フラッシュがさ

  • 1二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:00:30

    あの有マ記念で手帳を破り捨ててドイツ旅行をしたあと、改めてこれからのスケジュールを立てるんだよね
    もちろんトレーナーさんと一緒の未来を思い浮かべるんだけど、ふたつの道があってどちらを選べばいいかわからなくなっちゃうんだよね
    それでトレーナーさんに助けを求めたら、もっと将来を見据えた言葉をもらうんだよね
    それからは二人の未来を描いたスケジュールなんていくらでも書き込めるんだよね
    そんなお話ないですか



    書きました

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:00:58

    そこにありますね

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:01:52

    トレーナーとの甘々未来日記を書いてそれをトレーナーに見られてあたふたするフラッシュは入荷予定があります?

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:02:08

    書いたのか

  • 5二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:02:37

    >>3

    Twitterで見たな…

  • 6二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:02:47

    まさかのました工法

  • 7二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:02:54

    スケジュールを立てることは、とても楽しいものです。
    こうあるべき、こうありたいという未来に向けて、道筋を整備していく。
    そして、その予定に沿って正しい行いをして、目的を達成するのです。

    「どう、しましょうか……」

    あの年末の大一番で今後を記した手帳は破り捨ててしまいましたから、新たな未来図を描く必要がありました。
    トレーナーさんを組み込んだ、私たちのスケジュール。
    私の実家で挨拶も済ませたようなものですし、将来の彼が共にあるということは大前提として決まっています。
    しかし、私は卒業までの一年間をある程度埋めることが精一杯で、その先はぽつぽつとしか書き込むことができなかったのです。

    私はドイツに戻り、両親のケーキ屋を手伝いながら、父のようにマイスターを目指すつもりでした。その後は家業を継ぐか、ひとつのお店を持ち、ゆくゆくは後進の育成にも手をつけたいと考えています。
    今も、その夢は変わっていません。
    ……けれど。トレーナーさんという存在が現れて、彼と未来を歩みたいという気持ちも、浮かび上がってしまったのです。

    トレーナーさんをドイツに連れて帰る訳にはいきません。彼にも仕事があり、トレーナーという職業に誇りを持っている。
    他方、私がドイツに帰らないという選択肢もありません。そうしなければ資格は取得できませんし、本場で腕を鍛えなければ、将来お店に出すお菓子は完璧とは程遠いままになってしまう。

    あちらを立てればこちらが立たない。そんな状況に陥って、私は身動きが取れなくなってしまったのです。

    両親ならば、どうするでしょうか。
    やはり初志貫徹。最初の予定通りの道を進むでしょう。
    私もそうしようと思っていましたが……

    ……悩んでいても仕方ありません。もう、私は一人ではないのですから。
    直接聞いてしまうのが、最も早い。
    トレーナー室へと赴き、ドアを三度ノックします。

    「失礼します。トレーナーさん、少しよろしいでしょうか」

  • 8二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:04:27

    扉を開けると、トレーナーさんは手元のファイルから目を上げて、こちらを向いてきます。
    私の不器用さを補ってくれる、両親に並ぶ憧れでもある人。
    他人を頼るということを教えてくれたのも、彼でした。

    「今後のスケジュールを立てていたのですが、行き詰まってしまい……」
    「おや、フラッシュにしては珍しいね」
    「ええ。……元はと言えば、トレーナーさんのせいなんですよ?」

    デスクの脇に歩み寄ろうとして、ソファーへと促されました。
    トレーナーさんは席を立って、お茶でも淹れようか、と申し出てきます。
    今は結構ですよ、と答えると、私の隣に腰を下ろしました。
    そして、私は空白が目立つ手帳を開いて話し始めます。
    ……この距離感も、いつしか当たり前になっていましたね。

    「私の本格化の時期とレースパフォーマンスを考えると、現役でいられるのはあと一年くらいです」
    「そうか。フラッシュが自分でそう感じているのなら間違いないけれど…… 悔いはない?」
    「はい。限界まで走って引退するのであれば、心残りはありません」

    どこかに燻っていた、走りたいという強い気持ち。
    トレーナーさんの熱意もあって私は三年での引退を撤回し、走り続けることを選択しました。
    一方で、選手寿命はどうしようもなく、これを変えることはできません。

    「その頃には卒業も迎えることですし、ドリームトロフィーリーグへの挑戦はしないつもりです。……ここまでは、大まかなスケジュールを立てることはできました」

    隣に座るトレーナーさんの横顔を、じっと見上げます。

    「……問題は、引退してからです。マイスターの資格を得るためにドイツに戻って家を継ぐか、トレーナーさんと日本に居るまま製菓を勉強してお店を持つか。……私には、どうしても選べないのです」

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:06:16

    どうしたらよいと思いますか?
    そう問いかけると、トレーナーさんはページをめくって、この先の予定を隅々まで確認します。
    テストの答案を採点されているようで、なんだか緊張します。
    そして、数秒目を閉じてから、私と目線を合わせました。

    「将来的に、自分が君と一緒になるというのは、もう決まっているんだね?」
    「! あ、あの、すみません。勝手に…… ご迷惑、でしたか……?」
    「ああいや、フラッシュと一緒が嫌という訳ではなくてね。まあ、そうなる予定ではあるんだけど……」

    彼は照れたような表情になって、続けます。

    「この先の未来をフラッシュと歩みたいと思っているのは本当だから、そこは何も問題ないんだよ。……決め文句はまたの機会にってことで、いいかな?」
    「え……? あ、はい……!」

    なんだか衝撃的な発言が飛び出したような気がして、心臓が飛び跳ねました。
    トレーナーさんが、私と未来を……!
    改めて言葉にして確かめてみると、言い表せないような高揚感があります。
    やはり実家に招待して正解でした。
    しかし、いま大事なのはそこだけではありません。
    上がる口角と胸の鼓動を抑え込んで居住まいを正すと、改めて問いかけます。

    「……あの、そうなのですが、そうじゃないんです」 
    「ごめんごめん。それで、フラッシュがどうしたいのかわからないんだよね?」
    「はい。マイスターか日本での生活か、どちらか決められないのです……」

    私の人生を左右するような大きな決断でしたが、彼の返答は素早いものでした。
    それは、すべてを確信しているかのように、きっぱりと。

    「両方、選ぶべきだよ」

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:07:33

    お前が始めた云々書きに来たらまさかの書き終わってたパターンで麺食らってる

  • 11二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:08:12

    予想外の答えでした。
    もう少し考えるものかと思っていたし、ましてや提示した選択肢のどちらでもない。
    両方とはいったい?

    「……どうして、そうお考えになったんですか?」

    説明を求めると、彼は優しさを包みつつも真剣な視線で、口を開きます。

    「フラッシュは完璧主義だから。どちらを選んだとしても、きっとどこかで後悔してしまうと思うんだ」
    「そう……でしょうか?」
    「日本に残ったら、マイスターになるという夢を諦めてしまった悔いが。ドイツに行ったら……自分で言うのも恥ずかしいけれど、ずっと一緒に居られないということへの悔いが」

    トレーナーさんは表情を緩めます。

    「まあ、いざとなったら仕事を辞めるくらいなんでもないことだけど――」
    「……っ! いけません!! トレーナーさんは、トレーナーというお仕事を大切にされているのですから」
    「君ならそう言うと思ったよ。だから、仕事も大事にしたいし、フラッシュのことも大切にしたい」

    彼は、欲張りさんなんだよね、と苦笑いをして。

    「だからね、どちらかを選ばないといけないなんてことはないと思うんだ。ドイツでマイスターを取ってから、日本で暖簾分けみたいにお店を開けばいいじゃないか」
    「……!」

    ある意味で、目から鱗でした。
    選ばなくてもいい。思考が硬直化しがちな私には思い付かない道。
    ――しかし。

    「トレーナーさんはご存知なのですか? マイスター資格のためには長い時間が必要ということを」
    「もちろん。フラッシュのことだから調べたことがあってね」

  • 12二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:10:50

    ゲゼレのために少なくとも三年。それからの修行にも、およそ三年から五年の歳月がかかります。より高度な技術を身に付けようとすればそれ以上の時間が必要だし、二つの試験に受からなければ、さらに長く。
    その間は、あまり顔を合わせることはできないでしょう。

    「この道を選べば、卒業後はしばらく会えない日々が続くよね」
    「……はい」
    「本音を言ってしまえば、フラッシュと離れてしまうのは寂しいよ。……それでも、君には夢を諦めてほしくないんだ」

    そう言い切った彼の瞳は、私に“走る姿を見ていたい”と伝えてくれたときと同じ色。
    嘘偽りのない本心だということは、これまでの経験から容易にわかりました。

    「人生設計も立てられたんだから、引退まで走って、それからドイツのご両親の元で修行して。マイスターになった暁には日本へって計画も、フラッシュなら出来るよね?」
    「……ええ。そこまで決まってしまえば、あとは簡単です」

    離れ離れになるというのは、私も寂しく思います。それも数か月ではなく、年単位で。
    しかし、トレーナーさんは私に夢を叶えてほしいと願っていて、それは叶えられると信じているのでしょう。
    だからこそ背中を押して、私を前に進めてくれる。
    そして、二人はまた同じ場所に立つことができると確信している。

    「最後にドイツではなく日本でお店をっていうのは、ちょっとわがままかな?」
    「――いいえ! 私も、そうしたいと思います!!」

  • 13二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:12:36

    長く見積もれば十年後。
    街の一角に店舗兼住宅のケーキ店を構え、お店の主は私。
    お昼には同じ道を志す者たちを教えながら切り盛りして、夜に帰ってくるのはトレーナーさん。
    店を閉めたら、あとは夫婦水入らずの時間を過ごす。
    ――なんと素晴らしい青写真なのでしょうか!

    「それでは早速、これからの予定を書き出していきましょう。まずは先日トレーナーさんが書いたレーススケジュールを参考に。お見せいただけますか?」

    レース最後の年はドバイや香港に挑戦するのもいいでしょう。もちろん、秋の天皇賞連覇も目指します。
    卒業を迎えたらドイツへ渡り、腕を磨く日々を始めます。
    一度目の試験を突破したら、さらに研鑽を重ねて。
    マイスターとなる夢を叶えて父と並べる立場になったら、再び日本へと戻る。結婚式はどうしましょうか。披露宴はドイツと日本で二回開くのも手です。
    そして、トレーナーさん――いいえ、そのときはもう“旦那さん”――との生活をスタートさせる。
    立地はやはり、馴染み深い府中にするべきでしょうか。それとも都心に寄せてみるべきでしょうか。首都圏であれば少し離れた、落ち着いた地域にするのもよさそうです。
    それから、長い道のりですから、合間合間に対面する機会も設けておきましょう。……いえ、これはサプライズにしましょうか?

    次から次へと、やりたいことが浮かび上がってきます。
    そして、それらのすべては私たちなら実行可能です。


    「――トレーナーさん。スケジュールを立てるって、楽しいですね!」


    さらさらと走るボールペンは、愉快な音色を奏でていました。

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:26:05
  • 15二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 22:32:57

    アッ・・・・・・

オススメ

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