……悔しいな、何か一つ出来るようになっても、またすぐ目の前に分厚い壁があるんだ

  • 1二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 18:58:31

    すごい人はもっとずっと先のところで走っているのに 私はまだそこに行けない……

    私は……キョウエイプロミス先輩の様な、「強くてかっこいいウマ娘」になれるかな……

  • 2二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:06:48

    「パーフェクトです!勝ちに行きます!」

    あの人はそう言っていた。アレだけのプレッシャーの中で、世界を敵にした中で

    ……いつからだったろう、私があの人に憧れたのは。

    戦績だろうか、ライブで見せるとびっきりのパフォーマンスだろうか。もう覚えてはないんだ。

    「私が目指すのはジャパンカップ!……あ、ルドルフちゃん!無理って思った?まぁ思うよね……」

    ……あぁ、そうだ。大きな、大きな夢、日本最強のウマ娘と謳われた先輩方が、悉く散って行ったあのレース

    あの人は、そんな中でもめげずに、直向きにジャパンカップを目指していたんだ

  • 3二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:08:14

    世界に手をかけた勇姿か

  • 4二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:15:23

    >>3

    そうです! 書きながらなんでゆっくりゆっくりになると思います

  • 5二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:22:56

    「……先頭はキョウエイプロミス!見事この大舞台を制して見せました!」

    「………やっ、たああああああああ!!!!!!シャダイに!テンリュウに勝った!!!G1に勝った!!!!!」

    やっぱり、あの人は凄かった。アレだけのメンツで、横綱相撲と言っても過言ではない様な勝ち方をした。

    でも、少し心配だったんだ。

    「あ、ルドルフちゃん!凄かったでしょ私!脚?……脚か〜 全然大丈夫!これくらいなんってことないよ!」

    そう言ったあの人は、少しひきつった様な笑顔をしていた。

    ここで無理にでも止めておけば……どうなっていたんだろう。今でも私は考える。どうすれば先輩は、一番幸せだったんだろう。

    「プロミス先輩!!!また無茶したでしょ!!あなた脚が弱いのにぃ……やめてぇ……目の下撫でるのやめてぇ……でへへ……」

    元気な声で飛び込んで来たカツラギエース先輩が撫でくりまわされる光景も、鮮明に思い出せるな……

    「まーまーエースちゃん、リラックスリラックス!肩の力を抜かないと、強敵には勝てないぞぉ〜!」

    「あ……」

    プロミス先輩、地雷を踏む。

    「ご、ごめんごめん!大丈夫大丈夫!菊花賞は忘れよ!レースはたくさんあるんだからさ!無事に走り続けていれば……!」

    「そうだよエース。京都新聞杯の君、本当凄かったんだよ?また君と走るのが楽しみだよ。」

  • 6二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:30:12

    「シービー!あなたも応援に来てたのね!」

    「勿論。キョウエイプロミス先輩と話したいことがあったし。」

    「あらま、私に?シービーちゃんどうしたの?」

    ああ……あの時のシービーは、凄く辛そうだった。

    「ーーーーーーごめん、先輩。私ジャパンカップに出れそうにないんだ。」

    「脚がね、あんまり状態良くないんだ。しばらく休養を挟むんだけど……今年は全休になるだろうって、トレーナーが。」

    「だから、先輩に託したかったんだ。」

    「私の代わりに、三冠ウマ娘の代わりに……日本最強として、世界と戦ってくれないかな?」

  • 7二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:44:58

    ……三冠ウマ娘が出れない。

    そのニュースは、海外のメディアからも批判の的となった。
    「何故日本最強馬が出ないのか?」
    「怖気付いて逃げたんじゃないのか?」

    そういった、心無い批判もあったんだ。思い出すだけでも腑が煮え繰り返りそうになる。青かったな……私も……

    「ですから、このキョウエイプロミスが、あなた達の相手をするのです!日本最強のウマ娘として!」

    真っ直ぐ、堂々とした口調で、あの人はいい放った。

    当時日本のウマ娘は……掲示板に入るのがやっとなくらいで、第1回、第2回ともに海外のウマ娘が勝っていたんだ。

    それでも、先輩は諦めなかったんだ。

    私は、私に出来ることは……

  • 8二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:45:47

    「えっ!?ルドルフちゃん、ジャパンカップの日のレースに出るの!?朝日杯じゃないの!?」
     
    びっくりした顔で、先輩が見つめていた。

    トレーナー君とも話し合って決めたことだったんだが、あの頃私が考えていたのは……

    日本に私がいる。私という凄いウマ娘がいる

    ジャパンカップには、キョウエイプロミスという凄いウマ娘が出る。

    日本の凄さを、プロミス先輩と証明したい

    私達の強さを、かっこよさを、皆に証明したい。

    まるで子どもじみた……でも。本気で思った願いだったんだ。

    「正直、ルドルフちゃんなら朝日杯でも圧勝すると思うよ!もったいないと思うけど……ちょっと嬉しいな。それじゃ全力で走らないとね!」

    そう言って、プロミス先輩は悪戯っぽく笑った。

  • 9二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:47:05

    ???「プロミス!プロミス!!プロミス!!!プロミス!!!!」

  • 10二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 19:59:34

    ……そして、ジャパンカップが来た。

    「ルドルフちゃん!!本当凄かったね!!圧勝じゃないの!!」

    あの人が笑顔で抱きついてきた。

    「最後、ほとんど流したまま勝っちゃって……!海外席の方がどよめいてたよ!」

    素直に嬉しかった。ただ今は自分の事よりも……

    「……あぁ、分かっちゃったか、ルドルフちゃん。」

    「すごいね。君は。……ただただ本当に素質があるだけじゃなくて、本当に相手の事を見てるんだね。」

    やっぱり、って思った。認めたくなかった。

    「エースちゃんや、シービーちゃんには内緒よ?この事話したら、あの子達力づくでも止めに来ちゃうわ!」

    「うん……私ね、今回のレースが最後になるかもって。」

    「脚がもう、いつ壊れてもおかしくないんだって。」

  • 11二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:08:29

    認めたく、なかった。

    私の尊敬する先輩は……キョウエイプロミス先輩は……何度怪我しても、何度負けても、諦めないで、走り続けて、這い上がって……弱音とか、自分の身体の不安とか、口にしたことない人だった。

    そんな人が、そんな言葉を口にしたんだ。

    嘘じゃないんだって、嫌でも認めるしかなかった。

    「ルドルフちゃん、一つだけお願いごとをしていいかな?」

    「シービーちゃんとエースちゃんに、レースが終わったら伝言をして欲しいの。」

    それは……

  • 12二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:14:14

    「……ありがとう!ルドルフちゃん!レースが終わって……もし私に何かあったら、よろしくね!」

    「それじゃ、行ってきま……あ、そうだ!」

    先輩が抱きついてきた。危うくこけそうになるくらいな勢いで。

    「ん〜〜〜!入学当初はまるでライオンみたいだった跳ねっ返り子が、こんなおっきくなって、優しくなって……!」

    「ルドルフちゃん、どうかその優しさを忘れないでね。……あなたが願うこと、きっと叶うと思う!後は!」

    「私の走りを、どうか最後まで見届けてね!」

    「じゃあ、元気で!」

  • 13二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:22:11

    「「プロミス先輩!」」

    「あ、シービーちゃん!エースちゃん!」

    「これから出走でしょ!だから応援に来たの!」

    「あれ?ルドルフは?」

    「あれ、ルドルフちゃんならさっきまでここに居たのよ。もう充分って事なのかな?」

    「はは、ルドルフらしいね。……プロミス先輩、日本最強のウマ娘、今は間違いなくあなたです。どうか無事に……ただ、来年のレースはアタシが勝たせて貰いますよ!」

    「……そうだね、シービーちゃん、来年のジャパンカップでは一緒に走ろう!」

    「あー!!ずるいずるい!じゃあ私が二人とも置き去りにしちゃうから!影なんて踏ませないからね!」

  • 14二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:25:39

    ……情けないが私は、カツラギやシービーと共にいる自信が無かった。

    あの人との約束を、全部守りたかったから。口を滑らせてしまいそうな私が居たから。

    一番前で、ゴールの手前で……あの人が駆け抜ける姿を見るために、人混みを潜り抜けて……そこで立ち尽くしていた。

    先輩、どうか……ご無事で……

  • 15二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:44:20

    「逃げ切ってやらああああああああああ!!!!!!!」

    レースは、まずハギノカムイオー先輩が引っ張る型になった

    引っ張るところじゃない、逃げる逃げる。大逃げだ。

    そして縦伸びの展開から後半……

    「むーーーりーーー!!!」

    ハギノカムイオー先輩が沈む。

    好位置にアンバーシャダイ先輩がくるが……伸びない。

    (4コーナーから……仕掛ける!)

    プロミス先輩が、一気に前に出る!

    「……そうだな、やはりやるなら貴女だと思っていた。キョウエイプロミス!」

    『スタネーラが馬場の大外を突っ込んで来た!しかし先頭は日本のキョウエイプロミス!キョウエイプロミス!』

  • 16二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:45:07

    (……ルドルフちゃん、辛い役割を押し付けてごめんね。)

    (私は、この走りを通してあなたたちに伝えたかったの。)

    (日本のウマ娘達の強さを。)

    (私達の意地と願いを、誇りを!約束を!)

    (……さようなら……シービーちゃん……エースちゃん……そして……ルドルフちゃん……)

    「がぁ……っ!ぐっ!うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

    『先頭はキョウエイプロミス!先頭はキョウエイプロミス!スタネーラか!キョウエイプロミスか!プロミス!プロミス!プロミス!プロミス!プロミス!』

  • 17二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:56:48

    『……キョウエイプロミスとスタネーラの叩き合い!勝ったのはスタネーラ!しかしキョウエイプロミス、よくやりました!世界の強豪を相手に、よくぞ頑張ーー」

    凄い、レースだった、ただ……

    先輩の様子が、おかしい。

    明らかに脚が、もう……!

    「プロミス先輩!!!!」

    真っ先にカツラギエースがターフに飛び込む

    私やシービーも、遅れてターフに飛び込んだ。

    「プロミス先輩!!大丈夫ですか!!先輩!!嫌……嫌です!何で!どうして!」

  • 18二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:57:42

    「ご……めんね、ほんとはね、もう走れないかもって言われてたの……」

    「そんな……そんな。アタシのせいだ、アタシが約束なんて……」

    「それ……は、違うわ、夢だったの!ジャパンカップが!ここで……勝つのが……だから……あなたの……ぐっ……」

    「本当はルドルフちゃんに……伝言したんだけど……せっかくだから……今二人に伝えるわね……」

    「エースちゃん……あなたはとっても強いウマ娘よ。本番で緊張しちゃうのも、慣れていけばきっと……だから……諦めないで……」

    「ぐすっ……先輩……先輩……」

    「シービーちゃん、これからの日本を背負うのはあなたよ。どうか堂々と……自分を……」

    「分かってる!大丈夫だ!応急処置は済ませたから!今はバ運車が来るから!もう喋らないで!」

    「ルドルフちゃん……」

    「ルドルフちゃんあなたは……」

    「世界、一の……」

    「みんなの、幸せを……」

    「きっ、と……強、くて……かっこいい…」

  • 19二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 20:59:12

    先輩は、バ運車に運ばれてターフを去った。

  • 20二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:01:05

    幸い、命は取り留めた物の

    「競争能力消失」

    もう、先輩は二度と走れない。

    そんな現実が、鈍く私を貫いた。

  • 21二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:04:42

    なぁトレーナー君、私は……

    私は。

    彼女のような

    強くてカッコいいウマ娘になれるかな?

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:05:26

    「なれる。」

  • 23二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:09:57

    「僕は、ルドルフの走りに何処までも魅かれたんだ。」

    「何があろうと、どんな壁があろうと……君は……シンボリルドルフだ。問題なくシンボリルドルフなんだ。」

    「世界一になれる、強くてかっこいいウマ娘。それが君だ。シンボリルドルフなんだ。」

    「無敗の三冠ウマ娘になった時も、たとえたった一度負けたとしても……君は君だ。」

    「Take it easy! 気楽に行こうぜ!」

    「ジャパンカップ、来年こそは勝つぞ!」

  • 24二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:17:40

    ……トレーナー君はいつも私を元気付けてくれるな、本当にありが……

    「こらー!!!!何落ち込んでるんだよー!!!」

    ……エースか。相変わらず元気だな。

    「ふっふっふ!今回は絶対に勝つつもりだったからね!シービーにも、ルドルフにも!」

    ……まんまとしてやられた。本当に凄かった。大逃げからペースを落としたと思えば脚を溜めて一気に、彼女の高い素質と技術があったからこそだろう。悔しかったが完敗だった。

    「大体一回負けたくらいでめげないの!……そりゃ、ジャパンカップはプロミス先輩の悲願だったもん、悔しいのも分かるけど!」

    「私だってシービーだって、プロミス先輩だってたーっぷり負けてるんだからね!ルドルフだって、負けてどんどん強くなろうよ!」

  • 25二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:25:14

    そうか……そうだな。

    負けて学ぶこともある。学ばせてもらったよ。エース。

    「ふっふっふ!もっと褒めなさいよ!後ついでに撫でて……あ違う!今日はそれじゃないの!それじゃないから目の下撫でる止まってふにゃああああああ〜〜〜」


    「あ……えっとね!私有馬記念に出るから!そこで勝って、ドリームトロフィーリーグに入るの!』

    「見事リベンジしてみせてね!ルドルフ !じゃあね〜!」

    「……行ったか、元気な子だなあ。」

    本当にな。でも私は……あの元気さに勇気付けられてる気もするよ。

    「良い友人を、ライバルを持ったな。ルドルフ。」

    ああ……つくづく、人には恵まれている。

    落ち込むのはやめた。勇往邁進。勝利を目指す!

    「お、いつものルドルフらしくなったな!」

    「ああ……不撓不屈。世界一のウマ娘として恥じないレースをして見せよう!」

  • 26二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 21:25:51

    終わりです。長々とありがとうございました!

  • 27二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 23:02:46

    よかったよ

  • 28二次元好きの匿名さん22/06/12(日) 23:55:59

    >>27

    ありがとうございます!嬉しいです!

  • 29二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:00:42

    素晴らしい……
    撫でまわされてるエースちゃんかわいい……
    ルドルフの陣営はジャパンカップにすごい熱意を注いでたんだよね
    いいなあこういうの……

  • 30二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:02:54

    >>29

    朝日蹴っても(実際蹴った。)菊蹴っても行こうとしたのは執念に近くてとても良いエピソードだなあって思いました。そう考えたら妄想が止まらなかった……!

  • 31二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:07:26

    とても素晴らしいものを見た……ありがとうございます
    ルドルフが「皇帝」を志すようになった前日譚にはこういう物語があったのかなって思えてよかった

  • 32二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:09:36

    >>31

    皇帝前のルドルフは弱ったら四字熟語出なくなったらかわいいなあなんて独自解釈で出さなかったりしてました!


    何かきっかけを目指し皇帝になったらカッコいい……そんな風に考えてました!ありがとうございます!

  • 33二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:19:57

    【ウマ娘】JRA・CM シンボリルドルフ ウマ娘Ver. 【MAD】

    ある男が言った。

    「レースに絶対はないが、“そのウマ娘”には絶対がある。」


    勝利より、たった三度の敗北を語りたくなるウマ娘。

    シンボリルドルフ。永遠なる皇帝。


    その秋、日本は世界に届いていた。


    全世界を席巻せよ


    ジャパンカップ。

  • 34二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:26:44

    簡単に後日談のようなものですが、ちょい投稿していきます!

    「あ!いたいた!おーい!ルドルフちゃーん!」

    キョウエイプロミス先輩!!……お久しぶりです。アレから勇猛邁進。貴女の夢と理想を継ぎ、軻親断機、脚を進めて来ました。今は……わぷ。

    「もー寂しかったんだよ!!全然来てくれないじゃん!エースちゃんやシービーちゃんは凄い来てくれるけど! そんだけ生徒会って忙しいんだね〜…」

    いえ、生徒会の仕事は……相互扶助、滞りなく出来てるんです。
    その、私が決めたルールのような物でした。

    ジャパンカップ、絶対勝ってから、貴女に会いたかったんです。

  • 35二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:37:07

    「凄いなぁ……いやホント凄いよ。真面目だなあ、ルドルフ ちゃん!」

    ……それが、あなたの言葉を聞いた、私なりのケジメのような物だと思ってるんです。

    あなたのおかげで、私は勇往邁進、怯むことなく道を進みました。

    G1を6勝、偉大なるウマ娘「シンザン」を超え、皆の目標となり……規範となり……

    「本当にね……でも肩に力入りすぎじゃないの〜?大丈夫?寝てる?たっぷり寝ないとお肌に毒よ!」

    はは、ご心配なく。「Take it easy」 私のトレーナーが良く語る言葉ですが、意気自如と物事に向かえている物です。

    「そうなの?でも無理しないでね……あ、そうそう!これ上げる!」

    ……これは……

  • 36二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:39:55

    世界に手をかけた勇士。

    晩秋の東京競バ場に一陣の神風をおこした勇士がいた。キョウエイプロミス。
    世界の強豪をむこうにまわし、堂々のアタマ差二着。
    あたかも、競争生命のすべてをこのレースに賭けてしまったかのような激走である。
    必勝を期し、脚部不安を押してのジャパンカップ出走。
    それは、キョウエイプロミスの、
    世界を征することへの熱い悲願の表われでもあった。
    直線、スタネーラとの激しいたたき合いの末、負傷。
    それでも二着でゴール板をかけぬけた。
    あえなく、世界一への夢はついえたが、君よ、胸をはるがいい。
    これほど、多くの夢と感動を一度に与えてくれたものは、他にいないのだから。

  • 37二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:45:13

    「すっごいでしょ!ルドルフちゃんも見たでしょ!このポスター!何枚もあるんだけど一枚ルドルフちゃんに上げる!ほら!サイン付きだよ!見てここ!」

    ……先輩……

    ……恥ずかしながら、ジャパンカップの控え室にこのポスターを貼らせていただいてました。

    おかげで粉骨砕身、ジャパンカップに臨めました。

    「やだもー本当に嬉しい!ついでにサイン入り何枚も上げちゃうから!友達とかにも配って……あらルドルフ、後ろに居るかわいい子は誰?」

  • 38二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:52:24

    「こ、こんにちは!」

    「わーこんにちは!あなたはだあれ?」

    「ボク、トウカイテイオーっていいます!」

    テイオー!?いつから居たんだ!?

    「えっと……街中でシンボリルドルフさんを見かけて、見たことのない表情でどこかに向かってたから、こっそり後ろを付いてたんです!」

    ……前後不覚、我ながら緊張していたのか……

    「えっと……キョウエイプロミスさん!」

    「ボク、シンボリルドルフさんみたいな、強くてかっこいいウマ娘になりたいんです!どうすればなれると思いますか!」

    「あら!……あらあら、ルドルフちゃん……貴女……」

    「本当に、なってるのね、強くてかっこいい、誰かの目標となるウマ娘に……」 

    ……ああ……

    はい。なれました。

    私は…… 誰かの理想に、誰かの目標に。

    「グスッ……あごめんねテイオーちゃん!びっくりさせちゃって!」

    「そうね…… 私の意見だけどね。私が想うのは……」

  • 39二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 00:57:35

    「諦めないで。何があっても」

    「どんな困難があっても……まぁ一回逃げて休むのも勿論大事だけどね!諦めちゃうのだけはもったいないわよ。大抵のことなんて時間かけてゆっくり行けば出来ちゃうんだから!」

    「私もね、いつかまたターフに戻ろうって思ってるの。」

    えっ……先輩!?本当ですか!?

    「ええ!……今はまだ松葉杖だけどね、何年かかるかわからないけど……」

    「ルドルフちゃん、私は貴女と一緒に走りたい。そして……勝ちたい。」

    「お医者さんには厳しいって言われてるけど……リハビリ続けて、いつかはドリームリーグトロフィーで、ルドルフちゃん!あなたに挑むんだから!」

    「だからテイオーちゃんも……諦めないでね!どんな困難にも、頑張って立ち向かってみて!」

    「あ……はい!ありがとうございます!キョウエイプロミスさん!」

  • 40二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 01:00:36

    フ、フフフ……

    「あら、どうしたのルドルフちゃん?」

    いえ……私も楽しみが増えました!

    まずは有馬記念、勝負服の勲章を1つ増やし……

    その後、私は海外に挑戦します。

    そしてドリームリーグトロフィーで待ってます。先輩!

    「ルドルフちゃん……!」

    「ええ!絶対行くからね!待ってなさいよ〜〜!!」

  • 41二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 01:20:09

    数年後

    『さぁウィンタードリームトロフィー、出走メンバーを紹介しましょう!』

    『今回のコースは東京 芝2400、ダービーやジャパンカップと同じコースで争われます!』

    『10番、カツラギエース。日本で初めてジャパンカップを制した天バが、今日はどんなレースを見せてくれるでしょうか?』

    『12番、ミスターシービー。ターフの名優が、あの時のダービーのように再び大地を切り裂くのを期待しましょう』

    『15番、一番人気はやっぱりこの娘!永遠なる皇帝、シンボリルドルフ!日本最強を誇るウマ娘が、今日はどんな伝説を作り上げるのか?今からでも楽しみです。』

  • 42二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 01:21:10

    『そして……大外18番』

    『あのジャパンカップの感動から……もう何年が経ったでしょうか。』

    『競争能力喪失、そんな絶望から這い上がったウマ娘が、再びこのウィンタードリームトロフィーで皆様の前に姿を見せます。』

    『ーーーキョウエイプロミスです!』

  • 43二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 01:21:35

    「嬉しいな……叶わなかった。大好きな後輩達と走るって夢が、叶うだなんて……」

    私もですよ。先輩。

    「今日は全力で行くよ?プロミス先輩にかっこいいとこ見せながら、エースにも……ルドルフにも逆襲しちゃうからね?」

    「あー!させないからね!みーんな纏めて振り切っちゃうから!見てなさいよー!」

    「フフフ……お手柔らかにね、でも油断しちゃダメよ、みーんな纏めて私が差し切っちゃうかもよ〜〜?」

    ……それは私がやってみせますよ。最強の七冠馬として……ここに居る誰よりも、必ず先にゴールして見せましょう。  
     
    「あらあら、それじゃ皇帝サマの走り、この目で見届けさせてもらいましょうか!」

    これからも、皆で。

    高め合い、競い合って行くのだろう。

    今日は、生徒会会長シンボリルドルフではなく。

    ひとりのウマ娘として……

    全力で、ライバルと闘おう!

  • 44二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 01:22:01

    今度こそ完結です!おやすみなさい〜〜!

  • 45スレ主22/06/13(月) 08:12:34
    愛しいあなたへ|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    過去に書いたのも置いときます 暇つぶしにどうぞ!

  • 46二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 11:48:12

    当時の情報とか小ネタはここの資料から引っ張って書いたりしてます…‥が、撮影禁止な上に遠所にありホイホイ確認できないので間違いがあるかもしれません! 話半分程度に思って頂ければ!


    Gate J. 東京gatej.jp
  • 47二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 18:37:32

    このポスターいいよね……

  • 48二次元好きの匿名さん22/06/13(月) 22:41:09

    赤32とか久々だぁ……皆さま読んでいただきありがとうございます!嬉しいです!

  • 49二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 10:13:59

    すげぇ良かった!!!

  • 50二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 11:45:20

    >>49

    ありがとうございます!少しでもキョウエイプロミスという誇り高き勇士の事を知って貰えれば幸いです!

  • 51二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 12:01:08

    正直マルゼンからシービーまでのガッツリ空白になってる部分埋めて欲しい

  • 52二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 12:02:16

    >>51

    あー確かに、あのあたりが抜けてますもんねえ。


    後で追記するかもです!

  • 53二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 23:11:46

    最後のドリームトロフィーの流れ好き

  • 54二次元好きの匿名さん22/06/14(火) 23:48:58

    >>53

    ありがとうございます!蛇足かも……って不安はありましたがターフに戻ってきたキョウエイプロミスを描きたかったんですよ!お喜び頂けたならとても嬉しいです!

  • 55二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 01:50:39

    >>45

    あなただったのか

    素晴らしい才能だ

  • 56二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 02:08:48

    >>55

    久々に書きましたがご好評頂きとても嬉しいです!ありがとうございます!

  • 57二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 13:49:25

    保守!

  • 58二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:15:50

    「ハァイ、ルドルフ♪」

    ああ、君は……マルゼンスキーか。どうした?

    「なんとなーく、ね?この前の皐月賞凄かったじゃない!おめでとう!」

    ああ、ありがとう。……君に褒められると、なんだかこそばゆいな……

    「いーえ!今からだってドリームトロフィーリーグで一緒に走るのが楽しみだもの!あ、今日はそれよりも……」



    「なんちゅーか……息抜き、出来てる?」

    ああ……私のことが?大丈b……

    「って言うと思ったけど!そのお肌の荒れ具合!目の隈!明らかに疲れてるでしょ!そんなコンディションじゃチョベリバよ!」

    え?そんな事に……確かに最近、生徒会の仕事に練習に、多少は忙しくなってるな……でもまだ、私が辿り着きたい場所はまだ先にあるんだ、壮士凌雲。弱音など……

    「はいはーいそこまで!カノジョ!この後ヒマ?」

    ?確かに仕事は済ませた。暇だが……

    「よーし!そいじゃ息抜きに!レッツラゴーよ!!」

  • 59二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:19:58

    うおっ!!!
    と、とんでもない運転だな君は……

    「規定速度も法律も守ってるわ!バッチグーよ!」

    こ、ここは……?

    「フフン……ここはバブリーランド!疲れもぶっ飛びなチョベリグ施設よ!」

    い、いや私はこういうのは……

    「まぁまぁ!物は試し、開けてびっくり玉手箱!よってらっしゃい見てらっしゃい!」

    う、うおお……

  • 60二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:23:38

    バブリーランドに入り、数十分後……

    「うわあ……すっごいわね!ルドルフ!もうお立ち台でダンスだなんて!」

    いやその、入るのを渋ってなんだが……

    ここは凄く楽しいな!

    仕事やレース、学業の疲れや、ストレスが、文字通り「ぶっ飛び〜!」という奴だな!

    「いいじゃない!いいじゃない!その調子よ〜!」

  • 61二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:29:16

    ふぅ……まさかこんなに遊び回るとはな もう一度あのウォータースライダーに乗らないか?マルゼンスキー!

    「ごめんちょ、ちょっと休ませて〜!休憩よ〜!」

    あ、おっと……すまない。ついつい悪い癖が出てしまった。

    「ウフフ、まさか新人の生徒会長サマがこんな楽しい人だったなんてね〜!ここに来るまでの疲れた顔とか悩んだ顔がぶっとびよ!」

    あ、ああ……悩みか……悩みならな……

    「?もしかして悩んでることがあるの!お姉さんに話して味噌漬け!」

    君も同年代だろ?いや……まぁなんというか……

    昔、私は自分でも自覚するほど怖い性格をしていてな……その噂を聞いた後半が、私の事を怖がっていて……

    慕ってくれる子もいるんだが、何とか仲良くなりたくてな……

    「ふんふん……成程ね、ちょっと気にしてた?」

    ああ……まぁ、ちょっとな……

    「う〜ん……あ!いいこと考えた!」

  • 62二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:37:24

    「ねぇルドルフ、ギャグよ!ギャグを挟むの!」

    ギャグ……?

    「そう……例えば!」

    「ふとんがふっとんだ!」

    !!! ぷっ……

    あははははははは!!!!

    「おっウケた、次は……」

    「アルミ缶の上にあるみかん!」

    あ、あはははは!!何だそれ!アルミ缶の上に!!

    「みかんつながりでもう一つ!みかんがみっかんない!!」

    あはははははははは!!はひー!!やめてくれ!!笑いしんでしまう!!!

    「こ、こんなにウケるとは思わなかったわね……そんな風に笑うのねルドルフ、可愛いじゃない♪」

    か、勘弁してくれ…… もしかしてマルゼン、これか?

  • 63二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:37:59

    「そう!ギャグよ!会話の端々に、これを挟んで話すの!」

    「そうしたらきっと、ルドルフの事刺々しいライオンだなんて思わないと思うな!」

    ……吃驚仰天、この様な手があったとは……!

    早速学びたい!ここにはそういった本は無いか!

    「モチのロン!売店に置いてあるわよ!後で見に行きましょう!」

  • 64二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:46:17

    ……いや、今日はいろんな悩みが一気に解決した日だったな……

    「なら良かった!どっか思い詰めた顔してたからさ、お姉さん心配だったのよ〜!」

    そうか……ありがとう。マルゼンスキー。

    「礼なんかいいわよ!それより、今度は日本ダービーでしょ?」

    ああ……府中、芝2400。

    私がどうしても勝ちたいレースと同じ距離だ。負けられない……絶対に……。

    「フフッ、ちょっと羨ましいな……私はダービーに出れなかったからね……。」

    そうか、君は……

    「んもう!おカタイ制度ってやつ?嫌になっちゃうわね〜!」

    「だからさ……だからルドルフ。」

    「勝ってね。ダービー。」

    …… ああ、必ず勝つよ。今日はありがとう。マルゼンスキー。

    「いいのいいの!それじゃ……。」

    「頑張ってね!」

    ああ!

  • 65二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:47:28

    この日以来、友人として付き合いが長いのはマルゼンスキーが一番な気もするな。

    つくづく私は、人に恵まれてると思う。

  • 66二次元好きの匿名さん22/06/15(水) 22:48:16

    とりあえずマルゼンスキーとの出会いもねじ込みました 育成キャラとして所持してないのでキャラ崩壊ありありだと思います!許してちょんまげ!

  • 67二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 10:24:16

    このレスは削除されています

  • 68二次元好きの匿名さん22/06/16(木) 19:27:43

    https://bbs.animanch.com/board/722701/?res=21


    新作を描きました!良ければこちらもぜひ!

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