人面獣心探偵本山のミステリークイズ5 〜危うし本山! 人面獣心探偵最後の事件簿!?〜

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:41:31

    はっはぁーっ この第5回スレを見てる君は選ばれし探偵
    この謎を解くチャンスを与えられた 強き名探偵

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:45:07

     というわけでご好評の第5回なんだ もうちょっとしたら 問題を貼っていくんだ

     あうう……いきなり始まらないのかぁっ

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:48:47
  • 4二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:51:49
  • 5二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:53:19
  • 6二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:55:10

    あうっ…こ…こんなにシリーズ続いてたのかぁっ

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:58:52

    ほう……推理スレか

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:15:38

    はっはぁーっ 私は名探偵・本山
    この第5回スレを見てる君は選ばれし探偵
    この謎に挑戦するチャンスを与えられた強き名探偵

    単刀直入に言おうじゃないか これから出題するいくつかのミステリー問題に答えてほしいのよっ
    まずこちらが問題編をいくつか書き込み 時間を置いて解答編を順次書き込む
    その間に君たちは自分の回答を書き込んでもいいし ただ見てるだけでもいい
    もちろん書き込んでくれたらめちゃくちゃ嬉しい

    一応言っておくと問題自体はタフ・ネタとは関係ない
    市販のショート・ミステリー集から丸パク……いや借用したネタをほぼそのまま使っている
    逆に言うとそれだけちゃんとしたネタということだ
    中にはあんまりミステリーじゃないネタもあるけどごめんなぁっ

    さあ 名探偵諸君は今すぐ問題に備えろ
    犯人を失神KOするんだっ 急げっ乗り遅れるな
    推理・ラッシュだ

  • 9二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:17:45

     お待たせの第1問だあっつ


    (1 盲目の武道家の耳をあざむけっ)

    「しゃあけど分からんのです ホンマ全然分からんのですわ」
    扇風機をつけたアパートの自室で。
    パラ柔道――視覚障害.者同士の柔道――金メダリスト、藤垣 聰(ふじがき さとし)は首をひねった。

    「いや、こないだ部屋で友だちのマモルと飲んどったんですけどね。ああ、ワイは左目見えんし右目もほとんど視界はないんですが、マモルは普通に目ぇ見えてます」
    「そんとき、ワイは目の見えん分、他の感覚が鋭いっちゅう話になりましてね。そんでどんだけ鋭いか、ちっと賭けようや、ってなったんですわ」

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:18:51

    (1問目・続き)

    「へえ、あんさんも変なことしたでやんスね」
     盲目にして杖術の達人、帯刀 右近(たてわき うこん)が相槌を打つ。

     藤垣は説明した。
    「ルールはこうですわ。まず部屋の端にテーブルを置いて、そこにマモルが氷をいっぱいに入れたグラスを置く。ワイは目隠しをしたままグラスを触って、氷しか入ってないことを確認する」
    「次に、ワイは部屋の反対側の隅に座って、目隠しをしたままでおる」
    「で、氷のグラスは部屋の隅に置いといて、マモルはサイダーを持って部屋を出る。ワイは部屋の中で動かず、部屋のドアには鍵をかけない」
    「その状態で、『一時間以内に』マモルが『グラスの氷を全て無くして』『グラスにサイダーを半分注ぐ』それを、ワイの耳に聞きとがめられんようにやる」

    「ほう……で、どうでやんした」

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:20:07

    (1問目・続き)

     藤垣はまた首をひねる。
    「それがですね、まんまとやってのけられたんですわ。ワイも集中しとったつもりですけど、なんも聞こえんままでした。でも一時間後に確かめたら、確かにグラスには氷が無くて、サイダーが半分入っとったんです」
    「耳には自身があるつもりだったんやけど、いったいどうやったらそんなことができるんかと」
    「右近さんほどの達人なら、なんか分かるかと思ってお呼びしたんですわ」

     右近は考えるように小さく首をかしげる。
    「ふうむ……あっしも目の見えぬまま戦うため、気配を探る術やこちらの気配を殺す術には、少々自信があるつもりでやんスが。これはなかなか……」

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:21:32

    (1問目・続き)

     扇風機が回るそこは六畳一間のアパート。畳敷きの床は古く、普通に歩けばみしみしと音が鳴りそうだ。

     藤垣は拳を握る。
    「悔しいんですわ! ワイは賭けに負けて、大事なモンを奪われた……!」

     右近は、ぽんと手を打った。
    「なるほど。一つ工夫がついたでやんス」


    (Q1 ◇右近の言う方法とは……?)

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:22:34

    氷をサイダーで作ればええやん……

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:26:44

     俺はキャプテン・スレ主だぁっ

     このスレもご好評につき第5回だが……今回をもっていったん最終回とさせていただこうと思う
     人面獣心探偵と仲間たちの活躍もこれで最後かもしれないし……そうではないのかもしれないね

     とりあえず週1でやってきたけど 定期的にやるのは今回で最後だ
     いい感じにタフ・ネタに改変できそうな元ネタを見つけたら不定期で復活するのかもしれないね
     もちろんスレ主以外の方が続きをやってくれてもOKを越えたOKだ


    ちなみにクイズの元ネタは『2分間ミステリ』シリーズ(ドナルド・J・ソボル)と『5分間ミステリー』シリーズ(ケン・ウェバー)らしいよ 

     あとスレ主は2分間シリーズは一通り読んだから 5分間シリーズで読んでない本を注文したらしいよ 
     まっ シンプルを越えたシンプルでいかにもミステリー・クイズといった2分間シリーズと違って 5分間シリーズはフルコンタクト短編推理小説だ 聞いています……地の文が多い分読むのに時間がかかって、タフ・ネタに改変するのも時間がかかると
     かといって新たに買ってみた『1分間ミステリ』シリーズはなんかシンプル過ぎて味気ないよねパパ(個人の感想)

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:28:14

    >>13

     俺はキャプテン・スレ主だぁっ

     はうっ いきなり正解を出すのはルールで禁止っスよね(?)


     あくまでも解答は後でまとめて出すからなあっ

     

  • 16二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:29:29

    (2 悪魔王子の奪ったもの)

     その大晦日。カメラコンテストの会場を、悪魔王子は一人歩いていた。
     特に見るともなく、展示された作品を退屈そうに眺めていく。
     
    「ん……」
    だが、ある作品の前で足を止めた。

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:31:15

    (2問目・続き)

     フラッシュ使用部門、『聖夜の転落』と題された一枚の写真。
     写真の中には、夜の室内で火のついたマッチをクリスマス・キャンドルに近づけている少女が写っていた。
     キャンドルの近くにはクリスマスツリーとプレゼントの箱が見える。

     だが、その写真が人目を引いていたのは、少女ではなくもう一人の人物のせいだった。
     少女のすぐ後ろにある一枚ガラスの窓の向こうを、カメラに背を向けて落ちていく女性だ。

     説明文にはこうあった。
    『この衝撃的な写真は、クリスマスイブの午後9時半に、A嬢が撮影したものです』
    『ですがシャッターが切られた瞬間、上階から転落したBさんの姿が映りこんでいたのです』
    『当時吹き荒れていた、風速16メートルに達する暴風のため、体重39キロしかないBさんは足を踏み外し、屋外階段から転落し、死亡したものと考えられています』

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:32:49

    (2問目・続き)

    「ふうん……」
     悪魔王子が説明文を読み終わったとき、コンテストの審査員らがやってきた。
     彼らは賞を示す青いリボンをその写真につけようとしていた。

     悪魔王子は言う。
    「何をやってるこのバカどもは?」
     ざわつく審査員に、さらに言い放った。
    「俺ならこの写真には賞はやらないね……本気(マジ)でね。まがい物に……明らかな合成写真に権威ある賞をやりたいなら別だがな」


    (Q2 なぜまがい物だと……?)

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:34:02

    うぅんどういうことだ

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:37:44

    夜に室内でフラッシュをたいて外のものが映るんスかね
    カメラに詳しいマネモブは教えてくれよ

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:39:26

    >>20

    もしかしてそもそもフラッシュを焚いてないんじゃないんスか?

    マッチとキャンドルの火をしっかり写したかったらフラッシュは焚かないんじゃないんスか?

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:48:17

    (3 盗まれたのは……本山!? ~人面獣心探偵・最後の事件簿~)

     その紙には今日の日付と本山の署名と共に、こう書かれていた。

    『ウワーッ 龍星 タスケテクレーッ』

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:48:52

    カメラの仕組みはよく分からないけど多分現実にやったら手前の淡い光にピントが合うはずだから奥の暗闇にある物は見えないんじゃないんスか?

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:49:36

    (3問目・続き)

    『二人の男、一人の女 黒い国産ピックアップ・トラック』
    『いつもの喫茶店』
    『縛られて、座席の後ろの床に寝かされ、毛深い男に頭を押さえつけられている』
    『おっと 縛られているといっても SMプレイ中じゃないからなブヘヘヘ』
    『でも先生 縛られるのは嫌いじゃない……いや そんなことはどうでもいいんだ』
    『男の手はぬかみそのようなにおい 大柄でひどい咳をしている』
    『運転している男の特徴は不明』

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:51:16

    (3問目・続き)


    『どうやら物音から 先生の頭は運転席側を向いている』
    『車 同じところぐるぐる 段差が多い』
    『それから舗装された道をまっすぐ 10分?』
    『そのあと曲がって砂利道を30分?』
    『今は荒地の中 暴力は振るわれていない』

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:53:12

    『体全体に毛布がかぶせられていて 毛布の腰辺りの穴から差し込んだ日光が』
    『舗装された道を走っていたときは上半身の右側に』
    『砂利道を走っていたときは足の方に当たっていた』
    『この名探偵・本山 一生の不覚』
    『タスケテクレーッ』


    「この手紙、というか紙切れを拾った通行人が不審に思い、署に届けてきたわけだが」
    その紙の載った机をトントンと指で叩きながらケンゾー刑事は言った

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:54:43

    (3問目・続き)

    「この筆跡……間違いなく本山先生のものです」
     紙を見ながら龍星助手が言う。
    「文面からすると『本山先生が何者かに拉致され』『犯人の目を盗んで書き残した手がかりを車の外に放った』様子ですが。いったいなぜ」

     ケンゾーはかぶりを振る。
    「その辺は……分からないぜ龍星」
    「だが本山ほどの探偵となれば 様々な事件で扱った犯人やその仲間からいくらでも恨みをかっているはず……これは差別ではない 事実だ」
    「問題は、誰が何のために、というのではなく……まずは本山がどこにいるか、だ」

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:56:23

    (3問目・続き)


     そのときケンゴ刑事がやってきた。
    「うーっ アニキ 捜索手配の準備は終わったぞ」
    「だけど……署長は『有望な探索エリアを選定してそこに絞った捜索をしろ』なんて言うんだ」
    「大々的に街全体を探せばいいのに、何でそんなこと言うんだ……?」

     ケンゾーは顔をしかめる。
    「おそらく、俺たち警察官が外部の協力を得ているなんて一般に知られたくないんだろう。それで秘密裏の捜索に留める、か」

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:57:53

    (3問目・続き)


    「うーっ 薄情な話だ……それはそうとアニキ あの紙切れの内容の裏を取ってきたぞ」
    「今日、確かに本山は喫茶店にいたそうだ。この街の中央部にある行きつけの店だ」
    「いつものハニー・トーストのモーニング・セットを食べていたそうだ、午前9時ごろだ」
    「だが店の者の話では、本山の周りに怪しい者はいなかったらしい。うーっ、店を出た後の足取りも不明だ」
    「本山が拉致されるところの目撃情報はない。それらしき黒のピックアップ・トラックの情報もな」

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:59:31

    (3問目・続き)


     ケンゾーは机を叩く。
    「くそっ! こんなわずかな情報しかないのに、捜索エリアを絞れだと? ふざけんなっ!」

     龍星はつぶやいた。
    「いいえ。どこを探索すべきかは、本山先生がだいたい教えてくれていますよ。この手紙の中でね」

     ケンゾーは鼻を鳴らした。
    「ふんっ ああそうだろうよ。何? 同じ所をぐるぐる回って、段差を乗り越えたって? これだけで何が分かるんだよ!」

     龍星はあくまでも落ち着いていた。
    「それが意味することは。犯人は、おそらく喫茶店の近くを何度も行き来したんですよ。彼らが本山先生を混乱させようとしたのか――そうであればいいと思っていますが――、それとも、彼ら自身が道に迷っていたのか――そうでなければいいと思っていますが――、そのどちらかです」

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:01:27

    (3問目・続き)


    ケンゴが首をかしげた。
    「うーっ どうしてそう思うんだ……?」

    「つまり、先生を混乱させるつもりなら、犯人らは先生を生かしておくつもりである可能性があるということです。何らかの目的を達成した後、生かして解放しても犯人の足取りを記憶されないように」
    「一方、彼ら自身が道に迷って混乱しているのなら、まったく計画性のない犯行……本山先生をどうするつもりかが読めない」
    「ともかく。捜索範囲を絞るのに充分な情報を、我々はすでに入手しています」

    ケンゾーが眉を寄せる。
    「舗装された道とか砂利道とか、この手紙にはあるが……街の外へ向かう主な道は四本、もちろん舗装路だ。だが、この街では大々的な道路改修工事中で、それ以外の道路は砂利道みたいな有様のところも多いぞ」

     龍星は本山の手紙を示す。
    「もう一度この手紙を読んでみて下さい。その内容が、最も有望な捜索範囲を示してくれていますから」


    (Q3 ◇有望な捜索範囲とは……? それはどこから分かる……?)

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:02:26

    ううんどういうことだ

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:04:49

    そもそもそんなに長文が書けるのかよってつっこんでもいいっスか

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:05:13

    おそらく日光の情報が鍵だと思われるが……

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:05:39

    9時頃に拉致されたって事は東側からの陽光っスね
    舗装された道は右側から光→頭は北
    砂利道は下から光→頭は西

    この先は考えるの面倒だから任せるのん

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:08:37

    >>35

    ……ってことは北に向かう道あたりを探せばいいってことでいいんですね?

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:09:09

    >>33

     いいんだ 名探偵にはそれが許される

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:09:26

    >>36

    34だけど、多分喫茶店から車で北に10分、西に30分行った辺りの場所の荒地が怪しいってことっスね

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:12:04

     今回も全3問、推理もたけなわだがそろそろ解答だあっ


    (Q1の御解答だあっ)

    藤垣「ホンマですか! いったいどうやったらこの狭い部屋で足音も立てず、氷を取り出す音も立てず……」

    右近「いや、それはルールと違うでやんス」

    「え?」

    「ルールでは『一時間以内に』『グラスの氷を全て無くして』『グラスにサイダーを半分注ぐ』……氷を取り出すとは言ってないでやんス。そして、ご友人は部屋を出た後、そもそもまた入ろうなんてしてないでやんス」

    「えっ なにっ まさか――」

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:13:26

    (A2・続き)

    「そう。そもそも『グラスに入れた氷は、サイダーを凍らせたものだった』」
    「あとは、部屋の中になんて入らなくても、氷が溶けるまで待つだけで『グラスに氷を無くして』『半分までサイダーを入れる』ことができるでやんス」

    「くうっ そうだったのかあっ! そういやあいつ、ジュース凍らせて食うんが好きでしたわ……! そんなことでワイの大事なもんが……!」

    「そういえば、いったい何を賭けたんでやんス?」

    「ハーゲン・ダッツ一個……」

    「……」

    「お風呂上りに楽しみにしとった、ワイのイチゴ味……」

    「……とりあえず、どこかへアイスでも食べに行くでやんスか」

    「えっ ええんですか!」

    「あっ あっしは別に おごってあげるとは言ってないでやんス」

    「……(ガクッ)」

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:14:45

    (Q2の御解答だあっ)

     悪魔王子はざわめく審査員らに言った。
    「まず、この写真が撮られた状況を整理してみろ」
    「当時、外は『風速16メートルに達する暴風』が吹いていた。台風は風速17メートル以上とされるが、それに近い暴風だ」
    「このときはクリスマスイブ。真冬でしかも暴風の夜、当然『窓は閉められていた』」

    「この写真が撮られたのは夜、そしてフラッシュ部門である以上、間違いなくフラッシュを使って撮られている」
    「そうなると……『外より室内がフラッシュで明るくなり』『窓ガラスは鏡のようになり、外の景色ではなく鏡写しの室内が映る』。つまり、本来なら転落している女など映るべくもない」
    「何が受賞作品だ、実際はただのポンコツ合成写真だ」

     審査員の間で議論が交わされ、ほどなく受賞は取り消された。

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:15:58

    (A2・続き)


     外へ出て、街を一人歩く悪魔王子に誰かが声をかけた。
    「ま、待ちなさいよっ!」

     見れば、先ほどの写真に映っていた少女――無論、落ちていった女性ではなく、キャンドルに火をつけていた少女――とよく似た顔がそこにあった。
     彼女はカメラを首から提げ、先ほどの写真を抱えてそこにいた。
     どうやらあの写真を撮影した女性であり、おそらくはモデルとなった少女の姉であろうかとも思われた。

     駆けてきた彼女は息を切らして言う。
    「あなたっ、あなたのせいで、私の作品は……!」

     悪魔王子は小さく笑う。
    「フッ 甘いよ。あんな小細工で評価されようなんて、とんだお笑いぐさだ。……しょせん、下らないまがい物だ」

    「なんですって!」

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:16:59

    (A2・続き)

     怒る彼女の目の前に、悪魔王子は手を伸ばした。
     指を一つ鳴らすと同時。その手から破裂音が上がり、彼女の顔を煙幕が覆った。

    「きゃあ……!?」

     彼女が目を開けたとき。
     悪魔王子はそこにいなかった。彼女が持っていたはずの、写真もなかった。

     彼女の手にはいつの間にか、一枚のカードがあった。

    『美しきまがいもの 確かに頂戴した』
    『怪盗・悪魔王子』

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:18:05

    (A2・続き)


     ――怪盗・悪魔王子。
     贋作のみを狙う謎の怪盗。
     果たして、盗んだ贋作を彼は蒐集し愛でているのか、あるいは憎み破壊しているのか。
     それは、彼だけが知っている――。


     彼女は手にしたカードをもう一度見る。
     そこには、悪魔王子の手書きらしいリボンの絵が、青いペンで描かれていた。
     まるで、彼女に賞を贈ったかのように。

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:23:42

    (Q3の御解答だあっ)

    ケンゾー「有望な捜索範囲だとか……分からないぜ龍星! いったいどこを見ればそんなことが分かるんだ?」

    龍星「重要なのはまず、ケンゴさんの聞き込んだ情報です」
    「『午前9時ごろ』『街の中央部』で先生は朝食を摂っている。拉致されたのはそれより後です」

    ケンゴ「うーっ それは分かるが……そこからどうやったら本山の居場所が分かるんだ……?」

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:25:09

    (A3・続き)


    龍星「その次に重要になってくるのが手紙の後半です」
    「『先生の頭は運転席側を向いている』
    『体全体に毛布がかぶせられていて 毛布の腰辺りの穴から差し込んだ日光が』
    『舗装された道を走っていたときは上半身の右側に』
    『砂利道を走っていたときは足の方に当たっている』」

    ケンゴ「ううん どういうことだ」

    龍星「まず拉致されたのは『午前9時以降』という事実……このことから『日差しの方向』が推定できます」
    「『日光が差してくる方向は時間帯によって変わる』。日の出のとき太陽は東から昇り、日光もその方向から差します。そしてさらに昇っていくに連れ、太陽は南へ移動します。午後0時ごろにはおおむね南の位置にある、つまり南中します」

    「午前5時~6時の日の出で真東からの日差し。午後0時の南中で真南からの日差しと考えれば、午前9時過ぎならその中間、おおむね『南東からの日差し』となります」

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:26:11

    (A3・続き)


    龍星「あとは図を描いてみると分かりやすいかもしれませんね」
    「『先生の頭は運転席側』つまり運転手から見て右側にあると書かれています」
    「この状態で『毛布の腰辺りの穴から差し込んだ日光が』『上半身の右側に』当たっている」
    「南東から差し込んでくる日光を受けてその状態になるということは『車が西に向かっている』ということ」

    「そして次に日光が『足の方に当たっている』。道を曲がったとも書かれていましたが、この光の位置関係からすれば『北へ曲がった』ということ」

    「つまり、有望な捜索エリアは『町の北西側一帯』ということです」

    ケンゴ「うーっ! なるほど」
    ケンゾー「さすがだな龍星! これだけのわずかな手がかりからそこまで割り出すなんて大したもんだぜ!」

    龍星「本山先生がしっかり手がかりを残してくれたからですよ」
    「……それに、今までの先生の教えがあればこそです」

    ケンゾー「ああ、そうかもな……。とにかく情報は揃った~捜索開始だーっGo―っ!」
    ケンゴ「うおおおっ!」

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:28:10

    (A3・続き)


    (それからの捜索により、本山をさらったとおぼしき車が駐車されているのが発見された)
    (龍星と刑事ブラザーズはその車へと向かう)

    龍星「先生! いるんですか先生! ご無事ですか!」

    ケンゾー「まだ近づくな! ……警察だ、犯人に告ぐ! お前たちはすでに包囲されている!」

    ケンゴ「うーっ そうだ、包囲されている! 被害者を解放して投降しろっ」

     車のドアが開き、手足を縛られた本山が地面へと放り出された。

    「先生!」
     龍星が駆け寄ろうとするが、ケンゾーが制止する。
     本山にはどうやら、大きな外傷はないようだった。

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:29:27

    (A3・続き)

     そして、車から降り立つ犯人ら。
     大柄な毛むくじゃらの男、筋肉質な男の二人。そして中高生ぐらいの少女が一人。

    「うーっ なんだぁっ あんな女の子がなんでここに?」
     ケンゴの疑問に答えるかのように、犯人らは彼らの素性を説明し出した。

     いわく、少女はかつて『本山が手を出してヤッちゃった、家庭環境に問題のある中学生』だった。

    龍星「(……そういやそんな話ありましたね)」
    ケンゾー「(まあそうだったな)」
    ケンゴ「(うーっ そういう奴だったなアイツ)」


     そして、彼らの話によれば。
     その後、両親の離婚が成立、少女は父親とその弟、彼女にとってのおじが育てることとなった。
     夫婦間の問題が解消されたことで、結果的に家庭環境は改善された。

     ――その後で問題となったのが本山とのことだった。
     幸い、少女は現在結婚できる年齢となり、本山のことを好いてはいるようだった。
     本山が少女と結婚し、責任を取るのならば、過去のことは水に流そう――それが、彼女と保護者らの意見だった。
     その話し合いから逃げ出そうとした本山に対し、結果として手荒なまねをしてしまった、ということだった。

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:30:44

    (A3・続き)

    龍星「し……しかし 武道家でもある本山先生が男二人がかりとはいえ遅れを取るとは――」

     本山は悔しげに歯噛みする。
    「くうっ……この名探偵・本山、一生の不覚……!」
    「まさか逃げている途中に落ちていた、女子中学生サイズのブルマ」
    「思わず拾って匂いを嗅いだあれに、麻酔薬が仕込まれているとは……!」

    龍星「えっ」
    ケンゾー「おおっ……うん」
    ケンゴ「うーっ うわぁ……」

    本山「なっ なんだその目は! いいか、女子体操服のハーフパンツ化がほぼ100%進行した現在、ブルマは重要文化財であり同量の黄金にも勝る貴重なお宝――」

     一人熱弁する本山をよそに、流星は言う。
    「いや、冷静に、冷静になりましょう皆さん! 先生は確かにあんな一面もありますが、類稀な推理力を持つ名探偵……世の中に必要な人材です! そうでしょう、思い出して下さい!」

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:31:45

    (A3・続き)

    (流星の言葉に、刑事ブラザーズは本山との思い出を回想する)

    ケンゾー「なあ本山。俺も警官になってそれなりに経つがなあ。嫌な仕事だってある、クソみたいにキツい仕事だってある。それでいて、大して感謝されるってワケでもねえ……こんな仕事やめちまおうかって思ったこともある」
    「本山は、今まで一番イヤだった仕事ってどんなのがあるよ?」

     遠い目をして本山は語る。
    「……あれはまだ私が駆け出し探偵で、助手もいなかった頃」
    「ご近所を騒がせたとある事件を、がむしゃらに駆け回って解決したことがあった」
    「推理も何もあったもんじゃない、ただ若さにまかせて走り回ってな」

    「へえ……あんたにもそんな時代が」

     本山は重くうなずく。
    「その名も……『ノーパン女子高生野外露出爆走事件』」
    「私は犯人たる女子高生を捕まえるべく駈けずり回ったが……結局捕まえてみれば、犯人は女装趣味のある男でしかなかった」
     膝から崩れ落ち、涙をこぼす本山。
    「あんな思いを味わうなら……解決しなければよかった……!」

    「おおっ うん……へーっ……」

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:33:19

    (A3・続き)

    ケンゴ「うーっ 何だかんだ言っても 警官ってのはやりがいのある仕事だな」
    「本山は今まで、これは解決してよかったなあって仕事はあるか?」

     本山はにやりと笑う。
    「もちろんだ。これらの証拠品を見なさい」
    「これは『28歳人妻、悩ましの赤下着盗難事件』のもの。こちらは『美少女JS制服盗難事件』のもの、それは『女子高生無差別スク水盗難事件』のものだ」
    「いずれも私が解決した事件だが、被害品を返してもらう必要はないと被害者に言われてね。戦利品……ゴホンゴホン証拠品として私が保管している」
    「今でもときどき思い出にひたって匂いを嗅いで……いや、見返しているんだよ」

    「うーっ……? それは……え? うん?」

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:34:56

    (A3・続き)

    本山「はーっ なんだか肩がこったなぁ 捜査に根を詰めすぎたからね」
    「先生うつむけに横になってるから ちょっと肩と背中を踏んでくれないか龍星。こり過ぎて、手でもむぐらいでは効かないんだなァ」

    龍星「無理をし過ぎだと言いたいんですよ本山先生 いくら仕事とはいえ、年齢を考えてやってほしいと思ったんですよ」
    「だいたいそんなにつらいなら、整体にかかるとか休暇を取って温泉にでも行ったらどうですか」

    「いや……そんな時間はないんだなァ 私には解決すべき事件と 解決を待つ依頼者たちがいるんだ」

    「先生……。分かりましたよ、僕でよければ踏みますよ。こうですか」

    「うっ……いや、そうじゃない、もっと強く……もっとだ、そう……もっと、蔑んだような表情で」

    「えっ」

    「もっとブタを、ゴミを見るような表情でだ いやっ 聞いてほしいんだ 先生ソッチの趣味はないんだが 今お前をボンデージ姿のSM嬢に いや違うな 清楚なお嬢さまの姿に脳内変換してるから大丈夫 本当に大丈夫だ」
    「さあもっと! 強く、虫けらを踏み潰すような顔で踏んでくれっ……//////」

    「うわぁ……本山先生は清々しいほどのクズですね」

    「はうっ……/////」

  • 54二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:36:05

    (A3・続き)

    「……」
    「……」
    「……」
     三人は顔を見合わせた後、笑顔でうなずいた。

    ケンゾー「犯人に告ぐ。お前ら、無罪」
    ケンゴ「うーっ その男は煮るなり焼くなり好きにしろいっ その方が世のためだ」

    本山「えーっ!!? りゅ、龍星タスケテクレーッ! お前は、お前だけは先生を見捨てたりしないだろう!?」

    龍星「ちょっと待って下さい! 犯人さんたち……」

    本山「龍星……!」

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:37:40

    (A3・続き)

    龍星「これをお忘れですよ、つけときますね」

    龍星は空き缶を先にくくった紐を、犯人たちの車の後部にいくつかくくりつけた。

    ケンゾー「あーこれ見たことあるわ」
    ケンゴ「うーっ 新婚旅行に行く車につけるやつだな……気が利くな龍星!」
    龍星「へへ……」
    本山「いや、へへ……じゃないだろ!? いいか、この希代の名探偵が危機にあるこのときに――」

    本山の言葉をさえぎり、二人の男と一人の少女、そして龍星らが本山を車に押し込む。

    ケンゾー「おめでとう」
    ケンゴ「おめでとう」
    龍星「おめでとうございます」
    本山「いや待てなんだこの最終回……ちょ、待、いやあああっっ!!?」
    (発進していく車)


    ――その後、本山探偵の姿を見た者はいない――
    ――いや、一説には新婚旅行先から『結婚しました』とのハガキが龍星らに届いたとも言われている――。

    (人面獣心探偵・本山 最後の事件簿 ~完~)

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:43:39

    ハッピーハッピーヤンケ

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:46:10

     俺はキャプテン・スレ主だぁっ
     というわけで今回もお付き合いいただき感謝するよパパ
     またしても名探偵諸君の推理力には舌を巻いたよ

     前も言ったが今回をもっていったんの最終回とさせていただこうと思う
     まっ 不定期で復活する可能性はあるからバランスは取れてるんだけどね 

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:52:16

    ちゃんと責任をとった本山先生には好感がもてる

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:13:57

    ありがとう! 本山探偵……

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:25:47

     さらば! 名探偵本山……!
     あれっ これ本当にさらばかな ううん どうなんだ

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 06:06:20

    人面獣心探偵が人面獣心だったなんて……こんなの納得できる

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:12:14

    このレスは削除されています

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:43:56

     結婚した上で探偵を続ければいいと考えられるが……

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 17:14:40

    金田一少年の続編みたいに本山パパの事件簿が始まってしまうと考えられるが……

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