- 1二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:55:35
- 2二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:58:17
三年ぶりに足を踏み入れた一室は、当時の面影を保ったままだった。
埃ひとつない絨毯は、部屋の主がここを離れている間もこの場所が清掃され続けていたことを示している。
不必要なまでに大きな窓と、それをすっぽり覆うカーテン。一人で寝るには広すぎるベッドのシーツは、ピンと整えられている。
生活感の欠けた景色は懐かしく、そしてどこか寂しく思えてならなかった。
書斎机へと足を向けて、ライトを点ける。椅子を引いて、腰を下ろす。棚に手を伸ばして一冊を手にすると、そこで違和感に気がついた。
「……そっか。そうだよね」
目いっぱいに腕を伸ばしてギリギリ触れられた本たちは、かつてほど苦労しなくても手が届く。
過ぎ去った時間を、このようなところで実感させられるとは思っていなかった。
表紙をめくって、ページを進める。
毎晩ここで記していた日記は、ある日を境に、まだ見ぬ世界へのきらめく想いがあふれてくるようで。
やがて辿り着いた、書き込まれた最後には。
“たくさんの思い出を抱けますように”
末尾の一文が眩しくて、そのページを直視できなくて。
もう一枚めくって、真っ白な一面を表にした。 - 3二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:59:19
お前はすごい子だ
- 4二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:59:33
スタンドからペンを手に取る。
今日の日付を書き入れて、心のアルバムを開く。
すべてが運命的で、一生忘れない宝物。
トレセン学園に留学できて――そして、レースを走ることができるなんて!
芝の匂い、弾ける鼓動。飛んでゆく景色と頬を撫でる風。
他では決して感じることのできない、かけがえのない体験。
そして、最後にはたくさんのファンに囲まれて、蹄跡が人々の心に確かに刻まれていることを確認できた。
私が抱いた思い出は、生涯決して手放さない。
みんなもきっと、私のことを永遠に覚えていてくれる。
「幸せ者だなあ……」
呟きは静寂へと沈んでいく。
走らせた筆先でピリオドを打った。
右手はもう動かない。
ペンを戻して、綴った文字を指でなぞった。
人差し指が紙上を滑った。
インクが少し、滲んだ。 - 5二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:59:38
書いたな……こいつ……
- 6二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 22:59:49
もう良いぞ
- 7二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:00:23
このレスは削除されています
- 8二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:01:05
いい…
- 9二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:01:06
こい…こい…トレーナー…乱入しろ…それか普通に婿入りしてろ…!
- 10二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:07:50
- 11二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:24:22
前作
ヨヤクワンダーwwww|あにまん掲示板レースを間近に控えて、必勝祈願のお参りを済ませたあと。元来た方向へ参道を歩けば、行きには通り過ぎていた茶屋があって。それを横目に眺めながら歩みを進めていると、トレーナーさんに声をかけられました。「………bbs.animanch.com殿下は三本目かな
最推しでほんとしゅきしゅきだからたくさん書いちゃうんだよね
- 12二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 23:26:23
- 13二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 10:53:43
めっちゃいい...