- 1二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:32:01
いつも昼寝をしているベンチでパーマーとキングが唸っていた。
タイシンが近づくと二人がほぼ同時に顔を上げる。
「……なにしてんの」
「やあ、タイシン」
パーマーがいつものように手を振って挨拶をする。
その横でキングがぺこりと頭を下げる。
「実はちょっと困ったことがあってね」
「そう、大変だね。じゃアタシはこれで」
別の場所へ行こうとすると、パーマーがベンチの空いたスペースをポンポンと叩く。
今日の昼寝はあきらめたほうがよさそうだ、とタイシンはおとなしくパーマーの隣に座った。
「……すみません、タイシン先輩」
申し訳なさそうにキングが話す。
「いいよ、慣れてるし」
タイシンの脳裏で騒々しい同期がピースサインをしていた。
「それで?なにで悩んでんの?」
「お母様……じゃなくて家族になにかプレゼントしようと思ったんだけど、よさげなものが思いつかなくてね」
「お花でも贈れたらよかったのですけど、生花だと日持ちもしないでしょうから……」
ふとタイシンは思い出した。
幼いころ母さんと一緒に作った記憶。
「じゃあ、押し花でも作ってみる?」
「押し花?」
二人が首をかしげる。
「これなら保存もきくし、しおりとしても使えるでしょ?」
「でも作るの大変じゃないんですか……?」
タイシンは少し得意げに答える。
「厚紙とアイロンがあればできるよ。あとラミネーターもあれば完璧だね」
二人が目を見合わせて口を開く。
「ラミネーター……?」
なんとも絶妙な表情をされてしまってタイシンは吹き出してしまった。
「わかったよ、アタシが一から教えてあげる」 - 2二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:32:17
「花びらが薄くて水気のない奴のほうが作りやすいよ」
「こういうやつ?」
「お、コスモスじゃん。いいね」
「タイシン先輩!四葉のクローバー見つけましたよ!」
「……それ、カタバミ」
「ええっ!?」
「そうそう、上からぐって押す感じで。当て布は熱いから気を付けて」
「「はーい」」
「おお、これがラミネーター……」
「初めて見たわ……」
「……キングはともかく、パーマーもなんだかんだお嬢様だね」 - 3二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:32:34
こうして完成したしおりをパーマーとキングは嬉しそうに持って帰った。
タイシンも自室へと戻った。
手にはサルビアのしおりが握られている。
自分の机に座り、所在なさげにしおりをもてあそぶ。
少し迷ってから引き出しを開ける。
封筒を取り出し、さらさらと住所を書く。
「……せっかく作ったんだからもったいないってだけだし、うん」
しおりを入れて切手を貼った封筒を前に言い訳をする。
翌朝、学園前のポストで示し合わせたかのように三人がばったり出くわした。
「えっと、タイシン先輩……?」
「……うっさい、なにも聞かないで」
「あはは。了解了解」
ポストからことん、と三通の封筒が投函される音がした。 - 4二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:33:20
推しが仲良く陳列されてる
- 5二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:33:46
珍しい組み合わせを見ると学園生活の解像度が上がるよね〜
感謝! - 6二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:33:59
推しと推しと推しの絡みが見たかった
四人以上は頭が爆発するので続きはありません
お目汚し失礼しました
推しと推しで立てた前作
キングヘイロー「お母さま!何度も連絡してこないでちょうだい!」|あにまん掲示板校舎裏から声が聞こえる。パーマーが角からのぞき込むと緑色のメンコが見えた。「だから言ってるでしょ!私はもう一人前の……!」「でも、あなたこの前のレースで負けたじゃない」キングの持つ携帯から女性の声がす…bbs.animanch.com - 7二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:36:10
あと、学年が分かんなかったのでタイシンとパーマーを同学年ってことにしてます
違ったらすみません - 8二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:40:06
タイシン先輩か
たしかにキングは中等部だったわ - 9二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:47:21
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:54:32
俺はこういうのを求めていたって自覚したわ……ありがとう。後、後輩キング概念が生まれたのが偉大だ
- 11二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 21:57:35
これは大局観ばりに視野広がるSSですわ