……もうここに通うことはないのですね。

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 20:46:39

    慣れ親しんだトレーナー室。卒業の式典を終えたエイシンフラッシュは、荷物の最終チェックを行った後にこの部屋を訪れた。エイシンフラッシュはこの部屋に足を向けることを暫く避けていた。否が応にも彼との別離を意識しなくてはいけなくなってしまうから。
    この最後の日にも、ここを訪れるかどうかには迷いがあった。だけれどもこの日本の数多くの思い出の中でもさまざまなものが詰まっているここから最後まで逃げ出すということがエイシンフラッシュには出来なかった。

    出迎えてくれたのはエイシンフラッシュにとって大切な自分を導いてくれた光の一つ。数多の栄光に自分を導くだけでなく、たくさんの大切なものをくれたトレーナーである。柔和な雰囲気の彼もしみじみとした様子で愛バを見つめている。
    「フラッシュはドイツに帰ったら、ご両親の道を歩むのだよな」
    「はい。当初の予定より遅くはなりましたが」
    「俺の我が儘で引き留めてしまったから」
    「いいえ、私の願いも同じでしたから。強いていえば、トレーナーさんの罪は私にもっと走りたい、と思わせてくれたことです」
    「そうか。確かに罪深いのは変わらないかもしれないけれど、そう言われるのはトレーナー冥利につきるよ」
    トレーナー室に並ぶ栄光の証を眺めながらしみじみとするトレーナー。フラッシュにも同じように栄光に追従する数多の思い出がよみがえり、二人はしばし沈黙する。

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 20:58:33

    「フラッシュ、本当にありがとう。君には…君という存在にはなんとお礼を言っていいかわからない」
    新人トレーナーとして、放っておけなかった彼女を担当したことにより、錚々たる栄冠を手にすることが出来た。エイシンフラッシュは常勝無敗のウマ娘ではない。敗北の苦味も二人して味わってきた。それでも誰にも誇れるような栄冠を数度に渡って手にしている、多くの人の記憶にも、 URAの歴史にも刻まれてしかるべきウマ娘となった。レース引退からは少しばかり経つ。あの時にも彼女に礼を述べたが、こうして学園から彼女が去り、もう彼女と会うことがないという段になって改めてその気持ちは大きくなる。
    「トレーナーさん、お礼を言うのは私の方です。本当に、貴方がトレーナーになってくれて良かった」
    エイシンフラッシュは自信を持って言える。少なくとも自分にとって目の前のトレーナーは最高のトレーナーであったと。彼がウマ娘としてのエイシンフラッシュの最大の理解者であったからこそここまでの栄冠が勝ち取れた。適切な指導、道を誤りそうになったときに身を持って正そうとしてくれたこと、自身を極力尊重してくれた彼がほんの少しのエゴを見せて引き留めてくれたこと。何もかもが眩い思い出である。その全てが「思い出」になってしまうことが悲しみを覚えるほどに、フラッシュの中ではそれは眩い。

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:10:22

    >>1がいいとハートをつける以外できなくなる

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:11:51

    こんな場末じゃなくもっとまともな場所で書いたほうがいいぞ

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:13:22

    いいか、続きを楽しみにしてる層は沢山いることは理解するのだぞ

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:20:14

    素晴らしい…願わくば、彼女たちの輝かしい未来の一片をほんの少し描いてくれたらと思うよ

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:26:11

    「こうして君とお茶をするのも最後だなんて思うと、やっぱり少し寂しいかな…いや、トレーナーとしては女々しすぎるな」
    はは、と乾いた笑いを漏らすトレーナー。
    「いえ、そんな…むしろ寂しく思ってもらえない方が悲しいです。私にとっても貴方とのお茶の時間は掛け替えのないものでしたから」
    こうしてトレーナー室で、あるいはカフェやケーキ店で他愛のない会話を重ねたことか。もうこの時間もこれが最後となる。
    「そうか…。うん、じゃあ素直に言うとするよ。寂しいって」
    「はい、私も…」
    「…フラッシュ?」
    いけない、声が震えてしまったのをトレーナーさんに悟られてしまった。そう、本当に寂しさを覚えてしまう。こうして言葉を交わすと彼に焦がれる気持ちが湧き出てしまう。彼に言わずにはいた言葉、伝えなかった想いが。でも、これは伝えられない。トレーナーさんとのこの思い出を、綺麗なままにするために。
    この国には立つ鳥跡を濁さず、という諺もあるのだから。

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:37:23

    「フラッシュ、君に涙は似合わないよ」
    はっとするフラッシュ。涙が自身の頬を伝っている。そこにすっと差し出されるハンカチ。
    「似合わないけれども、溜め込んでいるものがあるなら吐き出すことは悪くないと思う。見られるのが嫌だったら、俺は席を外すし」
    彼のハンカチを受け取り、自らの頬を拭う。
    「いえ、こちらに居てください」
    「…そうか」
    腰かけたままの彼は穏やかにフラッシュを見守る。ああ、この眼差しを受けるのも最後になるのか。あふれでる涙は止まらない。白いハンカチに涙が浸透する。
    「…トレーナーさん」
    「…何かな、フラッシュ」
    流れる涙に押し出され、彼に対する溜め込んだものの欠片がわずかに押し出される。
    「……愛しています。貴方を」

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 21:55:55

    「……フラッシュ」
    トレーナーは眼を丸く見開いた。かけられた言葉に困惑したのかもしれない。いや、短い言葉に込められた想いの強さに困惑したというべきか。でも、その重さに気がついて、言葉から逃げれるトレーナーではない。真摯に彼女に向き合い、言葉を紡ぐ。
    「フラッシュ、俺は、その…トレーナーとして、君を導いて、君というウマ娘と共に歩めたことを心から誇りに思っているし、エイシンフラッシュというウマ娘を心から尊敬している。けれど…」
    ああ、フラッシュはその続きの言葉が想像できてしまう。こうなることを恐れていたからこそ、彼にいままで告げることが出来なかったのに。
    「君の想いに、答えることは出来ない」
    その宣告がチクリと胸に刺さる。でも、こうして彼に想いを伝えた上での彼の言葉はフラッシュの心を絶望で塗りつぶすことはなかった。
    「…トレーナーさん、ありがとうございます」
    「…でも、ずるいようだけど君というウマ娘を大切に思っていることは嘘偽りのないことだ」
    「はい、それを疑うようなことはありません。ですが、せめて理由を聞かせてください」
    「理由?」
    「はい。私の想いを受け入れられない理由を」
    何故こんな言葉が口をついて出るのだろう。余計に辛いことになるかもしれないのに。でも、本当に最後かもしれないのだったら、確かに全てを吐き出した方がいい。
    「…理由、か。それは、今まで俺が君をそういう目で見てこなかったからだと思う。トレーナーとして君を導くという思いでいっぱいだったから」
    絞り出すように理由を語るトレーナー。それはまごうことなく本心である。彼女と親しく言葉を交わしても、その厳然たる一線は彼の中には明確にあった。

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:08:13

    「…ふ、フラッシュ?」
    彼女はトレーナーの言葉に身を乗り出していた。そして、恐る恐る言葉を小さな唇から紡ぐ。
    「それでは、私が嫌ということではないように聞こえます」
    「…君を嫌、なんて思ったことはないよ。君とともにいること自体は凄く楽しかった。でも、そういう目で見れないということだけなんだ」
    「…トレーナーさん、でしたら、少しだけチャンスをいただけませんか?」
    「え?」
    「私とともにいるということが嫌でないのなら、そういう目で見れない、というところを突破できれば、私の告白は受けていただけるのではありませんか?」
    「え?ええ?」
    フラッシュは一歩も引かないように距離を詰める。トレーナーはタジタジだ。
    「明日から、私はトレセン学園の生徒ではなくなりますし、貴方の担当ウマ娘とも言えなくなります。明日から、ドイツに帰らねばならないギリギリの日まで、貴方の時間を下さい。私の最後の挑戦です」
    「フラッシュ…」
    「その時までに、そういう目で見れない、という貴方の気持ちが覆せなかったら潔く諦めます。ですから…」
    トレーナーはフラッシュに気圧されて否は言えなかった。フラッシュはそれを諾と取る。
    「トレーナーさん、私は負けるつもりで勝負を挑むようなことはしませんから…」
    レースで幾度も見た彼女の覚悟を決めた表情を久方ぶりに目にして、思わずトレーナーは心を奪われかけるのであった。

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:17:42

    「ん……」
    起床予定時刻より30分前に彼女は目覚める。どうやら夢を見ていたらしい。過去の夢ともいいがたい。何故なら過去のエイシンフラッシュは彼に想いを告げることができなかったのだから。同じシーツにくるまるのはあの時より少し時を重ねた風体の彼。夢の自分と違って遠回りはしたけれども、紆余曲折あってトレーナーとウマ娘ではなく、恋人同士と言える関係になっている。
    「いずれにせよ、こうなる運命だったのかもしれませんね」
    そうして彼女は起床時間までの短い時間を最も愛おしい彼の鼓動を感じながら過ごすのであった。

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:18:08

    というわけで久方ぶりに勢いでかいてみた。
    ありがとー!

  • 13二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:19:07

    サンキューイッチ

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:21:13

    ありがとう…

  • 15二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:23:12

    時間差攻撃は卑怯だよ…

  • 16二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:24:10

    ありがとうございます

  • 17二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:25:27

    えがった…もしかして例の人?

  • 18二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:31:47

    素晴らしすぎて何も言えねぇ…
    ありがとうございます…

  • 19二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:31:49
  • 20二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:32:37

    >>19

    あ!やっぱりあなたか!いつもお世話になってました!ありがとう!

  • 21二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:43:34

    前回かいたやつもぺたり

    おはようございます、トレーナーさん|あにまん掲示板bbs.animanch.com


    また書いたらよろしく!

  • 22二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 22:59:29

    応援してるからまた気が向いたら書いてね〜

  • 23二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 23:01:14

    またこの人才能を不法投棄してる…
    あにまん法を改正して1と1の才能を保護しろ

  • 24二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 23:09:23

    ss以外の短文でルドルフとマルおねも書いたりしたからそういうのもどこかで見かけたらよろしく!

    久方ぶりにss形式で少しお出しできたのと感想もらえたのでめちゃ嬉しかったりします。
    いやほんとにありがとー!

  • 25二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 06:52:22

    フラッシュとフラトレはよい

  • 26二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 06:58:42

    マルおね版気になる

  • 27二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 12:51:49

    勇気を出せた√じゃねぇか…
    こっちはこっちで気になるぜ

  • 28二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 20:51:08

    最近フラッシュのイチャイチャ供給がおおいきがする

  • 29二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 06:58:24

    フラッシュに攻められたら勝てないよねトレーナーさん

  • 30二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 18:07:20

    >>29

    そりゃあ、最初の段階で負けた状態からスタートするわけだし。トレーナーは、退路のある負けから退路は無いけど前身出来る負けに変わるって感じ?

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