うおっすっげえ湿度……蒼き地球かな?

  • 1二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:50:43

    昼食を済ませて、少し身体を休めたらトレーニングを始めようかという昼下がり。
    ベンチに並んで座って他愛もない話をしていると、ふとパーマーが大きなあくびをした。

    「どうした、寝不足か?」
    「なーんか変な夢見ちゃって。確か、ヘリオスが新聞読みながらオッズがどうこうとか言ってたかな……」
    「それは……あの子らしくないな」
    「でしょ?それで目が冴えて寝れなくってさあ」

    そう言って目をこするパーマーは本当に眠たげだった。
    このままトレーニングに行こうというのは危険だし、何より少し可哀想な気持ちになる。
    最近はトレーニングも少し厳しめだったし、少し休養させるにはいい機会かもしれない。

    「今日はもう授業終わりだったろう。少し昼寝するか?トレーナー室なら貸せるけど」
    「ん~……」

    曖昧な唸り声と共に、肩にぽすん、と重みがのしかかった。

    「パーマー?」

    返事がなく、代わりにすうすう、と寝息が聞こえ始めた。本人でも思った以上に眠気が強かったらしく、もう揺すっても起きないほど眠りに入ってしまっていて。
    あらぬ誤解を招きかねないので背もたれに重心をズラしてみるが、左にヨレる癖がついたのか、何度か戻してもすぐにこちらに寄りかかってしまう。

    「まあ、人目も少ないし……」


    仕方がないので諦めて受け止めているとなんだかこっちまで眠くなってきて、思わずウトウトし始めた頃、「あら」という素っ頓狂な声で目が覚めた。
    顔を上げると、偶然通りがかったらしいメジロマックイーンが恥ずかしそうに口元を押さえていた。

    「随分と……仲がよろしいのですわね」
    「違うんだ!いや違わないんだが……パーマーがその、眠っちゃったから仕方なく、さ」

  • 2二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:51:50

    「まあ、そう仰るのでしたらそういうことにしておきますわ」

    そう言ってマックイーンはこちらに寄ってきて屈み込み、寝息を立てているパーマーの顔をしげしげと見つめる。

    「それにしても驚きました。パーマーが寝ている姿なんて初めて見ましたわ」
    「え、そうなのか?君ら子供の頃からの付き合いじゃないか」
    「何度か同じ部屋で寝たことはありますが、誰よりも遅く寝て早く起きるような、そんな子でしたもの。そもそもベッドに入ったところすら見たかどうか……」

    今回のようなことは初めてだが、たまにトレーナー室でうたた寝しているところは見る。
    てっきり昔からそんな感じだと思っていたが、想像以上にメジロ家では気を張っていたようだ。

    「なのに今はこんなに無防備な姿を見せているのは、それだけあなたに心を許しているということですわね。……少しだけ嫉妬してしまいますわ」
    「嫉妬?」
    「幼い頃からの付き合いのわたくしたちには結局遠慮がちに接していたのに、学園に来てから出会ったあなたとは気兼ねなく付き合っているのですから。……意外と、そういうのは気になるものなのですわよ?」

    マックイーンの笑顔はほんの少し歪んでいた。
    ライバルである以前に家族同様の関係で、かけがえのない友人。そういう相手とすれ違ったまま生きていたことが分かれば、複雑な心境にもなるだろう。
    でも、今は違う。たとえ諍いが起きたとしても、今のパーマーならきっと臆したりはしない。

    「それならもう大丈夫だ、パーマーには君らと対等に接する自信がついたから。メジロとこの子の関係も変わっていく」
    「そう来なくては。何せ、有馬記念でご友人とともにわたくしたちを真っ向から打ち負かした相手です。今更遠慮などされたら許せませんわ」

    こちらを見据えるのはほんの少し、闘志を漂わせた瞳。
    天皇賞の借りはグランプリで返した。来年こそは自分が、というのは向こうもこちらも同じのようで。

    「これからもご迷惑をお掛けするかと思いますが、どうぞパーマーをよろしくお願い致します。あなたは、この子のよき理解者ですから」

    そう言って頭を下げるマックイーンの姿からは、メジロの代表としての器を確かに感じた。彼女がいる限りは、メジロ家の繁栄は揺るぎないだろう。
    俺とメジロとの関わりはほんの微々たるもので、あの家のこれからのことなど何も分からないが───掛け値なしにそう思えた。

  • 3二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:52:34

    「ああ。責任を持ってこれからも支えていくよ」

    なんだか圧倒されてしまいそうになったが、できるだけ力強く頷く。トレーナーとしての矜持と、左肩に預かった重みにかけて。
    では失礼しますわ、と立ち去って行ったマックイーンの背を見送って、隣でわざとらしくいびきをかき始めたパーマーに声を掛ける。

    「途中から起きてただろう」
    「……バレてた?あの流れで起きたって言いづらいじゃん……」

    目を開けて、俺の肩から離れながらバツが悪そうにパーマーが笑う。

    「いや~参ったな、マックイーンが私の保護者みたいだったねえ。やっぱ心配掛けちゃってたか」
    「好きに生きるっていうのはそういうことだよ。どんなに上手くやったって、迷惑は掛けなくても心配は掛ける」
    「……だよね」

    パーマーの顔が曇る。彼女の悪い癖がまた顔をもたげようとしていた。根っからの性分というのはきっと、一生掛けても治らないものなのだろう。
    だったら、上手い付き合い方を考えていくしかない。欠点も含めての彼女なのだから。

    「でも……必ずしもそれが悪いとは思わない。少なくとも、今のパーマーにとっては」
    「え……?」
    「ほら、あれ見てごらん」

    指差した先にあるのは以前パーマーが手入れを手伝った畑だ。
    石ころと雑草だらけでトウカイテイオーが匙を投げかけたあの場所には立派なにんじんが生え揃って、収穫の時を今か今かと待っている。
    本人は当たり前のことをしただけだと思っていても、学園の皆の助けになっていることは疑いようもない。

    「懐かしいね。トレーナーが生徒会長になれる!なんて言ってたっけ」
    「少しくらい好き勝手してもいいくらい、パーマーは皆の助けになってるよ。それは、今までの経験で分かるだろ?」
    「それは……まあ、私が勝手にやってることだし?」
    「やらない善よりやる偽善だよ。現に、心配こそしても今のパーマーの生き方を否定する人は誰もいないだろう?ならそれでいいじゃないか」
    「そういうもんかな……」

  • 4二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:53:16

    もう一押しといったところか。
    客観的な事実ではなく、トレーナーとしての主観。それを伝えれば、パーマーはきっと分かってくれる。

    「それにな、トレーナーとしては少しぐらい心配になる子の方が支え甲斐があるんだ。俺としては、いい子なパーマーよりも手のかかる今のパーマーが好きかな」
    「えっ」

    ここまで言えばウジウジも少しは納まるだろう。
    そう思ってパーマーの方を向くと、その顔は少し赤くなっていた。今日はあまり暑くはないが、少し日に当たりすぎたのかもしれない。やっぱり休むならトレーナー室に戻って───

    「……トレーナー、それ絶対私以外に言っちゃダメだよ?」
    「え?なんで」
    「文字通りの殺し文句!いい加減自分がヤバいってこと、マジで自覚持ってよね!」

    そう言うなりパーマーは明後日の方向に走り去ってしまった。追いかけようにももうその背中は見えなくなっていて、仕方なく背もたれに身体を預ける。

    「……俺、そんなにヤバい?」

    誰にともなく呟いてみても、帰ってくるのは風の音だけで。

    「なんか、ヘコむなあ……」

    メジロパーマーとの間に、かけがえのない絆を感じた?ひとときだった───

  • 5二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:53:50

    終わりだす。トレパマいいよね いいと言え

  • 6二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:54:38

    ああ゛いい・・・

  • 7二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:54:44

    良きかな!!!!!!

  • 8二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:55:15

    いいSSだぁ トレパマいいよね…

  • 9二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:55:38

    E…

  • 10二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 17:57:30

    良きものを見た

  • 11二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 18:01:28
  • 12二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 18:12:31

    パマトレは無自覚に重い人たらしのクソボケとかいう恐ろしい存在

  • 13二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:02:59

    もしかしてトレパマの存在感バレた?

  • 14二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:19:54

    いいよね…重いけどいいよ

  • 15二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:23:38

    パーマーが地球だとしたら母なる大地がパーマーってこと?
    パーマーの胸に抱かれて産まれて死ぬとか最高じゃん

  • 16二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:24:58

    さすが水の惑星

  • 17二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 20:27:48

    >>ヘリオスが新聞読みながらオッズがどうこう

    お前許さんからなヘリオス

  • 18二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 08:11:15

    >>11

    あなたか!

  • 19二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 13:14:08

    最近こういう良いの見ると泣いちゃう

  • 20二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 22:47:49

    後方保護者面マックちゃんつよい

  • 21二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 10:26:57

    好き...

  • 22二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 16:48:21

    良きものを見せて貰った

  • 23二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 17:09:51

    何なのさいきんちんちん亭語録で良SS投下するのがはやってんの?

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています