　5.更木剣八

6.平子真子　7.涅マユリ　8.浮竹十四郎　9.卯ノ花烈　10.鳳橋楼十郎

11.六車拳西

dice1d11=10 (10)

4の場合

1.ジャッキー・トリスタン　2.獅子河原萌笑　3.雪緒・ハンス・フォラルルベルナ　4.沓澤ギリコ　5.毒ヶ峰リルカ

dice2d5=5 2 (7)

>>124　一年半の間に練習した事で安定して出来るようになりました。速度はややバラつきがありますが、基本的にチャドの完現術による移動よりは直線だけなら速いですね。

[127 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 00:39:34]

「月島さん……」
　朝、河川敷で獅子河原萌笑は一人で物思いにふけっていた。二か月前に兄貴分を眼前に殺され、何も出来ないまま、死神から逃げるしかなかった自分の不甲斐なさを思い出す事が多々あった。
「あっ！　モヒカン！」
「あ～？」
　モヒカンと呼ばれた事で獅子河原が土手の方に振り向くと、そこにはカワイイ私服姿の毒ヶ峰リルカが立っていた。
「何の用だよ、毒女（どくおんな）」
「毒女！？　せめて毒ヶ峰って言いなさいよ！　ムカつくわね、このぼっち坊主！」
「はぁ～？」
　さっきはモヒカンと呼んだ後に坊主と呼ばれ獅子河原は毒ヶ峰を睨み付けるも、彼女は臆した様子もなく睨み返す。
「チッ、何か用があるんだろ？」
「別に、たまたま見かけて辛気臭い空気だったから声を掛けただけよ。あんた――いつまで月島の事引きずるわけ？」
「ッ、うっせなー。月島さんと付き合い長いお前らが淡白過ぎるんだよ」
　毒ヶ峰に付き合っていられないと獅子河原はその場を去ろうとしたが、月島の事を持ち出されてつい反論してしまった。
「……因果応報よ。人の記憶を勝手に改変して人生観や築いた関係を全部変えるんだから、報復に月島へ攻撃して来た奴は、一人や二人じゃないの」
　銀城以外はどうでもいい月島は平気で人の人生に介入する。その結果XCUTIONや雪緒の会社の利益になる事も多々あったから、彼を最低限しか咎めなかった。
「攻撃した奴はどうなったんだよ……」
「色々よ、下僕にされたり、廃人になって病院送り。銀城が危ない連中に渡すとか。あんたは月島の一面しか知らないから、人並みに悲しめるのよ」
　毒ヶ峰の発言に嘘はないと思った獅子河原は、何も言えなかった。
「それでも俺は月島さんを……」
「ハイハイ、勝手に慕えばいいじゃない……でも、しょぼくれた舎弟を月島はどう思うでしょうね？　あたしなら恥ずかしいわ」
「……っ」
「舎弟なら兄貴分に胸張れる男になったらどうなの？　雪緒みたいに企業しろとか言わないけど――ま、あたしには関係ないから、どうでもいいけどー」
　続けて毒ヶ峰は「根性無し」と呟き、その場から去って行った。
「あれで励ましているつもりかよ、下手くそだろ……」
　彼女の意図を理解した獅子河原は、確かにその通りだと思った。自分が凄い舎弟になれば、必然的に兄貴分の株は上がると考えた。
「勉強、するしかねえよなぁ……月島さん」

[128 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 00:39:57]

展開ダイス

1.黒崎一護＆浅打　2.バンビエッタ　3.黒崎一心　4.死神（隊長）　5.エリッタ＆兵主部一兵衛

dice1d5=4 (4)

4の場合

1.鳳橋楼十郎　2.日番谷冬獅郎　3.六車拳西　4.狛村左陣　5.涅マユリ

6.卯ノ花烈　7.更木剣八　8.浮竹十四郎　9.平子真子　10.京楽春水

11.砕蜂

dice1d11=2 (2)

[129 二次元好きの匿名さん 25/02/04(火) 00:53:47]

エリッタが霊王と対話出来る唯一の存在ってのが引っ掛かるな…
アンナじゃ無理って事は聖文字関係で何か違いがあるのか…？

[130 二次元好きの匿名さん 25/02/04(火) 09:13:09]

想像以上にエリッタの重要度は高いのか
一護のスペアになりえるアンナよりも優先度が高いことも注目するべきだったか

[131 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 13:07:29]

　十番隊隊舎の執務室。
　日番谷冬獅郎と松本乱菊は、黙々と書類仕事に忙殺されていた。見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）の侵攻で死亡した隊士の葬儀や、破壊された建造物の被害に関する書類処理を連日続けていた。
「はぁー、あと少し、あと少し。早く隊長がサインを書いてくれればなー」
「松本、黙って仕事しろ」
　互いに戦いの傷も癒えていない中、松本は大人しく仕事を続けていたがそれも限界のようで呟きが漏れ始めた。彼女が丸二日仕事に徹した奇跡は、書類の目途が付いたため終わってしまった。
「はぁ～六番隊はいいわねぇ。今頃、霊王宮でくつろいでいるんだろうなぁ～」
「……口を動かすよりも先に手を動かせ」
　六番隊は書類が後回しになっているだけと考える日番谷は、早く修行に取り掛かりたいと思っていた。卍解が使えない状況なら、卍解無しで新しい戦い方を模索するしかない。すでに何人かの隊長は動き出しているので自分も遅れるわけにはいかなかった。
「松本、敵はもう一度攻めて来る。今度こそ俺たちを殲滅する気で……それまでに俺たちは今一度鍛え直す必要がある。いつまでも書類に足止めされるわけにはいかない」
「……分かってますよ」
　日番谷に言われなくとも彼女も分かっていた、千年続く滅却師の因縁があの程度で終わるはずがない、敵はまた来ると。
「でも、敵の能力はもう判っているから、前回よりは戦いが楽になるかも？」
「力を知ったところで、敵には滅却師版の卍解――滅却師完聖体（クインシー・フォルシュテンディッヒ）がまだあるだろ。楽になるはずがない」
「も～隊長は気を張り過ぎ。いざって時にばてますよ？　そんな隊長にYDM書籍販売から買った現世で人気の和菓子を用意しました～！」
「――自分が食いたいだけだろ」
　執務机の引き出しから和菓子セットを出して、日番谷に見せつける松本に彼は呆れながら指摘する。
「まあまあ、隊長も食べましょ。お茶入れてあげますから～♪」
　松本は椅子から立ち上がり、率先してお茶の用意を始める。こうなったら松本は仕事に戻らないと知っている日番谷は重い溜息を吐いた。
「は～～」
「そんな重い溜息を吐くと幸せが逃げちゃいますよ」
「誰のせいだと……甘納豆はあるんだろうな？」
「フフッ、もちろんありますよ～♪」
　日番谷も本心は休みたかった事を見抜いた松本は微笑し手招きした。

[132 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 13:07:56]

展開ダイス

1.黒崎一心＆バンビエッタ　2.エリッタ＆兵主部一兵衛　3.阿散井恋次＆コン　4.黒崎一護＆浅打

dice1d4=1 (1)

>>129　霊王があの状態なので対話というか面会という形になりますね、『可能性』は未来でもありますから。

>>130　和尚の優先順位は一位・一護、二位・銀城です。バンビちゃんは非常時のスペアなので、今はエリッタよりも順位が下になってます。

[133 二次元好きの匿名さん 25/02/04(火) 20:33:11]

アンナも聖文字が「可能性」に目覚めるIFはあったのかな？

[134 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 23:33:18]

　現世、黒崎家。
「お～こんなところに五十円がラッキー♪」
　医院の掃除をしていた黒崎一心は、誰かが落とした五十円玉を見つめるや素早くズボンのポケットへ入れた。
　今日は黒崎真咲の命日。朝から彼女の墓参りに家族三人で行っていたが、長男もいない上に雨も降って来たので昼過ぎに帰宅した。
「見たわよ、妻の命日に泥棒とか最低ね」
　毎年この日は院内の掃除をするバンビエッタは、院長の悪事を目撃し即座に非難した。
「ち、違うしっ！　きちんと忘れ物として管理するからな！」
「ふ～ん」
　バンビエッタの非難に一心は慌てて言い訳し、ポケットから五十円玉を出して受付台に置くも、それでも彼女からの「後からこっそり回収する気でしょ」というような視線があった。
「違うもんっ。俺、泥棒しないもん！」
「可愛くないから、自分の年齢を考えなさいよ。ヒゲ――ついでだからドアを拭いて」
「――あふんっ」
　一心は誤魔化すもバンビエッタに通じず、彼女は雑巾を投げ渡しドアを拭くように命じてくる。家長の威厳が微塵もない一心は言われるまま、せっせとガラスドアを拭き始める。
「……雨、止まねえな」
「明日まで降るみたいよ――そうだ、自慢の霊圧で雨雲を飛ばせないの？　鬼道でもいいけど」
　掲示板のチラシを留める画鋲を抜いていたバンビエッタは、雨雲を霊圧で飛ばせないか一心に訊ねる。断界を単独で固定出来る霊力なら、雨雲ぐらい簡単に吹き飛ばせると思ったからだ。
「その気になれば出来なくもない……かな？」
「なに、自信ないの？　鬼道は得意そうに見えないから元から期待していないけど」
「縛道の八十番台なら、詠唱破棄が出来るんだぞ～威力弱いけどな」
「へー意外。じゃあ雨雲飛ばして来て、見ているから」
　親指で外へ行けというサインを送るバンビエッタに、一心は口をへの字に曲げて返答する。
「やだ。医者が風邪を引いたら、ご近所さんに顔向け出来ない。ヤブって言われる！」
　元からヤブ医者じゃないの？　浦原喜助の支援で経歴詐称の医師免許さえ本物か怪しい一心にそれを指摘するのはかわいそうだったので、バンビエッタは口を閉じる。
「雨で買物したくないから、夕飯は冷蔵庫の物で適当に作るしかないわー」
　チラッと一心を見るバンビエッタの視線に、彼はしょうがねえなと頭を掻く。
「食後に芋羊羹が食いたいぜ」
「じゃあ、気合入れて雲を晴らしてね」

[135 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/04(火) 23:33:52]

展開ダイス

1.更木剣八＆京楽春水　2.バンビエッタ　3.エリッタ＆霊王　4.黒崎一心＆燧ヶ島メラ

dice1d4=4 (4)

>>133　あったかもしれませんね。でも攻撃にランダム要素があるので当たり外れに一喜一憂して、バンビちゃんが『可能性』を使いこなせるイメージが湧かないです。

[136 二次元好きの匿名さん 25/02/05(水) 08:49:24]

一心とメラか
ここまで接点無い組み合わせも珍しいな

[137 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/05(水) 11:07:45]

　四楓院夜一に電話で呼ばれた黒崎一心は雨の中、店長不在の浦原商店を訪れていた。
「お、来たな。黒崎一心」
「誰だ？」
　店に入るなり、見慣れない赤いソフトモヒカンの少女が駄菓子を食いながら一心を迎える。その後ろの畳には我関せずの夜一と、黒崎一護の肉体が横たわり霊圧から体に魂魄が入っている状態と気付く。
「――燧ヶ島メラ。零番隊『刀神」二枚屋王悦の使いだよ」
「二枚屋……確か斬魄刀の生みの親だったな」
　零番隊の使いが現世に来た目的と、自分が呼ばれた事と霊王宮にいるはずの息子が現世にいる事は関係があると悟り、一心の心が緊張する。
「俺に何をしろと？」
「難しい事じゃないよ。御屋形サマからの言伝をそのまま言うと真剣さが伝わらないから、簡単に言うよ――あんたの息子に出生（ルーツ）を話してくれってさ。今のこいつじゃあ、斬魄刀を持つ資格がないから」
「出生……一護に俺と真咲の出会いを伝えろってか？」
「そんな感じだと思うよ。黒崎一護は自分が死神と滅却師の合いの子は知ってる。けれど、生まれた過程は知らない答えだけを知っても本当の理解じゃないから――これも貰うね」
　燧ヶ島は棚の駄菓子に手を伸ばす。霊王宮でも駄菓子を食べる事は可能だが、現世と比べると種類は圧倒的に少ないので、彼女はここぞとばかりに食べていた。
　一心は顎に手を当て、一護にどの辺から語るか考え始めていた。黒崎真咲と出会うためには自分が現世に赴いた理由の部分は当然として、一護の中にいる虚の話とそこに関わった浦原喜助の部分も当然、その後に医院の前身である診療所時代の真咲とのデートも語るべきかなど、一護が生まれる前の思い出が湧水の如く思い出される。
「質問なんだが、猶予はどれくらいある？」
「夜明けまで――御屋形サマ曰く、一晩あれば十分。一晩で何か変われない奴は幾ら待ってもムダだってね」
　せっかちだな、一晩で何か変われる奴なんて本当に一握りだぞ。と思う一心であったが、零番隊が判断したのなら従うしかなかった。
「分かったよ。一護はどれくらいで目覚めるんだ？」
「ん～修行の後だけど移動中に治療はしたから、実に目覚めると思うよ」
「そうか。ならウチへ連れて帰るか」
　彼女の横を通り、一心は畳に転がる一護へと近づく。
「――じゃ、頼んだよ」
　駄菓子を抱えた燧ヶ島は一心を一護に託すと、超界門で霊王宮へと戻って行った。

[138 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/05(水) 11:08:10]

展開ダイス

1.黒崎一心＆黒崎一護　2.エリッタ＆霊王　3.バンビエッタ

dice1d3=1 (1)

>>136　超界門で一護だけ現世に戻しても、浦原商店にある彼の肉体をクロサキ医院に運ぶ理由が不鮮明でしたから、一心が一護を家に連れて過去を話す展開にするには、二人が出会うしかないと判断しました。

[141 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/05(水) 22:46:16]

「――！」
　黒崎一護が目覚めた時、視界に見慣れた天井が広がっていた。
「……ウチだ」
　上半身を起こすと自分が電灯の付いていないリビングのソファに寝かされ、体も霊体ではなく現世の肉体と気付いた。浦原商店にあった肉体が家の中にある事が謎だったが、すぐに父親が運んだと悟った。
「よう、起きたか。一護」
「！　……親父」
　黒崎一心の声に振り向いた一護は、筋肉道と書かれたダサいシャツを着た一心がリビングの出入口に立っていた……まるで息子を逃げさないように。
「いや～久しぶりに帰って来たなァ！　まあ二・三日いなくなんのは珍しい事じゃねーけど！　どう！？　久しぶりに父ちゃんの手料理とか――」
　一転して普段通りの明るい口調になった一心は、電灯を付けてから暗い表情を作る一護に近づく。
「やめろよ。状況は解ってんだろ……」
　冗談に付き合う気分じゃない一護は、さっさと本題を言えと父親に促す。一心は余裕のない息子の背に溜息を吐く。
「尸魂界の事は浦原とアンナに聞いた――追い帰されたんだろ？　ま、そりゃあそうだろうな。今のお前に折れた卍解を直すどころか斬魄刀を持つ資格もねぇ、自分の事を何も理解していないお前にはな」
「！」
　一心の言葉で反射的に怒りが湧き、一護は立ち上がり父親に掴みかかる。
　そのまま数秒間、一護は一心を睨み付けるもこんな事をしても無意味と理解したのかシャツを掴んでいた手を放す――一心は息子の見捨てられた心情を理解しつつ、間を置いてから話しかける。
「一護、自分が死神と滅却師の間に生まれたと知った時、少しでも疑問に思わなかったか？　なぜ死神と滅却師。敵対関係にある者同士が結婚するに至ったか？」
「……偶然だろ」
「確かに出会いは偶然だったさ……その出会いのきっかけに、藍染が裏で関わっていたんだがな」
　偽空座町で藍染惣右介と単独で戦っている間、本人から聞いた二十年前に出現した謎の虚について。予想はあったが確信はなかった。
「藍染が……」
「今は気にすんな――一護、これから話すのは俺と真咲の話。それと母さんが死んだあの日の事も含まれる、聞く覚悟はあるか？」
　静かな声で一心は問う。ここで無いと言われると一護の死神の道は断たれるが、その分自分がユーハバッハと戦えばいいと彼は思った。
「……教えてくれ、親父」
　一護は伏せられた事実を知る事を望んだ。

＊続きます。

[142 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/05(水) 22:48:47]

「聞いて行け。あの日、母さんが死んだ本当の理由を」
　黒崎一護は自分が生まれる前の、両親が出会う話を聴いた。それは恩人のために自己犠牲を選べる情に厚い死神と、誰かのために戦える勇気ある滅却師が出会う物語だった。
　そして自分が、死神と人間の中間の存在となった父親と滅却師と虚の中間の存在となった母親との子供と理解した。
　分類的には混血の滅却師なのは変わらない、それでも二人がどんな想いで自分を生む選択をしたのか理解出来た事は大きかった。不安もあったはず、もしかしたら虚と人間の中間で生まれるかもしれなかったからだ。
　それでも二人は生む選択をしてくれた――だから全てを知らないといけない、それに辛さや驚愕が含まれていたとしても。
「母さんは、本当はあの日に死ぬ筈はなかったんだ」
「…………どういう事だよ」
　一護の問いに、一心は一息入れてから続ける。
「滅却師の血装（ブルート）は知ってるな？」
「あァ、アンナとの戦いで散々見せられた。血管に霊子を流し込む技だろ？」
「そうだ。血装は純血統の滅却師に生来の能力として備わり、混血でも鍛錬で身に付けられるらしい。純血統の真咲は、同じ純血統のアンナが羨むほど防御の血装が桁外れだった」
　それを聴き一護は疑問が浮かぶ。母を殺めたグランドフィッシャーは狡猾な虚で、記憶を読む爪で記憶を読んでは母親の疑似餌まで作り出した。そこまでしながら滅却師・黒崎真咲をまるで憶えていないのはおかしいと思った。
「……一護、お前の友達、雨竜君の母親の話は聞いた事はあるか？」
「いや、あいつは家族の事かと話すタイプじゃねえし」
　なぜ急に石田の家族が出てくる？　一護の疑問に一心はすぐに答える。
「彼の母親は片桐叶絵といって混血の滅却師だった――彼女は九年前の今日倒れ、その三か月後に亡くなった」
「何が……あの日に何があったんだよ……！」
　そこにユーハバッハが関与していると、一護の直感が告げていた。
「――聖別（アウスヴェーレン）。九年前に行われたのは、ユーハバッハによる滅却師の選別だ」
「滅却師の選別って……けど、アンナはあの日に何も――」
「当時のあいつは、浦原の義骸で滅却師の力が無い完全な人間だったから聖別を逃れる事が出来た」
　だからこそ母親と同様に標的にされたはずの混血滅却師・石田雨竜が聖別を生き残った理由が一心には解らなかった。

＊続きます2

[144 二次元好きの匿名さん 25/02/06(木) 08:37:44]

実際は雨竜は聖別を受けて同じく混血の母の叶絵が倒れていないという異常事態は想定できない
何故か彼女が死ぬまで三か月もかかったし

[145 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/06(木) 13:06:54]

「俺が語れるのはここまでだ」
　黒崎一心は知り得る全てを息子に語った。ユーハバッハと滅却師たちの血の繋がり、その繋がりに自分も含まれる事を知った一護は、語られた全てを胸の中で整理するように沈黙してから父親へ告げた。
「……親父、ありがとう」
　その時の瞳は力強く戦う覚悟が宿っていたので、一心はもう大丈夫と安堵が滲む眼差しで息子を見つめた。
「おう……」
　話が一区切りし、一心は窓側から聴こえる雨音から雨がまだ止んでいないと気付く。
「親父。この際だから聞きたい事がある」
「なんだァ、語れる事は全部言ったぞ？」
「……――なんでアンナと養子縁組しないんだ？　お袋の件で流れたのは分かるけど、もういいだろ」
　ずっと棚上げにしたままの黒崎一心とバンビエッタの養子縁組の件に、一護は思い切って切り込んだ。
「そ、それかぁ……」
　息子からのデリケートな部分の質問に、一心は困ったように頬を掻き答えるべきか悩む。
「はぁ～～養子縁組の件は、俺の気持ちの問題だ」
「それは何となく分かってる」
「……憶えているか？　母さんの葬式後しばらくしてアンナが一時家を離れた時期があっただろ」
「え……記憶にない」
　当時の一護は母の死がショックで記憶が曖昧で、父親の言葉に同意出来なかった。そんな息子の発言に一心は重い溜息を吐く。
「あったんだよ、数日だけど――俺がユーハバッハと聖別を知ったのはその頃だ」
「……アンナに何があったんだよ」
「雨竜君の父親、竜弦がアンナを襲撃した」
「――何でだよ！？」
　一護の脳裏に総合病院で出会った院長の石田竜弦が浮かぶ。息子よりも冷徹な印象がある人物が、アンナを襲撃するとは思えなかった。
「あいつも幼馴染の真咲だけじゃなくて奥さんも死ぬと分かって、精神的に限界だった。半ば八つ当たりで襲ったみたいだ……俺は二人の近くに居たのに、すぐにあいつを助けに行けなかった」
「ッ、どうして……！」
「……俺も真咲を喪ったばかりで、竜弦の言葉は衝撃で、どこかで真咲の仇に一矢報いたい気持ちがあって。それで動くのを迷っちまった」
　今は後悔していると、一心の表情はそう物語っていた。
「……逃げるアンナに竜弦の矢が何発か当たった時、義骸に備わっていた自爆機能が誤作動した」
「はぁ？！　自爆！？」

＊続きます3

[146 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/06(木) 13:07:40]

「自爆って、何だよ……いや、学校で毒野郎とアンナの会話で聞いた気が」
　黒崎一護は一心の発言に唖然としつつも、一年半前に戦った毒野郎ことアスキンとバンビエッタの会話を思い出そうとした。
「当時アンナが着用していた義骸には、自爆機能と追跡機能があった。二つの理由はもちろん監視とアンナが間違いを起こした時にお前たちを護るためだ。その自爆が竜弦の矢で誤作動を起こして、アンナの霊体と魂魄が焼かれる事になった」
「ッ、その時には止めに入ったんだよな？」
　そんな状態でも止めに入らなかったら、当面は不仲覚悟の一護の質問に一心は頷く。
「あぁ、あいつの悲鳴を聞いた時には足が動いていたよ。俺は石田に抱きついて止めたが、一度作動した機能は俺に止められなかった……幸い、浦原も異変を察知して駆け付けたが、それでも四分近くは焼かれていたよ」
　もしも高火力で焼かれていたら、バンビエッタは一分と持たずに死んでいた。火力が弱かったのは、彼女に自分の立場を解られる時に浦原が使用するつもりではなかったのかと考える一心だったが、憶測に過ぎないので声に出さなかった。
　そして、そんな大事に何も気付いていなかった当時の自分に一護は内心で失望した。
「……その後は浦原と握菱が治療と義骸の修理をした後、当面の用心に義骸の性能を落とした事でアンナは滅却師の力を取り戻した――今のあいつは人間と滅却師の中間存在だな」
　一心は知らないが、兵主部一兵衛の斬魄刀による封印も霊体が焼かれた事で封印もある程度焼かれ、浦原喜助の想定以上にバンビエッタは滅却師の力を取り戻す事が出来た。
「……俺はアンナと同じ状況にお前と遊子たちが置かれたら、すぐ石田を止めようとしたはずだ。それは間違いないと断言出来る…………一護、俺にアンナの義父になる資格は、あるのか？」
「……親父」
　ここで一護は父親の抱えた苦悩を察知する。本当は養子縁組をしてバンビエッタと家族になりたいと思っているが、実の家族と同じように今度こそ彼女を守るために自分は動けるのか、戦えるのか。その確信がずっと持てずにいるから養子縁組の話が出来ないのだと。
「――あるに決まってるだろ。自信を持てよ、クソ親父」
　ずっと抱えないで家族に相談しろよ、そう思う一護だったが父親の内心に気付かなかった自分も悪いと反省する。
「お袋もそう思っているはずだ、勇気出せ」

[147 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/06(木) 13:08:09]

展開ダイス

1.石田雨竜＆ハッシュヴァルト　2.バンビエッタ＆黒崎一心　3.エリッタ＆霊王　4.ユーハバッハ

dice1d4=4 (4)

>>144　どこかで見たアンチサーシスは元々母親の能力で、母親が聖別の結果を入れ替えたから雨竜は生き残った説が個人的には正解じゃないかと思ってます。三か月生き延びたのは医学や人工心肺装置などのおかげではと考えてます。

[149 二次元好きの匿名さん 25/02/06(木) 20:38:00]

竜弦、撒き餌した雨竜みたいな感じで雨竜よりもダイレクトに過激な行動に出たのか……
いやまー一心の見殺し未遂も含めて夫達にとっては当時のアンナは確定で仇の一党の滅却師相手だから無理もないが
でもその襲撃の結果が巡り巡って今の戦えるアンナを生み出してるの、因果って不可思議

[150 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/06(木) 23:47:30]

「……三秒後、鳥が二羽、噴水の縁に止まる」
　鳥の鳴き声、噴水の水音、日光を浴びながら、霊体のユーハバッハは護衛も連れずに単身で現世の大きな公園に立っていた。
　三秒後に空を飛んでいた二羽のスズメが、噴水の縁に降り立ち鳴き声を発し始めた。
「六秒後、赤子が泣き犬が吠える」
　そして六秒後にベビーカーに乗った赤子が泣き出し、それに反応して犬が吠え始める。
「一分後、子供が前を通る」
　と言った一分後、ユーハバッハが見えない子供が前を通り、その光景にユーハバッハが微笑を浮かべる。
「フッ、よもや目を閉じた状態で視えるようになるとはな。死神どもの命も我が糧以外の価値はあったか」
　瀞霊廷侵攻で死亡した死神たちの命と力を余さず奪い、数日かけて完全に自分の物にした結果、本来は開眼しなければ視る事が出来ないはずの未来が視えるようになった。
　もちろんその視える範囲は完全な開眼に遠く及ばないものの、この後に始まる死神との更なる戦いで優位に働く事は間違いなかった。
「霊王。我が父よ……もうすぐお前の命に我が剣が届くぞ」
　昨日から続いた雨で湿った空気の青空を見上げながら、ユーハバッハは霊王宮の霊王へ語りかける。
「この時を貴様の瞳は視えていたのか知らぬが、迫る死の気配に貴様が怯えている事を切に願おう……だが、この程度では終わらせんぞ」
　滅却師が舐めた辛酸はこの程度ではない。肉塊に残っているか知らない霊王の舌に悶絶しのたうち回るほどの辛酸を与えなければ、この世界を肯定し楔となる事を選んだ貴様の罪は償えない。とユーハバッハは空を睨みつけていた。
　それは霊圧となって周囲に放たれ、鳥や散歩している飼い犬は機敏に反応して慌て始めた。
「……ここまでにしておこう」
　この程度の感情の起伏で霊圧が漏れるという事実に、ユーハバッハは得た力の制御が甘いと自覚し見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）への帰還を決めた。
「石田雨竜も頃合いだ」
　極秘で帝国に連れて来た石田雨竜。ハッシュヴァルトの経過報告ではまもなく謁見に足る技能を持つという事なので、ユーハバッハは少なからず会うのが楽しみだった。
　彼は史上唯一の聖別を乗り越えた混血滅却師。それはユーハバッハも知り得ない何かを持っている事を意味する。
　影の領域を開き、誰の眼にも留まらずに皇帝は影に包まれていく。
「後継者を決める時がきたようだな」

[151 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/06(木) 23:48:09]

展開ダイス

1.死神（隊長）　2.黒崎一護＆二枚屋王悦　3.石田雨竜＆ハッシュヴァルト　4.エリッタ＆霊王　5.バンビエッタ

dice1d5=1 (1)

1の場合

1.六車拳西　2.更木剣八　3.狛村左陣　4.鳳橋楼十郎　5.砕蜂

6.京楽春水　7.日番谷冬獅郎　8.浮竹十四郎　9.平子真子　10.涅マユリ

dice1d10=8 (8)

>>149　親子だから憎い対象には過激に動いてしまうのが石田家の血筋なのでは？　宗弦も打倒ユーハバッハのために徹底的に滅却師の祖を調べ上げ、準備と鍛錬を欠かさずにしていたみたいですから。

[152 二次元好きの匿名さん 25/02/07(金) 08:23:55]

ほ

[153 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/07(金) 13:26:50]

「予定より大分遅れてしまったな」
　苦笑しながら浮竹十四郎は、東流魂街七十六地区『逆骨』のミミハギ様を祀る御堂を訪れていた。
　小椿仙太郎と虎徹清音を連れて御堂の掃除をした後、彼は体調を崩して丸三日寝込む事となって復活したのは今日の朝方、本来なら念のためにもう一日休むところだが浮竹本人がそれを嫌がった。
「浮竹隊長！　見張りは俺にお任せを！」
　小椿は声を張り上げる。祈祷の間に邪魔が入らないように浮竹の希望で、小椿と清音の二人が交代で御堂を見張る事になった。
「あぁ、先に言ったが神掛は長期間のものになる事が予想される。出来る事なら最初から最後までやりきりたいが、どうしても俺の指示や承諾もしくは火急の報せがあった時は迷わず呼びかけてくれ」
「はい――あの隊長」
「うん？」
　御堂の階段を上がる浮竹に小椿が呼び止める。
「これから始める儀式は、その……神掛は大丈夫なものなんですか？」
　小椿が身を案じている事を理解する浮竹だったが、それでも彼の方針は変わらない。
「……仙太郎、これから行うのは尸魂界を護るための備えだ。多少の危険があったとしても俺は止める気はないよ」
　病を背負いながら繋いできた命の使いどころがきたのだから、そこから逃げる訳にはいかない。浮竹の覚悟を感じ取った小椿は小さく頷く。
「……分かりました」
「すまない」
　御堂の引き戸を開け、浮竹はロウソクの火に照らされたミミハギ様の仏像が置かれた室内に入り静かに戸を閉める。
「はぁ～」
　深呼吸してから浮竹は仏像の前に正座し斬魄刀を前に置く。さらに隊長羽織を脱ぎ、死覇装も脱いで上半身を露にする。
　露出された白い肌、細身で鍛えてはあっても隊長としての逞しさに欠けた肉体はロウソクの火に照らされる事で長い白髪も相まって幽鬼さがあった。
「――ミミハギ様ミミハギ様、御眼の力を開き給え。我が腑に埋めし御眼の力を、我が腑を見放し開き給え。ミミハギ様ミミハギ様、御眼の力を開き給え。我が腑に埋めし御眼の力を、我が腑を見放し開き給え――」
　そして浮竹はミミハギ様へ祈祷を始め、ひたすらに同じ祈念を唱え始める。
「隊長……」
　御堂の外で待つ小椿は、御堂の中から微かに聞こえてくる浮竹の祈念に不安を覚えながらも、与えられた役目はしっかり果たすために腕を組み、逆骨の住民が御堂に来ないようにと周囲を威圧するに霊圧を放ち続けた。

[154 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/07(金) 13:27:23]

展開ダイス

1.石田雨竜＆ハッシュヴァルト　2.エリッタ＆兵主部一兵衛　3.バンビエッタ　4.聖章騎士　5.黒崎一護＆斬月

dice1d5=2 (2)

4の場合

1.ハッシュヴァルト　2.バズビー　3.ナナナ　4.ジェラルド

5.ニャンゾル　6.キャンディス　7.エス・ノト　8.アスキン

9.マスキュリン+ジェイムズ　10.蒼都　11.BG9　12.ミニーニャ　13.リジェ

14.ジゼル　15.グレミィ　16.ぺぺ　17.ロバート　18.リルトット

dice2d18=18 9 (27)

[155 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/07(金) 22:22:06]

　霊王宮・大内裏（だいだいり）。
　零番隊が管理する五つの零番離殿に囲まれた霊王宮中央にある宙に浮かんだ繭のような形状をした建造物、そこに霊王が住む。
「……気分はどうじゃ？」
　腕を組んで大内裏の螺旋通路を歩く兵主部一兵衛は、前を歩く麒麟寺天示郎と修多羅千手丸の手によって臓腑を交換したエリッタ・バスターバインに問いかけた。
　彼女はユーハバッハよりも先に霊王と接触した。兵主部は離れた位置から彼女を監視していた。
「なんかね、頭がふわふわしてる」
「ふむ……そうか」
　霊王と接触したエリッタの外見に変化は無く、術後経過も安定していて肌艶もいい。黒崎一護と阿散井恋次と共に『臥豚殿』での食事で力の階位を上げ、臓腑を入れ替えた影響もあってか霊圧の質もかなり向上していた。
　それでも兵主部の眼から見れば“この程度”の上昇率なので、万が一ここから暴れられても一人で対処出来る範囲だった。
「霊王様と会い、何を感じた？」
「ん～～？　やさしそうな顔をしてた。目がまんげきょうーみたいにキラキラ」
「……ほう」
　複製された霊王の神経が封印された霊王の肉体に共鳴し、世界の緩やかな流れの中にある霊王の意思と接続。それによりエリッタは霊王の感情と三界誕生前の霊王の姿を幻視したと兵主部は考察した。優しそうという表現から、霊王は彼女を敵と認識していないと分かった。
　もしも本物の霊王の神経を持つバンビエッタが霊王の意思に接続したのなら、姿はおろか声さえも聞く事が出来たのではないかと予想した。
　さて、どうしたものかのう……。
　黒ひげを触り兵主部はエリッタの背を見ながら彼女の処遇について考える。霊王の意思には応えたが、このまま滅却師に死神の修行をさせる訳にもいかないため、霊王宮に置いておく必要はない――早々に地上へ帰ってもらうのが無難と判断した。
「ふむ。娘よ、おんしにはこの後尸魂界に帰ってもらうぞ」
「え～。おばちゃんのごはん……やくそくしたもんっ」
　兵主部の発言にエリッタは嫌がり、上目遣いで彼を見上げて食事をしたいと訴える。曳舟も面倒な約束をすると思う兵主部であったが、急いで地上に戻す必要もないので食事一回分遅れても支障はないと思った。
「しょうがないのう……」
「やった～。ぎょーざとラーメンのセットはおいしいんだよ、おじいちゃんは知ってる？」
「おうおう、よく知っとるぞ」

[156 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/07(金) 22:22:31]

展開ダイス

1.浦原喜助＆ネル　2.黒崎一護＆二枚屋王悦　3.石田雨竜＆ユーハバッハ　4.バンビエッタ＆有沢竜貴

dice1d4=1 (1)

[158 二次元好きの匿名さん 25/02/08(土) 10:06:55]

零番隊でもメンバーでエリッタに対する温度差は大きい

[159 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/08(土) 13:28:40]

「いや～すいませんね。急に呼び出してしまって」
「まったく、こごさ来るの大変だったス！」
　虚圏、浦原喜助はテントの外に出て井上織姫たちが修業をしているネガル遺跡から、破面ネル・トゥ――移動にはペットのバワバワに乗って――だけを呼び戻した。単独行動は彼女の保護者・従属官であるペッシェ・ガティーシェたちが難色を示すもネルが押し切った。
「つまんねぇ用事だったら、ぜってぇゆるさねぇがんな」
　何故か強気のネルを不思議に思いつつ、浦原は本題に入る。
「そこはご安心を。ネリ――ネルサンには、滅却師撃破にご協力してくれたお礼を用意したっス」
　と言いながら浦原は、ネルに渦巻き角をあしらい小さい籠手も付いた白い腕輪を差し出す。それは卍解奪掠を防ぐ方法を思い付くまでの合間に気分転換で作った発明品。しかし彼女の欠点を埋めるものでもあると同時に、近い未来に井上織姫の感情を大きく動かすものでもあった。
「腕輪～？ ネルはそったなモンで喜ぶほど子供じゃねぇんぞ」
　と言いつつもネルは受け取り、両腕に腕輪を装着。服装がぼろ服なので新品の腕輪が無駄に目立っていた。
「……まんずまんずのつけごこちだ」
「それは良かった。実はその腕輪には特別な機能が付いていまして、機能のオンオフは角の意匠を動かす事で作動するス。まず、左の腕輪の角先を上向きにしてみてください」
「ふ～ん」
　浦原の説明にネルは疑いながらも、左手の腕輪の角の意匠をつまんで角先を上に動かした。
　その瞬間、左の腕輪を中心に周辺の霊子が急速に集まり始めた。
「わわわ！　なんっスか！」
「大丈夫ス。ただ、霊子を集めているだけなので害は無いです」
　慌てるネルに浦原は落ち着くように言う。左の腕輪には滅却師の聖隷を模した霊子集束機能が搭載されており、右の腕輪には集めた霊子を装着者の体内に留める機能を備えていた。
「わ、わきゃ～～！」
　ネルが雄叫びを上げた瞬間、彼女の体に集まっていた霊子が弾け砂煙が起こった。
「――成功スね」
　浦原は呟き、砂煙からぼろ服を着たネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクが姿を見せた。
「これは……」
「あなたの幼児化は、傷が原因で体内に霊力を最低限しか保持出来ない点にあったので腕輪の機能でカバーしてみました」
　今後の戦いに備えた浦原だったが、ネリエルにとっては最高の贈り物となった。
「ありがとう、浦原さん」

[160 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/08(土) 13:29:03]

展開ダイス

1.朽木ルキア＆コン　2.石田雨竜　3.黒崎一護＆兵主部一兵衛　4.バンビエッタ　5.エリッタ＆死神（副隊長）

dice1d5=5 (5)

5の場合

1.射場鉄左衛門　2.檜佐木修兵　3.松本乱菊　4.草鹿やちる

5.涅ネム　6.虎徹勇音　7.雛森桃　8.伊勢七緒　9.大前田希千代

dice1d9=5 (5)

>>158　和尚と千手丸は滅却師を見下している節があるのでエリッタの淡白な態度も仕方ないかと。

[161 二次元好きの匿名さん 25/02/08(土) 14:18:59]

……ぼろ服でネルとネリエルを行き来するといちいちすごい事になりそうだけど、アンナのブローチみたいに戦闘服内蔵及び自動着用になる機能も搭載してんのかなこの腕輪

[163 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 00:47:06]

　兵主部一兵衛の超界門で霊王宮から技術開発局の敷地内に送られたエリッタ・バスターバインを出迎えたのは、十二番隊副隊長の涅ネムだった。
「……こんばんわ」
「こ、こんばんわ」
　挨拶を返すエリッタはネムを苦手と感じていた。理由は彼女本人にも分からないものの、敵意がないので戦おうという気持ちにはならなかった。
　ガチャン――エリッタの細腕にネムは無言で霊力封じの手枷をはめる。これで彼女は飛廉脚で敷地外に逃げる事も影の領域で隠れる事も出来なくなった。
「まいりましょう。マユリ様がお待ちです」
「ぁ」
　手枷に付いた鎖を引きネムは技術開発局内へ入ろうと歩き出す。霊王宮の静謐な雰囲気から一転し、滅却師に厳しい雰囲気の場所へ戻った事を自覚したエリッタは途端に不安が押し寄せる。
「やだっ」
「ダメです」
　その場で足を止めて抵抗するエリッタだったが、涅マユリ至上主義のネムには通じず強制的に連行しようと小柄なエリッタを抱き上げようと手を伸ばした。
「やだぁ。行きたくないのっ！」
「ダメです」
　座り込み嫌がるエリッタに、ネムは両手を広げて彼女を抱えて持ち上げた。そのままネムは技術開発局へダッシュして強引に局内へ入る。
「う～はなせー！」
「無理です。これ以上マユリ様を待たせる訳にはいきません」
　腕の中で暴れるエリッタを逃さず、ネムは牢屋として用意された特注部屋の扉を開けた。その部屋は天井と床から照明が照らされ影が出来ないようになっていた。
「ここでお待ち下さい」
「……」
　ネムは特注部屋に入るとエリッタの手枷を外して部屋から出て行ってしまった。
　キョロキョロとケージに入れられた動物の如くエリッタは周囲を見回し警戒する。その様子を別室で監視するのが局員たち、彼らが見守る中涅マユリが部屋にやって来た。
「やあやあ、待たせたネ」
「――待ってない！」
「ふむ、霊王宮から戻って来て早々だが、君には面倒な調書と興味深い調査をしないとならない。協力してくれるとお互いに楽が出来るヨ。どうかネ？」
　バンビエッタが公開した聖章騎士たちの情報に唯一何の情報もないエリッタの聖文字を暴く調査が、マユリの目的だった。
「……どれくらい楽なの？」
「ふむ、難しい質問だヨ。それは君が素直さで変動するからネ、まず霊王宮で何をしたのか訊こうか？」
　ニヤッとマユリは不気味な笑みを浮かべ、エリッタは怯えた。

[164 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 00:47:31]

展開ダイス

1.黒崎一護　2.バンビエッタ＆崩玉　3.朽木ルキア＆阿散井恋次　4.死神（隊長）

dice1d4=3 (3)

4の場合

1.鳳橋楼十郎　2.平子真子　3.狛村左陣　4.六車拳西　5.日番谷冬獅郎

6.涅マユリ　7.砕蜂　8.朽木白哉　9.更木剣八　10.京楽春水

dice1d10=7 (7)

>>161　換装能力はないですね。ネリエル状態で腕輪を外しても短時間ならノイトラ戦みたいに維持して着替える事は可能ですし、商店の中ではないので素材的な理由もあると思います。

[165 二次元好きの匿名さん 25/02/09(日) 10:13:36]

エリッタが霊王宮に運ばれるまでにマユリの監視は弾かれていると見ていいか

[166 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 12:45:45]

「はぁはぁ、はぁ～……」
「クソ……」
　阿散井恋次と朽木ルキアは、兵主部一兵衛の離殿で修行を行う事になった。しかし、彼が阿散井らの修行場に選んだ寺は霊子濃度が異常に高いため、二人は急性の霊子中毒を起こして倒れ込み意識を保つだけで精一杯と修業どころではなかった。
　まずはこの環境に慣れてもらわんとのう。
　と兵主部は告げ、どこかへ移動してしまった。
　初日は板床に寝転がるだけで終わってしまったが、今日はうずくまり立つ気持ちがあったのは環境に体が適応しつつあるのか分からない二人だったが依然として視界は酔ったように揺れていた。
　立て、立て、立ちやがれっ。
　木刀を握り締めて阿散井は体に強く命令する。修行内容は互いに木刀を持って向き合い本坪鈴が鳴るまで構え続けること。それが修行の第一段階と分かっているので、このまま何も出来ずに時間を消費する事は出来なかった。
「……ルキア」
　小柄のため中毒症状も自分以上に辛いのではないかと思うルキアは荒い呼吸をして、とても周囲に意識を向ける余裕がない事に、阿散井は自分が見本を見せて彼女を鼓舞といけないと強く思った。
「う……うぉぉおおぁああ！！」
　腹の底から声を出すような叫びを上げる阿散井は霊力を噴き出しながら、木刀を支えにして立ち上がろうと上半身を上げていく。
　霊子を大量に摂取した事で中毒が起こるのなら、強引にでも体外へ排出し続けて平均値に近づければいい。阿散井が本能的に行った選択は、その場しのぎであったがルキアの背中を押す効果はあった。
「恋次……――あぁぁああ！！」
　立ち上がろうとする阿散井の姿に、ルキアも身の内にある霊力を叫びながら全力で放出し始める。
　この後霊力切れで倒れる事になっても、今はとにかく立ち上がる事だけを優先する。体が適応するのをのんびり待つ事など出来ない、見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）がいつ再び攻めて来るのか分からない。
　少しでも前へ、わずかでも前よりも強くなる事が彼らの急務だからだ。
「「ああああ！！」」
　二人の霊圧が混じり合い寺内に風を起こしながら、彼らの体はうずくまりから徐々に起き上がり中腰で止まらず曲げていた背骨を伸ばしていき、二人は立ち上がった――瞬間、霊圧が消えてぶっ倒れた。
　その様子を、黒崎一護を不入参道（いらずさんどう）に招いた兵主部はその眼で見ていた事を二人は知らない。

[167 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 12:46:19]

展開ダイス

1.石田雨竜＆聖章騎士　2.バンビエッタ　3.黒崎夏梨＆握菱鉄裁　4.銀城空吾　5.行木竜之介＆斑目志乃

dice1d5=3 (3)

1の場合

1.グレミィ　2.キャンディス　3.ナナナ　4.ロバート

5.ミニーニャ　6.バズビー　7.ぺぺ　8.ジゼル

9.リルトット　10.ニャンゾル　11.BG9　12.蒼都　13.マスキュリン+ジェイムズ

14.アスキン　15.ハッシュヴァルト　16.エス・ノト

dice1d16=12 (12)

>>165　はい、霊王の姿を死神に見せるわけにいかないので修多羅がエリッタを連れて来る途中で付着していた監視菌を全て除去しました。

[168 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 17:59:55]

「え、浦原さんいないの？」
「ええ、現在店長は多忙の身で最後にこちらへ帰って来たのはもう五日前……ですが、必要品の補充は出来るのでご安心を」
　手持ちの対霊アイテム補充のため浦原商店を訪れた黒崎夏梨は、浦原喜助の不在を握菱鉄裁から聞いた。
「そう、じゃあ斥霊スプレーと抗霊障液を三つずつちょうだい。それと浦原さんにスプレーの使用頻度多いからさ、消臭剤みたいな置くだけのタイプが欲しいって伝えておいて」
　彼女が対霊アイテムを使うのは主に学校。幽霊だからか生者の生気に引き寄せられるものが多く、一部は浮遊霊である事を利用し、女子トイレに入ろうとする不埒な奴もいた。そのため斥霊スプレーの頻度が圧倒的に多かった。
「了解しましたぞ。少々お待ちを」
　握菱は彼女が求めた発明品を取りに行くため、店の奥へと移動する。
「ねー、握菱さん。最近この町の死神を見ないし霊圧も感じないけど、何か知らないの？」
　待つ間、夏梨はここ一週間空座町にいるはずの死神を見かけない事を握菱に質問する。
「……残念ながら、こちらには何の情報もありません」
　夏梨に、滅却師の集団に瀞霊廷が襲撃されて大勢の死神が死んだ事を教えられない握菱は知らないと言った。死神と滅却師の全面戦争を教えてしまうと、必然的に彼女の兄黒崎一護がそれに足を突っ込んだと悟らせ必要以上に心配させる事になる。
「ふーん。まぁ、なんでか虚も最近出てきてないからいいけどさ……一兄は修行していないで、さっさと帰ってくればいいのに」
　先週の朝から出かけて一度も帰って来ない兄の事を気にする夏梨に、握菱は少々心が動かされてしまうものの、彼女の一番近くにいる父親とバンビエッタが何も教えていない以上、軽率に自分が情報を伝える事が出来ないと思いとどまる。
「お待たせしましたぞ」
　斥霊スプレーと抗霊障液を三つずつ持ってきた握菱は、夏梨の前でビニール袋へそれらを入れた。
「ありがとう――ね、本当に知らないの？」
「存じませんな」
　商品が入ったビニール袋を受け取りながら、夏梨はもう一度握菱に訊くも彼は知らぬ存ぜぬを貫いた。
「そっか……じゃあ、浦原さんに要望はちゃんと伝えておいてよ」
「ええ、店長にはしっかりとお伝えしておきますぞ」
　ガラス戸を開けた夏梨を見送った握菱は、忘れないうちと虚圏にいる浦原へ彼女の要望をメールで送っておく事にした。

[169 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/09(日) 18:00:23]

展開ダイス

1.京楽春水＆涅マユリ　2.茶渡泰虎＆グリムジョー　3.銀城空吾　4.石田雨竜＆聖章騎士

dice1d4=3 (3)

4の場合

1.BG9　2.リルトット　3.ニャンゾル　4.ロバート

5.アスキン　6.バズビー　7.ぺぺ　8.ジゼル

9.キャンディス　10.ナナナ　11.グレミィ　12.ハッシュヴァルト　

13.マスキュリン+ジェイムズ　14.ミニーニャ　15.蒼都　16.エス・ノト

dice1d16=3 (3)

[170 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 00:20:02]

「――行くか」
　銀城空吾は志波岩鷲の稽古を月島秀九郎に任せて、散歩でも行くかのような足取りで瀞霊廷へと歩き出し、その様子を志波空鶴は静かに見送った。
　短い期間で潤林安の村人たちと顔馴染みになった銀城は、彼らに挨拶しながら瀞霊廷を囲う瀞霊壁の門に近づく。本来なら門番の兕丹坊が登場するが、彼は前回の侵攻で敵に操られた影響かしばらく動けない状況になったので、代理に複数の十一番隊隊士で門番代理を行っていた。
「そこで止まれ！！　通廷証を持っているのか！？」
「そういやぁ、そんなのあったな……中に知り合いの――浮竹十四郎がいるはずだ。何もしねえから、顔パスで入れてくれねぇか？」
　通廷証は無い金もない銀城は、浮竹の名前を出して厳戒態勢の瀞霊廷へ入ろうとした。十一番隊士たちも十三番隊の隊長名を出されては自己判断で追い返すのがまずいと考え、その中の一人が伝令神機で上官に連絡を取った。
「――名前は？」
「ん～……銀城空吾」
　電話する隊士の問いに偽名を使おうと思った銀城であったが、後で面倒になりそうだったので本名を名乗った。
「銀城空吾と……――は？　本物か確認するから待たせろ？　わ、分かりました」
　通話の内容から、自分の事を知っている上席の隊士が来ると分かった銀城は更木剣八以外の話が分かる奴だといいなと腕を組んで考えること――十分後。
　西門がわずかに開き、瀞霊廷から坊主の隊士と目尻が派手な隊士の二人が出て来た。
「――どうやら本物のようだね、一角」
「隊長に言わないで来て、正解だったな」
　斑目一角と綾瀬川弓親は、銀城が本物とすぐに理解すると気持ちを戦闘に切り替えて隊士たちの前に出る。
「十一番隊第三席斑目一角だ、こっちは綾瀬川弓親――てめえ、どういうつもりで浮竹隊長に会うつもりだ」
「――浮竹に会う気はねえ。あいつの名前を出したのは、単に瀞霊廷へ入るためだ」
「へえ、じゃあ用件を訊こうか」
　初代死神代行と戦うのもやぶさかでない二人は、斬魄刀の柄に手が触れていた。銀城は好戦的だなと思いつつ、荒くれ集団の十一番隊らしいと思った。
「……京楽春水に会わせろ。昔の件で聞きたい事がある――返答次第で、俺の遺骸を敵に盗まれた件は許してやるよ」
　銀城は最も多忙な新総隊長との面会を望んだ。
　彼の遺骸が盗まれた件を知らなかった斑目たちは「え？」と驚いた表情を浮かべるのだった。

[171 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 00:20:24]

展開ダイス

1.バンビエッタ＆黒崎一心　2.石田雨竜　3.茶渡泰虎＆井上織姫　4.京楽春水＆銀城空吾

dice1d4=2 (2)

[172 二次元好きの匿名さん 25/02/10(月) 00:45:06]

銀城はちゃんと浮竹の話の裏取りに来たんだな

[173 二次元好きの匿名さん 25/02/10(月) 09:27:41]

ほ

[174 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 12:37:10]

　銀架城。
　星十字騎士団・聖章騎士として正式に見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）へ迎えられた石田雨竜は、あてがわれた個室のベッドで仰向けに寝転がっていた。
「……僕が後継者」
　星十字騎士団の全体集会で、滅却師たちの前で紹介されるだけならまだしもユーハバッハから後継者に指名された事は完全に予想外で平静を崩さない事に苦労した。
　ユーハバッハが「この者を後継者に指名する」と宣言した直後の滅却師たちの驚きと視線から、最有力候補がハッシュヴァルトだと悟った。
　彼の女性副官から聴き出せた事は、ハッシュヴァルトは千年前にユーハバッハが自らスカウトし若くして星十字騎士団団長を務め、護廷十三隊に敗北後の帝国を牽引し続けた皇帝の忠臣であること。
　そんな人物を差し置き、いきなり現れて皇帝に後継者指名を受ける自分が注目されるのは必然。それが監視の目となる事を雨竜は理解していた。
「最後の滅却師……」
　集会後のユーハバッハから教えられた壇上で石田雨竜を「最後の滅却師」と称した理由、それが九年前に行われた『聖別』を乗り越えた唯一の混血滅却師だから。
「……竜弦は全て知っていた」
　雨竜の脳裏に父親の後ろ姿が浮かぶ。どんな気持ちで石田家に仕えていた混血滅却師たちの死を見届け、どんな感情でベッドの母親を看病し、どんな想いで死んだ妻を解剖したのか……息子の雨竜にも父親の感情を推し量ることは出来ない。
「もっと早く教えてほしかった……」
　父親ともっと会話を重ねていれば早い段階で母親の死と解剖の理由を教えてくれていたら、憎しみの度合いは違ったかもしれない……いずれにしても、関係修復の機会を何度も蹴り続け父親から遠ざかったのは他ならぬ自分だと反省した。
　――けど、今はそれよりもユーハバッハを倒す事を優先するべきだ。
　後悔に時間を無駄に消費よりもユーハバッハを倒せるようになる事が最優先と、雨竜はベッドから立ち上がる。
　血杯によって、自分にもバンビエッタのような異能に目覚める事が分かっているのなら、それを早く覚醒させて完璧に使いこなすべきと。
　能力はユーハバッハに知られ対策される可能性は高いが、それもタイミング次第で突破すると雨竜は前向きに考えた。
「これから僕は黒崎たちの敵になる……覚悟を決めろ。石田雨竜」
　自己暗示が出来たら楽なのに、そう思いながら雨竜は部屋から出て行った。

[175 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 12:38:12]

展開ダイス

1.茶渡泰虎＆グリムジョー　2.死神（隊長）　3.京楽春水＆銀城空吾　4.バンビエッタ

dice1d4=3 (3)

2の場合

1.砕蜂　2.朽木白哉　3.狛村左陣　4.六車拳西　5.更木剣八

6.平子真子　7.涅マユリ　8.日番谷冬獅郎　9.鳳橋楼十郎

dice1d9=6 (6)

[176 二次元好きの匿名さん 25/02/10(月) 20:46:51]

石田はここで帝国時代のバンビがどんな人物か知るのだろうか

[177 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 21:24:58]

「やぁ、久しぶりだね。空吾クン」
　隊首会で使用される部屋で京楽春水は銀城空吾を一人で迎えた。それに副隊長の伊勢七緒が反対したので妥協案で室外に警備を配置させた。
「二代目総隊長就任おめでとう」
　笠くらい外せよ、そう思いつつ銀城は皮肉を込めて京楽を祝福する。その程度で心が乱れない京楽は普段通りの表情で返答する。
「ありがとう。ボクとしては不本意なタイミングだけど……それで、ボクに訊きたい事があるんだって？」
　京楽は大雑把に銀城が訊きたい事には見当が付いていた。
「……浮竹が俺に会いに来て謝罪してきた。ついでに、当時の事も聴かせてもらった」
「そうなの」
　危ない事するなぁと素直に思いながら、京楽は銀城の話に耳を傾ける。
「代行証に監視機能を付けるように提言したのは、四大貴族の綱彌代家らしいな」
「最初に言い出したのはね」
　綱彌代家――尸魂界の「過去」を管理する役割を持ち歴史を記録する番人。現在は映像庁を裏から取り仕切っている貴族たちの筆頭。
「綱彌代家と喧嘩は止めた方がいいよ。手勢は多いし要請があればボクらも動くからね」
「提言した程度で一家郎党皆殺しにする気はねぇ……俺が仕留めるべき敵は、あの日に俺たちをはめた奴だ」
　銀城の憎しみが滲んだ瞳と「俺たち」の発言に、京楽は自分の認識と齟齬があるように感じられた。
「訊くけど、君はどうして死神たちを殺したのかな？」
「あ？　浮竹にも言ったが、お前ら死神が先に俺たちを襲って来たからだ」
「もう一つ――俺たちって？」
「完現術者たちだ。死神代行だった俺が、人間に戻すつもりだった連中だ」
　銀城の発言に京楽は位の高い貴族が関与していると確信し、その筆頭に綱彌代家を据えた。目的は完現術者の回収――理由か不明だが、黒い噂が絶えず権力も強い綱彌代家ならしっくりきた。
「……」
「思い当たる節がありそうな沈黙だな」
「……残念だけど、証拠や根拠も無しにコイツが怪しい犯人かもとは、ボクの口からは言えないよ」
　京楽は本家だけではなく分家も関与している可能性を考える、分家に悪事を愉しむ元同期がいるため余計に疑わしさがあった。それでも銀城に言わないのは、彼を綱彌代家と衝突させないために他ならない。
「フン、邪魔したな――遺骸の件は許してやる」
「それでも取り戻せるように、ボクらも頑張るよ」
　銀城はあっさりとその場から離れて行った。

[178 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/10(月) 21:25:23]

展開ダイス

1.バンビエッタ　2.石田雨竜＆バンビーズ　3.浦原喜助　4.死神（隊長）　5.銀城空吾＆月島秀九郎

dice1d5=1 (1)

2の場合

1.リルトット　2.ジゼル　3.ミニーニャ　4.キャンディス

dice1d4=2 (2)

4の場合

1.日番谷冬獅郎　2.涅マユリ　3.更木剣八　4.狛村左陣　5.六車拳西

6.鳳橋楼十郎　7.朽木白哉　8.砕蜂　9.平子真子　10.京楽春水

dice1d10=9 (9)

[180 二次元好きの匿名さん 25/02/11(火) 10:08:59]

以前もだがアンナがバンビーズに対する殺意が薄いことは向こうは感じているのかな？

[181 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/11(火) 13:49:44]

　夜、期末テストの勉強を続けるバンビエッタのペンを握る手がピタリと止まる。
「はぁ……タイミング悪いのよ。バカ一心」
　バンビエッタは黒崎一心に言われた事が気になり、勉強に集中が出来なかった。
「今、養子縁組の話を持ち出すとか返答に困るじゃない」
　霊王宮から現世に送り返された黒崎一護に二十年前の事と母の死の理由を話した一心は、ついでに黒崎真咲の死後に起きた石田竜弦の暴走や養子縁組の話を進めない理由も教えた。
　息子に勇気を出せと言われ、つい数時間前の夕食中に一心は勇気を出して「養子縁組の話を進めたい」と言ってきた。何も知らない黒崎姉妹は、やっとかという表情を見せるがバンビエッタはその場で返答はしなかった。
　全知全能を開眼し霊王をも取り込んだユーハバッハを殺すと引き換えに、バンビエッタは相打ちを覚悟していたからだ。仮に相打ちにならずとも相当のダメージを受けるのは避けられない、ゆえに未来は考えないようにしていた。
「……勘弁してよ」
　生き残ったら黒崎家の家族になれる……そんな希望があると無意識に決死が鈍ってしまうと考え、一心の勇気はバンビエッタに余計な迷いを生むだけだった。
「でも、さすがに返事しないとダメよね」
　余計ではあったが、一心が勇気に応えるべきだとバンビエッタは考える。
「答えなんて決まっているじゃない……」
　家族になりたい。バンビエッタの答えはそれ一択――一心は小躍りしてくれると思いながら、その未来を得るにはユーハバッハを殺して生き残るしかなかった。
「こんな気持ちになったのは、一心のせいよ」
　椅子から立ち上がったバンビエッタは、ベッドでうつ伏せになり顔を枕に埋める。両脚を宙でバタバタさせていたが、やがてピタリと動き続けた脚はベッドに倒れた。
「こういう時、真咲がいたら相談が出来るのに……」
　バンビエッタに実母の記憶は無く、見えざる帝国（ヴァンデン・ライヒ）にいた頃にも相談が出来るような母性ある女性とも縁がなかったゆえに、彼女にとって母親の姿は黒崎真咲しかなかった。
「遊子と夏梨には言えないし、はぁ……勉強しないといけないのに。やっぱり一心のせいだ」
　期末テストは三日後、相打ち覚悟なら気にする必要はないと頭で解かっているバンビエッタだが、悔いは残さずにしておきたかった。
「色々考えるの苦手なのよ……こういう時にリルがいればいいのに」

[182 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/11(火) 13:50:07]

展開ダイス

1.浦原喜助　2.聖章騎士　3.エリッタ　4.黒崎一護　5.石田雨竜＆バンビーズ

dice1d5=3 (3)

2の場合

1.マスキュリン　2.蒼都　3.バズビー　4.ハッシュヴァルト

5.グレミィ　6.ニャンゾル　7.ぺぺ　8.エス・ノト

9.BG9　10.ナナナ　11.アスキン　12.ロバート　

dice2d12=12 12 (24)

5の場合

1.キャンディス　2.リルトット　3.ジゼル　4.ミニーニャ

dice1d4=1 (1)

>>180　有沢たちを人質にした件にはイラッとしたと思いますが、殺意を抱くほどバンビーズに憎しみはないですね。

[184 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/11(火) 23:44:23]

「ひ～まぁー」
　技術開発局内の特注部屋でエリッタ・バスターバインは暇を持て余し、四六時中明るいパネルの床にゴロゴロと寝転がりながら、退屈を監視している局員に訴えるも彼らから返答はなかった。
　一昨日に行われた涅マユリの調書と調査にほどほど抵抗したエリッタだが、圧倒的な手数の差に彼女は簡単に制圧され、霊王宮で何をして零番隊は何をしていたか、ユーハバッハに与えられた聖文字はどんな能力かを言うしかなかった。
「ね～ね～、つまんない」
　ゴロゴロコロコロ、風に飛ばされるペットボトルのようにエリッタは床を転がる。それでも局員は誰も反応してくれない構ってくれない事に、彼女はへそを曲げて怒り始めた。
「つまんない！　出ていってやる！」
　エリッタは立ち上がるとタタッと出入口へ走って行く。そのまま拳を作り動血装を発動させようとしたが、特注部屋はかつて第8十刃ザエルアポロ・グランツが阿散井恋次と石田雨竜に対して行った卍解・霊子封じと同類の装置が床下に設置されていた。
　そのため動血装は不発。しかし腕を振り上げたエリッタはそれに気づく事を遅れた結果――ガンッ！！　突き出した何の強化もされていない子供の拳を、鋼鉄の扉へ叩き付ける事になった。
「～～ッツ、いた～～いぃぃ！！」
　動血装が使えない事に驚くよりも手の痛みにエリッタは、ウサギの如くぴょんぴょんと跳ねてからゴロゴロと転がり痛みに泣き叫ぶ。
　その様子を作業しながら別室のモニターで見ていた涅マユリは、「やれやれ、何の対策も無しに枷を外すはずないだろうに、うるさいネ」とコメントをしていた。
「うぅう……いたい」
　痛む拳を摩りながら、エリッタは涙目で天井を見上げる。
　やっぱり死神は悪い奴、そんな事を考えながらエリッタはどうにか逃げようと本気で考え始める。
　そしてすぐに解放法を見つける、滅却師完聖体をすればいいのだと。
「で、出来るかな……？」
　エリッタは聖文字の鍛錬はきちんと行っていたが、未だに完聖体に成功した事はない。しかしこの部屋から逃げるには完聖体に頼るしかない。
　『可能性』の完聖体がどんな力になるのか解らない。それでもやるしかないとエリッタは瞳の涙をぬぐった。
「ぬぅぅうッ！！」
　聖隷無しで、体内の霊力だけで唸りつつエリッタは完聖体を発動しようと全身を力む。
　エリッタの様子をマユリはじっと観察しているのだった。

[185 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/11(火) 23:44:52]

展開ダイス

1.死神（隊長）　2.浦原喜助　3.石田雨竜＆聖章騎士　4.黒崎一護　5.バンビエッタ＆有沢竜貴

dice1d5=4 (4)

1の場合

1.平子真子　2.涅マユリ　3.朽木白哉　4.鳳橋楼十郎　5.砕蜂

6.京楽春水　7.更木剣八　8.六車拳西砕蜂　9.日番谷冬獅郎　10.狛村左陣

dice1d10=5 (5)

3の場合

1.ロバート　2.ハッシュヴァルト　3.ジゼル　4.BG9

5.アスキン　6.グレミィ　7.マスキュリン+ジェイムズ　8.ニャンゾル

9.エス・ノト　10.ミニーニャ　11.蒼都　12.リルトット　

13.ぺぺ　14.バズビー　15.ナナナ　16.キャンディス

dice1d16=1 (1)

[186 二次元好きの匿名さん 25/02/12(水) 08:44:00]

可能性という聖文字がどれだけ手広い能力かはこういう時に現状を打破できるかどうかにかかってきますね

[187 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/12(水) 12:59:54]

　本当の斬魄刀『斬月』を得た黒崎一護に、兵主部一兵衛が用意した修行場は特殊な場所だった。
　『不入参道(いらずさんどう)』。霊王たる器かを確かめ、器ではない者は石化しやがて塵となる棄権不可の領域。
「はぁ、はぁ……重い」
　不入参道に入り二十四時間が経ち、上半身裸で右手に木刀を握る裸足の一護は左右に紙垂が垂れ一定間隔で設置される鳥居の参道をひたすら歩く修行に、彼の呼吸は荒く汗も全身から流れていた。一歩進む事に参道に漂う重圧が増して行く。
　それでも一護はただ前に進み、鳥居をくぐり抜けて先へ行くしかなかった。兵主部から、この修行の意味も教えられず、これが強くなるための正しい道と信じて愚直に歩き続けた。
　さらにひたすら歩き続け、重圧がまるで全身と一体化したように錯覚し始めた頃、変化が起きた。
「な、何だよ、これ……」
　一護の脳に直接流し込むように知らない記憶が入り込んで来る。それは尸魂界開闢の一端であり、霊王が視続けた世界のほんの一部であり、世界が内蔵する力の一片……それらが流し込まれた一護の体は弛緩し意識が朦朧とするも力の奔流は止まらない。
　流れ込む膨大な力には色があった赤・青・緑・黄、それは三界に存在する力の色、虚・滅却師・完現術・死神を表していた。
　朦朧とする一護の意識は状況打開のために記憶を遡り――バンビエッタとの会話に答えがあった。

　最強の一撃――それはあんたの中にある死神・虚・滅却師・完現術の力を同時に使用する技よ。力の従え方？　あんたの人間の魂で束ねればいいのよ。四つの力は人間がいたからこそ生まれたつまり人間こそ始原。それにあんたは黒崎一護という小世界で、四つの騎馬を従える事が出来る唯一の王様なのよ。

「――うおお”おお”ォォ！！」
　意識が覚醒した一護は自然と絶叫し、参道から流れ込む四つの力を己の魂で束ね始める。力の奔流に体が耐えられず膨張と変異を起こそうとも、彼の魂は四つの力の上に立ち黒崎一護という小世界の王であろうとする。
「あ”ぁぁ”ぁぁァァ！！」
　有り余る全霊力を放出し生存本能を曝け出し、四つの力を内で抑え込み屈服させて従える事がこの場から出る方法と一護の本能が理解していた。
「ああ”ァァ”ッツ！！」
　頭から下が肉塊に変わり果て、瞳が五つになっていたとしても、一護は四つの力を従える事に全身全霊を注ぎ続けた……。

[188 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/12(水) 13:00:20]

展開ダイス

1.石田雨竜　2.黒崎一護＆修多羅千手丸　3.バンビーズ　4.エリッタ　5.死神（隊長）

dice1d5=2 (2)

3の場合

1.リルトット　2.ジゼル　3.ミニーニャ　4.キャンディス

dice2d4=4 1 (5)

5の場合

1.平子真子　2.涅マユリ　3.朽木白哉　4.鳳橋楼十郎　5.砕蜂

6.京楽春水　7.更木剣八　8.六車拳西砕蜂　9.日番谷冬獅郎　10.狛村左陣

dice1d10=7 (7)

>>186　何でも可能性にしちゃうと強すぎるので、シンプルな能力にしようかと考えてます。

[189 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/12(水) 19:31:23]

「妾の離殿に来るまで、随分のんびりと歩いておったな。黒崎一護」
　不入参道を抜けた先に黒崎一護を待っていたのは、己の離殿で椅子に座して待つ修多羅千手丸だった。
「次は、何をすりゃあいいんだ……」
　なんだって乗り越えてやる……の精神で、全身から汗を流し呼吸の荒い一護は涼しい顔の修多羅を見つめた。
「……決まっておろう。湯で傷を癒し、飯で胃袋を満たし、鍛で得物を誂え、参道で心身を清めたのなら、残るは衣を整えるしかなかろう？」
「衣……死覇装のことか？」
「然り。妾は大織守・修多羅千手丸、死覇装は妾が編み出した。これより死覇装の採寸を行う――脱げ」
「え？　採寸……あぁ、袴な」
　一瞬びっくりした一護であったが、採寸なら袴は脱がないと正確には測れないと気付き、腰の帯を解き始める。女性の前でふんどし姿になる事にやや恥ずかしさはあったが、麒麟殿の湯治で仲間に見られているのだから今更と思った。
「――ふんどしも忘れずのう」
「へっ？　ふんどしも？」
「さよう。妾の採寸は正確無比、仕立てる衣は完璧でなくては気が済まぬ――ゆえに隠しは許さぬ。肉体の全てを曝すのじゃ」
　修多羅の言葉を「全裸になれ」と理解した一護は頬を引きつらせる。最後に全裸を異性に見られたのは、小学校低学年の頃……それ以降は、実妹たちにも全裸を見られた記憶はなかった。
「いや、ちょっとそれは――」
　流石に成人した女性の前で、全裸になる事に抵抗感があった一護は修多羅の採寸を断ろうと思った。死覇装は死神になる時に自然と着ているもの、それがダメでも瀞霊廷に予備があるのならそれでもいいと思っていた彼の思考を見透かすように、修多羅の切れ目がより細める。
「よもや断るのかえ。妾手ずから仕立てる至高の死覇装を？」
「えっと、あ……お、オーダーメイド以外に、瀞霊廷にある死覇装と具体的に何が違うのかなって」
「ほう、気になるかえ？」
「あぁ」
　修多羅の射抜くような視線と雰囲気に気圧され嫌と言えなかった一護は、普通の死覇装の違いは何かと誤魔化す。
「まず糸が違う。量産品の死覇装と違い、妾の仕立てる死覇装は刺絡の糸を使い、耐久性と防御力を上げるために――」
　あ、これ長い話になるやつだ。語り始めた修多羅の雰囲気で長話になると察知した一護は選択を間違えたと後悔するも時すでに遅し、彼女の気が済むまで延々と服の話を聴く事となった。

[190 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/12(水) 19:31:50]

展開ダイス

1.エリッタ　2.茶渡泰虎＆井上織姫　3.黒崎一心＆バンビエッタ　4.浦原喜助　5.石田雨竜＆聖章騎士

dice1d5=1 (1)

5の場合

1.リルトット　2.アスキン　3.リジェ　4.ジェラルド

5.ナナナ　6.マスキュリン+ジェイムズ　7.ニャンゾル　8.ミニーニャ　9.キャンディス

10.BG9　11.ハッシュヴァルト　12.ジゼル　13.蒼都

14.エス・ノト　15.ぺぺ　16.バズビー　17.ロバート　18.グレミィ

dice1d18=17 (17)

[192 二次元好きの匿名さん 25/02/13(木) 09:10:43]

エリッタ完聖体ついにお披露目か？

[193 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/13(木) 10:57:31]

　特注部屋から脱走しようとしたエリッタ・バスターバインは床に寝転がっていた。
　滅却師完聖体を発動させたかった彼女だが、二時間以上頑張ったものの発動に至らず疲れてずっと不貞腐れていた。
「はー……さいのーないのかな」
　バンビエッタのコピーで霊王の部位が模されていても、才能と感性まではコピー出来ない。皇帝から血杯を頂き聖章騎士に任命されてまだ二年未満、あと一歩で一人前の聖章騎士になる事が出来ずにいる自分がエリッタはもどかしかった。
「う～何が足りないのー」
　仰向けで自分に足りない部分を考えるエリッタは、バンビーズの中で最後に完聖体を使えるようになったキャンディスがアドバイスで言っていた事を不意に思い出した。
「そうだ。じゅくれんどが足りないんだ」
　キャンディスは『雷霆』が出す電気のせいで、髪の毛が帯電して髪が整い難い・静電気でパチッとしてウザイなどを理由に自主練習をあまりしてこなかったため、完聖体習得がバンビーズで最後になった。
　だから彼女はエリッタに教えていた「自主練しないと熟練度は上がらない」と。ただ当時の彼女は今より幼かったので熟練度を理解せず、またハッシュヴァルトからの「陛下のため、質を上げろ」の命令を優先して技術面を強化していた。
「よーしやるぞー！」
　涅ネムから送られた毛布を掴んだエリッタは、この場で熟練度を上げる事にやる気を出した。
　『可能性』の熟練度を上げるためには、とにかく『可能性』を使いまくるしかない。霊子兵装を作れない以上、この場にあるもので『可能性』を使うしかない。
「毛布の可能性！」
　毛布をバサバサと上下に振るエリッタを訝しげに観察する局員たち、旗のように振ること五分以上、毛布から徐々に煙が出て火が付いた。
　これには局員たちも驚く。『可能性』によって自然発火の可能性が引き出された結果だった。
「わわっ」
　エリッタは燃え始めの毛布を捨て、今度は特注部屋でジャンプを始める。何度も何度も跳ねる様に何が起こるのか観察する局員をよそにエリッタは頑張って跳ぶこと実に十分――床に亀裂が入り、それはドンドン全方位に広がる。
　床が持つひび割れの可能性が引き出された結果だが、エリッタの体力はかなり消費した。
「ハァ、ハァ……つかれる。ううん、がんばる！」
　聖隷が使えれば完聖体発動まで一気に近づくも、今のエリッタにはこの方法しかなかった。

[194 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/13(木) 10:58:12]

展開ダイス

1.銀城空吾＆月島秀九郎　2.バンビエッタ　3.死神（隊長）　4.黒崎一護＆コン　5.浦原喜助

dice1d5=4 (4)

3の場合

1.砕蜂　2.六車拳西　3.京楽春水　4.鳳橋楼十郎　5.平子真子

6.朽木白哉　7.狛村左陣　8.涅マユリ　9.日番谷冬獅郎　10.更木剣八

dice1d10=9 (9)

>>192　残念ですがまだお披露目に至りません。

[195 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/13(木) 19:18:10]

「おう！　元気そうじゃねえか！　一護！」
「――コン？　何だよ、まだ霊王宮にいたのか」
　修多羅千手丸の長話と死覇装の採寸を終えた黒崎一護は、曳舟桐生の臥豚殿に戻って来た。彼を最初に迎えたのは、他の面々が修行で忙しく日光浴と食事以外にやる事がなくて暇していたコンだった。
　そして会って早々、一護の一言に激怒した。
「まだとは何だよ！　まだって！？　オレ様がいないと誰も出迎える奴がいないんだぞ！？」
「知らねーよ――曳舟さんはいるのか？　昨日から何も食ってなくて腹減った」
「待て待て、オレを置いていくなー！
　さっさと臥豚殿へ向かって行く一護を慌ててコンは追った。
「――え、アンナの妹はもういないのか？」
「おーよ」
　食卓に着き、ガツガツと掻きこむように曳舟の丼料理を胃袋に納めていく一護は、コンからエリッタ・バスターバインが霊王宮にいない事を知った。
「じゃあ、瀞霊廷に……？」
「元々捕虜なんだろ？　しょうがねえよ」
「そうだよな……」
　コンは話す機会が一度もなかったのでエリッタに関心はなかったが、一護は彼女と風呂に飯を一緒した上にバンビエッタの妹なのもあって、敵でも心配するには十分な愛着があったため瀞霊廷で酷い目に合っていないか心配した。
「それで一護よぉ……これからレゲエ野郎の離殿に行こうぜ！」
「レゲエ……あぁ、二枚屋の。何でだよ、用がねぇだろ」
　コンの提案に一護は難色を示す、斬魄刀を得て二枚屋王悦の離殿に行く必要性がなかった。そんな彼にコンは呆れ顔を作った。
「ガキだなぁ。あそこには男の楽園があるじゃねえか！」
　コンはうっとりとした眼で、女性ばかりのGalaxy鳳凰殿を想起していた。一護たちが二枚屋王悦の修行中、コンは勝手にGalaxy鳳凰殿へ行きヌイグルミである事を利用し、女性たちにチヤホヤされていたが閉店時間になると強制退店。
　その後は二枚屋の親衛隊に臥豚殿へ連行。移動手段の打ち上げもコン単体だと軽過ぎるため、二枚屋の離殿に着地しないと曳舟に言われてずっと行けずじまいだった。
「だから行こうぜ、一護ちゃ～ん！」
「遊ぶ余裕は、こっちにはねぇんだよ」
　コンの話を聴いた一護は一言で一蹴して、食事を再開した。
「なんでだよぉ！　こういう時だからイチャイチャしないとメンタルが回復しないぜ！？」
「そんなのお前だけだ」
　コンはくそーと嘆くしかなかった。

[196 ◆gNU7Ei8Z3I 25/02/13(木) 19:18:44]

展開ダイス

1.バンビエッタ　2.聖章騎士　3.銀城空吾＆志波空鶴　4.浦原喜助　5.石田雨竜

dice1d5=3 (3)

2の場合

1.バズビー　2.アスキン　3.ぺぺ　4.蒼都　5.ロバート

6.マスキュリン+ジェイムズ　7.エス・ノト　8.グレミィ　9.キャンディス

10.BG9　11.ハッシュヴァルト　12.ジゼル　13.ジェラルド

14.ニャンゾル　15.リルトット　16.リジェ　17.ナナナ　18.ミニーニャ

dice2d18=10 7 (17)

[197 二次元好きの匿名さん 25/02/14(金) 04:57:35]

二次侵攻も近い

[198 二次元好きの匿名さん 25/02/14(金) 09:55:56]

新スレです

【🎲・SS・閲覧注意】バンビちゃんの聖文字『E』の能力が　11｜あにまん掲示板

[199 二次元好きの匿名さん 25/02/14(金) 09:57:43]

おつ

[200 二次元好きの匿名さん 25/02/14(金) 09:57:53]

うめ