【閲注TRPG】心臓がちょっとはやく動くだけ【CoC×KPC脹相PC虎杖】

  • 1125/10/11(土) 11:57:51

    このスレはKPCを脹相、PCを虎杖としてクトゥルフ神話TRPGを回していくものだよ
    閲覧注意は発狂した時の症状やグロテスクな描写用のため。CP要素はないからそういったレスはしないでね

    今回は因さま作成シナリオの『心臓がちょっとはやく動くだけ』をお借りしているよ
    このスレではシナリオのネタバレを大いに含むので注意してね。既にシナリオを知っている人は先の展開のネタバレはやめてね
    このスレやシナリオの感想やネタバレなどをSNSなどで言うのもやめてね。TRPGではシナリオの内容を人から見える所で話すのは厳禁だったりするよ
    単発スレなので過去通過シナリオのネタバレは控えてね

    ルルブは6版を使用、ハウスルールもあるけど詳しい説明はしないのでこの卓の処理が必ずしもルルブ的に正しいわけじゃないよ
    今回は行動安価あり、今まではシナリオの内容を知っている人の安価参加は禁止だったけど今回は解禁するよ
    安価には気軽に参加していってね
    感想とか疑問でスレが賑やかだとスレ主も嬉しいよ

    分からないことがあればスレ主やスレ民が答えてくれるからスレの途中で聞いてくれて大丈夫だよ

    これは泣いて笑って、そして心臓がちょっとはやく動くまでの物語
    きっとただそれだけの話でしかないけれど、それだけで十分だった話なのだ

  • 2125/10/11(土) 11:58:53
  • 3125/10/11(土) 11:59:54

    今回お借りするシナリオ

    心臓がちょっとはやく動くだけ

    #クトゥルフ神話TRPG #CoCシナリオ 【CoCシナリオ】心臓がちょっとはやく動くだけ - 因の小説 - pixiv※以下の内容は『心臓がちょっとはやく動くだけ』の利用規約であり、他のシナリオの利用規約とは異なります。 ・再配布、転載、自作発言、他言語への翻訳を禁止します。シナリオはこのページでのみ公開しています。 ・シナリオをプレイすることによって発生したあらゆる問題に対して、当方は責任を負www.pixiv.net

    このシナリオは、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です

    Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.

    Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.

    PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION

  • 4125/10/11(土) 12:00:55
  • 5125/10/11(土) 12:02:03

    PC虎杖悠仁

    iachara.com

    KPC脹相

    ???(→終了後に公開予定)

  • 6125/10/11(土) 12:03:21

    決まりきった日常。代わり映えしない毎日。
    いつもと同じように生きていく中で、けれど虎杖悠仁は自分の人生におけるひとかけら、自分の隣に本来あるはずの何かがぽっかりと失われているような、漠然とした孤独を感じていた。
    ふとした瞬間に感じる何かにハッキリとした名前を付けることは難しい。
    孤独、感傷、寂寥。もしくはそれ以外の何かで、これらのどれでもないのかもしれない。
    しかし、端から存在しないものが何であるかなど、考えても分かるはずもなかった。

    虎杖はいつも通りの朝、丸一日働いた翌日の非番でもなく、更にその翌日の週休。
    若く、そして頑丈な肉体が疲れを持ち越すことはなく、スッキリとした目覚めを迎えていた。
    一つ伸びをすれば、ベッドから抜け出すことに未練の一つもない。
    顔を洗って着替えてから、朝食をとる前にランニングだ。
    特に距離を決めているわけでもなく、音楽を聞きながら無心で走る。
    そうしてふと気持ちが途切れれば、踵を返して来た道を戻っていく。
    家に辿り着けばまずは汗をかいた体でそのままシャワーを浴び、烏の行水と呼ぶには多少マシ程度の長さで出て来た。
    下着にタオルを首にかけただけという格好でキッチンまでやってくれば、水道水をそのままコップに注いで一気に煽る。
    勤務地近くの古びたアパートで一人暮らしをしている虎杖には当然だらしないと注意するような輩も居らず、空になったコップをそのままシンクに下げて終わるだけだ。
    多少足元に水が滴り落ちようとも、後で気付けば拭くだけで済む。

    「飯、どうすっかな」

    冷蔵庫の中は空っぽ、とまではいかないがそこまで充実しているわけではない。
    家で食事を毎日食べない勤務状況を鑑みれば、常に食材を充実させても無駄が出る一方。
    となれば必要な時に必要なものだけ買う方が無駄が出ないと悟ったのは消防士になってから一週間も経てば十分だった。
    とりあえずは開封してパサパサになった、昨日おやつ代わりにしたスティックパンを数本食べて済まそうとするも運動終わりの体がそれくらいで満足するはずはない。
    満腹まで一割にも満たないくらいだったが、虎杖は濡れた髪をタオルで拭って再び外に出る準備を始めた。

  • 7125/10/11(土) 12:05:53

    ご飯の炊飯だけセットして家を出れば、青空が広がっていた。

    近くにあるスーパーに向かう途中、平日の朝だからかこれから出勤らしきサラリーマンや学校に向かう学生、親に連れられた幼稚園児などと擦れ違う。

    母親と手を繋ぎ、楽しそうに笑う子供の声がきゃらきゃらと響く。それが当たり前に見えて、得難いものなのだと虎杖は知っている。

    消防士という職を選び、数多のものを救って数多のものを取り零した。

    優れた肉体があるだけじゃ救えないものもあるのだと、そう気付いたことを先輩に吐露すれば笑われたのも今となっては良い思い出である。

    だからこそ努力を怠らず、出来るだけ手を伸ばせる範囲を増やそうと体を鍛え、いざという時の判断を間違えないようにと、学び続けていた。

    こうした日常を守るのが虎杖の仕事であり、そして使命であるとも思っている。

    人の日常が続く様子を、当たり前の日々を享受している幸福な誰かを、虎杖は守りたかったのだ。


    スーパーの滞在時間は然程長くはなかった。

    24時間営業とはいえ、品出しの途中だったようで特に野菜類などは数が少なく萎びているように思えるものもある。

    茄子が安かったのでとりあえずと茄子を取り、同じく割引になっていた鶏もも肉をカゴに入れ、他にも目に付いたものをカゴに入れレジに向かって買い物終了。

    虎杖のことを知る顔馴染みの店員と多少世間話なんてして、別れ家に帰れば食事の支度だ。

    茄子と人参と鶏もも肉の甘辛炒めをレシピも見ずにパパっと作り、丁度炊けたご飯と一緒に食事を始める。


    彼女も居なけりゃ家族も居ない。

    友人は居るが、どうしても休日が人とはズレがちなせいで仕事終わりに飲みに行くなんてことも中々機会がない。

    そもそも酒に弱いわけではないが、いざという時のために断酒している虎杖は飲み会などに参加してもノンアルコール飲料とおつまみや食事を食べて終わるだけだ。

    だがそんな毎日を虎杖がくだらないと思ったことは一度もなかった。


    そして今日も代り映えのない一日が進んでいき、翌日のために日付が変わる前に眠りにつく。

    ベッドに潜り込み瞼を下ろせば、しんと静まり返った夜が出迎える。

    下ろした瞼の裏しか見えぬ暗闇の中、自分の心臓の音がとくりとくりと響いているのを聞きながら虎杖の意識は落ちていった。


    〈聞き耳〉

    虎杖(60) dice1d100=7 (7)

  • 8125/10/11(土) 12:11:31

    〈聞き耳〉
    【スペシャル(技能値1/5以下で成功)】

    冷え切ったベッドに体温が移り温くなり、その温かさに甘やかされるように意識が完全に途切れるその寸前。
    轟々と、音が響く。
    それが何か、最初は分からなかったがふと気付く。
    これは炎だ。炎の音だ。
    何かを燃やし、食い荒らすように燃え盛っていく時の、何かを奪い去る時の炎の音。

    そしてそれに合わせ、誰かの声が聞こえた気がした。
    覚えのないはずのそれの正体を知る前に、虎杖の意識は深く深く落ちていった。

  • 9125/10/11(土) 12:12:53

    唐突に目が覚める。

    意識が覚醒すると同時、ベッドで眠ったはずだというのに冷たく固いものが肌に触れていると気付き虎杖は瞼を持ち上げた。

    しかし目の前に広がっていたのは古びたアパートなどではなく、見知らぬ場所だった。


    「……は?」


    首だけ動かせば、そこは一見すると薄暗い工場の一室のようだった。

    見たこともない巨大な機械が、左右にずらりと並んでいる。

    薄汚れた床には大量のガラクタが、そこかしこに山を作っていた。

    虎杖はその部屋で、何故か自身も打ち捨てられたひとつのガラクタのように横たわっている。


    〈SANチェック〉0/1

    虎杖(80) dice1d100=43 (43)

  • 10125/10/11(土) 12:16:03

    〈SANチェック〉0/1

    【成功】


    ≪SAN減少≫

    減少なし


    驚きはするも、動揺よりは困惑が勝った。

    どうにも覚えのない場所に居ると分かって、改めて辺りを見回す。

    部屋の正面奥には、高い天井までの空間の大部分を埋め尽くすように大量のワイヤーやホースが垂れ幕のようにぶら下がっていた。

    管は複雑に絡まり合いながら雪崩れのように壁を作り、その奥の様子は見えない。


    「どうなってんだよ……」


    呆れと困惑混じりにそう呟きながら立ち上がると、虎杖の体の上から何かが落ちる。

    どうやら自分の胸辺りに載せられていたものらしく、体を起こしたことで滑り落ちていったらしい。

    それはホチキスで止められた冊子だった。

    薄っぺらく、印刷等の雰囲気から家電の説明書のような印象を受ける。

    また、表紙には一枚付箋が貼ってあった。


    探索場所

    【冊子/部屋正面/背後の扉/左右の工学機械/ガラクタの山/部屋全体】


    ≪まず目を向けるのはどこ?≫

    探索場所の指定 >>11

  • 11二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:18:04

    とりあえず冊子を見てみる

  • 12二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:27:45

    おっ新卓きてた
    消防士虎杖頼もしいな

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:28:13

    新卓だ!待ってました!!
    虎杖が20歳になっているのはシナリオの関係だろうか楽しみ

  • 14125/10/11(土) 12:36:18

    ≪まず目を向けるのはどこ?≫

    →冊子


    落ちた冊子を拾い上げれば、自分の服装がいつものものであることに気付く。

    休日の時の私服で、眠る時の寝間着ではないのは確かだ。

    財布やスマホもポケットに入っていたが、スマホは圏外でどこにも繋がりそうにない。


    「俺、普通に昨日寝たよな……?酒飲んで記憶飛んだ、とかでもないはずだし」


    ぶつぶつとそんなことを呟きながら、とりあえずはと冊子を拾い上げる。

    そうすればまず目に飛び込んできたのはタイトルのように書かれていた「初心者かんたん! 失敗しない『〇』の作り方」という文字だ。


    「レシピ本、じゃねぇよな流石に」


    そして中身を見る前、タイトルとは違って手書きらしい文字の羅列が見え、虎杖は思わず慄いた。


    《冊子の表紙の手書きの文字》

    私達はここでひとりぼっち。ずっとずっとひとりぼっち。

    だから、あなたと一緒に生きてみたかった。


    私達は人間が憎くないといえば嘘になる。

    私達は人間が怖くないといえば嘘になる。


    私達の幸せは、あなたをここから決して逃がさないこと。

    ずっとずっと守ってあげる。

    ずっとずっと一緒にいよう。


    〈アイデア〉

    虎杖(80) dice1d100=85 (85)

  • 15125/10/11(土) 12:49:57

    〈アイデア〉
    【失敗】

    「私達?あなた?この”あなた”ってまさか俺のこと……いやいやいや」

    熱烈なラブレターだなんて冗談でも言えないような、狂気さえ感じかねないもの。
    鳥肌が立った腕を擦りながらも、感情が滲んでいるように見えるそれからそっと目を逸らす。
    薄らと脳裏に過ぎった”監禁”なんて言葉を振り払い、冊子についていた付箋へと意識を向ける。
    一種の現実逃避でもあったが、あのような文面を真正面から受け止められるほどの人生経験は今の虎杖にはなかった。

    「こっちは……『失敗作 脹相』?」

    こちらもおそらくは手書き。
    だが先程の文章とは違って、こちらには勢いが見えた。
    走り書きと呼べるような代物だろう。

    「失敗作、失敗作?そういや何かの作り方が載ってる冊子だったっけ、これ」

    衝撃的な文章のせいでタイトルが一時的に脳内から吹っ飛んでいたらしい虎杖が改めて冊子を開けば、まずは1ページ目の中身が目に入る。

    《冊子1ページ目》
    「目次」
    1P…目字
    2P…『人』

    「……え?うわ、本当にこれ2ページしかねぇ。折った紙だろこんなん。『人』ってのもなんだよ」

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:51:47

    うおお楽しみ!

  • 17125/10/11(土) 12:58:46

    《冊子2ページ目》

    「初心者かんたん! 失敗しない『人』の作り方」

    名前はとても大切なもの。あなたの声で名前を呼んで「おはよう」をしてあげて。これでカタチは出来上がり。


    「人の作り方……?保健体育的な感じ的なアレソレでもなさそうだし、どういうことだよ」


    中身はたったそれっきり。

    どうやらこの本は人の作り方について書かれている冊子らしい。

    それにしては腑に落ちない部分もありはするが、虎杖はその冊子を片手に立ち上がる。


    「体の異変は多分ないのが逆に怖ぇんだよなぁ。縛られたりとはは一応してねぇし、閉じ込められてるかはこれから調べるとして」


    こうなった理由も経緯も全く思い当たる点はないものの、どこか気楽でもあるのは自分の身体能力について理解しているからもあるのだろう。


    「うっし、とにかく動くか」


    そうして虎杖は自分がどのような状況に置かれているのか、調べることにした。


    探索場所

    済【冊子】

    未【部屋正面/背後の扉/左右の工学機械/ガラクタの山/部屋全体】


    ≪どうする?≫

    探索場所の指定や行動の指定 >>18

  • 18二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:17:24

    すげぇ面白そう

  • 19二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:26:32

    これは安価下になるかな
    そうすんなり出れないだろうけど扉の確認してみよう

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:47:46

    新卓乙です
    このシナリオ知ってるから安価参加控えるけどこの二人かぁ……頼むからハッピーエンドになってくれ

  • 21125/10/11(土) 13:57:05

    ≪まず目を向けるのはどこ?≫(安価下採用、これ以降も安価ズレたら一個下方針で)

    →背後の扉


    自分が今閉じ込められているのかを確認すべく、扉の方へと向かえばその扉には血のように赤いハート型の錠前がかかっていた。

    所謂南京錠であり、鍵がなければ開かないようになっているようだ。


    「力尽くで……ってのは流石に無理、か?」


    多少力を入れてみても南京錠が壊れることはなく、依然として扉は開かないままである。


    「これ本当に閉じ込められてんの……?俺を?何の目的で?」


    そう口にしていれば思い出すのは冊子の手書きの文章である。

    とはいえやはり覚えがないことには変わりない。


    「ここまで恨まれるようなことは……」


    していない、とは口に出来ない。

    燃え盛る炎の中、間に合わなかった人たちを知っていた。

    その人にも家族が居て、自分を責めて憎んでこうなってしまったと言われればどうしても拳を振り上げることさえ難しくなる。


    「…………そうと決まったわけない、か」


    ぽつりと呟き、改めて扉を見つめるも当然応えが返って来ることはなかった。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=66 (66)

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:05:49

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:06:38

    ガラクタの山の探索
    何があるとか

  • 24125/10/11(土) 14:08:49

    〈目星〉

    【成功】


    「……ん?」


    どうにか扉を開く術はないかと見ていれば、扉の表面に引っかき傷や何かを叩きつけたような凹みが見えた。

    凹んでいる、ということは内側から何かをぶつけた可能性が高いのだろう。

    そうと分かれば、自分以外の誰かの存在、もしくは自分がここに来る前に誰かが居たのかもしれないなんてことが脳裏に過ぎる。


    「………………どうすっかなぁ」


    一応悪足掻きのように扉を押したり、一回蹴りつけてみるもうんともすんとも言わない。

    最終手段ともなれば壊れるまで蹴り続けるなんてことも有り得るのもかもしれないが、その手段はなるべく取りたくはない。

    自分の体を必要以上に痛めつければ、当然職務に影響が出る。

    おそらくは個人的な理由……なのだろうことで自分の肉体を損なわせたくないとこの状況で思うのは些かお人好し過ぎるとも言えたが、これが虎杖の通常運転であった。


    「工場……部品?家に押し入って誘拐って言っても、流石にそこまでされて起きないってのはなぁ」


    どんな状況でも眠れる自信はあるが、眠ったら起きないというわけではない。

    どちらかと言えば気配に聡い方であり、着信音やアラームなどでパッと起きるのも得意なのだ。

    とにもかくにも探索を続けるしかないだろう。


    探索場所

    済【冊子/背後の扉】

    未【部屋正面/左右の工学機械/ガラクタの山/部屋全体】


    ≪まず目を向けるのはどこ?≫(ミスがあったので訂正後再投稿すまん)

    探索場所の指定や行動の指定 >>25

  • 25二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:26:04

    部屋全体を見てみよう

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:41:57

    20歳の虎杖すごく立派に消防士してるなぁ…
    キャラシも読んだじんわりした

  • 27125/10/11(土) 15:08:30

    ≪まず目を向けるのはどこ?≫(安価指定あったレス消したので元の安価と今回の安価を合算)

    →ガラクタの山と部屋全体


    文字通りガラクタの山としか言いようがなく、整理整頓とは対極にあるような有様である。

    少なくとも虎杖がパッと見て何を作ってそうだとか、何のために使われている道具なのかがすぐに分かるような状況ではなかった。


    「ガラクタ……ゴミ……?」


    とりあえず手前にあったものを拾い上げて見てみるも、もはや何かすらも分からない。

    歯車に布、小さなネジや転がっている球体のもの。


    「わっかんねぇ!!」


    そう叫べども悲しくも現実は変わらない。

    それでもせめて何か手掛かりはないか、それこそここが何のための場所なのかが分かる手掛かりはないかとガラクタの山に再び手を突っ込んだ。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=66 (66)

  • 28125/10/11(土) 15:14:15

    〈目星〉

    【成功】


    そして何かを掴み、手を引っこ抜いてみれば山が多少崩れたものの手の中には金属製の何かがあった。

    やはりこれも何かは分からないか、と半分諦めの気持ちもありながら手の中のものを見回してみて、ふと気付く。


    「あれ、これ……」


    少し潰れた円から五本に枝分かれした細い先端が繋がっている。

    どうやらその細い先端は幾つもの節があるようで、動かすとかくかくと折れていく。

    何か見覚えがあるようなと考えを巡らせれば、それが金属で出来た手のようなものではないかと思い至った。


    「手?」


    改めてガラクタの山の手前に転がっていた玉のようなものを拾い上げれば、そのガラス玉のようななにかはよくよく見れば眼球のようにも見える。


    「手っぽいものに眼球っぽいものって、……そういや冊子も人の作り方とか書いてあったっけ」


    〈アイデア〉

    虎杖(80) dice1d100=81 (81)

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 15:20:43

    妖怪イチタリナイだ
    『失敗作脹相』は嫌でも原作の製作者がよぎってしまう…

  • 30125/10/11(土) 15:28:27

    〈アイデア〉

    【失敗】


    暫しガラクタの山を見ていたものの、手やら眼球やらを模したものがあると思えばゾッとする。


    「明日は我が身、的な?シャレになんねぇって……」


    手に持っていたものを置いてそそくさとガラクタの山から距離を取る。

    どういった状況に置かれているのか、相変わらず微塵も分からないがギブアップを聞いてくれる相手でもなさそうだ。

    そうなればせめてギブアップにならないように足掻くしかない。


    「明らかに怪しげなのはもうちょい置いとくとして」


    部屋正面奥のパイプやワイヤー、左右の巨大な機械は怪し過ぎて思わず後回しにしたくなる。

    あぁ、そうだ逃げだとも。

    ホラーならワイヤーがいきなり伸びて来て体をずたずたに、なんてこともありそうだと自分で考えたことにぞっとした虎杖はその場で部屋全体にそれ以外の何かがないかと見回した。


    「むしろドッキリとかだったりする?カレンダーの新ネタとか、そういう感じの」


    消防士を得体の知れない場所に閉じ込めて反応を窺うドッキリも、そんなワンシーンを切り取った写真がメインのカレンダーもこの世に存在するはずはない。

    だがむしろそうであった方がマシなんだけど、なんて考えてしまう程の理解不明な状況に陥っているのも確かであった。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=42 (42)

  • 31125/10/11(土) 15:35:43

    〈目星〉

    【成功】


    あまり緊張感が感じられないような、どこか散歩の一環のような歩き方で部屋を歩いていた虎杖は大きな機械の裏に何か見えた気がして、少し躊躇はあったものの覗き込む。


    「…………ッ」


    しかしそこにあったのはガラクタなどではなかった。

    布のようなものと、そしてくすんだ白。

    おそらくは工場か何かの制服を着ていたらしい人間だったものが夥しい数転がっていた。

    白骨死体に成り果てたそれらが幾つも重なり合い、散乱している。


    〈SANチェック〉1/1d3

    虎杖(80) dice1d100=63 (63)

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 15:37:15

    アイデア2回とも失敗してるけどそれ以外は今のところ安定してるな

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 15:53:16

    消防士カレンダーいいよね
    バイオハザードみたいなコンセプトの背景のやつは見たことないけど…

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 16:12:02

    いかにも怪しげな機材(?)とかを後回しにした結果人骨見つけちゃうのかわいそうに
    嫌でもこの部屋や状況に対する警戒心上がりそう

  • 35125/10/11(土) 16:17:19

    〈SANチェック〉1/1d3

    【成功】


    ≪SAN減少≫

    虎杖:SAN80→79 (不定の狂気は現在64)


    そこにあった白骨死体の数は凡そdice1d20=3 (3) +10体。一つ二つ、という次元ではなかった。

    その数に圧倒され、ここにきて虎杖も初めて動揺を露わにする。

    しかし彼が死体を見たのはこれが初めてではない。

    もっと生々しく、苦しみに濡れた表情の遺体だって目にすることはあった。

    だからこそか、虎杖は動揺を一瞬にして収めて深く息を吸い、そして吐く。

    一度瞼を下ろして視界をシャットアウトし、次に瞼を持ち上げた時には表情に欠片も動揺は残っていなかった。

    手を合わせてから布に包まれた骨に触れれば、時間が経っているのか欠片も肉や脂肪は残っていない。

    どの白骨死体も同じようなもので、同じ衣服を着せられた人間が大量に殺されたということしか分からない

    虎杖にはこれが本物であるかを見極めるような知識はないものの、偽物だとするにはあまりにも楽観的だということは自覚していた。

    年齢も名前も性別も分からず、物言わぬ何かとなったそれらに虎杖が今出来ることはない。

    虎杖が今出来ることは、この中の一つにならないようにすることだけだ。


    「……?あれ、は」


    一番目を引いたのはそれらの白骨化した死体だったが、その奥に鈍く光るアタッシュケースが転がっていることに気付く。

    申し訳ないと思いながらも踏まないように跨いで奥へと行き、アタッシュケースを手に取れば思いの外それは軽かった。

    鍵はかかっていなかったため中を確かめてみれば、


    「中身は……布、じゃなくて服か?」


    白骨化した死体が着ていた制服とはまた違う服がアタッシュケースの中には入っていたものの、それもまた見覚えがない。

    着替える理由はなく、アタッシュケースの中に服を戻した上でそれを手に持ったまま部屋の中央あたりへと戻っていった。

  • 36125/10/11(土) 16:26:54

    これは明らかに異常だと、虎杖は認識を改める。

    そもそも自分が覚えのない場所に居ることも異常ではあったのだが、十を超える数の遺体と共に閉じ込められるなど尋常なことではない。

    被害が自分以外にも及んでいる、という事態の把握が虎杖の心の中のスイッチを切り返させていた。


    「証拠隠滅さえしてないってことは俺がここから出るとは一切思ってないか、俺が通報した程度じゃどうにもならない自信があるのか」


    離れたとして、気付けば視線は先程の機械の裏の方へと向かってしまう。

    人の死は、人の命は、あんなにも無惨に転がされて良いものではない。

    誰かが意図的に与えるものでも、奪っていいものでもないのだ。

    殺意をもって火をつけた人間が居た現場を見た。

    失火により大切な家族が炎に包まれるさまを見て叫ぶ人間を見た。

    虎杖が駆けつける際、基本的には既に何かが失われてしまっている。


    「……だとしても、許せない」


    家族の元に帰してやりたい。

    たとえ生きていた頃の面影がなくとも、こんな所で誰にも知られずに朽ちて良いはずもないのだから。

    尚更ここから出なくてはならないと、虎杖は決意を新たにした。


    探索場所

    済【冊子/背後の扉/ガラクタの山/部屋全体】

    未【部屋正面/左右の工学機械】


    ≪まず目を向けるのはどこ?≫

    探索場所の指定や行動の指定 >>37

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 16:29:42

    ご遺体に手を合わせる虎杖好き
    消防士でも学生でもそうするだろうなと思う

    怖けど部屋正面行くか

  • 38125/10/11(土) 16:49:53

    ≪どうする?≫

    →部屋正面


    遠目でさえ分かる何かありそうな部屋の正面の奥辺りに恐る恐る近付けば、そこでは高い天井からぶら下がった大量のワイヤーやホースが、複雑に絡まり合って壁を作っている。

    万が一それらが動き出しても良いように、と構えてしまうのはホラー映画を思い出してしまうが故か。

    気付けば後ろに幽霊や化け物が居た、なんてことも今ならあまり驚かないかもしれない。


    「中から変なものが流れ出て来るとかごめんだ……って、…………クソ、こっちもかよ」


    遠くからでは気付かなかったものの、こうして距離を詰めればワイヤーやホースの中にそれらとは違う色を持つものがあることに気付かざるを得ない。

    まるで蜘蛛の巣に囚われた虫か何かのように、裸の人間が数十人という単位で絡まって宙に浮いている。

    しかし四肢は妙な方向へと曲がり、その姿勢はどこからどう見ても不自然だ。

    だというのに誰も彼もが眠っているかのように目を閉じて、ピクリとも動かない。


    「人……だよな?」


    そう不安になるほどで、あまりにも静か過ぎる。

    本来ならば曲がらない方向へと曲がった手。普通ならばひしゃげて骨が飛び出るだろうという姿勢。

    それらを鑑みればただの人形だと言われる方が納得できるというのに、見た目だけで言えば人間にしか見えず不気味な光景だ。

    どちらにせよ、これが本物であろうが偽物であろうが人の命を弄ぶような所業である。


    〈SANチェック〉0/1

    虎杖(79) dice1d100=24 (24)

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 16:59:21

    ガラクタの山にあったのは人形の一部っぽかったけどさっきの13体の人骨は本物?これはどっちだ

  • 40125/10/11(土) 17:09:35

    〈SANチェック〉0/1

    【成功】


    ≪SAN減少≫

    減少なし


    頭に血が上りそうになるのを気力で堪え、虎杖はゆっくりと息を吐いた。

    感情のままに動けば、磔のようにさえ見える目の前の”人達”をよじ登ってでも助けようとしたくなってしまう。

    無事に下ろすことが出来たとして、歪んだ四肢を治す術も虎杖は知らない。

    もし意識が戻り、痛みに絶叫するようなことになったとしてもそれ以上助けることは出来ないのだ。


    「落ち着け、落ち着け……」


    自分に言い聞かせるように何度も呟く。

    人を助けたいならば、助ける方法をきちんと考えなくてはならない。

    勢いで走り出すだけでは救えないものもあると知っているだろうと、かつて先輩に言われた言葉を思い出す。

    助けられるものには限りがある。

    冷静でいられなくなった時点で救えるはずのものが救えなくなるのだと、虎杖は知っていた。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=8 (8)

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 17:12:54

    ちゃんと冷静になれてるし結果スペシャルだ
    優秀だな

  • 42125/10/11(土) 17:24:15

    〈目星〉

    【スペシャル】


    ホースやワイヤーに絡めとられている人間は老若男女、国籍も様々であった。

    怪我は見当たらなかったが、背中から管が出ているように見える。

    高さもあるため接合部まではよく見えないが、まるで背中からそれが生えているかのようだと思えた。


    「これは……」


    見た目は丸っきり人間のようにしか見えない。

    だが状況証拠だけ見ていけば、これは人間ではないのかもしれないとも思った。


    「管が繋がってる?どこに、……いや、何と?」


    人間らしきものと繋がっている管は古く、登ったり揺らしたりすると危険そうだ。

    頑丈な足場となってくれるのならば虎杖の身体能力と消防士としての経験や技でこの程度の高さなら命綱なしで登れる自信があったが、それなりの体重がある虎杖を支えるには十分だとは思えない。


    「一か所でも千切れると他がどうなるか分かんねぇのがなぁ」


    万が一、無事に登れたとして繋がっている管を抜くなり壊すなり、それが良いことかも分からない。

    加えて途中で管やワイヤー、ホースなどが千切れて壊れでもすれば雪崩になる。

    そうなれば虎杖もただではすまないだろうし、何より意識がないこの”人間たち”がどうなるかも分からない。

    物理的にどうにかするという考えは止めた方が賢明だろう。


    探索場所

    済【冊子/背後の扉/ガラクタの山/部屋全体/部屋正面】

    未【左右の工学機械】


    ≪どうする?≫

    探索場所の指定や行動の指定 >>43

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 17:29:48

    左右の工学機械
    一応大きな音を立てたりむやみに触れたりしないように慎重に

  • 44125/10/11(土) 18:07:13

    ≪どうする?≫

    →左右の工学機械の探索、大きな音を立てたりむやみに触れたりしないように慎重に


    今の自分がどうしたらいいかの方法が思いつかず、虎杖は一度その場を後にする。

    そうして今まで目を向けていなかった左右に存在する工学機械の元へと足を向ければ、見るからに埃を被っていることが分かる。

    どの機械にも図面が複数置かれているが、そういった図面に詳しいわけではない虎杖にはその図面が何を意味するか理解することは出来なかった。


    「こんだけ埃被ってるってことは暫く使われてないってことだよな、多分」


    使われていたとしても虎杖には現状何をする機械かも分からないのだが。

    白骨化死体も然り、こうして埃を被った機械然り、時間の経過を感じさせる。

    虎杖がここに来るまで長い間放置されていたのではないかと、そう予想はすれど何故そんな場所に自分が連れて来られたのかと疑問は尽きない。


    「せめてもうちょい手掛かりがあれば良いんだけど……」


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=33 (33)

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 18:12:45

    白骨化した死体は虎杖の前にここに連れてこられて冊子の主?にずっと一緒にいようって閉じ込められた人達なのか?

  • 46125/10/11(土) 18:12:45

    〈目星〉

    【成功】


    分からないなりに虎杖がその場にある機械と図面とを見ていくと、ふと気付く。


    「図面にかかれた言語もバラバラで、中の仕組みっぽいのも細かいものから大雑把なものまで幅広いんだよな」


    触って良いものか分からずに首を傾げながら見ていても、埒が明かない。


    「だとして、それがなんだよってことでもあんだけどさぁ……」


    〈アイデア〉

    虎杖(80) dice1d100=51 (51)

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 18:16:59

    三度目の正直でアイデア成功
    これで何かわかるかな

  • 48125/10/11(土) 18:29:16

    〈アイデア〉

    【成功】


    そう言えば、とふと先程のガラクタの山を思い出す。

    鉄製の手のようなものに、ガラス玉の瞳。

    人を模したもの、というだけではなく人のようなものを作る材料だとすれば?


    「……人形?」


    改めて図面を見ても全てが分かるわけではないが、冊子の内容然り、ガラクタの山で見たもの然り、人形やロボットなど、人型の何かを作っていたのではないか?と虎杖は勘付いた。

    そしてこの機械も人形を始め、さまざまな人型の何かを作るためのものなのではないかと。


    「人の作り方……人を作ろうとしてた?でも人形はヒトじゃねぇし……あ、だからカタチだけってこと?」


    しかし人形はあくまで人形でしかなく、カタチだけでも人とは言えないだろう……とまで考えて正面奥の裸で吊るされている”人間”たちを思い出す。


    「確かにあれはカタチだけなら人間、って言えるのか?ってことはやっぱり人間じゃない何かっつーことになんのか」


    そうなれば白骨化した死体も朽ちた人形だと思いたくもなるが、どうなのだろうか。

    しかしあれがもし人間ではなかったとすれば骨だけ残ることになるのだろうか。


    「なんねぇよなぁ……」


    探索場所

    済【冊子/背後の扉/ガラクタの山/部屋全体/部屋正面/左右の工学機械】


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>50

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 18:40:09

    冊子には名前を呼んでおはようをしてあげてっていう指定があるんだけどホースに繋がれてる人間たち(仮)に呼びかければいいのか?
    下ろしてあげるのはちょっと怖いからとりあえず下から「おはよう」って声かけてみる

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 18:52:30

    名前が解ってるのは失敗作ってされてる脹相だけだよね
    失敗作がちょっと怖いけどおはよう脹相って呼んでみる

  • 51125/10/11(土) 19:09:29

    ≪どうする?≫

    →おはよう脹相と呼んでみる


    虎杖が持つ冊子に書いてある『人』の作り方の手順は「あなたの声で名前を呼んで『おはよう』をしてあげて」だ。

    少し、否、かなり悩んだ。

    唯一名前らしきものが分かるのは失敗作と書かれている”脹相”だけだ。

    どうして失敗作と呼ばれているのかも分からず、何がそれを失敗作たらしめているのかさえも分からない。

    そもそも脹相とは名前なのだろうか。読み方はちょうそう、だとは思うのだが、と。

    暫し考え込んでいたものの、このままではやはり埒が明かない。

    再び部屋の正面奥にまで戻り、虎杖は息を吸う。


    「――――おはよう、脹相」


    どうなるか分からないことによる不安が故に、そこまで大きな声は出なかった。

    そのおかげか、本当に朝の挨拶をしているかのような軽さがそこにはあった。


    すると変化はすぐに起きた。


    「う、おッ!?」


    声に応えるように、管が動き始める。

    ずるりずるりと絡まっていた無数の管がほどけるように伸びていき、囚われていた体のうちの一つがゆっくりと少し先の床に降下する。

    見る間に床まで落ちると、その人物はぐったりとそこに横たわった。

    自分よりもいくつかは年上そうに見える、不健康そうな男。

    同性だからまだ良いとしても、全裸だ。どこからどう見ても全裸である。

    やっぱりその管って動くんだ、なんて茶化している場合ではないのは確かだった。


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>53

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 19:15:50

    虎杖なら人っぽいのが倒れてきたら近寄るよなぁ
    一応警戒はしながら近づいて大丈夫か声をかけてみる

  • 53二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 19:25:50

    虎杖なら要救助者かもしれない存在が手の届くとこまで来たら駆け寄るんじゃないかな

  • 54125/10/11(土) 19:50:10

    ≪どうする?≫
    →要救助者とみなし駆け寄る

    疑問は尽きないが、それでも人間のように見える誰かがこうして手の届く場所に下りて来たのならば虎杖が動かぬ理由はない。
    地を蹴り駆け出し、おそらくは”脹相”という名の成人男性に近付いた。
    どうすれば良いのかの正解は相変わらず分からないままではあったが、それでも動いてしまうのが虎杖悠仁というものなのだろう。
    近付けば、裸で横たわるその人のうなじから尾てい骨にかけて一列に複数の管が肌に突き刺さっているのが見える。
    その接続部は明らかに人の皮膚のようには見えず、銀色の金属が隙間から見え隠れしている。

    半ば予想出来ていたとはいえ、やはりそれは”人間”ではない、のだろう。
    だがそうだと知った上で、虎杖は目の前の人物へと声をかけようとしたその時だった。
    唐突にその何か、便宜上は人形と呼ぶそれは瞼を持ち上げる。
    そしてガラス玉のように感情が伺えない無機質な瞳が虎杖を射抜いた。
    一瞬怯んだものの、虎杖がどういう状況なのかの理解が出来ているかを尋ねるよりも早く、それは口を開いた。

    「おはようございます」

    それは声と言うよりもただの音の羅列であった。
    感情が微塵も浮かんでいない無表情のまま放たれた言葉に虎杖が困惑しながらも「おはよう……?」と返せばそれは言葉を続けた。

    「システム起動。チェック、オールグリーン。__脹相。当機体の名称と推測。記録完了」

    まるっきりロボットか何かのような言葉が淡々と口から発せられる。
    視線がかち合ってはいるものの、まるでカメラのレンズを向けられているかのように虎杖は感じてしまった。

    「起動者の名前をインプットします。回答を要求」
    「……ん?」
    「繰り返します。起動者の名前をインプットのため、回答を要求」

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 19:53:21

    おお
    ロボロボしている

  • 56125/10/11(土) 19:58:22

    「起動者の名前って、俺のこと?俺の名前聞いてんの?」
    「肯定」

    自分よりも少し年上に見える男性が無表情で自分を見つめ続けているのは何とも尻の据わりが悪くなるものだ。
    若干気圧されながらも、虎杖は答えない理由はないと名前を告げる。

    「あー……俺は虎杖悠仁」

    その言葉を聞き遂げた人形はかくりと頷く。
    続いて自分の背中を指差しながら、再び口を開いた。

    「接続の解除を要求。物理的解除が可能です」
    「……要するにその管を抜けってこと?」
    「起動者に同行する許可を求めます」

    何が何だかやはり分からないものの、どうやら目の前のこれ、もとい”脹相”は虎杖を害するつもりはないらしい。
    あくまでもおそらくは、だが。

    「同行っつっても、俺もここに閉じ込められてるし」
    「繰り返します。接続の解除を要求」
    「いや、だからさ」
    「起動者に同行する許可を求めます」
    「ア、これ話通じない感じ!?」

    話が通じない。もしくは融通が利かない。
    とりあえずと管を引っこ抜いていけば思ったよりもぬるりと引っこ抜ける。
    人体から生えている金属を抜くようで落ち着かなかったが、本人(?)に痛がる様子は微塵もなかった。

  • 57125/10/11(土) 20:10:12

    「これで良い?」
    「起動者に同行する許可を求めます」
    「あーはいはい、分かった分かった」
    「許可を求めます」
    「許可する!!」
    「了解しました」

    そうして生まれたのは目の前で全裸で座る成人男性。
    虎杖の一挙手一投足を追うように視線がずっと追いかけて来る。

    「とりあえず服着ねぇ?」

    アタッシュケースの中を脹相に示すも、脹相はその中身をちらと見てから視線を虎杖に戻す。

    「この物体群の名、使用方法、不明。回答を求めます」
    「使用方法不明!!?服!服服服!!着る!!」
    「物体群の名称は服、記録完了しました」
    「だからこれを着る、身に着ける?してくれると助かるんだけど」
    「羽織って、履いて?とりあえず下着だけでもさぁ……」
    「使用方法不明」
    「こう穴に足通して、……一つの穴に一本ずつ足を通して!!」

    図体だけは立派にデカいものの、凡そあるべきはずの常識などが見受けられない。
    これで見た目が幼い子供ならばと思いはするものの、人の介助に慣れていないわけではない虎杖は一周回って諦めて一つずつ服の着方を説明していく。

    「これも下着と一緒の履き方で……いや下着は脱がんで上から。でこっちは……いやなに?これどうやって着んの?とりあえず羽織って、なんかいい感じにどうにかして」
    「なんかいい感じの定義が不明」
    「適当に……」
    「適当の定義が不明」
    「……オッケー、とりあえずしっくりくるの試すしかないってことね」

  • 58二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:11:45

    あの謎服どういう構造なのかもよく分からんしな……

  • 59二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:14:27

    突然の介護
    がんばって全裸から進化させてあげて虎杖

  • 60二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:16:16

    誰が用意したのかわからないけどもう少し着せやすい服にはできなかったのか

  • 61125/10/11(土) 20:19:25

    暫くジタバタしたものの、虎杖は肌色の暴力から逃れることに成功した。
    服を着て背中の金属接続部が見えなくなれば、人間にしか見えなくなる。

    「お、おぉ……」

    脹相を立たせてみて分かったが、虎杖よりも更に身長が高い。
    おそらくはロボットの癖にあまり健康そうには見えない顔色とは裏腹に筋肉量としても悪くはない。
    だからこそ全裸で居ることの圧が凄かったのだが、こうして服を着せてもまた違った圧があった。
    その相手がずっと自分を凝視、もしくは観察しているのならば尚のことだ。

    「あー……呼び方は脹相で良い、ンデスカ?」
    「当機体の名称として認識。了承」

    会話終了。
    暫し無言の時が流れる。
    一応会話自体は成立するのならば聞けることは聞いておくべきだろうと思うものの、すぐに思いつくことはない。
    というよりも混乱が勝り過ぎている。

    「幾つか聞きたいことがあんだけど、良い?」
    「肯定、了承」
    「じゃあ――――」

    ≪どうする?≫
    聞きたい内容や話したいこと、したいことなどがあれば行の頭に★をつけて指定
    複数でも可、21時まで募集

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:20:35

    管に繋がれる前のことで覚えてることはあるか聞いてみたい

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:20:47

    ★ここはどういう場所なのか
    なぜ脹相はここにいたのか
    脹相はどういう存在なのか

  • 64二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:26:02

    >>62

    ★つけ忘れてた

    ★冊子についても何か知らないかな

  • 65二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:47:38

    このレスは削除されています

  • 66二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 20:56:56


    ・上に吊るされてる人達は知り合いか、下ろし方は分かるか
    ・この部屋にある機械や遺体について何か知っているか
    ・消防士という概念が分かるか(どの程度一般常識があるのかの軽い確認も兼ねて軽い自己紹介って感じで)
    何をどのくらい知ってるかな

  • 67125/10/11(土) 22:20:38

    「さっきまで管に繋がれてたけどさ、繋がれる前のことって覚えてる?」
    「製造以前の記録は皆無です」
    「……つまり作られる前のことは分かんねぇってこと?」
    「肯定」
    「なるほど……」

    服を着ていれば見た目だけは人間にしか見えないが、やはりその本質は造られたものなのだろう。
    つまりどこかから連れて来られた、のではなくここで作られたのではないか。

    「脹相がここに居たのはここで作られたから?」
    「肯定」
    「そもそもここってどういう場所なん?」
    「当機体の製造工場だと推測」
    「……今更だけどさ、脹相ってどういう存在?人間じゃねぇってのは分かってるけどさ」

    ともなれば傷付くことだってあり得る質問でもあったが、脹相はやはり淡々と回答を続けた。

    「当機体は人体的特徴を模したヒューマノイド、個体名称は”脹相”です」
    「ヒューマノイド?」
    「人型ロボットのことを示すと回答します」
    「じゃあさ、この上で吊るされてる人たちもヒューマノイド?脹相の知り合いだったりする?このままだと可哀想だし、下ろし方とかって分かる?」
    「知り合いの定義が不明」
    「あー、顔見知り?」
    「顔見知りの定義が不明」
    「あの人たちが誰か知ってる?ってこと」
    「個体名称は記録に存在しません」
    「じゃああの管操作して下ろせそう?」
    「起動マニュアル外の操作は禁止されています」

    だが虎杖は脹相以外の個体名称を知らない。つまりは出来ない、ということらしい。

  • 68125/10/11(土) 22:33:22

    やりとりは軽快に進んで行くものの、必要な情報は得られたような得られていないような。
    一旦虎杖は天を仰ぐ。うわ、天井高い。

    「この部屋にある機械と……あと遺体について何か知ってる?」
    「我々の創造主と創造機であると推定」
    「創造主って、あそこにいる人たちが脹相を作ったってこと?」
    「肯定」

    答えを聞いて更に疑問が増えた。
    脹相を作ったものが居るのは分かっていたが、何故ここで死ぬことになっているのだろう。

    「なんで死んだか分かる?」
    「回答権限を与えられていません」
    「そういう答え方もあるんだ」
    「問題の発生に対処しますか」
    「今は良いや、大丈夫」
    「大丈夫?記録に存在しません。どういった言語なのか回答を求めます」
    「大丈夫は……大丈夫以外に説明ある!?平気とか、そういう感じの」
    「平気とは」
    「あー!分かった!分かってるからちょい待ち!!……あ!!問題ないってこと、ノープロブレム!!」
    「大丈夫を登録致しました」
    「良かった良かった。じゃああとは……あ、この冊子について何か分かる?気付いてたら持ってたんだけど」
    「当機体の製造書と断定」
    「お、これは断定なんだ。なるほどね、あんがと」
    「あんがとという言葉の有する意味について回答を求めます」
    「喋れば喋るほどドツボに……!えーと、『あんがと』は『ありがとう』で、『ありがとう』ってのが正しいからそっち覚えた方が良いと思う。意味は相手に感謝を伝えたい時に使う、感じ?」
    「感謝?」
    「相手が自分のために何かをしてくれた時に言う言葉。さっきは脹相が俺の質問に答えてくれたから、だから『ありがとう』ってこと」
    「了解。記録完了しました」

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:45:35

    どうなるのかなこの二人は

  • 70125/10/11(土) 22:47:37

    脹相の製造書らしい冊子に書いてあった通り、こうして完成したのはカタチだけなのだろう。
    だからこそ一般常識に関して知識に大きく欠けがあり、真っ当な会話も成立しない。
    おそらくヒューマノイドとして初期設定で辛うじて会話が出来ているだけ。

    「……改めて自己紹介して良い?俺は虎杖悠仁」

    自分は人間だ、とは敢えて告げずに一旦そこで言葉を切る。
    言うとしても何を言おうかと考えてから、ふと思いついたのは自分の職業についてだった。

    「消防士なんだけど、脹相は消防士分かる?」
    「当機体の記録には存在しません」
    「やっぱそうだよなぁ……」

    ありがとうや大丈夫などの言葉さえ分からず、そもそも服さえもよく分かっていないのだ。
    そう言えば人間が記憶喪失になってもペンの使い方や日常動作について忘れることは少ないらしく、記憶喪失などではなく本当に最初からそれらの記憶がないのだろう。

    「消防士ってのはさ、職業の一つ。職業ってのは……自分が出来ることをやってその対価に金銭を得ること?金銭ってのは欲しいものを手に入れるために必要なもので……」

    一つの言葉を説明するのに必要な言葉を説明するのに必要な言葉を説明する。
    これではキリがないなと思いつつ、続けていれば脹相は黙って聞いていた。

    「俺は火事とか炎から人を守る仕事をしてる。一人でも多く自分が助けられる人を助けたいから、……なんて脹相に言っても分かんねぇよな、ごめん」
    「ごめんとは」
    「申し訳ないとか、あー……相手に謝ること。謝るってのは相手が望まないことをした時に口にする言葉?」
    「当機体にごめんは不要だと推測」
    「文字通りの意味なんだろうけど、あんがと」
    「当機体にあんがとは不要だと推測」
    「一歩進んだ気がしたけど気のせいだったかも」

  • 71125/10/11(土) 22:57:32

    それから少しの間会話を続けていたが、脹相の様子は変わらない。
    会話の中で生まれる疑問に一つずつ答えていれば、漸くそれが一段落して伸びをする。

    「あー……で、問題はこれからどうするかなんだけど」

    そんなことを言いながら脹相が吊るされていた場所に視線を戻せば、脹相が接続されていた管が天井から解け落ちたことで、ワイヤーの幕に人の通れる程度の隙間ができたことに気付く。

    「……お、もしかして出口!?」
    「否定」
    「感謝してぇけど感謝したくねぇなこれ」
    「矛盾と推測」
    「脹相に感謝したい気持ちはあるけど、出口がないってことには感謝出来ないってこと!」
    「事実の誤認と推測。現在地に出口の存在を確認」
    「えッ!?どこどこどこ!?」

    虎杖が慌ててそう問えば、脹相は背後の扉の方を指差した。

    「起動者の生存する世界に接続されていると推測」
    「……??あの扉開けば帰れるってこと?」
    「肯定」
    「でも鍵かかってるけど」
    「当機体の完成により入手可能と推測」
    「マジで!?」
    「マジで、という」
    「それは本当のこと?って意味!」
    「肯定」

    どうやらあの扉から帰れるらしく、扉の鍵を手に入れるには脹相を完成させればいいらしい。
    だが完成と言われても虎杖は脹相を完成させる方法を知らない。製造書だって起動方法しか書いていなかった。

  • 72125/10/11(土) 23:09:05

    分からないことを考え続けていても仕方がない。

    そもそも虎杖自身、自分がそういったことに向いていない自覚もある。


    「とりあえずあっちの様子を……って、お」


    隙間を潜れば、その先には壁と扉のない入り口が一つあった。

    そして虎杖が歩けば脹相も着いて来る。


    「こっちは粗方探したし、行ってみるか」


    対して躊躇せずに虎杖と、そして脹相がアーチを抜けるとそこは白い部屋だった。

    前方の壁に扉が五つ並んでいるのが見える。


    「おー……さっきまでの場所とはちょっと雰囲気違う感じ。脹相はこっち来たことある?」

    「当機体には起動以前の記録は存在しません」


    知識として知っていること、記録として残っていることは違うのかもしれないと考えながらも虎杖は部屋を見渡した。

    しかし脹相は虎杖のことを見つめたままであり、一定の距離を保ったままだ。

    その様子に若干カルガモの親子を思い出したものの、追いかけてきているのは自分よりも身長の高い謎の服と謎の髪型をした人型ロボットだ。

    何もかもが謎である。登場人物と状況を含めて、だ。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=68 (68)

  • 73二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:13:35

    大変そうだけど虎杖が投げ出さずに一つ一つ言葉を積み重ねてコミュニケーション成立させてるのすごく虎杖で好き

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:20:03

    原作の生い立ちがアレなせいか、人から造られた人ならざるモノなお兄ちゃん似合うな
    人外シチュがあまりにもハマる

  • 75125/10/11(土) 23:21:01

    〈目星〉
    【成功】

    部屋の中にはそれ以上何も見つからないが、虎杖は冊子が一瞬光ったことに気付く。

    「あれ、今コレ光ったよな?」

    心なしかほんの僅かにページが増えた気がしなくもない。
    中を開いてみれば、そこには先程までと違い3ページ目が増えていた。
    目次には「3P…『心』」が追加されており、そして3ページ目には「初心者かんたん! 失敗しない『心』の作り方」というタイトルが書かれている。
    更に「心はとても大切なもの。ニンゲンは見て聞いて共感して、感情を得る。全てを記録チップに集めれば、これでナカミの出来上がり」なんて文章も増えていた。

    「……そういやこれ、製造書だったっけ」

    どうやら製造書が示す方法で脹相を”完成”させていけばいいらしい。
    脹相は虎杖が冊子を呼んでいる間も何を考えているか分からない顔で虎杖のことをじっと見つめていた。

    「脹相はさ、その……完成したいと思ってんの?」
    「鍵を手に入れるために必要だと認識」
    「そりゃ俺は必要だけどさ……」

    目の前のロボットは現在心がない、らしい。
    それを自分が鍵を手に入れるためとはいえ、押し付けるように心を作ることに思う所がないわけではない。
    なにせ、今でも会話は出来るのだ。人の形をしたものと会話をして、それでただのロボットだから何をしても良いと思って良いのだろうかと、虎杖は一歩踏み出すことに躊躇した。

    「当機体は起動者である虎杖悠仁が所有権を有します。所有者に付き従うよう、思考を構成されているためその質問は不要であると推測。同様にごめんも不要であると推測」

    会話は出来ている。だが、やはり会話が出来てしまっているだけなのだ。
    虎杖は「……そっか」とだけ口にし、「ごめん」とは言わずに扉の方へと足を向けた。

  • 76125/10/11(土) 23:30:30

    部屋にあった5つの扉は全て白い自動ドアになっているようだった。

    近づいて見てみると、手の形をした凹凸が各扉に一つずつある。


    「ここに手を当てれば……って、脹相?」


    しかし虎杖が近付く前に脹相が前に出て、「解錠しますか?」と扉に手をかざそうとする。


    「俺も開けようとしたけどちょい待って!その扉の向こうって何があるか知ってる?」

    「部屋である、と推測」

    「部屋以外のものがあったら俺もビビるけどさ」

    「ビビ」

    「怯える?怖がる?びっくりする?思わず飛び退いたりしたくなるような感じ?」


    もはや慣れた会話だ。

    先程のように根本的に会話が噛み合わないことを理解しても、虎杖はこういった会話を辞めようとは思えなかった。


    「どんな部屋か分かる?」

    「当機体にそのような記録は存在しません」

    「オッケ―、じゃあどこに繋がってるか分かんない扉が5つか。脹相はどの扉を開けても良いと思う?」

    「当機体はこの中央の扉に対しては解錠権限を一度しか使用できません」

    「……なるほど」


    ふむ、と虎杖は腕を組む。

    これからどうするべきだろうか。


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>78

    ※扉は右から①~⑤とする。一度しか開けられない扉は③

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:36:58

    それぞれどんな部屋なのかは分からない感じか
    となると③以外を一つフィーリングで選ぶしかないかな?
    ①にしてみようかな

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:44:45

    まずは全部の扉に聞き耳か目星
    無理なら⑤を開けてみてほしい
    ③は後回しにしたいな

  • 79125/10/11(土) 23:59:09

    ≪どうする?≫

    →全部の扉に〈聞き耳〉か〈目星〉(5つの扉に違いはなく、目で気付くことも音で気付くこともないのでスキップ)、⑤を開けてみる


    一応、と虎杖は全ての部屋の扉の模様に違いがないかを確かめてみたり、何か音が聞こえてこないかを気にして見たりしたものの新たな発見は何もなかった。


    「全ての扉は同一と推定。当機体が認識出来る限りの差異は確認出来ません」

    「扉の向こうで俺に聞こえない音とかあったりする?」

    「確認出来ません」


    実際脹相がどの程度の性能なのか虎杖にも分からないが、少なくとも自分と脹相という二人が何も分からないというのなら、おそらく本当に何もないのだろうと結論付ける。

    丁度その時一番左の扉の前に居たので、開けようとすれば虎杖には開けなかった。


    「もしかしてここの扉って脹相にしか開けねぇの?」

    「当機体には解錠権限があります」

    「俺には解錠権限が無いってことね」

    「解錠いたしますか?」

    「オネシャス」

    「オ」

    「お願いします!よろしく!そうしてください!頼みます!!」

    「受諾」


    脹相が解錠すればそのまま扉は開き、中の様子が露わになる。

    中は広さのある真っ白な空間となっており。中央に看板が一つ立っている。

    ただし入り口からは看板に何か書いてあったとしても読むことは出来ない。


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>81

    ※扉は右から①~⑤とする。一度しか開けられない扉は③

    ※現在開けたのは⑤の扉

  • 80二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 00:03:52

    何度も開けられるなら中への侵入は保留して他の扉を開けたいな
    ④を開けてみる

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 00:05:44

    この部屋に入ったら「心」ができちゃうかもしれないけどいいのかな…入るしかなさそうだが

    まず虎杖だけ中に入って看板を読む、と思ったけど>>80がいいかな

  • 82125/10/12(日) 00:15:25

    ≪どうする?≫

    →④の扉を開けてみる


    このまま中に入っても良かったのだが、本当に中に違いはないのかと気になり虎杖は一つ右隣の部屋のドアに目を向けた。


    「脹相、一応こっちの部屋の扉を開けて貰っても良い?」

    「了解」


    二人が一番左の扉から離れれば自動的にドアは閉まっていった。

    どうやら開けっ放しにすることは難しいらしい。

    しかも一度閉まれば虎杖が近付いても再び開くことはなく、毎度脹相の解錠が必要になるようだ。

    新たな発見もありながら脹相が新たな扉を解錠すれば、見覚えしかない光景が広がっている。

    つまり、中は広さのある真っ白な空間。中央に看板が一つ立っている。

    やはり入り口からは看板の文字は読むことが出来ない。

    ここまで来れば大体の予想はつく。真ん中の部屋を通り過ぎ、中央以外のドアの中に目を向ければ結局全て同じ光景が広がっていた。


    「これ絶対看板に何かあるヤツだろ」

    「肯定。部屋の中には看板が1つ存在すると認識」


    またしても微妙に会話は噛み合ってないが、確認すべきことは全て確認出来た……はずだ。


    「脹相はどの部屋が良いとかある?」

    「どの部屋も同じだと認識」

    「そうだけど、そうじゃねぇっつーか……」


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>84

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 00:24:02

    とりあえずどこか入って看板確認するしかないかな?
    じゃあ虎杖悠仁の中に含まれてる二で②の扉に入って看板を確認する

  • 84二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 00:35:11

    勝手に閉まるなら虎杖だけ中に入って取り残されちゃうと解錠できなくなる可能性あるか?
    ②の扉を開けて虎杖が中の看板確認してみる
    扉が閉まりそうになったら脹相も中に入ってきてもらう

  • 85125/10/12(日) 00:48:58

    今日はここまで、安価の参加もレスも助かるよ
    スレ主もこのシナリオにKPC脹相とPC虎杖がハマってると思っているので二人を見守ってくれると嬉しいよ

    三連休中に終わると良いなと思ってるけど描写をしっかり入れると終わらない可能性の方が高いなとも思ってる
    ここまではチュートリアルというかここからが本番だから奮って安価参加していってね
    PLの想像とか相談も聞くの好きだし安価参加の役に立つと思うから話し合いしてくれても大丈夫だよ

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 06:09:05

    全レスする虎杖も追尾する脹相もそれっぽいな
    看板の内容に触れてないから脹相の視力は人間程度か文字読めないのか

    冊子の表紙が不穏すぎるけど失敗作がプラスの意味であってほしい!

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 07:57:38

    今の所虎杖だけで部屋に入るのが良いと思う?
    安価ではまず虎杖だけ入って脹相は待機っぽいけど

  • 88125/10/12(日) 11:41:20

    ≪どうする?≫
    →②の扉を開けて虎杖が中の看板を確認(扉が閉まるなら脹相も中に入って来て貰う)

    パッと見は全てが同じ部屋となれば、あとはもう運試しのようなものだ。
    中央の部屋は気になるものの、一度しか開けられないとなれば後回しにしなくてはと思うもの道理である。
    半ば直感で選んだのは左から二番目の部屋だ。

    「とりあえずまたここの部屋開けて貰っても良い?」
    「受諾」

    再び脹相が扉の凹み部分に手を当てると扉が開いていく。
    虎杖は中に入ろうとして、一度足を止めて振り向いた。
    そうすれば虎杖のことを見ている脹相と目が合う。

    「何が起こるか分かんねぇし、外で待ってるってのは?」
    「所有者と離れることは非推奨と推測。当機体の完成を目的とするならば当機体のみでは目的の達成は不可能と断定」
    「だからその目的の達成が良いことかってのが分かんねぇって話でもあるんだけど……」
    「当機体は所有者に従うよう思考を構成されています」

    再び堂々巡りの会話となるが、現在虎杖が脱出する手がかりは”脹相を完成させて鍵を手に入れる”ことしかない。
    見た目だけは人間らしい脹相に自分の都合を押し付けるのはどうにも落ち着かないし気が引けるものの、自分の生還を諦めるほどに虎杖も死にたがりではない。
    こうして服を着ていれば見えないものの、脹相の背中の金属接合部も当然覚えているし、ロボットを可哀想だと同情して完全に足を止めるという選択肢は選べない。
    それこそ本人が嫌がっているわけではないのだからと、言い訳だと分かっていてもそれを理由に虎杖は前を向く。

    「……扉が閉まりそうだったら入って来て。お互い見える所に居るなら離れたってことにはならないだろ」
    「了解しました」

    結局、虎杖が部屋に入った後すぐに脹相が入って来てその後すぐにドアが閉まった。
    虎杖がドアの方を振り返れば脹相が「解錠しますか?」と声を掛けて来たので、どうやら扉は内側からも開けられるらしい。

  • 89125/10/12(日) 12:00:21

    広さのある真っ白な空間を看板の方へと歩いていく

    脹相は結局虎杖の後を着いて来ており、基本的に一定以上の距離を取ることを避けようとしているのだろうなということは想像がついた。


    「……所有者って呼び方はやめねぇ?虎杖とか悠仁とか、名前呼んでくれた方が助かるんだけど」

    「所有者への新たな呼称を登録しますか?」

    「登録っつーか、そういうのじゃなくて」

    「この場に当機体の所有者は一名のみ。その要求は不必要と推測」


    白い空間を白過ぎる会話が響く。

    虎杖の感じるものはそれこそ”心”がない者からすれば理解出来ないのだろう。

    自分が落ち着かないからと呼び方を変えろと命令するのも結局は自分のエゴでしかないと、虎杖は言葉を続けられなくなった。

    二人分の足音だけが響いてから数秒後、虎杖は看板の前へと辿り着く。


    そして虎杖の視界には、看板に書かれた文字が映る。

    そこには「私はあなたとそれでも一緒にいたい」と書かれていた。

    だがそれを認識した瞬間、言葉の意味を考えるよりも早く部屋の様子ががらりと変わる。


    暖かな午後の日差しが差し込む一室。ニーニーと小さな声が、あちらこちらから上がっていた。

    昔ながらの喫茶店のような内装と、椅子や机を我が物顔で占領する子猫たち。

    二人の足に纏わりつく勇気のある猫も居て、服に爪を立ててよじ登ろうとしている猫まで居た。

    そしていつの間にか出来ていた窓の外には若々しい緑の草原が広がり、大きめのテーブルと椅子が四脚並んでいる。

    机の上には何も乗っていないようだが、まるでさっきまで誰かが座って話していたかのようだ。


    「…………は?」


    〈SANチェック〉0/1

    虎杖(79) dice1d100=72 (72)

  • 90125/10/12(日) 12:09:20

    〈SANチェック〉

    【成功】


    ≪SAN減少≫

    減少なし


    驚きはしたものの、自分に害があるものでもないのだからと虎杖は気を取り直す。

    そして背後を振り向けば脹相は全く動じずに虎杖のことを見下ろしていたらしい。


    「これって」


    と、虎杖が続けようとしたのだが猫たちの大冒険は止まることを知らないらしい。

    微妙に布越しに突き刺さる爪が気になるのと、あとは脹相が猫に対してどう動くか分からないことが落ち着かなかった。

    脹相の服に登ろうとしていた猫を一匹確保し、抱き上げて脹相の前に示す。


    「コイツらは猫。分かる?」

    「猫、登録しました」

    「あー、やっぱそうだよな。とりあえず猫を叩いたり蹴ったりしないこと。コイツらも生きてる……生きてるよな?はずだから。まあロボットだとしても同じか」


    目の前の猫たちが本当はロボットであろうと、つまり命なきものであろうとも虎杖が行動を変えることはない。

    柔らかく温かな子猫が小さく鳴くのを聞いて床に戻してやれば、ぽてぽてと歩いて虎杖の足に頭突きした。


    「了解」

    「暴力振るったり危害加えたり、乱暴なことはしないように。あ、猫嫌いとかある?それなら無理は言わんけど」

    「嫌いと」

    「嫌だなとか逃げたいなとか、触りたくないとか拒否感?拒絶?」

    「当機体には嫌いは存在しません」


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=99 (99)

  • 91125/10/12(日) 12:23:19

    〈目星〉
    【ファンブル】

    そんな脹相の答えに何度目か分からぬ悲しみのようなものを感じ、「そっか」と呟きつつ目を逸らしたのが悪かったのだろうか。
    思いの外頑張ってしまった子猫が虎杖の足を衣服越しに爪を立て、プツンと肌に穴が開く感触。
    咄嗟に足を引こうとすればその脚に猫が引っ付いていたことを思い出し、このままじゃ蹴ることになってしまうと中途半端に体勢を崩す。
    尻餅くらいは良いかと思えば自分の着地予定には別の猫。
    このような空間で本当に生きているか分からない猫とはいえ、怪我をさせて良い理由も殺していい理由もあるはずはない。

    「おわッ!?」

    類稀なる身体能力を発揮し、更に無理に体を捻った結果どうにか猫を潰すことは避けられたものの着地の時に手首がゴキリと嫌な音を立てる。
    骨が折れた、とまではいかないが少しの間はあまり激しく動かさない方が良いだろう。

    ≪HP減少≫ファンブルによるトラブル発生でHP減少イベント
    虎杖:HP17→16

    しかし猫たちは危機感の欠片もないのか、目の前で思いっきりすっ転んだ虎杖を気にせずに再びアスレチックを始める。
    どうやら警戒心なども存在しないらしい。
    目の前で虎杖を見下ろしている脹相も同様であり、感情の伺えない目が虎杖をじっと見つめていた。

    「よっこい、……あー、はいはいごめんごめん虎杖アスレチックは営業終了だからちょっと退いてね、はいはい」

    猫を自分の体からひょいひょいと下ろした後、手から吹っ飛んでいた冊子を拾い上げる。
    すると脹相が冊子に視線を移していることに気が付いた。

    「気になる?」
    「所有者が看板前に到着後に発光を確認」
    「マジ?」

  • 92125/10/12(日) 12:34:20

    虎杖が冊子を開けばそこにはまたページが増えている。

    目次には「4P…『喜』」が追加されており、4P目を開けば「初心者かんたん! 失敗しない『喜』の作り方」というタイトルが大きく書かれている。

    その下には「記録チップを入れた状態で『幸せな時間』を教えてあげよう。これで喜は出来上がり」と綴られていた。


    気付けば脹相も冊子を覗き込んでいる。

    自分の製造書だから気になるのだろうか。もしくはそうするように設定されているのか……と考え、虎杖はその思考を打ち消す。


    「喜び。当機体にインプットされていない感情の一つと推定。回答を求めます」

    「記録チップってのはもう入ってんの?」

    「既に当機体に挿入されています」

    「喜び、喜びなぁ。嬉しいとか、元気になるとか、やったーとか……?」


    先程から感情についての説明もしていたが、その説明とは難しいものである。

    なにせ人によってどう感じるかは違うものであるし、その感情をこういうものだと説明してそれを鵜呑みにされることは良くないことなのではとも心のどこかでは思ってしまう。


    「具体例の提示を求めます」

    「具体例……?」


    もう少しヒントらしいものはないのかと一度脹相から視線を外し、冊子を見下ろした。


    〈目星〉

    虎杖(75) dice1d100=39 (39)

  • 93二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 12:39:55

    子猫空間になった!?かわいい!でも「かわいい」もロボ脹相の中にはないんだろうな
    窓の外に見える光景は存在しない記憶のピクニック空間と似てるな…

  • 94二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 12:40:24

    虎杖がずっと人形を一個体として尊重し続けてるのいいな

  • 95125/10/12(日) 12:53:25

    〈目星〉
    【成功】

    これも現実逃避、もしくは藁にも縋るような気持ではあったのだが、そのおかげかページの隅っこに小さく文字が書かれていることに気付く。
    そこに書いてあったのは「親しい人のために苦しむことにも、人は喜びを感じる」という一文だ。

    「……だとしても、それを喜びだって教えるのは違うだろ」

    確かにそういう一面はある。
    苦しみを分かち合うこと、誰かのためになると我慢すること、耐えること。
    それらが喜びに繋がることもある。だがそれを喜びだと脹相に教えるのは些か都合が良過ぎるのではないだろうかと、思わず手に力が入って冊子に僅かに皺が寄る。

    「当機体の製造書の破損は非推奨」
    「……ごめん」
    「ごめんは不必要であると推定」

    虎杖は一つ息を吐き、思考をリセットする。
    改めて周囲を見渡せば元の白い部屋にはあったはずの看板や自動ドアの姿は見えない。
    もしかしなくとも脹相に『幸せな時間』を教え、喜びをインプットするまでは元の部屋に戻れないのではなかろうか。
    脹相はまっすぐと虎杖を見つめ、『喜び』が何たるか知るその時を待っている。
    虎杖に出来ることは虎杖の思う『幸せな時間』を教えてやることだけなのだろう。

    ≪脹相に『幸せな時間』を教えよう≫
    先頭に★をつけた上で『幸せな時間』や『喜び』の具体例をあげる、もしくは実行するなどどうするかの指定
    複数でも可、次の再開時(おそらく13時半くらい)まで募集

  • 96二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:21:00

    それを喜びと教えるのは違うと感じる虎杖分かる
    幸せな時間かぁ…

    親しい人と一緒にご飯を食べる時間
    相手と自分の味覚の好みが違っても同じ食卓につけること
    虎杖はじいちゃんと雪かきの後のミルクティーを想起するかなと思っての安価

  • 97二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:27:33


    喜びと言ったらモフモフをモフることだ
    ちょうど部屋にもいることだし小さな子猫が自分を信頼してぐいぐいのしのし乗ってくるのも嬉しいし(玉犬みたいな)大きな獣がじっと撫でさせてくれるのも幸せ

  • 98二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:28:28

    ★猫ちゃんいるし一緒に触ってみるとか?
    ふわふわの感触とか小さく温かいものを抱いた時の気持ちとかは幸せじゃないかな? 脹相一人で抱かせるのが不安なら一緒にこうやって抱くんだって見本を見せてあげたら良いかも

  • 99二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:31:20

    >>96

    お兄ちゃんにとっては間違いなく幸せで喜びだったんだろうなぁと思うけどそれを喜びとして教えるのは違うと思う虎杖は良く解る

  • 100二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:33:06

    ★パスタ食べよう
    原作存気でも食べてたし

  • 101二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 13:47:35

    ★一緒に食卓を囲む
    かなぁ。ファンパレのお兄ちゃんのセリフを思い出した

  • 102125/10/12(日) 13:56:26

    喜び。
    人それぞれで違うものを自分が答えとして教えることにやはり抵抗はあるが、そこで躓いていては何も出来なくなる。

    「……喜びってのはさ、本当は誰かに教えて貰うものじゃないと俺は思ってる」
    「喜びの定義を登録せずにいることは非推奨」
    「うん、だからこれはあくまでも俺がそう思うってだけだから。難しいかもしんねぇけど、いつか脹相が自分の思う喜びに出会えるように教えてみるよ」

    喜びを感じる方法は一つではない。
    晴れた日に布団を干して、曇りや雨にならずにふかふかの布団が出来上がった時だとか、日替わり定食のメニューが好みの料理だったとか。
    友人と久し振りに食事に行けた時だとか、一人じゃないと思った時だとか、なくしたと思ったものが棚の下から出てきた時だとか。
    救えない命を救えた時だとか、感謝の手紙が届いた時だとか、その他にも色々と。
    それだけが喜びと教えるのではなく、いつか脹相なりの喜びと出会えるようにと虎杖は願う。
    その行為にどれくらいの意味があるのかも分からずに、ともなればエゴでしかないと分かった上で。

    「まずは猫触ってみねぇ?力入れずにそーっと、最初は抱えるだけの方が良いかも」

    小さく柔らかな命を抱え上げた虎杖は為すがままになっている子猫を脹相の方へと差し出す。
    躊躇もなく子猫を受け取ったものの、据わりが悪いのか子猫はジタバタと暴れていた。

    「もうちょい脇締めて、下から支えるように……そうそう」

    虎杖に言われるがままに体を動かした脹相は無事に猫を抱えることが出来たようで、猫も落ち着いたのか脹相の腕の中で小さく欠伸をしている。

    「こういう小さくてかわいい……まあデカくても俺は可愛いと思うけど、猫触ってんのとか嬉しいって人は多いよ。脹相はどう思う?」
    「当機体の腕の中に猫が存在。危害を加えないために静止状態の続行の推奨と推定」
    「間違ってはない、うん。もっと撫でたいとかは?撫でるってのは毛の向きに逆らわないように優しく触れて、って感じで」
    「猫の耐久力が不明のため非推奨だと推定」
    「そういやどれくらいの力か分かんねぇのか……うーん」

  • 103125/10/12(日) 14:16:42

    脹相の腕の中に居る子猫へと虎杖が手を伸ばせば、子猫はその手を受け入れる。
    優しく額や顎の下をくすぐるように撫でていれば猫はンミャンミャと声を上げながら虎杖の指に顔を擦りつけていた。

    「自分よりも小さい生き物が自分を信頼してこうやって安心してくれる様子とかさ、見てるのも嬉しいって思う人も多いよ」
    「嬉しいは喜びと同一感情であると定義が可能?」
    「多分?全く同じかは俺にも正直分かんねぇけどさ、嬉しいってのは喜びの内の一つだと思うし、喜びってのは嬉しいの内の一つなんだと思う」
    「矛盾があると推測」
    「人の感情なんて矛盾ばっかりだよ、ってのは俺の言い訳かもしんねぇけどさ」

    虎杖が手を引けば、脹相は少し身動ぎをした。
    虎杖が不思議に思えば脹相は「猫の返却を要求」と口にした。

    「いいよ、ほい」

    脹相の腕から猫を譲り受ければ、猫は再びニャムニャムとぐずる。

    「さっきの俺と同じように触ってみれば?指差しだして匂い嗅がせてやって、んで嫌がられなかったらそのまま触ってみ」
    「了解しました」

    脹相は虎杖の言葉通り、まずは猫の前に指を差し出した。
    次に猫の額にちょんと触れ、そのまま左右に擦る。
    やがて指を引っ込めた脹相は虎杖に視線を向け直し、「猫への接触を完了」と告げたので虎杖は思わず噴き出した。

    「とりあえず脹相が猫あんまり好きじゃないってことは分かった。嫌いじゃないってことも」

    他の生き物に対する距離感が分からないのは虎杖が傷つけないようにと伝えているせいもあるのだろう。
    ならば他に喜びについて説明出来ないかと考え、ふと思う。
    脹相に教えようとしていたのは、一般的な喜びだ。
    ならば自分にとっての喜びとはなんだろうか、と。

  • 104二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 14:25:10

    猫の耐久力とか猫への接触が完了とかロボ語彙に笑ってしまう
    まだ全然ロボだけど「猫の返却を要求」は本来の脹相もしそうでふふってなった
    可愛いより潰しそうで怖いって思いそうなイメージがあるな

  • 105125/10/12(日) 14:33:49

    そうして自分の中に腑に落ちたのは、特別でも何でもない日常の一風景だ。
    猫を床に話してやった後、猫の居ない二人掛けの席の片方に腰を落とす。

    「脹相もそっちに座って。座るってのはこの段差に尻落とすってことで、分かる?」
    「了解しました」

    反対側の席を示せば、脹相は虎杖と同じように椅子に座る。
    そうして向かい合った後、虎杖は席に置かれていたメニュー表を机の上に広げた。

    「今から話すのはさ、俺が何を喜びだと思ってたってことなんだけど」

    昔を懐かしむような、届かない何かに思いを馳せるような、柔らかな声のまま虎杖は続ける。

    「俺は子供の頃から殆ど爺ちゃんと二人暮らしみたいなもんでさ、だから飯食うって時も爺ちゃんと二人っきりだったんだよ」
    「爺ちゃんとは」
    「製造主の製造主ってこと」

    そしてランチメニューと書かれたページを脹相が見やすい方へと置き直す。
    そこにはナポリタンやミートソース、カルボナーラや和風パスタなど色んな種類のパスタがイラストと共に並んでいた。

    「爺ちゃんはどっちかって言うと和風パスタとか、あとはペペロンチーノとかが好きでさ。俺はミートソースとかボロネーゼとか、トマトソース系が好きで」

    脹相は虎杖が指をさすものを一つずつ追っていき、それを黙って聞いている。

    「食の好みも結構違って、外で飯食うと大体別のもん選ぶんだよ。でも家では当然同じものを食べるわけでさ」

    少し間を置いて、虎杖は自嘲のように小さく笑う。

    「今から思えば、俺は爺ちゃんと一緒に食うなら和風パスタでもペペロンチーノでも、カルボナーラでもなんでも良かったんだ」

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 14:47:14

    胸がぎゅっとなる…
    この虎杖も爺ちゃん以外家族いなくて15で天涯孤独でいま20なんだもんな

  • 107125/10/12(日) 14:56:20

    少ししんみりしてしまった自分に気付き、虎杖は空気を切り替えるべく明るい声を出す。

    「そういや脹相ってなんか食べれんの?食事出来る?」
    「消化器官を模した内蔵物の存在を確認」
    「お、じゃあ食べれそう」
    「電力での充電の他、有機物によるエネルギーの補充も可能。後者は非効率のため非推奨です」
    「なるほど……」

    食べれないこともないらしいが、どちらにせよここには食べ物はない。
    あくまで喫茶店の内部を模しているだけで厨房なども見当たらなかった。

    「味覚もありそう?」
    「口内パーツによる感知が可能」
    「そういや美味しいって感じることも喜びの一つだと思う」
    「美味し」
    「もっと食べたいって思うこと、とかかな」
    「記録完了しました」
    「誰かと飯食うってのも、それだけで俺は嬉しいよ」
    「美味しい、ではなくとも嬉しいは矛盾と推測」
    「あ、さっきの話?そういうこともあるってこと。食事一つとっても味が美味しくて嬉しいのも、人と一緒に食べて嬉しいって思うのも、また違う喜びなんだよ」
    「先程と同様に矛盾を観測」
    「いーの」
    「矛盾は記録の上で支障となる可能性があると推測」
    「矛盾することもあるって書いときゃオッケー」

    ふと、そこまで話していて虎杖は一つ思うことがあった。これだけ矛盾矛盾と言われたからこそだ。

    「例えばさ、俺は脹相と一緒に食事したとして、俺が食べたものが俺の好みじゃなくても脹相が食べて美味しいって思えば喜ぶよ」

  • 108125/10/12(日) 15:13:56

    虎杖の祖父は甘いものが好きなタイプではなかった。
    それでも幼い頃、雪かきの後に祖父にとっては甘すぎるミルクティーを淹れてくれた。
    祖父は絶対に飲まないものだから、あれが家にあったことは虎杖のために他ならない。
    そうしてくれたことを改めて感謝できるようになったのは祖父を失ってからだった。

    「当機体はエネルギーの補充を有機物で行うことは非推奨です」
    「それでも、っつーかだからこそだよ」

    たとえ必要ないとしても、意味がないとしても。
    それでも何かを食べ、美味しいと感じておかわりなんてしてくれたらきっと喜ばしいことだと虎杖は思う。

    「喜びってのはさ、一つじゃなくても良いし理由がなくても矛盾してても良いんだ」

    虎杖がそう答えれば、脹相は少しの間黙っていた。考え込むように、もしくは矛盾を認められないかのように。

    「同じものを食べても、違うものを食べても、誰かと一緒にご飯を食べるのは嬉しいし、それが美味しいものならもっと嬉しい。でも美味しくなくたって嬉しい時はある。こうして向き合って食事すんのも当たり前のように思えるけど、当たり前じゃないからさ」

    メニューを閉じて元の場所に戻した後、虎杖は脹相と視線が合わぬままに笑ってみせる。

    「俺にとってはこれだって『幸せな時間』だよ」
    「――――これが喜びですか?」
    「俺にとっては喜び、かな」

    虎杖は分からないなりに言葉を尽くした。
    猫との触れ合い。小さなものが自分に身を任せてくれることへの安心、信頼への喜び。
    大切な人との食事。美味しいか否かだけではなく、共に食卓を囲むということの意味。
    今の虎杖に出来ることはしたと、そう言えるだろう。

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 15:22:02

    TRPGライト勢だけど自分の安価が他の人の安価といい感じに融合してめちゃくちゃいいRPに昇華してるの気持ちいい…
    虎杖らしい向き合い方と伝え方だなぁ

  • 110125/10/12(日) 15:28:15

    すると次の瞬間、脹相の全身がふわふわと光り輝く。


    「えっ、オマエ発光すんの!?」


    予想外の光景に虎杖は驚きを露わにするも、それと同時に目の前の光景が殺風景な白い部屋へと戻っていく。

    やがて光が収まると、脹相は自分の胸に手を当ててうっすらと微笑みながら呟く。


    「これが、喜び? ……暖かくて、ふわふわ。了解しました。記録します」


    ぽかんとそれを見ていた虎杖は脹相が口元を緩め、それこそ喜びを感情として表したのを始めて見たことを呆然と眺めていた。

    脹相が光った時よりも驚いていた、と言えよう。


    「本当に喜びが分かったん……?」

    「自分が美味しいものを食べると所有者は嬉しい。自分も嬉しい。おそらく所有者が美味しいものを食べると自分もやったーと思うと推測します」

    「おぉ……うん?……うん」

    「他にも猫との接触時に感じたふわふわはふわふわすると報告」

    「ごめん、言いたいことは分かるけどもうちょい何とかなんねぇ?」


    時々笑うようになっただけで基本的な表情は無のまま。

    だと言うのに言葉だけが時折幼くなるのはちぐはぐに感じてしまう。

    それも虎杖が説明する時に用いた言葉であったりするので元を正せば虎杖のせいなのだが。


    「自分に何か問題が発生していますか?」

    「問題、じゃねぇかな、うん。まあいいよ、そのままで」

    「了解しました」


    〈アイデア〉

    虎杖(80) dice1d100=27 (27)

  • 111二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 15:46:02

    脹相の人間レベルが上がった

  • 112125/10/12(日) 15:47:18

    〈アイデア〉

    【成功】


    「もしかして喜びって言葉の意味を理解したってよりも、喜べるようになったってこと?」

    「そのように推測。今まで感知出来なかったものを知覚出来るように変化。もしくは定義づけにより明確化に成功しました」

    「……脹相はそれを良かったって思う?」


    ふと零れ出た言葉に脹相はまたもや小さく笑う。

    自分の胸に触れながら、そこに何か温かなものが宿ったかのように。


    「これを知れたことも、喜びの一つであると自分は推測します」

    「……そっか」


    その言葉を額面通りに受け取って良いものか虎杖には分からない。

    それでも今この瞬間にそれを脹相が喜びだと感じているのならば、それを否定する権利も虎杖には無いのも確かであった。


    「他にも何か嬉しいって思ったことがあったら教えてよ。さっきは俺が喋ってばっかりだったし」

    「了解しました」


    脹相が喜びを知り、白い部屋に戻ったこともあってこの部屋を出ようとすればふといつの間にか戻って来ていた看板に気付く。

    なんとなしに裏にも何か書いていないかと覗き込めば、そこには大きな殴り書きの文字があった。


    『彼はただ、あなたと一緒に生きたかった、それだけなのに!』


    勢いに溢れる、感情が滲む一文だった。

    そこからはただならぬ強い怨念のようなものを感じ、虎杖は思わず一歩後退る。

    先程まで感じていた温かな何かが一気に手からすり抜けていくような感覚に襲われた。


    〈SANチェック〉1/1d2

    虎杖(79) dice1d100=71 (71)

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 15:54:05

    急に不穏すぎる
    そういえば白骨化してた人達ヒューマノイドの製作者達らしいけど何でそんな事になってるのか分からないんだよな
    回答権限がないだけで脹相は何か知ってるんだろうか

  • 114125/10/12(日) 15:54:54

    〈SANチェック〉1/1d2

    【成功】


    ≪SAN減少≫

    虎杖:SAN79→78


    「どうかしましたか」

    「い……や、なんでもない」


    脹相が虎杖と同じように看板の裏を覗き込もうとしたのを、咄嗟に腕を掴んで止める。


    「なにか自分の行動に問題がありましたか」

    「……行こうぜ、まだ他にも部屋あったし」


    そう言いながら腕を軽く引くと脹相は抵抗せずに着いて来る。

    そのまま部屋を出れば、背後で扉が閉まる。

    一つは一度しか開けられない部屋。それは後回しにするべきだろう。


    「脹相はどの部屋が気になるとかある?」

    「ありません。所有者の移行に従います」


    さて、次はどの部屋に入ろうか。


    ≪どうする?≫

    行動の指定 >>115

    ※扉は右から①~⑤とする。一度しか開けられない扉は③

    ※②は済

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:00:21

    彼等じゃなくて彼なのか
    今する話じゃないかもしれないけど脹相に創造主達がどうして死んだか知ってるかまたは推測できるか聞いてみたい
    回答が得られなそうだったら⑤の部屋に入ってみようかな

  • 116125/10/12(日) 16:11:35

    ≪どうする?≫
    →脹相に製造主がどうして死んだか質問。回答が得られないなら⑤の部屋に

    こうして行動に変化が現れたならと、先程は答えられなかった質問に答えてくれるのではと虎杖は口を開く。

    「……そういやさ、元の部屋で脹相の製造主が亡くなってただろ。あれってなんでか知ってるか言えるようになったりしてねぇ?」
    「起動前に関しての記録はありません。死亡理由に関しても絞り込めないため回答は非推奨です」
    「非推奨ってことでやろうと思えば出来る?」
    「ありとあらゆる死因の羅列を開始せよとのことならば、可能です」
    「やっぱいいわ」
    「了解しました。自分もその方が適切であると推測します」

    つまり人間風に言うならば、寝てる時のことは知らないけど死んだなら死因並べればどれかは当たるだろ、とのことらしい。

    「んじゃ次は……ど、れ、に、し、よ、う、か、なーっと」

    そうして適当に選んだのは一番右側の部屋だ。
    二人して部屋に入ると、先程と同様に自動的に背後の扉がシュンと閉まった。
    中はそれなりの広さのある真っ白な空間で、中央にポツンと看板がある。
    また看板を読めば景色が変わるのだろうかと、そう思いながら看板に目を向ければ「私はあなたを気にかけていたい」と書いてあった。

    次の瞬間、先程と同様に部屋が塗り替えられていく。
    海外の精神病棟のように壁全面に真っ赤なクッションが貼られ、部屋の隅に小さなおもちゃ箱と冷蔵庫が現れた。

    「そういやさっきはここでページが増えてたんだっけ」

    そう言いながら虎杖が冊子を見てみれば、やはり予想通りに内容が増えている。
    目次には「5P…『怒』」が追加されており、その5P目には「初心者かんたん! 失敗しない『怒』の作り方」というタイトル。
    その下には「記録チップを入れた状態で『いたずら』をして怒らせよう。これで怒は出来上がり」と書いてあった。

  • 117二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:13:28

    部屋番号関係無く喜怒哀楽の順にやってくのかな
    たまたま喜び怒りと続いただけかもだけど

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:17:11

    喜怒哀楽でちょうど4部屋ってことか
    心が完成したら真ん中の扉から脱出できるのかな

  • 119二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:17:58

    虎杖はどの程度のいたずらまでできるんだろ

  • 120125/10/12(日) 16:18:13

    「いたずらをして怒らせろ……?」

    「怒り、……なんでしょう?興味があります。教えてくれますか?」


    対して脹相はどこか嬉しそうに、表情を柔らかくしながらも虎杖にそう訴えかけてくる。


    「ンなこと言っても悪戯って……あ」


    そういやおもちゃ箱やら冷蔵庫があったなとそれらの中身を確かめてみる。

    するとおもちゃ箱には風船とピン、びっくり箱、ガムのパッチン、虫の模型などの悪戯に使う道具が様々。

    冷蔵庫の中には紙皿に乗ったクリームてんこもりの巨大なパイがdice1d6=3 (3) つ入っていた。


    「準備万端とはありがたいことで……」

    「喜びとは違い、怒りは道具がなければ実行不可能ですか」

    「そうとも限らない、かな?人って言葉だけで喜べるし、怒れると思うから」

    「所有者もですか」

    「なんか言われてすぐ怒ったりすんのはちょっとガキっぽけどな」

    「ガキとは」

    「子供のこと。精神年齢が幼い的な感じ。例えば人にちょっと嫌なこと言われてすぐに手が出るのは駄目だしやめた方が良いってこと。そもそも人に嫌なこと言うのも駄目だけどさ」


    脳裏に過ぎるのは限界状態の人間が感情のままに暴れるさま。

    消防士が出向くような現場ではそう言った人が少なくはないのも事実である。

    しかしその全てに良くない、とは虎杖も言えない。

    大切なものを失いそうになった時、人の理性はどれだけマトモに働くものだろうか。


    〈幸運〉

    虎杖(80) dice1d100=20 (20)

  • 121125/10/12(日) 16:27:26

    〈幸運〉
    【成功】

    そう言えばと、先程のようにページの隅に何か書いていないかと思い出せば「ケンカするほど仲が良い。相手を想うから怒るのです」と書いてあるのを見つける。

    「さっきのもこれも、初心者に教えることじゃなくね?」

    相手を想うからこそ怒る時もある。
    だが怒っているからと言って相手を想っていることの証明にはならない。
    毎日のように喧嘩をして本当に仲の悪い人も居るくらいで、ではその違いはと聞かれても虎杖にも説明は出来ない。
    確かに祖父と細々とした喧嘩ならしょっちゅうしていたし、自分を想っているからこそと分かる説教も受けたことはある。
    だけどそれを上手く言語化できるかと言えば、やはり自信はない。

    「怒りについての説明や具体例の提示を求めます」
    「あー、ちょい待ち」
    「分かりました」

    脹相は大人しく待ちの体勢に入っているが、どこか期待しているかのようにも見える。
    そんな相手に悪戯を?成人男性が(見た目は)成人男性に?

    「それこそガキじゃねぇってのに……」

    先程よりもどうするか、頭を抱えたい気持ちになりながらも虎杖はどうするべきなのかを考え始めた。

    ≪脹相に『いたずら』をしよう≫
    先頭に★をつけた上で『いたずら』の実行や『怒り』の具体例を指定
    複数でも可、次の再開時(16時45分くらい)まで募集
    (早めに募集を打ち切る可能性もあります)

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:40:28


    わざと怒らせる為に悪戯するのは気がひけるから言葉で説明しようとするかな虎杖なら。
    目的を達成できない時、自分の思い通りにならない時、身体を傷つけられた時、侮辱された時などに起きるものである。憤りとも言う調べたら怒りの定義にこんな感じに出てきたから虎杖ぽい言葉に直して説明する感じ

  • 123二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:42:10


    いたずら→箱の中にふわふわの子猫がいるから開けてみってびっくり箱を渡す
    …バレるか?
    約束を破られたり期待してたものが得られなかった時にムッとするのも怒りだよって感じの説明で…
    あとは物体でも気持ちでも自分が大事に思ってるものを相手に粗末に扱われた時のムカッとした気持ちって説明したいけど難しいな!

  • 124125/10/12(日) 16:49:14

    安価は〆だけどちょっと休憩延長で

  • 125二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 16:50:04

    怒りにもいたずらされて怒!みたいな正当性のある怒りと理不尽な怒りと色々あるよね…
    なんでもっと早く助けてくれなかったんだとかそういう逆恨みに近いような怒りもあるし、でもそれも一つの怒りの一種だし感情として否定もしきれないし
    相手を思うからこそ怒るってのも確かに上級者向けの話かもしれない

  • 126二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 17:02:52

    いたずらには使われなそうだけどいかにもパイ投げして下さいと言わんばかりのパイ
    バラエティとかだと食用じゃないのもあるらしいけどこれは食べられるクリームパイかな?美味しいのかちょっと気になる

  • 127125/10/12(日) 18:23:33

    目の前に居るのがもし友人だったらきっと適当にちょっと怒られる程度の悪戯をした、だろう。
    びっくり箱を渡すなり、風船を割って見るなり、そのくらいの。
    パイはぶつけた後に汚れが残ることを考えれば避けるべきだろうし、なんて考えつつ虎杖は腕を組んで思考を続ける。
    だけど問題は今回の対象が脹相という感情を会得途中のロボットであること。
    感情の取得を本人が望んでいるんだから本気で怒らせるべきだろうとも思いはするのだが、だからと言って悪意ではない感情で怒らせるのを仕方がないとするのも違う気がする。

    「……人が怒る時ってのは色んな時に喜びがあるように、色々あるんだよ」

    とにもかくにもまずは説明だと、虎杖自身言葉を纏めながら説明を試みる。

    「例えば脹相がこうやって怒りを教えてって言ってんのに、俺が怒りじゃない感情を怒りって教えたり、教えて欲しいことを教えてくれなかったりする時も人は怒る、と思う」

    嘘を吐かれたり、頼みごとを断られたり、怒りだけではない感情が沸き上がることもあるが「どうしてそんなことをするんだ」と怒る人も多い。

    「自分が望んだ結果にならない時とか、怒るだけじゃなくて悲しくて落ち込むこともあるけど、心の中がこう……ぐわッて熱くなるような感じ?」
    「喜びは温かくなりました。怒りは熱くなるものですか?」
    「熱くなる人も居るし、逆に冷える人も居るかな。他にも人に傷つけられたりしても怒ったりする、かも。物理的に殴られるとかじゃなくて、心にヒビが入るような精神的な傷付きでもさ、同じだから」

    どうにも説明が回りくどくなりがちなのは虎杖自身があまりしょっちゅう怒る方ではないからだ。
    虎杖の怒りポイントは基本的に他者を傷つけることを是とする人間を見た時であるものの、他者がどうこうという話を一番に持ってくるのは避けてみた結果がこれである。

    「あー、でも一番簡単に言うと自分が大切に思ってるものを他の人が大切にしてくれなかった時に怒るかな」
    「大切なものの定義はなんですか」
    「家族や友達とか、人だったりもするし、他の生き物でも良いし、物だったりもするし、そもそも形がないことだってある。自分が優しくしたいものに、優しく触れたいものに、そうしてくれなかった人を見ると『どうしてそんなことするんだよ』って怒ったり」

  • 128二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 18:36:04

    最後の、自分が優しくしたいものに~そうしてくれなかった人~の説明虎杖っぽくてぐっとくる

  • 129125/10/12(日) 18:56:35

    「例えばさ、さっき脹相は子猫触っただろ?で、俺は蹴ったり殴ったりせんでねって頼んだ」
    「子猫は傷つけてはいけない、です」
    「そうそう。でもあの時に脹相が約束を守ってくれなかったら、多分俺は怒ったと思う」

    実際には怒ったというよりも慌てた可能性が高いが、脹相が普通の人間だったのならその言葉は嘘ではなくなる。
    子猫に暴力を振るうことの意味を分かっている人間がそうした場合、虎杖は間違いなく怒っただろう。
    それが子猫だけではなく人間でも同じであるというだけだ。

    「でも子猫だけじゃなくて、もし脹相が誰かに殴られたり蹴られたりしても俺はその誰かに怒るよ。そんなことすんなよ、って」
    「自分を殴ったり蹴ったりするなと約束をして居なくても、ですか」
    「約束を破るのと、しちゃいけないことをするのってまた違うからなぁ。傷つけて欲しくないものを傷つけられた時には怒っていいんだよ」

    こういうことが起きたらこう思わなければいけない、ということはない。
    だからあくまで一般的な話と自分の話をしていくしかなく、虎杖はピンと来ているのか来ていないのか分からない脹相を前にちらと視線をおもちゃ箱の方へと向ける。

    「…………あー、ちょい待ち」

    少し、というよりもだいぶ迷ったものの一つは実例があった方が理解しやすいか?と虎杖はおもちゃ箱の中からびっくり箱を取り出した。
    箱を持って脹相の前に戻って来た虎杖はそれを脹相へと差し出す。

    「この箱の中にふわふわの子猫が居るからさ、開けてみ」

    そう言われた脹相は「ふわふわ……」と口にしながらも箱を受け取る。
    そして言われたとおりに箱を開けた、のだが。
    突如中から飛び出したのは人を馬鹿にし腐った謎のキャラクターである。ビヨンビヨンと弾んでいる様子さえも煽っているようにしか見えなかった。

    「あー……これはさ」
    「ふわふわの子猫が確認出来ません」
    「だからこれは」
    「ふわふわの子猫が確認出来ません」

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 19:07:17

    怒ってるような気がするw

  • 131125/10/12(日) 19:14:01

    表情は怒っているようには見えないものの、同じ言葉を繰り返す程度には何かしらを感じているのだろう。

    「ごめん、今俺は脹相に嘘を吐いた。この中に脹相の喜ぶものがあるって言って、期待させて裏切った」
    「ここに子猫は存在しませんか」
    「しません」
    「わかりました」

    完全な無表情に戻ってしまった脹相を前に、虎杖は気まずげに視線を彷徨わせる。
    こうなると薄々想像はしていたが、それでも気分の良いものではない。当然、互いにだ。

    「相手に嘘を吐かれたことも脹相は怒って良いし、喜ぶものがあるって期待したのに裏切られたことにも怒って良いし、俺が脹相を怒らせたいと思って怒らせたことにも怒って良い」

    一つ、二つ、三つと脹相の前で指折り数えていく。

    「で、……その箱ちょっと貸して。ん、あんがと」

    箱を受け取った虎杖は「この中に猫は居なかった。でも俺は嘘を吐く。ここには猫が居る」と告げてから虎杖はその箱を閉じてから手を離して床に落とす。

    「こういう時は俺が本当に猫を傷つけたかどうかは問題じゃなくて、俺が脹相が好きなものを傷つけたと思わせたことに怒っても良い」

    そう言いながら箱を拾い上げ、蓋を開けた虎杖の前には再び人生を舐め腐ってそうな謎のキャラクターが飛び出してくる。

    「どんな理由があっても傷つけられたと思ったら怒る権利がある。だから何に怒るかってのは本当に人それぞれ違う。大切にしてるものも大切にしたいものも人によって違うんだから当たり前だよな」
    「――――これが怒りですか」
    「多分、そう。俺は怒りで良いと思う」

  • 132二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 19:21:14

    前の部屋の猫と箱の繋げ方が自然で上手い
    このやり取りの中で脹相も色んなことを吸収しそう

  • 133125/10/12(日) 19:40:28

    その問答が終われば先程と同様に脹相の全身がふわふわと光り輝き、目の前の光景が、殺風景な白い部屋へと戻っていく。
    光が収まると脹相は自分の胸に手を当てて、まるで機嫌を損ねたかのように不満げな顔をした。

    「これが、怒り?ム……しっかり記録しました」
    「喜びとは違ってさ、あんまし良い気分じゃないだろ?」
    「俺は怒っています。この場合は、いつやり返せば良いのですか?」

    やり返す、という言葉が出てきたことに虎杖はぱちくりと目を瞬かせる。
    気のせいでなければ、やはりただ怒りという感情を学習しただけではないのだろう。

    「いつでもいいよ。怒りを教えるためだったから仕方ない、とは言わねぇし」
    「……怒りを覚えてやり返すことを希望する場合、どうすれば良いですか」
    「あー、一応教えとくとさ。怒ったからって必ずしもやり返していいとも限らない。相手が自分を怒らせたことにどんな理由があったとしても、怒っちゃいけない理由にはならんけど、やり返すかどうかはちゃんと考えてから決めた方が良いよ」
    「この場合はどうするべきですか」
    「どうする”べき”かって聞かれると困るけど、脹相が嫌な思いして怒ってるなら俺はそれを受け止めるけど」

    その言葉を受けて暫し悩んだ脹相はおもむろに拳を振り上げ、そのままそれを虎杖の肩へとぽすりと置く。

    「暴力行為はするべきではないものですが、俺は怒ったので所有者を……所有者、を」

    何もかもがぎこちなくなった脹相はそのまま黙り込んでしまう。
    怒ったからって暴力を奮うのは良くないと言おうとしていた虎杖も不自然な態度に同じく黙るしかない。

    「……所有者の名前は虎杖、虎杖悠仁」
    「お、おう。そうだけど」
    「先程の提案を受ける許可を頂ければ、嬉しい……のだと思います」
    「先程の提案?俺なんか言ったっけ……」

  • 134二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 19:46:19

    一人称が俺になってる〜!
    段々人に近づいてってるのすごいドキドキする

  • 135二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 19:53:26

    すごいな「葛藤」や「交換条件」みたいなものを会得してる気がする

  • 136125/10/12(日) 19:56:44

    しかし最初は思い出せなかったものの、会話の流れで一つ思いつくことがあった。
    そう言えば喜びの部屋に入り看板を見る前に名前で呼ばないかと頼み、命令なら従うと言われてならばと断った気がする。

    「俺のこと名前で呼んでくれるの?」
    「……許可が、頂けるなら、そうなります」

    若干気まずそうに視線を逸らす様子を見て、不貞腐れているようにも見えるなと虎杖は思った。
    最初はロボロボしい回答しかしなかったことに比べれば、少しずつではあるが明らかにコミュニケーションの仕方と思考が人間に近付いている、のだろう。

    「いいよ。そもそも俺が最初に頼んだことだし。俺はずっと脹相のこと脹相って呼んでるし」
    「では、……悠仁」
    「うん、俺もやっぱ所有者って呼ばれるよりもこっちの方が嬉しいし」

    そう返すと脹相は何度か「悠仁」と小さく呼んだ後、喜びを知った時と同じように小さく笑った。
    表情があるかないかでこんなにも受ける印象が変わるのかと、目の前の脹相に対して虎杖は同じように笑みを返す。

    「人は名前を呼ばれることを嬉しく思い、親しく感じるものなんですよね?」
    「立場で呼ばれるよりはそうかな」
    「俺は悠仁を親しく感じることに喜びを感じているのだと思います」
    「俺も脹相がそう思ってくれるなら嬉しいよ。じゃ友達にでもなってみる?」
    「友達は関係性の一種、ですよね」
    「そうそう」
    「友達よりも親しい関係性はありますか」
    「親しい友達、で親友。あとは家族とか?他にも色々あるけど、一口にどの関係がより親しいかってのは難しいかも」
    「分かりました」
    「関係性にわざわざ名前つけなくても、したいようにすれば俺は良いと思うけど。……じゃ、出ようぜ。次もまだあるんだろうし」

    そう言って脹相が入口の方へと踵を返したのを確認した後、虎杖は先程と同様に看板の裏を覗き見る。
    そこには先程のように大きく殴り書きの文字で『お前のせいだ!人間が憎くて仕方ない!』と書かれていた。

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 20:04:53

    「俺のこと名前で呼んでくれるの?」がなんか大袈裟ではないけど柔らかい感動と喜びを感じて好き
    看板の裏ずっと嫌な感じなのなんだろ…その部屋の感情が反転した時の何らかみたいな

  • 138125/10/12(日) 20:14:54

    中央の扉は最後にするとして、残り三つ。

    最初の部屋は喜び、二番目の部屋は怒り。では三番目と四番目はと、そう考えた時にふと気付く。

    感情を示す四字熟語の喜怒哀楽。偶然か必然か、脹相が得た感情の順番と一致している。

    そもそも部屋に入って看板を読んでから部屋が変わる仕組みのせいもあり、どの順番で部屋に入っても結果は変わらないのかもしれないと虎杖は考えた。


    「また次の部屋に入ったら脹相は新しい感情を知ることになると思うんだけど、脹相はそれで良い?」

    「喜びと怒り。その他にも感情があるならば俺は知りたいです」

    「怒りみたいにあんまし良い感情じゃなくても?」

    「感じずにいるよりは、どんなものも感じた方が良いと、今の俺はそう思います」


    脹相が感情を得ることを虎杖が勝手に決めるべきではないように、脹相がそう望むならばやはり虎杖が勝手にどうこう言うべきではない。

    着々と人の感情に触れていく脹相を前に、虎杖はそれを喜んでいいのか分からなかった。

    なにせ脹相がどんなに中身を人間に近付かせたとしても、彼は人間ではない。ヒューマノイドなのだ。

    しかしヒューマノイドだからと言って人間に近付くべきではないと、虎杖はそうも思えなかった。


    「分かった。……脹相はどの部屋が良いか希望ある?」

    「悠仁に任せます」

    「オッケ―、じゃあ隣にするか。開けて貰っても良い?」

    「了解です」


    一番右の扉から出て、右から二番目の部屋に入れば一度入った時と変わらない光景が広がっている。

    二人が部屋に入ると、自動的に背後の扉がシュンと閉まり、中はそれなりの広さのある真っ白な空間だ。

    そして変わらず、中央にポツンと看板がある。

    そこには「私はあなたのためなら耐えられる」と書いてあり、それを認識したその瞬間、また部屋の様子がガラリと変わる。

    周囲の様子が夜に変わり、足元から水が溢れ出し始める。

    しばらく待つと、ポツリポツリと光が灯る。これは――――ろうそくだ。

    一つ、二つ、十、二十と増えていき、川の流れと共にゆらりゆらりとどこかへ流れていく。


    〈知識〉

    虎杖(55) dice1d100=2 (2)

  • 139二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 20:20:21

    これは見るからに哀の部屋か…
    知識クリティカルすごい!やった事でもあるのかな

  • 140125/10/12(日) 20:37:01

    〈知識〉
    【クリティカル】

    その光景を見て虎杖は小さく声を零す。虎杖はこの光景を良く知っていた。

    「灯籠流し、だ」
    「灯籠流しとはなんですか」
    「死者の魂を弔って海や川に流すんだよ。お盆とかにさ、亡くなったその人を想いながら」

    遠ざかっていく光を虎杖はじっと見つめている。
    虎杖の知る炎の中でも、最も悲しくも温かな想いが詰まった炎の一つだ。

    「魂、とは」
    「心って言っても良いかもな。その人がその人たる証拠で、生きた証。因みにお盆ってのは亡くなった人が帰って来る、ってことで色々やることがあんの。俺は会えたことないけどさ、殆どの人がそうだろうけど、帰って来てるかもって思って残された人も明日も頑張ろうって生きていくんだよ」

    脹相は虎杖の言葉を聞きながら、足元を流れていく光たちを眺めている。

    「多分だけど、ここは哀しみを知る部屋だと思う」

    虎杖は手元の冊子を開き、目次に「6P…『哀』」と追加されているのを脹相へと見せた。
    そして6P目を開けば「初心者かんたん! 失敗しない『哀』の作り方」というタイトルが大きく書かれている。
    その下には「記録チップを入れた状態で『別れ』について語ってあげよう。これで哀は出来上がり」と続いていた。
    更にページの隅には「哀しみには慣れがある。慣れないこともあるけれど」と、そう綴られていた。

    「慣れ、か」

    虎杖は祖父を失った哀しみにも、天涯孤独となった哀しみにも慣れてしまった。
    一人で食べる食事。誰も居ない暗い部屋に「ただいま」と告げること。雨が降っても外に干したままの洗濯物。自分のものしかない部屋。
    それらは既に虎杖の日常となっている。

  • 141125/10/12(日) 20:46:28

    それでも火事によって家族を失った人たちを見れば、慣れ切ったはずのその傷が疼く。
    かさぶたになった傷跡を爪で撫で、少しずつ剥がれていくかのように。
    失うことの寂しさを、哀しさを知っているからこそそれらは虎杖の原動力となる。
    痛みに鈍感になり過ぎても救えるものは減ってしまうのだ。

    「哀しみ……あまりいいものではない、ですかね?」
    「なくて良いとは思わんけど、哀しいって思う回数は少なけりゃ少ない方が良いかもな」

    どんなに慣れるとしても、傷を負う時はいつだって痛みを伴う。
    いつか慣れるのならば大丈夫とは言えないものだ。

    「でもさ、……脹相はそれを知りたいんだろ?」

    虎杖がそう問えば脹相は少し間を置いた後に頷いた。

    「俺はそれを、哀しみを知りたいです」
    「人の心にはさ、怒りとか哀しみとかそれだけじゃいい感情とは言えないけど、あった方が良いものもあるんだよ」

    だからこそ、こうして哀しみを知りたいと願う脹相は人間らしく、人間らしくはない。
    しかしその矛盾こそ、人間らしいとも言えた。

    ≪脹相に『別れ』について語ろう≫
    先頭に★をつけた上で『別れ』や『哀しみ』について何を話すかを指定
    複数でも可、次の再開時(21時30分くらい)まで募集

  • 142二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 20:57:24

    ★祖父との別れや、消防士としての経験の中で喪った命について語る
    命が失われることは哀しいということについて話すかなぁ

  • 143二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 21:11:13


    好きな人や物と会えなくなったり無くしたりするのが別れかな
    例えば猫ちゃんと2度と会えずふわふわを撫でることができなくなる
    虎杖がいなくなってしまってこうして会話することができなくなる
    それが別れでそういう時に感じるのが哀しみって話すかな

  • 144二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 21:16:07

    ★あるものがなくなるという喪失について話そうかな
    いつでも会えた人に二度と会えなくなるとか、いつも同じところに掛かってた子猫の絵がなくなってるとか、スライム洗おうとして水に流しちゃったりとか、日常の中に喪失も別れも悲しみもある的な
    大事なものが目の前からなくなって行方を知る手段がなくなるとか触れたいと思った時に触れられなくなるとかそういうのを想像すると悲しみや別れが伝わるかなぁ

  • 145125/10/12(日) 21:57:11

    安価〆、参加ありがとう
    RP重視シナリオはKPする時にダイスメインのシナリオよりも頭を使う説、あると思うよ

  • 146125/10/12(日) 22:21:18

    「一般的に別れってのは会えなくなることなんだよ」

    必ずしも別れとは永遠のものとも限らない。

    「例えば脹相はここの扉を開けられるだろ?でも俺は開けられないから脹相が先に中に入って扉が閉まった時に脹相が扉を開かなかったら俺たちは別れている、とも言える」
    「悠仁と別れる必要性を感じないです」
    「例えば、って言ってんだろ?まあそういう一時的なのもさ、哀しかったり寂しかったりする時もあるんだとは思う」

    だが多くの場合、人が別れを哀しむ時にはその別れは永遠であることが多い。
    生と死により二度と会えなくなり、恋人と別れて他人という関係になったり、大切にしていたものを無くして手元に戻って来なかったり、人は自らの元に帰ってこなくなったことを嘆き、悲しむ。

    「分かりやすく言えばさ、猫と二度と会えなくて触れないこととか、あとはまあ俺が居なくなってこうして会話出来なくなったりとか、それが別れでそうなったら哀しく感じるかもってこと」

    その会話を理解しようと試みるかのように脹相は「会えない。触れない。居なくなる」と呟いた。

    「生き物以外にも大切にしてたものが無くなるとか、そういうのも別れの一つ。それこそスライム洗おうとして水に流しちゃったとかも一応別れ」
    「……スライム?」
    「色々混ぜて作るぶにょぶにょしたヤツ。水に溶けるから洗ったらなくなる」
    「どうして洗ったんですか?」
    「ガキだったからだよ」

    そうすることによって失うとは知らず、失ってしまった懐かしい記憶。
    あの時は本気で動揺したものだが、大人になった今ではガキの頃の俺って本当に馬鹿だったよなという気持ちが勝る。

    「知らなくても、知ってても、失う時は失う。別れが分かっていても、分かっていなくても、哀しく感じるように、な」

  • 147二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 22:54:46

    スライム洗って溶かすガキ悠仁草

  • 148二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 23:21:31

    情操教育って難しいね

  • 149125/10/12(日) 23:49:33

    「会いたい人に会えなくなるのも、大事なものが手元から離れるのも、触れたい相手が居なくなるのも、全部別れの内の一つ。離れてる時間が短いから苦しくないってことはないけど、これでずっと会えないって分かった時は人はそこから少しずつ慣れていって、少しずつ忘れていく」

    死者が蘇ることはなく、失われたものと全く同じものが帰って来ることもなく、多くの喪失は終わりに等しいものだ。

    「大体はさ、近くにあるとか、手元にあるとか、一緒に居るとか、そう思うからこそ別れが辛くて哀しくなる。元々自分の傍にあったからこそ、離れたら哀しいんだ」

    何も知らなければ、別れも知らずに済む。哀しみを知らなければ、哀しむことがないように。

    「ここからは俺の話だけど、俺には爺ちゃんが居た。さっき話した、製造主の製造主ってヤツ。俺のたった一人の家族だった人」

    どうにか声に哀しみが乗らないようにと、虎杖は敢えて脹相から視線を外し、流れゆく灯籠に目を向けた。

    「俺が高校生の時、大体今から五年くらい前に爺ちゃんは死んだ。死ぬってのはさ、これからずっと会えなくなるってことで、永遠の別れになる」
    「……それは哀しいことですか」
    「うん、哀しかった。哀しんでばかりも居られなかったのがさ、有難かったけど寂しくて。親戚付き合いもなかったから一人で爺ちゃん燃やして、んで骨壺を家に持って帰って来て」

    そこまで告げると虎杖は急にしゃがみ込み、足元の水に触れ始める。バシャバシャと手で掬うようにした後、唐突に言葉を続けた。

    「一人で飯食うのなんてとっくに慣れてたはずなのに、飯食ってる時に爺ちゃんの骨壺が見えた時にさ、漸く一人になったんだって実感したよ。あぁ、もう爺ちゃんと飯食うことないんだ、って。健康のこと考えて減塩のレシピ調べて飯作るのも、それを味薄いって文句言いながらも全部食べる爺ちゃんが見られないのも、空になった器見て嬉しいって思うことも、もうないんだって」
    「ご飯を人と食べることは嬉しいことです。それが無くなるのは嬉しくない、ことですか」
    「正反対ってのはちょっと違うかもだけど、嬉しいことじゃないのは確かかな。人ってさ、何か一つでも失うと他にもいっぱい失ってんの。一つじゃないんだよ」

  • 150二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 00:13:45

    話自体も喪失の手触りがすごいけど虎杖がしゃがむタイミングがこう…つらいね

スレッドは10/13 10:13頃に落ちます

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