- 1二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 17:35:44
- 2二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 17:40:16
おけ保守
- 3二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 17:52:38
まだ齢が二桁にも満たない頃、あの人はよく指にこめかみを乗せながら本を読み込んでいた。僕は不思議に感じて眺めていたが今にして思えば育児というものに相当苦労していたに違いない。
「ねぇねぇ、あそぼ」
「んにゃ?ん〜……」
「れ、レヴィ!シャコガイル先生は休憩中ですので私と遊びましょう!ね?」
「……わかった」
多分、この時は母の愛に飢えていたんだろう。いつも眠ってばかりのシャコガイル先生には憤りを感じることもあった。けれどそれ以上に構ってくれたり、勉強に付き合ってくれた時はそんな気分を忘れてしまう……実に子供らしく単純で、シャコガイル先生にはどう映っていたのかは分からないが現在の態度を見れば僕を本当の我が子のように可愛がってくれていたと思う。 - 4二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 18:02:13
それからしばらくして"大人"というものを理解していく時期になった頃、僕は初めてシャコガイル先生を避けるようになった。
理由も簡単で、彼女が異性だったから。アカデミーで保健体育を学ぶようになってから、僕の中にある家族愛は外皮が崩れるように剥がれていく。
その時のシャコガイル先生は普段よりも気が沈んでいた。 - 5二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 18:11:15
さらに時を重ねて、理性を学んだ。物事を分別してきっちりと壁を作る方法を身につけることで僕は久方ぶりにシャコガイル先生と目を合わせることができた。
それから────
「あの」
「ん?何かおかしいところでもあったのか?」
「こういうモノローグってもう少し詩的な表現は出来ないんですか?ほとんど事実を述べるように淡々としていて……正直つまらないです」
「そんなこと言われても……恋愛相談に乗ってくれると言ったのはリュミエの方だろ?」
「貴方にはユーモアが足りないんですよ。それこそさっき言っていた『実に子供らしく単純』……シャコガイル先生からしたらまだ20歳も超えていない若者はみんな赤子同然です」
「うっ……」 - 6二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 18:22:09
「今のあなたが恋愛感情を表に出したところで、『ぼく、将来ママと結婚しゅるー!!』ですよ」
「……可愛いねそれ」
「黙れ。」
◇◇◇
『今の貴方は紳士・大人を目指すべき』
「なんて言われても、アカデミーの本棚にそんな本があるわけがないか」
「……プレイヤー?君もここに来ていたのか。
どうして僕がここにいるんだって?」
「……。」
「わ、わかった!!話すからシャッフルはしないでくれ!!……こうなったら止まれない!?」
Now Loading…… - 7二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 18:55:16
「やったね!!」シュシュシュッ、キュピーン
「はぁ、本当に敵わないな……」
「……念の為言っておくけど、他の人には言わないでくれよ?」
「実は僕、ある人が好きで……それで彼女の気を引こうと思って本を探していた次第なんだ」
「えっ、うってつけの人を知ってる?本当k」
◇◇◇
「レヴィが恋バナなんて!もうそういう年になったのね〜♪」
「」 - 8二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 19:45:18
「……。」
(プレイヤー!!どうしてシャコガイル先生を呼んだんだ!?……い、いや確かに頼りになる人だけど……!!)
「もう、せっかく来たのにプレイヤーとゴニョゴニョ内緒話されちゃ私が来た意味無いじゃない。いいのよ遠慮しなくて……あっ、もちろん誰が好き?とか詮索するつもりもないから」
「……まず今の僕ってどうなんでしょう?子供っぽいとか」
「子供っぽい?あなたはもう立派な青年よ。あの頃は私が母親代わりに世話をしていたのに……今じゃこっちがお世話される側になっちゃって」
「う、うーん……」 - 9二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 20:04:57
◇◇◇
(絶対にから回ると思って後をつけてみましたが、意外と楽しそうな状況になりましたね)
(おい、ラビリンスがこんな所で油を売っていていいのか?)
(油を売る?違いますよマルハヴァン。むしろ今が緊急事態と思った方が良いでしょう)
(なに?)
「よく考えてください。仮にアカデミー屈指のマスター候補が、その校長と恋仲になったという噂が流れたとします。アカデミーの生徒や教員は一体どうなるでしょうか?」
「……あまり良い結果にはならなそうだな」
「その通り。つまり私の使命は万が一に備え、レヴィの恋慕の行く末を"監視"すること。」
「どう見てもただの見物人にしk」
「"監視"です」
「……。」 - 10二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 20:20:36
「レヴィは今のままでも充分じゃないかしら?オクトーパが言うには、結構モテてるらしいし」
「そうなんですか!?」
「そうよ?ほら、プレイヤーも頷いてる。」
◇◇◇
(あれは良くない傾向ですね。同年代からモテるというのは今回あまりステータスにはなりません)
(楽しんでるな?)
(監視です) - 11二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 21:03:11
「……じゃない!!モテたところでその人が振り向かないなら意味がありません!!」
「へぇ、情熱的なことを言うのね。それじゃあこんなのはどうかしら?」
「……?」
◇◇◇
「……なんですかこの服」
「何ってオシャレよ?セビーチェン監修だから間違いは無いわ」
「まずはいつもと違う雰囲気でその子の視線を引いてみるの。何も見ないで好きになるなんて出来ないし」
「仮にこれを着るとしてアカデミーではいつ着ればいいんですか?」
「……。」
「先生?」
「ごめーん!本当は着せてみたかっただけなの!」
◇◇◇
(お母さん……)
(進展するのかこれで) - 12二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 21:57:45
「いい加減にしてください!!僕は真剣なんです!!だから……その……」
「あら?プレイヤー、デッキをシャッフルしてどうしたの?……なるほど、デュエルをすれば考えが纏まるのね。それじゃあレヴィ、一戦付き合ってあげなさい」
「えっ、ちょっ」
Now Loading…… - 13二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 22:03:44
「集え、我が手に(EX WIN)」
「やったね!!」シュシュシュッ、キュピーン
「くっ……尽く上手くいかないな……」
「それで、何かいい考えは思い浮かんだのかしらプレイヤー?」
「……なっ!?」
「前もって告白しておく……大胆な作戦ね」
「な、ななな何を言ってるんだプレイヤー!?まだシャ……好きな人に意識させることも出来ていないんだぞ!?」
「逆よレヴィ。何も告白は『付き合ってください』だけじゃないでしょう?」
「違うんですか……?」
「返事を待ってもらうの。その間に、どれだけ自分が魅力的な男性なのかアピールすることで成功率を上げることができる方法よ」
「……確かに、先生の言う通りなら嫌でもこちらに意識を向けることは出来、自分はひたすらアピールするだけでいい。一見完璧な作戦です」
◇◇◇
(一見?)
(この方法、彼くらいの男でないと許されない大博打なんです。初めの告白で断られてしまえばそこで終わり……それに相手が必ずこちらのペース乗るとも限りません)
(成程……結局ある程度好意を持っているという隠れた前提があるわけだ) - 14二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:10:43
「それに、失敗したらもう立ち直れる自信がありません」
「そんなに!?今こんなことを言うのもなんだけれど、まだ若いんだしもっと長い目で見てもいいんj」
「一生に一度と決まった想いなんです!!」
「!?」
「……僕は真剣ですから」
「レヴィ……」
「……あっ、いえ、すみませんつい」
◇◇◇
(〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!!)
(憤りを俺にぶつけるな。背中が痒い)
(ここでしょ!?今チャンスありましたよ!?あれ確実に揺らいでましたよ!?)
(そこまで言うなら思考を直接送ればいいんじゃないのか)
(シャコガイル先生の前でそんなこと出来るわけないでしょう!?) - 15二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:21:26
「……それよ!!」
「それ?」
「今の感じ、今の感じなら突然の告白でもOK間違いなしよ!!」
「ほ、本当ですか!?」
「もちろんよ。思わずキュンとしちゃったもの……プレイヤー、何かいい考えが浮かんだの?」
「……それ以上はデュエルの後教えるんだな。そろそろプレイヤーの言う事も分かってきたよ」
◇◇◇
(あーこの、あー)
(迷宮化が緩んでいるぞ。精神が乱れてきたな)
(えぇもちろん。手頃のガラス瓶とかでも叩きつけたい気分ですよ)
Now Loading…… - 16二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:28:04
「I amです」
シュッ、バァーン
「今度は負けないよ!」
「何を渋ってるんだ?早く教えてくれ」 - 17二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:42:01
「引き金は二度引かねぇ……一発が全てだ!!」
「やったね!!」シュシュシュッ、キュピーン
「全く君の戦術にはいつも驚かされる。それで、考えというのは?」
◇◇◇
「……似合ってるかしら?」
「え、えぇ……!!」
(プレイヤー!どうしてシャコガイル先生に生徒の格好を!?)
「決まってるじゃない。告白の練習よ」
「……ッ!?」
「デュエマだってデッキを組んでいきなり挑戦せず、一人で回したりして調整を繰り返してから挑むもの。告白も同じように練習と調整をすることで本番の緊張によるミスを無くす……完璧な作戦ね」
「さぁ!私をその好きな人だと思って告白してみなさい!!」
「な、なっ……」
「頑張って!初めはアイラブユーだけでも口に出すのよ!!」
◇◇◇
(……今度はにやけてどうした)
(だってっ……堪えられるはずないでしょうこんなのっ……くっ……ふふっ……) - 18二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:46:16
「……シャコガイル先生」
「……はい」
「貴女には拾って育ててくださり本当に感謝しています」
「実の息子のように接してくださった先生は僕にとっても本当の母親のように大切な存在です」
「でも、今だけは一人の女性として……僕を男として見ていてください」
「……シャコガイルさん、貴女を愛しています。どうか僕の隣で最期まで添い遂げてください」
「……返事は来週にお願いします」
「レヴィ……」
「……よろこんで。私も貴方を心からお慕いしておりました」
「……!!」
「そ、それでは……!!」
「えぇ、お付き合いから始めましょう?」
「や、やったぁぁ!!!!」 - 19二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:52:15
「……やるじゃない!!まるで本番みたいな気迫だったわよ?」
「えっ」
「もしかしたら練習せずとも成功していたかも?プレイヤーも最後まで付き合ってくれてありがとう」
「あ、あの……今のは演技だったんですか?」
「演技に決まってるじゃない!本気で付き合っちゃったらレヴィに申し訳ないでしょ?」
「……。」
「むしろあなたのあんな顔、初めて見るものだから微笑ましくて笑みを堪えるのが大変だったわ……でも中々様になっていたと思わない?」
「……はい。本物と見紛う程でした……はい……」 - 20二次元好きの匿名さん25/11/26(水) 23:55:34
「今回は残念でしたね」
「大人の壁は大きいな……」
「でも進展はあったと思いますよ?先生、本気で照れているのは確かでしたし」
「本当か!?」
「あくまで照れているだけでしたけど」
「……。」
「……お菓子を持ってきました。バナナやナッツなどは幸福感を高める作用があるみたいですよ」
「ありがとう……」
◇◇◇
(気になって後をつけてみたけどレヴィが仲良さそうにお菓子を食べている子って……リュミエ!?そう……あの子たちがくっつくのね……)
サンプルは以上となります - 21二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 00:04:43
サンプル!?これがサンプル!?!?
- 22二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 00:06:14
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 00:21:15
最高じゃあないか...
至高のSSをありがとう 続き書いてみる気ない?(強欲の悪魔龍) - 24二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 06:05:27
保守
- 25二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 08:38:31
レヴィ!押し倒せ!
- 26二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 13:53:45
「"紳士的な大人になりたい?"」
「諸事情で僕は変わらないといけないって本気で思い始めたんだ。頼むファレナ!"あだるとさ"というものを教えてくれ!!」
「それは構わないが……あくまで俺個人の解釈に過ぎない。俺自身、お前と同年代の人間なんだからな」
「それでもこういうのはファレナが適任だと思うんだ。リュミエがそう言っていた」
(アイツ……)
「……まぁいい。話は長くなるだろうし茶菓子でも嗜みながらでも構わないだろ?」
「あ、悪いが今回は遠慮するよ。リュミエから幸福感がどうってナッツのお菓子をご馳走になって……」
(アイツぅ……) - 27二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 14:29:55
「……大人と言うにも定義がある。肉体的な意味なのか、精神的な意味なのか……お前の場合はその両方と見ても良さそうだな」
「その通りだ!シャ……例の人をリード出来るような人になりたいと思ってる……」
「目指す場所が決まってるなら早い。まず精神的な大人についてだが、やはり余裕に富んだ、それでいて太い芯のあるものだと俺は考えている」
「なるほど……?」
「仮にもマスター候補なんだから芯の部分は問題ないだろう。だが心の余裕が足りないな」
「芯を一本の柱だとして、その周囲を輪で囲むとするのなら、その余白が心の余裕というもの。輪っかは常に外側から刺激を受けて波打ち、余裕がなければ芯にぶつかってしまう……このぶつかる瞬間に青臭さが生まれるんだ」
「な、なるほど……?」
「芯を囲む輪っかはそれまでの積み上げた経験、自身のセンスからできている。
精神的な大人を目指すなら、何事も経験して世界を学ぶことだな」
(……魔法を教える時のシャコガイル先生も同じようなことを言っていた気がする) - 28二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 14:57:22
ファレナ(シャ?…………聞かないでおこう)
- 29二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 14:59:19
「そして肉体的な大人について……」
(……ん?なんだか寒気が)
「これは単純だ。限界は無い、ひたすら鍛えるのみ。強靭な肉体は誰もが子供らしさを感じることは無い」
「ファ、ファレナ?」
「あぁ、身体が疼いて来た……!レヴィ、まずは有酸素運動からだ!!走るぞ!!!!」
「待っ、ちょっ、うわぁぁぁぁぁ!!!!」
Now Loading…… - 30二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 15:26:25
DECK OUT
「すまないっ、エレナ……!」
「どうした!この程度で音を上げるのか!!」
「せ、せめて運動着に着替えてからでも……」 - 31二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 16:32:34
「私こそが、ドギラゴンなり!!」
「この勝利は我が主に捧げます」シュシュシュッ、キュピーン
「はぁ……!!はぁ……!!」
「……今日はこの程度にするか。今度からは定期的に身体を鍛えるようにしろ」
「こ、これでも人並み以上には鍛えてるつもりなんだが……」
「その程度でシャコガイル先生を超えられるとでも?」
「うっ……気づいていたのか」
「俺の勘は鋭いからな」 - 32二次元好きの匿名さん25/11/27(木) 16:52:12
「レヴィ、最近動きがぎこちないわね?何かあったの?」
「い、いえ……最近は激しめの運動をよくするものですから」
(激しめの運動……?)
「へぇ……何かスポーツでもやり始めた?」
「スポーツという程ではありませんが、最近だと足腰を重点的に」
(足腰を重点的に……?)
「……ごめんなさいレヴィ。あまりプライベートは探るようなものでも無いわね」
「え?は、はい」
(まさかリュミエとそこまでお盛んだったなんて……微笑ましいことだけれどちょっと注意が必要かしら)
「その……程々にしておくのよ?万が一のことがあってはいけないし」
「分かっていますよ。ただファレナが容赦なくて……」
「??????????????」