キス魔注意報

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:38:31

     それはあまりにも青天の霹靂で、
     私ことヤエノムテキでは理解が追いつかないコトでした…。
    「ンンッ!?」
     …接吻を……されてしまいました…。
     最近学園内の中庭に現れる猫を遠くから愛でている時に、
     それは不意に、唐突に、何の理由もなく、ただ飛んでいた蚊をはたき落とすかのように。
     …有無も言わさず、私に接吻をして来たのです…。
    「ンふッ?! ーーーーーっ!?」
     全身の毛が、耳が、尻尾がビンッと逆立ちます。
     ですがこれでも武術家の端くれ。
     金剛八重垣流を引き継ぐ跡取り娘として日々鍛錬に鍛錬を重ねた私にとって、
     強引に私と密着している彼女を振り払うのは赤子の手を捻るよりも手軽い。
     ……しかし、
    「はぁ…! んんッ!?」
     これが私にとっての初めての接吻。
     唇と唇を重ね合わせるだけに留まらず、舌で腔内を弄られるという未体験の感覚に私の思考は完全に白く停止し、
     鍛えに鍛えた身体はデクの木のように硬直。
     頬が、耳が、全身がレースの時よりも熱くなるのを感じています…。
    「ンッ…! ンッ…! んッフ!」
     羞恥で気絶できれば、どれほど幸運なことだったか…。
     現実は事実から目を背けることを許してはくれず、ただただ私は彼女リトルココンさんに弄ばされ続けられます。
     ウマ娘は肺活量にも優れており無呼吸でも75m以上は泳ぐことが出来るとはいえ、
     ココンさんはそれ以上に息が長く、私に酸素を送り込んでくる余裕さえありました。
     わらべのように涙を流そうと、腰が砕けてへたり込もうと、決して唇を解放してはくれず、
     私は荒い鼻息でココンさんのキメ細やかな白い肌を叩くことしか出来ません…。

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:39:17

    ヤエノは似合う👍

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:39:43


     それから一体どれほどの時間が経ったのか。
    「…初めてぽかったけど、途中から悪くなかったよ。それじゃ」
     長い長い、とても長い嵐は過ぎ去り、私はしばらくその場から立ち上がることも、手足を動かすことも出来ず、
     色付き目覚めてゆく意識で何故?どうして?という疑問符ばかりを浮かべるのでした…。
     やがて授業の始まりを知らせる予鈴が鳴り響きます。
    (……嗚呼、そうでした…学業…学業をしなくては…)
     ふらつく身体をなんとか転がりて起こして、非日常から日常へと戻ろうとします。
    「ヤエノさん大丈夫ですかっ?」
    「チヨノオー…さん?」
     幸なことにチヨノオーさんに発見された私は、彼女の肩を借りて保健室へと運ばれるのでした……。
    「37.3℃…本当に大丈夫ですか、ヤエノさん?」
    「は、はい…っ。これぐらいの微熱、しばらく安静にしていればきっと…!」
     きっと、忘れられることではない。
     嫌でも鮮烈に脳裏に刷り込まれてしまったココンさんとの睦言が反復し、
     あろうことかチオノオーさんの唇を意識してしまいました。
    「――~~~ッ!!! や、やはり駄目かもしれません。今日のところは早退すると先生方とトレーナーさんにお伝え下さい…」
    「はい。どうか、お大事に」
     …軟弱。私はなんて邪なことを……。
     未だ腔内に残るくすぐったさと慙愧の念に私はベッドの中で悶え転がります。
     どうしてココンさんは私とあのような事をしたのか。
     接吻といえばやはり恋人同士が行うものであって……
    (ひょっとしてココンさんは私のことが、しゅっ、しゅきなの…?)

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:40:36


     喉がキュッと締め付けられる。
     熱に浮かされ、心が舞い上がる。
     ………睫毛が長かった。
     翡翠色の瞳で他人を寄せ付けない強気な雰囲気を醸し出していながら、
     女性的な愛らしさを備えたリボンの耳飾りと内巻きのショートヘアー…。
     無骨な私とはまるで正反対。西洋人形のような端正な出で立ちがとても綺麗だった…。
    (そのような方にキ、キスを…されてしまった……のですよね…)
     忘れられないあの柔らかな感触…。
     そも接吻とは何なのか?
     恥ずかしいもの。恋人同士が行う愛情表現。
     ――そして、
    「あ、赤ちゃんを作るためのこうひ…」
     尻尾がゾワゾワと痺れる。頬がじわんっじわんっと熱くなる。もう心臓が破裂してしまいそうです。
    (はあああああああ~~~!!! どどっ! どうしようっどうしようっどうしようっどうしようっ…! あ、ああ! 赤ちゃん! 私とココンさんの赤ちゃんっ?!)
     どうすればいいのでしょう? 誰に相談すれば良いのでしょう?
     やはりまずはココンさんに今回の件について詳細を…?
    (はうぅ~……!! ココンさん、ココンさん…!)
     もはや私の思考はあの方のことで支配され、
     ココンさんを切なく求める気持ちで悶え苦しむことしか出来ませんでした…。

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:41:22

    >>3

    (ひょっとしてココンさんは私のことが、しゅっ、しゅきなの…?)


    脳内ですらまともに言えてないのよわよわで好き

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:42:16


     アレから数日が経ちました。
     悶々とした日々が続き、夢の中では幾度となくココンさんとの接吻を、
     現実では日に日に腹部の胎動と膨らみを感じるようになりました。
    (…やはりこの子の事をココンさんに伝えなくては)
     赤子のコトを想えば母として勇気が湧いてきます。羞恥や不安から尻込みをしているのはもうヤメです。
     毅然とした態度でココンさんを探し、中庭に呼び出すことに成功しました。
    「…っで? 話ってなに? まぁどうせこの前のコトだろうけど…」
     あいも変わらず愛らしくも美しい実物のココンさんに否応なく体の芯がカァーと熱くなり、息苦しさを覚えます。
     それでも言わなければ。
     下腹部に手を当て、我が子から勇気を分けていただきます。
    「はい。お察しの通り、先日のせッ…! ……接吻で、に、……にぃ~」
    「に?」
    「…にんしん、しちゃいました…」
    「……………………は?」
     まるで告白のような、順序こそ違うもののプロポーズのような、
     夫婦となることを示唆した台詞に気恥ずかしさからゴニョゴニョと口籠ってしまったのが原因でしょうか。
     胸が張り裂けてしまいそうですが、伝えなければならないのでもう一度、今度はちゃんとハッキリと!

    「ココンさんとの赤ちゃんを妊娠してしまいましたっ!!!」

    「……………………は?」
    「だからそのですね…!」
    「…冗談でしょ?」
    「いえ、冗談では…!」
    「あのさ…キスなんかでデキるわけないから。フツー」
    「……ゃえ?」

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:43:22


     そんなはずありません。
     私とてコウノトリさんのキャベツ畑は卒業済みです。
     現にこうして私のお腹は大きくなって……
    「今時珍しいというかなんというか…キスだけで赤ん坊がデキるわけないからね。100%想像妊娠」
    「想像…妊、娠…?」
    「デキてもいないのに、デキちゃった時と似たような状態になること。自覚したら元通りになるから」
     その瞬間、私の中で何かがガラガラと音を立てて崩れていくのを感じてしまいました…。
    「……え? そ、それではどうして私と接吻を…?」
    「別に。ただ口寂しくなっただけで深い意味なんてこれっぽっちもないけど」
     さらに情け容赦のない追い打ちに私の膝は折れ、自然と大粒の涙が溢れ出てきました…。
    「……話ってそれだけでしょ。じゃ」
     接吻とは本来、恋仲の者同士が行ったり、告白のために投じる手段であり、
     そんな、なにも、ただ口寂しかっただけでなんて……
    「……酷い。酷いですよ、ココンさん…!」
     最初から責任を持てないのならこのような不埒なコト、されてほしくなかった…。
    「どうっ、して…!!!」
     目元がヒリヒリと腫れるほど泣き続けました。顔面の筋肉が痛くなるほど食いしばりました。
     一人で舞い上がっていた自分が道化のように愚かで、辛くて……
     それでも私はココンさんを強く明確に恨みきれず、傷を負って日常へと戻っていきました……。

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:44:39


     あの日以降私は不思議とココンさんの尾を追いかけ、
     彼女が不特定多数と接吻を行っている衝撃的な場面を目撃しました。
     マチカネさん、ロブロイさん、ナカヤマさん、アルダンさん、そしてジョーダンさん…。
     中には喜色を咲かせて喜ぶ人もいれば、状況が理解できず崩れる人も、私のように泣き崩れる人もいました。
     そんな一人に、彼女が……チヨノオーさんも毒牙に掛けられているとは思いませんでした。
     それも初対面という感じではありませんでした。
     まるで少なくとも数回はココンさんと逢瀬を繰り返しているような……。
    「ふぅンンッ♡!」
     体をまさぐられ、艶めいた嬌声を漏らす友の姿に耐えかね、私はその場から逃げ出しました。
     …嗚呼。どうしてあの時あの場にチヨノオーさんが私のところにすぐやって来れたのか、いま理解りました。
     ――見られていた。
     私がチヨノオーさんとココンさんの接吻を出歯亀しているように、チヨノオーさんも私とココンさんとの接吻を…。
     もはや全てのウマ娘が裏でココンさんと接吻しているように思えてしまいました……。

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:45:49


     初めての接吻だったのに…。
     純情で素敵な殿方と唇を交わし、幸せな家庭を築く。そのはずだったのに…。
     ……どうして?
     心はひどく傷付けられた。心は重たく、道場はしばらく出禁。
     食欲もご飯が3杯までしか進まず、練習にも全く身が入らない事態です。
     …なのにどうして?
     どんなにココンさんの事を恨もうとしても恨みきれず、むしろ以前よりさらに切なく、不特定多数と不純な行為をしている彼女を想うようになってしまうなんて……。
     色んな方と接吻を行っているのならば、チヨノオーさんのようにまたいずれ……。
     そんな淡い期待を抱いていると、理事長代理に褒められ、笑顔を押し殺しているココンさんを見かけました。
     破顔しかけない限界ギリギリを保った薄くクールな笑顔に私は美しいだけではない、ココンさんの愛らしい一面を見れたことに少し頬を緩めてしまいました。
     理事長代理と別れ、しゅんと淋しげに下がった尾は、これまでの横振りから一転。
     そわそわと何度も尾を上げ下げし、熱を孕んだ翡翠色の瞳で私を捉えました。
     私のことを見ているようで見ていない、強引な手引きで体育館倉庫まで連れて行かれ、
     そこで私はココンさんに押し倒され、また――唇を重ねました。
    「はぁはぁ理子っ! 理子っ!」
     ファーストキスの時の繊細さは無く、ただただ野性的でどこまでも乱暴。
     でも、それが嬉しかった。とても嬉しかった。
     たとえたまたまその場に居合わせていた代用品だったとしても。
     溜まりに溜まっていた欲求に身を任せ、大胆にも私からも舌を入れ返すと、
     それがココンさんの理性を吹き飛ばしてしまったのでしょうか。
     より何倍にも強く、より熱く激しく、私は欲望の捌け口としてココンさんを受け入れ続けました……。

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:46:28


     そうしてココンさんは何事もなかったかのように着衣の乱れを整え、いつものクールさを取り戻し、
     放心している私を置き去りにしていく……前に踵を返して戻ってきました。
     しばらく無言で私の瞳を覗き、最後にとても優しい接吻を残していき、
     今度こそ私を置いて体育館倉庫から出ていかれました…。
     ……ズルい人です。
     深い深い、奈落のような落とし穴…。
     沈みゆく心地よさに身を任せ、私は再び宿った下腹部の胎動を愛おしく擦るのでした……。

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:47:10

    なんつーレズだ

  • 12二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:48:23

    以上

  • 13二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:49:07

    強くて哀しい無節操レズキス魔

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:49:29

    このレスは削除されています

  • 15二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:50:46

    >>14

    ちょっと掛かり気味かもしれません

    私の脚質には合っていますよ!

  • 16二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:51:50

    きつ

  • 17二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:52:12

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:52:44
  • 19二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:52:55

    クリーク「うう~ん、私の性癖に特別合ってるワケではありませんが……有り寄りの有りですね」

  • 20二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:02:35

    ヤエちゃんぐらい純情な娘が突然百合乱暴されたらそりゃ人生歪むわ

  • 21二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:12:46

    ココン(………)ムラッ

  • 22二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:15:13

    グラッセはどう思う?

  • 23二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:22:12

    どうなっているんですか理事長代理
    あなたが来てからというもののトレセンの風紀はメチャクチャですよ

  • 24二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:49:12

    被害者多いなぁ
    ヤエノ関連でクリークだけが被害にあっていないのは手を出しちゃいけない人だとわかったからか

  • 25二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:50:35

    >>23

    理事長代理「責任を持ってこの学園を去ります…」

  • 26二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 22:50:57

    このカップリング接t…いや、なんでもない

  • 27二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:02:20

    >>25

    大丈夫?去れるだけの体力ある?

  • 28二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:05:11

    体育館にいた生徒's(ココンさんだ)(うまぴょいするんだ)(うわ。いいなぁ…)(あのヤエノさんが…)

  • 29二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:06:19

    >>27

    そんな私を支えてくれる彼が居ます

  • 30二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:12:22

    >>29

    あの、それが原因でココンさんがキス魔になっているのでは…?

  • 31二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:30:16

    こんな感じで愛人を増やしていくだよね、ココンは…

  • 32二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:33:48

    どっちも魔性の女だぜ…

  • 33二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:36:19

    素質がありそうな娘だけ狙っているあたり確信犯ですよ、これは

  • 34二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:36:58

    >>30

    なら…責任を持って…リトルココンを追放する…!

  • 35二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:37:30

    >>24

    同業者とやりあうのはお互い得策じゃないからね……

  • 36二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:38:01

    >>34

    これは一部の生徒から非難轟々ですわ

  • 37二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:40:22

    このレスは削除されています

  • 38二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:43:20

    >>37

    風紀どころか人生もメチャクチャだぞ

  • 39二次元好きの匿名さん21/09/23(木) 00:24:09

    うーんこれぞあにまんココン

  • 40二次元好きの匿名さん21/09/23(木) 00:48:21

    師範「ワシの可愛い可愛い跡取り娘がレズ堕ちしてしまった…」

  • 41二次元好きの匿名さん21/09/23(木) 01:03:06

    百合セッで妊娠は良いですわゾ~コレ

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