【閲注TRPG】餞-はなむけ-【CoC×植物トリオ+順平】

  • 1125/02/13(木) 21:29:33

    このスレは虎杖と伏黒と釘崎と順平をPC+NPCとしてクトゥルフ神話TRPGを回していくものだよ
    閲覧注意は発狂した時やグロテスクな描写があった時用だよ

    原作軸ではなく一般人(?)設定。そのため関係性や雰囲気などが異なる可能性があるよ
    今回は新規キャラシ、高校三年生の四人。順平は二年時に留年して、その結果三人と学年が同じになっている設定だよ

    今回はさくらさま作成シナリオの『餞-はなむけ-』をお借りしてるよ
    シナリオのネタバレを大いに含むので注意してね。既にシナリオを知っている人は先の展開のネタバレはやめてね
    スレの頭で🎲振って、当たった人がNPC枠で残りの三人をPCとしてシナリオを回すよ

    PCのロスト率は低~中、発狂率はそこそこ

    2月28日、卒業式前日
    「また明日」と言って別れる日々は今日でおしまい
    今まで当たり前だったものが次々と終わりを迎えていく

    手を振り合ってさよならをして、ほんの少しの寂しさと、未来の期待を胸に春を迎える――――はずだった

  • 2125/02/13(木) 21:29:49
  • 3125/02/13(木) 21:30:03
  • 4125/02/13(木) 21:30:18
  • 5125/02/13(木) 21:31:01

    ≪NPCポジは誰?≫

    1.虎杖

    2.伏黒

    3.釘崎

    4.順平

    dice1d4=2 (2)

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:34:35

    わーい待ってましたたておつ!
    NPCは伏黒か…これがどう影響するのか楽しみだな
    PCとしての順平も楽しみだな

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:36:48

    こうゆうの大体伏黒やなw………

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:38:04

    伏黒がNPC枠か
    どうなるか楽しみです

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:40:42

    立て乙です

  • 10125/02/13(木) 21:41:13

    2月28日、卒業式前日。

    15時を少し回った放課後の教室は人もまばらで、卒業前の最後の一日を惜しむように談笑する声が響いている。

    四人。虎杖と釘崎と順平、そして伏黒は机をくっつけ合い、トランプゲームをしていた。

    今やっているのはババ抜きであり、無表情に勤めている伏黒の手札からは一つのカードが飛び出している。

    駆け引きのための偽者なのか、更に裏をかいて本物なのか。

    周囲のクラスメイトは四人が騒ぎながらババ抜きをやっているのをいつものことだとでも言うように、特に気にした様子もない。


    「……引かないのか?」


    しれっとした顔でそう言うも、伏黒の持っているカード数は四人の中で誰よりも多い。

    このままでは負けてしまうかもしれないが、自分は負けても別に良いですが?といった雰囲気を醸しながらも、意外と負けず嫌いな所がある伏黒は負ける気は毛頭なかった。


    ≪順番決定🎲≫

    1.虎杖

    2.伏黒

    3.釘崎

    4.順平

    dice4d4=2 3 2 2 (9)


    被ったら

    1.+1 2.-1

    dice1d2=1 (1)

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:42:33

    伏黒釘崎順平虎杖か
    勝てるのかこれは…?

  • 12125/02/13(木) 21:44:29

    「見え見えの罠なんかにこの私が嵌まるワケもないでしょ!」


    ふふん、と笑った釘崎は伏黒の手札から飛び出した一枚、ではないものを選び取る。


    <幸運>

    釘崎(80) dice1d100=41 (41)

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:44:53

    おっ普通に罠回避してそう

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:46:55

    上手くかわしたな

  • 15125/02/13(木) 21:53:11

    釘崎が選んだものはジョーカーではなく、数字札であった。

    そして見事に手札を揃え、場に捨てる。

    心なしか伏黒は眉を顰めているように見えた。


    「どうせジョーカー持ってるのアンタなんじゃない?でなきゃこんなわざとらしいことをする必要ないし」


    釘崎がそう言えば、同じように手札の内の一枚を飛び出させていた虎杖が「エッ」と声を上げる。

    それを順平が「まあ、悠仁はね……」と誤魔化すように言っているが、性格や知能による作戦の差の指摘ということなのだろう。

    虎杖がどっちのせいで"ない"と判断されたのかは敢えて言わないでおこう。


    「どうだろうな。そう言うオマエが持ってるんじゃないのか?」

    「そうだとして素直に持ってるだなんて言うわけないじゃない。……ほら、吉野。次はアンタよ」


    釘崎は奇抜なことをせずに、手札を広げて普通に持っている。その中から順平は一枚を選び取った。


    「僕も負けはいられないな」


    <幸運>

    順平(55) dice1d100=11 (11)

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 21:54:45

    ちょっと低めの幸運だな順平
    しかしらくらくと避けていった

  • 17125/02/13(木) 21:58:56

    そして順平が引いた一枚によって無事に揃ったようで、同じ数字を合わせて山場に捨てる。

    少しずつ枚数を減らしていけば、尚更伏黒の手札の多さが目に付いた。


    「よし!」

    「これも私のおかげね」

    「なんでだよ」


    そして次は一枚だけ飛び出させていたのを元に戻した虎杖だ。

    虎杖の方へと向き直った順平はごほん、と咳払いをしてその時を待つ。


    「あれ、治しちゃったの?」

    「意味ないって言われたしさ……」

    「うーん、別に良いと思うけど」


    そうは言っているものの、そもそも虎杖が引かせるのは伏黒だ。

    本当に伏黒がジョーカーを持っているのだとすれば、この世で一番無駄な駆け引きのようなものとなってしまう。


    「うっし、俺もこれで……!」


    そうして虎杖が順平の手札から一枚を選び取った。


    <幸運>

    虎杖(80) dice1d100=44 (44)

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:00:17

    このレスは削除されています

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:00:50

    皆順調だな伏黒の負けかな

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:00:56

    皆運がいいな
    いきなり皆で出目荒れ荒れになるよりは全然いい

  • 21125/02/13(木) 22:06:19

    虎杖も順平から引いたカードで手札が揃ったらしく、「やりぃ!」と言いながら手札を捨てていく。

    これで伏黒を除く全員が手札を減らした、というワケだ。


    「順平よりも先に上がるのは俺!」

    「私よりも手札多いくせに何言ってんのよ」

    「いーや、まだ勝負はここからだぜ!」


    枚数の多さは伏黒が断トツで多く、その次は虎杖、一枚差で釘崎、しれっと一番手持ちが少ないのは順平である。

    これは敢えて黙っておいた方が良いだろうな、と順平が特に言及せずに「あはは」と誤魔化すように笑っていれば、伏黒が「おい」と虎杖に声を掛ける。


    「早く引かせろ」

    「まだ伏黒サンは勝負を諦めてない感じで?」

    「そんなに足手纏いを多く連れて何が出来るって言うのかしら?」

    「順平さまと張り合うには身の程が違い過ぎましてよ!」

    「なんで二人は急に悪役令嬢みたいになってるの……?」


    いつもの馬鹿騒ぎ。怒る教師も居なければ盛り上がる一方だ。


    「チッ、まだ負けたわけじゃないだろ」

    「それは無理あると思うぜ?」

    「早くしろ」


    実際、頑張ればここからも逆転は出来るだろう……多分。

    ともあれ、伏黒が虎杖のカードを引き、次は釘崎が引き、と順々に巡っていけば……。


    ≪ババ抜き上がり順≫小さい人から上がる

    虎杖 dice1d100=1 (1)

    釘崎 dice1d100=90 (90)

    順平 dice1d100=73 (73)

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:07:23

    虎杖ここで1クリか
    釘崎が最後まで残りだな

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:08:01

    虎杖1クリで草
    めちゃくちゃ爆速であがっていったわ
    釘崎が3人だと最後かな?

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:16:05

    順平と釘崎、伏黒ってどんな関係性なんやろ

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:16:59

    虎杖は引いたのが全部ペアになるやつだったのかな

  • 26125/02/13(木) 22:16:59

    最後まで勝負は分からないとはよく言ったもので、決して枚数が少なかったわけではない虎杖が毎度綺麗に手札を捨てていき、そして最後の一枚を持ったまま順平の手札を引いて、そしてガッツポーズする。

    「よっしゃあ!!」

    バァン、と山札の上に揃っていたのはAのカード。

    「イカサマよイカサマ!!」

    逆に一枚も手札を減らせていない釘崎がバシバシと机を叩くも、「俺がイカサマ出来る頭あると思う!?」「ないわね」なんて悲しい会話をしていた。
    そして次に上がったのは順平で、「あ、揃った」なんて声を上げながら場に捨てれば釘崎が「アンタもか……」と据わった目で見ている。
    もはや伏黒は先程から溜息と舌打ちしか零しておらず、手札もあまり減っていない。

    「こうなれば……一騎打ちね」

    そう言いながら釘崎は一つゆっくりと息を吐き、自らの手札の内の一枚を飛び出させる。
    だが彼女の手札にはジョーカーはない。

    「……なぁ、順平。あれって意味ねぇんじゃねぇの?」
    「そうだけど、気分ってヤツなんじゃないのかな」

    既に上がった二人が好きかって言っている中、釘崎は一切の迷いなく伏黒の手札を引く。そして同じように伏黒も引き、と淡々と勝負は進んでいく。

    そして伏黒が二枚、釘崎が一枚となり、カードを引けば――――。

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:18:51

    まあ1クリはイカサマ並だよね
    でもそんな頭ないという悲しい会話してるの笑うわ

  • 28125/02/13(木) 22:23:24

    「ふふっ、ざまぁないわね!!」

    釘崎の手元には二枚揃った数字カードが。そして伏黒の手元にはたった一枚、ジョーカーだけが残っている。

    「………………くそ」

    ぼそりと呟かれたその声は小さかったものの、相当悔しそうではある。
    しかし数瞬後、伏黒は机の上に山となった上がり札を手元に集め、シャッフルを始める。

    「次だ次」
    「負け犬がよく吠えるわね」
    「釘崎さん、今やってたのただのババ抜きだよね……?」

    いつものテンション、いつもの会話、いつもの雰囲気。
    卒業式の前日であろうとも何ら変わることがない。
    遊び疲れるまで遊んで、ふざけ倒して、高校生活の最後の一瞬まで楽しみ尽くす。

    リベンジとばかりに行われた二回戦、そして三回戦四回戦と、たかがババ抜きされどババ抜き。

    ――――しかし残念、この日、伏黒が勝てることは一度もなく、なんどもジョーカーとの対面を果たすことになった。

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:24:18

    伏黒が負け続けるとは珍しそうだな

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:25:08

    得意そうだよなこういう遊び

  • 31125/02/13(木) 22:37:30

    あまりにも伏黒の負けが続くので、勝ち誇るというターンを超えてどこか同情まで湧き出しつつも、「もう一回だ」と若干キレながらもそう言った伏黒に付き合う形でラストの戦いが始まっていた。

    「ホント、明日が卒業式だって忘れそうよ」

    釘崎がそう言えば、「そうだね」と順平も相槌を打つ。

    「去年、同級生だった皆を見送った時には正直なんとも思わなかったけど、今は明日が来るのが楽しみなような、寂しいような、不思議な気持ちだよ」

    順平は虎杖伏黒釘崎の三人よりも一つ年上である。
    校内で起こったとある事件をきっかけに顔に怪我を負った順平は約半年間の休学のせい留年し、彼らと同じ学年になった。
    その時には虎杖が中心に大いに暴れたのだが、所謂過激ないじめとその報復、もとい対応。
    それから虎杖の一番近くに居る友人たち、伏黒と釘崎ともこうして話したり遊んだりするようになってから、一年半。
    長いようで短くて、短いようで長かった。
    ――――彼らと出会う前の学校生活の記憶が朧気になり、どこか同級生を見下していた順平に今やその頃の斜に構えた雰囲気はない。
    年相応か、もしくは少し幼げな顔で笑う様子は陰を感じさせないものだ。

    「自分が参加しない卒業式なんてつまらないに決まってるじゃない」

    そうは言いつつも、釘崎は去年の卒業式で敬愛する先輩を送り出す時に泣いていたりもするのだが、それを指摘すればとんでもないことになるので男共は全員口を噤んだ。正しい判断である。

    「でも実際、なんで卒業式ってあんなに『泣け!』みたいな雰囲気になるんだろうな」
    「練習の時に泣いてたな……歌姫先生」
    「皆『教師が泣く?』って微妙な雰囲気になってたよね」
    「それをうちのゴジョセンが揶揄って、途中から笑ってはいけない卒業式になってたわよね。とんだとばっちりよ」
    「五条先生って卒業式とかで泣くと思う?」
    「泣かないだろ」「泣かないわよ」「泣かないんじゃないかなぁ」
    「だよなぁ」

  • 32二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:39:12

    泣かないだろうな
    晴れやかな顔で笑ってそう

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 22:39:34

    歌姫先生が卒業前から泣く先生なのなんか理解できるな…絶対慕われてるし先に感極まりそう

  • 34125/02/13(木) 22:57:05

    体育祭然り、文化祭然り、過ごして来た時間分の思い出がある。
    体育祭で釘崎が騎馬戦の女王として君臨したり、文化祭の焼きそば屋台で歴史に残る程の売り上げを出したり、修学旅行の時に現地の不良と大乱闘を繰り広げたり。
    割とそこそこの問題児でもあった彼らの思い出を語れば、自動的に問題行動も上げることになってしまう。
    それらも全て、今となっては良い思い出なのだが。

    「あ、上がりね。はい終わり、もうこれで最後!これ以上やるならアンタが泣きながら焼き土下座しない限りは絶対に嫌よ」

    もう勝利の感動すらないらしく、釘崎は最後の二枚を机の上に置く。
    やはり負けたのは伏黒であり、なりふり構ってられなくなったのか伏黒は大きな舌打ちをした。

    「……で、結局なんだっけ?コンビニでジュースとお茶とコーヒー奢ってくれんだっけ?」
    「なんで飲み物だけなのよ」
    「条件を飲んだのって釘崎さんだったと思うけど」
    「なに?文句あるわけ?」
    「ないないない。全然ないから!!」

    泣きの一回と言う名のワンモアチャンスの代わりに生贄に捧げられた飲み物たち。
    せめてお菓子なりアイスなり、飲食物であればと思ってももう遅い。
    再戦を願う伏黒も思う所があったからの飲み物オンリーなのだろうが、こうなれば本当に伏黒は人数分の飲み物セットを買うだろう。
    正直ここまで来れば重いだけで嬉しくはない。

    そしてそろそろ帰るかという雰囲気になった頃、辺りを見渡せば自分たち以外のクラスメイトは帰宅していたらしい。
    それでもテキパキと帰宅支度をするにはなんとなく名残惜しさがあり、全員がゆっくりと片付けを進める。
    重くもない机を動かすのに時間をかけて、既に荷物を纏めているのに鞄の中を確かめて、と。

  • 35二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:00:29

    わちゃわちゃ好きだなあ
    ここから何が起きるんだろう…

  • 36125/02/13(木) 23:02:05

    そんな時だった。

    「あーもう、最後まで問題児を貫く気?担任として情けないやらなんやらだよ……」
    「思ってもないこと言ってんじゃないわよ」
    「五条先生、それまさかとは思うけどさ、泣き真似?」
    「アンタの生徒として当然のことをしたまでです」
    「あ、あはは……僕たちももうあともう少しで出ますから」

    教室に現れたのは彼らの担任、五条であった。
    苦言を呈しに来たようにも見えるが、口元は緩んでいる。

    「今日は明日が卒業式だから下校時刻が16時半でいつもより早いって言ったでしょ?やるならせめてバレないように、見つけたら怒らないといけなくなっちゃうからさぁ。学校に泊るならセキュリティのアラームが鳴る場所だけは覚えておくと良いよ。あ、地図要る?」

    なんだかとんでもないことを言われた気がするが、どんなに名残惜しくとも学校に泊るつもりなどはない。

    「要らないですよ。学校に泊るわけないでしょう」
    「え、泊まらないの?」

    実は五条は卒業式の日の前日、学校に泊り込んで卒業生の全ての教室にちょっとした悪戯を親友と仕掛けたりなどしていたのだが、閑話休題。

    「じゃあ尚更さっさと帰んな。学校から出たら後は好きにすれば良いけど」
    「それって先生が言って良いことなのかな」
    「五条先生は先生じゃないからな、大丈夫だろ」
    「確かに、そうかも」
    「さっきから聞き捨てならないことばっかりだねぇ。そんなこと言ってると明日の卒業式でどんな目に遭っても知らないよ?」
    「脅しじゃないのよそれ」

    そうこう話していれば、流石にこれ以上学校に長居するわけにはいかない。
    パパっと帰り支度を済ませ、下駄箱で靴を履き替えて帰路につく。

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:05:22

    五条達の話も詳しく知りたいよ
    どんなことしたんだろうね?
    勿論先輩達もどうたったか気になるんだよね

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:05:42

    五条と夏油問題児としての格の違いを見せつけてくるな…
    伏黒達は卒業式前日に怒られてなくてよかったね!

  • 39125/02/13(木) 23:09:20

    「それじゃあまずはコンビニね」

    伏黒が奢ってくれるらしいものを奢って貰いに、高校から一番近い場所にあるコンビニへと足を向ける。

    「あそこのコンビニもだいぶ世話になったよな」
    「馬鹿が肉まん買い占めたりね」
    「罰ゲームだし、その内容決めたのも釘崎じゃん……」

    肉まんあんまんピザまんを、ケースにあるだけ下さいと言わされたことのある虎杖はその時のことを思い出しているらしい。
    店員から「はい?」と正気を疑うかのように聞き返されたのが未だに傷になっているのかもしれないし、なっていないのかもしれない。

    「飲み物フルコースよりも私アイスが食べたいんだけど」
    「あ、俺も俺も。ついでに肉まんがあれば最高!」
    「飲み物だけにしても、僕もお茶だけで良いかなぁ」

    コンビニの中でそんなことを話していれば、伏黒が「駄目だ」と言う。
    そうすれば示し合わせたかのように全員の「えー!」という文句が響き渡り、それに「うるせぇ」と言った後、「冗談だ」と口にしながら伏黒は雪見大福をカゴに入れた。
    どうやら何か一つ、もしくは二つは奢ってくれるのだろう。

    「なら私はハーゲンダッツのクリスピー……って、売り切れじゃない。なら……チョコモナカジャンボで良いわ」
    「なら僕はアイスの実にしようかな。歩きながらこういうの食べるのちょっと苦手だし」
    「じゃあ俺は――」
    「アンタはガリガリ君で良いでしょ」
    「ソーダはもう入れたぞ」
    「ならさっさとレジ行ってきて」
    「分かった」
    「俺の意思はぁ!?」

    そして会計をする伏黒の横では「俺肉まん!」「私はピザまん」「じゃあ僕はあんまんで」なんてわちゃわちゃと注文をする。
    買い物が終わればまずはアイスを楽しむ時間だ。

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:12:14

    虎杖勝手に決められてて草
    釘崎がちょっとお高いの最初選ぼうとするの分かるな…
    アイスの実なんか食べたくなってきた

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:23:00

    冬にアイス美味しいよね
    わちゃわちゃしててかわいいな

  • 42125/02/13(木) 23:28:34

    こうして学校帰りに寄り道したのも当然初めてではない。
    それぞれが部活に、虎杖はオカルト研究会、伏黒は陸上部、釘崎は女子バスケ部、順平が映画館研究会に所属していたこともあり、四六時中一緒に居たわけではないのだが、それでもこの学校生活で一番多くの時間を過ごしたのは、思い出があるのは、四人とも自分たちであると認識している。

    「そういやアイスと言えばさ、前に五条先生の手伝いってことでフラスコとかガラス系の器具洗ったことあったじゃん?」
    「洗わされた、の間違いよね」
    「確かに結構無理矢理ではあったけど、ご褒美も……一応あったし」

    順平の言う通り、ご褒美はあった。あった、のだが……。

    「一人一つファミリーパックのアソートアイスって渡す気一ミリもなかったヤツでしょ」
    「結局『あれ?要らないなら僕が食べちゃうけど良いの?』とか言いながら残りは全部回収してたよな」
    「夏にどうやってアイスを家まで持って帰れっていうのよ」
    「でも暫くあれから放課後に五条先生のところ押し掛ければアイス貰えたのは確かだろ?」

    アイス一つ、肉まん一つ。小さなワードが数々の思い出を語らせる。
    因みに化学準備室と言う名の五条の領域にある冷蔵庫や、職員室の五条の机の中からバレないようにお菓子だのアイスを盗む、もとい頂くというゲームが生徒たちの間で流行ったことがあるのだが、急に背後に現れて肩を叩かれ、「まだまだ甘いね!」と言いながら現れる五条が七不思議の中に入りそうになったりだの、本当に話題は尽きない。

    「ほんと、馬鹿ばっかり」

    釘崎はそう言いはするものの、やはり楽しそうだ。
    その馬鹿たちと馬鹿をするのが彼女の中でも楽しい思い出としてあるからなのだろう。

    「楽しかったよな、やっぱり。……結構怒られもしたけどさ」
    「それはアンタだけでしょ」
    「俺だけじゃねぇって、伏黒だって一年の頃とか不良の山作って怒られてたし」
    「……やってない」
    「それは無理があるんじゃない、かな……?僕の所にまで凄い一年が入って来た、って話題になってたし」
    「虎杖のことだろ」
    「アンタら二人のことに決まってんじゃない。あの東堂と同じ中学のヤツが入って来たとかなんとか」
    「俺と東堂が同中じゃねぇって知ってるよな!?卒アルまで見せたよな!?」

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:31:06

    ここでも存在しない記憶語ってるんだ東堂

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:31:30

    五条が問題児なの変わってなさそうですね!
    しかし五条から盗むのが流行る学校おもしろいな…そして上回る五条も流石だな…
    東堂はここでも面白いことになってて笑う

  • 45125/02/13(木) 23:49:39

    一足先にガリガリ君を食べ終わった虎杖が肉まんを口に運ぶ。
    湯気が立つそれを真っ二つに割れば、辺りに良い匂いが漂った。

    「でもまあ――――寂しくなるよな」

    そう口にしてから虎杖は肉まんにかぶりつく。
    虎杖の言葉に肯定を示す者はいなかったが、誰一人として否定することもなかった。

    「俺は春から消防学校、んで消防士……になるはずだし。釘崎は語学部、んで順平は教育学部で……伏黒は関東どころか本州出てって北の大地で獣医学部」
    「そう言う悠仁も地元帰るんでしょ?」
    「一応、第一希望はこっちで出してたんだけど引っかかったのがあっちだったからさ」

    釘崎と順平は都内で大学に通うものの、虎杖はおそらく約半年後には仙台の方で消防士になっているはずだ。そして伏黒は獣医学部を卒業するまで、更に北にある大学で勉学を続けるのだ。
    気が向いて連絡すれば一時間も経たずに会えるような環境はもうすぐ終わってしまう。
    時が流れるとはそういうことだ。

    「コイツだけかと思えばアンタもここを離れるだなんて思いもしなかったわよ」

    卒業式が終わればすぐにここを離れるわけではないが、一つの区切りであることは間違いない。
    明日から何かが急に変わるわけではないが、それでもやはり寂しさはあった。

    「……別に、また会えば良いだろ」

    そんな時、ぽつりと伏黒が呟いた言葉に全員が固まった。
    そう思っていたとしても、全員がどこか言及を避けていた言葉をまさか伏黒が言うとは、なんていう雰囲気。

    「なんだよ」

    本人も少し気恥ずかしいのか、耳が仄かに赤く染まっている。

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:51:25

    こういう時にぽつっというのなんとなく伏黒っぽいよなと思ってしまったりする

  • 47二次元好きの匿名さん25/02/13(木) 23:53:00

    順平が教師か似合うないい先生になりそうだ

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:03:10

    皆進学先いいね…って噛み締めた
    釘崎が語学部なのも地味にすごくいい

  • 49125/02/14(金) 00:06:19

    「じゃあ俺、一番伏黒と近いし押し掛けちまおっかな!」
    「それはやめろ」
    「雪まつりとか興味あるんだよなぁ」
    「アンタのことだから食い倒れツアーにしか興味がないと思ってたわ」
    「折角ならこっちで集まるよりも楽しいかもね」

    そうこう話していれば、時間はあっという間に過ぎていく。
    ゴミをくしゃりとまとめ、ゴミ箱に放り投げれば両手は空となった。

    「この面子で酒も飲みたいよな」
    「気が早いわね。アンタが一番二十歳になるの遅いくせに」
    「……その辺はまあ、どうにかなるなる!」
    「ならねぇよ」

    「そういや全員一人暮らしになるんだよね?」
    「虎杖、アンタたまにで良いからうちに着て料理作りなさいよ」
    「流石に遠いって」
    「送れば良いだろ」
    「伏黒さん??」
    「あの伝説の焼きそば、また食べたいな」
    「じゃあコイツが消防士になったらその祝いで焼きそば食べましょ」
    「俺が作るんだよな?」
    「当たり前じゃない」
    「うーん、なんかおかしい気もすっけど、まあいいや」

    そしてそんなことを話していれば、伏黒が立ち止まる。
    遅れて全員はここが伏黒との帰路の分かれ道だと気付く。

    「じゃあな、また明日」

  • 50125/02/14(金) 00:06:48

    そう言って伏黒は小さく手を振った。
    また明日、と言って別れる日々も今日でおしまい。
    今まで当たり前だったものが次々と終わりを迎えていく。
    少しの寂しさが胸を過ぎった時、その離れていく背を見て虎杖は咄嗟に叫んでいた。

    「なぁ、伏黒!!」

    明日がある。だがその明日が終われば、今日は来ない。伏黒が振り向けば、虎杖は続ける。

    「今日の伏黒、負けっぱなしだっただろ!だからさ、明日また勝負しよーぜ!」

    その声の大きさに釘崎は軽く耳を押さえているが、止めようとはしなかった。順平も同様に、もしかすると虎杖が言うことの凡そは想像がついていたのかもしれない。

    「たとえばさ……そう!卒業式の時、誰が一番デカい声で返事できるかゲームとかさ!?」
    「馬鹿だろ」「馬鹿じゃないの」「えぇ……本気?」

    あまり好反応ではないが、虎杖は気にせずに続ける。
    否、気にはしているのだが、こうなれば勢いだと吹っ切れている。

    「優勝者には……そう!みんながなんか言うこと聞くとか、どう!?」

    この中で大声を出せるのは誰か、と言えば当然虎杖である。
    だからそのゲームを開催するとしても虎杖の勝利は固い、どころか卒業式で馬鹿騒ぎをするのも虎杖くらい、のものなのだが。
    視線の先、伏黒が噴き出した。そして続けて釘崎も、順平も笑う。

    「馬鹿だろ、オマエ」

    言葉とは裏腹に、その笑いは相手を馬鹿にするだけの笑いではなかった。

    「まあ、やってやらなくも――――」

  • 51二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:07:58

    伝説の焼きそば…気になるな
    そしてここで切れるのか!?何が起きるんだ

  • 52125/02/14(金) 00:08:42

    その時だった。

    けたたましいブレーキの音と共に、大きなトラックが目の前を過ぎる。

    は、と驚いた顔をした伏黒の顔が血のような夕焼けに染まっているのが見えた。

  • 53二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:09:29

    えっ…!?マジか

  • 54二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:10:34

    伏黒!逃げろ

  • 55二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:10:34

    一番遠いとこに進学して一番気軽に会えなくなる伏黒がまた会えばいいだろって皆に言うのすごい好き
    だけどフラグっぽかったよな全てが!やだ!

  • 56125/02/14(金) 00:11:52

    次の瞬間、 ぐしゃりという嫌な音と共に、伏黒の身体が吹き飛ぶ。

    あたりを一瞬で真っ赤に染めるほどの血、見るに堪えない潰れた体。


    ――――即死であるのは明らかだった。


    日常の情景が一瞬にして地獄へ変わる。

    ついさっきまで生きていたものが、友人だったものが、「また明日」とささやかな約束をしたものが、あまりに無残な姿で目の前に転がる。

    周囲はざわめき、悲鳴や怒号に湧くが、そんなものは三人の耳には入ってこない。


    「ふ、しぐろ?」


    ――――その呼びかけに返事はない。

    彼らの目の前に広がっているのは親しい友人の凄惨な死の光景であった。


    <SANチェック>1d3/1d6+1

    虎杖(80) dice1d100=1 (1)

    釘崎(80) dice1d100=76 (76)

    順平(55) dice1d100=94 (94)

  • 57二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:11:55

    虎杖釘崎順平の方にトラック突っ込んだのかと思った
    どっちだどっちでも嫌だ

  • 58二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:13:00

    >>57

    伏黒の方だった……ッ

    すごい出目ブレしてるし……ッ

  • 59125/02/14(金) 00:13:10

    ≪SAN減少≫

    虎杖 dice1d3=1 (1)

    釘崎 dice1d3=2 (2)

    順平 dice1d6=5 (5) +1

  • 60二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:13:22

    えっ嘘だろ!?!?即死…!!?!!?
    そして虎杖なんか今日おかしくない?1クリ2回目だよ!ノーカンだけどさ!
    順平がガッツリショック受けちゃった…

  • 61二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:13:55

    これ…早速順平発狂じゃないです?

  • 62二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:14:24

    ノーカンクリティカルだけどこれ虎杖めちゃくちゃ冷静に的確な対応したのかな…
    でも即死だから適切な対応も何も…おお…

  • 63125/02/14(金) 00:15:15

    <一時的狂気突入アイデアロール>成功で一時的狂気

    順平(70) dice1d100=9 (9)

  • 64二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:15:30

    何となくこの虎杖の冷静さが消防士になりたい虎杖って感じで嫌な説得力出てて嫌だなあ!
    伏黒の現状がこうじゃなきゃなあ!!

  • 65二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:16:25

    ああ…順平のアイデアが
    よりによって友の死と状況をガッツリ理解してしまったのか

  • 66125/02/14(金) 00:16:53

    ≪一時的狂気≫

    1.短期の一時的狂気([ dice1d10=3 (3) +4]戦闘ラウンド)

    2.長期の一時的狂気([ dice1d10=6 (6) ×10]時間)

    dice1d2=2 (2)

  • 67125/02/14(金) 00:17:25

    ≪長期の一時的狂気≫

    1.健忘症(親しい者のことを最初に忘れる;言語や肉体的な技能は働くが、知的な技能は働かない)あるいは昏迷/緊張症(短期の表を参照)

    2.激しい恐怖症(逃げ出すことはできるが、恐怖の対象はどこに行っても見える)

    3.幻覚

    4.奇妙な性的嗜好(露出症、過剰性欲、奇形愛好症など)

    5.フェティッシュ(探索者はある物、ある種類の物、人物に対し異常なまでに執着する)

    6.制御不能のチック、震え、あるいは会話や文章で人と交流することが出来なくなる

    7.心因性視覚障害、心因性難聴、単数あるいは複数の四肢の機能障害

    8.短時間の心因反応(支離滅裂、妄想、常軌を逸した振舞い、幻覚など)

    9.一時的偏執症

    10.強迫観念に取りつかれた行動(手を洗い続ける、祈る、特定のリズムで歩く、割れ目を跨がない、銃を絶え間なくチェックし続けるなど)

    dice1d10=8 (8)

  • 68二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:18:37

    うわっ長い奴だ
    そして発狂内容は…短時間の心因反応か
    そりゃそうなる…って発狂内容だよ…

  • 69二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:18:41

    NPCだから何かしらあるんだろうとは思ってたけどこうくるのか

  • 70二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:18:43

    順平の発狂も予感でもあったんかっていう虎杖の数値も辛いな…

  • 71二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:20:02

    うう伏黒‥それを見た3人も辛いよな
    よりによって卒業式前日か

  • 72二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:20:42

    こんなの死ぬ前に見掛けた五条先生も流石に知ったらえっ…マジ?ってなりそうだな

  • 73二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:21:23

    こうなるとさスレ画で一番最後歩いてる伏黒に納得するんだ

  • 74二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:21:40

    クラスメイトだって担任だって辛いに決まっとる…

  • 75125/02/14(金) 00:28:27

    そこは人通りの多い、大通りでの事故であったためか、周囲には大人が大勢おり、救急車や警察に連絡している様子が視界に入る。

    それはあまりにも惨い事故だった。
    大型トラックによって弾き飛ばされ、伏黒の四肢はおかしな方向に捻じ曲がってしまっただけではなく、取れかけてすらいるようにも見える。

    「――――ッ」

    虎杖は目の前で起こったことをどこか冷静に見ていた。
    そして伏黒の姿を見て、状況を確認して、心のどこかでこれは無理だと思ってしまう。
    無理だ、助からない。間に合わない。どうしようもない。出来ることはない。
    それをどんなに否定しようとしても、目の前の光景が現実を突きつける。

    それは釘崎も同じだった。
    動いた方が良いと分かっているのに、強張った身体は動いてはくれない。
    駆け寄りたいはずなのに、開いたままだけどどこも見ていない瞳が自分を見たらどうしようと、震える唇を同じく震える手で覆う。
    小さな小さな声で、「うそ、」と呟くも本当はこれが嘘ではないことなど痛いほど分かっていた。

    だが順平は二人とは違い、気付けば駆け出していた。
    そして伏黒から溢れる赤の近くにしゃがみ込んで、それを掬おうとする。
    重力に従って広がり続けるそれを掬うならば、コンクリートに手を擦り付けるが如くの動きからになるが、順平はまるで痛みを感じていないかのように必死に手を動かす。
    そしてそれを見た二人は漸く足が動くようになった。

    「順平……!」
    「ほら、二人も手伝って。こんなに血が零れたら、伏黒くんも死んじゃうよ……!!」

    必至にそう言い、順平は赤を掬ってまるで伏黒に戻すかのように心臓の上あたりに血をかける。
    何度も何度も、だがそれは結局服に吸われ、吸い切れなくなった分は再び地面に広がっていく。
    どうしようもなく意味のない行為でしかない。

  • 76二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:30:47

    胸が痛いそうだよねさっきまで楽しく喋ってたのに
    信じたくないよな

  • 77二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:31:08

    順平…つれぇ…つれぇよ…
    死んだと理解してしまってだからこそ動けなくなる2人と死んだと理解したくなくて動いてしまう順平…つれぇよ…

  • 78二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:33:58

    順平こういう反応になるか…あまりにも辛いな
    虎杖と釘崎は順平を止めるとか順平に対応するっていうほんの少しの間は1ミリくらい気が紛れるかもしれないこういう時

  • 79125/02/14(金) 00:36:13

    「虎杖くん!釘崎さん!!」

    動揺のせいか、順平が虎杖を呼ぶ声が出会った時の当初のものに戻ってしまっている。
    順平の行動を止めなければいけないと分かっているのに、二人はすぐに止めることなど出来なかった。
    自分も同じように、伏黒の生の可能性に縋ってしまいたくなる。
    どうしてこんなことに。
    さっきまで普通に話していたのに。明日の話をしていたのに。
    ――――伏黒恵に、もう明日は来ない。

    「違う、違う違う違う!!俺は確かに、あぁ、違う!!俺は悪くないんだ!!!!」

    トラックの運転手らしき男がトラックから下りてはいるが、酷く錯乱しているようだった。
    周囲の大人たちに宥められている様子が目に入る。
    あの男は本当に悪くないんのだろうか。ならばなぜ、伏黒は今こうして地面に転がっているのだろう。

    「あぁ……!だめだ、掬っても掬っても溢れてくる。どうして、どうして……!!」

    そしてその男の叫びを掻き消すように順平が慟哭する。
    伏黒が死んだということを理解出来ないままでいても、このままでは駄目だということは分かってしまっているのだろう。

    「……順平」
    「虎杖くんもほら、助けて。助けてよ!!」

    悲痛な叫びと共に、順平は真っ赤に染まった両手で虎杖を掴む。
    学ランが血によって濡れ、その生温かさが肌に伝わって来た。

    「吉野。……アイツは、伏黒は、もう」
    「やめてよ!!!!」

    それは絶叫だった。

  • 80二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:36:25

    伏黒これまでの卓でもこういう立ち位置になってること多い気がしてきたな…

  • 81二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:38:15

    トラックの運転手が悪くないなら何故伏黒はこうなってる?ってなるのさ…切ないな…
    そして錯乱のあまり呼び方が戻る順平悲しいけど好きだな…

  • 82125/02/14(金) 00:40:21

    「いやだ、いやだよ。なんで、そんなの。だって、まだ戻せばどうにかなるはずで、そうじゃなきゃ、どうして」


    ぼろりと順平の瞳から涙が溢れた。それは一粒、二粒三粒と数を増していく。


    「いやだよ、こんなのって、こんな終わり方なんて。だって、明日は卒業式なのに」


    それは虎杖と釘崎の心の中の声と同じだった。

    こんな終わり方は嫌だ。泣き喚いてしまいたくもなる。


    <POW×5>

    虎杖(80) dice1d100=68 (68)

    釘崎(80) dice1d100=73 (73)

  • 83二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:41:44

    2人共凄く…凄く強いな
    泣いたっていいんだぞ
    泣き喚いたっていいんだ

  • 84二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:42:03

    2人とも結構ギリギリだな
    そりゃそうか大事な友人が目のまえでこんなことになってるんだもんな

  • 85二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:43:19

    なんかもう本当にこの世界の凪さんはずっと元気で長生きしてね変な事件とか事故とかで突然いなくならないでね…と思ってしまったつれぇ~

  • 86125/02/14(金) 00:43:24

    気を抜けば涙が出てきてしまいそうになるのを二人は必死に堪えた。

    泣いても現実は変わらない。

    伏黒は助からない。助けられない。

    となれば、今泣いている友の涙を止めてやることしか二人は出来ないのだ。


    「順平」


    赤い手で目を擦ろうとする順平の手を虎杖は留めて、目を合わせる。

    優しくて、だからこそ冷静ではいられなくなっただろう友に、これから現実を突きつけなければならないのだ。

    そうでなくては伏黒も、きっと悲しむだろうと。そう信じて。


    「伏黒は――――」


    <精神分析>

    虎杖(47) dice1d100=23 (23)

    釘崎(40) dice1d100=74 (74)

  • 87二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:43:49

    伏黒HO運が悪すぎるだろお祓いいこう

  • 88二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:44:46

    虎杖が成功したか順平これで落ち着くかな

  • 89二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:44:58

    ここで釘崎は言い淀んで消防士目指す虎杖が言えてしまうのか
    精神分析成功するのも含めてこの虎杖が消防士目指してるのよくわかってしまうな…

  • 90二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:46:28

    2人とも精神分析高くはないのによく成功したね虎杖
    どんなに言葉を選んでも難しい場面だろうにすごいな

  • 91二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:47:17

    伏黒の家族もやり切れないよなこれ
    津美紀ちゃんとか両親白と黒もいるのかな

  • 92125/02/14(金) 00:50:53

    釘崎は声が喉の奥に詰まってしまったかのように、吐息を零す。
    言わなくてはならないと分かっていても、心のどこかで認めたくはないと足掻く自分がそれを言葉にしてはくれなかった。

    だけれど虎杖は、その言葉を最後まで口にする。

    「伏黒は、助からない」

    はっきりと、言い聞かせるように。自分にとっても絶望的な真実をただただ告げる。

    「そんなわけ」
    「あるんだよ。だって、順平。もう一度よく見てよ」

    その言葉に促されるように、順平は再び伏黒を見た。
    トラックにはねられ、身体の大部分が潰れ、ひしゃげ、大量の赤を撒き散らした友を。
    骨の一二本が折れているというような、そう言う状況ではない。
    全身の骨が折れ、砕け、潰れ、粉砕され、かろうじて人だと分かるだけのそれ。

  • 93125/02/14(金) 00:51:08

    「ぁ」


    小さな声を零した順平は虎杖の言葉の意味を理解する。

    そして先程まで自分がしていた行為が何とも無意味で悪足掻きでしかないことも。


    「ぁああ」


    ぐらりと体を揺らがせた順平を虎杖が支え、掠れた声で「ごめん」と謝る。


    「ごめん、順平」


    そう言われた順平は気付いた。このごめんの先に居るのは自分だけではない、と。


    ごめん、伏黒。

    本当はそれこそが虎杖の口にしたかった言葉なのだろう。


    <目星>

    虎杖(75) dice1d100=40 (40)

    釘崎(75) dice1d100=78 (78)

    順平(75) dice1d100=31 (31)

  • 94二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:52:35

    釘崎のみ失敗か
    しかし描写えぐいな
    本当に助からないんだな

  • 95二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 00:53:05

    辛いよな…辛いよ
    目星は釘崎失敗か…直視出来なかったんだろうなぁ
    虎杖に言われてすぐ現実受け止めて成功させる順平も強いな

  • 96125/02/14(金) 01:01:10

    そして虎杖と順平は事故現場のすぐ近くに居たからこそ、気付いた。
    伏黒の手から吹っ飛んだであろうそれ、画面が罅割れているスマホが転がっている。
    画面は未だについており、虎杖は立ち上がってそれを拾って、息を呑む。
    そこには自分と釘崎と順平と、そして伏黒が写っていた。
    それがバキバキに割れた画面のせいでひびが入り、まるで断ち切られたかのようになっている。

    日常だった。壊れる前の温かな日だった。
    それが今やこうして、罅割れて無惨にひしゃげてしまっている。

    「ふ、しぐろ」

    何がしたかったのか、自分でも分からない。
    でも何かがしたかった、のだと思う。

    だが気付けば三人は大人に連れられ、現場から引き離されてしまう。
    彼らが被害者と友人であることを知っている者が居たようで、暫しの間はどうにか見守っていてくれたのか、もしくは対応する余裕がなかったのか、しかしこれ以上はここに居ては駄目だと。

    それでも暫し反抗していれば、高校へと連絡が行ったらしい。
    現場から離れたがらない三人を迎えに来たのは五条で、血だらけだったり血が付いていることに気にせず、五条は半ば無理矢理自分の車に押し込んだ。

    珍しく、あの五条でさえも静かだった。
    静かで静かで、静かすぎて。
    握り締めた拳だけが馬鹿みたいに熱かった。

  • 97二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:02:55

    待ち受けスレ画だったのかな…いや辛い
    そりゃ五条先生も何も言えないよ

  • 98二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:03:44

    伏黒…!待ち受けにしてずっと見れるようにしてたのか
    嘘だろ…4人の日常はもう戻らないのか
    五条もそりゃ静かに3人を回収するよ…あんな幸せそうにしてたんだもんな…

  • 99二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:03:55

    助けられなくてごめん、かな
    淡々と自分の心に言葉を刻みつけてるような雰囲気がつらいし本当に五条にもどうにもできない事なんだなぁって死の実感がつらいよ

  • 100125/02/14(金) 01:05:30

    今日はここまで、伏黒のHO運が悪いってのはスレ主も思ってたよ
    ヒポ(KPCポジ)、ほいち誘拐(HO2)、沼男(HO1)、忘失(HO2)、餞(NPCポジ)

  • 101125/02/14(金) 01:08:01

    沼男→祭囃子を経てアイドルアクトで「伏黒は寂しくないから大丈夫だからね!!!」って🎲に念押ししたら「分かった!!」で餞でこうなるの🎲くんちゃんさん?という気持ちになる

    あと虎杖の1C×2とここまで全成功、揺り戻しが怖すぎるよ

  • 102二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:08:17

    スレ主お疲れさまです
    やっぱり伏黒悲しいポジションにいる事多いよねとは思ってました
    ヒポる?って言われてるのを思い出したりもした
    沼男は1人残され亡失は両方とも辛いしそもそもほいち誘拐も含めてダイス運が悪い!!

  • 103二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:10:31

    やっぱりHO運悪いよね
    ダイスくんちゃん伏黒君に優しくしてあげて

  • 104二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:13:14

    そもそもスレ主を見るとダイス運が悪いのは逆に愛されてるのかもしれない…アイドルアクトも事故らせつつ愛は感じた
    そして虎杖もたまにあるよりによってを起こしそうなフラグを立たせてる気がしてきたんだけど気の所為だといいなと思ってます

  • 105二次元好きの匿名さん25/02/14(金) 01:16:40

    虎杖自分が伏黒呼び止めなければって自責の方にいかないといいなと少し怖くなってしまった
    ここまでは選択肢ダイスそんなになかったからもしかしてババ抜きの上がり順で何か役割決まってたりするのかなとか思ったり

  • 106125/02/14(金) 01:22:16

    そういやスレ主にシナリオリクエストしたい時はとりあえずスレ主が立ててるスレに直接持ってきてもらって、そこで無理かどうかはスレ主が判断するからよろしくね

スレッドは2/14 11:22頃に落ちます

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