呪術廻戦のキャラに勝手に詩をあてはめていく

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 18:03:09

    独断と偏見で、呪術廻戦のキャラやシーンに詩をあてはめていきます。

    多分同じ詩人のものばかりになります。この詩の方が合うだろ、というものがあればあげてくださると嬉しいです。

  • 2スレ主22/03/18(金) 18:16:17

    思えば遠くへ来たもんだ
    此の先まだまだ何時までか
    生きてゆくのであろうけど

    生きてゆくのであろうけど
    遠く経てきた日や夜の
    あんまりこんなにこいしゆては
    なんだか自信が持てないよ

    さりとて生きてゆく限り
    結局我ン張る僕の性質
    と思へばなんだか我ながら
    いたはしいよなものですよ

    考へてみればそれはまあ
    結局我ン張るのだとして
    昔恋しい時もあり そして
    どうにかやってはゆくのでせう

    考へてみれば簡単だ
    畢竟意志の問題だ
    なんとかやるより仕方もない
    やりさえすればよいのだと

    思ふけれどもそれもそれ
    十二の冬のあの夕べ
    港の空に鳴り響いた
    汽笛の湯気や今いづこ

    『頑是ない歌』(中原中也)

  • 3スレ主22/03/18(金) 18:22:55

    白玉か何ぞと人の問いし時 露と答えて消えなましものを 在原業平

    (あれは真珠かと 草の露を見たあの子が聞いた時 露だよと答えてそのまま一緒に消えたらよかった)

  • 4スレ主22/03/18(金) 19:04:04

    退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
    悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
    不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
    病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
    捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
    よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
    追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
    死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。 

  • 5スレ主22/03/18(金) 19:05:49

    >>4

    作者の名前が抜けてました 『鎮痛剤』 (マリー・ローランサン 堀口大學 訳)

  • 6スレ主22/03/18(金) 19:23:22

    さよなら、さよなら!
     いろいろお世話になりました
     いろいろお世話になりました

    さよなら、さよなら!
     こんなに良いお天気の日に
     お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛い
     こんなに良いお天気の日に

    さよなら、さよなら!
     僕、午睡の夢から覚めてみると
     みなさん家を空けておいでだった
     あの時を妙に思ひだします

    さよなら、さよなら!
     そして明日の今頃は
     長の年月見馴れてる
     故郷の土をば見てゐるのです

    さよなら、さよなら!
     あなたはそんなにパラソルを振る
     僕にはあんまり眩しいのです
     あなたはそんなにパラソルを振る

    さよなら、さよなら!
    さよなら、さよなら!

    『別離』 中原中也

  • 7スレ主22/03/18(金) 19:31:15

    気の変わる 人に仕えて つくづくと 我が世がいやに なりにけるかな

    石川啄木

  • 8二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 19:35:43

    BLEACHのポエムは可?

  • 9スレ主22/03/18(金) 19:36:07

    >>8

    大丈夫ですよ!

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 19:58:05

    >>9

    OKありがとう

    せっかくだし丁度試作してた扉絵パロ上げとく

  • 11スレ主22/03/18(金) 20:07:07

    >>10

    ありがとうございます!


    久保先生のポエムってかっこいいの多いですよね。扉絵もそれっぽくてすごいです!

  • 12スレ主22/03/18(金) 20:16:54

    一度でも 我に頭を 下げさせし 人みな死/ねと いのりてしこと

    石川啄木

    このドブカスっぷりは直哉にぴったりだと思います。こいつだと「殺す」になりそうですが

  • 13スレ主22/03/18(金) 20:49:20

    智恵子はすでに元素にかへった。
    わたくしは心霊独存の理を信じない。
    智恵子はしかも実存する。
    智恵子はわたくしの肉に居る。
    智恵子はわたくしに密着し、
    わたくしの細胞に燐火を燃やし、
    わたくしと戯れ、
    わたくしをたたき、
    わたくしを老いぼれの餌食にさせない。
    精神とは肉体の別の名だ。
    わたくしの肉に居る智恵子は、
    そのままわたくしの精神の極北。
    智恵子はこよなき審判者であり、
    うちに智恵子の睡る時わたくしは過ち、
    耳に智恵子の声を聞くときわたくしは正しい。
    智恵子はただ嬉々として飛び跳ね、
    わたくしの全存在をかけめぐる。
    元素智恵子は今でもなほ
    わたくしの肉に居てわたくしに笑う。

    『元素智恵子」 (高村光太郎)

    智恵子に変えれば憂太っぽくなる

  • 14スレ主22/03/18(金) 20:50:50

    >>13


    抜けがありました 智恵子を里香に変えれば、です。

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 20:58:29

    例の歌の人か
    規約違反やで

  • 16スレ主22/03/18(金) 21:02:11

    >>15

    歌の人ではないのですが……。

    著作権の切れたものを使用していたのですが、それも規約違反になるのでしょうか。問題があるようならスレを削除します。

  • 17二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 21:44:29

    王は駆ける
    影を振り切り 鎧を鳴らし
    骨を蹴散らし 血肉を啜り
    軋みを上げる 心を潰し
    独り踏み入る 遥か彼方へ

    BLEACH32巻より引用

  • 18二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 21:47:48

    >>10

    忘れてた

    BLEACH33巻より引用

  • 19二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 21:51:21

    >>16

    物知りだなスレ主

    自分はここ好きだよ

    ブクマしたからもっとみたい

  • 20スレ主22/03/18(金) 21:53:38

    >>19

    ありがとうございます。

    開き直ってネタが切れるまで書いてみたいと思います。

  • 21スレ主22/03/18(金) 22:55:52

    こころよく
    我にはたらく仕事あれ
    それを仕遂げて死なむと思ふ

  • 22スレ主22/03/18(金) 22:56:44

    >>21

    またもや名前抜け……。石川啄木です。

  • 23二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 22:57:35

    面白いな
    しえん

  • 24スレ主22/03/19(土) 07:47:08

    どうせ互いの身は 錆刀 切るに切られぬ 腐れ縁
    (詠み人知らず)

  • 25二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 18:47:54

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 19:25:45

    好き

  • 27スレ主22/03/19(土) 21:18:05

    切れてくれなら 切れてもやろう 逢わぬ昔に して返せ
    (詠み人知らず)

    この2人にも恋愛とは違うけど、確かな情があったんだろうと思ってこれにしました。

  • 28スレ主22/03/19(土) 21:25:19

    風にまひたるすげ笠の 
    なにかは路に落ちざらん。
    わが名はいかで惜しむべき。
    惜しむは君が名のみとよ。

    『相聞』(芥川龍之介)

    これも元は恋歌ですが、「自分の名誉はどうでもいい。ただあなたの名誉だけは守りたい」という部分がかつての日車さんっぽい。

  • 29スレ主22/03/19(土) 22:36:11

    十六 君遠く行く
    瞿塘 艶豫堆
    五月 觸るべからず
    猿鳴 天上に哀し
    門前 遲行の跡
    一一 綠苔を生ず
    苔深くして掃ふ能はず
    落葉 秋風早し

    (中略)

    早晩三巴を下らん
    預(あらかじ)め書を將(も)って家に報ぜよ
    相ひ迎ふるに遠きを道(い)はず
    直ちに至らん長風沙

    16の歳、あなたは遠くに行きました
    近づけないほど危険な場所へ
    そこには猿がいて、泣き声は天にこだましています
    あなたが旅立ちかねて、行きつ戻りつしたあなたの足跡には
    今では苔が生えています
    苔に深く覆い尽くされ、早くも落ち葉で埋もれていきます

    ねえ、いつ帰って来てくれるんですか
    お便りをくださいよ
    必ず、私が迎えに行きますから
    絶対すぐにたどり着きますから

    五言古詩「長干行」(李白) ものすごい意訳です。

  • 30二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 22:38:25
  • 31二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 00:28:01

    散りて二度とは咲かずとも
    炎のごとくに散るぞ美し

    BLEACH57巻より引用

  • 32二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 01:12:46

    宮沢賢治の、眼にて云ふが好きなんだが
    合う場面やキャラってあるだろうか
    呪術との親和性はある雰囲気の詩だと思うんだが

  • 33二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 10:28:34

    >>32


    だめでせう

    とまりませんな

    がぶがぶ湧いてゐるですからな

    ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから

    そこらは青くしんしんとして

    どうも間もなく死にさうです

    けれどもなんといゝ風でせう

    もう清明が近いので

    あんなに青ぞらからもりあがって湧くやうに

    きれいな風が来るですな

    もみぢの嫩芽と毛のやうな花に

    秋草のやうな波をたて

    焼痕のある藺草のむしろも青いです

    あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが

    黒いフロックコートを召して

    こんなに本気にいろいろ手あてもしていたゞけば

    これで死んでもまづは文句もありません

    血がでてゐるにかゝはらず

    こんなにのんきで苦しくないのは

    魂魄なかばからだをはなれたのですかな

    たゞどうも血のために

    それを云へないがひどいです

    あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが

    わたくしから見えるのは

    やっぱりきれいな青ぞらと

    すきとほった風ばかりです。


    『眼にて云ふ』 (宮沢賢治)

  • 34スレ主22/03/20(日) 10:29:14

    >>33

    (コテハンつけるの忘れてました)

  • 35二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:12:53

    茨木のり子の「落ちこぼれ」禪院姉妹でどうでしょう

  • 36二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:28:56

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:35:52

    くらげ くらげ
     くものかかつた 思ひきつた よるの月
    八木重吉

  • 38二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:46:42

    魂(こころ) 燃え立つ
    天(あめ)の振るとも

  • 39二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:47:16

    >>38

    BLEACH58巻より引用

  • 40スレ主22/03/20(日) 14:47:30

    >>35

    落ちこぼれ

    和菓子の名につけたいようなやさしさ


    落ちこぼれ

    今は自嘲や出来そこないの謂


    落ちこぼれないための

    ばかばかしくも切ない修業


    落ちこぼれこそ

    魅力も風合いも薫るのに


    落ちこぼれの実

    いっぱい包容できるのが豊かな大地


    それならお前が落ちこぼれろ

    はい 女としてとっくに落ちこぼれ


    落ちこぼれずに旨げに成って

    むざむざ食われてなるものか


    落ちこぼれ

    結果ではなく


    落ちこぼれ

    華々しい意思であれ


    『落ちこぼれ』 茨木のり子   茨木のり子さんの詩はかっこいいですよね。

  • 41スレ主22/03/20(日) 14:49:23

    八木重吉さんの詩は初めて読みました。かっこいい詩が多いですね。
    BLEACHも連載してた頃読んでたので懐かしいです。

  • 42二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 14:50:08

    沖に光る波のひとひら
    ああそんなかがやきに似た
    十代の歳月
    風船のように消えた
    無知で純粋で徒労だった歳月
    うしなわれたたった一つの海賊箱

  • 43二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 14:51:11

    >>40

    ほんとかっこいいですよね・・・・

    >>42

    茨木のり子

  • 443222/03/20(日) 14:51:35

    >>33

    >>34

    おお!

    ありがとうスレ主!

    野薔薇のそのシーン、合ってるな…

  • 45二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 14:57:33

    >>41

    八木重吉ならこれも


    ああ

    はるか

    よるの

    薔薇

  • 46スレ主22/03/20(日) 14:57:53

    このかなしみを
    ひとつに 統ぶる 力はないか

    『秋の瞳』から「かなしみ」 (八木重吉)

    順平に合いそうな詩が多い印象です。

  • 47二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 15:17:01

    ちょっときれいすぎるかもだけど

    かなしみは しづかに たまつてくる
    しみじみと そして なみなみと
    たまりたまつてくる わたしの かなしみは
    ひそかに だが つよく 透きとほつて ゆく

    こうして わたしは 痴人のごとく
    さいげんもなく かなしみを たべてゐる
    いづくへとても ゆくところもないゆえ
    のこりなく かなしみは はらへたまつてゆく

  • 48スレ主22/03/20(日) 15:17:23

    食わずには生きてゆけない。
    メシを
    野菜を
    肉を
    空気を
    光を
    水を
    親を
    きょうだいを
    師を
    金もこころも
    食わずには生きてこれなかった。
    ふくれた腹をかかえ
    口をぬぐえば
    台所に散らばっている
    にんじんのしっぽ
    鳥の骨
    父のはらわた
    四十の日暮れ
    私の目にはじめてあふれる獣の涙。

    「くらし」 石垣りん

  • 49スレ主22/03/20(日) 15:28:09

    >>47

    ほぼ同時でしかも夏油!

    その詩も素敵ですね。 茨木のり子さんでしょうか?

  • 50二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 15:47:42

    >>49

    おお!しかもどっちも「腹」が出てきますね

    >>47は八木重吉の秋の瞳からです

  • 51スレ主22/03/20(日) 16:09:29

    >>50

    あ、重吉さんだったんですね。失礼。

    「食べる」って「命を奪う」「溜め込む」ことでもありますから、重たい詩が多いですね。

    そこも夏油に似合う気がします。

  • 52スレ主22/03/20(日) 16:18:14

    この次の 休日に一日 寝てみむと
    思ひすごしぬ 三年このかた

    石川啄木

    呪術廻戦の大人たちには啄木が似合いますね。

  • 53スレ主22/03/21(月) 01:48:13

    われ怒りなく、憎しみもなく、 屠殺者のごとく、はた磐を撃つ
    モオセのごとく、汝を打たむ。 斯くしてわれは汝が瞼より、

    わがサハラをば潤さむため、 苦悩の水を噴出(ふきい)でしめむ。
    希望(のぞみ)を孕むわが欲念は 沖に乗り出す船さながらに

    鹹(から)き涙の上を泳がむ。 かくて涙に酔へる心に、
    汝がいとしき嗚咽の声は 攻めの鼓と響きわたらむ

    われを揺さぶりはた嚙み砕く 貪婪(たんらん)飽くなき「反語(アイロニイ)」ゆえに、
    われは聖なる交響楽の 不協和音となれるにあらずや。

    「反語」潜めば声も喧し、 この鴆毒(ちんどく)ぞ、我が血のすべて。
    げにわれこそは、夜叉なす女の 面眺め入る凶(まが)しき鏡。

    われ、傷にしてかつ刀なり、 掌にして打たるる頬なり。
    四肢にしてかつ拷問車、 死刑の囚徒かつ刑吏なり。

    われ、我が心の吸血鬼なり、 ―痴れ笑いこそ休むすべなけれ
    微笑むことのはや叶わざる かの偉(おお)いなる廃残の徒なり。

    『我とわが身を罰する者』 ボードレール

  • 54スレ主22/03/21(月) 01:50:21

    >>53

    最初は両面宿儺にしようかと思いましたが、後半の句は一族を滅ぼした真希に近いかと思いました。

  • 55二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 09:42:11

    >>12

    一度でも 我を上から 見下ろせし 人みな殺/すと 呪いてしこと、になりそう

  • 56二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 09:45:11

    >>53

    「微笑むことのはや叶わざる」

    かなしいなぁ

  • 57二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 11:32:33

    世界に別れを告げる日

    人は一生をふりかえって

    自分が本当に生きた日が

    あまりにも少なかったことに驚くであろう。



    指折り数えるほどしかない

    その日々のなかのひとつには

    恋人との最初の一瞥の

    するどい閃光などもまじっているだろう。



    <本当に生きた日>は人によって

    たしかに違う。

    ぎらりと光るダイヤのような日は

    銃殺の朝であったり



    アトリエの夜であったり



    果樹園のまひるであったり



    未明のスクラムであったりするのだ。(茨木のり子)

  • 58スレ主22/03/21(月) 13:57:03

    >>57

    ありがとうございます! この切なさが合いますね。

    夏油の「本当に生きた日」は、きっと高専の日常だったと思います。

  • 59スレ主22/03/21(月) 13:58:07

    >>55

    めちゃくちゃそれっぽくて笑いました。

  • 60スレ主22/03/21(月) 14:16:08

    昨日はどこにもありません あちらの箪笥の抽出しにも
    こちらの机の抽出しにも 昨日はどこにもありません

    それは昨日の写真でしょうか そこにあなたの立っている
    そこにあなたの笑っている それは昨日の写真でしょうか

    いいえ昨日はありません 今日を打つのは今日の時計
    昨日の時計はありません 今日を打つのは今日の時計

    昨日はどこにもありません 昨日の部屋はありません
    それは今日の窓掛けです それは今日のスリッパです

    今日悲しいのは今日のこと 昨日のことではありません
    昨日はどこにもありません 今日悲しいのは今日のこと

    いいえ悲しくありません 何で悲しいものでしょう
    昨日はどこにもありません 何が悲しいものですか

    昨日はどこにもありません そこにあなたの立っていた
    そこにあなたの笑っていた 昨日はどこにもありません

    『昨日はどこにもありません』 三好達治

  • 61スレ主22/03/21(月) 15:13:39

    あいつはあの時。 (そうだ。もう六年も前のことになるのだが。)
    あいつはあの時。 呟くように言ったっけ。
    美しいわ。 と。
    たった一と言。

    水楢の枝にしゃがみこんで。 はっぱのしげみにお尻をのっけて。
    そうしておれは。 あいつの三倍も小さくすすぼけた色をしてしびれていたが。
    美しいわ?なに言ってんだいとぼんやりおれは。 おっぱい色のもやのなかでわらったものだ。
    眩暈するほどの現実のなかで。 恍惚のなかで。
       
       けれどもどうやらはなしはちがってきた。
       六年もたったせいかおれの考えもちがってきた。

    美しいわ。 あいつが死んでからあいつの一と言が。
    音楽よりもかなしく強く。 いまはおれのからだのなかでさざなみになる。
    美しいわ。 の一と言が。
    どうしてだろう。かおも恍惚も忘れたのにどうしてだろう。

    そのひとことだけが思いだされる。

    『エレジー あるもりあおがえるのこと』 草野心平
       

  • 62二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 22:42:41

    産まれ堕ちれば、
    死んだも同然

    引用:BLEACH35巻

  • 63二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 22:49:24

    >>62

    「堕ち」なのが甚爾っぽいですね

  • 64スレ主22/03/21(月) 22:54:16

    >>63

    スレ主からです。またコテハン付け忘れ。

  • 65二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 09:54:45

    美しさとは、
    そこに何もないこと

    引用:BLEACH64巻

  • 66二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 13:16:30

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 13:32:54

    このレスは削除されています

  • 68スレ主22/03/22(火) 13:34:01

    海の遠くに島が……、雨に椿の花が堕ちた。鳥籠に春が、春が鳥のいない鳥籠に。

      約束はみんな壊れたね。

      海には雲が、ね、雲には地球が、映っているね。

      空には階段があるね。

    今日記憶の旗が落ちて、大きな川のように、私は人と訣(わか)れよう。床に私の足跡が、足跡に微かな塵が……、ああ哀れな私よ。

      僕は、さあ僕よ、僕は遠い旅に出ようね。

    『Enfance finie』 三好達治

  • 69スレ主22/03/22(火) 13:47:54

    秋はみじめにしたたり
    ゆうぐれはながれそめたり。
    空に落葉のかげ映り
    かすかに青き匂ひのちらばへり。
    手はひたいの上に冷え
    さみしく唇はかたくとざされたり。

    ともよ、おん身の肌にすがりつき
    たましひはくらくすすりなく。
    ああ、はぐれしかげにすがりつき
    たましひはくらくすすりなく。

  • 70スレ主22/03/22(火) 13:48:26

    >>69

    『挽歌』 室生犀星

  • 71二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 21:58:09

    保守

  • 72スレ主22/03/23(水) 02:06:26

    もうすんだとすれば これからなのだ
    あんらくなことが 苦しいのだ
    暗いからこそ 明るいのだ
    なんにも無いから すべてが有るのだ
    見ているのは 見ていないのだ
    分かっているのは 分かっていないのだ
    押されているので 押しているのだ
    落ちていきながら 昇っていくのだ
    遅れすぎて 進んでいるのだ
    一緒にいるときは ひとりぼっちなのだ
    やかましいから 静かなのだ
    黙っているほうが しゃべっているのだ
    笑っているだけ 泣いているのだ
    ほめていたら けなしているのだ
    うそつきは まあ正直者だ
    おくびょう者ほど 勇ましいのだ
    利口にかぎって バカなのだ
    生まれてくることは 死んでいくことだ
    なんでもないことが 大変なことなのだ

    『もう すんだとすれば』 まど・みちお

    この悟り済ました感じが恵みっぽいと思いました

  • 73スレ主22/03/23(水) 10:28:20

    ひとの肩に手を置き
    ひとのなげきに 耳をかたむけ
    ひとといっしょに 涙を流す
     ぐうたらなお前の いいとこは
     それだよと おっしゃるなら
     おそれいりますが
     それよりまえに
     わたしを このようにした母を
     どうか 母をほめてやってください

    ひとの顔をみつめて
    ひとのなやみに ひとりうなづき
    ひとといっしょに 嘆きにはいる
     ぐうたらなお前の いいとこは
     それだよと おっしゃるなら
     おそれいりますが
     それよりまえに
     わたしを このようにした母を
     どうか 母をほめてやってください

    『ひとの肩に手を置き』 サトウハチロー

  • 74スレ主22/03/23(水) 19:31:29

    もはや
    できあいの思想には倚りかかりたくない
    もはや
    できあいの宗教には倚りかかりたくない
    もはや
    できあいの学問には倚りかかりたくない
    もはや
    いかなる権威にも倚りかかりたくない
    ながく生きて
    心底学んだのはそれぐらい
    じぶんの耳目
    じぶんの二本足のみで立っていて
    なに不都合のことやある

    倚りかかるとすれば
    それは
    椅子の背もたれだけ

    『倚りかからず』 茨木のり子

  • 75二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 20:27:07

    >>74

    おお、初めて知った詩だけどこれはピッタリ野薔薇っぽい

  • 76二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 20:56:23

    >>74

    すごく好き

  • 77スレ主22/03/24(木) 00:44:10

    汚れっちまった悲しみに
    今日も小雪の降りかかる
    汚れっちまった悲しみに
    今日も風さえ吹きすぎる

    汚れっちまった悲しみは
    たとえば狐の革裘(かわごろも)
    汚れっちまった悲しみは
    小雪のかかってちぢこまる

    汚れっちまった悲しみは
    なにのぞむなくねがうなく
    汚れっちまった悲しみは
    倦怠(けだい)のうちに死を夢(ゆめ)む

    汚れっちまった悲しみに
    いたいたしくも怖気(おじけ)づき
    汚れっちまった悲しみに
    なすところもなく日は暮れる……

    『汚れっちまった悲しみに』 中原中也

  • 78スレ主22/03/24(木) 11:13:29

    この声 枯れ果てても
    おまえの名を 呼ぶだろう

    この目 潰れようとも
    おまえの姿を 見るだろう

    この耳 音をなくすとも
    おまえの声を 聞くだろう

    この両足 失おうとも
    おまえのもとへ 行くだろう

    この両腕 折られても
    おまえをきつく 抱きしめよう

    この鼓動 止まっても
    意識でおまえに ふれるだろう

    この身 すべて引き裂かれても
    流れる血潮に おまえを映そう

    だからいま せめていま

    時間を止めろ 夜の夜には

    「からだは、いらない」 ライナー・マリア・リルケ 菅原敏訳

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