- 1二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:57:12
ランド大陸の辺境に構えられた、革命軍の屯する拠点。私に充てられた部屋の中には、今……奇妙な事だが、ドギラゴンが二人いた。
「それは、そうだが……少し、近過ぎる」
一人はこの私。もう一人は、何と言えば良いのだろう。語弊を恐れずに言うのなら……夢の世界における、私?
「ふーん? 恥ずかしい、ねえ……密室の中で、女の子にここまで近寄られたら、さしもキミとて気になるのかい?」
元々、彼女はこの世界の存在ではなかった。
ドギラゴンの称号を持つ者の織りなす歴史と、彼らに他者が抱く夢──それらが結集した世界の産物、あるいは囚人。それが彼女、《ドギラゴン天》だった。
あるきっかけから、そこに入り込んだ私は……有り体に言えば彼女を連れ出した。
何の事はない。同胞とて、いや、同胞なればこそだ。そのような夢に繋ぎ止められた存在を、そのままにしておく訳にはいかない──そんな気が、しただけ。
「とにかく、だ。少しは、離れてくれ」
「……本当に、止めて欲しい?」
「……ああ」
そう。私はドギラゴンの名を得た者として、すべき事をしたまで。結果として、異なる世界にいた彼女を現世に引き摺り下ろしたのは事実だが……戻りたければ、手助けすると、そう私は誓っている。
はずなのだが。
「まあ、止めないけど」
「む、待て……!」
どうも彼女は、私の事が気に入ったのか。何せ、考えている事が読みにくい。
力の強さも全く同じなのが少し、憎らしくなる。上手く隙を突かれて、ベットに倒されてしまった。
「はは、ボクの勝ちだね」
「天……!」
「そう怒らないでよ。キミ、今日は無理矢理休まされてるんだろう? 毎日働き過ぎって」
「……そういう事には、耳が良いな……」
言いながら、彼女は私の上に乗っかり、身をこちらに寄せた。
私の視界が真紅に染まる。彼女が持つ対のトパーズにもまた、私が一杯に映っているのだろうか。
「こんな日は中々ない。今日くらいはさ──ボクと付き合ってよ。ね、“皆”の頼れる団長さん?」
すみません、こんな感じの幻覚があにまんでは見れるって聞いたんですが、どこかにありませんか?
- 2二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:58:43
何言ってんだ
ここにあるじゃないか - 3二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:58:54
すみません当店はセルフサービスなんですよ
- 4二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:59:14
あ、ありました
団長が二人? | Writening 閃には「別時空(競技世界)のバスター(の中でもdottoさんが使用した)」みたいな感じの背景というか物語(?)があるが、天はどう解釈したら良いのか分かんなかったため捏造しましたので注意です。チアリ…writening.net見つけるのに協力してくれてありがとうございます
良ければ皆の幻覚も投下してください
- 5二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 17:59:21
今はただ...君に感謝を
- 6125/09/27(土) 18:24:30
- 7二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 18:44:47
デュエマのこういうssはもっと増えていい
- 8二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 18:58:15
すごく良いものを読ませて頂きました
神とさせてください - 9125/09/27(土) 19:49:27
ついでにもう少しだけ妄想を吐かせて下さい
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さて。
この一日で果たして何を求めてくるのか、一応身構えはしていたが。
「んー……」
「……天、本当にこれで良いのか」
「……うん。まさかとは思うけど、もう止めたいなんて言わないよね?」
「いや、そういう訳では」
「じゃーあー……もう暫く、こうさせて……んん……」
この状態のまま、ごろごろしたいと彼女は言ったのである。無論“この”というのは、先程からの──私が半ば押し倒されている状態の事を指すものだ。
(もっと、出掛けるとかいう要求を想定してくるものかと……)
実際、彼女の為にはその方が良いとさえ、私は思っていた。
《ドギラゴン天》という存在にとって、この世界は未だ知らない事の多い地だ。私がかつて収めたこの地について、より知って欲しいのもそうだし──何より、彼女にとってここまで開かれた世界そのものが初体験なのだ。
もっと、外を知って。得ようとしても出来なかった事を、思う様に得てほしい。そう思うのはエゴだろうか。
(しかし……)
彼女はそれ以上に、私との関わりを重視したいらしいのである。 - 10125/09/27(土) 19:50:38
──ね、もっとキミ自身の話を聞かせてよ。
──私のか? 大したものではないと、自信を持って言えるが……
──そんな事ないさ。だって今までボクが見てきたドギラゴンの記憶は、全てが大きく、深くて、素晴らしいものだったんだから。
私の世界にやって来て、革命軍にも協力してくれる事となった、ドギラゴン天。その見返りなのか、彼女は、何かにつけて私との会話を欲した。
私の昔、つまりは王としての記憶。
私の今、つまりは団長としての記憶。
それらに属さない、単なる一人の存在としての記憶。
どれもこれも、話す事を求められた──私の全てを、知りたいのかとも思ったが。
──嫌だったら、言わなくたって良い。でも、そうじゃない事は可能な限り……私に教えてよ。
──何故そこまで、求める?
──何でだろうね。何だか……そうしないと寂しいから、かも。
寂しい、という言葉。
それを言われては敵わない。必要もないのに変に自分を隠す訳にはいかなくなった。 - 11125/09/27(土) 19:51:39
(天は……孤独感があって、それを私で癒そうと?)
理屈は分かる。
彼女にとって、否、彼女のいた世界にとって、友とし得るのはどこかの世界のドギラゴンの記憶のみだった。
それを考えれば、ドギラゴンの一人である私に、似たような事を求めるのは、ある種自然といえるだろう。
いえるだろう、が……
「んー……ドギラゴン、逃げちゃだめだからね……」
「……分かっている。どこにも行きはしない」
これは少し、行き過ぎているような、そんな気が……する。
断定出来ない。こんな事は初めてなのだ。
彼女が私に求めるのは、単なる記憶だけなのだろうか。
彼女にとって、私はどう見えているのか。
(……分からない、な)
ミラダンテのように察しの良い奴なら、理解出来るのだろうが。
私のような愚直者には、天の本当の感情は見えないままだ。
「……んー…………」
「……まあ、いい、か……」
そんな事を考えている内に、私にも睡魔が纏わり付く。午前から眠るというのは、何だか背徳の気配を感じるのだが……
(──彼女が、望むなら。応えられるだけ、応えてやろう)
「……ふ、ぅ……」
眠りの神の呼び声に降伏して。私の意識は下へと落ちていった。
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朴念仁団長はいつか健康に効くと思って最近はssを書いている - 12125/09/27(土) 20:06:12
ちなみにスレ主が苦手で書けないだけでR18な妄想も見たいので下さい
私が泣いて喜びます - 13二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 20:44:03
ここの天も僕っ子でちょっと笑った
皆考えることは同じなのか - 14125/09/27(土) 22:48:12
天視点です。
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……彼が、何も言わなくなったのを感じる。
微かに目を開け、下に敷いている彼の顔を見てみると。
「…………」
想像通り眠りに落ちていた。
(……寝息の一つも立てないんだね)
初めて知る事だった。言い換えるなら、《ドギラゴン剣》という男についてボクが知らない事が、また一つ減った。
嬉しい事だ。
少しばかり頭をもたげ、その姿をしっかりと、眼、脳、そして記憶に納める。眠っている彼は極めて安らかに見えた。
(眠る時はしっかり身体を休めてるって事の、証左なのかな。あるいは──)
はっきりとした違いが生まれる程、起きている間は気を張っているという事の表れか。
「頑張って、いるんだね」
知らず、ボクの手が伸びる。良く整えられた小麦色の髪に触れ、起こさないように慎重に、頭を撫でた。
(……っと、今、ボクは……)
その後になって、睡魔の重りを未だ外せない思考が追い付く。
今、頭を撫でた、のか──何の為に?
彼の為。労いの為。それは本当か?
自分の欲が、そうさせたのではないのか。 - 15125/09/27(土) 22:49:15
──置いて行くような真似をするのは……何だか、嫌だ。
──お前はもう十分、ここで頑張った。
──連れ出したいと言ったのは私だ。その責は果たすさ、ドギラゴンの名にかけて。
彼が文字通り、ボクの世界をぶち破ったあの日から。
ボクはどうやら、少し変になってしまったらしい。
(不器用で、でも折れない意志。他人の事を何よりも考え、そのくせ自分の事は大切に出来ない)
あそこで出会った彼は、びっくりする程に、他のドギラゴンにそっくりで。
だから、彼がボクを連れ出したという結果は、彼だったから起きたのではない事は明らかなのだ。
でも。でも。
あの日あの時あの瞬間。
ボクの心を暴き出し、ボクを解放すると約束し、果たさなくたって良いそれの為に全力を尽くしてくれたのは──彼しかいなかった。
(そのことを、剣はどう思っているのかな)
一度だけ、聞いた。
そうしたら彼、何と言ったっけ?
──私でなくとも、誰か他のドギラゴンが、きっと同じ事をした。だからそこまで、恩義に思わなくても良い……それがお前を縛るかも知れないからな。
──あの時も、言っただろう。ドギラゴンの称号を得し者は、誰しもそういう事ができるはずだ。 - 16125/09/27(土) 22:50:20
(……あはは、ははっ)
笑ってしまう、な。
本当に、本当に──ドギラゴンが言いそうな事ばかりを、言ってしまうんだから。
(恩義に思うな、ねえ?……一周回って、馬鹿にしてるのかと思いたくなるな)
誰が忘れられようか。あの言葉、あの心、あの熱。
(私でなくとも……? 誰だって同じ……?)
それはイフの論理でしかない。ボクを助けてくれたのはキミだけなんだ。過去はいつだって一定なんだよ。
「……むう……」
私が上にいるからだろうか、少し息苦しそうに、小さな小さな声が漏れる。
もっと苦しくしてやろうかな。唐突にそんな事を思う。
そうすれば。ボクの本当の本当は、彼にも分かるのかな。
「……ねえ、剣」
こういう事は彼が起きている時に言わないと、何の意味もないと知りながら。
でも、今はまだ、明確に伝えてしまうのが怖いんだよ。
「ボクがキミに連れて行かれる道を選んだのはね──たぶん、あそこから抜け出したかっただけが、理由じゃない」
──キミと一緒に、行きたいから。
それ以上は、言えない。代わりに、ボクの身体がひとりでに動いて、彼を抱き締めていた。
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これで一区切りなので後は煮るなり焼くなり - 17二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 08:43:06
革命ファイナル編中っぽいからストーリーも変わったりするんだろうか
最高戦力のドギラゴン増えてるし - 18二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 11:44:00
ありがとう