【SS】悠仁「親だろうが関係ねえよ」【対夏油傑特化の奪い取る呪霊】

  • 1二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:29:36

    高専3年生の頃の夏油傑が、旧■■村の任務に向かう直前、厄介な特級呪霊に負けてしまった世界線

    夏油傑の『高専入学後の記憶・呪術に関する全ての才』を全部奪った特級呪霊と、非術師になってしまった夏油傑と、その周辺の物語

  • 2二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:29:55
  • 3二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:30:40

    現時点でのキャラまとめ(原作との相違点を中心に)


    夏油傑‐完全呪力ゼロの理学療法士
    高専3年時に特級呪霊に敗北し、高専入学後の記憶と呪術に関する全ての才(呪力・術式・呪霊を視る眼)を失う
    その後は3年修了で高専中退→予備校に通いつつバイト生活1年→理学療法の学科に進学・卒業→スポーツジム勤務の理学療法士

    就職後も五条悟に陰ながら守られつつ平穏な日々を送っていた
    渋谷事変が起きた頃、羂索の意を受けた総監部の術師達に誘拐される


    五条悟‐特級術師
    高専3年時に『夏油傑が失ったもの』を呪霊の降伏によって取り戻そうとした
    ……が、先に『謎の残穢の主(=羂索=虎杖香織)』に問題の特級呪霊を横取りされたため叶わなかった

    その後は高専卒業→高専教師・五条家当主を兼任
    正体不明の『残穢の主』について毎年高専の1年生に教授していた

    渋谷事変で初めて『残穢の主(=虎杖香織)』・『夏油傑から奪い取った特級呪霊』と会敵
    呪霊の領域で『傑の高専入学後2年5ヶ月間の記憶』を脳に流し込まれた末、獄門疆に封印される


    夜蛾正道‐呪術高専東京校学長
    夏油・五条の高専3年時の一連の出来事について学長の立場で対処した
    当時の五条悟が呪霊の降伏を試みた時は同行しており、共に『謎の残穢』を発見

    以後10年間、五条と共に『残穢の主』を探し回る立ち位置となる
    渋谷事変ではメカ丸から『確定でシロ・五条側の人間』だと判断されているが、渋谷には不在であったためメカ丸の傀儡を託されることはなかった

  • 4二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:30:46

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  • 5二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:31:33

    夏油のすがたの特級呪霊‐人造の特級呪霊
    余命僅かだったある式神使いの『夏油傑への負の感情』から生まれた呪霊
    『夏油が呪術界に属する根拠を奪うこと』と『奪ったものを消費すること』を存在の本質とする
    術師は殺せないが非術師は殺せる呪霊でもある

    旧■■村に向かう直前の夏油を襲撃し『高専入学後の記憶・呪術に関する全ての才』を奪い取る→
    『術師の術式を奪う呪霊』と思われて現地に封印→
    呪霊操術目当ての羂索に呪具で降伏される

    渋谷事変では羂索の指令で五条封印に寄与した
    五条封印後は獄門疆を所持したがっている

    虎杖香織(=羂索)-1億人呪霊を見てみたい呪詛師
    10年前、呪霊操術目的で呪具により『夏油のすがたの特級呪霊』を降伏させた張本人
    その際に現地に残穢という手掛かりを残した

    自身は『身体を渡る術式』『反重力機構』『自らを隠匿する術式』の3つの術式を有しており、10年間、隠匿術式で五条達の追及を逃れていた
    呪霊操術ではなく呪具による不完全な降伏のため『夏油のすがたの呪霊』に在り方に反する指令は下せない

    渋谷事変で五条を封印する際に『上層部と癒着していること』『虎杖悠仁の母であること』を自白した

    裏梅‐平安の術師の受肉体
    宿儺の復活のために羂索側についている呪詛師
    渋谷事変での五条封印時に現地(地下5階)にいた

    脹相‐呪胎九相図の受肉体
    八十八橋で散った弟の仇を取るために釘崎・虎杖を狙う
    血の絆を重視する思考から、『子を産んだが期待外れで放っていた』という香織には反感がある

  • 6二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:31:56

    秤金次・星綺羅羅-呪術高専東京校3年
    2年生の時に百鬼夜行が発生していない世界線のため、保守派と揉めることなく普通に高専生をやっている
    10月上旬から福岡に出張していたが、保守派とのかなりどうでもいいトラブルのため長々と福岡に足止めを喰らう
    渋谷事変発生時は東京行新幹線の中にいて、2人は最後まで蚊帳の外だった


    乙骨憂太-呪術高専東京校2年
    地道に里香を解呪した後で特級に返り咲いた術師
    渋谷事変発生時は北海道出張中、秤達と同様に実はかなりどうでもいい出来事で北海道で足止めを受けている


    虎杖悠仁‐呪術高専東京校1年・宿儺の器
    八十八橋で呪胎九相図を祓った功績で1級推薦を受け、1級術師への昇格任務として渋谷に出動中
    メカ丸の小型傀儡から、五条悟を封印した主犯が『自らの母親』であると知らされている


    釘崎野薔薇‐呪術高専東京校1年
    八十八橋で呪胎九相図を祓った功績で1級推薦を受け、1級術師への昇格任務として渋谷に出動中

    伏黒恵‐呪術高専東京校1年
    八十八橋で宿儺の指で強化された呪霊を祓った功績で1級推薦を受け、1級術師への昇格任務として渋谷に出動中


    枷場美々子・枷場菜々子‐呪術高専京都校1年
    新田新と同期になる双子
    裏設定としては、夏油傑がこなす予定の任務の割り振り変更で、任務を受け持った京都校所属の術師に発見・保護されたという経緯がある
    夏油傑とは面識は無いが、姉妹校交流会の時の五条の授業で名前だけは把握している

  • 7二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:32:30

    ※スレ主より

     原則1日1更新のSSスレです


     スレ主の自宅環境がホスト規制を受けた場合、以下のwriteningページにてその日の分を掲載してから、ホスト規制解除後にSSをスレに再掲載します

     
    何度も言わせるな 傑が呪霊に負けて非術師になった 更新分 | Writening※1月12日更新分 1/2 九十九はおそらくただの雑談のつもりで傑達に言った 「実は私もね 問題の呪霊に興味があったんだ 従属させる系統の呪具とか探してた  ……あぁ もしも見つけたら五条くんに相談…writening.net

     三次創作・FAなど大歓迎

     頂くとかなりスレ主が喜びます



     なお、キャラまとめ作成に時間をかけすぎたため本日1月22日分のSS更新はありません

  • 8二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:36:09

    埋め

  • 9二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:36:18

    たておつ!更新待ってるよ〜

  • 10二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:37:13

    たておつ楽しみ!

  • 11二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 19:41:43

    おっあのスレ転生したのか~あの内容で虎杖スレ画なんだ

  • 12二次元好きの匿名さん25/01/22(水) 20:17:45

    ミミナナ京都校パターンは初めて見た

  • 13二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 07:28:48

    待機待機

  • 141/225/01/23(木) 14:22:07

    「……っ 漏瑚 提案がある お互いにとって損はないはずだが」

    「何だっ!?」

    「宿儺様の指の お強い気配を これから 我々は活用できるのではないか?
     これから 私もお前も 虎杖を捜索するのだ 
     ……この先 お互い アイツを見つけた時『だけ』 手持ちの指の封印を解き 気配を解放し それをもって 『虎杖発見』と『集合』の合図とする
     私もお前も 宿儺様に復活して頂きたいし より多くの指を得て頂きたいのだ 虎杖を見つけるのが 例え私でもお前でも どちらにせよ 合流して指を全て献上すればいい」

    漏瑚も、裏梅も、お互い本数は知らないが『宿儺の指を持っている』ことは知っていた
    指を譲り合うほどの信頼までは絶対に無いにせよ、こうした時に利用し合える関係性ではある

    「なるほど 理に適ってはおるな……」

    どうせ虎杖に指を喰わせる時があるとすれば、その時は、指の封印を解かねばならない
    特級呪物の強烈な気配は、間違いなく周囲にダダ漏れする

    「懸念点はあるぞ お前ら呪霊は 単に 自らを強くするために指を取り込むことだってできるだろう?
     ……漏瑚 指は『今夜 虎杖に食わせる時にのみ解放する』と縛れるか?
     私は同じ『縛り』を結べるぞ もとより下手な呪霊を強くするために使うつもりは 私には全く無いのだからな」

    「……よかろう その『縛り』を結ぶぞ」

  • 152/225/01/23(木) 14:22:40

    地上に出て渋谷の帳に向かって駆けて行く悠仁に、メカ丸は告げる

    「虎杖 いいニュースと悪いニュースがあル ――奴ら 封印した五条ヲ 地下5階から動かせなくなっタ」

    「何で!!」

    「知らン 五条悟だからだろウ
     ――もう1つ 悪い方のニュースだが その地下5階で奴らを盗撮していた俺の傀儡 奴らに勘付かれて潰されタ もう現地の情報は一切取れン」

    「あらま!!」

    「いつまでそこに奴らが足止めされるか 全く分からなイ 早急に 術師達を向かわせんといかン
     地下鉄の隣駅から 線路を伝って術師達を突入させロ 包囲網を作り 術師を入れない帳を破って 渋谷駅の五条奪還を目指セ」

    「……了解!! でも伊地知さんと連絡つかねぇし ……あ!!」「何ダ!!」

    悠仁は、少し前の冥たちとのやり取りを思い出して閃いた
    一般人を閉じ込める帳の中へ飛び込むように入り、人々を襲い続ける改造人間の何体かをぶっ飛ばして祓いつつ、近くのビルを駆け登る

    ビルのてっぺんで叫んだ

    「ナナミーン ナナミンいるー!!? 五条先生があっ 封印されたんだけどー!!
     ……封印犯はっ 合同授業で教わった あの残穢の 呪詛師なんだってー!!
     夏油傑さんから むかし 色々盗(と)ってった 呪霊とかー 一味にいるんだってー!!」


    ――帳の中にいた術師達の内、七海班と日下部班の面々は、その大声を正確に聞いた

  • 16二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 14:24:02

    ※スレ主より

     スレタイとスレ画には『今後の描写が多そうなキャラのSS中の台詞』と『そのキャラの絵』を使用するつもりです
     SSの時系列が渋谷事変に入り、五条が封印され、夏油も誘拐されました
     原作同様にしばらく2人の描写はない予定なので、これから描写が増える見込みの悠仁の台詞と絵を使っています

     ところで、キャラ紹介を投稿した後、九十九の記述が抜けていることに気付きました
     次スレのスレ立て時に書き足します


     きのう1月22日はSS更新が無かったので、本日1月23日中にまたSSを書けたら投稿させて頂きます
     (書けなかったら追加投稿は無しということで)よろしくお願いいたします

  • 17二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 16:12:15

    一気読みして追いついた めっちゃ面白いわ

  • 18二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 16:19:56

    夏油傑さん呼びになんかジワる

  • 19二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 19:59:56

    >>18

    五条の授業で名前が出ただけの人だもんね・・・

    それ以外には接点を書いた部分はないんじゃないかな

  • 201/225/01/23(木) 23:02:07

    「!! 虎杖の所に行かねぇと!!」

    「待てパンダ!! 落ち着け! 呼ばれてるの俺達じゃねぇだろーが!」

    日下部篤也は即教え子を止めた

    「でもよ日下部」

    「周りをよく見ろパンダ 一般人の避難誘導が終わってねぇだろ? こっち優先!! 勝手に動くな!!」

    この時、2人の周辺の状況は事実その通りだった
    説得力のある一喝に、下手な人間よりも人の心があるパンダはシュンとして引き下がる

    「……ッ そうだな ……済まねぇ」

    「気にすんな 優先順位が分かってんならそれでいいんだ」

    あくまで教員らしい顔をして、日下部は内心の本音を伏せておく


    ――『特級術師 夏油傑の能力そのものを奪った特級呪霊』をどうこうした野郎が下手人かよ
      そんなんマジで死ぬじゃねーか!! 何としても頑張ってこの辺でやり過ごすぞ……!!

  • 212/225/01/23(木) 23:03:53

    「!!」「……マジかよ!!」「封印!?」

    七海班の3人に、悠仁の叫び声が意味するところは正確に伝わった

    七海建人は10年前に夏油傑に生じた事件を見ていた人間であったし、猪野琢磨も高専OBで五条の教えを受けた世代である
    伏黒恵に至っては先日の姉妹校交流会で五条の授業を受けたばかり、その内容についての記憶も新しい

    「予定変更しましょう すぐに虎杖君と合流しますよ
     ……彼の情報が全て正確なものであるなら この国の人間が全て終わります」

    「「はい!!」」

    即答した2人を連れて、七海は内心でだけ眉を寄せる


    ――『現役時代の夏油さんの能力そのものを奪った特級呪霊』を連れ、優れた結界術の技能まで有する一派
      五条さんが圧倒されて何らかの手法で封印されたのならば、こちらの状況は極めて厳しいはず……!!

  • 22二次元好きの匿名さん25/01/23(木) 23:11:23

    ※スレ主より

     今後の展開は終わり方を含めておおよそ決めている状況です
     完結まで頑張りますので、考察・感想等頂けましたら大変嬉しいです
     よろしくお願いします

  • 23二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 05:26:19

    スレ主さんお疲れ様です
    とても面白いです
    続きがとても楽しみです!
    ぜひ完結まで頑張ってください

  • 241/325/01/24(金) 16:14:12

    「ナナミーン!! ナ・ナ・ミ・ン!! ナ・ナ・ミ・ン!! ナナナナナナミン!!」「おい おい虎杖!!」

    伏黒恵が虎杖悠仁の背中を叩いて、ようやく呼び声は止まった

    「伏黒!! ナナミン!! ん 誰?」「猪野琢磨さん 6つ上の2級術師だ ……つうかお前 マジで七海さんをそんな呼び方してたんだな」


    地上に降りた彼ら術師達に向けて、メカ丸の傀儡は、地下5階で起きたことを掻い摘んで伝えた
    主犯の女が喋った内容の内、特に重要と思われる箇所を要約して復唱しつつ


    ――『この子』は人造でね 何と『夏油傑の高専入学後の記憶と呪術の才を全部奪う』ためだけの特級呪霊さ
      創り出したのも 夏油傑にけしかけて全部奪うように仕向けたのも 余命僅かで勝手に嫉妬に走った誰かさんがやったこと
      当時あの場所で『この子』を君達より先に降伏させた術者は 紛れもなく私だけどね

    ――君も夜蛾正道も どっちも私より甘ちゃんだったね
      何も知らない君達が必死で残穢の主を探してた10年間 君達が手を伸ばさなかった業界重鎮の面々の真後ろで 当の残穢の私はずっと大爆笑していたんだよ?

    ――夏油傑の術式が殺してでも欲しかったんだ 私の目的に必要だからね
      本人を殺して奪わなくとも『この子』を降伏させたなら 私自身が呪霊操術を使えるのと同じだ
      面白い事にね 夏油傑本人が生命を落とせば『この子』は消えちゃうの
      君がここの帳に入った頃合いで 夏油本人の身柄も別に確保させてもらってるよ 総監部を動かした

    ――この見た目である内は『虎杖香織』とでも呼んでくれ よくいる憐れな女の名さ 死んだ後に私に使い倒されてるだけの女の名前だ
      昔ね 退屈しのぎで私はこのなりで子を産んだんだ
      産まれた子は期待外れでずっと放っていたけれど ひょんなことから最近になって別口で君の関心をよんで 私はちょっとビックリしたんだよ?

  • 252/325/01/24(金) 16:14:48

    「主犯の口振りから 夜蛾学長だけは確定で『シロ』だと俺は判断すル 他に誰が内通してるか分からんガ
     それから 夏油傑の生存も確定だナ 生かす理由だけ有って 逆に 殺される動機が全くなイ」

    「……どちらも同感です それにしても ……虎杖君 大丈夫ですか?」

    「心配ありがと 俺は全然平気だよ メカ丸先輩にも同じこと聞かれたけど
     ……今まで何人も何人も 関係ない人が巻き込まれてるんだぜ? 親ってことがマジでも 殺(や)らなきゃいけねーし そもそも俺の家族なんかじゃねぇよ」

    「そうですか 君が大丈夫と言うならそうなのでしょうが……
     ――現状を踏まえると 確かに提案の通り 地下鉄の隣駅から攻めた方が速いでしょう ただ そのためには 術師を入れない帳を解くことが必須ですが」

    七海建人にメカ丸は言う

    「緊急事態だ マルチタスクで人を割いてくレ」

    「……そうですね そうせざるを得ない
     一旦私は帳の外に出ます 伊地知君と合流した上で 私の携帯から 夜蛾学長へ直に現状を報告します
     これほどの事態です じきに『五条封印』の情報は拡散し 様々な場所で人も企みも動くでしょうが ……初期段階の今『誰』に『何』を『どう伝えるべきか』は 夜蛾学長に一任するしかないでしょう」

    「七海術師 俺の傀儡の通信は帳を超えるし インターネットにもアクセス出来ル
     地下5階での五条の戦闘開始から 俺の傀儡を壊されるまでの約40分余リ 現場の盗撮動画が撮れていル
     今 パスワードがないと見えない設定の 一般のウェブサイトのページに その動画を全て載せ終えタ
     貴方の持っている携帯のメルアド 今教えてもらえるなら そこ宛に 俺からURLとパスを送れル
     ……帳を出た瞬間 その携帯にメール着信するはずダ 夜蛾学長に共有してくレ 動画の使い方は学長に一任すル」

    「!! 分かりました 教えますのでお願いします」

  • 263/325/01/24(金) 16:15:38

    「猪野君達3人は これから術師を入れない帳を解いて 中に入り 五条さん奪還のため動いて下さい
     他の術師の班に会えた場合 合流して情報を共有し 協力を仰いでください ……ただ虎杖君 君に酷な事を言います いいですか」

    「応!」

    「最終的に学長の判断になりますが 君だけ離脱指令が出ることを 念のため想定していてください」

    「え!?」「身内が下手人だからですか? こんなことで私情を持ち出す奴じゃないですよ?」

    驚いたのは言われた悠仁本人で、フォローを入れたのは伏黒だ

    「そういうニュアンスではないのです 人格面では私は心配していません
     虎杖君 ……本当に言われた通りの出生だった場合 産んだ方の親の方が 君に 何かしらの『よからぬ事』を仕込んでいる怖れがあります
     仮に 胎児や赤子の時代に『何か』やられた場合 君本人は気づきようが無いですよね?
     そういう意味で この局面では 君を戦力と見なすのはリスクです 何か起動させるタイプの企みが 君の身体に万が一存在していた場合 それは不味い」

    「あっ……!!」

    確かに七海の指摘は酷だが懸念は正しい、――仮定に仮定を積み重ねたものであるが

    「最終決断は学長が下します 人手が欲しい情勢なのも事実です リスクと天秤にかけた判断になるのでしょう
     ……メカ丸君 私に届けた君のメルアドも含めて 学長に情報を共有します 学長か私のアドレスから 君のアドレスに指示が来るでしょう
     君が確認したら その内容を虎杖君達に共有してください 学長指示が『撤退』だった場合 特に虎杖君は即撤退です いいですね?」

    「承知しタ ただし連絡は早急に頼むゾ 俺の残り呪力は潤沢ではなイ 呪力が切れた瞬間 もう俺は一切動作できなくなル」

    「ええ ……猪野君 2人を頼みます」

    「!! はい!!」

  • 27二次元好きの匿名さん25/01/24(金) 22:02:08

    >>17

    ナカーマ

  • 28二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 09:24:56

    ほしゅー

  • 291/225/01/25(土) 11:16:52

    端的に言うと、渋谷事変において、伏黒恵は、途中まで戦って、途中から離脱した


    当初、七海の指示の通り猪野達と共に3人で動けていた
    術師を入れない帳の解除を目指したところ、Cタワーで呪詛師3名と接敵に至った
    猪野の方は屋上の呪詛師2名を受け持ち、恵は悠仁と共に、残りの小汚い呪詛師1名と地上で戦った
    戦った呪詛師は『あべこべ』能力持ちだったが、これを難なく撃破して帳の基を破壊、術師を入れない帳の解除に成功する

    直後、メカ丸の傀儡から一報が来た

    「戦い終わったようだな虎杖 学長から俺にメールが来ていル 内容は『戦力が必要だ 虎杖は五条奪還に努めろ』ト
     ……『了解』と俺から返信を打って良いカ? 残りの呪力的に もうメールはこの返信が最後になル」

    「OK!! ありがと」

    やり取りを聞きながら恵はビルの屋上を見上げてみて、……即座に鵺を召喚した

    ――猪野さんがビルから落ちた!!

    「猪野さんっ!!」「!!」

    恵の声で悠仁も気付いた、鵺にぶつかってバウンドした猪野の身体を悠仁が受け止める
    猪野の顔面は酷いことになっていた

  • 302/225/01/25(土) 11:17:46

    猪野を潰した奴をとっちめようとしかけた悠仁を、恵は一喝して止めた

    「おい!! 気持ちは分かるが優先順位を考えろ!! そっちは最優先事項じゃないだろ!! さっき聞いた学長の指示を思い出せ!!」

    悠仁は息を吸ってクールダウンする

    「……そっか ごめん伏黒 ……猪野さんを頼むから 俺は先に駅に行く ……それでどうだ?」

    恵はこいつに単独行動をさせるべきか迷ったものの、この決断を追認した
    聞いたばかりの学長の指示が、決断の一因になった

    猪野を救護所に連れて行ったとき、既に救護所には家入と夜蛾学長が来ていた
    2人に猪野を託して、恵は鉄火場の真っただ中の現場に戻ることとなる

    そして連戦になった
    魚まみれの領域を展開する特級呪霊、恵だけ遠くにぶっ飛ばした挙句に訳の分からないことを言って自害した男
    最後に、呪具らしい剣を持って一方的に襲いかかってきた、クズの見本のようなサイドテールの呪詛師

    ……この呪詛師を巻き込んで、恵は『奥の手』を召喚した、――呪詛師もろとも死ぬつもりで

    「おい クソ野郎 先に逝く せいぜい頑張れ」

    そう言い捨てた恵は、自分が召喚した式神に強く殴り飛ばされて失神した


    次に恵の目が覚めた時、翌日の昼前になっていた
    都内どころか関東圏内ですらない、知らない公園の芝生の上で、恵は硝子にやさしく揺すり起こされることになる
    恵も硝子も、頭から足の先まで、知らない残穢を被っていた

    そんな感じで長いこと失神していた、というのが公式の記録になったのだが、――なぜそうなったのか明らかになるのは、だいぶ後のことだ

  • 31二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 14:10:16

    このレスは削除されています

  • 32二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 20:57:58

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/01/25(土) 21:54:59

    ※スレ主より

     将来のSSの描写のためイチから原作を読み込んで伏黒が肌着を晒すシーンの有無を確認しています
     ブリーフ派かトランクス派か原作に準拠しておきたいのですが、原作中でそういうシーンが発見できなければスレ主のセンスで決めることになりそうです

  • 34二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 07:50:27

    保守

  • 351/225/01/26(日) 12:27:29

    七海建人からの電話を受けて現場の事情を把握した時、夜蛾正道は、家入硝子と共に渋谷に急行する車の中にいた

    まず、虎杖悠仁への指示を考えた

    ――七海が言うようなリスクはあるが、それでも戦力として勘定することにした
    確実に人手が必要な情勢ではあるし、そもそも虎杖自身が宿儺の器として生命を狙われている身の上だ
    撤退指示を出した後で夜蛾と合流できるか分からず、最悪の場合、夜蛾の知らないところで死刑執行人を立てられて揉める恐れがある
    五条悟解放に奮戦させる方向に判断は向いて、そのようにメカ丸のアドレスに指示を出した

    次いで、七海から得た情報を誰に共有するべきか考えて――


    夜蛾は、現場にいない高専生達に情報を伝えることを選んだ
    秤と星は新幹線で上京中の身だ、高専勢の現地戦力にはならないが、敵方に与している可能性はゼロと見て良かった
    そして何より電話が通じた、――乙骨とは違って

    「マジで!! 五条さん封印されたの!?」

    当たり前だがひどく驚く秤に、夜蛾は携帯越しに告げる

    「ああ 先ほど俺に報告が来た ……渋谷でな 悟は何らかの領域を受けて ハメられたらしい」

    「マジかよ……」

    「敵方は 悟を封印する時 上層部との癒着を自白しているようだ 誰が誰と繋がってるか分からん
     ……秤 お前は敵にとって『邪魔』だから 福岡に留め置かれた側だろう 今になって考えると そうとしか思えん
     査問を受けるよう言った あの時の俺達も悪いが…… 今日まで引き延ばされたのは 敵の思惑込みだろうな」

    「あー……」

  • 362/225/01/26(日) 12:28:15

    「それから 乙骨も敵の目線では『邪魔』だったのだろう 俺の携帯から連絡を取ろうとしたが 乙骨とは全く連絡がつかんのだ ……大したことがなければいいが
     だから秤 万が一のことを考えて お前に頼みたいことがある
     これから 悟の解放が叶わなかった場合 真っ先に狙われるのは 俺と虎杖だろう 俺はことはどうでもいい ……後輩達を頼む」

    「!! 虎杖はともかく学長が!? 何でだよ?」

    「詳細は伏せるが ……俺はな お前達の入学よりもずっと前 上層部と深刻な揉め方をして 悟に守られたことがある
     それ以来 虎杖同様 俺も『五条悟が認めたから術師としての生存を許された人間』だ」

    「……っ マジかー……」

    「だからだ 現状では お前しか託せる相手がいない
     これから 誰が味方か分からない情勢に 万が一なったとしても ……せめて後輩達だけは守ってくれ」

    「応!!」

    「それから 悟が現場で敵と交戦してから 封印されるまで 現場を盗撮した動画の提供があった
     動画のアドレスとパスを送る 星と一緒に内容を確認してくれ ……40分以上あると聞いた 俺は見れてないんだ
     可能なら お前の携帯の中に動画を保存しておいてほしい 後で後輩達に共有してくれ」

    「了解!!」

    そこまで伝えた頃、現場の救護所に到着する頃合いになった
    夜蛾は通話を終えて秤にメールを送信してから、己の傀儡を救護所周辺に展開した


    夜蛾の読みはある意味正しかった、深夜になって事態は悪い方向に進み、予感の通りに総監部の術師が夜蛾を拘束しに来た
    しかし誰にとっても予想外のことだが、夜蛾の拘束は叶わなかった

    夜蛾が抵抗したからではない、――誰も予想しようのない第三勢力の乱入で、夜蛾を含めた複数名をその場から搔っ攫っていったからだ

  • 37二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 12:32:00

    ※スレ主より

     現場の動きが書けていないので、(今日中にSSが書けた場合は)今日中に追投稿します
     (いつもの如く書けなかったら追投稿は無しということで)よろしくお願いします

     次回予告:その頃冥冥は

  • 38二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 19:57:38

    保守

  • 391/425/01/26(日) 23:04:39

    冥冥が戦った呪霊連れの呪詛師には、蛯名仁次という氏名があった
    ……が、その名を把握することもなく、冥は土下座する呪詛師の頭を斧で『潰した』
    用益潜在力そのものを命と考える冥にとって、生かす価値は全くない奴だったから

    ちょうどその頃、術師の出入りを阻んでいた帳が上がった
    冥は弟と共に、渋谷駅の方へ踏み込むことになる


    ――渋谷駅の地下5階にいた香織は、もちろん、迫り来る姉弟の動きを察知した

    「思っていたよりも早かったね ……君は 術式の焼き切れからは もう回復しているかな?」

    『夏油のすがたの呪霊』の呪霊に問いかけたら、端的な答えが返ってきた

    「問題ないよ 香織さん 呪霊操術は支障なく使える」

    香織は微笑んだ

    「そう それならあの姉弟は スムーズに無力化できそうだ ……仕込みは済んでるからね」

  • 402/425/01/26(日) 23:05:03

    線路の上、冥達の目の前に、その『呪霊』は立ちふさがった

    「しばらく見なかった見た目だね君 現役時代の夏油君そっくりだ」

    斧を構えながら冥は話しかけた
    10年前の、高専3年の頃の夏油傑となにひとつ変わらない見た目、同じ術式と同じ呪力を持つであろう特級呪霊だ、――明らかに強敵の相手に、冥が隙を見せるはずもなく

    「初対面ですが ……お懐かしいです 冥さん
     もう 誰かに見せつけることは二度と叶いませんが 私が奪った あの頃の夏油傑の記憶は 私の中でそう言っている」

    術式の開示を兼ねただろう言葉だ
    にこやかに、隙は無く、かつての夏油傑をなぞった様な喋り方で、相当に強いであろう別の呪霊を従えた『それ』は言葉を続けた

    「――私の本質は 『夏油傑が呪術界に属する根拠を奪うこと』と『奪ったものを消費すること』
     産み出されて 願われた通りに本人から全て奪って でも 不意打ちで降伏されてしまって10年
     ……奪ったものを誰かにさらけ出す機会を 私は待ち望んでいました……!!」

    言葉の通り呪霊『操』術のためか、真実『操られている』側の呪霊が冥達に飛び掛かってくる、対処のために冥が斧を振りかざした瞬間、領域が展開されて……

    冥の斧は手元から吹っ飛び、冥と憂の脳に『武器・術式禁止、体術勝負を強制する領域』の情報が流れ込む
    ならばと冥が拳を構えた刹那、領域が解除されて、――冥は硬直した人々が林立するフロアの一角、ごく狭い範囲に降ろされた帳の中に閉じ込められた

  • 413/425/01/26(日) 23:05:24

    「帳というものはね 必ずしも 何百人も閉じ込めるための物なんかである理由はないんだね
     更衣室みたいに 人ひとり閉じ込められるサイズの ごく狭いものだって 降ろそうと思えば降ろせるという そんな技術だよ」

    冥の後ろから上機嫌そうな女性の声がする
    即座に振り返った冥は構えて拳で殴ろうとして、……降ろされた帳に思い切り阻まれた

    「姉さまっ!!」

    憂憂の声がすぐ横で上がったので、冥が視線を向けると、彼はごく狭い帳に閉じ込められていた、――今の冥と同じく

    ――帳越しに冥の目の前にいるのは、額に縫い目のある中年の女、自称『虎杖香織』、今回の事態の主犯
      冥に帳の基を6つ見せつけながら種明かししやがる、そんな女

    「君達の呪力は最初から割れているからね 帳を二重に使えば 君達を封じるのは簡単なことさ
     ……事前に ごく狭い『冥冥の呪力を拒む帳』を降ろしたんだ 次いで密着させる形で 外層に『冥冥の出入りを拒む帳』を降ろしていたの
     弟君もね ほら そこの『憂憂の呪力を阻む帳』と『憂憂の出入りを拒む帳』に 閉じ込められてる
     線路上での呪霊との接敵から 今まで 私達がどういう目論見だったか ……一級術師の君なら すぐ分かるはずだね? 言ってごらんよ」

    「……先ほどの呪霊の領域は 体術勝負を仕掛けるためではなく 身一つになった私達を 移動させるためのもの
     手持ちの武器とカラス達を 領域で強制的に剝がした直後なら 私達は それぞれ本当に身一つになっている 
     領域を解除する時 わざと狙って座標をズラし ……二重に帳をセッティングしていた まさにこの帳の中の『この場所』に私達をハメ込んだ
     『冥(わたし)の呪力を拒む帳』で黒鳥操術は封じられて 密着した『出入りを拒む帳』は脱出も封じたもの ……憂憂も同じだ 術式を使った脱出を封じられた」

    「正っ解っ!! ……ほら 君たちにプレゼントだ
     たった今 追加で密着する形の3層目 『一切の呪力を阻む帳』を降ろしてあげたよ これで 私の呪力も届かない代わり 君達を助けようとする動きも遮断する
     帳の基を持っている私を倒すか 明日の朝に帳が自然に解除されるのを待つか ……前者が叶わない以上 後者が濃厚かなぁ?」

    冥に笑顔を見せつける香織は、本当に嬉しそうだった

  • 424/425/01/26(日) 23:05:44

    「香織さん 獄門疆が」「情報処理が済んだのか ちょうどいいね」

    ホームに戻ってきた『夏油のすがたの呪霊』が声を掛ける
    床にのめり込んでいたあの呪具は、今は持ち運び可能なただの小箱に成ったらしい、香織は、約束通り持ちたがっていたその『呪霊』に持たせることにする

    「さようなら 冥冥 憂憂 ……こうして無力化された君達に 興味は無いんだ 殺さないでいてあげるよ
     きっと朝まで 君達はここに釘付けにされた部外者だ 精々この地下5階で ずっと推移を傍観してるといいんじゃないかなぁ?」


    結果的に、香織の言い残した言葉は真実となる
    後に東堂葵と新田新がこのフロアに踏み込んできた時、林立した人々に息を呑むとともに、その場で帳に閉じ込めれた冥冥達も発見している
    東堂の術式でも3層目の『一切の呪力を阻む帳』に遮断され、また、帳自体の力任せの破壊も叶わなかったため、――冥と憂は、本当に翌朝までそのフロアに足止めされたのだ

  • 43二次元好きの匿名さん25/01/26(日) 23:06:37

    ※スレ主より

     次回予告:その時虎杖は

  • 44二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 07:24:26

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 10:31:16

    ※スレ主より


    >>42に脱字がありました

    誤:後に東堂葵と新田新がこのフロアに踏み込んできた時、林立した人々に息を呑むとともに、その場で帳に閉じ込めれた冥冥達も発見している

    正:後に東堂葵と新田新がこのフロアに踏み込んできた時、林立した人々に息を呑むとともに、その場で帳に閉じ込められた冥冥達も発見している



    どうでもいいおまけ


    「私が 冥さん達に使った領域は むかし 夏油傑本人が降伏した呪霊の領域だよ よく分からないネットミームの呪霊でね ……領域名は『エネアリ』っていうらしいんだ

     夏油傑本人には そのミームの由来は分からなくて でも 便利な領域だから 呪霊操術の手駒に使ってたみたいだね

     香織さんも 気になって由来を調べていたけど 相変わらず どんなネットミームから生まれたのか 本当に謎のままでね

     ……香織さんは 『ひょっとして 異次元から迷い込んだ呪霊だったりして』なんて 笑い話みたいに 言ってたね」

  • 461/425/01/27(月) 19:11:48

    伏黒恵と別れた虎杖悠仁は、渋谷駅へ向かって全力で駆けた
    途中で人々が改造人間に襲われている現場を確認したが、その対処を狗巻棘に託し、悠仁自身は渋谷駅構内へと突入する


    副都心線の地下5階ホームに向かう途中で、悠仁は己の血を武器にする奴に襲われた
    先日、八十八橋で弟2人を悠仁に殺されたという、――おそらくは呪胎九相図の受肉体である、彼らの兄

    悠仁が苦戦を強いられるさなか、これまで随分と沈黙していたメカ丸の小型傀儡が、また言葉を発し始めた
    それで敵の情報を得た、……『脹相』という名の『赤血操術使い』だと

    メカ丸の誘導に従ってトイレに逃げ込んだ、そして傀儡を犠牲にしてスプリンクラーが水を吐き出しまくる狭い空間に誘導、理屈は分からないがステゴロ勝負に持ち込む
    奮戦を繰り広げた結果、……殺意に充ちた脹相の血の塊が、悠仁の肝臓を貫いた

    それでも悠仁の意識はしばらくは続いた
    お互い、死んでもやり遂げなければならないことがあるがための、まさに死闘があった
    脹相が何とか悠仁を制し、悠仁はトイレの壁に叩き付けられて意識を喪失する

    だから、脹相は弟の仇に手を掛けようとして――

    「あ あ”ぁ あ” ――何 だ?」

    脹相は、突如として脳内に溢れ出した『存在しない記憶』に訳が分からなくなり、意識を失った悠仁を放置してその場から去ることとなる


    しばらくして
    戦闘跡激しいトイレに踏み込んできたのは、宿儺に忠実な従者だった

    「!! ここにいた……!! 宿儺様……!!」

    いまや受肉して女体を得た『彼女』は、漏瑚と結んだ『縛り』に従い、手持ちの指の封印を解放する――

  • 472/425/01/27(月) 19:12:24

    陀艮が逝った、――術師達に祓われて

    漏瑚は幼かった同志を悼んでから、周りの術師達を焼き滅ぼすことにした
    一人目は鉈を持つ男の術師、二人目は高専の制服を着た眼鏡の女、最後に隻腕になった髭の男

    三人目を念入りに焼こうとしたその時

    「――!!」

    強大な『それ』を感じ取って、漏瑚は手を止めて振り返る

    ――宿儺!! いや指が解放されたのか!! 『縛り』の通りなら ……裏梅が!!

    焼いていた術師共のことはどうでもよくなって、その『気配』の方へ漏瑚はひた走ることにする


    ……果たして、感じた気配は正しかった
    虎杖悠仁はトイレの壁に意識なくへたり込んでいて、裏梅はちょうど指を喰わせ終えたところだったらしい
    喰わせられた方は宿儺の器らしく、顔に紋様が浮かび上がって消えかけている

    「裏梅っ!! 虎杖を見つけたのだな!? そもそも貴様 指を何本持っておったんだ!?」

    「恥ずかしい話になるが ……1本きりだ 漏瑚 お前は?」

    こういう質問は、口で答えるより実際に見せる方が早い
    漏瑚が懐から取り出して広げてみせたのは、宿儺の指を10本分固定した封印布

    裏梅は、……もちろん、驚きと喜びの混ざったような顔をしてから、即、喰わせる方の手助けに入ることにする

  • 483/425/01/27(月) 19:13:01

    「1秒やる どけ」

    呪いの王の圧は経験したことのないほど著しく、言われた方の漏瑚は何歩も飛びずさって息を呑まざるを得ない
    漏瑚の真横で、いつの間にか裏梅が自らの主に平伏していた

    「宿儺様 お久しうございます ……お迎えに伺える時を 待ち望んでおりました」

    「お前っ ――裏梅か!! 受肉していたのだな!! オマエも!!」「はいっ!!」

    言い当てられた従者は喜びのまま頭を下げ、言い当てた主の方も実に嬉しそうに頷きを返して、……次いで漏瑚を見た

    「裏梅 コイツは何だ?」「漏瑚という名の呪霊です」

    「ほう? 頭が高いな呪霊 ……だが今 俺は機嫌がいい 指の礼だ お前の用を聞くだけ聞いてやる」

    一瞬だが、向けられたのはあまりの圧だった、漏瑚の頭が勝手に下がるほどの
    ――それでも、漏瑚は呪いの誇りにかけて、己を奮い立たせて顔を上げ、立ち上がり、言葉を紡ぐことを選んだ

    「用は ……ない 強いて言うならば 儂らの目的は 宿儺 貴様の完全復活だ ……今のような 一時的に得た 自由ではなく!!
     渋谷(ここ)に大勢いる 虎杖悠仁の仲間を利用しろ!! 肉体の主導権を永久に得るよう 虎杖悠仁と『縛り』を結べ!!」

    「必要ないな ……俺には俺の計画があり 今ここでの復活を 俺は望んでいないからだ
     だがそうだな 指の礼だ 俺にかかって来い お前が 一撃でも俺に入れられたのなら お前らの『下』についてやる
     ――裏梅 俺とコイツの一戦には お前の手出しは無用だ 俺が勝つまで見守っていろ」

    「…… 御意」「……っ 二言はないな?」

    「ないな もしもお前が勝てたなら 裏梅と『もう一人』を除いて 渋谷の人間を皆殺しにしてやる」

    宿儺は、愉快そうに哂(わら)いながら断言した

  • 494/425/01/27(月) 19:13:25

    「……日下部ー まさかお前 地下5階に行きたくなくて 時間潰してるってわけじゃないよな?」

    「はぁ!? そんなわけねーよ!? 俺はな 単に 一般人の見落としがっ」

    パンダの疑問がまさに図星であることをおくびにも出すはずがなく、日下部篤也が何パターン目かの言い訳をかましていたその時だった
    2人の背後に立っていたビルが光り、爆発し、炎上した


    ――特級同士がやり合ってやがる!! ……五条に絡んだらしい火山頭 ……と 宿儺!!


    有象無象の被害を度外視するような殺(や)り合いが、ただの術師では命が幾つあっても足りそうにない修羅場が、頭上で始まっていた
    ビルの爆破どころか隕石まで降ってくる惨状に、日下部が取る選択肢は一択しかない

    「パンダ!! 逃げるぞ!!」「お おうっ!!」

    さすがに教え子には指示を出して一目散に逃げようとする、……その傍らに『そいつ』は降り立つ

    「ならん 逃げるな」

    たぶん単純な娯楽もしくは嫌がらせで、虎杖悠仁の身体の『呪いの王』は、隕石直下の2人を止めに来た

    「俺が『よし』というまで動くな 禁を破れば生命は無いぞ ……まだ まだまだ ……まだ ケヒッ 『よしっ』」


    そして、超巨大な隕石が、その場のビル群を圧し潰しながら爆ぜた

  • 50二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 19:17:58

    ※スレ主より

     以前も書いた通り、原作と同じ流れ・台詞になる箇所は記載を端折ったりしています
     ここまでで禪院直昆人班(特に野薔薇)の描写がSS上ほぼ無いに等しいのは、裏で原作通りに話が進んでいるためです

     次回予告:その頃虎杖は(続き)&その頃京都校の面々は

  • 51二次元好きの匿名さん25/01/27(月) 23:18:22

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 01:25:48

    保守

  • 53二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 11:36:52

    ※スレ主より

     本日更新分はたぶん分量多めになります、たぶん6レス以上です
     夕方~深夜帯のどこかの時間帯にて投下する見込みです

     深夜帯でスレ主の自宅環境が規制を受けた場合、事前のお知らせの通りwriteningページへの投下になりますので御承知おきください
     (この場合、スレ主が告知できなくなるため、書き込み可能な環境の方が「writeningに投下があった」旨のレスをして頂けると非常に助かります)


     どの日の投下でも、何もかも原作と同じやり取り・流れになるシーン「だけ」のSS投下は極力避けたいと考えています
     SS独自のシーンまで持って行くまで、スレ主としては描写を端折っているつもりでも、実際は字数がかなり掛かってしまう感じです

  • 54二次元好きの匿名さん25/01/28(火) 21:59:42

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 00:29:23

    >>7に更新が来てる


    黒幕の計画が致命傷を受けててワロタ

  • 56二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 08:31:45

    >>55

    ナイス

  • 571月28日更新分再掲1/1225/01/29(水) 14:38:50

    ――結局、漏瑚は、ただの一撃すらも与えることができずに『呪いの王』に敗れて死んだ

    一方的に切り刻まれ、最大限の呪力を込めて直撃させたはずの獄ノ番は不発、火力勝負だって全く叶わなかった
    今際の際、戦った相手に強さを認められて涙を流し、……現実には全身を燃やされて、漏瑚は逝った

    「宿儺様 御完勝おめでとうございます」

    燃え盛るその場に裏梅が現れる
    忠実な従者は、ひざまずいて主を言祝いだ

    「裏梅」「はい」

    「オマエ 俺を『迎えに来る時を待っていた』と言っていたな」「はいっ!!」

    「あの呪霊にも話したが 俺には計画があり 俺は俺で 完全に自由になる機会を伺っている
     おそらく 『その時』は そう遠い時期ではないだろう それでだ 裏梅 ――っ!!」

    宿儺は『将来利用したい術師』、……『伏黒恵』の危機を察知して、言葉を止める

    「…… 宿儺様?」

    「急用ができた 裏梅 ……また会える時を楽しみにしているぞ
     オマエはこれから『その時』に備えろ 『浴』の準備を怠るなよ? ――またな」

    「!! 御意」

  • 581月28日更新分再掲2/1225/01/29(水) 14:39:27

    伏黒恵は、おそらく、ゴミのような小物の呪詛師を巻き込んで『奥の手』の式神を呼び出した
    八握剣異戒神将魔虚羅という名の、十種影法術では最強の式神を、――調伏の儀を利用する形で、呪詛師もろとも死ぬつもりで

    その恵に『利用価値』を見出したがゆえに死を阻止したい宿儺は、調伏の儀に乱入して式神を倒すほかないと即決する
    恵を癒し、呪詛師を助け、味見のつもりで斬撃を魔虚羅に浴びせてみて、……式神の性質を察して、勝ち筋を見つけた

    だから、式神に勝つために領域を展開した
    結界を閉じずに現実を塗りつぶすような『それ』は、相手に逃げ道を与えるという縛りがあるもの
    また、恵への影響を考慮して効果範囲を地上のみ半径140mに絞る

    ――恵『以外』のあらゆる生命に考慮しない絶え間ない斬撃が、領域の範囲内に無慈悲に降り注いだ

    もっとも、その斬撃も魔虚羅を倒すには及ばない、……宿儺の予想通り、魔虚羅が斬撃そのものに適応済であるためだ
    それでも、斬撃を降らせた後の宿儺には『竈(カミノ) 開(フーガ)』という、斬撃では『ない』攻撃手段がある


    そうしてまで、やっと魔虚羅の撃破は叶う
    ついでに恵を襲った小物の呪詛師を屠り、更に意識のない恵を救護所の方に運んでおく


    ――それだけやり切った頃、身体の主導権が虎杖悠仁に切り替わる時間になった
    宿儺は、完全に『小僧への嫌がらせ』で、自分が引き起こしたばかりの虐殺の現場に戻ってやった

  • 591月28日更新分再掲3/1225/01/29(水) 14:40:17

    虎杖悠仁はその場で嘔吐した
    頭の中で、これまで自分が言った言葉が、これまで自分に向けられた言葉が、バラバラと責め立てるように反響していた

    ――なんで俺が死刑なんだって思ってるよ
     ――今まで何人も何人も関係ない人が巻き込まれてるんだぜ?
    ――自分の死に様はもう決まってんだわ

     ――オマエは大勢に囲まれて
    ――親ってことがマジでも殺(や)らなきゃいけねーし
     ――人を助けろ
    ――オマエがいるから――

    削り取られたメンタルを抱えて、……それでも、悠仁は立ち上がる
    戦わなければただの人殺しになってしまうと己に言い聞かせながら、渋谷駅の地下を目掛けて駆けた

    ようやく到着した渋谷駅の構内で、因縁の特級呪霊 真人と会敵

    「虎杖君 後は頼みます」

    ――改札の近くで、ナナミンの上半身が爆ぜる瞬間を見た

    「虎杖 皆に伝えて 『悪くなかった!!』」

    ――地下通路の目の前で、釘崎の顔面が吹っ飛ぶのを見た、……そこで、心が限界を迎えるに至った

    真人は、機を見逃さずに悠仁を襲って畳みかけた、ただ命を狩るためだけに刃のように腕を振り翳した、その瞬間

    パンッ

    拍手の音が響き、その場での虎杖殺しは間一髪で防がれる

  • 601月28日更新分再掲4/1225/01/29(水) 14:40:48

    時系列は少し遡る
    東堂葵と新田新は、悠仁よりも前に渋谷駅地下5階副都心線ホーム、……つまり、五条悟が封印された現場に足を運んでいる

    「! この人らは 生きてますよね…… って ……冥さん!?」「君達 渋谷(ここ)に来てくれたんだね」

    0.2秒の無量空処を浴びて硬直した人々の一角に、かなり小さい帳が2箇所降ろされていた
    その帳の中で、よりによって冥冥と憂憂がそれぞれ閉じ込められていたから、新田は慌てて駆け寄った

    「貴女がた いったい何があったんですか!?」

    「見ての通りさ この帳に封じ込められたんだよ ……ややこしい帳を三重に降ろされた
     敵の言い分が正しければ 相手が持っている帳の基を壊すか 明日の朝になるまでは このままらしいね?
     全力の呪力強化で 殴ってはいるけれど 力押しで破れるか 正直望み薄 ……君の術式はどうかな? Mr.東堂」

    パンッ パンッ

    「俺の術式も 完全にこの帳に遮断されるようだな ……どうやら 貴女も弟も 脱出は叶わないようだ Мs.冥」

    「ありがとう そんな気はしていたよ
     ……あと獄門疆は そこにのめり込んでいたけど ずいぶん前に敵が持ち去ったよ 私達の目の前で
     自称『虎杖香織』が『現役時代の夏油君の姿の呪霊』に持たせてた ……まだ彼女ら この辺にいるなら良いんだけどね」

    「そんな……!!」

    絶句する新田の横で、東堂が指を鳴らす

    「切り替えろ!! 五条悟を奪還する戦いから 味方を救い できるだけ敵戦力を削ぐ戦いに 目的が変わったんだ 今!!」

    「そうだね そして 私達の救出に拘泥する局面でもない ……ここから健闘を祈るよ 2人とも」

  • 611月28日更新分再掲5/1225/01/29(水) 14:41:18

    東京へ向かう新幹線の車内で
    美々子達の立つ場所からドア1枚挟んだ向こう側で、三輪先輩が泣いている
    メカ丸先輩とお別れなんてしたくなくて、それでも言われた『さよなら』が辛すぎて、大声を上げて泣いている


    「……せんせー メカ丸先輩がしたことって 処分とか大丈夫?」

    「不問になるわよ 本人が死んでるんだもの ……それ以外 どうしようもないわ」

    どうしても心配になった美々子の質問に、歌姫先生が答えた
    確かにそれはそうだろう、――重たい処分になるよりも別方向にキツい答えに、その場の京都校生一同は黙り込むしかない

    「てかさぁ ……勝手に心配されて 勝手に遠ざけられるって ちょっとどころじゃなくって ゲロムカつくんだけど」

    そう言ったのは、隣に立つ菜々子だ

    「それはそうよ 菜々子ちゃん 私たちみんな それは同じこと思ってる
     ……東堂くんなら死なないとか 私達とか死なないとか そんなの関係ないの
     私ね カワイイ後輩を泣かした奴を ブチ殺したくてたまんない」

    言い切った西宮先輩の目は据わっていた
    加茂先輩も真依先輩も、どちらも完全に同意見らしくって、2人とも同時に無言で頷いた


    ――三輪先輩の涙は、まだ、続いている

  • 621月28日更新分再掲6/1225/01/29(水) 14:41:49

    東堂葵は、兄弟(ブラザー)である虎杖悠仁を叱咤した
    新田新は釘崎に『固定化』の術式を施し、悠仁にも同じ術式を掛けてから、釘崎と共に後方に下がった

    ほんの僅かな希望が、それまでの絶望を凌駕するほどの灯火になって、悠仁は戦意を取り戻す
    真人vs東堂&悠仁という構図で、呪いと呪術師の死闘が再開された


    まず悠仁が黒閃を出し、次いで東堂も黒閃を出した、――これにより三者がそれぞれ120%の潜在能力を引き出すに至る

    戦況は目まぐるしく動く
    まず真人は『多重魂 撥体』を繰り出し、いなそうとした東堂に向けて『幾魂異性体』を差し向けたが、……東堂と悠仁の分断は叶わず
    ならば、と、真人は0.2秒の領域展開を経て東堂の左手を切断、次いでその腹に向けた打撃は黒閃となるも、東堂側のダメージは最小限に抑えられる
    その東堂は真人の手と己の右手を使って術式を発動、位置替えでぶつけた悠仁の一撃もまた黒閃になった

    東堂の感謝を内心で呟いて悠仁はひた走る
    真人は自らの『無為転変』でこれまでとは大きく違う姿へ変身を遂げ、変身前とは別次元に成った
    その理解を経てもなお、悠仁は諦めない、……脹相戦を経てモノにした『逕庭拳』で確実に真人に痛打を打ち込んだ
    東堂のブラフの拍手を好機として、悠仁はまたも真人に黒閃をぶち込み、逃げる真人を追い詰めて、追い詰めて……


    敗走という文字そのもののようにボロボロになった、真人の逃げる先に
    その『呪霊』は立っていた

  • 631月28日更新分再掲7/1225/01/29(水) 14:42:37

    高専の制服姿で、胡散臭い前髪の、一見するとにこやかな笑顔で好青年の顔をしたそれは、間違いなく『呪霊』だ
    悠仁にはピンときた、間違いなく敵方の、――『夏油傑のすがたの特級呪霊』

    「ブラザー!! そいつ Mr.五条を封印した獄門疆を持っとるかもしれん!! Ms.冥の情報だ!!」

    詳細は知る由も余裕も無いが、この局面で東堂が言う冥さんの情報ならそうなのだろう、走る悠仁は手を伸ばして叫ぶ

    「返せ!! 五条先生を ――っ!!」

    横から前触れなく『何か』が飛んできて、走る悠仁を『夏油のすがたの呪霊』からは遠ざけるようにぶっ飛ばした
    『何か』の正体は龍型の呪霊だ、呪霊『操』術によって『操られる』その龍は別の呪霊と入れ替わるように消え、悠仁は別の強そうな呪霊の群れに抑えつけられる

    「真人」

    悠仁にも東堂にも、目の前の真人にさえも無関心な眼差しの『夏油のすがたの呪霊』は、ただポツリと言って真人に手を伸ばした

    「……きみ そっか 呪霊『操』術を丸ごと盗(と)ったんだもんね お手のものかぁ」

    真人の最期の言葉は、そんな皮肉げな笑みのある台詞
    悠仁を散々手こずらせた真人という特級呪霊は、最期は小さな球体になって『夏油のすがたの呪霊』の口の中に消えた

  • 641月28日更新分再掲8/1225/01/29(水) 14:44:08

    「取り込めたんだね 真人を」「うん 香織さん」

    夜の暗闇の中から縫って出るように、その女は『夏油のすがたの呪霊』の傍らに現れた
    額に縫い目のある中年の女、悠仁にしてみれば、微かに覚えのあるような無いような面影

    ――いや そんな事はどうでもいい!!
      ただ殺(や)ることさえ考えろ だってコイツは この酷い事態を引き起こしたコイツは

    「!! お前が主犯だろ!! お前が!! 何考えてやがる!!」

    呪霊に抑えつけられた悠仁の渾身の叫びに、その女はムカつくほどにこやかな笑顔を向けた

    「怒鳴らなくても教えてあげるよ こんな出来損ないで放置してたにしても まあ君は息子だ
     ……呪霊操術の強みはね 果てしない手数の多さ
     でも それだけじゃない 真の価値は 準1級以上の呪霊を『うずまき』に使った時に起きる 術式の抽出にあるんだよ」

    『夏油のすがたの呪霊』の後ろで真人1体分の小さな呪力が渦を巻き、威嚇するように女の周りで爆ぜて――


    そして女は、とうに気付いていたであろう頭上のカンテラの光に視線を合わせた

    女の身体がわずかに硬直して、同時に首に縄が巻き付く、――すぐに硬直は解除され、縄はにこやかに無慈悲に引きちぎられる
    赤血操術の付与された矢と狙撃銃の弾が女を狙う、――薀蓄を交わしながら楽々と避ける
    二度と刀を振るえない『縛り』を課した、渾身のシン陰流の一撃、――片手でいなして刀を折る

    余りの実力差で固まった三輪霞に、別の呪霊な群れが襲い掛からんとして

    「!!」

    無防備な三級術師を守るべく、空からは西宮が、地上から日下部と歌姫が、三輪を庇って間一髪の危機を乗り越える

  • 651月28日更新分再掲9/1225/01/29(水) 14:44:55

    ゴリラモードのパンダと、京都校の加茂が、呪霊を祓った上で悠仁を助け出した

    「虎杖 ……でいいんだよな?」「!! パンダ先輩!!」

    元の根明な1年生に戻っのだとすぐ分かる返答に、パンダは安堵の息を漏らす

    「あれが主犯だな? 額に縫った跡がある女の方」

    「らしいぜ ちょっと前 呪霊の方が獄門疆を持ってたって ……今は どっちが持ってるかしらねーけど」

    そんな加茂とパンダがやり取りを交わした頃、また別の『誰か』がこの場に乱入する


    ――今日、渋谷駅で悠仁と殺(や)り合ったはずの、赤血操術を使う受肉体
    呪胎九相図が一番『脹相』、……弟2人を失った長兄は、控え目に言ってもブチギレていた
    殺し合った悠仁ではなく、香織の方に

    「お前!! そのなりで子どもを産む前に 男だったことがあるだろう!! 悠仁を生む前に 男として母をもてあそんで……」

    「……キッショ 何でこの期に及んで気づくのさ」

    香織は面白そうに額の縫い目を解いて脳を晒した、……脳みそには間違いなく口があり、その口が喋る

    「まぁこういう術式でね 君の父親も『虎杖香織』も 死んだ後に私が遺体を乗っ取って 利用させてもらったんだ
     ……私のことは 呼びたいように呼ぶといいよ これまで私は 期待外れの子しか産まれたことがないんだ
     私の方だって どう呼ばれようと気にしないからね」

    「……そういうことか!! 加茂憲倫!! よくも俺に弟を!! 殺させようとしたな!!」

  • 661月28日更新分再掲10/1225/01/29(水) 14:45:54

    殺意満々で襲い掛かろうとする脹相の目の前に、またも新手が出現する

    「引っ込め三下 これ以上私を待たせるな!!」「どけ!!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!」

    邪魔立てする裏梅に、脹相は真面目にそういう言い方で怒鳴った


    京都校の加茂でも遠く及ばないハイレベルな赤血操術と、タメを張れるほどこれまたハイレベルな氷の術式が交錯する

    ……結果、その場の全員が、差こそあれ氷で足止めを受ける
    それでも赤鱗躍動で氷を溶かして動ける脹相と、氷結の甘かった悠仁、空を飛んでいた西宮のみが戦力として残った
    交戦を続行しようとする彼らを、裏梅による追い打ちの『直瀑』が今度こそ足止めする

    高専術師達が死を覚悟したその時、――またも新たに現れた特級の女術師が、全員を救った

    「知らない顔も 懐かしい面子もいるね 特に呪霊の君 あの頃の夏油君そっくりだ ……君は どんな女がタイプかな?」

    「……九十九さん 初対面ですが お懐かしいですね ……私が奪った 夏油傑本人の記憶が そう言っている
     呪力の最適化を本命に ……呪霊の発生しない原因療法を 研究していたかた」

    「そうだね でも残念ながら ちょっと情報が古いんだよね 君の記憶は間違いないけど
     今の私は初心に還っていてね 『最適化』のプランには 大きな穴があるんだ
     ……天元の結界が 日本に存在し それを利用する以上 そのプランが成った時 呪力というエネルギーを 日本が独占することになる
     生身の人間がエネルギー源になる時 生まれるのは 私の理想からは かけ離れた世界だから」

  • 671月28日更新分再掲11/1225/01/29(水) 14:46:44

    香織が、笑いながら『夏油のすがたの呪霊』と九十九のやり取りに割って入った

    「ハハハ 退屈だね君は ……そもそも目的が違うのか 私は 退屈で牧歌的な平和など 全く望んではいない
     私から生まれるモノは 私の想像の域を出ない だから私が創るべきは 私の手から離れた混沌
     すでに『この子』は 術式の抽出を済ませている だから――」

    九十九はハッとした、振り返って悠仁に問う

    「真人とかいう特級呪霊 どこにいるんだい!? 魂に干渉できる奴!!」

    「!? ソイツ さっきあの呪霊に 取り込まれてた!!」


    ――無為転変


    そして、香織の目論見通り、『夏油のすがたの呪霊』によって、術式の遠隔発動が成され……


    べらべらと香織が喋り出し、……即、香織の計画の『破綻』が確定した

    「礼を言うよ 呪霊操術で取り込んだ術式は 取り込んだ時点で成長を止める
     真人はね 戦いによって いい具合に成長したんだよ ……今 マーキング済の2種類の非術師に 遠隔で『無為転変』を施した
     悠仁のように 呪物を取り込ませた者 あるいは 吉野順平のように 術式を所持しているが 脳の構造が非術師の者
     1000人の虎杖悠仁が 解き放たれたと思ってくれ 彼等にはこれから こ ろ し あ い を し て も ら う……」

  • 681月28日更新分再掲12/1225/01/29(水) 14:47:12

    『夏油のすがたの呪霊』にとって、その言葉は禁忌に触れるものだった


    ……今『虎杖香織』の身体の羂索は、自らの術式としては呪霊操術を持ってはいない
    『夏油そのものの呪霊』を降伏させるにあたっては、呪具を活用して不意打ちで従えさせている

    元より完全な降伏が出来る呪具ではなく、『呪霊の在り方に反する指令はできない』という制限があった
    そういう指令を仮に下してしまった場合、呪霊は支配下から外れてしまい、指令を下した術者の方も報いを受ける


    この支配関係において『呪霊の在り方に反する指令』の具体例は2つある
    1つ目は、『夏油傑に力を戻すような指令』、――これは『夏油傑のものを奪う呪霊』であるための必然だ
    2つ目は、『術師の生命を奪う指令』、――術師への攻撃は可能でも『術師の生命を奪うこと』は在り方に反すると見なされる


    だから、今から生じるのは、羂索自身が呪霊操術を使う術師だった場合には決して起こり得ない破綻

    『術師同士の殺し合いを強制するために、術式(無為転変)を使うこと』は『術師の生命を奪うこと』と同じこと


    ――単に無為転変で術師を生み出しただけならば、このようなことは決して生じ得なかった
      問題は、産み出した術師に『殺し合いを強制するルールを押し付けたこと』、このことで『故意に術師の生命を奪う指令を下した』と見なされた
      不完全な降伏による支配関係の破綻は、香織の盲点でもあり、必然でもあったのだ

      このタイミングで、呪霊操術を持つ呪霊が香織の手を離れ、完全にフリーになる――

  • 69二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 15:07:00

    ※スレ主より
     
     スレ主所用のため、本日(1月29日)分の新規投稿はお休みさせて頂きます

     最初のスレを立てた1月6日時点では、ストーリーは何も考えていませんでした
     香織との上下関係が破綻する流れを完全に決めたのは1月15日で、その翌日16日投稿分のSSからは、こうなることを意識した伏線を書いていました

     SS投稿をおやすみする代わりに、次回以降の内容について2つ予告です
     個別に正解・不正解をスレ主が明言することはありませんが、考察頂けるとスレ主が喜びます

    1.香織はこれから、在り方に反した指令を下した『報い』を受けます
     香織にデメリットが、夏油のすがたの呪霊にメリットが発生する『報い』です
     呪霊側に『夏油傑以外からは何も奪えない』『高専3年時の夏油傑以上に強くなれない』という縛りがあるため、香織が何かを失う訳でも呪霊が強化される訳でもありません
     でも、香織の計画には確実に多大な支障が生じます

    2.夏油のすがたの呪霊が取る行動については、(落ちた前スレではなく)今スレ掲載分のSSに伏線が出ています
     今後、その行動に巻き込まれてえらい目に遭う原作キャラが3人います

  • 70二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 20:11:43

    ※スレ主より


     >>69の予告について分かりにくい書き方をしていたので補足


     2.のえらい目に遭う原作キャラ3名を、現時点で考察可能なように書いているつもりです

  • 71二次元好きの匿名さん25/01/29(水) 23:02:13

    このレスは削除されています

  • 72二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 07:44:02

    うお…ここで破綻…!流石にここで羂索退場はないと思うがどうなるんだ?

  • 73二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 08:56:01

    このレスは削除されています

  • 74二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 13:22:26

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 21:02:56

    保守

  • 761/325/01/30(木) 22:47:48

    一般的に、呪霊は負の感情から産まれて負の感情を吸収することで強力になる
    だが、『夏油傑のすがたの特級呪霊』に限っては、『高専3年次9月時点の夏油傑から奪ったもの』以上には強くはならない

    『夏油のすがたの呪霊』が有する呪力の総量は、夏油傑本人から奪い取ったその瞬間こそが最大値になる
    呪霊操術を使えば使うほどに、『呪霊』が有する呪力は目減りするし、そうして減った呪力は二度と自然回復することはない
    ――『呪霊』が産み出された目的と計画から考えれば、そうなるのは当然の構造である

    香織である羂索が、1億人呪霊の誕生のために天元の支配を目指す限り、『呪霊』にやたらに術式を使わせるわけにはいかなかった
    呪力をみだりに用いた結果、天元を取り込ませる肝心な時には『呪霊』が消滅していた、……なんてことになれば、それこそ本末転倒になる

    これまでの10年間、『呪霊』が使う領域の性質や、呪霊操術で操れる呪霊の性質について、香織は聞き取ることで把握はしていた
    ……それを消費させることは決してなく


    だから『呪霊』にとって、この渋谷事変こそが10年ぶりの戦いだった

    与幸吉を始末する時、――香織と真人のみで対処した
    五条悟の無力化、――元々の目的が封印のための領域展開である
    冥冥・憂憂との一戦、――彼ら姉弟は殺されておらず、閉じ込められただけ
    虎杖悠仁との戦い、――向かってきた時にぶっ飛ばして抑えつけた
    三輪霞への攻撃、――周囲に庇われて生きている、そもそも『呪霊』側の一撃は三輪を殺せる威力ではないが、周りが守った


    ……香織にしても、『呪霊』が『術師を殺せない』ことそれ自体は把握していたのだ
    無意識に『術師達との戦いで生命を奪わせることはできない』という解釈に落とし込んでしまっていたがゆえ、根本的なところで見落としがあった

  • 772/325/01/30(木) 22:48:28

    高専3年時点の夏油傑本人の感性は、非術師への憎しみは密かに抱えていた
    ――だが『術師同士の殺し合い』には決して賛同しない性質であっただろう

    夏油傑本人とは別物という自覚がある『夏油傑のすがたの特級呪霊』の方の感性は
    ――産み出された時の目的からして、最初から『術師は殺せない』縛りがある

    二重の意味で、『術師達に殺し合いを押し付けること』は、在り方に反するものだったのだ


    「――っ!!」

    高専生達と対峙している、そのさなかの香織に怖気(おぞけ)が走る
    呪具で押さえつけていた不完全な降伏関係が変質し、魂そのものを舐め回されるような猛烈な不快感で、香織は言葉を止めた
    何らかの『報い』を以って役目を終えた呪具が香織のふところで粉々に砕け散り、彼女と『呪霊』の上下関係は完全に終わる

    『夏油のすがたの特級呪霊』は、特級の威厳を抱えてとげとげしく存在はしている
    ……もう、誰からも干渉されない自由を得て

    「………… わ た し の」

    不穏な雰囲気は感じ取ったであろう高専勢と脹相も、警戒しながら様子を伺っていた

    「じ ゅ つ し き を じ ゅ つ し の こ ろ し あ い に つ か う な っ ―― !!」


    その咆哮がその時全方位無差別に向けたものであったから、香織はどさくさ紛れで『隠匿』の術式で何とか逃げられた
    脹相の毒を受けて万全でなくなっていた裏梅も、咄嗟に氷結を駆使して逃走に成功

    『報い』のメリットを享受したばかりの『夏油傑のすがたの呪霊』の方も、高揚する明確な意思を抱え、龍型の呪霊に乗ってその場を去っていく――

  • 783/325/01/30(木) 22:49:05

    夜蛾正道は、総監部が寄こした術師2名と揉めていた
    五条悟が無力化されれば即座に己の生命は危うくなる、――夜蛾の読み通りの連行劇が始まりかけていたのである

    夜蛾としても、その術師達に素直に連行される訳にはいかない理由があった
    救護所に来た連行係の術師2名がどちらも明らかに小物だったため、『救護所の護衛』という仕事を明け渡すわけにはいかなかったのだ

    「俺の代わりに家入を護衛する人材を寄こせ 俺と同じ実力の術師に限る ……お前達は怪我人と家入を死なせる気か!?」

    夜蛾は、断固として、即時の連行を拒んだ
    負傷した術師や補助監督は貴重な人材であるが、それ以上に家入硝子の反転術式は貴重である
    この局面で救護所を去るつもりは一切なかった

    派遣された術師達も夜蛾の連行が仕事である、一級術師との実力差は分かっていても、引くに引けない状態となった

    術師達を寄こしてきた総監部側とのやり取りで、そんな風にとにかく揉めていた頃


    ――『現役時代の傑にそっくりな呪霊』を乗せた巨大な龍が、吠えながら、救護所に突っ込んできた

  • 79二次元好きの匿名さん25/01/30(木) 22:52:44

    ※スレ主より

     1月中にこのシーンまで書き進めることを目標にしていました
     達成できたので嬉しいです

     次回予告:救護所にて(続き)

  • 80二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 04:19:06

    おつほしゅ!どうなるんや…!?

  • 81二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 08:58:43

    上手く逃げたな

  • 82二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 18:00:47

  • 831/525/01/31(金) 21:46:21

    救護所には、夜蛾正道と呪骸の他にまともな戦力はいなかった

    総監部から派遣された術師は、実力としては4級と3級相当の2名である
    ……『同意のある相手を逃がさない・拘束する』系統の術式持ちのため連行係になったタイプで、純粋な戦闘能力は低かった

    辛うじて猪野琢磨だけ意識『は』取り戻していたが、起き上がれても歩行はおぼつかないような段階だった
    伏黒恵はまだ眠っており、釘崎野薔薇は論外の重体、家入硝子と新田新は無傷であっても戦闘要員ですらない
    ついでに伊地知潔高も意識不明だったが、そもそも、ただの補助監督である

    だからこの時の夜蛾が、手持ちの呪骸を全てその龍に差し向けたのは自然なこと
    しかし巨龍の方は、1級上位の呪霊としてかなりの実力を有していた、……爪を振り回しただけの一撃で、呪骸は容易くただの布と綿の塊に分解されてしまったのだ

    「―― ――!!」

    呪力を帯びたその龍の咆哮が地上を襲う
    何もかもが大きく震え、救護所のテントが根元から吹き飛ばされる
    テント以外のあらゆる物も薙ぎ払われ飛ばされる状況下、……それでも、動ける者は一番近い者だけでも守ろうとした

    猪野は隣のベッドの伊地知を庇った、新田は目の前で眠る釘崎を庇った、家入はすぐ近くの伏黒を庇って、更に夜蛾は家入ごと2人を庇った、総監部の術師2名はお互いを庇った
    ……つまり、大口を開けて急降下したその『呪霊』の『蛮行』を制止できる者はいなくなる

    高速度の龍は、その速度のまま地上からすくうよう夜蛾の全身を咥(くわ)え取り、更に腕に家入と伏黒を抱えて、大空へと一気に舞い上がる――

    「何だ貴様はー!!」

    本気の怒りと焦りに染まった夜蛾の絶叫が響く
    耳に残る一級術師の叫び声だけを滅茶苦茶になった現地に遺すようにして、『夏油のすがたの呪霊』が操る龍はその場から一目散に飛び去っていく

    ――かくして、夜蛾と家入と伏黒の3人は、ある種堂々と呪霊に攫われ、所在不明になったのだ

  • 842/525/01/31(金) 21:47:25

    呪術総監部で地位のある者達には、特に家入と夜蛾を本気で捜索する動機がある

    家入については、分かりやすく、その反転術式の能力が貴重であるからだ

    夜蛾については、『完全自立型人工呪骸』の作り方を自白させたい思惑があるからだ
    過去にパンダを創り出した時、自らの能力を危険視された夜蛾は総監部に一時拘束されている
    この時の夜蛾は、「パンダは突然変異でなぜ産まれたか分からない」と主張した
    ……主張は五条悟『には』追認され、夜蛾は釈放されて今まで生かされてきたが、かねてから総監部内にそれを虚偽主張だと推測する者が相当いた

    香織すなわち羂索の息の及ぶ者も、そうでない者も、誘拐の事実を把握してから夜蛾達の捜索に動いた

    まず、夜蛾達が持っていた携帯電話の電波類の追跡が、捜索のカギになった
    ……その分析によると、攫われた3人の携帯は全く同じ経路を辿っていた

    『夏油のすがたの呪霊』に操られた龍は、3人を攫った後、容易に追跡できないような高度を高速度で飛び去った
    東京どころか関東地域そのものから脱出するように北西方向へ一直線に突っ切って、かなり遠い越後山脈の方へ向かっている
    そして真夜中に、その動きは、全て『山脈の奥地と推定される場所にいる』という情報を示唆した上で、かつ、移動しなくなる
    総監部の術師達は、夜の明けないうちからその情報を手掛かりとして現地捜索に動いた

    ……確かに、日が高くなる頃、3人の携帯電話『は』発見された
    人里離れた越後山脈内のとある山の奥深く、登山道でもない尾根の片隅で、一箇所にまとめて置いておくように、無理に壊したような3人の携帯電話の残骸『だけ』が発見された
    電話の残骸は夜蛾・家入・伏黒のどれともはっきり違う残穢を被っており、3人を攫った『夏油のすがたの呪霊』の残穢であると断定された

    ――そんな報告を受けて総監部の者達が落胆したのが、11月1日の昼頃のこと
    だが、直後に色めき立つような続報が上がる
    家入と伏黒の2名のみが、北陸地方の某県の辺鄙な場所にある公園で保護された

    ……そして保護された2人のうち家入の証言を把握して、再度落胆することとなる
    夜蛾と『呪霊』の方の捜索は、本格的に手詰まりになったのだ

  • 853/525/01/31(金) 21:48:22

    「――は?」

    伏黒恵が目を覚ました時、即座には状況が吞み込めない状態だった

    ――時刻は太陽の高さから考えておそらく昼前で、知らない場所の芝生のど真ん中で、真横には安堵する家入硝子『だけ』がいる
    おまけに、家入も恵も覚えのない残穢を、頭から足の先まで被っている

    「ようやく起きたか よかった……」「家入さんっ ……状況を教えてください 何があったんですか?」

    呪術師として生きる以上、訳が分からない事態にはそれなりに耐性があると思いたいが、それにしても何があったかよく分からない

    「伏黒 渋谷で任務中に意識が無くなったでしょ? 『誰か』がね ボロボロのきみを救護所に運んできたの
     それで 救護所できみが寝てるとき 強めの龍型の呪霊が 救護所を襲ってきてね たぶん 夜蛾学長と私達の3人が その龍に攫われたんだよね
     私 早々に気を失ったか何かで よく覚えてないんだけど ……そういう流れのはず」

    「? 本当ですか……?」

    「うん ……それで 私が意識を取り戻したちょっと後くらいに? ……この芝生に 伏黒と私だけ 龍から叩き落されたのさ
     学長は 龍の口にくわえられてて 龍を操る『呪霊』に向けて『止めろ 止めろ』って言ってたけど 言われてる方は完全無視してるみたいだった
     彼ら ここに落とされた私達の真上を 一周旋回してから 龍ごとどっか飛んでったよ ……ホント どこ行ったんだろうね?
     そんな風になったから とりあえず 一緒に落とされた伏黒を癒して 起こして 今に至る ――以上」

    「…… ありがとうございます ここは ……公園かどこかですかね」

    「たぶんそうだろうね 公衆電話なり何なり探して 高専に一報入れるのがベストかな? それで保護してもらおう」

    「はい ――ッ」

    立ち上がった恵は、変な場所に変な違和感を感じて、……とっさの機転で腹と口を押さえてうずくまった

  • 864/525/01/31(金) 21:49:19

    「すいません家入さん まずトイレに行かせてもらってもいいですか?」

    「具合悪いのかい? 行っといで ……ホラ すぐ近くにあるみたいだし」


    駆け込んだ男子トイレの個室で、違和感の正体を確認した

    恵が履いている肌着、――正確にはブリーフの中、ちょうど恵自身の『ブツ』が当たる辺りに小さく折り畳まれたメモ用紙がある
    恵自身の呪力の残穢をあえて残すように、メモ用紙は濃い残穢を帯びており、広げてみると間違いなく恵の筆跡で書かれた走り書きがあった

    『未来の俺へ

     このメモの存在は家入さんにも誰にも言わず隠し通すこと
     ただしお偉いさんの調査には嘘を言わないこと
     このメモの存在以外は記憶に忠実に証言すること

     追伸
     調査後は良心の赴くままに安否を確認せよ
     高専に戻れ 
     お会いしたことのない年の功を頼れ
     健闘を祈る』

    どう記憶を辿っても恵には書いた覚えが一切無いメモだ
    だが、間違いなく恵の残穢と筆跡である、ということは……

    「……ッ!!」

    ――恵は、己の頭の中で推測を巡らせる
    書かれたことを十分に覚えてから、影の中にメモを隠した

  • 875/525/01/31(金) 21:50:02

    ――それから

    家入と共に保護された恵は、やたら熱心に夜蛾と『呪霊』の行方を知りたがる呪術総監部のお偉いさん方の聞き取りを受けることになる

    もっとも、熱心な調査を受けたのは間違いなく家入の方だった
    恵は「公園の芝生の上で家入に起こされた」という証言を行い、その証言が術式により『嘘でない』ことだけを確認された流れだ

    聞き取り調査の中で、メモのことは一切言わなかった
    誰もそんなメモの存在を知らなかったから、恵にメモについて質問が向けられることも全くなかった

    恵は、メモの存在を隠し通したまま調査を乗り切って、解放された

  • 88二次元好きの匿名さん25/01/31(金) 21:54:43

    ※スレ主より

     スレ主の感覚で、この作品の恵はブリーフ派になりました

     次回予告:夜蛾と『夏油のすがたの呪霊』のこと

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 05:01:35

    ほしゅ
    続き楽しみ

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 12:54:23

    越後山脈でググった
    かなり飛んだんだな

  • 911/625/02/01(土) 17:30:40

    ――時系列は、あの夜の渋谷に戻る


    「何だ貴様はー!!」

    ダイナミックに咥えられて攫われた夜蛾正道の怒声を意に介さない様子で、その巨大な龍はあっという間に急上昇する
    すぐ、一級術師でも落ちれば墜落死は必須という高度にまで至ってから、やむなく夜蛾はその場での抵抗を諦めた
    龍は、腕に家入硝子と伏黒恵も抱え込んでいる、……下手に暴れるとそちらに類が及びかねない状況でもあったのだ

    襲ったのは龍、――ではなく、その上に乗る『呪霊』だろうと夜蛾は考える
    その正体は、ほぼ確実に『10年前に傑の能力を奪った呪霊』
    10年前、あの頃の傑の能力が丸ごと奪われたのだから、今の『こいつ』の術式はその時奪った『呪霊操術』
    この龍はその術式によって操られた側で、操っているのは『傑の見た目をした呪霊』の方だ、……全く目的が見えないが

    夜蛾の感覚として、はっきりと街中の明かりが無い方角へ、かなりの速さで飛んで行っているのは分かっていた
    相当に辺鄙な場所に連れ込まれるおそれを覚悟してから、端的に頭上の『傑のすがたの呪霊』に聞いてみる

    「貴様 俺達をどこに連れていくつもりだ?」

    「誰の目も届かない場所へ ……お話があります 着いてから話しましょう 全て」

    あの頃の傑のような喋り方をする『呪霊』だと、まず夜蛾は思う
    答えに『飛行中に話すつもりはない』という意思を感じ取り、ひとまず黙っておくことにする

  • 922/625/02/01(土) 17:32:06

    かなり長時間の飛行の末に、どこだか分からない山深い場所で一行は着地した

    龍の口から吐き出されるように解放された夜蛾は、即座に龍から離れて臨戦態勢を取る
    夜蛾自身はほぼ無傷だ、ただし家入と伏黒は龍の腕にがっしりと抱え込まれている、……2人とも意識はないようだが、大きな傷も見当たらない
    龍を操る『傑のすがたの呪霊』の側が、夜蛾を見ながら先に口を開いた

    「呪術師というものは 簡単には 呪霊の言うことには耳を貸さないものだと思います 『たわごと』呼ばわりされて 聞く前に切り捨てられる」

    その言葉は一般論として正しい、油断なく構えつつ夜蛾は言う

    「………… そうだな それが常識だ ……だから俺も 簡単にはお前の言うことは聞けないし つるむことはない」

    「でしょうね では夜蛾先生 私と先生が 互いに『嘘を吐かない』ことを『縛り』にしたら どうでしょうか?
     言いたくないことを隠すことは許容して ただ『嘘は吐かない』だけの『縛り』です ……その『縛り』を結んだら 先生は私の話を聞いて頂けますか」

    ――『こいつ』に一方的に都合の良い話だな、と、夜蛾は思った
    だが伏黒と家入を人質に取られているような状況で、相手の情報を聞き出すという一手は貴重だ

    「いいだろう ……『縛り』を結ぶぞ 隠し事は有りだが ただしお互いに嘘は吐かない それでいい
     何を話したいんだ?」

    魂に何かがハマるような感覚があり、こうして『嘘を吐かない』縛りが結ばれる
    その上で、『呪霊』は予想外の言葉を連ねた

    「すべてです 私が生まれたきっかけも 私が10年前に 羂索という呪詛師に降伏された話も その羂索の目的も ……知り得る限りすべて
     羂索は 天元様を狙っていました 私の呪霊操術を利用する形で 天元様を操り 日本列島の1億人全てを ひとつの呪霊に変えようとしています
     ……それも 動機は全くの好奇心からです
     ――私は羂索に利用されたくはない 降伏から外れた今 その限りで 夜蛾先生とは共闘できると思いました」

    「!?」

  • 933/625/02/01(土) 17:32:41

    その夜

    越後山脈の奥深く 容易に他人が踏み込めないような場所で
    『人造の呪霊』と呪術師達の間で 長い長い会話が交わされ 思惑が交差して いくつかの『縛り』が結ばれた――

  • 944/625/02/01(土) 17:33:13

    「伏黒君っ 解放されたんだね ……よかったぁ」

    総監部の聞き取りから解放されたばかりの恵の方へ、白い制服姿の先輩が駆け寄ってくる

    「……!! 乙骨先輩!! 高専(ここ)に戻られていたんですね!!」

    「うん みんな渋谷では大変だったんだよね? ロクに力になれなくて本当にごめん
     ……あの日 何が起きてるか気づいてないままで 北海道にずーっといたんだよ ……僕は
     本当に反省してるんだ 気付いていれば力になれたのに ……って」

    本心から深々と頭を下げてきた乙骨に、恵は慌てた

    「頭上げられてください 乙骨先輩!! どうしようもない事ですし 先輩が反省されてるのは分かりますから」

    「……うん ごめんね」

    「先輩 話を変えましょう 同級生や先輩方がどうなっているのか 把握されてますか?
     まともに状況を把握できないまま 聞き取り調査を受けていて 俺 まだよく分かってないんです」

    「あっ そっか
     ――釘崎さんは酷い重体でね 医務室から動かせないみたい
     虎杖君は行方不明 ……えっと 本人が『高専に戻りたくない』って言ったんだって たぶん渋谷のどこかで呪霊を祓ってる
     真希さんは禪院家に呼び出された 狗巻君は ……片腕がなくなっちゃって 今は医務室
     秤先輩は上と揉めたんだ ……パンダ君と一緒に男子寮で謹慎になってる 星先輩も寮にいるよ できれば行って会ってあげて」

    「――ッ ありがとうございます!!」

  • 955/625/02/01(土) 17:34:05

    ――俺は 何らかの『縛り』を結んで 記憶を意図的に忘れている

    トイレの個室でメモを読んだ時、恵がひとりで推測して出した結論だった


    まずメモの1行目から検討してみる
    シンプルに『未来の俺へ』、……ということは書いた人間は『過去の俺=伏黒恵』
    書いた記憶が一切ないということは、すなわち、メモの記載内容は『忘れることを承知で未来の己に託した情報』ということだ

    2行目から4行目の記載はシンプルに行動の指示だ
    『このメモの存在は家入さんにも誰にも言わず隠し通すこと/ただしお偉いさんの調査には嘘を言わないこと/このメモの存在以外は記憶に忠実に証言すること』
    ……『過去の俺』は『将来の俺』がお偉いさんの調査を受けることを見越していた、果たしてその通りになったので、恵はメモの存在を隠し通した

    これからの行動は、追伸以下の4行がカギだろう

    『調査後は良心の赴くままに安否を確認せよ/高専に戻れ/お会いしたことのない年の功を頼れ/健闘を祈る』

    恵にとって『良心の赴くままに安否を確認したい相手』は何人かいる
    高専の仲間達もそうだが、恵にとってのそういう相手は、伏黒津美紀がまず挙げられる
    高専生のおおよその安否は今分かった、今から把握に動くべきは、――津美紀、次いで、虎杖の安否か、早急に動くべきだ

    『高専に戻れ』、――この安否確認が済んだら高専に戻って来いということか

    『お会いしたことのない年の功を頼れ』
    会ったことのある年上は除外だ、2~3年の先輩方や両校学長は面識があるから明らかに違う
    かつ『お会いしたことのない』という敬語を使った使い回しを使うべき相手
    ――思い当たる相手は1人いた、高専の敷地に在る『不死』の術式を持つ方、天元様、……間違いなく『年の功』である

    『健闘を祈る』、――単純なエールと解釈する

  • 966/625/02/01(土) 17:35:08

    まとめると、『過去の俺』からの行動指示は『津美紀と虎杖の安否を確認し、高専に戻り、天元様を頼る』
    おまけにその指示があったことを『誰にも隠し通せ』と記載している


    ――どう考えても『今の俺』はキナ臭い事態に巻き込まれている
      それも津美紀または虎杖のどちらか関係するような不味い事態
      お偉いさん方に知られたら不都合のあることを一度『知ってしまった』状況 ……ということか?

      だから『過去の俺』はメモだけ残してわざと『縛り』で忘れた
      家入さんには決して打ち明けないだろう『秘所』に『情報』を託して
      俺はチン〇ンに違和感があったとしてもまず誤魔化すし絶対に晒さない


    恵はそう確信していた

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/01(土) 17:37:29

    ※スレ主より

     次回予告:乙骨が北海道で足止めされた(かなりどうでもいい)裏話&悠仁と冥冥のこと

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 00:04:18

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 08:08:41

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 12:10:58

    ※スレ主より

     龍の襲撃時に救護所にいた面々について
     大やけどした真希・片腕を無くした棘の存在が抜けていることに今更気がつきました

     この世界線では2人とも襲撃時には救護所に辿り着けておらず不在・呪術界と繋がりのある病院で治療を受けた
     ……ということでお願いします


     本日2月2日分の更新は夕方~深夜帯の見込みです
     スレ主の自宅環境が規制を受けている場合、いつもの如くwriteningページに掲載します

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 18:00:50

    保守

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 22:17:10

  • 1031/525/02/02(日) 23:12:23

    乙骨憂太の人生の中で、失敗とか後悔とかはいくつもあるけれど、今年のハロウィンの失敗は特大級のものだった

    「憂太 急で申し訳ないんだけど 明後日から北海道への出張を受けてくれない?
     ちょっと僕でも断りにくい筋から 憂太宛てにご指名が来ててさ
     ……『赤子限定で死者蘇生する呪詛師』っていうのが 北海道にいるらしいんだよ
     どーも総監部の内偵では 呪いの変な『蟲』っぽいやつに寄生されてて 手遅れの野郎っぽいんだけどね?」

    ――ハロウィンの2日前つまり29日の夜に五条から言われた台詞が、こんな感じだった

    「総監部の偉いさんの縁者でさ その手の『蟲』のマニアな奴がいるんだよ
     『蟲』がどういう生態で どういうことができるか 念入りに検証したいんだって
     憂太の模倣の術式で 『蟲』の挙動とか 具体的に込み入った調査をしたい ……らしいんだよね?
     ――ああ 呪詛師の生命は気にしなくていいよ 誰がどう見たって手遅れ臭いから
     放っておくと 呪詛師が死んじゃって『蟲』もどっか行っちゃうかも ……そういう意味で『急ぎ』だっていう話」


    そんな説明で急遽押し付けられたような北海道出張となった

    総監部の事前の内偵調査は正しかった
    呪詛師の容態も確かに五条の言った通りで、見捨てる選択は憂太でも簡単に下せるような末期の状況
    憂太達が踏み込むのが1日遅ければ、呪詛師は死んでいて『蟲』は離散してたろう

    憂太に随伴した術師は、とっつきやすい大人の人で、(当たり前だが)憂太より弱い人で、確かに『蟲』のマニアだった
    リカが『蟲』を一匹残らず捕食する様をキラキラとした眼で凝視しているような、そんなマニア

    検証したい項目は多岐に及ぶようで、『蟲の術式』を模倣して使用可能になった憂太を、足早に道内の総監部の出張所に誘(いざな)った

    そもそも検証が半分目的のような名指しの出張である
    人が良い憂太は、時計のない、電波も通じない出張所の地下の実験室で、かなり長時間の検証に協力した
    ……それが、10月31日の夕方から11月1日に日付が変わるまでの出来事

  • 1042/525/02/02(日) 23:12:47

    後から振り返った時、憂太は思い切りへこんで反省した
    マニアの術師の人だって利用された側だ、『憂太が渋谷に現着できない状況を作る』ために利用されただけ

    にこやかに従順にひたすら『蟲』の術式を検証していた頃、大事な同級生や、後輩や、先生達が渋谷でとんでもない目に遭っていた

    ――憂太は、そういう事実に打ちのめされて悔いるような人格だった

  • 1053/525/02/02(日) 23:13:10

    大勢の非術師が犠牲になってからそう時間が経ってはいない渋谷の街
    夕焼けの長い影が落ちて、やがて夜が始まる

    明らかにおかしい濃度と強さで呪霊がウヨウヨし始めた、人気のない廃墟だらけの都会の中
    目立つ道路のど真ん中に、冥冥と憂憂が探している『虎杖悠仁』はいた、……おそらくは呪胎九相図の受肉体と一緒に

    「虎杖君」

    「――!? 誰だお前らっ「脹相 この人達は知り合いの術師 ――冥さん達 俺に何か用?」」

    話しかけた冥と傍に立つ憂へ、露骨に警戒を向けたのは受肉体の方、それを悠仁が制した
    ……悠仁にしても突然話しかけられる心当たりは無いようで、完全に冥達に気を許しているという風でも無いが

    「秤金次さんから あなたに伝言です」

    「!! 秤先輩から?」

    憂憂の端的な言葉に、悠仁は驚いた顔をした

    「うん ――正確には今日の昼かな 私達が伝言の依頼を受けたのは でも虎杖君が中々見つけられなくてね
     君達 昼間は建物の中にいて 夕方になってから 屋外に出たね?
     私のカラス 敵に黒鳥操術の支配を外されて 散り散りになっていてね ……見つけ出すのに 手間が掛かったよ」

    「まったく 姉様にこんなお手間を掛けさせるとは」

    「あっ ……俺達 ここの呪霊を祓いたくて ……昼間に仮眠取ってたから」

    「なるほど 呪霊は夜が本領だからね 合理的だ」

  • 1064/525/02/02(日) 23:13:36

    「――それで 秤君からの伝言内容だけどね 伝えるよ
     『虎杖 お前が高専に戻る気がなくて戻らないなら それでいい 俺達のことは気にすんな
     上が揉めてるらしい お前に死刑執行人を立てる動きがあるっぽい 気をつけろ』 ……以上だよ」

    「悠仁が死刑だとっ!?」「止めろ脹相 冥さん達も伝言ありがと」

    「お金を貰った依頼だ 礼は不要だし むしろ こちらが遅くなったことを謝る方だね
     虎杖君 これは伝言が遅れた分のおまけ ……私達が依頼を受けた後 呪術総監部が通達を出した 君にあげる」

  • 1075/525/02/02(日) 23:14:01

    『呪術総監部より通達

     一.五条悟を渋谷事変における職務怠慢により呪術界から永久追放
     かつ封印を解く行為を罪と決定する

     二.夜蛾正道を渋谷事変主犯の呪霊と通じて逃亡した疑いにより死罪を認定する

     三.自称虎杖香織を呪詛師と認定し渋谷事変主犯として死刑を宣告する

     四.虎杖悠仁の死刑執行猶予を取り消し
     虎杖香織と共謀し渋谷事変を起こしたとして再度の死刑を宣告する

     五.パンダを夜蛾正道と共謀した疑いにより
     呪術高専東京校男子寮での謹慎を命ずる

     六.秤金次をパンダの聴取・連行に赴いた術師に暴行を加えたとして
     呪術高専東京校男子寮での謹慎を命ずる』


    「!! ――俺 あんな奴と共謀なんかしてねぇ!!」

    通達を読んだ悠仁は心の底から叫んだ

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/02(日) 23:16:04

    ※スレ主より

     次回予告:香織(=羂索)と裏梅のこと&(もしかしたら書くかも)夜蛾と『夏油のすがたの呪霊』のこと

  • 109二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 09:04:13

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 18:20:14

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/03(月) 19:36:11

    ※スレ主より

    スレ主体調不良につき本日(2月3日)分の更新はお休みします
    寒気にやられました

  • 112二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 01:33:32

    お大事に

  • 113二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 07:34:08

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 17:17:54

    >>111

    あら…のんびり休んでください

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/04(火) 22:42:09

    ※スレ主より

     本日(2月4日)の更新もお休みします
     相変わらず寒波に身体が馴染めておりません
     きのうよりいくらかマシな体調になってるので(おそらく)明日からは投稿できるはず……

  • 116二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 08:25:07

    >>115

    お待ちしてます!

  • 117二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 14:09:20

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 21:29:18

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/05(水) 23:24:23

    ※スレ主より

     本日(2月5日)まで更新お休みさせて頂きます……‥
     1レス分書きちらした草稿はできたんですけども、推敲する余裕が無く時間切れですorz
     ということで明日からは確実に再開できるかと

オススメ

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