【閲注】俺たちダンディーズ

  • 1二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 16:22:17

    ※弁護士と刑事のバディもの(CPなし)

    ※注意: #殺.人事件 #脳パカ


    ガチャッ

    「おーい、日車。いるか?」

    返事はない。玄関から姿は見えないが、しかし事務所の奥にある執務室からはバシャバシャと水が滴る音がする。

    加えて、熱気。2月の末だというのに、まるで日本の夏のような暑さと湿気だ。日下部はいつものように「はーやれやれ」と溜め息つきながら、手に馴染んだその丸いドアノブに手をかけ、好んで見ようとは思わない男の顔を見に扉を開けるだろう。

    そして。


    「は?――――――はぁあああああ!?!?!?何やってんだよオマエは!!!!」

    「ん?なんだ騒がしいな。――ああdice1d3=1 (1) か、そういえば呼んでいたな。そこのソファーが空いてるぞ」

    (1.日下部 2.警部 3.篤也)


    そこには着衣入浴にいそしむ友人(?)がいた。

  • 2二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 16:22:49

    《日下部の驚き: dice1d100=30 (30)


    「dice1d3=3 (3) は服を着て風呂に入ったことがあるか?思っていたより気持ちがいいぞ」

    (1.君 2.お前 3.日下部)

    「ある訳ないでしょが。あーあ、部屋がびちゃびちゃだ。こんなんじゃお客さん来れないっちゅーのに何考えてんだ」

    「今日は何もない日だから大丈夫だ。あっ、一人いたな。失礼した」ペコッ

    「~~、このダメおじさんが!」イラッ

    「俺はおじさんじゃない」

    「はぁーーーー、まあいい。さっさと要件をすましてくれ。――"例の件"について話があると言っていたな」

    「待ってくれ。意外と濡れて気持ちが悪い、着替えてからでいいか?」

    「どうぞご自由に!!」


    コイツに振り回されるのはいつものことだ、と日下部はなるべく目の前のことについては考えないようにする。当面の己が任務である、"例の件"について整理してみるか――

    仕事嫌いの彼が珍しくも待ち時間に仕事のことを考え始めるが、その思考はすぐに袋小路に行き着く。なぜなら、その事件には余りにも情報が足りないのだ。

    本日二度目の深い溜息を吐いて、日下部はやれやれとソファーに腰を下ろした。

  • 3二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 16:55:35

    いいね続けて

  • 4二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:03:28

    ありがとう
    言い忘れたけど日車と日下部メインで推理ものです



    「溜め息ばかりだと幸せが逃げていくぞ」
    「……お前さんは毎日お気楽ハッピーで楽しそうよね。日車、もう来たのか」
    「そうでもない、弁護士なんてやっていればな。……うーん足が寒いな、足湯にしよう。一緒に入ってもいいんだぞ」
    「あのね、冬なんだから、普通はお前みたいにバスローブにスリッパなんて格好で隙間風がすごい事務所歩いたりしないの。足元なんてモコモコ毛糸に革靴で蒸れるくらいなの。お前がおかしいの!」
    「意見の相違だな」
    「全く」

    日車は執務机からガラガラと椅子を引いてきて、風呂桶の横まで動かした。小さく添えられた「よっこいせ」の呟きはやはり、おじさんのものだと日下部は思う。

    「それで話だが」
    「ん、言ってみな。正体未明の連続殺.人事件について、弁護士先生は何を聞いたって?」
    「どうも、俺の知り合いの先輩が殺ってしまったらしくてな」
    「は?????」
    「困ったもんだな」
    「え??は?????…………マジで?」
    「……真偽はともかく、俺はそう聞いたぞ」

    日車の言う知り合いとは、日下部もよく知る検事〈七海建人〉のことだった。

  • 5二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:05:46

    おっさん二人バディでミステリとか大好きや!!

  • 6二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:08:05

    ――ここで一先ず、彼らお兄さんたちが暮らす街についてお話ししよう。
    名を〈ガッデムシティ〉と言い、人口1,000万人、老いも若きも仕事や娯楽を求めてやって来ては、気付いたら居ついていたり殺されていたりする、華やかな大都会だ。金があり、夢があり、人がいるとなれば、大小様々な小競り合いや衝突はそこかしこで起きようというもの。熱気があるのは良いことだが、殺気も極めて多いのは困ったことだ。
    市長〈夜蛾正道〉は何とか住みよい街にしようと日々奮闘しているが、犯罪白書上の数字にはあまり成果が出ていない。

    ――そこで市民が頼るは、日下部警部を初めとする〈ガッデム市警〉の面々だ。怪しい人に襲われたら、「助けて!くさかべ~~~!!」と叫んでみよう。刀を片手に急行し、どんな暴れん坊でも「はーやれやれ」と一瞬で制圧してくれるはず。強面に無愛想もいい所な彼らがそれでも深く尊敬され、また感謝されているのは、その強さと安心感のために他ならないのだ。

  • 7二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:08:24

    さて、今日も悪人がわんさか元気に罪を犯しているガッデムシティだが、このごろ市民の井戸端会議は専ら〈脳なし殺.人事件〉の話でもちきりだ。
    正直、殺.人事件が起こること自体は、あわやの一大事でも無い"日常"なのだが、その事件がげに恐ろしいのは、被害者全員が頭をぱっくりと割られて脳を取り出された状態で発見されているという点に尽きる。その数既に10人。先月から数日おきに発見される死体の顔は、次は貴方の知己のものかもしれない。

    警察はそれらを同一の犯人によるものとして調査を進めているが、手掛かりは一切見つかっていない。誰が怪しい、どの建物が胡散臭い等々の話は昼夜を問わずガッデム市警に寄せられるのだが、そのどれもが恐怖から来る誤解であったり鬱憤晴らしのイタズラだったり、真相に近づくものは一つも無かった。――はずだったのだが。

  • 8二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:09:28

    面白そうな話が始まった

  • 9二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:12:05

    「――昨日、俺が弁護した件の検事が七海建人という男でな。中々出来る奴で、俺よりちょっと若いながらも一目置いている訳だが、昨日はどうも精彩を欠いていた……というか心ここにあらずで酷く動揺していた。そこで一つ話を聞いてみたら、『……こんなこと、誰にも言う訳にはいきませんが。でも、日車さんにだったら、私っ――!!』」

    「待て待て、七海は俺も普通に知り合いだがそんな感じじゃねーだろ!?」

    「……あっそう。まあ兎に角、彼が言うには、『高校時代の先輩で今はdice1d3=3 (3) をしている〈夏油傑〉が、一丁目大通り脇の路地で若い男の頭を脳パカしている』所を見てしまったそうだ」

    (1.教祖 2.教師 3.芸人)


    《日下部の疑心(日車に対して): dice1d100=22 (22)

  • 10二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:19:20

    「脳パカ、ねえ」

    「つまり犯人はそいつだ。よかったな日下部、一斉捜査だ忙しくなるぞ」

    「……まだ決まった訳じゃねえだろ!?てか待て容疑者ですらない奴に本職が犯人扱いすんな……俺はなあ、dice1d3=2 (2) (1.夏油 2.夏油さん 3.傑)がやったとは思えないんだよ。だって、あの人誑し真面目ゴリラだぞ。dice1d3=2 (2)

    1.人助けが趣味みたいなヤツが人殺.しするかよ

    2.ついこの間も五条と馬鹿やってるとこ見たし、そんな趣味も時間もねーだろ

    3.素手でこう一思いに人を握りつぶすことはあるかもしれねーが、ちまちま器用に脳を取り外すヤツじゃないだろ


    ……まあ、dice1d3=2 (2)

    1.(dice1d3=3 (3) 1.本人に 2.親友の五条に 3.七海にもう一度詳しく)聞けばわかるか

    2.アリバイ集めはしとくか

    3.それはそうとして、窓の外に誰かいないか


    《日車の、日下部の反論に反対する気持ち: dice1d100=62 (62)

  • 11二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:33:35

    こういうSSで既存キャラが話に絡むの好き好き

  • 12二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:37:10

    「そうか。まあ頑張ってくれ、俺はちゃんと伝えたからな」

    「おう、ありがとよ。じゃあちょっくら行ってきますか」


    日下部は、夏油の最近の行動を洗うことにした。ガイシャの推定死亡時刻から逆算して、犯行が行われた時間はおおよそ分かっている。その間の夏油の消息が掴めれば、彼が本当に犯人かどうかは分かるというものだ。

    またラッキーなことに、夏油は芸人という多くの人目に付く仕事をしている。仮にライブやTVの仕事が入っていれば、分身や変わり身の術でも使わない限り同時に悪事を働くことはできないだろう。


    日下部は日車の事務所から署へと歩きながら、懐からスマホを取り出して検索をかける。

    《見つけられたか: dice1d100=57 (57) (80以下で成功)》

  • 13二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:47:42

    「『払ったれ本舗 〇月×日 出演』――お、あったあった。いや普通にTV出てんじゃねか!『払本 〇月△日』――これもあるな。『払本 〇月■日』『払本 ▽月◇日』…………もういいか、こりゃシロだ。じゃあ七海が見たってのは誰なんだよ全く――日車はともかく、七海がふざける訳ないしな」


    やっぱりと言うべきか、すぐに調査は座礁に乗り上げた。大々的に報道されていて全く手掛かりのない事件のしっぽなんて、簡単に見つかるものでは無いのである。

    しかし、他にやることもないのは事実。この情報について、もう少し洗ってみるのもいいかもしれない――先程までの気苦労を考えれば。


    日下部の行動: dice1d3=3 (3)

    1.夏油の最近の様子について(dice1d3=2 (2) 1.本人 2.親友の五条 3.ネット)から情報を得る

    2.七海に話を聞き直す

    3.七海が夏油を見たという場所まで行ってみる

  • 14二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 17:59:02

    『一丁目大通り脇の路地』は、ここから歩いてそう遠くはない。一度行ってみるのもいいだろうと、日下部はひとまずの行き先を決定する。


    そこは、大通りからは陰になっていてよく見えない、人気のない道だ。建物と建物間に挟まれて、室外機やらゴミやら様々なものが所狭しと並んでいる。

    もちろん、若い男の死体は無い。先の話が本当であれば、当然その夏油らしき人はすでにそれをどこかへ移した後なのだろう。せめて、血や遺留品、あるいは足跡なんかが見つからないものかと、日下部はスマホのライトをつけて目を凝らす。


    《何か見つかったか: dice1d100=48 (48) (70以下で成功)》

    見つかったもの: dice1d3=2 (2) (1.髪の毛 2.手帳 3.足跡)

  • 15二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 18:05:12

    手帳から情報手に入りそうかな

  • 16二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 18:08:31

    脳みそ無しで殺人事件て聞くと
    アナザ〇ヴン思い出す

  • 17二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 18:15:00

    「何だこれ……手帳か?」

    路地の中ほど、ブオンブオンと音を立てる室外機の陰に隠れて、黒い手帳が一つ落ちていた。こんな所、滅多に通る人もいるもんではないし、夏油(仮)かガイシャのものである可能性も低くは無いだろう。
    ページがめくれ、よく使いこんであることが伺えるその革の手帳を日下部は手に取り、ぱらぱらと中を確認する。――いちばん最後に書かれたページはどこだろう。ひょっとして、七海が夏油を見たという日で止まっていたりはしないだろうか。

    「〇月×日――おっ、真っ黒に詰め込まれてんな。そんで、その後の日はスッカスカ。こりゃビンゴかもしれねーな」

    右上がりの、わりかし読みやすい癖字で書かれたその手帳は、日記代わりにも使われていたのだろうか、数字のない右ページには、何やらたくさんの思いの丈が綴られていた。独り言の羅列のようなそれからは、深く読み込まずとも、底知れない苛立ちが読み取れた。

    「こりゃ――なんだ?」

    《誰の手帳?: 1.若い男 2.「夏油」》

    ※話考えるため続きはしばらく開きます。皆さん反応ありがとう

  • 18二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 18:15:18

    dice1d2=2 (2)

  • 19二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 18:51:15

    夏油(仮)杜撰だな落としていくなんて

  • 20二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:34:51

    『私は■■■■、28歳、185cmで長■の男、パ■ワードは大体誕■日、ホテル暮らし、■子は10歳、アレルギーはエビ、…………』

    書いている内に、汗でも垂れたのだろうか。所々判読不可能な箇所はあれど、総合的に言って、これはどうやら誰かのプロフィールのようだ。例えば、背格好だけを見れば――夏油傑その人のような男の。

    人物を表すその数行が、まるで写経か書き取り練習かのように、永遠と繰り返されていた。


    「殺.人犯のターゲットの情報?にしてはな……こんくらい覚えろや」


    まあとにかく、夏油に似た姿の何者かが変なことを企んでいるのは確かのようだ。件の事件に関係があるにしろ、あるいは無関係にしろ。


    《日下部の驚き: dice1d100=89 (89)

    《日下部の閃き: dice1d100=76 (76) (80以下で成功)》

  • 21二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:39:11

    手帳の狂気的な内容に、日下部は身の毛よだつ恐怖を覚えた。やはり、この手帳の持ち主は普通の状態にはないのだろう。
    自分のことを思い出せないのだろうか?――認知症か、あるいは多重人格の者のように。

  • 22二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:39:26

    一方その頃、日車は買い出しのために外へ出ていた。

    都会の駅前となれば、道行く人はみな忙しそうに早足で歩いていく。ぶつかることがないように、「こういうゲームあるよな」とか思いながらスイスイと交差点の人混みを抜け―― 一人の男にぶつかった。酷い正面衝突である。相手は元よりフラフラ千鳥足であったのか、どさりと力なく倒れこむ。


    「おい、大丈夫か?」

    「えっ、あ、いや――うんと、どうにも、えっと、その……」

    「……大丈夫では無いようだな。ちょっとそこのベンチにでも座った方がいい。飲み物を買ってきてやる。歩けそうか?」

    「あ、ん――すみません、だめそうです」

    「仕方ないな、肩を貸してやる。行くぞ」


    ひょいと支えて歩き出せば、男は「すみません、ありがとうございます」としきりに呟きながら足を動かす。よれよれのTシャツに履き古しのジーンズ、重たい前髪に生気のない顔と、どこまでも頼りない感じを受ける。


    《男に違和感を覚えるか: dice1d100=15 (15) (70以下で成功)》

  • 23二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:40:07

    滅茶苦茶驚いてるな
    まあこんな情報だけ書かれてたらビビるよな
    そして気付けたんだな

  • 24二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:41:01

    何やら変な男だ。ちらりと見えた額には、横一文字に施された縫い目が目についた。
    ベンチに休ませ、自販機で買った水を与えてやれば男は幾分落ち着いたようだ。

    「本当にありがとうございました。さっきからフラフラして、頭もぼんやり考えがまとまらなくて。でも大分元気になりました。」
    「それは良かった」
    「あの……それで、迷惑ついでに、ちょっと話を聞いて貰ってもいいでしょうか?」
    「暇だしな。いいぞ」
    「……最近、恐ろしい夢を見るんです。人が人の命を奪う夢。それも、私が襲う側なのです。起きる度に、ああ、私は何をしてしまったんだと、呼吸が苦しくなるくらいの恐怖に襲われます。今のは夢だ、本当に起こったわけじゃない、と思っても、不安で仕方ない。もし私が、私の本性が、夢で見たような人間だったら……って」
    「――不安になるのは仕方が無い。ストレスがあったりするのなら、その手の支援先はたくさんある。何事も、専門家に任せるのが一番だ。それでまあ、付け加えるなら――仮に貴方が罪を犯していたとしても、貴方であって貴方ではない人物による行為であるのなら、それは貴方の罪ではないだろう。考えすぎず、楽観的にいれば別にいいんじゃないか」
    「……それもそうですね。うん、そんな気がします。改めて、本当にありがとうございました」
    「別に構わない」

    そう言って、二人は別れた。

  • 25二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:41:14

    その頃日下部は、手帳を片手にどうしたものかと思案していた。

    これが手掛かりであると見込んで、「夏油似の誰か」についての聞き込みでも始めようか。それとも、先に署に戻って報告でもしようか。もしかしたら、自分のいない間に他の情報でも入ったかもしれない。――結構犯人は迂闊な人かもしれないのだから。


    dice1d2=2 (2)

    1.dice1d3=3 (3) (1.夏油 2.五条 3.七海)に聞き込み

    2.署に戻る

  • 26二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 20:52:54

    日下部が彼のホームに戻れば、同僚たちはいつもと変わらない気安さと疲れの滲んだ声でもって、彼を出迎える。自分が先程見つけたものを重要品として鑑識に回し、そして新たなニュースはないかと周囲に気を配る。

    なにやら、ちょっとした緊急事態があったようだ。


    「――ええ、はい、10歳の男の子です。ピンクの髪に、翡翠色の目。名前は虎杖悠仁くん。行方不明。詳しい話は――」


    《周囲の静かさ(70以下でもっと情報が出る): dice1d100=81 (81)

  • 27二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:00:57

    虎杖?小さい子供なんだな
    しかし情報出なかったか!うるさかったな

  • 28二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:03:57

    子供の行方不明。まれによくある、痛ましい事件だ。警察は総出を挙げて探すだろうが、部署違いの日下部がしゃしゃり出る間はあまりないだろう。脳が吸いなわれた状態で保護されたら、別の話ではあるが。縁起でもない、と日下部は頭を切り替えて注意をそちらから外した。


    一方、日車が事務所に戻ると、一人の小さな来客があった。


    「すみません、ここ、相談できますか?」

    「……30分で5,000円だ。金はあるか?」

    「……ない」

    「フッ、冗談だ。迷子の君に道案内をしながら、ちょっと世間話をするくらいはいいだろう」

    「ありがとう、おじさん!」

    「俺はおじさんではない。日車だ」

    「俺はゆうじ!ありがと、日車!!」


    暗くなってきた空を見上げ、日車は「この子の家が近けりゃいいがな」と思いつつ、腰をかがめて ゆうじ君と目線を合わせた。


    「それで、君の家はどっちなんだ。最近の事件で一層治安は悪いというのに、子供が出歩いていい時間ではないぞ。」

    「んーとね、俺は……」


    《ゆうじ君、上手く話せたかな: dice1d100=40 (40) (40以下で成功)》

  • 29二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:09:11

    あれっ行方不明じゃない?
    ギリギリうまく話せたな

  • 30二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:19:22

    「んー、なんていうか、俺ね、家出中なんだよね」

    「……親が嫌いなのか?それとも、学校が嫌とか」

    「親ーー?爺ちゃんは好き!でも病院だから、あんまり会えないけどね。学校は楽しいよ。友だちいっぱいいるし。でも最近、学校行けてないや。今日は寝過ごしたっぽいし、昨日は――あれ、行ったっけ?」

    「記憶がぼんやりしているのか?自分家の場所は言えるか?」

    「あーー、えっと、文化会館分かる?あの辺!住所で言うと、○○丁目××番地の――」

    「結構距離はあるな。ここまで歩いてきたのか?……ああでも家出中と言ったか、この近くに知り合いでもいるのか」

    「強いて言うなら日車かな。気付いたらこの辺にいたんだよね。そんで、ほうりつじむしょ、って書いてあったから、なんか匿ってもらえるかなって」

    「なんだ、人でも殺.したのか?」

    「んーーーーーー、まあ、そんな感じかな?」

    「え」


    《日車の驚き: dice1d100=64 (64)

  • 31二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:28:01

    なるほど家出中か
    もしかしてさっきの男と同じ…?と思うがよく見たら縫い目あるし怖いな
    殺してるかもとか言われたらそりゃ驚く

  • 32二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:36:47

    「――君の話を否定するでは無いが、子どもの身体で出来ることは限られていないか?つまり、本当に君がしたのか。……ほら最近、嫌な事件が相次いでいるから、悪夢でも見てチャッ〇ーの生き様でも体験したとかな」

    「……いや、俺は俺だよ。少なくとも、俺はそう思ってる。俺が殺.した。……あ、証拠もあるよ」

    「――そうか。まあ、それならまずは自首するべきじゃないか?罪の意識があるのなら。知り合いに、心根は確かな刑事がいるから、話してみるといい」

    「……うん、でも、警察なあ……■■が嫌がるから、また――」


    虎杖は低い小さな声で何かを言いかけたが、日車はちょうどタクシーを捕まえようと、辺りを見回していた。自分の家は言えるようだし、気を変わらせて自宅に送り返してやるか、あるいは警察まで行って保護して貰った方がいいだろう。

    それでも帰りたくない、警察は嫌だとごねるようなら、どうしたものだろうか。


    《dice1d100=25 (25) (70以下で聞こえる)》

  • 33二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:56:45

    「宿儺が嫌がるから、また暴れちゃうかも。そんで、人傷つけたら嫌だし。」


    その声には、10歳の少年とは思えないような寂寥と孤独、人を寄せ付けない何かがあった。

    日車は少年に同情しつつあったが、ならば大人としてここは彼を安全なところまで送り届けてやるべきだろう。手を挙げて呼び止めたタクシーが彼らの傍に停車し、日車は虎杖に気遣い気な視線をよこす。


    「さ、俺が払ってやるから乗っていけ。家に帰るか?それとも警察――多分日下部はいるだろうし――に行くか、どっちがいい?」

    「ありがとう。俺は――」


    とその時、虎杖のズボンのポッケが♪ピポパ~と鳴り出した。この年にしてもうスマホを持っているらしい。メールを受信したのだろうか、電子音はすぐに止んだが、虎杖は画面に表示された通知を見て顔色を変える。

    身長差のお陰でがっつり見えてしまったそれには ただ一言、


    「仕事だよ」


    と書かれていた。


    「――ごめん、やっぱ俺、帰るわ。……それで、悪いんだけど日車、俺と一緒に来てくれない?悪いようにはしないからさ」


    《日車は頷くか: dice1d100=68 (68) (50以下で頷く)》

  • 34二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 21:58:38

    宿儺か…仕事なのも含めてなんか放置したらヤバくないかこれ?と思ったが断ってしまったな

  • 35二次元好きの匿名さん25/02/23(日) 22:17:35

    良いSSだ
    期待

  • 36二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 01:16:12

    一応夜ほしゅ
    明日の午前中に少しやって早けりゃ夜に終わります

  • 37二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 10:08:08

    日車と別れた虎杖は、整える人も無く荒れ果てた自宅へ戻った。
    自分の「母親」を名乗る人間との二人暮らし。彼女は、まだ虎杖が幼いころに死んだというのに。加えて、その人物は時々姿を変えた。文字通り、別の人間になるのだ。そして、時々同じ人物に戻る。長髪の大男だ。
    それでも、虎杖は「母親」が確かに自分の母親であると、そう思っている。見た目は変わっても、話し方、料理の味、甘やかしてくれることはないが、それでも時折自分を見つめる時の満足そうな顔は――かつての母に、そっくりだから。

    自分をメールで呼びつけたその人は、今日はよく見る大男の姿で彼を出迎えた。

    「遅い。何やってたの?私は忙しいんだから。ほら、さっさと宿儺に変わって。またいつものね。今日はこいつ。一個前のやつをがっつり見られたんだよね。あーーーもうほんとムカつく。前世だったら記憶を失うなんてことなかったのにさあっ。本当にもう、あーー」

    苛立った様子で再度見せられた写真には、日車その人が写っていた。

  • 38二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 19:06:00

    ヒューーーー!!!気になるところで!!!

  • 39二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 21:12:40

    そういや絵もこれ自作?だとしたらすげえ

  • 40二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:49:38

    >>39

    家具は素材使いましたが人物は自分で描きました!……色塗り苦手人間なので20時間かかったとさ

  • 41二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:49:59

    日下部が署でくすぶっていると、不意に事件に続報が入った。新たな被害者が見つかり、それは痩せぎすの若い男であるということだった。驚いたのはその次だ。――監視カメラによれば、彼が最後にあった人物は日車であるという。
    その時、不意に日下部の中でパズルのピースが組み合わさった。

    ――もし犯人が、多重人格や おっちょこちょいなどではなく、
    ――突拍子もない話ではあるが、【人の身体を渡り歩いて】いたとしたら。
    ――そして万一、日車が次のターゲットであったとしたら。

    フィクションでも中々お目にかからないことではあるが、何故か日下部にはそれが現実に起こりうることで、実際に見たこともあったかのような気がした。

    日下部は、日車の元へ急いだ。

  • 42二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:50:48

    ガチャッ
    「おーい、日車。いる?」

    返事はない。玄関から姿は見えないが、しかし事務所の玄関脇にある洗面所からはバシャバシャと水が滴る音がする。沢山のことがあった一日。もう寝る準備でもしようかと、歯でも磨いているのだろうか。

    「良かった。いたんだな。……ちょっと、まあその、会いたくなって」

    ほっとして、貴方は声をかけつつ歩みを進めるだろう。

    「なんだ?……さっきぶりだな、虎杖。何か用か?」
    「うん。まあね。…………その、悪いんだけど。死んでくれる?」

    日車の目の前には、桃色頭の少年がいた。

  • 43二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 22:54:34

    急展開すぎる

  • 44二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:02:10

    「は?」
    「『…………ケヒッ!!初めましてだな、日車とやら。悪いが俺は虎杖悠仁ではない。この小僧の身体を使って、人間を鏖殺していた者だ。まあ、観念するんだな。……なに、お前に恨みがある訳では無い。俺を起こしにくるヤツがただ貴様の死を望んでいただけだ』」
    「――警察を呼ばせてもらう」
    「『そんな暇を与ええると思うか?すぐだ、楽にしてやる』」

    キンッ

    少年の放った手刀は、日車の首を掻っ切ったかに思えたが――――

  • 45二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:23:46

    「はーまてまて、これじゃ俺が格好つかないだろうが」

    日下部が鞘ごと刀を振り、その手を止めた。勢いで少年は身体をよろめかせ、床に頭をしたたかに打ち付ける。その拍子に、少年は自分を取り戻したようだ。

    「あ……俺、ごめん、本当にごめんなさい…………!!!」

    その時、玄関でガチャリと音がして新たな人影が彼らに加わった。

    「宿儺~~やってる???ってあれ、…………ちょっと??」

    その声の主を見た刹那、虎杖は呼吸を荒げてしきりに涙を流し出した。

    「母さん……もう、止めようよ、こんなこと」
    「……はあ。そんなことが許されると思ってる?君、自分をなんだと思ってるの?」
    「――ちょっと待て。話は分からないが、虎杖が怖がっている。そこまでにしないか」
    「そうだ。事情があるなら、警察に話してみるといい。俺らは市民の味方だ」

    「…………助けて、おじさんっ……!」
    「おじさんじゃない。……せめて、あー、ダンディーズとでも呼んでくれないか」
    「……助けて、ダンディーズ……?」

    「「ああ、助けるとも」」

  • 46二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:24:30

    このレスは削除されています

  • 47二次元好きの匿名さん25/02/24(月) 23:25:57

    最後駆け足になりましたが、以上で完結です


    ダイスの戯れで、謎が解決する前にイベントフラグ踏んじゃって最終対決になりました……

    説明しきれなかったものは裏設定としてまとめました


    裏設定まとめ | Writening個人の解釈です。 羂索: 犯行の動機# 根底の解釈→【同じことをするのはつまらない、未知との遭遇がしたい】人物である ーーー ・普通の一般人(夏油の兄)として生まれた ←(諸説考えられますが仮に原作が)…writening.net

    ※個人の原作解釈を多分に含むのでご注意ください

    ※犯人の動機の説明&世界設定が主になります


    【要点】

    ・おもしろを求めて羂索は《前世の記憶》を得られるという怪しい話に乗ってみた

    ・呪術が存在しない世界でかつての夢の続きをと、再現できない前世を形だけでも再現しようとした結果、人々の身体を渡り歩くように

    ・殺.すのは面倒だが呪霊操術とかもないので、鏖殺趣味の宿儺(虎杖の第二人格)に殺.すのはやって貰っていた


    最後までお読み下さりありがとうございました!

  • 48二次元好きの匿名さん25/02/25(火) 00:18:24

    そ、そんなここで終わりなんて……!
    ありがとうスレ主楽しかったよ!!

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています