【閲注TRPG】 祭囃子に手を引かれ【CoC×KPC虎杖釘崎五条PC伏黒】

  • 1125/02/08(土) 19:00:55

    このスレはKPC虎杖釘崎五条とPC伏黒でクトゥルフ神話TRPGを回していくものだよ
    閲覧注意は発狂した時や万が一グロテスクな描写があった時用だよ

    原作軸ではなく一般人(?)設定。そのため関係性や雰囲気などが異なる可能性があるよ
    これは沼男は誰だの世界のその後で、つまりKPCの三人はロスト済だよ
    このシナリオは"ロスト救済シナリオではない(=三人を生き返らせるためのシナリオではない)"ので、注意してね

    今回は野さま作成シナリオの『祭囃子に手を引かれ』をお借りしてるよ
    本来はタイマンシナリオ(KPC1PC1)を改変し、KPCを3人にして回すよ
    シナリオのネタバレを大いに含むので注意してね。既にシナリオを知っている人は先の展開のネタバレはやめてね
    通過卓の『沼男は誰だ』のネタバレを大いに含むのでそちらも注意してね

    今回安価はないよ。沼男は誰だと同じ方式で行くよ
    ちゃんとお別れが出来なかった四人がお別れを言えるように見守ってね

    かけがえのない友を失った。背中を押してくれた師も失った。
    それでも日常は続いていき、そしてとある日のこと。
    暑い、暑い、夏の夜にインターフォンが鳴る。――きみを拐いに夜が来た。

  • 2125/02/08(土) 19:01:09
  • 3125/02/08(土) 19:01:23
  • 4125/02/08(土) 19:01:33
  • 5125/02/08(土) 19:01:52

    KPC虎杖 悠仁(前シナリオ、『沼男は誰だ』が終わった時点のもの)

    iachara.com

    KPC釘崎 野薔薇(前シナリオ、『沼男は誰だ』が終わった時点のもの)

    iachara.com

    KPC五条 悟(前シナリオ、『沼男は誰だ』が終わった時点のもの)

    iachara.com

    PC伏黒 恵(リアルタイムで更新)

    iachara.com
  • 6二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:12:12

    たておつです
    キャラシ…と思って上から見たらヒエッ…ってなったよ
    虎杖のシナリオの説明がなんか凄く切ないし釘崎五条のがらしくてやっぱり切ないんだ
    伏黒のも短いながら悲しいな

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:14:34

    キャラシこう来るかと思いながら読んだ
    生き返ることはないけどお別れが言えるといいな

  • 8125/02/08(土) 19:20:54

    季節は真夏のさなか。

    多くの人間にとって衝撃的だった事件からは一年半もの月日が流れていた。

    関東一帯で100万人をも超える数が突如死んだとはいえ、気付けば日常が帰って来る。

    その事件の裏にスワンプマンと言う存在があったと知るのは数少ない人物のみ。

    真実を知る者の一人である伏黒は友や師を失ってからも、変わらずにあの病院で獣医を勤めている。

    五条が自分と合わせたがっていた学生とも会い、――――結局彼がどうしたかまでは知らないが。


    退勤後、伏黒が家に帰ればエアコンのタイマーが作動し、部屋を快適な温度に保っている。

    外気温とは全く違う涼しさに足を踏み入れ、重い体をどうにか動かしてそのままソファに腰掛けた。

    一つ息を吐き、スマホを見れば通知が一件届いている。

    どうやら何かしらのクーポンが届いたという通知のようで、さっと払えばそれだけで終わる。他に通知はなかった。


    ふと、手慣れた手つきで伏黒は下へ下へと遡る。

    そして一つのメッセージグループをタップすれば、他愛のない会話が繰り広げられていた。

    懐かしくもあり、そして悲しくもあり、寂しくもある。

    いつかの幸福、消え去った日常、失われた当たり前の明日。

    入力欄には途中まで入力された文章がある。だがそれが送られることはないし、既読がつくこともない。

    終わったのだ、あの冬の日に。――――伏黒の中にあった、小さな世界が。


    そんな時、不意にインターホンが鳴る。

    確か今日届く荷物はなかったはずだと思えば、立ち上がるのが面倒にも思えて一つ息を吐くだけに留める。

    だが間隔を開けて二度目、そして三度四度と繰り返される。

    うるさい、と。そう思いながら伏黒は立ち上がった。

    廊下に出れば微かに話し声のようなものが聞こえて来たような気がして、どこの誰だと伏黒の不機嫌さは増した。

    感傷に浸っていた所をぶち壊されたことへの怒りもあったことだろう。


    <聞き耳>

    伏黒(55) dice1d100=57 (57)

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:23:16

    うう導入が切ない
    五条が会わせたがってた学生とは会えたのか
    そして惜しいな

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:24:56

    五条が合わせたがってた相手とは会ったんだなあ…
    聞き耳は失敗か

  • 11125/02/08(土) 19:27:53

    苛立ちが勝っていたのか、伏黒は声の主に気を配るようなことはなく、半ば苛立ちながらも玄関の戸を勢いよく開く。


    「なんです」


    か、と。それ以上は言葉にならなかった。


    「やあ、久し振り。元気だった?」


    扉の向こう、そこには五条が立っていた。

    いつかの日までと変わらないような、サングラス越しの蒼い瞳が悪戯めいて光っている。

    大きなボストンバッグを抱えているのが目に付くが、それ以外におかしなところは見当たらない。


    「なんか伏黒やつれてる?元気って感じしねぇけど」

    「医者の不養生ってヤツじゃない?いやね、信用ならないわ」


    そして五条の少し後ろには虎杖と釘崎が、こちらもいつかの日までと変わらないような信愛を滲ませる瞳と、どこか気恥ずかしさのような感情をも込めて伏黒のことを見返していた。


    「…………は?」


    たちの悪い夢か。それとも――――現実か。


    <SANチェック>1/1d4

    伏黒(60) dice1d100=88 (88)

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:29:04

    いきなり再会した
    そりゃあ動揺するよな

  • 13125/02/08(土) 19:34:26

    ≪SAN減少≫

    伏黒 dice1d4=2 (2)


    脳が理解することを拒む。

    亡くしたはずの友人と師が、こうして当たり前の顔をして自分に話しかけてくるだなんて。

    そんなことはあってはいけないのだ。

    自分を慰めるための夢なら馬鹿馬鹿しいという言葉に尽きたし、そうではなく幻覚ならばもっと救いようがない。


    まるで頭を思い切りぶん殴られたかのような衝撃に伏黒は言葉を失い、瞼を下ろす。

    いっそのこと再び瞼を持ち上げた時には三人の姿が消えていればいいとさえ思ったが、そうはならなかった。


    「アンタ、そんなに体調悪いわけ?寝てる?」

    「水かなんか居る?俺取って来ようか?」


    大学受験の際、獣医学部の受験でそれなりの無理をしていた伏黒を慮った時の二人と同じような反応を、目の前の虎杖と釘崎はしていた。

    ぐ、と。歯を食いしばる。

    ぐわんぐわんと揺れそうになる頭と体を必死に留め、伏黒は乾き切った口を開く。


    「なんで、だよ」


    泥になったはずの三人。居なくなったはずの三人。失ったはずの三人。

    無防備に喜ぶには、伏黒はリアリストであったし賢過ぎた。


    「なに?僕たちがわざわざ会いに来たってのに、なんでとは酷いね」


    五条はそう茶化しながらも、伏黒を見つめる。

    その瞳には確かに心配の色が含まれているように見え、伏黒は更に言葉を失った。

    言うべき言葉が分からない。どうすればいいのか分からない。

    ――――あの日のように。

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:34:52

    グループ残してあるのか
    消せないよなでもメッセージ既読にならないのも
    返事が来ないのも切ないな

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:36:32

    えっ…五条?
    そりゃ伏黒もSANチェック失敗するわ

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:38:12

    そもそも3人ともいる
    これを単に喜べるほど伏黒は素直じゃないよなあ
    どうなってるんだろう

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:38:39

    そうだよな信じられないよな
    この伏黒大分擦り切れてそうだけど大丈夫かな

  • 18125/02/08(土) 19:40:37

    目の前の三人に対し、違和感はない。

    これがもしも夢ならば納得の出来と思うだろうし、偽物だったならばそれは伏黒と同レベルに三人と接してきたものでなければ造れないだろう。


    ぐるぐると思考だけが巡っていく。その混乱を目の前の三人も察したようだ。


    「あー……、驚かせた?」

    「そりゃそうでしょ。私たち死――むぐ」

    「はいはい、余計な混乱を招くことは言わないようにね。で、恵。突然なんだけどさ――――これからお祭りいかない?」


    五条の誘いは、これからお祭りに行かないかというもの。

    ……なんだそれは。


    「ほら、この近所で今日お祭りやってるだろ?それに誘おうかなって思って」

    「私たちに奢ることを許してあげるわ。歓喜に泣き叫びなさい!」


    <知識>

    伏黒(85) dice1d100=6 (6)

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:44:28

    どう見ても本物の3人だよな
    釘崎の言葉から死んだ記憶在りそうだし
    お盆だから帰ってきたとか?

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:45:28

    あっ…この3人ともそこまで覚えてるんだ
    本人達なんだ
    ここ伏黒惜しいな成功はしてるけどクリ出来そうだった

  • 21125/02/08(土) 19:53:14

    どうにか頭を回せば、確かに今日この辺りで祭りをやると街中のポスターで見掛けたことがある気がした。
    夏となれば祭りもあるだろう。それ自体は良いのだが、どうしてこの三人が自分を夏祭りに誘いに来るんだ。

    「……なんで、俺を」
    「さて、なんでだろうね?恵が断るならそれでもいいよ。僕たちはここでさようならってことで」

    五条は心底そう思っているようで、もし伏黒が自らの家に閉じ籠るために扉を閉めたとして、もうインターホンは慣らさないのだろうと、そう察せた。

    「えぇ!なんでそんなこと言うんだよ。俺たちは全然よくないっての」
    「ここまで来て何もなく帰るなんて絶対に嫌よ」

    しかし虎杖と釘崎はそう思っていないようで、五条にギャンギャンと吠えている。どうにも意見が一致していないらしい。

    「これは恵が決めることだから。そうでしょ?」

    しかし五条がそう言えば、二人は押し黙った。数秒俯いてから、二人は再び口を開く。

    「……俺たちは伏黒とお祭り行こうと思ってここまで来たけど、伏黒が嫌なら…………しょうがない、とも思うし」
    「あーもー!ぐだぐだ言うのはごめんよ。伏黒!アンタどうするわけ。私たちと行くの?行かないの?」

    行かないと口にするのも、三人を拒むのも簡単だった。
    扉を閉めて、鍵をかけて。――きっとたったそれだけで伏黒は日常に戻れる。
    数多のものを失って、寂しさの残る新たな日常に。

    しかし、今ここで断れば二度と彼らに会えないのではないかと、そう思った。
    それは当たり前だというのに、今度こそ自分の意思で三人を突き放すことなど伏黒は出来なかった。

    「お、れは――」

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:55:51

    混乱するけどここでさよならはできないよな
    五条先生の決定権本人にゆだねるの好きだだな

  • 23125/02/08(土) 19:57:01

    その時、五条が伏黒の腕をぐいと掴み、そして引く。
    ふらつきながら玄関の外に踊り出た伏黒は五条に見下ろされる。

    「余計なことは考えなくて良いよ。今は今、きっと悪い時間にはならない。僕たちにとっても、恵にとっても」

    そして伏黒は気付く。自らの腕を握っている五条の手のひらは――――温かい。

    「あっぶないわね!転んだらどうすんのよ」
    「つーか先生、さっきまで伏黒が断ってもいいみたいなこと言ってたくせに」

    文句を言う二人も伏黒に触れる。
    熱がないか確認するための額であったり、手であったり。
    そして二人の手は五条と変わらず、温かで伏黒の知る温度。

    「…………少し、待っていて貰えますか。準備をしてくるので」

    そして伏黒がそう言えば、三人は各々笑った。懐かしくも、かつての日常と同じ笑顔で。

    伏黒が私服に着替えて玄関から出れば、三人は変わらずにそこで待っていた。
    鍵をかけてから振り返れば、虎杖が右手を、釘崎が左手をとり、そして五条が伏黒の背を押す。

    そのまま家を飛び出せば、遠くから祭囃子が聞こえてくる。

    こうして四人の、最後の夏が始まった。

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:58:54

    あったかい3人の手で伏黒が行く気になるの好きだなあ
    最後なんだなあ…

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 19:59:19

    最後の夏か切ないな
    でも楽しめたらいい

  • 26125/02/08(土) 20:04:18

    太鼓と笛の音色が賑やかに夜の街を彩っていた。

    屋台が所狭しと立ち並び、沢山の人々が往来している。

    手を繋いでいないとあっという間にはぐれてしまいそうだ。


    「はぐれたら大変だから、手、離すなよ」

    「今回は全部アンタの奢りなんだから、逃げるんじゃないわよ」


    温かな手は握っていれば、温度が交じり合っていく。

    境界線がないかのように、三人の手の温度はいつの間にか同じ温度になっていた。


    「逃げねぇよ」


    離さない、とは言わなかった。

    言ってしまえば本当に離せなくなるかもしれないだなんて、らしくないことを思ってしまう。

    少なくとも、学生時代ならばとっくのとうに手を振り払っていたかもしれない。

    気恥ずかしさもあって、鬱陶しいだなんて口にしたりなんかして。


    「それで、どこ行く?屋台は沢山あるけど」


    五条がそう問えば、釘崎の目が輝いた。心なしか、伏黒と繋いだ手がぎゅっと強く握られる。


    「まずは当然―― dice1d9=9 (9) よ!」


    【探索可能箇所:1.かき氷屋 2.射的 3.ヨーヨー釣り 4.りんご飴屋 5.くじ引き 6.型抜き 7.綿菓子屋 8.焼きそば屋 9.たこ焼き】

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:07:08

    そうだよな離したくないよね
    たこ焼きいいよね祭りのたこ焼きはまた格別

  • 28二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:16:01

    話せなくなるよなあ…このあたたかさは今だけなのは確定だし
    たこ焼きとはいいな

  • 29125/02/08(土) 20:16:26

    釘崎が所望したたこ焼き屋にくれば、8個12個24個と個数が書いてある。

    「やっぱりお祭りではこれよこれ」
    「初っ端に?」
    「腹が減ってはなんとやらよ。それにどうせアンタだって馬鹿みたいに食べるくせに」
    「ぐッ、だ、だってそりゃあ祭りのたこ焼きって食べたくなるもんだろ」
    「じゃあいちいちケチつけるのやめなさいよ」

    たこ焼きの屋台の前で虎杖と釘崎がそんな会話をしていれば、店主が景気よく笑う。

    「がはは、いいね。たくさん食べてってくれよ。で、お客さん、何個ご所望だい?」

    そう店主に問われれば、三人の視線が伏黒へと集中する。

    「24個、ついでに箸も四本ください」

    伏黒がそう言えば後ろでやんややんやと盛り上がる。

    「よッ、太っ腹!」
    「流石伏黒大先生ね。変なごね方しないだけゴジョセンよりも良い財布だわ」
    「おっと、それは聞き捨てならないな野薔薇。僕ならそう、100個は買うのに」
    「100個って買えなくね?」
    「悠仁、数学のやり直し……いや、算数のやり直しをしようか」
    「え、買えんの!?」
    「馬鹿は馬鹿だと思っていたけど、ここまでの馬鹿だなんて」
    「じゃあ野薔薇、100個買うためにはどのセットを何個買えばいい?」
    「…………ほら、たこ焼き食べるわよ」
    「野薔薇も後で補修だよ。流石にこれは先生として見過ごせないかな」

    そんな聞き慣れたようで、久し振りに聞く声に伏黒は思わず小さく笑ってしまった。

  • 30125/02/08(土) 20:16:41

    そうすればたこ焼きを渡す時、店主が声を掛けてくる。


    「にいちゃん、随分と仲の良い友達なんだな」

    「……えぇ、まあ」

    「大切にしろよ!その年で一緒に祭りだなんて、中々来れるものでもないしな!」

    「そう、ですね」


    そして伏黒は受け取ったたこ焼きを手に、四人の元に戻る。

    一人六個ずつ、食べきれない分は虎杖にでも投げておこうと、いつもの流れだ。


    「いっただっきまーす!」

    「あー……たまらないわね、ソースの香り」

    「結構タコが大きい。当たりかな?」

    「食べる前に箸で割るなんて邪道よ邪道!!」


    <CON×5>

    伏黒(70) dice1d100=46 (46)

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:18:11

    これは…何だかんだお腹空いてた伏黒かな?

  • 32二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:18:59

    いいなぁ一度失くしたものだから
    余計尊いよななんでまた会えたのかわからないけど
    思いっきり楽しめたらいいな

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:26:38

    やっと追いついたけど4人の会話文と手を引く2人背中を押す先生で顔覆った
    あの終わり方の後だからっていうのもあるし4人ってそうだよねってしみじみしてそのまま天仰いだ……楽しい時間過ごしまくってくれ〜

  • 34125/02/08(土) 20:28:29

    伏黒も三人に続きたこ焼きを口にすれば、ソースと共に鰹節や青のりの風味が口いっぱいに広がった。
    アツアツではあるものの、火傷をしないギリギリのところ。
    美味しい、と。素直にそう思った。

    「そういや昔タコパしたよな」
    「アンタがホットケーキミックスその辺に置いといたせいでたこ焼きの粉じゃなくてホットケーキミックスでたこ焼き作った時の?」
    「それだけじゃなくて普通のタコパもしただろ!?」
    「明太子チーズ、美味しかったわね」
    「俺は結構タコキムチ好きだったなぁ」
    「ホットケーキミックスで中身はチョコと蜂蜜とナッツ、これは譲れないよ」
    「げぇ、聞いてるだけで口が甘くなるわ。……虎杖、ん」
    「ほいほい、後は食っとく」

    なんとなく、三人が話している様子を伏黒は眺めていた。
    自分も当然、タコパに参加しており、会話に入れないわけではない。
    それでもどうしてか、この場に割入ることを勿体ないと思ってしまったのだ。

    「伏黒はあれだよな、エビトマト!」

    しかし虎杖は当たり前のように伏黒へも声を掛けてくる。

    「刻んだガーリックが入ってる、アヒージョ風のヤツよね?」
    「そうそう、伏黒もそん時酒飲んで結構食べてたよな」

    過ぎたことではある。だが思い出せばやはり心地の良い記憶だ。
    三人が目の前に居るのなら、尚のこと。

  • 35125/02/08(土) 20:28:46

    「美味かったよな、意外と」

    「意外は余計だっての!」

    「どっちかって言うと意外とマズいを作ってたのはアンタの方じゃない」

    「……美味いと思うだろ、コーンマヨだぞ」

    「微妙にマヨネーズが溶けてて微妙だったわよね、あれ。ゴジョセンの甘味爆弾の次くらいに」

    「そこまで?」


    そうしてたこ焼きを食べ終われば、次にどこに行くかという話になる。


    「なら俺、次はdice1d8=1 (1) に行きたい!」


    そうして気のせいではなく、再び繋がれた虎杖の手がぎゅうと握られた。


    【探索可能箇所:1.かき氷屋 2.射的 3.ヨーヨー釣り 4.りんご飴屋 5.くじ引き 6.型抜き 7.綿菓子屋 8.焼きそば屋】

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:31:11

    かき氷もいいよね祭り堪能してるな
    虎杖が握ったとことで涙腺がもう駄目

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:33:30

    伏黒が割って入れないところに声をかけてくるの好きだなあ
    今は4人でいるんだ積極的にいこう
    かき氷もやはり祭りには必要だよな
    りんご飴にもそう思うよ

  • 38125/02/08(土) 20:39:27

    しょっぱくて温かいものを食べたのならばと、四人が次にやって来たのはかき氷屋だった。
    いちごにレモン、メロンにブルーハワイとお馴染みの味が揃っている。

    「じゃあ俺は、んーっと」
    「私はレモンで」
    「僕はいちご練乳……え、練乳ない?じゃあいちごだけでいいや」
    「あー、ならメロン!」

    そして伏黒が注文しようとすれば、先に釘崎が口を開く。

    「それで、アンタはブルーハワイでしょ?、ってなわけで一つずつお願い!」
    「よし来た、手早く作るから待っててな」

    そうしてガリガリガリと氷を削る音が辺りに響く。
    財布を取り出して小銭をトレイに置きかけていた伏黒は釘崎を見つめていた。

    「なによ?自分で注文したかった?」
    「そうじゃない、が」
    「伏黒って大体ブルーハワイだよな。味変えねぇの?って聞いたらこういうのは全部同じ味だろってさ」
    「良いじゃないの。気分よ気分」
    「同じ味なのに色だけ変えてるってのが企業努力が伺えて良いよねぇ。僕結構こういう悪足掻き嫌いじゃないよ」
    「言い方が最悪なのよ。全てを台無しにしてるわ」

    過去の記憶を覚えているのは自分だけじゃない、と。
    それだけだというのに伏黒は少し、泣きたいような心地にもなった。
    これが夢であれば良い。夢でないと良い。
    ――――この三人が自分を慰めるための何かではなく、本当にあの日の続きを歩んでいる三人ならば良い。

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:42:08

    そうだよね消えた3人の方が夢で
    ここにいる3人が本当だったらいいって思っちゃうよな
    4人で楽しんでるの最高なんだけど切ないね

  • 40125/02/08(土) 20:43:37

    「はい、おまちどうさん!サービスしといたから、頭痛くならないように気をつけろよ!」


    そうして山盛りのかき氷が四つ分、次々と手渡される。


    「……虎杖、やるわ」

    「それは良いけど上に乗せると混ざるって!!」

    「お、全部乗せ?いいね、僕も協力してあげるよ」

    「赤に黄色に緑って、赤は本当にマズいってば!!」


    そんな様子を眺めていれば、気付けば手が勝手に動いていた。

    自らのブルーハワイを掬い上げ、そして虎杖のメロンとレモンといちごが混じった山の端に掬い落とす。


    「伏黒まで!?」

    「うわ、既になんか……マズそうね」

    「やったの釘崎達なのに!!?!?」

    「悠仁、周りの迷惑になるから静かに食べな」

    「先生たちが騒がせてんのに!!!!!?」

    「うるせぇな」

    「~~~~~ッッ、なら、お返ししてやる、って無言で離れてくのやめん!!!?!?」


    ひんやりとした温度はいつかの冬を思い出すようなものではあったが、もう寂しくはなかった。


    <CON×5>

    伏黒(70) dice1d100=99 (99)

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:45:23

    皆生きてこの話だったらよかったよね…
    ってしんみりしてたらすごい色のかき氷出来てるし伏黒ファンブってて草
    キーンってきたかな?

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:46:28

    ファンブル出したな
    頭痛くなっちゃったか
    あれ結構きついんだよね

  • 43125/02/08(土) 20:50:38

    ぎゃあぎゃあと騒いでいれば、最終的に五条以外の三人のかき氷が悲惨な有様となった。

    そして騒いでいたせいか、伏黒はかき氷を食べた時特有のキーンとした痛みに襲われる。


    「あ、伏黒もしかしてかき氷食い過ぎた?」

    「結局一番多く食べたはずのアンタがなんでピンピンしてるのよ」

    「仙台育ちだからね、俺!」

    「降ってる雪食ってたガキ?」

    「因みに悠仁、雪って実質的に空気中のゴミ食べてるようなものだからね」

    「「そうなの!!!?!?」」

    「……授業で教えたはずなんだけどなぁ」


    頭が痛いというのにふざけているとしか思えない三人の会話に笑ってしまい、尚更頭痛が気になった。

    暫くは残るだろうこれを出来るだけ気にしないようにしなければと伏黒が考えていれば、自らの頭の上にポンと乗せられる何かがあった。

    それは温かく、そして優しい。


    「頑張り過ぎないようにね」


    上を見ていないので、顔は見えない。

    だがこの手の持ち主が今どんな顔をしているか、伏黒には分かったような気がした。


    「さて、じゃあ次は気を取り直してdice1d7=6 (6) にでも行こうか!!」


    【探索可能箇所:1.射的 2.ヨーヨー釣り 3.りんご飴屋 4.くじ引き 5.型抜き 6.綿菓子屋 7.焼きそば屋】


    一際強くぐしゃぐしゃと髪の毛を掻き回した後、いつもの笑みを浮かべて五条はそう言った。

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:52:54

    いいなぁ仲良くしてる4人
    ちゃんと見抜いてる五条先生流石
    綿菓子は五条先生が一番はしゃぎそうだな

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 20:53:55

    あっためるとだいぶ楽になるんだよね…
    でもここの五条のはもっと別のこと言ってるよね
    そして綿菓子屋か…地味に子供の頃以外あまり触れないことが多いんだよな綿菓子

  • 46125/02/08(土) 21:02:45

    「なんでかき氷の次が綿菓子なわけ?」
    「せめてしょっぱいのにしねぇ?」
    「そうじゃなくて、ここはりんご飴でしょ!?」
    「そこかよ。食べ物に飽きたって話じゃないのかよ」

    ひたすら食べ物系の屋台を制覇するかのように動く四人だが、結局伏黒は五条用の一つと、三人で食べる用の一つ、計二つを購入することになった。

    「あー、やっぱりこれこれ」

    五条は自らの頭ほどのサイズのある綿菓子をばくばくと千切っては食べていく。
    白い頭が白いものを食べている様子はどこか共食いを思わせたが、五条は甘くもないしふわふわもしていない。

    「こういうのって少しで良いのよね。全部食べようとすると手やら顔やらがベタベタになって買ったことを後悔するのよ」
    「そうそう、甚兵衛汚してよくじいちゃんに叱られた」

    そんな会話をしながらも、伏黒は一つ摘まんで口の中へと運ぶ。
    蕩けるような甘さが口の中に広がれば、少しだけ心が和んだ気がした。(SAN:58→59)

    一人で食べていたはずの五条が一番に食べ終わり、そして飽きた伏黒と釘崎から残りを貰い受け、そのまま口をつけて口の周りをベッタベタにして一悶着あった虎杖はごみを捨て、一息吐く。

  • 47125/02/08(土) 21:03:00

    「で、恵は?」


    いきなり五条にそう問われ、伏黒は質問の意味が分からずに顔を顰めた。


    「どういう意味ですか」

    「この流れで分からない?恵はどこに行きたいかってこと、ほらほら」


    そう言われてもすぐに思いつくような何かはなかった。

    だがここでもういいとは言えずに、伏黒は口を開く。


    「それなら……dice1d6=4 (4) に行きたいです」


    【探索可能箇所:1.射的 2.ヨーヨー釣り 3.りんご飴屋 4.くじ引き 5.型抜き 6.焼きそば屋】


    「じゃあ行こうか!ま、支払うのは恵だけどね!」

    「台無しだよ先生」

    「そういうところよアンタ……」

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:04:32

    くじ引き!
    悪名高い当たりなしもあるくじ引きじゃないか!

  • 49二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 21:05:42

    共食い確かに見た目は似てるな
    財布は持ってないんだ
    SAN値回復してよかった

  • 50125/02/08(土) 22:30:43

    この食べ物ばかりの流れにちょっと待てをし、四人はくじ引き屋へと向かう。

    「こういうのってそもそも当たりの紐がどこにも繋がってないとかあるあるなんだよなぁ」

    五条の言う通り、こういう場のくじ引き屋は基本的に当たらない。
    だからこそ当たりを狙うのならば無駄金を払うだけで終わるのだが、伏黒の目的はそこではなかった。

    「別に、当たらなくて良いですし」
    「え、そうなん?」
    「ならなんでくじ引きなんかやるのよ」

    そう問われ、伏黒は本心をほんの少しだけ隠す。
    やはり気恥ずかしいと思わなくもないのだ。こうやって自分が楽しんでしまっていることは今更だが、そこから始まる悪足掻きはなるべくバレたくはない。

    「別に、運試しってことで良いだろ」

  • 51125/02/08(土) 22:30:56

    残るものがあればなんて、そう思ってしまったことに伏黒は自嘲する。

    そうしてさっさと店主に四回分を払い、三人に引くように促す。


    「それとも自信がないのか?」


    その煽りが本気でないことなど分かっていたが、煽られたのなら煽り返してノってやるというのも大事なコミュニケーション。


    「言うねぇ。じゃあ僕は……そこの花火セットでも狙おうかな」

    「じゃあ俺は、この水鉄砲」

    「私は一番大きな……ぬいぐるみ?かしら」


    当たるか当たらないかは分からない。それを楽しむのもくじ引きだ、と言うことで。


    <幸運>

    伏黒(75) dice1d100=28 (28)


    虎杖(80) dice1d100=37 (37)

    釘崎(80) dice1d100=72 (72)

    五条(90) dice1d100=36 (36)

  • 52二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:31:53

    おっ全員成功だ
    ここは良心的なようだ

  • 53125/02/08(土) 22:32:50

    どうやら全員、何らかの"当たり"を引いたようだ。

    とはいえ小さなお菓子から大きなぬいぐるみまでここからもピンキリなのだが。


    顔を見合わせた全員が手ごたえを感じながら、一気に紐を引っ張れば――――。


    ≪景品≫

    伏黒 dice1d10=6 (6)


    虎杖 dice1d10=10 (10)

    釘崎 dice1d10=5 (5)

    五条 dice1d10=2 (2)

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:33:55

    誰も被らなかったな
    虎杖最大値で五条が低め…どっちがいいんだろうね

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:40:12

    数の大小で良し悪し決まるというよりリストがあって番号に対応するとかじゃないかな
    わかんないけど

  • 56125/02/08(土) 22:44:35

    まず一番軽い音を立てて引っこ抜けたのが五条の持った紐。
    どうやらお菓子のシガレットのようで、まあ"当たり"は"当たり"でも外れに近い。
    少なくとも伏黒が一回分として払った金額を鑑みれば不似合いのものだ。

    「懐かしいけど、これじゃあな」

    五条も自身が引いたのが外れに近いと分かっているのか、既に景品のシガレットを開いてそのうちの一本を口に含んでいる。
    見た目だけ(喋るな危険)なら完璧な男、こんな所でも様になっている。

    そして釘崎が当てたのは、鳥の形の水笛だ。お祭りでよく見るが、普通の店では中々に見ないヤツ。
    珍しくはあるが当たったことが嬉しいかと言えばそうでもない、微妙なライン。

    「……ガキじゃないから喜べないわね」

    一つ溜息を吐けば釘崎は水笛を咥えようとして、やめた。

    「あれ、吹かないの?」
    「吹かないわよ」

    そして残るは伏黒と虎杖の一騎打ちだが……ここで伏黒が引き上げたのはそこそこに大きなもの。

    「お、……お?」

    箱に入ったそれは虎杖が狙っていた水鉄砲だ。
    そこそこ嵩張るそれは"当たり"と呼んでも良いものだろう。
    これならばこれが一番じゃないかという雰囲気が漂った次の瞬間、虎杖が引き上げたものが視界に入る。

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:48:20

    数字低めがレア度低めって感じなんだな
    くじ引きって明確な当たりあるからそんな感じで数字次第かな?と思ったら本当にそんな感じだった
    伏黒が虎杖の目当て引いたなら虎杖は…何引くんだろう?

  • 58125/02/08(土) 22:51:05

    ――――それは釘崎が狙っていた大きなぬいぐるみ、おそらくこのくじ引き屋で一二を争う当たりだった。

    「やりぃ!!これ俺が優勝じゃね!?」

    割とかなりデカい、五条程ではないが釘崎が持つには大変なサイズをぬいぐるみを虎杖は自然と釘崎にあげようとし、釘崎に拒まれる。

    「そんな邪魔なもの持って歩けないわよ」
    「頑張って持って帰るんだよ、悠仁。折角の恵からのプレゼントなんだから」
    「マジで言ってる?」
    「マジマジ、大マジ」

    デカいぬいぐるみを抱えた虎杖は途方に暮れた。
    持てない程じゃないが、やはりそこそこに邪魔だ。

    「……虎杖、これやるよ」
    「今の俺に更に荷物押し付ける気!?」
    「結局アンタも同じこと言ってるじゃない」
    「じゃ、じゃあ俺だと思って大切にしてよ!!」
    「水鉄砲を?」
    「そこで水道の水飲んで噴き出すわけ?」
    「ンなことしねぇっての……」

    とりあえずはそれぞれが当てたものはそれぞれが責任を持って持ち運ぶ、ということになった。

    くだらないことを喋って、遊んで、笑って、食べて。
    そうしていれば、あっという間に時間は過ぎていく。

  • 59125/02/08(土) 22:51:20

    そんな最中、五条が伏黒へと誘いをかける。


    「ねぇ、花火大会やるんだってさ。折角だから、人の少ない所に行かない?あそこ……高台の神社とかどうかな」

    「そうね、行きましょ。花火セットは当てられなかったけど、その代わりよ代わり」

    「どっちかって言うと花火セットの方が花火大会の代わりなんじゃねぇの?」

    「甘いよ悠仁、花火セットも花火大会も同じ花火を扱うけど全く違うものだからね。――だからほら、行こうか」


    そうして大きなぬいぐるみを抱えた虎杖と、手ぶらのように見える釘崎と、再び手を繋ぐ。

    恋人たちのするような甘やかさはないものの、そこにはただひたすらに親愛が込められていた。

    手を引かれて着いて行けば、やがて石造りの長い階段の下に辿り着く。

    上を見上げれば赤い鳥居が何本も立ち並んでいた。


    <アイデア>

    伏黒(85) dice1d100=78 (78)

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 22:54:45

    優勝したけど荷物になってて笑うんだ
    そこからのわちゃわちゃ好き可愛いね…荷物押し付けみたいになってるの笑う
    そして花火か文字通り祭りの華だよね
    しかし終りが近づいてる感じがなんとなくして淋しくなるんだよな

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:00:23

    伏黒は残るものが欲しかったのかな
    3人がそこにいたとわかる何かが

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:02:02

    頑張って持って帰るんだよって言ってるけど持って帰れるような場所なのか

  • 63125/02/08(土) 23:07:44

    ふと、伏黒はこんな所に神社なんかあっただろうかと疑問に思った。
    だがここに誘った五条を始め、虎杖と釘崎は自分を挟んでいつも通りの雰囲気で会話をしている。

    「うげ、こうやって見ると階段が結構長いわね」
    「登れば着くし……あ、無理になったら背負おうか?」
    「もうアンタの背中は満員じゃない」
    「じゃあ僕が背負おうか?」
    「アンタに背負われたら高くて気持ち悪そうだから無理。それにこのくらいでギブアップなんかしないわよ」

    四人は結局足を止めずに赤い鳥居を何本も潜りながら、石段を登っていく。
    そしてその先には古びた神社が見えた。

    「とう、ちゃく!!」

    息を切らすほどではないが、少し疲れはしたなと思う程度。
    境内は静まり返っており、他に人は居ないらしい。

    「それで、どこから――――」

    その時だった。
    機を見計らったかのように、ひゅるるると音を上げて花火が夜空にひとつ、ふたつと広がる。
    両手の温かさは変わらずに、伏黒は柔らかな拘束と不自由とも言えるその状況を享受する。

  • 64125/02/08(土) 23:09:59

    「夏祭りなんて来たの、いつぶりになるんだろうね」

    五条がそう呟き三人を後ろから抱き締めるように抱え込む。
    伏黒の肩口に顎を乗せ、そして長い両手は虎杖と釘崎をも纏めて一つの塊にする。
    夏だというのにそこまでくっつけば、じんわりと汗が滲む。
    正直、暑い。

    「こッの、ここまでは許してないわよ!!」
    「待って先生、暑い。暑いって!!」
    「えぇ、良いじゃん。折角なんだからさ、たまにはこういうのもいいでしょ?」

    どこまで分かっているのか。どこまでわざとなのか。五条がそう言えば、虎杖と釘崎は口を閉じた。
    汗が滲むのは手も同じだというのに、両側の手はらしくもなく強く握られる。

    「……ねぇ、…………皆は元気?」

    ぽつりと、釘崎はそう呟いた。
    なんとなく、伏黒は終わりが来たとそう思った。

    「生きてるヤツは、どうにかやってる。……俺もな」
    「そう……頑張りなさいよ、アンタも」

    そして釘崎の手はするりと離された。
    その続きが"生きてるんだから"だと思ったのは、伏黒の思い違いなのだろうか。それとも。

    「釘崎が頑張ってって言うなら、俺は頑張り過ぎないようにって言おうかな」
    「なによそれ、当てつけ?」
    「そんなんじゃねぇっての。ただ、――伏黒は俺たちがみんなで頑張れって言ったら、頑張り過ぎちまう気もするし」

    そう言った虎杖も釘崎に続いて、手をするりと離す。優しい不自由が徐々に解かれていく。

  • 65二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:10:09

    花火って綺麗だけど祭り終わりも感じて寂しいよな

  • 66二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:11:33

    本来ない神社なのか
    不思議だな…でもきっと悪いものじゃないんだろう
    そして…もう終わりなのか

  • 67二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:11:35

    ああここでお別れか嫌だなぁ
    ずっと一緒に居たいけど無理なんだよね

  • 68125/02/08(土) 23:17:29

    その時、一際大きな花火が打ち上がって、夏の夜空に消えていく。

    花火に寄って照らされていた横顔が本来の暗さを取り戻す。


    「僕からはまあ、これ以上言うことがない……と言いたい所なんだけど、宿題を出そうかな」


    そして五条の温度も離れていく。

    鬱陶しいと、重いと、今までならば言えたはずの文句が伏黒の口から出なかった理由を、本当はどこかで全員理解していた。


    「僕からの最後の宿題だから、心してかかってよね」


    五条はそこまで言ってから、息をひそめて小さな声でその宿題を告げる。


    「『久藤道久』を止めてほしい」


    そしてそう言うや否や、両隣の虎杖と釘崎が突然背後を振り返る気配がした。


    「さて、じゃあ僕たちはちょっと行かないといけない用事があってね。……悠仁、野薔薇、行くよ」


    五条の声は穏やかなものだった。


    「……だね、じゃあ俺たちは行ってくるから」

    「これでも私たち、忙しいのよ。ただ暇してるんじゃないんだから」


    五条が告げた名前など、伏黒は知らない。

    何で三人がここに居たのか、ここに誘ったのか、こうして話している三人が本物なのか、何もかもを伏黒は知らないままだ。

    分からないのに、それが怖くはない。ただあるのは風化したはずの寂しさで。


    <POW×5>

    伏黒(75) dice1d100=97 (97)

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:20:08

    伏黒!?ここでファンブル出すの!?
    一度感じたあたたかさを失うのに耐えられなくなっちゃったか…

  • 70二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:22:34

    そうだよなあもう会えないと思った人たちと
    会えたけど別れなきゃいけないのは寂しいよな
    大丈夫かな

  • 71125/02/08(土) 23:26:15

    心のどこかでは分かっていた。

    そう、分かっていたのだ。

    この手を離さなければならない。温かさを失わなければならない。

    奇跡のように与えられた時間は奇跡でしかなく、これを手放さなければいけない時がもう一度来るのだと。


    ――――そう分かっていたはずなのに、伏黒は気付けは追い縋るように三人を引き留めていた。


    「行くな」


    情けなくも震えた声が唇から零れ落ちる。


    「行かないでくれ」


    さよならさえも言えなかった己の友。

    ありがとうさえも言えなかった己の師。


    伏黒は決して一人になったわけではない。

    虎杖や釘崎以外の同級生も居たし、交友関係だって小さな世界で完結しきっていたわけではない。

    世話になった先達も五条だけではなかったし、大学を始め今勤める動物病院にだって伏黒の世界は続いていた。


    だがそうだとして、失ったものの代わりにはなりはしない。


    伏黒の抵抗は三人にとって予想外のものだったのかもしれない。

    そもそも伏黒からしても、自分がこういう風に子供のように駄々をこねるとは思っていなかった。

    そう、子供のように。伏黒は虎杖と釘崎を抱き締めた上で、更に五条の手首を掴んでいた。

    何一つ離したくはないと、失いたくはないと、そう望んでしまった男による不自由な幸福。


    ≪誰が口を開く?≫

    1.虎杖 2.釘崎 3.五条

    dice1d3=2 (2)

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:29:29

    別れを告げる3人の時のように伏黒が虎杖と釘崎を抱きしめて五条を掴んで別れを拒むの切ねえな…
    そしてここで釘崎が口を開くんだな…強い女だもんな…

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:31:24

    伏黒からしたら絶対離したくないだろうからな
    でもそういうわけにもいかないんだろうな切ないな

  • 74125/02/08(土) 23:37:41

    「……私たちは少ししたら戻って来るから――――待っててくれる?」

    釘崎はそう言いながら、伏黒の拘束を優しく解く。
    常の彼女には似合わないような、優しくて穏やかな声だった。

    「でも私たちには先に行かなきゃいけないところがあるの。だからこのままアンタとここに居るわけにはいかない」

    伏黒はその問いに、静かに首を横に振った。
    聞き分けのない子供になんてなりたくないのに、失ったものの温かさがそうさせる。

    手放さずに済むのならなんだって出来る気がした。
    ここで離れるくらいならいっそのこと、着いて行っても良い気さえした。
    それが一時の気の迷いなのか、冷静にただずっとそう思っていただけなのか、誰にも分からない。

    「いやだ」

    微かに濡れた声がその場に響き、そして――――。
    一つ息を吸う音がした。

  • 75125/02/08(土) 23:37:56

    「甘ったれたこと言ってんじゃないわよ!!」


    耳元で叫ばれた言葉に、流石に伏黒もぎょっとしながら拘束を緩めた。

    巻き添えを食ったらしい虎杖も瞬きを繰り返し、釘崎を見つめている。


    「いい、伏黒。こんな所でぼんやりしてる暇は私たちにもアンタにもないの」


    まっすぐと釘崎は伏黒を見る。


    「ごめんなさいね、私たちは過去を引き摺ってるだけじゃいられないの。だからアンタもそうしなさい。薄情なんて思ったりしないから」


    そして釘崎は虎杖と五条の手を引く。

    伏黒はもう三人のことを止められはしなかった。


    「……伏黒、行ってくる。いつか戻って来るから、その時はまた――」

    「僕からの宿題を忘れないようにね。……後は任せたよ、恵」


    そして四人は闇の中に駆け出し、黒に紛れていく。

    伏黒の手は夏だというのに、冷え切っていた。


    <心理学>

    伏黒(60) dice1d100=59 (59)

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:40:58

    やっぱり釘崎は強いなあ
    いつか戻ってくる…そう信じたいなあ
    心理学はギリギリ成功してよかったきっと伏黒を思うからこそだろうし

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:42:05

    ギリギリ成功したか
    伏黒弟属性もちだから釘崎の叱咤が効いたかな
    でもなぁ失くしたと思ったものが現れたら離したくないよな
    五条さんの宿題が3人が現れたことと関係あるのかな

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:52:31

    このメンツであの終わり方でこの配役でこの会話してるの刺さりすぎてまた泣いてんだ
    別れて気づいたらもう会えなくなってたから戻ってくるって言葉より今ここにいて欲しいってなっちゃうよな

  • 79125/02/08(土) 23:52:47

    視界が霞む。

    「ぅ……ッ」

    分かっていた。全て分かっていた。

    「ぐ……ぅ、……ふッ」

    ぼたぼたと手の甲に生温かいものが落ちていく。
    優しい嘘が伏黒の心を苛んでいた。
    戻って来るからなんて言って、戻ってこないくせに。
    待っててなんて言って、待たなくて良いと思っているくせに。

    でもその優しい嘘は、全て自分のためだとも分かっていた。

    だとしても、辛かった。痛かった。苦しかった。

    暫くの間、伏黒は一歩も動けなかった。

    そうしてらしくもなく泣いた後、伏黒が顔を上げれば真っ暗な空が伏黒を見下ろしている。
    一つ、二つ、三つと呼吸をし、ゆっくりを息を吐く。
    涙のせいで濡れた頬を乱暴に拭い、少し重くなった気がする瞼を持ち上げる。

  • 80125/02/08(土) 23:53:25

    「あー……」

    ここで一つ、伏黒という男の性格の話をしよう。
    クールで冷静に見え、冷淡なように見える伏黒恵という男。
    ただし彼は、これで居て非常に情が深い人間でもある。特に、己の内に入れた人間に対しては。
    それこそ、屋敷が崩れるという焦るべきタイミングで正気を失っているスワンプマンの虎杖がどうなっているか、確認しに行くくらいには。
    つまりのところは、だ。

    「……何が戻ってくるから待っててくれる、だ」

    それが真実ではないと伏黒は知っている。
    そして口にした釘崎を始め、虎杖と五条にとってもそれが嘘になることを分かっていたとも気付いている。

    だが、――それがどうしたと言うんだ。

    「――――本気にしてやるよ」

    くつりと伏黒は笑った。こうなってはもうなにが正気なのかは微妙な所。

    「人を突き放したいなら、さようならくらい言ってみせろよ」

    誤魔化されてなどやらないと、若干キレている伏黒は据わった目でそう言った。

  • 81二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:57:11

    そっか…優しい嘘だったか
    しかし伏黒はそれを信じて過去を引き摺り続ける選択をしたか
    ここで伏黒は死ぬ間際に虎杖を見に行ったのが繋がるの好きだな…頑張れ伏黒!

  • 82二次元好きの匿名さん25/02/08(土) 23:58:50

    やっぱり戻ってくるは嘘だったか
    確かに伏黒身内に甘いよな
    誤魔化されない方選んだか
    さよならも言われてないもんね
    ここまでの展開すきだな
    皆の優しさも伏黒の寂しさも凄く伝わってくる

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:01:13

    お別れを言えるように…のシナリオだったのに伏黒のファンブルで3人が敢えて別れの言葉を避けたからこそこうなってそうで面白いな

  • 84125/02/09(日) 00:02:47

    あの三人にも何か事情があっただろうことは薄々勘付いている。

    だがそれはそうとして、伏黒にも伏黒の事情がある。

    事情というよりは感情、もしくはエゴだの頑固さだの、そう言ったものではあるのだが。

    どちらにせよ、意地の張り合いとなった時の伏黒の吹っ切れようを知っているはずなのに焦って愚かにした三人が悪い……とも言えないが。


    伏黒は立ち上がり、神社の境内を一周しても三人の姿は見当たらなかった。

    まあこんな近くに居ることはないだろうと思っていたこともあり、とりあえずはと神社から出るために鳥居を潜って階段を下りていこうとすれば、違和感に気付く。


    空には赤黒い雲が渦巻き、カラスの群れがカアカアと喧しく鳴きながら空を横切っていく。

    先程まで聞こえていた祭囃子も人ごみの喧騒も聞こえない。


    「……おい、これは」


    足を速めて階段を降り切って道を進めば、先程まで屋台が並んでいた道に飛び出した。

    しかしそこには人っ子一人おらず、不自然な程の静寂が広がっている。

    そのまま街の中に出ても、人っ子一人居ない無人の町に変わり果てていた。


    <SANチェック>1d3/1d4

    伏黒(59) dice1d100=80 (80)

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:04:56

    んん?これはどうなってるんだ?
    確かに祭りで楽しんでたのに
    これは動揺する

  • 86二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:05:28

    ここで終わりじゃないのか!伏黒も動揺している
    別の世界なのか?

  • 87125/02/09(日) 00:08:13

    ≪SAN減少≫

    伏黒 dice1d4=1 (1)


    「どう考えても何かに巻き込まれてんじゃねぇか……!」


    しんみりした空気を返せと思わなくもないが、こうなれば三人を追うための言い訳も立つ。

    明らかな異常事態に出くわしたので三人を探しました。

    引き留めるなとは言われたが、探すなとは言われてないので、なんて。


    そのまま伏黒が歩いていれば、誰も居ない公園が目に入る。

    しかし、きいきいと音を立てて風もないのにブランコが揺れていることに気が付いた。

    ついさっきまで誰かが居たのだろうかと公園の中のブランコに近付いてみれば、未だに揺れている。チェーンの部分を伏黒が掴めど、不自然に揺れたままだ。


    ≪伏黒の行動≫

    1.座ってみる

    2.無視する

    dice1d2=1 (1)

  • 88125/02/09(日) 00:10:19

    音が響き続けるのは中々に鬱陶しいと、伏黒がブランコの座席に腰掛ければ、揺れはピタリと止まった。

    止まったならそれで良いと伏黒が立ち上がりかけたその瞬間、髪の長い女が逆さまにぶら下がって来る――――幻覚を見る。


    「う、おッ」


    <SANチェック>0/1

    伏黒(58) dice1d100=93 (93)

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:11:50

    伏黒大丈夫か?SANチェック失敗続きだぞ

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:13:00

    伏黒出目が悪いなとはいえ最小引いてるのは凄い

  • 91125/02/09(日) 00:13:33

    驚いた自分にも苛立った伏黒は治安の悪い舌打ちを一つ零して公園から出ていこうとすれば、ベンチの上になにかがあるのに気付く。

    それはボストンバッグで――確か、五条が持っていたものだ。


    近付いた伏黒は躊躇なくボストンバッグを開くも、その中に納められていたのは何冊もの手帳だった。


    「手帳?」


    ぱらぱらと開いてみれば筆跡も年代も様々な男女の日記のようだ。


    <図書館>

    伏黒(75) dice1d100=60 (60)

  • 92二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:15:19

    五条はこれを持ってたのか
    日記ばかり入ってるのか…何か関係ありそう

  • 93125/02/09(日) 00:17:02

    手当たり次第に中を見ていれば、その中でも二冊の日記に目が留まった。

    一冊は古めかしい革張りの日記帳であり、もう一冊は比較的新しい大学ノートだ。


    【古い日記帳】

    ずいぶんと昔から付けられていた日誌。最初は丁寧に綴られていたそれを抜粋しながら読み進めていくと、ある日を境に日誌の内容が変貌していく。


    19××年×月×日

    息子が生まれる。ひさしと名付けた。

    19××年×月×日

    ひさしが立てるようになった。すぐに歩けるようになるだろう。

    19××年×月×日

    ひさしが初めてピアノの賞を取った。努力が報われたな、おめでとう。ケーキを買ってお祝いをした。

    19××年

    どうして

    19××年

    嗚呼、神よ。どうして私ではなくひさしを連れていってしまったのですか。あなたに心はないのですか。あなたはいらっしゃらないのですか。




    20××年

    神は、いた。


    以下のページはグシャグシャに切り取られており文字の判別は不可能である。


    ≪××の≫

    1.虎杖

    2.釘崎

    3.五条

    dice1d3=1 (1)

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:20:45

    息子が不慮の事故か病気で他界しちゃったのかな

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:21:35

    これが…五条の言ってた人か?名前もなんとなく繋がりが見えるし
    子供が死んで狂っちゃった系か
    そして虎杖のなんだろう

  • 96125/02/09(日) 00:26:04

    【大学ノート】

    伏黒はこの筆跡に見覚えがある。虎杖の筆跡だ。


    20××年×月×日

    しらない神社で目を覚ましたら、しらない人に「君を生き返らせた」って言われた。

    そうだよな、俺って死んじゃったはずだもんな。じゃあ何で生きてるんだろう。

    つーか俺って、スワンプマン……だったんだよな?じゃあ今の俺ってなんだろ。それがちょっと心配。


    20××年×月×日

    どうやら俺は何かの実験に使われる被験体みたいだ。「幽世」の外に一度出たら形を保てなくなってしまうから決して外には出るなと言われたけど、……本当に生き返ったのなら皆に会いたいな、なんて。嘘ってことにしとく。


    20××年×月×日

    釘崎と五条先生も被験体だったらしい。

    というか二人も死んでたことにビビッてたらバシバシ釘崎に叩かれた。

    何が起こったか聞いたけど、随分と凄いことが起こってたんだな。

    一緒に行けなくてごめん、って釘崎に言ったら殴られた。

    話を聞いたら尚更、伏黒に会いたくなった。

    一人残しちまったことを後悔してんのは多分俺だけじゃなくて釘崎も五条先生も一緒で。……なんかこう、上手いこといかねーかな


    20××年×月×日

    決めた。この神社を……「幽世」を、出よう。今日はお祭りがあるってあの人も言っていたし、抜け出すならきっと人出が多い今日しかない。

    なんてこと考えてたら二人にもすぐにバレて、折角なら三人で押し掛けてみようってことになった。

    伏黒、待ってろよ。必ず迎えにいくから。


    虎杖の日記を読み終わってから、伏黒は自分がその大学ノートを握り締めて皺を寄せていたことに気付く。生き返らせた。そして……幽世の外に出たら形を保てなくなる。

    ドクリと心臓が嫌な音を立てた。

    もしや三人は自分に会いに来たせいで、見過ごせない事態に陥っているのではなかろうかと。


    <SANチェック>0/1

    伏黒(57) dice1d100=39 (39)

  • 97125/02/09(日) 00:28:57

    伏黒が一つ息を吐いてボストンバッグを持ち直せば、空の赤黒さはより色を濃くしていることに気が付いた。

    そして今まで人気がなかったにも関わらず、何かの生物の息づかいを感じるだろう。

    振り向けば、そこにいたのは無数の人々、……いや、人ではない。

    その皮膚は醜く膨れ爛れ落ち、両腕を突き上げてよたよたと歩く姿からは知性を感じられない。

    そこにいたのはゾンビの集団だ。


    <SANチェック>1/1d8

    伏黒(57) dice1d100=96 (96)

  • 98125/02/09(日) 00:29:41

    ≪SAN減少≫

    伏黒 dice1d8=4 (4)

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:30:53

    ファンブル!ノーカンでよかった
    この伏黒危なっかしいな
    しかし本当に生き返ってたのか
    いやある範囲限定で生き返ったてかんじか
    3人ともまた無茶したんだろうか

  • 100二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:31:03

    このファンブルがSANチェックでよかった

  • 101二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:31:47

    虎杖達被験体だった?
    なら望みどおりに伏黒に会いに来て形が保てなくなったならむしろ3人の救いだろうなあ…
    そしてノーカンファンブルで良かったな!とか思ってたがSAN大分短い間に減ってない?大丈夫か?

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:32:32

    最大値持ってかれた
    SANチェック苦手だな伏黒

  • 103125/02/09(日) 00:33:04

    「……ッ、くそ、なんでもありかよ……!!」


    動揺は容易く収まってはくれない。だが真正面から戦うには数が多過ぎる。

    一体ならばどうにかなるかもしれないが、複数体を相手にするのはあまりにも勝率が悪い。


    ゾンビが伏黒の方を見たと、そう思った瞬間だった。


    「あんなのに捕まってたまるか……!」


    伏黒は全力で駆け出し、ゾンビたちを振り切ろうとする。


    <DEX×5>

    伏黒(75) dice1d100=28 (28)

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:34:16

    上手く逃げられたか
    今は一人だからね無理しないで逃げるのはいいと思う

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:34:41

    伏黒逃げられてよかった
    危ないなこの場所

  • 106125/02/09(日) 00:37:43

    そして伏黒がゾンビを振り切るために辿り着いたのは廃校となった小学校だった。

    裏門の鍵が壊れていることに気付き、それを利用して建物の中に滑り込む。

    少しの間、ゾンビから身を隠すために利用しようと伏黒は一息吐きながら廊下を進んだ。


    「それにしても、アイツらどこに行ったんだ」


    何をすれば良いか、とりあえず伏黒の目標は三人を見つけることだ。

    そこが第一で、あとは五条の宿題とやらの『久藤道久』を止めること。

    この異変が『久藤道久』のせいならば、尚更どうにかしなくてはならない。


    扉が開いたままの教室に伏黒が足を踏み入れれば、机が並んだ何の変哲もない教室が広がっている。


    <目星>

    伏黒(60) dice1d100=72 (72)

  • 107二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:38:53

    見つけられなかったか…なんか手掛かりありそうだったが

  • 108二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:41:16

    惜しいんだけど出目が高いな
    また後で調べられたらいいんだけど

  • 109125/02/09(日) 00:43:24

    しかし流石廃れた小学校の教室と言うべきか、伏黒が足を置いた場所はどうやら腐っていたようで、そのまま床板を踏み抜き、前のめりになってつんのめって机を額にぶつけることになる。

    ゴン、と良い音が響き伏黒の視界に星が散った。(HP:15→14)


    「ッ!」


    しかし怪我の功名と言うべきか、慌てて着いた手の近くにあったくしゃくしゃに丸められた紙屑を見つける。

    それを開いてみれば「七不思議」と大きく書いてあり、下にはこまごまとした文字で内容が書いてある。

    だが一部は掠れて読めなくなっていた。


    「■■■■■」

    「■■■■■」

    「ひとの■ないピアノ」

    「りかしつのせ■せいのひみつのきんこ」

    「■■■■■」

    「■■■がとびおりるおくじょう」

    「だれもしらないななばんめ」


    「……音楽室と、理科室と、屋上か……?」


    ≪行先≫

    1.音楽室

    2.理科室

    3.屋上

    dice1d3=2 (2)

  • 110二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:44:57

    ここでもゴリっこ2号になる気か伏黒
    そこは虎杖に意志引き継がなくていいんだよ
    手がかり見つけられて良かった

  • 111二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:45:16

    怪我したけどヒントは見つけられたか
    七不思議は関わりたくないな…でも見に行かないとな
    少し読める部分的には他よりはあんまり悪くないか?

  • 112125/02/09(日) 00:46:11

    何かの手掛かりになるならばと、伏黒が理科室へと向かえば当時の備品がそのまま放置されているらしく、ホルマリン漬けのカエルや何かの卵のようなものがガラス瓶の中に浮いている。教卓の上には書類が積み上がっているようだ。


    まずはと教卓に近付いてみれば、代々この部屋の管理を行っていた教師の名簿が残されているらしい。


    「……こんな所に置いたままにするなよ」


    個人情報の放置、駄目絶対である。

    まあ廃校に忍び込むのも似たり寄ったりのアウト行為ではあるのだが。


    <アイデア>

    伏黒(85) dice1d100=52 (52)

  • 113二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:47:56

    まぁこの場合は危機管理薄くて助かる
    情報は貴重だからな

  • 114125/02/09(日) 00:48:51

    伏黒は名簿の中に最新のものとして「久藤道久」という名前を見つけた。

    五条が口にしていた名前であり、もしかすると先程見つけた日記の書き手。

    ならばこの理科室に何かあるのではないかと、伏黒は更に部屋の中の探索を進める。


    よく分からない薬品が所狭しと並べられている薬品棚には特有の圧がある。


    「五条先生はこんなことを宿題として俺にさせたかったのか……?」


    <幸運>

    伏黒(75) dice1d100=73 (73)

  • 115二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:50:18

    ギリギリ伏黒は幸運だった!
    この宿題の先には何があるんだろうな…また3人いたりしないかな

  • 116125/02/09(日) 00:50:54

    伏黒は薬品棚の中にひとつだけ錠前で鍵がかけられている金庫を見つける。

    錠前はアルファベットで入力する形式で11文字の入力が必要な厳重なものだ。


    「11文字……」


    しかし今の伏黒には思い浮かぶ暗証番号はない。

    この部屋に久藤道久が関わっているのならば尚更開けておきたいが、分からなければ開けることは難しい。


    「他の場所に手掛かりがあればいいが」


    ≪行先≫

    1.音楽室

    2.屋上

    dice1d2=2 (2)

  • 117125/02/09(日) 00:52:19

    先に屋上、つまりは唯一の屋外を見ておこうと伏黒が上に向かう階段を登れば、ぱたぱたという軽い足音と複数の子どもがはしゃぐような声が聞こえてくる。

    見渡しても子どもの影も形もない。


    「……ゾンビじゃないだけまだマシか」


    それが強がりなのか本音なのか、どちらだったのだろうか。


    <SANチェック>0/1

    伏黒(53) dice1d100=44 (44)

  • 118二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:53:27

    久藤道久止めろってことは
    事件の首謀者なのか?
    多分子供に先立たれ道踏み外した
    恐らく五条たちの蘇生にも絡んでるのかな?

  • 119二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:53:46

    子供?まさか飛び降りる云々関係だったりする?
    どっちかに何かがあるのかな
    どっちもかもしれない

  • 120125/02/09(日) 00:55:49

    階段を上り屋上へと続くドアを開ければ赤黒い雲が渦まく空の下、一人の少年が屋上のへりに佇んでいた。

    ここにきて初めて出会う自分以外の人間だ。


    「おにいちゃん、危ないよ。こんなところで……あれ、見える?」


    指差したその指の先には裏山があった。

    その中腹から赤黒い雲が噴出しているのが見える。

    その場所には見覚えがあるだろう。

    なぜならそこは先ほどまで虎杖たちと共に花火を見ていた神社があるあたりだったからだ。


    「あれを止めなくちゃ。でも僕はなにも出来ない、くりかえすことしかできないんだ」


    何を、と問う間もなくその小さな身体は闇の中に紛れる。

    どしゃり、と音がして、頬を生ぬるい空気が撫でていく。

    咄嗟に下を覗きこめば、想像した通りの凄惨な光景が広がっていた。


    <SANチェック>1d3/1d6

    伏黒(53) dice1d100=95 (95)

  • 121二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:57:09

    伏黒さんあなた一人なんだから
    SAN値気を付けてもらわないと
    本当に今回相性悪いな

  • 122125/02/09(日) 00:57:14

    ≪SAN減少≫

    伏黒 dice1d6=5 (5)


    人が目の前で死んだ。

    ぐちゃりと潰れて、まるで泥のように。


    「……ッ」


    ガンガンと耳鳴りがする。

    違う。これは違う。これは――――アイツらじゃない。

  • 123二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:57:36

    伏黒のSANチェック数値が高え!
    これワンチャンどころか大体発狂するのでは…

  • 124二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:57:53

    またゴリっと減ってるな
    大丈夫かな

  • 125二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 00:58:47

    ああ…あの3人の死に際みたいに見えてるからゴリッと減った
    不定ラインまで大分近付いて来たな

  • 126125/02/09(日) 01:00:37

    <一時的狂気チャレンジアイデアロール>失敗で発狂

    伏黒(85) dice1d100=34 (34)

  • 127125/02/09(日) 01:01:14

    ≪一時的狂気内容≫

    1.短期の一時的狂気([ dice1d10=6 (6) +4]戦闘ラウンド)

    2.長期の一時的狂気([ dice1d10=9 (9) ×10]時間)

    dice1d2=1 (1)

  • 128125/02/09(日) 01:01:52

    ≪一時的狂気内容≫10ラウンド

    1.気絶あるいは金切声の発作

    2.パニック状態で逃げ出す

    3.肉体的なヒステリーあるいは感情の噴出(大笑い、大泣きなど)

    4.早口でぶつぶつ言う意味不明な会話あるいは多弁症(一貫した会話の奔流)

    5.探索者をその場に釘付けにしてしまうかもしれないような極度の恐怖症

    6.殺人癖あるいは自殺癖

    7.幻覚あるいは妄想

    8.反響動作あるいは反響言語(探索者は周りの者の動作あるいは発言を反復する)

    9.奇妙なもの、異様なものを食べたがる(泥、粘着物、人肉など)

    10.昏迷(胎児のような姿勢をとる、物事を忘れる)あるいは緊張症(我慢することはできるが意思も興味もない;強制的に単純な行動を取らせることはできるが、自発的に行動することはできない)

    dice1d10=6 (6)

  • 129二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:01:58

    発狂しちゃった!
    やっぱり死は今の伏黒には辛かったか

  • 130二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:03:01

    アカンよりによって殺人癖か自殺癖!!?!
    スレ主どうしてよりによってここで…!?

  • 131125/02/09(日) 01:03:37

    ≪狂気内容≫

    1.殺人癖

    2.自殺癖

    dice1d2=2 (2)

  • 132二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:03:59

    うわ最悪引き当てた
    伏黒こら!正気に戻れ!

  • 133125/02/09(日) 01:04:28

    虎杖!!釘崎!!五条!!!!助けて!!!!!!!!!!

  • 134二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:05:22

    本当にアカン奴引いたよ伏黒!!!
    この屋上だぞ何致命的なのやってんだ!!!!!
    誰か助けてくれ!!!

  • 135二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:06:30

    スレ主多分頭抱えてるな

  • 136125/02/09(日) 01:06:52

    伏黒は今、屋上の柵から身を乗り出して下を見てるんだよなぁ……

  • 137二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:07:56

    ス‥スレ主何とかチャンスもらえませんかね

  • 138二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:08:47

    そうだよね!今屋上で覗いたんだよね!?
    まさに狂気による自死実行パターン可能状態だよ!!
    なんだろうKPシリーズ最終みたいに致命場面で致命ダイスしたみたいな感じになってる気がする

  • 139125/02/09(日) 01:20:01

    「…………あ、ぁ」

    小さく零れたその声はまさしく狂気の発露だった。
    頭の中にガンガンと鳴り響くのは、誰かの声。

    『死.ねよ』

    鼓膜を震わせるのではなく、心が震えた。
    直接心臓を鷲掴みにされ、そのまま握り潰されるかのような。

    『さっさと死んじまえ』

    伏黒を責める声が響く。
    それらはどんどんと声量を増していき、その声以外が何も聞こえなくなっていく。

    『なんで、お前が生きてるんだ』

    なんで、だろうか。

    『お前が守って貰うばかりで、弱かったからだろ。五条先生を巻き込んで、虎杖も巻き込んで、そして釘崎まで』

    責める。責める。責める。
    そして、ふと気付く。

    『お前が死.ねば、こんなことにはならなかったのに』

    伏黒を責めているのは、この声は、伏黒自身だった。

  • 140125/02/09(日) 01:20:35

    「……そうだ」


    その声は普段ならば馬鹿らしいと、そうでなくとも否定出来ただろう。

    だが視界の中、泥のように潰れて広がるそれを見て伏黒は思い出さざるを得なかった。

    ――――友が泥となって死んだ、その残滓を。


    「俺が、死.ねばいい」


    そして自分が死.ねば、再びあの温かさに触れられるのなら。

    それは一つの救いだと、伏黒は気付けば微かに笑っていた。


    「……今行くからな」


    <STR×5>

    伏黒(70) dice1d100=47 (47)


    <DEX×5>

    伏黒(75) dice1d100=65 (65)

  • 141二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:22:15

    はー待て待て待ってくれ
    ここで両成功は駄目なんじゃないか伏黒

  • 142二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:23:34

    ダイスくん??
    うわもうこれ駄目か??

  • 143二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:24:38

    おかしいなこのシナリオロスト低だよね?
    何故急にロスト一直線ルートが見えてきてるんだろう

  • 144二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:25:44

    そんな…

  • 145125/02/09(日) 01:28:08

    屋上を囲むように存在する柵を伏黒は乗り越える。

    小学校に設置されたものと言うこともあり、然程の手間にはならない。


    足をかけ、自らの身体を引き上げる。

    そうすれば伏黒は先程の少年が立っていた屋上のへりまで辿り着いた。

    染みのようになった先程の痕跡のほぼ真上に、伏黒は立った。

    自らを責める声が一層その煩さを増し、伏黒の体を突き動かす。

    あと一歩、足を踏み出せば向こう側。


    漸く楽になれると、これでもう一人ではないと。

    停滞した時間から抜け出せると、伏黒が今まで抑圧してきた感情が息を吹き返して歓喜する。


    「……あぁ、これで」


    おしまいだ、と。

    その時だった。

    なんかが落ちる。それはボストンバッグから零れ落ちたもの。

    落ちて落ちて落ちて、そうして地面に叩きつけられて耳障りな音を立てる。

    どうしてか、その音だけは自分自身の声よりも大きく聞こえた気がした。


    <POW×3>

    伏黒(45) dice1d100=98 (98)

  • 146二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:28:55

    もう駄目ですね・・

  • 147二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:29:36

    伏黒ー!!!?!!
    駄目だもうあの3人の会いた過ぎてどうにもならない奴だこれ!!!!
    ダイスが重ねてきた!!!

  • 148二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:32:29

    いやだ久々のバットエンドになっちゃうの?

  • 149二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:35:37

    伏黒今回POW関係でファンブルの2回目だよ
    1人に戻りたくないってダイスでずっと主張してるよ

  • 150二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:35:58

    伏黒ー!別れる前の3人の言葉を思い出せ伏黒ー!

  • 151125/02/09(日) 01:37:38

    ボストンバッグから零れ落ちたのは伏黒がくじ引きで当てた水鉄砲だった。

    一足先に伏黒に別れを告げたそれは校庭に散らばる。

    虎杖が当てようとして当てられなかったもの。

    その虎杖が当てたのは釘崎の当てようとしたもので。


    あぁ、そうだ。欲しいものは簡単には手に入らない。

    だからこそ自分で動くしかないのだと、伏黒は知ってしまっていた。


    ≪???≫

    dice1d3=3 (3)

  • 152125/02/09(日) 01:39:01

    <???>

    ???(90) dice1d100=75 (75)


    <???>

    ???(90) dice1d100=53 (53)

  • 153二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:39:40

    なんだ?何のダイスだ?
    あとダイスくんちゃんもう少し優しくお願いします

  • 154125/02/09(日) 01:40:06

    <???>

    ???(65) dice1d100=61 (61)

  • 155二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:40:40

    あの3人に助けて!したかな?
    数値的には成功値に見える

  • 156125/02/09(日) 01:42:04

    <???>

    ???(65) dice1d100=54 (54)

  • 157二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:42:59

    ここにきて嘘みたいに成功してるな?

  • 158二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:44:12

    なんだろう何バトルが起きてるんだろう

  • 159二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:46:28

    このキリキリ胃が痛む感じ
    久しぶりだなスレ主が色々考えてくれてるのはわかる

  • 160125/02/09(日) 01:48:03

    屋上の縁から足先が飛び出す。

    本来ならば高所からの落下は本能的に恐怖を覚えるものだ。

    しかし今の伏黒に恐怖はなかった。


    温かな気持ちで、まるでただ家に帰るかのように、伏黒がもう一歩を踏み出し、そして体を宙に放り投げ――――。


    その体を一人の人物が無理矢理に屋上へと引き戻した。

    そして屋上の縁ギリギリで二人して倒れ込み、無理矢理襟首を掴んで伏黒の頬を思い切り叩こうとする。


    「この馬鹿、何やってんだ……!」


    そこに居たのは神社で別れたはずの、五条だった。


    <こぶし(パンチ)>

    五条(50) dice1d100=8 (8)


    (因みに人物決め1d3→STR×5→DEX×5→DEX対抗→STR-SIZ対抗でダイス振ってたよ)

  • 161二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:49:16

    五条先生!!ありがとうございます!!
    本当に最後の最後助かったあああああああ

  • 162二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:49:41

    よ…よかったー!!!全成功して良かった!!
    これ1つでも失敗してたら駄目だった奴ですね?
    そして五条怒りのパンチクリ手前

  • 163二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:52:09

    最後ギリギリだったもんないや本当紙一重
    延々と説教してください五条先生
    多分一つでも失敗だったらもうアウトだったよね
    スレ主にも温情感謝です!

  • 164125/02/09(日) 01:52:34

    伏黒の頬には良い一撃が入る。

    バシンと音を響かせ、そして頬が薄らと赤く染まった。


    「ねぇ、何しようとしてたの」


    珍しく五条は額に汗を浮かばせていた。伏黒が自らの意思で死を選ぼうとしたことも、五条は理解していた。


    「死んで逃げられるだなんて思うなよ、恵」


    ともなれば死を望む人間にはキツ過ぎる一言だ。

    だが五条は伏黒がそれを乗り越えられると信じていた。


    「僕が言えることじゃないけどさ、――――死んだって良いことなんて一つもないんだよ」


    頼むから思いとどまってくれと、五条は伏黒の襟首を掴んだまま、そう言った。


    <POW×3>

    伏黒(45) dice1d100=93 (93)

  • 165二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:53:20

    うわ伏黒精神ズタボロやん
    ファンブル手前は怖いよ

  • 166二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:54:09

    駄目だ五条の言葉でもファンブル手前だ
    伏黒別れのあの時のファンブルからひたすら置いていかれたくない気持ちが強過ぎるな

  • 167二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:56:04

    これは相当一人で置いていかれたのが寂しかったな
    3人がいなくなってからSAN関係ボロボロだもんな伏黒

  • 168125/02/09(日) 01:57:33

    ――――しかし五条の願いも、祈りも、言葉も、今の伏黒には届かなかった。


    そもそも、伏黒は五条のことを見ていなかった。

    理性があまり感じられないぼやけた目で、伏黒はぽつりと呟く。


    「もう、いやなんです」


    子供の泣きごとのような、そんな響きがそこにはあった。


    「夢から目覚めて、あぁ夢だったなんて思いたくないんです」


    伏黒恵は夢を見る。

    有り触れた日常の夢を、怖い夢を見ただなんて夢を。

    そんな夢から何度目覚めたことだろう。

    あの死が本物だと突き付けられたことだろう。


    「だからもう、これでいいんです」


    死者の言葉は生者には届かない。

    何故なら五条こそが、虎杖が、釘崎が、伏黒をここまで追い詰めてしまった原因なのだから。


    <DEX対抗>

    伏黒(15-18,35) dice1d100=18 (18)

  • 169二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:59:12

    何で!ここで成功しちゃうんだよ!!

  • 170二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 01:59:32

    嘘だろDEX3割なのによりによって成功して振り切った
    今回のダイスなんかバッドエンドをお望みなんですか?やめましょうよ…

  • 171二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:00:12

    ダイスがもうひたすら一緒に行きたがってる…

  • 172二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:02:13

    スレ主ダイス一回浄化しよう?

  • 173125/02/09(日) 02:02:39

    動揺した五条の手が緩んだその一瞬、伏黒は拘束から抜け出した。

    五条が万全の状態なら、そのようなことは起きなかっただろう。

    ただ自分が命を救ったはずの生徒の、その心までは救えていなかったのだと知った五条にとっても衝撃ではあった。

    こんなことになるならば会いに行かなければよかったのかもしれないと、そんなことが脳裏に過ぎる。

    五条が信じていた伏黒の強さがその優しさにこそ蝕まれていたとも知らないで。


    五条は、そして虎杖は釘崎は。伏黒共には生きられない。

    ならば、と。五条は迷う。迷ってしまった。


    <POW×3>

    五条(54) dice1d100=50 (50)

  • 174二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:04:04

    なんだろうな亡失の彼みたいになんかもういいんだ状態なんだよな
    しかし五条良かった迷ってもギリギリ生存を願ってくれた形だよねこれ

  • 175二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:04:31

    よ‥よかった!!今度は成功した
    あれこれロスト率低いんだよね??

  • 176125/02/09(日) 02:09:39

    迷ったのは認めよう。

    だがそれでも五条は、生きる上での傷も痛みも苦しみも、その全てを伏黒に乗り越えて欲しかった。

    それが死者のエゴだとしても、五条悟という男のエゴだとしても、それでも。


    「これで良いはずが、ないだろ!!」


    自分を奮起するためにも五条は叫び、再び手を伸ばす。


    「何度嫌がっても、何度苦しんでも、何度痛んでも。まだ間に合うなら僕は何度だって手を伸ばしてやる!!」


    やはりこれはエゴだ。エゴでしかない。


    「僕は、お前の先生であることを止めた覚えはないんで、ねッ!!」


    ――――しかし、人間はエゴがあるからこそ生きていけるのだ。


    <STR-SIZ対抗>これが終われば伏黒の発狂は終了

    五条(18-15,65) dice1d100=12 (12)

  • 177二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:11:55

    成功した!これでもう安全だよね?落ち着いたよね?

  • 178二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:12:01

    五条先生ありがとう…先生であってくれてありがとう…!!!
    短期発狂でよかったねこれ!!!短期でこれなら長期だったらどうなってたんだろうってふあんになるよ

  • 179二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:12:10

    よ・・よかった
    五条先生本当に教師が天職だよ
    助かってよかったあああああああ

  • 180二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:15:01

    伏黒寂しさ分かち合う相手いなかったんだろうな
    一人で耐えて会えると思わなかった人たちにあえて
    弱いとこ付かれちゃったのかな

  • 181125/02/09(日) 02:19:16

    再び五条は伏黒を捕まえ、そしてそのまま屋上の柵の内側へと放り投げる。

    馬鹿力が成せる業、ただの腕力だけではなく技も尽くせば不可能も可能になる。

    結果的にそれなりの高さから落とされたことになった伏黒はその痛みもあって、冷静に返る。


    「い゛……ッ」


    ろくに受け身も取れなかったこともあり、伏黒はその痛みに悶える。

    しかしそれもつかの間、自分が先程までしていたことを思い出してガバリと顔を上げようとした、その時だった。


    「恵、振り返らずに屋上から出て」


    五条の声が少しの距離を保ったまま、聞こえてくる。


    「隠し事してもしょうがないから言うけどさ、僕は今ちょーーーっと無理したせいで限界が来る。先生としてはね、生徒にこういう姿を見せたくないからさ。――頼むよ、恵」


    どこか五条らしくなくもあり、五条らしい声でもあった。


    「それは……」

    「一つ言うなら、これは恵のせいじゃないよ。元々マズってたのは僕の方だから。それなら使うべきタイミングで使うべきだろうって、そう思っただけ」


    聞き慣れないような音が五条の声の合間に聞こえてくる。顔を上げられずにいれば、五条は笑った。


    「ほら、行きな。僕に少しでも申し訳ないって思うなら、こんな馬鹿な真似は二度としないって約束してよ」


    五条の声が段々聞こえ辛くなっていく。何が起きているのかはっきりとは分からないが、五条が自分に見せたくない何かが起きているのだろうということは分かる。


    「行け、恵!!」


    <POW×3>

    伏黒(45) dice1d100=87 (87)

  • 182二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:20:08

    伏黒さんまだ立ち直ってない‥

  • 183二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:20:55

    伏黒もうどうなっても3人の誰からも離れたくないんだなって…

  • 184125/02/09(日) 02:21:01

    しかし伏黒は耐え切れず、顔を上げた。

    五条の声が聞こえてきた方向に視線を向ければ――――


    「え……?」


    そこには誰も立っていなかった。


    <聞き耳>

    伏黒(55) dice1d100=73 (73)

  • 185二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:21:57

    聞きそびれたか
    見せなかったのは先生の意地かな
    伏黒も覚悟に応えないとね

  • 186二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:23:04

    ああ…もう五条は本来出ない方がよかったのに無理して出てきてくれたんだろうな
    伏黒なんかもう成功しなくなってきたな

  • 187二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:26:11

    しかしダイスが意志あるように悪い方に転がるの
    凄いなもう3回ぐらい駄目かと思った

  • 188125/02/09(日) 02:27:13

    五条の姿もなければ、五条の声も聞こえない。
    伏黒は辺りを見回せど、すっかり消えてしまったかのように五条はどこにも居なかった。

    「五条先生……」

    自分の無力さと、情けなさに歯噛みする。
    自分を追い立てるかのような、死ななければという強迫観念と甘き誘いは既に遠のいていたが、それでもあの時の自分の思考も理解出来てしまう。

    ここで自分が折れれば、五条は何と言うだろうか。
    それはもう考えずとも、すぐに頭に浮かんでくる。

    「やりますよ。やればいいんでしょう……!」

    最後の宿題なのだ。あの五条が出した、最後の。

    「……くそ、なんでアンタはこういう時だけ」

    そう呟いて伏黒は屋上から出ていった。
    だからこそ彼は気付かなかった。

    ――――校庭に広がる惨劇の痕が、もう一つ増えていたことに。
    ぶじゅりと、肉塊が蠢く。それも暫くすれば、静かになっていた。

  • 189二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:29:24

    五条…見せない為に飛び降りたのか
    悲しいな
    伏黒もうマジで次は止めてくれよなロスト低で死ぬスレ主らしい結末を迎えるかと思ったよ

  • 190二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:29:49

    見せないように飛び降りたのか
    五条先生‥

  • 191二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:29:50

    今回全体的にダイス運怪しいからこの時ロストしといた方がマシだった展開にならないことを祈る

  • 192二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:32:45

    昨日のブルースターズと同じく登場人物は少なくなった筈なのに昨日よりも明確にファンブル増えてるから怖いよな

  • 193125/02/09(日) 02:33:20
  • 194二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:34:38

    たておつ
    伏黒もう不定まったなしで草も枯れる
    ここから入れる保険はありませんか?

  • 195二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:34:59

    スレ主ありがとうございます
    不定までまっしぐらやんけ!!
    もう6引くな

  • 196二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:36:37

    これって今後もう五条による救済はないってことだよね?シナリオが後どのくらいの長さあるかわかんないからアレだけど1スレ目で1番ステ高い五条を失ったの結構やばくないですか…

  • 197125/02/09(日) 02:38:18

    本当は屋上でのイベントもうちょいあるんだけど、ここは最悪なくてもどうにかなる!と屋上から出すことを優先したスレ主だよ
    もう伏黒に屋上でダイス振らせたくない

    因みにこれはKPC複数いることによる無茶だから、本来のシナリオに想定されていることじゃないよ

  • 198二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:39:10

    伏黒がどれだけ持ち直すかだよな
    ああやっぱり温情でしたか
    伏黒はもう屋上近寄るな

  • 199二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:39:44

    KPCだからできた無茶ってことか…スレ主色々して伏黒を助けてくれてありがとうね

  • 200二次元好きの匿名さん25/02/09(日) 02:40:06

    ごめん伏黒
    正直愉悦部としてはめっちゃ楽しい

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